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電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」(2024/01/05 (金) 20:36:00) の最新版変更点

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本記事では『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のアーケード版と、その移植作である家庭用版を解説する。 ---- #contents(fromhere) ---- *電撃文庫 FIGHTING CLIMAX 【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす】 |ジャンル|2D対戦格闘|&image(https://i.ytimg.com/vi/AOM_YVZICYs/mqdefault.jpg)| |対応機種|アーケード|~| |発売元|セガ|~| |開発元|エコールソフトウェア&br()フランスパン|~| |稼働開始日|2014年3月18日|~| |判定|なし|~| |ポイント|電撃文庫創刊20周年記念作品&br()初心者に優しい対戦格闘ゲーム&br()20周年なのに集大成でなく旬の作品贔屓&br()キャラ選出に疑問の声も&br()電撃文庫と噛み合わないセガ要素|~| |>|>|CENTER:''[[電撃文庫シリーズ]]''&br''[[セガ クロスオーバー関連作品シリーズ]]''| **概要 電撃文庫創刊20周年記念作品としてセガと共同で企画された電撃文庫作品の対戦格闘ゲーム。~ プレイアブルとなるキャラクターとサポートキャラを選び対戦していくという、わりとオーソドックスなシステムで、昨今では珍しい2Dドットで描かれたゲーム((なお、本作はセガからリリースした2D格闘ゲームとしては1994年リリースの『ゴールデンアックス・ザ・デュエル』以来の実に20年ぶりの作品となる。))。~ 15周年記念作品『[[電撃学園RPG CROSS of VENUS]]』は比較的幅広い作品からメインキャラが用いられていたが、本作は稼働当時の話題作や人気作品を中心にプレイアブルキャラが選ばれている。~ サポートキャラの作品採用幅は意外と幅広いが、基本的にはプレイアブル作品のサブキャラの採用が多め。 **ゲームシステム -制作元からわかるように、ゲームの雰囲気としては一言で言えば『[[MELTY BLOOD>MELTY BLOOD Act Cadenza]]』シリーズや『[[UNDER NIGHT IN-BIRTH]]』に近いシステムになっている。 --操作ボタンは4つ、弱・中・強と本作特有のサポートキャラを呼び出すボタンを使用する。 --技の出し方などは基本的な格闘ゲームと同じコマンド入力。サポートはレバーのニュートラルor横入力の二種類で出し分ける。 ---格ゲー初心者に配慮し、『[[P4U>ペルソナ4 ジ・アルティメット・イン・マヨナカアリーナ]]』と同じく昇龍拳コマンドは使われていない。 --クライマックスゲージと呼ばれる、いわゆる技ゲージを消費する必殺技もある。最大5ゲージ分まで溜まる。 -クイックコンビネーションシステム --Aボタン(弱攻撃)を連打していくだけで基本コンボが自動で出せる。((ほとんどのキャラが弱>中>強>立ちインパクト>EX必殺技。EXの後に手動で「クライマックスアーツ」を出す事ができれば十分に対戦ができる。)) --格闘ゲームが苦手なプレイヤーがぶち当たりやすい「コンボ」の概念を極めて簡略化したシステム。 --また、本作はA連を搭載しているゲームでは珍しくしゃがみ・空中でもコンボが出る。 --もちろん、弱>中>強>…とボタンを順番に押していくことでも技が繋がる。 -インパクト --コマンド不要・ボタン同時押しのみで出せる、相手の攻撃を防ぎながら攻撃する必殺技。さらにヒット時にゲージがあればキャンセルでコンボに移行できる。 --レバーをニュートラル、前、下に入れながら出すと、各キャラごとに性能が異なる「インパクトスキル」となる。レバーニュートラルor前版は突進攻撃、レバー下版は対空攻撃として機能するものが多い。 --レバーを後ろに入れながら出すと、中段技の「インパクトブレイク」となる。ボタンを追加入力すると相手を打ち上げ、自分も同時にジャンプして空中コンボが可能。 --どれも強い攻撃だが、当て損ねたりガードされた場合には大きく隙を晒してしまう。 -サポート --サポートキャラに戦闘をアシストしてもらい、飛び道具などでの立ち回りの強化やコンボ中に攻撃を差し込んでコンボを伸ばすことができる。 --自分が行動出来る状態でサポートボタンを入力すると、サポートゲージを消費して呼び出すことができる。 --サポートキャラは一キャラにつきそれぞれ2つの技を持っており、ボタン入力時にレバーをニュートラル、もしくは横方向に入れることで使い分ける。 ---技には3つのカテゴリ((通常攻撃効果の「ATTACK」、打ち上げや多段技でコンボに繋ぎやすい「SP ATTACK」、当て身・回復効果の「DEFENSE」。))が設定されており、サポート選択画面で大雑把にだが効果を確認することができる。 --通常状態ではサポートを呼び出した際に操作キャラがポーズを取るため隙ができてしまう。また、空中での呼び出しはできない。 --コンボ中に呼び出した場合は緑の光輪を伴った隙のない「キャンセルサポート」となりコンボを伸ばすことができるが、サポートゲージに加えクライマックスゲージを一つ消費してしまう。 ---だが、後述の切り札ゲージがある状態ではキャンセルサポートのクライマックスゲージ消費がなくなり、しかも通常状態での呼び出しもキャンセル扱いに、空中での呼び出しも可能になるため、サポートを絡めた固め・めくり・ラッシュが容易になる。 -切り札 --パワーゲージ上にある「電撃マーク」の回数だけ使える強力な特殊必殺技。 ---電撃マークの初期所持数と所持上限は2、ラウンドを取られるごとに1個補充。 --マークが青いキャラは自己強化、赤いキャラは攻撃技となっている。攻撃技の切り札については全キャラ非常に威力が高い(生当てで体力の3割持っていくほど)上に、非常に早い中段攻撃となっているのが特徴。 --また、切り札を使った直後は電撃マークがゲージに変化し、キャラの性能が一時的にアップする。 -クライマックスアーツ --クライマックスゲージを2つ消費して放つ大技。全キャラに「コンボ用」と「乱舞技」の二種類づつ設定されている。 --美琴ならレールガン、キリトや黒雪姫ならスターバースト・ストリームと原作ファンにはおなじみのものが揃っている。 --コマンドはレバー半回転のいわゆる「ヨガコマンド」で統一。 --「コンボ用」は威力重視でコンボに組み込まないと当てづらく、「乱舞技」は威力は低いが無敵があるため必殺技に相殺を取られたときなどの返し技用。後者は発動した瞬間にブラストゲージを20%回収する効果があるので、ダメージを取るかゲージを取るかの兼ね合いになる。 -ポテンシャル --戦闘中に条件を満たすと発動する追加効果。体力が三割未満になると攻撃力が上がる共通のポテンシャルに加え、別枠で一定時間攻撃力アップやゲージが1本増えるなどの恩恵が受けられる。 --条件はキャラごとに異なり、「体力値が一定以下」、シャナとキリトは「攻撃を一定回数当てる」、黒雪姫は「一定回数ガードする」など、キャラに合わせた条件になっている。 -リフレクションガード --ガード中に攻撃ボタン2つを同時押しすると相手を押し返すことができる。カプコンゲーで言えばいわゆる「アドバンシングガード」。 --本作の場合、体力値が相手を上回っている時はクライマックスゲージを0.5本分消費、下回っているときのみゲージ消費なしで使用できるという劣勢側に有利な仕様になっている。 --ゲージが尽きていても出すことができる、そのため、本作を固めの持続が難しい、つまり「防御側が強い」ゲームとなっている。 ---ただし唯一、雪菜だけがポテンシャル効果によって相手のリフレクションガードを無効化できる。 ---かなり強いシステムだが、操作が「ボタン2つ同時押し」であるため、攻撃側が攻撃を遅らせたり攻撃しなかった場合、他の技が暴発しやすくなっているので、唯一押しただけでは何も出ないB+Cで跳ね返すのがベターとなっている。 -ブラスト --ブラストゲージが100%の時に攻撃ボタン3つ同時押しで発動する、いわゆる「バースト」系のシステム。 --3種類存在し、通常時はゲージ・攻撃力が増加する紫色の「パワーアップブラスト」、コンボ中は相手を空中に打ち上げて追撃可能な水色の「コンボブラスト」、ガード・ダメージ中は相手を吹き飛ばし追撃を回避する緑色の「エスケープブラスト」となる。 --本作ではこのうちパワーアップブラストが非常に強めに調整されているのが特徴。これは攻撃力上昇の他に、ゲージが1本増加(相手にヒットさせれば2本増加)効果中は体力とゲージが自動回復。加えて、再使用までのクールタイムが短い。 --コンボブラストはパワブラからヒット時のゲージ追加と攻撃力アップ効果を抜いたものとなっており、隙の多い技のフォローや「殺しきり」などに使われることが多い。 ---一方、エスケープブラストは当ててもゲージどころか何のボーナスも得られない上にブラストゲージの溜まる速度が遅くなるなど、最低でも1ゲージは手に入る他の2種類とくらべて使いづらくなっている((ゲージが重要な本作では、特に対戦序盤でエスブラを暴発すると大きなハンデとなってしまう。))。 **参戦キャラクター #region(参戦キャラクター一覧) プレイアブルキャラは''太字''で表記。 |初期から参戦|灼眼のシャナ|''シャナ''、ヴィルヘルミナ・カルメル| |~|とある魔術の禁書目録|''御坂美琴''、上条当麻| |~|ソードアート・オンライン|''キリト''、''アスナ''、リーファ| |~|アクセル・ワールド|''黒雪姫''、ハルユキ| |~|俺の妹がこんなに可愛いわけがない|''高坂桐乃''、黒猫| |~|デュラララ!!|''平和島静雄''、セルティ・ストゥルルソン| |~|ロウきゅーぶ!|''湊智花''、イノセント・チャーム((袴田ひなたの二つ名で、彼女の幻という設定。本人は智花の技演出に登場する。))| |~|ブギーポップは笑わない|ブギーポップ| |~|キノの旅|キノ| |~|狼と香辛料|ホロ| |~|電波女と青春男|藤和エリオ| |~|はたらく魔王さま!|真奥貞夫| |~|ゴールデンタイム|加賀香子| |~|さくら荘のペットな彼女|椎名ましろ| |ver1.10から追加|魔法科高校の劣等生|''司波深雪''、司波達也| |~|とらドラ!|''逢坂大河''、高須竜児| |Ver1.20から追加|ストライク・ザ・ブラッド|''姫柊雪菜''、暁古城| |~|ブラック・ブレット|''里見蓮太郎''、藍原延珠| |Ver1.30から追加|とある魔術の禁書目録|一方通行| |~|デュラララ!!|折原臨也| |~|撲殺天使ドクロちゃん|ドクロちゃん| |ボス|[[バーチャファイター]](Ver1.30からプレイアブル化)|''結城晶''、パイ・チェン| |~|[[戦場のヴァルキュリア]](Ver1.30で追加。隠しボス)|''セルベリア・ブレス''、アリシア・メルキオット| #endregion **評価点 -電撃オールスターというコンセプトで以前から求められていた格闘ゲームというジャンルを実現させたこと。 --ニーズをよく理解し、安易に3Dにせず2Dドットを選んだことは今の時代では結構思い切った決断といえるだろう。 -初心者にも優しいゲームシステム。 --格闘ゲームというのはプレイヤー同士の「駆け引き」を楽しむものだが、ほとんどの格ゲーは初心者がその駆け引きについていけるようになるまでが大変なことが多い。だが本作は「キャラ毎にできることの違いが少なめ」「共通システムさえ把握していればなんとかなる」((もちろんキャラ特性の把握は重要であり「何も知らなくてもよい」というところまではいっていない))という作りをしているため、対戦として成立する戦いができるようになるまでのハードルが他の格ゲーと比べてかなり低い。 --ほぼすべてのキャラが「○○ができるリュウ」というコンセプトで作られており、好きなキャラでゲームを始めやすく、他作品でありがちな「惚れたキャラが上級者向けキャラだった」ということが少ない。 --難しいコンボは少なく、「仕込み」などもあるが細かいコマンドテクニックを要求されることはほぼない。((ただしコンボが簡単な代わりに入力受付がシビアめに作られている。ちょっとタイミングを逃しただけで通常攻撃がつながらないことも。)) ---しかも「HPをリードしている側の攻撃が少し弱くなる」「HPが3割を切ると一定時間攻撃力10%アップ((「自分だけが1本取られると負けになるラウンド」なら20%アップ。))」、「HP劣性側はリフレクションガードがゲージ無消費」など、劣勢側に優しいシステムが搭載されている。 --この点には否定意見もあるが、参戦作品のファン(女性も含む)のことを考えれば最適であったと言えるかもしれない((実際、アーケード版稼動直後には格ゲー慣れしていない中高生の一団を見ることができた。))。 --プレイ方法の解説動画も公式サイトにて公開されており、しかもそれ用に先生と生徒という配役で声優の佐々木篤氏と明坂聡美氏を迎えて解説を丁寧におこなっている。 -細かい原作再現。 --黒雪姫のレッド・ブルー・グリーンの三色選択式オーバードライブの再現を始め、非常に細かい原作再現がおこなわれている。 --アスナのCA技「マザーズ・ロザリオ」等、開発当時はまだアニメに登場していなかった技もしっかりと再現。 --ネタ方面の再現も忠実。ファンをニヤリとさせるネタが随所に盛り込まれている。 ---美琴の切り札「ちぇいさー!((自動販売機を蹴り壊し、その際の放電でダメージを与える。))」、アスナの切り札「鉄拳正妻((誤字ではない。))」などがネタ筆頭だが、大河の必殺技「雪ソリ特攻」なども原作への愛と細かい読み込みを感じさせる。 ---ただし、智花のEX必殺技「ワンハンドジャンプシュート((相手をボールにしてゴールに投げる。比喩ではなく本当にボールになる。))」など、原作ではネタでもなんでもないのにネタ技にされたものや、前作の電撃FCでは静雄が「乱舞技が無敵ではなくアーマーで((静雄の「やられても我慢して突進する」所を表現している…のだがHPが尽きると普通にKOされてしまうので他のキャラと比べると頼りない))」という行き過ぎた原作再現などについては賛否両論である。 -良質なバトル前の掛け合い。 --「智花やシャナに悶えるオタクの桐乃」「シャナの刀・贄殿遮那を欲しがる刀好きのキリト」「声優が同じために他人とは思えないシャナと大河((ちなみにこの二人はカラーチェンジで互いの衣装に変えることが可能。))」など、戦闘前の掛け合いが充実している。 ---後に発売された家庭用移植版ではキャラ同士の掛け合いが楽しめる「ドリームデュエル」モードが搭載された。 -2Dドット絵は比較的良く出来ている方。 --キャラ絵は全般的に綺麗に描かれており、原作のイメージを著しく崩すなどといったことはほとんどない。 ---高坂桐乃のコスチュームチェンジなど手間のかかった描写も見られる。 ---後に発売された家庭用移植版では一部のキャラにモーションやエフェクトが追加されている。 --ただし、同社の『UNI』『メルブラ』と比べるとコマ数が少なく、動きが固く感じられる。 ---その代わり、各キャラの必殺技等のエフェクトやステージ背景のグラフィックは『UNI』に比べ煌びやかで、バラエティに富んでいる。 -声優はTVアニメ版を基準としたオリジナルキャスト(プレイアブルキャラに限る) --サポートに関しては一部変更されたキャラもいるが、少なくともプレイアブルに関して言えば馴染みのない人選ではない。 -サポートシステムの存在により、目立ったゲームバランスの崩れがない。 --そのため、コンボ構築などもある程度幅が広く、やはり定石はあるがそれを崩す戦法も考えられる。 --プレイアブルとサポートの組み合わせの相性はキャラにより当然異なるため、弱点を補ったり、長所を補強したりすることが可能。 ---ゲームバランスの良し悪しから離れた話ではあるが、同作品のキャラクター同士がプレイアブル・サポートと組むと特殊なセリフ(掛け合い)が発生する場合がある。 --プレイアブルキャラのみでいえばいわゆる「強キャラ」と呼ばれているのがスタンダードさと機動力とリーチを兼ね揃えるシャナと、対空性能と空中戦が非常に強い桐乃などだが、今のところは際立った壊れキャラなどはいない。キャラの強弱より使い込みとやりこみがモノを言うバランスにはなっている。 --対して「弱キャラ」と呼ばれているのが平和島静雄。技が大振り、かつ攻撃を出す方向が上方向に集中しており、下段が薄い。原作では超怪力なのだが、本作では単発火力がそれほど高くなく、システム上まとまった火力を出しにくい。 ---スタッフによれば、「魔法科」の司波達也など原作のままではあまりにも強すぎるキャラはゲームに落とし込むのが難しかったとのこと。 **賛否両論点 -一部のキャラの仕様についての賛否 --クロスオーバー系のキャラゲーでは必ずと言っていいほど存在する問題だが、ゲーム上の仕様などに合わせるため、様々な改変が加えられている。 ---本来作中では着装系に近いはずの黒雪姫(ブラック・ロータス)のデュエルアバターが、ジョジョのスタンドのような扱い。 ---強引にプレイアブル化された『ロウきゅーぶ!』組は、原作度外視で無茶苦茶な要素((先のように相手をボールにしたり。))が組み込まれ過ぎて別物になっている。 ---桐乃は『ポケットファイター』のように次々とコスプレしながら戦う。上記2名と比べると原作のノリとの差が薄いため、批判は少ない。 --ゲームに合わせるためには仕方ないとする一方、これらの表現は映像作品等を知らないと誤解を生むような演出であり、特にクロスオーバーということを考えるとベストな選択と言えないだろう。 // このキャラの仕様の記述、本当に必要だと思いますか? // 流石に長すぎ 幾らかは残してもいいだろうが、ここまで細かくはいらないかと // キャラゲーの要素もあるのに仕様がちぐはぐで原作再現から離れているのはキャラゲーと側面から見て問題点にほかならない。 // そもそも独断でCOして無責任に放置というやり方はそれこそ問題があると思う。 -メインシナリオから見た場合のバトル前の掛け合い。 --対人戦視点での場合、評価点に書かれているように戦闘前の掛け合いが充実している点は良質である。その一方で、メインシナリオはあってないような状態。どのキャラも「異世界に飛ばされ、怪しい奴と出会ったのでとりあえず戦う」という定型化されたもの。~ また黒幕である絶無は「電撃キャラに化けたもの」であり、ストーリー途中での敵として出てくるキャラの台詞も「絶無が電撃キャラの口を借りてキャラとは関係のない恨みつらみを並べ立てる」というもの。 --にも関わらず、''敵対しているキャラ同士なのに戦闘開始前の掛け合いがそのまま''のため、チグハグで違和感が半端ない。~ 一例でいうと高坂桐乃がメインで初戦が湊智花の場合、智花が桐乃に「貴方、邪魔です」と襲い掛かり、桐乃も超展開に驚く→桐乃「智花ちゃん!妹になって!」智花「はわわ!私、長女ですから!」と妙に馴れ馴れしい接し方→戦闘開始。となるので、原作通りなはずのにキャラ崩壊感が拭えないことに。どうせ黒幕が変身し、敵対する設定であれば、それ相当に敵対時の台詞と掛け合いを用意すべきであっただろう。 --また黒幕の絶無が変身したという設定のため参戦キャラ同士の会話はほぼ存在しないと言ってよい。~ 反面、その黒幕に変身した前提でのキャラ同士の会話そのものによる批判は意外にも上がらず、初戦での開口一番、暴言も甚だしく言ってきたり、ストーリー途中での敵として出てくるキャラが「恨みつらみを並べ立てる」台詞に関しては絶無という黒幕に意外と落とせており、キャラ崩壊には至ってない点は評価出来る。&s(){絶無になりきって演じてくれた声優の方々にも感謝} **問題点 -キャラゲーとして見るとキャラ数が少なすぎる。 --稼働初期のキャラ数は8人。完全新規の2D格闘ゲームの初期人数として考えれば極端に少ないわけではないのだが、電撃文庫という広いファンを持つレーベルのキャラゲーであると考えると少ないと言わざるをえない((「キャラが少ないのは初心者がキャラ対策を覚えやすくするためではないか」という声もある。))。また、キャラ数以外にも参戦作品の偏りに対する不満も生じている。 ---後に3度のアップデートによって14人となった。後述するが、キャラが増えたと言っても2名はセガのキャラクターであるため電撃文庫ファン的には喜べない。 --その代わりと言うべきか、サポートキャラはそこそこの充実具合ではある。しかし、その半分くらいはプレイアブルの芽がありそうで惜しい。 -プレイアブル化選定が曖昧 --「20周年記念作品で歴代の電撃文庫作品が参戦」と言う名目ではあるが、実際には''『旬の人気作品を優先、過去の作品はオマケ』''程度の人選となっている。 ---例えば、明らかに戦闘とは縁のない作品である『俺妹』や『ロウきゅーぶ!』のキャラがプレイアブル。その一方、人気・知名度ともに高い戦闘系作品『キノの旅』や『ブギーポップ』のキャラはアシスト扱い。 ---『電撃学園RPG CROSS of VENUS』では、戦闘向きのキャラをメイン、戦闘向きでないキャラをサポートとしてうまく作用させていたのを見ると、チグハグな感が見られる部分が多々ある。 ---5年前の作品にして、企画元も情勢も違うとはいえ、上記のRPGと比較して削られた作品が非常に多い。同作でメイン作品だった『イリヤの空、UFOの夏』、『乃木坂春香の秘密』、『アスラクライン』は本作ではすでに完結しているので販促効果に乏しいためか、一切参加していない((しかし本作には完結済の作品もいくつか含まれているため、やはり惜しむファンもいる。))((このうち『イリヤの空、UFOの夏』は次回作「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION」でアシストとして参加している。))。 --基本的に『プレイアブル1人・アシスト1人』もしくは『アシスト1人』と言う参戦であるが、『ソードアート・オンライン』のみ『プレイアブル2人・アシスト1人』と優遇されている。 ---なお、同作者の作品『アクセル・ワールド』からもプレイアブル(とアシスト)が参戦しているため、作者一人に対しプレイアブル3人の参戦となり、初期8人のうち1/3程度を占めていた。 ---『ロウきゅーぶ!』については、技演出などで主要キャラ5人全員が登場するのである意味では優遇されているとも言える。 ---また、Ver1.30では既存参戦作品から『禁書』の一方通行と、『デュラララ!!』の折原臨也が、サポートキャラではあるが追加された。 --『関連商品の販促となり、若いユーザーに人気のある旬の作品を優先』と言うのは分かるし、そういう基準で考えれば、決して不自然な選出は存在しない。だが、『20周年記念のオールスター作品』と考えた場合、過去の作品のファンにとっては『昔の作品のキャラをもっと出して欲しかった』と思うのも無理からぬ選出となっている。 --人気中心の構成なのは作品内のキャラ選定からもかなり露骨に出ている部分がある。 ---例えば『禁書』は主人公が上条当麻、メインヒロインがインデックスであるが、メイン参戦はスピンオフ作品『[[とある科学の超電磁砲]]』の主人公でもあるファン人気の高い御坂美琴。サポートとしては主人公の上条当麻はともかく、後に追加されたのは一方通行。ファン人気が高く、見せ場の数としても妥当と言えば妥当なのだが、意図の有無を問わずインデックスに対する公式ディスリスペクトになっていることは否めない((『電撃学園RPG』ではメインヒロインとして作品を代表する活躍をしているだけに、比較すると余計そう見えてしまう部分も。))。 //キャラ選定の話に性能の話題はいらんやろ。 ---『デュラララ!!』も、主人公であるセルティ((あとがきで主人公と明示されてはいるが、『デュラララ!!』は群像劇作品なので「主人公」とはっきり断言できるキャラは実際のところいない。ただしセルティは本作を象徴するキャラで、シナリオ上の基軸でもあり、主人公という言及抜きでもまず間違いなく中心人物と言える。))がサポートとなり、メインシナリオへの絡みがやや薄い平和島静雄がプレイアブル参戦となっている((静雄はファン人気が高い上に、優男系のキャラクターが多いラノベ界では貴重なパワーキャラなので、キャラクター間バランスの都合も参戦に関係しているのだろう。))。セルティはこういった何でも有りなゲーム向きの能力を持っているはずなのだが…。 ---『灼眼のシャナ』は、シャナとは別のもう一人の主人公である坂井悠二に至っては、プレイアブルはおろかサポートですら未登場。悠二は原作終盤にて敵になるため、ネタバレを避けようとした配慮の可能性もあるが、勝利台詞の中にはそのネタバレが含まれるためにちぐはぐ。しかも電撃学園RPGと同じように通常時で参戦する可能性も奪ってしまっている。また、本作は電撃文庫からは敵キャラクターの参戦がないため、一人だけ角を立てるような真似を避けたのだろう((セガからはセルベリアが原作においては敵キャラクターである。))。 -「ゲームシステム以外の所」があまり初心者に優しくない。 --上記の通りシステムは初心者のことをよく考えて作られているのだが、「初心者がそのシステムを覚えるまでの筋道」がうまく作られていない。 --アーケード版ではクレジットを入れてキャラを選択すると会話パートの後すぐに戦闘が始まるのだが、ここまでに操作説明は一切なされない。アケ格ゲーとしては別段おかしくはないのだが、このゲームが「格ゲーを触ったこともないラノベ・アニメファン」に向けて作られている事を考えると疑問が残る。 --一応操作説明は筐体上部のインストラクションカードがあるのだが、「ALL.Net P-ras MULTI」はゲーム選択基板であるため、他のゲームのものが付けられていることも多い。その上このゲームはボタン同時押し操作が多いため、何も知らないままでは初心者はどういう行動ができるのか見つけ出すのも難しいだろう。 --ゲーセンでは、初心者がチェーンコンボや超必殺技どころか「A連打でコンボが出せる」という初心者救済操作すら教えられないままゲーム中盤まで進んでしまい、単発攻撃しか出せずにやられてしまう姿も散見される。このゲームのCPU戦はコンボが出来ないと単調になってしまうため、そのようなプレイヤーから「退屈なつまらないゲーム」と認識されてしまう可能性も否めない。 --ちなみに、APMの先祖とも言える「MVS」のゲーム(KOF等)はインストが小さいためあまり説明が書けず、インストが付けられていないケースも想定しゲームを始めると必ず操作説明画面が始まるようになっていた。このゲームでもせめてA連くらいは説明するべきだったのではないだろうか。 // 「無い」「事」「様」など、不必要な漢字変換が多すぎたので修正。 -電撃文庫と関係のない無理矢理なセガ要素。 --電撃文庫のオールスターゲームなのに、セガのゲームキャラクターが一部出張っていることには疑問の声はある。 ---本作はもともと「電撃文庫20th冬 大感謝プロジェクト」のひとつで、「電撃文庫 vs SEGA」の第四弾として企画されていた。これ以前に、セガハードを擬人化した『セガハードガールズ』とコラボし、『現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと』のタイトルで電撃文庫から小説化されるなどの企画が進行していた。 ---ストーリーでナビゲーターとなる「電神」は姿こそ『セガハード・ガールズ』の「ドリームキャスト」その人だが、あくまで「電神」であり、アニメ・漫画・小説のドリキャスとは違うキャラ付けをされている。 --ラスボスが電撃文庫に関連がない上に世界観も合っていない『[[バーチャファイター]]』のアキラとパイ。少年少女キャラの中に筋骨隆々で浮いてしまっている。 ---電撃文庫のどれかの作品のキャラを敵役にまわさないための配慮とも考えられるが、おそらくは「電撃文庫 vs SEGA」というもとの企画の影響であろう。 ---セガの格ゲーの代表キャラであることと、バーチャファイターと電撃文庫がどちらも20周年というつながりもあり客観的な選考理由は満たされている。 ---ただ、もう少し電撃文庫作品と絵柄や方向性の合うキャラが選ばれてもよかったかもしれず、そういう声を受けてか家庭用では『[[戦場のヴァルキュリア]]』のセルベリアが新たなラスボスとして参戦している。 ---Ver1.30において『[[戦場のヴァルキュリア]]』のセルベリアがプレイアブルに追加され、同時にアキラがプレイアブルに格上げされたが、彼らのストーリーはアーケードモードに用意されていない。 --ステージもセガのゲーム([[ソニック>ソニックシリーズ]]、[[セブンスドラゴン2020]]、[[バーチャロン>電脳戦機バーチャロン]]等)がベースになっているものばかりで、電撃文庫要素がまったくない。 ---電撃文庫を背景にしたステージを用意しなかった件についてスタッフは「セガのゲーム世界で戦うというストーリー/世界観だから」「別作品のキャラクター同士が戦う理由が説明しづらいから」と回答している。 // マイナスの主観に基づいた記述があまりにも多かったのでごっそり削りました。 -勝利時の台詞が原作の丸写しだらけ。 --一部の台詞は、新しく書き起こされていたり、大河の「学校生活をモルグに~」→「格ゲー生活を~」のように改変されてはいるものの、その他のほとんどが原作からそのまま持って来ただけになっており、その結果、文脈のおかしいものがある。 ---例として、倒した対戦相手に向かって「おまえ、迷惑なのよ」と言い放つシャナ((原作での特定のキャラへの台詞が対戦相手への煽りのようになってしまっている例は多い))、セガの世界にいるはずなのに「この世界で生まれてずっと暮らしてきたみたいな気がする」と言い出すアスナ、格ゲーなのに「レベル制MMOの理不尽さ」について語りだすキリトなど。 -サウンド面の問題。 --BGMがあまり印象に残らない。 ---本作のBGMはすべてオリジナルとなっており、電撃原作アニメの主題歌やBGMは一切使われていない。 //「電撃文庫」というタイトルどおり&bold(){本作は小説のほうを原作としているので}当たり前の話ではあるのだが、スパロボ的なものを期待していた人たちをガッカリさせたのは言うまでもない。 // 流石に言い訳が苦しいだろう。 ---各ステージではそれぞれ題材となっているセガのゲームに関わった作曲家がBGMを手掛けており、わかる人にはわかるオールスター感のあるゲームなのだが、スタッフロールにて参加した作曲家達の記載はあるもののゲーム中のサウンドテストにはどの作曲者がどのステージBGMを担当したかは明記されていない((PSO2ステージは小林秀聡氏、ソニックステージは瀬上純氏、ナイツステージは幡谷尚史氏それぞれが担当している事が家庭用特典冊子にて明言されている。))。 --SEがショボく、爽快感がない。音量も小さい為ボイスに隠れてしまっているのも多い。 ---格闘ゲームとしてはぬるめな調整であることが、それに拍車をかけているとも。 ---アニメで印象的だった上条当麻の「幻想殺し」等もオリジナルのSEになっている他、各キャラクターの効果音は一切映像化作品に即していない。 // これも前述のとおり、小説のほうを原作としている由縁である。 // 意味がわからない。 ---『UNI』同様本作でもディレクターを務めるわがつまたけひこ氏は過去に「SEは格闘ゲームにおいて本当に大事な要素で、攻撃が当たった時に気持ちの良い音が鳴らないと爽快感が半減してしまう」と語っている((「UNDER NIGHT IN-BIRTH ORIGINAL SOUNDTRACK SIDE-ABYSS」ブックレット記載のコメントより。加えて同作のBGM、SE担当の来兎氏(電撃FCシリーズでもSE周りを担当)に何度もリテイクした事も語られている。))が、上記の通り本作のSE周りはこの拘りを満たしているとはとても言えない。~ ただ、これらサウンド面に関しては発売元のセガもしくは参戦作品版元のKADOKAWA側からの「まず各キャラのボイスがよく聞こえるようにして、他のサウンドは控え目に」という参戦作品の販促効果優先のオファーに従った結果である可能性も考えられる。実際、喧しいゲームセンター内にあって本作は各キャラクターのボイスだけは良く聞こえるため、前述通りと仮定した場合これら版元の狙い通りになってくれたと言える。 --キノの声優がアニメやゲームで演じた前田愛氏(女優)ではなく、ラジオドラマ版のキャスト、久川綾氏となっている点は賛否が分かれる。 ---なお、久川氏がキノを演じるのは10年以上振りのことである。また、このドラマCDを知っているのはよほどコアなファンであるということも付け加えておく。 //---くどいようだが、これも小説のほうを原作としたことが影響していると考えられる。「キノの旅」はアニメよりも先にラジオドラマが発表されたため、それが本作におけるキャスティングを左右したと見て間違いないであろう。 // これも意味不明。しかもキノに関してはアニメに直接関係ないゲーム版でも同じ声優だったので、特に言い訳がましい。 --これらサウンド面の問題は次回作『[[電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION]]』においても残念ながら改善されていない。 **総評 ゲームとしては大きな問題はなく出来ており、とっつきやすさに重きをおいた初級者向けの格闘ゲーム。~ しかしクロスオーバー要素の強いオールスターキャラゲーとして見ると、やや力不足感が否めない。~ 特にキャラクターの少なさは問題である。サポートのみの作品があるのも残念な話である。~ 20周年という記念の節目に行われたビッグプロジェクトではあったが、キャラゲーとしてはややこぢんまりした内容となっていると言わざるを得ない。 ---- *電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(家庭用版) 【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす】 |ジャンル|2D対戦格闘|&amazon(B00MHKGZZU)&amazon(B00MHKH0C2)| |対応機種|プレイステーション3&br;プレイステーション・ヴィータ|~| |発売元|セガ|~| |開発元|エコールソフトウェア&br()フランスパン|~| |発売日|2014年11月13日|~| |価格|【PS3】6,980円(税抜)&br()【PSV】6,170円(税抜)|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(paleturquoise):''改善''|~| |ポイント|オフラインの物足りなさ&br()オンラインは穴だらけだった&br()アップデートでまともな内容に|~| **概要(家庭用版) 同タイトルを家庭用に移植した作品。本作で追加されたキャラクターは、のちのアップデートでアーケード版にも反映された。~ 概ね評価点と問題点はアーケード版に準ずるが、発売当初は家庭用版特有の問題が山積みで、評価を落としてしまった。~ なお、現在はアップデートを重ねたことでそのほとんどが改善されている。 **追加参戦キャラクター 家庭用追加キャラクターとして「はたらく魔王さま!」より”遊佐恵美”「魔法科高校の劣等生」より”司波達也”、「ヘヴィーオブジェクト」より”クウェンサー”、「とある魔術の禁書目録」より”白井黒子”、「ネトゲの嫁は女の子にはないと思った?」より”アコ”。サポートキャラより「とある魔術の禁書目録」より”初春飾利”、「境界線上のホライゾン」より”浅間.智”、 「イリヤの夜」より”伊佐野加奈”、「ゼロから始める魔法の書」より”ゼロ”と言ったキャラが追加。 **問題点(家庭用版) -オフラインモードの不足 --ストーリーモード以外は「スコアアタック」「タイムアタック」「サバイバル」程度しかなく、内容はどれも根本的には違わないので変わり映えがない。 --トレーニングモードが搭載されているのにトレーニングモード専用の見やすいステージがない。 --対戦のリプレイを保存・再生できるが、ボタン入力の表示ができない本当にただのリプレイ再生モードになってしまっている。 -初心者向けモードの薄さ --アーケード版では初心者への対応が欠けていたため、家庭用では初心者向けモードの充実が期待されていた…のだが。 --蓋を開けてみればコンボチャレンジどころかチュートリアルすらない状態であった。アーケードよりも初心者の参入ハードルは低いため、『ブレイブルー』並みに丁寧にせずともガードの種類や簡単な立ち回り指南くらいはつけてもよかったのではないだろうか。 --一応、公式サイトで解説動画が公開されているが、当然ゲーム内から見ることはできない。 -問題しかなかったオンライン対戦 --以下の内容は現在ではほとんど改善されているが当時は酷い有様で、非難が噴出した。 ---ランクマッチ(ランダム対戦)はクイックマッチのみ。待ち時間が長く、トレーニング待受なども用意されていない。 ---それだけ待たせるくせにマッチング完了時に通知のSEがなく、待っているあいだ席を離れることも難しかった。 ---「マッチング後の対戦拒否(自分から・相手から問わず)」やエラーが出るとキャラ選択カーソルが元に戻る仕様のせいでサポートキャラが初期位置のヴィルヘルミナに戻るため、決定ボタンを連打していてそのままヴィルヘルミナを選んでしまう人が続出した。 --個人部屋作成モードもまた時代錯誤甚だしく、入室制限(いわゆるプライベートスロット)や招待制度がない。 ---しかも部屋名を指定できないので、入室側は片っ端から部屋に入りまくって相手を探し、部屋主は見知らぬ相手を蹴るしかないという劣悪な状況だった。 ---アップデートで概ね良い方向に改善され、部屋名は定型文ではあるが簡易的に設定できるようになった。 -Vita版の解像度に合わせたドット絵の縮小 --Vita版はその仕様上フルHD表示ができないため、対戦時のキャラクターのドット絵が強引に縮小されている。 **評価点(家庭用版) -トレーニングモードの仕様 --本作はトレーニングモード中にプレイアブル・サポートキャラ・ステージの変更が可能。いちいちキャラ選択に戻らなくても様々な練習ができるためストレスフリー。 --画面表示の設定項目が多彩で、ボタンを押している時間をフレーム数で表示できたりもする。この仕様はVita版も共通。 -ロードがとにかく短い --2D作品ということもあってか、かなりストレスフリーにプレイできる。やれることは少ないが、純粋にこのゲームを楽しむ場合の引っかかりは少ない。 -良質なバトル前の掛け合いは更にアップ。 --家庭用に追加されたキャラに対しての掛け合いも増え、またそのバリエーションも面白いものも増えた。~ 特にセルベリア・ブレスとクウェンサー。白井黒子と司波深雪及び、御姉様こと御坂美琴との掛け合い、そしてユウキ及びアスナとアコとの掛け合いはある意味必見。 ((ネタバレになるが、アスナのCA技「マザーズ・ロザリオ」はユウキから直伝された技だが、この時点でユウキは鬼籍に入っているため、正に幻の対決と言える)) -「ドリームデュエル」モードの追加 --「ドリームデュエル」はアーケードモードとは異なり、やや和やかな雰囲気で進行するCPU対戦モード。 --このモードの真骨頂はキャラ同士の掛け合いにある。本作のアーケードモード及び戦闘前台詞にはクロスオーバーネタが多く含まれているが、これらはあくまで一言二言で済んでしまう程度のもので、お祭りゲーとして十分なクロスオーバーが為されているとは言い難かった。この「ドリームデュエル」モードはそれらの不満を解消するもので、しっかりとキャラ達が会話し、お祭りゲーならではのクロスオーバーを見せてくれる。 ---一例を挙げるなら、キリトが深雪と会話する中で自身の過去の無力を思い出し、悔やむシーン((司波深雪の声優は、SAOの「サチ」と同じ早見沙織氏。キリトはかつて、自身の無力から目の前でサチを死なせてしまったという過去を持つ。))等。 --ただし掛け合いは全キャラ総当たりではなく1キャラあたり6種類で、一部で組み合わせが重複しているため全部で66種類。 -Vita版でもかなりプレイしやすい --アーケード版の時点でも初心者向けのシンプルな仕様だったため、携帯ハードであるVitaでも遜色なくプレイすることができる。 --キーコンフィグで画面タッチにもボタンを割り振ることができるので複数ボタンの同時押しにも柔軟に対応できる。 --Wi-Fi接続での対戦はラグを感じることなく及第点。 -家庭用ならではのオマケの充実 --登場作品の原作を試し読みできるモードがあり、短いながら各作品の雰囲気を確認することができる。 --登場キャラクターのアフレコ後のコメントが収録されている。ただし再生するにはゲーム内通貨を使用してのアンロックが必要。 **総評(家庭用版) 初期の仕様はあまりにもプレイヤー的に辛い要素が出揃ってしまっていたが、アップデートで概ね改善された。~ しかし万全とは言えず、オンライン要素を持つ家庭用対戦格闘としてはやや不満の残る出来となってしまった。~ オフラインの非充実はアーケードから移植されたゲームにありがちな問題点だが、本作はその中でも特に薄く残念。 ----
本記事では『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のアーケード版と、その移植作である家庭用版を解説する。 ---- #contents(fromhere) ---- *電撃文庫 FIGHTING CLIMAX 【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす】 |ジャンル|2D対戦格闘|&image(https://i.ytimg.com/vi/AOM_YVZICYs/mqdefault.jpg)| |対応機種|アーケード|~| |発売元|セガ|~| |開発元|エコールソフトウェア&br()フランスパン|~| |稼働開始日|2014年3月18日|~| |判定|なし|~| |ポイント|電撃文庫創刊20周年記念作品&br()初心者に優しい対戦格闘ゲーム&br()20周年なのに集大成でなく旬の作品贔屓&br()キャラ選出に疑問の声も&br()電撃文庫と噛み合わないセガ要素|~| |>|>|CENTER:''[[電撃文庫シリーズ]]''&br''[[セガ クロスオーバー関連作品シリーズ]]''| **概要 電撃文庫創刊20周年記念作品としてセガと共同で企画された電撃文庫作品の対戦格闘ゲーム。~ プレイアブルとなるキャラクターとサポートキャラを選び対戦していくという、わりとオーソドックスなシステムで、昨今では珍しい2Dドットで描かれたゲーム((なお、本作はセガからリリースした2D格闘ゲームとしては1994年リリースの『ゴールデンアックス・ザ・デュエル』以来の実に20年ぶりの作品となる。))。~ 15周年記念作品『[[電撃学園RPG CROSS of VENUS]]』は比較的幅広い作品からメインキャラが用いられていたが、本作は稼働当時の話題作や人気作品を中心にプレイアブルキャラが選ばれている。~ サポートキャラの作品採用幅は意外と幅広いが、基本的にはプレイアブル作品のサブキャラの採用が多め。 **ゲームシステム -制作元からわかるように、ゲームの雰囲気としては一言で言えば『[[MELTY BLOOD>MELTY BLOOD Act Cadenza]]』シリーズや『[[UNDER NIGHT IN-BIRTH]]』に近いシステムになっている。 --操作ボタンは4つ、弱・中・強と本作特有のサポートキャラを呼び出すボタンを使用する。 --技の出し方などは基本的な格闘ゲームと同じコマンド入力。サポートはレバーのニュートラルor横入力の二種類で出し分ける。 ---格ゲー初心者に配慮し、『[[P4U>ペルソナ4 ジ・アルティメット・イン・マヨナカアリーナ]]』と同じく昇龍拳コマンドは使われていない。 --クライマックスゲージと呼ばれる、いわゆる技ゲージを消費する必殺技もある。最大5ゲージ分まで溜まる。 -クイックコンビネーションシステム --Aボタン(弱攻撃)を連打していくだけで基本コンボが自動で出せる。((ほとんどのキャラが弱>中>強>立ちインパクト>EX必殺技。EXの後に手動で「クライマックスアーツ」を出す事ができれば十分に対戦ができる。)) --格闘ゲームが苦手なプレイヤーがぶち当たりやすい「コンボ」の概念を極めて簡略化したシステム。 --また、本作はA連を搭載しているゲームでは珍しくしゃがみ・空中でもコンボが出る。 --もちろん、弱>中>強>…とボタンを順番に押していくことでも技が繋がる。 -インパクト --コマンド不要・ボタン同時押しのみで出せる、相手の攻撃を防ぎながら攻撃する必殺技。さらにヒット時にゲージがあればキャンセルでコンボに移行できる。 --レバーをニュートラル、前、下に入れながら出すと、各キャラごとに性能が異なる「インパクトスキル」となる。レバーニュートラルor前版は突進攻撃、レバー下版は対空攻撃として機能するものが多い。 --レバーを後ろに入れながら出すと、中段技の「インパクトブレイク」となる。ボタンを追加入力すると相手を打ち上げ、自分も同時にジャンプして空中コンボが可能。 --どれも強い攻撃だが、当て損ねたりガードされた場合には大きく隙を晒してしまう。 -サポート --サポートキャラに戦闘をアシストしてもらい、飛び道具などでの立ち回りの強化やコンボ中に攻撃を差し込んでコンボを伸ばすことができる。 --自分が行動出来る状態でサポートボタンを入力すると、サポートゲージを消費して呼び出すことができる。 --サポートキャラは一キャラにつきそれぞれ2つの技を持っており、ボタン入力時にレバーをニュートラル、もしくは横方向に入れることで使い分ける。 ---技には3つのカテゴリ((通常攻撃効果の「ATTACK」、打ち上げや多段技でコンボに繋ぎやすい「SP ATTACK」、当て身・回復効果の「DEFENSE」。))が設定されており、サポート選択画面で大雑把にだが効果を確認することができる。 --通常状態ではサポートを呼び出した際に操作キャラがポーズを取るため隙ができてしまう。また、空中での呼び出しはできない。 --コンボ中に呼び出した場合は緑の光輪を伴った隙のない「キャンセルサポート」となりコンボを伸ばすことができるが、サポートゲージに加えクライマックスゲージを一つ消費してしまう。 ---だが、後述の切り札ゲージがある状態ではキャンセルサポートのクライマックスゲージ消費がなくなり、しかも通常状態での呼び出しもキャンセル扱いに、空中での呼び出しも可能になるため、サポートを絡めた固め・めくり・ラッシュが容易になる。 -切り札 --パワーゲージ上にある「電撃マーク」の回数だけ使える強力な特殊必殺技。 ---電撃マークの初期所持数と所持上限は2、ラウンドを取られるごとに1個補充。 --マークが青いキャラは自己強化、赤いキャラは攻撃技となっている。攻撃技の切り札については全キャラ非常に威力が高い(生当てで体力の3割持っていくほど)上に、非常に早い中段攻撃となっているのが特徴。 --また、切り札を使った直後は電撃マークがゲージに変化し、キャラの性能が一時的にアップする。 -クライマックスアーツ --クライマックスゲージを2つ消費して放つ大技。全キャラに「コンボ用」と「乱舞技」の二種類づつ設定されている。 --美琴ならレールガン、キリトや黒雪姫ならスターバースト・ストリームと原作ファンにはおなじみのものが揃っている。 --コマンドはレバー半回転のいわゆる「ヨガコマンド」で統一。 --「コンボ用」は威力重視でコンボに組み込まないと当てづらく、「乱舞技」は威力は低いが無敵があるため必殺技に相殺を取られたときなどの返し技用。後者は発動した瞬間にブラストゲージを20%回収する効果があるので、ダメージを取るかゲージを取るかの兼ね合いになる。 -ポテンシャル --戦闘中に条件を満たすと発動する追加効果。体力が三割未満になると攻撃力が上がる共通のポテンシャルに加え、別枠で一定時間攻撃力アップやゲージが1本増えるなどの恩恵が受けられる。 --条件はキャラごとに異なり、「体力値が一定以下」、シャナとキリトは「攻撃を一定回数当てる」、黒雪姫は「一定回数ガードする」など、キャラに合わせた条件になっている。 -リフレクションガード --ガード中に攻撃ボタン2つを同時押しすると相手を押し返すことができる。カプコンゲーで言えばいわゆる「アドバンシングガード」。 --本作の場合、体力値が相手を上回っている時はクライマックスゲージを0.5本分消費、下回っているときのみゲージ消費なしで使用できるという劣勢側に有利な仕様になっている。 --ゲージが尽きていても出すことができる、そのため、本作を固めの持続が難しい、つまり「防御側が強い」ゲームとなっている。 ---ただし唯一、雪菜だけがポテンシャル効果によって相手のリフレクションガードを無効化できる。 ---かなり強いシステムだが、操作が「ボタン2つ同時押し」であるため、攻撃側が攻撃を遅らせたり攻撃しなかった場合、他の技が暴発しやすくなっているので、唯一押しただけでは何も出ないB+Cで跳ね返すのがベターとなっている。 -ブラスト --ブラストゲージが100%の時に攻撃ボタン3つ同時押しで発動する、いわゆる「バースト」系のシステム。 --3種類存在し、通常時はゲージ・攻撃力が増加する紫色の「パワーアップブラスト」、コンボ中は相手を空中に打ち上げて追撃可能な水色の「コンボブラスト」、ガード・ダメージ中は相手を吹き飛ばし追撃を回避する緑色の「エスケープブラスト」となる。 --本作ではこのうちパワーアップブラストが非常に強めに調整されているのが特徴。これは攻撃力上昇の他に、ゲージが1本増加(相手にヒットさせれば2本増加)効果中は体力とゲージが自動回復。加えて、再使用までのクールタイムが短い。 --コンボブラストはパワブラからヒット時のゲージ追加と攻撃力アップ効果を抜いたものとなっており、隙の多い技のフォローや「殺しきり」などに使われることが多い。 ---一方、エスケープブラストは当ててもゲージどころか何のボーナスも得られない上にブラストゲージの溜まる速度が遅くなるなど、最低でも1ゲージは手に入る他の2種類とくらべて使いづらくなっている((ゲージが重要な本作では、特に対戦序盤でエスブラを暴発すると大きなハンデとなってしまう。))。 **参戦キャラクター #region(参戦キャラクター一覧) プレイアブルキャラは''太字''で表記。 |初期から参戦|灼眼のシャナ|''シャナ''、ヴィルヘルミナ・カルメル| |~|とある魔術の禁書目録|''御坂美琴''、上条当麻| |~|ソードアート・オンライン|''キリト''、''アスナ''、リーファ| |~|アクセル・ワールド|''黒雪姫''、ハルユキ| |~|俺の妹がこんなに可愛いわけがない|''高坂桐乃''、黒猫| |~|デュラララ!!|''平和島静雄''、セルティ・ストゥルルソン| |~|ロウきゅーぶ!|''湊智花''、イノセント・チャーム((袴田ひなたの二つ名で、彼女の幻という設定。本人は智花の技演出に登場する。))| |~|ブギーポップは笑わない|ブギーポップ| |~|キノの旅|キノ| |~|狼と香辛料|ホロ| |~|電波女と青春男|藤和エリオ| |~|はたらく魔王さま!|真奥貞夫| |~|ゴールデンタイム|加賀香子| |~|さくら荘のペットな彼女|椎名ましろ| |ver1.10から追加|魔法科高校の劣等生|''司波深雪''、司波達也| |~|とらドラ!|''逢坂大河''、高須竜児| |Ver1.20から追加|ストライク・ザ・ブラッド|''姫柊雪菜''、暁古城| |~|ブラック・ブレット|''里見蓮太郎''、藍原延珠| |Ver1.30から追加|とある魔術の禁書目録|一方通行| |~|デュラララ!!|折原臨也| |~|撲殺天使ドクロちゃん|ドクロちゃん| |ボス|[[バーチャファイター]](Ver1.30からプレイアブル化)|''結城晶''、パイ・チェン| |~|[[戦場のヴァルキュリア]](Ver1.30で追加。隠しボス)|''セルベリア・ブレス''、アリシア・メルキオット| #endregion **評価点 -電撃オールスターというコンセプトで以前から求められていた格闘ゲームというジャンルを実現させたこと。 --ニーズをよく理解し、安易に3Dにせず2Dドットを選んだことは今の時代では結構思い切った決断といえるだろう。 -初心者にも優しいゲームシステム。 --格闘ゲームというのはプレイヤー同士の「駆け引き」を楽しむものだが、ほとんどの格ゲーは初心者がその駆け引きについていけるようになるまでが大変なことが多い。だが本作は「キャラ毎にできることの違いが少なめ」「共通システムさえ把握していればなんとかなる」((もちろんキャラ特性の把握は重要であり「何も知らなくてもよい」というところまではいっていない))という作りをしているため、対戦として成立する戦いができるようになるまでのハードルが他の格ゲーと比べてかなり低い。 --ほぼすべてのキャラが「○○ができるリュウ」というコンセプトで作られており、好きなキャラでゲームを始めやすく、他作品でありがちな「惚れたキャラが上級者向けキャラだった」ということが少ない。 --難しいコンボは少なく、「仕込み」などもあるが細かいコマンドテクニックを要求されることはほぼない。((ただしコンボが簡単な代わりに入力受付がシビアめに作られている。ちょっとタイミングを逃しただけで通常攻撃がつながらないことも。)) ---しかも「HPをリードしている側の攻撃が少し弱くなる」「HPが3割を切ると一定時間攻撃力10%アップ((「自分だけが1本取られると負けになるラウンド」なら20%アップ。))」、「HP劣性側はリフレクションガードがゲージ無消費」など、劣勢側に優しいシステムが搭載されている。 --この点には否定意見もあるが、参戦作品のファン(女性も含む)のことを考えれば最適であったと言えるかもしれない((実際、アーケード版稼動直後には格ゲー慣れしていない中高生の一団を見ることができた。))。 --プレイ方法の解説動画も公式サイトにて公開されており、しかもそれ用に先生と生徒という配役で声優の佐々木篤氏と明坂聡美氏を迎えて解説を丁寧におこなっている。 -細かい原作再現。 --黒雪姫のレッド・ブルー・グリーンの三色選択式オーバードライブの再現を始め、非常に細かい原作再現がおこなわれている。 --アスナのCA技「マザーズ・ロザリオ」等、開発当時はまだアニメに登場していなかった技もしっかりと再現。 --ネタ方面の再現も忠実。ファンをニヤリとさせるネタが随所に盛り込まれている。 ---美琴の切り札「ちぇいさー!((自動販売機を蹴り壊し、その際の放電でダメージを与える。))」、アスナの切り札「鉄拳正妻((誤字ではない。))」などがネタ筆頭だが、大河の必殺技「雪ソリ特攻」なども原作への愛と細かい読み込みを感じさせる。 ---ただし、智花のEX必殺技「ワンハンドジャンプシュート((相手をボールにしてゴールに投げる。比喩ではなく本当にボールになる。))」など、原作ではネタでもなんでもないのにネタ技にされたものや、前作の電撃FCでは静雄が「乱舞技が無敵ではなくアーマーで((静雄の「やられても我慢して突進する」所を表現している…のだがHPが尽きると普通にKOされてしまうので他のキャラと比べると頼りない))」という行き過ぎた原作再現などについては賛否両論である。 -良質なバトル前の掛け合い。 --「智花やシャナに悶えるオタクの桐乃」「シャナの刀・贄殿遮那を欲しがる刀好きのキリト」「声優が同じために他人とは思えないシャナと大河((ちなみにこの二人はカラーチェンジで互いの衣装に変えることが可能。))」など、戦闘前の掛け合いが充実している。 ---後に発売された家庭用移植版ではキャラ同士の掛け合いが楽しめる「ドリームデュエル」モードが搭載された。 -2Dドット絵は比較的良く出来ている方。 --キャラ絵は全般的に綺麗に描かれており、原作のイメージを著しく崩すなどといったことはほとんどない。 ---高坂桐乃のコスチュームチェンジなど手間のかかった描写も見られる。 ---後に発売された家庭用移植版では一部のキャラにモーションやエフェクトが追加されている。 --ただし、同社の『UNI』『メルブラ』と比べるとコマ数が少なく、動きが固く感じられる。 ---その代わり、各キャラの必殺技等のエフェクトやステージ背景のグラフィックは『UNI』に比べ煌びやかで、バラエティに富んでいる。 -声優はTVアニメ版を基準としたオリジナルキャスト(プレイアブルキャラに限る) --サポートに関しては一部変更されたキャラもいるが、少なくともプレイアブルに関して言えば馴染みのない人選ではない。 -サポートシステムの存在により、目立ったゲームバランスの崩れがない。 --そのため、コンボ構築などもある程度幅が広く、やはり定石はあるがそれを崩す戦法も考えられる。 --プレイアブルとサポートの組み合わせの相性はキャラにより当然異なるため、弱点を補ったり、長所を補強したりすることが可能。 ---ゲームバランスの良し悪しから離れた話ではあるが、同作品のキャラクター同士がプレイアブル・サポートと組むと特殊なセリフ(掛け合い)が発生する場合がある。 --プレイアブルキャラのみでいえばいわゆる「強キャラ」と呼ばれているのがスタンダードさと機動力とリーチを兼ね揃えるシャナと、対空性能と空中戦が非常に強い桐乃などだが、今のところは際立った壊れキャラなどはいない。キャラの強弱より使い込みとやりこみがモノを言うバランスにはなっている。 --対して「弱キャラ」と呼ばれているのが平和島静雄。技が大振り、かつ攻撃を出す方向が上方向に集中しており、下段が薄い。原作では超怪力なのだが、本作では単発火力がそれほど高くなく、システム上まとまった火力を出しにくい。 ---スタッフによれば、「魔法科」の司波達也など原作のままではあまりにも強すぎるキャラはゲームに落とし込むのが難しかったとのこと。 **賛否両論点 -一部のキャラの仕様についての賛否 --クロスオーバー系のキャラゲーでは必ずと言っていいほど存在する問題だが、ゲーム上の仕様などに合わせるため、様々な改変が加えられている。 ---本来作中では着装系に近いはずの黒雪姫(ブラック・ロータス)のデュエルアバターが、ジョジョのスタンドのような扱い。 ---強引にプレイアブル化された『ロウきゅーぶ!』組は、原作度外視で無茶苦茶な要素((先のように相手をボールにしたり。))が組み込まれ過ぎて別物になっている。 ---桐乃は『ポケットファイター』のように次々とコスプレしながら戦う。上記2名と比べると原作のノリとの差が薄いため、批判は少ない。 --ゲームに合わせるためには仕方ないとする一方、これらの表現は映像作品等を知らないと誤解を生むような演出であり、特にクロスオーバーということを考えるとベストな選択と言えないだろう。 // このキャラの仕様の記述、本当に必要だと思いますか? // 流石に長すぎ 幾らかは残してもいいだろうが、ここまで細かくはいらないかと // キャラゲーの要素もあるのに仕様がちぐはぐで原作再現から離れているのはキャラゲーと側面から見て問題点にほかならない。 // そもそも独断でCOして無責任に放置というやり方はそれこそ問題があると思う。 -メインシナリオから見た場合のバトル前の掛け合い。 --対人戦視点での場合、評価点に書かれているように戦闘前の掛け合いが充実している点は良質である。その一方で、メインシナリオはあってないような状態。どのキャラも「異世界に飛ばされ、怪しい奴と出会ったのでとりあえず戦う」という定型化されたもの。~ また黒幕である絶無は「電撃キャラに化けたもの」であり、ストーリー途中での敵として出てくるキャラの台詞も「絶無が電撃キャラの口を借りてキャラとは関係のない恨みつらみを並べ立てる」というもの。 --にもかかわらず、''敵対しているキャラ同士なのに戦闘開始前の掛け合いがそのまま''のため、チグハグで違和感が半端ない。~ 一例でいうと高坂桐乃がメインで初戦が湊智花の場合、智花が桐乃に「貴方、邪魔です」と襲い掛かり、桐乃も超展開に驚く→桐乃「智花ちゃん!妹になって!」智花「はわわ!私、長女ですから!」と妙に馴れ馴れしい接し方→戦闘開始。となるので、原作通りなはずのにキャラ崩壊感が拭えないことに。どうせ黒幕が変身し、敵対する設定であれば、それ相当に敵対時の台詞と掛け合いを用意すべきであっただろう。 --また黒幕の絶無が変身したという設定のため参戦キャラ同士の会話はほぼ存在しないと言ってよい。~ 反面、その黒幕に変身した前提でのキャラ同士の会話そのものによる批判は意外にも上がらず、初戦での開口一番、暴言も甚だしく言ってきたり、ストーリー途中での敵として出てくるキャラが「恨みつらみを並べ立てる」台詞に関しては絶無という黒幕に意外と落とせており、キャラ崩壊には至ってない点は評価出来る。&s(){絶無になりきって演じてくれた声優の方々にも感謝} **問題点 -キャラゲーとして見るとキャラ数が少なすぎる。 --稼働初期のキャラ数は8人。完全新規の2D格闘ゲームの初期人数として考えれば極端に少ないわけではないのだが、電撃文庫という広いファンを持つレーベルのキャラゲーであると考えると少ないと言わざるをえない((「キャラが少ないのは初心者がキャラ対策を覚えやすくするためではないか」という声もある。))。また、キャラ数以外にも参戦作品の偏りに対する不満も生じている。 ---後に3度のアップデートによって14人となった。後述するが、キャラが増えたと言っても2名はセガのキャラクターであるため電撃文庫ファン的には喜べない。 --その代わりと言うべきか、サポートキャラはそこそこの充実具合ではある。しかし、その半分くらいはプレイアブルの芽がありそうで惜しい。 -プレイアブル化選定が曖昧 --「20周年記念作品で歴代の電撃文庫作品が参戦」と言う名目ではあるが、実際には''『旬の人気作品を優先、過去の作品はオマケ』''程度の人選となっている。 ---例えば、明らかに戦闘とは縁のない作品である『俺妹』や『ロウきゅーぶ!』のキャラがプレイアブル。その一方、人気・知名度ともに高い戦闘系作品『キノの旅』や『ブギーポップ』のキャラはアシスト扱い。 ---『電撃学園RPG CROSS of VENUS』では、戦闘向きのキャラをメイン、戦闘向きでないキャラをサポートとしてうまく作用させていたのを見ると、チグハグな感が見られる部分が多々ある。 ---5年前の作品にして、企画元も情勢も違うとはいえ、上記のRPGと比較して削られた作品が非常に多い。同作でメイン作品だった『イリヤの空、UFOの夏』、『乃木坂春香の秘密』、『アスラクライン』は本作ではすでに完結しているので販促効果に乏しいためか、一切参加していない((しかし本作には完結済の作品もいくつか含まれているため、やはり惜しむファンもいる。))((このうち『イリヤの空、UFOの夏』は次回作「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION」でアシストとして参加している。))。 --基本的に『プレイアブル1人・アシスト1人』もしくは『アシスト1人』と言う参戦であるが、『ソードアート・オンライン』のみ『プレイアブル2人・アシスト1人』と優遇されている。 ---なお、同作者の作品『アクセル・ワールド』からもプレイアブル(とアシスト)が参戦しているため、作者一人に対しプレイアブル3人の参戦となり、初期8人のうち1/3程度を占めていた。 ---『ロウきゅーぶ!』については、技演出などで主要キャラ5人全員が登場するのである意味では優遇されているとも言える。 ---また、Ver1.30では既存参戦作品から『禁書』の一方通行と、『デュラララ!!』の折原臨也が、サポートキャラではあるが追加された。 --『関連商品の販促となり、若いユーザーに人気のある旬の作品を優先』と言うのは分かるし、そういう基準で考えれば、決して不自然な選出は存在しない。だが、『20周年記念のオールスター作品』と考えた場合、過去の作品のファンにとっては『昔の作品のキャラをもっと出して欲しかった』と思うのも無理からぬ選出となっている。 --人気中心の構成なのは作品内のキャラ選定からもかなり露骨に出ている部分がある。 ---例えば『禁書』は主人公が上条当麻、メインヒロインがインデックスであるが、メイン参戦はスピンオフ作品『[[とある科学の超電磁砲]]』の主人公でもあるファン人気の高い御坂美琴。サポートとしては主人公の上条当麻はともかく、後に追加されたのは一方通行。ファン人気が高く、見せ場の数としても妥当と言えば妥当なのだが、意図の有無を問わずインデックスに対する公式ディスリスペクトになっていることは否めない((『電撃学園RPG』ではメインヒロインとして作品を代表する活躍をしているだけに、比較すると余計そう見えてしまう部分も。))。 //キャラ選定の話に性能の話題はいらんやろ。 ---『デュラララ!!』も、主人公であるセルティ((あとがきで主人公と明示されてはいるが、『デュラララ!!』は群像劇作品なので「主人公」とはっきり断言できるキャラは実際のところいない。ただしセルティは本作を象徴するキャラで、シナリオ上の基軸でもあり、主人公という言及抜きでもまず間違いなく中心人物と言える。))がサポートとなり、メインシナリオへの絡みがやや薄い平和島静雄がプレイアブル参戦となっている((静雄はファン人気が高い上に、優男系のキャラクターが多いラノベ界では貴重なパワーキャラなので、キャラクター間バランスの都合も参戦に関係しているのだろう。))。セルティはこういった何でも有りなゲーム向きの能力を持っているはずなのだが…。 ---『灼眼のシャナ』は、シャナとは別のもう一人の主人公である坂井悠二に至っては、プレイアブルはおろかサポートですら未登場。悠二は原作終盤にて敵になるため、ネタバレを避けようとした配慮の可能性もあるが、勝利台詞の中にはそのネタバレが含まれるためにちぐはぐ。しかも電撃学園RPGと同じように通常時で参戦する可能性も奪ってしまっている。また、本作は電撃文庫からは敵キャラクターの参戦がないため、一人だけ角を立てるような真似を避けたのだろう((セガからはセルベリアが原作においては敵キャラクターである。))。 -「ゲームシステム以外の所」があまり初心者に優しくない。 --上記の通りシステムは初心者のことをよく考えて作られているのだが、「初心者がそのシステムを覚えるまでの筋道」がうまく作られていない。 --アーケード版ではクレジットを入れてキャラを選択すると会話パートの後すぐに戦闘が始まるのだが、ここまでに操作説明は一切なされない。アケ格ゲーとしては別段おかしくはないのだが、このゲームが「格ゲーを触ったこともないラノベ・アニメファン」に向けて作られている事を考えると疑問が残る。 --一応操作説明は筐体上部のインストラクションカードがあるのだが、「ALL.Net P-ras MULTI」はゲーム選択基板であるため、他のゲームのものが付けられていることも多い。その上このゲームはボタン同時押し操作が多いため、何も知らないままでは初心者はどういう行動ができるのか見つけ出すのも難しいだろう。 --ゲーセンでは、初心者がチェーンコンボや超必殺技どころか「A連打でコンボが出せる」という初心者救済操作すら教えられないままゲーム中盤まで進んでしまい、単発攻撃しか出せずにやられてしまう姿も散見される。このゲームのCPU戦はコンボが出来ないと単調になってしまうため、そのようなプレイヤーから「退屈なつまらないゲーム」と認識されてしまう可能性も否めない。 --ちなみに、APMの先祖とも言える「MVS」のゲーム(KOF等)はインストが小さいためあまり説明が書けず、インストが付けられていないケースも想定しゲームを始めると必ず操作説明画面が始まるようになっていた。このゲームでもせめてA連くらいは説明するべきだったのではないだろうか。 // 「無い」「事」「様」など、不必要な漢字変換が多すぎたので修正。 -電撃文庫と関係のない無理矢理なセガ要素。 --電撃文庫のオールスターゲームなのに、セガのゲームキャラクターが一部出張っていることには疑問の声はある。 ---本作はもともと「電撃文庫20th冬 大感謝プロジェクト」のひとつで、「電撃文庫 vs SEGA」の第四弾として企画されていた。これ以前に、セガハードを擬人化した『セガハードガールズ』とコラボし、『現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと』のタイトルで電撃文庫から小説化されるなどの企画が進行していた。 ---ストーリーでナビゲーターとなる「電神」は姿こそ『セガハード・ガールズ』の「ドリームキャスト」その人だが、あくまで「電神」であり、アニメ・漫画・小説のドリキャスとは違うキャラ付けをされている。 --ラスボスが電撃文庫に関連がない上に世界観も合っていない『[[バーチャファイター]]』のアキラとパイ。少年少女キャラの中に筋骨隆々で浮いてしまっている。 ---電撃文庫のどれかの作品のキャラを敵役にまわさないための配慮とも考えられるが、おそらくは「電撃文庫 vs SEGA」というもとの企画の影響であろう。 ---セガの格ゲーの代表キャラであることと、バーチャファイターと電撃文庫がどちらも20周年というつながりもあり客観的な選考理由は満たされている。 ---ただ、もう少し電撃文庫作品と絵柄や方向性の合うキャラが選ばれてもよかったかもしれず、そういう声を受けてか家庭用では『[[戦場のヴァルキュリア]]』のセルベリアが新たなラスボスとして参戦している。 ---Ver1.30において『[[戦場のヴァルキュリア]]』のセルベリアがプレイアブルに追加され、同時にアキラがプレイアブルに格上げされたが、彼らのストーリーはアーケードモードに用意されていない。 --ステージもセガのゲーム([[ソニック>ソニックシリーズ]]、[[セブンスドラゴン2020]]、[[バーチャロン>電脳戦機バーチャロン]]等)がベースになっているものばかりで、電撃文庫要素がまったくない。 ---電撃文庫を背景にしたステージを用意しなかった件についてスタッフは「セガのゲーム世界で戦うというストーリー/世界観だから」「別作品のキャラクター同士が戦う理由が説明しづらいから」と回答している。 // マイナスの主観に基づいた記述があまりにも多かったのでごっそり削りました。 -勝利時の台詞が原作の丸写しだらけ。 --一部の台詞は、新しく書き起こされていたり、大河の「学校生活をモルグに~」→「格ゲー生活を~」のように改変されてはいるものの、その他のほとんどが原作からそのまま持って来ただけになっており、その結果、文脈のおかしいものがある。 ---例として、倒した対戦相手に向かって「おまえ、迷惑なのよ」と言い放つシャナ((原作での特定のキャラへの台詞が対戦相手への煽りのようになってしまっている例は多い))、セガの世界にいるはずなのに「この世界で生まれてずっと暮らしてきたみたいな気がする」と言い出すアスナ、格ゲーなのに「レベル制MMOの理不尽さ」について語りだすキリトなど。 -サウンド面の問題。 --BGMがあまり印象に残らない。 ---本作のBGMはすべてオリジナルとなっており、電撃原作アニメの主題歌やBGMは一切使われていない。 //「電撃文庫」というタイトルどおり&bold(){本作は小説のほうを原作としているので}当たり前の話ではあるのだが、スパロボ的なものを期待していた人たちをガッカリさせたのは言うまでもない。 // 流石に言い訳が苦しいだろう。 ---各ステージではそれぞれ題材となっているセガのゲームに関わった作曲家がBGMを手掛けており、わかる人にはわかるオールスター感のあるゲームなのだが、スタッフロールにて参加した作曲家達の記載はあるもののゲーム中のサウンドテストにはどの作曲者がどのステージBGMを担当したかは明記されていない((PSO2ステージは小林秀聡氏、ソニックステージは瀬上純氏、ナイツステージは幡谷尚史氏それぞれが担当している事が家庭用特典冊子にて明言されている。))。 --SEがショボく、爽快感がない。音量も小さい為ボイスに隠れてしまっているのも多い。 ---格闘ゲームとしてはぬるめな調整であることが、それに拍車をかけているとも。 ---アニメで印象的だった上条当麻の「幻想殺し」等もオリジナルのSEになっている他、各キャラクターの効果音は一切映像化作品に即していない。 // これも前述のとおり、小説のほうを原作としている由縁である。 // 意味がわからない。 ---『UNI』同様本作でもディレクターを務めるわがつまたけひこ氏は過去に「SEは格闘ゲームにおいて本当に大事な要素で、攻撃が当たった時に気持ちの良い音が鳴らないと爽快感が半減してしまう」と語っている((「UNDER NIGHT IN-BIRTH ORIGINAL SOUNDTRACK SIDE-ABYSS」ブックレット記載のコメントより。加えて同作のBGM、SE担当の来兎氏(電撃FCシリーズでもSE周りを担当)に何度もリテイクした事も語られている。))が、上記の通り本作のSE周りはこの拘りを満たしているとはとても言えない。~ ただ、これらサウンド面に関しては発売元のセガもしくは参戦作品版元のKADOKAWA側からの「まず各キャラのボイスがよく聞こえるようにして、他のサウンドは控え目に」という参戦作品の販促効果優先のオファーに従った結果である可能性も考えられる。実際、喧しいゲームセンター内にあって本作は各キャラクターのボイスだけは良く聞こえるため、前述通りと仮定した場合これら版元の狙い通りになってくれたと言える。 --キノの声優がアニメやゲームで演じた前田愛氏(女優)ではなく、ラジオドラマ版のキャスト、久川綾氏となっている点は賛否が分かれる。 ---なお、久川氏がキノを演じるのは10年以上振りのことである。また、このドラマCDを知っているのはよほどコアなファンであるということも付け加えておく。 //---くどいようだが、これも小説のほうを原作としたことが影響していると考えられる。「キノの旅」はアニメよりも先にラジオドラマが発表されたため、それが本作におけるキャスティングを左右したと見て間違いないであろう。 // これも意味不明。しかもキノに関してはアニメに直接関係ないゲーム版でも同じ声優だったので、特に言い訳がましい。 --これらサウンド面の問題は次回作『[[電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION]]』においても残念ながら改善されていない。 **総評 ゲームとしては大きな問題はなく出来ており、とっつきやすさに重きをおいた初級者向けの格闘ゲーム。~ しかしクロスオーバー要素の強いオールスターキャラゲーとして見ると、やや力不足感が否めない。~ 特にキャラクターの少なさは問題である。サポートのみの作品があるのも残念な話である。~ 20周年という記念の節目に行われたビッグプロジェクトではあったが、キャラゲーとしてはややこぢんまりした内容となっていると言わざるを得ない。 ---- *電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(家庭用版) 【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす】 |ジャンル|2D対戦格闘|&amazon(B00MHKGZZU)&amazon(B00MHKH0C2)| |対応機種|プレイステーション3&br;プレイステーション・ヴィータ|~| |発売元|セガ|~| |開発元|エコールソフトウェア&br()フランスパン|~| |発売日|2014年11月13日|~| |価格|【PS3】6,980円(税抜)&br()【PSV】6,170円(税抜)|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(paleturquoise):''改善''|~| |ポイント|オフラインの物足りなさ&br()オンラインは穴だらけだった&br()アップデートでまともな内容に|~| **概要(家庭用版) 同タイトルを家庭用に移植した作品。本作で追加されたキャラクターは、のちのアップデートでアーケード版にも反映された。~ 概ね評価点と問題点はアーケード版に準ずるが、発売当初は家庭用版特有の問題が山積みで、評価を落としてしまった。~ なお、現在はアップデートを重ねたことでそのほとんどが改善されている。 **追加参戦キャラクター 家庭用追加キャラクターとして「はたらく魔王さま!」より”遊佐恵美”「魔法科高校の劣等生」より”司波達也”、「ヘヴィーオブジェクト」より”クウェンサー”、「とある魔術の禁書目録」より”白井黒子”、「ネトゲの嫁は女の子にはないと思った?」より”アコ”。サポートキャラより「とある魔術の禁書目録」より”初春飾利”、「境界線上のホライゾン」より”浅間.智”、 「イリヤの夜」より”伊佐野加奈”、「ゼロから始める魔法の書」より”ゼロ”と言ったキャラが追加。 **問題点(家庭用版) -オフラインモードの不足 --ストーリーモード以外は「スコアアタック」「タイムアタック」「サバイバル」程度しかなく、内容はどれも根本的には違わないので変わり映えがない。 --トレーニングモードが搭載されているのにトレーニングモード専用の見やすいステージがない。 --対戦のリプレイを保存・再生できるが、ボタン入力の表示ができない本当にただのリプレイ再生モードになってしまっている。 -初心者向けモードの薄さ --アーケード版では初心者への対応が欠けていたため、家庭用では初心者向けモードの充実が期待されていた…のだが。 --蓋を開けてみればコンボチャレンジどころかチュートリアルすらない状態であった。アーケードよりも初心者の参入ハードルは低いため、『ブレイブルー』並みに丁寧にせずともガードの種類や簡単な立ち回り指南くらいはつけてもよかったのではないだろうか。 --一応、公式サイトで解説動画が公開されているが、当然ゲーム内から見ることはできない。 -問題しかなかったオンライン対戦 --以下の内容は現在ではほとんど改善されているが当時は酷い有様で、非難が噴出した。 ---ランクマッチ(ランダム対戦)はクイックマッチのみ。待ち時間が長く、トレーニング待受なども用意されていない。 ---それだけ待たせるくせにマッチング完了時に通知のSEがなく、待っているあいだ席を離れることも難しかった。 ---「マッチング後の対戦拒否(自分から・相手から問わず)」やエラーが出るとキャラ選択カーソルが元に戻る仕様のせいでサポートキャラが初期位置のヴィルヘルミナに戻るため、決定ボタンを連打していてそのままヴィルヘルミナを選んでしまう人が続出した。 --個人部屋作成モードもまた時代錯誤甚だしく、入室制限(いわゆるプライベートスロット)や招待制度がない。 ---しかも部屋名を指定できないので、入室側は片っ端から部屋に入りまくって相手を探し、部屋主は見知らぬ相手を蹴るしかないという劣悪な状況だった。 ---アップデートで概ね良い方向に改善され、部屋名は定型文ではあるが簡易的に設定できるようになった。 -Vita版の解像度に合わせたドット絵の縮小 --Vita版はその仕様上フルHD表示ができないため、対戦時のキャラクターのドット絵が強引に縮小されている。 **評価点(家庭用版) -トレーニングモードの仕様 --本作はトレーニングモード中にプレイアブル・サポートキャラ・ステージの変更が可能。いちいちキャラ選択に戻らなくても様々な練習ができるためストレスフリー。 --画面表示の設定項目が多彩で、ボタンを押している時間をフレーム数で表示できたりもする。この仕様はVita版も共通。 -ロードがとにかく短い --2D作品ということもあってか、かなりストレスフリーにプレイできる。やれることは少ないが、純粋にこのゲームを楽しむ場合の引っかかりは少ない。 -良質なバトル前の掛け合いは更にアップ。 --家庭用に追加されたキャラに対しての掛け合いも増え、またそのバリエーションも面白いものも増えた。~ 特にセルベリア・ブレスとクウェンサー。白井黒子と司波深雪及び、御姉様こと御坂美琴との掛け合い、そしてユウキ及びアスナとアコとの掛け合いはある意味必見。 ((ネタバレになるが、アスナのCA技「マザーズ・ロザリオ」はユウキから直伝された技だが、この時点でユウキは鬼籍に入っているため、正に幻の対決と言える)) -「ドリームデュエル」モードの追加 --「ドリームデュエル」はアーケードモードとは異なり、やや和やかな雰囲気で進行するCPU対戦モード。 --このモードの真骨頂はキャラ同士の掛け合いにある。本作のアーケードモード及び戦闘前台詞にはクロスオーバーネタが多く含まれているが、これらはあくまで一言二言で済んでしまう程度のもので、お祭りゲーとして十分なクロスオーバーが為されているとは言い難かった。この「ドリームデュエル」モードはそれらの不満を解消するもので、しっかりとキャラ達が会話し、お祭りゲーならではのクロスオーバーを見せてくれる。 ---一例を挙げるなら、キリトが深雪と会話する中で自身の過去の無力を思い出し、悔やむシーン((司波深雪の声優は、SAOの「サチ」と同じ早見沙織氏。キリトはかつて、自身の無力から目の前でサチを死なせてしまったという過去を持つ。))等。 --ただし掛け合いは全キャラ総当たりではなく1キャラあたり6種類で、一部で組み合わせが重複しているため全部で66種類。 -Vita版でもかなりプレイしやすい --アーケード版の時点でも初心者向けのシンプルな仕様だったため、携帯ハードであるVitaでも遜色なくプレイすることができる。 --キーコンフィグで画面タッチにもボタンを割り振ることができるので複数ボタンの同時押しにも柔軟に対応できる。 --Wi-Fi接続での対戦はラグを感じることなく及第点。 -家庭用ならではのオマケの充実 --登場作品の原作を試し読みできるモードがあり、短いながら各作品の雰囲気を確認することができる。 --登場キャラクターのアフレコ後のコメントが収録されている。ただし再生するにはゲーム内通貨を使用してのアンロックが必要。 **総評(家庭用版) 初期の仕様はあまりにもプレイヤー的に辛い要素が出揃ってしまっていたが、アップデートで概ね改善された。~ しかし万全とは言えず、オンライン要素を持つ家庭用対戦格闘としてはやや不満の残る出来となってしまった。~ オフラインの非充実はアーケードから移植されたゲームにありがちな問題点だが、本作はその中でも特に薄く残念。 ----

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