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*さくらももこのウキウキカーニバル 【さくらももこのうきうきかーにばる】 |ジャンル|インターネットごっこ(アドベンチャー)|#amazon(B000068LZ0)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インディーズゼロ&br()任天堂|~| |発売日|2002年7月5日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ドット絵で描かれた美麗なグラフィック&br()安定したゲームバランス|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 夜の来ない不思議な町、カラータウンに住む主人公の元に、ある日突然、カーニバルの妖精''チョコリン''がやってきた。~ チョコリンに選ばれた主人公は町長から''カーニバル委員''に任命される。~ その後の10日間、主人公はチョコリンと共に、カーニバル開催を目指して準備を進めていくこととなる……。 ---- **概要 企画原案及びシナリオを、漫画家・さくらももこの実姉である三浦範子が手掛けるアドベンチャーゲーム。~ GBA発売以前に彼女が任天堂に提案していた、GBC用ソフトの企画を元に制作された。~ タイトルの通り、キャラクターデザイン及びパッケージイラスト等はさくらももこが担当している。 低年齢の女子を対象としたゲームらしく、デザイン、グラフィックからシナリオ、BGMに至るまで徹底的に可愛らしく表現されている。~ しかしその中に、さくらももこならではの毒気のあるキャラクターや、随所にシビア且つやや不気味な設定も見受けられる。 カーニバル委員となってカーニバル開催の準備を進めるアドベンチャーゲームのほか、本編中で大きな役割を持つ「ホームページ」を独自に編集し、通信ケーブルを用いてプレイヤー同士で見せ合うことのできる「ホームページごっこ」というモードが存在する。~ 固有ジャンル名である「インターネットごっこ」は、本編とホームページごっこを併せた上での名称である。 ---- **システム ''本編'' -主人公は男女の選択が可能。 -舞台であるカラータウンは以下の表のような構成となっており、隣同士の町及び、イエローパークとそこに隣接する町は橋で繋がっている。 --物語は主人公の住むクロまちから始まり、最初は他の町と行き来できないが、進行状況に応じて時計回りに開放されていく。 |ムラサキまち|クロまち|モモまち| |シロまち|イエローパーク|アオまち| |ダイダイまち|アカまち|ミドリまち| -ゲーム開始後のイベントで、カーニバルの名称と開催日時を設定することとなり、その月日に関係なくカーニバルは必ず10日後に開催される。 -セーブは一日の終わりまたはスタートボタンから、チョコリンと話すことで行う。 -集客 --期間中、町の人々にチラシを配り、カーニバル参加人数を増やしていく。 --招待に成功した場合、そのキャラクターの顔グラフィックの隅にバッジのようなマーク(カーニバルマーク)が表示されるようになる。 --チラシを渡すだけで参加する者、ミニゲームや依頼をこなさなければならない者などパターンは様々。 --チラシ配布のほか、町に住んでいないモンピー(後述参照)は、それぞれの持つホームページでミニゲームをクリアしたりアンケートに答えたりすることで招待できる。 -開催までの流れ --8つの町それぞれに''守護神''を祀る「ほこら」と、最初は閉ざされているほこらの扉を開くための石碑が存在する。 --「おそなえもの」は装飾品や食品など様々で、決まった材料を各ショップに持ち込むことで入手できる(種類はほこらごとに違う)。 ---例:ベーカリーにメロンを持ち込んでできたメロンパンなど。 --おそなえものを所持した状態で石碑に向かうと、ほこらの扉を開く試練(クイズ)を受けることができる。 --ほこらでおそなえものを捧げると守護神が目覚め、その力で町に装飾が施され、一日が経過する。 ---一周目では、一日に手に入るおそなえものは一種類のみで、町が装飾される順番は固定。 --それぞれの守護神からひとつずつ、カーニバルの電力源である「ひかりのほし」というアイテムを渡される。 --最後に訪れるムラサキまちの発電塔にすべてのひかりのほしを嵌め込むことで、カーニバルが開催される。 -用語 -''モンピー'' --人語を話す奇妙な生物、''モンスターピープル''の略。カーニバルに招待することのできる人々のうち半数ほどはこのモンピーである。 --食品、動物、無機物、架空の生物など形状は様々。 --当時カーニバル委員であった人間が、UFOに遭遇した際にサイボーグ型モンピーに変化したなど、元は別の生物というケースも存在する。 --人語のほか、「モンピー語」と呼ばれる独自の言葉を会話の中に織り交ぜている場合もある。 ---例:イケてる=イーヤン、キュート=キラリン、こんじょうなし=ヘロリンなど。 --作中では町中で生活していたり、モンピークッキーやモンピーカードなる商品の存在、それに夢中になる者など、広く認知され好まれているのが窺える。 -''ミニパ'' --主人公の父が勤める会社で作られた小さなパソコン。このゲームの主軸ともいえる役割を持つ。 --タウンマップやヘルプも、このミニパから確認することができる。 --カーニバルに出る屋台のミニゲームで、壁紙やカーソルのカスタマイズパーツを入手できる。 --ホームページ ---モンピー、ショップ店員、守護神などが持っているホームページの閲覧が可能。 ---町に住んでいないモンピーはホームページから招待する場合が最も多い。 ---守護神は「ほこら」のホームページを持ち、各町付近に所属するモンピーたちの名簿(ホームページへのリンク)が設けられている。 ---カーニバルに参加するモンピーは名簿から確認できる(名前の横にカーニバルマークが付く)。 ---主人公自身のホームページもあり、一日の終わりに登録する「カーニバル準備記録」の閲覧が可能。 --検索 ---ゲーム内で登場した単語を頭文字から探してそれに関するページを表示でき、普通にゲームを進める場合は最大級のヒントとなる。 ---本題とは無関係なページであっても、文章中にその単語が含まれていれば検索結果として表示される。 ---プレイ中重要となる語句が出ると「気になるコトバ」として登録され、検索が可能になる。 ---気になるコトバに登録された時点でフラグが成立し、あえて検索機能を使わなくても先に進むことはできる。 ---人物名も検索が可能で、検索結果には各キャラクターのプロフィールページが表示される。 ---モンピーの名前では検索できず、文章に単語が含まれていない限り検索画面からモンピーのホームページへ飛ぶことはできない。 --チャット ---モンピーが参加するチャットルームで、一部のモンピーはここから招待できる。 ---相手の話に対する返答を二択から選んで答えていく。 ---一度チャットをするとチャットルームからは誰もいなくなるが、マップを移動するとまた入室する。 --メール・掲示板 ---町の人やモンピーから連絡が来る。 ---手伝いや探し物の依頼、家に宅配便が届いた、などの場面で使われる。 ---閲覧することでフラグが発生する場合がある。 ---いずれも主人公から送信や書き込みを行うことはできない。 #region(二周目以降の要素) -一周目の参加者は全員引き継がれる。 -ゲーム開始直後からすべての町を行き来できる。 --※一周目は何らかの理由(ミミズの大量発生など)でストーリーが進行するまで橋に交通規制がかかっている。 -おそなえものの材料は必要なく、店員たちから直接受け取れる。 -石碑の前での試練が省略される。 -アイテムを集めることで、対照となっている町同士(クロまち←→アカまちなど)のワープゾーンを利用できるようになる。 -工事中となっていたモンピーのホームページが開放される。 -新しいモンピーがチャットに参加するようになる。 -新しいアイテムが出現する。 --※一種類で複数存在するアイテムの場合、すべてを回収できるようになる。 -カーニバルで紙ふぶきを降らせるキャラクターの招待が可能になる。 -町に夜をもたらすキャラクターの招待が可能になる。 -主人公のホームページにサウンドテストが追加される。 #endregion ''ホームページごっこ'' -ゲームのスタート画面から選択が可能。 -本編中に登場するホームページのような画面を独自に編集することができる。 -ホームページをつくろう! --「ひょうし」…ホームページのタイトル、背景デザイン、背景アニメーションの設定 --「じこしょうかい」……自己紹介ページのタイトル、背景、アイコンの設定、ニックネーム、一言コメントの設定 --「にっき」……日記ページのタイトル、背景、アイコンの設定及び日記の新規作成、編集、削除 --「じゆうちょう」……自由帳ページのタイトル、背景、アイコンの設定及び自由帳の新規作成、削除 --「なかよしリスト」……なかよしリストページのタイトル、背景、アイコンの設定 ---日記と自由帳の記事は6種類まで保存できる。 -ホームページをみよう! --自分のホームページの確認 --友達のホームページの閲覧 --サンプルページの閲覧 ---このページは三浦範子・さくらももこ姉妹が制作したもので、制作秘話や他スタッフのプロフィール等を見ることができる。 -ホームページをこうかん! --通信ケーブルを用いて、作成したホームページを交換することができる。 --交換したページは「ホームページをみよう!」に保存されいつでも閲覧が可能。 --一度に保存できるホームページはひとつのみだが、プロフィールは「なかよしリスト」に6人まで登録できる。 ---- **評価点 ''本編'' -ドットによる繊細なグラフィック --ドット絵の味が最大限に生かされたカラフルなグラフィックは、本作品一の見所と言っても過言ではない。 --キャラクターはフィールドグラフィック、顔グラフィックともに全員が細部まで丁寧に描写されている。 --カーニバルではモンピーたちのダンスが見られ、それぞれに違ったパターンのモーションがあるため見ていて飽きない。モーション自体も非常に可愛らしい。 --キャラクターのみならず、町やその他のマップも一切の手抜きが感じられず、見目麗しく描かれている。 --特に装飾された町では可愛らしいオーナメントがふんだんに配置され、その多くが動く、光るなどのアニメーションを有しており、カーニバルの楽しさが伝わってくる。 --また、デリカやベーカリー、おもちゃ屋などのショップでは陳列された商品まで細かく描かれている。 --更には「おそなえもの」を祭壇に置く際に表示されるアイテムグラフィックは、ほんの一瞬であるにもかかわらず非常に丁寧に作られている。 -独特なキャラクターと世界観 --このゲームは小学生女子をメインターゲットとしているため、ゲーム全体が徹底して可愛らしく作られている。 --人物やモンピーは外見的にも内面的にもゆるく、且つ個性的に描かれており、完成度は非常に高い。 --一般的にあまり好ましくない性格として設定されているキャラクターも見受けられ、それによって加味されたエスプリと愛くるしさが調和し、飽きの来ない雰囲気を作り上げている。 --また、幽霊の存在、カラータウンに夜が来なくなった経緯などがプレイヤーに適度な不安と緊張を与え、これもゲームの面白さをより一層引き立てている。 -大人でも楽しめるシステム --このゲームは小学生女子をメインターゲットとしているが、その徹底された愛くるしさと、豊富なテキストや適度な難易度などから、大人(特に女性)でも十二分に楽しめる内容となっている。 --特に作中のアイテム「ミニパ」は、主にストーリー攻略の糸口を掴むための役割を持つが、ストーリーとは全く関係のない内容(雑学等)のページや書き込みが多数存在しており、それを読んでいるだけでも楽しめる。 --カーニバルに招待できるキャラクターは100人を超え、コンプリートを目指せば結構な手応えを得ることができる。 --特に、多くの場合は終盤で挑戦することになる謎はなかなかに複雑なルートが組まれている。 -良質且つ豊富なBGM --世界観にマッチした軽快で明瞭なBGMも、このゲームの特徴のひとつ。 --町、ショップ、マンホールや井戸の中、ミニパで表示する各ページなど、画面変わればBGMも変わると言って差し支えない。 --町には装飾前と装飾後のBGMが用意されており、前者は町のイメージを押し出したもの、後者は一貫して賑やかで楽しげなものという形になっている。 --コンプリートまでに聞くことになるBGMは54曲(うち一種類は川のせせらぎ)と、小ぢんまりとしたマップからは想像もつかないボリュームを誇りいずれもクオリティは非常に高い。 --ちなみに54曲のほか、お蔵入りとなった5曲がサウンドテストに収録されている。 --またサウンドテストには収録されていないが、町に装飾が施される時と、招待に成功した時に流れるファンファーレもクオリティが高い。 ''ホームページごっこ'' -自由度の高いデザイン設定 --作成するホームページは、コンテンツごとに背景、アイコン、タイトルの設定が可能。 --背景は28種類の模様と7種類のカラー、そしてアニメーションの有無が設定でき、そのパターンは378通り(模様のうち二種類はアニメーション挿入不可)。 --アイコンも自己紹介15種類、日記10種類、自由帳20種類、なかよしリスト5種類と豊富で、ページの雰囲気に合わせた選択ができる。 -サンプルページが豪華 --三浦姉妹によるサンプルページは、すべてのページに字数制限いっぱいに制作日誌等が書かれている。 --さくらももこの担当する自由帳ページは、短いながらエッセイストとしての彼女らしい文章で埋まっているため、ファンにとって嬉しい特典となっている。 --また、三浦範子の担当する制作日誌には日付もあり、どのような過程を経たかがある程度分かる。 ---- **難点 ''本編'' -マップが少ない --他のGBAソフトと比べるとマップ数的にはやはり見劣りする。 --その物足りなさに拍車をかけるのが、モンピーのプロフィールに掲載されている「すんでいるところ」の項目。 --そこには「クロのやま」や「ムラサキのいせき」などの地名が書かれており、詳しい解説も存在するが、ゲーム中でその場所に行くことはできない。 --図らずとも''「ここにも行けるのだろう」というプレイヤーの期待を裏切る''形となってしまっている。 --ただひとつ、「アオのかわ」は実際に行くことになるのだが、それも川のほとり一角のみである。 -キャラクターの台詞が少ない --キャラクターはイベントを終えれば同じ台詞しか言わなくなる。 --折角それぞれのキャラクターが個性豊かに描かれているので、もっと様々なパターンが欲しい。 -メール、掲示板で送信と書き込みができない --どちらも自身で情報を発信できないのは物足りない。 --基本的に町の人々とのコミュニケーションが少ないので、ここでその機会が設けられていても良かったのではないだろうか。 -コンプリートのしらみ潰し感 --このゲームは一周目では多くの制約があるが、二周目でそのすべてが解禁され、全キャラクターの招待が可能になる。 --しかし、二周目において見落としなどによりコンプリートを逃し、次で何か変わると判断して再三周回、というどつぼに嵌る可能性がある。 --二周目以降は、当然一切のフラグに変化がなく、見落としは自力で探して埋めていかなければならない。 --スタートボタンでチョコリンから聞くことのできるヒントも、一度クリアすれば把握できることのみでコンプリートに役立つ情報はない。 --ここでヒントが出てしまっても歯応えがなくなるが、しらみ潰しに糸口を探すのも若干苦痛となるため、それもまた難しい点である。 --また、モンピーたちのホームページを巡ってミニゲームやアンケートをこなしていく作業も、ミニパの画面を見続けることになるため動きに欠ける。 --もっとも、ジャンル名「インターネットごっこ」の通りミニパを駆使した作業はこのゲーム最大の特徴であり、ミニゲームも多種多様なため然程大きな問題ではない。 -招待できないモンピーの存在 --他のモンピーのホームページからリンクから、本編中に登場しないモンピーのホームページに飛べる。 --そのモンピーはほこらの名簿に載っておらず、ミニゲームやアンケートも設置していない。 --姿形はそのモンピーへのリンクを貼っているモンピーとまったく同じだが、折角プロフィールまで確認できるので招待できないのはもどかしい。 -アイテム回収が単調 --多くのキャラクターは様々なルートでアイテムを入手し渡すことで招待できる。 --その中の「ハート」というアイテムはひとりにつき10個必要で、その入手方法は大抵が''大理石に躓いて転ぶこと''(各町に設置された大理石の上をスキップで通ると躓いて転び、偶然アイテムを掴んでいることがある)。 --アイテムを掴めるかは完全にランダムで、一度マップから出て入り直すと成功することもある。 --数が多いゆえ致し方ない問題ではあるが、あまりにも単調な上主人公を何度も転ばせるのは心が痛む。 --ハートのほか、「ラッキーけん」「ABCシール」などのアイテムも、この入手方法が取り入れられている。 -準備記録のシステム --準備記録は、一日の終わりにその日の出来事を記録し、自身のホームページから詳しい日誌を確認できるというもの。 --この時記録できるのは、数ある出来事から選ばれた''三択のうちひとつのみ''。 --一日にたくさんのイベントをこなした場合、記録したい内容が除外されてしまう可能性が高い。 --周回時も前回のプレイでつけた準備記録(過去の記録)が残るが、''一周目しか選べない選択肢が多々ある''ため、テキストをすべて読もうとすれば初めからプレイせざるを得ず、またそれを並行して準備記録及び過去の記録に残すこともできない。 --準備記録はコレクター心をくすぐる要素だが、すべてをひとつのデータに残せないのは何とも惜しい。 -一部の運ゲー要素 --モンピーのホームページから挑戦するミニゲームには、一日(町が装飾されるまで)何度でもできるものと、一日一回しかできないものが存在し、いずれにせよ大抵の場合が子供でも突破可能な低難度に設定されているが、その一部に''一日一回しか挑戦できない+難易度の概念がない運ゲー''が存在する。 --言ってしまえばこの問題はリセットで解決できるのだが、メインである低年齢プレイヤーは恐らく多くがその方法を使わず、10日分すべて失敗して周回プレイを余儀なくされ、泣きを見ることになり兼ねない。 --裏返しのトランプの数字が表向きのトランプの数字より大きいか小さいかを連続で当てる「ハイ&ローゲーム」がその代表。 --このミニゲームで要求される連続正解数は''5回(32分の1)''であるため、十日間の間に突破できない可能性が高い。 --他の運ゲーに丁半ゲームがあるが、こちらは2回で突破できるため、''罠となるのはハイ&ローゲームだけ、とも言える''。 -腑に落ちないチャット --相手の言葉に対して二択から答えを選んでいくチャットは、''「本当にこっちでいいのか?」、「どっちも駄目だろう」な選択肢が多々ある''。 --相手の気に入る返答が多ければ招待に成功するのだが、これでは失敗しても''どこがいけなかったのか分からない''(何が良かったのかも分からない)。 --また、妙に''主人公の態度が悪い''のが理不尽さに拍車をかけている。 --うまく招待できた場合も、もやもやした気分になること必至。 -検索機能のロードがやや長い --ミニパでのページ移動時、「ページをひらいています…」という文言と進行状況バーが一瞬表示される。 --基本的にそれが表示されるのはコンマ4秒程度だが、検索した単語から検索結果に移動する時のみ2秒ほどかかる。 --検索で表示するページと他ページに差異はないため、飾りとして設けられた進行状況バーを目立たせるのが目的と思われる。 --その時々にカギとなる数個を検索するだけなら気にならないが、テキストを読む目的など一度に多くの単語を調べる場合にはもどかしく感じられる。 --ロード時間とは無縁のゲームであるため、その僅かな違いも気になるレベルになってしまう。 --もっとも、普通にプレイする分には大した問題にはならない。 ''ホームページごっこ'' -全体的なボリューム不足 --デザインのパターンが豊富な一方で、お世辞にも充実したページが作れるとは言えない。 --日記、自由帳の1ページに入力できる文字数が48文字と控えめな上、保存し表示できるのは6ページまで。 --せめて10ページほどあれば納得の内容にできただろう。 --それゆえ、サンプルページも内容は良質だがどうしても物足りなさが残る。 --また、交換して保存できるホームページもひとつのみである。 -レイアウトが固定 --背景やアイコンは自由度が高いが、レイアウトは基本として組まれた一種類のみである。 --コンテンツアイコンの配置変えや文字色の変更などがないのは惜しいところ。 -BGMが固定 --ホームページで流れるBGMは、本編でも使われているホームページ用BGMで固定。 --それは少々暗い曲で、明るく賑やかなデザインにはあまり合わないため、オリジナリティーを持たせる意味でもBGMの選択は欲しかった。 --良質なBGMが多数収録されているため勿体ない、というより、サウンドテストにある未使用曲を使用するという手もあったのではないだろうか。 ---- **総評 若干のボリューム不足はあれど、低年齢層及び女性に向けた作品としては完成された丁寧な作りで、非常にクオリティが高い。~ 目立ったバグもなく他のGBA作品と比べても高水準で、何よりさくらももこが全面的なデザインを担当するというセールスポイントがあったにもかかわらず今一つ日の目を見なかった、「隠れた名作」のお手本のような作品。
*さくらももこのウキウキカーニバル 【さくらももこのうきうきかーにばる】 |ジャンル|インターネットごっこ(アドベンチャー)|#amazon(B000068LZ0)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インディーズゼロ&br()任天堂|~| |発売日|2002年7月5日|~| |定価|4,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ドット絵で描かれた美麗なグラフィック&br()安定したゲームバランス|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 夜の来ない不思議な町、カラータウンに住む主人公の元に、ある日突然、カーニバルの妖精''チョコリン''がやってきた。~ チョコリンに選ばれた主人公は町長から''カーニバル委員''に任命される。~ その後の10日間、主人公はチョコリンと共に、カーニバル開催を目指して準備を進めていくこととなる……。 ---- **概要 企画原案及びシナリオを、漫画家・さくらももこの実姉である三浦範子が手掛けるアドベンチャーゲーム。~ GBA発売以前に彼女が任天堂に提案していた、GBC用ソフトの企画を元に制作された。~ タイトルの通り、キャラクターデザイン及びパッケージイラスト等はさくらももこが担当している。 低年齢の女子を対象としたゲームらしく、デザイン、グラフィックからシナリオ、BGMに至るまで徹底的に可愛らしく表現されている。~ しかしその中に、さくらももこならではの毒気のあるキャラクターや、随所にシビア且つやや不気味な設定も見受けられる。 カーニバル委員となってカーニバル開催の準備を進めるアドベンチャーゲームのほか、本編中で大きな役割を持つ「ホームページ」を独自に編集し、通信ケーブルを用いてプレイヤー同士で見せ合うことのできる「ホームページごっこ」というモードが存在する。~ 固有ジャンル名である「インターネットごっこ」は、本編とホームページごっこを併せた上での名称である。 ---- **システム ''本編'' -主人公は男女の選択が可能。 -舞台であるカラータウンは以下の表のような構成となっており、隣同士の町及び、イエローパークとそこに隣接する町は橋で繋がっている。 --物語は主人公の住むクロまちから始まり、最初は他の町と行き来できないが、進行状況に応じて時計回りに開放されていく。 |ムラサキまち|クロまち|モモまち| |シロまち|イエローパーク|アオまち| |ダイダイまち|アカまち|ミドリまち| -ゲーム開始後のイベントで、カーニバルの名称と開催日時を設定することとなり、その月日に関係なくカーニバルは必ず10日後に開催される。 -セーブは一日の終わりまたはスタートボタンから、チョコリンと話すことで行う。 -集客 --期間中、町の人々にチラシを配り、カーニバル参加人数を増やしていく。 --招待に成功した場合、そのキャラクターの顔グラフィックの隅にバッジのようなマーク(カーニバルマーク)が表示されるようになる。 --チラシを渡すだけで参加する者、ミニゲームや依頼をこなさなければならない者などパターンは様々。 --チラシ配布のほか、町に住んでいないモンピー(後述参照)は、それぞれの持つホームページでミニゲームをクリアしたりアンケートに答えたりすることで招待できる。 -開催までの流れ --8つの町それぞれに''守護神''を祀る「ほこら」と、最初は閉ざされているほこらの扉を開くための石碑が存在する。 --「おそなえもの」は装飾品や食品など様々で、決まった材料を各ショップに持ち込むことで入手できる(種類はほこらごとに違う)。 ---例:ベーカリーにメロンを持ち込んでできたメロンパンなど。 --おそなえものを所持した状態で石碑に向かうと、ほこらの扉を開く試練(クイズ)を受けることができる。 --ほこらでおそなえものを捧げると守護神が目覚め、その力で町に装飾が施され、一日が経過する。 ---一周目では、一日に手に入るおそなえものは一種類のみで、町が装飾される順番は固定。 --それぞれの守護神からひとつずつ、カーニバルの電力源である「ひかりのほし」というアイテムを渡される。 --最後に訪れるムラサキまちの発電塔にすべてのひかりのほしを嵌め込むことで、カーニバルが開催される。 -用語 -''モンピー'' --人語を話す奇妙な生物、''モンスターピープル''の略。カーニバルに招待することのできる人々のうち半数ほどはこのモンピーである。 --食品、動物、無機物、架空の生物など形状は様々。 --当時カーニバル委員であった人間が、UFOに遭遇した際にサイボーグ型モンピーに変化したなど、元は別の生物というケースも存在する。 --人語のほか、「モンピー語」と呼ばれる独自の言葉を会話の中に織り交ぜている場合もある。 ---例:イケてる=イーヤン、キュート=キラリン、こんじょうなし=ヘロリンなど。 --作中では町中で生活していたり、モンピークッキーやモンピーカードなる商品の存在、それに夢中になる者など、広く認知され好まれているのが窺える。 -''ミニパ'' --主人公の父が勤める会社で作られた小さなパソコン。このゲームの主軸ともいえる役割を持つ。 --タウンマップやヘルプも、このミニパから確認することができる。 --カーニバルに出る屋台のミニゲームで、壁紙やカーソルのカスタマイズパーツを入手できる。 --ホームページ ---モンピー、ショップ店員、守護神などが持っているホームページの閲覧が可能。 ---町に住んでいないモンピーはホームページから招待する場合が最も多い。 ---守護神は「ほこら」のホームページを持ち、各町付近に所属するモンピーたちの名簿(ホームページへのリンク)が設けられている。 ---カーニバルに参加するモンピーは名簿から確認できる(名前の横にカーニバルマークが付く)。 ---主人公自身のホームページもあり、一日の終わりに登録する「カーニバル準備記録」の閲覧が可能。 --検索 ---ゲーム内で登場した単語を頭文字から探してそれに関するページを表示でき、普通にゲームを進める場合は最大級のヒントとなる。 ---本題とは無関係なページであっても、文章中にその単語が含まれていれば検索結果として表示される。 ---プレイ中重要となる語句が出ると「気になるコトバ」として登録され、検索が可能になる。 ---気になるコトバに登録された時点でフラグが成立し、あえて検索機能を使わなくても先に進むことはできる。 ---人物名も検索が可能で、検索結果には各キャラクターのプロフィールページが表示される。 ---モンピーの名前では検索できず、文章に単語が含まれていない限り検索画面からモンピーのホームページへ飛ぶことはできない。 --チャット ---モンピーが参加するチャットルームで、一部のモンピーはここから招待できる。 ---相手の話に対する返答を二択から選んで答えていく。 ---一度チャットをするとチャットルームからは誰もいなくなるが、マップを移動するとまた入室する。 --メール・掲示板 ---町の人やモンピーから連絡が来る。 ---手伝いや探し物の依頼、家に宅配便が届いた、などの場面で使われる。 ---閲覧することでフラグが発生する場合がある。 ---いずれも主人公から送信や書き込みを行うことはできない。 #region(二周目以降の要素) -一周目の参加者は全員引き継がれる。 -ゲーム開始直後からすべての町を行き来できる。 --※一周目は何らかの理由(ミミズの大量発生など)でストーリーが進行するまで橋に交通規制がかかっている。 -おそなえものの材料は必要なく、店員たちから直接受け取れる。 -石碑の前での試練が省略される。 -アイテムを集めることで、対照となっている町同士(クロまち←→アカまちなど)のワープゾーンを利用できるようになる。 -工事中となっていたモンピーのホームページが開放される。 -新しいモンピーがチャットに参加するようになる。 -新しいアイテムが出現する。 --※一種類で複数存在するアイテムの場合、すべてを回収できるようになる。 -カーニバルで紙ふぶきを降らせるキャラクターの招待が可能になる。 -町に夜をもたらすキャラクターの招待が可能になる。 -主人公のホームページにサウンドテストが追加される。 #endregion ''ホームページごっこ'' -ゲームのスタート画面から選択が可能。 -本編中に登場するホームページのような画面を独自に編集することができる。 -ホームページをつくろう! --「ひょうし」…ホームページのタイトル、背景デザイン、背景アニメーションの設定 --「じこしょうかい」……自己紹介ページのタイトル、背景、アイコンの設定、ニックネーム、一言コメントの設定 --「にっき」……日記ページのタイトル、背景、アイコンの設定及び日記の新規作成、編集、削除 --「じゆうちょう」……自由帳ページのタイトル、背景、アイコンの設定及び自由帳の新規作成、削除 --「なかよしリスト」……なかよしリストページのタイトル、背景、アイコンの設定 ---日記と自由帳の記事は6種類まで保存できる。 -ホームページをみよう! --自分のホームページの確認 --友達のホームページの閲覧 --サンプルページの閲覧 ---このページは三浦範子・さくらももこ姉妹が制作したもので、制作秘話や他スタッフのプロフィール等を見ることができる。 -ホームページをこうかん! --通信ケーブルを用いて、作成したホームページを交換することができる。 --交換したページは「ホームページをみよう!」に保存されいつでも閲覧が可能。 --一度に保存できるホームページはひとつのみだが、プロフィールは「なかよしリスト」に6人まで登録できる。 ---- **評価点 ''本編'' -ドットによる繊細なグラフィック --ドット絵の味が最大限に生かされたカラフルなグラフィックは、本作品一の見所と言っても過言ではない。 --キャラクターはフィールドグラフィック、顔グラフィックともに全員が細部まで丁寧に描写されている。 --カーニバルではモンピーたちのダンスが見られ、それぞれに違ったパターンのモーションがあるため見ていて飽きない。モーション自体も非常に可愛らしい。 --キャラクターのみならず、町やその他のマップも一切の手抜きが感じられず、見目麗しく描かれている。 --特に装飾された町では可愛らしいオーナメントがふんだんに配置され、その多くが動く、光るなどのアニメーションを有しており、カーニバルの楽しさが伝わってくる。 --また、デリカやベーカリー、おもちゃ屋などのショップでは陳列された商品まで細かく描かれている。 --更には「おそなえもの」を祭壇に置く際に表示されるアイテムグラフィックは、ほんの一瞬であるにもかかわらず非常に丁寧に作られている。 -独特なキャラクターと世界観 --このゲームは小学生女子をメインターゲットとしているため、ゲーム全体が徹底して可愛らしく作られている。 --人物やモンピーは外見的にも内面的にもゆるく、且つ個性的に描かれており、完成度は非常に高い。 --一般的にあまり好ましくない性格として設定されているキャラクターも見受けられ、それによって加味されたエスプリと愛くるしさが調和し、飽きの来ない雰囲気を作り上げている。 --また、幽霊の存在、カラータウンに夜が来なくなった経緯などがプレイヤーに適度な不安と緊張を与え、これもゲームの面白さをより一層引き立てている。 -大人でも楽しめるシステム --このゲームは小学生女子をメインターゲットとしているが、その徹底された愛くるしさと、豊富なテキストや適度な難易度などから、大人(特に女性)でも十二分に楽しめる内容となっている。 --特に作中のアイテム「ミニパ」は、主にストーリー攻略の糸口を掴むための役割を持つが、ストーリーとは全く関係のない内容(雑学等)のページや書き込みが多数存在しており、それを読んでいるだけでも楽しめる。 --カーニバルに招待できるキャラクターは100人を超え、コンプリートを目指せば結構な手応えを得ることができる。 --特に、多くの場合は終盤で挑戦することになる謎はなかなかに複雑なルートが組まれている。 -良質且つ豊富なBGM --世界観にマッチした軽快で明瞭なBGMも、このゲームの特徴のひとつ。 --町、ショップ、マンホールや井戸の中、ミニパで表示する各ページなど、画面変わればBGMも変わると言って差し支えない。 --町には装飾前と装飾後のBGMが用意されており、前者は町のイメージを押し出したもの、後者は一貫して賑やかで楽しげなものという形になっている。 --コンプリートまでに聞くことになるBGMは54曲(うち一種類は川のせせらぎ)と、小ぢんまりとしたマップからは想像もつかないボリュームを誇りいずれもクオリティは非常に高い。 --ちなみに54曲のほか、お蔵入りとなった5曲がサウンドテストに収録されている。 --またサウンドテストには収録されていないが、町に装飾が施される時と、招待に成功した時に流れるファンファーレもクオリティが高い。 ''ホームページごっこ'' -自由度の高いデザイン設定 --作成するホームページは、コンテンツごとに背景、アイコン、タイトルの設定が可能。 --背景は28種類の模様と7種類のカラー、そしてアニメーションの有無が設定でき、そのパターンは378通り(模様のうち二種類はアニメーション挿入不可)。 --アイコンも自己紹介15種類、日記10種類、自由帳20種類、なかよしリスト5種類と豊富で、ページの雰囲気に合わせた選択ができる。 -サンプルページが豪華 --三浦姉妹によるサンプルページは、すべてのページに字数制限いっぱいに制作日誌等が書かれている。 --さくらももこの担当する自由帳ページは、短いながらエッセイストとしての彼女らしい文章で埋まっているため、ファンにとって嬉しい特典となっている。 --また、三浦範子の担当する制作日誌には日付もあり、どのような過程を経たかがある程度分かる。 ---- **難点 ''本編'' -マップが少ない --他のGBAソフトと比べるとマップ数的にはやはり見劣りする。 --その物足りなさに拍車をかけるのが、モンピーのプロフィールに掲載されている「すんでいるところ」の項目。 --そこには「クロのやま」や「ムラサキのいせき」などの地名が書かれており、詳しい解説も存在するが、ゲーム中でその場所に行くことはできない。 --図らずも''「ここにも行けるのだろう」というプレイヤーの期待を裏切る''形となってしまっている。 --ただひとつ、「アオのかわ」は実際に行くことになるのだが、それも川のほとり一角のみである。 -キャラクターの台詞が少ない --キャラクターはイベントを終えれば同じ台詞しか言わなくなる。 --折角それぞれのキャラクターが個性豊かに描かれているので、もっと様々なパターンが欲しい。 -メール、掲示板で送信と書き込みができない --どちらも自身で情報を発信できないのは物足りない。 --基本的に町の人々とのコミュニケーションが少ないので、ここでその機会が設けられていても良かったのではないだろうか。 -コンプリートのしらみ潰し感 --このゲームは一周目では多くの制約があるが、二周目でそのすべてが解禁され、全キャラクターの招待が可能になる。 --しかし、二周目において見落としなどによりコンプリートを逃し、次で何か変わると判断して再三周回、というどつぼに嵌る可能性がある。 --二周目以降は、当然一切のフラグに変化がなく、見落としは自力で探して埋めていかなければならない。 --スタートボタンでチョコリンから聞くことのできるヒントも、一度クリアすれば把握できることのみでコンプリートに役立つ情報はない。 --ここでヒントが出てしまっても歯応えがなくなるが、しらみ潰しに糸口を探すのも若干苦痛となるため、それもまた難しい点である。 --また、モンピーたちのホームページを巡ってミニゲームやアンケートをこなしていく作業も、ミニパの画面を見続けることになるため動きに欠ける。 --もっとも、ジャンル名「インターネットごっこ」の通りミニパを駆使した作業はこのゲーム最大の特徴であり、ミニゲームも多種多様なため然程大きな問題ではない。 -招待できないモンピーの存在 --他のモンピーのホームページからリンクから、本編中に登場しないモンピーのホームページに飛べる。 --そのモンピーはほこらの名簿に載っておらず、ミニゲームやアンケートも設置していない。 --姿形はそのモンピーへのリンクを貼っているモンピーとまったく同じだが、折角プロフィールまで確認できるので招待できないのはもどかしい。 -アイテム回収が単調 --多くのキャラクターは様々なルートでアイテムを入手し渡すことで招待できる。 --その中の「ハート」というアイテムはひとりにつき10個必要で、その入手方法は大抵が''大理石に躓いて転ぶこと''(各町に設置された大理石の上をスキップで通ると躓いて転び、偶然アイテムを掴んでいることがある)。 --アイテムを掴めるかは完全にランダムで、一度マップから出て入り直すと成功することもある。 --数が多いゆえ致し方ない問題ではあるが、あまりにも単調な上主人公を何度も転ばせるのは心が痛む。 --ハートのほか、「ラッキーけん」「ABCシール」などのアイテムも、この入手方法が取り入れられている。 -準備記録のシステム --準備記録は、一日の終わりにその日の出来事を記録し、自身のホームページから詳しい日誌を確認できるというもの。 --この時記録できるのは、数ある出来事から選ばれた''三択のうちひとつのみ''。 --一日にたくさんのイベントをこなした場合、記録したい内容が除外されてしまう可能性が高い。 --周回時も前回のプレイでつけた準備記録(過去の記録)が残るが、''一周目しか選べない選択肢が多々ある''ため、テキストをすべて読もうとすれば初めからプレイせざるを得ず、またそれを並行して準備記録及び過去の記録に残すこともできない。 --準備記録はコレクター心をくすぐる要素だが、すべてをひとつのデータに残せないのは何とも惜しい。 -一部の運ゲー要素 --モンピーのホームページから挑戦するミニゲームには、一日(町が装飾されるまで)何度でもできるものと、一日一回しかできないものが存在し、いずれにせよ大抵の場合が子供でも突破可能な低難度に設定されているが、その一部に''一日一回しか挑戦できない+難易度の概念がない運ゲー''が存在する。 --言ってしまえばこの問題はリセットで解決できるのだが、メインである低年齢プレイヤーは恐らく多くがその方法を使わず、10日分すべて失敗して周回プレイを余儀なくされ、泣きを見ることになり兼ねない。 --裏返しのトランプの数字が表向きのトランプの数字より大きいか小さいかを連続で当てる「ハイ&ローゲーム」がその代表。 --このミニゲームで要求される連続正解数は''5回(32分の1)''であるため、十日間の間に突破できない可能性が高い。 --他の運ゲーに丁半ゲームがあるが、こちらは2回で突破できるため、''罠となるのはハイ&ローゲームだけ、とも言える''。 -腑に落ちないチャット --相手の言葉に対して二択から答えを選んでいくチャットは、''「本当にこっちでいいのか?」、「どっちも駄目だろう」な選択肢が多々ある''。 --相手の気に入る返答が多ければ招待に成功するのだが、これでは失敗しても''どこがいけなかったのか分からない''(何が良かったのかも分からない)。 --また、妙に''主人公の態度が悪い''のが理不尽さに拍車をかけている。 --うまく招待できた場合も、もやもやした気分になること必至。 -検索機能のロードがやや長い --ミニパでのページ移動時、「ページをひらいています…」という文言と進行状況バーが一瞬表示される。 --基本的にそれが表示されるのはコンマ4秒程度だが、検索した単語から検索結果に移動する時のみ2秒ほどかかる。 --検索で表示するページと他ページに差異はないため、飾りとして設けられた進行状況バーを目立たせるのが目的と思われる。 --その時々にカギとなる数個を検索するだけなら気にならないが、テキストを読む目的など一度に多くの単語を調べる場合にはもどかしく感じられる。 --ロード時間とは無縁のゲームであるため、その僅かな違いも気になるレベルになってしまう。 --もっとも、普通にプレイする分には大した問題にはならない。 ''ホームページごっこ'' -全体的なボリューム不足 --デザインのパターンが豊富な一方で、お世辞にも充実したページが作れるとは言えない。 --日記、自由帳の1ページに入力できる文字数が48文字と控えめな上、保存し表示できるのは6ページまで。 --せめて10ページほどあれば納得の内容にできただろう。 --それゆえ、サンプルページも内容は良質だがどうしても物足りなさが残る。 --また、交換して保存できるホームページもひとつのみである。 -レイアウトが固定 --背景やアイコンは自由度が高いが、レイアウトは基本として組まれた一種類のみである。 --コンテンツアイコンの配置変えや文字色の変更などがないのは惜しいところ。 -BGMが固定 --ホームページで流れるBGMは、本編でも使われているホームページ用BGMで固定。 --それは少々暗い曲で、明るく賑やかなデザインにはあまり合わないため、オリジナリティーを持たせる意味でもBGMの選択は欲しかった。 --良質なBGMが多数収録されているため勿体ない、というより、サウンドテストにある未使用曲を使用するという手もあったのではないだろうか。 ---- **総評 若干のボリューム不足はあれど、低年齢層及び女性に向けた作品としては完成された丁寧な作りで、非常にクオリティが高い。~ 目立ったバグもなく他のGBA作品と比べても高水準で、何よりさくらももこが全面的なデザインを担当するというセールスポイントがあったにもかかわらず今一つ日の目を見なかった、「隠れた名作」のお手本のような作品。

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