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#contents() ---- *AIR 【えあー】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|#amazon(B003H9MM0M)| |対応機種|初回限定版/通常版:Windows 95/98/2000&br()全年齢対象版:Windows 95~2000&br()Standard Edition:Windows 98~XP|~| |メディア|初回限定版/通常版/全年齢対象版:CD-ROM&br()Standard Edition/メモリアルエディション全年齢対象版:DVD-ROM 各1枚|~| |発売・開発元|Key|~| |発売日|初回限定版:2000年9月8日&br()通常版/全年齢対象版:2001年7月27日&br()Standard Edition:2005年4月28日&br()メモリアルエディション全年齢対象版:2010年5月28日|~| |定価|初回限定版/通常版:9,240円&br()全年齢対象版:6,090円&br()Standard Edition:3,990円&br()メモリアルエディション全年齢対象版:2,940円|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |~|一般ソフト(全年齢対象版/同メモリアルエディション)|~| |備考|メモリアルエディションはWin2000~7対応|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Key作品]]''| ---- **概要 株式会社ビジュアルアーツのゲームブランド「Key」の第2作。前作で一部ヒロインのシナリオを担当した麻枝准氏がメインシナリオを担当している。 舞台となるのは1994年夏の田舎町。流離いの青年と一人の少女による、優しくも悲しい物語。 **特徴 -ジャンルは恋愛ADVだが、そのストーリーは恋愛よりも『母子愛』に重きが置かれており、恋愛要素・R18要素は非常に少ない。 -主人公・メイン・サブ問わず、ほぼ全ての登場人物が「母(親)」あるいは「子」であり、それに纏わる感動的なシナリオに特化した内容となっている。 -そのため、R18指定のゲームでありながらポルノ要素が非常に少なく、むしろ「エロ要素はいらない」という声も多い。 -シナリオ的には、壮大なスケールのファンタジーに少年少女の恋愛劇を絡めた内容となっている。 **主な登場人物 #region(close,クリックで展開) -国崎往人(くにさき ゆきと) --DREAM編における主人公。 --念を込めたものを自在に動かす力を持ち、それと古ぼけた人形を使っての芸で日銭を稼ぎながら小さなころから旅をしている。 --少年時代に聞かされた『この空の何処かにいる翼の生えた少女』に出会う事を目標としているが、青年となった今ではかなり記憶が薄れており、行動指針の1つ程度にしかなっていない。 --特殊な生い立ちから常識外れであり、牛乳泥棒して勝ち誇ったり勝手に出前を頼んだり食い物に敏感だったりと、破天荒な行動・性格でいちいち笑わせてくれる人物。こう書くと聞こえは悪いが根は善人であり、義理堅く、子供受けもよく優しい性格である。 --移植版の担当声優は緑川光氏。上記の破天荒な行動を緑川氏の怪演で存分に堪能できる。 ---余談だがTVアニメ版では小野大輔氏に変わっており、こちらも好評。緑川氏はスケジュールの都合で呼べなかったらしい。 -神尾観鈴(かみお みすず) --本作のメインヒロイン。 --母親と2人暮らしだが、仕事の関係で母の帰りがいつも遅いため、家事全般を引き受けている。 --少々変わった性格をしているが、素直で心優しい少女。住人さんとのやり取りは見ていて実に微笑ましい。 --寂しがりでありながら、誰かと近い関係になりすぎると発作まがいの癇癪を起こしてしまう厄介な体質で、それを周りに隠していることで公式には「強い子」と表現されていた。 --移植版の担当声優は川上とも子氏。 -霧島佳乃(きりしま かの) --DREAM編におけるヒロインの1人。 --極めて社交的で明るい少女。診療所を営む姉と2人暮らし。両親は故人。 --姉に溺愛されているが、一方で姉が佳乃のために自己の幸せを投げ打っている事に内心で負い目を感じている。 --右腕に「とある事情」で黄色いバンダナを巻いており、決して外そうとしない。これは佳乃ルートでの重要な要素となる。 --声優は岡本麻見氏。 -遠野美凪(とおの みなぎ) --DREAM編におけるヒロインの1人。 --観鈴とは同級生。学年トップの成績を持つ才女。超天然・超おっとり・超マイペースと相当アレな性格だが、溢れんばかりの母性愛を持つ。 --お米が大好きで、封筒に入れたお米券を大量に常備し、事ある毎に主人公達に「進呈」しようとする。 --母親は健在だが家にいる事はあまりなく、廃駅で「みちる」という女の子と一緒にいる事が多い。 --声優は柚木涼香氏。 -みちる --DREAM編におけるサブキャラクターの1人。美凪といつも一緒にいる少女。 --シャボン玉が好きだが、いつも失敗して割ってしまう。 --往人と美凪が仲良くするのが気に入らないらしく、何かあるとすぐに蹴りをかっとばしてくる。 --美凪ルートでのみ、ある重大なバックボーンがあることが判明する。 --声優は田村ゆかり氏。 -柳也(りゅうや) --SUMMER編における主人公。 --神奈の衛者且つ社殿の警備隊長。幼少の頃から己が力だけを頼りに修羅場を潜り抜けてきており、他の追従を許さない卓越した剣技を持つ。 --誰もが畏怖する翼人(=神奈)に対しても物怖じせず、時には兄・親として、また時には忠臣として、真摯に接する事のできる度量を備えた青年。 --声優は神奈延年氏。 -神奈備命(かんなびのみこと・かんな) --SUMMER編におけるヒロイン。 --巨大な翼と強大な力を持つ「翼人」の末裔で、正歴5年(=994年)に生きる最後の翼人。神の使いとして崇められ、そして囚われの身である。 --警護とは名ばかりの軟禁、及び周囲からの敵意や恐怖心、翼人としての運命から、当初は全てを諦めたかのような言動をしていたが、柳也と裏葉に出会ってからは年頃の少女そのものに変わってゆく。 --声優は西村ちなみ氏。 -裏葉(うらは) --SUMMER編に登場する神奈の女官で、主君に極めて忠実だが主君で遊ぶことも多い。 --変な所やただの女官とは思えない行動が多いものの様々な分野で優秀なところを見せる女性で、神奈に対して似たような想いを抱く柳也とは息の合うパートナーのような関係になる。 --声優は井上喜久子氏。 -神尾晴子(かみお はるこ) --DREAM編におけるサブキャラクターの1人で、AIR編の真の主人公とも言うべき人物。観鈴の「母親」。 --関西弁でフルアクティブで大酒呑みという、観鈴とは全く正反対の豪快な性格。 --バイク((DUCATIの「MONSTER S4」。))による飲酒運転を常習的に行っており、家に帰るときは納屋に盛大に突っ込んで停車する。良い子は真似しないように。 --過去のとある出来事から観鈴に対して距離を置いており、彼女にどう接するかで常に葛藤している。 --声優は久川綾氏。 #endregion **ストーリー -当時のADVとしてはあまり類を見ない、DREAM編・SUMMER編・AIR編の全3部構成となっている。 -''DREAM編'' --あえて言うなら現代編((ただし年代は1994年。))。国崎往人を主人公として、観鈴を含む3人のヒロインと交流を深めていく。 --選択肢によって3人の内いずれかのシナリオへと分岐し、それぞれ個別の展開・結末を迎えるという、オーソドックスな恋愛ADVのスタイルとなっている。 --他二人のシナリオはDREAM編で完結するのに対し、メインヒロインの観鈴のシナリオのみ、多くの謎が残った状況で終わる。あくまで壮大な物語の序章に過ぎず、これからSUMMER編、AIR編と続いてゆく。 -''SUMMER編'' --1000年前の正暦5年を舞台とした過去編。衛者兼警備隊長の柳也を主人公とし、翼の生えた少女「神奈備命」を巡る事件の顛末を見届けていく。 --このシナリオによって、往人と観鈴に纏わる全ての謎、及び他二人のヒロインのシナリオに登場したとある要素の謎が明らかになる。 --過去の出来事を知る為の物語なので選択肢は存在しない。ADVというよりはボタンを押して物語を進めるだけの、デジタルノベルとしての仕様に近い。 -''AIR編'' --DREAM編における観鈴シナリオのアフターストーリーであり、本作の完結編とも言うべき内容。 --主人公は【とある存在】となり、往人と出会う前の観鈴、往人と観鈴との交友、往人が去った後の神尾家の未来を見ていく。 ---SUMMER編と違って選択肢があるものの、間違った選択肢を選んだらバッドエンドに行くだけでシナリオが分岐する訳ではない。 ---- **評価点 -Key=泣きゲーブランドというイメージを確立させるなど''シナリオ評価の高さ'' --登場人物達が互いに交流する中で確かな絆を構築していく様を丁寧に描写したテキスト、綿密に伏線を配置し終盤で綺麗に回収する3部構成の巧みさ等、1つのシナリオとして高く評価されている。 --当然、恋愛よりも「母子愛」に焦点が当てられている事、物語を進めるに連れてプレイヤーの介入する余地がなくなる事に若干の戸惑いを覚えたプレイヤーもいた。しかし''グッドエンドじゃなくとも、恋愛じゃなくても、ADVで人を感動させ、涙を流させる事ができる''という点を証明して見せた事実は特筆に値する。 --クライマックス、観鈴と春子の物語の終着点は、もはや涙無しには見られないだろう。数日間放心したとまで言うプレイヤーがいたほどである。 ---その反面、本作や『[[智代アフター>智代アフター ~It's a Wonderful Life~]]』の結末に不満を持ったファンから「バッドエンド」などと批判されるようになってしまった側面もある。 --AIR編は「DREAM編・SUMMER編の読後に、元とは違う視点から改めて観鈴シナリオを見つめる」というスタイルであり、描写の真意や各人の心の動きを把握しやすいシナリオとなっているのも長所。 -優れた演出 --例えば、DREAM編でのエンディングテーマは「Farewell song」のインストルメンタルバージョンであり、歌詞はない。物語を最後まで見届けたAIR編エンディングで初めて歌詞付きの「Farewell song」が流れるのである。 --後述する青空も同様で、SUMMER編エンディングでオルゴールバージョンが流れ、AIR編中盤でピアノバージョンが流れ、AIR編クライマックスの挿入歌で初めて「青空」が流れる。 --これは同じメロディを少しずつ変えて繰り返し繰り返し流す事で、プレイヤーの心により強い印象を与えるという意図的な演出である。プレイヤーはそれにまんまと引っ掛かってしまった訳だ。 -美しいグラフィック --背景CGは非常に細かく綿密に描かれており、後述するBGMの相乗効果もあって実に素晴らしい。 ---蒸し返すような真夏の暑さや強烈な切なさを感じさせる夕陽等を、BGMと共にユーザーの心に刻んでくれる。 --キャラデザは相変わらずの「いたる絵」で賛否両論だが、『Kanon』の頃より顔が小さくなり、絵もこなれている。塗りも向上しているため、「前作より上手くなった」という評価でファンの見解はほぼ一致している。 -楽曲・BGMの非常に高いクオリティ --特に主題歌「鳥の詩」は楽曲としてもゲームの一要素としても完成度が高い。ボーカルのLia氏の美しい歌声も相まって、20年以上経った現在も根強い人気を誇る。&bold(){『ゲーム音楽史というものがあるなら、そこに必ず残るべき曲』である}と言っても過言ではない。 ---NHKの番組「今日は一日 アニソン三昧」では5回全てで取り上げられたり、数多くの歌手がカバーしていたり、「鳥の詩は国歌((国歌と書いて「くにうた」とよむ。主人公の名前が「くにさき」なので。))」の逸話が生まれたり等、様々な形で影響が及んだ結果、「''AIRは未プレイだが、鳥の詩は知っている''」という程の知名度を得ている。 ---作曲家の田中公平が本楽曲の音楽理論について解説しており、その際に「神の意志か偶然か(≒そうでもないと、こんなにいい曲はとても人間には作れない)」と発言している((NHK-BS2(現在のBSプレミアム)にて放送された「萌える!泣ける!燃える ゼロ年代 珠玉のアニメソングスペシャル」より))。田中氏はアニメの楽曲がメインの仕事であり、比較的アニメ・ゲームソングに理解を示す立場の人間であるとはいえ、それを差し引いても、プロの作曲家からも高い評価を得ていた事が分かる((田中氏もまた数多くのヒットソングを作り出しており、その実力は疑いようがない人物である。彼をしてそこまで言わしめるということが、いかにこの曲が素晴らしいかを物語っている。))。 //---実はこの曲、音楽理論の観点から言えばかなり滅茶苦茶なのだが、それ故に普通ではなかなか耳にする事ができない絶妙なハーモニーを奏でている((NHK-BS2(現在のBSプレミアム)にて放送された「萌える!泣ける!燃える ゼロ年代 珠玉のアニメソングスペシャル」にて作曲家の田中公平が本楽曲の音楽理論について解説し、そのコード進行に対して「神の意志か偶然か」と言わしめたほど。))。 //滅茶苦茶ではない。モチーフは一貫しているしIV-V-VIの単純明快な進行でエロゲの主題歌のみならずポップスでもしばしば使われているよ。 //↑滅茶苦茶と評される根拠を一例追記してみました。 //↑その根拠だと田中公平氏が直接滅茶苦茶と評した訳ではないと思われるが…番組内では(音楽理論の観点で)否定的な見解だったの? //↑覚えてる限りだと、Aメロ、Bメロ、Bメロの「両手には」からサビ「消える」までとにかく転調し続ける進行について、転調するコードが半音に限らずどのコードに飛んでも曲として成立してしまうことをまさに「鳥」のようで上記のコメントが氏から出てきた、という話の内容だった気がします。違ったらすみません。 --挿入歌の「青空」も鳥の詩に優るとも劣らないもので、美しいメロディラインと作中のキーワードを散りばめた歌詞、流れる場面も相まって多くのプレイヤーが涙を流したという。 ---ゲームへの挿入歌自体がまだ一般的では無かった((ADVもだが、コンシューマーや他ジャンルでも珍しかった))頃の作品であり、演出としても衝撃が大きかった。 --その他のBGMも全体的に評判が高く、特にメインテーマとも言える「夏影」はとりわけ高い人気を誇る。こちらは後にヴォーカルバージョンが発売されている。 **賛否両論点 -物語の結末 --シナリオが大きく評価された一方、結末において登場人物とプレイヤー視点のエンディング像にズレが生じており、戸惑いや消化不良を覚えたプレイヤーが相当数に上った。 ---特にプレイヤー視点では主人公格の登場人物の殆どが重く苦しい不幸に見舞われる上に救いがない。しかし逆にキャラクター視点ではいずれも納得づくで解決・収束させており、こうした点も評価の明暗を分けた。 --最後の最後に登場する「ある人物」の存在等が難解で、そこを理解するのが難しいという意見も多く、発売から長年に渡りエンディングの解釈を巡って各地で大規模な議論が巻き起こった。 ---本作に限らずKey作品はそういった難解な要素が多く、「考察の余地が広大にある」と言えば聞こえは良いが、悪く言えば自力で理解できなければどこかしこりの残るプレイ後感があるという意見もある。 **問題点 -意地の悪い選択肢 --共通ルートの一部にいわゆる「選んだら即死」が混じっており初見殺しに近い。 --美凪ルートでは、ゲーム後半で美凪に好意的な選択を続けるとアナザーエンドになるが、美凪の抱えた問題が何も解決しないままゲームが終わってしまう。 ---元より、『[[ONE ~輝く季節へ~]]』(特に長森瑞佳)や、『Kanon』の川澄舞ルートのように、麻枝氏の関わった部分は意地の悪い選択肢が多めな事でも少し知られている。 ---ただし、かなり限定的なものなので難易度が高いわけではない。 -実用性の乏しさ --エロゲージャンルとして発売されながらエロ要素はかなり薄い。霧島佳乃に限ってはある程度必然性があるためシーンの扱い自体は『Kanon』より向上しているが、実用性の観点から言えばこれまでのKey作品からほぼ変化はない。AIR編に至ってはシーン自体が存在しない。 ---ただ、過去作品を経て『Kanon』で大幅に拡大したプレイヤー層において既にKey作品にエロを求めない事は定着しており((「MOON.」は18禁シーンが多かったのだが人をかなり選ぶ作風で、前2作の『[[ONE ~輝く季節へ~]]』『Kanon』は間口が広く人気だったが18禁シーンに重きを置いていない。プレイヤーからも最初から期待されていなかった。))、エロを求めて購入したプレイヤーの被害事例はほとんど報告されていない。 ---実際、描写も運びもシーン自体を添え物として無理矢理ねじ込んだ感が強く、実用性に対する非難よりも「なぜ無理に18禁にする必要があったのか」と難色を示す声の方が圧倒的に多かった((『Kanon』同様、後に全年齢版や移植版が発売された事も疑問の声に拍車をかけた。))。 ---当時のKeyがゲームブランドとしてあまり名が通っていなかったことや、この頃のPCゲームはアダルトゲームが圧倒的に人気で売れやすかったことから、その辺の事情が絡んでいることが推察できるが、何にせよプレイヤーには与り知らぬ事である。 --なお、シナリオ上の必然性がない場合はシーンをキャンセル出来るようになっている((Key作品の通例である。))。 -声の有無 --PC版は声がついていない((ただし、当時はまだこのジャンルでも声無しの作品が多かったので特に違和感なく受け入れられている。))が、コンシューマー版では声がついている((しかもPS2やPSP版は主人公までフルボイス))ので購入を検討する際は注意。 ---後述しているが不評だったPSP版『[[Kanon>Kanon#id_9a5f90d5]]』とは違い、PSP版『AIR』はフルボイスになっているので評価が良い。 --なお、コンシューマ版は設定で声を消すことも可能。ちなみに本作はこの手のジャンルでは珍しく主人公にも声が設定されているため、主人公だけ声をなしにすることもできる。そのためフルで声を聞いていると非常に時間を食う部分もある。 ---- **総評 前作『Kanon』と同じく「泣きゲー」というジャンルを完成に導いた、ゲーム史上の意義を持つ作品である。よく練られたシナリオと高品質の音楽の相乗効果で感動を呼び起こす手法は、その後のエロゲ業界にも大きな影響を与えた。~ その人気・評価は恐ろしいほど高く、PC版は2000年度の売り上げが10万本、最終的には30万本を超えるという、PCのADVとしては凄まじい大ヒットとなった。さらには、DCやPS2といった多数の家庭用ハードに移植された他、TVアニメ版、劇場版、漫画版、小説版といった多数のメディア展開も行われた。主題歌や作中BGMのアレンジバージョンも数多く発売されている。TVアニメ化がゲーム発売の4,5年後という長いスパンであった点も、本作人気・評価の根強さを表していると言えよう。~ また、[[アリスソフト>ALICE SOFT/チャンピオンソフト作品]]作品、『WHITE ALBUM』(Leaf)、Keyの前作『Kanon』等の及ぼした影響で音楽にも目を向ける流れが生まれ始めた状況で「エロゲ音楽でも商売ができる」事を証明した事でも特筆される。当時はまだまだ音楽業界の中ではエロゲ音楽は品質が劣ると見做す向きがあったが、質的に見劣りしない曲を作れる事を示した意義は大きい。 様々な面でエロゲ業界に一石を投じたといっても過言ではない逸品である。 ---- **余談 -タイトルが『Air』と表記されているレビューサイト等が存在するが、全て大文字の『AIR』が正式タイトルである。[[参考リンク>https://twitter.com/visualantena/status/1303135969466413058]] -2001年にKeyは自社レーベル「Key Sounds Label」を設立し、音楽面でも活動を本格化させた。2002年9月27日には、同レーベルから本作のサウンドトラックが発売されている。 --麻枝氏はライターながら過去作でも作曲していたが、特に本作の「夏影」は使い方共々人気を博したので本格的に注目されることになった((ライターが作曲も出来ると言うのは演出作成上強力な特徴で、次回作以降も楽曲やその使い方の評価が基本的に高い。))。 ---ちなみに編曲は専門家と比べて今一だと自認しており、基本的に外注や他の人に頼んで納得いくまでブラッシュアップしてもらっている。 -『Kanon』に続いて本作でも主題歌の編曲を担当した音楽集団「I've」は大きく知名度を高め、その後の飛躍に繋げた。2005年にはエロゲ畑出身の音楽集団ながらも日本武道館でライブを敢行している。 -発売当初メディアミックス展開はあまり活発ではなかったが、2005年になってアニメ映画、及びTVアニメが放映された。原作のプロットに忠実なTVアニメ版と再解釈された映画版という構図になっており、毀誉褒貶が激しい。TVアニメ派に対して映画派は少数((尺の短さから満足な出来にするのは難しいのだが、テーマこそある程度方向性は変わっていないものの祭りが極度にプッシュされている。それも鬼の面や和太鼓ばかりやたら出す違和感の強い不気味な謎演出。更にキャラや物語の改変っぷりが凄まじい上に結末まで大きく変えてしまったのが原作ファンには受け入れられ辛く、評価されづらい。))だが期待度が非常に高かった為か収益は良かった。 --映画版は2002年に放映されたTVアニメ版『Kanon』に続いて東映が制作元請となった。エロゲ原作でアニメ映画を作るという、おそらくは類例のない事に当時のファンは大いに驚いた((ちなみに、製作発表が2004年4月1日だったため、当日は手の込んだネタとしか思われなかったという逸話がある。))((今でも余程の作品でなければ、エロゲ原作でアニメ映画が作られることはない。いかに本作の与えた影響が大きかったかが知れる。近年では『とらいあんぐるハート3 ~Sweet Songs Forever~』の劇中劇のスピンオフから派生した『魔法少女リリカルなのはシリーズ』、『Fate/stay night』がエロゲ原作でありながらアニメ映画化されたことで有名。))。 ---映画版の評価が悪いのは、脚本を担当した「中村 誠」氏は昔からのKeyのファンで、それまでの仕事ぶりも概ね受け入れられているのに対し、監督の「出崎 統」氏が「原作を一切やっていない」どころか「AIRという作品に対し無理解」で、彼が主導して色々手を加えてしまったのが主な要因と言われている((補足すると次回作の「劇場版CLANNAD」も同じ様な体制且つ原作再現は特に重視していないが、本作の批評を受けた結果、賛否両論レベル(ファンの間でも意見の違いや尺の短さから基本的に批判は出る)の出来にはなっているので、東映が何をしてもダメと言う訳ではない。))。 ---ただし、制作状況的には脚本の中村氏がストーリーを何度も改稿し、その度に出崎氏が第三者視点で指摘を挟んでまとめた、という方が正しい。実際、俯瞰して見れば物語のあらすじ自体は原作と大きく外れているわけではない。また、原作サイドとなるKeyとのセッションもあったことが明かされており、特に齟齬があると言われるラストシーンは原作サイドからの要望によるもの。総合すると衝動的な妄想も含んだ風評被害的な部分もある。 ---ちなみにキャラデザそのものは素直に評価されており、エロい観鈴(褒め言葉)などと評されることが多い。先の通りあらすじは大きく外れてはおらず、一般向けの翻案としては当時から評価する声もある。しかし出崎氏のそういった翻案の方向性が当時の原作のファンからは受け入れられなかったのは間違いない。((事実、監督を担当した出崎氏のファンクラブの掲示板は荒らし行為にあい、閉鎖に追い込まれた。)) ---一方、賛否両論点にある難解さは本作にはなく、比較的わかりやすい内容にまとめられているのも特徴。原作の難解さに馴染めなかった視聴者や「本作が初のAIR」というユーザー、そして出崎氏のファンからは好評を得やすい。 --TVアニメ版は京都アニメーションが制作元請となり、同社の出世作となった。 ---ちなみに、PS3のVer1.80で搭載されたアップコンバート機能は、アニメ版のDVD版がBlu-rayディスク版と同レベルに見える事が指標の一つとして開発されている。 -今回から野球ネタが見受けられるようになるが((厳密に言えば『ONE』の折原浩平もプロ野球OBのカルロス・ポンセ氏と加藤博一氏の物真似をしていた。))、これはKeyが次回作を出すごとに自重しなくなっていく。 --『CLANNAD』ではバッドエンドの一つにヒロインが草野球チームを組むものがあり、エンディングテーマに合わせてスタッフロールの代わりに各キャラの成績が流れる。ゲーム全体の進行上無意味だが謎の感動がある。 --『[[リトルバスターズ!]]』に至ってはついに野球がシナリオの一つの軸になってしまった。 -また主人公の名前に関するお遊びが存在しており、観鈴が主人公を出任せで「たぶち」と紹介するシーンで本当に苗字がたぶちだと「きぬがさ」に変わる。上の野球ネタと絡めてある((元ネタはプロ野球OBの田淵幸一氏と衣笠祥雄氏。))。 --これまた『CLANNAD』では自重しなくなっている。 **その後の展開 -本作のようなシナリオ、特に終盤はエロゲーでやる必要は全く無く、そのあり方は少なからず物議をかもした。 -『Kanon』の一部シナリオの方向性を見るに元々Keyはそこらの恋愛エロゲーからの脱却を図っていたと言えるようであり、『AIR』を以てその傾向は確定したものの、同時に一般PCゲームが売れにくい市場の都合もあって本作の時点ではエロゲー要素も残っていたため、中途半端な印象もあった。 -その後のKeyは家族愛というテーマを強く打ち出した『CLANNAD』を発売。一般向けのギャルゲーが主力商品となった。 -また、本作のスケールが巨大だったためにこれ以降のKey作品の期待度が非常に大きくなり、品質を上げる代償として数年に一度しか完全新作が出ない状態になった。 -もっとも、『CLANNAD』からKey作品には無駄(褒め言葉)な作りこみや遊び心が目立つようになったため、これはこれで高い評価を受けている。 -本作で名を上げ、『リトルバスターズ!』までKeyのメインライターとして活躍してきた麻枝氏だが、ユーザーから質の高さと感動を強く求められるようになっているので、『[[クドわふたー]]』の監修ではそれが裏目に出て賛否両論(とは言え、監修しなかった場合もファンの間の意見の相違により賛否両論になっていたと思われる)となった。 -麻枝氏が全話脚本を手掛けたアニメ「神様になった日」では、終盤に本作のAIR編を意識したと思しき展開になっているが、賛否両論を呼んでいる。((これに関しては、当該の展開そのものというより、そもそも「神様になった日」自体がキャラの描写不足や唐突な展開で過去作に輪をかけて不評だった上で中途半端に本作を意識したシーンを挿入して本作のイメージを悪くしたことに対する批判が強い。麻枝准の自伝的作品として高く評価する声もあるが。)) ---- *移植版 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|CENTER:&amazon(B000069E08)&amazon(B000J0R3JM)|CENTER:&amazon(B01HFUJVKC)&amazon(B097TG5QL7)| |対応機種|ドリームキャスト&br()プレイステーション2&br()プレイステーション・ポータブル&br()プレイステーション・ヴィータ&br()Nintendo Switch|~|~| |発売元|【DC/PS2】NECインターチャネル&br()【PSP/PSV/Switch】プロトタイプ|~|~| |発売日|【DC】2001年9月20日&br()【PS2】2002年8月8日&br()【PSP】UMD版:2007年11月22日&br()    DL版:2010年9月2日&br()【PSV】2016年9月8日&br()【Switch】2021年9月9日|~|~| |定価|【DC】7,140円&br()【PS2】9,000円&br()【PSP】5,040円&br()【PSV】パッケージ版:5,184円&br()    DL版:4,300円&br()【Switch】4,950円|~|~| |レーティング|【CS版】CERO:C(15才以上対象)|~|~| |廉価版|【PS2】2005年9月1日/4,250円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| ---- **特徴(移植版) -ヒロイン・脇役とも全てフルボイスである。主人公は、DC版はパートボイスで、PS2版以降はフルボイスとなる。 -一部のシーンに表現の都合上エロやお色気ハプニングでもないのに服を脱ぐ場面があるのだが、髪等で局部が隠されている。 -PSV版は外伝小説「初空の章」が追加されている。 --Switch版も同じ仕様で2021年9月9日に発売。
#contents() ---- *AIR 【えあー】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|#amazon(B003H9MM0M)| |対応機種|初回限定版/通常版:Windows 95/98/2000&br()全年齢対象版:Windows 95~2000&br()Standard Edition:Windows 98~XP|~| |メディア|初回限定版/通常版/全年齢対象版:CD-ROM&br()Standard Edition/メモリアルエディション全年齢対象版:DVD-ROM 各1枚|~| |発売・開発元|Key|~| |発売日|初回限定版:2000年9月8日&br()通常版/全年齢対象版:2001年7月27日&br()Standard Edition:2005年4月28日&br()メモリアルエディション全年齢対象版:2010年5月28日|~| |定価|初回限定版/通常版:9,240円&br()全年齢対象版:6,090円&br()Standard Edition:3,990円&br()メモリアルエディション全年齢対象版:2,940円|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |~|一般ソフト(全年齢対象版/同メモリアルエディション)|~| |備考|メモリアルエディションはWin2000~7対応|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Key作品]]''| ---- **概要 株式会社ビジュアルアーツのゲームブランド「Key」の第2作。前作で一部ヒロインのシナリオを担当した麻枝准氏がメインシナリオを担当している。 舞台となるのは1994年夏の田舎町。流離いの青年と一人の少女による、優しくも悲しい物語。 **特徴 -ジャンルは恋愛ADVだが、そのストーリーは恋愛よりも『母子愛』に重きが置かれており、恋愛要素・R18要素は非常に少ない。 -主人公・メイン・サブ問わず、ほぼ全ての登場人物が「母(親)」あるいは「子」であり、それに纏わる感動的なシナリオに特化した内容となっている。 -そのため、R18指定のゲームでありながらポルノ要素が非常に少なく、むしろ「エロ要素はいらない」という声も多い。 -シナリオ的には、壮大なスケールのファンタジーに少年少女の恋愛劇を絡めた内容となっている。 **主な登場人物 #region(close,クリックで展開) -国崎往人(くにさき ゆきと) --DREAM編における主人公。 --念を込めたものを自在に動かす力を持ち、それと古ぼけた人形を使っての芸で日銭を稼ぎながら小さなころから旅をしている。 --少年時代に聞かされた『この空の何処かにいる翼の生えた少女』に出会う事を目標としているが、青年となった今ではかなり記憶が薄れており、行動指針の1つ程度にしかなっていない。 --特殊な生い立ちから常識外れであり、牛乳泥棒して勝ち誇ったり勝手に出前を頼んだり食い物に敏感だったりと、破天荒な行動・性格でいちいち笑わせてくれる人物。こう書くと聞こえは悪いが根は善人であり、義理堅く、子供受けもよく優しい性格である。 --移植版の担当声優は緑川光氏。上記の破天荒な行動を緑川氏の怪演で存分に堪能できる。 ---余談だがTVアニメ版では小野大輔氏に変わっており、こちらも好評。緑川氏はスケジュールの都合で呼べなかったらしい。 -神尾観鈴(かみお みすず) --本作のメインヒロイン。 --母親と2人暮らしだが、仕事の関係で母の帰りがいつも遅いため、家事全般を引き受けている。 --少々変わった性格をしているが、素直で心優しい少女。住人さんとのやり取りは見ていて実に微笑ましい。 --寂しがりでありながら、誰かと近い関係になりすぎると発作まがいの癇癪を起こしてしまう厄介な体質で、それを周りに隠していることで公式には「強い子」と表現されていた。 --移植版の担当声優は川上とも子氏。 -霧島佳乃(きりしま かの) --DREAM編におけるヒロインの1人。 --極めて社交的で明るい少女。診療所を営む姉と2人暮らし。両親は故人。 --姉に溺愛されているが、一方で姉が佳乃のために自己の幸せを投げ打っている事に内心で負い目を感じている。 --右腕に「とある事情」で黄色いバンダナを巻いており、決して外そうとしない。これは佳乃ルートでの重要な要素となる。 --声優は岡本麻見氏。 -遠野美凪(とおの みなぎ) --DREAM編におけるヒロインの1人。 --観鈴とは同級生。学年トップの成績を持つ才女。超天然・超おっとり・超マイペースと相当アレな性格だが、溢れんばかりの母性愛を持つ。 --お米が大好きで、封筒に入れたお米券を大量に常備し、事ある毎に主人公達に「進呈」しようとする。 --母親は健在だが家にいる事はあまりなく、廃駅で「みちる」という女の子と一緒にいる事が多い。 --声優は柚木涼香氏。 -みちる --DREAM編におけるサブキャラクターの1人。美凪といつも一緒にいる少女。 --シャボン玉が好きだが、いつも失敗して割ってしまう。 --往人と美凪が仲良くするのが気に入らないらしく、何かあるとすぐに蹴りをかっとばしてくる。 --美凪ルートでのみ、ある重大なバックボーンがあることが判明する。 --声優は田村ゆかり氏。 -柳也(りゅうや) --SUMMER編における主人公。 --神奈の衛者且つ社殿の警備隊長。幼少の頃から己が力だけを頼りに修羅場を潜り抜けてきており、他の追従を許さない卓越した剣技を持つ。 --誰もが畏怖する翼人(=神奈)に対しても物怖じせず、時には兄・親として、また時には忠臣として、真摯に接する事のできる度量を備えた青年。 --声優は神奈延年氏。 -神奈備命(かんなびのみこと・かんな) --SUMMER編におけるヒロイン。 --巨大な翼と強大な力を持つ「翼人」の末裔で、正歴5年(=994年)に生きる最後の翼人。神の使いとして崇められ、そして囚われの身である。 --警護とは名ばかりの軟禁、及び周囲からの敵意や恐怖心、翼人としての運命から、当初は全てを諦めたかのような言動をしていたが、柳也と裏葉に出会ってからは年頃の少女そのものに変わってゆく。 --声優は西村ちなみ氏。 -裏葉(うらは) --SUMMER編に登場する神奈の女官で、主君に極めて忠実だが主君で遊ぶことも多い。 --変な所やただの女官とは思えない行動が多いものの様々な分野で優秀なところを見せる女性で、神奈に対して似たような想いを抱く柳也とは息の合うパートナーのような関係になる。 --声優は井上喜久子氏。 -神尾晴子(かみお はるこ) --DREAM編におけるサブキャラクターの1人で、AIR編の真の主人公とも言うべき人物。観鈴の「母親」。 --関西弁でフルアクティブで大酒呑みという、観鈴とは全く正反対の豪快な性格。 --バイク((DUCATIの「MONSTER S4」。))による飲酒運転を常習的に行っており、家に帰るときは納屋に盛大に突っ込んで停車する。良い子は真似しないように。 --過去のとある出来事から観鈴に対して距離を置いており、彼女にどう接するかで常に葛藤している。 --声優は久川綾氏。 #endregion **ストーリー -当時のADVとしてはあまり類を見ない、DREAM編・SUMMER編・AIR編の全3部構成となっている。 -''DREAM編'' --あえて言うなら現代編((ただし年代は1994年。))。国崎往人を主人公として、観鈴を含む3人のヒロインと交流を深めていく。 --選択肢によって3人の内いずれかのシナリオへと分岐し、それぞれ個別の展開・結末を迎えるという、オーソドックスな恋愛ADVのスタイルとなっている。 --他二人のシナリオはDREAM編で完結するのに対し、メインヒロインの観鈴のシナリオのみ、多くの謎が残った状況で終わる。あくまで壮大な物語の序章に過ぎず、これからSUMMER編、AIR編と続いてゆく。 -''SUMMER編'' --1000年前の正暦5年を舞台とした過去編。衛者兼警備隊長の柳也を主人公とし、翼の生えた少女「神奈備命」を巡る事件の顛末を見届けていく。 --このシナリオによって、往人と観鈴に纏わる全ての謎、及び他二人のヒロインのシナリオに登場したとある要素の謎が明らかになる。 --過去の出来事を知る為の物語なので選択肢は存在しない。ADVというよりはボタンを押して物語を進めるだけの、デジタルノベルとしての仕様に近い。 -''AIR編'' --DREAM編における観鈴シナリオのアフターストーリーであり、本作の完結編とも言うべき内容。 --主人公は【とある存在】となり、往人と出会う前の観鈴、往人と観鈴との交友、往人が去った後の神尾家の未来を見ていく。 ---SUMMER編と違って選択肢があるものの、間違った選択肢を選んだらバッドエンドに行くだけでシナリオが分岐する訳ではない。 ---- **評価点 -Key=泣きゲーブランドというイメージを確立させるなど''シナリオ評価の高さ'' --登場人物達が互いに交流する中で確かな絆を構築していく様を丁寧に描写したテキスト、綿密に伏線を配置し終盤で綺麗に回収する3部構成の巧みさ等、1つのシナリオとして高く評価されている。 --当然、恋愛よりも「母子愛」に焦点が当てられている事、物語を進めるに連れてプレイヤーの介入する余地がなくなる事に若干の戸惑いを覚えたプレイヤーもいた。しかし''グッドエンドじゃなくとも、恋愛じゃなくても、ADVで人を感動させ、涙を流させる事ができる''という点を証明して見せた事実は特筆に値する。 --クライマックス、観鈴と春子の物語の終着点は、もはや涙無しには見られないだろう。数日間放心したとまで言うプレイヤーがいたほどである。 ---その反面、本作や『[[智代アフター>智代アフター ~It's a Wonderful Life~]]』の結末に不満を持ったファンから「バッドエンド」などと批判されるようになってしまった側面もある。 --AIR編は「DREAM編・SUMMER編の読後に、元とは違う視点から改めて観鈴シナリオを見つめる」というスタイルであり、描写の真意や各人の心の動きを把握しやすいシナリオとなっているのも長所。 -優れた演出 --例えば、DREAM編でのエンディングテーマは「Farewell song」のインストルメンタルバージョンであり、歌詞はない。物語を最後まで見届けたAIR編エンディングで初めて歌詞付きの「Farewell song」が流れるのである。 --後述する青空も同様で、SUMMER編エンディングでオルゴールバージョンが流れ、AIR編中盤でピアノバージョンが流れ、AIR編クライマックスの挿入歌で初めて「青空」が流れる。 --これは同じメロディを少しずつ変えて繰り返し繰り返し流す事で、プレイヤーの心により強い印象を与えるという意図的な演出である。プレイヤーはそれにまんまと引っ掛かってしまった訳だ。 -美しいグラフィック --背景CGは非常に細かく綿密に描かれており、後述するBGMの相乗効果もあって実に素晴らしい。 ---蒸し返すような真夏の暑さや強烈な切なさを感じさせる夕陽等を、BGMと共にユーザーの心に刻んでくれる。 --キャラデザは相変わらずの「いたる絵」で賛否両論だが、『Kanon』の頃より顔が小さくなり、絵もこなれている。塗りも向上しているため、「前作より上手くなった」という評価でファンの見解はほぼ一致している。 -楽曲・BGMの非常に高いクオリティ --特に主題歌「鳥の詩」は楽曲としてもゲームの一要素としても完成度が高い。ボーカルのLia氏の美しい歌声も相まって、20年以上経った現在も根強い人気を誇る。&bold(){『ゲーム音楽史というものがあるなら、そこに必ず残るべき曲』である}と言っても過言ではない。 ---NHKの番組「今日は一日 アニソン三昧」では5回全てで取り上げられたり、数多くの歌手がカバーしていたり、「鳥の詩は国歌((国歌と書いて「くにうた」とよむ。主人公の名前が「くにさき」なので。))」の逸話が生まれたり等、様々な形で影響が及んだ結果、「''AIRは未プレイだが、鳥の詩は知っている''」という程の知名度を得ている。 ---作曲家の田中公平が本楽曲の音楽理論について解説しており、その際に「神の意志か偶然か(≒そうでもないと、こんなにいい曲はとても人間には作れない)」と発言している((NHK-BS2(現在のBSプレミアム)にて放送された「萌える!泣ける!燃える ゼロ年代 珠玉のアニメソングスペシャル」より))。田中氏はアニメの楽曲がメインの仕事であり、比較的アニメ・ゲームソングに理解を示す立場の人間であるとはいえ、それを差し引いても、プロの作曲家からも高い評価を得ていた事が分かる((田中氏もまた数多くのヒットソングを作り出しており、その実力は疑いようがない人物である。彼をしてそこまで言わしめるということが、いかにこの曲が素晴らしいかを物語っている。))。 //---実はこの曲、音楽理論の観点から言えばかなり滅茶苦茶なのだが、それ故に普通ではなかなか耳にする事ができない絶妙なハーモニーを奏でている((NHK-BS2(現在のBSプレミアム)にて放送された「萌える!泣ける!燃える ゼロ年代 珠玉のアニメソングスペシャル」にて作曲家の田中公平が本楽曲の音楽理論について解説し、そのコード進行に対して「神の意志か偶然か」と言わしめたほど。))。 //滅茶苦茶ではない。モチーフは一貫しているしIV-V-VIの単純明快な進行でエロゲの主題歌のみならずポップスでもしばしば使われているよ。 //↑滅茶苦茶と評される根拠を一例追記してみました。 //↑その根拠だと田中公平氏が直接滅茶苦茶と評した訳ではないと思われるが…番組内では(音楽理論の観点で)否定的な見解だったの? //↑覚えてる限りだと、Aメロ、Bメロ、Bメロの「両手には」からサビ「消える」までとにかく転調し続ける進行について、転調するコードが半音に限らずどのコードに飛んでも曲として成立してしまうことをまさに「鳥」のようで上記のコメントが氏から出てきた、という話の内容だった気がします。違ったらすみません。 --挿入歌の「青空」も鳥の詩に優るとも劣らないもので、美しいメロディラインと作中のキーワードを散りばめた歌詞、流れる場面も相まって多くのプレイヤーが涙を流したという。 ---ゲームへの挿入歌自体がまだ一般的では無かった((ADVもだが、コンシューマーや他ジャンルでも珍しかった))頃の作品であり、演出としても衝撃が大きかった。 --その他のBGMも全体的に評判が高く、特にメインテーマとも言える「夏影」はとりわけ高い人気を誇る。こちらは後にヴォーカルバージョンが発売されている。 **賛否両論点 -物語の結末 --シナリオが大きく評価された一方、結末において登場人物とプレイヤー視点のエンディング像にズレが生じており、戸惑いや消化不良を覚えたプレイヤーが相当数に上った。 ---特にプレイヤー視点では主人公格の登場人物の殆どが重く苦しい不幸に見舞われる上に救いがない。しかし逆にキャラクター視点ではいずれも納得づくで解決・収束させており、こうした点も評価の明暗を分けた。 --最後の最後に登場する「ある人物」の存在等が難解で、そこを理解するのが難しいという意見も多く、発売から長年に渡りエンディングの解釈を巡って各地で大規模な議論が巻き起こった。 ---本作に限らずKey作品はそういった難解な要素が多く、「考察の余地が広大にある」と言えば聞こえは良いが、悪く言えば自力で理解できなければどこかしこりの残るプレイ後感があるという意見もある。 **問題点 -意地の悪い選択肢 --共通ルートの一部にいわゆる「選んだら即死」が混じっており初見殺しに近い。 --美凪ルートでは、ゲーム後半で美凪に好意的な選択を続けるとアナザーエンドになるが、美凪の抱えた問題が何も解決しないままゲームが終わってしまう。 ---元より、『[[ONE ~輝く季節へ~]]』(特に長森瑞佳)や、『Kanon』の川澄舞ルートのように、麻枝氏の関わった部分は意地の悪い選択肢が多めな事でも少し知られている。 ---ただし、かなり限定的なものなので難易度が高いわけではない。 -実用性の乏しさ --エロゲージャンルとして発売されながらエロ要素はかなり薄い。霧島佳乃に限ってはある程度必然性があるためシーンの扱い自体は『Kanon』より向上しているが、実用性の観点から言えばこれまでのKey作品からほぼ変化はない。AIR編に至ってはシーン自体が存在しない。 ---ただ、過去作品を経て『Kanon』で大幅に拡大したプレイヤー層において既にKey作品にエロを求めない事は定着しており((「MOON.」は18禁シーンが多かったのだが人をかなり選ぶ作風で、前2作の『[[ONE ~輝く季節へ~]]』『Kanon』は間口が広く人気だったが18禁シーンに重きを置いていない。プレイヤーからも最初から期待されていなかった。))、エロを求めて購入したプレイヤーの被害事例はほとんど報告されていない。 ---実際、描写も運びもシーン自体を添え物として無理矢理ねじ込んだ感が強く、実用性に対する非難よりも「なぜ無理に18禁にする必要があったのか」と難色を示す声の方が圧倒的に多かった((『Kanon』同様、後に全年齢版や移植版が発売された事も疑問の声に拍車をかけた。))。 ---当時のKeyがゲームブランドとしてあまり名が通っていなかったことや、この頃のPCゲームはアダルトゲームが圧倒的に人気で売れやすかったことから、その辺の事情が絡んでいることが推察できるが、何にせよプレイヤーには与り知らぬ事である。 --なお、シナリオ上の必然性がない場合はシーンをキャンセル出来るようになっている((Key作品の通例である。))。 -声の有無 --PC版は声がついていない((ただし、当時はまだこのジャンルでも声無しの作品が多かったので特に違和感なく受け入れられている。))が、コンシューマー版では声がついている((しかもPS2やPSP版は主人公までフルボイス))ので購入を検討する際は注意。 ---後述しているが不評だったPSP版『[[Kanon>Kanon#id_9a5f90d5]]』とは違い、PSP版『AIR』はフルボイスになっているので評価が良い。 --なお、コンシューマ版は設定で声を消すことも可能。ちなみに本作はこの手のジャンルでは珍しく主人公にも声が設定されているため、主人公だけ声をなしにすることもできる。そのためフルで声を聞いていると非常に時間を食う部分もある。 ---- **総評 前作『Kanon』と同じく「泣きゲー」というジャンルを完成に導いた、ゲーム史上の意義を持つ作品である。よく練られたシナリオと高品質の音楽の相乗効果で感動を呼び起こす手法は、その後のエロゲ業界にも大きな影響を与えた。~ その人気・評価は恐ろしいほど高く、PC版は2000年度の売り上げが10万本、最終的には30万本を超えるという、PCのADVとしては凄まじい大ヒットとなった。さらには、DCやPS2といった多数の家庭用ハードに移植された他、TVアニメ版、劇場版、漫画版、小説版といった多数のメディア展開も行われた。主題歌や作中BGMのアレンジバージョンも数多く発売されている。TVアニメ化がゲーム発売の4,5年後という長いスパンであった点も、本作人気・評価の根強さを表していると言えよう。~ また、[[アリスソフト>ALICE SOFT/チャンピオンソフト作品]]作品、『WHITE ALBUM』(Leaf)、Keyの前作『Kanon』等の及ぼした影響で音楽にも目を向ける流れが生まれ始めた状況で「エロゲ音楽でも商売ができる」事を証明した事でも特筆される。当時はまだまだ音楽業界の中ではエロゲ音楽は品質が劣ると見做す向きがあったが、質的に見劣りしない曲を作れる事を示した意義は大きい。 様々な面でエロゲ業界に一石を投じたといっても過言ではない逸品である。 ---- **余談 -タイトルが『Air』と表記されているレビューサイト等が存在するが、全て大文字の『AIR』が正式タイトルである。[[参考リンク>https://twitter.com/visualantena/status/1303135969466413058]] -2001年にKeyは自社レーベル「Key Sounds Label」を設立し、音楽面でも活動を本格化させた。2002年9月27日には、同レーベルから本作のサウンドトラックが発売されている。 --麻枝氏はライターながら過去作でも作曲していたが、特に本作の「夏影」は使い方共々人気を博したので本格的に注目されることになった((ライターが作曲も出来ると言うのは演出作成上強力な特徴で、次回作以降も楽曲やその使い方の評価が基本的に高い。))。 ---ちなみに編曲は専門家と比べて今一だと自認しており、基本的に外注や他の人に頼んで納得いくまでブラッシュアップしてもらっている。 -『Kanon』に続いて本作でも主題歌の編曲を担当した音楽集団「I've」は大きく知名度を高め、その後の飛躍に繋げた。2005年にはエロゲ畑出身の音楽集団ながらも日本武道館でライブを敢行している。 -発売当初メディアミックス展開はあまり活発ではなかったが、2005年になってアニメ映画、及びTVアニメが放映された。原作のプロットに忠実なTVアニメ版と再解釈された映画版という構図になっており、毀誉褒貶が激しい。TVアニメ派に対して映画派は少数((尺の短さから満足な出来にするのは難しいのだが、テーマこそある程度方向性は変わっていないものの祭りが極度にプッシュされている。それも鬼の面や和太鼓ばかりやたら出す違和感の強い不気味な謎演出。更にキャラや物語の改変っぷりが凄まじい上に結末まで大きく変えてしまったのが原作ファンには受け入れられ辛く、評価されづらい。))だが期待度が非常に高かった為か収益は良かった。 --映画版は2002年に放映されたTVアニメ版『Kanon』に続いて東映が制作元請となった。エロゲ原作でアニメ映画を作るという、おそらくは類例のない事に当時のファンは大いに驚いた((ちなみに、製作発表が2004年4月1日だったため、当日は手の込んだネタとしか思われなかったという逸話がある。))((今でも余程の作品でなければ、エロゲ原作でアニメ映画が作られることはない。いかに本作の与えた影響が大きかったかが知れる。近年では『とらいあんぐるハート3 ~Sweet Songs Forever~』の劇中劇のスピンオフから派生した『魔法少女リリカルなのはシリーズ』、『Fate/stay night』がエロゲ原作でありながらアニメ映画化されたことで有名。))。 ---映画版の評価が悪いのは、脚本を担当した「中村 誠」氏は昔からのKeyのファンで、それまでの仕事ぶりも概ね受け入れられているのに対し、監督の「出崎 統」氏が「原作を一切やっていない」どころか「AIRという作品に対し無理解」で、彼が主導して色々手を加えてしまったのが主な要因と言われている((補足すると次回作の「劇場版CLANNAD」も同じ様な体制且つ原作再現は特に重視していないが、本作の批評を受けた結果、賛否両論レベル(ファンの間でも意見の違いや尺の短さから基本的に批判は出る)の出来にはなっているので、東映が何をしてもダメと言う訳ではない。))。 ---ただし、制作状況的には脚本の中村氏がストーリーを何度も改稿し、その度に出崎氏が第三者視点で指摘を挟んでまとめた、という方が正しい。実際、俯瞰して見れば物語のあらすじ自体は原作と大きく外れているわけではない。また、原作サイドとなるKeyとのセッションもあったことが明かされており、特に齟齬があると言われるラストシーンは原作サイドからの要望によるもの。総合すると衝動的な妄想も含んだ風評被害的な部分もある。 ---ちなみにキャラデザそのものは素直に評価されており、エロい観鈴(褒め言葉)などと評されることが多い。先の通りあらすじは大きく外れてはおらず、一般向けの翻案としては当時から評価する声もある。しかし出崎氏のそういった翻案の方向性が当時の原作のファンからは受け入れられなかったのは間違いない。((事実、監督を担当した出崎氏のファンクラブの掲示板は荒らし行為にあい、閉鎖に追い込まれた。)) ---一方、賛否両論点にある難解さは本作にはなく、比較的わかりやすい内容にまとめられているのも特徴。原作の難解さに馴染めなかった視聴者や「本作が初のAIR」というユーザー、そして出崎氏のファンからは好評を得やすい。 --TVアニメ版は京都アニメーションが制作元請となり、同社の出世作となった。 ---ちなみに、PS3のVer1.80で搭載されたアップコンバート機能は、アニメ版のDVD版がBlu-rayディスク版と同レベルに見える事が指標の一つとして開発されている。 -今回から野球ネタが見受けられるようになるが((厳密に言えば『ONE』の折原浩平もプロ野球OBのカルロス・ポンセ氏と加藤博一氏の物真似をしていた。))、これはKeyが次回作を出すごとに自重しなくなっていく。 --『CLANNAD』ではバッドエンドの一つにヒロインが草野球チームを組むものがあり、エンディングテーマに合わせてスタッフロールの代わりに各キャラの成績が流れる。ゲーム全体の進行上無意味だが謎の感動がある。 --『[[リトルバスターズ!]]』に至ってはついに野球がシナリオの一つの軸になってしまった。 -また主人公の名前に関するお遊びが存在しており、観鈴が主人公を出任せで「たぶち」と紹介するシーンで本当に苗字がたぶちだと「きぬがさ」に変わる。上の野球ネタと絡めてある((元ネタはプロ野球OBの田淵幸一氏と衣笠祥雄氏。))。 --これまた『CLANNAD』では自重しなくなっている。 **その後の展開 -本作のようなシナリオ、特に終盤はエロゲーでやる必要は全く無く、そのあり方は少なからず物議をかもした。 -『Kanon』の一部シナリオの方向性を見るに元々Keyはそこらの恋愛エロゲーからの脱却を図っていたと言えるようであり、『AIR』を以てその傾向は確定したものの、同時に一般PCゲームが売れにくい市場の都合もあって本作の時点ではエロゲー要素も残っていたため、中途半端な印象もあった。 -その後のKeyは家族愛というテーマを強く打ち出した『CLANNAD』を発売。一般向けのギャルゲーが主力商品となった。 -また、本作のスケールが巨大だったためにこれ以降のKey作品の期待度が非常に大きくなり、品質を上げる代償として数年に一度しか完全新作が出ない状態になった。 -もっとも、『CLANNAD』からKey作品には無駄(褒め言葉)な作りこみや遊び心が目立つようになったため、これはこれで高い評価を受けている。 -本作で名を上げ、『リトルバスターズ!』までKeyのメインライターとして活躍してきた麻枝氏だが、ユーザーから質の高さと感動を強く求められるようになっているので、『[[クドわふたー]]』の監修ではそれが裏目に出て賛否両論(とは言え、監修しなかった場合もファンの間の意見の相違により賛否両論になっていたと思われる)となった。 -麻枝氏が全話脚本を手掛けたアニメ「神様になった日」では、終盤に本作のAIR編を意識したと思しき展開になっているが、賛否両論を呼んでいる。((これに関しては、当該の展開そのものというより、そもそも「神様になった日」自体がキャラの描写不足や唐突な展開で過去作に輪をかけて不評だった上で中途半端に本作を意識したシーンを挿入して本作のイメージを悪くしたことに対する批判が強い。麻枝准の自伝的作品として高く評価する声もあるが。)) ---- *移植版 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|CENTER:&amazon(B000069E08)&amazon(B000J0R3JM)|CENTER:&amazon(B01HFUJVKC)&amazon(B097TG5QL7)| |対応機種|ドリームキャスト&br()プレイステーション2&br()プレイステーション・ポータブル&br()プレイステーション・ヴィータ&br()Nintendo Switch|~|~| |発売元|【DC/PS2】NECインターチャネル&br()【PSP/PSV/Switch】プロトタイプ|~|~| |発売日|【DC】2001年9月20日&br()【PS2】2002年8月8日&br()【PSP】UMD版:2007年11月22日&br()    DL版:2010年9月2日&br()【PSV】2016年9月8日&br()【Switch】2021年9月9日|~|~| |定価|【DC】7,140円&br()【PS2】9,000円&br()【PSP】5,040円&br()【PSV】パッケージ版:5,184円&br()    DL版:4,300円&br()【Switch】4,950円|~|~| |レーティング|【CS版】CERO:C(15才以上対象)|~|~| |廉価版|【PS2】2005年9月1日/4,250円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| ---- **特徴(移植版) -ヒロイン・脇役とも全てフルボイスである。主人公は、DC版はパートボイスで、PS2版以降はフルボイスとなる。 -一部のシーンに表現の都合上エロやお色気ハプニングでもないのに服を脱ぐ場面があるのだが、髪等で局部が隠されている。 -PSV版は外伝小説「初空の章」が追加されている。 --Switch版も同じ仕様で2021年9月9日に発売。

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