「トム・クランシーシリーズ スプリンターセル」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

トム・クランシーシリーズ スプリンターセル」(2023/10/17 (火) 23:42:11) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*トム・クランシーシリーズ スプリンターセル 【とむ・くらんしーしりーず すぷりんたーせる】 |ジャンル|ステルスアクション|&amazon(B00008SM5F)|&amazon(B0000D0Y6M)&amazon(B00007B8RX)| |対応機種|Windows 98~XP&br()プレイステーション2&br()Xbox|~|~| |発売元|ユービーアイソフト|~|~| |開発元|ユービーアイソフト モントリオール&br()【PS2】ユービーアイ上海|~|~| |発売日|【Win】2003年2月22日(日本語マニュアル版)&br()2003年5月30日(完全日本語版)&br()【PS2/Xb】2003年11月27日|~|~| |定価|【Win】7,140円(日本語マニュアル版)&br;    10,290円(完全日本語版)&br()【PS2/Xb】7,140円|~|~| |廉価版|【PS2】UBISOFT BEST&br() 2005年7月7日/2,940円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|~| |ポイント|暗闇に紛れての潜入任務&br()潜入の難しさを体現したような高難易度|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[トム・クランシーシリーズ]]''| //「判定変更議論スレ3」で提案し、良作より判定変更。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アメリカの作家トム・クランシー氏が監修を務めたゲームシリーズの1つ『スプリンターセル』シリーズの第1作。~ 同じトム・クランシー原作・監修の『レインボーシックス』『ゴーストリコン』などと世界観を共有しているが、~ ミリタリー系のFPSやTPSである他シリーズと異なり、本作は敵に見つからないように任務を遂行するステルスアクションとなっている。~ ステルスアクションの名作『[[メタルギア>メタルギアシリーズ]]』シリーズとは似て非なるゲーム性やグラフィックの美しさが高く評価され様々な賞を獲得、シリーズ化が行われた((『メタルギア』シリーズとは互いにリスペクトし合う関係である。))。~ 開発は後に『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂(シリーズ)』や『[[ASSASSIN'S CREED>ASSASSIN'S CREEDシリーズ]]』シリーズを手がける、ユービーアイソフト モントリオールが担当。~ テーマソングはThe Crystal Methodの「Name of the Game」((他にも映画『ブレイド2』など数々の作品で使用されている。))。~ PS2版はUBI上海の開発であり、ステージの構造や演出が若干異なる。本頁では断りが無い限りは基本的にXbox版、Win版について解説する。 ---- **ストーリー 2003年、NSA((アメリカ国家安全保障局。実在する組織。当時は公式に存在を認めていなかった。))は情報漏洩や国際テロに対抗するための諜報組織サードエシュロンを極秘裏に設立した。 2004年、旧ソ連グルジア共和国にて突如消息を絶ったCIAのエージェント2人の捜索任務がサードエシュロンに下される。~ CIAはこの程、グルジアに独裁体制を敷くニコラーゼ大統領の内偵を行っており、さらにグルジアの軍部は活発な動きを見せているという。~ サードエシュロンは優秀なエージェントであるサム・フィッシャーにこの任務を任せるが…。 ---- **システム -ゲームは三人称自由視点による3Dアクションを基本としており、カメラは自由に動かすことが可能。 --一本道のステージクリア型で、プレイヤーは秘密工作員 サム・フィッシャーとして以下の要素などを活用して''「暗闇に紛れて敵に発見されずに目標を達成すること」''を目的に行動する。 --当時の『メタルギア』シリーズ((後年には『MGS4』『MGR』など本作に近い形式の作品も登場している。))は作品毎に施設や島などの一つの舞台でゲームを展開していたのに対し、本シリーズはステージによって国も地域も全く異なる場所に潜入する事になる。 ---潜入場所も市街地、ビル、某国の大使館、油田、食肉店など様々。 ---Xb/Win版では当時「潜水艦」などの追加ステージが配信されていた。 ---PS2版のみ「原子力発電所」のステージが追加されている。 ''アクション'' -二段ジャンプ、はしごや壁・天井のパイプを登るなど様々なアクションが可能で、その中でも特徴的なのが股割りことスプリットジャンプである。 --これは、左右が狭い通路などで使用できるアクションで、一方の壁に向かってジャンプした後、再度ジャンプボタンを長押しすると両足を突っ張って壁の上で静止する事が出来る。 ---この状態から、敵が下を通った時に飛び降りれば敵を気絶させられ、両手が開いているのでそのまま銃を使う事も出来るようになっている。 --他にもしゃがむ事で足音を消したり、壁蹴りで高所に移動するといった事が可能。スティック操作の出来ないWin版ではマウスホイールで移動速度の微調整も可能となっている。 ''攻撃・人物に対する行動'' -武器として銃は存在するが、銃の操作はそれほど使いやすくは作られていない。 --これは、このゲームが敵を倒すことを目的としていないからで''ライトを破壊して明かりを消す''といった目的で使用される事が多い。 --また、銃に取り付けるガジェットとして気絶用の弾や錯乱用カメラなども存在するが、装備できる数は非常に少なく、射程も短い。 --加えてサムは潜入のエキスパートではあっても超人ではないため、銃弾を3,4発受けると倒れてしまう。自動回復もせず、体力の回復はメディカルキットを使用して行う。 -上記の理由から、''敵をスルー''するか、敵を倒す必要がある場合は気づかれないように''敵の背後に忍び寄り殴り倒して気絶あるいは拘束''というアクションがメインとなる。 --拘束した敵からはドアロックのパスワードを聞きだしたり、網膜センサーに押し付けて扉を開くといった事が出来る。倒した敵を放置すると怪しまれるため、倒した敵を隠す事も必要となる。 ---はしごなどを登り敵の上を取りドロップ攻撃で気絶させることもできる。 ---尚、敵は気絶しても他の敵に起こされない限り目を覚ます事はないため、ちゃんと隠しておけば気絶させた敵が戻ってきていないかビクビクする必要はあまり無い。 --気絶・拘束を行わずにスルーする場合は敵の視界に入らないようにするか、空き缶などのオブジェクトを投げて敵がそれに気を取られている間に先へ進む。 -そういったゲーム性上、超人的な戦闘能力を持ったボスキャラクターは存在せず、ボス戦と呼べるようなイベントも皆無。襲い来る敵と銃撃戦を繰り広げるシーンはあるが、その位である。ラスボスにあたる敵の総大将は存在するが、これも直接対決で倒す訳ではない。 ''ガジェット'' -様々なガジェットを使う事が出来る。 --基本装備としてナイトヴィジョン、サーマルヴィジョン機能の付いたマルチスペクトラムゴーグルがある。暗闇にまぎれて敵の目を欺くために必須の装備となる。 ---緑色のレンズが3つ付いた外観をしており、ナイトヴィジョンへの切り替え時には「チュイーン」という音がする。この装備は以後スプリンターセルシリーズのトレードマークとなっている。 --その他には、ピッキングツール、レーザーマイク、カメラ妨害装置、ドアの向こうが見れる光ファイバーカメラなどがある。&br()また、銃に取り付ける装備には、発射したところにカメラを設置し偵察できるスティッキーカメラや、敵の気絶用のガスグレネードなどもあるが、上記の通り個数少ない。 -画面右下のHUD(OPSAT)には現在地の明るさを視覚化したステルスメーターがあり、このメーターが左に行くほど敵に見つかりにくくなる。 --暗がりでじっとしていれば敵がすぐ近くを通ってもぶつからない限りは気づかれる事はない。 ---- **評価点 ''リアルさを追求したステルスゲームと攻略選択の幅の広さ'' -潜入するために必要な様々な要素が拘って作られているため潜入作戦の雰囲気は抜群。 --ドアの鍵をピッキング、敵を拘束して網膜スキャンを突破、暗証番号を自分で入力、カメラやライトを破壊して死角を作り出す、超小型カメラを使って扉の向こうの様子を探るなど非常に現実的。 --敵の反応もリアルで、音に反応するのはもちろんサムの影を見つけると警戒したり、逆に無警戒の時は口笛を吹いたりと様々な行動を取ってくれる。----作業に熱中していると手元しか見えず後ろを通っても気づかれなかったりと視覚も現実的。また、警戒する敵を周囲のオブジェクトを投げて誘導する事も出来る。 --敵をすべて殲滅するもよし、その気になれば本当に一切敵に見つからずに行動出来る攻略の幅もある。 --また、非常に難易度が高いが、ゲームを通して1人以外はノーキルでクリアすることができる。 ---参考:http://www.ne.jp/asahi/hzk/kommander/scelltop.html -多数のアクションとステルスシステムから難しいイメージがあるが、ゲーム開始直後のトレーニングで基本的なチュートリアルが行われる。 -メニュー画面にあたるOPSATでは現在の目標、入手した暗証番号などをまとめているため、入手したパスワードを忘れる事はない。 ''美麗なグラフィック'' -グラフィックで賞を獲得したことからも分かる通り、当時としては美麗なグラフィックが話題を呼んだ。 -特に最大の特徴である光と闇の対比には力を入れており、序盤から大型のファンから差し込む光の束など印象的な画作りをしている。 --光と影が直接ゲームに関わってくるため、グラフィックとゲーム性が両立している。 -また、当時としては珍しいぶつかるとその通りにはためくリアルな布がつるされているところがある。 -家庭用版ではXb版を基準として開発されており、こちらも美しいグラフィックが評価された。 --その分スペックで劣るPS2版は若干クオリティが低下している。 ---しかしPS2版もプリレンダリングムービーのプロローグが追加されていると言った独自の長所もある((CIAのエージェント2人が拘束されるシーンや、サムに召集が掛かるシーンなど。ただし、「Name of the Game」は流れなくなっている。))。また、サムの娘のサラは%%不細工だった%%Xbox版より可愛くなっている。 ''緻密に練り上げられたストーリー'' -小説家トム・クランシー監修のゲームであり緻密に考証を重ねた世界観、ストーリーの評価が高い。 --当初はエージェントの失踪から始まった事件だが、やがて世界規模の情報テロ、そして第三次世界大戦勃発の危機にまで発展していく。緊迫の情勢の中、主人公サムは事態の収束のために人知れず世界を飛び回るのである。 --ストーリー途中にはニュース番組の形式で情勢の変化がリアルに描かれるようになっている。演出も本格的で、中盤からは常に緊張感溢れる展開が繰り広げられる。 -ミッション中のストーリーはプレイを阻害しない程度の簡潔な会話と無線で語られ、『メタルギアソリッド』のように大掛かりなカットシーンによるイベントはほぼ皆無。演出も全体的にあっさり目で淡々と進む。そのため、ミッション中のドラマ性は乏しい。 --しかしその分、ステージ前のムービーシーンやニュース映像による没入感は強く、無線や敵兵達のウィットに富んだ会話やバリエーション豊かなステージ内容もあってストーリーそのものの淡白さは少ない。 -本作の目的はあくまで隠密行動であり、どのミッションも「機密情報の入手」「特定人物の拉致」など最後の最後まで隠密に済ませられる地道な諜報活動となっており、「テロ組織の武装解除」「敵兵器の破壊」と言ったハリウッド映画的な派手さは無い。 --それ故に地に足が付いた本格的なスパイの気分を味わえ、メタルギアシリーズなどとはまた違う面白さがある。 -各キャラクターもサムをはじめ皆個性的。真面目でシリアスな場面でも所々ジョークを挟むことで重くなりすぎずに緊張感を持たせている。このあたりはハリウッド映画のノリに近いと言えよう。 --本編ではちょっとした会話で済まされた内容も、OPSAT内に情報が蓄積される事で詳細を知ることが出来、重厚な世界観を窺う事が出来る。 ''ベテラン声優陣による主要登場人物の日本語吹き替え(Xbox版)'' -Xb版のみだが本編は日本語吹き替えで、主要登場人物は主人公のサム・フィッシャーを演じる玄田哲章氏や、アーヴィング・ランバート役の池田勝氏、アンナ・グリムスドッティア役の日野由利加氏など洋画の日本語吹き替えでおなじみのベテラン声優陣が担当している。が、少々の問題も生まれることとなった(詳細は下記参照)。 -ちなみにPS2版、Win版(完全日本語版含む)は英語音声のままである。 ---- **問題点 ''攻略ルートが完全な一本道'' -分かれ道などもなく、スタート地点から脱出地点までのルートは殆ど一本道で固定。一度通ったチェックポイントを戻る必要もないため、やらされている感がある。 --ただし、これは意図したものであり、ステージで迷子になって快適なゲームプレイを阻害しないよう配慮された結果である。後のシリーズでは攻略法の選択肢が増えた。 -攻略の幅が広いとは上述したが、ルートが一本道である関係上ぶつかる障害のあるポイントも決まっており、更に各ポイント毎に有用な方法は限られているため、好きな方法で好きに進めると言うよりも、どの方法を取れば上手く突破できるのかを試行錯誤しながら進むと言った方がいいかもしれない。 --後述する通り難易度は非常に高く、見つかるとリカバーが効かないため、何度もリトライしながら突破口を模索していく事になる。宛らパズルゲームと評される事も。 -マップ画面は存在するが、かなり簡素なためどこがどうなっているのか把握するのが困難。 --前述のようにOPSAT内に情報が蓄積されていくが、作戦前のブリーフィングはないので、まずOPSATを開いて情報を把握する作業が必要となる。 ''難易度の調整不足と(ほぼ)ノーキル難度の異常な高さ'' -スパイ活動の難しさを体現したかのように全体的な難易度は高く、難易度設定ごとの差はあまりない(敵の警戒の仕方が変化する…といった事はない)ため2周目でもプレイ感覚は変わらない。 -ステルスへの比重が大きく、正面からの銃撃戦に向かないシステムであるにもかかわらず、一度に複数を相手に銃撃戦を強いられる場面が3回ほどある。 --1つ目は個数の少ない非殺傷武器で倒す、2,3回目は開始時にはわからない場所にある出口にダッシュする(そうしないとライフの関係で脱出不可能になる。無闇に戦っても正確に撃たれる)という初見ではわからないものであり攻略情報なしでは気づきにくい。 -銃はレティクルが徐々に狭まっていって命中精度が上がるシステムだが、最大の状態でも当たり難い。確実に当てるにはかなり近づいて撃たないとならない。 --特に蛍光灯などを撃つ場合の当たり判定が狭い上に、発光部分も白いのでスナイパーモードでも判断がしにくい。 --そして上記の項で触れたように、敵は通常時は暗闇に弱い癖にいざ戦闘態勢に入るとどこに隠れようが正確に狙ってくる。戦闘においては暗闇はアドバンテージにならない。 -敵の配置、遮蔽物などが常に窮屈なステージデザインであり、ノーキルクリアは極めて難しい。 --非殺傷武器は射程が短く個数も少ない。 --背後からの気絶、拘束の有効距離が非常に狭く、敵の頭に息を吹きかけるほどに近づかなければならない。前述した通り、敵は他のステルスゲームに比べて暗闇に弱いのに対して異常なほどに足音に敏感である。敵が立ち止るまでは動作は難しい。 ---足音に気づかれないようにするには、しゃがんでアナログスティックをわずかに倒して移動すればいいのだが「気づかれない速度で移動ボタン」などはなく、Xb版において最大に倒した場合を6とすると1くらいの倒し方が必要。(4.5あたりですでに最高速度となる)移動は基本的に常にこのような感じである。 ---ダッシュで気絶させることもできるが他の敵に気づかれやすい。 ---気付かれず引き離されないギリギリの速度でこっそり後を付けて立ち止まった所で拘束…と狙おうとしても、足を止めた途端に間髪置かず振り向く敵兵も多く、この戦法もなかなか使い難い。 --複数の見張りが同時に目を離したタイミングで一気に(しかし気取られないように)通り抜ける、という動きを要求される場面が多い。チャンスがなかなか巡ってこない上、タイミングと要求される操作もシビアなので神経が磨り減る。 --敵は一度警戒すると行動パターンが変わり元の状態には戻らない他、敵が隙を見せるのがエリアに入ってすぐの1度しかないなど、ワンチャンスな要素が多い。 --初見では目視で確認しにくく出現を予測しづらく張り付きで偵察できない場所の敵から見つかることがある。(下にいるときに階段の上からや階段を降りると敵がこちらを向いているなど) --ドアを開けるとそれがトリガーとなって敵がこちらに向かってくるので物陰に隠れるという場面があるが、すぐ近くにあるドアが勝手に閉まるまで開けたドアが閉まらずに敵に気づかれる。また、こちらに向かってくるまでの時間が短いため、ドアが閉まるかどうかがほぼ不確定要素になってしまうシステム的な問題がある。 ---チェックポイントの直後のためやり直しはしやすい。 --チェックポイントは多く失敗した時のやり直しはそれなりにしやすいが、非常に短い距離でチェックポイントに到達するところとそうでないところのムラは激しい。また、後述の問題もある。 -そしてサムは超人ではないため、見つかって複数の敵に包囲されると生き残るのは厳しい。メタルギアシリーズのように「逃げ切ってから敵が捜索を諦めるまで隠れ、それから潜入を再開する」という事が難しく、発見されたらやり直し確定というケースが殆どである。 //内容が重複してるので統合 ''システム関連の問題'' -''即ゲームオーバーなチェックポイントの存在'' --ある地点を通るとチェックポイントとなりセーブする形式で、また、ロードしても状況がリセットさせる仕様ではないため、即ゲームオーバーなチェックポイントが存在する。ミッションをはじめからやり直すしかない。 ---例)トラックの後を追いゲートを通る道の途中にチェックポイントがあるため、追いつけない状態のままセーブしてしまうとリカバーできない。 -''アンバランスな音量'' --上述したように敵は他のステルスゲームに比べて異常なほどに足音に敏感である。プレイヤーが足音として感知できないほどの音で気づくため細心の注意が必要である。 ---プレイヤーが足音として聞こえるように設定することはできない。効果音最大 BGM音量0にしてもBGMはなるし効果音もあまり大きくならない。 --このような設定にかかわらず、飛び降りる時の音は非常に大きく、それなのに敵は気づかないなど音量バランスが悪い。 ''日本語版にまつわる問題(Xb版)'' -Xb版は日本語吹き替えであるが、元の英語版に比べてモブ敵の音声は担当が少ないようだ。日本の方でバリエーションをつけようと思ったのか''ピッチダウンしたゾンビの様な低い声が多く使われる''((ボイスチェンジャーを使った脅迫電話のような、と言えばイメージできるだろうか。))。しかし、その敵の別のセリフは普通の声ということが非常に多く整合性が取れない。 --敵は顔に何も身につけてないため、フルフェイスヘルメットのこもった声の表現というわけではない。 -すべての音声の吹き替えがされているわけではなく、モブ敵の一部のセリフが英語のまま。 --なお、サムの回復アイテムを使用した時やダメージを受けた時の声も英語のままで、吹き替えの声とは似ても似つかない。 -全体的に録音品質が悪いのかエフェクトをかけてない部分でも音質はあまり良くない。 ''その他'' -上記の通り、地道な諜報活動を描くゲームであるため、ストーリー自体は練りこまれているがその描写はかなりあっさり。 --淡白な演出やミッション内容の地味さに加え、印象の強い好敵手なども存在せず、サム自身もミッション中は極めて冷淡でドライでありキャラ同士の絡みもさほど描かれないため、メタルギアシリーズのようなドラマ性を期待すると肩透かしを喰らう。 ---ミッション間のムービーではサムは娘の身を案じて取り乱したり、仲間の死に悲しむなどの感情を顕にするシーンがあるので終始クールという訳ではないが、基本は淡々と任務をこなしていくのでドラマチックさは薄い。 --エンディングもカタルシスに欠ける訳ではないが実にあっさりしている。最後は次の任務と思しき電話で終わる辺り、今回のような大事件もサムにとっては任務の一つに過ぎなかったという事だろう。 -あるステージでは頻繁に数十秒のムービーが挟まれるが、スキップできないためゲームオーバーするたびに何回も見せられる羽目になる。 --ステージ序盤のニュース映像以外ゲームプレイを通してムービーのスキップができる場所はない。 -暗闇に潜むシステムは重要ではある一方、ステルスメーターが左寄りなら画面では丸見えでも見つからないため違和感がある。 --といっても索敵状態になると足音を察知し真っ暗闇だろうと正確に銃を撃ってくる。また、いくら暗闇でもすぐ近くに寄られると発見される。 --他にもサムが装備しているゴーグルや背中の機械が常に緑色に光っているため、バレバレにしか見えない点もよく指摘される。 ---これも意図されたものであり、発光がないとプレイヤーが主人公を視認することが困難になってしまうため。 -壁張り付きのアクションがあるが、カメラアングルはあまり考慮されていないため見づらく、慣れるまでは難しい。 --カメラが一周することはできず、サムの正面にカメラを回すことができない。 -敵の仕掛けたタレットのハッキングが少しわかりづらい #region(close,詳細) 最初は~ ~ タレットをハッキング~ |◯ 解除| |● IFF無効| ~ となっており●がオン、◯がオフ。IFFというのは敵味方を区別して攻撃する機能。無効にすると見境なく攻撃するようになる。~ ちなみに解除はタレットの動作を止める。~ この状態で、IFFを無効にして、敵を攻撃できるようにするには~ ~ タレットをハッキング~ |◯ 解除| |◯ IFF無効| ~ としなければならない。~ そもそも、敵がタレットを設置する場合の動作としてタレットをオン、IFFをオンとするはずであるから~ ~ タレット~ |● 動作| |● IFF| ~ となるはずである。~ #endregion -サーマルビジョンを使ってのキーパッドの暗証番号解読がわかりづらい。 --敵がキーパッドを使った直後にサーマルビジョンでみて暗号を解読する場面があるが、以下の画像の通りでわかりにくい。&br()このとき、暗証番号は1436となる。 |1|2|3||| |4|5|6|~|~| |7|8|9|~|~| |*|0|#|~|~| --また、すぐに冷めてしまうため試行回数は3回ほどとなり、それに失敗すると即ゲームオーバーとなる。 ---『Tom Clancy's Splinter Cell Classic Trilogy』では改善されている。 -天井のパイプに登っていてもこちらを向いている敵に発見されたりする。 --リアルともいえる。 -垂直なパイプや天井のパイプに登れることになっているが、天井や壁面共に登れないパイプが複数存在する。 --最近のアクションのできる範囲に近づいたらボタンインストラクションがあり該当するボタンを押すと自動的にアクションを行うタイプでなく、手が触れたらアクションをするタイプのためつかめないのか分かりにくい。そしてジャンプの音で敵が警戒する。 -ミッション開始直後にジャンプアクションを強制されるパートがある。落ちたら即死の上にゲームプレイを通してほとんど使用の機会がなく操作性があまり良くない二段ジャンプが要求される。 -隠し要素、クリア特典などが一切無く、また、プレイ結果が評価されると言った要素も無い。 --攻略ルートが一本道である事などもあって、一回クリアしたらそれで終わりになりがち。 --OPSATに蓄積する情報を集める遊び要素はあるが、ステージをクリアすると記録される事なく全て消えるのでモチベーションは維持しにくく、後からゆっくり閲覧する事も出来ない。 ---- **総評 『[[メタルギアソリッド]]』と似ているようで全く別物のゲーム性や、光と闇を強調したグラフィックが高い評価を得た名作。~ 難易度が高いため何度もやり直して突破口を探していくゲームであるが、それだけにクリア出来た時の爽快感は正に満点である。~ しかしその難易度の高さは調整不足から来る理不尽さを含むが故でもあり、華麗なステルスプレイは勿論、~ 普通にクリアするだけでもゲームオーバーとコンティニューを何度も繰り返せる根気と折れない心を要する。~ そのため、誰にでも勧められる良作とは言い難いが、それでも色褪せない面白さを持つタイトルであり、続編も数多く制作される人気シリーズとなっていった。 ---- **余談 -海外ではゲームボーイアドバンスやゲームキューブなど他にも様々なハードで発売された。GBA版は横スクロールアクションになっている。 --また、2011年にPS3にて、本作と第2作『[[パンドラトゥモロー>トム・クランシーシリーズ スプリンターセル パンドラトゥモロー]]』と、第3作『[[カオスセオリー>トム・クランシーシリーズ スプリンターセル カオスセオリー]]』の3作をHDリマスターセットにした『Tom Clancy's Splinter Cell Classic Trilogy』が発売された。残念ながら日本では未発売。 -暗闇を利用するゲームシステムはアイドスから発売された『Thief』シリーズと共通している。 --『Thief』は剣や弓矢を使う盗賊が宝を手に入れる事を目的とするFPSのため、似通ってはいるものの雰囲気やプレイ感覚はかなり異なる。 -後にメタルギアシリーズでも、『[[メタルギアソリッド3 スネークイーター]]』にて、背景や暗闇に溶け込んで敵の目を欺くという、本作に通じるシステムが採用された。 --尚、同作収録のミニゲーム内にて「(ステルスミッションなんてもう珍しくないから)サムやゲイブに任せたらどうだ?」と、さり気なく本シリーズ主人公の名前を出す小ネタがある(「ゲイブ」は『サイフォンフィルター』((ステルス要素を含むTPSシリーズ。))の主人公)。 --逆に『ゴーストリコン ワイルドランズ』の追加ミッションにサムが出演した際、[[バンダナを巻いた単独潜入好きの男の引退>メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット]]を偲ぶ会話がある。 -上記の通り、本作は他のステルスゲームに比べて地道な諜報活動をメインとしており、内容に派手さは少ない。 --この路線は第4作『二重スパイ』まで続いたが、第5作『コンヴィクション』からは映画的な派手さを追求した方向性に舵を切っており、初期とは作風が大きく変化している。 ---マンネリ打破を狙ったテコ入れは好評を得た一方、やはり往年のファンからは不満の意見も聞かれたためか、第6作『ブラックリスト』ではアサルトプレイとステルスプレイの両方が選択可能な作りになった。 ---また、ストーリー面でも『二重スパイ』は大きな転換点となり、以降はサム自身にも深く関わる濃い物語性を宿した作品がリリースされている。 ---- **その後の展開 -2021年12月に初代『スプリンターセル』がリメイクされることが発表された。 --対応機種は不明だが、同じトム・クランシーシリーズ作品の『The Division』で使用されているSnowdropエンジンを使ってフルリメイクするとのこと。 --また、リメイクによって初代の精神を損なわないようオープンワールドではなくリニアな進行とすることと、初代と同じく「ステルスアクションの再定義」を目指すことが明かされた。
*トム・クランシーシリーズ スプリンターセル 【とむ・くらんしーしりーず すぷりんたーせる】 |ジャンル|ステルスアクション|&amazon(B00008SM5F)|&amazon(B0000D0Y6M)&amazon(B00007B8RX)| |対応機種|Windows 98~XP&br()プレイステーション2&br()Xbox|~|~| |発売元|ユービーアイソフト|~|~| |開発元|ユービーアイソフト モントリオール&br()【PS2】ユービーアイ上海|~|~| |発売日|【Win】2003年2月22日(日本語マニュアル版)&br()2003年5月30日(完全日本語版)&br()【PS2/Xb】2003年11月27日|~|~| |定価|【Win】7,140円(日本語マニュアル版)&br;    10,290円(完全日本語版)&br()【PS2/Xb】7,140円|~|~| |廉価版|【PS2】UBISOFT BEST&br() 2005年7月7日/2,940円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|~| |ポイント|暗闇に紛れての潜入任務&br()潜入の難しさを体現したような高難易度|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[トム・クランシーシリーズ]]''| //「判定変更議論スレ3」で提案し、良作より判定変更。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アメリカの作家トム・クランシー氏が監修を務めたゲームシリーズの1つ『スプリンターセル』シリーズの第1作。~ 同じトム・クランシー原作・監修の『レインボーシックス』『ゴーストリコン』などと世界観を共有しているが、~ ミリタリー系のFPSやTPSである他シリーズと異なり、本作は敵に見つからないように任務を遂行するステルスアクションとなっている。~ ステルスアクションの名作『[[メタルギア>メタルギアシリーズ]]』シリーズとは似て非なるゲーム性やグラフィックの美しさが高く評価され様々な賞を獲得、シリーズ化が行われた((『メタルギア』シリーズとは互いにリスペクトし合う関係である。))。~ 開発は後に『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂(シリーズ)』や『[[ASSASSIN'S CREED>ASSASSIN'S CREEDシリーズ]]』シリーズを手がける、ユービーアイソフト モントリオールが担当。~ テーマソングはThe Crystal Methodの「Name of the Game」((他にも映画『ブレイド2』など数々の作品で使用されている。))。~ PS2版はUBI上海の開発であり、ステージの構造や演出が若干異なる。本頁では断りが無い限りは基本的にXbox版、Win版について解説する。 ---- **ストーリー 2003年、NSA((アメリカ国家安全保障局。実在する組織。当時は公式に存在を認めていなかった。))は情報漏洩や国際テロに対抗するための諜報組織サードエシュロンを極秘裏に設立した。 2004年、旧ソ連グルジア共和国にて突如消息を絶ったCIAのエージェント2人の捜索任務がサードエシュロンに下される。~ CIAはこの程、グルジアに独裁体制を敷くニコラーゼ大統領の内偵を行っており、さらにグルジアの軍部は活発な動きを見せているという。~ サードエシュロンは優秀なエージェントであるサム・フィッシャーにこの任務を任せるが…。 ---- **システム -ゲームは三人称自由視点による3Dアクションを基本としており、カメラは自由に動かすことが可能。 --一本道のステージクリア型で、プレイヤーは秘密工作員 サム・フィッシャーとして以下の要素などを活用して''「暗闇に紛れて敵に発見されずに目標を達成すること」''を目的に行動する。 --当時の『メタルギア』シリーズ((後年には『MGS4』『MGR』など本作に近い形式の作品も登場している。))は作品毎に施設や島などの一つの舞台でゲームを展開していたのに対し、本シリーズはステージによって国も地域も全く異なる場所に潜入する事になる。 ---潜入場所も市街地、ビル、某国の大使館、油田、食肉店など様々。 ---Xb/Win版では当時「潜水艦」などの追加ステージが配信されていた。 ---PS2版のみ「原子力発電所」のステージが追加されている。 ''アクション'' -二段ジャンプ、はしごや壁・天井のパイプを登るなど様々なアクションが可能で、その中でも特徴的なのが股割りことスプリットジャンプである。 --これは、左右が狭い通路などで使用できるアクションで、一方の壁に向かってジャンプした後、再度ジャンプボタンを長押しすると両足を突っ張って壁の上で静止する事が出来る。 ---この状態から、敵が下を通った時に飛び降りれば敵を気絶させられ、両手が開いているのでそのまま銃を使う事も出来るようになっている。 --他にもしゃがむ事で足音を消したり、壁蹴りで高所に移動するといった事が可能。スティック操作の出来ないWin版ではマウスホイールで移動速度の微調整も可能となっている。 ''攻撃・人物に対する行動'' -武器として銃は存在するが、銃の操作はそれほど使いやすくは作られていない。 --これは、このゲームが敵を倒すことを目的としていないからで''ライトを破壊して明かりを消す''といった目的で使用される事が多い。 --また、銃に取り付けるガジェットとして気絶用の弾や錯乱用カメラなども存在するが、装備できる数は非常に少なく、射程も短い。 --加えてサムは潜入のエキスパートではあっても超人ではないため、銃弾を3,4発受けると倒れてしまう。自動回復もせず、体力の回復はメディカルキットを使用して行う。 -上記の理由から、''敵をスルー''するか、敵を倒す必要がある場合は気づかれないように''敵の背後に忍び寄り殴り倒して気絶あるいは拘束''というアクションがメインとなる。 --拘束した敵からはドアロックのパスワードを聞きだしたり、網膜センサーに押し付けて扉を開くといった事が出来る。倒した敵を放置すると怪しまれるため、倒した敵を隠す事も必要となる。 ---はしごなどを登り敵の上を取りドロップ攻撃で気絶させることもできる。 ---尚、敵は気絶しても他の敵に起こされない限り目を覚ます事はないため、ちゃんと隠しておけば気絶させた敵が戻ってきていないかビクビクする必要はあまり無い。 --気絶・拘束を行わずにスルーする場合は敵の視界に入らないようにするか、空き缶などのオブジェクトを投げて敵がそれに気を取られている間に先へ進む。 -そういったゲーム性上、超人的な戦闘能力を持ったボスキャラクターは存在せず、ボス戦と呼べるようなイベントも皆無。襲い来る敵と銃撃戦を繰り広げるシーンはあるが、その位である。ラスボスにあたる敵の総大将は存在するが、これも直接対決で倒す訳ではない。 ''ガジェット'' -様々なガジェットを使う事が出来る。 --基本装備としてナイトヴィジョン、サーマルヴィジョン機能の付いたマルチスペクトラムゴーグルがある。暗闇にまぎれて敵の目を欺くために必須の装備となる。 ---緑色のレンズが3つ付いた外観をしており、ナイトヴィジョンへの切り替え時には「チュイーン」という音がする。この装備は以後スプリンターセルシリーズのトレードマークとなっている。 --その他には、ピッキングツール、レーザーマイク、カメラ妨害装置、ドアの向こうが見れる光ファイバーカメラなどがある。&br()また、銃に取り付ける装備には、発射したところにカメラを設置し偵察できるスティッキーカメラや、敵の気絶用のガスグレネードなどもあるが、上記の通り個数少ない。 -画面右下のHUD(OPSAT)には現在地の明るさを視覚化したステルスメーターがあり、このメーターが左に行くほど敵に見つかりにくくなる。 --暗がりでじっとしていれば敵がすぐ近くを通ってもぶつからない限りは気づかれる事はない。 ---- **評価点 ''リアルさを追求したステルスゲームと攻略選択の幅の広さ'' -潜入するために必要な様々な要素が拘って作られているため潜入作戦の雰囲気は抜群。 --ドアの鍵をピッキング、敵を拘束して網膜スキャンを突破、暗証番号を自分で入力、カメラやライトを破壊して死角を作り出す、超小型カメラを使って扉の向こうの様子を探るなど非常に現実的。 --敵の反応もリアルで、音に反応するのはもちろんサムの影を見つけると警戒したり、逆に無警戒の時は口笛を吹いたりと様々な行動を取ってくれる。----作業に熱中していると手元しか見えず後ろを通っても気づかれなかったりと視覚も現実的。また、警戒する敵を周囲のオブジェクトを投げて誘導する事も出来る。 --敵をすべて殲滅するもよし、その気になれば本当に一切敵に見つからずに行動出来る攻略の幅もある。 --また、非常に難易度が高いが、ゲームを通して1人以外はノーキルでクリアすることができる。 ---参考:http://www.ne.jp/asahi/hzk/kommander/scelltop.html -多数のアクションとステルスシステムから難しいイメージがあるが、ゲーム開始直後のトレーニングで基本的なチュートリアルが行われる。 -メニュー画面にあたるOPSATでは現在の目標、入手した暗証番号などをまとめているため、入手したパスワードを忘れる事はない。 ''美麗なグラフィック'' -グラフィックで賞を獲得したことからも分かる通り、当時としては美麗なグラフィックが話題を呼んだ。 -特に最大の特徴である光と闇の対比には力を入れており、序盤から大型のファンから差し込む光の束など印象的な画作りをしている。 --光と影が直接ゲームに関わってくるため、グラフィックとゲーム性が両立している。 -また、当時としては珍しいぶつかるとその通りにはためくリアルな布がつるされているところがある。 -家庭用版ではXb版を基準として開発されており、こちらも美しいグラフィックが評価された。 --その分スペックで劣るPS2版は若干クオリティが低下している。 ---しかしPS2版もプリレンダリングムービーのプロローグが追加されていると言った独自の長所もある((CIAのエージェント2人が拘束されるシーンや、サムに召集が掛かるシーンなど。ただし、「Name of the Game」は流れなくなっている。))。また、サムの娘のサラは%%不細工だった%%Xbox版より可愛くなっている。 ''緻密に練り上げられたストーリー'' -小説家トム・クランシー監修のゲームであり緻密に考証を重ねた世界観、ストーリーの評価が高い。 --当初はエージェントの失踪から始まった事件だが、やがて世界規模の情報テロ、そして第三次世界大戦勃発の危機にまで発展していく。緊迫の情勢の中、主人公サムは事態の収束のために人知れず世界を飛び回るのである。 --ストーリー途中にはニュース番組の形式で情勢の変化がリアルに描かれるようになっている。演出も本格的で、中盤からは常に緊張感溢れる展開が繰り広げられる。 -ミッション中のストーリーはプレイを阻害しない程度の簡潔な会話と無線で語られ、『メタルギアソリッド』のように大掛かりなカットシーンによるイベントはほぼ皆無。演出も全体的にあっさり目で淡々と進む。そのため、ミッション中のドラマ性は乏しい。 --しかしその分、ステージ前のムービーシーンやニュース映像による没入感は強く、無線や敵兵達のウィットに富んだ会話やバリエーション豊かなステージ内容もあってストーリーそのものの淡白さは少ない。 -本作の目的はあくまで隠密行動であり、どのミッションも「機密情報の入手」「特定人物の拉致」など最後の最後まで隠密に済ませられる地道な諜報活動となっており、「テロ組織の武装解除」「敵兵器の破壊」と言ったハリウッド映画的な派手さは無い。 --それ故に地に足が付いた本格的なスパイの気分を味わえ、メタルギアシリーズなどとはまた違う面白さがある。 -各キャラクターもサムをはじめ皆個性的。真面目でシリアスな場面でも所々ジョークを挟むことで重くなりすぎずに緊張感を持たせている。このあたりはハリウッド映画のノリに近いと言えよう。 --本編ではちょっとした会話で済まされた内容も、OPSAT内に情報が蓄積される事で詳細を知ることが出来、重厚な世界観を窺う事が出来る。 ''ベテラン声優陣による主要登場人物の日本語吹き替え(Xbox版)'' -Xb版のみだが本編は日本語吹き替えで、主要登場人物は主人公のサム・フィッシャーを演じる玄田哲章氏や、アーヴィング・ランバート役の池田勝氏、アンナ・グリムスドッティア役の日野由利加氏など洋画の日本語吹き替えでおなじみのベテラン声優陣が担当している。が、少々の問題も生まれることとなった(詳細は下記参照)。 -ちなみにPS2版、Win版(完全日本語版含む)は英語音声のままである。 ---- **問題点 ''攻略ルートが完全な一本道'' -分かれ道などもなく、スタート地点から脱出地点までのルートは殆ど一本道で固定。一度通ったチェックポイントを戻る必要もないため、やらされている感がある。 --ただし、これは意図したものであり、ステージで迷子になって快適なゲームプレイを阻害しないよう配慮された結果である。後のシリーズでは攻略法の選択肢が増えた。 -攻略の幅が広いとは上述したが、ルートが一本道である関係上ぶつかる障害のあるポイントも決まっており、更に各ポイント毎に有用な方法は限られているため、好きな方法で好きに進めると言うよりも、どの方法を取れば上手く突破できるのかを試行錯誤しながら進むと言った方がいいかもしれない。 --後述する通り難易度は非常に高く、見つかるとリカバーが効かないため、何度もリトライしながら突破口を模索していく事になる。宛らパズルゲームと評される事も。 -マップ画面は存在するが、かなり簡素なためどこがどうなっているのか把握するのが困難。 --前述のようにOPSAT内に情報が蓄積されていくが、作戦前のブリーフィングはないので、まずOPSATを開いて情報を把握する作業が必要となる。 ''難易度の調整不足と(ほぼ)ノーキル難度の異常な高さ'' -スパイ活動の難しさを体現したかのように全体的な難易度は高く、難易度設定ごとの差はあまりない(敵の警戒の仕方が変化する…といった事はない)ため2周目でもプレイ感覚は変わらない。 -ステルスへの比重が大きく、正面からの銃撃戦に向かないシステムであるにもかかわらず、一度に複数を相手に銃撃戦を強いられる場面が3回ほどある。 --1つ目は個数の少ない非殺傷武器で倒す、2,3回目は開始時にはわからない場所にある出口にダッシュする(そうしないとライフの関係で脱出不可能になる。無闇に戦っても正確に撃たれる)という初見ではわからないものであり攻略情報なしでは気づきにくい。 -銃はレティクルが徐々に狭まっていって命中精度が上がるシステムだが、最大の状態でも当たり難い。確実に当てるにはかなり近づいて撃たないとならない。 --特に蛍光灯などを撃つ場合の当たり判定が狭い上に、発光部分も白いのでスナイパーモードでも判断がしにくい。 --そして上記の項で触れたように、敵は通常時は暗闇に弱い癖にいざ戦闘態勢に入るとどこに隠れようが正確に狙ってくる。戦闘においては暗闇はアドバンテージにならない。 -敵の配置、遮蔽物などが常に窮屈なステージデザインであり、ノーキルクリアは極めて難しい。 --非殺傷武器は射程が短く個数も少ない。 --背後からの気絶、拘束の有効距離が非常に狭く、敵の頭に息を吹きかけるほどに近づかなければならない。前述した通り、敵は他のステルスゲームに比べて暗闇に弱いのに対して異常なほどに足音に敏感である。敵が立ち止るまでは動作は難しい。 ---足音に気づかれないようにするには、しゃがんでアナログスティックをわずかに倒して移動すればいいのだが「気づかれない速度で移動ボタン」などはなく、Xb版において最大に倒した場合を6とすると1くらいの倒し方が必要。(4.5あたりですでに最高速度となる)移動は基本的に常にこのような感じである。Win版だとマウスホイールで速度調節すればいいだけだが。 ---ダッシュで気絶させることもできるが他の敵に気づかれやすい。 ---気付かれず引き離されないギリギリの速度でこっそり後を付けて立ち止まった所で拘束…と狙おうとしても、足を止めた途端に間髪置かず振り向く敵兵も多く、この戦法もなかなか使い難い。 --複数の見張りが同時に目を離したタイミングで一気に(しかし気取られないように)通り抜ける、という動きを要求される場面が多い。チャンスがなかなか巡ってこない上、タイミングと要求される操作もシビアなので神経が磨り減る。 --敵は一度警戒すると行動パターンが変わり元の状態には戻らない他、敵が隙を見せるのがエリアに入ってすぐの1度しかないなど、ワンチャンスな要素が多い。 --初見では目視で確認しにくく出現を予測しづらく張り付きで偵察できない場所の敵から見つかることがある。(下にいるときに階段の上からや階段を降りると敵がこちらを向いているなど) --ドアを開けるとそれがトリガーとなって敵がこちらに向かってくるので物陰に隠れるという場面があるが、すぐ近くにあるドアが勝手に閉まるまで開けたドアが閉まらずに敵に気づかれる。また、こちらに向かってくるまでの時間が短いため、ドアが閉まるかどうかがほぼ不確定要素になってしまうシステム的な問題がある。 ---チェックポイントの直後のためやり直しはしやすい。 --チェックポイントは多く失敗した時のやり直しはそれなりにしやすいが、非常に短い距離でチェックポイントに到達するところとそうでないところのムラは激しい。また、後述の問題もある。 -そしてサムは超人ではないため、見つかって複数の敵に包囲されると生き残るのは厳しい。メタルギアシリーズのように「逃げ切ってから敵が捜索を諦めるまで隠れ、それから潜入を再開する」という事が難しく、発見されたらやり直し確定というケースが殆どである。 //内容が重複してるので統合 ''システム関連の問題'' -''即ゲームオーバーなチェックポイントの存在'' --ある地点を通るとチェックポイントとなりセーブする形式で、また、ロードしても状況がリセットさせる仕様ではないため、即ゲームオーバーなチェックポイントが存在する。ミッションをはじめからやり直すしかない。 ---例)トラックの後を追いゲートを通る道の途中にチェックポイントがあるため、追いつけない状態のままセーブしてしまうとリカバーできない。 ---Win版はクイックセーブや名前付きの手動セーブも使用可能なので、これらを併用すれば致命的というほどではない。こだわりがなければ1つのミッションで数十回手動セーブすることもできる。 -''アンバランスな音量'' --上述したように敵は他のステルスゲームに比べて異常なほどに足音に敏感である。プレイヤーが足音として感知できないほどの音で気づくため細心の注意が必要である。 ---プレイヤーが足音として聞こえるように設定することはできない。効果音最大 BGM音量0にしてもBGMはなるし効果音もあまり大きくならない。 --このような設定にかかわらず、飛び降りる時の音は非常に大きく、それなのに敵は気づかないなど音量バランスが悪い。 ''日本語版にまつわる問題(Xb版)'' -Xb版は日本語吹き替えであるが、元の英語版に比べてモブ敵の音声は担当が少ないようだ。日本の方でバリエーションをつけようと思ったのか''ピッチダウンしたゾンビの様な低い声が多く使われる''((ボイスチェンジャーを使った脅迫電話のような、と言えばイメージできるだろうか。))。しかし、その敵の別のセリフは普通の声ということが非常に多く整合性が取れない。 --敵は顔に何も身につけてないため、フルフェイスヘルメットのこもった声の表現というわけではない。 -すべての音声の吹き替えがされているわけではなく、モブ敵の一部のセリフが英語のまま。 --なお、サムの回復アイテムを使用した時やダメージを受けた時の声も英語のままで、吹き替えの声とは似ても似つかない。 -全体的に録音品質が悪いのかエフェクトをかけてない部分でも音質はあまり良くない。 ''その他'' -上記の通り、地道な諜報活動を描くゲームであるため、ストーリー自体は練りこまれているがその描写はかなりあっさり。 --淡白な演出やミッション内容の地味さに加え、印象の強い好敵手なども存在せず、サム自身もミッション中は極めて冷淡でドライでありキャラ同士の絡みもさほど描かれないため、メタルギアシリーズのようなドラマ性を期待すると肩透かしを喰らう。 ---ミッション間のムービーではサムは娘の身を案じて取り乱したり、仲間の死に悲しむなどの感情を顕にするシーンがあるので終始クールという訳ではないが、基本は淡々と任務をこなしていくのでドラマチックさは薄い。 --エンディングもカタルシスに欠ける訳ではないが実にあっさりしている。最後は次の任務と思しき電話で終わる辺り、今回のような大事件もサムにとっては任務の一つに過ぎなかったという事だろう。 -あるステージでは頻繁に数十秒のムービーが挟まれるが、スキップできないためゲームオーバーするたびに何回も見せられる羽目になる。 --ステージ序盤のニュース映像以外ゲームプレイを通してムービーのスキップができる場所はない。 -暗闇に潜むシステムは重要ではある一方、ステルスメーターが左寄りなら画面では丸見えでも見つからないため違和感がある。 --といっても索敵状態になると足音を察知し真っ暗闇だろうと正確に銃を撃ってくる。また、いくら暗闇でもすぐ近くに寄られると発見される。 --他にもサムが装備しているゴーグルや背中の機械が常に緑色に光っているため、バレバレにしか見えない点もよく指摘される。 ---これも意図されたものであり、発光がないとプレイヤーが主人公を視認することが困難になってしまうため。 -壁張り付きのアクションがあるが、カメラアングルはあまり考慮されていないため見づらく、慣れるまでは難しい。 --カメラが一周することはできず、サムの正面にカメラを回すことができない。 -敵の仕掛けたタレットのハッキングが少しわかりづらい #region(close,詳細) 最初は~ ~ タレットをハッキング~ |◯ 解除| |● IFF無効| ~ となっており●がオン、◯がオフ。IFFというのは敵味方を区別して攻撃する機能。無効にすると見境なく攻撃するようになる。~ ちなみに解除はタレットの動作を止める。~ この状態で、IFFを無効にして、敵を攻撃できるようにするには~ ~ タレットをハッキング~ |◯ 解除| |◯ IFF無効| ~ としなければならない。~ そもそも、敵がタレットを設置する場合の動作としてタレットをオン、IFFをオンとするはずであるから~ ~ タレット~ |● 動作| |● IFF| ~ となるはずである。~ #endregion -サーマルビジョンを使ってのキーパッドの暗証番号解読がわかりづらい。 --敵がキーパッドを使った直後にサーマルビジョンでみて暗号を解読する場面があるが、以下の画像の通りでわかりにくい。&br()このとき、暗証番号は1436となる。 |1|2|3||| |4|5|6|~|~| |7|8|9|~|~| |*|0|#|~|~| --また、すぐに冷めてしまうため試行回数は3回ほどとなり、それに失敗すると即ゲームオーバーとなる。 ---『Tom Clancy's Splinter Cell Classic Trilogy』では改善されている。 -天井のパイプに登っていてもこちらを向いている敵に発見されたりする。 --リアルともいえる。 -垂直なパイプや天井のパイプに登れることになっているが、天井や壁面共に登れないパイプが複数存在する。 --最近のアクションのできる範囲に近づいたらボタンインストラクションがあり該当するボタンを押すと自動的にアクションを行うタイプでなく、手が触れたらアクションをするタイプのためつかめないのか分かりにくい。そしてジャンプの音で敵が警戒する。 -ミッション開始直後にジャンプアクションを強制されるパートがある。落ちたら即死の上にゲームプレイを通してほとんど使用の機会がなく操作性があまり良くない二段ジャンプが要求される。 -隠し要素、クリア特典などが一切無く、また、プレイ結果が評価されると言った要素も無い。 --攻略ルートが一本道である事などもあって、一回クリアしたらそれで終わりになりがち。 --OPSATに蓄積する情報を集める遊び要素はあるが、ステージをクリアすると記録される事なく全て消えるのでモチベーションは維持しにくく、後からゆっくり閲覧する事も出来ない。 ---- **総評 『[[メタルギアソリッド]]』と似ているようで全く別物のゲーム性や、光と闇を強調したグラフィックが高い評価を得た名作。~ 難易度が高いため何度もやり直して突破口を探していくゲームであるが、それだけにクリア出来た時の爽快感は正に満点である。~ しかしその難易度の高さは調整不足から来る理不尽さを含むが故でもあり、華麗なステルスプレイは勿論、~ 普通にクリアするだけでもゲームオーバーとコンティニューを何度も繰り返せる根気と折れない心を要する。~ そのため、誰にでも勧められる良作とは言い難いが、それでも色褪せない面白さを持つタイトルであり、続編も数多く制作される人気シリーズとなっていった。 ---- **余談 -海外ではゲームボーイアドバンスやゲームキューブなど他にも様々なハードで発売された。GBA版は横スクロールアクションになっている。 --また、2011年にPS3にて、本作と第2作『[[パンドラトゥモロー>トム・クランシーシリーズ スプリンターセル パンドラトゥモロー]]』と、第3作『[[カオスセオリー>トム・クランシーシリーズ スプリンターセル カオスセオリー]]』の3作をHDリマスターセットにした『Tom Clancy's Splinter Cell Classic Trilogy』が発売された。残念ながら日本では未発売。 -暗闇を利用するゲームシステムはアイドスから発売された『Thief』シリーズと共通している。 --『Thief』は剣や弓矢を使う盗賊が宝を手に入れる事を目的とするFPSのため、似通ってはいるものの雰囲気やプレイ感覚はかなり異なる。 -後にメタルギアシリーズでも、『[[メタルギアソリッド3 スネークイーター]]』にて、背景や暗闇に溶け込んで敵の目を欺くという、本作に通じるシステムが採用された。 --尚、同作収録のミニゲーム内にて「(ステルスミッションなんてもう珍しくないから)サムやゲイブに任せたらどうだ?」と、さり気なく本シリーズ主人公の名前を出す小ネタがある(「ゲイブ」は『サイフォンフィルター』((ステルス要素を含むTPSシリーズ。))の主人公)。 --逆に『ゴーストリコン ワイルドランズ』の追加ミッションにサムが出演した際、[[バンダナを巻いた単独潜入好きの男の引退>メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット]]を偲ぶ会話がある。 -上記の通り、本作は他のステルスゲームに比べて地道な諜報活動をメインとしており、内容に派手さは少ない。 --この路線は第4作『二重スパイ』まで続いたが、第5作『コンヴィクション』からは映画的な派手さを追求した方向性に舵を切っており、初期とは作風が大きく変化している。 ---マンネリ打破を狙ったテコ入れは好評を得た一方、やはり往年のファンからは不満の意見も聞かれたためか、第6作『ブラックリスト』ではアサルトプレイとステルスプレイの両方が選択可能な作りになった。 ---また、ストーリー面でも『二重スパイ』は大きな転換点となり、以降はサム自身にも深く関わる濃い物語性を宿した作品がリリースされている。 ---- **その後の展開 -2021年12月に初代『スプリンターセル』がリメイクされることが発表された。 --対応機種は不明だが、同じトム・クランシーシリーズ作品の『The Division』で使用されているSnowdropエンジンを使ってフルリメイクするとのこと。 --また、リメイクによって初代の精神を損なわないようオープンワールドではなくリニアな進行とすることと、初代と同じく「ステルスアクションの再定義」を目指すことが明かされた。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: