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*Another Century's Episode 【あなざー せんちゅりーず えぴそーど】 |ジャンル|エースロボットアクション|#amazon(B0006JHQBG)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|フロム・ソフトウェア|~| |発売日|2005年1月27日|~| |定価|7,329円(税込)|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[Another Century's Episodeシリーズリンク>Another Century's Episodeシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ロボットアニメに登場した機体が活躍するアクションゲーム。~ 参戦作品は「聖戦士ダンバイン」「機動戦士Ζガンダム」「機動戦艦ナデシコ劇場版」など、スーパーロボット大戦でいう所の「リアル系」に当たる全9作品。~ #region(参戦作品一覧) -聖戦士ダンバイン -重戦機エルガイム -機動戦士Ζガンダム -機動戦士ガンダム 逆襲のシャア -機甲戦記ドラグナー -蒼き流星SPTレイズナー -ブレンパワード -新機動戦記ガンダムW -劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness- -バンプレストオリジナル -フロム・ソフトウェアオリジナル #endregion 独特のゲーム性に定評のあるフロム・ソフトウェアが開発を担当。~ 同社の看板ロボットゲームタイトル『[[アーマード・コア]]』と比べて操作が簡略化され、自由度が低下している代わりにとっつきやすくなっている。~ 強引に例えるならアクションゲーム版スーパーロボット大戦と言ったところか((もっともコンセプトは大幅に異なる))。 ---- **評価点 -ガンダム以外の80~90年代ロボットアニメはアクションゲーム化の機会に恵まれなかったので、これらの作品群の機体を使用できるということ自体がこのゲームのコンセプトであり、最大の長所である。 --操作可能機体は主役級・準主役級・ライバルクラスからのチョイスが多いが、かなりマイナーな機体も一部使用可能。流石に全てを網羅する事は難しかったか、準主役・ライバルクラスであっても使用可能でない機体もある。それでも押さえるべきポイントは押さえており、概ね好評。 -作風が&bold(){リアル}。 --冒頭通り参戦作品はどれもいわゆるリアルロボットに属するものとなっているが、それによりあからさまなサイズ無視は(少なくともプレイアブル機体には)殆どなく、うまく設定を落とし込んでいる。(再現しきれなかったユニットに関しては後述) --機体のサイズも一部を除いて忠実に再現されており、6.9mのダンバインで30m以上の敵と戦ったりできる。武装やモーションなどの再現性も中々のもの。 --原作の性能を再現しつつ、ゲームとして機体の性能にバリエーションを持たせようという試みに成功している。今作はシステム上無双の様な圧倒的性能の主人公が敵を薙倒していくものではなく、敵より多少強い程度の自機を的確に操って戦っていくタイプのため、反射神経や超絶個人技よりも戦略・戦術が重視される。 -機体改造は改造したい項目にスロットで強化項目を割り振る形式かつ射撃武器は威力を上げると連射が遅くなるなど、効果が一方通行ではないシーソー式。 --対応する双方のパラメーターを改造すれば上昇値のみに出来るが改造スロットを二つ食う上に、相殺効果によって上昇値自体は片側のみを伸ばした物に劣る状態になる。 ---その為機体自体は未改造の状態で全ての面に対応出来る調整となっており改造はあくまでも「プレイヤーの好みを反映するカスタマイズ要素」の点が強い。 --そのため一概に「こう改造すればいい」というテンプレートは無く、個々人のプレイスタイルによっても延ばす項目が変わって来る為機体によってはかなり頭を使う。もちろん自分のやりたいように改造するのもOK。 -また拠点である戦艦も強化される様になっている。 --こちらは搭載機数の増加と修理資材関連の低コスト化を行う物でスパロボ式の上昇値のみの仕様である。 -ゲームの内容はステージクリア型の空中戦を主体としたアクションゲームで、好きな機体を選んで出撃しザコ敵を蹴散らしたりミッション目的を達成→ボス戦、という構成のステージが多い。ミッションの内容もバラエティに富み、「敵全滅」「味方の護衛」といった単純なものから、複雑なものまで多岐に渡る目的が設定され、飽きさせまいという工夫が感じられる。 --特に宇宙空間での動作の自由度は特筆に値する。そして宇宙でのダミーバルーンがいかに厄介なモノかを思い知ることができる。 ---ただし、それ故に上下移動と上下視点移動を同時にこなす必要があったりと操作性にはやや煩雑な部分もあるが、この辺りは自由度とのトレードオフなので致し方なしか。 -ゲームバランスが良好。難易度イージー・ノーマル・ハードが存在するが、最弱機体であるゲシュペンストでもハードモードクリアは不可能ではない。つまり全機体で全難易度・全ミッションを制覇できる。 -終盤のストーリー展開は意外性があり熱いと一部で評判になった。詳細は各自でプレイして確認してもらいたい。 -オープニングムービーが秀逸。ロボットゲーのOPの中でも出色の出来で、凄まじいクオリティのOPを多数生み出してきたフロムソフトウェアの面目躍如と言ったところ。 --主題歌の「Garnet Moon」(ボーカルは島谷ひとみ氏が担当)と合わせて、「オープニングは初代が最高」と主張するプレイヤーも多い。 //#region(オープニングムービー。) //&youtube(http://www.youtube.com/watch?v=CI6-wu_XGEA){425,350} //#endregion //動画が見れなくなっていたのでcoしました。 **賛否両論点 -機体の挙動がやや重目。 --もっさりと感じるプレイヤーもいれば、慣性を感じられるリアルな挙動として好むプレイヤーもいた。 -一部機体の性能バランスがおかしい。 --特にゲシュペンストmk2やガンダムデスサイズの低性能は論議を呼んだ。順位がついてしまうのは仕方ないが、弱い上に「やれる事が少ない」というのが不評だったようだ。 ---前述の様にゲームバランスそのものは良好なので、これらの弱機体でもクリアは十分可能。 --逆にオージやザカールなど手軽な操作で超強力な機体もあるが、こちらは出現条件が厳しく、かなりやりこまないと使えないためかあまり問題にはならなかった。 -射撃は相手の未来位置を予測しない。相手の移動方向と弾道を合わせるか、接近する必要がある。 --ドッグファイトの経験があるプレイヤーにはどうということもない仕様ではあるが、誘導が欲しいというプレイヤーも存在する。 --この仕様により、誘導が付いているミサイル系の武器が必然的に強武装に。 -&bold(){演出面とストーリーがハード}。 --後のシリーズと比べてもキャラゲー要素は薄く、通常のロボットゲーと比べ皆無といっていい。この辺りは『アーマード・コア』系の要素が強いとも言える。 --顔グラフィックがあるのはオペレーター・艦長のみ。セリフも極端に少ない。ライバルキャラがボスとして登場するステージにそれに対応する主人公キャラで出撃すると少し会話がある・・・という程度である。 --イベントについてもステージ合間に入る解説(音声なし)、たまにインターミッション的なムービーが入る程度。 ---無論開発元のフロムソフトウェアがこの手の雰囲気に定評がある会社な事や参戦作品の作風から、こういうドライな雰囲気がいいのだとするプレイヤーも見られた。 --戦闘がほぼ全てである関係上原作を知らない人は色々な作品の話にコロコロ変わるのも相俟って話を把握しづらい。 ---ストーリーの内容自体は複数原作のストーリー、テーマ、設定を上手く混ぜ込み一貫した話を通した上でオリジナルの伏線もきっちり回収しており出来は良いのだが、いかんせん原作がいずれも複雑なストーリーだったためもう少し解りやすくしてほしかったとの声もある。 ---一応、出典のあるなしに関わらず作中の用語の解説が載っている画面があり、ある程度はゲーム内だけでも補完できるよう気配りされているのは評価できる。 -大きくアレンジを受けたBGM。 --原作のオープニングや挿入曲がBGMとして使われているのだが、その多くが大きくアレンジされている。 --極端に劣化してアレンジされた曲はないのだが、イメージは大分変っている。アレンジとしてありとするプレイヤーとイメージが違いすぎると不快感を示すプレイヤーに分かれた。 **問題点 -操作系 --メイン射撃と格闘のボタンが同じで敵との距離によってどちらが出るか決まる為、近距離戦で射撃しようと思ったときに格闘が暴発する恐れがある。 ---大半の機体は然程問題にはならないが、メイン射撃が3発しかなく隙だらけなウイングガンダム、メイン射撃を使用すると兵装が戻ってくるまで格闘が振れなくなるガンダムデスサイズ・ガンダムサンドロック等では痛い欠点になる((余談ではあるが、本作に参戦しているTV版『W』より『EW』の機体群の方が仕様的にはマッチしている))。 --SP攻撃のコマンドが「R3+L3同時押し」と人によっては少々やり辛い。 ---また、右スティックを操作するとロックオンが外れるため、R3ボタンを押す際に右スティックが倒れることでロックオンが外れ、攻撃が敵へ向かわないことも。SP攻撃は切り札になり得る強力な攻撃が多く、この点はかなりのストレスとなる。 ---一応キーコンフィグで解決するが、武器が5種類ある機体だと頑張るしかない。そもそも機体毎に設定できない上に余っているボタンも機体毎に違うので出撃毎に確認する必要があり、非常に面倒臭い。 --一部の機体は上下方向への移動が非常に遅い。地上ステージのミッションでは、結構な頻度で高低差のある高度を行き来しなければならない場合があるため、イライラの元に。 ---加えて、格闘は上下方向へほとんどホーミングしない。迂闊に白兵・格闘戦を挑むと、少し高度がズレていただけで相手の頭上or直下で攻撃を空振りすることになる。 -プレイヤーはエリアオーバー不可だが、一部の敵が頻繁にエリアオーバー域に離脱する。 --CPUはこちらの攻撃に反応して回避としてエリア外に移動するため、何も考えずに攻撃していると敵がエリア外から戻ってこない。 -僚機は3機まで選んで出撃出来るのだが、ミッション中には出てこず、セリフと一部雑魚敵の減少やボスの耐久値減少のみ。「見えない所で敵と戦って戦力を減らしている」という設定になっているのだが、この影響で共闘感がかなり薄く僚機と言うより別動隊状態。 -一部に改造の効果が反映されない武器がある。また、武器によっては改造の効果が実感し辛く、性能の調査が面倒。 -シークレット条件が分かり辛いステージがある。 --特に顕著なのがロックオンできない対称を破壊するもの。対象に関するヒントが名称ぐらいしかなく、ものによっては直接の達成条件ではないために必要なことすら示唆されていないものがある。 ---具体例を挙げると、前者は「巨大戦艦の主砲」であるが、ゲーム中に使用するシーンがなく巨体故に原作を視聴していなければ推進器と見分けが付かない上に耐久力も高く、おまけに攻撃してもダメージを与えているか分からない。後者は「地下空間における隠し通路の発見」という条件だが、達成するには不自然な位置に配置されてはいるものの、そもそもが小さく見つけにくい岩を破壊しなければならない、というものである。これらは原作の知識や、事前にステージの詳細を把握していなければ対象や条件が分かりにくい。 --また一部のアイテム取得のミッションのキーアイテムは、幾つかある候補地点へのランダム配置である為手間が掛かる。もっとも、この点は一本道のクリア作業化等とトレードオフなので賛否両論点でもあるが…。 --達成してもプレイ画面で達成した事を表示しないのも不親切。達成状況はフリーミッションの選択画面で見ることができるがクリアしないとわからないため、シークレットの条件の認識があっているか、達成することができたかがプレイ中には分からずやり直しが面倒。 ---この点は次回作から改善されている。 -設定よりサイズが小さ過ぎるユニットがある。特にザク1機も収納できないムサカ、エステバリスを搭載できないナデシコなどの戦艦系はよく突っ込まれる。 --もっとも、戦艦系は設定に忠実にサイズを表現した場合、大き過ぎてゲーム内のエリアMAPに納めるのが難しくなるという点があるので仕方が無い面もある((特にダンバイン等の小型の機体基準で見た場合、一部の大型艦はそれ単体でエリアMAPを構成できるレベルのサイズ差が有る。そんな大きさのユニットを複数配置すれば、エリアMAPの肥大化やゲームエンジンへの過負荷に繋がるのは想像に難くない))。 -ほとんどの機体は任務達成時のポイントを用いた交換での入手であり、母艦がドックに帰還した際にポイントと引き換えに編入することで各種モードでの使用が可能になる。つまり交換をしなければ使える機体は増えていかないのだが、これが分かりづらい。というのも最初にドックへ帰るまでの、それも&bold(){ゲーム開始直後にストーリー上で機体が3機もほぼ立て続けに手に入る}からである。 --特に分かりづらくしているのが3機目に手に入る百式である。 ---ご存じない方に説明するとこの機体は「機動戦士Ζガンダム」に登場し、メインキャラクター(それも作中での扱いはもはや主人公といっても差し支えない)であるクワトロ・バジーナがパイロットの機体なこともあって知名度も人気も高い、端的にいえば主役級ロボットである。 ---それ以前に手に入る2機はオリジナルであり入手の際にイベントらしいイベントの無いものだが、その直後に&bold(){出典が存在するこのロボットがイベント((具体的にはステージ自体が「百式の救援信号を受けて援護する」というものとなっている。ステージ中にクワトロからの通信がある他、クリア後にはムービーが用意されており、百式の戦闘シーンに加え、パイロットのクワトロと自軍母艦の艦長であるブライト・ノアとの掛け合いもある。))とともに追加される}のである。であれば他のロボット、特に別の作品のロボットは一部作品だけ機体もキャラも出番が用意されていることはまずないと考え、この後も何かしらのイベントで追加されると思うのが自然であろう。 #region(以下ネタバレを含むこの特別待遇の理由の推察) 出典ではその作品だけでなくシリーズを通して重要なキャラクターであったクワトロ大尉であるが、ゲーム本編でもストーリーの根幹に関わることとなる。ガンダムシリーズのファンであれば参戦作品からも察しが付くだろうが、途中で消息不明となった後、シャア・アズナブルと名前を変え新たな敵組織ネオ・ジオンの総帥としてプレイヤーの前に立ちはだかるのである。恐らくはこの展開のためにキャラを事前に登場させつつ百式をプレイアブル機体(=味方機体)として登場させる必要があったことが他のプレイアブル機体とは明らかに一線を画すこの特別待遇の理由と考えられる。とはいえ、本作は物語に全く関わらないキャラクターの駆る機体もプレイアブル機体に用意されており、そもそも肝心の参戦作品の主人公たちでさえ出番がほとんどないことを顧みると本編に彼を登場させる(クワトロ脱退を話に盛り込む)必要があったのかは疑問が残る。余談だが、クワトロが消息不明になった際に百式だけが発見され、その後も機体を使用することが可能。EDを見る前に使用すると本来は%%本作において貴重な%%パイロットのボイスが聞ける出撃シーンがオリジナル機体と同様の無言となり、本作のこだわりが垣間見える。 #endregion --ストーリー上で手に入る3機はゲームを進めるうちに勝手に編入されるため、ポイントの消費がない。ポイントでの交換に気付いても、ゲーム開始直後に3機もタダで手に入るのであれば、その後もタダで手に入る機体があるだろうと考えることはこれまた自然であろう。 --以上より&bold(){百式以降はプレイヤーが自発的に操作し、且つ対価を払わなければなければ使える機体は増えていかないことが非常に分かり辛い。}なまじどの機体であってもクリア自体は不可能ではないだけにヘタをするとオリジナル機体×2機+百式の合計3機だけの部隊でゲームクリアという事も有り得なくはない。 //これは否定的な話のみなので問題点へ ---- **総評 版権ロボットアニメの大結集アクションゲームというコンセプトは非常に魅力的であり、新たなファンを獲得した。~ ただ、スパロボ的なキャラゲー及びそのスタイルの二次創作的な商売展開を期待していたプレイヤーには期待外れだったようではある。~ そのためか、次作の『2』ではキャラゲー的演出が強化され、同時に操作方法も手が加えられた。その結果、根本的なゲーム性は同じなため一見似た様なゲームだが、『スパロボ寄り』の方向性をはじめとして印象の大きく異なるゲームとなっている。 //1の売り上げ25万強に対して3の売り上げ24万弱では低迷とは言わないのでは? あと続編で売り上げが落ちるのは前の作品の出来から警戒された可能性も十二分にある。 ---- **余談 -店頭PVが軽く詐欺。PVの出来が良いだけに、実際の内容に落胆した人も。 --一番突っ込まれる点が、「PVでは戦闘中に喋りまくる自機キャラ」。実際にはメインとなる1Pプレイでは自機キャラは戦闘中に一切喋らない。前述の通り一部のキャラが一部のミッションで一部の敵との戦闘中にのみ喋るだけであり、それも固定のセリフを喋るだけのイベントとしての演出である。操作に合わせて台詞が入るのは2P対戦のみで、それも専用のボタン(方向キー)を押した場合に限られているため、これまた多くがイメージするものとは違うだろう。 #region(参考動画) &nicovideo2(sm538130) #endregion
*Another Century's Episode 【あなざー せんちゅりーず えぴそーど】 |ジャンル|エースロボットアクション|#amazon(B0006JHQBG)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|フロム・ソフトウェア|~| |発売日|2005年1月27日|~| |定価|7,329円(税込)|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[Another Century's Episodeシリーズリンク>Another Century's Episodeシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ロボットアニメに登場した機体が活躍するアクションゲーム。~ 参戦作品は「聖戦士ダンバイン」「機動戦士Ζガンダム」「機動戦艦ナデシコ劇場版」など、スーパーロボット大戦でいう所の「リアル系」に当たる全9作品。~ #region(参戦作品一覧) -聖戦士ダンバイン -重戦機エルガイム -機動戦士Ζガンダム -機動戦士ガンダム 逆襲のシャア -機甲戦記ドラグナー -蒼き流星SPTレイズナー -ブレンパワード -新機動戦記ガンダムW -劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness- -バンプレストオリジナル -フロム・ソフトウェアオリジナル #endregion 独特のゲーム性に定評のあるフロム・ソフトウェアが開発を担当。~ 同社の看板ロボットゲームタイトル『[[アーマード・コア]]』と比べて操作が簡略化され、自由度が低下している代わりにとっつきやすくなっている。~ 強引に例えるならアクションゲーム版スーパーロボット大戦と言ったところか((もっともコンセプトは大幅に異なる))。 ---- **評価点 -ガンダム以外の80~90年代ロボットアニメはアクションゲーム化の機会に恵まれなかったので、これらの作品群の機体を使用できるということ自体がこのゲームのコンセプトであり、最大の長所である。 --操作可能機体は主役級・準主役級・ライバルクラスからのチョイスが多いが、かなりマイナーな機体も一部使用可能。流石に全てを網羅する事は難しかったか、準主役・ライバルクラスであっても使用可能でない機体もある。それでも押さえるべきポイントは押さえており、概ね好評。 -作風が&bold(){リアル}。 --冒頭通り参戦作品はどれもいわゆるリアルロボットに属するものとなっているが、それによりあからさまなサイズ無視は(少なくともプレイアブル機体には)殆どなく、うまく設定を落とし込んでいる。(再現しきれなかったユニットに関しては後述) --機体のサイズも一部を除いて忠実に再現されており、6.9mのダンバインで30m以上の敵と戦ったりできる。武装やモーションなどの再現性も中々のもの。 --原作の性能を再現しつつ、ゲームとして機体の性能にバリエーションを持たせようという試みに成功している。今作はシステム上無双の様な圧倒的性能の主人公が敵を薙倒していくものではなく、敵より多少強い程度の自機を的確に操って戦っていくタイプのため、反射神経や超絶個人技よりも戦略・戦術が重視される。 -機体改造は改造したい項目にスロットで強化項目を割り振る形式かつ射撃武器は威力を上げると連射が遅くなるなど、効果が一方通行ではないシーソー式。 --対応する双方のパラメーターを改造すれば上昇値のみに出来るが改造スロットを二つ食う上に、相殺効果によって上昇値自体は片側のみを伸ばした物に劣る状態になる。 ---その為機体自体は未改造の状態で全ての面に対応出来る調整となっており改造はあくまでも「プレイヤーの好みを反映するカスタマイズ要素」の点が強い。 --そのため一概に「こう改造すればいい」というテンプレートは無く、個々人のプレイスタイルによっても延ばす項目が変わって来る為機体によってはかなり頭を使う。もちろん自分のやりたいように改造するのもOK。 -また拠点である戦艦も強化される様になっている。 --こちらは搭載機数の増加と修理資材関連の低コスト化を行う物でスパロボ式の上昇値のみの仕様である。 -ゲームの内容はステージクリア型の空中戦を主体としたアクションゲームで、好きな機体を選んで出撃しザコ敵を蹴散らしたりミッション目的を達成→ボス戦、という構成のステージが多い。ミッションの内容もバラエティに富み、「敵全滅」「味方の護衛」といった単純なものから、複雑なものまで多岐に渡る目的が設定され、飽きさせまいという工夫が感じられる。 --特に宇宙空間での動作の自由度は特筆に値する。そして宇宙でのダミーバルーンがいかに厄介なモノかを思い知ることができる。 ---ただし、それ故に上下移動と上下視点移動を同時にこなす必要があったりと操作性にはやや煩雑な部分もあるが、この辺りは自由度とのトレードオフなので致し方なしか。 -ゲームバランスが良好。難易度イージー・ノーマル・ハードが存在するが、最弱機体であるゲシュペンストでもハードモードクリアは不可能ではない。つまり全機体で全難易度・全ミッションを制覇できる。 -終盤のストーリー展開は意外性があり熱いと一部で評判になった。詳細は各自でプレイして確認してもらいたい。 -オープニングムービーが秀逸。ロボットゲーのOPの中でも出色の出来で、凄まじいクオリティのOPを多数生み出してきたフロムソフトウェアの面目躍如と言ったところ。 --主題歌の「Garnet Moon」(ボーカルは島谷ひとみ氏が担当)と合わせて、「オープニングは初代が最高」と主張するプレイヤーも多い。 //#region(オープニングムービー。) //&youtube(http://www.youtube.com/watch?v=CI6-wu_XGEA){425,350} //#endregion //動画が見れなくなっていたのでcoしました。 **賛否両論点 -機体の挙動がやや重目。 --もっさりと感じるプレイヤーもいれば、慣性を感じられるリアルな挙動として好むプレイヤーもいた。 -一部機体の性能バランスがおかしい。 --特にゲシュペンストmk2やガンダムデスサイズの低性能は論議を呼んだ。順位がついてしまうのは仕方ないが、弱い上に「やれる事が少ない」というのが不評だったようだ。 ---前述の様にゲームバランスそのものは良好なので、これらの弱機体でもクリアは十分可能。 --逆にオージやザカールなど手軽な操作で超強力な機体もあるが、こちらは出現条件が厳しく、かなりやりこまないと使えないためかあまり問題にはならなかった。 -射撃は相手の未来位置を予測しない。相手の移動方向と弾道を合わせるか、接近する必要がある。 --ドッグファイトの経験があるプレイヤーにはどうということもない仕様ではあるが、誘導が欲しいというプレイヤーも存在する。 --この仕様により、誘導が付いているミサイル系の武器が必然的に強武装に。 -&bold(){演出面とストーリーがハード}。 --後のシリーズと比べてもキャラゲー要素は薄く、通常のロボットゲーと比べ皆無といっていい。この辺りは『アーマード・コア』系の要素が強いとも言える。 --顔グラフィックがあるのはオペレーター・艦長のみ。セリフも極端に少ない。ライバルキャラがボスとして登場するステージにそれに対応する主人公キャラで出撃すると少し会話がある・・・という程度である。 --イベントについてもステージ合間に入る解説(音声なし)、たまにインターミッション的なムービーが入る程度。 ---無論開発元のフロムソフトウェアがこの手の雰囲気に定評がある会社な事や参戦作品の作風から、こういうドライな雰囲気がいいのだとするプレイヤーも見られた。 --戦闘がほぼ全てである関係上原作を知らない人は色々な作品の話にコロコロ変わるのも相俟って話を把握しづらい。 ---ストーリーの内容自体は複数原作のストーリー、テーマ、設定を上手く混ぜ込み一貫した話を通した上でオリジナルの伏線もきっちり回収しており出来は良いのだが、いかんせん原作がいずれも複雑なストーリーだったためもう少し解りやすくしてほしかったとの声もある。 ---一応、出典のあるなしに関わらず作中の用語の解説が載っている画面があり、ある程度はゲーム内だけでも補完できるよう気配りされているのは評価できる。 -大きくアレンジを受けたBGM。 --原作のオープニングや挿入曲がBGMとして使われているのだが、その多くが大きくアレンジされている。 --極端に劣化してアレンジされた曲はないのだが、イメージは大分変っている。アレンジとしてありとするプレイヤーとイメージが違いすぎると不快感を示すプレイヤーに分かれた。 **問題点 -操作系 --メイン射撃と格闘のボタンが同じで敵との距離によってどちらが出るか決まる為、近距離戦で射撃しようと思ったときに格闘が暴発する恐れがある。 ---大半の機体は然程問題にはならないが、メイン射撃が3発しかなく隙だらけなウイングガンダム、メイン射撃を使用すると兵装が戻ってくるまで格闘が振れなくなるガンダムデスサイズ・ガンダムサンドロック等では痛い欠点になる((余談ではあるが、本作に参戦しているTV版『W』より『EW』の機体群の方が仕様的にはマッチしている))。 --SP攻撃のコマンドが「R3+L3同時押し」と人によっては少々やり辛い。 ---また、右スティックを操作するとロックオンが外れるため、R3ボタンを押す際に右スティックが倒れることでロックオンが外れ、攻撃が敵へ向かわないことも。SP攻撃は切り札になり得る強力な攻撃が多く、この点はかなりのストレスとなる。 ---一応キーコンフィグで解決するが、武器が5種類ある機体だと頑張るしかない。そもそも機体毎に設定できない上に余っているボタンも機体毎に違うので出撃毎に確認する必要があり、非常に面倒臭い。 --一部の機体は上下方向への移動が非常に遅い。地上ステージのミッションでは、結構な頻度で高低差のある高度を行き来しなければならない場合があるため、イライラの元に。 ---加えて、格闘は上下方向へほとんどホーミングしない。迂闊に白兵・格闘戦を挑むと、少し高度がズレていただけで相手の頭上or直下で攻撃を空振りすることになる。 -プレイヤーはエリアオーバー不可だが、一部の敵が頻繁にエリアオーバー域に離脱する。 --CPUはこちらの攻撃に反応して回避としてエリア外に移動するため、何も考えずに攻撃していると敵がエリア外から戻ってこない。 -僚機は3機まで選んで出撃出来るのだが、ミッション中には出てこず、セリフと一部雑魚敵の減少やボスの耐久値減少のみ。「見えない所で敵と戦って戦力を減らしている」という設定になっているのだが、この影響で共闘感がかなり薄く僚機と言うより別動隊状態。 -一部に改造の効果が反映されない武器がある。また、武器によっては改造の効果が実感し辛く、性能の調査が面倒。 -シークレット条件が分かり辛いステージがある。 --特に顕著なのがロックオンできない対称を破壊するもの。対象に関するヒントが名称ぐらいしかなく、ものによっては直接の達成条件ではないために必要なことすら示唆されていないものがある。 ---具体例を挙げると、前者は「巨大戦艦の主砲」であるが、ゲーム中に使用するシーンがなく巨体故に原作を視聴していなければ推進器と見分けが付かない上に耐久力も高く、おまけに攻撃してもダメージを与えているか分からない。後者は「地下空間における隠し通路の発見」という条件だが、達成するには不自然な位置に配置されてはいるものの、そもそもが小さく見つけにくい岩を破壊しなければならない、というものである。これらは原作の知識や、事前にステージの詳細を把握していなければ対象や条件が分かりにくい。 --また一部のアイテム取得のミッションのキーアイテムは、幾つかある候補地点へのランダム配置である為手間が掛かる。もっとも、この点は一本道のクリア作業化等とトレードオフなので賛否両論点でもあるが…。 --達成してもプレイ画面で達成した事を表示しないのも不親切。達成状況はフリーミッションの選択画面で見ることができるがクリアしないとわからないため、シークレットの条件の認識があっているか、達成することができたかがプレイ中には分からずやり直しが面倒。 ---この点は次回作から改善されている。 -設定よりサイズが小さ過ぎるユニットがある。特にザク1機も収納できないムサカ、エステバリスを搭載できないナデシコなどの戦艦系はよく突っ込まれる。 --もっとも、戦艦系は設定に忠実にサイズを表現した場合、大き過ぎてゲーム内のエリアMAPに納めるのが難しくなるという点があるので仕方が無い面もある((特にダンバイン等の小型の機体基準で見た場合、一部の大型艦はそれ単体でエリアMAPを構成できるレベルのサイズ差が有る。そんな大きさのユニットを複数配置すれば、エリアMAPの肥大化やゲームエンジンへの過負荷に繋がるのは想像に難くない))。 -ほとんどの機体は任務達成時のポイントを用いた交換での入手であり、母艦がドックに帰還した際にポイントと引き換えに編入することで各種モードでの使用が可能になる。つまり交換をしなければ使える機体は増えていかないのだが、これが分かりづらい。というのも最初にドックへ帰るまでの、それも&bold(){ゲーム開始直後にストーリー上で機体が3機もほぼ立て続けに手に入る}からである。 --特に分かりづらくしているのが3機目に手に入る百式である。 ---ご存じない方に説明するとこの機体は「機動戦士Ζガンダム」に登場し、メインキャラクター(それも作中での扱いはもはや主人公といっても差し支えない)であるクワトロ・バジーナがパイロットの機体なこともあって知名度も人気も高い、端的にいえば主役級ロボットである。 ---それ以前に手に入る2機はオリジナルであり入手の際にイベントらしいイベントの無いものだが、その直後に&bold(){出典が存在するこのロボットがイベント((具体的にはステージ自体が「百式の救援信号を受けて援護する」というものとなっている。ステージ中にクワトロからの通信がある他、クリア後にはムービーが用意されており、百式の戦闘シーンに加え、パイロットのクワトロと自軍母艦の艦長であるブライト・ノアとの掛け合いもある。))とともに追加される}のである。であれば他のロボット、特に別の作品のロボットは一部作品だけ機体もキャラも出番が用意されていることはまずないと考え、この後も何かしらのイベントで追加されると思うのが自然であろう。 #region(以下ネタバレを含むこの特別待遇の理由の推察) 出典ではその作品だけでなくシリーズを通して重要なキャラクターであったクワトロ大尉であるが、ゲーム本編でもストーリーの根幹に関わることとなる。ガンダムシリーズのファンであれば参戦作品からも察しが付くだろうが、途中で消息不明となった後、シャア・アズナブルと名前を変え新たな敵組織ネオ・ジオンの総帥としてプレイヤーの前に立ちはだかるのである。恐らくはこの展開のためにキャラを事前に登場させつつ百式をプレイアブル機体(=味方機体)として登場させる必要があったことが他のプレイアブル機体とは明らかに一線を画すこの特別待遇の理由と考えられる。とはいえ、本作は物語に全く関わらないキャラクターの駆る機体もプレイアブル機体に用意されており、そもそも肝心の参戦作品の主人公たちでさえ出番がほとんどないことを顧みると本編に彼を登場させる(クワトロ脱退を話に盛り込む)必要があったのかは疑問が残る。余談だが、クワトロが消息不明になった際に百式だけが発見され、その後も機体を使用することが可能。EDを見る前に使用すると本来は%%本作において貴重な%%パイロットのボイスが聞ける出撃シーンがオリジナル機体と同様の無言となり、本作のこだわりが垣間見える。 #endregion --ストーリー上で手に入る3機はゲームを進めるうちに勝手に編入されるため、ポイントの消費がない。ポイントでの交換に気付いても、ゲーム開始直後に3機もタダで手に入るのであれば、その後もタダで手に入る機体があるだろうと考えることはこれまた自然であろう。 --以上より&bold(){百式以降はプレイヤーが自発的に操作し、且つ対価を払わなければなければ使える機体は増えていかないことが非常に分かり辛い。}なまじどの機体であってもクリア自体は不可能ではないだけにヘタをするとオリジナル機体×2機+百式の合計3機だけの部隊でゲームクリアという事も有り得なくはない。 //これは否定的な話のみなので問題点へ ---- **総評 版権ロボットアニメの大結集アクションゲームというコンセプトは非常に魅力的であり、新たなファンを獲得した。~ ただ、スパロボ的なキャラゲー及びそのスタイルの二次創作的な商売展開を期待していたプレイヤーには期待外れだったようではある。~ そのためか、次作の『2』ではキャラゲー的演出が強化され、同時に操作方法も手が加えられた。その結果、根本的なゲーム性は同じなため一見似た様なゲームだが、『スパロボ寄り』の方向性をはじめとして印象の大きく異なるゲームとなっている。 //1の売り上げ25万強に対して3の売り上げ24万弱では低迷とは言わないのでは? あと続編で売り上げが落ちるのは前の作品の出来から警戒された可能性も十二分にある。 ---- **余談 -店頭PVが軽く詐欺。PVの出来が良いだけに、実際の内容に落胆した人も。 --一番突っ込まれる点が、「PVでは戦闘中に喋りまくる自機キャラ」。実際にはメインとなる1Pプレイでは自機キャラは戦闘中に一切喋らない。前述の通り一部のキャラが一部のミッションで一部の敵との戦闘中にのみ喋るだけであり、それも固定のセリフを喋るだけのイベントとしての演出である。操作に合わせて台詞が入るのは2P対戦のみで、それも専用のボタン(方向キー)を押した場合に限られているため、これまた多くがイメージするものとは違うだろう。 #region(参考動画) &nicovideo2(sm538130) #endregion

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