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#contents() ---- *ガントレット 【がんとれっと】 |ジャンル|アクション・シューティング|~| |対応機種|アーケード|~| |発売元|アタリゲームズ(日本ではナムコが輸入販売)|~| |開発元|アタリゲームズ|~| |発売日|1985年|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 -専用のアップライト筐体((立ったままプレイするタイプの筐体。アメリカでは一般的))で4人同時プレイが可能な、見下ろし型のアクションゲーム。 --別形式として、汎用アップライト筐体向けに『TWO PLAYER ガントレット』もリリースされている。こちらは2人同時プレイ形式。 --日本では、当時一般的だったテーブル筐体に入れて4人で囲むバージョンも流通した。 -ウォリアー(戦士)、ヴァルキリー(戦乙女)、ウィザード(魔法使い)、エルフの中から好きな種族を選び、朝方の東西線が真っ青になるくらいにわらわら溢れてくるモンスターを片っ端から倒し、下の階層へと突き進むゲーム。 **システム -8方向レバーの2ボタン仕様。ボタンはそれぞれショットとマジック使用。 --なお本作は筐体にスタートボタンが無いため、代わりにマジック使用ボタンを押してゲームを開始する。 - 各フロア(Level)は正方形のブロックで迷路が形成されている。移動等は1ドット単位で可能。 --壁ブロックだけでなく扉が設置されている事があり、消耗品の鍵で開けることが出来る。鍵とポーション(後述)は別フロアにも持ち越せるが、1キャラにつき合わせて12個までしか持ち運べない。 --またフロアによっては、光る床(トラップ)を踏むと一部の壁が消滅するというギミックがある。通路の確保に必要な場合もあるが、大抵は壁向こうにひしめく敵が一気に解放されるので…。 --複数のワープゲートが設置されているフロアも有り、これを使って行き来しないと出口にたどり着かない。おまけに初見では確実に迷って、同じところを行き来しているだけの状態に…… --「EXIT」と書かれた床に入れば次のフロアに進める。 --- フロアによっては複数のEXITが設置されたフロアがある。ひとつのEXITの先に通路が続いており、さらに敵をかいくぐっていくことで、複数フロアをスキップできる別のEXITに到達できる。 //別パターンをご存知の方は追記、編集をお願いします。 --- トップビューで迷路状のフロアを踏破していく、というと『[[ドルアーガの塔]]』を彷彿とさせるが、それとは違い、本作はエンディングのないループゲームである。したがって、フロアのショートカットにはそこまでの意味はなく、単なるチャレンジ要素に近い。 --各所にジェネレーターも設置されており、個別に指定された種類のモンスター(敵)を生成してくる。放っておくと文字通り一帯を埋め尽くすほど延々と沸き続けるので、敵を片端から倒しジェネレーターを破壊して道を切り開かなければならない。 ---敵やジェネレーターにも強弱があり、見た目も変わる。こちらの攻撃を当てると弱体化していき、最後には消滅する。 -プレイヤーキャラの操作・攻撃 --ショット ---基本の攻撃となる射撃攻撃。キャラによって攻撃力と速度が違う。 --ファイト ---近接攻撃。体当たり状に敵に向かってキャラを押し付けると自動的に攻撃する。敵からも攻撃されるので被ダメージが嵩むが、ショットより攻撃速度がかなり速く、与ダメージも多い(ウィザード除く)。 --マジック ---所持品のボーションを1つ消費して、敵弾を消すと同時に画面内の敵・ジェネレーター全てに一様のダメージを与える。威力はキャラの魔力(マジックの攻撃力)次第。 ---落ちているポーションにショットを当てることでも発動可能だが、威力はキャラの魔力より1だけ落ちる。 ---マジックでしか倒せない敵もいるので、使い所を見極める必要がある。 -キャラの耐久度はヘルス(HP)制。敵の攻撃を受けなくても時間経過で減り続ける(1秒に付き1カウント減少)。 --HPは道中の食料を拾うことで回復。またアーケードゲームらしく、プレイ中に追加コインを投入することでもHPが増える。 --ゲーム中にプレイヤーキャラが死んだ場合、鍵をその場に落とし、ゴーストのジェネレーター(見た目は骨の山)が設置される。 **キャラクター -1筐体に、色分けされたレバー&ボタンが4組ある。使用キャラは色毎に固定されており、被ることは無い。 --『TWO PLAYER~』だと、2人までしか同時プレイが出来ない代わりにキャラクター選択が可能になっている。 #region(操作キャラクター一覧) -- ウォリアー(赤)(名前:Thor) --- ムキムキの戦士。ショットパワー(ショットの攻撃力)とファイト(直接攻撃の攻撃力)に優れ、ショットも判定が大きく当てやすい。防御も鍛えられた肉体により並にあるので、敵の群れに力で押し切れる攻撃型キャラクター。 ---ショット速度・移動速度は最低であるが、基本の速さがそれなりにあるので、さほど問題でもない。高い攻撃力で早く敵を倒していけば、結果的にヘルス(HP)も温存出来る。 --- ただし、魔力(マジックの攻撃力)が最低でポーションを使用しても最低限のダメージにしかならない。ショットの大きさもこのゲームでは重要な斜めの隙間撃ちができないというデメリットにもなりえる。アイテム保持はキー(鍵)優先にしたいところだが、マジックでしか倒せない敵もいるのが悩みどころ。 -- ヴァルキリー(青)(名前:Thyra) --- 女戦士。紅一点だが青色固定。ファイトはウォリアー並で、所持している盾により防御力は最高。魔力・移動速度は並。ショットパワーは弱いがショットスピードは並なので、普段はそこまで問題ないと、欠点らしい欠点が無い防御寄りのバランス型。 --- ただしバランス型だけに、押された時に押し返したり、ピンチでの切り札となる手があまり無いということでもある。高い生存能力で普段は力を温存し、危機に対して投入出来るかが鍵となる。 -- ウィザード(黄)(名前:Merlin) --- 魔法使いの老人。見た目通り魔力が非常に高く、マジックが凄まじく強い。魔法二連撃に残れる敵は最大耐久力程度のみで、一撃でも画面内を粗方片付けられるのが強み。ショットもパワーは並、速度は早いので、魔法を使わなくても攻撃力は高い。 --- しかしやはり防御力が非常に低く、ファイト・移動速度も低い。魔法ばかり使っていては、いくらパーティでポーションを回しても足りない。いかに適切な時期に適切な数だけマジックを使うかが鍵となる。当然ポーション回収・保持が最優先。 -- エルフ(緑)(名前:Questor) --- 弓使いのエルフ(男)。移動とショットの速度に優れ、魔力も優れる。ファイトも並。 --- ただショット中心で行こうとするとショットパワーが低く、ファイト中心で行くには防御力が低い。マジックもウィザードほどには頼れない。追い詰められる前に処理したり、機動力を活かした位置取り&隙間撃ちでジェネレーターを潰したりなど、ウィザード以上に先を読んだ動きが求められる。 #endregion **アイテム #region(アイテム一覧) -ポーション:壺の形をしたアイテムで、これを消費して魔法を使える。青と金の2種類があり、前述の「ショットを当てるとマジックが発動する」のは青い壺のみで、金の壺はショットを当てても発動しない。 -鍵:フロア内にある扉を1箇所あたり1個消費して開けることができる。 --ポーションと鍵は「ストックを共有する仕様」により、合計12個までしか持てないため、保持比率も悩みどころ。 -宝物:単なる得点アイテム。取ると100点。 --但し、プレイヤーのショットも敵弾も敵本体も通さないため、拾わず障害物に利用するという攻略が可能。 -ドリンク:取るとヘルスが100回復するが、ショットを当てると壊れて消滅する。その際、誰が壊したかがアナウンスされることもある。((「〇〇(キャラ名) is shot the food!」の音声が流れる。)) -フード:取るとヘルスが100回復する。こちらはショットを当てても壊れない(一部例外あり)。 -ペンダント:プレイヤーの姿を一定時間透明化する。敵が反応しなくなるが、無敵ではないので敵弾や接触のダメージは普通に受ける。 -ヒドゥンポーション:プレイヤーを強化するアイテム。6種類あり、取ると各効果のシンボルマークがプレイヤーネームの段に表示される。効果はゲームオーバーになるかシーフと接触して盗まれるまで有効。 #endregion #region(ヒドゥンポーションについて) -EXTRA ARMOR(エクストラアーマー):シンボルマークは盾。プレイヤーの防御力を20%増加する。 -EXTRA SPEED(エクストラスピード):シンボルマークは左向きの赤い矢印。プレイヤーの移動速度が速くなる。 -EXTRA SHOT POWER(エクストラショットパワー):シンボルマークは黄色いボール。ショットの威力が増加する。 -EXTRA SHOT SPEED(エクストラショットスピード):シンボルマークは白い雷。ショットスピードが速くなる。 -EXTRA MAGIC POWER(エクストラマジックパワー):シンボルマークは緑色の炎。マジックでの攻撃力が増加する。 -EXTRA FIGHT POWER(エクストラファイトパワー):シンボルマークは剣。ファイトパワー(近接での攻撃力)が増加する。 #endregion **評価点 - シンプルながら奥深いゲーム性と、上手くなるほどに長時間プレイ出来る成果のわかりやすさ -- ひたすら先を目指すだけが目的でありながら、ワラワラと湧き続ける敵を倒し、その発生源たるジェネレーターをいかにして潰すか、あるいは無視するか、などをキャラや状況で考えながら進めないと、ヘルスが無駄に減るだけではなく、無数に増えてしまう敵に阻まれることとなる。 --それ故、壁の隙間を狙った斜め打ちがどこからなら出来るか、モンスターの壁を打ち崩すべきか、切り札のマジックを使うか、ポーションをショットで撃ってマジック発動させるべきか…など、考えることは多い。 ---しかし時間経過で徐々にヘルスが減っていくので、ぐずぐずしてもいられない。迅速な判断と行動が求められる。 --そして無駄に拘るといつまでも敵が減らないが、適切に判断できるとあっさり進めたりする良好なバランス。 -当時としては画期的なゲームシステム --本作は複数のプレイヤーが個別に参加・退出可能。 ---現在でこそMMOとかモンハンとか協力型FPSなどあるが、当時は1人プレイや固定の2人プレイが前提のゲームばかりであり、途中参加や退出が可能というだけでも画期的。また4人同時の協力というのもおそらく初。 --同様に「性能差があるキャラでの協力プレイ」という点も革新。 ---現在でこそ(略)だが、当時の協力プレイは見た目は違っても同じ性能ばかりだった。これにより性能差を踏まえた役割分担等々が生まれた。 --プレイヤーが増えればいいという訳でもないという点も極めて珍しい。 ---時間経過で減るHPに対し、人数が多くてもフロアの回復アイテムの数は増えないため、下手しなくても食料の奪い合いになりやすい。~ おまけに食料の中には攻撃すると消えてしまうものもあり、折角取ろうとした食べ物を隣の盆暗に壊される、ということもある。その結果がどうなるかは容易に想像出来るだろう。 -フロアの種類が非常に豊富。 --迷路だったり開けていたり、ワープゲートが複数設置されていたり、宝箱がずらりと並んでいたり…。 --画面を横断するほど長い扉。接触すれば一気に開放されるが、その向こうには敵がみっちりと密集し、ご丁寧に補充用のジェネレーターもある…なんて場所もあったりする。 -敵たるモンスターも個性的。 --体当たり攻撃を行い消滅するゴーストに始まり、遠距離攻撃しかしない者、正面に立つと猛烈な攻撃をしてくる者など色々。彼らの特性を理解して戦わないとHPがガシガシ減っていく。 ---中にはマジックしか受付けない死神のような敵(倒せない場合も一定量のHPを吸わせると消滅する)もいる。 ---高次レベルになると、高速で走ってきてアイテムを盗む「シーフ」まで現れる。~ -ほどほどにある成長要素 -- ヒドゥンポーションというステータスアップのアイテムも、誰が取るかなどでなかなか面白い要素。味方に回すにしても、特徴を伸ばすか欠点を補充するかなどあり、無論我先にと取るのも可能。 -- なければ進めないということはないが、あれば楽になる良調整。 --- ただ面を進めると、これを強奪しようとするシーフも多く発生しやすくなる。 **問題点 -デフォルト筐体での4人プレイの難しさ。 --専用筐体だからといって超特大画面が用意されている訳でもなく、アップライト型筐体の画面を4人で立って囲むのはやや無理がある。左右端のウォリアー・エルフはほぼ横に画面が来る状態になり、頭や身体を捻りながらのプレイになってしまう。 ---一応、画面を低めの位置にして平らに近い角度にするなど工夫はされているが、それでも横を見ながらプレイにはなってしまう。 --『TWO PLAYER~』は2人用なので上記の心配は無い。また日本ではこの難点もあって、無理なく4人で囲むことが出来るテーブル筐体型でかなり出回った。このためアップライト型は知らないがテーブル型は知っているという人も少なくない。 -緻密な計算によりエンドレスプレイが可能になってしまった事。 --時間によるライフ消耗型のゲームシステムでありながら、まさかの実力による永久プレイが発覚してしまったのである。 ---これに関しては当時、日本のナムコからの報告によってアタリ側にも伝わっていたが、当初は冗談半分で全く信用されておらず、急遽ナムコから送られてきたビデオテープのプレイ動画を見て仰天したらしいとの事。 --これが原因で、続編である『ガントレットII』の難易度が跳ね上がった((特にそのビデオで永久プレイしたウィザードはかなり厳しくなっている))とも言われている。 **総評 決して簡単なゲームではないが、その奥深いゲーム性からやり込むプレイヤーが続出した。~ 上級者ともなれば長時間これで粘るプレイヤーもいた。無論コイン追加で継続プレイは可能だが、上手さの裏返しとしてコイン支出があり、その点でもわかりやすい。 日本では海外作品でありながらもそこそこのヒットを生んだ。~ 本場米国ではその人気の高さから幾つか続編も作られたほどである。 **続編 -''ガントレットII''(1986) --アタリゲームズによる続編。前作の「プレイヤーのコンパネ位置で使用キャラが固定される要素」が撤廃され、任意のカラーとキャラでプレイすることが可能になった。また、レベルデザインの変更、シークレットルームの新設、フィールド上のギミックやトラップも追加されている。 ---しかし日本では正規の輸入販売はされていない。 ---後に、サクセスから発売されたPS2版『ゲーセンUSA』(2006)に、初代と共に収録されている。 -''ガントレット・レジェンド''(1998) --時を経て3Dになり進化した続編。アタリゲームズの資産を保有していたミッドウェイゲームズが発売。((AC版は買収を受けた当時のアタリゲームズが同ブランドで開発・販売を行っていたが、同年末にミッドウェイゲームズ・ウェストに社名を変更してからは家庭用移植を含め、ミッドウェイゲームズからの販売になった。)) --AC版の時点でレベルアップ・経験値といったRPGの要素が追加され、パスワード方式によるコンティニューも可能になった((ただし「記録したパスワードは前回プレイした筐体・基板でのみ有効」と他の筐体・基板では使用できないという、微妙に不便なシステムである。)) ---日本ではSNKが正規輸入代理店として、AC版の国内販売を担当。 ---日本でのCS機移植版は後にNINTENDO64版がエポック社より発売されている。海外ではN64版の他、DC、PS版もリリースされている。 -''ガントレット・ダークレガシー''(1999) --旧アタリゲームズがMIDWAY GAMES WESTになってから発売された『~レジェンド』の続編((実際の内容は『~レジェンド』をベースに多くの追加要素を加えたアップデートバージョンと言ったほうが近い。))。 ---こちらも日本ではSNKが正規輸入代理店として、AC版の国内販売を担当。 ---日本でのCS機移植版は、PS2版がコーエーネット(現:コーエーテクモゲームス)より発売された。海外ではXbox、GC、GBA版もリリースされている。 -''Gauntlet: Seven Sorrows''(2005) --MIDWAY Studios San Diego開発の家庭用オリジナル作品。Xbox、PS2で発売。日本国内では未発売。 -''ガントレット''(2014) --ワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンターテイメント((ミッドウェイゲームズを買収したワーナーグループの一部門))が発売。開発は『Magicka』(Win)や『Helldivers』(PS3/PS4/PSV/Win)を手がけた、スウェーデンのデベロッパー、Arrowhead Game Studiosが担当。 ---初代のリブート作であり、DLCでは追加のプレイヤーキャラクターとして「ネクロマンサー」が登場している。 ---Windows版はSteamでDL販売されている。海外ではPS4版((アップデート版に当たる『Gauntlet:Slayer Edition』のタイトルでリリース。Steam版も後にアップデートされた。))もあるが、日本では未発売。 ---- *移植版 |ジャンル|アクション・シューティング|&amazon(B000147VUM)| |対応機種|メガドライブ|~| |発売元|テンゲン|~| |開発元|M2|~| |発売日|1993年9月17日|~| |定価|7,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要(メガドライブ版) -傑作ゲームが8年経ってメガドライブに移植された。国内初にして当時では唯一の移植版である((後に2006年9月21日にサクセスから発売されたPS2版『ゲーセンUSA』に『II』と共に収録されており、Xbox Live Arcadeでも2005年12月10日より配信されていた。))。 --海外CS機では既にNES版が出ていたが、残念ながら国内のファミコン版は出ていない。 --また、1990年にはアタリの携帯ゲーム機「LYNX」でも発売されたが、内容はかなりアレンジされていた……というか、あれは3作目という扱いで、純粋な移植版ではない。正式なタイトルも『Gauntlet:The Third Encounter』と、一見3作目かと思わせるようなサブタイトルが付いている。((元々「Time Quests And Treasure Chests」という全く無関係なタイトルで開発中の外注作品をアタリが無理矢理ガントレットの新作として作り変えさせて、リリースしてしまったのがそもそもの発端。))((また、LYNX版発売の翌年にはU.S.GOLDからAmigaやATARI-STなどのホビーPC向けに『Gauntlet III:The Final Quest』が発売され、更にややこしい事になっている。こちらは開発にテンゲンとSoftware Creationsが絡んでいるという代物で、BGMもあのティム・フォリンとジェフ・フォリンが手掛けている。))。そのためにGENESIS版は『GAUNTLET 4』のタイトルになっている。これは後述のクエストモードが4作目の扱いになっているからである。 --ちなみにMD版発売当時までに海外で移植されたプラットフォームは上記を含め全13種にも登り、海外での人気度からもそれが十分に窺える((実際、前述以外にはMS-DOS、Apple II、Macintosh、MSX、Apple IIGS、マスターシステム、Atari-ST、コモドール64、アムストラッドCPC、ZXスペクトラム版が出ている。)) -移植担当は後にAC移植で実績を上げていくことになる有限会社M2。この作品が当社にとってのデビュー作にあたる((M2の堀井社長いわく「M2を立ち上げて、最初にやった大仕事がこれ」と述懐している。))。 --当時、ゲーセンに入り浸っていた仲間達で''X68000へ勝手移植したものをテンゲンに持ち込んだ''のがきっかけとされている((当時海外で出回っていた移植版の再現度に不満を感じていたたことと、堀井社長の友人の一人がAC版を1コインでエンドレスプレイできる腕前を持っており、それを見た他のお客が諦めて帰っていく光景を見た堀井社長が自分達が家で遊べるように「自分達で最高の『ガントレット』を作る」と思い立ったとのこと。))。%%この頃から既に勝手移植とは切っても切れない関係だった模様。%% **評価点(メガドライブ版) -マルチタップを使用した4人同時プレイも可能(当時の対抗機では不可能)な&bold(){超忠実}移植である。 --これまた当然だが、アーケード版のように無理のある姿勢でプレイせずとも4人同時プレイが可能。 -全く遜色ないゲーム性 --アーケードから家庭用へのダウングレードは必至、下手すればゲーム性すら損ねることもあった時代だが、デビュー作の本作からM2の手腕が存分に発揮されており、肝心なゲーム性はアーケード版から損なわれていない。 --流石にグラフックの色数などはやや落ちているものの、認識などには必要十分。 --本当に画面を埋め尽くすほどにモンスターを表示しない限り、チラツキすらしない。キャラ数オーバーした場合でも上半身のみになるため、認識には十分で見づらくなりにくい。この大量のモンスターはゲームの肝ということもあり、表示するために裏技的な手法も使われているなど、黎明期でありながら既に高いレベルにあるM2の技術力を証明しているものといえる。 --その他にも連射標準装備など、細かい所にまで心配りされている。 -BGMの追加 --移植版ではAC版になかったBGMが追加された。作曲者はなんと崎元仁と岩田匡治という超ビッグネーム。 --長くはなく曲数も少ないが、重厚で聞き飽きず、ゲームにも合っている名曲。 -更に複数のゲームモードを追加。 --レコードモード ---一人専用のアーケードモードやりこみプレイ用モード。100クレジットの手持ちがなくなるまでにどこまで優秀な成績を残せるかを目指す。1クレジットで回復できるHPは500。 ---レベルクリアごとに成績と同時にパスワードが表示され、次回プレイの継続が可能。 --バトルモード ---複数人専用の対戦プレイモード。対戦相手のHPを0にするかEXITに落すかで勝利となる。 ---破壊可能な壁にはフードやポーションが隠されており、また破壊不能な壁にショットが当たると反射する。 ---プレイヤーの強さを全員同じ条件にすることも可能なほか、後述のクエストモードで育てたキャラのパスワードを使って対戦することも可能。 --クエストモード ---ガントレットのゲームシステムを用いたRPGモード。複数人同時プレイ・途中参加にも対応。 ---4つのタワーをクリアし、更にキャッスルに挑む。それぞれのタワーなどはフロアに分かれ、ワープゲート(階段)で移動。最深部にはボスがおり、倒すと平常時にHPが減らなくなるなどの便利装備・アイテムを入手できる。 ---ゲームの進行状況の記録は、ポーズボタンを押下してキャンプモードにした際にパスワードが表示されるページを参照することで行われる。また、タワー探索中はタワーの進捗状況のパスワードも合わせて表示される。 ---また、外には途中参加用の部屋があり、ここでパスワードの参照・パスワード再入力によるロード・他プレイヤーの途中参加が可能。 ---外にワープするアイテムはショップで購入出来るほか、各フロアを攻略していけば1Fまで連結している階段を解放でき、直で1Fへ撤退可能になる。 ---完全攻略したフロアは、敵は居なくなり食料などのアイテムはあるというボーナスステージ的な構成になるため、攻略を進めるための体制を整えられる。だが外に出ず粘りすぎると、パスワードを取り忘れていて…とかになりうる。 ---タワー等は外に出ればHPがMAXまで戻る。アイテムの購入は基本的に外にあるショップ((タワー内やキャッスル内にもショップはあるが、各フロアの攻略をある程度はしておかないとたどり着けないケースもある。))で行うため、どこまで粘り冒険して、どこで撤退と判断するかも重要。 ---装備の購入によるステータスアップの他、溜めた経験値を使ってボーナスポイントを割り振ることもできる。このボーナスポイントはかなり多く、雑魚はまず1撃のショットやHP2倍なども割合簡単に可能。ただボーナスが増えるほどに1ポイントあたりの相場は上がっていく。 ---なお、各ゲームモードのパスワードは2に対するZなど間違えやすい文字は使わないようにして、誤認や入力ミスが起きにくいよう配慮されている((この入力方式は他のテンゲン製ソフトのパスワード方式のゲームには共通で採用されている。))。~ また、パスワードの再入力時も入力画面に前回のパスワードが記録されたままになっているため、入力の手間も軽減されている。 -当然であるがどのモードでもいくらでもやり込める。やりこみゲーなだけにありがたい。 **総評(メガドライブ版) 大量のモンスター&4人プレイ可能という超忠実移植に加え、良いBGMの追加、追加されたひと味違うモード、やりこみの阻害なし、と確実に良移植。~ それは当時多数あった移植作の中で、オリジナルのスタッフが唯一称賛したほどである。 **余談(メガドライブ) -''いつものノリな説明書'' --メガドライブ版はハイテンションなノリの説明書に定評のあるテンゲンから発売されたせいか、本作の取り扱い説明書の内容もカオスに満ちている。 --まず「''渡る世間に鬼だらけ''(ジェネレーターのせいだよ)」という表紙のキャッチコピーから嫌な予感が漂う。 --キャラクター選択画面ではバルキリーが''プレイヤーの指名を待っている''などとして、何故かプレイヤーとキャラクターの気持ちが描かれている。 --クエストモードのOP紹介の文は「''伝染と伝説は同じようで違うね。''」。全然紹介になっていない。 --一部の内容では「''らんらんらん 文字テーブルは いいもんだよーん''」同社発売のゲームからキャッチコピーを引用。 --そして説明書の〆には当然の如く「テンゲンおたよりクラブ(仮称)」が付属。 ----
#contents() ---- *ガントレット 【がんとれっと】 |ジャンル|アクション・シューティング|~| |対応機種|アーケード|~| |発売元|アタリゲームズ(日本ではナムコが輸入販売)|~| |開発元|アタリゲームズ|~| |発売日|1985年|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 -専用のアップライト筐体((立ったままプレイするタイプの筐体。アメリカでは一般的))で4人同時プレイが可能な、見下ろし型のアクションゲーム。 --別形式として、汎用アップライト筐体向けに『TWO PLAYER ガントレット』もリリースされている。こちらは2人同時プレイ形式。 --日本では、当時一般的だったテーブル筐体に入れて4人で囲むバージョンも流通した。 -ウォリアー(戦士)、ヴァルキリー(戦乙女)、ウィザード(魔法使い)、エルフの中から好きな種族を選び、朝方の東西線が真っ青になるくらいにわらわら溢れてくるモンスターを片っ端から倒し、下の階層へと突き進むゲーム。 **システム -8方向レバーの2ボタン仕様。ボタンはそれぞれショットとマジック使用。 --なお本作は筐体にスタートボタンが無いため、代わりにマジック使用ボタンを押してゲームを開始する。 - 各フロア(Level)は正方形のブロックで迷路が形成されている。移動等は1ドット単位で可能。 --壁ブロックだけでなく扉が設置されている事があり、消耗品の鍵で開けることが出来る。鍵とポーション(後述)は別フロアにも持ち越せるが、1キャラにつき合わせて12個までしか持ち運べない。 --またフロアによっては、光る床(トラップ)を踏むと一部の壁が消滅するというギミックがある。通路の確保に必要な場合もあるが、大抵は壁向こうにひしめく敵が一気に解放されるので…。 --複数のワープゲートが設置されているフロアも有り、これを使って行き来しないと出口にたどり着かない。おまけに初見では確実に迷って、同じところを行き来しているだけの状態に…… --「EXIT」と書かれた床に入れば次のフロアに進める。 --- フロアによっては複数のEXITが設置されたフロアがある。ひとつのEXITの先に通路が続いており、さらに敵をかいくぐっていくことで、複数フロアをスキップできる別のEXITに到達できる。 //別パターンをご存知の方は追記、編集をお願いします。 --- トップビューで迷路状のフロアを踏破していく、というと『[[ドルアーガの塔]]』を彷彿とさせるが、それとは違い、本作はエンディングのないループゲームである。したがって、フロアのショートカットにはそこまでの意味はなく、単なるチャレンジ要素に近い。 --各所にジェネレーターも設置されており、個別に指定された種類のモンスター(敵)を生成してくる。放っておくと文字通り一帯を埋め尽くすほど延々と沸き続けるので、敵を片端から倒しジェネレーターを破壊して道を切り開かなければならない。 ---敵やジェネレーターにも強弱があり、見た目も変わる。こちらの攻撃を当てると弱体化していき、最後には消滅する。 -プレイヤーキャラの操作・攻撃 --ショット ---基本の攻撃となる射撃攻撃。キャラによって攻撃力と速度が違う。 --ファイト ---近接攻撃。体当たり状に敵に向かってキャラを押し付けると自動的に攻撃する。敵からも攻撃されるので被ダメージが嵩むが、ショットより攻撃速度がかなり速く、与ダメージも多い(ウィザード除く)。 --マジック ---所持品のボーションを1つ消費して、敵弾を消すと同時に画面内の敵・ジェネレーター全てに一様のダメージを与える。威力はキャラの魔力(マジックの攻撃力)次第。 ---落ちているポーションにショットを当てることでも発動可能だが、威力はキャラの魔力より1だけ落ちる。 ---マジックでしか倒せない敵もいるので、使い所を見極める必要がある。 -キャラの耐久度はヘルス(HP)制。敵の攻撃を受けなくても時間経過で減り続ける(1秒に付き1カウント減少)。 --HPは道中の食料を拾うことで回復。またアーケードゲームらしく、プレイ中に追加コインを投入することでもHPが増える。 --ゲーム中にプレイヤーキャラが死んだ場合、鍵をその場に落とし、ゴーストのジェネレーター(見た目は骨の山)が設置される。 **キャラクター -1筐体に、色分けされたレバー&ボタンが4組ある。使用キャラは色毎に固定されており、被ることは無い。 --『TWO PLAYER~』だと、2人までしか同時プレイが出来ない代わりにキャラクター選択が可能になっている。 #region(操作キャラクター一覧) -- ウォリアー(赤)(名前:Thor) --- ムキムキの戦士。ショットパワー(ショットの攻撃力)とファイト(直接攻撃の攻撃力)に優れ、ショットも判定が大きく当てやすい。防御も鍛えられた肉体により並にあるので、敵の群れに力で押し切れる攻撃型キャラクター。 ---ショット速度・移動速度は最低であるが、基本の速さがそれなりにあるので、さほど問題でもない。高い攻撃力で早く敵を倒していけば、結果的にヘルス(HP)も温存出来る。 --- ただし、魔力(マジックの攻撃力)が最低でポーションを使用しても最低限のダメージにしかならない。ショットの大きさもこのゲームでは重要な斜めの隙間撃ちができないというデメリットにもなりえる。アイテム保持はキー(鍵)優先にしたいところだが、マジックでしか倒せない敵もいるのが悩みどころ。 -- ヴァルキリー(青)(名前:Thyra) --- 女戦士。紅一点だが青色固定。ファイトはウォリアー並で、所持している盾により防御力は最高。魔力・移動速度は並。ショットパワーは弱いがショットスピードは並なので、普段はそこまで問題ないと、欠点らしい欠点が無い防御寄りのバランス型。 --- ただしバランス型だけに、押された時に押し返したり、ピンチでの切り札となる手があまり無いということでもある。高い生存能力で普段は力を温存し、危機に対して投入出来るかが鍵となる。 -- ウィザード(黄)(名前:Merlin) --- 魔法使いの老人。見た目通り魔力が非常に高く、マジックが凄まじく強い。魔法二連撃に残れる敵は最大耐久力程度のみで、一撃でも画面内を粗方片付けられるのが強み。ショットもパワーは並、速度は早いので、魔法を使わなくても攻撃力は高い。 --- しかしやはり防御力が非常に低く、ファイト・移動速度も低い。魔法ばかり使っていては、いくらパーティでポーションを回しても足りない。いかに適切な時期に適切な数だけマジックを使うかが鍵となる。当然ポーション回収・保持が最優先。 -- エルフ(緑)(名前:Questor) --- 弓使いのエルフ(男)。移動とショットの速度に優れ、魔力も優れる。ファイトも並。 --- ただショット中心で行こうとするとショットパワーが低く、ファイト中心で行くには防御力が低い。マジックもウィザードほどには頼れない。追い詰められる前に処理したり、機動力を活かした位置取り&隙間撃ちでジェネレーターを潰したりなど、ウィザード以上に先を読んだ動きが求められる。 #endregion **アイテム #region(アイテム一覧) -ポーション:壺の形をしたアイテムで、これを消費して魔法を使える。青と金の2種類があり、前述の「ショットを当てるとマジックが発動する」のは青い壺のみで、金の壺はショットを当てても発動しない。 -鍵:フロア内にある扉を1箇所あたり1個消費して開けることができる。 --ポーションと鍵は「ストックを共有する仕様」により、合計12個までしか持てないため、保持比率も悩みどころ。 -宝物:単なる得点アイテム。取ると100点。 --但し、プレイヤーのショットも敵弾も敵本体も通さないため、拾わず障害物に利用するという攻略が可能。 -ドリンク:取るとヘルスが100回復するが、ショットを当てると壊れて消滅する。その際、誰が壊したかがアナウンスされることもある。((「〇〇(キャラ名) is shot the food!」の音声が流れる。)) -フード:取るとヘルスが100回復する。こちらはショットを当てても壊れない(一部例外あり)。 -ペンダント:プレイヤーの姿を一定時間透明化する。敵が反応しなくなるが、無敵ではないので敵弾や接触のダメージは普通に受ける。 -ヒドゥンポーション:プレイヤーを強化するアイテム。6種類あり、取ると各効果のシンボルマークがプレイヤーネームの段に表示される。効果はゲームオーバーになるかシーフと接触して盗まれるまで有効。 #endregion #region(ヒドゥンポーションについて) -EXTRA ARMOR(エクストラアーマー):シンボルマークは盾。プレイヤーの防御力を20%増加する。 -EXTRA SPEED(エクストラスピード):シンボルマークは左向きの赤い矢印。プレイヤーの移動速度が速くなる。 -EXTRA SHOT POWER(エクストラショットパワー):シンボルマークは黄色いボール。ショットの威力が増加する。 -EXTRA SHOT SPEED(エクストラショットスピード):シンボルマークは白い雷。ショットスピードが速くなる。 -EXTRA MAGIC POWER(エクストラマジックパワー):シンボルマークは緑色の炎。マジックでの攻撃力が増加する。 -EXTRA FIGHT POWER(エクストラファイトパワー):シンボルマークは剣。ファイトパワー(近接での攻撃力)が増加する。 #endregion **評価点 - シンプルながら奥深いゲーム性と、上手くなるほどに長時間プレイ出来る成果のわかりやすさ -- ひたすら先を目指すだけが目的でありながら、ワラワラと湧き続ける敵を倒し、その発生源たるジェネレーターをいかにして潰すか、あるいは無視するか、などをキャラや状況で考えながら進めないと、ヘルスが無駄に減るだけではなく、無数に増えてしまう敵に阻まれることとなる。 --それ故、壁の隙間を狙った斜め打ちがどこからなら出来るか、モンスターの壁を打ち崩すべきか、切り札のマジックを使うか、ポーションをショットで撃ってマジック発動させるべきか…など、考えることは多い。 ---しかし時間経過で徐々にヘルスが減っていくので、ぐずぐずしてもいられない。迅速な判断と行動が求められる。 --そして無駄に拘るといつまでも敵が減らないが、適切に判断できるとあっさり進めたりする良好なバランス。 -当時としては画期的なゲームシステム --本作は複数のプレイヤーが個別に参加・退出可能。 ---現在でこそMMOとかモンハンとか協力型FPSなどあるが、当時は1人プレイや固定の2人プレイが前提のゲームばかりであり、途中参加や退出が可能というだけでも画期的。また4人同時の協力というのもおそらく初。 --同様に「性能差があるキャラでの協力プレイ」という点も革新。 ---現在でこそ(略)だが、当時の協力プレイは見た目は違っても同じ性能ばかりだった。これにより性能差を踏まえた役割分担等々が生まれた。 --プレイヤーが増えればいいという訳でもないという点も極めて珍しい。 ---時間経過で減るHPに対し、人数が多くてもフロアの回復アイテムの数は増えないため、下手しなくても食料の奪い合いになりやすい。~ おまけに食料の中には攻撃すると消えてしまうものもあり、折角取ろうとした食べ物を隣の盆暗に壊される、ということもある。その結果がどうなるかは容易に想像出来るだろう。 -フロアの種類が非常に豊富。 --迷路だったり開けていたり、ワープゲートが複数設置されていたり、宝箱がずらりと並んでいたり…。 --画面を横断するほど長い扉。接触すれば一気に開放されるが、その向こうには敵がみっちりと密集し、ご丁寧に補充用のジェネレーターもある…なんて場所もあったりする。 -敵たるモンスターも個性的。 --体当たり攻撃を行い消滅するゴーストに始まり、遠距離攻撃しかしない者、正面に立つと猛烈な攻撃をしてくる者など色々。彼らの特性を理解して戦わないとHPがガシガシ減っていく。 ---中にはマジックしか受付けない死神のような敵(倒せない場合も一定量のHPを吸わせると消滅する)もいる。 ---高次レベルになると、高速で走ってきてアイテムを盗む「シーフ」まで現れる。~ -ほどほどにある成長要素 -- ヒドゥンポーションというステータスアップのアイテムも、誰が取るかなどでなかなか面白い要素。味方に回すにしても、特徴を伸ばすか欠点を補充するかなどあり、無論我先にと取るのも可能。 -- なければ進めないということはないが、あれば楽になる良調整。 --- ただ面を進めると、これを強奪しようとするシーフも多く発生しやすくなる。 **問題点 -デフォルト筐体での4人プレイの難しさ。 --専用筐体だからといって超特大画面が用意されている訳でもなく、アップライト型筐体の画面を4人で立って囲むのはやや無理がある。左右端のウォリアー・エルフはほぼ横に画面が来る状態になり、頭や身体を捻りながらのプレイになってしまう。 ---一応、画面を低めの位置にして平らに近い角度にするなど工夫はされているが、それでも横を見ながらプレイにはなってしまう。 --『TWO PLAYER~』は2人用なので上記の心配は無い。また日本ではこの難点もあって、無理なく4人で囲むことが出来るテーブル筐体型でかなり出回った。このためアップライト型は知らないがテーブル型は知っているという人も少なくない。 -緻密な計算によりエンドレスプレイが可能になってしまった事。 --時間によるライフ消耗型のゲームシステムでありながら、まさかの実力による永久プレイが発覚してしまったのである。 ---これに関しては当時、日本のナムコからの報告によってアタリ側にも伝わっていたが、当初は冗談半分で全く信用されておらず、急遽ナムコから送られてきたビデオテープのプレイ動画を見て仰天したらしいとの事。 --これが原因で、続編である『ガントレットII』の難易度が跳ね上がった((特にそのビデオで永久プレイしたウィザードはかなり厳しくなっている))とも言われている。 **総評 決して簡単なゲームではないが、その奥深いゲーム性からやり込むプレイヤーが続出した。~ 上級者ともなれば長時間これで粘るプレイヤーもいた。無論コイン追加で継続プレイは可能だが、上手さの裏返しとしてコイン支出があり、その点でもわかりやすい。 日本では海外作品でありながらもそこそこのヒットを生んだ。~ 本場米国ではその人気の高さから幾つか続編も作られたほどである。 **続編 -''ガントレットII''(1986) --アタリゲームズによる続編。前作の「プレイヤーのコンパネ位置で使用キャラが固定される要素」が撤廃され、任意のカラーとキャラでプレイすることが可能になった。また、レベルデザインの変更、シークレットルームの新設、フィールド上のギミックやトラップも追加されている。 ---しかし日本では正規の輸入販売はされていない。 ---後に、サクセスから発売されたPS2版『ゲーセンUSA』(2006)に、初代と共に収録されている。 -''ガントレット・レジェンド''(1998) --時を経て3Dになり進化した続編。アタリゲームズの資産を保有していたミッドウェイゲームズが発売。((AC版は買収を受けた当時のアタリゲームズが同ブランドで開発・販売を行っていたが、同年末にミッドウェイゲームズ・ウェストに社名を変更してからは家庭用移植を含め、ミッドウェイゲームズからの販売になった。)) --AC版の時点でレベルアップ・経験値といったRPGの要素が追加され、パスワード方式によるコンティニューも可能になった((ただし「記録したパスワードは前回プレイした筐体・基板でのみ有効」と他の筐体・基板では使用できないという、微妙に不便なシステムである。)) ---日本ではSNKが正規輸入代理店として、AC版の国内販売を担当。 ---日本でのCS機移植版は後にNINTENDO64版がエポック社より発売されている。海外ではN64版の他、DC、PS版もリリースされている。 -''ガントレット・ダークレガシー''(1999) --旧アタリゲームズがMIDWAY GAMES WESTになってから発売された『~レジェンド』の続編((実際の内容は『~レジェンド』をベースに多くの追加要素を加えたアップデートバージョンと言ったほうが近い。))。 ---こちらも日本ではSNKが正規輸入代理店として、AC版の国内販売を担当。 ---日本でのCS機移植版は、PS2版がコーエーネット(現:コーエーテクモゲームス)より発売された。海外ではXbox、GC、GBA版もリリースされている。 -''Gauntlet: Seven Sorrows''(2005) --MIDWAY Studios San Diego開発の家庭用オリジナル作品。Xbox、PS2で発売。日本国内では未発売。 -''ガントレット''(2014) --ワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンターテイメント((ミッドウェイゲームズを買収したワーナーグループの一部門))が発売。開発は『Magicka』(Win)や『Helldivers』(PS3/PS4/PSV/Win)を手がけた、スウェーデンのデベロッパー、Arrowhead Game Studiosが担当。 ---初代のリブート作であり、DLCでは追加のプレイヤーキャラクターとして「ネクロマンサー」が登場している。 ---Windows版はSteamでDL販売されている。海外ではPS4版((アップデート版に当たる『Gauntlet:Slayer Edition』のタイトルでリリース。Steam版も後にアップデートされた。))もあるが、日本では未発売。 ---- *移植版 |ジャンル|アクション・シューティング|&amazon(B000147VUM)| |対応機種|メガドライブ|~| |発売元|テンゲン|~| |開発元|M2|~| |発売日|1993年9月17日|~| |定価|7,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要(メガドライブ版) -傑作ゲームが8年経ってメガドライブに移植された。国内初にして当時では唯一の移植版である((後に2006年9月21日にサクセスから発売されたPS2版『ゲーセンUSA』に『II』と共に収録されており、Xbox Live Arcadeでも2005年12月10日より配信されていた。))。 --海外CS機では既にNES版が出ていたが、残念ながら国内のファミコン版は出ていない。 --また、1990年にはアタリの携帯ゲーム機「LYNX」でも発売されたが、内容はかなりアレンジされていた……というか、あれは3作目という扱いで、純粋な移植版ではない。正式なタイトルも『Gauntlet:The Third Encounter』と、一見3作目かと思わせるようなサブタイトルが付いている。((元々「Time Quests And Treasure Chests」という全く無関係なタイトルで開発中の外注作品をアタリが無理矢理ガントレットの新作として作り変えさせて、リリースしてしまったのがそもそもの発端。))((また、LYNX版発売の翌年にはU.S.GOLDからAmigaやATARI-STなどのホビーPC向けに『Gauntlet III:The Final Quest』が発売され、更にややこしい事になっている。こちらは開発にテンゲンとSoftware Creationsが絡んでいるという代物で、BGMもあのティム・フォリンとジェフ・フォリンが手掛けている。))。そのためにGENESIS版は『GAUNTLET 4』のタイトルになっている。これは後述のクエストモードが4作目の扱いになっているからである。 --ちなみにMD版発売当時までに海外で移植されたプラットフォームは上記を含め全13種にも登り、海外での人気度からもそれが十分に窺える((実際、前述以外にはMS-DOS、Apple II、Macintosh、MSX、Apple IIGS、マスターシステム、Atari-ST、コモドール64、アムストラッドCPC、ZXスペクトラム版が出ている。)) -移植担当は後にAC移植で実績を上げていくことになる有限会社M2。この作品が当社にとってのデビュー作にあたる((M2の堀井社長いわく「M2を立ち上げて、最初にやった大仕事がこれ」と述懐している。))。 --当時、ゲーセンに入り浸っていた仲間達で''X68000へ勝手移植したものをテンゲンに持ち込んだ''のがきっかけとされている((当時海外で出回っていた移植版の再現度に不満を感じていたたことと、堀井社長の友人の一人がAC版を1コインでエンドレスプレイできる腕前を持っており、それを見た他のお客が諦めて帰っていく光景を見た堀井社長が自分達が家で遊べるように「自分達で最高の『ガントレット』を作る」と思い立ったとのこと。))。%%この頃から既に勝手移植とは切っても切れない関係だった模様。%% **評価点(メガドライブ版) -マルチタップを使用した4人同時プレイも可能(当時の対抗機では不可能)な&bold(){超忠実}移植である。 --これまた当然だが、アーケード版のように無理のある姿勢でプレイせずとも4人同時プレイが可能。 -全く遜色ないゲーム性 --アーケードから家庭用へのダウングレードは必至、下手すればゲーム性すら損ねることもあった時代だが、デビュー作の本作からM2の手腕が存分に発揮されており、肝心なゲーム性はアーケード版から損なわれていない。 --流石にグラフックの色数などはやや落ちているものの、認識などには必要十分。 --本当に画面を埋め尽くすほどにモンスターを表示しない限り、チラツキすらしない。キャラ数オーバーした場合でも上半身のみになるため、認識には十分で見づらくなりにくい。この大量のモンスターはゲームの肝ということもあり、表示するために裏技的な手法も使われているなど、黎明期でありながら既に高いレベルにあるM2の技術力を証明しているものといえる。 --その他にも連射標準装備など、細かい所にまで心配りされている。 -BGMの追加 --移植版ではAC版になかったBGMが追加された。作曲者はなんと崎元仁と岩田匡治という超ビッグネーム。 --長くはなく曲数も少ないが、重厚で聞き飽きず、ゲームにも合っている名曲。 -更に複数のゲームモードを追加。 --レコードモード ---一人専用のアーケードモードやりこみプレイ用モード。100クレジットの手持ちがなくなるまでにどこまで優秀な成績を残せるかを目指す。1クレジットで回復できるHPは500。 ---レベルクリアごとに成績と同時にパスワードが表示され、次回プレイの継続が可能。 --バトルモード ---複数人専用の対戦プレイモード。対戦相手のHPを0にするかEXITに落すかで勝利となる。 ---破壊可能な壁にはフードやポーションが隠されており、また破壊不能な壁にショットが当たると反射する。 ---プレイヤーの強さを全員同じ条件にすることも可能なほか、後述のクエストモードで育てたキャラのパスワードを使って対戦することも可能。 --クエストモード ---ガントレットのゲームシステムを用いたRPGモード。複数人同時プレイ・途中参加にも対応。 ---4つのタワーをクリアし、更にキャッスルに挑む。それぞれのタワーなどはフロアに分かれ、ワープゲート(階段)で移動。最深部にはボスがおり、倒すと平常時にHPが減らなくなるなどの便利装備・アイテムを入手できる。 ---ゲームの進行状況の記録は、ポーズボタンを押下してキャンプモードにした際にパスワードが表示されるページを参照することで行われる。また、タワー探索中はタワーの進捗状況のパスワードも合わせて表示される。 ---また、外には途中参加用の部屋があり、ここでパスワードの参照・パスワード再入力によるロード・他プレイヤーの途中参加が可能。 ---外にワープするアイテムはショップで購入出来るほか、各フロアを攻略していけば1Fまで連結している階段を解放でき、直で1Fへ撤退可能になる。 ---完全攻略したフロアは、敵は居なくなり食料などのアイテムはあるというボーナスステージ的な構成になるため、攻略を進めるための体制を整えられる。だが外に出ず粘りすぎると、パスワードを取り忘れていて…とかになりうる。 ---タワー等は外に出ればHPがMAXまで戻る。アイテムの購入は基本的に外にあるショップ((タワー内やキャッスル内にもショップはあるが、各フロアの攻略をある程度はしておかないとたどり着けないケースもある。))で行うため、どこまで粘り冒険して、どこで撤退と判断するかも重要。 ---装備の購入によるステータスアップの他、溜めた経験値を使ってボーナスポイントを割り振ることもできる。このボーナスポイントはかなり多く、雑魚はまず1撃のショットやHP2倍なども割合簡単に可能。ただボーナスが増えるほどに1ポイントあたりの相場は上がっていく。 ---なお、各ゲームモードのパスワードは2に対するZなど間違えやすい文字は使わないようにして、誤認や入力ミスが起きにくいよう配慮されている((この入力方式は他のテンゲン製ソフトのパスワード方式のゲームには共通で採用されている。))。~ また、パスワードの再入力時も入力画面に前回のパスワードが記録されたままになっているため、入力の手間も軽減されている。 -当然であるがどのモードでもいくらでもやり込める。やりこみゲーなだけにありがたい。 **総評(メガドライブ版) 大量のモンスター&4人プレイ可能という超忠実移植に加え、良いBGMの追加、追加されたひと味違うモード、やりこみの阻害なし、と確実に良移植。~ それは当時多数あった移植作の中で、オリジナルのスタッフが唯一称賛したほどである。 **余談(メガドライブ) -''いつものノリな説明書'' --メガドライブ版はハイテンションなノリの説明書に定評のあるテンゲンから発売されたせいか、本作の取り扱い説明書の内容もカオスに満ちている。 --まず「''渡る世間に鬼だらけ''(ジェネレーターのせいだよ)」という表紙のキャッチコピーから嫌な予感が漂う。 --キャラクター選択画面ではバルキリーが''プレイヤーの指名を待っている''などとして、何故かプレイヤーとキャラクターの気持ちが描かれている。 --クエストモードのOP紹介の文は「''伝染と伝説は同じようで違うね。''」。全然紹介になっていない。 --一部の内容では「''らんらんらん 文字テーブルは いいもんだよーん''」同社発売のゲームからキャッチコピーを引用。 --そして説明書の〆には当然の如く「テンゲンおたよりクラブ(仮称)」が付属。 ----

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