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*機動戦士ガンダム ギレンの野望 【きどうせんしがんだむ ぎれんのやぼう】 |ジャンル|戦略シミュレーション|&image(00207550014.jpg,width=160)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4693&file=00207550014.jpg]] [[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4693&file=00207550034.jpg]]| |対応機種|セガサターン|~| |発売元|バンダイ|~| |開発元|CSK総合研究所(CRI)|~| |発売日|1998年4月9日|~| |定価|7,140円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ガンダムシリーズリンク>ガンダムシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 -TVアニメ『機動戦士ガンダム』で描かれた一年戦争をメインに据えて、本格的な戦略SLGとした作品。~ シミュレーション要素を持ったガンダムゲームとしては、これ以前にも『[[ガチャポン戦士シリーズ>SDガンダムシリーズ]]』『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』などがあったが、SD化されているものが多く基本的にはライトなゲームであった。~ それに対し、本作では軍の総司令官として、諜報・軍事・資金確保・部隊編成など、様々な作業を行わなければならない。 -ジオン公国軍(ギレン・ザビ)と地球連邦軍(レビル将軍)のどちらか一方を選んでプレイする。それぞれゲーム開始時の状況、勝利条件、使用できる兵器やキャラクター、発生するイベントなどが大幅に異なっている。 //偏向的な内容の一文なのでCO。 //-「バンダイのキャラゲーに良作なし」と言われていたところに突如現れた超傑作。~ -従来のガンダムゲーに無かった骨太なシステムはガンダムファンに絶賛され、多くの中毒者を生み出した。 ---- **戦略SLGとしてのゲームシステム -基本システムは、自軍と敵軍が交互に行動を行うターン性のSLG~ 拠点を占領したり、兵器を開発したり生産したり、部隊を編成したり…といった、戦略SLGの基本システムに準拠している。~ また、四角マスではなく、六角へクスである。 --補給ラインの存在~ 自軍が確保している補給ライン上では自軍ユニットの移動力が2倍になる他、物資が多少回復する。また拠点ポイントはその上に居れば自動補給されるが、自軍側から補給ラインが繋がっていないと補給されない。~ 物資は移動や戦闘で消費し、特に戦闘で大量に消費するため、補給ラインを意識した進軍をしなければあっという間に物資切れを起こしてしまう。~ 物資切れとなったユニットは1ターンに1マスしか移動できず、戦闘を仕掛けられず、攻撃されても防御しか出来なくなるため、鉄屑も同然になる。~ 自軍としては極力防ぐべきだが、敵軍の強力なユニットに対して補給ラインの切断や物資切れを狙うのは非常に有効な作戦。 --当初敵軍はシルエットでしか見えず、索敵コマンドにより詳細な能力が分かるようになる。~ 索敵に成功しなければ射撃攻撃の命中率も落ちるため、索敵は非常に重要なコマンド。~ 索敵能力を持った機体でしか実行できないコマンドであり、また戦闘と同じだけの物資を消費するので、レーダー機能に優れた艦戦や偵察機はほぼ必須。 - 当時の戦略SLGは対戦可能なのが当たり前であり、本作の1人プレイ専用戦略SLGという割り切りは極めて画期的であった。しかしそれでヌルくなることもなく、歴史のIFを実現させるために戦局をどう進めるかなど、難易度はむしろ高め。こうした子供向けを捨てた大人向けのデザインも、むしろ広範囲のファンに支持されるようになった。 ---- **評価点 ***ガンダムゲームとしての味付け ''本格的な戦略SLGとしてのシステムをしっかり構築した上で、さらにガンダムゲーとしての要素が盛り込まれている。'' -宇宙世紀ガンダムの象徴的存在とも言える「ミノフスキー粒子」。~ 戦艦や一部のユニットはミノフスキー粒子を散布することが出来、この濃度によって射撃攻撃の命中率が低下する他、索敵の成功率も落ちる。索敵成功しないと更に射撃命中率が落ちる。 --ブライトさんがよく言う「ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布!」は確かに有用な行動だったのである。それくらい目に見えて効果があるため、優位を保つには粒子散布も戦術に組み込んでいく必要がある。 -地球連邦軍、ジオン公国軍など、原作に処したユニットとパイロット。 --連邦ならアムロやガンダム、ジオンならシャアやザクなど、原作通りのパイロットがそれぞれの軍に所属し、原作通りのMS・MAを開発・生産できるようになる。~ 「アムロをガンダムに乗せて戦わせたい!」というファンの思いも容易に実現可能。それどころか原作ではかなわなかったアレックスやらフルアーマーガンダムにすら乗せられる(後述)。~ さらに、MSVや原作で設定のみだったユニット・パイロットも多数収録されている。 --各パイロットには射撃・格闘・反応などの「戦闘能力」と指揮・魅力などの「指揮能力」があり、指揮官の指揮範囲内では指揮官の能力に応じて戦闘能力にプラス修正を受ける。~ この区別によって、「パイロットとしては優秀だが指揮官としてはイマイチ」「指揮官としては優秀だがパイロットとしては使えない」等の原作イメージの再現に成功している。~ アムロは典型的な前線パイロットであるし、シャアは原作通り「パイロットとしても指揮官としても優秀な超エースパイロット」となっている。 --能力により傾向も再現。ハヤトは射撃が得意だし、マ・クベは格闘が得意、シローは耐久が高いなどなど。ただし本作の耐久は能力値×4をHPにプラスという、元から高耐久だったり後になるほど無価値化するという仕様だったため、次回作から修正されている。 --階級の高さによって指揮影響が重複した場合の優先順位が決まり、指揮影響範囲=自分以外の部隊への影響の範囲も広くなる。よって「階級だけ高い無能」が居ると有能な指揮官が本領発揮出来ないという点までできている。またバニングなど有能な隊長は、指揮能力は高いが階級は低い。 --本作のオリジナルキャラクターやオリジナルMSも存在し、それらは後にGジェネレーションシリーズにも登場するようになった。 -連邦、ジオン軍の特徴もしっかり出ている。 --連邦側はモビルスーツ関連の開発で後れを取っており、開始時は航空機や戦車で戦い抜く必要がある。また体制的にエースが活躍しにくい状況が強調されているのかエース専用(1機編成)機体の大半が生産制限がかかっており、パイロットが活躍しにくい。しかしモビルスーツが量産できるようになると、水中用を除けば比較的優良な物が揃っておりコストパフォーマンスが高く、ガンダムでの史実に則った物量作戦で押していける。地上奪還→宇宙にて決着と言う流れのために状況を掴みやすく((当然、ルナ2の守りも考慮する必要があるが。))イベントが自軍にとって有利に展開される事もあって難易度は(ジオンと比べて)低め。 ---後の作品でも「ガンダムが量産可能」、「後継機が追加」といった要素のおかげでジオンよりも難易度が低いことが多い。 --ジオン公国側は開始時からモビルスーツの量産が進んでおり、ザクIIシリーズを中心に展開すれば地球侵攻作戦は比較的有利に進む。反面モビルスーツ以外の戦力、輸送手段に関しては序盤では後れを取る。パイロットの個性を尊重する土壌を反映して専用機や生産制限のない指揮官専用機、モビルアーマーが多数開発できパイロットが存分に能力を発揮できる。連邦のモビルスーツ開発に関してはある程度進行した後で開発に専念しドムを量産すれば後れを取る事はない。ルナ2やジャブローを終盤まで攻略できず、イベントで攻め込まれる事があるために全軍を地球か宇宙のどちらか一方に集中しにくく、イベントで死亡者が出る事もあって難易度は若干高くなる。 -広範なガンダム世界の網羅 --本作では実質一年戦争限定だが、MSVやペズン計画、ジャブロー攻略用MSなど、映像化したことが無かったマイナーな設定やMSも網羅している。 --こうした設定などが埋もれず忘れ去られなかったのは、本シリーズによるところも大きい。 --シミュレーションというシステムもキャラクター数などを拡張しやすく、以降のシリーズで様々なゲームなどのキャラクターやモビルスーツなどが取り込まれることになる。 -ガンダム世界における量産機と高性能試作機などの再現 --ユニットには射撃武器・耐久力・移動力などの性能の他に「限界」があり、優秀なパイロットが乗ってもこの限界以上に性能向上しない。これによりカスタム機などと量産機の区別化が図られている。 --新規開発機体は開発費用だけで1体製造でき、後の高性能機の開発可能トリガーになっていたりする。また限界も高い。これによりガンダム世界では多い「高性能試作機&エースパイロット」が無理なく配備できる。 --シャア専用ザクなど専用機はそのパイロットが乗ると限界が上がる。これにより優秀な能力を遺憾なく発揮できる、正しく専用機といえる。 --武器の使用数や攻撃回数などもパイロットの能力によって増えるため、ケンプファーなど高能力なパイロットが乗ってこそ本領発揮する機体もある。 --一方で量産機は、限界が低いが基礎能力は十分でコストパフォーマンスが良好。基軸はエース&高性能機、数は量産機で、優秀な指揮官や二線級パイロットには高性能量産機を…という点も再現。 -IF設定の存在。 --原作つきゲームながら、原作のストーリーに囚われず、ジオンで連邦を倒すことも普通に可能。~ 原作では出会わなかった「アムロvsガトー」など、「あのキャラクター同士が出会っていたらどうなっていたか?」にもオリジナルの会話にて再現している。~ それだけではなく、「ランバ・ラル隊でホワイトベース隊を撃破」「ホワイトベース隊をルナツーで早々に解散する」など、完全にオリジナルの戦史にも出来る。もちろん以降もifを踏まえて戦況が変わっていくため、「より有利に進めるべくif展開を起こす」「縛りプレイとしてif展開のルートに進む」%%「ギャンだ!ギャンを量産しろ!ジオニックなんかくそくらえだ!」%%などなど、色々と応用可能。 -シナリオの進行状況によっては「第三勢力」が登場する。キシリアが総帥となる「正統ジオン」、キャスバルが旗揚げする「ネオ・ジオン(キャスバル)」、『Zガンダム』内で反ジオンを標榜する「ティターンズ(ジャミトフ)」などの新勢力が発生して三つ巴の戦局が展開される。そしてこれらの勢力を打ち倒すと、自分がこれらの勢力でプレイできるようになる。 --なお本作では、ティターンズ、ネオ・ジオン共に一年戦争の最中に結成される為に、正統ジオンと同様の事実上オリジナルの第三勢力となる。そのためネオ・ジオン、ティターンズ関連イベントは、続編・移植作品とも原作とも異なる本作独自の展開となっている。 ---- **問題点 -難易度が高い。~ 単に戦略SLGとして見た場合、難易度はそれほど高くない。優秀なパイロットを強力なMSに乗せてやれば一騎当千の働きをするし、主戦力で集中攻撃をすれば敵拠点の占領も難しくない。~ ただ、それはあくまで戦略SLGに慣れたプレイヤー視点での話であり、本作の購買層となるのはガンダムファン。本格的な戦略SLGに触れたことのないガンダムファンにとっては極めて難解なゲームである。~ ゲーム開始しても膨大な情報が提示されるのみで、(戦略SLGとしては当然だが)チュートリアル的要素も一切ないため、何をどうやってゲームを進めれば良いのか全く分からない。~ その為に慣れるまでは手探りで色々試していくしかない。 --連邦軍シナリオ ---MSを生産出来ない序盤から中盤にかけて、かなり難易度が高い。ジムを量産出来る様になると一転して大幅に楽になるのだが。 ---完全に打つ手無しではなく、ジオン側が乏しい航空ユニット等を駆使して削って行けば凌ぐことは可能。V作戦を実行すればLV無視で生産プランが出現することもあってそこまで酷くはない。 --ジオン軍シナリオ ---地上・宇宙に戦力が分散されている事と、襲撃・死亡イベントが多い為に連邦側よりも(シリーズ通して)難易度が高い。ジオンは原作で敗北した側であるのでその設定が忠実に再現されているとも言えるが''今作の事実上の主人公はギレン・ザビ''なので、慣れない内にジオン側を選択して詰まってしまったプレイヤーもいたと思われる。 --但し、今作は150ターン経過すると強制的に休戦が締結され、その時の所持拠点数で勝敗が決まる((今作は一年戦争のみなのでジオンの系譜やアクシズの脅威の様に後の戦争に影響もない。))。 ---ジオンは序盤は機体の性能と地球侵攻作戦で圧倒できるので比較的優位を保ちやすく勝利を目指す事自体はさほど難しくはない。 --ネオ・ジオン(隠し勢力)) ---一年戦争中にシャアがジオン・ダイクンの子であると明かして立てた勢力。領地数こそ少ないが開始直後から強力なキャラクターとユニットが存在するのでかなり難易度が低い(出現、使用できる条件が厳しいので当然だが)。 ---開始直後からエルメスを所持、生産可能で(本来なら終盤に開発する筈の)G-3ガンダムを所持していると書けば凄さがわかっていただけるだろうか。 ---ジオン・連邦のキャラクターをかなりの数引き抜いているので、両軍が弱体化しているのも難易度の低下に拍車をかけている。 ---なおこのネオジオンは小説版ガンダムの設定がかなり盛り込まれている。 --正統ジオン(隠し勢力) ---キシリアが父デギンを謀殺した兄ギレンに反旗を翻し、そのギレンを原作で行った暗殺ではなく軍勢で倒そうと立てた勢力。開始時の領地はネオ・ジオンと同じだが、初期ユニットがかなり見劣りするので連邦やジオンよりも厳しい。 ---ただしジオン側の人材を引き抜いているので、ジオン側がやや弱体化しているのが救い。また高級将校が多く、指揮影響では有利に立ちやすい。パイロットも数は少ないがニュータイプは多い。 --ティターンズ(隠し勢力) ---''今作最難関の難易度''。拠点が各地へ攻め込むのに手間がかかる上に連邦ジオンの両軍から攻め込まれる可能性のあるルナ2、人物は質量共に少ない、と前途多難。 ---特にパイロットに適した人物が2人(Z以降に登場した人物は未登場)しかいないので、ジャミトフ自身も前線で指揮を執ってカバーする必要がある。 ---この勢力の特典として連邦とジオン両側の兵器の製造が可能、''量産可能なRXタイプ''G-TITANSの開発ができる。乗せられるパイロットが居ないが… --PSP版「アクシズの脅威」以降は、難易度を自由に選ぶ事が出来るようになった。 ---低難易度だと最初から強力な機体が配備されていたり、敵が索敵やミノフスキー粒子散布を行わないなど遊びやすくなっている。 ---それでもゲーム自体の難解さは変わらない為、一番低い難易度でもSLG初心者お断りである事に変わりないのだが。 -一部の機体には生産数制限がある。ガンダム(RX-78-2)は1機だけ、ガンキャノンは3機までといった具合である。~ RX-78-2ガンダムをエースパイロット全員に回したくても、1機しか生産できない((ただし「Gファイターと合体変形できるガンダム」をアムロが乗る本家ガンダムと別の機体として生産・保有できる上に、そのアムロがマグネットコーティング付加後ガンダムに乗り換えた後は、なぜか付加前のガンダムを保有できるため、(ホワイトベース隊とは別に)2機のRX-78-2を同時に運用できる。さらに、わずかに性能が劣るプロトタイプガンダムを3機、性能が優れるG-3ガンダムを1機、破壊されてもガンダムになって生き残るフルアーマーガンダムを1機保有できるため、最終的には結構な数のガンダムを運用できることになる。))ため不可能。 --ただ、ガンダムは早期から作れる割に、ゲルググ並の攻撃力とゲルググをはるかに上回る耐久力を持つ超高性能機であり、しかも今作はパイロットが乗っていなくてもかなり固いので、もし量産できた場合ゲームバランスが崩壊していた可能性が高い。 ---実際[[次回作>機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜]]では…。 -量産MS(ザクなど)は3機編成で1ユニットを構成しているが、パイロットを量産機に搭乗させると、パイロット搭乗機のみの1機編成ユニットになってしまう。~ 二流以下のパイロット単機のザクと、無名パイロットのザク3機では、耐久力と攻撃回数の関係で後者の方が強いことも多い。ジオンには二流・三流パイロットも多いため、パイロットを搭乗させない方が強い、というおかしな現象が起こってしまう。 --この煽りを受けるのは実は連邦軍だったりする。というのもジオン側はエース専用機ともいえる1機編成機体が量産可能だし、型落ちした専用機に二流以下パイロットを乗せることなどで対応可能だが、連邦側はエース向けは大半がガンダム系のMSしかなく、しかも生産制限が厳しいのでMSパイロットの機体の割り振りがかなりシビアである。どノーマルなジムに乗るバニング隊長というのもある意味原作通りではあるのだが。 --なお一部のエースパイロットを特定の機体に乗せると、自動的に隊長機の象徴である「角付き」になる場合がある。 -戦略規模の全面戦争を題材としており「戦略SLG」を名乗っているが、実際のところプレイヤーが戦略レベルの思考を行う余地は多くない。 --敵重要拠点を攻めるためには「攻略作戦」を発動する必要があるのだが、その発生順がほとんど固定されている。~ 例えば連邦軍で始めた場合、最初に「ペキン攻略作戦」が提案されるが、それを実行しペキン基地を攻略するまで次の攻略作戦は提案されない。ペキン攻略後「ハワイ攻略作戦」が提案され、それを終えるまで次の作戦は提案されない。~ このように敵重要拠点の攻略順が固定されているため、ある程度自由な進軍が出来るとは言え、大枠での進軍は一定となっているのである。 ---ジオン側では、宇宙において連邦軍が唯一押さえている「ルナツー」が非常に目障りなのだが、これを攻略する作戦がなかなか提案されないばかりか、先に連邦軍の本拠地を狙う「ジャブロー攻略作戦」や「最終降下作戦」が提案されたりする。 --とはいえ「いつ攻めるか」という判断は本作でも重要である、というのも攻略作戦実行時に攻略目標拠点に固定ユニットが追加され、拠点攻略数によって敵軍のユニットの質は決められるために、迂闊に進撃し続けるとこちらのユニットが敵軍のユニットの進化に追いつかず、今作の仕様上ユニットの密度も上昇する為に苦戦するようになる。 --地球連邦であれば原作同様GMの配備を待たずに、少数の試作MSと大量の戦車・戦闘機でオデッサ作戦を決行する((現在の設定では「後方支援で前線に出ていなかっただけ」と言う設定のことが多いが、「機動戦士ガンダム」ではホワイトベース隊以外の部隊は一般兵器だけで戦い抜いてオデッサを奪還していた。))、ジオンであればあえて拠点攻略を遅らせてドムが生産できるようになってから地球降下作戦を進めていくのもまた面白い。 -地上のマップが太平洋を中心としたメルカトル図法の世界地図そのままで、地球上の東西部分が繋がっていない。グリーンランドからヨーロッパへ行くために世界一周を強いられる。 -保有できる部隊数は各軍150ずつ。全世界規模の戦争を描くゲームにしてはずいぶん少ない。その乏しい部隊数の中で、CPUは全ての拠点に防衛ユニットを一定数置こうとするため、敵が拠点を保有すればするほど防衛にユニットを割き、プレイヤー拠点への攻撃が散発的な物になる。~ そのため「拠点に防衛ユニット置き忘れた」「降下してきたHLVを放置した」「拠点に向かってくる敵を戦略MAPで迎撃しなかった」等のポカさえやらなければ拠点を取られるという事態は殆ど起きない。 --最も普通にゲームを進めていけばこちらの拠点が増えて敵側の拠点が減る事となる。オマケに敵側は明らかに国力を無視してユニットを生産できるので後半になるほど敵の攻撃が激しくなる。 -自軍の行動をCPUに任せる「作戦行動の委任」があまりに弱すぎる。敵と同程度の戦力ではまず負ける。敵を上回る戦力を保有していても、先述のCPUと同様の散発的な攻撃を繰り返すので、延々と小競り合いをしたまま終戦を迎えてしまう。 --今作の委任は生産もCPUに委ねるので「新開発した新鋭機を廃棄」、「終盤になっても初期のユニットしか生産しない」、「敵が攻めてきているのに生産や迎撃などの''対処療法すらマトモに行わない''」と言った具合に''明らかに敵CPUより思考が悪く、わざと敗北させる為にやっているとしか思えない程酷い''有様である。 --そんな委任であるが、たまに機体の生産制限を無視してガンダム等を量産してくれる。ただし生産の優先度は低いので余り宛にはならないが…。~ 尚、漫画家の吉田創は敵の連邦軍がプレイヤーには出来ない「ガンダムの量産」をしたのを見て「どこぞのゼネコンか」と4コマでネタにした。 -一部無理があるイベント展開 --原作準拠の為に戦闘が起こった拠点ではイベント事に固定敵が突如出現する。例を挙げるとソロモンが陥落せず((SS版にはジオン側視点でのソロモン関連のイベントは無い。))に宇宙のほぼ全域がジオンの勢力で埋め尽くされていようとア・バオア・クー周辺に連邦軍が配置される等。 --ジオンからの和平交渉を無視するとコロニーを落としてきたり((ア・バオア・クー戦終了、途中で起こりやすいイベント。 ジオンの状況を考慮すると実行はおろか準備すらも困難な状況なのだが…。))、ジオン軍でプレイ時に中立拠点から抗議((敵拠点を一定数占拠すると強制発生))されたりとプレイヤー、敵対勢力の行動や状況を無視したイベントも発生する。 --極めつけにはジャブローを落とす為に''強制的に南極条約((簡潔にまとめると捕虜の扱いについてとNBC兵器の使用とコロニー落としの禁止))を破らなければならない(厳密にはルナ2を核バズーカを使用して攻め落とし、サイド7のコロニーをジャブローに落とし対空網を無効化する。)''事である。この作戦の立案者(デラーズとガトー)が原作で行った行動に準拠するものであるがこの作戦が立案される頃は''既にジオン側の状況が有利な時であり力押しでも十分ジャブローを攻略できる状況である''ことが大半である。…というよりも戦況が優勢かつジオン公国が健在している状況で後の統治を(物理的、心理的共に)困難にする方法が立案され、これ以外の作戦が立案されないのか理解に苦しむ。 ---流石に強引だと思われたのか独立戦争記ではルナ2のマスドライバー(宇宙間での物資輸送用カタパルト)を使用した攻撃でジャブローの対空網を無効化する方法を取るように変更されている。 //-演説コマンドの微妙さ //--専用ムービーが流れ全部隊の士気を高める効果があるが費用が掛かりすぎるのでほぼ死にコマンドと化す。 //---実際、4コマ漫画でもネタにされてしまっている。''ギレン「俺の演説はドム3体以下か…」'' //↑初代では演説コマンドが無いので隠しました。 ---- **総評 ガンダムの世界観を上手く戦略SLGとして再現した傑作。~ ゲームとして面白く、ガンダム世界の再現も文句なしであり、名実共に「一年戦争の集大成」となっている。~ ---- ---- **余談 -本作の大人気を受けて『ギレンの野望』はシリーズ化され、以降プラットフォームを変えつつ何本も新作が作られ、ボリュームアップも図られてきた。 //2010年5月現在の最新作では一年戦争から小説作品「閃光のハサウェイ」までが収録されており、MSとして人気の高いνガンダムやΞガンダムも使用可能になっている。 --1998年10月8日、追加シナリオ集『攻略指令書 機動戦士ガンダム ギレンの野望』が発売された。 --2000年にはPS、DCで第二部を加え、システム面を改良した『[[機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜]]』が発売された。 -本作に収録されているギレン総帥の演説ムービーに使用されている「ジーク・ジオン!」の群衆の声は、「セガサターンデジタルサーカス97」のイベントに集まったファンの声を録音したものが使用されている。~ 収録の際、練習無しで一発でタイミングが合ったのは有名な話である。 -本作の1トラック目には、CDプレイヤーでの再生を警告するメッセージが入っているのだが、これが(良い意味で)ひどいミニドラマであった。~ 原作アニメを演じた声優たちによるショートコント仕立てになっており、原作の名シーンや名台詞を原作の声でパロる行為にプレイヤーは(ある意味で)感動した。~ 一応似たような事は[[Gジェネ>SDガンダム Gジェネレーションシリーズ]]でもやっていたのだが、まさか比べるまでもなくリアル指向・硬派なこのゲームでもやると思っていたプレーヤーは少なかったであろう。
*機動戦士ガンダム ギレンの野望 【きどうせんしがんだむ ぎれんのやぼう】 |ジャンル|戦略シミュレーション|&image(00207550014.jpg,width=160)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4693&file=00207550014.jpg]] [[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4693&file=00207550034.jpg]]| |対応機種|セガサターン|~| |発売元|バンダイ|~| |開発元|CSK総合研究所(CRI)|~| |発売日|1998年4月9日|~| |定価|7,140円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ガンダムシリーズリンク>ガンダムシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 -TVアニメ『機動戦士ガンダム』で描かれた一年戦争をメインに据えて、本格的な戦略SLGとした作品。~ シミュレーション要素を持ったガンダムゲームとしては、これ以前にも『[[ガチャポン戦士シリーズ>SDガンダムシリーズ]]』『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』などがあったが、SD化されているものが多く基本的にはライトなゲームであった。~ それに対し、本作では軍の総司令官として、諜報・軍事・資金確保・部隊編成など、様々な作業を行わなければならない。 -ジオン公国軍(ギレン・ザビ)と地球連邦軍(レビル将軍)のどちらか一方を選んでプレイする。それぞれゲーム開始時の状況、勝利条件、使用できる兵器やキャラクター、発生するイベントなどが大幅に異なっている。 //偏向的な内容の一文なのでCO。 //-「バンダイのキャラゲーに良作なし」と言われていたところに突如現れた超傑作。~ -従来のガンダムゲーに無かった骨太なシステムはガンダムファンに絶賛され、多くの中毒者を生み出した。 ---- **戦略SLGとしてのゲームシステム -基本システムは、自軍と敵軍が交互に行動を行うターン性のSLG~ 拠点を占領したり、兵器を開発したり生産したり、部隊を編成したり…といった、戦略SLGの基本システムに準拠している。~ また、四角マスではなく、六角へクスである。 --補給ラインの存在~ 自軍が確保している補給ライン上では自軍ユニットの移動力が2倍になる他、物資が多少回復する。また拠点ポイントはその上に居れば自動補給されるが、自軍側から補給ラインが繋がっていないと補給されない。~ 物資は移動や戦闘で消費し、特に戦闘で大量に消費するため、補給ラインを意識した進軍をしなければあっという間に物資切れを起こしてしまう。~ 物資切れとなったユニットは1ターンに1マスしか移動できず、戦闘を仕掛けられず、攻撃されても防御しか出来なくなるため、鉄屑も同然になる。~ 自軍としては極力防ぐべきだが、敵軍の強力なユニットに対して補給ラインの切断や物資切れを狙うのは非常に有効な作戦。 --当初敵軍はシルエットでしか見えず、索敵コマンドにより詳細な能力が分かるようになる。~ 索敵に成功しなければ射撃攻撃の命中率も落ちるため、索敵は非常に重要なコマンド。~ 索敵能力を持った機体でしか実行できないコマンドであり、また戦闘と同じだけの物資を消費するので、レーダー機能に優れた艦戦や偵察機はほぼ必須。 - 当時の戦略SLGは対戦可能なのが当たり前であり、本作の1人プレイ専用戦略SLGという割り切りは極めて画期的であった。しかしそれでヌルくなることもなく、歴史のIFを実現させるために戦局をどう進めるかなど、難易度はむしろ高め。こうした子供向けを捨てた大人向けのデザインも、むしろ広範囲のファンに支持されるようになった。 ---- **評価点 ***ガンダムゲームとしての味付け ''本格的な戦略SLGとしてのシステムをしっかり構築した上で、さらにガンダムゲーとしての要素が盛り込まれている。'' -宇宙世紀ガンダムの象徴的存在とも言える「ミノフスキー粒子」。~ 戦艦や一部のユニットはミノフスキー粒子を散布することが出来、この濃度によって射撃攻撃の命中率が低下する他、索敵の成功率も落ちる。索敵成功しないと更に射撃命中率が落ちる。 --ブライトさんがよく言う「ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布!」は確かに有用な行動だったのである。それくらい目に見えて効果があるため、優位を保つには粒子散布も戦術に組み込んでいく必要がある。 -地球連邦軍、ジオン公国軍など、原作に処したユニットとパイロット。 --連邦ならアムロやガンダム、ジオンならシャアやザクなど、原作通りのパイロットがそれぞれの軍に所属し、原作通りのMS・MAを開発・生産できるようになる。~ 「アムロをガンダムに乗せて戦わせたい!」というファンの思いも容易に実現可能。それどころか原作ではかなわなかったアレックスやらフルアーマーガンダムにすら乗せられる(後述)。~ さらに、MSVや原作で設定のみだったユニット・パイロットも多数収録されている。 --各パイロットには射撃・格闘・反応などの「戦闘能力」と指揮・魅力などの「指揮能力」があり、指揮官の指揮範囲内では指揮官の能力に応じて戦闘能力にプラス修正を受ける。~ この区別によって、「パイロットとしては優秀だが指揮官としてはイマイチ」「指揮官としては優秀だがパイロットとしては使えない」等の原作イメージの再現に成功している。~ アムロは典型的な前線パイロットであるし、シャアは原作通り「パイロットとしても指揮官としても優秀な超エースパイロット」となっている。 --能力により傾向も再現。ハヤトは射撃が得意だし、マ・クベは格闘が得意、シローは耐久が高いなどなど。ただし本作の耐久は能力値×4をHPにプラスという、元から高耐久だったり後になるほど無価値化するという仕様だったため、次回作から修正されている。 --階級の高さによって指揮影響が重複した場合の優先順位が決まり、指揮影響範囲=自分以外の部隊への影響の範囲も広くなる。よって「階級だけ高い無能」が居ると有能な指揮官が本領発揮出来ないという点までできている。またバニングなど有能な隊長は、指揮能力は高いが階級は低い。 --本作のオリジナルキャラクターやオリジナルMSも存在し、それらは後にGジェネレーションシリーズにも登場するようになった。 -連邦、ジオン軍の特徴もしっかり出ている。 --連邦側はモビルスーツ関連の開発で後れを取っており、開始時は航空機や戦車で戦い抜く必要がある。また体制的にエースが活躍しにくい状況が強調されているのかエース専用(1機編成)機体の大半が生産制限がかかっており、パイロットが活躍しにくい。しかしモビルスーツが量産できるようになると、水中用を除けば比較的優良な物が揃っておりコストパフォーマンスが高く、ガンダムでの史実に則った物量作戦で押していける。地上奪還→宇宙にて決着と言う流れのために状況を掴みやすく((当然、ルナ2の守りも考慮する必要があるが。))イベントが自軍にとって有利に展開される事もあって難易度は(ジオンと比べて)低め。 ---後の作品でも「ガンダムが量産可能」、「後継機が追加」といった要素のおかげでジオンよりも難易度が低いことが多い。 --ジオン公国側は開始時からモビルスーツの量産が進んでおり、ザクIIシリーズを中心に展開すれば地球侵攻作戦は比較的有利に進む。反面モビルスーツ以外の戦力、輸送手段に関しては序盤では後れを取る。パイロットの個性を尊重する土壌を反映して専用機や生産制限のない指揮官専用機、モビルアーマーが多数開発できパイロットが存分に能力を発揮できる。連邦のモビルスーツ開発に関してはある程度進行した後で開発に専念しドムを量産すれば後れを取る事はない。ルナ2やジャブローを終盤まで攻略できず、イベントで攻め込まれる事があるために全軍を地球か宇宙のどちらか一方に集中しにくく、イベントで死亡者が出る事もあって難易度は若干高くなる。 -広範なガンダム世界の網羅 --本作では実質一年戦争限定だが、MSVやペズン計画、ジャブロー攻略用MSなど、映像化したことが無かったマイナーな設定やMSも網羅している。 --こうした設定などが埋もれず忘れ去られなかったのは、本シリーズによるところも大きい。 --シミュレーションというシステムもキャラクター数などを拡張しやすく、以降のシリーズで様々なゲームなどのキャラクターやモビルスーツなどが取り込まれることになる。 -ガンダム世界における量産機と高性能試作機などの再現 --ユニットには射撃武器・耐久力・移動力などの性能の他に「限界」があり、優秀なパイロットが乗ってもこの限界以上に性能向上しない。これによりカスタム機などと量産機の区別化が図られている。 --新規開発機体は開発費用だけで1体製造でき、後の高性能機の開発可能トリガーになっていたりする。また限界も高い。これによりガンダム世界では多い「高性能試作機&エースパイロット」が無理なく配備できる。 --シャア専用ザクなど専用機はそのパイロットが乗ると限界が上がる。これにより優秀な能力を遺憾なく発揮できる、正しく専用機といえる。 --武器の使用数や攻撃回数などもパイロットの能力によって増えるため、ケンプファーなど高能力なパイロットが乗ってこそ本領発揮する機体もある。 --一方で量産機は、限界が低いが基礎能力は十分でコストパフォーマンスが良好。基軸はエース&高性能機、数は量産機で、優秀な指揮官や二線級パイロットには高性能量産機を…という点も再現。 -IF設定の存在。 --原作つきゲームながら、原作のストーリーに囚われず、ジオンで連邦を倒すことも普通に可能。~ 原作では出会わなかった「アムロvsガトー」など、「あのキャラクター同士が出会っていたらどうなっていたか?」にもオリジナルの会話にて再現している。~ それだけではなく、「ランバ・ラル隊でホワイトベース隊を撃破」「ホワイトベース隊をルナツーで早々に解散する」など、完全にオリジナルの戦史にも出来る。もちろん以降もifを踏まえて戦況が変わっていくため、「より有利に進めるべくif展開を起こす」「縛りプレイとしてif展開のルートに進む」%%「ギャンだ!ギャンを量産しろ!ジオニックなんかくそくらえだ!」%%などなど、色々と応用可能。 -シナリオの進行状況によっては「第三勢力」が登場する。キシリアが総帥となる「正統ジオン」、キャスバルが旗揚げする「ネオ・ジオン(キャスバル)」、『Zガンダム』内で反ジオンを標榜する「ティターンズ(ジャミトフ)」などの新勢力が発生して三つ巴の戦局が展開される。そしてこれらの勢力を打ち倒すと、自分がこれらの勢力でプレイできるようになる。 --なお本作では、ティターンズ、ネオ・ジオン共に一年戦争の最中に結成される為に、正統ジオンと同様の事実上オリジナルの第三勢力となる。そのためネオ・ジオン、ティターンズ関連イベントは、続編・移植作品とも原作とも異なる本作独自の展開となっている。 ---- **問題点 -難易度が高い。~ 単に戦略SLGとして見た場合、難易度はそれほど高くない。優秀なパイロットを強力なMSに乗せてやれば一騎当千の働きをするし、主戦力で集中攻撃をすれば敵拠点の占領も難しくない。~ ただ、それはあくまで戦略SLGに慣れたプレイヤー視点での話であり、本作の購買層となるのはガンダムファン。本格的な戦略SLGに触れたことのないガンダムファンにとっては極めて難解なゲームである。~ ゲーム開始しても膨大な情報が提示されるのみで、(戦略SLGとしては当然だが)チュートリアル的要素も一切ないため、何をどうやってゲームを進めれば良いのか全く分からない。~ その為に慣れるまでは手探りで色々試していくしかない。 --連邦軍シナリオ ---MSを生産出来ない序盤から中盤にかけて、かなり難易度が高い。ジムを量産出来る様になると一転して大幅に楽になるのだが。 ---完全に打つ手無しではなく、ジオン側が乏しい航空ユニット等を駆使して削って行けば凌ぐことは可能。V作戦を実行すればLV無視で生産プランが出現することもあってそこまで酷くはない。 --ジオン軍シナリオ ---地上・宇宙に戦力が分散されている事と、襲撃・死亡イベントが多い為に連邦側よりも(シリーズ通して)難易度が高い。ジオンは原作で敗北した側であるのでその設定が忠実に再現されているとも言えるが''今作の事実上の主人公はギレン・ザビ''なので、慣れない内にジオン側を選択して詰まってしまったプレイヤーもいたと思われる。 --但し、今作は150ターン経過すると強制的に休戦が締結され、その時の所持拠点数で勝敗が決まる((今作は一年戦争のみなのでジオンの系譜やアクシズの脅威の様に後の戦争に影響もない。))。 ---ジオンは序盤は機体の性能と地球侵攻作戦で圧倒できるので比較的優位を保ちやすく勝利を目指す事自体はさほど難しくはない。 --ネオ・ジオン(隠し勢力)) ---一年戦争中にシャアがジオン・ダイクンの子であると明かして立てた勢力。領地数こそ少ないが開始直後から強力なキャラクターとユニットが存在するのでかなり難易度が低い(出現、使用できる条件が厳しいので当然だが)。 ---開始直後からエルメスを所持、生産可能で(本来なら終盤に開発する筈の)G-3ガンダムを所持していると書けば凄さがわかっていただけるだろうか。 ---ジオン・連邦のキャラクターをかなりの数引き抜いているので、両軍が弱体化しているのも難易度の低下に拍車をかけている。 ---なおこのネオジオンは小説版ガンダムの設定がかなり盛り込まれている。 --正統ジオン(隠し勢力) ---キシリアが父デギンを謀殺した兄ギレンに反旗を翻し、そのギレンを原作で行った暗殺ではなく軍勢で倒そうと立てた勢力。開始時の領地はネオ・ジオンと同じだが、初期ユニットがかなり見劣りするので連邦やジオンよりも厳しい。 ---ただしジオン側の人材を引き抜いているので、ジオン側がやや弱体化しているのが救い。また高級将校が多く、指揮影響では有利に立ちやすい。パイロットも数は少ないがニュータイプは多い。 --ティターンズ(隠し勢力) ---''今作最難関の難易度''。拠点が各地へ攻め込むのに手間がかかる上に連邦ジオンの両軍から攻め込まれる可能性のあるルナ2、人物は質量共に少ない、と前途多難。 ---特にパイロットに適した人物が2人(Z以降に登場した人物は未登場)しかいないので、ジャミトフ自身も前線で指揮を執ってカバーする必要がある。 ---この勢力の特典として連邦とジオン両側の兵器の製造が可能、''量産可能なRXタイプ''G-TITANSの開発ができる。乗せられるパイロットが居ないが… --PSP版「アクシズの脅威」以降は、難易度を自由に選ぶ事が出来るようになった。 ---低難易度だと最初から強力な機体が配備されていたり、敵が索敵やミノフスキー粒子散布を行わないなど遊びやすくなっている。 ---それでもゲーム自体の難解さは変わらない為、一番低い難易度でもSLG初心者お断りである事に変わりないのだが。 -一部の機体には生産数制限がある。ガンダム(RX-78-2)は1機だけ、ガンキャノンは3機までといった具合である。~ RX-78-2ガンダムをエースパイロット全員に回したくても、1機しか生産できない((ただし「Gファイターと合体変形できるガンダム」をアムロが乗る本家ガンダムと別の機体として生産・保有できる上に、そのアムロがマグネットコーティング付加後ガンダムに乗り換えた後は、なぜか付加前のガンダムを保有できるため、(ホワイトベース隊とは別に)2機のRX-78-2を同時に運用できる。さらに、わずかに性能が劣るプロトタイプガンダムを3機、性能が優れるG-3ガンダムを1機、破壊されてもガンダムになって生き残るフルアーマーガンダムを1機保有できるため、最終的には結構な数のガンダムを運用できることになる。))ため不可能。 --ただ、ガンダムは早期から作れる割に、ゲルググ並の攻撃力とゲルググをはるかに上回る耐久力を持つ超高性能機であり、しかも今作はパイロットが乗っていなくてもかなり固いので、もし量産できた場合ゲームバランスが崩壊していた可能性が高い。 ---実際[[次回作>機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜]]では…。 -量産MS(ザクなど)は3機編成で1ユニットを構成しているが、パイロットを量産機に搭乗させると、パイロット搭乗機のみの1機編成ユニットになってしまう。~ 二流以下のパイロット単機のザクと、無名パイロットのザク3機では、耐久力と攻撃回数の関係で後者の方が強いことも多い。ジオンには二流・三流パイロットも多いため、パイロットを搭乗させない方が強い、というおかしな現象が起こってしまう。 --この煽りを受けるのは実は連邦軍だったりする。というのもジオン側はエース専用機ともいえる1機編成機体が量産可能だし、型落ちした専用機に二流以下パイロットを乗せることなどで対応可能だが、連邦側はエース向けは大半がガンダム系のMSしかなく、しかも生産制限が厳しいのでMSパイロットの機体の割り振りがかなりシビアである。どノーマルなジムに乗るバニング隊長というのもある意味原作通りではあるのだが。 --なお一部のエースパイロットを特定の機体に乗せると、自動的に隊長機の象徴である「角付き」になる場合がある。 -戦略規模の全面戦争を題材としており「戦略SLG」を名乗っているが、実際のところプレイヤーが戦略レベルの思考を行う余地は多くない。 --敵重要拠点を攻めるためには「攻略作戦」を発動する必要があるのだが、その発生順がほとんど固定されている。~ 例えば連邦軍で始めた場合、最初に「ペキン攻略作戦」が提案されるが、それを実行しペキン基地を攻略するまで次の攻略作戦は提案されない。ペキン攻略後「ハワイ攻略作戦」が提案され、それを終えるまで次の作戦は提案されない。~ このように敵重要拠点の攻略順が固定されているため、ある程度自由な進軍が出来るとは言え、大枠での進軍は一定となっているのである。 ---ジオン側では、宇宙において連邦軍が唯一押さえている「ルナツー」が非常に目障りなのだが、これを攻略する作戦がなかなか提案されないばかりか、先に連邦軍の本拠地を狙う「ジャブロー攻略作戦」や「最終降下作戦」が提案されたりする。 --とはいえ「いつ攻めるか」という判断は本作でも重要である、というのも攻略作戦実行時に攻略目標拠点に固定ユニットが追加され、拠点攻略数によって敵軍のユニットの質は決められるために、迂闊に進撃し続けるとこちらのユニットが敵軍のユニットの進化に追いつかず、今作の仕様上ユニットの密度も上昇する為に苦戦するようになる。 --地球連邦であれば原作同様GMの配備を待たずに、少数の試作MSと大量の戦車・戦闘機でオデッサ作戦を決行する((現在の設定では「後方支援で前線に出ていなかっただけ」と言う設定のことが多いが、「機動戦士ガンダム」ではホワイトベース隊以外の部隊は一般兵器だけで戦い抜いてオデッサを奪還していた。))、ジオンであればあえて拠点攻略を遅らせてドムが生産できるようになってから地球降下作戦を進めていくのもまた面白い。 -地上のマップが太平洋を中心としたメルカトル図法の世界地図そのままで、地球上の東西部分が繋がっていない。グリーンランドからヨーロッパへ行くために世界一周を強いられる。 -保有できる部隊数は各軍150ずつ。全世界規模の戦争を描くゲームにしてはずいぶん少ない。その乏しい部隊数の中で、CPUは全ての拠点に防衛ユニットを一定数置こうとするため、敵が拠点を保有すればするほど防衛にユニットを割き、プレイヤー拠点への攻撃が散発的な物になる。~ そのため「拠点に防衛ユニット置き忘れた」「降下してきたHLVを放置した」「拠点に向かってくる敵を戦略MAPで迎撃しなかった」等のポカさえやらなければ拠点を取られるという事態は殆ど起きない。 --最も普通にゲームを進めていけばこちらの拠点が増えて敵側の拠点が減る事となる。オマケに敵側は明らかに国力を無視してユニットを生産できるので後半になるほど敵の攻撃が激しくなる。 -自軍の行動をCPUに任せる「作戦行動の委任」があまりに弱すぎる。敵と同程度の戦力ではまず負ける。敵を上回る戦力を保有していても、先述のCPUと同様の散発的な攻撃を繰り返すので、延々と小競り合いをしたまま終戦を迎えてしまう。 --今作の委任は生産もCPUに委ねるので「新開発した新鋭機を廃棄」、「終盤になっても初期のユニットしか生産しない」、「敵が攻めてきているのに生産や迎撃などの''対処療法すらマトモに行わない''」と言った具合に''明らかに敵CPUより思考が悪く、わざと敗北させる為にやっているとしか思えない程酷い''有様である。 --そんな委任であるが、たまに機体の生産制限を無視してガンダム等を量産してくれる。ただし生産の優先度は低いので余り宛にはならないが…。~ 尚、漫画家の吉田創は敵の連邦軍がプレイヤーには出来ない「ガンダムの量産」をしたのを見て「どこぞのゼネコンか」と4コマでネタにした。 -一部無理があるイベント展開 --原作準拠の為に戦闘が起こった拠点ではイベント事に固定敵が突如出現する。例を挙げるとソロモンが陥落せず((SS版にはジオン側視点でのソロモン関連のイベントは無い。))に宇宙のほぼ全域がジオンの勢力で埋め尽くされていようとア・バオア・クー周辺に連邦軍が配置される等。 --ジオンからの和平交渉を無視するとコロニーを落としてきたり((ア・バオア・クー戦終了、途中で起こりやすいイベント。 ジオンの状況を考慮すると実行はおろか準備すらも困難な状況なのだが…。))、ジオン軍でプレイ時に中立拠点から抗議((敵拠点を一定数占拠すると強制発生))されたりとプレイヤー、敵対勢力の行動や状況を無視したイベントも発生する。 --極めつけにはジャブローを落とす為に''強制的に南極条約((簡潔にまとめると捕虜の扱いについてとNBC兵器の使用とコロニー落としの禁止))を破らなければならない(厳密にはルナ2を核バズーカを使用して攻め落とし、サイド7のコロニーをジャブローに落とし対空網を無効化する。)''事である。この作戦の立案者(デラーズとガトー)が原作で行った行動に準拠するものであるがこの作戦が立案される頃は''既にジオン側の状況が有利な時であり力押しでも十分ジャブローを攻略できる状況である''ことが大半である。…というよりも戦況が優勢かつジオン公国が健在している状況で後の統治を(物理的、心理的共に)困難にする方法が立案され、これ以外の作戦が立案されないのか理解に苦しむ。 ---流石に強引だと思われたのか独立戦争記ではルナ2のマスドライバー(宇宙間での物資輸送用カタパルト)を使用した攻撃でジャブローの対空網を無効化する方法を取るように変更されている。 //-演説コマンドの微妙さ //--専用ムービーが流れ全部隊の士気を高める効果があるが費用が掛かりすぎるのでほぼ死にコマンドと化す。 //---実際、4コマ漫画でもネタにされてしまっている。''ギレン「俺の演説はドム3体以下か…」'' //↑初代では演説コマンドが無いので隠しました。 ---- **総評 ガンダムの世界観を上手く戦略SLGとして再現した傑作。~ ゲームとして面白く、ガンダム世界の再現も文句なしであり、名実共に「一年戦争の集大成」となっている。~ ---- ---- **余談 -本作の大人気を受けて『ギレンの野望』はシリーズ化され、以降プラットフォームを変えつつ何本も新作が作られ、ボリュームアップも図られてきた。 //2010年5月現在の最新作では一年戦争から小説作品「閃光のハサウェイ」までが収録されており、MSとして人気の高いνガンダムやΞガンダムも使用可能になっている。 --1998年10月8日、追加シナリオ集『攻略指令書 機動戦士ガンダム ギレンの野望』が発売された。 --2000年にはPS、DCで第二部を加え、システム面を改良した『[[機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜]]』が発売された。 -本作に収録されているギレン総帥の演説ムービーに使用されている「ジーク・ジオン!」の群衆の声は、「セガサターンデジタルサーカス97」のイベントに集まったファンの声を録音したものが使用されている。~ 収録の際、練習無しで一発でタイミングが合ったのは有名な話である。 -本作の1トラック目には、CDプレイヤーでの再生を警告するメッセージが入っているのだが、これが(良い意味で)ひどいミニドラマであった。~ 原作アニメを演じた声優たちによるショートコント仕立てになっており、原作の名シーンや名台詞を原作の声でパロる行為にプレイヤーは(ある意味で)感動した。~ 一応似たような事は[[Gジェネ>SDガンダム Gジェネレーションシリーズ]]でもやっていたのだが、まさか比べるまでもなくリアル指向・硬派なこのゲームでもやると思っていたプレーヤーは少なかったであろう。

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