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//COであっても第2次OGの展開のネタバレはしないように願います。また、新作ゲーム「UX」関連の記述もご遠慮願います //第2次OGの本編を紹介する内容はまだ記さないでください。グラキエースの外見に関しては公式サイトで見ることができるので削除しません。 *スーパーロボット大戦D 【すーぱーろぼっとたいせん でぃー】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&image(http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4394&file=srwd.jpg)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |メディア|64MbitROMカートリッジ|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|エーアイ|~| |発売日|2003年8月8日|~| |定価|5,800円(税別)|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦シリーズ>スーパーロボット大戦シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 GBAスパロボの第3作目。手応えのある程よい難易度と、明るい雰囲気であることの多いスパロボとしては珍しい重いストーリー、特に男主人公を選んだ場合に入れるあるルートが評価された。 #region(参戦作品) |BGCOLOR(#eeeeee):COLOR(red){''初参戦''}|真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日| |~|未来ロボ ダルタニアス| |~|メガゾーン23| |~|マクロス7| |~|THE ビッグオー| |BGCOLOR(#eeeeee):COLOR(blue){''参戦済み''}|マジンガーZ| |~|グレートマジンガー| |~|UFOロボ グレンダイザー| |~|機動戦士Ζガンダム| |~|機動戦士ガンダムΖΖ| |~|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア| |~|機動戦士Vガンダム| |~|新機動戦記ガンダムW| |~|六神合体ゴッドマーズ| #endregion **特徴 ***新要素 -「コンボ」システム --「コンボ」の属性が設定されている武器で攻撃する際、一列に並んだ敵を同時に攻撃できる新システム。 -「歌」システム --新規参戦の『マクロス7』に登場する一部ユニットの専用システム。バサラ機・ミレーヌ機は武装欄が彼らのバンド「Fire Bomber」の楽曲になっており、味方に使用することで気力や能力の上昇、SP回復などの効果を与える。 --敵に歌を聞かせても基本的に効果は無いが、『マクロス7』の敵であるプロトデビルンに限りダメージを与えられる。 -「ボーナスポイント(BP)」 --1レベル上がるごとに1ポイント与えられ、それを各種ステータスに割り振ってパイロットを養成できる。 ---敵もレベルや周回状況に合わせて命中や回避にBPを割り振ってくる。 -「スキルパーツ」 --パイロットに付けて能力を上げたり、特殊技能を付加したりできる。 -ツメスパロボ --詰将棋をスパロボに導入したようなミニゲーム的な存在。 ---敵・味方は問題ごとに設定されておリ、HPやEN、SP等、状況に合わせて絞られている。 ---あくまで詰将棋同様のパズルとして作られているため、ゲーム本編と異なりクリティカルなどのランダム要素はカットされており、命中率は無条件で100%(精神コマンドによる回避は可能)となっている。 ---各マップクリアごとに1問追加され、クリアすると強化パーツ等が手に入る。 -主人公機の武装名が変更可能になった。 --設定した技名は主人公が戦闘アニメでしっかり叫んでくれる。リアリティを追求するもよし、ネタに走るもよし。残念ながら漢字は使用できない。 ***その他 -パイロットの特殊能力のうち、切り払いやシールド防御といった防御系技能のレベルが撤廃。 --自分と敵の技量値の差から発動確率が算出される方式になった。 -『六神合体ゴッドマーズ』の主役ロボ・ガイヤーおよびゴッドマーズは「操縦者のタケルが死ぬと反陽子爆弾が爆発し地球が滅びる」という原作設定を受けて、初参戦の『[[64>スーパーロボット大戦64]]』と同様にゴッドマーズが撃破された瞬間にゲームオーバーになる仕様となっている。 --終盤で特定の条件を満たすことで原作再現のイベントが発生し、反陽子爆弾が取り除かれる。以降は撃墜されてもゲームオーバーにはならなくなる。 -周回プレイを重ねると、2周ごとに1段階ずつ敵の改造段階が上昇していくようになった。この仕様は本作のみ。 ---- **評価点 ***戦闘バランス及びシステム -今作の一番の良点として、簡単すぎず、そう難しすぎない程よい難易度が挙げられる。 --本作品以前に発売された携帯機スパロボの『[[R>スーパーロボット大戦R]]』は簡単すぎて熟練者には物足りず、『[[OG>スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION]]』は比較的高難易度で初心者にはハードルが高すぎるのが問題であった。だが、今作はそれなりに敵が強く、苦戦する場面もあるが決して壊れたバランスではないので、初心者が入るにしても十分な出来であるし熟練者からの評価も高い。 ---具体例を挙げると、全般的にスーパー系ユニットは柔らかく、リアル系ユニットはあまり避けない。マジンガーも敵に囲まれれば序盤でも1ターンもたない事もあるし、アムロがνガンダムに乗っているからといってもほぼ完全回避というわけにはいかない。 ---コンボシステムのおかげでマップ兵器が無いユニットでも複数の敵を一気に殲滅できる。しかし中盤以降は敵も積極的に使ってくるため、敵のコンボ武器を考慮しながら陣形を組む必要が出てきた。 ---敵ユニットも、後半は避ける機体が台頭し始める。特にオリジナルの量産メカであるアンゲルスSという機体はNTパイロットでも当てるのが難しく、さらに''ラスボスより高い命中値を誇る一般兵''の能力も相まって、避けつつコンボ武器でこちらの部隊を壊滅させてくるため、脅威になった。 ---敵の思考ルーチンが、反撃時に反撃不可能の場合、中盤以降の敵は防御行動をしてくる上、さらに後半になるとこちらの攻撃で撃墜されるダメージを受けそうになった場合にほぼ完全に防御行動をとるため、思うように敵を落とせない。 ---かといって理不尽な難しさではなく、精神コマンドや援護行動、修理、補給ユニット、地形効果などを活用すれば十分クリアできる。また雑魚敵が強めな分、ボスの撤退条件は緩いものが多い。 ***戦闘アニメ関連 -戦闘アニメは『OG』と違って殆ど動かないが、逆を言えば動かない分機体のドットクオリティが高い。 --全部が全部動かない訳ではなく、主人公機の1つエール・シュヴァリアーの必殺技「バーストレイヴ」は大変滑らかに動き、実に見ごたえがある。 ---但し、後継機になると途端にカッコ悪くなって演出もダサくなったと嘆くプレイヤーが続出した。 --細かいところで言えばビームライフルの演出などは、『[[A>スーパーロボット大戦A]]』や『R』では「その場でライフルを取り出し、撃つ」というものだったが、今作では『[[第2次α>第2次スーパーロボット大戦α]]』で使われた「ライフルを取り出した後、牽制射撃して敵に向かいながら連射」という演出が取り入れられたため、躍動感やスピード感が増している。 --カットイン演出も多くのキャラに付けられるようになり、スーパー系のキャラもカットインがついた。 --ゴッドマーズに関しては、作画の都合上殆ど動かなかった原作と比較してかなり動いたため、原作ファンからは''「捏造」''などと呼ばれネタにされることも。((特に例に上がるファイナルゴッドマーズだが、実際は後期OPの原作再現であり、切り口が虹色に輝く演出も本編で数回だが登場しているため実は捏造ではない。)) -オリジナル勢の戦闘BGMが高評価。特にラスボスのBGM((『第2次OG』で「Despair」という曲名がつけられた。また本作が『D』と言うタイトルなだけあってか、主要キャラの曲名にDesire、Drumfire、Duologue、Duetなど頭文字にDが付くタイトルが付けられている。))はファンの間で神曲として名高い。 --主人公機の最強武器に専用BGMが設定された。好評だったのか、以降の任天堂機では定番となっている。 --版権BGMについてもアレンジは全体的に好評。また『A』『R』から継続参戦している作品は全てBGMが変更されており、新鮮な気持ちでプレイできる。 --唯一使い回された曲は『R』の会話シーンで流れるピンチ時の曲と悲劇的シーンで使われる曲のみ。この内ピンチ時の曲は後の『OGs』でも使われた。 ***シナリオ -シナリオが高評価。スパロボ史上でも全般的に重いシナリオが持ち味。 --『真ゲッターロボ』の世界観のために、地球はゲッター線に汚染されインベーダーが地球を荒らし回っており、さらに『Vガンダム』のザンスカール帝国やオリジナル敵組織による大規模な虐殺行為など、地球の荒廃度は髄一。今作を担当したライターは異星人により侵略済みの地球を描いた『64』のシナリオも担当しているため、作風なのだろう。専らキャラゲーとして明るい雰囲気の多いスパロボの中では極めて異色。 --また、今作のシナリオの特徴として真っ先に挙げられる点は「『逆襲のシャア』のif展開」だろう。アクシズ落としの展開も原作と違い、ミリアルドを仲間に加え、''アムロとブライトをあらかじめ幽閉した上で行う本気っぷりを見せる。''今回はシャアのアクシズ落としが序盤である事により失敗したため、「アムロとシャアが地球のためにやむなく手を結ぶ」という異例の展開を迎える。ネオジオン軍士官のギュネイやクェスも最初から味方として登場し、合体技も使える。 ---特にギュネイは原作ではただの敵の一人にすぎなかったにもかかわらず、今作では『グレートマジンガー』の剣鉄也と並んで''オリジナル男主人公の親友・相棒ポジションに抜擢''され、ファンを沸かせた。 ---だが、あまりにもあっさりとした共闘展開から「最後にシャアは裏切るのでは?」という疑問が浮上し、「1周目では使わなかった」という声も多い。同ライターの『64』では終盤でクワトロから『逆シャア』仕様のシャアになり敵対した事実も影響が大きいだろう。~ ただし実際はネオ・ジオン総帥としての仕事の都合で離脱することはあるものの、最後まで自軍と敵対することは無い。 --その他、『ガンダムW』のトレーズもシャアと同様の流れで終始味方、条件付きで『ガンダムΖΖ』のハマーン、『Vガンダム』のクロノクルとカテジナ、『メガゾーン23』のB.Dといった敵キャラクターたちが味方として参戦する。 -男主人公のジョシュア・ラドクリフ(ジョッシュ)とヒロインのグラキエースの人気が非常に高い。 --ジョッシュは前情報では容姿について好意的な意見はあまりなく「死んだ魚のような目」とまで叩かれ、さらに性格設定に「無愛想で人付き合いが苦手」というものもあったため、「あまりいい印象を持てないだろう」という予想もあった。 ---しかし実際は、若干地味で暗めの性格ながらも常に仲間を気遣う苦労人だったり、18歳とは思えないほどの整然とした落ち着いた大人キャラであったため、アクの強いスパロボキャラの中では屈指の常識人として名を馳せた。その為、癖が強く好みが分かれる場合が多いオリキャラの中でも好意的な意見は多め。 //他作品の主人公と安易に比較するのはおやめください。 --そして、ヒロインのグラキエースは… #region(ネタバレ注意) -その素状は、ラスボスに造り上げられた「メリオルエッセ」と呼ばれる人造人間。オリジナル敵組織の幹部として虐殺を繰り返してきたが、ジョッシュとの出会いで自らに変調をきたしてしまい、用済みとされ自らも消滅を受け入れようとするが、条件を満たせばジョッシュ(と実際はリム編での彼女の立場に当たるウェントス)によって助け出され、以後彼のパートナーとなって共に戦う。 --従来のスパロボは敵が仲間になってもあっさり溶け込むことが多かったが、本作では因縁がある人物との確執・和解がしっかりと描かれていることも印象深い。 -直後は自らの存在意義を何も考えていない状態ではあったものの、物語の終盤で次第に感情が芽生え自らの消滅を恐れてゆくようになる。だが、ジョッシュに支えられたこともあって、全てが終わった後は迷いながらもジョッシュと共に生きてゆく事を決める。 --……が、エンディングでジョッシュは仲間の博士から密かに、''グラキエースには崩壊因子が組み込まれており、余命が3年しかない事''を聞かされる。それでもジョッシュはグラキエースにそれを伝えることなく、彼女にずっと付き合う事を約束する所で2人の物語は幕を閉じるという、とんでもない鬱要素が最後の最後で待っている。 --大団円で終わることの多いスパロボのシナリオの中では異彩を放つエンディングだが、荒廃しきった地球が舞台となった本作の締めくくりとしてはあまりにもふさわしすぎるため逆に評価が高い。「『OG』シリーズに『D』が参戦した時、救済要素を入れるべきか否か」に関しては今なお意見が真っ二つに分かれている。 -味方グラフィックになると化粧を落として美人になったり、クールな性格ながらも人としての世俗に疎いため、食事をこぼしてしまったり(ちなみに彼女の年齢は人造人間であるため''1歳''。歴代最年少ヒロインである)するなど天然な一面を覗かせ、後に言われる「ギャップ萌え」の要素も持っているために当時のプレイヤーから絶大な人気を誇った。現在でもジョッシュとの二次創作ネタがスパロボのネタスレでも絶えない辺りに人気の程が窺えるだろう。 --しかし、カットインが無く、設定資料でも敵版のグラキエースの絵(通称「麻呂」)しか無いため、''味方時のグラフィックがはっきりしていない''という不遇ぶりだったりする(そのため、本作のアンソロジーでは作者によって服や髪型が異なる)。まぁ、敵版の方も首から下はほとんど分からないのだが……。 #endregion --女性主人公であるクリアーナ・リムスカヤ(リム)のシナリオの評価については後述。 -オリジナル敵組織・ルイーナの面々も全体的に濃い面子が揃っている。 --特にラスボス・ペルフェクティオはその本体の特殊能力と、『マクロス7』および『ゴッドマーズ』の強敵であるゲペルニッチやズール皇帝にまで危険視されるその強大過ぎる力から、「''設定上はシリーズ最強ラスボス''」と名高い。 ---上記の通り専用BGMの他、キャラクターデザインも評価が高い。また「ペルフェクティオ」のラテン語で「完璧」という意味と、主人公の父親ということから、ファンから「完璧親父」とあだ名を付けられ、ネタにされ、愛されている。 --40周以上周回してから対峙すると20段階改造によりHPが400000/装甲4500となり、その他の能力も底力込みで異常に高くなるので、「シリーズ最強ラスボス」はあながち間違ってはいない。しかもこれで復活があるのだから本当に絶望である。 ---ファンからは『[[EX>スーパーロボット大戦EX]]』のヴォルクルス、『[[第3次α>第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-]]』のケイサル・エフェス、『[[OG外伝>スーパーロボット大戦OG外伝]]』のダークブレイン、『[[スクコマ2>スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd]]』のユキムラとセットで「''スパロボ五大巨悪''」とまで評される。 ---- **賛否両論点 -ツメスパロボの存在 --最初の内はともかく後半はかなりの難問続きになっており、5~10機が絡むような問題も出てくる為、初見で解くのはかなり厳しい。 ---どの順番で攻撃するか(気力の変動や底力等でダメージ・被ダメージが変わる)、精神コマンドを何に使うか(SP回復用の精神コマンド持ちがいる場合もある)、地形をどう使うか、等、考える事が多いので、ユニットが増えれば増えるほどややこしくなる。 --クリアボーナスがそれなりに豪華で、後半の難問では「ハロ」や「超合金ニューZ」など強力なパーツが手に入る。 ---あくまでクリアせずとも本編は進められるミニゲームであり、好きな人にはやりこみがいのある要素だが、苦手な人からすれば強化パーツの制限プレイを強いられているような印象も与えてしまった。 -『マクロス7』の歌システムがバランスブレイカーとなっている。能力上昇効果の重ね掛けが可能であるためターン数さえかければ無限に利用でき、途端に難易度が下がってしまう。このせいか、後の『第3次α』ではかなり下方修正がかけられた。 --具体的には仲間の全てのステータスと気力をマップ兵器で一気に上げられると言うもの。更に武器改造とパイロットのレベルで効果が上昇していくので、彼らを使えば全ユニット無改造でも加入以降は一切苦労することが無くなってしまう。さらに、SP回復までも可能であるので他のスパロボシリーズのようにSPの不足に悩まされることもない。 ---しかし終盤に規定ターン以内に指定地点に移動する、というマップがあり、ここでは悠長に強化をしている時間が無い。その為、後付けで強化が出来るからと手を抜いて良いわけでもない。 --とはいえ、イデオンと同じく一目でわかる壊れ性能であり、恐らく不慣れなプレイヤーに向けた措置なのだろう。一切使わないプレイでもクリアに支障はないので、使うか否かの判断はプレイヤーに委ねられている。 ---- **問題点 ***システム -パイロット能力が一部のキャラを除いて敵味方共通で使われるため、フラグを満たして参入させた敵パイロットにBPを割り振って能力を上げていると、周回プレイ時に敵として出てきた場合にも引き継がれるため、苦戦する局面が出てきたりする(例として序盤の戦力もレベルも整っていない時期から出てくるクロノクル、初登場イベントでタイマンを張るB.Dなど)。そのため、そういったパイロット達を極限まで育てて使用する事が難しくなっている。 --具体的に言うと「敵版と味方版でデータを共有しているキャラ」でこのような事態になる(クロノクル、B.D、ガビル、ロゼ)。顔グラフィックが敵味方で違う場合は別キャラ扱いになるので問題無い(グラキエース等)。なお、次作『J』以降は敵版と味方版のデータを別個に用意することによって解決している(グラフィックの点では左右反転しただけのキャラもいるが)。 ---その代わり加入していなくてもBPが得られるというメリットも生まれており、周回プレイでも足手まといになりにくい。 -全体的に攻撃力がインフレ気味で、かつまだ連続ターゲット補正や回避率0%の相手を無視するAIなども導入されていないので、バランスがややリアル系有利に偏っている。 --スーパー系が弱いというよりリアル系の火力が高すぎるので、スーパー系を積極的に使う理由が薄い。また、使えるユニットと使えないユニットの差がかなり極端。 -周回プレイを重ねて敵の改造段階が増えていくと、最終的には敵の攻撃力がインフレを起こし、味方側の装甲やHPはお飾り同然となってしまう。また40周して全敵機が20段階改造されると、ボスのHP表示がバグって戦闘しても正しく計算されない。 --そのため、以降の作品ではクリア後に敵の改造値を任意で設定できる作品もある。 -インターミッションにてユニットの機体能力と武器能力が別項になっている。これ自体は問題ではないが、EN軽減等の武器強化パーツと機体性能を上げるパーツをつける際に、パーツの効果を確認するにはいちいち機体能力を見たあとに武器能力のところに行くという具合になる((本作は強化パーツの項目では機体能力がわからない))。細かいところだが非常に面倒。 --過去のスパロボシリーズでは武器能力の確認は機体能力でボタンを押せば見ることができた。本作の仕様は『[[GC>スーパーロボット大戦GC]]』を最後に廃止されている。 -戦闘アニメは、新規参戦組には特に問題はないが、続投組は相変わらず『A』『R』からの使い回しが目立つ。 --評価点や『R』の記事で述べた通り、演出の改善や武器の追加が行われているものもあるとはいえ、流石に3作目ともなれば食傷気味である。 --例えばラー・カイラムは通常兵器版核ミサイルが、マジンガーZはルストハリケーンが追加されただけ、と見た目的にも性能的にも変化に乏しい。 -後半の雑魚パイロットであるミーレスがやたらと命中率が高く((前半と後半で能力が異なり、前半のものは雑魚らしいスペックだが、後半のものは大きく強化されており、特に命中が全キャラ中最高となっている。))、結構な頻度で攻撃を当ててくる。 ***シナリオの問題点 -男主人公のジョシュア・ラドクリフのシナリオが褒められる中、女主人公クリアーナ・リムスカヤ(リム)のシナリオの評判はあまりよろしくない。 --「かつてジョッシュの父の研究の実験材料にされた結果、クリスとリアナという二つの人格を宿してしまっている」というスパロボの中でも極めて珍しい設定の持ち主なのだが、その設定がシナリオで活かされる事がいまいち少ない。 ---ストーリー中では「魂が二つある」「二人の人間が一つの身体に同居している」「二重人格とはまた違う」と色々説明されているのだが、多くのプレイヤーには「''それを二重人格って言うんじゃないの?''」としか認識されていない模様。もう少し設定を掘り下げてくれればまだ評価も変わったかもしれない。 ---途中では窮地を脱する代償として''片方の人格が消滅する''かのような展開を迎える((ステージタイトルも「私に、さよならを」である))のだが、''結局何事もなく終わる''という肩透かしっぷり。 //追記する前に一番上の注意書きを確認してください。 --「二重人格」「義妹」「兄好き」「巨乳」「ミニスカ」と美味しい要素が揃っているにもかかわらず、人気はグラキエースに負けてしまっている。リム編ではグラキエースが死亡確定なのもリム編の人気が低い要因の一つだろう。 ---一応、イケメン系のウェントスがその役割を担っているのだが、グラキエースと違い出番は少ない。おまけにジョッシュ編では全く登場しない(一部のルートで名前が登場するのみ)ため、地味な印象を持たれてしまっている。 //ただし、寺田プロデューサーは当時のインタビューで彼女のストーリーをかなりプッシュしていた。 //「二重人格のやり取りが面白いからおすすめ」といっただけであって「ストーリーをかなりプッシュした」わけじゃない。 -敵組織ルイーナについての存在も少々不可解な部分がある。ルイーナが現れる原因となった、異次元を繋ぐ扉「ファブラ・フォレース」がそもそも何の為に作られたのかなどの謎は明かされないまま終わる。 -本作では開幕早々''地球が謎のフィールドで包まれ不可視状態になる''というインパクトのある展開で始まる。この点はCMでも宣伝されていた。 --しかし''この状態は物語の序盤であっさり解決''し、地球はとりあえず元通りになる。後で説明はされるがシナリオ的に大した役割はなく、味方キャラを序盤で集結させるためのギミックでしかなかった点は微妙に感じられる。 --敵組織の規模、ならびにそれらが引き起こす事態のスケールがとにかく大きい。その一方で細かい設定は結構適当。これは脚本を担当したライターの鏡俊也氏の特徴である。 -『THE ビッグオー』は初参戦だが、設定のすり合わせが不可能だったのか原作の舞台「パラダイムシティ」が存在しない。敵もベックとシュバルツの2人だけ。 --シュバルツに至ってはオリジナル敵勢力に協力しており、機体はずっとマミー。最後の最後にマミーの包帯が取れてビッグデュオが姿を現す。無論「なぜビッグオーに似た機体を持っていたのか」などの謎は一切明かされず退場する。参戦キャラクターの戦闘中の台詞も、原作からするとやや違和感を覚えるものとなっている。 ---こうした経緯や、機体・パイロット共に異質な雰囲気を湛えていることもあり、本気でシュバルツとビッグデュオがバンプレストオリジナル勢だと思い込んでいたプレイヤーも散見される。 --ただストーリー上の扱いは優遇されている方で、会話やイベントに主人公のロジャーが良く絡んでくる。また『ガンダムW』のトレーズを仲間に引き入れるため、スパロボでは珍しくネゴシエイターとして活躍するクロスオーバーは好評。 -同じく初参戦の『メガゾーン23』は1話を使って原作再現をなされるものの、こちらも設定のすり合わせが難しかったのか''他の作品が全く絡まないで原作の話が終わる''という事態に。そのため「隔離再現」と揶揄されることも。 --マップ前の''会話パート''で『PART1』の全部と『PART2』の終盤まで消化されるという電光石火の展開である。 --ただし前述の『ビッグオー』と同じく、イヴや省吾は会話によく絡んでくるほか、敵機体が別作品の組織に利用されるなど、他の作品と関わるようになってからも決して空気扱いではない。~ またクロスオーバー要素として『メガゾーン23』の世界設定にオリジナルのラスボスが関わっており、''最低でも星ひとつ滅びるほどの恐ろしい敵''であることを証明している。 --ユニット「ガーランド」の性能も非常に高く、サイズSSで運動性も本作のリアル系にしては高いために、敵の攻撃を驚くほど回避してくれる。強化パーツスロットも4つあるためカスタマイズ性も高い。 -分岐が数回あるのだが、ルートによってシナリオ数が変化する。そのためツメスパロボが全部できなかったり、稼げる資金・経験値が減るという問題がある。 --また、新規参戦作品の『マクロス7』の、初登場、および決着シナリオがどちらも分岐先で行われる。好きな作品を追うのがスパロボの基本なのでそれ自体は大きな問題とは言えないが、シナリオ数くらいは揃えてほしかったところ。 ---- **総評 前向きで明るい作風が一般的なスパロボらしからぬ中々にハードな展開であるため、万人ウケするとは言いがたい。~ 『R』とはオリジナル勢の評価、ゲームとしての難易度、シナリオの雰囲気と良くも悪くも対極の関係にある点が多い。~ しかし、バランスの良い難易度や従来と印象の違うスパロボなど、良い所もある。興味がある方は、チャンスがあれば是非触れてみてほしい。 ---- **余談 -男性主人公であるジョッシュの有名な戦闘台詞で「分の悪い賭けをするつもりは無い!」というものが存在する。 --これは『[[IMPACT>スーパーロボット大戦IMPACT]]』の主人公であり、前作『OG』で主役格を務めたキョウスケ・ナンブの決め台詞である「分の悪い賭けは嫌いじゃない…!」((『COMPACT2』当時のキョウスケには賭け関連設定がまだ無いので、この発言も存在しない。))と真逆である。ファンサービスを狙ったのか、極普通のセリフとして書かれたのかは不明。 --ただしジョッシュは本編中に分の悪い行動に出る場面が結構ある。ジョッシュの性格的に、自分に言い聞かせているのかもしれない。 -本作オリジナル勢は『[[第2次スーパーロボット大戦OG]]』に参戦している。 --説明不足や設定が空白だった箇所などいろいろと補足された。 --グラキエースに設定資料・カットイン共にはっきりしたものが用意された。特に必殺技のカットインは敵味方別々で、味方版のみとどめ演出まである気合の入ったものである。
//COであっても第2次OGの展開のネタバレはしないように願います。また、新作ゲーム「UX」関連の記述もご遠慮願います //第2次OGの本編を紹介する内容はまだ記さないでください。グラキエースの外見に関しては公式サイトで見ることができるので削除しません。 *スーパーロボット大戦D 【すーぱーろぼっとたいせん でぃー】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&image(http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4394&file=srwd.jpg)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |メディア|64MbitROMカートリッジ|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|エーアイ|~| |発売日|2003年8月8日|~| |定価|5,800円(税別)|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦シリーズ>スーパーロボット大戦シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 GBAスパロボの第3作目。手応えのある程よい難易度と、明るい雰囲気であることの多いスパロボとしては珍しい重いストーリー、特に男主人公を選んだ場合に入れるあるルートが評価された。 #region(参戦作品) |BGCOLOR(#eeeeee):COLOR(red){''初参戦''}|真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日| |~|未来ロボ ダルタニアス| |~|メガゾーン23| |~|マクロス7| |~|THE ビッグオー| |BGCOLOR(#eeeeee):COLOR(blue){''参戦済み''}|マジンガーZ| |~|グレートマジンガー| |~|UFOロボ グレンダイザー| |~|機動戦士Ζガンダム| |~|機動戦士ガンダムΖΖ| |~|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア| |~|機動戦士Vガンダム| |~|新機動戦記ガンダムW| |~|六神合体ゴッドマーズ| #endregion **特徴 ***新要素 -「コンボ」システム --「コンボ」の属性が設定されている武器で攻撃する際、一列に並んだ敵を同時に攻撃できる新システム。 -「歌」システム --新規参戦の『マクロス7』に登場する一部ユニットの専用システム。バサラ機・ミレーヌ機は武装欄が彼らのバンド「Fire Bomber」の楽曲になっており、味方に使用することで気力や能力の上昇、SP回復などの効果を与える。 --敵に歌を聞かせても基本的に効果は無いが、『マクロス7』の敵であるプロトデビルンに限りダメージを与えられる。 -「ボーナスポイント(BP)」 --1レベル上がるごとに1ポイント与えられ、それを各種ステータスに割り振ってパイロットを養成できる。 ---敵もレベルや周回状況に合わせて命中や回避にBPを割り振ってくる。 -「スキルパーツ」 --パイロットに付けて能力を上げたり、特殊技能を付加したりできる。 -ツメスパロボ --詰将棋をスパロボに導入したようなミニゲーム的な存在。 ---敵・味方は問題ごとに設定されておリ、HPやEN、SP等、状況に合わせて絞られている。 ---あくまで詰将棋同様のパズルとして作られているため、ゲーム本編と異なりクリティカルなどのランダム要素はカットされており、命中率は無条件で100%(精神コマンドによる回避は可能)となっている。 ---各マップクリアごとに1問追加され、クリアすると強化パーツ等が手に入る。 -主人公機の武装名が変更可能になった。 --設定した技名は主人公が戦闘アニメでしっかり叫んでくれる。リアリティを追求するもよし、ネタに走るもよし。残念ながら漢字は使用できない。 ***その他 -パイロットの特殊能力のうち、切り払いやシールド防御といった防御系技能のレベルが撤廃。 --自分と敵の技量値の差から発動確率が算出される方式になった。 -『六神合体ゴッドマーズ』の主役ロボ・ガイヤーおよびゴッドマーズは「操縦者のタケルが死ぬと反陽子爆弾が爆発し地球が滅びる」という原作設定を受けて、初参戦の『[[64>スーパーロボット大戦64]]』と同様にゴッドマーズが撃破された瞬間にゲームオーバーになる仕様となっている。 --終盤で特定の条件を満たすことで原作再現のイベントが発生し、反陽子爆弾が取り除かれる。以降は撃墜されてもゲームオーバーにはならなくなる。 -周回プレイを重ねると、2周ごとに1段階ずつ敵の改造段階が上昇していくようになった。この仕様は本作のみ。 ---- **評価点 ***戦闘バランス及びシステム -今作の一番の良点として、簡単すぎず、そう難しすぎない程よい難易度が挙げられる。 --本作品以前に発売された携帯機スパロボの『[[R>スーパーロボット大戦R]]』は簡単すぎて熟練者には物足りず、『[[OG>スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION]]』は比較的高難易度で初心者にはハードルが高すぎるのが問題であった。だが、今作はそれなりに敵が強く、苦戦する場面もあるが決して壊れたバランスではないので、初心者が入るにしても十分な出来であるし熟練者からの評価も高い。 ---具体例を挙げると、全般的にスーパー系ユニットは柔らかく、リアル系ユニットはあまり避けない。マジンガーも敵に囲まれれば序盤でも1ターンもたない事もあるし、アムロがνガンダムに乗っているからといってもほぼ完全回避というわけにはいかない。 ---コンボシステムのおかげでマップ兵器が無いユニットでも複数の敵を一気に殲滅できる。しかし中盤以降は敵も積極的に使ってくるため、敵のコンボ武器を考慮しながら陣形を組む必要が出てきた。 ---敵ユニットも、後半は避ける機体が台頭し始める。特にオリジナルの量産メカであるアンゲルスSという機体はNTパイロットでも当てるのが難しく、さらに''ラスボスより高い命中値を誇る一般兵''の能力も相まって、避けつつコンボ武器でこちらの部隊を壊滅させてくるため、脅威になった。 ---敵の思考ルーチンが、反撃時に反撃不可能の場合、中盤以降の敵は防御行動をしてくる上、さらに後半になるとこちらの攻撃で撃墜されるダメージを受けそうになった場合にほぼ完全に防御行動をとるため、思うように敵を落とせない。 ---かといって理不尽な難しさではなく、精神コマンドや援護行動、修理、補給ユニット、地形効果などを活用すれば十分クリアできる。また雑魚敵が強めな分、ボスの撤退条件は緩いものが多い。 ***戦闘アニメ関連 -戦闘アニメは『OG』と違って殆ど動かないが、逆を言えば動かない分機体のドットクオリティが高い。 --全部が全部動かない訳ではなく、主人公機の1つエール・シュヴァリアーの必殺技「バーストレイヴ」は大変滑らかに動き、実に見ごたえがある。 ---但し、後継機になると途端にカッコ悪くなって演出もダサくなったと嘆くプレイヤーが続出した。 --細かいところで言えばビームライフルの演出などは、『[[A>スーパーロボット大戦A]]』や『R』では「その場でライフルを取り出し、撃つ」というものだったが、今作では『[[第2次α>第2次スーパーロボット大戦α]]』で使われた「ライフルを取り出した後、牽制射撃して敵に向かいながら連射」という演出が取り入れられたため、躍動感やスピード感が増している。 --カットイン演出も多くのキャラに付けられるようになり、スーパー系のキャラもカットインがついた。 --ゴッドマーズに関しては、作画の都合上殆ど動かなかった原作と比較してかなり動いたため、原作ファンからは''「捏造」''などと呼ばれネタにされることも。((特に例に上がるファイナルゴッドマーズだが、実際は後期OPの原作再現であり、切り口が虹色に輝く演出も本編で数回だが登場しているため実は捏造ではない。)) -オリジナル勢の戦闘BGMが高評価。特にラスボスのBGM((『第2次OG』で「Despair」という曲名がつけられた。また本作が『D』と言うタイトルなだけあってか、主要キャラの曲名にDesire、Drumfire、Duologue、Duetなど頭文字にDが付くタイトルが付けられている。))はファンの間で神曲として名高い。 --主人公機の最強武器に専用BGMが設定された。好評だったのか、以降の任天堂機では定番となっている。 --版権BGMについてもアレンジは全体的に好評。また『A』『R』から継続参戦している作品は全てBGMが変更されており、新鮮な気持ちでプレイできる。 --唯一使い回された曲は『R』の会話シーンで流れるピンチ時の曲と悲劇的シーンで使われる曲のみ。この内ピンチ時の曲は後の『OGs』でも使われた。 ***シナリオ -シナリオが高評価。スパロボ史上でも全般的に重いシナリオが持ち味。 --『真ゲッターロボ』の世界観のために、地球はゲッター線に汚染されインベーダーが地球を荒らし回っており、さらに『Vガンダム』のザンスカール帝国やオリジナル敵組織による大規模な虐殺行為など、地球の荒廃度は髄一。今作を担当したライターは異星人により侵略済みの地球を描いた『64』のシナリオも担当しているため、作風なのだろう。専らキャラゲーとして明るい雰囲気の多いスパロボの中では極めて異色。 --また、今作のシナリオの特徴として真っ先に挙げられる点は「『逆襲のシャア』のif展開」だろう。アクシズ落としの展開も原作と違い、ミリアルドを仲間に加え、''アムロとブライトをあらかじめ幽閉した上で行う本気っぷりを見せる。''今回はシャアのアクシズ落としが序盤である事により失敗したため、「アムロとシャアが地球のためにやむなく手を結ぶ」という異例の展開を迎える。ネオジオン軍士官のギュネイやクェスも最初から味方として登場し、合体技も使える。 ---特にギュネイは原作ではただの敵の一人にすぎなかったにもかかわらず、今作では『グレートマジンガー』の剣鉄也と並んで''オリジナル男主人公の親友・相棒ポジションに抜擢''され、ファンを沸かせた。 ---だが、あまりにもあっさりとした共闘展開から「最後にシャアは裏切るのでは?」という疑問が浮上し、「1周目では使わなかった」という声も多い。同ライターの『64』では終盤でクワトロから『逆シャア』仕様のシャアになり敵対した事実も影響が大きいだろう。~ ただし実際はネオ・ジオン総帥としての仕事の都合で離脱することはあるものの、最後まで自軍と敵対することは無い。 --その他、『ガンダムW』のトレーズもシャアと同様の流れで終始味方、条件付きで『ガンダムΖΖ』のハマーン、『Vガンダム』のクロノクルとカテジナ、『メガゾーン23』のB.Dといった敵キャラクターたちが味方として参戦する。 -男主人公のジョシュア・ラドクリフ(ジョッシュ)とヒロインのグラキエースの人気が非常に高い。 --ジョッシュは前情報では容姿について好意的な意見はあまりなく「死んだ魚のような目」とまで叩かれ、さらに性格設定に「無愛想で人付き合いが苦手」というものもあったため、「あまりいい印象を持てないだろう」という予想もあった。 ---しかし実際は、若干地味で暗めの性格ながらも常に仲間を気遣う苦労人だったり、18歳とは思えないほどの整然とした落ち着いた大人キャラであったため、アクの強いスパロボキャラの中では屈指の常識人として名を馳せた。その為、癖が強く好みが分かれる場合が多いオリキャラの中でも好意的な意見は多め。 //他作品の主人公と安易に比較するのはおやめください。 --そして、ヒロインのグラキエースは… #region(ネタバレ注意) -その素状は、ラスボスに造り上げられた「メリオルエッセ」と呼ばれる人造人間。オリジナル敵組織の幹部として虐殺を繰り返してきたが、ジョッシュとの出会いで自らに変調をきたしてしまい、用済みとされ自らも消滅を受け入れようとするが、条件を満たせばジョッシュ(と実際はリム編での彼女の立場に当たるウェントス)によって助け出され、以後彼のパートナーとなって共に戦う。 --従来のスパロボは敵が仲間になってもあっさり溶け込むことが多かったが、本作では因縁がある人物との確執・和解がしっかりと描かれていることも印象深い。 -直後は自らの存在意義を何も考えていない状態ではあったものの、物語の終盤で次第に感情が芽生え自らの消滅を恐れてゆくようになる。だが、ジョッシュに支えられたこともあって、全てが終わった後は迷いながらもジョッシュと共に生きてゆく事を決める。 --……が、エンディングでジョッシュは仲間の博士から密かに、''グラキエースには崩壊因子が組み込まれており、余命が3年しかない事''を聞かされる。それでもジョッシュはグラキエースにそれを伝えることなく、彼女にずっと付き合う事を約束する所で2人の物語は幕を閉じるという、とんでもない鬱要素が最後の最後で待っている。 --大団円で終わることの多いスパロボのシナリオの中では異彩を放つエンディングだが、荒廃しきった地球が舞台となった本作の締めくくりとしてはあまりにもふさわしすぎるため逆に評価が高い。「『OG』シリーズに『D』が参戦した時、救済要素を入れるべきか否か」に関しては今なお意見が真っ二つに分かれている。 -味方グラフィックになると化粧を落として美人になったり、クールな性格ながらも人としての世俗に疎いため、食事をこぼしてしまったり(ちなみに彼女の年齢は人造人間であるため''1歳''。歴代最年少ヒロインである)するなど天然な一面を覗かせ、後に言われる「ギャップ萌え」の要素も持っているために当時のプレイヤーから絶大な人気を誇った。現在でもジョッシュとの二次創作ネタがスパロボのネタスレでも絶えない辺りに人気の程が窺えるだろう。 --しかし、カットインが無く、設定資料でも敵版のグラキエースの絵(通称「麻呂」)しか無いため、''味方時のグラフィックがはっきりしていない''という不遇ぶりだったりする(そのため、本作のアンソロジーでは作者によって服や髪型が異なる)。まぁ、敵版の方も首から下はほとんど分からないのだが……。 #endregion --女性主人公であるクリアーナ・リムスカヤ(リム)のシナリオの評価については後述。 -オリジナル敵組織・ルイーナの面々も全体的に濃い面子が揃っている。 --特にラスボス・ペルフェクティオはその本体の特殊能力と、『マクロス7』および『ゴッドマーズ』の強敵であるゲペルニッチやズール皇帝にまで危険視されるその強大過ぎる力から、「''設定上はシリーズ最強ラスボス''」と名高い。 ---上記の通り専用BGMの他、キャラクターデザインも評価が高い。また「ペルフェクティオ」のラテン語で「完璧」という意味と、主人公の父親ということから、ファンから「完璧親父」とあだ名を付けられ、ネタにされ、愛されている。 --40周以上周回してから対峙すると20段階改造によりHPが400000/装甲4500となり、その他の能力も底力込みで異常に高くなるので、「シリーズ最強ラスボス」はあながち間違ってはいない。しかもこれで復活があるのだから本当に絶望である。 ---ファンからは『[[EX>スーパーロボット大戦EX]]』のヴォルクルス、『[[第3次α>第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-]]』のケイサル・エフェス、『[[OG外伝>スーパーロボット大戦OG外伝]]』のダークブレイン、『[[スクコマ2>スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd]]』のユキムラとセットで「''スパロボ五大巨悪''」とまで評される。 ---- **賛否両論点 -ツメスパロボの存在 --最初の内はともかく後半はかなりの難問続きになっており、5~10機が絡むような問題も出てくる為、初見で解くのはかなり厳しい。 ---どの順番で攻撃するか(気力の変動や底力等でダメージ・被ダメージが変わる)、精神コマンドを何に使うか(SP回復用の精神コマンド持ちがいる場合もある)、地形をどう使うか、等、考える事が多いので、ユニットが増えれば増えるほどややこしくなる。 --クリアボーナスがそれなりに豪華で、後半の難問では「ハロ」や「超合金ニューZ」など強力なパーツが手に入る。 ---あくまでクリアせずとも本編は進められるミニゲームであり、好きな人にはやりこみがいのある要素だが、苦手な人からすれば強化パーツの制限プレイを強いられているような印象も与えてしまった。 -『マクロス7』の歌システムがバランスブレイカーとなっている。能力上昇効果の重ね掛けが可能であるためターン数さえかければ無限に利用でき、途端に難易度が下がってしまう。このせいか、後の『第3次α』ではかなり下方修正がかけられた。 --具体的には仲間の全てのステータスと気力をマップ兵器で一気に上げられると言うもの。更に武器改造とパイロットのレベルで効果が上昇していくので、彼らを使えば全ユニット無改造でも加入以降は一切苦労することが無くなってしまう。さらに、SP回復までも可能であるので他のスパロボシリーズのようにSPの不足に悩まされることもない。 ---しかし終盤に規定ターン以内に指定地点に移動する、というマップがあり、ここでは悠長に強化をしている時間が無い。その為、後付けで強化が出来るからと手を抜いて良いわけでもない。 --とはいえ、イデオンと同じく一目でわかる壊れ性能であり、恐らく不慣れなプレイヤーに向けた措置なのだろう。一切使わないプレイでもクリアに支障はないので、使うか否かの判断はプレイヤーに委ねられている。 ---- **問題点 ***システム -パイロット能力が一部のキャラを除いて敵味方共通で使われるため、フラグを満たして参入させた敵パイロットにBPを割り振って能力を上げていると、周回プレイ時に敵として出てきた場合にも引き継がれるため、苦戦する局面が出てきたりする(例として序盤の戦力もレベルも整っていない時期から出てくるクロノクル、初登場イベントでタイマンを張るB.Dなど)。そのため、そういったパイロット達を極限まで育てて使用する事が難しくなっている。 --具体的に言うと「敵版と味方版でデータを共有しているキャラ」でこのような事態になる(クロノクル、B.D、ガビル、ロゼ)。顔グラフィックが敵味方で違う場合は別キャラ扱いになるので問題無い(グラキエース等)。なお、次作『J』以降は敵版と味方版のデータを別個に用意することによって解決している(グラフィックの点では左右反転しただけのキャラもいるが)。 ---その代わり加入していなくてもBPが得られるというメリットも生まれており、周回プレイでも足手まといになりにくい。 -全体的に攻撃力がインフレ気味で、かつまだ連続ターゲット補正や回避率0%の相手を無視するAIなども導入されていないので、バランスがややリアル系有利に偏っている。 --スーパー系が弱いというよりリアル系の火力が高すぎるので、スーパー系を積極的に使う理由が薄い。また、使えるユニットと使えないユニットの差がかなり極端。 -周回プレイを重ねて敵の改造段階が増えていくと、最終的には敵の攻撃力がインフレを起こし、味方側の装甲やHPはお飾り同然となってしまう。また40周して全敵機が20段階改造されると、ボスのHP表示がバグって戦闘しても正しく計算されない。 --そのため、以降の作品ではクリア後に敵の改造値を任意で設定できる作品もある。 -インターミッションにてユニットの機体能力と武器能力が別項になっている。これ自体は問題ではないが、EN軽減等の武器強化パーツと機体性能を上げるパーツをつける際に、パーツの効果を確認するにはいちいち機体能力を見たあとに武器能力のところに行くという具合になる((本作は強化パーツの項目では機体能力がわからない))。細かいところだが非常に面倒。 --過去のスパロボシリーズでは武器能力の確認は機体能力でボタンを押せば見ることができた。本作の仕様は『[[GC>スーパーロボット大戦GC]]』を最後に廃止されている。 -戦闘アニメは、新規参戦組には特に問題はないが、続投組は相変わらず『A』『R』からの使い回しが目立つ。 --評価点や『R』の記事で述べた通り、演出の改善や武器の追加が行われているものもあるとはいえ、流石に3作目ともなれば食傷気味である。 --例えばラー・カイラムは通常兵器版核ミサイルが、マジンガーZはルストハリケーンが追加されただけ、と見た目的にも性能的にも変化に乏しい。 -後半の雑魚パイロットであるミーレスがやたらと命中率が高く((前半と後半で能力が異なり、前半のものは雑魚らしいスペックだが、後半のものは大きく強化されており、特に命中が全キャラ中最高となっている。))、結構な頻度で攻撃を当ててくる。 ***シナリオの問題点 -男主人公のジョシュア・ラドクリフのシナリオが褒められる中、女主人公クリアーナ・リムスカヤ(リム)のシナリオの評判はあまりよろしくない。 --「かつてジョッシュの父の研究の実験材料にされた結果、クリスとリアナという二つの人格を宿してしまっている」というスパロボの中でも極めて珍しい設定の持ち主なのだが、その設定がシナリオで活かされる事がいまいち少ない。 ---ストーリー中では「魂が二つある」「二人の人間が一つの身体に同居している」「二重人格とはまた違う」と色々説明されているのだが、多くのプレイヤーには「''それを二重人格って言うんじゃないの?''」としか認識されていない模様。もう少し設定を掘り下げてくれればまだ評価も変わったかもしれない。 ---途中では窮地を脱する代償として''片方の人格が消滅する''かのような展開を迎える((ステージタイトルも「私に、さよならを」である))のだが、''結局何事もなく終わる''という肩透かしっぷり。 //追記する前に一番上の注意書きを確認してください。 --「二重人格」「義妹」「兄好き」「巨乳」「ミニスカ」と美味しい要素が揃っているにもかかわらず、人気はグラキエースに負けてしまっている。リム編ではグラキエースが死亡確定なのもリム編の人気が低い要因の一つだろう。 ---一応、イケメン系のウェントスがその役割を担っているのだが、グラキエースと違い出番は少ない。おまけにジョッシュ編では全く登場しない(一部のルートで名前が登場するのみ)ため、地味な印象を持たれてしまっている。 //ただし、寺田プロデューサーは当時のインタビューで彼女のストーリーをかなりプッシュしていた。 //「二重人格のやり取りが面白いからおすすめ」といっただけであって「ストーリーをかなりプッシュした」わけじゃない。 -敵組織ルイーナについての存在も少々不可解な部分がある。ルイーナが現れる原因となった、異次元を繋ぐ扉「ファブラ・フォレース」がそもそも何の為に作られたのかなどの謎は明かされないまま終わる。 -本作では開幕早々''地球が謎のフィールドで包まれ不可視状態になる''というインパクトのある展開で始まる。この点はCMでも宣伝されていた。 --しかし''この状態は物語の序盤であっさり解決''し、地球はとりあえず元通りになる。後で説明はされるがシナリオ的に大した役割はなく、味方キャラを序盤で集結させるためのギミックでしかなかった点は微妙に感じられる。 --敵組織の規模、ならびにそれらが引き起こす事態のスケールがとにかく大きい。その一方で細かい設定は結構適当。これは脚本を担当したライターの鏡俊也氏の特徴である。 -『THE ビッグオー』は初参戦だが、設定のすり合わせが不可能だったのか原作の舞台「パラダイムシティ」が存在しない。敵もベックとシュバルツの2人だけ。 --シュバルツに至ってはオリジナル敵勢力に協力しており、機体はずっとマミー。最後の最後にマミーの包帯が取れてビッグデュオが姿を現す。無論「なぜビッグオーに似た機体を持っていたのか」などの謎は一切明かされず退場する。参戦キャラクターの戦闘中の台詞も、原作からするとやや違和感を覚えるものとなっている。 ---こうした経緯や、機体・パイロット共に異質な雰囲気を湛えていることもあり、本気でシュバルツとビッグデュオがバンプレストオリジナル勢だと思い込んでいたプレイヤーも散見される。 --ただストーリー上の扱いは優遇されている方で、会話やイベントに主人公のロジャーが良く絡んでくる。また『ガンダムW』のトレーズを仲間に引き入れるため、スパロボでは珍しくネゴシエイターとして活躍するクロスオーバーは好評。 -同じく初参戦の『メガゾーン23』は1話を使って原作再現をなされるものの、こちらも設定のすり合わせが難しかったのか''他の作品が全く絡まないで原作の話が終わる''という事態に。そのため「隔離再現」と揶揄されることも。 --マップ前の''会話パート''で『PART1』の全部と『PART2』の終盤まで消化されるという電光石火の展開である。 --ただし前述の『ビッグオー』と同じく、イヴや省吾は会話によく絡んでくるほか、敵機体が別作品の組織に利用されるなど、他の作品と関わるようになってからも決して空気扱いではない。~ またクロスオーバー要素として『メガゾーン23』の世界設定にオリジナルのラスボスが関わっており、''最低でも星ひとつ滅びるほどの恐ろしい敵''であることを証明している。 --ユニット「ガーランド」の性能も非常に高く、サイズSSで運動性も本作のリアル系にしては高いために、敵の攻撃を驚くほど回避してくれる。強化パーツスロットも4つあるためカスタマイズ性も高い。 -分岐が数回あるのだが、ルートによってシナリオ数が変化する。そのためツメスパロボが全部できなかったり、稼げる資金・経験値が減るという問題がある。 --また、新規参戦作品の『マクロス7』の、初登場、および決着シナリオがどちらも分岐先で行われる。好きな作品を追うのがスパロボの基本なのでそれ自体は大きな問題とは言えないが、シナリオ数くらいは揃えてほしかったところ。 ---- **総評 前向きで明るい作風が一般的なスパロボらしからぬ中々にハードな展開であるため、万人ウケするとは言いがたい。~ 『R』とはオリジナル勢の評価、ゲームとしての難易度、シナリオの雰囲気と良くも悪くも対極の関係にある点が多い。~ しかし、バランスの良い難易度や従来と印象の違うスパロボなど、良い所もある。興味がある方は、チャンスがあれば是非触れてみてほしい。 ---- **余談 -男性主人公であるジョッシュの有名な戦闘台詞で「分の悪い賭けをするつもりは無い!」というものが存在する。 --これは『[[IMPACT>スーパーロボット大戦IMPACT]]』の主人公であり、前作『OG』で主役格を務めたキョウスケ・ナンブの決め台詞である「分の悪い賭けは嫌いじゃない…!」((『COMPACT2』当時のキョウスケには賭け関連設定がまだ無いので、この発言も存在しない。))と真逆である。ファンサービスを狙ったのか、極普通のセリフとして書かれたのかは不明。 --ただしジョッシュは本編中に分の悪い行動に出る場面が結構ある。ジョッシュの性格的に、自分に言い聞かせているのかもしれない。 -本作オリジナル勢は『[[第2次スーパーロボット大戦OG]]』に参戦している。 --説明不足や設定が空白だった箇所などいろいろと補足された。 --グラキエースに設定資料・カットイン共にはっきりしたものが用意された。特に必殺技のカットインは敵味方別々で、味方版のみとどめ演出まである気合の入ったものである。

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