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*ウィザードリィ外伝III ~闇の聖典~ 【うぃざーどりぃがいでんすりー やみのせいてん】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B000092PJM)| |対応機種|ゲームボーイ|~| |メディア|4MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|アスキー|~| |発売日|1993年9月25日&br;1999年2月19日(復刻版)|~| |定価|5,150円(税別)&br;5,000円(復刻版・税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アスキー製作のウィザードリィ外伝シリーズの第3弾。~ [[BCF(#6)>Wizardry 6 Bane of the Cosmicforge]]以降の新規追加要素を、#5以前のシステムに上手く落としこんでいる。 **ストーリー > とある王国の城下に、アガン・ウコーツという青年がいた。~ 才気にあふれた彼は将来を嘱望されていたが、ある日恋人のダリアが何者かによって殺害されてしまう。~ 蘇生の魔法でも彼女を復活させることができないと知ったアガンは絶望したが、~ 高位魔族の力を借りれば彼女を復活させられるかもしれないことを知り、苦渋の選択の末~ 禁断の技「魔族召喚」に手を染めた。~ 召喚の儀式は成功し、次元を超えて次々と魔族が押し寄せてきたが、彼の望む高位魔族は現れなかった。~ 王国は現れた魔族により地獄絵図と化し、アガンは負の力によって何処かへと飛ばされた。~ ~ それから十数年の時が経った。~ 異国に飛ばされたアガンは、そこで王となって君臨していた。才覚によって国を統一したアガンは~ 近隣諸国に手を伸ばし始めたが、そんな中彼は「莫大な財宝の眠る呪われた城」の噂を耳にする。~ アガンは兵をまとめて呪われた城を目指したが、そこはかつてアガンによる魔族召喚によって~ 滅んだ王国の城であった。魔物の跳梁跋扈する様を見たアガンは、この地から魔族を一掃し、~ 自らが犯した罪を償うことを決意する。~ アガンはこの地に拠点となる城砦都市を建設し、その都市にかつての恋人の名「ダリア」と名付けた。~ ~ 城砦都市ダリアを拠点に魔族との戦いを続けていたアガンであったが、ある日旅の商人から贈られた~ 黄金の仮面を身につけたところ態度が豹変。一言も発せず部屋に閉じこもるばかりとなってしまった。~ 以降、「仮面の呪いを解き、アガン王を正気に戻した者には褒章が与えられる」というお触れが発せられ、~ 町には褒章目当ての冒険者が流れ込むようになった…。 ---- **特徴・評価点 -ROM容量の増加に伴う、大幅なボリュームアップ。 --従来シリーズでは1つの迷宮を探索するのみであったが、今作は洞窟に限らず森、墓地、教会、山脈など、フィールドをすべて擬似3D形式で表現するという、BCF(#6)以降に準拠したマップ構成となった。 --それまでのウィザードリィ外伝をベースに、BCF以降追加された種族や職業、呪文を取り入れた。ただし容量不足だったのか、種族ではフェルパーが、職業ではサイオニックとモンクが漏れている。これらは後作の『外伝IV』までおあずけとなった。 ---アルケミスト呪文(『外伝IV』のサイオニック呪文も)はオリジナルでは英語であったが、外伝シリーズでは#5までの法則を使って命名され直されている。これらはエンパイアやエクスシリーズでも採用されている。((カルノバ→ケアルノバ、カルドゥ→カルドラ等)) --性別の概念が追加。男性は力、女性は生命力にボーナスがあるほか、女性専用の職業もある。 ---明らかに女性有利だったBCFとは違って男性にも専用装備が増える等、性別格差は多少改善された。 --死体回収屋の登場。一人につき10000G必要だが、全滅したパーティーを探し出し、寺院まで送ってくれる。 ---城のすぐ近くにあるので、第二パーティー等に所持金を預けておくことで楽に回収可能となり、全滅の危険が減っている。 -転職による加齢が1~3歳程度に抑えられ、何度か転職を繰り返してもあまり問題にならなくなった。 --複数系統の呪文を覚えたキャラクターを作りやすくなった。冒険中盤以降は全員が高位の呪文を使えないと話にならないレベルである。 -城の施設で情報を聞けるようになった。 --施設の使い方がわからない初心者にも配慮している。 --序盤は施設の人からの依頼を受ける形で冒険を進めていくことになる。依頼を達成すると新たな場所へ行けたり、報酬をもらえることもある。 -各ダンジョンは城から離れた位置にあるが、城から出てアイコンを選ぶことで、ダンジョン入口から直接スタートできる。 --城への帰り道もいたるところに用意されており、転移呪文を覚える前でも帰還は容易。 --屋外マップは視界が良いので明かりの呪文を使う必要がない。 -デュマピック効果のある「ほうせきのゆびわ」とロクトフェイト効果のある「ルビーのスリッパ」の値段が大幅に安くなり、序盤から使っていけるようになった。 --特にルビーのスリッパは地雷モンスター(後述)から安全に逃亡する手段として非常に有用。ただし店の在庫数に限りがあり、帰還のたびにバンバン使ったりするとすぐ在庫切れになる。 -序盤は『外伝II』のように致死ダメージやクリティカルしてくる敵もおらず、冒険を始めてすぐ死者が出るという事故はほぼ起こらない。中盤以降は敵も強力になってくるが対処自体は容易であるためほどよい歯応えになっている。 --終盤は呪文対策をしても打撃によるクリティカルで死ぬ、そもそも呪文が通らない敵が多いなど泣きたくなるほど凶悪になり、まともに戦おうとするのであればアイテムの収集が必須となる。これまでのWizの体裁は十分保っていると言える。 ---終盤のダンジョンから手に入るようになるアイテム群は当然強力なものが揃っており、それまでデフレ気味だった味方の戦力がグンと強化されることで他のシナリオでは味わいがたいカタルシスを得られるようになっている。 --クリア後に侵入可能な隠しダンジョン「ドラゴンの洞窟」が登場。ここでは、敵の能力が凄まじいインフレを起こす。 ---「ラスボスを上回る強さの敵」が「複数匹のグループを組んで」地下1階から出現する。全3階層だが、階層を降りる度に前の階の敵が赤子に見えるほどの敵が出現するインフレ具合。マップ構成もかなり極悪。 ---とんでもないことに召喚呪文でドラゴンの洞窟の敵を召喚できることがあるため、クリア前でもインフレの片鱗を体感することが可能。(後述) -裏ボス「ダイアモンドキング」が登場。由来は本家ウィザードリィ#2(FC版は#3)のサブタイトル「ダイヤモンドの騎士」より。 --ダイアモンドキングは、最高のダメージ呪文の威力が最大150のウィズ世界においておよそ5000~6000のHPを持つ(まずありえない確率だが理論的な最大値としては1万を越える)、当時としては圧倒的なHPを持つ敵であった。 ---ただし攻撃力が同階層の他のモンスターに比べて低く(とは言えクリアレベル程度ならオーバーキル)、首刎ねやドレインといった致命的な攻撃も持っていないこともあって、ドラゴンの洞窟最下層で互角以上に渡り合えるレベルならば負けることはまずない。敵を瀕死にする呪文「ラバディ」も通用するなど対処がしやすいぶん、後のシリーズ(特に『ディンギル』)のインフレぶりよりはマシである。 --本作以降、「ダイアモンド○○」はアスキー製の外伝シリーズの裏ボスとして君臨し続けた。 ---「ダイアモンドキング(外伝III)」→「ダイアモンドナイト(外伝IV)」→「ダイアモンドドレイク(ディンギル)」と進化を遂げていくこととなる。 --また、アスキー製に限らず国産ウィズ、およびそれに準ずる作品において「クリア後の隠しダンジョン=インフレ」が定番となる。『外伝I』『外伝II』でもこの傾向は見受けられたが、『外伝III』以降その傾向が加速するようになった。 --ダイアモンドキング以外にも、「忌まわしきアミュレット」「ブラックボックス」「ダンス会場((#5では「ダンスホール」だった。回転床がちりばめられており、歩いているだけでクルクル回ってしまう。強敵も出るが、そのぶん経験値やアイテム稼ぎに便利。))」など、本家のオマージュ要素が大量にある。本家を知っていればネタとして楽しめる。 //「いわくつきの杖」「竜の姿をした神」等外伝3のシナリオの本筋に関わっている要素は賛否両論点の通り従来のユーザーにとってセンシティブであり評価点とはし難いため削除 -前作までの流用の多かった施設のBGMが全て一新されており、評価するユーザーが多い。 --作曲者はWiz外伝シリーズお馴染みの藤原いくろう氏。ダンジョンBGMとは対照的な激しさのある戦闘時のBGMと落ち着いたキャンプ時のBGMも高評価。 --ただし、寺院での蘇生時のBGMも一新されているのにメッセージの表示タイミングが前作のまま無調整で噛み合っていないという問題点も。 -おまけ要素として、他プレイヤーとの対戦が行える「闘技場」が追加された。 --制限時間内に迷宮をクリアする「迷宮」および他のプレイヤーの冒険者と戦える「対決」モードが楽しめる。 --冒険者同士の対戦要素は今作が初。だが単純にプレイ時間が強さに直結するシステムであることもあってか、以降のシリーズでは搭載されていない。 --なお「迷宮」モードでは蘇生呪文が絶対に成功しこのモードで手に入る専用のアイテムの使用時の呪文効果が蘇生呪文のため、許容できるのであればパーティが壊滅した際の緊急手段として使える。 -「アガン・ウコーツ」という人物を中心にしたシナリオも印象的。ただし初見者が高確率でバッドエンド(=裏ダンジョンへの移動が困難になる)になる最終部分は不評。 --拠点の町を出てすぐのところに冒険者の集まる場所があり、ここで聞けるヒントに従って進めればバッドエンドを回避できる。だがあくまでヒントなので、謎を解けなかったり、ヒントの内容が変わっていることに気付けなかった場合はバッドエンドに行ってしまいやすい。 --バッドエンドを迎えたキャラには称号が付く。この称号がないキャラだけでパーティーを組めばラスボスに再挑戦が可能で、グッドエンドを迎えることもできる。バッドエンド称号はグッドエンド称号で上書きできる。 ---なお一度でもバッドエンドを迎えると以降はグッドエンドを迎えてもバッドエンドのフラグが消えずエンディングの最後の一枚絵がバッドエンドのアガンの墓になる。 -グッドエンディングは''この作品の印象をウィザードリィというタイトルから切り離した上で''普通に見れば悪くないのだが、一部のファンからは不評。 //グッドエンディングは普通に見れば悪くないのだが、後述のプロデューサーへの批判のせいか一部には不評も。 --そのため一部のファンからは「バッドエンドこそ真のエンディング」と揶揄され、中には意図的にバッドエンド(アガン埋葬エンド)の道を選ぶ者も(一応裏技で裏ダンジョンへは行けるため)。 ---もっと酷いプレイヤーはアガンを蘇生させようともせずに延々と殺し続けたり、ラストダンジョンでレベル上げ後にアガンを放置して裏ダンジョンへ赴く者も。~ ''「あんな、おうさまを てだすけする ひつようは ないじゃないの ほうっておいたら。」by宿の女将'' ---- **問題点 ***システム面 -全体的に処理スピードが遅くなり、ゲームテンポが悪化。特に戦闘開始時と逃走時は1秒ほどの「間」が毎回発生する。慣れれば気にならない程度の遅延ではあるが…。 -前作までと違い、戦闘画面の敵グラフィック表示欄の色がグレーになったが、敵グラフィックが見辛くなったとの意見も。 --デザイナーも前作までの池上明子氏から変更されており、元デザインをGBの低い解像度でも忠実に再現していた前作までの美しい敵グラフィックに比べると、外伝3の場合元デザイン総入れ替えの上モンスター総数がかなり増えているということを考慮に入れても元デザイン及びゲーム上でのグラフィックはかなり見劣りしてしまう。 --ゲーム上でのグラフィックが潰れすぎていて描き分けできていないように見える敵も存在する。例えばライトロードという敵はぱっと見ではクルセイダーロードという敵にエフェクトを付けたようにしか見えないし、ゴブリンプリンスという敵に至っては名前を見なければゴブリンと判断するのが困難になっているほど人間型の敵にしか見えない。 ---元デザインに問題のある敵も多く、上記のゴブリンプリンスに加えてオーガーなどの亜人系の敵は妙に姿勢が良い上に頭身がすらっとしており人間系の敵と区別が難しい。人間系の敵には武器を構えて仁王立ちしながら体勢を低くしているという亜人系の敵と似たようなポージングの見た目がやたら多いのも混乱に拍車をかける。竜系の敵は種類が多い割に個性豊かなのだが…… -『外伝II』同様マニアモードが搭載されているが、マニアモードでクリアしても何も特典がなく、完全に自己満足でしかなくなってしまった。 --「蘇生やアイテムのSPで良い結果を引くまでやり直すことができる」点は健在。……なのだが今回は虎殺しの槍のような有用かつ確率で破損するアイテムが存在せず、村正のSPを解放した際に絶対に破損するようになってしまったこと、対戦モードの迷宮内では蘇生が絶対に成功することを知っていると実際はメリットがほとんど無い。魔力の盾のSPで盾を壊さず戦士系のキャラの全MPを9にすることが可能なくらいか。 -『外伝I』『外伝II』で育てたキャラを転生・転送で使用できるが、''能力値が種族初期値に戻ってしまう''ため、元世界でいくら強化していようと何の意味もない。 --初期年齢も高いため、新規キャラを作成したほうが強い。有利な点と言えば初期所持金が多いことくらい。 ---上級職のキャラも転生できるが、成長の遅い上級職を能力ボーナス無しでいきなり投入しても、序盤では非常に使い勝手が悪い。 ---当然、新種族を転生してくることはできない。 ---初期装備として店で扱っていない古代装備を持っている。しかし性能は店で売られている最下級の品とほぼ変わらない。 --転生・転送したキャラには称号がつくが、それが有利に働くことは一切ない。『外伝IV』に転生すると、その称号も消えてしまう。 ---『外伝II』をマニアモードでクリアした称号も、転生してくると何故か通常モードクリアの称号に変化してしまう。 --本作に転生してきたキャラは''性別がランダムで決まる''(外伝I・IIには無かった項目なので)。目当ての性別でなかった場合、キャラを削除してパスワードを再度入れ直しになる。 ***キャラクター・呪文等 -BCF(#6)の「器用さ」「魅力」のパラメータが無くなり、#5までの形式の「素早さ」と「運」に統一されたが、その影響で種族間のバランスがかなり狂ってしまった。 --呪文の扱いが下手だったリズマンの欠点がなくなり、呪文の覚えこそ悪いものの覚えてしまえば普通に使えて身体的には最強という、ぶっちぎりの強種族になってしまった。 --旧種族で素早かったノームの素早さがガタ落ちし、盗賊に向かない種族に変わってしまった。ホビットも素早さが落とされ、#6での器用さの高さも素早さに反映されていないため罠外しが下手になってしまった。 ---素早さに優れた種族としてフェアリーがいるが、フェアリーの素早さが14もあるのに対して他の種族は9以下のダンゴ状態。はっきり言ってフェアリー以外の種族の罠外しは信用ならない。 --各パラメータの最大値が「種族の基礎値+10」であるという#5以降の仕様を考慮していなかったために起こっているバランスの歪みとも言える。BCF(#6)では上限が従来の18固定(アイテム使用時は20)に戻っていたのでどの種族でも気軽に使用できたのだが…… -今作登場の種族の一つ、ドラコンはなぜか%%逃走できない%%逃げるコマンドがない。 --この種族のみブレス攻撃が可能という特徴があり、おそらくこのコマンドの追加のために逃走が削られてしまったためだと思われる。『外伝IV』ではきちんと別々のコマンドになった。 --システム上は「誰か一人が逃げるを選べば即座に全員で逃走する」方式なので、全員ドラコンパーティーでも組まない限り逃走不可になったりはしない。 --ブレス自体は敵と同じく自らの現在HPに依存した威力の通常攻撃や攻撃呪文とも違う属性の攻撃を行うというものなので使いどころを考えれば有用。ただしアルケミストの呪文でも同様の効果は得られる。 -本家や前作までは5種族全て違うステータス異常耐性が設定されていたが、今作で新登場となった種族の耐性は''全部ホビットと同じ''という投げやりな設定をされている。 --職業も同様のステータス異常耐性を持っているが、こちらも追加職業は戦士以降の耐性をループして読み込んでいるなど設定が雑。 -職業の使い勝手の差が激しい。前項の通り破綻してはいないのだがやはり今作も職業の差がある。 --BCF(#6)にて「ロードの存在価値を奪う」と問題視されていたバルキリーの強さは相変わらず。ただし性格が中立に限定され、女性なら誰でもなれるわけではなくなった。((逆に言えば中立でも僧侶呪文を覚える機会があると言える。)) ---作りやすいうえに僧侶よりも成長が早く、専用装備もあるので使い勝手がより一層増している。一応ロードにも専用装備の聖なる鎧があり、これにエクスカリバーを加えれば一度に倍打を与えられる種族の多さではロードが有利ではあるもののエクスカリバーはバルキリーも装備可能。 --BCF(#6)にて弓の攻撃回数1回固定等のシステムの不備があったレインジャーはさすがに修正され、実用に耐えうるくらいには強化された。 ---それでも弓の射程が槍と同じ((前衛ではどの敵でも攻撃可能、後衛では敵の前列2グループまでの相手に攻撃可能))になる、力の強い種族は最強の弓を装備できない((最強の弓の一つ手前の弓は逆に力の強い種族しか装備できず入手時期も早いものの攻撃力が最強の弓の半分以下かつ追加効果のクリティカルとヒーリング効果が被っている))など、使いづらい部分も多い。 --バードは楽器(バードのみが使えるマジックアイテム)を演奏でき、盗賊の技術と魔法使いの呪文を使え、成長も早い。しかし楽器がイマイチなものが多く、盗賊の技量も未熟なので後半は息切れする。 --ビショップはBCF(#6)にて識別特技が削除され、呪文の覚えも非常に遅い地雷職業になってしまったが、今作では識別特技が復活し、レベルさえ上げれば呪文も錬金術以外の全てを覚えるようになった。 ---しかし錬金術に鑑定呪文のカルドゥが登場してしまい、錬金術の使い手がいれば無理に入れる必要もなくなってしまった。 ---前作までに比べてアイテムの識別難度が上昇しており、失敗して恐怖状態になったり、呪いアイテムを勝手に装備してしまう確率が上がっている。鑑定呪文なら失敗しないし、別キャラの所持アイテムも識別できてしまう。 -盗賊技術を持った職業は増えたが、結局は盗賊を使うことになりがち。 --今作の盗賊技術(宝箱の罠鑑定)の技量は盗賊>忍者>レインジャー=バードとなっている。なお宝箱の開錠率には影響しない。 ---元々盗賊前提で宝箱の罠鑑定率が設定されていたので、忍者より低い新職業では罠鑑定の成功率はお察し。ちなみに忍者は前作までよりも鑑定率が上がっており、多少信頼できるようになった。 --シークレットドアの感知能力は盗賊と忍者にしか無く、バードやレインジャーでは感知できない。一応こちらは場所を知っていたり目星がついていれば感知しなくとも探し出すことは可能。 --更に、''ダンジョン内の施錠された扉を解錠する適性も盗賊と忍者にしか無い''。しかも呪文による開錠もできない。 ---説明書にも「鍵のこじ開けは盗賊や忍者が得意」と書かれており、バードやレインジャーが得意とは書かれていない(適性を得るのは『外伝IV』以降)。 ---忍者も序盤で作るのは難しいため、適正レベルでその場所にたどり着いた時、盗賊でないとほとんど開けられない事になる。ちなみに盗賊や忍者ならレベル10前後で開けられる扉も、他の職業だと15ほど必要になり、経験値に直すと約10倍もの差になる。 ---前作までにも鍵付きの扉は登場したが、単なる別ルートだったり、急いで行く必要のない場所(逆に低レベルで踏み込むとヤバい場所)だったりしたので、すぐに開けられなくても特に問題はなかった。本作では攻略ルート上に設置されているので、開けられなければ別の場所へ行ってレベルを上げてから来るということができず、そこで詰まってしまう。 --上記の理由により、結局クリアの効率面を考えると「盗賊を加える」又は「開錠用に盗賊を育てる」といった展開になりがち。 ---なお、鍵付きの扉を開けられるかどうかの判定にはレベル以外に素早さも使用されており、素早さ最大のフェアリー盗賊であればレベル10で開く扉が他の種族だとレベル11以上必要になるなどここでもフェアリーが優遇されている。 -アルケミスト呪文はアイテムを鑑定するカルドゥ・味方全員の毒と麻痺を治療するモルフィスなど便利なものもあるが、やはり魔法使い・僧侶の呪文よりは重要度が低い。 --リクレアなどの雲系攻撃呪文は効果発動が唱えたターンの最後であるため、基本速攻重視なウィザードリィの戦闘においては相性が非常に悪い。また火力が全体的に低く設定されており、使用が想定されているであろう敵の強さと明らかに釣り合っていない。 ---その一方で敵に唱えられた場合は戦闘が終了したターンでも効果が発動するため、やっかいな呪文と化している。 --一応敵の通常の攻撃呪文の無効化率と雲系攻撃呪文の無効化率が別々に設定されているため、下記のフライングティースなどは通常の攻撃呪文は通用しないが雲系攻撃呪文は効くなど使い分けで楽になるようにはなっている。しかしフライングティース(HP13〜17)と初めて相対した時に使えるであろうリクレア(1ターンに1〜4ダメージ)やダルクレア(同2〜8ダメージ)では3ターン経っても撃破できるか怪しく、異なる雲系攻撃呪文を重ねがけするか結局途中で物理で殴る必要があり、本末転倒な事態になっている。 --なお雲系攻撃呪文を除くとアルケミストの呪文でまともにダメージを与えられるのは最初の呪文レベルで覚えるドラコンのブレスと同効果のナグラと、最後の呪文レベルで覚える単体ダメージのアリクスのみである。ナグラは雲系攻撃呪文扱いだがアリクスは通常攻撃呪文扱いなので覚える頃には敵に通じないことが多い。 --オスロとマオスロはパーティ全員の通常攻撃の命中率を上昇させる常駐型呪文だが、''バグで全く効果が無い。'' ---ついでに敵がオスロを唱えることがあるが、この際は''プレイヤー側にオスロがかかる。''もっとも上記の通り効果が無いので影響は無いが、敵がこちらに塩を送っていることには変わらないので違和感は強い。 --フォフィックは長時間パーティ全員の呪文無効化率を上昇させる常駐型呪文だが、''バグで敵の呪文無効化率が上昇してしまう。'' --ノーフィスは敵全員の呪文無効化率を下げてこちらの攻撃呪文を通りやすくする呪文だが、''敵が唱えた場合はプレイヤー側ではなく敵側の呪文無効化率が下がる。'' ---ノーフィスは外伝2に存在した同効果の呪文のフィスノイトの処理をほぼ完全に流用しており、フィスノイトは敵が唱えることが無いので元々敵が唱えた場合の処理が用意されていないにもかかわらず、同処理のノーフィスを敵が唱える設定にしてしまっているのが原因。 --この他にも敵の逃走実行確率を上げるが実際に逃げるかどうか不安定でそんなことを狙うより倒すか無力化させた方が早いノーリスなどアルケミスト呪文の調整の甘さが目立つ。 //唱えたターンだけ自分への攻撃を味方に逸らさせる(呪文やブレスには無効)フィクドラ((そもそもフィクドラを唱える前に敵に攻撃されれば無意味であり、フィクドラが使えるのであればHP全快呪文のカディオスも使えるため、「今敵に狙われると倒されるのでフィクドラで味方に攻撃を肩代わりしてもらう」などというフィクドラに頼るシチュエーションが存在しない。)) //↑打たれ弱いアルケミストが戦士に守ってもらう等、使い道はある --BCF(#6)同様、使い勝手は悪いが、無ければ無いでいざという時に困るといった位置にあると言える。 //--BCF(#6)同様、使い勝手は悪く一部の呪文しか使わないと言える。僧侶で代用できるカディオスとモルフィスはともかく、カルドゥは便利ではあるのだが…… //↑モルフィスは範囲全体なので代用不可 ***ダンジョン・モンスター -『外伝I』『外伝II』同様、相変わらず敵が強め。加えて本作には各ダンジョンに明らかに場違いな強さの地雷モンスターが登場している。 --序盤のフライングティース(通称:入れ歯((名前の通り歯形が飛んでいるという見た目のため)))や中盤のジャイアントクラブ・終盤のブロブアイなど。特にジャイアントクラブはHPと守備性能が異様に高く一度に大量に登場する上、行動が「クリティカルヒットを伴う打撃」もしくは「仲間呼び」の2択しかないため、裏ダンジョンを除くと事実上の最強モンスターである。そのあまりに場違いな登場はwizファンの語り草となっている。 //--ブロブアイに至っては極めて優秀なACかつ呪文をよく無効化し、石化ブレスを吐いてくるという狂った性能でこいつが登場する「山脈」に入った冒険者達を門前払いする。そして「山脈」を含めたラストダンジョンの全域でブロブアイ単体のみならず別のモンスターのお供としてブロブアイが当たり前のように登場する。 //↑ブロブアイが出ないフロアもしっかりある ---これらのモンスターは攻撃呪文を高確率で無効化するが、状態異常呪文は通用するため、行動を封じて1体ずつ倒すなり、逃げるなりするという対処法はある。他の敵よりもランクが高めなので、撃破できればそれなりに良いアイテムが手に入る可能性もある。 //ただしこちらのレベルが低ければ当然状態異常呪文が成功しないし、ブロブアイに関しては奇襲で先制攻撃ブレスをしてくることがありこちらは仕様上対処不可能。 //↑先制攻撃は呪文で防げるし、この段階で覚えていないということはまず無い --また本作ではシリーズの常連モンスターが変な強化をされているケースが散見される。ラダルトを唱えるレッサーデーモン、ティルトウェイトを唱えるスクライルなど。 ---ただしこれらは全員悪魔系の敵なので、シナリオの関係で魔族が増長している影響という見方はできる。 --悪魔系の敵の他も商店街のコボルト、オーク、ゴブリン、オーガーという亜人系の敵が全員アルケミスト呪文を覚えているなど首を傾げたくなる設定が多い。特に上位の敵ともなると軽視できない頻度で雲系呪文や全体催眠呪文のカティクレアを使ってくるためパーティが消耗しやすい。 -マップの大幅な追加によるバランス調整のためなのか、終盤まで敵から獲得出来る経験値が低いうえ、アイテムもロクなものが出ない。特に経験値の低さは前述の鍵付き扉やシークレットドアとシステム的に噛み合っておらず、行き詰まった時のレベル上げがとにかく大変。 --一方で終盤のダンジョン「山脈」まで来れば敵の経験値が大幅に上昇しこの問題はほぼ解消されるが、その頃にはもはや鍵付き扉など存在しないのであった。 //まず上記のブロブアイ等に安定して勝てるほどレベルを上げないと先に進むこともままならないためまずここの一歩手前でレベル稼ぎを強要される。 //↑山脈手前に稼ぎ場が設置してあるし、あえて低レベルで進む必要もない -『外伝II』で存在していた「HP自動回復が毎ターン開始時に敵のレベルアップとして働く」「状態異常呪文に対する無効化能力が働いていない」といったバグが直っていない。 --状態異常呪文の無効化能力が機能していないため、逆に前述のジャイアントクラブ等の強敵に対処しやすくなっているのも事実ではあるが。 -マーフィーズゴースト --シリーズ恒例の稼ぎ用モンスターのマーフィーズゴーストは今作にも居る……のだが、到底稼ぎには適していない強さを持っており、序盤に稼ぐ際は大抵フライングティースが狩られることになる。 ---外伝2のマーフィーズゴーストと比べても一回り強化されており、HPが50~130と非常に高い上にACも強化されている。何より外伝2では1だった自動回復量が何故か''10''に設定されているためにバグでどんどんレベルが上がっていき、序盤のパーティの強さでは撃破した頃にはかなり消耗してしまう。呪文も通るには通るがこのHPでは序盤の攻撃呪文は焼け石に水である。 ---そのくせ獲得できる経験値は前作と据え置きである。参考までに、マーフィーズゴーストの経験値は4450、フライングティースは最小出現数の3体でも3450、最多出現数の9体なら10350。後者はランダムエンカウントなので遭遇までに時間がかかり、こちらもこちらでそれなりに強いとはいえ、それでも前者を長い時間をかけて倒すよりは手っ取り早い。ついでに言うとマーフィーズゴーストが置いてある場所よりもフライングティースが出現するエリアに入る方が早い。 --上記の通り元々稼ぎが難しいバランスであることと、マーフィーズゴーストが登場するイベントマスにはかなり威勢の良いことが書いてあるため、意図的な調整である可能性が高い。とはいえフライングティースが居る以上こちらだけ割に合わない仕様になっているのは調整ミスを疑わざるを得ない。 -ドラゴンの洞窟以降のゲームバランスは決していいとは言えない。 --エンディング後すぐにドラゴンの洞窟に乗り込むと、たいていは返り討ちにあう。 //---特にドラゴンの洞窟の大抵の敵は二桁台のHP自動回復能力持ちであり、上記のバグが発動するために極めて凶悪な強さとなる。 //↑ここまで来れば敵が凶悪なのは当たり前だし、その原因はバグによるものではない --ドラゴンの洞窟の入口のあるマップで戦闘中マロールで逃げた際に洞窟入り口前の座標に飛んでしまう事がある。もちろんマップにはその場所が踏破済みとして記録され、普通にマロールで飛べる上に入ることも可能だが、洞窟に入ってしまうと正攻法でクリアしても全体マップにドラゴンの洞窟のアイコンが出なくなる。 ---ラストダンジョンでもそこそこの経験値が入手可能で、そこで経験を積んでから訪れれば互角に渡り合えるようにはなるのだが、かなりダレやすい。 --ドラゴンの洞窟では攻撃呪文がほとんど役に立たない。 ---ドラゴンの洞窟に出現する雑魚敵はだいたい100~300、トップクラスの敵は数百ものHPを有しており、呪文無効化率もそれなりに高い。一方最強攻撃呪文「ティルトウェイト」で与えられるダメージは大体100前後で、それも呪文が無効化されずに通ったら、の話。攻撃呪文は前述のラバディや即死呪文以外ほとんど役に立たない(HP自動回復能力バグで敵のレベルも上がっているので即死呪文もレベル100程度にならないとイマイチ効いてくれない)。 //-ドラゴンの洞窟は前述のノーフィスとラバディの組み合わせで倒していくパターンに固定されがち。 //--むしろこのパターンが決まらないと倒すこともままならない敵ばかりなので救済措置の一種と捉えることができる。 //↑この方法では1ターンに1匹しか倒せないので集団で現れるドラゴンに太刀打ちできず、救済措置でもなんでもない --B2の探索を進めると明らかに怪しい空間がある((BCFのオマージュである「TREBOR SUX」という文が書かれており、どうにかして中に入る必要があると分かる。))。中に入る方法は''戦闘中のマロールかテレポーターの罠によるランダムテレポートしかない。'' ---その階層は岩のマスも多く存在するためランダムテレポート時に岩の中に飛び込むこともある。運が悪いと目的の空間に入るまでに何度か岩の中に入らされることになる。尤も全滅するだけなので、ここまでくればそれほど危険なトラップでもない((全滅が嫌なら、マロールを覚えた魔法使いを一人作ればすむ。後輩の育成をしてはどうかというアドバイスもある。))。 ***対戦モード -対戦バランスは良いとは言えず、はっきりいって雑。 --Wizのシステム上仕方ないとはいえ、全体石化呪文のロクドや状態異常呪文のバスカイアーやマウジウツで敵を一掃して生き残った敵を総叩きにするのが最適解。ただしお互いの装備品が整っていると呪文抵抗でこれらすら無効化されやすいので単なる殴り合いになる。 ---対戦モードではバカディ・ロカラ・マトカニの全体即死呪文や全体麻痺のラニフォ、召喚呪文、戦闘から離脱するマロールやロクトフェイトが効果を発揮しなくなる。しかしバディ・ロクド・バスカイアー・マウジウツなどは何故か通るなど対策が片手落ち気味。 --迷宮モードでは開始時にMPを全レベル1回分のみに減らされるため((玄室のモンスターを倒してオーブを回収すると全MPが1回分回復する))致命的な効果の呪文の連発はできない上にパーティが操作パーティと待機メンバーで分割可能なシステムなので戦略性があるにはある。 ---しかし対決モードだとMPの修正が入らない上に最初から4対4の総力戦になるので上記の最適解の展開になりがち。 --前述のノーフィスのバグのためにノーフィスを使用すると自分のパーティも呪文を食らいやすくなる。 --迷宮モードで対戦開始時に後列にいたキャラがパーティ分割で前列に出ても後列扱いになり、通常攻撃が行えなかったり弓を持っているのに敵の前列にしか攻撃できないバグがある。 --勝利したプレイヤー側が敗北したプレイヤーに対して行えるのが「相手のパーティが所持しているアイテムを換金してゴールドを貰う」または「相手のパーティからキャラクターを一人奪う」とリアルファイトに発展しかねない内容。 ---勝利側が報酬を選択する前に電源を切れば回避可能。後者を選んでキャラクターの転送で敗北側に返すこともできるが、敗北側のパーティは全員死亡したままで勝利側が奪ったキャラも死亡した状態で勝利側に送られているので蘇生ペナルティの加齢と生命力の減少は結局受ける。 -対戦キャラクターのグラフィック設定も雑。 --対戦時に敵対したプレイヤーキャラの見た目には人間系の敵モンスターのグラフィックが採用されているのだが、旧種族5種のグラフィックは全て共通で、エルフとドワーフの区別もつかない。 ---盗賊の女性キャラが敵として出てきた時のグラフィックが盗賊の男性キャラと同じ「むさ苦しいごろつき(バンデット)」。本家#5のクローンのようにプレイヤーキャラに性別の概念が存在しないのならともかく、このゲームには性別があり、性別によってグラフィックが変わる職業もちゃんとある。せっかく敵として出るブッシュワッカーが女性である設定のゲームなのに… ---ビショップの女性キャラの設定がおかしく、''髭が生えているグラフィック(マスタービショップ)が採用されている。''もっともこのゲームには女性のビショップの敵が存在しないが、ビショップの男性に使用されているグラフィックであればギリギリ女性として通せそうな外見にはなっている。また女性系のマジックユーザーであれば「レディーウォーロック」が余っているのだが…… ---バルキリーのキャラは男性キャラが就けないのでレベルが高いかどうかで見た目が変わるという設定がされているが、低レベル帯のバルキリーに設定されているのは「全人間系モンスターの中でも唯一の褐色肌の女戦士(アマゾン)」。つまりレベルが上がるといずれ肌の色が変わる。 ---このほか戦士、侍も他に相応しい見た目の敵が存在するのに何故その見た目なのか、と疑問符が残る設定になっている。 --新種族はそれぞれ専用グラフィックとなるが、各種族ともわずか2種類しか用意されていない。フェアリー以外は戦士系か魔法系+盗賊かでグラフィックが変わるが男女の差がなく、フェアリーは逆に男性か女性かでグラフィックが変わるが職業による差がない。 ---このうち、ラウルフの戦士系のキャラは「ラウルフサムライ」で固定。ロードだろうとレインジャーだろうと見た目が着物を着た侍になる。他の3種族は戦士かロードの見た目になっているのでどの職業でも違和感は無いが…… --敵のプレイヤーキャラが隠れると不確定状態の敵を識別できた時のモザイクエフェクトと共に透明になって名前が「かくれている」表記になる、グループ対象呪文を使うとエフェクトがきちんと複数のキャラに表示されるなど対戦モードでしか見られない凝った一面もあるだけにそれ以外に適当な設定がなされているのが残念なところ。 ---- **賛否両論点 //-下級職のままでいるメリットが薄いゲームバランス //--前作の外伝2では5個中4個が下級職専用である五行武器の存在により、最初から最後まで下級職のまま通すことに意義があった。しかし今作は長所の通り転職を前提としているバランスになっており、呪文を覚えていない戦士やHPが低い魔法使いを転職無しで運用し続けるのが難しくなっている。 //---とはいえ前述のシークレットドアや術者のレベルが高い方が効果がある状態異常呪文と敵の攻撃呪文を防ぐ呪文の存在もあり、必ずしも転職を行うのが有利というわけでもない。外伝2とは逆に転職に意義を持たせようと工夫した結果とも言える。 //下級職は成長が早く、アイテムのSPで高レベルの上級職に転職できるメリットがある -陰鬱なダンジョンBGM --今作はメロディアスな外伝1、オリエンタルな外伝2とはまた異なる雰囲気になっており、滅びた王国が舞台であるために暗い印象を意識したというのが分かる。しかし屋外と最終マップの呪われた城と隠しダンジョン以外のBGMがひたすら暗い曲調のものであり墓場のようなあからさまなマップの曲が暗いのはまだしも旧商店街も洞窟も山脈もひたすら低音ベースの曲が続き、メリハリに欠けるため前作と前々作ほどBGMが印象に残りにくい。 ---その分明るい曲調のダリア城に戻ってきた時やハイテンションな戦闘曲が引き立つというのはあるが、それ以外は最序盤と最後の最後以外は終始おどろおどろしい雰囲気を徹底しているためにこれらにも限度があることは否めない。 -とあるキャラのステータス --あるタイミングでプレイヤーが作成したキャラクター以外の固定ステータスのキャラをパーティに加える機会があるが、そのキャラにはシステムを無視したパラメータが設定されている。その上ステータスの表記までバグっている((職業名は不変長データで名前の長さが7文字に至らない職業には足りない文字数分のスペースが加えられているのに、そのキャラの職業名だけスペースが付いていないのが原因))。萎えるか乾いた笑いが出るか見ていて恥ずかしくなるかはプレイヤーの感性次第。 --死亡しているのに現在HPが999、LVも99で経験値は通常の上級職キャラがLV99に至るまでに必要な約300万ではなく9999万9999、種族は人間で全特性値18((ちなみに人間の特性値上限は力と生命力が19で他が18))、装備品は呪いを加味してもAC-2相当なのにAC0表示など設定も雑。 ---ちなみにマハマンで無理矢理蘇生させることも出来るが、呪文が使用できず死亡した状態で戦闘が開始するために最後尾で隊列が固定などまともに戦力にならない。しかもキャラデータが固定されているため戦闘終了後に再び死亡する。また、''キャラデータが固定されている関係でこのキャラに所持金を集めるとパーティキャラの全所持金が消失する。''面白半分でやらない限りそんな状況にはならないが…… ---本来一つしか装備できない装飾品を堂々と複数装備。ただ上記の所持金の挙動を考えると、アイテム欄を装備品で埋めておかないとこのキャラに渡したアイテムが消滅しかねないので仕方のない処置だとは言える。 --もっとも加入する時点で魔族の支配下に置かれて狂っているキャラという設定で、連れている状態で冒険を中断しようとしたり変な施設に入ろうとすると「見失った」と表示されて勝手に消えたりするので既に常識が通用しない状態になっているのも頷ける……かもしれない。 //-フェアリーの極端な優遇 //--問題点で既に挙げられている通りフェアリーはぶっちぎりの素早さを誇り、AC補正も-5と強く、装備品が限定されるとはいえ革の鎧などの簡素な装備は可能なために序盤はACが最も低くなり、中盤は高性能な性格限定ローブが装備可能で、終盤はこれでもかと性能が盛られたエンゼルウィップと妖精系防具が登場する。装備品があまり充実していない時期でも逆に言えば所持品欄の空きを確保できるという見方が可能で、独自の強みを持ちすぎている。 //問題点と重複 //--また、ステータスや装備制限の関係で一見戦士系の職業に完全に向いていないように見えるが実は地味に短剣系、刀系、弓系、杖系の武器はクロスボウなどの一部を除いてほとんど装備可能。流石に防具は不安定だがACをマイナス以下まで低くすること自体はそこまで難しくない。前列に置かざるを得ない戦士や侍は流石に脆いが、中盤のダンジョンから後列攻撃が激しくなるシナリオなのでHPがそこそこ確保できて遠距離武器が豊富なレインジャーでの後列での運用は安定して行える。全員フェアリーでも十分クリア可能で、実際にそれを達成しているプレイヤーも居る。 //フェアリーは力が低いので攻撃役は他の種族のほうが向いている、レンジャーはHPが高いわけではなくフェアリーなら尚更、全員フェアリーでは専用装備がろくに揃わないので十分とは言い難い //--ただ#6(BCF)におけるフェアリーは装備制限があまりに厳しくマジックユーザーにしか向いていない上に持てる荷物の量も少ないという上級者向けの職業だったため、外伝3におけるフェアリーは旧作のシステムで通用するかどうかの試金石だったという見方はできるし、実際呪文関係のステータスがあまり機能していない旧作のシステムでBCF(#6)の性能を完全に再現していれば死に種族になっていた可能性が高い。それにしても素早さ関係の調整は擁護できないが。 //BCFでは力が18まで成長するので武器さえあれば戦士系職業も向いているし、モンクや忍者と相性抜群で武器も不要 -召喚呪文で登場する飛びぬけて強いモンスター --魔法使いの召喚呪文「ソコルディ」を使っているとランダムで玉石混交のモンスターが召喚される中でたまに「アガレス」というモンスターが味方として召喚される。そしてアガレスが繰り出す攻撃で敵に与えるダメージは''大抵の場合1000オーバー((最大ダメージは2054。そもそも4桁を超えるダメージ量に耐えられる敵はダイアモンドキング以外存在しない。))''。それもそのはずで、アガレスはクリア後のダンジョンであるドラゴンの洞窟に登場する敵でありそれを味方として召喚出来てしまうのである。 --アルケミストの召喚呪文「ガルディ」では同条件で「ブラックドラゴン」が登場。こちらもドラゴンの洞窟に登場する中では弱い方のドラゴンではあるものの、本編中の敵であれば余裕で焼き殺せるブレスを使用できる。しかもアガレスは単体での登場だがこちらは複数体登場。 ---実のところアガレスやブラックドラゴン自体あまり出てこない上にアガレスは通常攻撃より呪文攻撃を行いたがるAIなのがネックだが、それでもティルトウェイトなどの最上級の呪文を使用できるため本編中で運良く召喚出来ればその戦闘はほぼ確実に勝利できてしまう。 --召喚呪文で明確なバランスブレイカーが登場することには賛否が分かれるところだろう。いずれにしてもこのようなモンスターがやがてプレイヤーの敵として立ちはだかることになるのである……。なお僧侶の召喚呪文「バモルディ」でドラゴンの洞窟の敵が出てくることはない。 -メタ的要素の存在 --「外伝1」と「外伝2」が全編に渡りシリアスな和製Wizの雰囲気を維持していたのに対し、今作はメタ的なネタが妙に多い。シナリオ的に描写する必要があるものやクリア後のダンジョンに出てくるものはまだしも、寺院や商店街の落書きなど雰囲気ブレイカーな使い方がなされている場所がある。 //唐突な「マピロ・マハマ・ディロマト((今作では重要アイテムに見せかけた罠的な配置で登場。当然強制的に城に帰還させられる。もっともこれが登場する時期にはマロールが使用可能なので実害は無い))」 //唐突な城帰還は本家でも同様なので本作独自の問題点ではない --この傾向に影響を受けた最たるものはおそらく「カシナートの剣」。シリーズおなじみの強力な武器であり、外伝2の攻略本でも「特殊合金で作られた剣」という説明を入れていて元ネタ((家電製品メーカーCuisinart社のミキサー。メタネタの宝庫の#4では敵ロードのアイコンとして実際に登場している他、ミキサーであることが前提で謎解きにも使われる))の要素に関してはそういった噂があって冒険者を困惑させているという程度の記述に留めていた。しかし外伝3でのカシナートの剣は不確定名が「ソード」ではなく「きみょうなもの」。そして戦士系の職業ではないはずのアルケミストも装備可能。その上遠距離攻撃可能という槍の性質を持つ。つまり元ネタの棒状のミキサーとしての一面を強く描写してしまっている。 ---ついでに入手時期が早い代わりに威力も従来の半分以下とがっつり下がっている上に普通の武器の形をしていないせいなのか何故かACも1上がってしまい、かつて前衛に装備させる武器としてその座を争っていた悪のサーベル((#1と外伝2では最大威力の高さが悪のサーベル、平均値の高さはカシナートの剣と差別化されていた。ただし外伝1は武器バグの影響で悪のサーベル一択))に性能面で大差をつけられており見る影もなくなっている。 ---ただし外伝3のカシナートの剣は与えられるダメージが少ない代わりにクリティカル効果が付いており、上記の通り遠距離攻撃武器扱いなので使いどころはある。また、アルケミストも攻撃に参加できるようになるというメリットも見逃せない。非戦士系の職業なので力の高さで命中率に補正が入るリズマンかドワーフでないと命中率はたかが知れているが。 --元々のウィザードリィ自体メタネタが多いゲームだったため原点回帰したと言えば聞こえは良いが、シナリオ面の問題も考慮すると前作までの和製Wizの雰囲気を期待していたり、#1~#5が好きだった一部のファンからの不評は避けられないところだろう。このメタネタ偏重の傾向は外伝4の本編クリア後のダンジョンの数々でも続くことになる。 #co(){ ***「アガン・ウコーツ(=徳永剛氏)」への賛否 このゲームのキーパーソン「アガン・ウコーツ」は、このゲームのプロデューサー・シナリオ担当の徳永剛氏の苗字をアナグラムしたものが由来(「Tokunaga」→「Agan ukot」)。これは本家1作目から存在する、ウィザードリィ伝統の言葉遊びに准えたものであり、「アガン=徳永氏」を意味する暗喩ととらえられなくもない。しかし、一部のプレイヤーからはアガン(徳永氏)は批判の対象となっている。以下にその批判の一部を挙げる。 -批判1:ストーリー上でウィザードリィでは御馴染みの舞台「リルガミン」を壊滅させた。 --『外伝III』の段階でははっきりと壊滅させた都市の名前は示されていない。だが曖昧な表現ではあるものの、この時点でリルガミンに関わるアイテム、キャラなどが配置されている。そして『外伝IV』の展開と照らし合わせると、この都市がリルガミンであることが明白となる。 --特に腐った杖やドラゴンゾンビ、魔法の魔除け等(どれも旧作のシナリオの鍵を握る存在だった物と思われる存在)の設定は今までのシリーズに思い入れのある人には冒涜とさえ思えるだろう。ドラゴンゾンビを撃破した後の流れで入手できる宝珠((神としての竜の力を失わせるものという設定に違和感があるためイアリシンの宝珠=リルガミンの宝珠とは別物かもしれないが))もアガンの解呪と同時にわざわざ砕け散るなど旧作の遺物の破壊に関しては非常に徹底している。 --''滅んだ故郷をリルガミンにする必要性が見つからない''事も批判に拍車を掛けている。前作もリルガミンが関与するような描写はなく、今作に関しても城下町が失った恋人の名前でリルガミンと関連性がないように見えるので、滅んだ故郷も架空の設定で出しても特に問題は無かった筈。 ---結果的にシリーズのファンを取り込むためにリルガミンと思わせる描写をしたとしか捉えられず、しかも亡国と言う扱いではファンは首をかしげるのは当然である。~ 過去の設定に頼りながらそれらを新設定で塗りつぶす、崩壊させる原作レイプ続編やリメイクの元祖とも呼べなくもない。一応設定上は矛盾が無い((リルガミンはニルダの杖のおかげで「外部」のものによる攻撃は無力化される。今作もアガンによる「内部」からの手ほどきで滅んだ。))事とシステム面での骨組みが良い分マシなほうだが… -批判2:シナリオの中核が徳永氏の自己満足ではないか? --若かりし頃のアガンの目的は、死んだ恋人を蘇らせることであった。前述のリルガミン崩壊もその影響である、と描かれており、一部からはウィズの世界観を巻き込んで自分の世界に浸るな、という批判もあった。 #region(ただし、シナリオ上でのアガンの扱いはというと…(ネタバレ注意)) ---シナリオ上でアガンは''「恋人のダリアがアンデッド化(しかもミイラのような姿)」「冒険者と戦って殺され、その後のシナリオ進行によってはロスト(消滅)してしまう」''など散々な目に合う。trueエンドでは「アガンとダリアが再会してハッピー?エンド」となるが、決して手放しで喜べる状況とは言い難い。 ---『外伝IV』の描写を見るとリルガミン崩壊に関しても仕組まれた物であり、それによって恋人を殺された挙句故郷の崩壊の原因を作ってしまい、別の国に飛ばされ、呪いもかけられる等経緯も決して良いとは言えない。 ---また、故郷を滅ぼした事による罪悪感はあり、復興させようと努力しているので「アガンに関しては」情状酌量の余地はある。 #endregion -批判3:ウィザードリィに過剰なインフレを持ち込んだ。 --敵のHPと攻撃ダメージ増加、そして高い呪文無効化率を敵が備えるようになり、事実上攻撃呪文はドラゴンの洞窟では無意味。完全に物理攻撃偏重のバランスとなっており、「Wizardry(魔法)」というタイトルにそぐわない、という声もある。 --ただし敵のパワーインフレは既に『外伝II』の時点で現れており、『外伝II』の実質的な製作者のベニー松山も「敵の強さが足りなかった」という旨の発言をしている。 -批判4:ペーペーの時に(Wiz界では著名な)ベニー松山氏をコキ使い、『外伝II』の成功をさも自分の功績のように振る舞った。 --詳細は『外伝II』の「余談」参照。 -『外伝III』以後、アスキー製の外伝シリーズでは、アガンが何らかの形でゲスト出演している。 --『外伝IV』のスタッフロールでは徳永の部分だけが「アガン・ウコーツ(阿癌雨香津)」名義となっており、一部のファンからは「阿癌」「癌」などの俗称で呼ばれている。 --なお、古参RPGにおいて制作者が作中に登場するのは半ばお約束であったことは付記しておく。Wizにおいても[[第1作>Wizardry]]からして狂王トレボーと魔術師ワードナは開発者の名前のもじりであるし、『[[ワードナの逆襲>ウィザードリィ4 ワードナの逆襲]]』ではホークウインドことロー・アダムスが出ているし、同様に古参RPGとして有名な『ウルティマ』ではロード・ブリティッシュの名で開発者が出演していたりもする。 //--アガン以前に、制作者の名前のもじりが使われたのは、第1作目の狂王トレボーと魔術師ワードナのみである。 -なお、2021年になって徳永氏および同様に外伝シリーズを担当した金田剛氏へのインタビューが掲載された([[リンク>https://www.4gamer.net/games/570/G057016/20210513135/]])。 --これにより、上記の批判のうちいくつかは''そもそも的外れな指摘であった''ことが明らかになっている。 ---徳永氏が批判されるようになった大きな原因として上記のベニー松山氏の発言があるのだが、そもそもその内容自体に多くの事実誤認があったようである。~ 徳永氏はコスト削減を期待されてディレクターに指名された側であり、予算やスケジュールについてどうこうできる権限はそもそもなかったのである。ベニー松山氏の起用についても社内で揉めたという。 ---『外伝III』以降についても、アスキー社の経営状況が悪化する中、外部のシナリオライターを起用できる予算がいよいよなくなったため、自ら担当することになったという。 ---なお、『外伝III~IV』のシナリオ展開が広く受け入れられなかったことについても徳永氏自身が認めている。 //良作意見箱にて制作者批判が賛否両論点にあるのはおかしいという意見があったので全面的にCO。 //また最近になって削除された内情に関するインタビューの記載についても一方的に削除されているのは公平性に反するので戻しておきます。 //「余談」に移す場合も行数ルールの関係で内容の削除が必要なので、議論の上記載を復帰してください。 } ---- **総評 シナリオ#5以前とは異なる方向へと進化していった本家シリーズとは違い、この作品は本家を含む色々な要素を取り入れながら#5以前のシステムを伝統として残していく、という和製ウィズの方向性を決定付けた。~ 『外伝I』が和製ウィズの先駆者、『外伝II』がそれまでの日本におけるウィザードリィの集大成とするならば、『外伝III』は和製ウィズに新たな血を取り入れた作品と言えるのではないだろうか? ---- **余談、その後に与えた影響 -『[[ウィザードリィ外伝IV ~胎魔の鼓動~]]』が後に発売された。ハードをSFCに移したおかげで全体的にボリュームアップされたが、東洋を舞台とした独創的世界観は評価が分かれた。 -『外伝III』以降のゲームバランス(特にインフレ要素)、リルガミンの歴史に対する後付は、他社製のウィザードリィにも少なからず受け継がれている。 -本作は、かつてゲームボーイ用ソフトの中で最もプレミアのついたソフトであった。定価を超えることはザラ、時には2倍近い値がつくことさえあった。この状況は1999年に復刻版が発売されるまで続き、それ以降はそれなりの値段に落ち着いた。
*ウィザードリィ外伝III ~闇の聖典~ 【うぃざーどりぃがいでんすりー やみのせいてん】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B000092PJM)| |対応機種|ゲームボーイ|~| |メディア|4MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|アスキー|~| |発売日|1993年9月25日&br;1999年2月19日(復刻版)|~| |定価|5,150円(税別)&br;5,000円(復刻版・税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アスキー製作のウィザードリィ外伝シリーズの第3弾。~ [[BCF(#6)>Wizardry 6 Bane of the Cosmicforge]]以降の新規追加要素を、#5以前のシステムに上手く落としこんでいる。 **ストーリー > とある王国の城下に、アガン・ウコーツという青年がいた。~ 才気にあふれた彼は将来を嘱望されていたが、ある日恋人のダリアが何者かによって殺害されてしまう。~ 蘇生の魔法でも彼女を復活させることができないと知ったアガンは絶望したが、~ 高位魔族の力を借りれば彼女を復活させられるかもしれないことを知り、苦渋の選択の末~ 禁断の技「魔族召喚」に手を染めた。~ 召喚の儀式は成功し、次元を超えて次々と魔族が押し寄せてきたが、彼の望む高位魔族は現れなかった。~ 王国は現れた魔族により地獄絵図と化し、アガンは負の力によって何処かへと飛ばされた。~ ~ それから十数年の時が経った。~ 異国に飛ばされたアガンは、そこで王となって君臨していた。才覚によって国を統一したアガンは~ 近隣諸国に手を伸ばし始めたが、そんな中彼は「莫大な財宝の眠る呪われた城」の噂を耳にする。~ アガンは兵をまとめて呪われた城を目指したが、そこはかつてアガンによる魔族召喚によって~ 滅んだ王国の城であった。魔物の跳梁跋扈する様を見たアガンは、この地から魔族を一掃し、~ 自らが犯した罪を償うことを決意する。~ アガンはこの地に拠点となる城砦都市を建設し、その都市にかつての恋人の名「ダリア」と名付けた。~ ~ 城砦都市ダリアを拠点に魔族との戦いを続けていたアガンであったが、ある日旅の商人から贈られた~ 黄金の仮面を身につけたところ態度が豹変。一言も発せず部屋に閉じこもるばかりとなってしまった。~ 以降、「仮面の呪いを解き、アガン王を正気に戻した者には褒章が与えられる」というお触れが発せられ、~ 町には褒章目当ての冒険者が流れ込むようになった…。 ---- **特徴・評価点 -ROM容量の増加に伴う、大幅なボリュームアップ。 --従来シリーズでは1つの迷宮を探索するのみであったが、今作は洞窟に限らず森、墓地、教会、山脈など、フィールドをすべて擬似3D形式で表現するという、BCF(#6)以降に準拠したマップ構成となった。 --それまでのウィザードリィ外伝をベースに、BCF以降追加された種族や職業、呪文を取り入れた。ただし容量不足だったのか、種族ではフェルパーが、職業ではサイオニックとモンクが漏れている。これらは後作の『外伝IV』までおあずけとなった。 ---アルケミスト呪文(『外伝IV』のサイオニック呪文も)はオリジナルでは英語であったが、外伝シリーズでは#5までの法則を使って命名され直されている。これらはエンパイアやエクスシリーズでも採用されている。((カルノバ→ケアルノバ、カルドゥ→カルドラ等)) --性別の概念が追加。男性は力、女性は生命力にボーナスがあるほか、女性専用の職業もある。 ---明らかに女性有利だったBCFとは違って男性にも専用装備が増える等、性別格差は多少改善された。 --死体回収屋の登場。一人につき10000G必要だが、全滅したパーティーを探し出し、寺院まで送ってくれる。 ---城のすぐ近くにあるので、第二パーティー等に所持金を預けておくことで楽に回収可能となり、全滅の危険が減っている。 -転職による加齢が1~3歳程度に抑えられ、何度か転職を繰り返してもあまり問題にならなくなった。 --複数系統の呪文を覚えたキャラクターを作りやすくなった。冒険中盤以降は全員が高位の呪文を使えないと話にならないレベルである。 -城の施設で情報を聞けるようになった。 --施設の使い方がわからない初心者にも配慮している。 --序盤は施設の人からの依頼を受ける形で冒険を進めていくことになる。依頼を達成すると新たな場所へ行けたり、報酬をもらえることもある。 -各ダンジョンは城から離れた位置にあるが、城から出てアイコンを選ぶことで、ダンジョン入口から直接スタートできる。 --城への帰り道もいたるところに用意されており、転移呪文を覚える前でも帰還は容易。 --屋外マップは視界が良いので明かりの呪文を使う必要がない。 -デュマピック効果のある「ほうせきのゆびわ」とロクトフェイト効果のある「ルビーのスリッパ」の値段が大幅に安くなり、序盤から使っていけるようになった。 --特にルビーのスリッパは地雷モンスター(後述)から安全に逃亡する手段として非常に有用。ただし店の在庫数に限りがあり、帰還のたびにバンバン使ったりするとすぐ在庫切れになる。 -序盤は『外伝II』のように致死ダメージやクリティカルしてくる敵もおらず、冒険を始めてすぐ死者が出るという事故はほぼ起こらない。中盤以降は敵も強力になってくるが対処自体は容易であるためほどよい歯応えになっている。 --終盤は呪文対策をしても打撃によるクリティカルで死ぬ、そもそも呪文が通らない敵が多いなど泣きたくなるほど凶悪になり、まともに戦おうとするのであればアイテムの収集が必須となる。これまでのWizの体裁は十分保っていると言える。 ---終盤のダンジョンから手に入るようになるアイテム群は当然強力なものが揃っており、それまでデフレ気味だった味方の戦力がグンと強化されることで他のシナリオでは味わいがたいカタルシスを得られるようになっている。 --クリア後に侵入可能な隠しダンジョン「ドラゴンの洞窟」が登場。ここでは、敵の能力が凄まじいインフレを起こす。 ---「ラスボスを上回る強さの敵」が「複数匹のグループを組んで」地下1階から出現する。全3階層だが、階層を降りる度に前の階の敵が赤子に見えるほどの敵が出現するインフレ具合。マップ構成もかなり極悪。 ---とんでもないことに召喚呪文でドラゴンの洞窟の敵を召喚できることがあるため、クリア前でもインフレの片鱗を体感することが可能。(後述) -裏ボス「ダイアモンドキング」が登場。由来は本家ウィザードリィ#2(FC版は#3)のサブタイトル「ダイヤモンドの騎士」より。 --ダイアモンドキングは、最高のダメージ呪文の威力が最大150のウィズ世界においておよそ5000~6000のHPを持つ(まずありえない確率だが理論的な最大値としては1万を越える)、当時としては圧倒的なHPを持つ敵であった。 ---ただし攻撃力が同階層の他のモンスターに比べて低く(とは言えクリアレベル程度ならオーバーキル)、首刎ねやドレインといった致命的な攻撃も持っていないこともあって、ドラゴンの洞窟最下層で互角以上に渡り合えるレベルならば負けることはまずない。敵を瀕死にする呪文「ラバディ」も通用するなど対処がしやすいぶん、後のシリーズ(特に『ディンギル』)のインフレぶりよりはマシである。 --本作以降、「ダイアモンド○○」はアスキー製の外伝シリーズの裏ボスとして君臨し続けた。 ---「ダイアモンドキング(外伝III)」→「ダイアモンドナイト(外伝IV)」→「ダイアモンドドレイク(ディンギル)」と進化を遂げていくこととなる。 --また、アスキー製に限らず国産ウィズ、およびそれに準ずる作品において「クリア後の隠しダンジョン=インフレ」が定番となる。『外伝I』『外伝II』でもこの傾向は見受けられたが、『外伝III』以降その傾向が加速するようになった。 --ダイアモンドキング以外にも、「忌まわしきアミュレット」「ブラックボックス」「ダンス会場((#5では「ダンスホール」だった。回転床がちりばめられており、歩いているだけでクルクル回ってしまう。強敵も出るが、そのぶん経験値やアイテム稼ぎに便利。))」など、本家のオマージュ要素が大量にある。本家を知っていればネタとして楽しめる。 //「いわくつきの杖」「竜の姿をした神」等外伝3のシナリオの本筋に関わっている要素は賛否両論点の通り従来のユーザーにとってセンシティブであり評価点とはし難いため削除 -前作までの流用の多かった施設のBGMが全て一新されており、評価するユーザーが多い。 --作曲者はWiz外伝シリーズお馴染みの藤原いくろう氏。ダンジョンBGMとは対照的な激しさのある戦闘時のBGMと落ち着いたキャンプ時のBGMも高評価。 --ただし、寺院での蘇生時のBGMも一新されているのにメッセージの表示タイミングが前作のまま無調整で噛み合っていないという問題点も。 -おまけ要素として、他プレイヤーとの対戦が行える「闘技場」が追加された。 --制限時間内に迷宮をクリアする「迷宮」および他のプレイヤーの冒険者と戦える「対決」モードが楽しめる。 --冒険者同士の対戦要素は今作が初。だが単純にプレイ時間が強さに直結するシステムであることもあってか、以降のシリーズでは搭載されていない。 --なお「迷宮」モードでは蘇生呪文が絶対に成功しこのモードで手に入る専用のアイテムの使用時の呪文効果が蘇生呪文のため、許容できるのであればパーティが壊滅した際の緊急手段として使える。 -「アガン・ウコーツ」という人物を中心にしたシナリオも印象的。ただし初見者が高確率でバッドエンド(=裏ダンジョンへの移動が困難になる)になる最終部分は不評。 --拠点の町を出てすぐのところに冒険者の集まる場所があり、ここで聞けるヒントに従って進めればバッドエンドを回避できる。だがあくまでヒントなので、謎を解けなかったり、ヒントの内容が変わっていることに気付けなかった場合はバッドエンドに行ってしまいやすい。 --バッドエンドを迎えたキャラには称号が付く。この称号がないキャラだけでパーティーを組めばラスボスに再挑戦が可能で、グッドエンドを迎えることもできる。バッドエンド称号はグッドエンド称号で上書きできる。 ---なお一度でもバッドエンドを迎えると以降はグッドエンドを迎えてもバッドエンドのフラグが消えずエンディングの最後の一枚絵がバッドエンドのアガンの墓になる。 -グッドエンディングは''この作品の印象をウィザードリィというタイトルから切り離した上で''普通に見れば悪くないのだが、一部のファンからは不評。 //グッドエンディングは普通に見れば悪くないのだが、後述のプロデューサーへの批判のせいか一部には不評も。 --そのため一部のファンからは「バッドエンドこそ真のエンディング」と揶揄され、中には意図的にバッドエンド(アガン埋葬エンド)の道を選ぶ者も(一応裏技で裏ダンジョンへは行けるため)。 ---もっと酷いプレイヤーはアガンを蘇生させようともせずに延々と殺し続けたり、ラストダンジョンでレベル上げ後にアガンを放置して裏ダンジョンへ赴く者も。~ ''「あんな、おうさまを てだすけする ひつようは ないじゃないの ほうっておいたら。」by宿の女将'' ---- **問題点 ***システム面 -全体的に処理スピードが遅くなり、ゲームテンポが悪化。特に戦闘開始時と逃走時は1秒ほどの「間」が毎回発生する。慣れれば気にならない程度の遅延ではあるが…。 -前作までと違い、戦闘画面の敵グラフィック表示欄の色がグレーになったが、敵グラフィックが見辛くなったとの意見も。 --デザイナーも前作までの池上明子氏から変更されており、元デザインをGBの低い解像度でも忠実に再現していた前作までの美しい敵グラフィックに比べると、外伝3の場合元デザイン総入れ替えの上モンスター総数がかなり増えているということを考慮に入れても元デザイン及びゲーム上でのグラフィックはかなり見劣りしてしまう。 --ゲーム上でのグラフィックが潰れすぎていて描き分けできていないように見える敵も存在する。例えばライトロードという敵はぱっと見ではクルセイダーロードという敵にエフェクトを付けたようにしか見えないし、ゴブリンプリンスという敵に至っては名前を見なければゴブリンと判断するのが困難になっているほど人間型の敵にしか見えない。 ---元デザインに問題のある敵も多く、上記のゴブリンプリンスに加えてオーガーなどの亜人系の敵は妙に姿勢が良い上に頭身がすらっとしており人間系の敵と区別が難しい。人間系の敵には武器を構えて仁王立ちしながら体勢を低くしているという亜人系の敵と似たようなポージングの見た目がやたら多いのも混乱に拍車をかける。竜系の敵は種類が多い割に個性豊かなのだが…… -『外伝II』同様マニアモードが搭載されているが、マニアモードでクリアしても何も特典がなく、完全に自己満足でしかなくなってしまった。 --「蘇生やアイテムのSPで良い結果を引くまでやり直すことができる」点は健在。……なのだが今回は虎殺しの槍のような有用かつ確率で破損するアイテムが存在せず、村正のSPを解放した際に絶対に破損するようになってしまったこと、対戦モードの迷宮内では蘇生が絶対に成功することを知っていると実際はメリットがほとんど無い。魔力の盾のSPで盾を壊さず戦士系のキャラの全MPを9にすることが可能なくらいか。 -『外伝I』『外伝II』で育てたキャラを転生・転送で使用できるが、''能力値が種族初期値に戻ってしまう''ため、元世界でいくら強化していようと何の意味もない。 --初期年齢も高いため、新規キャラを作成したほうが強い。有利な点と言えば初期所持金が多いことくらい。 ---上級職のキャラも転生できるが、成長の遅い上級職を能力ボーナス無しでいきなり投入しても、序盤では非常に使い勝手が悪い。 ---当然、新種族を転生してくることはできない。 ---初期装備として店で扱っていない古代装備を持っている。しかし性能は店で売られている最下級の品とほぼ変わらない。 --転生・転送したキャラには称号がつくが、それが有利に働くことは一切ない。『外伝IV』に転生すると、その称号も消えてしまう。 ---『外伝II』をマニアモードでクリアした称号も、転生してくると何故か通常モードクリアの称号に変化してしまう。 --本作に転生してきたキャラは''性別がランダムで決まる''(外伝I・IIには無かった項目なので)。目当ての性別でなかった場合、キャラを削除してパスワードを再度入れ直しになる。 ***キャラクター・呪文等 -BCF(#6)の「器用さ」「魅力」のパラメータが無くなり、#5までの形式の「素早さ」と「運」に統一されたが、その影響で種族間のバランスがかなり狂ってしまった。 --呪文の扱いが下手だったリズマンの欠点がなくなり、呪文の覚えこそ悪いものの覚えてしまえば普通に使えて身体的には最強という、ぶっちぎりの強種族になってしまった。 --旧種族で素早かったノームの素早さがガタ落ちし、盗賊に向かない種族に変わってしまった。ホビットも素早さが落とされ、#6での器用さの高さも素早さに反映されていないため罠外しが下手になってしまった。 ---素早さに優れた種族としてフェアリーがいるが、フェアリーの素早さが14もあるのに対して他の種族は9以下のダンゴ状態。はっきり言ってフェアリー以外の種族の罠外しは信用ならない。 --各パラメータの最大値が「種族の基礎値+10」であるという#5以降の仕様を考慮していなかったために起こっているバランスの歪みとも言える。BCF(#6)では上限が従来の18固定(アイテム使用時は20)に戻っていたのでどの種族でも気軽に使用できたのだが…… -今作登場の種族の一つ、ドラコンはなぜか%%逃走できない%%逃げるコマンドがない。 --この種族のみブレス攻撃が可能という特徴があり、おそらくこのコマンドの追加のために逃走が削られてしまったためだと思われる。『外伝IV』ではきちんと別々のコマンドになった。 --システム上は「誰か一人が逃げるを選べば即座に全員で逃走する」方式なので、全員ドラコンパーティーでも組まない限り逃走不可になったりはしない。 --ブレス自体は敵と同じく自らの現在HPに依存した威力の通常攻撃や攻撃呪文とも違う属性の攻撃を行うというものなので使いどころを考えれば有用。ただしアルケミストの呪文でも同様の効果は得られる。 -本家や前作までは5種族全て違うステータス異常耐性が設定されていたが、今作で新登場となった種族の耐性は''全部ホビットと同じ''という投げやりな設定をされている。 --職業も同様のステータス異常耐性を持っているが、こちらも追加職業は戦士以降の耐性をループして読み込んでいるなど設定が雑。 -職業の使い勝手の差が激しい。前項の通り破綻してはいないのだがやはり今作も職業の差がある。 --BCF(#6)にて「ロードの存在価値を奪う」と問題視されていたバルキリーの強さは相変わらず。ただし性格が中立に限定され、女性なら誰でもなれるわけではなくなった。((逆に言えば中立でも僧侶呪文を覚える機会があると言える。)) ---作りやすいうえに僧侶よりも成長が早く、専用装備もあるので使い勝手がより一層増している。一応ロードにも専用装備の聖なる鎧があり、これにエクスカリバーを加えれば一度に倍打を与えられる種族の多さではロードが有利ではあるもののエクスカリバーはバルキリーも装備可能。 --BCF(#6)にて弓の攻撃回数1回固定等のシステムの不備があったレインジャーはさすがに修正され、実用に耐えうるくらいには強化された。 ---それでも弓の射程が槍と同じ((前衛ではどの敵でも攻撃可能、後衛では敵の前列2グループまでの相手に攻撃可能))になる、力の強い種族は最強の弓を装備できない((最強の弓の一つ手前の弓は逆に力の強い種族しか装備できず入手時期も早いものの攻撃力が最強の弓の半分以下かつ追加効果のクリティカルとヒーリング効果が被っている))など、使いづらい部分も多い。 --バードは楽器(バードのみが使えるマジックアイテム)を演奏でき、盗賊の技術と魔法使いの呪文を使え、成長も早い。しかし楽器がイマイチなものが多く、盗賊の技量も未熟なので後半は息切れする。 --ビショップはBCF(#6)にて識別特技が削除され、呪文の覚えも非常に遅い地雷職業になってしまったが、今作では識別特技が復活し、レベルさえ上げれば呪文も錬金術以外の全てを覚えるようになった。 ---しかし錬金術に鑑定呪文のカルドゥが登場してしまい、錬金術の使い手がいれば無理に入れる必要もなくなってしまった。 ---前作までに比べてアイテムの識別難度が上昇しており、失敗して恐怖状態になったり、呪いアイテムを勝手に装備してしまう確率が上がっている。鑑定呪文なら失敗しないし、別キャラの所持アイテムも識別できてしまう。 -盗賊技術を持った職業は増えたが、結局は盗賊を使うことになりがち。 --今作の盗賊技術(宝箱の罠鑑定)の技量は盗賊>忍者>レインジャー=バードとなっている。なお宝箱の開錠率には影響しない。 ---元々盗賊前提で宝箱の罠鑑定率が設定されていたので、忍者より低い新職業では罠鑑定の成功率はお察し。ちなみに忍者は前作までよりも鑑定率が上がっており、多少信頼できるようになった。 --シークレットドアの感知能力は盗賊と忍者にしか無く、バードやレインジャーでは感知できない。一応こちらは場所を知っていたり目星がついていれば感知しなくとも探し出すことは可能。 --更に、''ダンジョン内の施錠された扉を解錠する適性も盗賊と忍者にしか無い''。しかも呪文による開錠もできない。 ---説明書にも「鍵のこじ開けは盗賊や忍者が得意」と書かれており、バードやレインジャーが得意とは書かれていない(適性を得るのは『外伝IV』以降)。 ---忍者も序盤で作るのは難しいため、適正レベルでその場所にたどり着いた時、盗賊でないとほとんど開けられない事になる。ちなみに盗賊や忍者ならレベル10前後で開けられる扉も、他の職業だと15ほど必要になり、経験値に直すと約10倍もの差になる。 ---前作までにも鍵付きの扉は登場したが、単なる別ルートだったり、急いで行く必要のない場所(逆に低レベルで踏み込むとヤバい場所)だったりしたので、すぐに開けられなくても特に問題はなかった。本作では攻略ルート上に設置されているので、開けられなければ別の場所へ行ってレベルを上げてから来るということができず、そこで詰まってしまう。 --上記の理由により、結局クリアの効率面を考えると「盗賊を加える」又は「開錠用に盗賊を育てる」といった展開になりがち。 ---なお、鍵付きの扉を開けられるかどうかの判定にはレベル以外に素早さも使用されており、素早さ最大のフェアリー盗賊であればレベル10で開く扉が他の種族だとレベル11以上必要になるなどここでもフェアリーが優遇されている。 -アルケミスト呪文はアイテムを鑑定するカルドゥ・味方全員の毒と麻痺を治療するモルフィスなど便利なものもあるが、やはり魔法使い・僧侶の呪文よりは重要度が低い。 --リクレアなどの雲系攻撃呪文は効果発動が唱えたターンの最後であるため、基本速攻重視なウィザードリィの戦闘においては相性が非常に悪い。また火力が全体的に低く設定されており、使用が想定されているであろう敵の強さと明らかに釣り合っていない。 ---その一方で敵に唱えられた場合は戦闘が終了したターンでも効果が発動するため、やっかいな呪文と化している。 --一応敵の通常の攻撃呪文の無効化率と雲系攻撃呪文の無効化率が別々に設定されているため、下記のフライングティースなどは通常の攻撃呪文は通用しないが雲系攻撃呪文は効くなど使い分けで楽になるようにはなっている。しかしフライングティース(HP13〜17)と初めて相対した時に使えるであろうリクレア(1ターンに1〜4ダメージ)やダルクレア(同2〜8ダメージ)では3ターン経っても撃破できるか怪しく、異なる雲系攻撃呪文を重ねがけするか結局途中で物理で殴る必要があり、本末転倒な事態になっている。 --なお雲系攻撃呪文を除くとアルケミストの呪文でまともにダメージを与えられるのは最初の呪文レベルで覚えるドラコンのブレスと同効果のナグラと、最後の呪文レベルで覚える単体ダメージのアリクスのみである。ナグラは雲系攻撃呪文扱いだがアリクスは通常攻撃呪文扱いなので覚える頃には敵に通じないことが多い。 --オスロとマオスロはパーティ全員の通常攻撃の命中率を上昇させる常駐型呪文だが、''バグで全く効果が無い。'' ---ついでに敵がオスロを唱えることがあるが、この際は''プレイヤー側にオスロがかかる。''もっとも上記の通り効果が無いので影響は無いが、敵がこちらに塩を送っていることには変わらないので違和感は強い。 --フォフィックは長時間パーティ全員の呪文無効化率を上昇させる常駐型呪文だが、''バグで敵の呪文無効化率が上昇してしまう。'' --ノーフィスは敵全員の呪文無効化率を下げてこちらの攻撃呪文を通りやすくする呪文だが、''敵が唱えた場合はプレイヤー側ではなく敵側の呪文無効化率が下がる。'' ---ノーフィスは外伝2に存在した同効果の呪文のフィスノイトの処理をほぼ完全に流用しており、フィスノイトは敵が唱えることが無いので元々敵が唱えた場合の処理が用意されていないにもかかわらず、同処理のノーフィスを敵が唱える設定にしてしまっているのが原因。 --この他にも敵の逃走実行確率を上げるが実際に逃げるかどうか不安定でそんなことを狙うより倒すか無力化させた方が早いノーリスなどアルケミスト呪文の調整の甘さが目立つ。 //唱えたターンだけ自分への攻撃を味方に逸らさせる(呪文やブレスには無効)フィクドラ((そもそもフィクドラを唱える前に敵に攻撃されれば無意味であり、フィクドラが使えるのであればHP全快呪文のカディオスも使えるため、「今敵に狙われると倒されるのでフィクドラで味方に攻撃を肩代わりしてもらう」などというフィクドラに頼るシチュエーションが存在しない。)) //↑打たれ弱いアルケミストが戦士に守ってもらう等、使い道はある --BCF(#6)同様、使い勝手は悪いが、無ければ無いでいざという時に困るといった位置にあると言える。 //--BCF(#6)同様、使い勝手は悪く一部の呪文しか使わないと言える。僧侶で代用できるカディオスとモルフィスはともかく、カルドゥは便利ではあるのだが…… //↑モルフィスは範囲全体なので代用不可 ***ダンジョン・モンスター -『外伝I』『外伝II』同様、相変わらず敵が強め。加えて本作には各ダンジョンに明らかに場違いな強さの地雷モンスターが登場している。 --序盤のフライングティース(通称:入れ歯((名前の通り歯形が飛んでいるという見た目のため)))や中盤のジャイアントクラブ・終盤のブロブアイなど。特にジャイアントクラブはHPと守備性能が異様に高く一度に大量に登場する上、行動が「クリティカルヒットを伴う打撃」もしくは「仲間呼び」の2択しかないため、裏ダンジョンを除くと事実上の最強モンスターである。そのあまりに場違いな登場はwizファンの語り草となっている。 //--ブロブアイに至っては極めて優秀なACかつ呪文をよく無効化し、石化ブレスを吐いてくるという狂った性能でこいつが登場する「山脈」に入った冒険者達を門前払いする。そして「山脈」を含めたラストダンジョンの全域でブロブアイ単体のみならず別のモンスターのお供としてブロブアイが当たり前のように登場する。 //↑ブロブアイが出ないフロアもしっかりある ---これらのモンスターは攻撃呪文を高確率で無効化するが、状態異常呪文は通用するため、行動を封じて1体ずつ倒すなり、逃げるなりするという対処法はある。他の敵よりもランクが高めなので、撃破できればそれなりに良いアイテムが手に入る可能性もある。 //ただしこちらのレベルが低ければ当然状態異常呪文が成功しないし、ブロブアイに関しては奇襲で先制攻撃ブレスをしてくることがありこちらは仕様上対処不可能。 //↑先制攻撃は呪文で防げるし、この段階で覚えていないということはまず無い --また本作ではシリーズの常連モンスターが変な強化をされているケースが散見される。ラダルトを唱えるレッサーデーモン、ティルトウェイトを唱えるスクライルなど。 ---ただしこれらは全員悪魔系の敵なので、シナリオの関係で魔族が増長している影響という見方はできる。 --悪魔系の敵の他も商店街のコボルト、オーク、ゴブリン、オーガーという亜人系の敵が全員アルケミスト呪文を覚えているなど首を傾げたくなる設定が多い。特に上位の敵ともなると軽視できない頻度で雲系呪文や全体催眠呪文のカティクレアを使ってくるためパーティが消耗しやすい。 -マップの大幅な追加によるバランス調整のためなのか、終盤まで敵から獲得出来る経験値が低いうえ、アイテムもロクなものが出ない。特に経験値の低さは前述の鍵付き扉やシークレットドアとシステム的に噛み合っておらず、行き詰まった時のレベル上げがとにかく大変。 --一方で終盤のダンジョン「山脈」まで来れば敵の経験値が大幅に上昇しこの問題はほぼ解消されるが、その頃にはもはや鍵付き扉など存在しないのであった。 //まず上記のブロブアイ等に安定して勝てるほどレベルを上げないと先に進むこともままならないためまずここの一歩手前でレベル稼ぎを強要される。 //↑山脈手前に稼ぎ場が設置してあるし、あえて低レベルで進む必要もない -『外伝II』で存在していた「HP自動回復が毎ターン開始時に敵のレベルアップとして働く」「状態異常呪文に対する無効化能力が働いていない」といったバグが直っていない。 --状態異常呪文の無効化能力が機能していないため、逆に前述のジャイアントクラブ等の強敵に対処しやすくなっているのも事実ではあるが。 -マーフィーズゴースト --シリーズ恒例の稼ぎ用モンスターのマーフィーズゴーストは今作にも居る……のだが、到底稼ぎには適していない強さを持っており、序盤に稼ぐ際は大抵フライングティースが狩られることになる。 ---外伝2のマーフィーズゴーストと比べても一回り強化されており、HPが50~130と非常に高い上にACも強化されている。何より外伝2では1だった自動回復量が何故か''10''に設定されているためにバグでどんどんレベルが上がっていき、序盤のパーティの強さでは撃破した頃にはかなり消耗してしまう。呪文も通るには通るがこのHPでは序盤の攻撃呪文は焼け石に水である。 ---そのくせ獲得できる経験値は前作と据え置きである。参考までに、マーフィーズゴーストの経験値は4450、フライングティースは最小出現数の3体でも3450、最多出現数の9体なら10350。後者はランダムエンカウントなので遭遇までに時間がかかり、こちらもこちらでそれなりに強いとはいえ、それでも前者を長い時間をかけて倒すよりは手っ取り早い。ついでに言うとマーフィーズゴーストが置いてある場所よりもフライングティースが出現するエリアに入る方が早い。 --上記の通り元々稼ぎが難しいバランスであることと、マーフィーズゴーストが登場するイベントマスにはかなり威勢の良いことが書いてあるため、意図的な調整である可能性が高い。とはいえフライングティースが居る以上こちらだけ割に合わない仕様になっているのは調整ミスを疑わざるを得ない。 -ドラゴンの洞窟以降のゲームバランスは決していいとは言えない。 --エンディング後すぐにドラゴンの洞窟に乗り込むと、たいていは返り討ちにあう。 //---特にドラゴンの洞窟の大抵の敵は二桁台のHP自動回復能力持ちであり、上記のバグが発動するために極めて凶悪な強さとなる。 //↑ここまで来れば敵が凶悪なのは当たり前だし、その原因はバグによるものではない --ドラゴンの洞窟の入口のあるマップで戦闘中マロールで逃げた際に洞窟入り口前の座標に飛んでしまう事がある。もちろんマップにはその場所が踏破済みとして記録され、普通にマロールで飛べる上に入ることも可能だが、洞窟に入ってしまうと正攻法でクリアしても全体マップにドラゴンの洞窟のアイコンが出なくなる。 ---ラストダンジョンでもそこそこの経験値が入手可能で、そこで経験を積んでから訪れれば互角に渡り合えるようにはなるのだが、かなりダレやすい。 --ドラゴンの洞窟では攻撃呪文がほとんど役に立たない。 ---ドラゴンの洞窟に出現する雑魚敵はだいたい100~300、トップクラスの敵は数百ものHPを有しており、呪文無効化率もそれなりに高い。一方最強攻撃呪文「ティルトウェイト」で与えられるダメージは大体100前後で、それも呪文が無効化されずに通ったら、の話。攻撃呪文は前述のラバディや即死呪文以外ほとんど役に立たない(HP自動回復能力バグで敵のレベルも上がっているので即死呪文もレベル100程度にならないとイマイチ効いてくれない)。 //-ドラゴンの洞窟は前述のノーフィスとラバディの組み合わせで倒していくパターンに固定されがち。 //--むしろこのパターンが決まらないと倒すこともままならない敵ばかりなので救済措置の一種と捉えることができる。 //↑この方法では1ターンに1匹しか倒せないので集団で現れるドラゴンに太刀打ちできず、救済措置でもなんでもない --B2の探索を進めると明らかに怪しい空間がある((BCFのオマージュである「TREBOR SUX」という文が書かれており、どうにかして中に入る必要があると分かる。))。中に入る方法は''戦闘中のマロールかテレポーターの罠によるランダムテレポートしかない。'' ---その階層は岩のマスも多く存在するためランダムテレポート時に岩の中に飛び込むこともある。運が悪いと目的の空間に入るまでに何度か岩の中に入らされることになる。尤も全滅するだけなので、ここまでくればそれほど危険なトラップでもない((全滅が嫌なら、マロールを覚えた魔法使いを一人作ればすむ。後輩の育成をしてはどうかというアドバイスもある。))。 ***対戦モード -対戦バランスは良いとは言えず、はっきりいって雑。 --Wizのシステム上仕方ないとはいえ、全体石化呪文のロクドや状態異常呪文のバスカイアーやマウジウツで敵を一掃して生き残った敵を総叩きにするのが最適解。ただしお互いの装備品が整っていると呪文抵抗でこれらすら無効化されやすいので単なる殴り合いになる。 ---対戦モードではバカディ・ロカラ・マトカニの全体即死呪文や全体麻痺のラニフォ、召喚呪文、戦闘から離脱するマロールやロクトフェイトが効果を発揮しなくなる。しかしバディ・ロクド・バスカイアー・マウジウツなどは何故か通るなど対策が片手落ち気味。 --迷宮モードでは開始時にMPを全レベル1回分のみに減らされるため((玄室のモンスターを倒してオーブを回収すると全MPが1回分回復する))致命的な効果の呪文の連発はできない上にパーティが操作パーティと待機メンバーで分割可能なシステムなので戦略性があるにはある。 ---しかし対決モードだとMPの修正が入らない上に最初から4対4の総力戦になるので上記の最適解の展開になりがち。 --前述のノーフィスのバグのためにノーフィスを使用すると自分のパーティも呪文を食らいやすくなる。 --迷宮モードで対戦開始時に後列にいたキャラがパーティ分割で前列に出ても後列扱いになり、通常攻撃が行えなかったり弓を持っているのに敵の前列にしか攻撃できないバグがある。 --勝利したプレイヤー側が敗北したプレイヤーに対して行えるのが「相手のパーティが所持しているアイテムを換金してゴールドを貰う」または「相手のパーティからキャラクターを一人奪う」とリアルファイトに発展しかねない内容。 ---勝利側が報酬を選択する前に電源を切れば回避可能。後者を選んでキャラクターの転送で敗北側に返すこともできるが、敗北側のパーティは全員死亡したままで勝利側が奪ったキャラも死亡した状態で勝利側に送られているので蘇生ペナルティの加齢と生命力の減少は結局受ける。 -対戦キャラクターのグラフィック設定も雑。 --対戦時に敵対したプレイヤーキャラの見た目には人間系の敵モンスターのグラフィックが採用されているのだが、旧種族5種のグラフィックは全て共通で、エルフとドワーフの区別もつかない。 ---盗賊の女性キャラが敵として出てきた時のグラフィックが盗賊の男性キャラと同じ「むさ苦しいごろつき(バンデット)」。本家#5のクローンのようにプレイヤーキャラに性別の概念が存在しないのならともかく、このゲームには性別があり、性別によってグラフィックが変わる職業もちゃんとある。せっかく敵として出るブッシュワッカーが女性である設定のゲームなのに… ---ビショップの女性キャラの設定がおかしく、''髭が生えているグラフィック(マスタービショップ)が採用されている。''もっともこのゲームには女性のビショップの敵が存在しないが、ビショップの男性に使用されているグラフィックであればギリギリ女性として通せそうな外見にはなっている。また女性系のマジックユーザーであれば「レディーウォーロック」が余っているのだが…… ---バルキリーのキャラは男性キャラが就けないのでレベルが高いかどうかで見た目が変わるという設定がされているが、低レベル帯のバルキリーに設定されているのは「全人間系モンスターの中でも唯一の褐色肌の女戦士(アマゾン)」。つまりレベルが上がるといずれ肌の色が変わる。 ---このほか戦士、侍も他に相応しい見た目の敵が存在するのに何故その見た目なのか、と疑問符が残る設定になっている。 --新種族はそれぞれ専用グラフィックとなるが、各種族ともわずか2種類しか用意されていない。フェアリー以外は戦士系か魔法系+盗賊かでグラフィックが変わるが男女の差がなく、フェアリーは逆に男性か女性かでグラフィックが変わるが職業による差がない。 ---このうち、ラウルフの戦士系のキャラは「ラウルフサムライ」で固定。ロードだろうとレインジャーだろうと見た目が着物を着た侍になる。他の3種族は戦士かロードの見た目になっているのでどの職業でも違和感は無いが…… --敵のプレイヤーキャラが隠れると不確定状態の敵を識別できた時のモザイクエフェクトと共に透明になって名前が「かくれている」表記になる、グループ対象呪文を使うとエフェクトがきちんと複数のキャラに表示されるなど対戦モードでしか見られない凝った一面もあるだけにそれ以外に適当な設定がなされているのが残念なところ。 ---- **賛否両論点 //-下級職のままでいるメリットが薄いゲームバランス //--前作の外伝2では5個中4個が下級職専用である五行武器の存在により、最初から最後まで下級職のまま通すことに意義があった。しかし今作は長所の通り転職を前提としているバランスになっており、呪文を覚えていない戦士やHPが低い魔法使いを転職無しで運用し続けるのが難しくなっている。 //---とはいえ前述のシークレットドアや術者のレベルが高い方が効果がある状態異常呪文と敵の攻撃呪文を防ぐ呪文の存在もあり、必ずしも転職を行うのが有利というわけでもない。外伝2とは逆に転職に意義を持たせようと工夫した結果とも言える。 //下級職は成長が早く、アイテムのSPで高レベルの上級職に転職できるメリットがある -陰鬱なダンジョンBGM --今作はメロディアスな外伝1、オリエンタルな外伝2とはまた異なる雰囲気になっており、滅びた王国が舞台であるために暗い印象を意識したというのが分かる。しかし屋外と最終マップの呪われた城と隠しダンジョン以外のBGMがひたすら暗い曲調のものであり墓場のようなあからさまなマップの曲が暗いのはまだしも旧商店街も洞窟も山脈もひたすら低音ベースの曲が続き、メリハリに欠けるため前作と前々作ほどBGMが印象に残りにくい。 ---その分明るい曲調のダリア城に戻ってきた時やハイテンションな戦闘曲が引き立つというのはあるが、それ以外は最序盤と最後の最後以外は終始おどろおどろしい雰囲気を徹底しているためにこれらにも限度があることは否めない。 -とあるキャラのステータス --あるタイミングでプレイヤーが作成したキャラクター以外の固定ステータスのキャラをパーティに加える機会があるが、そのキャラにはシステムを無視したパラメータが設定されている。その上ステータスの表記までバグっている((職業名は不変長データで名前の長さが7文字に至らない職業には足りない文字数分のスペースが加えられているのに、そのキャラの職業名だけスペースが付いていないのが原因))。萎えるか乾いた笑いが出るか見ていて恥ずかしくなるかはプレイヤーの感性次第。 --死亡しているのに現在HPが999、LVも99で経験値は通常の上級職キャラがLV99に至るまでに必要な約300万ではなく9999万9999、種族は人間で全特性値18((ちなみに人間の特性値上限は力と生命力が19で他が18))、装備品は呪いを加味してもAC-2相当なのにAC0表示など設定も雑。 ---ちなみにマハマンで無理矢理蘇生させることも出来るが、呪文が使用できず死亡した状態で戦闘が開始するために最後尾で隊列が固定などまともに戦力にならない。しかもキャラデータが固定されているため戦闘終了後に再び死亡する。また、''キャラデータが固定されている関係でこのキャラに所持金を集めるとパーティキャラの全所持金が消失する。''面白半分でやらない限りそんな状況にはならないが…… ---本来一つしか装備できない装飾品を堂々と複数装備。ただ上記の所持金の挙動を考えると、アイテム欄を装備品で埋めておかないとこのキャラに渡したアイテムが消滅しかねないので仕方のない処置だとは言える。 --もっとも加入する時点で魔族の支配下に置かれて狂っているキャラという設定で、連れている状態で冒険を中断しようとしたり変な施設に入ろうとすると「見失った」と表示されて勝手に消えたりするので既に常識が通用しない状態になっているのも頷ける……かもしれない。 //-フェアリーの極端な優遇 //--問題点で既に挙げられている通りフェアリーはぶっちぎりの素早さを誇り、AC補正も-5と強く、装備品が限定されるとはいえ革の鎧などの簡素な装備は可能なために序盤はACが最も低くなり、中盤は高性能な性格限定ローブが装備可能で、終盤はこれでもかと性能が盛られたエンゼルウィップと妖精系防具が登場する。装備品があまり充実していない時期でも逆に言えば所持品欄の空きを確保できるという見方が可能で、独自の強みを持ちすぎている。 //問題点と重複 //--また、ステータスや装備制限の関係で一見戦士系の職業に完全に向いていないように見えるが実は地味に短剣系、刀系、弓系、杖系の武器はクロスボウなどの一部を除いてほとんど装備可能。流石に防具は不安定だがACをマイナス以下まで低くすること自体はそこまで難しくない。前列に置かざるを得ない戦士や侍は流石に脆いが、中盤のダンジョンから後列攻撃が激しくなるシナリオなのでHPがそこそこ確保できて遠距離武器が豊富なレインジャーでの後列での運用は安定して行える。全員フェアリーでも十分クリア可能で、実際にそれを達成しているプレイヤーも居る。 //フェアリーは力が低いので攻撃役は他の種族のほうが向いている、レンジャーはHPが高いわけではなくフェアリーなら尚更、全員フェアリーでは専用装備がろくに揃わないので十分とは言い難い //--ただ#6(BCF)におけるフェアリーは装備制限があまりに厳しくマジックユーザーにしか向いていない上に持てる荷物の量も少ないという上級者向けの職業だったため、外伝3におけるフェアリーは旧作のシステムで通用するかどうかの試金石だったという見方はできるし、実際呪文関係のステータスがあまり機能していない旧作のシステムでBCF(#6)の性能を完全に再現していれば死に種族になっていた可能性が高い。それにしても素早さ関係の調整は擁護できないが。 //BCFでは力が18まで成長するので武器さえあれば戦士系職業も向いているし、モンクや忍者と相性抜群で武器も不要 -召喚呪文で登場する飛びぬけて強いモンスター --魔法使いの召喚呪文「ソコルディ」を使っているとランダムで玉石混交のモンスターが召喚される中でたまに「アガレス」というモンスターが味方として召喚される。そしてアガレスが繰り出す攻撃で敵に与えるダメージは''大抵の場合1000オーバー((最大ダメージは2054。そもそも4桁を超えるダメージ量に耐えられる敵はダイアモンドキング以外存在しない。))''。それもそのはずで、アガレスはクリア後のダンジョンであるドラゴンの洞窟に登場する敵でありそれを味方として召喚出来てしまうのである。 --アルケミストの召喚呪文「ガルディ」では同条件で「ブラックドラゴン」が登場。こちらもドラゴンの洞窟に登場する中では弱い方のドラゴンではあるものの、本編中の敵であれば余裕で焼き殺せるブレスを使用できる。しかもアガレスは単体での登場だがこちらは複数体登場。 ---実のところアガレスやブラックドラゴン自体あまり出てこない上にアガレスは通常攻撃より呪文攻撃を行いたがるAIなのがネックだが、それでもティルトウェイトなどの最上級の呪文を使用できるため本編中で運良く召喚出来ればその戦闘はほぼ確実に勝利できてしまう。 --召喚呪文で明確なバランスブレイカーが登場することには賛否が分かれるところだろう。いずれにしてもこのようなモンスターがやがてプレイヤーの敵として立ちはだかることになるのである……。なお僧侶の召喚呪文「バモルディ」でドラゴンの洞窟の敵が出てくることはない。 -メタ的要素の存在 --「外伝1」と「外伝2」が全編に渡りシリアスな和製Wizの雰囲気を維持していたのに対し、今作はメタ的なネタが妙に多い。シナリオ的に描写する必要があるものやクリア後のダンジョンに出てくるものはまだしも、寺院や商店街の落書きなど雰囲気ブレイカーな使い方がなされている場所がある。 //唐突な「マピロ・マハマ・ディロマト((今作では重要アイテムに見せかけた罠的な配置で登場。当然強制的に城に帰還させられる。もっともこれが登場する時期にはマロールが使用可能なので実害は無い))」 //唐突な城帰還は本家でも同様なので本作独自の問題点ではない --この傾向に影響を受けた最たるものはおそらく「カシナートの剣」。シリーズおなじみの強力な武器であり、外伝2の攻略本でも「特殊合金で作られた剣」という説明を入れていて元ネタ((家電製品メーカーCuisinart社のミキサー。メタネタの宝庫の#4では敵ロードのアイコンとして実際に登場している他、ミキサーであることが前提で謎解きにも使われる))の要素に関してはそういった噂があって冒険者を困惑させているという程度の記述に留めていた。しかし外伝3でのカシナートの剣は不確定名が「ソード」ではなく「きみょうなもの」。そして戦士系の職業ではないはずのアルケミストも装備可能。その上遠距離攻撃可能という槍の性質を持つ。つまり元ネタの棒状のミキサーとしての一面を強く描写してしまっている。 ---ついでに入手時期が早い代わりに威力も従来の半分以下とがっつり下がっている上に普通の武器の形をしていないせいなのか何故かACも1上がってしまい、かつて前衛に装備させる武器としてその座を争っていた悪のサーベル((#1と外伝2では最大威力の高さが悪のサーベル、平均値の高さはカシナートの剣と差別化されていた。ただし外伝1は武器バグの影響で悪のサーベル一択))に性能面で大差をつけられており見る影もなくなっている。 ---ただし外伝3のカシナートの剣は与えられるダメージが少ない代わりにクリティカル効果が付いており、上記の通り遠距離攻撃武器扱いなので使いどころはある。また、アルケミストも攻撃に参加できるようになるというメリットも見逃せない。非戦士系の職業なので力の高さで命中率に補正が入るリズマンかドワーフでないと命中率はたかが知れているが。 --元々のウィザードリィ自体メタネタが多いゲームだったため原点回帰したと言えば聞こえは良いが、シナリオ面の問題も考慮すると前作までの和製Wizの雰囲気を期待していたり、#1~#5が好きだった一部のファンからの不評は避けられないところだろう。このメタネタ偏重の傾向は外伝4の本編クリア後のダンジョンの数々でも続くことになる。 #co(){ ***「アガン・ウコーツ(=徳永剛氏)」への賛否 このゲームのキーパーソン「アガン・ウコーツ」は、このゲームのプロデューサー・シナリオ担当の徳永剛氏の苗字をアナグラムしたものが由来(「Tokunaga」→「Agan ukot」)。これは本家1作目から存在する、ウィザードリィ伝統の言葉遊びに准えたものであり、「アガン=徳永氏」を意味する暗喩ととらえられなくもない。しかし、一部のプレイヤーからはアガン(徳永氏)は批判の対象となっている。以下にその批判の一部を挙げる。 -批判1:ストーリー上でウィザードリィでは御馴染みの舞台「リルガミン」を壊滅させた。 --『外伝III』の段階でははっきりと壊滅させた都市の名前は示されていない。だが曖昧な表現ではあるものの、この時点でリルガミンに関わるアイテム、キャラなどが配置されている。そして『外伝IV』の展開と照らし合わせると、この都市がリルガミンであることが明白となる。 --特に腐った杖やドラゴンゾンビ、魔法の魔除け等(どれも旧作のシナリオの鍵を握る存在だった物と思われる存在)の設定は今までのシリーズに思い入れのある人には冒涜とさえ思えるだろう。ドラゴンゾンビを撃破した後の流れで入手できる宝珠((神としての竜の力を失わせるものという設定に違和感があるためイアリシンの宝珠=リルガミンの宝珠とは別物かもしれないが))もアガンの解呪と同時にわざわざ砕け散るなど旧作の遺物の破壊に関しては非常に徹底している。 --''滅んだ故郷をリルガミンにする必要性が見つからない''事も批判に拍車を掛けている。前作もリルガミンが関与するような描写はなく、今作に関しても城下町が失った恋人の名前でリルガミンと関連性がないように見えるので、滅んだ故郷も架空の設定で出しても特に問題は無かった筈。 ---結果的にシリーズのファンを取り込むためにリルガミンと思わせる描写をしたとしか捉えられず、しかも亡国と言う扱いではファンは首をかしげるのは当然である。~ 過去の設定に頼りながらそれらを新設定で塗りつぶす、崩壊させる原作レイプ続編やリメイクの元祖とも呼べなくもない。一応設定上は矛盾が無い((リルガミンはニルダの杖のおかげで「外部」のものによる攻撃は無力化される。今作もアガンによる「内部」からの手ほどきで滅んだ。))事とシステム面での骨組みが良い分マシなほうだが… -批判2:シナリオの中核が徳永氏の自己満足ではないか? --若かりし頃のアガンの目的は、死んだ恋人を蘇らせることであった。前述のリルガミン崩壊もその影響である、と描かれており、一部からはウィズの世界観を巻き込んで自分の世界に浸るな、という批判もあった。 #region(ただし、シナリオ上でのアガンの扱いはというと…(ネタバレ注意)) ---シナリオ上でアガンは''「恋人のダリアがアンデッド化(しかもミイラのような姿)」「冒険者と戦って殺され、その後のシナリオ進行によってはロスト(消滅)してしまう」''など散々な目に合う。trueエンドでは「アガンとダリアが再会してハッピー?エンド」となるが、決して手放しで喜べる状況とは言い難い。 ---『外伝IV』の描写を見るとリルガミン崩壊に関しても仕組まれた物であり、それによって恋人を殺された挙句故郷の崩壊の原因を作ってしまい、別の国に飛ばされ、呪いもかけられる等経緯も決して良いとは言えない。 ---また、故郷を滅ぼした事による罪悪感はあり、復興させようと努力しているので「アガンに関しては」情状酌量の余地はある。 #endregion -批判3:ウィザードリィに過剰なインフレを持ち込んだ。 --敵のHPと攻撃ダメージ増加、そして高い呪文無効化率を敵が備えるようになり、事実上攻撃呪文はドラゴンの洞窟では無意味。完全に物理攻撃偏重のバランスとなっており、「Wizardry(魔法)」というタイトルにそぐわない、という声もある。 --ただし敵のパワーインフレは既に『外伝II』の時点で現れており、『外伝II』の実質的な製作者のベニー松山も「敵の強さが足りなかった」という旨の発言をしている。 -批判4:ペーペーの時に(Wiz界では著名な)ベニー松山氏をコキ使い、『外伝II』の成功をさも自分の功績のように振る舞った。 --詳細は『外伝II』の「余談」参照。 -『外伝III』以後、アスキー製の外伝シリーズでは、アガンが何らかの形でゲスト出演している。 --『外伝IV』のスタッフロールでは徳永の部分だけが「アガン・ウコーツ(阿癌雨香津)」名義となっており、一部のファンからは「阿癌」「癌」などの俗称で呼ばれている。 --なお、古参RPGにおいて制作者が作中に登場するのは半ばお約束であったことは付記しておく。Wizにおいても[[第1作>Wizardry]]からして狂王トレボーと魔術師ワードナは開発者の名前のもじりであるし、『[[ワードナの逆襲>ウィザードリィ4 ワードナの逆襲]]』ではホークウインドことロー・アダムスが出ているし、同様に古参RPGとして有名な『ウルティマ』ではロード・ブリティッシュの名で開発者が出演していたりもする。 //--アガン以前に、制作者の名前のもじりが使われたのは、第1作目の狂王トレボーと魔術師ワードナのみである。 -なお、2021年になって徳永氏および同様に外伝シリーズを担当した金田剛氏へのインタビューが掲載された([[リンク>https://www.4gamer.net/games/570/G057016/20210513135/]])。 --これにより、上記の批判のうちいくつかは''そもそも的外れな指摘であった''ことが明らかになっている。 ---徳永氏が批判されるようになった大きな原因として上記のベニー松山氏の発言があるのだが、そもそもその内容自体に多くの事実誤認があったようである。~ 徳永氏はコスト削減を期待されてディレクターに指名された側であり、予算やスケジュールについてどうこうできる権限はそもそもなかったのである。ベニー松山氏の起用についても社内で揉めたという。 ---『外伝III』以降についても、アスキー社の経営状況が悪化する中、外部のシナリオライターを起用できる予算がいよいよなくなったため、自ら担当することになったという。 ---なお、『外伝III~IV』のシナリオ展開が広く受け入れられなかったことについても徳永氏自身が認めている。 //良作意見箱にて制作者批判が賛否両論点にあるのはおかしいという意見があったので全面的にCO。 //また最近になって削除された内情に関するインタビューの記載についても一方的に削除されているのは公平性に反するので戻しておきます。 //「余談」に移す場合も行数ルールの関係で内容の削除が必要なので、議論の上記載を復帰してください。 } ---- **総評 シナリオ#5以前とは異なる方向へと進化していった本家シリーズとは違い、この作品は本家を含む色々な要素を取り入れながら#5以前のシステムを伝統として残していく、という和製ウィズの方向性を決定付けた。~ 『外伝I』が和製ウィズの先駆者、『外伝II』がそれまでの日本におけるウィザードリィの集大成とするならば、『外伝III』は和製ウィズに新たな血を取り入れた作品と言えるのではないだろうか? ---- **余談、その後に与えた影響 -『[[ウィザードリィ外伝IV ~胎魔の鼓動~]]』が後に発売された。ハードをSFCに移したおかげで全体的にボリュームアップされたが、東洋を舞台とした独創的世界観は評価が分かれた。 -『外伝III』以降のゲームバランス(特にインフレ要素)、リルガミンの歴史に対する後付は、他社製のウィザードリィにも少なからず受け継がれている。 -本作は、かつてゲームボーイ用ソフトの中で最もプレミアのついたソフトであった。定価を超えることはザラ、時には2倍近い値がつくことさえあった。この状況は1999年に復刻版が発売されるまで続き、それ以降はそれなりの値段に落ち着いた。

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