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*流星のロックマン3 ブラックエース/レッドジョーカー 【りゅうせいのろっくまんすりー ぶらっくえーす/れっどじょーかー】 |ジャンル|ブラザーアクションRPG|&amazon(B001ET6GTA)|&amazon(B001FA056S)| |対応機種|ニンテンドーDS|~|~| |発売・開発元|カプコン|~|~| |発売日|2008年11月13日|~|~| |定価|4,800円(税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|大幅に改善された戦闘システム&br;ストーリーや音楽も好評&br;豊富なやり込み要素|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ロックマンシリーズリンク>ロックマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ロックマン20周年を記念して発売された『流星のロックマンシリーズ』3作目かつ、シリーズ最終作。 本作では前作までと異なり完全に2バージョン式となっている。 **ストーリー >技術の進歩によって、電波技術は更なる発展を遂げた。しかし、「メテオG」と呼ばれる巨大流星の出現によって、電波ウィルスの凶暴化、ノイズ率上昇によるシステムの暴走が続発するようになる。~ サテラポリスとスバルは、新たに開発された端末「ハンターVG」を使い、崩壊を始めた電波世界を救うために奔走する。~ (Wikipediaより引用) **システムの変更点 今作までは「BGMとストーリーはおおむね良いがシステムに難がある」という評価が大半を占めており、そのせいで『[[エグゼ>ロックマン エグゼ]]』シリーズのファンからは離れられた傾向にある。~ 本作に対してカプコンは「もう一度何をしたかったのかを振り返った」と証言しており、実際システム面には大幅な改良が施されている。 -「高かったエンカウント率」の調整。 --特に『[[2>流星のロックマン2 ベルセルク×ダイナソー/ベルセルク×シノビ]]』は異常なエンカウント率で評価を損ねてしまったので、この点は大きいといえる。 -ボスランクの変更 --前作までの通常、EX、SPだったボスのランクが『[[エグゼ5>ロックマン エグゼ5 チーム オブ ブルース/チーム オブ カーネル]]』までの通常、V2、V3に戻った。メガクラスカードも通常、V2、V3に変更されている。 --V3以降のボスランクには隠しシナリオで戦うことになるR((ちなみに、撃破タイムによってギャラクシーアドバンスの威力が変化する。))、突然BGMが変更したのちに現れるΩが存在する。 --Ωは特定の条件を満たすと出現するのだがとある2体のボスのΩランクと戦うには''イベント限定配信のアイテムが必要。''通常プレイでは戦う事はできない。 ---一部ボスにはこのΩが存在しない代わりに、Σはコマンド入力で登場。アシッド・エースとグレイブ・ジョーカーには、Wi-Fi対戦で乱入してくるアシッド・エースBBとグレイブ・ジョーカーRRが存在する。((現在はwi-fi通信自体が終了している為、戦う事は出来ない。)) ---また、ブライは前作のSXは削除、Rの代わりにZ、レゾンカードを使うことで登場するZZが追加された。 ---メガクラスカードにはイリーガルカード(後述)にXが存在。主にボスからのイリーガルカードで手に入る。 -いつでもどこでも変身が可能になった。 --前作までは一部の例外を除き、「ウェーブホール」と呼ばれる場所でしか変身ができなかった。 -『エグゼ』にあった「レギュラー指定」が復活した。 --レギュラー指定したカードは戦闘開始のときに必ず選択画面左上に現れるようになる。カードが隠れないわけではないが、スタンダードカードであればどのカードでも指定できる。 -前2作にあったフェイバリットカードが廃止され、カスタム画面でフォルダを縛らずにセットできるホワイトカードが追加された。 --ゲーム内の「ウェーブステーション」と呼ばれる場所で決められた4枚のホワイトカードをダウンロードできる。オン/オフの切り替えでフォルダから自由に外すことも可能。 **新システム -新たな概念「ノイズ」の登場。 --戦闘画面では発生しているノイズの激しさが%表記の「ノイズ率」で表される。 ---ノイズ率は戦闘中に無属性カードで攻撃(対戦ではロックオンアタックで攻撃)すると上昇してゆき、上昇にともなってロックマンに様々な現象を巻き起こす。さらに後述するノイズチェンジにも大きく関わってくる。 ---ノイズ率が100%(対戦では200%)を超えると全てのバトルカードに対インビジ(無敵貫通)・引き寄せ効果の方向を逆転する効果を付与する。対インビジの登場により連続してバトルカードを使って畳み掛ける非常にスピーディなバトルが可能となった。 --またこの「ノイズ」は今作のストーリーにも大きく絡んでくる重要な要素でもある。 -「ノイズチェンジ」の登場。 --これは前作までのような任意での変身機能ではなく、『[[エグゼ2>ロックマン エグゼ2]]』と『[[エグゼ3>ロックマン エグゼ3]]』に存在した「スタイルチェンジ」のように戦闘によって形態変化が発生するというものである。 --各ノイズチェンジの形態は、シリーズに登場したボスキャラをモチーフにしている。基本形の10種類に加えて隠し形態の「ブライノイズ」を加えて全部で11種類存在する。 ---片方のバージョンでしかなれない形態は存在しないが、バージョンによって変身しやすさが異なっている。 --ノイズ率0~49%だと「フォームアウト」と呼ばれ、通常の青い姿をしている。この時はカードの威力がやや上昇する程度。 --ノイズ率をそれ以上に上昇させることによって「カラーアウト」と呼ばれる状態に移行して色が変化し、各形態のモチーフになったボスの特徴を反映した固有能力を発現し始める。 ---具体的には、ロックマンに属性がつき、チャージショットも変化。他にも特殊効果が付き、必殺技・ノイズフォースビッグバン(NFB)も使用可能になる。ただし弱点属性の攻撃を受けるとノイズ率が0%になる(=フォームアウト)。 --また、基本の10形態は別のプレイヤーをブラザーに登録することで&bold(){相手と自分のノイズ形態が合体した「マージノイズ」という形態に進化できる。}そのため実質的にノイズ形態の総数は101種類にものぼる。 ---この時はチャージショット・NFB・カラーリング・弱点属性は相手に上書きされ、相手の特殊能力が自分の特殊能力に追加される強力な形態に。 --戦闘中にノイズ率が200%を超える事で、&bold(){バージョンごとに異なる究極変身「ファイナライズ」}を行える。 ---変身形態の名前はタイトルと同じで、それぞれブラックエースとレッドジョーカーに。 ---3ターンの間、非常に強力な効果とNFBを持ち、フォルダも専用のものになり変身時のノイズ率が高いほど強力なフォルダになる。ただし、3ターン経過後はノイズ率は0%になる。 //10(基本ノイズ)+10*9(マージノイズ)+1(ブライノイズ) -「イリーガルカードデータシステム」 --バトル終了の際にノイズ率が100%を超えた状態で終了すると、本来手に入るはずであったカードとは別のカードが手に入るというシステム。さらにノイズ率がとても高い状態でバスティングレベルSを取って勝利すると2枚以上のイリーガルカードが手に入る。 ---「過去作に登場したカード」「通常のカードより強力なXと名の付くカード」「通常のボス召喚カードとは違う攻撃をするカード」など、非常に多くの種類が存在する。 --敵が強いほどイリーガルカードは豪華になっていくが、ノイズ率は時間で減少するため注意。弱点攻撃やファイナライズのせいで0%になる可能性もある。 --バランス調整のためカードごとにレアリティが設定されており、シナリオを攻略していくと出現レアリティが開放されていく仕様になっている。また、同じカードでもバージョンで出現率が異なる。 -「ギャラクシーアドバンス(GA)」を搭載。『[[ロックマン エグゼ]]』シリーズの「プログラムアドバンス」に似たシステム。 --指定された3枚のカードを選ぶと3枚のカードが1枚の強力なカードに変化し、完成したカードはホワイトカードとなる。メガ・ギガカードの強化版が多い。 //ターン開始時に完成するプログラムアドバンスと違いカスタム画面でカードを選ぶことで完成する。また、選ぶカードが他のカードに重なった状態でも発動できる。 --ただしスタンダードのGA(末尾にGAと付かないもの)はイリーガルカードとして単体で入手可能。もっとも、入手可能になる頃には使用する3枚は戦力外になるためだろうか。 -「カードのサイズ」&「サポートユーズ」の概念。 --本シリーズではカードには「スタンダード」「メガクラス」「ギガクラス」の三段階のクラスがあり(後ろに行く程強い傾向にある)、前作までは「メガやギガをとにかく多く入れればよい」という事態が発生していた。 --しかし本作ではカスタム画面にて、カードのサイズの概念が登場。クラスの高いカードの面積が大きくなっており、「カード同士が重なる」現象が発生した。 ---重なって下に落ちたカードは普通に使えない代わりに、カードの属性によって別のカードとして変化させる「サポートユーズ」か、そのカードを選ぶ代わりにそのターンではそれ以外選べなくなる「シングルユーズ」という二種類の選択が可能に。当然ながら面積が大きいと重なりやすくなってしまうのでクラスの高いカードの優遇に歯止めがかかった。 --同じ種類のスタンダードカードを入れると重なりやすくなってしまう。 --また、スタンダードクラスには個性的な効果が与えられ、状況によってはメガ・ギガクラスカードよりも強力になるものが増えた。 ---この仕様変更の為か、今作ではデフォルトで横に並んだカードも一緒に選べるようになっている。 **評価点 -豊富なやり込み要素。 --裏ストーリーで最強のボスと戦ったり、数多くの強化ボス撃破のタイムを競う、サブイベントをこなしていくなどやり込み要素は多め。 --勿論対戦も、新システムや特徴的なバトルカードによって幅が大きく広がった。 -ストーリーも非常に好評。 --「巨大隕石の襲来」と言う展開に始まり、最終作だけあって集大成となった熱い展開が続く。 ---「レゾン((ブラザー同士で大なり小なり目標を定め、チームを結成してその達成を目指す事。))」という新しい概念をシナリオにも盛り込み、これまで以上に「絆」を実感できるストーリーとなっている。また、巨大隕石が地球に迫る中、それを巡って二つの巨大組織が激突するという、前二作を遥かに超えるスケールで描かれる物語は正に最終作に相応しい。 --主人公・星河スバルはシリーズ初期の引きこもりや人間不信に陥っていた時期がまるで嘘のような成長ぶりを見せている。 --鬱要素も健在、特に序盤ではシリーズ屈指のトラウマシーンもあるので覚悟してプレイする事。 --エンディングもシリーズのラストを飾るに相応しい内容。一作目から解決していないスバルと父の物語にようやく決着がつく。ラストシーンは必見。 -新キャラも好評 --味方として登場する「暁シドウ」や敵として登場する「クインティア」と「ジャック」、「ダイヤ・アイスバーン」も好評。 --味方サイドの新キャラ「ヨイリー博士」。名前の元ネタは勿論あのワイリー博士である……。良い心を持つワイリーといった感じであり、どの人に対しても優しいキャラクターで、時系列で過去にあたるエグゼシリーズのワイリー博士の全く反対の存在である。彼女がワイリーの子孫かどうかは不明。 ---『エグゼ6』でワイリー博士が真に改心したものの、エグゼシリーズが終わってしまった為に直接描写されることがなかった、「もしもワイリーが悪の道に堕ちなかったら、或いは正しい道に復帰したら」というその後のイメージを、ヨイリー博士が代わりに与えてくれるだろう。 -タイトルや戦闘BGMをはじめとした音楽も好評。 --特にラストバトルのBGMはメインテーマのアレンジであり、演出も相まって燃え上がること間違いなし。 -対戦バランスの改善 --メガ・ギガクラスカードを選びにくくし強力なスタンダードカードが大幅に追加された事で、前作のような高威力の暗転カードが飛び交うような環境では無くなった。 --ノイズ率上昇による対インビジ(無敵無視)効果の付与により、全体的にスピーディで爽快感のあるバトルシステムとなった。 **賛否両論点 -カードの種類が増加しすぎたため、集めるのに時間がかかる。 --イリーガルカードはライブラリには載らないため、ここまで集めるのは対戦まで見据えた人向け。それ以外のライブラリに載るカード数は前作とさほど変わらなかったりする。 --ノイズ率が100%を超えていると、イリーガルカード等の別のカードが入手したりするので、狙ったカードが手に入りにくいのも難点((特定のアビリティを外す事で対処は可能。))。 ---イリーガルカードの仕様上、ストーリーの進行に関係なく未登場のキャラのカードが入手出来たりするのでネタバレになる事も。 -ランダムエンカウントボスのインフレ気味のステータス。 --上記されている「ランダムで襲ってくるGウィルス」は出現前に「WARNING!」と下画面に警告がなりつつ音声でも知らせてくれるのだが、たまにGウィルスではなくボスも出現する。 ---出現するボスがV3やΩと最終形態で出現するのだが攻撃力が非常に高い。普通に進めていれば主人公のロックマンがHP500ほどの時期に攻撃力200で殴りかかってくる。((自分のノイズが弱点属性だった場合は1発でも食らえば瀕死になりかねない。)) --何も対策していなければ苦戦を強いられるのは必至。負けてゲームオーバーもあり得る。 ---Ωボスの場合は事前に出現する可能性が察知((フィールドのBGMが通常と違い、若干暗い雰囲気のBGM))でき、負けてもHP1でフィールド画面に戻るが、V3の場合は察知も出来ず、普通にゲームオーバーとなる。逃走が可能なのが救いか。 --ボスの行動の早さも目に見えて早くなっておりアクションゲームが苦手な人だと辛い。 -対戦での一部のバトルカードや戦法が非常に強力。 --代表的なのがスタンダードクラスの「エドギリブレード」とメガクラスの「クラブ・ストロング」。 ---エドギリブレード系は1枚だけ選ぶと目の前の1マスを斬るだけだが、複数枚選ぶと枚数分強化される。3枚選べば3回も強力な攻撃を使用可能になる。((具体的に言えば、2枚選ぶと攻撃力+50、攻撃範囲が横3マスに。3枚以上だと攻撃力+100、対インビジブル性能追加、耐風効果追加、攻撃範囲が横3×縦2マスに。)) ---同じエドギリブレード系であれば、数字に関係なくパワーアップ、さらにギャラクシーアドバンスも存在し、極め付きにホワイトカードが存在する等、他のスタンダードクラスと比べてもかなり優遇されている。 ---クラブ・ストロング系は連続攻撃で単体ではそこまで強くないが、オヒュカスノイズやノイズ改造ギアの木属性威力アップやウッド+30組み合わせると、簡単にギガクラスカードを超えるレベルの威力を出す。ジャングルストームやバルカンシード等のサブウェポンも豊富で非常に強力。 --また、エリアイーターでの最接からのグレイブジョーカーで移動を封じる、ブライノイズのロックオン拒否性能とダブルストーンやスーパーバリアを駆使した耐久戦など、対策しても対処が厳しい戦術も存在する。 -ストーリー上の黒幕とその扱いについて #region(ネタバレ注意) --具体的な悪行は伏せるが、エグゼ・流星シリーズの歴代黒幕の悪行が可愛く見える程の悪行を行っており、ロックマンシリーズ全体で見てもかなりの外道である。しかしそれまでの黒幕にあった「悪の道を歩んだ背景の描写」や「和解・改心する展開」がなく、ただただ邪悪な面が目立つ為好みは分かれがち。 ---シナリオ中においても些か扱いや描写が雑。序盤から中盤にかけてこそ余裕綽々と計画を有利に進めていくカリスマ性を見せるものの、「組織の事実上最高戦力であり、唯一まともに付き従っていた人物を自爆させる」という作戦ミスをしてしまってからは事情が変わってくる((彼を残してさえいれば、後述の裏切りを防ぎ野望を達成できる可能性は高かった。作劇の都合上とある重要人物とほぼ同時に退場させる必要があったのも事実と言えば事実だが、些か尚早だったと言うべきか。))。 ---以降は攻撃の一手を読まれるだけ読まれてその先の対応をしない、残りの幹部から完全に裏切られて孤立・計画を破綻させられる、最終的に思い通りにならない世界に腹を立て流星を利用して破滅をもたらそうとする、&bold(){目先の復讐に固執してすぐそばにある勝ち筋に全く気付かない}((「主人公陣営の本拠地に態々赴いて宣戦布告し、裏切り者を始末しようとしてロックマンに阻止され引き下がる」というシーンがあるが、手段を選ばずロックマンが流星に乗り込んで破壊する作戦を阻止すれば勝利を確定させられた可能性が高い。「仲間に対してロックマンの正体が明らかになる場面」の為に雑に起用されている印象も否めない))など、それまでとは打って変わって短絡的な小物になってしまっている印象が強い。 --また、これまでの黒幕が他者の力を使って戦わせていたのに対し、今作では初のロックマンとの一騎打ちで戦う。……と書けば聞こえは良いが、例によって原形を殆ど留めていない上、一度倒すと&bold(){変身後のガワだけが暴走を始め、黒幕本人はおまけのように消滅・死亡してしまう}というあんまりな扱いである。 --エグゼシリーズの一部作品もそうだが、前作・前々作においては戦いの末に黒幕であった人物と歩み寄り和解するクライマックスがストーリー上の大きな魅力となっていた。今作ではその役目は別の人物が担っているとも言えるが、黒幕本人についてもキャラ性やバックストーリーをもっと掘り下げて欲しかったという声は少なくない。 #endregion **難点 -ノイズチェンジの変更条件が「ランダムで襲ってくるGウィルスをデリートすることでランダムで発現する」システムのため、とにかく狙った時に狙ったノイズを出しにくい。 --『エグゼ2』および『エグゼ3』のスタイルチェンジはプレイヤーの傾向が反映されたためある程度操作できたが、本作では完全にランダムで形態の数も多く狙ったノイズを出すのに何時間もかかることもざらにある。その上一応は隠しノイズとして位置付けられているブライノイズの出現率も条件付きとはいえ妙に高く、ブラザーがいないとそれ以外のノイズを求めるときの苦行ぶりに拍車がかかる。 //---更にバージョン毎に出やすいノイズと出にくいノイズがあるのも問題である。 //バージョン毎の差別化点なんだから問題とは違うのでは? 各バージョン専用で入手できないよりマシな設定でもあるし。 --そのノイズチェンジも性能格差は少なからず存在し、ストーリー攻略では前述のエドギリブレード系統を更に強化して扱える上にそれ以外の強化も役に立ちやすいジェミニやウルフ((ジェミニはマヒ無効に加え確実性こそないが「エグゼ6」にあったタッグシステムを使用可能、ウルフはカードの回転率を大幅に上げられるクイックゲージを標準装備)) 、対人戦では状態異常無効のアビリティを揃えやすく弱点を比較的突かれにくいヴァルゴやアビリティとしては大容量で装備しづらいスーパーアーマーを標準装備のオックス、及び先述の木属性強化の強力なオヒュカスが強ノイズとされる。 ---反対に、対戦にてほぼ確定で初手で使用される「ウォリアーブラッド」をノーデメリットで扱える以外の点がほぼオックスの下位互換なコーヴァス、「メガクラスを初手に引く可能性が上がる」等を始めとする個性を活かそうとすると戦術が限定的になりがちなクラウンは不遇寄りの評価をされやすい。また無属性のリブラとキグナスもそれぞれの弱点属性の攻撃を使われる機会がストーリー・対戦共に多く、マージアウトを使用しない場合の使いづらさは否めない。 -前作までのキャラクターの扱い --本シリーズでもっとも人気の高いキャラクターである「ハープ・ノート」が前作までは戦う事ができたのに今作では戦う事・バトルカードとして使う事ができなくなった。 ---今作ではノイズチェンジの元となったキャラのバトルカードはバトルが無いキャラでもイリーガルカードとしてランダム入手できるが、ハープノイズは開発中に没となり今作では登場しないのでバトルカードが手に入らない。((ロックマンと同じ列に敵がいる状態で使うとガード不可&マヒ付与の多段攻撃を繰り出すため、本編・対戦共に有用なカードであった。)) ---今作はストーリー上、彼女が敵として現れる場面がないので仕方なかった面もあるが最終作なのだから戦いたかったという声が多かった。 --前作まで登場していた「双葉ツカサ」は今作では未登場((転校したとの事だが、作中での会話でサラっと語られるだけ。))。人気の高いキャラクターであり電波変換も出来る為、味方として登場して欲しかった声も多い。 ---一応ハープ・ノートとは違い、「ジェミニ・スパーク」系のバトルカードは健在、ノイズチェンジの中にジェミニノイズが存在する。 --白金ルナのウィザードが「モード」という非戦闘ウィザードになった為、「オヒュカス」や電波変換形態である「オヒュカス・クイーン」も未登場。ジェミニ・スパーク同様にバトルカードは健在であるが。 --その一方で、前作・前々作で戦った「オックス」は牛島ゴン太のウィザードとなり、電波変換形態「オックス・ファイア」共々スバルの味方として活躍するという躍進を遂げている。無論、バトルカードも健在。 -イベント限定配信アイテムや周辺グッズ限定の要素が多い。 --前作まではパワーアップ物が多かったが今作ではストーリーに関わる物が多い。「エグゼ6」と異なり高額な周辺機器を要求する物こそないものの、期間限定要素が多い。 ---イベント限定配信アイテムがないと戦えないボスがいたり、改造カードでのロックマンの強化など「エグゼ4」からの問題点を引きずったままでいる。 -クリアスターを入手する条件が難しい。 --5つは本編クリアとスタンダードメガクラスギガクラスのカードコンプリートと裏ボスを倒すと入手できるのでそこまで難易度は高くないが、残りの3つの隠しクリアスターを入手する条件はとても厳しい。 ---例をあげるとまず別売りのカードともう一つのカセットが必要。条件を満たすと出現するボスの強さはラスボスや隠しボスを上回ると言われている。これを倒さなければならない。隠しコマンドが必要となる物もある。 --ちなみに現在は正規の手段では全てのクリアスターを入手することは不可能。Wi-Fi対戦でまれに出現するボスを倒すことも条件なのだがDSとWiiのWi-Fiサービスは2014年5月20日(火)付けで終了しておりWi-Fi機能を利用することは出来ないため。 ---このせいで、ラスボスの最強形態と戦えなくなる事に。一応ラスボス戦後のイベント戦で疑似的に戦う事は出来る。((特定のカードで攻撃しない限り、両者共にHP1で耐える、ファイナライズによってロックオン対象カードの威力が二倍になる代わりにフォルダ固定、体力回復なし、ラスボスの体力増加、3ターン目から使えるカードが5枚に減る。)) -『1』と『2』にあったダブルスロットによるロックマン エグゼシリーズとのイベントが今作にない。 --本作の発売日と同じ月にニンテンドーDSiが発売されている。この機種はGBAスロットが廃止されており、こちらに買い換えたユーザーに配慮した為ではないかと思われる。今までのシリーズの連動イベントで入手できたエグゼブラスター自体はパスワードで入手可能 **総評 前作までの短所を見事に片付け、ノイズなどの特徴的な新しいシステムまで搭載したため、ユーザーからの評価は抜群に高い。~ しかしハープノートや双葉ツカサ等の人気キャラの不在、「エグゼ」より続く関連商品商法など無視できない問題点もある。 また、Wi-Fi機能が使えない今フルに遊べないのも残念なところ。 本作は非常に完成度が高いが前作までの出来の粗さで本シリーズを見限ったプレイヤーが多かったのも事実。故に隠れた名作となってしまっている感がある。 初代から子供達の心をがっちり掴んで離さなかったエグゼと比べるとこちらはシステムの完成が遅すぎたとも言える。~ それでも前作までとは比較にならないほどよくできた作品なので、エグゼファンやロックマンファンも先入観は捨てて是非プレイしてほしい。 **余談 -前々作、前作同様に発売開始後すぐに値崩れが起き、3ヶ月後にはワゴンセールの常連になってしまい、新品でも2,000円以下で買えるようになっていた。 --2021年時点では再び高騰が起こり、定価の倍で出荷されている。 //Amazonでは新品が1万円近くになる事もあり、中古でも定価と同じくらいの値段がつく事も。 //↑Amazonで新品が高値で出荷されるのはよくあること。 -パッケージのロックマンのポーズは『[[エグゼ6>ロックマン エグゼ6 電脳獣グレイガ/電脳獣ファルザー]]』のパッケージのポーズと一緒だったり((意図的にデザインした事については否定している。))、「シーサーアイランド」や「パンツやぶり」と言った用語など、『エグゼ』シリーズを連想させるネタがさりげなく含まれている。 -本作は「うまい棒」で有名な「(株)やおきん」とコラボしており、作中でうまい棒が売られていたり((プレイヤーは買えないが現実世界同様10ゼニーとのことで袋に流星のロックマンのコスプレをしたうまい棒のキャラが描かれている))、うまい棒が作中で好物になったキャラが出てくる。 -新キャラであるシドウやアシッドにボイスが付いている。シドウの声優である柿原徹也氏はメニューの機械音声も演じている。 -前々作や前作と違いアニメは放送されなかったものの、『エグゼ』の漫画版を手がけた鷹岬諒氏によるコミカライズが発売時期に合わせてコロコロコミックに掲載され、好評を博した。 --しかし前作までの評価を受けてかコロコロコミック誌上での本作の扱いは大きいものとは言えず、コミカライズも前後編のみで終了・単行本化もされないという悲運に見舞われた。 --2021年11月になって、鷹岬諒未単行本化ロックマン全集に収録という形でようやく単行本化が実現した。 -シリーズ作品のうち本作だけはサウンドトラックの販売が行われなかったが、2018年に流星のロックマンシリーズ全作のBGMを網羅したCDBOXが発売。もちろん本作のBGMも収録され、実に10年越しの音源化となった。
*流星のロックマン3 ブラックエース/レッドジョーカー 【りゅうせいのろっくまんすりー ぶらっくえーす/れっどじょーかー】 |ジャンル|ブラザーアクションRPG|&amazon(B001ET6GTA)|&amazon(B001FA056S)| |対応機種|ニンテンドーDS|~|~| |発売・開発元|カプコン|~|~| |発売日|2008年11月13日|~|~| |定価|4,800円(税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|大幅に改善された戦闘システム&br;ストーリーや音楽も好評&br;豊富なやり込み要素|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ロックマンシリーズリンク>ロックマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ロックマン20周年を記念して発売された『流星のロックマンシリーズ』3作目かつ、シリーズ最終作。 本作では前作までと異なり完全に2バージョン式となっている。 **ストーリー >技術の進歩によって、電波技術は更なる発展を遂げた。しかし、「メテオG」と呼ばれる巨大流星の出現によって、電波ウィルスの凶暴化、ノイズ率上昇によるシステムの暴走が続発するようになる。~ サテラポリスとスバルは、新たに開発された端末「ハンターVG」を使い、崩壊を始めた電波世界を救うために奔走する。~ (Wikipediaより引用) **システムの変更点 今作までは「BGMとストーリーはおおむね良いがシステムに難がある」という評価が大半を占めており、そのせいで『[[エグゼ>ロックマン エグゼ]]』シリーズのファンからは離れられた傾向にある。~ 本作に対してカプコンは「もう一度何をしたかったのかを振り返った」と証言しており、実際システム面には大幅な改良が施されている。 -「高かったエンカウント率」の調整。 --特に『[[2>流星のロックマン2 ベルセルク×ダイナソー/ベルセルク×シノビ]]』は異常なエンカウント率で評価を損ねてしまったので、この点は大きいといえる。 -ボスランクの変更 --前作までの通常、EX、SPだったボスのランクが『[[エグゼ5>ロックマン エグゼ5 チーム オブ ブルース/チーム オブ カーネル]]』までの通常、V2、V3に戻った。メガクラスカードも通常、V2、V3に変更されている。 --V3以降のボスランクには隠しシナリオで戦うことになるR((ちなみに、撃破タイムによってギャラクシーアドバンスの威力が変化する。))、突然BGMが変更したのちに現れるΩが存在する。 --Ωは特定の条件を満たすと出現するのだがとある2体のボスのΩランクと戦うには''イベント限定配信のアイテムが必要。''通常プレイでは戦う事はできない。 ---一部ボスにはこのΩが存在しない代わりに、Σはコマンド入力で登場。アシッド・エースとグレイブ・ジョーカーには、Wi-Fi対戦で乱入してくるアシッド・エースBBとグレイブ・ジョーカーRRが存在する。((現在はwi-fi通信自体が終了している為、戦う事は出来ない。)) ---また、ブライは前作のSXは削除、Rの代わりにZ、レゾンカードを使うことで登場するZZが追加された。 ---メガクラスカードにはイリーガルカード(後述)にXが存在。主にボスからのイリーガルカードで手に入る。 -いつでもどこでも変身が可能になった。 --前作までは一部の例外を除き、「ウェーブホール」と呼ばれる場所でしか変身ができなかった。 -『エグゼ』にあった「レギュラー指定」が復活した。 --レギュラー指定したカードは戦闘開始のときに必ず選択画面左上に現れるようになる。カードが隠れないわけではないが、スタンダードカードであればどのカードでも指定できる。 -前2作にあったフェイバリットカードが廃止され、カスタム画面でフォルダを縛らずにセットできるホワイトカードが追加された。 --ゲーム内の「ウェーブステーション」と呼ばれる場所で決められた4枚のホワイトカードをダウンロードできる。オン/オフの切り替えでフォルダから自由に外すことも可能。 **新システム -新たな概念「ノイズ」の登場。 --戦闘画面では発生しているノイズの激しさが%表記の「ノイズ率」で表される。 ---ノイズ率は戦闘中に無属性カードで攻撃(対戦ではロックオンアタックで攻撃)すると上昇してゆき、上昇にともなってロックマンに様々な現象を巻き起こす。さらに後述するノイズチェンジにも大きく関わってくる。 ---ノイズ率が100%(対戦では200%)を超えると全てのバトルカードに対インビジ(無敵貫通)・引き寄せ効果の方向を逆転する効果を付与する。対インビジの登場により連続してバトルカードを使って畳み掛ける非常にスピーディなバトルが可能となった。 --またこの「ノイズ」は今作のストーリーにも大きく絡んでくる重要な要素でもある。 -「ノイズチェンジ」の登場。 --これは前作までのような任意での変身機能ではなく、『[[エグゼ2>ロックマン エグゼ2]]』と『[[エグゼ3>ロックマン エグゼ3]]』に存在した「スタイルチェンジ」のように戦闘によって形態変化が発生するというものである。 --各ノイズチェンジの形態は、シリーズに登場したボスキャラをモチーフにしている。基本形の10種類に加えて隠し形態の「ブライノイズ」を加えて全部で11種類存在する。 ---片方のバージョンでしかなれない形態は存在しないが、バージョンによって変身しやすさが異なっている。 --ノイズ率0~49%だと「フォームアウト」と呼ばれ、通常の青い姿をしている。この時はカードの威力がやや上昇する程度。 --ノイズ率をそれ以上に上昇させることによって「カラーアウト」と呼ばれる状態に移行して色が変化し、各形態のモチーフになったボスの特徴を反映した固有能力を発現し始める。 ---具体的には、ロックマンに属性がつき、チャージショットも変化。他にも特殊効果が付き、必殺技・ノイズフォースビッグバン(NFB)も使用可能になる。ただし弱点属性の攻撃を受けるとノイズ率が0%になる(=フォームアウト)。 --また、基本の10形態は別のプレイヤーをブラザーに登録することで&bold(){相手と自分のノイズ形態が合体した「マージノイズ」という形態に進化できる。}そのため実質的にノイズ形態の総数は101種類にものぼる。 ---この時はチャージショット・NFB・カラーリング・弱点属性は相手に上書きされ、相手の特殊能力が自分の特殊能力に追加される強力な形態に。 --戦闘中にノイズ率が200%を超える事で、&bold(){バージョンごとに異なる究極変身「ファイナライズ」}を行える。 ---変身形態の名前はタイトルと同じで、それぞれブラックエースとレッドジョーカーに。 ---3ターンの間、非常に強力な効果とNFBを持ち、フォルダも専用のものになり変身時のノイズ率が高いほど強力なフォルダになる。ただし、3ターン経過後はノイズ率は0%になる。 //10(基本ノイズ)+10*9(マージノイズ)+1(ブライノイズ) -「イリーガルカードデータシステム」 --バトル終了の際にノイズ率が100%を超えた状態で終了すると、本来手に入るはずであったカードとは別のカードが手に入るというシステム。さらにノイズ率がとても高い状態でバスティングレベルSを取って勝利すると2枚以上のイリーガルカードが手に入る。 ---「過去作に登場したカード」「通常のカードより強力なXと名の付くカード」「通常のボス召喚カードとは違う攻撃をするカード」など、非常に多くの種類が存在する。 --敵が強いほどイリーガルカードは豪華になっていくが、ノイズ率は時間で減少するため注意。弱点攻撃やファイナライズのせいで0%になる可能性もある。 --バランス調整のためカードごとにレアリティが設定されており、シナリオを攻略していくと出現レアリティが開放されていく仕様になっている。また、同じカードでもバージョンで出現率が異なる。 -「ギャラクシーアドバンス(GA)」を搭載。『[[ロックマン エグゼ]]』シリーズの「プログラムアドバンス」に似たシステム。 --指定された3枚のカードを選ぶと3枚のカードが1枚の強力なカードに変化し、完成したカードはホワイトカードとなる。メガ・ギガカードの強化版が多い。 //ターン開始時に完成するプログラムアドバンスと違いカスタム画面でカードを選ぶことで完成する。また、選ぶカードが他のカードに重なった状態でも発動できる。 --ただしスタンダードのGA(末尾にGAと付かないもの)はイリーガルカードとして単体で入手可能。もっとも、入手可能になる頃には使用する3枚は戦力外になるためだろうか。 -「カードのサイズ」&「サポートユーズ」の概念。 --本シリーズではカードには「スタンダード」「メガクラス」「ギガクラス」の三段階のクラスがあり(後ろに行く程強い傾向にある)、前作までは「メガやギガをとにかく多く入れればよい」という事態が発生していた。 --しかし本作ではカスタム画面にて、カードのサイズの概念が登場。クラスの高いカードの面積が大きくなっており、「カード同士が重なる」現象が発生した。 ---重なって下に落ちたカードは普通に使えない代わりに、カードの属性によって別のカードとして変化させる「サポートユーズ」か、そのカードを選ぶ代わりにそのターンではそれ以外選べなくなる「シングルユーズ」という二種類の選択が可能に。当然ながら面積が大きいと重なりやすくなってしまうのでクラスの高いカードの優遇に歯止めがかかった。 --同じ種類のスタンダードカードを入れると重なりやすくなってしまう。 --また、スタンダードクラスには個性的な効果が与えられ、状況によってはメガ・ギガクラスカードよりも強力になるものが増えた。 ---この仕様変更の為か、今作ではデフォルトで横に並んだカードも一緒に選べるようになっている。 **評価点 -豊富なやり込み要素。 --裏ストーリーで最強のボスと戦ったり、数多くの強化ボス撃破のタイムを競う、サブイベントをこなしていくなどやり込み要素は多め。 --勿論対戦も、新システムや特徴的なバトルカードによって幅が大きく広がった。 -ストーリーも非常に好評。 --「巨大隕石の襲来」と言う展開に始まり、最終作だけあって集大成となった熱い展開が続く。 ---「レゾン((ブラザー同士で大なり小なり目標を定め、チームを結成してその達成を目指す事。))」という新しい概念をシナリオにも盛り込み、これまで以上に「絆」を実感できるストーリーとなっている。また、巨大隕石が地球に迫る中、それを巡って二つの巨大組織が激突するという、前二作を遥かに超えるスケールで描かれる物語は正に最終作に相応しい。 --主人公・星河スバルはシリーズ初期の引きこもりや人間不信に陥っていた時期がまるで嘘のような成長ぶりを見せている。 --鬱要素も健在、特に序盤ではシリーズ屈指のトラウマシーンもあるので覚悟してプレイする事。 --エンディングもシリーズのラストを飾るに相応しい内容。一作目から解決していないスバルと父の物語にようやく決着がつく。ラストシーンは必見。 -新キャラも好評 --味方として登場する「暁シドウ」や敵として登場する「クインティア」と「ジャック」、「ダイヤ・アイスバーン」も好評。 --味方サイドの新キャラ「ヨイリー博士」。名前の元ネタは勿論あのワイリー博士である……。良い心を持つワイリーといった感じであり、どの人に対しても優しいキャラクターで、時系列で過去にあたるエグゼシリーズのワイリー博士の全く反対の存在である。彼女がワイリーの子孫かどうかは不明。 ---『エグゼ6』でワイリー博士が真に改心したものの、エグゼシリーズが終わってしまった為に直接描写されることがなかった、「もしもワイリーが悪の道に堕ちなかったら、或いは正しい道に復帰したら」というその後のイメージを、ヨイリー博士が代わりに与えてくれるだろう。 -タイトルや戦闘BGMをはじめとした音楽も好評。 --特にラストバトルのBGMはメインテーマのアレンジであり、演出も相まって燃え上がること間違いなし。 -対戦バランスの改善 --メガ・ギガクラスカードを選びにくくし強力なスタンダードカードが大幅に追加された事で、前作のような高威力の暗転カードが飛び交うような環境では無くなった。 --ノイズ率上昇による対インビジ(無敵無視)効果の付与により、全体的にスピーディで爽快感のあるバトルシステムとなった。 **賛否両論点 -カードの種類が増加しすぎたため、集めるのに時間がかかる。 --イリーガルカードはライブラリには載らないため、ここまで集めるのは対戦まで見据えた人向け。それ以外のライブラリに載るカード数は前作とさほど変わらなかったりする。 --ノイズ率が100%を超えていると、イリーガルカード等の別のカードが入手したりするので、狙ったカードが手に入りにくいのも難点((特定のアビリティを外す事で対処は可能。))。 ---イリーガルカードの仕様上、ストーリーの進行に関係なく未登場のキャラのカードが入手出来たりするのでネタバレになる事も。 -ランダムエンカウントボスのインフレ気味のステータス。 --上記されている「ランダムで襲ってくるGウィルス」は出現前に「WARNING!」と下画面に警告がなりつつ音声でも知らせてくれるのだが、たまにGウィルスではなくボスも出現する。 ---出現するボスがV3やΩと最終形態で出現するのだが攻撃力が非常に高い。普通に進めていれば主人公のロックマンがHP500ほどの時期に攻撃力200で殴りかかってくる。((自分のノイズが弱点属性だった場合は1発でも食らえば瀕死になりかねない。)) --何も対策していなければ苦戦を強いられるのは必至。負けてゲームオーバーもあり得る。 ---Ωボスの場合は事前に出現する可能性が察知((フィールドのBGMが通常と違い、若干暗い雰囲気のBGM))でき、負けてもHP1でフィールド画面に戻るが、V3の場合は察知も出来ず、普通にゲームオーバーとなる。逃走が可能なのが救いか。 --ボスの行動の早さも目に見えて早くなっておりアクションゲームが苦手な人だと辛い。 -対戦での一部のバトルカードや戦法が非常に強力。 --代表的なのがスタンダードクラスの「エドギリブレード」とメガクラスの「クラブ・ストロング」。 ---エドギリブレード系は1枚だけ選ぶと目の前の1マスを斬るだけだが、複数枚選ぶと枚数分強化される。3枚選べば3回も強力な攻撃を使用可能になる。((具体的に言えば、2枚選ぶと攻撃力+50、攻撃範囲が横3マスに。3枚以上だと攻撃力+100、対インビジブル性能追加、耐風効果追加、攻撃範囲が横3×縦2マスに。)) ---同じエドギリブレード系であれば、数字に関係なくパワーアップ、さらにギャラクシーアドバンスも存在し、極め付きにホワイトカードが存在する等、他のスタンダードクラスと比べてもかなり優遇されている。 ---クラブ・ストロング系は連続攻撃で単体ではそこまで強くないが、オヒュカスノイズやノイズ改造ギアの木属性威力アップやウッド+30組み合わせると、簡単にギガクラスカードを超えるレベルの威力を出す。ジャングルストームやバルカンシード等のサブウェポンも豊富で非常に強力。 --また、エリアイーターでの最接からのグレイブジョーカーで移動を封じる、ブライノイズのロックオン拒否性能とダブルストーンやスーパーバリアを駆使した耐久戦など、対策しても対処が厳しい戦術も存在する。 -ストーリー上の黒幕とその扱いについて #region(ネタバレ注意) --具体的な悪行は伏せるが、エグゼ・流星シリーズの歴代黒幕の悪行が可愛く見える程の悪行を行っており、ロックマンシリーズ全体で見てもかなりの外道である。しかしそれまでの黒幕にあった「悪の道を歩んだ背景の描写」や「和解・改心する展開」がなく、ただただ邪悪な面が目立つ為好みは分かれがち。 ---シナリオ中においても些か扱いや描写が雑。序盤から中盤にかけてこそ余裕綽々と計画を有利に進めていくカリスマ性を見せるものの、「組織の事実上最高戦力であり、唯一まともに付き従っていた人物を自爆させる」という作戦ミスをしてしまってからは事情が変わってくる((彼を残してさえいれば、後述の裏切りを防ぎ野望を達成できる可能性は高かった。作劇の都合上とある重要人物とほぼ同時に退場させる必要があったのも事実と言えば事実だが、些か尚早だったと言うべきか。))。 ---以降は攻撃の一手を読まれるだけ読まれてその先の対応をしない、残りの幹部から完全に裏切られて孤立・計画を破綻させられる、最終的に思い通りにならない世界に腹を立て流星を利用して破滅をもたらそうとする、&bold(){目先の復讐に固執してすぐそばにある勝ち筋に全く気付かない}((「主人公陣営の本拠地に態々赴いて宣戦布告し、裏切り者を始末しようとしてロックマンに阻止され引き下がる」というシーンがあるが、手段を選ばずロックマンが流星に乗り込んで破壊する作戦を阻止すれば勝利を確定させられた可能性が高い。「仲間に対してロックマンの正体が明らかになる場面」の為に雑に起用されている印象も否めない))など、それまでとは打って変わって短絡的な小物になってしまっている印象が強い。 --また、これまでの黒幕が他者の力を使って戦わせていたのに対し、今作では初のロックマンとの一騎打ちで戦う。……と書けば聞こえは良いが、例によって原形を殆ど留めていない上、一度倒すと&bold(){変身後のガワだけが暴走を始め、黒幕本人はおまけのように消滅・死亡してしまう}というあんまりな扱いである。 --エグゼシリーズの一部作品もそうだが、前作・前々作においては戦いの末に黒幕であった人物と歩み寄り和解するクライマックスがストーリー上の大きな魅力となっていた。今作ではその役目は別の人物が担っているとも言えるが、黒幕本人についてもキャラ性やバックストーリーをもっと掘り下げて欲しかったという声は少なくない。 #endregion **難点 -ノイズチェンジの変更条件が「ランダムで襲ってくるGウィルスをデリートすることでランダムで発現する」システムのため、とにかく狙った時に狙ったノイズを出しにくい。 --『エグゼ2』および『エグゼ3』のスタイルチェンジはプレイヤーの傾向が反映されたためある程度操作できたが、本作では完全にランダムで形態の数も多く狙ったノイズを出すのに何時間もかかることもざらにある。その上一応は隠しノイズとして位置付けられているブライノイズの出現率も条件付きとはいえ妙に高く、ブラザーがいないとそれ以外のノイズを求めるときの苦行ぶりに拍車がかかる。 //---更にバージョン毎に出やすいノイズと出にくいノイズがあるのも問題である。 //バージョン毎の差別化点なんだから問題とは違うのでは? 各バージョン専用で入手できないよりマシな設定でもあるし。 --そのノイズチェンジも性能格差は少なからず存在し、ストーリー攻略では前述のエドギリブレード系統を更に強化して扱える上にそれ以外の強化も役に立ちやすいジェミニやウルフ((ジェミニはマヒ無効に加え確実性こそないが「エグゼ6」にあったタッグシステムを使用可能、ウルフはカードの回転率を大幅に上げられるクイックゲージを標準装備)) 、対人戦では状態異常無効のアビリティを揃えやすく弱点を比較的突かれにくいヴァルゴやアビリティとしては大容量で装備しづらいスーパーアーマーを標準装備のオックス、及び先述の木属性強化の強力なオヒュカスが強ノイズとされる。 ---反対に、対戦にてほぼ確定で初手で使用される「ウォリアーブラッド」をノーデメリットで扱える以外の点がほぼオックスの下位互換なコーヴァス、「メガクラスを初手に引く可能性が上がる」等を始めとする個性を活かそうとすると戦術が限定的になりがちなクラウンは不遇寄りの評価をされやすい。また無属性のリブラとキグナスもそれぞれの弱点属性の攻撃を使われる機会がストーリー・対戦共に多く、マージアウトを使用しない場合の使いづらさは否めない。 -前作までのキャラクターの扱い --本シリーズでもっとも人気の高いキャラクターである「ハープ・ノート」が前作までは戦う事ができたのに今作では戦う事・バトルカードとして使う事ができなくなった。 ---今作ではノイズチェンジの元となったキャラのバトルカードはバトルが無いキャラでもイリーガルカードとしてランダム入手できるが、ハープノイズは開発中に没となり今作では登場しないのでバトルカードが手に入らない。((ロックマンと同じ列に敵がいる状態で使うとガード不可&マヒ付与の多段攻撃を繰り出すため、本編・対戦共に有用なカードであった。)) ---今作はストーリー上、彼女が敵として現れる場面がないので仕方なかった面もあるが最終作なのだから戦いたかったという声が多かった。 --前作まで登場していた「双葉ツカサ」は今作では未登場((転校したとの事だが、作中での会話でサラっと語られるだけ。))。人気の高いキャラクターであり電波変換も出来る為、味方として登場して欲しかった声も多い。 ---一応ハープ・ノートとは違い、「ジェミニ・スパーク」系のバトルカードは健在、ノイズチェンジの中にジェミニノイズが存在する。 --白金ルナのウィザードが「モード」という非戦闘ウィザードになった為、「オヒュカス」や電波変換形態である「オヒュカス・クイーン」も未登場。ジェミニ・スパーク同様にバトルカードは健在であるが。 --その一方で、前作・前々作で戦った「オックス」は牛島ゴン太のウィザードとなり、電波変換形態「オックス・ファイア」共々スバルの味方として活躍するという躍進を遂げている。無論、バトルカードも健在。 -イベント限定配信アイテムや周辺グッズ限定の要素が多い。 --前作まではパワーアップ物が多かったが今作ではストーリーに関わる物が多い。「エグゼ6」と異なり高額な周辺機器を要求する物こそないものの、期間限定要素が多い。 ---イベント限定配信アイテムがないと戦えないボスがいたり、改造カードでのロックマンの強化など「エグゼ4」からの問題点を引きずったままでいる。 -クリアスターを入手する条件が難しい。 --5つは本編クリアとスタンダードメガクラスギガクラスのカードコンプリートと裏ボスを倒すと入手できるのでそこまで難易度は高くないが、残りの3つの隠しクリアスターを入手する条件はとても厳しい。 ---例をあげるとまず別売りのカードともう一つのカセットが必要。条件を満たすと出現するボスの強さはラスボスや隠しボスを上回ると言われている。これを倒さなければならない。隠しコマンドが必要となる物もある。 --ちなみに現在は正規の手段では全てのクリアスターを入手することは不可能。Wi-Fi対戦でまれに出現するボスを倒すことも条件なのだがDSとWiiのWi-Fiサービスは2014年5月20日(火)付けで終了しておりWi-Fi機能を利用することは出来ないため。 ---このせいで、ラスボスの最強形態と戦えなくなる事に。一応ラスボス戦後のイベント戦で疑似的に戦う事は出来る。((特定のカードで攻撃しない限り、両者共にHP1で耐える、ファイナライズによってロックオン対象カードの威力が二倍になる代わりにフォルダ固定、体力回復なし、ラスボスの体力増加、3ターン目から使えるカードが5枚に減る。)) -『1』と『2』にあったダブルスロットによるロックマン エグゼシリーズとのイベントが今作にない。 --本作の発売日と同じ月にニンテンドーDSiが発売されている。この機種はGBAスロットが廃止されており、こちらに買い換えたユーザーに配慮した為ではないかと思われる。今までのシリーズの連動イベントで入手できたエグゼブラスター自体はパスワードで入手可能 **総評 前作までの短所を見事に片付け、ノイズなどの特徴的な新しいシステムまで搭載したため、ユーザーからの評価は抜群に高い。~ しかしハープノートや双葉ツカサ等の人気キャラの不在、「エグゼ」より続く関連商品商法など無視できない問題点もある。 また、Wi-Fi機能が使えない今フルに遊べないのも残念なところ。 本作は非常に完成度が高いが前作までの出来の粗さで本シリーズを見限ったプレイヤーが多かったのも事実。故に隠れた名作となってしまっている感がある。 初代から子供達の心をがっちり掴んで離さなかったエグゼと比べるとこちらはシステムの完成が遅すぎたとも言える。~ それでも前作までとは比較にならないほどよくできた作品なので、エグゼファンやロックマンファンも先入観は捨てて是非プレイしてほしい。 **余談 -前々作、前作同様に発売開始後すぐに値崩れが起き、3ヶ月後にはワゴンセールの常連になってしまい、新品でも2,000円以下で買えるようになっていた。 --2021年時点では再び高騰が起こり、定価の倍で出荷されている。 //Amazonでは新品が1万円近くになる事もあり、中古でも定価と同じくらいの値段がつく事も。 //↑Amazonで新品が高値で出荷されるのはよくあること。 -パッケージのロックマンのポーズは『[[エグゼ6>ロックマン エグゼ6 電脳獣グレイガ/電脳獣ファルザー]]』のパッケージのポーズと一緒だったり((意図的にデザインした事については否定している。))、「シーサーアイランド」や「パンツやぶり」と言った用語など、『エグゼ』シリーズを連想させるネタがさりげなく含まれている。 -本作は「うまい棒」で有名な「(株)やおきん」とコラボしており、作中でうまい棒が売られていたり((プレイヤーは買えないが現実世界同様10ゼニーとのことで袋に流星のロックマンのコスプレをしたうまい棒のキャラが描かれている))、うまい棒が作中で好物になったキャラが出てくる。 -新キャラであるシドウやアシッドにボイスが付いている。シドウの声優である柿原徹也氏はメニューの機械音声も演じている。 -前々作や前作と違いアニメは放送されなかったものの、『エグゼ』の漫画版を手がけた鷹岬諒氏によるコミカライズが発売時期に合わせてコロコロコミックに掲載され、好評を博した。 --しかし前作までの評価を受けてかコロコロコミック誌上での本作の扱いは大きいものとは言えず、コミカライズも前後編のみで終了・単行本化もされないという悲運に見舞われた。 --2021年11月になって、鷹岬諒未単行本化ロックマン全集に収録という形でようやく単行本化が実現した。 -シリーズ作品のうち本作だけはサウンドトラックの販売が行われなかったが、2018年に流星のロックマンシリーズ全作のBGMを網羅したCDBOXが発売。もちろん本作のBGMも収録され、実に10年越しの音源化となった。

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