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「赤川次郎 夜想曲」(2021/09/10 (金) 00:00:12) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
本項ではPS『赤川次郎 夜想曲』とその続編『夜想曲2』の紹介をしています。
|>|>|CENTER:''[[ビクターサウンドノベルシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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*赤川次郎 夜想曲
【あかがわじろう やそうきょく】
|ジャンル|サウンドノベル|
|対応機種|プレイステーション|
|発売元|ビクターインタラクティブソフトウェア|
|開発元|チームクレイズ|
|発売日|1998年7月16日|
|定価|5,800円(税抜)|
|レーティング|CERO:C(15才以上対象)((ゲームアーカイブスで付与されたレーティング。『夜想曲2』も同様となっている。))|
|配信|ゲームアーカイブス:2010年8月25日/600円|
|判定|なし|
|ポイント|完結編なのに完結してないストーリー|
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#center(){{
&big(){''犯人のシナリオ通りに事が進めば、あなたは数時間後に惨殺される''}
}}
~
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**概要
人気作家・赤川次郎氏の小説『殺人を呼んだ本((元々は雑誌で連載されていたものを単行本化した作品。副題として『私は図書館』もしくは『私の図書館』と付いている場合がある。))』を原作としたサウンドノベル。~
『[[魔女たちの眠り]]』に続く赤川氏原作ノベルの第2弾で、発売元も同一となっている。~
また本作に合わせて、『魔女たちの眠り』のリメイク版『復活祭』も発売された。
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**特徴
-ゲームは、主要シナリオの「プロローグ」「第1~3話」「完結編」と、幾つかの隠しシナリオからなる。
--「第1~3話」は原作の各エピソードを下敷きにしている。原作では主人公は女性で相棒が男性だったが、本ソフトでは主人公の性別は選択可能で、選ばなかった方が相棒として登場する。
-「続編シナリオシステム」というシステムが採用されている。「プロローグ」の結末は1つのみで、読み終わると第1話をプレイ可能となる。
--「第1~3話」と「完結編」にはそれぞれ複数の結末が存在するが、グッドエンドに辿り着いた時のみ、次の話が出現する。
--ただし各シナリオの内容は独立している為、「前シナリオの結末によって次シナリオの内容が変化する」という事はない。
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**評価点
-エンディングや登場人物リストの収集等、ボリュームが多い。
--エンディングは1話につき約10個ほど。エンディングを見ると本棚に本が埋まるという演出になっている。
--登場人物リストは物語のメインとなるキャラから通行人のようなキャラまで網羅しており、中には複雑なフラグを立てないと現れない者もいる。
--これらの収集が条件で出現する話、いわゆる隠しシナリオも存在する。
-エンディングを3つ見ると文章の高速スキップが可能になるので、テンポよく話を進めることができる。
-スクリーンセーバーや改行・改ページのアイコンの変更等、細かなオプションが充実している。
-雰囲気にあったBGMは好評。
-原作ファンには首をかしげる展開もあるが、ストーリー自体は概ね好評。
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**問題点
-「完結編」はゲームオリジナルのシナリオなのだが、ストーリーの順番的に最後にプレイできるだけに過ぎず、''内容的にはまったく「完結編」になっていない。''
--また、本ソフトのキャッチコピー「犯人のシナリオ通りに事が進めば、あなたは数時間後に惨殺される」は、本シナリオの内容を指しているらしいのだが、「犯人のシナリオ」などという大げさな事件ではなく、微妙にズレたコピーとなっている。
--隠しシナリオとして、物語の舞台である図書館の過去のエピソードも描かれるのだが、「主人公達の物語」としてはまったく完結していない。
---それは次作『夜想曲2』で描かれるのだが、本ソフトを開発した段階で次作の発売まで決まっていたかは不明であり、少なくとも続編を仄めかす描写はまったく無い為、尻切れトンボ感が漂っている。
//-説明書はスタッフのライナーノートも含まれている為、厚い。
//ゲーム自体の問題じゃない。
//-全体的に文章表現が稚拙。どれを選んでも同じ意味になるような選択肢に加え、セリフの後に必ずと言っていい程”○○は言った。”という、中学生の書いた小説のような表現が多用される。
//↑いや、それ原作者の文体だから。
-「僕は思わず声をのんだ」といった表現の誤り(正しくは息をのんだ)や、自己紹介もしていない初対面の人の名前を知っていたり(一話中盤、○○は文江さんに表紙の裏のサインを見せた)などと、話の内容に不自然な矛盾が目立つ。
--セリフと話している人が一致していない誤植が多い。その為、突如ヒロインから君付けで呼ばれたり、さん付けで呼ばれたり…。
-各話に突如現れる3DCGムービー。特にストーリー内容と関連性は無く、蜘蛛が這いずるだけの動画を見せられる。
--登場人物たちの精神状態を表すものかと思いきや、直後に明るい話が始まったりと、ムービーを差し込まれるタイミングに一貫性が無い。
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**余談
-本作には、開発チームのマスコットキャラ「''パンダちゃん''」が登場するが、後に[[意外なゲーム>鬼武者]]にもゲスト出演する事になる。
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*夜想曲2
【やそうきょくつー】
|ジャンル|サウンドノベル|
|対応機種|プレイステーション|
|発売元|ビクターインタラクティブソフトウェア|
|開発元|チームクレイズ|
|発売日|2001年6月14日|
|定価|5,800円(税抜)|
|レーティング|CERO:C(15才以上対象)|
|配信|ゲームアーカイブス:2010年9月8日/600円|
|判定|なし|
|ポイント|原作無関係となったストーリー|
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**概要(2)
『夜想曲』のシリーズ第2弾で、前作からほぼ3年後に発売された。
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**特徴(2)
-シナリオの基本構成は前作と同じで、「プロローグ」「第1~3話」「解決編」と、幾つかの隠しシナリオからなっている。各シナリオの出現条件も、前作に準じている。
--ストーリーの時間軸は、「1のプロローグ」⇒「2のプロローグ」⇒「1の第1話」⇒「2の第1話」という様に、互い違いの構造になっている。故に前作の完結編で死んだキャラが、本作のプロローグでは「まだ生きている人」として名前が出てくる。
---とはいえこのシナリオ設定は攻略本にしか書かれておらず、前作同様各シナリオは内容的に繋がりがないので、ほとんど無意味な設定である。
-本作で追加された新機能としては、シナリオの特定の場所でボタンを押す事で注意深く調査を行う「ミステリーチップ」というシステムがあり、この機能を使わないと到達できないエンディングもある。
--また、同じ結末であっても主人公の性別によって到達する為の条件が違うという例もある。
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**評価点(2)
-ミステリーチップの追加やキーワードの名前入力などで、前作よりも謎解き要素が増している。
-前作では3回エンディングを見なければできなかった高速スキップが、今回は1回エンディングを見ただけでできるようになっている。
--ただし、スキップ速度は前作より落ちている。
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**問題点(2)
-この『2』は、原作を下敷きにした話は第1話のみで、''それ以外はまったく原作と関係無い話ばかりになっている。''
-ミステリーチップ機能は、実行しても効果がある部分が少なく、あまり活かされていない。
-「第1~3話」には、通常の結末の他に「スペシャルエンディング」なるものが1つずつ用意されているのだが、思わせ振りなだけで特に秘密などは無い。
-第2話のあるバッドエンドの、相棒が射殺されるシーンで主人公は「(相棒の名前)ぉぉぉ!!!」と叫ぶ。
--デフォルト名は「好男」「三記子」なので、変更しなければ問題無いのだが、例えば「奈美」と変更していた場合''「奈美ぉぉぉ!!!」と叫んでしまう。''
-誤字や脱字、台詞の「」の後で改行していない等、文章の粗が目立つ。
-スクリーンセーバーや改行・改ページのアイコンの変更等のオプションが削除されている。
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**総評
両作とも内容的には非常に充実しており、隠し要素も豊富で、様々な仕掛けも用意されている。~
しかし2作ともプレイすると、原作に準拠した部分が全体の半分以下程度しかない事に気付かされるだろう。~
サブキャラ1人1人にも細かいエピソードや意外な再登場があるなど描き込まれてはいるのだが、それはほとんど原作に登場しないゲームオリジナルキャラばかりである。
「原作を更に掘り下げた・膨らませた」というより、「よそで作った別作品と原作小説をくっ付けた」ような出来になっており、「そもそもこの小説を下敷きにする必要があったのか?」という疑問が湧いてくる。~
''というかタイトルの『夜想曲』という単語自体、原作に全く出てこない上、ゲーム中でもオリジナルの話にしか出てこない。''
原作では曖昧なままで終わった主人公と相棒の関係は、本ソフトではきちんと完結してはいるのだが、そのエピソードはまたしても原作と無関係であるため、最後まで「原作無関係」感が付きまとう。~
原作を未読の人・原作の存在を気にしない人なら、間違いなく楽しめるだろうが…。
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**その後の展開
-2008年2月28日に『夜想曲』シリーズ2作をセットにした移植版『赤川次郎ミステリー 夜想曲 -本に招かれた殺人-』がニンテンドーDSで発売された。
#region(DS版のPV)
&youtube(https://www.youtube.com/watch?v=6w3uk5EeDj8)
#endregion
本項ではPS用ソフト『赤川次郎 夜想曲』と、続編であるPS用ソフト『夜想曲2』の紹介をしています。
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#contents(fromhere)
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*赤川次郎 夜想曲
【あかがわじろう やそうきょく】
|ジャンル|サウンドノベル|
|対応機種|プレイステーション|
|発売元|ビクターインタラクティブソフトウェア|
|開発元|チームクレイズ|
|発売日|1998年7月16日|
|定価|5,800円(税抜)|
|レーティング|CERO:C(15才以上対象)((ゲームアーカイブスで付与されたレーティング。『夜想曲2』も同様となっている。))|
|配信|ゲームアーカイブス:2010年8月25日/600円|
|判定|なし|
|ポイント|完結編なのに完結してないストーリー|
|>|CENTER:''[[ビクターサウンドノベルシリーズ]]''|
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#center(){{
&big(){''犯人のシナリオ通りに事が進めば、あなたは数時間後に惨殺される''}
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**概要
人気作家・赤川次郎氏の小説『殺人を呼んだ本((元々は雑誌で連載されていたものを単行本化した作品。副題として『私は図書館』もしくは『私の図書館』と付いている場合がある。))』を原作としたサウンドノベル。~
『[[魔女たちの眠り]]』に続く赤川氏原作ノベルの第2弾で、発売元も同一となっている。~
また本作に合わせて、『魔女たちの眠り』のリメイク版『復活祭』も発売された。
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**特徴
-ゲームは、主要シナリオの「プロローグ」「第1~3話」「完結編」と、幾つかの隠しシナリオからなる。
--「第1~3話」は原作の各エピソードを下敷きにしている。原作では主人公は女性で相棒が男性だったが、本ソフトでは主人公の性別は選択可能で、選ばなかった方が相棒として登場する。
-「続編シナリオシステム」というシステムが採用されている。「プロローグ」の結末は1つのみで、読み終わると第1話をプレイ可能となる。
--「第1~3話」と「完結編」にはそれぞれ複数の結末が存在するが、グッドエンドに辿り着いた時のみ、次の話が出現する。
--ただし各シナリオの内容は独立している為、「前シナリオの結末によって次シナリオの内容が変化する」という事はない。
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**評価点
-エンディングや登場人物リストの収集等、ボリュームが多い。
--エンディングは1話につき約10個ほど。エンディングを見ると本棚に本が埋まるという演出になっている。
--登場人物リストは物語のメインとなるキャラから通行人のようなキャラまで網羅しており、中には複雑なフラグを立てないと現れない者もいる。
--これらの収集が条件で出現する話、いわゆる隠しシナリオも存在する。
-エンディングを3つ見ると文章の高速スキップが可能になるので、テンポよく話を進めることができる。
-スクリーンセーバーや改行・改ページのアイコンの変更等、細かなオプションが充実している。
-雰囲気にあったBGMは好評。
-原作ファンには首をかしげる展開もあるが、ストーリー自体は概ね好評。
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**問題点
-「完結編」はゲームオリジナルのシナリオなのだが、ストーリーの順番的に最後にプレイできるだけに過ぎず、''内容的にはまったく「完結編」になっていない。''
--また、本ソフトのキャッチコピー「犯人のシナリオ通りに事が進めば、あなたは数時間後に惨殺される」は、本シナリオの内容を指しているらしいのだが、「犯人のシナリオ」などという大げさな事件ではなく、微妙にズレたコピーとなっている。
--隠しシナリオとして、物語の舞台である図書館の過去のエピソードも描かれるのだが、「主人公達の物語」としてはまったく完結していない。
---それは次作『夜想曲2』で描かれるのだが、本ソフトを開発した段階で次作の発売まで決まっていたかは不明であり、少なくとも続編を仄めかす描写はまったく無い為、尻切れトンボ感が漂っている。
//-説明書はスタッフのライナーノートも含まれている為、厚い。
//ゲーム自体の問題じゃない。
//-全体的に文章表現が稚拙。どれを選んでも同じ意味になるような選択肢に加え、セリフの後に必ずと言っていい程”○○は言った。”という、中学生の書いた小説のような表現が多用される。
//↑いや、それ原作者の文体だから。
-「僕は思わず声をのんだ」といった表現の誤り(正しくは息をのんだ)や、自己紹介もしていない初対面の人の名前を知っていたり(一話中盤、○○は文江さんに表紙の裏のサインを見せた)などと、話の内容に不自然な矛盾が目立つ。
--セリフと話している人が一致していない誤植が多い。その為、突如ヒロインから君付けで呼ばれたり、さん付けで呼ばれたり…。
-各話に突如現れる3DCGムービー。特にストーリー内容と関連性は無く、蜘蛛が這いずるだけの動画を見せられる。
--登場人物たちの精神状態を表すものかと思いきや、直後に明るい話が始まったりと、ムービーを差し込まれるタイミングに一貫性が無い。
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**余談
-本作には、開発チームのマスコットキャラ「''パンダちゃん''」が登場するが、後に[[意外なゲーム>鬼武者]]にもゲスト出演する事になる。
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*夜想曲2
【やそうきょくつー】
|ジャンル|サウンドノベル|
|対応機種|プレイステーション|
|発売元|ビクターインタラクティブソフトウェア|
|開発元|チームクレイズ|
|発売日|2001年6月14日|
|定価|5,800円(税抜)|
|レーティング|CERO:C(15才以上対象)|
|配信|ゲームアーカイブス:2010年9月8日/600円|
|判定|なし|
|ポイント|原作無関係となったストーリー|
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**概要(2)
『夜想曲』のシリーズ第2弾で、前作からほぼ3年後に発売された。
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**特徴(2)
-シナリオの基本構成は前作と同じで、「プロローグ」「第1~3話」「解決編」と、幾つかの隠しシナリオからなっている。各シナリオの出現条件も、前作に準じている。
--ストーリーの時間軸は、「1のプロローグ」⇒「2のプロローグ」⇒「1の第1話」⇒「2の第1話」という様に、互い違いの構造になっている。故に前作の完結編で死んだキャラが、本作のプロローグでは「まだ生きている人」として名前が出てくる。
---とはいえこのシナリオ設定は攻略本にしか書かれておらず、前作同様各シナリオは内容的に繋がりがないので、ほとんど無意味な設定である。
-本作で追加された新機能としては、シナリオの特定の場所でボタンを押す事で注意深く調査を行う「ミステリーチップ」というシステムがあり、この機能を使わないと到達できないエンディングもある。
--また、同じ結末であっても主人公の性別によって到達する為の条件が違うという例もある。
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**評価点(2)
-ミステリーチップの追加やキーワードの名前入力などで、前作よりも謎解き要素が増している。
-前作では3回エンディングを見なければできなかった高速スキップが、今回は1回エンディングを見ただけでできるようになっている。
--ただし、スキップ速度は前作より落ちている。
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**問題点(2)
-この『2』は、原作を下敷きにした話は第1話のみで、''それ以外はまったく原作と関係無い話ばかりになっている。''
-ミステリーチップ機能は、実行しても効果がある部分が少なく、あまり活かされていない。
-「第1~3話」には、通常の結末の他に「スペシャルエンディング」なるものが1つずつ用意されているのだが、思わせ振りなだけで特に秘密などは無い。
-第2話のあるバッドエンドの、相棒が射殺されるシーンで主人公は「(相棒の名前)ぉぉぉ!!!」と叫ぶ。
--デフォルト名は「好男」「三記子」なので、変更しなければ問題無いのだが、例えば「奈美」と変更していた場合''「奈美ぉぉぉ!!!」と叫んでしまう。''
-誤字や脱字、台詞の「」の後で改行していない等、文章の粗が目立つ。
-スクリーンセーバーや改行・改ページのアイコンの変更等のオプションが削除されている。
----
**総評
両作とも内容的には非常に充実しており、隠し要素も豊富で、様々な仕掛けも用意されている。~
しかし2作ともプレイすると、原作に準拠した部分が全体の半分以下程度しかない事に気付かされるだろう。~
サブキャラ1人1人にも細かいエピソードや意外な再登場があるなど描き込まれてはいるのだが、それはほとんど原作に登場しないゲームオリジナルキャラばかりである。
「原作を更に掘り下げた・膨らませた」というより、「よそで作った別作品と原作小説をくっ付けた」ような出来になっており、「そもそもこの小説を下敷きにする必要があったのか?」という疑問が湧いてくる。~
''というかタイトルの『夜想曲』という単語自体、原作に全く出てこない上、ゲーム中でもオリジナルの話にしか出てこない。''
原作では曖昧なままで終わった主人公と相棒の関係は、本ソフトではきちんと完結してはいるのだが、そのエピソードはまたしても原作と無関係であるため、最後まで「原作無関係」感が付きまとう。~
原作を未読の人・原作の存在を気にしない人なら、間違いなく楽しめるだろうが…。
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**その後の展開
-2008年2月28日に『夜想曲』シリーズ2作をセットにした移植版『赤川次郎ミステリー 夜想曲 -本に招かれた殺人-』がニンテンドーDSで発売された。
#region(DS版のPV)
&youtube(https://www.youtube.com/watch?v=6w3uk5EeDj8)
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