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*セブンスドラゴン2020 【せぶんすどらごん にせんにじゅう】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B00516DOZQ)通常版|CENTER:&amazon(B005C8CHVA)リミテッドエディション| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|~| |メディア|UMD 1枚|~|~| |発売元|セガ|~|~| |開発元|イメージエポック|~|~| |発売日|2011年11月23日|~|~| |価格|通常版:6,279円&br()DL版:5,600円&br()リミテッドエディション:8,820円|~|~| |廉価版|PSP the Best&br()2012年12月11日/2,800円(税別)|~|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|正式続編だが前作の前日譚&br()有名声優陣が多数出演&br()問題だったUIが大幅に見直された&br()RPGとしての出来も良い|~|~| |>|>|>|CENTER:''セブンスドラゴンシリーズ'' - ''[[無印>セブンスドラゴン]]'' / ''2020'' / ''[[2020-II>セブンスドラゴン2020-II]]'' / ''[[III code:VFD>セブンスドラゴンIII code:VFD]]'' | ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『[[セブンスドラゴン]]』の続編。ハードは前作から変更されてPSPでの発売となった。~ 明記はされていないが前作の前日譚に位置づけられており、前作のはるか過去に起きた、現代世界におけるドラゴンとの戦いが描かれる。~ ディレクターの新納一哉氏・BGMの古代祐三氏・モンスターデザインの山本章史氏などは続投。キャラクターデザインは前作のモタ氏から漫画家の三輪士郎氏になり、頭身が上がるなど前作とは全く異なるデザインになった。~ 主題歌はボーカロイド「[[初音ミク>SEGA feat. HATSUNE MIKU Projectシリーズ]]」を用いたsasakure.UK氏の「SeventH-HeaveN」。 ---- **ストーリー >時は現代、2020年。~ 魔獣「マモノ」を討伐するために結成された特務機関「ムラクモ」に招集を受けた一般人のあなた(プレイヤー)は、そのS級の才能を見出されムラクモの候補生としてマモノ討伐の戦いに参加することになった。~ 初任務としてある建物内部に巣食うマモノの討伐を命じられ、順調に雑魚マモノを討伐していくムラクモ候補生たち。しかしその最奥に待ち受けていたマモノ――「ドラゴン」に、主人公らムラクモ候補生は敗北してしまう。~ それと時を同じくして、地球の全域に彼らを倒したのと同じ「ドラゴン」が舞い降りる。~ 人類の科学とは桁外れの力を持つドラゴンたちは瞬く間に地球全土を蹂躙し、人類はあっけなく生態系の頂点から転がり落ちた。~ プレイヤーら生き残りのムラクモ候補生が目を覚ました時、すでに人類は絶望的な状況にあった。~ 日本政府はマモノ討伐のエキスパートであるムラクモ機関に希望を託し、ムラクモ機関は生き残った自衛隊と協力して日本の国土を取り戻していくことを決断。~ 「ムラクモ13班」として再編成されたプレイヤーらは、人類の生き残りをかけてドラゴンとの戦いに身を投じる事となる。 ---- **ゲームシステム ''キャラクターメイキング'' -プレイヤーが決められるのは名前・外見・職業・ボイスの4種。 --外見は男女5種類ずつ、職業は5種類、ボイスは男女15種類ずつ(男性声優・女性声優15人ずつ)の中から選べる。 --前作と違い外見と職業は結びついておらず、(男女の制限はあるが)好きな組み合わせにできる。 --パーティ人数は前作の4人から3人に、職業は7種から5種に減少。その影響か、今作の職業は前作の職業がいくつか統合されたようなものもあり、各職業でできることは多くなっている。 #region(各職業について) -''サムライ'' --前作におけるファイター+サムライ。典型的な前衛系キャラで、刀を使って戦う。 --前作と同じく「構え」を切り替えることで様々な技を扱うことができる。「抜刀」は範囲攻撃に優れ、「居合」は単体攻撃と属性攻撃に長ける。 --前作では脆かったが、今作ではファイターとの統合の影響か脆くなくなった。 --奥義は「乱れ散々桜」。強力な単体攻撃。追加効果こそ持たないが威力はピカイチ。 --外見は学生服を着た「スチューデントスタイル」と結びつけられることが多い。 -''トリックスター'' --前作におけるローグ。やや脆いがスピードに長け、職業の中で唯一2種類の武器(ダガーと銃)を使える。使用可能なスキルは武器によって変化する。 --ダガーは毒や麻痺などの状態異常攻撃が多く、銃は攻撃力と範囲攻撃に長ける。 --奥義は「狂咲きバッドヘヴン」。ダメージこそ伸び悩むが、相手にランダムで多数の状態異常を同時に付与する。 --外見はスーツを着た「エージェントスタイル」と結びつけられることが多い。 -''デストロイヤー'' --今作の新規職業。「拳で戦う」「反撃技が主力」という前作におけるサムライの「無手」系スキルの特徴を一部受け継いでいる。拳を使って戦うパワーファイターで、速度に劣るが攻防両面共に強力。 --攻撃する度に一定確率で相手に「D深度」という特殊な状態異常を付与することができ、D深度は攻撃を続けることで深まっていく。D深度を付与した敵には強力な攻撃スキルを発動できる。 --「○○也」系の反撃スキルを使えば、特定の攻撃を軽減・無効化しつつダメージを与えることも可能。 --奥義は「スカイハイメテオ」。全体に特大のダメージを与え、最大D深度を付与する。 --外見は男性は巨体、女性はスポーティで肘当て・膝当てを身につけた「パワフルスタイル」と結びつけられることが多い。 -''サイキック'' --前作におけるメイジ+ヒーラー。超能力で自然現象を操る属性攻撃のエキスパート。 --とにかく攻撃魔法の火力が高く、相手の弱点属性を的確に突いていくことでコンスタントに火力を叩き出せる。しかしこの手の職業のお約束で耐久力は高くない。 --回復魔法の他、味方に自動反撃能力を付与する「ボディ」系魔法など、サポート能力も高い。 --奥義は「黒のインヴェイジョン」。単体に大ダメージを与え、全能力を低下させる。 --外見は男性はフードと拘束具のようなベルト、女性は露出度がかなり高い「アングラスタイル」と結びつけられることが多い。 -''ハッカー'' --前作におけるプリンセス。重度のメカマニアである電子攻撃のスペシャリスト。 --強化や弱体を担当する縁の下の力持ちタイプの職業。また敵を「ハッキング」することで制御下に置くことができ、同士討ちや弱体化をさせることができる。 --スキルの多くは割合操作なため、序盤では雀の涙ほどの効果しかもたらせないが、ゲームが進んで育てば育つほどパーティの司令塔として真価が発揮されてゆく。 --奥義は「禁断の秘技」。使用ターン中、あらゆる攻撃・状態異常からパーティを守る。 ---ちなみに奥義解禁イベントでは名称の元ネタ由来のものが登場する。 --外見は男性はアニメTシャツ、女性はツインテール&ゴスロリ衣装の「オタクスタイル」と結びつけられることが多い。 #endregion ''キャラクターの育成'' -バトルスキル(職業固有のスキル)を習得・強化することができる「SP(スキルポイント)」は、前作ではレベルアップ時に得られたが、今作では戦闘ごとに経験値と一緒に入手するようになった。 --「SPアップ」という消費アイテムで増やすこともできる。 -「パーティスキル」と呼ばれるパーティ全員で共有するスキルもある。フィールドでしか使えず回数制限があるが、マナ(いわゆるMP)を消費せずアイテムのように使うことができる。 -レベル30以上で、職業を変更できる「転身」が可能になる。転身するとレベルは半分になるが、転身前の職業に応じたパラメータボーナスを得ることができる。なお、同じ職業への転身も可能。 --このパラメータボーナスは蓄積するので、転身を続ければ時間はかかるが特定のパラメータを上げ続ける事ができる。 -「奥義」と呼ばれる超強力なスキルは今作でも健在。ストーリーを進めると、レベル40以上で職業ごとの条件を満たすことで習得可能になる。 --習得には条件を満たすだけではなく、膨大な量のSPも必要。しかしその性能は労力に見合った、あるいは労力以上のもの。 ''ゲーム進行'' -本作はチャプター式のRPGとなっており、基本的には一本道。各チャプターの目的を達成することでマップ上に新たなダンジョンが出現し、ストーリーが進む。 -サブイベントとして「都庁改修」「クエスト」「デートイベント」が存在する。 --都庁改修 ---ストーリー序盤でドラゴンの手から取り戻され、生き残った人類の拠点となるのが東京都庁である。ドラゴンを倒すと手に入る資材「Dz」を消費して「改修」することで、様々な施設が増えていく。 ---改修すると習得可能スキルやショップの品揃えが増えたり、後述のクエストの解禁に関わる他、各施設の住人・代表者からお礼として様々なアイテムやスキルを得られる。 --クエスト ---RPGのお約束とも言えるサブイベント。様々な依頼を解決することで報酬が手に入る。ストーリーのちょっとした舞台裏が語られることも。 --デートイベント ---ある施設を改修すると、特定のNPCやパーティメンバーとデートができるようになる。 ---NPCとデートするには、それぞれに対応した特定のクエストをこなして「アドレス」を入手する必要がある。 ---特に報酬がある訳でもないミニイベントだが、良い%%妄想%%息抜きにはなるか。 ''戦闘'' -戦闘は前作と殆ど変わらないRPGとしては一般的なもの。コマンドは攻撃・防御・スキル・アイテム・エグゾースト(後述)・逃走の6種。 --パーティ人数減少のためか、前作にあった隊列の概念は無い。 ---ちなみに先頭に近いほど狙われやすい等といったことは無いが、複数人が最速行動の時の実質的な行動順や自動発動スキル(後述)は先頭に近いキャラのものが優先される。 --前作ではストック式だった1ターンのみのパワーアップコマンド「エグゾースト」は、相手にダメージを与えることでゲージを稼ぎ、満タンにすることで使用可能になるという仕様になった(『[[ファイナルファンタジーVII]]』のリミットゲージに似た扱い)。 --エグゾーストを使用すると最速行動になり、行動が強化される(攻撃・回復はダメージ・回復量増加、防御はダメージ軽減率上昇)。 ---なお、先述の奥義はエグゾースト使用時しか使用できない。 ''ダンジョン'' -前作で多くの批判があったフロワロ((ドラゴンの居る領域に咲く花。前作では踏むとダメージを受けるうえに至る所にあり、対策手段も限られていた))は演出・設定のみの存在となり、フロワロシード((フロワロ圏内で出現する、ドラクエで言うはぐれメタル))は低確率でエンカウントするレアエネミー的な存在になった。 --ダンジョンでは通常はランダムエンカウントだが、フロアに徘徊する中ボス(ドラゴン)のみシンボルエンカウントという前作の形式を引き継いでいる。 -ダンジョンには逃げ遅れたNPCが点在している。話しかけると救助したことになり、以降は都庁の所定の場所に住みつく。 --救助人数に応じてアイテムが貰える。 ''ドラゴン'' -タイトルにもなっている人類の敵。シリーズを象徴する存在。 --どのドラゴンも強敵かつ先述の通りシンボルエンカウントであるため、『[[世界樹の迷宮]]』における「FOE」と似たようなシステムになっており、全編にわたってプレイヤーを苦しめてくる。 ---全てのドラゴンが2回行動であり、攻撃力・耐久力が高いのはもちろん、状態異常による自滅や、リアクトスキル(後述)によって更なる行動を狙ってくる者もいる。 ---例に挙げたFOE同様、ドラゴンの近くで戦闘しているとそのドラゴンが乱入してくることがある。場所によってはドラゴン数体を相手にせねばならないことも……。 ---「壁フロワロ」を使って道をさえぎるドラゴンもいる(通称・壁ドラゴン)。通常のドラゴンよりさらに強いうえ、場所によっては性質上必ず倒さなければならない。 --FOE同様にシンボルエンカウントなので戦闘自体の回避がノーコストで可能である点、後ろを取れば先制できるという点がまだ救いではある。 ---ただし壁ドラゴンは壁を背にしているため先制は困難(できなくはないが)。 ''初音ミク2020とDIVAモード'' -本作は初音ミクとコラボしており、あるクエストで彼女を救出すると、BGMを「DIVAモード」に変更できるようになる。 --DIVAモードでは全てのBGMに彼女の歌やスキャットが入るアレンジバージョンになる。アレンジャーは先述のsasakure氏など多数。 --ミクの衣装は本作オリジナル。後にこのバージョンのフィギュアも発売された。 ---- **評価点 ''親切さ'' -前作では徹底したレトロゲーライクな不親切さが一部のプレイヤーの不満を生んだが、今作はそれを意識してか親切設計が目立つ。 --チュートリアルステージ(チャプター0)の存在を始め、触れるだけで全回復するセーブポイント((ただしパーティスキルの使用回数は回復しない))が点在、フロワロのダメージ廃止、画面上に表示されるエンカウント確率を示すエネミーレーダーの設置、クエストの進行状況・ヒントが簡単に確認可能、戦闘に敗北してもリトライ可能、一部のフィールドスキルのパーティスキル移行など、遊びやすさがかなり改善されており制作側の心配りが嬉しい。 ---特にフィールドスキルの一部をパーティスキルに移行させたことは、少ないパーティ枠を特定の職業で食う事態が発生しないので評価されるべき点だろう。 --パーティスキル自体はキャンプメニューを経ずに回復やエンカウント防止ができると好評。 ---特に好評なのが、強制的にエンカウントでき、使用回数も無限という「キラーズアトラクト」。これをダンジョンで連発するだけで動き回ることなく連戦でき、後述する自動発動スキルと相まってレベル上げの負担がかなり軽減された。 --何より重要であるのがこれ程の親切設計でもヌルゲーと言えるほど難易度が落ちていない点であり、ボスにあたる帝竜戦や、一部のドラゴン、クエストボスなどは歯ごたえがある。ストレスの溜まりやすい要素を廃することで難易度のメリハリを付けることに成功していると言える。 ---前作では戦い方によってはあまり強くなかったラスボスと裏ボスに当たるポジションの敵は本作では文句無しの強敵となっている。 ''ダンジョン探索のストレス減'' -前作の一部のダンジョンに見られた複雑なダンジョン構成が無くなり、全体的にかなり攻略しやすくなった。 --分かりづらく、目印も無いことから不評の多かった隠し通路によるショートカットは中継地点に変更となり、一度ダンジョンを出てもダンジョンの途中から再開できるようになった。 ''練られた職業・ゲームバランス'' -職業間の見事なバランスは前作から健在。パーティ編成の自由度は前作以上。 --5種類しか存在しない反面、個々の汎用性が高く、殆どの職業で同職3人という極端な編成でも十分クリアできるようになっている(「特定の職業がパーティに居ないと発動しないスキル」もごく一部のみ、かつ必須ではない)。 ---全職が何らかの防御系スキル・回復系スキルを持ち、強力な攻撃スキルもハッカー以外の全職が持っている。 ---例えばサムライは自己強化や自己回復スキルも持つので、何人いても安定したパーティになれる。 ---デストロイヤーは開発者によれば「一人旅もできるかもしれない」とのこと。回復スキルこそ少ないが、反撃スキルで手数が多くなりやすく、攻撃を無効化・軽減する手段にも富むためだろう。 --前作のようにフロワロ対策やエンカウント軽減のために職業が限定されることもなくなった。 ''前作から大きく改善された戦闘周りの仕様'' -UI改善と自動発動スキルの登場によって、より爽快感が増している。 --自動発動スキルは名前の通り一定確率で戦闘中に発動するスキルなのだが、サムライの「修羅の貫付け」やデストロイヤーの「先制デストロイ」など先手を打てるものが非常に便利(なんと不意打ち時も発動する)。発動すると開幕から戦いは有利に進められ、レベルによってはザコは即死することもある。先述のキラーズアトラクトや回復セーブポイントの存在も相まって経験値稼ぎが非常に楽になった。戦闘に突入する前に雑魚敵がまとめて撃破される様は、スカッとする事請け合い。 --前作から引き続き登場する、条件を満たせば行動回数が増える「リアクト」スキルも好評。職業によっては''「ずっと俺のターン!」''を現実のものにすることも可能。さすがに1ターン内のリアクト回数にも上限があるので本当に「ずっと」とはいかないが。 --他、相手の弱点属性を突くと「GOOD!」と表示されるので弱点を覚えやすい。 -ドラゴンの存在があるため、戦闘には適度な緊張感がある。 --特に装備の整わない序盤においては前作同様、ドラゴンの存在は大きな恐怖となる。 --装備が整ってくると経験値やSP稼ぎの対象となってしまうのも前作や『世界樹』と同様。それでも強力な一撃はこちらをヒヤヒヤさせてくれる。前作同様、ドラゴンは一度倒すと復活しないので特定のドラゴンをカモにして稼ぎまくることはできない。 -クリア後はザコからボスまでドラゴン尽くしの裏ダンジョン「幻影首都」が登場。プレイヤーにドラゴンの恐怖を再度刻んでくれる。最深部に待ち構える裏ラスボスも十分な強さを誇る。 ''豪華声優陣'' -近年の作品としては異様に出演声優の顔ぶれが豪華。ベテランから若手まで実力派が揃っており、キャラメイクの面白さを引き立たせている。 --同じ声優でも職業(スキル)毎にセリフが異なる。 --同じ作品で共演した声優も多く、その気になれば「[[ガンダム>ガンダムシリーズ]]パーティ」「[[テイルズ オブ>テイルズ オブ シリーズ]]パーティ」「[[ギアス>コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS]]パーティ」「[[とある>とある科学の超電磁砲]]パーティ」「[[けいおん!>けいおん! 放課後ライブ!!]]パーティ」などを作ることも可能。元となったキャラになりきって遊ぶのも一興。 ---声優ネタもきっちり完備。随所に隠されたネタを探すのも面白い。 ''演出'' -ダンジョンはドラゴンによって異界化した東京23区の各所であり、場所によって原型を留めていたり留めていなかったりするのだが、フロワロ(花)の存在もあってか何れもショッキングかつ美しい。 -人物モデルは頭身の低い、いわゆるチビキャラ。それがちょこまかと動き回る戦闘は見ていて楽しい。動きのバリエーションも豊富。 -ムービーのほとんどはリアルタイムレンダリングなため待ち時間が少なく、それでいて迫力もある。 -NPCはストーリーの節目ごとに話す内容が変わるため、話しかけるのが楽しい。ムラクモを応援してくれる者、自分にできることを探す者、避難生活に不満を持つ者、''ドラゴンを崇める新興宗教の入信者''など個性も豊か。別の場所で救助された人同士が実は家族や知り合いだった、などとわかる展開も。 ''前作とのつながり'' -一部の登場人物は前作から続投。彼らについて掘り下げる描写もある。 --前作プレイを前提とした描かれ方ではないので、今作からのプレイでも問題ない。 -BGMの一部に前作のアレンジがある(ドラゴン戦は「戦場―荒れ狂うもの」、渋谷は「迷宮―密林航行」のアレンジであるなど)。 ''その他'' -前作から変わったキャラデザインは発表当時こそ否寄りの賛否両論だったが、現在は賛寄りに落ちついている。人気なのはスチューデント女性・オタク女性・アングラ男性。特に前2者は公式イラストに描かれる頻度も高く、フィギュア化もしている。 -BGMも前作と異なりテクノ・サイバーチックになったが、原曲・DIVAアレンジ共に好評。 ---- **賛否両論点 ''ストーリー'' -前作と比べて超展開が少なくなり、オーソドックスに。ただし生々しい描写があるのは据え置きで、鬱展開の多さも相変わらず((続編『2020-II』ではいずれも更にパワーアップしている。))。 --エゴイズムや狡猾さ、弱さといった人間の負の面を綿密に描写している。「それがいい」と評価する声も、「そこまでの描写は要らない」と拒む声もある。 --名前の有る無し問わず人が死ぬ展開が多く、その状況も「人間が盾になる」「人間を使ってダンジョンが作られる」「催眠による殺し合い」などと凄惨。否が応でもこの物語は人類とドラゴンの戦争、あるいは足掻きであることを認識させられる。 --残酷描写はグラフィックでの直接表現は無いものの、テキストにはしれっと盛り込まれている(倒れている人を調べるとその状況が語られるなど)。 #region(以下ネタバレのため注意) -ストーリー上の鬱要素の多くはナツメという人物のせい。彼女は「オールA級」の能力者なのだが、「ムラクモの統率者の一族にあって『S級』能力を持たない」という自分自身を受け入れられないあまり、様々な凶行に走っている。 --S級能力者を人為的に生み出すために孤児を捕らえては人体実験を繰り返し、能力者ではない自衛隊を「戦力外な人間も盾くらいにはなる」と敵の砲台に対する囮にさせ、あげくに前作からの登場人物・エメルから託されていた対ドラゴンの切り札・ドラゴンクロニクルを自身に使って竜化、その力で大量虐殺を起こし、「クズも養分としては役立つ」と東京タワーを宇宙に届くまで巨大化・異界化させてしまう。また、竜化後は秘めていた狂気を隠さなくなる。 -一方で、ナツメの補佐役・キリノの不幸っぷりも酷い。好意を寄せていたナツメが人類の敵となり、目の前で自分の助手的存在含む大勢の人間を惨殺するという……彼の心中はいかばかりか。デートの対象者であるのが(プレイヤーが気持ちの上で慰めることができるという点で)せめてもの救いか。 #endregion ''演出について'' -チビキャラと直接表現が無い点は、「状況の深刻さが伝わってこない」「鬱要素に気を取られず進められる」と評価が分かれている。 --ただし上述のように描写が生々しく、リアルな頭身のキャラクターで直接的な表現をするとCERO:Zになること請け合いなため必要に迫られてそうなっているとも言える。 --また、プレイヤーと戦闘しないNPCは戦う演出が少ない(あるいは弱い)ために強さや職業的個性がわかりにくい。 ---- **問題点 ''自由度・ボリュームの低下'' -前作は広大なフィールドに複数のダンジョンが点在しており、中盤以降は好きな順番で攻略することができたが、今作では先述の通り一本道になっている。 --舞台についても前作は幾つかの国が舞台だったが、今作ではほぼ東京23区のみとスケールダウン。ダンジョン数自体も大小合わせて30あった前作から1つの規模が違うとはいえ半数以下に激減した。 -便利になった様々な要素、簡素化されたダンジョンなどは概ね高評価とはいえ便利すぎや簡単にしすぎとの声も無くはない。 -ドラゴン・隠しアイテム・クエストの数は前作から減少。 --ドラゴンは前作の666体から200体に大幅減。また前作での全ドラゴン討伐はどちらかというとやり込みの領域だったが、今作ではクリア前に組み込まれている分が多い。 --各職業の最強武器は、前作では豊富なサブイベント・クエストの報酬であったり隠れた場所に配置されていたのに対し、今作ではただ幻影首都の各階層のボスを撃破することで入手できる撃破報酬的な扱いになっている。味気なくなった事を惜しむ声は少なくなかった。 -クリア後の楽しみは幻影首都のみで、周回要素も無い。 --強いて挙げるとすれば、DIVAモードを解禁したシステムデータがあると最初からDIVAアレンジを聴けるようになる程度。 ''不親切な点が一部残っている'' -フィールドの広さに対して歩行速度が遅めなのは変わらず。特にラストダンジョンでは回復ポイントと中継地点の間隔が非常に広いため、回復のために何度も出入りする度に長い通路を移動する必要がある。 -エンカウント率を下げるスキル「ステルス」を使用して効果が切れてもアナウンスが出ない。 -アイテムの所持限界は一種につき15個までと少なめ。手に入る数が多い為、適当に使うか売るかしないとすぐにあぶれてしまう。 --売値が非常に安く、売っても二束三文にしかならないのも併せて同開発元の「クリミナルガールズ」シリーズを彷彿とさせる。 --回復アイテムが全体的に優秀なため、バランス調整のために少なくしている部分もある。 -今作もアイテム図鑑やモンスター図鑑は無い。 --ただしクエストが前作ほど不親切ではないので必要性も少なくはなっている。 ''キャラクターメイキングの仕様・幅の狭さ'' -一言で言えば「どの要素も個性が強いうえに種類も少ないため、思い通りのキャラメイクは難しい」。 --外見は全職共通となったためか、パターンは大幅に減少(28→10種類)。色違いでもいいからもう少し増やして欲しかったという声が多かった。 ---次作ではアナザーカラーが2種類ずつ追加されている。 --モーションは勝利ポーズ以外男女共通。勝利ポーズも職業固定で、サイキックや女性ハッカーなどはかなりクセがある。それぞれ面白くはあるが。 --ボイスについて ---男性を想定した女性ボイスは無く、そもそも外見とボイスの性別は固定である((NPCには女性声優が演じた少年キャラがいるのだが。))。 ---演技傾向(女王様、アホの子、無口、元気っ子など)はどの職業でも同じであり、バリエーションは意外に少ない。 ---また基本的にアニメキャラなどの元ネタありきの演技なので、元ネタを知らない・興味がない人は「何でここでこんなセリフ?」と違和感を覚えたり、そうでなくともオリジナルのキャラを使っている気にはなれないかもしれない。 ---セリフは使い回しこそ少ないがスキル毎に1種類のみのため、何度も聞いていると飽きやすい。 -職業以外の要素は一度決めると変更不可。 --次作では条件つきながら名前・外見・ボイスも変更可能になっている。 ''戦闘関連'' -戦闘アニメが3D化したことでややテンポが悪くなっている。 --演出は短縮やスキップができず、特に奥義は長いのでイライラすることも。 -隊列の概念消滅やパーティ人数の減少で、メンバーが戦闘不能になった時の立て直しが難しくなっている。 --特に後半になるほどドラゴンの攻撃力が急激に上昇していくため、他のRPGでもありがちなことだが''「仲間が死んだ!>蘇生アイテムで回復>蘇生した仲間or別の仲間が死んだ!>蘇生アイテムで回復>また別の仲間が~」''という悪循環に陥ってそのまま敗北してしまいやすい。 --これは「回復・セーブポイント多数」「全職回復スキル持ち」「回復アイテムが沢山手に入る(が、素の回復量はイマイチ)」「回復系パーティスキルの使用回数が多い」という親切設計の裏返しとも取れる。よって、''「戦闘後の復帰は容易だが、戦闘中の立て直しは難しい」''というバランスになっている。 -装飾品の実質的な選択肢が少ない。 --ドラゴン、特にボス戦では強力な状態異常を使用してくるのがパターンであり、それらへの対策が優先されやすい。 --2つある装飾品枠は特定の状態異常を100%防ぐ「○○カット」か、50%防ぐ「○○ガード」を2つで完全耐性をつけておくのが安定となってしまい、他の装飾品を付ける余裕がほとんどなくなってしまう。 --職業によっては状態異常対策のスキルを持っていたりはするが、それでもリスクがゼロというわけではない。 -トリックスターの奥義「狂咲きバッドヘヴン」が壊れ性能。そもそも奥義自体非常に強いものばかりではあるが、狂咲きバッドヘヴンはそのものの性能とトリックスター自身の特性によってとんでもないことになっている。 --効果は単体への大ダメージと全状態異常のランダム付与というものであるが、この多重状態異常がラスボスだろうが隠しボスだろうが効いてしまい、しかも状態異常の付着率は非常に高い。中でも最低2ターン行動を停止させられる睡眠は極めて強く、寝てる間に各種リアクトや補助スキルの類をかけて盤石の状態を作ることができる。さらには毒を始めとしてスリップダメージを与える状態異常の数が非常に多く、それらが複合することでスリップダメージだけでも馬鹿にならないダメージを与えられる。 --トリックスターはスキル構成のおかげで全職の中でもリアクトを発生させることが最も簡単(戦い方によっては確実)であるため、エグゾーストゲージの増加量を増やすアクセサリを装備した上で1ターンに最大4回の行動機会を得ると簡単にエグゾーストゲージを貯めることができ、1回の戦闘で複数回奥義を打つことさえできる。 -そもそも奥義を抜きにしても全体的にトリックスターは優遇されているきらいがある。 --スピードが全職で最速なため先手を打って行動しやすく、味方全体が使うアイテム効果を上げる「トリックハンド」があるため回復役として最適である。 --最速行動でほぼ確実に戦闘から逃走できる「エスケイプスタンス」、先制確率を大幅に上昇させ、不意打ちも無効化する「サプライズハント」の2つの補助スキルのお陰でダンジョン探索の事故率が非常に低くなる。 --火力自体は高くないが、クリティカル攻撃を決めることで再行動が可能になる「アサシンズリアクト」と、非常にクリティカル率の高い各種攻撃スキルや通常攻撃のクリティカル率を100%にする「ハイディング」の相性が非常に良く、複数回攻撃することでサムライにも匹敵する火力になる。 ---これらの点のお陰で火力職としてもサポート職としても適正が非常に高く、何でもこなせる超オールラウンダーになっている。これに壊れ奥義の存在が重なって今作屈指の強職となっており、下手なパーティよりもトリックスター3人という構成が真面目に有力なほど。 ---ただし、奥義自体がゲーム終盤にならないと解禁されない関係でゲームバランスの崩壊という程には至ってはいない。トリックスター3人旅もスキルの揃わない序盤が厳しいため最有力という程でもない。 --当然というべきか次回作では奥義の付与状態異常から睡眠が外され、付与数も4つに減らされ((狂咲きバッドヘヴンと秘奥義「磔刑ディアボリカ」で分割))、他のスキルについても弱体化を受けることになった。 -パーティスキル「EXブースター」が強すぎる。 --キャラ1人のエグゾーストゲージを満タンにするパーティスキルだが、強力であるためか仕様上限は1回である。しかし宿舎のベッドで回復することで一切のコストやペナルティ無しで簡単にパーティ全員のゲージを満タンにすることができるため、奥義をフル活用する強力なドラゴンを倒す→一度ダンジョンを出てベッドで寝て全員分回復させるを繰り返すことで中盤以降の難易度がガタ落ちしてしまう。 --パーティスキルには次に行う戦闘で得られる経験値とSPを上昇させる「EXPボーナス」と「SPボーナス」、一時的にエンカウントを防ぐ「ステルス」もあるため、これらを併用して雑魚のエンカウントを避けつつ奥義使用でドラゴンを1~2匹倒してダンジョン離脱を繰り返すだけでもガンガンレベルを上げることができる。 ---あまりに強すぎたため次回作では削除された。 ''初音ミク関連'' -初音ミクはPVやOPムービーなどで大きくピックアップされているが、実際のゲームでの扱いは他のモブと同等かそれ以下。ストーリーに大きく関わることはない。 -DIVAモードについて --アレンジャー多数かつ古代氏はアレンジ不参加のため、曲の雰囲気にばらつきがある。 --歌あり曲はsasakure氏のアレンジなど一部のみ。 ---次作では歌あり曲の割合が増えた他、原曲も全体的に歌ものをより意識した作りになっている。 ''その他'' -TOKYOマップ(いわゆるワールドマップ)ではダンジョン毎に残存ドラゴン数が表示されるが、ストーリー到達時点では討伐不可能なドラゴン(行けない場所や受領できないクエストに出現する)も数に入っている。このため、ドラゴンを探して延々とダンジョンをさまよい続けるプレイヤーが続出した。 --次作ではストーリー到達時点で討伐できる数のみ表示されるようになった。 -前作に登場した「ルシェ族」が登場しない。 --次作では登場し、条件を満たせばキャラメイクでもルシェの外見を選択可能になる。 ---- **総評 不親切さがいろいろと目立った前作に近年のイメージエポックの悪評や、「声ゲーに良ゲーなし」という前評判から不安視されていたものの、蓋を開けてみれば前作の反省点を多く改善して堅実にまとまっていた良作。~ 派手なアピールポイントや新システムこそ無いものの、バグも少ないため安定して遊ぶことができる。RPG好きで凄惨な描写などに抵抗がないならやって損はない一本。 ---- **余談 -本作の1年後を描いた『[[セブンスドラゴン2020-II]]』が2013年にPSPで発売された。 --UIなどは更に快適になったが、鬱要素が増したストーリーや、ダンジョンなど本作の流用が多い点は賛否両論。 -シリーズ完結編と銘打たれた『セブンスドラゴンIII code:VFD』が発売されたことで、前作からの登場人物(の一部)が誰であるかは事実上公表される形となった。 -本作登場時点では前作のファンタージ路線が4作に現代編の外伝が1作となっていた。([[参考>https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/493494.html]]) --現代編の方が人気が出たためか後のシリーズはすべて現代編となり、ファンタジー編は1作目のみだった。 -予約特典は冊子「ドラゴンクロニクル2020」と、主題歌(ショートバージョン)含む一部BGMを収録したCD。 --リミテッドエディション(限定版)の特典「政府特殊機関“ムラクモ”限定装飾一式」は、PSPフェイスカバー、プレイヤーキャラ10種のPSP型ステッカー、カナル型イヤホンのセット。 -本作のサウンドトラックには主題歌およびDIVAアレンジは収録されていない。 --大人の事情とはいえファンからは少なからぬ落胆の声が上がっていた。 --主題歌(フルバージョン)はsasakure氏のアルバム「幻実アイソーポス」に収録。DIVAアレンジアルバムは次作発売後に次作のDIVAアレンジとカップリングされて発売された。 ---DIVAアルバムに限らず関連商品は本作のみよりも次作とセット、つまり『セブンスドラゴン2020シリーズ』としてのものの方が多い。 -セガということで(?)一部にお遊び(ものによってはバカ寄り)要素がある。例えば…… --ある場所で見つかるゲームの名前が『[[ファンタシームーン>ファンタシースターシリーズ]]』((プロデューサーの小玉理恵子氏つながり。))。 --ハッカーの武器に「[[ドリームキャスト>ゲーム記事一覧 (DC)]]」がある他、奥義で出てくるのは……。 --「タカシという息子を案じる母親」など元ネタのあるNPC(モブ)もいる。 --ある施設を改修するとお風呂に入れるようになるのだが、その様子はどう見ても通常の人物グラフィックをお湯のグラフィックで隠しただけ。しかも入口は男女分かれているはずなのに中身は何故か混浴。 -他作品との関わり --サムライの武器「巴御前」「ランドウの釘バット」は同じイメエポの『[[クリミナルガールズ]]』のカメオ出演と思われる((巴御前の大元のネタは実在の女性武将だが、本作の巴御前はクリミナルガールズのそれと形状が酷似している。))。 --同じセガの『[[電撃文庫 FIGHTING CLIMAX]]』に本作をモデルにした衣装やステージが登場する。 -エージェントとアングラの女性は、一部のスキル・勝利ポーズに胸が揺れる演出がある。 --実はエージェントでは揺れるがアングラでは揺れない動作もある。%%変なところで芸が細かい。%% -2020年の大晦日にsasakure氏が主題歌の「SeventH-HeaveN」のアレンジVerを自身のYoutubeチャンネルで公開。Ⅲの各ボーカルを担当したAnnabel氏と初音ミクVerの二つを別々に分けている。 --タイトル名でも現実でも2020年の終わりを告げる事を表したのだろう。 ---- //タグ管理用スペース(タグを変更した時は内容をこちらにコピペ上書きしてください。) //RPG,セガ,イメージエポック,セブンスドラゴン
*セブンスドラゴン2020 【せぶんすどらごん にせんにじゅう】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B00516DOZQ)通常版|CENTER:&amazon(B005C8CHVA)リミテッドエディション| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|~| |メディア|UMD 1枚|~|~| |発売元|セガ|~|~| |開発元|イメージエポック|~|~| |発売日|2011年11月23日|~|~| |価格|通常版:6,279円&br()DL版:5,600円&br()リミテッドエディション:8,820円|~|~| |廉価版|PSP the Best&br()2012年12月11日/2,800円(税別)|~|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|正式続編だが前作の前日譚&br()有名声優陣が多数出演&br()問題だったUIが大幅に見直された&br()RPGとしての出来も良い|~|~| |>|>|>|CENTER:''セブンスドラゴンシリーズ'' - ''[[無印>セブンスドラゴン]]'' / ''2020'' / ''[[2020-II>セブンスドラゴン2020-II]]'' / ''[[III code:VFD>セブンスドラゴンIII code:VFD]]'' | ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『[[セブンスドラゴン]]』の続編。ハードは前作から変更されてPSPでの発売となった。~ 明記はされていないが前作の前日譚に位置づけられており、前作のはるか過去に起きた、現代世界におけるドラゴンとの戦いが描かれる。~ ディレクターの新納一哉氏・BGMの古代祐三氏・モンスターデザインの山本章史氏などは続投。キャラクターデザインは前作のモタ氏から漫画家の三輪士郎氏になり、頭身が上がるなど前作とは全く異なるデザインになった。~ 主題歌はボーカロイド「[[初音ミク>SEGA feat. HATSUNE MIKU Projectシリーズ]]」を用いたsasakure.UK氏の「SeventH-HeaveN」。 ---- **ストーリー >時は現代、2020年。~ 魔獣「マモノ」を討伐するために結成された特務機関「ムラクモ」に招集を受けた一般人のあなた(プレイヤー)は、そのS級の才能を見出されムラクモの候補生としてマモノ討伐の戦いに参加することになった。~ 初任務としてある建物内部に巣食うマモノの討伐を命じられ、順調に雑魚マモノを討伐していくムラクモ候補生たち。しかしその最奥に待ち受けていたマモノ――「ドラゴン」に、主人公らムラクモ候補生は敗北してしまう。~ それと時を同じくして、地球の全域に彼らを倒したのと同じ「ドラゴン」が舞い降りる。~ 人類の科学とは桁外れの力を持つドラゴンたちは瞬く間に地球全土を蹂躙し、人類はあっけなく生態系の頂点から転がり落ちた。~ プレイヤーら生き残りのムラクモ候補生が目を覚ました時、すでに人類は絶望的な状況にあった。~ 日本政府はマモノ討伐のエキスパートであるムラクモ機関に希望を託し、ムラクモ機関は生き残った自衛隊と協力して日本の国土を取り戻していくことを決断。~ 「ムラクモ13班」として再編成されたプレイヤーらは、人類の生き残りをかけてドラゴンとの戦いに身を投じる事となる。 ---- **ゲームシステム ''キャラクターメイキング'' -プレイヤーが決められるのは名前・外見・職業・ボイスの4種。 --外見は男女5種類ずつ、職業は5種類、ボイスは男女15種類ずつ(男性声優・女性声優15人ずつ)の中から選べる。 --前作と違い外見と職業は結びついておらず、(男女の制限はあるが)好きな組み合わせにできる。 --パーティ人数は前作の4人から3人に、職業は7種から5種に減少。その影響か、今作の職業は前作の職業がいくつか統合されたようなものもあり、各職業でできることは多くなっている。 #region(各職業について) -''サムライ'' --前作におけるファイター+サムライ。典型的な前衛系キャラで、刀を使って戦う。 --前作と同じく「構え」を切り替えることで様々な技を扱うことができる。「抜刀」は範囲攻撃に優れ、「居合」は単体攻撃と属性攻撃に長ける。 --前作では脆かったが、今作ではファイターとの統合の影響か脆くなくなった。 --奥義は「乱れ散々桜」。強力な単体攻撃。追加効果こそ持たないが威力はピカイチ。 --外見は学生服を着た「スチューデントスタイル」と結びつけられることが多い。 -''トリックスター'' --前作におけるローグ。やや脆いがスピードに長け、職業の中で唯一2種類の武器(ダガーと銃)を使える。使用可能なスキルは武器によって変化する。 --ダガーは毒や麻痺などの状態異常攻撃が多く、銃は攻撃力と範囲攻撃に長ける。 --奥義は「狂咲きバッドヘヴン」。ダメージこそ伸び悩むが、相手にランダムで多数の状態異常を同時に付与する。 --外見はスーツを着た「エージェントスタイル」と結びつけられることが多い。 -''デストロイヤー'' --今作の新規職業。「拳で戦う」「反撃技が主力」という前作におけるサムライの「無手」系スキルの特徴を一部受け継いでいる。拳を使って戦うパワーファイターで、速度に劣るが攻防両面共に強力。 --攻撃する度に一定確率で相手に「D深度」という特殊な状態異常を付与することができ、D深度は攻撃を続けることで深まっていく。D深度を付与した敵には強力な攻撃スキルを発動できる。 --「○○也」系の反撃スキルを使えば、特定の攻撃を軽減・無効化しつつダメージを与えることも可能。 --奥義は「スカイハイメテオ」。全体に特大のダメージを与え、最大D深度を付与する。 --外見は男性は巨体、女性はスポーティで肘当て・膝当てを身につけた「パワフルスタイル」と結びつけられることが多い。 -''サイキック'' --前作におけるメイジ+ヒーラー。超能力で自然現象を操る属性攻撃のエキスパート。 --とにかく攻撃魔法の火力が高く、相手の弱点属性を的確に突いていくことでコンスタントに火力を叩き出せる。しかしこの手の職業のお約束で耐久力は高くない。 --回復魔法の他、味方に自動反撃能力を付与する「ボディ」系魔法など、サポート能力も高い。 --奥義は「黒のインヴェイジョン」。単体に大ダメージを与え、全能力を低下させる。 --外見は男性はフードと拘束具のようなベルト、女性は露出度がかなり高い「アングラスタイル」と結びつけられることが多い。 -''ハッカー'' --前作におけるプリンセス。重度のメカマニアである電子攻撃のスペシャリスト。 --強化や弱体を担当する縁の下の力持ちタイプの職業。また敵を「ハッキング」することで制御下に置くことができ、同士討ちや弱体化をさせることができる。 --スキルの多くは割合操作なため、序盤では雀の涙ほどの効果しかもたらせないが、ゲームが進んで育てば育つほどパーティの司令塔として真価が発揮されてゆく。 --奥義は「禁断の秘技」。使用ターン中、あらゆる攻撃・状態異常からパーティを守る。 ---ちなみに奥義解禁イベントでは名称の元ネタ由来のものが登場する。 --外見は男性はアニメTシャツ、女性はツインテール&ゴスロリ衣装の「オタクスタイル」と結びつけられることが多い。 #endregion ''キャラクターの育成'' -バトルスキル(職業固有のスキル)を習得・強化することができる「SP(スキルポイント)」は、前作ではレベルアップ時に得られたが、今作では戦闘ごとに経験値と一緒に入手するようになった。 --「SPアップ」という消費アイテムで増やすこともできる。 -「パーティスキル」と呼ばれるパーティ全員で共有するスキルもある。フィールドでしか使えず回数制限があるが、マナ(いわゆるMP)を消費せずアイテムのように使うことができる。 -レベル30以上で、職業を変更できる「転身」が可能になる。転身するとレベルは半分になるが、転身前の職業に応じたパラメータボーナスを得ることができる。なお、同じ職業への転身も可能。 --このパラメータボーナスは蓄積するので、転身を続ければ時間はかかるが特定のパラメータを上げ続ける事ができる。 -「奥義」と呼ばれる超強力なスキルは今作でも健在。ストーリーを進めると、レベル40以上で職業ごとの条件を満たすことで習得可能になる。 --習得には条件を満たすだけではなく、膨大な量のSPも必要。しかしその性能は労力に見合った、あるいは労力以上のもの。 ''ゲーム進行'' -本作はチャプター式のRPGとなっており、基本的には一本道。各チャプターの目的を達成することでマップ上に新たなダンジョンが出現し、ストーリーが進む。 -サブイベントとして「都庁改修」「クエスト」「デートイベント」が存在する。 --都庁改修 ---ストーリー序盤でドラゴンの手から取り戻され、生き残った人類の拠点となるのが東京都庁である。ドラゴンを倒すと手に入る資材「Dz」を消費して「改修」することで、様々な施設が増えていく。 ---改修すると習得可能スキルやショップの品揃えが増えたり、後述のクエストの解禁に関わる他、各施設の住人・代表者からお礼として様々なアイテムやスキルを得られる。 --クエスト ---RPGのお約束とも言えるサブイベント。様々な依頼を解決することで報酬が手に入る。ストーリーのちょっとした舞台裏が語られることも。 --デートイベント ---ある施設を改修すると、特定のNPCやパーティメンバーとデートができるようになる。 ---NPCとデートするには、それぞれに対応した特定のクエストをこなして「アドレス」を入手する必要がある。 ---特に報酬がある訳でもないミニイベントだが、良い%%妄想%%息抜きにはなるか。 ''戦闘'' -戦闘は前作と殆ど変わらないRPGとしては一般的なもの。コマンドは攻撃・防御・スキル・アイテム・エグゾースト(後述)・逃走の6種。 --パーティ人数減少のためか、前作にあった隊列の概念は無い。 ---ちなみに先頭に近いほど狙われやすい等といったことは無いが、複数人が最速行動の時の実質的な行動順や自動発動スキル(後述)は先頭に近いキャラのものが優先される。 --前作ではストック式だった1ターンのみのパワーアップコマンド「エグゾースト」は、相手にダメージを与えることでゲージを稼ぎ、満タンにすることで使用可能になるという仕様になった(『[[ファイナルファンタジーVII]]』のリミットゲージに似た扱い)。 --エグゾーストを使用すると最速行動になり、行動が強化される(攻撃・回復はダメージ・回復量増加、防御はダメージ軽減率上昇)。 ---なお、先述の奥義はエグゾースト使用時しか使用できない。 ''ダンジョン'' -前作で多くの批判があったフロワロ((ドラゴンの居る領域に咲く花。前作では踏むとダメージを受けるうえに至る所にあり、対策手段も限られていた))は演出・設定のみの存在となり、フロワロシード((フロワロ圏内で出現する、ドラクエで言うはぐれメタル))は低確率でエンカウントするレアエネミー的な存在になった。 --ダンジョンでは通常はランダムエンカウントだが、フロアに徘徊する中ボス(ドラゴン)のみシンボルエンカウントという前作の形式を引き継いでいる。 -ダンジョンには逃げ遅れたNPCが点在している。話しかけると救助したことになり、以降は都庁の所定の場所に住みつく。 --救助人数に応じてアイテムが貰える。 ''ドラゴン'' -タイトルにもなっている人類の敵。シリーズを象徴する存在。 --どのドラゴンも強敵かつ先述の通りシンボルエンカウントであるため、『[[世界樹の迷宮]]』における「FOE」と似たようなシステムになっており、全編にわたってプレイヤーを苦しめてくる。 ---全てのドラゴンが2回行動であり、攻撃力・耐久力が高いのはもちろん、状態異常による自滅や、リアクトスキル(後述)によって更なる行動を狙ってくる者もいる。 ---例に挙げたFOE同様、ドラゴンの近くで戦闘しているとそのドラゴンが乱入してくることがある。場所によってはドラゴン数体を相手にせねばならないことも……。 ---「壁フロワロ」を使って道をさえぎるドラゴンもいる(通称・壁ドラゴン)。通常のドラゴンよりさらに強いうえ、場所によっては性質上必ず倒さなければならない。 --FOE同様にシンボルエンカウントなので戦闘自体の回避がノーコストで可能である点、後ろを取れば先制できるという点がまだ救いではある。 ---ただし壁ドラゴンは壁を背にしているため先制は困難(できなくはないが)。 ''初音ミク2020とDIVAモード'' -本作は初音ミクとコラボしており、あるクエストで彼女を救出すると、BGMを「DIVAモード」に変更できるようになる。 --DIVAモードでは全てのBGMに彼女の歌やスキャットが入るアレンジバージョンになる。アレンジャーは先述のsasakure氏など多数。 --ミクの衣装は本作オリジナル。後にこのバージョンのフィギュアも発売された。 ---- **評価点 ''親切さ'' -前作では徹底したレトロゲーライクな不親切さが一部のプレイヤーの不満を生んだが、今作はそれを意識してか親切設計が目立つ。 --チュートリアルステージ(チャプター0)の存在を始め、触れるだけで全回復するセーブポイント((ただしパーティスキルの使用回数は回復しない))が点在、フロワロのダメージ廃止、画面上に表示されるエンカウント確率を示すエネミーレーダーの設置、クエストの進行状況・ヒントが簡単に確認可能、戦闘に敗北してもリトライ可能、一部のフィールドスキルのパーティスキル移行など、遊びやすさがかなり改善されており制作側の心配りが嬉しい。 ---特にフィールドスキルの一部をパーティスキルに移行させたことは、少ないパーティ枠を特定の職業で食う事態が発生しないので評価されるべき点だろう。 --パーティスキル自体はキャンプメニューを経ずに回復やエンカウント防止ができると好評。 ---特に好評なのが、強制的にエンカウントでき、使用回数も無限という「キラーズアトラクト」。これをダンジョンで連発するだけで動き回ることなく連戦でき、後述する自動発動スキルと相まってレベル上げの負担がかなり軽減された。 --何より重要であるのがこれ程の親切設計でもヌルゲーと言えるほど難易度が落ちていない点であり、ボスにあたる帝竜戦や、一部のドラゴン、クエストボスなどは歯ごたえがある。ストレスの溜まりやすい要素を廃することで難易度のメリハリを付けることに成功していると言える。 ---前作では戦い方によってはあまり強くなかったラスボスと裏ボスに当たるポジションの敵は本作では文句無しの強敵となっている。 ''ダンジョン探索のストレス減'' -前作の一部のダンジョンに見られた複雑なダンジョン構成が無くなり、全体的にかなり攻略しやすくなった。 --分かりづらく、目印も無いことから不評の多かった隠し通路によるショートカットは中継地点に変更となり、一度ダンジョンを出てもダンジョンの途中から再開できるようになった。 ''練られた職業・ゲームバランス'' -職業間の見事なバランスは前作から健在。パーティ編成の自由度は前作以上。 --5種類しか存在しない反面、個々の汎用性が高く、殆どの職業で同職3人という極端な編成でも十分クリアできるようになっている(「特定の職業がパーティに居ないと発動しないスキル」もごく一部のみ、かつ必須ではない)。 ---全職が何らかの防御系スキル・回復系スキルを持ち、強力な攻撃スキルもハッカー以外の全職が持っている。 ---例えばサムライは自己強化や自己回復スキルも持つので、何人いても安定したパーティになれる。 ---デストロイヤーは開発者によれば「一人旅もできるかもしれない」とのこと。回復スキルこそ少ないが、反撃スキルで手数が多くなりやすく、攻撃を無効化・軽減する手段にも富むためだろう。 --前作のようにフロワロ対策やエンカウント軽減のために職業が限定されることもなくなった。 ''前作から大きく改善された戦闘周りの仕様'' -UI改善と自動発動スキルの登場によって、より爽快感が増している。 --自動発動スキルは名前の通り一定確率で戦闘中に発動するスキルなのだが、サムライの「修羅の貫付け」やデストロイヤーの「先制デストロイ」など先手を打てるものが非常に便利(なんと不意打ち時も発動する)。発動すると開幕から戦いは有利に進められ、レベルによってはザコは即死することもある。先述のキラーズアトラクトや回復セーブポイントの存在も相まって経験値稼ぎが非常に楽になった。戦闘に突入する前に雑魚敵がまとめて撃破される様は、スカッとする事請け合い。 --前作から引き続き登場する、条件を満たせば行動回数が増える「リアクト」スキルも好評。職業によっては''「ずっと俺のターン!」''を現実のものにすることも可能。さすがに1ターン内のリアクト回数にも上限があるので本当に「ずっと」とはいかないが。 --他、相手の弱点属性を突くと「GOOD!」と表示されるので弱点を覚えやすい。 -ドラゴンの存在があるため、戦闘には適度な緊張感がある。 --特に装備の整わない序盤においては前作同様、ドラゴンの存在は大きな恐怖となる。 --装備が整ってくると経験値やSP稼ぎの対象となってしまうのも前作や『世界樹』と同様。それでも強力な一撃はこちらをヒヤヒヤさせてくれる。前作同様、ドラゴンは一度倒すと復活しないので特定のドラゴンをカモにして稼ぎまくることはできない。 -クリア後はザコからボスまでドラゴン尽くしの裏ダンジョン「幻影首都」が登場。プレイヤーにドラゴンの恐怖を再度刻んでくれる。最深部に待ち構える裏ラスボスも十分な強さを誇る。 ''豪華声優陣'' -近年の作品としては異様に出演声優の顔ぶれが豪華。ベテランから若手まで実力派が揃っており、キャラメイクの面白さを引き立たせている。 --同じ声優でも職業(スキル)毎にセリフが異なる。 --同じ作品で共演した声優も多く、その気になれば「[[ガンダム>ガンダムシリーズ]]パーティ」「[[テイルズ オブ>テイルズ オブ シリーズ]]パーティ」「[[ギアス>コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS]]パーティ」「[[とある>とある科学の超電磁砲]]パーティ」「[[けいおん!>けいおん! 放課後ライブ!!]]パーティ」などを作ることも可能。元となったキャラになりきって遊ぶのも一興。 ---声優ネタもきっちり完備。随所に隠されたネタを探すのも面白い。 ''演出'' -ダンジョンはドラゴンによって異界化した東京23区の各所であり、場所によって原型を留めていたり留めていなかったりするのだが、フロワロ(花)の存在もあってか何れもショッキングかつ美しい。 -人物モデルは頭身の低い、いわゆるチビキャラ。それがちょこまかと動き回る戦闘は見ていて楽しい。動きのバリエーションも豊富。 -ムービーのほとんどはリアルタイムレンダリングなため待ち時間が少なく、それでいて迫力もある。 -NPCはストーリーの節目ごとに話す内容が変わるため、話しかけるのが楽しい。ムラクモを応援してくれる者、自分にできることを探す者、避難生活に不満を持つ者、''ドラゴンを崇める新興宗教の入信者''など個性も豊か。別の場所で救助された人同士が実は家族や知り合いだった、などとわかる展開も。 ''前作とのつながり'' -一部の登場人物は前作から続投。彼らについて掘り下げる描写もある。 --前作プレイを前提とした描かれ方ではないので、今作からのプレイでも問題ない。 -BGMの一部に前作のアレンジがある(ドラゴン戦は「戦場―荒れ狂うもの」、渋谷は「迷宮―密林航行」のアレンジであるなど)。 ''その他'' -前作から変わったキャラデザインは発表当時こそ否寄りの賛否両論だったが、現在は賛寄りに落ちついている。人気なのはスチューデント女性・オタク女性・アングラ男性。特に前2者は公式イラストに描かれる頻度も高く、フィギュア化もしている。 -BGMも前作と異なりテクノ・サイバーチックになったが、原曲・DIVAアレンジ共に好評。 ---- **賛否両論点 ''ストーリー'' -前作と比べて超展開が少なくなり、オーソドックスに。ただし生々しい描写があるのは据え置きで、鬱展開の多さも相変わらず((続編『2020-II』ではいずれも更にパワーアップしている。))。 --エゴイズムや狡猾さ、弱さといった人間の負の面を綿密に描写している。「それがいい」と評価する声も、「そこまでの描写は要らない」と拒む声もある。 --名前の有る無し問わず人が死ぬ展開が多く、その状況も「人間が盾になる」「人間を使ってダンジョンが作られる」「催眠による殺し合い」などと凄惨。否が応でもこの物語は人類とドラゴンの戦争、あるいは足掻きであることを認識させられる。 --残酷描写はグラフィックでの直接表現は無いものの、テキストにはしれっと盛り込まれている(倒れている人を調べるとその状況が語られるなど)。 #region(以下ネタバレのため注意) -ストーリー上の鬱要素の多くはナツメという人物のせい。彼女は「オールA級」の能力者なのだが、「ムラクモの統率者の一族にあって『S級』能力を持たない」という自分自身を受け入れられないあまり、様々な凶行に走っている。 --S級能力者を人為的に生み出すために孤児を捕らえては人体実験を繰り返し、能力者ではない自衛隊を「戦力外な人間も盾くらいにはなる」と敵の砲台に対する囮にさせ、あげくに前作からの登場人物・エメルから託されていた対ドラゴンの切り札・ドラゴンクロニクルを自身に使って竜化、その力で大量虐殺を起こし、「クズも養分としては役立つ」と東京タワーを宇宙に届くまで巨大化・異界化させてしまう。また、竜化後は秘めていた狂気を隠さなくなる。 -一方で、ナツメの補佐役・キリノの不幸っぷりも酷い。好意を寄せていたナツメが人類の敵となり、目の前で自分の助手的存在含む大勢の人間を惨殺するという……彼の心中はいかばかりか。デートの対象者であるのが(プレイヤーが気持ちの上で慰めることができるという点で)せめてもの救いか。 #endregion ''演出について'' -チビキャラと直接表現が無い点は、「状況の深刻さが伝わってこない」「鬱要素に気を取られず進められる」と評価が分かれている。 --ただし上述のように描写が生々しく、リアルな頭身のキャラクターで直接的な表現をするとCERO:Zになること請け合いなため必要に迫られてそうなっているとも言える。 --また、プレイヤーと戦闘しないNPCは戦う演出が少ない(あるいは弱い)ために強さや職業的個性がわかりにくい。 ---- **問題点 ''自由度・ボリュームの低下'' -前作は広大なフィールドに複数のダンジョンが点在しており、中盤以降は好きな順番で攻略することができたが、今作では先述の通り一本道になっている。 --舞台についても前作は幾つかの国が舞台だったが、今作ではほぼ東京23区のみとスケールダウン。ダンジョン数自体も大小合わせて30あった前作から1つの規模が違うとはいえ半数以下に激減した。 -便利になった様々な要素、簡素化されたダンジョンなどは概ね高評価とはいえ便利すぎや簡単にしすぎとの声も無くはない。 -ドラゴン・隠しアイテム・クエストの数は前作から減少。 --ドラゴンは前作の666体から200体に大幅減。また前作での全ドラゴン討伐はどちらかというとやり込みの領域だったが、今作ではクリア前に組み込まれている分が多い。 --各職業の最強武器は、前作では豊富なサブイベント・クエストの報酬であったり隠れた場所に配置されていたのに対し、今作ではただ幻影首都の各階層のボスを撃破することで入手できる撃破報酬的な扱いになっている。味気なくなった事を惜しむ声は少なくなかった。 -クリア後の楽しみは幻影首都のみで、周回要素も無い。 --強いて挙げるとすれば、DIVAモードを解禁したシステムデータがあると最初からDIVAアレンジを聴けるようになる程度。 ''不親切な点が一部残っている'' -フィールドの広さに対して歩行速度が遅めなのは変わらず。特にラストダンジョンでは回復ポイントと中継地点の間隔が非常に広いため、回復のために何度も出入りする度に長い通路を移動する必要がある。 -エンカウント率を下げるスキル「ステルス」を使用して効果が切れてもアナウンスが出ない。 -アイテムの所持限界は一種につき15個までと少なめ。手に入る数が多い為、適当に使うか売るかしないとすぐにあぶれてしまう。 --売値が非常に安く、売っても二束三文にしかならないのも併せて同開発元の「クリミナルガールズ」シリーズを彷彿とさせる。 --回復アイテムが全体的に優秀なため、バランス調整のために少なくしている部分もある。 -今作もアイテム図鑑やモンスター図鑑は無い。 --ただしクエストが前作ほど不親切ではないので必要性も少なくはなっている。 ''キャラクターメイキングの仕様・幅の狭さ'' -一言で言えば「どの要素も個性が強いうえに種類も少ないため、思い通りのキャラメイクは難しい」。 --外見は全職共通となったためか、パターンは大幅に減少(28→10種類)。色違いでもいいからもう少し増やして欲しかったという声が多かった。 ---次作ではアナザーカラーが2種類ずつ追加されている。 --モーションは勝利ポーズ以外男女共通。勝利ポーズも職業固定で、サイキックや女性ハッカーなどはかなりクセがある。それぞれ面白くはあるが。 --ボイスについて ---男性を想定した女性ボイスは無く、そもそも外見とボイスの性別は固定である((NPCには女性声優が演じた少年キャラがいるのだが。))。 ---演技傾向(女王様、アホの子、無口、元気っ子など)はどの職業でも同じであり、バリエーションは意外に少ない。 ---また基本的にアニメキャラなどの元ネタありきの演技なので、元ネタを知らない・興味がない人は「何でここでこんなセリフ?」と違和感を覚えたり、そうでなくともオリジナルのキャラを使っている気にはなれないかもしれない。 ---セリフは使い回しこそ少ないがスキル毎に1種類のみのため、何度も聞いていると飽きやすい。 -職業以外の要素は一度決めると変更不可。 --次作では条件つきながら名前・外見・ボイスも変更可能になっている。 ''戦闘関連'' -戦闘アニメが3D化したことでややテンポが悪くなっている。 --演出は短縮やスキップができず、特に奥義は長いのでイライラすることも。 -隊列の概念消滅やパーティ人数の減少で、メンバーが戦闘不能になった時の立て直しが難しくなっている。 --特に後半になるほどドラゴンの攻撃力が急激に上昇していくため、他のRPGでもありがちなことだが''「仲間が死んだ!>蘇生アイテムで回復>蘇生した仲間or別の仲間が死んだ!>蘇生アイテムで回復>また別の仲間が~」''という悪循環に陥ってそのまま敗北してしまいやすい。 --これは「回復・セーブポイント多数」「全職回復スキル持ち」「回復アイテムが沢山手に入る(が、素の回復量はイマイチ)」「回復系パーティスキルの使用回数が多い」という親切設計の裏返しとも取れる。よって、''「戦闘後の復帰は容易だが、戦闘中の立て直しは難しい」''というバランスになっている。 -装飾品の実質的な選択肢が少ない。 --ドラゴン、特にボス戦では強力な状態異常を使用してくるのがパターンであり、それらへの対策が優先されやすい。 --2つある装飾品枠は特定の状態異常を100%防ぐ「○○カット」か、50%防ぐ「○○ガード」を2つで完全耐性をつけておくのが安定となってしまい、他の装飾品を付ける余裕がほとんどなくなってしまう。 --職業によっては状態異常対策のスキルを持っていたりはするが、それでもリスクがゼロというわけではない。 -トリックスターの奥義「狂咲きバッドヘヴン」が壊れ性能。そもそも奥義自体非常に強いものばかりではあるが、狂咲きバッドヘヴンはそのものの性能とトリックスター自身の特性によってとんでもないことになっている。 --効果は単体への大ダメージと全状態異常のランダム付与というものであるが、この多重状態異常がラスボスだろうが隠しボスだろうが効いてしまい、しかも状態異常の付着率は非常に高い。中でも最低2ターン行動を停止させられる睡眠は極めて強く、寝てる間に各種リアクトや補助スキルの類をかけて盤石の状態を作ることができる。さらには毒を始めとしてスリップダメージを与える状態異常の数が非常に多く、それらが複合することでスリップダメージだけでも馬鹿にならないダメージを与えられる。 --トリックスターはスキル構成のおかげで全職の中でもリアクトを発生させることが最も簡単(戦い方によっては確実)であるため、エグゾーストゲージの増加量を増やすアクセサリを装備した上で1ターンに最大4回の行動機会を得ると簡単にエグゾーストゲージを貯めることができ、1回の戦闘で複数回奥義を打つことさえできる。 -そもそも奥義を抜きにしても全体的にトリックスターは優遇されているきらいがある。 --スピードが全職で最速なため先手を打って行動しやすく、味方全体が使うアイテム効果を上げる「トリックハンド」があるため回復役として最適である。 --最速行動でほぼ確実に戦闘から逃走できる「エスケイプスタンス」、先制確率を大幅に上昇させ、不意打ちも無効化する「サプライズハント」の2つの補助スキルのお陰でダンジョン探索の事故率が非常に低くなる。 --火力自体は高くないが、クリティカル攻撃を決めることで再行動が可能になる「アサシンズリアクト」と、非常にクリティカル率の高い各種攻撃スキルや通常攻撃のクリティカル率を100%にする「ハイディング」の相性が非常に良く、複数回攻撃することでサムライにも匹敵する火力になる。 ---これらの点のお陰で火力職としてもサポート職としても適正が非常に高く、何でもこなせる超オールラウンダーになっている。これに壊れ奥義の存在が重なって今作屈指の強職となっており、下手なパーティよりもトリックスター3人という構成が真面目に有力なほど。 ---ただし、奥義自体がゲーム終盤にならないと解禁されない関係でゲームバランスの崩壊という程には至ってはいない。トリックスター3人旅もスキルの揃わない序盤が厳しいため最有力という程でもない。 --当然というべきか次回作では奥義の付与状態異常から睡眠が外され、付与数も4つに減らされ((狂咲きバッドヘヴンと秘奥義「磔刑ディアボリカ」で分割))、他のスキルについても弱体化を受けることになった。 -パーティスキル「EXブースター」が強すぎる。 --キャラ1人のエグゾーストゲージを満タンにするパーティスキルだが、強力であるためか仕様上限は1回である。しかし宿舎のベッドで回復することで一切のコストやペナルティ無しで簡単にパーティ全員のゲージを満タンにすることができるため、奥義をフル活用する強力なドラゴンを倒す→一度ダンジョンを出てベッドで寝て全員分回復させるを繰り返すことで中盤以降の難易度がガタ落ちしてしまう。 --パーティスキルには次に行う戦闘で得られる経験値とSPを上昇させる「EXPボーナス」と「SPボーナス」、一時的にエンカウントを防ぐ「ステルス」もあるため、これらを併用して雑魚のエンカウントを避けつつ奥義使用でドラゴンを1~2匹倒してダンジョン離脱を繰り返すだけでもガンガンレベルを上げることができる。 ---あまりに強すぎたため次回作では削除された。 ''初音ミク関連'' -初音ミクはPVやOPムービーなどで大きくピックアップされているが、実際のゲームでの扱いは他のモブと同等かそれ以下。ストーリーに大きく関わることはない。 -DIVAモードについて --アレンジャー多数かつ古代氏はアレンジ不参加のため、曲の雰囲気にばらつきがある。 --歌あり曲はsasakure氏のアレンジなど一部のみ。 ---次作では歌あり曲の割合が増えた他、原曲も全体的に歌ものをより意識した作りになっている。 ''その他'' -TOKYOマップ(いわゆるワールドマップ)ではダンジョン毎に残存ドラゴン数が表示されるが、ストーリー到達時点では討伐不可能なドラゴン(行けない場所や受領できないクエストに出現する)も数に入っている。このため、ドラゴンを探して延々とダンジョンをさまよい続けるプレイヤーが続出した。 --次作ではストーリー到達時点で討伐できる数のみ表示されるようになった。 -前作に登場した「ルシェ族」が登場しない。 --次作では登場し、条件を満たせばキャラメイクでもルシェの外見を選択可能になる。 ---- **総評 不親切さがいろいろと目立った前作に近年のイメージエポックの悪評や、「声ゲーに良ゲーなし」という前評判から不安視されていたものの、蓋を開けてみれば前作の反省点を多く改善して堅実にまとまっていた良作。~ 派手なアピールポイントや新システムこそ無いものの、バグも少ないため安定して遊ぶことができる。RPG好きで凄惨な描写などに抵抗がないならやって損はない一本。 ---- **余談 -本作の1年後を描いた『[[セブンスドラゴン2020-II]]』が2013年にPSPで発売された。 --UIなどは更に快適になったが、鬱要素が増したストーリーや、ダンジョンなど本作の流用が多い点は賛否両論。 -シリーズ完結編と銘打たれた『セブンスドラゴンIII code:VFD』が発売されたことで、前作からの登場人物(の一部)が誰であるかは事実上公表される形となった。 -本作登場時点では前作のファンタージ路線が4作に現代編の外伝が1作となっていた。([[参考>https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/493494.html]]) --現代編の方が人気が出たためか後のシリーズはすべて現代編となり、ファンタジー編は1作目のみだった。 -予約特典は冊子「ドラゴンクロニクル2020」と、主題歌(ショートバージョン)含む一部BGMを収録したCD。 --リミテッドエディション(限定版)の特典「政府特殊機関“ムラクモ”限定装飾一式」は、PSPフェイスカバー、プレイヤーキャラ10種のPSP型ステッカー、カナル型イヤホンのセット。 -本作のサウンドトラックには主題歌およびDIVAアレンジは収録されていない。 --大人の事情とはいえファンからは少なからぬ落胆の声が上がっていた。 --主題歌(フルバージョン)はsasakure氏のアルバム「幻実アイソーポス」に収録。DIVAアレンジアルバムは次作発売後に次作のDIVAアレンジとカップリングされて発売された。 ---DIVAアルバムに限らず関連商品は本作のみよりも次作とセット、つまり『セブンスドラゴン2020シリーズ』としてのものの方が多い。 -セガということで(?)一部にお遊び(ものによってはバカ寄り)要素がある。例えば…… --ある場所で見つかるゲームの名前が『[[ファンタシームーン>ファンタシースターシリーズ]]』((プロデューサーの小玉理恵子氏つながり。))。 --ハッカーの武器に「[[ドリームキャスト>ゲーム記事一覧 (DC)]]」がある他、奥義で出てくるのは……。 --「タカシという息子を案じる母親」など元ネタのあるNPC(モブ)もいる。 --ある施設を改修するとお風呂に入れるようになるのだが、その様子はどう見ても通常の人物グラフィックをお湯のグラフィックで隠しただけ。しかも入口は男女分かれているはずなのに中身は何故か混浴。 -他作品との関わり --サムライの武器「巴御前」「ランドウの釘バット」は同じイメエポの『[[クリミナルガールズ]]』のカメオ出演と思われる((巴御前の大元のネタは実在の女性武将だが、本作の巴御前はクリミナルガールズのそれと形状が酷似している。))。 --同じセガの『[[電撃文庫 FIGHTING CLIMAX]]』に本作をモデルにした衣装やステージが登場する。 -エージェントとアングラの女性は、一部のスキル・勝利ポーズに胸が揺れる演出がある。 --実はエージェントでは揺れるがアングラでは揺れない動作もある。%%変なところで芸が細かい。%% -2020年の大晦日にsasakure氏が主題歌の「SeventH-HeaveN」のアレンジVerを自身のYoutubeチャンネルで公開。Ⅲの各ボーカルを担当したAnnabel氏と初音ミクVerの二つを別々に分けている。 --タイトル名でも現実でも2020年の終わりを告げる事を表したのだろう。 ---- //タグ管理用スペース(タグを変更した時は内容をこちらにコピペ上書きしてください。) //DRPG,セガ,イメージエポック,セブンスドラゴン

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