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*信長の野望 武将風雲録 【のぶながのやぼう ぶしょうふううんろく】 |ジャンル|SLG|CENTER:&amazon(B06XDLLR37)&amazon(B000EXF8YQ)| |対応機種|PC-8801SR以降、PC-9801VM/UV以降、MSX2、&br();X68000、FM TOWNS、DOS/V、Windows、&br();ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、&br();PCエンジン スーパーCD-ROM2、メガドライブ、&br();プレイステーション|~| |発売・開発元|光栄|~| |発売日|1990年12月12日|~| |定価|通常版:9,800円&br()withサウンドウェア:12,200円&br()コーエー定番シリーズ:1,980円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前作の問題点をほぼ解消&br()歴史イベントが大幅に増加|~| |>|>|CENTER:''[[信長の野望シリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 『信長の野望』シリーズの第4作。~ 武将や篭城戦という概念を取り入れ『[[全・国・版>信長の野望 全国版]]』までのゲーム性を大きく変えた前作『[[戦国群雄伝>信長の野望 戦国群雄伝]]』だが、東北・九州が除外されるなど不満があった。~ 本作はその不満を解消し、規模は再び全国へと拡大。「文化」というテーマを掲げ、さらにシステムを発展させた作品となっている。 **特徴 -シナリオは前作同様2本だが、今作のシナリオ1「戦国の動乱」は1555年と、5年遡ってのスタートとなる。 --これに伴い、陶晴賢、斎藤道三、太原雪斎、朝倉宗滴など、シリーズ初登場となった武将も多数。 --後に戦国時代を席巻する織田家も、この当時は、羽柴秀吉、滝川一益、前田利家といった有力武将はまだ麾下におらず、柴田勝家ら家臣も心からは服していない状態である。斎藤家、今川家といった列強に囲まれた弱小国に過ぎない。 -SFC版の「全国版」に先んじて、1571年を舞台としたシナリオ2「信長包囲網」が実装された。 --5カ国を有する大勢力に成長した織田家だが、武田家、浅井家、朝倉家、三好家など、周辺のほぼ全ての大名と敵対しているという、文字通り包囲網が敷かれた状態となっている。最前線の大和にいる松永久秀も、いつ裏切るかわからない。 ---浅井家に送った姫は人質に取られ、織田家側から攻め込む事が難しい((攻め込むと姫を磔にされ家臣の忠誠が下がる。織田家がCPUだと何も考えずに攻め込む事が多いが…。))。また本願寺家との敵対により領内各地で一向一揆が起きる危険をはらんでいる。あえて織田家を選択したプレイヤーはこの難局を乗り切る事を強いられる。 -難易度は「入門編」「実力編」の2種類からの選択となった。その内「入門編」はさらに初級、中級、上級から1つを選択をする。 --「入門編」と「実力編」はCPUの思考が違い、「入門編」の方が好戦的だが、守りを考えずに武将の配置にも気を配らないため対処しやすい。「実力編」はさほど戦争を起こさない代わりに、最前線に戦力を集めてくるようになっている。 --ただし、マルチプレイが可能なのは「入門編」のみで、「実力編」は1人プレイ専用という制限があった。 --「観戦編」というのもあるが、これは実力編をプレイヤーが参加せずに見守るだけのモード。機種によっては途中参加が可能で、新たに独立した陶家や松永家、徳川家でもプレイできる((シナリオ開始時に存在しない大名家を選ぶと、今井宗久との友好度が0からスタートという不具合がある。斎藤義龍は同じ斎藤家なので道三から友好度を引き継げる。))。 **評価点 -前作の不満が解消され更に遊び易くなった。 --行動力が個人単位から国単位になり、大名(城主)の政治力分回復するようになった。 ---その為に前作では使いにくかった政治力の低い武将、特に忍者武将が非常に使いやすくなった((忍者武将は戦闘が高く合戦に役立つだけでなく、他国の情報収集を確実に成功させるという隠し要素もある。))。 ---敵に攻め込まれて行動力不足で即敗北がなくなった。行動力0まで使い切っていても応戦が可能。 --内政で開発をしようとすると配下武将が申し出てくることがあり、応じると内政効果に加えて忠誠度が1上昇する((前作では半年ごとに1ずつ上昇するだけだった。))。 --内政に「技術革新」が追加。数値がある程度大きくなると金山の発見、鉄砲の製造、鉄甲船の製造ができるようになる。 ---数値が大きいほど金山((実際に金山・銀山があった国は効果が高い。))の採掘量が上がったり、低価格で製造ができるようになる。 --兵士が国ごとの一括管理となり、訓練と兵忠の上昇が楽に行えるようになった。効果の薄かった武装度は削除された。 --国ごとの人口の概念がなくなった。どこの国でも金さえあれば999まで一気に徴兵が可能。 ---ただし不利な国は最大石高が低い、金山がない、海がなく鉄甲船が造れないなど地域格差が多彩になっている。 --武将ごとに決まっていた兵科が、出陣時に自由に決められるようになった。 ---基本は足軽部隊で、騎馬部隊にするには兵士分の金が、鉄砲部隊にするには兵士分の鉄砲が必要。 --武将ごとに寿命((短い順に47、61、75、89歳が死亡ライン。))が設定され、史実の死亡年よりも長生きする武将が多くなった。 ---モンタージュ武将(架空武将)は削除され、史実武将のみになった。 --家宝(本作では茶器)や海戦、鉄甲船といった後のシリーズに受け継がれる要素も初登場した。 ---前作では瀬戸内海にしか海ルートがなかったが、今作では関門海峡や東京湾が増え、さらに日本海沿いや琵琶湖でもルートによっては海戦になる。また海ルート設置により、安房や能登なども含め全ての国が隣接国2つ以上に増えた。 --合戦では守備側が野戦か籠城戦を選ぶ方式になった。 ---合戦時に他国と同時に攻める「共同」ができるほか、籠城時に「援軍」を呼べるようになり、最大4勢力で争うことになる。 ---天候の概念ができ、雨天では昼間でも視界が悪くなり、砲撃ができない。冬の北日本では雪が降り、移動も攻撃もできなくなる。 ---自分よりも戦闘の高い武将を突撃で倒すと、戦闘が1上がる。なお教育で上げられる能力は政治のみになった。 ---各国に一つずつ、決まったルートで攻め込み野戦になると「古戦場」という決まったマップで戦うようになった。尾張・三河間の「桶狭間」や、越後・信濃間の「川中島」などが有名。 ---野戦では部隊の他に「本陣」を設置して戦うことになる。本陣は地形効果が高く、突撃が通用しない((通常攻撃1回分のダメージしか通らない。))。本陣を敵に奪われると攻撃側は兵糧を全て奪われ((その日の24時になるまでは続く。))、守備側は負けになる。 ---籠城戦は30日経過しても決着しなかった場合は長期戦となり、両軍の兵糧が続く限り終わらなくなった。 --CPU大名は遠く離れた国との外交をしなくなった。また脅迫以外の使者を捕らえようとすると家臣の忠誠度が下がるようになり、武将が頻繁に捕らえられてカオスになるということもなくなった。 --隣国武将の取り立てもなくなった。代わりに「誘降」コマンドで、金や茶器で買収しておき合戦時に裏切らせる形になった。 -配下武将が登場するシリーズで初めて全国をカバー。伊達政宗や最上義光といった東北武将、立花道雪や鍋島直茂、島津義弘といった九州武将も初登場し、本作以降の常連武将が一通り揃った。 --松本&ruby(ずしょのすけ){図書助}((蘆名四天宿老の一人。近作では「氏輔」名義での登場が多い))など、マイナーな武将が初登場。ごくごく一部で有名。 --前作よりシナリオ開始年代が5年早まり、1555年になった。「概要」にもあるように、本作が初登場で、以降のシリーズでも常連になった武将は多い。 ---朝倉宗滴は、朝倉家随一の名将で、1等茶器「九十九髪茄子」を持っているという衝撃のデビューだった。しかし、シナリオ開始年が没年なので、かなりの確率で開始翌月に死んでしまうあっけなさも衝撃だった。 -戦後処理の武将登用で、捕縛した武将が登用を拒否するようになった。義理堅い武将は登用を拒否しやすく、「忠臣がホイホイ新しい大名に仕える」不自然さが解消された。 --武将によっては命乞いしたり、義理が低いと自ら登用を売り込むなど、台詞のバリエーションも増えている。 -配下武将の茶器を没収する、忠誠度が低いまま放置するなど雑に扱っていると、その武将が「叛意」を抱くようになった。 --叛意を抱いている武将は隣接した敵国に出奔したり、大名がいる国で開発を申し出てきた場合に応じると''乱心して斬りかかってきたり''する。 ---大名が助かった場合は行方をくらまし、斬られた場合はそのまま居残る。茶器を与える→没収→斬られる→後継者に指名で好きな武将を大名にする事が可能。 --茶人を呼んで茶会を行うと、その国に叛意を抱いている武将がいるかどうか教えてくれる。千利休は実名で教えてくれる。 -シナリオは1555年と1571年の2本と見せかけて、本能寺の変イベントを起こすと第3のシナリオである1582年「本能寺の変」が出現。しかも前作『戦国群雄伝』とは違い、信長死後、明智光秀、羽柴秀吉、柴田勝家などに織田家中が分裂した状況である。本作で、早くも信長死後のシナリオが追加されたことになる。 --1582年シナリオは公式には存在を伏せられており、公式ガイドブックや武将ファイルなどでも一切触れられていなかった((『信長の野望 覇王伝事典』で存在が仄めかされるなど、全く言及がなかった訳ではない。))。 --さらに、8ビット機のPC、多くのコンシューマーでは割愛されており、存在すら知らない者も多かった((隠しシナリオが存在しないのは、PC-8801、MSX2、ファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジンの各機種版。))。コンシューマーではプレイステーション版で初めて1582年シナリオが実装され、以降は公式にも公表されるようになった。 -オープニングムービーはシリーズ屈指のデザインセンスを誇る。 --信長が敦盛を舞うところに始まり、その後は大河ドラマのような曲にのせて能面と共に大名の紹介が映し出される。 --当初のパソコン版では経歴を紹介するものであったが、コンシューマー移植ではキャッチコピーの如きフレーズに変更され、僅か2行の文で武将の生き様を表現したそのセンスは秀逸。 --その一方でPS版以降ではOPが大名紹介ではなく短いムービーに変えられており、味も素っ気も無く寂しいものがある。 -前作では織田にのみ専用BGMが付いていたが、新たに上杉、武田、今川・足利、毛利といった有名大名家にも専用BGMが付加された。 --本願寺家は戦略時は一般大名と同じBGMだが、合戦時は''本能寺の変BGM((ちなみにBGMの名前は「乱心」で、乱心イベントでも流れる。))''になる。信長の味わった一向一揆衆の恐ろしさの表れになっている。 --BGMは光栄ではお馴染みの菅野よう子氏。その質の高さは、当時のゲーム音楽としては珍しくNHKの歴史ドキュメンタリー番組で頻繁に使用されたほど。 -前作では織田家・武田家といった有名な大名が滅びやすかったこともあり、コンピュータ同士の合戦を自動判定にした場合、有名な大名が有利になるように判定された((有利なのは伊達、真田、北条、越後上杉、本願寺、武田、今川、徳川(松平)、織田、足利、三好、毛利、長宗我部、大友、島津。))。 -これまでの本能寺の変イベントに加え、桶狭間の戦い、斎藤義龍・陶晴賢((ただし史実では、シナリオ1開始年代より前の1551年に謀叛を起こして、主君の大内義隆を自害に追い込み、大内義長を擁立したのだが、本作では自分が擁立したはずの義長を殺して大名になってしまう。))らの謀叛など、新規の歴史イベントが追加。殆どは難易度を実力編にしている場合にのみ発生する。 //「謀叛」の語は取扱説明書の表記に従った。 --現在と違い簡潔にまとまっており、やや砕けた内容のものもある。 ---桶狭間の戦いの始まりのメッセージが''「桶狭間だぎゃー」''。 ---上記のイベントを信長でプレイしていると松平元康が申し入れてきた同盟を選択できるのだが断ると元康が''「史実と異なりまする」''とメタな発言をする((CPUならば自動的に同盟が結ばれる。この時同時に武田が今川とそれまでの同盟を破棄するのだが、これはプレイヤーが武田信玄でも勝手に強制破棄される。))。 --謀叛以外のイベントはほぼプレイヤー大名限定。CPUでも起きるのは桶狭間や安土城((信長があえて交通の要所に建設した城であり、各方面から攻められ戦には不向きというイメージが強いが、本作ではイベント限定の隠し城なだけあって小田原城に匹敵するほどの堅固な城となっている。))完成くらいのもの。 --ちなみに一般では謀反人のイメージが強い松永久秀だが、1555年シナリオ開始直後に高確率で謀叛を起こすことから歴史イベントと思われがちだが、歴史イベントではなく単に''久秀が謀叛を起こしやすいだけ''である((1571年シナリオでは、1555年より謀叛を起こすことは少なく、ターン経過で筒井順慶などに城主が差し替わっている事が多い。))。 ---ただし、陶晴賢の謀叛や朝倉宗滴・風魔小太郎((風魔小太郎は代替わりを表現しており、同名の武将が2名存在する事になっている。))の死亡なども、ゲーム上では特別な演出が無いためシナリオ1序盤の風物詩と認識されていた。 ---また、久秀には代わりに、守備側で戦場に残ったまま決着が付くと''爆死する''歴史イベントがある((1等茶器「古天明平蜘蛛」を持っており、退路となる国が無いのが条件。))。 -歴史イベントだけでなく、各種ランダムイベントも大幅に増加。 --格安で鉄砲を撃ってくれる闇商人や、一度だけ疫病の被害を受けずに済む薬売り、国の技術力を上げる宣教師ルイス・フロイス((敵対勢力となる一向宗のいる国(越後・越中・能登・加賀・越前・三河・尾張・伊勢・伊賀・紀伊・摂津)にも平気で来訪してくる。受け入れると布教が失敗しやすいだけでなく、本願寺家との友好度が下がり一向一揆を誘発してしまう。))などがいる。 --第三者の来訪するものに関してはいずれも受け入れは任意。金が必要になったり、成否判定があって失敗すると不利益が発生する場合もある。 **賛否両論点 -夜間奇襲が強すぎる。 --籠城戦の仕様もあって大軍を率いる意味が薄くなっているが、本陣立てこもりの対抗策にもなっている。 ---ただし戦闘の高い武将は奇襲を見破り、逆に奇襲し返してくる。 -シナリオ1の九州では龍造寺と伊東の二強になることが多く、史実((どちらの大名も、それぞれ沖田畷の戦いと木崎原の戦いで島津家に大敗し壊滅的打撃を受けた。特に沖田畷の戦いで当主の隆信と多数の重臣が討死した龍造寺家は最終的に断絶し、辛うじて生き残った重臣の鍋島家が龍造寺家を継承する事になった。))と逆の立場になることがしばしば。 --ただし両家はCPU補正のかかる有利大名ではないので、島津や大友になかなか勝てず、時には数十年にわたって両家に撃退され続けたり、逆に島津や大友に攻められて返り討ちにされたりする事もある。 --一方シナリオ2やDS版以降では、島津が順当に勢力を拡大しやすい。 -後の作品では公式チート同然の扱いを受けている島津義弘や立花道雪が低めの能力設定にされている。 --伊達政宗や松平元康(徳川家康)に完全に負け、武田勝頼とほぼ互角という設定は現在の視点からすれば首を傾げざるを得ない。 ---どちらも大名家の領地面で有利なために能力面での補正がかかっているフシもあり、リメイク版では再調整がかかり相応しい能力に変更された。 -茶器を家臣でたらい回しにして忠誠度を手っ取り早く上げる''茶器回し''という裏技がよくネタにされている。 --城主でも実行できるコマンドとなっている仕様上、茶器を与えた配下を城主に任命し、その城主が持っている茶器を再び配下に与えることを繰り返せることを利用した技。 -隠しパラメータ「義理」の低い武将は、城主にした場合、忠誠100・兵士0・米0といった状況でも謀叛を起こす。 -城主への「委任」の方針は軍事型・内政型の2種類。 --『全国版』の4種類に比べると劣るが、前作は方針すら選べなかったので少しは進歩している。 --どちらも米を溜め込み、金を0まで使い込む傾向がある。金0だとほぼ何もしないので、こまめに委任を解いて米売りをするか、他国から輸送してやらなければならない。 -前作『戦国群雄伝』に引き続き、大名は基本的に配下にできない。前作との違いは、最後の一国を攻め落とすと、前作では戦後処理で強制的に処刑していたのが、本作では大名が自発的に''自害''((キリスト教では自害は禁止されているのだが、キリシタン大名である大友宗麟も自害してしまう。))するようになったことである。 --PC-9801版の場合、自害の台詞は「無念…」「介錯を願おう」の2種類だけ。しかし機種によっては、有力武将に専用の自害の台詞が用意されており、織田信長、武田信玄などの固有台詞持ち大名を自害に追い込むことで一種の達成感も得られた。 ---ちなみに大名を捕らえて戦後処理で処刑した場合でも、自害の台詞を見ることができる。 ---汎用台詞も、機種によってラインナップが異なる。 --外交で「脅迫」することで、大名を配下にできる。しかし、能力が一定以上の大名は絶対に脅迫に屈しないので、前述の織田信長や武田信玄などは自害させるしかない(浪人にする裏技は一応ある)。 ---全ての大名を配下にできるようになるには、『天翔記』を待たなくてはならなかった。 --大名以外の家臣も、最後の国を攻め落とすとその時点で自害してしまうことがあった。自害する家臣は、攻め落とした時点で戦場に部隊が残っている家臣のみなので、事前に捕らえておけば死なせる心配はない。 **問題点 -史実でも強かったとは言え、鉄砲や鉄甲船があまりに強力。 --ついに遠距離攻撃が可能((一応、山や部隊などの障害物越しには攻撃できないといった要素は存在する。))となったことや、武将毎に兵科が固定されなくなっただけでも強化されているにかかわらず、鉄砲攻撃時に限り反撃を一切喰らわない、敵に攻撃された際も鉄砲で反撃を行う(反撃ダメージの実質的増加)、兵力20毎に射撃回数が1ずつ増加(最大で5回連続攻撃)、隣接する鉄砲隊がいればそれらも追加で攻撃、希に敵武将が流れ弾に当たり一撃で壊滅の可能性も有り((双方の兵力に関係無く、一射撃ごとにランダムで発生。その為に「今川氏真が率いる兵力が0(1未満)の鉄砲隊が100の兵力を保持する上杉謙信を射殺して壊滅させる」と言う展開も起こりうる))と匙を投げたくなる強さ。 ---遠距離攻撃に関しては、夜間で見通しの利かないHEXへも射撃が行える。弾数の概念が無いため、外しても何らデメリットが無いことや、効果の無かった場合はメッセージまでもが出ることも拍車をかけている。 --これに加えて、元々本丸と本陣の地形効果がかなり大きいため、これらに鉄砲で篭られると地形・武将の能力によっては数倍の兵力をもってしても落とせない。 ---特に籠城戦の場合、城壁越しへの鉄砲攻撃が行えるために、相手にある程度の頭数がいると大半の時間は砲火に晒されることとなる。 ---反対に、少数の戦力で攻め込むとほぼ野戦になるという性質を利用し、本陣をわざとがら空きにして寄ってきた武将にひたすら鉄砲乱射する(近辺で鉄甲船が使用可能なら海や池へ行くほうが良い)だけでほぼ勝ち戦になる。逆に攻め込まれた場合は鉄砲100を持って籠城すればほぼ守りきれる。 --難易度にもよるが、CPUが終盤に鉄砲をフル装備し始め辟易させられることも多い。 --鉄砲の入手方法は自国で製造するか今井宗久(商人)との取引、ランダムではあるが闇商人からの入手がある。 ---製造は時間がかかる上に(3ケ月で最大15丁しか作れない)、技術力により相当費用に差が出るため、殆ど最高値に近い状態でないと現実的とは言い難い。((初期状態で製造できるのは薩摩のみで紀伊はあと少しで製造可能、但し薩摩の初期状態では一丁約金250。他の領地では相当技術革新を行わなければ製造は厳しい。政治99、技術999で一丁金1になる)) ---今井宗久からの購入に関しては、友好度が低い大名には販売しない上に教養値が低いととんでもない高値をふっかけて来るので、大半のプレイヤー大名にとっては高嶺の花とも言える存在である。((友好度100・教養100で一丁金20になり購入数に上限はない。友好度・教養を上げるのは茶会を繰り返せば比較的楽に上がるため、技術力を上げるよりはこちらの方が簡単だろう)) --鉄甲船は、海に面した国と湖のある近江で建造可能。序盤から意識して技術を上げない限り、味方が作れるようになる頃には既に自勢力が強大化している時が殆どである。作っても弱いものいじめ状態にしかならないという欠点も。一方、CPUはある程度技術を上げると鉄砲と共に積極的に建造を始めるが、本陣に置けない分鉄砲よりは対策が楽である。 ---ただし一隻あたりの価格金500前後(政治力で前後する)と非常に安く、武将が討ち取られなければ何度でも使えるので野戦に持込み戦力を削り取る際にはかなり便利な兵器となる。 -ステータス値「戦闘」の調整が非常に大味。88~95までは一切威力が変わらない反面、96になった途端いきなり攻撃力が2.6倍に跳ね上がり、カンストの100ともなると95の3倍にも達する。そのため、上杉謙信((「表示上は戦闘100だが、実際は120くらいある」という都市伝説があったが、有志の検証によってガセと判明。))・武田信玄・真田幸村((元服年が遅いのがせめてもの救い。))が異常なまでに強い。 --その格差のあまり、信玄・謙信なら大将1人のごり押しでも余裕で天下統一が可能。逆に鉄砲100で本陣に立て篭もられようものなら目も当てられない。異常に硬い上に攻撃力が凄まじく、1ヶ月で落城させることはほぼ絶望的な状態に。 -相場を見ながらの米売買での利益が高く、相対的に内政にあまり意味がない。 --元々米の取引は街の開発(金収入上昇)より利益が高く主な現金調達手段の1つであったが、商人の滞在する僅かな機会でしかできないという形でバランスを取っていた。しかし今作では鉄砲や茶器の存在からか、常時全ての取引が可能となってしまった。((どの状況や国でも瞬時に今井宗久が顔を出すという、ゲームの都合とは言えなかなかに無理な描写である。))。 --前作では1回の内政で20~30と豪快に数値が上昇したのに対し、今作ではせいぜい一桁しか上がらない。内政にかかった費用を税収入等で元を取るだけでも数年かかる。 ---台風や地震などの被害で下がる機会も多くなり、カンストさせても安心できない。 --そのため効率だけを考えると、いかに技術革新で鉄砲・鉄甲船の製造を容易にし、その後は「レートを見ながら米売買→軍備を整えて出陣」という流れになる。戦争に集中しやすいとも言えるが…。 ---これらの仕様により、単騎無双が可能な''上杉家((武田家も信玄が単騎で各国を滅ぼせるほどに強いが、同盟相手が強国なので対処しづらく同盟相手が弱く脅迫が効く上杉ほど楽には進行しづらい))''や開始時から唯一鉄砲が製造可能((一部リメイク作品では不可能だが技術革新をすればすぐに製造可能))で武将が優秀、しかも領土が端っこでひたすら北上するだけで良い''島津家''が今作では圧倒的に強い。 -CPUの不公平さも相変わらずとは言え酷いもの。 --こちらが米相場と睨めっこしている間にも、相手は国力と技術を飛躍的に上昇させ、いざ出陣となった頃には大量の兵糧と鉄砲で待ち構える。しかも難易度が上がるほど酷くなる。一応、上記の記述通り今作はそこまで多数の兵士は必要ではないのが救いか。 --難易度が高い「実力編」では、CPUはほとんど攻め込まなくなる。つまり、CPU同士が隣国で戦争するように仕向けて漁夫の利を得るなどという戦略シミュではよくある作戦も使えない。野望の高い大名は比較的攻め込みやすく、織田信長などは一度攻め込むと続けて戦争を仕掛けることがあるが、それまで待つより自分で攻め込んだ方が早い。 --ただし、一度攻め込んだ場合、攻撃側が敗退しても再度攻め込むことが多い。運良く目にしたら、戦いを「見る」にすると自動判定より双方の損害を大きくできるため、漁夫の利の好機となる。また、有利大名が自動判定で有利になることを利用して、戦いの「見る」「見ない」を使い分けることによって、CPU同士の勝敗をある程度操作できる。 -徴兵・兵施しに見るCPUの欠陥 --国力として新たに「兵忠誠度」が追加されており、忠誠度が低いと戦力が弱体化するほか、合戦中に脱走することがある。兵士に金を施すことで上げられるが、同じ金額でも元の兵忠誠度が低いほど効率が悪くなる仕様がある。 --CPUは兵忠誠度が一定以下になると、兵忠誠度が上がらなくなり、兵忠誠度の低いまま兵を大量に貯め込んでしまう。これは、CPUが兵士に施す金が一定額であるため、兵忠誠度が施しの効果が出る閾値を切ってしまうと、効果のないムダ金を使うばかりになるからと推測されている。 --また、''CPUは兵忠誠度が一定以下の状態では、自発的に合戦を仕掛けなくなる。''この仕様がCPUの動かなさに拍車をかけている。現在の兵忠誠度に応じて、金額を変えるルーチンは光栄には手間だったのだろうか? ---DS版以降では、兵忠誠度を廃止し合戦中のみ反映される「兵士気」に置き換えることで、CPUの欠陥を回避した。 -『全国版』では8ヶ国だった東北は、3ヶ国しかなく蝦夷国も登場しない。 --そのため、南部晴政や津軽為信などの北東北出身武将は登場しない。 ---『信長の野望DS2』では、国分割で追加されている。 **総評 文化の概念により単なる合戦にとどまらず、戦国時代をさらにリアルに表現する事に成功している。システム自体も正統に進化を遂げており、国盗り時代の「信長の野望」は無事に一つの完成形にたどり着くことができた。~ 鉄砲や地形効果などに見られるゲームバランスの問題こそあるものの、史実再現とのバランスの兼ね合いというのは難しいことだったのであろう。史実とゲーム性のどちらを採るかは人次第で、そういった点が語り草となっているのもまた事実ではある。~ 今でもシリーズ最高傑作として名の挙がることも多い一作であり、後作の城取りやリアルタイムによる複雑さもなく、初めてシリーズに触れる人にもおすすめできる一作だろう。~ //人気作ゆえリメイクや移植にも恵まれている。最新機種やスマートフォンでも尚リメイク版が発売されているので、シミュレーションに興味を持った方は是非手に取っていただきたい。 //DS版以降はシステムが変更されてほぼ別ゲーになってしまっている。 ---- **余談 -本作に登場する上杉憲賢(機種によっては「深谷上杉憲賢」表記)は、シリーズ初登場で、1555年シナリオの武蔵の大名として登場。そして2022年現在も『武将風雲録』がシリーズ唯一の登場である。 --深谷上杉氏は山内上杉氏の分家で、扇谷上杉氏((本作には登場しない。『覇王伝』パワーアップキットが初登場))と共に関東に割拠していた。憲賢は本家の上杉憲政(山内上杉憲政)に従っていたが、1552年、北条氏康に敗れ降伏。以降、北条と、憲政の跡を継いだ上杉政虎(上杉謙信)の間を行ったり来たりしている。憲賢の孫の氏憲の代に、小田原征伐で北条についたために所領を失い、上杉景勝を頼り信濃に逃れた。 --次回作以降で消えたままという点でも明らかだが、1国の大名として登場できるほどの経歴では無い。にもかかわらず大名として登場したのは、北条氏康を強くさせすぎないためのバランス調整かも知れない。 --上杉憲賢はCPU担当だと北条や武田に序盤で滅ぼされることが多い。しかし武蔵は石高が全国1位の設定で、配下の太田資正はそこそこの能力なので、天下統一はそれほど難しくない。試しにプレイヤー大名に選んでもいいかも知れない。 ---太田資正は『嵐世記』以降で大名として登場する作品があるが、深谷上杉氏は武将としてすら登場しない日々が続いている。太田資正は、実際は上杉憲賢の配下ではなく対等に近い関係である。なおかつ太田資正は、北条に長年抵抗し、知名度も高いので、ゲームでも登場が優先されるのはやむを得ないだろう。 ***他機種(コンシューマ)版 -FC・SFC版 --同日に発売された。SFC版に限り、よくありがちな「スーパー信長の野望・武将風雲録」のタイトルで発売。 --FC版は『戦国群雄伝』に続いて漢字が採用され、ひらがな文字が縦長に伸ばされて読みやすくなった。この頃の光栄家庭用作品からはこのフォントが用いられるようになる。また武将・前田慶次((本作では「前田利益」名義))が新たに登場した。 ---史実資料が少なく謎の多い武将であるが、本作では戦闘・教養・魅力が非常に高く他は低いという極端なパラメータになっている。当時、漫画誌「週刊少年ジャンプ」で連載中だった『花の慶次 -雲のかなたに-』の影響を受けているのは明らか。同誌の読者コーナー「ジャンプ放送局」で前田慶次を捜索していたというネタが投稿されていたという影響もあったのだろう。 --SFC版は発色数の多さを活かし、季節ごとに背景が変わるなどの細かな独自要素がある。謀叛で大名となった武将が「我、これより天下を目指さん」と宣言するのもSFC版オリジナル。音楽も内蔵音源によるアレンジとなっており、原曲の良さも相まってユーザーからの評価は高い。ただしCPUの思考時間は長く、その辺に配慮したのか、自分のターンが回ってくるとビープ音で知らせてくれる仕様になっている。 --ハード自体の知名度も手伝ってか、ネット上でのプレイ動画等はSFC版が多い。 --FC・SFC版に限り、CPUは捕らえた武将は基本的に処断せず家臣にする。(それ以外の機種だとある程度能力が高くないと処断する) -MD版 --ハードの処理性能の高さから、同時期の移植の中では比較にならない程の思考時間の速さを誇る(毎ターン5秒とかからない)。SFC版の後でプレイすると待ち時間の短さに驚かされること請け合いである。 ---CPUの思考の際に現在行動中の大名家がテキストで表示されるが、このMD版だけは目で追えない圧倒的な速さだった。 --FM音源搭載の為PC-98・88版と同じ音楽を楽しめるのも魅力的。 --SFC版と比較したときの欠点としてはグラフィック面で、SFC版では国ごとに色分けされていたのが旗で表示されていることや、突撃で頸を斬られた武将の顔グラが二つに分かれて消滅する演出などがなくなっている。 -PCエンジン SUPER CD-ROM2版 --ディスクメディアでの移植。オープニングやイベントにボイスが付いていたり、当時の光栄ソフトで特典となっていた「サウンドウェア」収録の楽曲がゲーム内で聴くことができるといった、メディアの利点を活かした移植となっている。 --細かい所では、ゲーム内のフォントがゴシック体になっている等、他の移植とは変わった仕様になっている。FC版同様に前田慶次も登場する。 -PS版 --Windows版をベースとした移植。32ビット機の為、思考時間や戦闘のペースはMD以上の速さを誇る。 --隠しシナリオが家庭用で初めて搭載された。この他独自の要素として、プレイヤーのターン中に日本の城などが紹介される「戦国通信」が流れるといった要素がある。 --隣接していない領国にも輸送ができるようになり、ゲーム後半の進行がスムーズになった。 -GBA版 --「信長の野望」のタイトルで発売。 --武将の顔グラフィックは烈風伝以降のものに変更された。 --武将の列伝が追加された。史実資料の少ないマイナー武将は能力値そのままで別人に差し替えられたりしている。 --シナリオ3が最初から選べるようになった。 --『武将風雲録』で唯一、通信対戦が可能な作品。「特定の武将を討つ」「金を集める」といった条件の達成を目指す。 -DS・3DS・iOS・Android版 --『武将風雲録』をベースにしたリメイク。大幅なアレンジが加えられている。 --DS版は『信長の野望DS2』、3DS版は『信長の野望』のタイトルで発売。スマートフォン(iOS・Android)版は『信長の野望 武将風雲録』のタイトルに戻されたが、内容はDS版・3DS版ベース。無駄にタイトル変更を繰り返したことで混乱の元となっている。 --後の作品で登場した武将が追加され、顔グラフィックは『[[天下創世>信長の野望 天下創世]]』以降のものに変更。またコマンドやパラメータの内容が大幅に変更され、合戦中に様々な効果を与える「戦術」など近作に合わせた要素が追加されている。 --浅井久政・長政父子によるチュートリアルが追加。リメイク前にさんざん行われた茶器回しができないことを釘刺す((大名でしか実行できないコマンドに変更された。「茶器を回すだけで忠誠上げ放題、などという義に反することはできませぬぞ!」))。 --この他東北地方が細分化されていたり、武将の能力値も一部変更。既存の武将の編集やオリジナル武将の作成も可能((代わりに教育コマンドは廃止。))。シナリオも従来の間を補完する史実シナリオや架空シナリオ2本の追加により大幅に増加した。3DS版ではDLCにも対応し、天翔記にあった「信玄上洛」や有料ではあるものの関ヶ原関連のシナリオと更に増えている。 --CPUが好戦的になり、開始から数年経つと数国の大勢力しか残らなくなる。デモプレイでも天下統一を達成するようになった。 --一度に徴兵できる兵数が20に限定され、徴兵のたびに治安が下がり、治安40以下になると徴兵ができなくなる。 --開墾と商業を上げても収入は殆ど増えないうえ、他国に攻め込まれると開墾・商業ともに大幅に減少するため、じっくりと内政をするよりも米相場を利用して金策をして、他国に攻め込まれる前に攻め込むのが最適の攻略ルートになっている。 --イベント以外で謀叛が皆無になった。松永久秀ですら謀叛しないので、序盤の風物詩が一つ減ってしまった。 --大名が自害しなくなり、直接家臣に登用できるようになった。ただし、CPUが大名を処断しようとすると、メッセージ上は自害した扱いになる。 ---一方で、配下の登用成功率が大幅に引き下げられ、大名を登用できればそれに釣られて登用し易くなる、処断した武将の血縁は登用がさらに困難になるといった仕様変更もなされた。 --「群雄争覇」という、合戦のみをプレイするモードが新たに搭載。様々な武将にスポットをあて、決められた兵力・条件下で勝利を目指す。 --DS版のみWi-Fiでのネット接続や「国盗り頭脳バトル 信長の野望」との連動で特別な武将をダウンロードすることができた。3DS版でも「群雄争覇」でそれらを入手できる。 --音楽はWindows・PS版をベースとしているが、ハード性能の関係もありDS版と3DS版では微妙ながら曲が異なる。 --スマートフォン版では、GPSや日付と連動したログインサービスがあり、他機種に登場しない武将・茶器も配信される。逆にいえば、日数が経たないと全ての要素を揃えることができない。
*信長の野望 武将風雲録 【のぶながのやぼう ぶしょうふううんろく】 |ジャンル|SLG|CENTER:&amazon(B06XDLLR37)&amazon(B000EXF8YQ)| |対応機種|PC-8801SR以降、PC-9801VM/UV以降、MSX2、&br();X68000、FM TOWNS、DOS/V、Windows、&br();ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、&br();PCエンジン スーパーCD-ROM2、メガドライブ、&br();プレイステーション|~| |発売・開発元|光栄|~| |発売日|1990年12月12日|~| |定価|通常版:9,800円&br()withサウンドウェア:12,200円&br()コーエー定番シリーズ:1,980円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前作の問題点をほぼ解消&br()歴史イベントが大幅に増加|~| |>|>|CENTER:''[[信長の野望シリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 『信長の野望』シリーズの第4作。~ 武将や篭城戦という概念を取り入れ『[[全・国・版>信長の野望 全国版]]』までのゲーム性を大きく変えた前作『[[戦国群雄伝>信長の野望 戦国群雄伝]]』だが、東北・九州が除外されるなど不満があった。~ 本作はその不満を解消し、規模は再び全国へと拡大。「文化」というテーマを掲げ、さらにシステムを発展させた作品となっている。 **特徴 -シナリオは前作同様2本だが、今作のシナリオ1「戦国の動乱」は1555年と、5年遡ってのスタートとなる。 --これに伴い、陶晴賢、斎藤道三、太原雪斎、朝倉宗滴など、シリーズ初登場となった武将も多数。 --後に戦国時代を席巻する織田家も、この当時は、羽柴秀吉、滝川一益、前田利家といった有力武将はまだ麾下におらず、柴田勝家ら家臣も心からは服していない状態である。斎藤家、今川家といった列強に囲まれた弱小国に過ぎない。 -SFC版の「全国版」に先んじて、1571年を舞台としたシナリオ2「信長包囲網」が実装された。 --5カ国を有する大勢力に成長した織田家だが、武田家、浅井家、朝倉家、三好家など、周辺のほぼ全ての大名と敵対しているという、文字通り包囲網が敷かれた状態となっている。最前線の大和にいる松永久秀も、いつ裏切るかわからない。 ---浅井家に送った姫は人質に取られ、織田家側から攻め込む事が難しい((攻め込むと姫を磔にされ家臣の忠誠が下がる。織田家がCPUだと何も考えずに攻め込む事が多いが…。))。また本願寺家との敵対により領内各地で一向一揆が起きる危険をはらんでいる。あえて織田家を選択したプレイヤーはこの難局を乗り切る事を強いられる。 -難易度は「入門編」「実力編」の2種類からの選択となった。その内「入門編」はさらに初級、中級、上級から1つを選択をする。 --「入門編」と「実力編」はCPUの思考が違い、「入門編」の方が好戦的だが、守りを考えずに武将の配置にも気を配らないため対処しやすい。「実力編」はさほど戦争を起こさない代わりに、最前線に戦力を集めてくるようになっている。 --ただし、マルチプレイが可能なのは「入門編」のみで、「実力編」は1人プレイ専用という制限があった。 --「観戦編」というのもあるが、これは実力編をプレイヤーが参加せずに見守るだけのモード。機種によっては途中参加が可能で、新たに独立した陶家や松永家、徳川家でもプレイできる((シナリオ開始時に存在しない大名家を選ぶと、今井宗久との友好度が0からスタートという不具合がある。斎藤義龍は同じ斎藤家なので道三から友好度を引き継げる。))。 **評価点 -前作の不満が解消され更に遊び易くなった。 --行動力が個人単位から国単位になり、大名(城主)の政治力分回復するようになった。 ---その為に前作では使いにくかった政治力の低い武将、特に忍者武将が非常に使いやすくなった((忍者武将は戦闘が高く合戦に役立つだけでなく、他国の情報収集を確実に成功させるという隠し要素もある。))。 ---敵に攻め込まれて行動力不足で即敗北がなくなった。行動力0まで使い切っていても応戦が可能。 --内政で開発をしようとすると配下武将が申し出てくることがあり、応じると内政効果に加えて忠誠度が1上昇する((前作では半年ごとに1ずつ上昇するだけだった。))。 --内政に「技術革新」が追加。数値がある程度大きくなると金山の発見、鉄砲の製造、鉄甲船の製造ができるようになる。 ---数値が大きいほど金山((実際に金山・銀山があった国は効果が高い。))の採掘量が上がったり、低価格で製造ができるようになる。 --兵士が国ごとの一括管理となり、訓練と兵忠の上昇が楽に行えるようになった。効果の薄かった武装度は削除された。 --国ごとの人口の概念がなくなった。どこの国でも金さえあれば999まで一気に徴兵が可能。 ---ただし不利な国は最大石高が低い、金山がない、海がなく鉄甲船が造れないなど地域格差が多彩になっている。 --武将ごとに決まっていた兵科が、出陣時に自由に決められるようになった。 ---基本は足軽部隊で、騎馬部隊にするには兵士分の金が、鉄砲部隊にするには兵士分の鉄砲が必要。 --武将ごとに寿命((短い順に47、61、75、89歳が死亡ライン。))が設定され、史実の死亡年よりも長生きする武将が多くなった。 ---モンタージュ武将(架空武将)は削除され、史実武将のみになった。 --家宝(本作では茶器)や海戦、鉄甲船といった後のシリーズに受け継がれる要素も初登場した。 ---前作では瀬戸内海にしか海ルートがなかったが、今作では関門海峡や東京湾が増え、さらに日本海沿いや琵琶湖でもルートによっては海戦になる。また海ルート設置により、安房や能登なども含め全ての国が隣接国2つ以上に増えた。 --合戦では守備側が野戦か籠城戦を選ぶ方式になった。 ---合戦時に他国と同時に攻める「共同」ができるほか、籠城時に「援軍」を呼べるようになり、最大4勢力で争うことになる。 ---天候の概念ができ、雨天では昼間でも視界が悪くなり、砲撃ができない。冬の北日本では雪が降り、移動も攻撃もできなくなる。 ---自分よりも戦闘の高い武将を突撃で倒すと、戦闘が1上がる。なお教育で上げられる能力は政治のみになった。 ---各国に一つずつ、決まったルートで攻め込み野戦になると「古戦場」という決まったマップで戦うようになった。尾張・三河間の「桶狭間」や、越後・信濃間の「川中島」などが有名。 ---野戦では部隊の他に「本陣」を設置して戦うことになる。本陣は地形効果が高く、突撃が通用しない((通常攻撃1回分のダメージしか通らない。))。本陣を敵に奪われると攻撃側は兵糧を全て奪われ((その日の24時になるまでは続く。))、守備側は負けになる。 ---籠城戦は30日経過しても決着しなかった場合は長期戦となり、両軍の兵糧が続く限り終わらなくなった。 --CPU大名は遠く離れた国との外交をしなくなった。また脅迫以外の使者を捕らえようとすると家臣の忠誠度が下がるようになり、武将が頻繁に捕らえられてカオスになるということもなくなった。 --隣国武将の取り立てもなくなった。代わりに「誘降」コマンドで、金や茶器で買収しておき合戦時に裏切らせる形になった。 -配下武将が登場するシリーズで初めて全国をカバー。伊達政宗や最上義光といった東北武将、立花道雪や鍋島直茂、島津義弘といった九州武将も初登場し、本作以降の常連武将が一通り揃った。 --松本&ruby(ずしょのすけ){図書助}((蘆名四天宿老の一人。近作では「氏輔」名義での登場が多い))など、マイナーな武将が初登場。ごくごく一部で有名。 --前作よりシナリオ開始年代が5年早まり、1555年になった。「概要」にもあるように、本作が初登場で、以降のシリーズでも常連になった武将は多い。 ---朝倉宗滴は、朝倉家随一の名将で、1等茶器「九十九髪茄子」を持っているという衝撃のデビューだった。しかし、シナリオ開始年が没年なので、かなりの確率で開始翌月に死んでしまうあっけなさも衝撃だった。 -戦後処理の武将登用で、捕縛した武将が登用を拒否するようになった。義理堅い武将は登用を拒否しやすく、「忠臣がホイホイ新しい大名に仕える」不自然さが解消された。 --武将によっては命乞いしたり、義理が低いと自ら登用を売り込むなど、台詞のバリエーションも増えている。 -配下武将の茶器を没収する、忠誠度が低いまま放置するなど雑に扱っていると、その武将が「叛意」を抱くようになった。 --叛意を抱いている武将は隣接した敵国に出奔したり、大名がいる国で開発を申し出てきた場合に応じると''乱心して斬りかかってきたり''する。 ---大名が助かった場合は行方をくらまし、斬られた場合はそのまま居残る。茶器を与える→没収→斬られる→後継者に指名で好きな武将を大名にする事が可能。 --茶人を呼んで茶会を行うと、その国に叛意を抱いている武将がいるかどうか教えてくれる。千利休は実名で教えてくれる。 -シナリオは1555年と1571年の2本と見せかけて、本能寺の変イベントを起こすと第3のシナリオである1582年「本能寺の変」が出現。しかも前作『戦国群雄伝』とは違い、信長死後、明智光秀、羽柴秀吉、柴田勝家などに織田家中が分裂した状況である。本作で、早くも信長死後のシナリオが追加されたことになる。 --1582年シナリオは公式には存在を伏せられており、公式ガイドブックや武将ファイルなどでも一切触れられていなかった((『信長の野望 覇王伝事典』で存在が仄めかされるなど、全く言及がなかった訳ではない。))。 --さらに、8ビット機のPC、多くのコンシューマーでは割愛されており、存在すら知らない者も多かった((隠しシナリオが存在しないのは、PC-8801、MSX2、ファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジンの各機種版。))。コンシューマーではプレイステーション版で初めて1582年シナリオが実装され、以降は公式にも公表されるようになった。 -オープニングムービーはシリーズ屈指のデザインセンスを誇る。 --信長が敦盛を舞うところに始まり、その後は大河ドラマのような曲にのせて能面と共に大名の紹介が映し出される。 --当初のパソコン版では経歴を紹介するものであったが、コンシューマー移植ではキャッチコピーの如きフレーズに変更され、僅か2行の文で武将の生き様を表現したそのセンスは秀逸。 --その一方でPS版以降ではOPが大名紹介ではなく短いムービーに変えられており、味も素っ気も無く寂しいものがある。 -前作では織田にのみ専用BGMが付いていたが、新たに上杉、武田、今川・足利、毛利といった有名大名家にも専用BGMが付加された。 --本願寺家は戦略時は一般大名と同じBGMだが、合戦時は''本能寺の変BGM((ちなみにBGMの名前は「乱心」で、乱心イベントでも流れる。))''になる。信長の味わった一向一揆衆の恐ろしさの表れになっている。 --BGMは光栄ではお馴染みの菅野よう子氏。その質の高さは、当時のゲーム音楽としては珍しくNHKの歴史ドキュメンタリー番組で頻繁に使用されたほど。 -前作では織田家・武田家といった有名な大名が滅びやすかったこともあり、コンピュータ同士の合戦を自動判定にした場合、有名な大名が有利になるように判定された((有利なのは伊達、真田、北条、越後上杉、本願寺、武田、今川、徳川(松平)、織田、足利、三好、毛利、長宗我部、大友、島津。))。 -これまでの本能寺の変イベントに加え、桶狭間の戦い、斎藤義龍・陶晴賢((ただし史実では、シナリオ1開始年代より前の1551年に謀叛を起こして、主君の大内義隆を自害に追い込み、大内義長を擁立したのだが、本作では自分が擁立したはずの義長を殺して大名になってしまう。))らの謀叛など、新規の歴史イベントが追加。殆どは難易度を実力編にしている場合にのみ発生する。 //「謀叛」の語は取扱説明書の表記に従った。 --現在と違い簡潔にまとまっており、やや砕けた内容のものもある。 ---桶狭間の戦いの始まりのメッセージが''「桶狭間だぎゃー」''。 ---上記のイベントを信長でプレイしていると松平元康が申し入れてきた同盟を選択できるのだが断ると元康が''「史実と異なりまする」''とメタな発言をする((CPUならば自動的に同盟が結ばれる。この時同時に武田が今川とそれまでの同盟を破棄するのだが、これはプレイヤーが武田信玄でも勝手に強制破棄される。))。 --謀叛以外のイベントはほぼプレイヤー大名限定。CPUでも起きるのは桶狭間や安土城((信長があえて交通の要所に建設した城であり、各方面から攻められ戦には不向きというイメージが強いが、本作ではイベント限定の隠し城なだけあって小田原城に匹敵するほどの堅固な城となっている。))完成くらいのもの。 --ちなみに一般では謀反人のイメージが強い松永久秀だが、1555年シナリオ開始直後に高確率で謀叛を起こすことから歴史イベントと思われがちだが、歴史イベントではなく単に''久秀が謀叛を起こしやすいだけ''である((1571年シナリオでは、1555年より謀叛を起こすことは少なく、ターン経過で筒井順慶などに城主が差し替わっている事が多い。))。 ---ただし、陶晴賢の謀叛や朝倉宗滴・風魔小太郎((風魔小太郎は代替わりを表現しており、同名の武将が2名存在する事になっている。))の死亡なども、ゲーム上では特別な演出が無いためシナリオ1序盤の風物詩と認識されていた。 ---また、久秀には代わりに、守備側で戦場に残ったまま決着が付くと''爆死する''歴史イベントがある((1等茶器「古天明平蜘蛛」を持っており、退路となる国が無いのが条件。))。 -歴史イベントだけでなく、各種ランダムイベントも大幅に増加。 --格安で鉄砲を撃ってくれる闇商人や、一度だけ疫病の被害を受けずに済む薬売り、国の技術力を上げる宣教師ルイス・フロイス((技術だけでなく稀に茶器をくれることもある。また敵対勢力となる一向宗のいる国(越後・越中・能登・加賀・越前・三河・尾張・伊勢・伊賀・紀伊・摂津)にも平気で来訪してくる。受け入れると布教が失敗しやすいだけでなく、本願寺家との友好度が下がり一向一揆を誘発してしまう。))などがいる。 --第三者の来訪するものに関してはいずれも受け入れは任意。金が必要になったり、成否判定があって失敗すると不利益が発生する場合もある。 **賛否両論点 -夜間奇襲が強すぎる。 --籠城戦の仕様もあって大軍を率いる意味が薄くなっているが、本陣立てこもりの対抗策にもなっている。 ---ただし戦闘の高い武将は奇襲を見破り、逆に奇襲し返してくる。 -シナリオ1の九州では龍造寺と伊東の二強になることが多く、史実((どちらの大名も、それぞれ沖田畷の戦いと木崎原の戦いで島津家に大敗し壊滅的打撃を受けた。特に沖田畷の戦いで当主の隆信と多数の重臣が討死した龍造寺家は最終的に断絶し、辛うじて生き残った重臣の鍋島家が龍造寺家を継承する事になった。))と逆の立場になることがしばしば。 --ただし両家はCPU補正のかかる有利大名ではないので、島津や大友になかなか勝てず、時には数十年にわたって両家に撃退され続けたり、逆に島津や大友に攻められて返り討ちにされたりする事もある。 --一方シナリオ2やDS版以降では、島津が順当に勢力を拡大しやすい。 -後の作品では公式チート同然の扱いを受けている島津義弘や立花道雪が低めの能力設定にされている。 --伊達政宗や松平元康(徳川家康)に完全に負け、武田勝頼とほぼ互角という設定は現在の視点からすれば首を傾げざるを得ない。 ---どちらも大名家の領地面で有利なために能力面での補正がかかっているフシもあり、リメイク版では再調整がかかり相応しい能力に変更された。 -茶器を家臣でたらい回しにして忠誠度を手っ取り早く上げる''茶器回し''という裏技がよくネタにされている。 --城主でも実行できるコマンドとなっている仕様上、茶器を与えた配下を城主に任命し、その城主が持っている茶器を再び配下に与えることを繰り返せることを利用した技。 -隠しパラメータ「義理」の低い武将は、城主にした場合、忠誠100・兵士0・米0といった状況でも謀叛を起こす。 -城主への「委任」の方針は軍事型・内政型の2種類。 --『全国版』の4種類に比べると劣るが、前作は方針すら選べなかったので少しは進歩している。 --どちらも米を溜め込み、金を0まで使い込む傾向がある。金0だとほぼ何もしないので、こまめに委任を解いて米売りをするか、他国から輸送してやらなければならない。 -前作『戦国群雄伝』に引き続き、大名は基本的に配下にできない。前作との違いは、最後の一国を攻め落とすと、前作では戦後処理で強制的に処刑していたのが、本作では大名が自発的に''自害''((キリスト教では自害は禁止されているのだが、キリシタン大名である大友宗麟も自害してしまう。))するようになったことである。 --PC-9801版の場合、自害の台詞は「無念…」「介錯を願おう」の2種類だけ。しかし機種によっては、有力武将に専用の自害の台詞が用意されており、織田信長、武田信玄などの固有台詞持ち大名を自害に追い込むことで一種の達成感も得られた。 ---ちなみに大名を捕らえて戦後処理で処刑した場合でも、自害の台詞を見ることができる。 ---汎用台詞も、機種によってラインナップが異なる。 --外交で「脅迫」することで、大名を配下にできる。しかし、能力が一定以上の大名は絶対に脅迫に屈しないので、前述の織田信長や武田信玄などは自害させるしかない(浪人にする裏技は一応ある)。 ---全ての大名を配下にできるようになるには、『天翔記』を待たなくてはならなかった。 --大名以外の家臣も、最後の国を攻め落とすとその時点で自害してしまうことがあった。自害する家臣は、攻め落とした時点で戦場に部隊が残っている家臣のみなので、事前に捕らえておけば死なせる心配はない。 **問題点 -史実でも強かったとは言え、鉄砲や鉄甲船があまりに強力。 --ついに遠距離攻撃が可能((一応、山や部隊などの障害物越しには攻撃できないといった要素は存在する。))となったことや、武将毎に兵科が固定されなくなっただけでも強化されているにかかわらず、鉄砲攻撃時に限り反撃を一切喰らわない、敵に攻撃された際も鉄砲で反撃を行う(反撃ダメージの実質的増加)、兵力20毎に射撃回数が1ずつ増加(最大で5回連続攻撃)、隣接する鉄砲隊がいればそれらも追加で攻撃、希に敵武将が流れ弾に当たり一撃で壊滅の可能性も有り((双方の兵力に関係無く、一射撃ごとにランダムで発生。その為に「今川氏真が率いる兵力が0(1未満)の鉄砲隊が100の兵力を保持する上杉謙信を射殺して壊滅させる」と言う展開も起こりうる))と匙を投げたくなる強さ。 ---遠距離攻撃に関しては、夜間で見通しの利かないHEXへも射撃が行える。弾数の概念が無いため、外しても何らデメリットが無いことや、効果の無かった場合はメッセージまでもが出ることも拍車をかけている。 --これに加えて、元々本丸と本陣の地形効果がかなり大きいため、これらに鉄砲で篭られると地形・武将の能力によっては数倍の兵力をもってしても落とせない。 ---特に籠城戦の場合、城壁越しへの鉄砲攻撃が行えるために、相手にある程度の頭数がいると大半の時間は砲火に晒されることとなる。 ---反対に、少数の戦力で攻め込むとほぼ野戦になるという性質を利用し、本陣をわざとがら空きにして寄ってきた武将にひたすら鉄砲乱射する(近辺で鉄甲船が使用可能なら海や池へ行くほうが良い)だけでほぼ勝ち戦になる。逆に攻め込まれた場合は鉄砲100を持って籠城すればほぼ守りきれる。 --難易度にもよるが、CPUが終盤に鉄砲をフル装備し始め辟易させられることも多い。 --鉄砲の入手方法は自国で製造するか今井宗久(商人)との取引、ランダムではあるが闇商人からの入手がある。 ---製造は時間がかかる上に(3ケ月で最大15丁しか作れない)、技術力により相当費用に差が出るため、殆ど最高値に近い状態でないと現実的とは言い難い。((初期状態で製造できるのは薩摩のみで紀伊はあと少しで製造可能、但し薩摩の初期状態では一丁約金250。他の領地では相当技術革新を行わなければ製造は厳しい。政治99、技術999で一丁金1になる)) ---今井宗久からの購入に関しては、友好度が低い大名には販売しない上に教養値が低いととんでもない高値をふっかけて来るので、大半のプレイヤー大名にとっては高嶺の花とも言える存在である。((友好度100・教養100で一丁金20になり購入数に上限はない。友好度・教養を上げるのは茶会を繰り返せば比較的楽に上がるため、技術力を上げるよりはこちらの方が簡単だろう)) --鉄甲船は、海に面した国と湖のある近江で建造可能。序盤から意識して技術を上げない限り、味方が作れるようになる頃には既に自勢力が強大化している時が殆どである。作っても弱いものいじめ状態にしかならないという欠点も。一方、CPUはある程度技術を上げると鉄砲と共に積極的に建造を始めるが、本陣に置けない分鉄砲よりは対策が楽である。 ---ただし一隻あたりの価格金500前後(政治力で前後する)と非常に安く、武将が討ち取られなければ何度でも使えるので野戦に持込み戦力を削り取る際にはかなり便利な兵器となる。 -ステータス値「戦闘」の調整が非常に大味。88~95までは一切威力が変わらない反面、96になった途端いきなり攻撃力が2.6倍に跳ね上がり、カンストの100ともなると95の3倍にも達する。そのため、上杉謙信((「表示上は戦闘100だが、実際は120くらいある」という都市伝説があったが、有志の検証によってガセと判明。))・武田信玄・真田幸村((元服年が遅いのがせめてもの救い。))が異常なまでに強い。 --その格差のあまり、信玄・謙信なら大将1人のごり押しでも余裕で天下統一が可能。逆に鉄砲100で本陣に立て篭もられようものなら目も当てられない。異常に硬い上に攻撃力が凄まじく、1ヶ月で落城させることはほぼ絶望的な状態に。 -相場を見ながらの米売買での利益が高く、相対的に内政にあまり意味がない。 --元々米の取引は街の開発(金収入上昇)より利益が高く主な現金調達手段の1つであったが、商人の滞在する僅かな機会でしかできないという形でバランスを取っていた。しかし今作では鉄砲や茶器の存在からか、常時全ての取引が可能となってしまった。((どの状況や国でも瞬時に今井宗久が顔を出すという、ゲームの都合とは言えなかなかに無理な描写である。))。 --前作では1回の内政で20~30と豪快に数値が上昇したのに対し、今作ではせいぜい一桁しか上がらない。内政にかかった費用を税収入等で元を取るだけでも数年かかる。 ---台風や地震などの被害で下がる機会も多くなり、カンストさせても安心できない。 --そのため効率だけを考えると、いかに技術革新で鉄砲・鉄甲船の製造を容易にし、その後は「レートを見ながら米売買→軍備を整えて出陣」という流れになる。戦争に集中しやすいとも言えるが…。 ---これらの仕様により、単騎無双が可能な''上杉家((武田家も信玄が単騎で各国を滅ぼせるほどに強いが、同盟相手が強国なので対処しづらく同盟相手が弱く脅迫が効く上杉ほど楽には進行しづらい))''や開始時から唯一鉄砲が製造可能((一部リメイク作品では不可能だが技術革新をすればすぐに製造可能))で武将が優秀、しかも領土が端っこでひたすら北上するだけで良い''島津家''が今作では圧倒的に強い。 -CPUの不公平さも相変わらずとは言え酷いもの。 --こちらが米相場と睨めっこしている間にも、相手は国力と技術を飛躍的に上昇させ、いざ出陣となった頃には大量の兵糧と鉄砲で待ち構える。しかも難易度が上がるほど酷くなる。一応、上記の記述通り今作はそこまで多数の兵士は必要ではないのが救いか。 --難易度が高い「実力編」では、CPUはほとんど攻め込まなくなる。つまり、CPU同士が隣国で戦争するように仕向けて漁夫の利を得るなどという戦略シミュではよくある作戦も使えない。野望の高い大名は比較的攻め込みやすく、織田信長などは一度攻め込むと続けて戦争を仕掛けることがあるが、それまで待つより自分で攻め込んだ方が早い。 --ただし、一度攻め込んだ場合、攻撃側が敗退しても再度攻め込むことが多い。運良く目にしたら、戦いを「見る」にすると自動判定より双方の損害を大きくできるため、漁夫の利の好機となる。また、有利大名が自動判定で有利になることを利用して、戦いの「見る」「見ない」を使い分けることによって、CPU同士の勝敗をある程度操作できる。 -徴兵・兵施しに見るCPUの欠陥 --国力として新たに「兵忠誠度」が追加されており、忠誠度が低いと戦力が弱体化するほか、合戦中に脱走することがある。兵士に金を施すことで上げられるが、同じ金額でも元の兵忠誠度が低いほど効率が悪くなる仕様がある。 --CPUは兵忠誠度が一定以下になると、兵忠誠度が上がらなくなり、兵忠誠度の低いまま兵を大量に貯め込んでしまう。これは、CPUが兵士に施す金が一定額であるため、兵忠誠度が施しの効果が出る閾値を切ってしまうと、効果のないムダ金を使うばかりになるからと推測されている。 --また、''CPUは兵忠誠度が一定以下の状態では、自発的に合戦を仕掛けなくなる。''この仕様がCPUの動かなさに拍車をかけている。現在の兵忠誠度に応じて、金額を変えるルーチンは光栄には手間だったのだろうか? ---DS版以降では、兵忠誠度を廃止し合戦中のみ反映される「兵士気」に置き換えることで、CPUの欠陥を回避した。 -『全国版』では8ヶ国だった東北は、3ヶ国しかなく蝦夷国も登場しない。 --そのため、南部晴政や津軽為信などの北東北出身武将は登場しない。 ---『信長の野望DS2』では、国分割で追加されている。 **総評 文化の概念により単なる合戦にとどまらず、戦国時代をさらにリアルに表現する事に成功している。システム自体も正統に進化を遂げており、国盗り時代の「信長の野望」は無事に一つの完成形にたどり着くことができた。~ 鉄砲や地形効果などに見られるゲームバランスの問題こそあるものの、史実再現とのバランスの兼ね合いというのは難しいことだったのであろう。史実とゲーム性のどちらを採るかは人次第で、そういった点が語り草となっているのもまた事実ではある。~ 今でもシリーズ最高傑作として名の挙がることも多い一作であり、後作の城取りやリアルタイムによる複雑さもなく、初めてシリーズに触れる人にもおすすめできる一作だろう。~ //人気作ゆえリメイクや移植にも恵まれている。最新機種やスマートフォンでも尚リメイク版が発売されているので、シミュレーションに興味を持った方は是非手に取っていただきたい。 //DS版以降はシステムが変更されてほぼ別ゲーになってしまっている。 ---- **余談 -本作に登場する上杉憲賢(機種によっては「深谷上杉憲賢」表記)は、シリーズ初登場で、1555年シナリオの武蔵の大名として登場。そして2022年現在も『武将風雲録』がシリーズ唯一の登場である。 --深谷上杉氏は山内上杉氏の分家で、扇谷上杉氏((本作には登場しない。『覇王伝』パワーアップキットが初登場))と共に関東に割拠していた。憲賢は本家の上杉憲政(山内上杉憲政)に従っていたが、1552年、北条氏康に敗れ降伏。以降、北条と、憲政の跡を継いだ上杉政虎(上杉謙信)の間を行ったり来たりしている。憲賢の孫の氏憲の代に、小田原征伐で北条についたために所領を失い、上杉景勝を頼り信濃に逃れた。 --次回作以降で消えたままという点でも明らかだが、1国の大名として登場できるほどの経歴では無い。にもかかわらず大名として登場したのは、北条氏康を強くさせすぎないためのバランス調整かも知れない。 --上杉憲賢はCPU担当だと北条や武田に序盤で滅ぼされることが多い。しかし武蔵は石高が全国1位の設定で、配下の太田資正はそこそこの能力なので、天下統一はそれほど難しくない。試しにプレイヤー大名に選んでもいいかも知れない。 ---太田資正は『嵐世記』以降で大名として登場する作品があるが、深谷上杉氏は武将としてすら登場しない日々が続いている。太田資正は、実際は上杉憲賢の配下ではなく対等に近い関係である。なおかつ太田資正は、北条に長年抵抗し、知名度も高いので、ゲームでも登場が優先されるのはやむを得ないだろう。 ***他機種(コンシューマ)版 -FC・SFC版 --同日に発売された。SFC版に限り、よくありがちな「スーパー信長の野望・武将風雲録」のタイトルで発売。 --FC版は『戦国群雄伝』に続いて漢字が採用され、ひらがな文字が縦長に伸ばされて読みやすくなった。この頃の光栄家庭用作品からはこのフォントが用いられるようになる。また武将・前田慶次((本作では「前田利益」名義))が新たに登場した。 ---史実資料が少なく謎の多い武将であるが、本作では戦闘・教養・魅力が非常に高く他は低いという極端なパラメータになっている。当時、漫画誌「週刊少年ジャンプ」で連載中だった『花の慶次 -雲のかなたに-』の影響を受けているのは明らか。同誌の読者コーナー「ジャンプ放送局」で前田慶次を捜索していたというネタが投稿されていたという影響もあったのだろう。 --SFC版は発色数の多さを活かし、季節ごとに背景が変わるなどの細かな独自要素がある。謀叛で大名となった武将が「我、これより天下を目指さん」と宣言するのもSFC版オリジナル。音楽も内蔵音源によるアレンジとなっており、原曲の良さも相まってユーザーからの評価は高い。ただしCPUの思考時間は長く、その辺に配慮したのか、自分のターンが回ってくるとビープ音で知らせてくれる仕様になっている。 --ハード自体の知名度も手伝ってか、ネット上でのプレイ動画等はSFC版が多い。 --FC・SFC版に限り、CPUは捕らえた武将は基本的に処断せず家臣にする。(それ以外の機種だとある程度能力が高くないと処断する) -MD版 --ハードの処理性能の高さから、同時期の移植の中では比較にならない程の思考時間の速さを誇る(毎ターン5秒とかからない)。SFC版の後でプレイすると待ち時間の短さに驚かされること請け合いである。 ---CPUの思考の際に現在行動中の大名家がテキストで表示されるが、このMD版だけは目で追えない圧倒的な速さだった。 --FM音源搭載の為PC-98・88版と同じ音楽を楽しめるのも魅力的。 --SFC版と比較したときの欠点としてはグラフィック面で、SFC版では国ごとに色分けされていたのが旗で表示されていることや、突撃で頸を斬られた武将の顔グラが二つに分かれて消滅する演出などがなくなっている。 -PCエンジン SUPER CD-ROM2版 --ディスクメディアでの移植。オープニングやイベントにボイスが付いていたり、当時の光栄ソフトで特典となっていた「サウンドウェア」収録の楽曲がゲーム内で聴くことができるといった、メディアの利点を活かした移植となっている。 --細かい所では、ゲーム内のフォントがゴシック体になっている等、他の移植とは変わった仕様になっている。FC版同様に前田慶次も登場する。 -PS版 --Windows版をベースとした移植。32ビット機の為、思考時間や戦闘のペースはMD以上の速さを誇る。 --隠しシナリオが家庭用で初めて搭載された。この他独自の要素として、プレイヤーのターン中に日本の城などが紹介される「戦国通信」が流れるといった要素がある。 --隣接していない領国にも輸送ができるようになり、ゲーム後半の進行がスムーズになった。 -GBA版 --「信長の野望」のタイトルで発売。 --武将の顔グラフィックは烈風伝以降のものに変更された。 --武将の列伝が追加された。史実資料の少ないマイナー武将は能力値そのままで別人に差し替えられたりしている。 --シナリオ3が最初から選べるようになった。 --『武将風雲録』で唯一、通信対戦が可能な作品。「特定の武将を討つ」「金を集める」といった条件の達成を目指す。 -DS・3DS・iOS・Android版 --『武将風雲録』をベースにしたリメイク。大幅なアレンジが加えられている。 --DS版は『信長の野望DS2』、3DS版は『信長の野望』のタイトルで発売。スマートフォン(iOS・Android)版は『信長の野望 武将風雲録』のタイトルに戻されたが、内容はDS版・3DS版ベース。無駄にタイトル変更を繰り返したことで混乱の元となっている。 --後の作品で登場した武将が追加され、顔グラフィックは『[[天下創世>信長の野望 天下創世]]』以降のものに変更。またコマンドやパラメータの内容が大幅に変更され、合戦中に様々な効果を与える「戦術」など近作に合わせた要素が追加されている。 --浅井久政・長政父子によるチュートリアルが追加。リメイク前にさんざん行われた茶器回しができないことを釘刺す((大名でしか実行できないコマンドに変更された。「茶器を回すだけで忠誠上げ放題、などという義に反することはできませぬぞ!」))。 --この他東北地方が細分化されていたり、武将の能力値も一部変更。既存の武将の編集やオリジナル武将の作成も可能((代わりに教育コマンドは廃止。))。シナリオも従来の間を補完する史実シナリオや架空シナリオ2本の追加により大幅に増加した。3DS版ではDLCにも対応し、天翔記にあった「信玄上洛」や有料ではあるものの関ヶ原関連のシナリオと更に増えている。 --CPUが好戦的になり、開始から数年経つと数国の大勢力しか残らなくなる。デモプレイでも天下統一を達成するようになった。 --一度に徴兵できる兵数が20に限定され、徴兵のたびに治安が下がり、治安40以下になると徴兵ができなくなる。 --開墾と商業を上げても収入は殆ど増えないうえ、他国に攻め込まれると開墾・商業ともに大幅に減少するため、じっくりと内政をするよりも米相場を利用して金策をして、他国に攻め込まれる前に攻め込むのが最適の攻略ルートになっている。 --イベント以外で謀叛が皆無になった。松永久秀ですら謀叛しないので、序盤の風物詩が一つ減ってしまった。 --大名が自害しなくなり、直接家臣に登用できるようになった。ただし、CPUが大名を処断しようとすると、メッセージ上は自害した扱いになる。 ---一方で、配下の登用成功率が大幅に引き下げられ、大名を登用できればそれに釣られて登用し易くなる、処断した武将の血縁は登用がさらに困難になるといった仕様変更もなされた。 --「群雄争覇」という、合戦のみをプレイするモードが新たに搭載。様々な武将にスポットをあて、決められた兵力・条件下で勝利を目指す。 --DS版のみWi-Fiでのネット接続や「国盗り頭脳バトル 信長の野望」との連動で特別な武将をダウンロードすることができた。3DS版でも「群雄争覇」でそれらを入手できる。 --音楽はWindows・PS版をベースとしているが、ハード性能の関係もありDS版と3DS版では微妙ながら曲が異なる。 --スマートフォン版では、GPSや日付と連動したログインサービスがあり、他機種に登場しない武将・茶器も配信される。逆にいえば、日数が経たないと全ての要素を揃えることができない。

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