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*ウルトラマン Fighting Evolution 3 【うるとらまん ふぁいてぃんぐえぼりゅーしょんすりー】 |ジャンル|対戦格闘|&amazon(B00067HN48)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|メトロ|~| |発売日|2004年12月2日|~| |定価|7,140円|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |廉価版|バンプレストベスト:2007年7月19日/2,940円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|キャラ、BGM等の原作再現度の高さはシリーズ随一&br;ウルトラシリーズファンから高評価|~| |>|>|CENTER:''[[ウルトラマンゲーム・リンク>ウルトラマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 特撮番組『ウルトラマン』シリーズのキャラクターが登場する3D格闘ゲームの第3作。~ システム的には前作『[[2>ウルトラマン Fighting Evolution 2]]』の発展型であり、キャラも全員続投している。~ また、平成ウルトラシリーズのキャラも本作から登場しており、「この時点で終了していた実写ウルトラマン(TVシリーズ)11作品」は全て網羅された事になる。 ---- **システム 基本的には『2』と同じだが、様々な面で改良されている。 -通常攻撃は□ボタンに加え△ボタンの2種類を使うようになった。しかし一般的なパンチとキックに分かれた仕様ではない。あえて言えば、弱攻撃と強攻撃((だが、これも2D格闘ゲーム的な弱、強攻撃とも違う。))だろうか。 --ボタンの増設に伴い全体的な技数が増加した。ボタンとレバーの組み合わせにより、各種連携ができる。 -必殺技のためのふっ飛ばし攻撃のバリエーションが追加。通常攻撃同様にダッシュ・空中のふっ飛ばしが出来るようになった。 --特に空中ふっ飛ばしは隙の少ないものが多く、実用性が格段に増した。 -ガードの使い分けがなくなり、上下段、ジャンプ攻撃などの全ての打撃を防ぐ事ができるようになった。ただしふらふらゲージが満タンの場合、ふっとばし攻撃をガードできない。 -必殺技の使用は、シリーズ共通のふらふらゲージ((格闘ゲームでいう気絶値を視認できるようにしたもの。ただし気絶値と違い、戦闘中に減少はしない。))によるもの。攻撃を当てると相手に溜まっていく。 --必殺技は各ボタンに割り当てられるようになり、必殺技選択中に相手が攻撃側と同じボタンを押すと、ダメージを軽減、もしくはバリアなどにより防ぐ事ができる。 --各必殺技は威力がS~Eにランク分けされており、威力が高い技ほど必要な溜め時間が長い。さらにふらふらゲージの減少速度は残体力が多いほど早いので、高ランクの技をいきなり撃つことはできない。 -その他にキャラクターによっては咆哮などの身体強化、低威力の光線や炎などの牽制攻撃を撃つことができる。 -平成ウルトラマンの代名詞であるタイプチェンジも実装。戦闘中に任意でチェンジ可能であり、ファイトスタイルや必殺技構成もガラリと変わる。 --強化形態に変身するモーションはかなり隙が大きく、実用する場合は通常技との連携を考える必要がある。 -キャラクターや必殺技は特定条件を満たすことによって増えていく。条件は「特定のミッションをクリアする」「バトルモードで出てきた敵怪獣を原作通りの必殺技で倒す」という分かりやすいものから、「原作で敗北したキャラクターで勝利する」「チュートリアルを複数回受けた上で特定ミッションをクリアする」などの普通に考えたら分かりにくいものまで様々。 ---- **登場キャラクター ''太字''は新規参戦キャラ -ウルトラヒーロー --初代マン、ゾフィー、セブン、ジャック(新マン)、エース、タロウ、レオ、''アストラ''、~ ''ティガ''、''ダイナ''、''ガイア''、''アグル''、''コスモス''、''ジャスティス''、''レジェンド''、''80'' -怪獣サイド --バルタン星人、''レッドキング''、ゴモラ、ダダ、ゼットン、キングジョー、''グドン''、''ツインテール''、ベムスター、''バキシム''、エースキラー、''エースロボット''、タイラント、マグマ星人、''妄想ウルトラセブン''、~ ''ゴルザ(強化)''、''イーヴィルティガ''、''レイキュバス''、''ニセウルトラマンダイナ''、''ガンQ[コードNo.01]''、''グローカービショップ'' -ウルトラモード専用ウルトラヒーロー --''グリッターティガ'' -敵専用キャラ --''シルバーブルーメ''、''ガタノゾーア''、''ガンQ体内''、''ゾーリム'' -援護攻撃機体 --ジェットビートル、小型ビートル、ウルトラホーク1号、マットアロー1号、タックアロー、コンドル1号、マッキー1号、マッキー3号、シルバーガル、~ ガッツウイング2号、ガッツイーグル、XIGファイターSS、XIGファイターSG、テックライガー1号、テックライガー2号、~ バルタン星人、ダダ上司、ゼットン星人の円盤、ペダン星人の宇宙船、''ガンQ[コードNo.02]の眼球'' -ウルトラモード専用機体 --ポインター、マットジープ、ガッツウイングEX-J ---- **評価点、及び『2』から強化された点 -''ウルトラマンらしさと格闘の両立'' --通常技は相変わらず大振り。しかし攻撃種類の増加や逆転要素の導入により前作、[[前々作>ウルトラマン Fighting Evolution]]のように大雑把なゲーム止まりにはなっておらず、打撃と投げ、ガードアタック、必殺技とその防御、ふらふらゲージの管理など、ここにきて本作なりの独特な駆け引きを確立させた。 ---ただウルトラマンらしさを優先させているため、後述するがキャラバランスはあまりよくない。 --ステージには様々なものがあるが、ゲーム的にも各ステージの特色がよく出ている。街中で相手をビルの狭間に追い込んで戦闘を優位に進めていったり、足元の岩や建物が動きを制限したりと、本作ならではのプレイ感がある。 --ふらふらゲージは『2』とほぼ同じシステムだが、更に使いやすくなっている。必殺技の派手さと実用性は、今作でも当然両立。 -''登場キャラの大幅な追加'' --『1』は12体、『2』は16体だったのに対し、本作は37体(+敵専用キャラ4体)となっている。 --前作まではキャラの少なさが批判の的だったが、主なTVシリーズの主役はほぼ網羅。集合ゲーではまず出なかった''80''まで追加しており、更に''アストラ''や''アグル''などのサブウルトラマンまで追加されていることは高く評価された。 --敵キャラもヒーローと対になるよう各作品から最低1体は収録されている。 -''ファン好みの採用敵キャラのチョイス'' --怪獣・宇宙人の大半は原作の各ストーリー内でクライマックスとなったストーリーの登場怪獣や、各ウルトラマンを一度は撃破した強敵を中心にチョイスされており、ファン心を大いに盛り上げる。 --エースロボットやニセウルトラマンダイナなどのニセヒーローキャラ、''妄想ウルトラセブン''、''ゾーリム''など「そこを突いてくるか」という多彩なキャラが採用され、充実している。 -''ウルトラモードの増加'' --前作では3本(うち1本はゲームオリジナル)しかなかったシナリオモードも、20本(うち2本がオリジナル)に増えた。但し1本当たりの内容は簡略化されている。 --各エピソードのサブタイトル表示のタイトルバックが、各作品のそれとそっくりに造られている。原作では主題歌と同時に出るものもあるので音楽こそ違うものの、映像は本物と一見見分けがつかないほどのクオリティ。 --ミッション内でもウルトラ兄弟から力を貰ってのスペースQ発動やグリッターティガの登場など、原作の名シーンが悉く再現されている。 --原作での行動と同じプレイをすると高評価がもらえるが、一部のミッションでは前述の通り「エースロボットでエースキラーを倒す」「ルナモードのままジャスティスを倒す」といった''if展開''に持って行くことができ、成功すると問答無用で最高ランクを獲得できる。 ---ただしウルトラマン最終回を再現した「さらばウルトラマン」のみ、''原作通りのプレイに成功するとゾフィーがゼットンと戦うif展開に突入する。''この展開は原作の初期プロットと同一である。((原作通りに科特隊がゼットンにトドメを刺すパターンも存在する。恐らく原作に沿ったプレイの方が難易度が高いためか。)) --ステージ数が大幅に増加され、23ステージから選択可能。 ---番組中に出てきたものを意識しているステージも多く造り込みも細かいため、眺めているだけでも楽しい。 ---夕焼けのステージでは徐々に日が落ちていき、タイムアップ寸前まで時間が経過すると美しい星空になるという演出が存在する。 ---残念ながら前作から続投したステージは一部が簡略化されているが、背景の美しさを損ねてはいない。 ---グラフィックの関係などでキャラクターによっては選択できないステージ有り(ツインテールで神戸港など)。 -''必殺技の増加に伴うカスタムモードの追加'' --前作では各キャラとも必殺技を2~4種類までしか持っていなかったが、本作は「カスタムモード」によって使う必殺技を選択して各コマンドに割り振る事が出来るようになっており、1人当たりの必殺技数が増えた。 --原作で技の多かったキャラでは選べる必殺技も多く、例えばエースには必殺技が11種類もある。ファンならばどれを持っていくかだけでしばらく悩めるだろう。 //キャラゲーとしてはゲームバランス(死に技)よりも原作再現(技増加)を評価するべきでしょう。プレイヤーによって技に対する思い入れも違うでしょうし。 --バリア技や反撃技といった、防御技も登場した。これにより駆け引きの要素が追加され、バトルの流れを変えることも可能になった。 ---必殺技を多くカスタムすれば強いというわけではなく、多く必殺技を持つほど技の威力そのものが下がるという設定となっており戦略的にも意味を持っている。 ---原作で1回しか使われなかったマイナー技も、全てを網羅している訳ではないが使用可能で、演出面もきちんと再現されている。一例を挙げるとウルトラセブンはエメリウム光線だけで3種類もあるし、立体物の付属品として欠かせないジャックのウルトラランスやレオのレオヌンチャクもばっちり実装している。 ---再現度も良好であり、前作ではある程度必殺技時のカメラアングルが固定されていたが、今作は原作の構図を忠実に再現したアングルに改良された。初代ウルトラマンのスペシウム光線のように、複数のアングルが用意された必殺技も存在するほど。 -''援軍システムの改良'' --前作にも存在した援軍システム((自分が劣勢になった場合に作品毎の防衛隊や同胞の円盤が飛来し、敵に攻撃してふらふらゲージを蓄積させるというシステム。))が形を変えて続投。任意で発動する特殊行動扱いになり、ここぞという時に使用出来るようになった。さながら原作でのウルトラマンと防衛隊の連携を再現しているようである。 --こちらも再現度が高い上、レオの援護攻撃で登場するマッキー3号は''特攻する''((原作13話「大爆発!捨身の宇宙人ふたり」の再現。ちなみにこれのみ一撃でふらふらゲージが最大まで溜まる))など芸が細かい。 ---ただし使用は1戦に付き1回だけ、ウルトラヒーローは怪獣にしか使えないなどの制限が存在する。 -''完成度の高いキャラクター再現'' --『1』から引き続き円谷プロ監修のもとスーツアクターからモーションキャプチャしたことで、キャラごとのモーションの再現率が非常に高い。 --通常攻撃にも所々に劇中の攻撃アクションの再現が見られる。特にウルトラマン系は元ネタが豊富にあるため、どの攻撃がどの戦闘シーンから取り入れられたかを探してみるのも一興。 --つかみ後に派生できる投げ技は過去作同様に専用デモによる攻撃となっているが、これも各キャラ3種類ずつ用意され、いずれも原作で印象的な投げ技や攻撃技を再現している。一部流用こそあれど、本作で新たに参戦したキャラの多さを考えれば凄まじい作り込みといえる。 ---グラフィックは完成度の高かった『2』のものを更に改良している。動きが更に滑らかになり、ウルトラシリーズ伝統の「重い挙動」がよく再現され、リアルさを増している。 --変身シーンや勝利後の退場シーンなどの完成度も高く、特に変身シーンの再現度は素晴らしい。原作動画を流すのではなくゲーム用のポリゴンを用いて再現しており、強いこだわりと努力がうかがえる。 ---ガイアとアグルはV2専用の必殺技をカスタムモードで入れておくとグラフィックや変身シーンもV2に変わる。 --ジャックとレオは、各ブレスレット入手以前のエピソードを元にしたシナリオでは「ブレスレット無しのグラフィック」に差し替えられている((ジャックは通常攻撃に「ブレスレットチョップ」があり、この時も動作自体はそのままだが、違和感が出ないようにブレスレットの効果音を削除した専用の演出になっている。))。 --レオは劇中における時間制限が3分ではなく「2分40秒((番組後半では2分30秒となっている時もあった。))」なのだが、オプションの時間制限の項目で変更すればきちんとこの時間制限で対戦できる。ウルトラモードのレオの戦闘においても、この時間制限は再現されている。 ---ウルトラモードのマグマ星人戦では、戦闘前の表示こそレオキックだが、実際に発動すると代わりに必殺技として「きりもみキック((ただし、ジャンプ+□で似た動きのドリルキックはいつでも出せる。専用の演出が入るのはここだけ。))」を放ち、ギラス兄弟の首を跳ね飛ばす演出が入る。この戦闘は、劇中では必殺技としてのレオキック習得前にあたる時期でもあるため、原作再現の演出も含めて本作らしい細かな拘りが窺える仕様となっている。 //言いたいことはわかるし非常に細かいことだがレオキック自体は一話初登場で飛んできてそのままマグマ星人に使ってる。修行前だから必殺の威力はないけど。 --レオの弟であるアストラは発売時点では固有の必殺技を持たなかったのだが、本作ではアストラ版レオキックとも言うべきオリジナル技「アストラキック」が用意されている。この技は後に映像作品にて使用され、ゲームから逆輸入された要素の1つとなった。 ---レオとアストラは共通して合体技「ウルトラダブルフラッシャー」を使用できるが、それぞれで前後の立ち位置が異なっている。原作でもエピソードによって立ち位置が違っており、ここも原作を忠実に再現している。 --ティガ以降おなじみとなった各タイプやモードチェンジでは、必殺技や各攻撃モーションはもちろんファイティングポーズの違いも表現されている。 ---ティガのファイティングポーズは一見すると全タイプで同じに見えるが、よく見るとタイプ毎に手の構えが異なり、きちんと区別されている。 --また細かな点ではあるが、円谷プロとして造形ミスであったと考え意図的に変えたのか、原作と異なる造形表現もある。初代マンの登場デモで胸にカラータイマーが付いていたり((原作での初代マンは、変身登場シーンに限りカラータイマーがついていない。「完成したデザインにはなかったカラータイマーを後から現場で付け足した」との証言がある。))、『タロウ』『レオ』のシナリオに登場するセブンに耳が付いていたり((本来、これらに客演した際のセブンには耳がついていない))など。 --さらに細かい部分で言うと、ダイナのソルジェント光線が直撃した時の「光の輪が発生し、収束してダメージが入る」演出もばっちり再現。攻撃部分だけでなく、被弾演出にも拘りが光る。 ---後述の扱いの悪さからやや目立たない仕様だが、コスモスは(合体技のクロスパーフェクションを除いて)''必殺技で怪獣を撃破しても相手が爆散しない''ようになっている。コロナモードが省略されていることもあり、本作ではコスモスの「優しさ」の表現が際立っていると言える。 --これらの再現度の高さは現在でもシリーズ最高峰との呼び声が高く、ウルトラマンのキャラゲーとしての評価を大きく上げる要因になっている。 -''サウンド面'' --キャラクターにはそれぞれ番組主題歌、挿入歌、劇中BGMのどれかが最低1つは用意されており、対戦中優位に立つと音楽が流れるようになっている。 ---ヒーロー側は主題歌や番組中ヒーローが有利になったときのBGMが流れ、怪獣側は番組中ヒーローが不利になったときのBGMが流れる芸の細かさである。 ---音楽はゲーム用にアレンジされているが元の雰囲気を崩しておらず、かなり良い再現度。 --各種SEは概ね劇中と同じものを使用し、原作を忠実に再現している。後述のような気になる部分こそいくらかあるが、ウルトラマン達の掛け声や怪獣・宇宙人の鳴き声、各必殺技の発射音&攻撃音からカラータイマー音まで多彩に取り入れている。 ---光線技以外の通常攻撃においても、ジャックのブレスレットチョップやタロウのスワローキック、コスモス・エクリプスモードが高速移動する時の音といった、独特かつ印象に残りやすい効果音も一部再現されている。 ---掛け声以外のボイスもいくつか収録されており、タロウの「ストリウム光線!」のような有名なものから、ジャックの「ウルトラハリケーン!」といった1回限りの大技のボイスを再現していることも。 --ナレーションの担当は、ウルトラマンティガの声や、『ダイナ』および後の『ウルトラマン列伝』のナレーターとしてシリーズファンになじみ深い真地勇志氏。その他円谷特撮のナレーションも担当したことがあり、ファンには嬉しい起用である。 //---当然、前述のようにティガの声も担当されている(新録したかは不明)。 -''その他'' --「ビューモード」の追加。任意のキャラクターのグラフィックを好きなステージで見られるモード。グラフィックをタイプチェンジや援護攻撃機体に変えられるほか、曲切り替えをする事もできる。 --「チュートリアル」はゾフィーが戦闘方法をタロウに教えるというストーリー仕立てで進行する。この時の''専用BGMとして名曲「ウルトラ6兄弟」が使われている''など本当に細かい点までこだわり抜いている。 ---ただの初心者向けのモードかと思いきや、とある必殺技の解放にはこのモードを経由する必要がある。やや回りくどい仕様ではあるが、設定的には違和感のない仕上がりになっている。 ---- **問題点 -「コスモス」のみかなり扱いにくい仕様なうえ、原作再現の面でも粗が多い。 --モードチェンジの順番が「ルナ→エクリプス→フューチャー」と、主要形態「コロナモード」が割愛され、代わりに劇場版3作目限定の「フューチャーモード」が採用されている。 ---「コロナモード」はTV本編・劇場版とも大いに活躍した戦闘特化形態であり、後述の怪獣保護特化の形態「ルナモード」と双璧を成す主要フォルムだったが、本作ではまさかの割愛となった。 ---そして「力のコロナ(太陽を取り囲む光熱)に優しさのルナ(月)を重ねて現れるのが勇気のエクリプス(日食)」という設定で、エクリプスモードはあくまでコロナモードからの派生形態だった。映像作品はこれを一貫して厳守しており、「コロナモードを飛ばすことができない」という点が、「エクリプスになるためだけに一度コロナを経る」という行動の描写で明確に表現されていた((本作シナリオのモチーフとなった劇場版3作目に限っては「コロナモード」自体は登場しないが、亜型である「スペースコロナモード」を経ていた))。 ---本作では、あろうことか原作での戦闘時に最も活躍したコロナモードがカットされ、そればかりか原作で意図して避けられていた「コロナを完全に無視したエクリプスへのチェンジ」をも堂々と採用しており、コスモスファンに大きな違和感を与えた。 --そして初期状態の「ルナモード」も非常に扱いにくい。 ---ルナモードは原作同様「優しさにより敵を浄化する」のが役割のモードだが、本作では通常攻撃が一切できず、敵の攻撃を「いなす」(相手の攻撃の直前に、相手と同じボタンを押す)という特殊操作で捌くことを繰り返してふらふらゲージを溜め、これが最大まで溜まると自動で発動するふっとばし攻撃に続けて強制フィニッシュ技「フルムーンレクト」を放てる、という極めて特殊な仕様。 ---「いなす」行動は「相手が入力したキーと同じキーを押す」という高度な操作が必要だが、敵のモーション開始を見てから入力完遂までに与えられた猶予はわずか10フレームであり、これを何度も成功させるのは非常に難易度が高い。 ---「ルナモード」は原作でも確かに捌きがメインのファイトスタイルではあったが、攻撃を全く行わないということはなく、原作再現としてもさすがに極端すぎる。 ---能動的に敵を怯ませることができないため、モードチェンジも一苦労である。ただし、必殺技フルムーンレクトが決まれば、基本的には即勝利となるため、決まった際の爽快感は随一((非生物相手には完全無効な他、光線技扱いなのでバリアで防がれてしまうこともある。))。 ---評価点で触れた通り、ウルトラモードの『コスモスVSジャスティス』をルナモードで勝利するとクリア評価が最高ランク確定となる仕様で、開発陣もルナモードの操作難易度を把握はしていたようだ。 --TV本編での最強形態だった「エクリプスモード」は攻撃力がフューチャーモードより高いが、「徐々にふらふらゲージが増加する」という、謎の仕様を持っている。 ---「変身すると活動時間1分になる」点の原作再現かもしれないが、原作に同様の時間制限設定があるガイアのスプリーム・ヴァージョンは本作でそのような仕様を持たず、こちらだけ妙に不遇である。 --最終形態である「フューチャーモード」までチェンジして攻撃力こそエクリプスより下がるもののようやく特殊な制約がなくなり、他のウルトラマンと能力が対等になるが、先述の通りこのモードは劇場版限定モードであり、これにならないとまともに闘えないというのはむしろ扱いが悪いと言え、コスモスファンには不満である。 --また、必殺技も各モード1種類、フューチャーモードも合体技含めて2種類と少ない。コスモスは本来、技の豊富さで有名なエースと互角以上に多彩な技を持っているため、せめて原作でも見せ場の多かったエクリプスブレードぐらいは出せなかったのだろうか。 ---これらの批判もあってか、次回作ではコスモスの操作性は改善され、また扱いも非常に良くなっている。 -「80」関連の仕様 --80の必殺技は4つと少なめで、ゾフィー、アストラ、アグル、ジャスティスといった''サブウルトラマンにも用意されているSクラスの必殺技が、80のみ設定されていない''。サクシウム光線のAクラスが最強技である。 ---また最弱技がバックルビームとなっているが、原作でのバックルビームはサクシウム光線が効かない相手に浴びせることが多かった、格上の必殺技のはずである。 ---一応、ゲーム内でも希少な「反撃光線技を持つ」という個性・長所はある。また、ウルトラマン勢のSランク技は既存技の応用・発展技や周囲の協力があって成立する大技に選定されていることが多く、この点でも後述のユリアンの未参戦が惜しまれる。 --挙動も劇中のイメージより遅めで、攻撃用モーションの選択もややおかしい。 ---また必殺技発動への布石となる「ふっ飛ばし攻撃」も、地上では相撲の四股踏み、ダッシュ・投げ・ジャンプ下ではダイナマイトボールと、本編で一部の敵((四股踏みはジヒビキラン戦で使用した。ダイナマイトボールはグロブスク戦で使用した体を丸めての体当たり。))にしか使っていない、あまりにマニアックでファンにとっても謎な選定になっている。 --特徴的な風切り音「フォッ!」が無く、ボイスも原作でそこまで連発しなかった「シュワ!」に統一されていて違和感がある。 --作中のサブウルトラマンであるユリアンは、ウルトラモード内で名前が出るのみで実質未参戦。登場回数が極めて少ない上に当時は固有の必殺技も無かったので仕方がないとの声も多いが、もし出ていればアストラキックのようなゲームオリジナルの必殺技の設定や、80との合体技として「ダブルパワー」の再現の可能性もあっただけに惜しいところ。 --80自体がほぼ隠しキャラ扱いであったので、この詰めの甘さになったのではないかと推測されている。 -昭和ウルトラマン勢(セブン、ゾフィー、80以外)の登場時に挿入される「空から降ってきて土煙を立てて着地する」というデモ。 --この演出は原作では平成シリーズ『ダイナ』の途中で登場し、『ガイア』で確立されたもの。当時のファンにとってこの演出は「ガイアの個性」という認識が一般的で、この時点での昭和勢の演出としてはかなり違和感があった((06年発行の『ウルトラマン80』のムック本収録のスタッフインタビューでは、特技監督の佐川和夫氏が『80』製作中の段階から構想していたのを『ダイナ』でやってみたと語られている。後の『マックス』『メビウス』以降のTVシリーズではこの演出は当たり前のように用いられており、これには今なお賛否ある))。 -バルタン星人の防御技である「分身の術」はバリア技と表記されているが、実際は''吸収技''であるため「吸収無効」の必殺技((セブンのアイスラッガー、タロウのウルトラダイナマイトなど。))を防ぐことができない。 --ゴルザやガンQなど、回復系の吸収技を持っている他のキャラは必殺技の威力が低めに設定されているが、バルタン星人はそうではない。そもそも分身で攻撃を無効化ではなく「吸収」するには違和感があるため、ここは単なる設定ミスの可能性が高い。 --また、上記の技に限らずカスタムモード上では「バリア技」と「吸収技」の表記上の区別がなされておらず、判別しづらい。((「分身の術」と同じ吸収技である「レボリウムウェーブ」等は説明文上で「吸収する(受け止める)」との記述があり、そこで判別することもできるのだが、「分身の術」にはそういった記述もない。)) -カスタムモード時の必殺技のダメージ表記が実際のダメージ量と食い違っているものがある。 --ゴモラの「尻尾攻撃連打」、グドンの「残酷ムチラッシュ」、レッドキングの「岩石ラッシュ攻撃」など。それぞれダメージ表記はAだが、実際の威力はダメージSの必殺技並。 --特にゴモラの必殺技はエースの「スペースQ」とほぼ同等のダメージ量に設定されている。確かに原作ではかなりの強敵だったが、流石に威力が高すぎる。 -バトルモードは、ランダムで出現する敵と5連戦する…と説明書にはあるが、実際は敵の登場順はランダムではない。 --基本的にヒーローと怪獣が互い違いに出現する。また5戦目の相手はプレイヤーキャラと因縁のあるキャラと決まっている(初代マンならバルタン星人、キングジョーならセブンなど)。 ---しかもキャラによっては隠し要素の入手条件と連動して敵が出現することもあり、ますます「ランダム」という触れ込みに偽りが付いてしまう。 --また同モードでは、レジェンド、コスモス、ツインテールは絶対に敵として出現しない。 ---レジェンドはゲームバランスを度外視して製作されており、敵として登場させるには強すぎるという問題がある。だがツインテールとコスモスは理由が不明。ツインテールは神戸港を登場ステージにしなければ問題ないし、コスモスはVSモードでは普通にCOMとして選択できるのだが。 -CPUが使う技は最初から固定のため、絶対に使ってこない技というのも存在する。 --これに関連して、CPU操作のガイアV2(及びスプリーム・ヴァージョン)・アグルV2とは戦う事ができない。 --グリッターティガもウルトラモードのシナリオ限定の出演になっている。 ---特別な姿であるグリッターティガはともかく、ガイアV2・アグルV2は原作後半の基本形態であるため、何かしらの形で戦えるようにしてほしかったところである。 -敵CPUが必殺技の防御に成功するかどうかは、実は''難易度によって決まっている''。故に対CPU戦では、必殺技を複数装備する事の意味は薄い。 -BGMのチョイスについてやや難がある。 --『ガイア』のみ主題歌がなぜか未収録((一応、キャラクター選択画面のBGMが『ガイア』のメインテーマ曲である劇伴「逆転のクァンタムストリーム」になっている。))。 ---次作では収録されたので、制作終了までに曲の使用許可が下りなかったのかもしれない。 ---また『ガイア』のピンチのBGMのみ、なぜかビューモードで選曲することができない。 --『レオ』は前期・後期OP2曲とも収録されているが、『80』は前期のみ。 --前作に存在した原作BGMの内、「ウルトラ警備隊の歌」と「TACのテーマ」が未収録になってしまった。 ---ちなみに前作では『レオ』の前期OPがアップテンポにアレンジされていたが、本作では原曲に忠実なアレンジに変更された。 -ウルトラモードの一部のミッションが不親切な仕様。 --ガイアの『決着の日』(ゾーリム戦)が原作と異なりシューティングになっているが(後述)、ガイアV2に変身するムービーが流れた後にいきなり何の説明もなく始まる((同じくシューティング面のある『暗黒の支配者』ではムービー中に操作の指示が入るのだが。))上に、ゾーリムの最初の攻撃がかなり早いため回避しにくい。 ---また、シューティング面で負けるとアグル戦からやり直しになり、ゾーリムが登場する一連のムービーはスキップできずテンポが悪い。 **賛否両論点 -格闘ゲームとしての完成度は高まったが、ヒーローと怪獣でかなりの性能差がある(当然ながら、ヒーロー・怪獣の中にもキャラ別に性能差がある)。 --また、高性能な必殺技やバリア(敵の技カスタムにより1/1から1/4の確率で必殺技防御、基本的に格闘系には無効)、援護攻撃機体を持っているキャラクターの方が有利だったりするなど、対戦バランスにやや難がある。 #region(強キャラ) -ウルトラマンジャック --最強必殺技の「ウルトラハリケーン」がバリア不可で強力な上にコンボも優秀。ジャンプ攻撃各種が非常に強く、特に流星キックは破格の性能を持つ。 -バキシム --特殊攻撃の「小型ミサイル」により、キャラによっては簡単にハメ殺しができる。なんとか近距離まで詰め寄っても、出の早い「火炎放射」で簡単に反撃できダウンまで奪えてしまう。そのためヘイトを貯めやすいキャラでもある。 -バルタン星人 --いわゆるトリッキーな強キャラ。癖が強く上級者向けだが、通常攻撃のリーチが長めな上、テレポーテーションからの攻撃は発生こそ遅いもののタイミングが掴みづらいという強みがあり、出の早い通常攻撃も備えている。 --特殊攻撃の「赤色凍結光線」は出の早さから弱光線としてはトップクラスに優秀で、さらに円盤による援護攻撃もあり、怪獣系では貴重なバリア技まで完備している。 -グローカービショップ --遅い機動力を補う「バーニアダッシュ」、高威力の必殺技「ジルザルデスビーム」おまけに体が大きいため投げ技も通用しない。そのため投げ技からコンボを繋ぐキャラに対しては一方的に蹂躙できる。 -グドン --通常攻撃は両腕のムチによる攻撃なのだが、リーチ・発生・攻撃力を兼ね揃えており優秀。そのため、適当にボタンを押していくだけで有利に立つことが可能で、初心者でも扱いやすい。しかも前述のように、必殺技の「残酷ムチラッシュ」は表示こそ威力Aだが、実際にはS相当の高い威力を持つ。 -ウルトラマンレジェント --本作の公式チートキャラ。技の攻撃力が高い上に出も早く、さらに必殺技「スパークレジェンド」はなんと&bold(){一撃必殺}で&bold(){吸収もバリアも無効}…と、上記の強キャラ達を大幅に凌ぐ圧倒的性能。 --その分、隠しキャラの中で唯一出現してもセーブできず、使用したければその度にウルトラモードの『コスモスVSジャスティス』をクリアする必要がある。 #endregion #region(弱キャラ) -ウルトラマンコスモス --概ね上記で述べた通りで、性能面ではきちんと強みもあるものの、とにかく使いこなすのが難しい。 --特徴としては、防御力が高いが攻撃手段のないルナモード、攻撃性能は高いがルナモードより防御力が低くふらふらゲージ溜めのリスクのあるエクリプスモード、性能のバランスが良くデメリットも無いフューチャーモード、となっている。~ 攻撃面ではエクリプスモードが最も優秀なのだが守りが脆く、フューチャーモードになると攻撃性能が下がる。モードチェンジは一方通行な上にフューチャーモードまで2回も挟む必要があり、各モードの必殺技の種類も少ないので立ち回りが厳しい。 --ルナモードでは撃破不可能な相手もいるが、そもそもモードチェンジ自体に硬直があり、ルナモードには敵の動きを止める手段もないため、相手によってはモードチェンジの隙を突かれて消耗することも。 -ツインテール --見た目通り(?)の超上級者向けキャラ。「前方ステップ・後方ステップ(バック転)・ジャンプ・しゃがみ・前転・後転・投げ」と、これだけの行動をとれない。 --特殊攻撃の「暴れる」はタメ可能。溜めるほど威力とふらふら上昇値が上がり、最大溜めの状態では一撃でふらふらゲージをMAXまで上げるほどの威力を発揮する上、ガード不能の特性も付与される。 ---ただし、溜めるまでに時間がかかる上溜め中は無防備なので、基本的に実用性はない。 --総じて低いキャラ性能だが、各技のリーチはやや長めである点と、必殺技がバリア・吸収無効である点を活かせればそこそこの立ち回りが可能。 -エースロボット --こちらも超上級者向けキャラ。基本的にはエースの劣化コンパチ。 --上述のツインテールと異なり行動に制約が課されることはない(ダッシュを除く)が、ロボットであるという表現のためか通常技のモーションが固くガクガクで、非常に扱いにくい。ただしジャンプ攻撃とつかみの動きだけは例外的に素早い。 ---上記の通常技にはスーパーアーマーが付与されるものの、わざと当たりに行かないとヒットしない程に出が遅いのでメリットとしては全く釣り合わない。 --とにかく技の出が致命的に遅く、まともに扱うにはツインテール以上に熟練を要する。技の出の遅さを生かして時間差で攻撃を当てる、といったトリッキーな戦法も不可能ではないがやはり厳しい。 #endregion --この問題は本作のキャラクター再現度の高さ(行動速度、劇中の技の威力、効果など)故に発生していると言え、一概に悪いとは言えない。 --また、先述した弱キャラはゲーム中での扱いや見た目から意図的に弱く調整されている節がある。その上でそれぞれに強みも用意されているため、使いこなせば強キャラと互角に戦うことも不可能ではない。 -前作・前々作から引き続いて原作のアクションを明らかに無視した動きをする怪獣が居る。新規キャラが大量参戦したため目立つキャラが増えた。 --特に酷いのは『80』の妄想ウルトラセブン。原作では80の光線をジャンプして回避するなど本物のセブン同様に機敏に動いていたのだが、本作ではまるでゾンビのように両手を伸ばして歩くなど、ゆっくりした動きになっている。 --ダイナのタイプチェンジは原作では1つの戦闘で1回しか使えず、その選択における緊張感があったが、本作では3形態を自由に行き来できる。 ---もっとも、この制限を再現すると単純にキャラ性能の低下に繋がってしまうためやむを得ないことは理解できるし、カスタムモードで擬似的に再現することもできるため、批判は少ない。 -ジャックの大技「流星キック」が、前作同様に通常技にとどまっている。 --原作では様々な光線技が通用しないバリアを突破するために編み出した必殺技で、『ヒーロー戦記』や『[[ウルトラマン (PS2)]]』など他のゲームでも必殺技として扱われている。 ---もっとも、バリアを破っただけでとどめを刺した技ではないので、この扱いでいいという声もある。 --なお、もう一つのキック技であるウルトラスピンキックは使用できない。こちらは怪獣にとどめを刺したこともある技で使用回数も流星キックよりも多いので、こちらも再現してほしかったという意見も多い。 ---一応、空中ふっとばし攻撃の方でバルダック星人に繰り出した飛び蹴りを再現していたりと、原作要素に乏しい訳ではない。 //-ほとんどの怪獣は基本性能が控えめになっており、ウルトラモードでは個別に強化されることで原作での強さを表現しているが、これに伴う一部の怪獣の扱いがおかしくなっている。 //--ゴモラ((強力な尻尾でウルトラマンを一度は撃退した怪獣。科学特捜隊が尻尾を切断した事でウルトラマンは勝利できた))や、レイキュバス((冷凍ガスでウルトラマンダイナを氷漬けにして倒した他、遥か上空の戦闘機を火球で狙撃する事も可能な強豪怪獣))はウルトラモードでも強化されない。この2体には前後編に登場したという共通点があることを考えると、本作では後編しか再現されていないからこの扱いになっていると思われる。特にゴモラは前後編両方のイベントが一回の戦いで行われる仕様もあり、高評価狙いでも時間ギリギリの戦いになる。 //一方で、特に強豪超獣ではなかったはずのバキシムはゲーム上で異様な強さを持っている((本作では特殊技の飛び道具は全てガード不能であり、バキシムは多数の高性能な飛び道具を持っているため。))。 -原作を再現したウルトラモードだが、ゲームとしての都合からか細かい描写が違っている場合がある。 #region(該当例。長いので収納。) --『怪獣殿下』は後編の大阪城での戦闘のみ再現されているのだが、それ以前の戦闘で発生した展開もいくつか盛り込まれている。 ---UNG麻酔弾によるふらふらゲージMAXイベント、つかみからの角折り、八つ裂き光輪による尻尾切断と様々な要素が詰め込まれている。ただし原作の大阪城戦では麻酔弾は既に弾切れで、尻尾はその前に発生した市街地戦で科特隊が切断しているなど、再現度が低い訳ではないが総じてアレンジが強めである。 --『ウルトラ警備隊西へ』でキングジョーにライトンR30爆弾を食らわせた後の展開が違う。 ---原作では、ウルトラ警備隊がライトンR30爆弾でキングジョーを破壊し、そこから脱出するペダン星人の円盤をセブンがワイドショットで撃墜するという展開だった。 ---一方、本作では弱体化したキングジョーをセブンで倒して終了となっている。 ---キングジョーの特徴的な倒れ方(気をつけの姿勢から後方に倒れる)は本編でライトンR30爆弾を食らったときと同じに再現されているので、展開自体が違うことに違和感がある((前作のウルトラモードでは原作通りの流れでライトンR30爆弾を喰らってそのまま爆発している。))。 --『影を継ぐもの』に、原作では1話前に倒されていた怪獣ゲオザークが登場する。 ---この一方で、原作で印象的な活躍を果たした味方怪獣ガーディーが一切登場しない。ゲオザークの方も、ゲーム中で名前を「ゲオザー''グ''」と間違えられていたりとツッコミ所が多い。 --『暗黒の支配者』でティガがガタノゾーアに敗北した時、原作では石化した後海底に沈められているが、本作では石像がそのまま残っている。 --『移動要塞浮上せず!』は、ただレイキュバスと戦うだけになっている。 ---TV本編はレイキュバスを操る侵略者スヒュームとの戦いが話の中心だったが、スヒュームは触手がデモムービーに登場するのみで対峙せず、原作を知っている人には拍子抜けの内容。 ---ダイナが一度倒されるというクライマックスもあるのだが、本作では戦闘そのものが一回しか行われず一度倒される展開も再現されていない。どちらかと言えば盛り上がったのは防衛隊(スーパーGUTS)とスヒュームの駆け引きを巡る人間ドラマだったため、余計に再現しづらかったのかもしれない。 --『あざ笑う眼』及びガンQ。 ---ガンQは見た目と名前の強烈さから『ガイア』で最も知名度が高い怪獣の1つであるのは確かで、そのインパクトゆえに採用されたであろうことは容易に想像できる。~ しかし原作でのガンQは「存在の科学的な不条理さから頭脳派の主人公を知的に苦しめた、戦国時代の呪いの具現」というかなりニッチな役回りであった。また「通常の物理攻撃が通りにくい」という特筆すべき個性を持ち、ガンQ戦ではガイアとの直接的格闘は特に見所ではなかった。しかし格ゲーである本作では他の怪獣と同様の肉弾戦を披露することになり、原作とは異なる立ち回りにならざるを得ない。そもそもガンQは『ガイア』ファンの中では特に人気のある方でもなく、『ガイア』でガンQよりバトル面で活躍した、格ゲー栄えする人気怪獣はいくらでもいる。キャラゲーゆえインパクトも重要なのは理解できるが、格ゲーに『ガイア』代表の敵として出るには疑問を禁じ得ないチョイスとなっている。 ---決着のつき方についても、原作では「ガンQに吸い込まれたガイアが、すぐに中からぶち破って撃破する」という流れだが、本作では「条件を満たすとガンQに吸い込まれ、体内にいる本体と対決する」という、原作にはない展開となる。ただ、これに関してはゲーム的な補完アレンジとすれば納得できる範囲で、勝利時にはしっかり原作を再現した演出が挿入されている。 --『決着の日』は、『ガイア』本編最大のクライマックスの1つである原作と全く異なる内容。 ---原作は「首から上だけでガイアの数百倍はあろうかという巨体に航空射撃も新形態ガイアV2の必殺技も一切通用しない中、防衛隊全軍による懸命の支援を受けたガイアがゾーリム体内への侵入に成功し、アグルの光を受け継いだ最強形態スプリーム・ヴァージョンの新必殺技フォトンストリームでようやく撃破する」という展開で、一貫して壮大なスケール感が強調されていた。 ---一方、本作では「上空のワームホールから顔を出しているゾーリムを、地上で攻撃をよけながら光線技ガイアスラッシュで反撃する」という単調なシューティングゲームが始まり、敵の体力を0にするとその場でスプリーム・ヴァージョンに変身しフォトンストリームでトドメを刺す演出が入る、という、原作のプロットとはかけ離れた内容になっている。ゾーリムの圧倒的な脅威も、そこへ人類・ガイア・アグルの総力を懸けて立ち向かう熱さも全く感じられないもので、違和感が大きい。 --『コスモスVSジャスティス』の初戦はコスモス・ルナモードで負けるか、エクリプスモードで勝たないと話が続かない。原作ではルナモードで対決していない上に敗北したのはエクリプスモードであったのだが、本作で再現するとミッション失敗で終わる。 ---その代わり、エクリプスモードで勝利するとその後の戦闘をジャスティスではなくコスモスが行うif展開となる。立場が入れ替わっただけで、進行そのものに大きな違いはないが。 #endregion -敵専用も含めて登場する怪獣の中に4足歩行のものが1体もいない。 --格闘ゲームに向かないため、仕方ない部分もあるのかもしれないが、プレイヤーが操作できるものは手足のある2足歩行のものばかりである(唯一の例外ツインテールも縦長の造形)。 ---後の『[[Rebirth>ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth]]』ではやや変化球であるものの4足歩行する改造タイラントが登場した。 -必殺技のランク付けに疑問がある。 --例えばエースの場合、強力な必殺技であるスペースQがSランク、通常必殺技のメタリウム光線がA、牽制技のスター光線がE、というところは妥当だが、エースの代名詞とも言えるギロチン技5つはウルトラギロチンとギロチンショットのみ高ランクで、残るバーチカルギロチン、ホリゾンタルギロチン、サーキュラーギロチンは低ランクに分類されている。 ---なお、スペースQはエースキラー戦においてウルトラ5兄弟のエネルギーを集めて放った大技であり、ウルトラギロチンは強豪超獣ブロッケンを、ギロチンショットはラスボスのジャンボキングを倒した技なので、これらが高ランクなことに違和感はない。 --ティガの通常状態での最強技はマルチタイプのゼペリオン光線とされているが、本作ではAランクに留まり、パワータイプのデラシウム光流(Sランク)に劣る仕様となっている。ただし、本作のマルチタイプはデラシウム光流を上回る最強技のタイマーフラッシュスペシャルを使用可能なため、それを考慮したものと思われる。 --ダイナの原作での最強技は一般にミラクルタイプの「レボリウムウェーブ((敵を異次元へ送り飛ばす光線技で、どんな敵も一撃でしとめるチート技との呼び声が高い。))」と認識され、原作ではレイキュバスをはじめとした強敵相手に使用していたのだが、本作ではこれがAである一方で、使用頻度の低かったストロングタイプの「ガルネイトボンバー」のみがSになっている。 --ただし、先の80の例も含め、原作での戦果や実績だけで威力を設定すれば必殺技のほとんどが高ランクなもので占められてしまうのは容易に想像できる。上記のティガの例のように、各キャラ及び必殺技ごとの差別化やゲームバランスを考慮すると、原作を無視した調整もやむを得ない部分ではある。 -キャラクターのビジュアルや音声面が一部原作と食い違っている。些細な違いも多いが目立つミスもあり、以下はその一例。 --ティガの目が何故か真っ黄色。原作では乳白色である。 ---また、パワータイプのデラシウム光流はなぜか「光球を胸の前に構えた時の効果音」が抜けており、ここは次回作でも修正されていない((この効果音は他ゲームでも再現されていないことがあり、「ウルトラレプリカ」シリーズといった高級玩具の音声としても未収録になっているケースがある。))。 --イーヴィルティガのカラータイマー音が原作と微妙に異なっており、ゲームオリジナルの効果音が充てられている。 --ニセダイナのダークソルジェント光線の色が、イーヴィルティガのイーヴィルショット同様の黒になっている。原作では黒ではなく紫色で、本物と同じ明るい色合いだった。 ---また、ニセダイナのボイスはダイナの掛け声を加工したものが使われているが、何故か無関係なガイアの掛け声が充てられている箇所がある。 --エメリウム光線やシネラマショットで発射音が再現されているにもかかわらず、同じ効果音であるはずのジャックのスペシウム光線の発射音が原作と異なる。本作では初代マンのスペシウム光線と同じもので統一されている。 ---なお、セブンのワイドショットも原作ではエメリウム光線と同じ発射音であったのだが、本作では『セブン』第36話で使われた効果音が採用されている。 --一応、こういった設定ミスと思しき一部の演出は他キャラとの差別化や、ボイスパターンを増やそうと工夫した結果かもしれない。ワイドショットのようにわざわざ使用例の少ない発射音を採用している箇所もあるため、ゲーム上で区別するための意図的な設定の可能性もある。 -一部の演出について --前作ではジャックの必殺技に「ウルトラクロス」も存在していたが、本作では未収録になっている。 ---ただし、仕様としてはウルトラランス発動時にランダムで投げつける武器が変化するという程度のものであった。また、カスタムモードが追加された本作では性能や演出的にも差別化が難しかったのかもしれない。 --タロウのストリウム光線は溜めポーズから「ストリウム光線!」の掛け声まで概ね忠実に再現されている。ただし、途中のタロウが七色のシルエットになる部分はゲームでは七色のエフェクトを中途半端にかけた形で再現されており、そこだけは少々見栄えが悪い。 --ティガ・スカイタイプのランバルト光弾は、本作ではレギュラン星人戦などで見られた光線タイプが採用されている。原作再現として間違ってはいないのだが、光線タイプは使用頻度が少なかったこともあり、ここは名前通りの光弾タイプを再現して欲しかったところ。 --ダイナの変身シーンは、原作の変身演出と登場BGMを組み合わせて忠実に再現しているのだが、変身演出に対してBGMの尺が余りすぎている。登場BGMをきっちり収録した結果ではあるが、登場してからしばらく片腕を上げて棒立ちになるダイナが映るのは中々シュール。 --敗北演出は一部を除き((コスモスで倒した場合は怪獣もダウンになる。またレジェンドで倒すと敵怪獣は消滅する。))ウルトラマンがダウン、怪獣がダウン後に爆発で統一されている。そのためとどめに使った技によっては微妙な絵面になってしまうことも。 ---特にダイナ・ミラクルタイプの必殺技レボリウムウェーブは敵怪獣の後方に極小ブラックホールを作り出しそこに吸い込ませる技なのだが、本作では''吸い込まれた後に上空から落ちてくる''というオリジナル演出になっている。原作通りだと一撃必殺技になってしまうので格ゲーとして仕方のない改変ではあるが、相手を倒した場合にも演出に変化はなく''落ちてきてそのままダウンもしくは爆発する''というシュールな絵面に。 -タッグモードの仕様 --パッケージでウリの1つであるかのように書かれているタッグモードだが、実質的におまけに近い要素であった。 --プレイヤーが2人でないとプレイできず、選択できるキャラはヒーローのみ。コスモスについては最初からエクリプスモードとなる。 --敵として出てくるのは怪獣キャラのみ。ラスボスはガタノゾーアで固定なのだが、こいつに対してはレオキックなどの肉弾技を発動させることができない。 ---そのため技のカスタマイズを「バリア・吸収無効」と表記されている必殺技や、タロウのウルトラダイナマイトといった敵と接触する肉弾技のみで構成すると、ラスボスの''ガタノゾーアを倒せずに詰む''。 --レオとアストラのタッグでプレイし、どちらかが倒された場合、ゲーム上単体必殺技であるはずのウルトラダブルフラッシャーが使えなくなる。原作設定を意識したのかもしれないが、ゲームの仕様的にはおかしな制限である。 ---なお、似たようなコスモス・フューチャーモードとジャスティス・クラッシャーモードの合体光線技であるクロスパーフェクションは、このタッグモード専用技である((ウルトラモードではCPUとタッグとなるため、実質的に1P一人で発動できる。))が、これなら単体必殺技として使えても良かったのではないだろうか。 --しかし専用のアクションや合体必殺技を見られるのはこのモードだけであり、気の合うプレイヤーがいるのならば一見の価値はある。 ---- **総評 ゲーム性もさることながら、ウルトラマン原作を重視したキャラゲーとしてシリーズ最高傑作と呼ばれている。~ 映像素材としても優れており、動画サイトでも映像を編集することで「一大バトル絵巻」とでも呼ぶべき優れたMADを作ってしまう人々が続出した程である。 前作から引き継いだ独自のシステムの数々は改良されて継承され、ウルトラマンらしさを重視しつつも、前作までで足りなかった駆け引き要素も独自システムによりしっかりと押さえて昇華させている。ウルトラマンごっこで終わらないのが本作だ。 大幅なボリュームアップも、本作の大きな魅力。~ 派生作品界で冷遇されていた80を隠しキャラながら登場させた点も大きな話題となった((実際は説明書に『80』の戦闘機が載っているため、登場はバラされていたのだが…その後、さらにマニアックな「妄想セブン」という更なる隠しキャラの登場も判明した))。 「問題点」として挙がっている内容は、「ゲーム」としては些細な部分も少なくない。~ しかし、こういった細かい粗が気になってしまう人が多いということは、それだけ本作が全体的な再現度のきわめて高い、ディープなファンをも満足させる良質なウルトラマンのキャラゲーであることを如実に表していると言えるだろう。 **その後 -上記のように非常に充実した内容もあってウルトラファンからの評価は極めて高く、下記の次回作はゲームとしての方向性が異なることもあり、ベスト版が発売されるまでプレミア化していた。現在でもPS2のソフトとしては高めの中古価格を維持している。 -その高い評価から次回作にも期待が寄せられたのだが、スタッフは「原作再現は本作で行きつくところへ行き着いてしまった」と考え、違った方向を追求し始めた。~ その結果、『4』ではなく「転生」と銘打たれた作品『[[ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth]]』が生み出され、本作とは一線を画する存在としてファンに投げかけられた。~ 詳しくは該当項目を参照。
*ウルトラマン Fighting Evolution 3 【うるとらまん ふぁいてぃんぐえぼりゅーしょんすりー】 |ジャンル|対戦格闘|&amazon(B00067HN48)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|バンプレスト|~| |開発元|メトロ|~| |発売日|2004年12月2日|~| |定価|7,140円|~| |レーティング|CERO:全年齢対象|~| |廉価版|バンプレストベスト:2007年7月19日/2,940円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|キャラ、BGM等の原作再現度の高さはシリーズ随一&br;ウルトラシリーズファンから高評価|~| |>|>|CENTER:''[[ウルトラマンゲーム・リンク>ウルトラマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 特撮番組『ウルトラマン』シリーズのキャラクターが登場する3D格闘ゲームの第3作。~ システム的には前作『[[2>ウルトラマン Fighting Evolution 2]]』の発展型であり、キャラも全員続投している。~ また、平成ウルトラシリーズのキャラも本作から登場しており、「この時点で終了していた実写ウルトラマン(TVシリーズ)11作品」は全て網羅された事になる。 ---- **システム 基本的には『2』と同じだが、様々な面で改良されている。 -通常攻撃は□ボタンに加え△ボタンの2種類を使うようになった。しかし一般的なパンチとキックに分かれた仕様ではない。あえて言えば、弱攻撃と強攻撃((だが、これも2D格闘ゲーム的な弱、強攻撃とも違う。))だろうか。 --ボタンの増設に伴い全体的な技数が増加した。ボタンとレバーの組み合わせにより、各種連携ができる。 -必殺技のためのふっ飛ばし攻撃のバリエーションが追加。通常攻撃同様にダッシュ・空中のふっ飛ばしが出来るようになった。 --特に空中ふっ飛ばしは隙の少ないものが多く、実用性が格段に増した。 -ガードの使い分けがなくなり、上下段、ジャンプ攻撃などの全ての打撃を防ぐ事ができるようになった。ただしふらふらゲージが満タンの場合、ふっとばし攻撃をガードできない。 -必殺技の使用は、シリーズ共通のふらふらゲージ((格闘ゲームでいう気絶値を視認できるようにしたもの。ただし気絶値と違い、戦闘中に減少はしない。))によるもの。攻撃を当てると相手に溜まっていく。 --必殺技は各ボタンに割り当てられるようになり、必殺技選択中に相手が攻撃側と同じボタンを押すと、ダメージを軽減、もしくはバリアなどにより防ぐ事ができる。 --各必殺技は威力がS~Eにランク分けされており、威力が高い技ほど必要な溜め時間が長い。さらにふらふらゲージの減少速度は残体力が多いほど早いので、高ランクの技をいきなり撃つことはできない。 -その他にキャラクターによっては咆哮などの身体強化、低威力の光線や炎などの牽制攻撃を撃つことができる。 -平成ウルトラマンの代名詞であるタイプチェンジも実装。戦闘中に任意でチェンジ可能であり、ファイトスタイルや必殺技構成もガラリと変わる。 --強化形態に変身するモーションはかなり隙が大きく、実用する場合は通常技との連携を考える必要がある。 -キャラクターや必殺技は特定条件を満たすことによって増えていく。条件は「特定のミッションをクリアする」「バトルモードで出てきた敵怪獣を原作通りの必殺技で倒す」という分かりやすいものから、「原作で敗北したキャラクターで勝利する」「チュートリアルを複数回受けた上で特定ミッションをクリアする」などの普通に考えたら分かりにくいものまで様々。 ---- **登場キャラクター ''太字''は新規参戦キャラ -ウルトラヒーロー --初代マン、ゾフィー、セブン、ジャック(新マン)、エース、タロウ、レオ、''アストラ''、~ ''ティガ''、''ダイナ''、''ガイア''、''アグル''、''コスモス''、''ジャスティス''、''レジェンド''、''80'' -怪獣サイド --バルタン星人、''レッドキング''、ゴモラ、ダダ、ゼットン、キングジョー、''グドン''、''ツインテール''、ベムスター、''バキシム''、エースキラー、''エースロボット''、タイラント、マグマ星人、''妄想ウルトラセブン''、~ ''ゴルザ(強化)''、''イーヴィルティガ''、''レイキュバス''、''ニセウルトラマンダイナ''、''ガンQ[コードNo.01]''、''グローカービショップ'' -ウルトラモード専用ウルトラヒーロー --''グリッターティガ'' -敵専用キャラ --''シルバーブルーメ''、''ガタノゾーア''、''ガンQ体内''、''ゾーリム'' -援護攻撃機体 --ジェットビートル、小型ビートル、ウルトラホーク1号、マットアロー1号、タックアロー、コンドル1号、マッキー1号、マッキー3号、シルバーガル、~ ガッツウイング2号、ガッツイーグル、XIGファイターSS、XIGファイターSG、テックライガー1号、テックライガー2号、~ バルタン星人、ダダ上司、ゼットン星人の円盤、ペダン星人の宇宙船、''ガンQ[コードNo.02]の眼球'' -ウルトラモード専用機体 --ポインター、マットジープ、ガッツウイングEX-J ---- **評価点、及び『2』から強化された点 -''ウルトラマンらしさと格闘の両立'' --通常技は相変わらず大振り。しかし攻撃種類の増加や逆転要素の導入により前作、[[前々作>ウルトラマン Fighting Evolution]]のように大雑把なゲーム止まりにはなっておらず、打撃と投げ、ガードアタック、必殺技とその防御、ふらふらゲージの管理など、ここにきて本作なりの独特な駆け引きを確立させた。 ---ただウルトラマンらしさを優先させているため、後述するがキャラバランスはあまりよくない。 --ステージには様々なものがあるが、ゲーム的にも各ステージの特色がよく出ている。街中で相手をビルの狭間に追い込んで戦闘を優位に進めていったり、足元の岩や建物が動きを制限したりと、本作ならではのプレイ感がある。 --ふらふらゲージは『2』とほぼ同じシステムだが、更に使いやすくなっている。必殺技の派手さと実用性は、今作でも当然両立。 -''登場キャラの大幅な追加'' --『1』は12体、『2』は16体だったのに対し、本作は37体(+敵専用キャラ4体)となっている。 --前作まではキャラの少なさが批判の的だったが、主なTVシリーズの主役はほぼ網羅。集合ゲーではまず出なかった''80''まで追加しており、更に''アストラ''や''アグル''などのサブウルトラマンまで追加されていることは高く評価された。 --敵キャラもヒーローと対になるよう各作品から最低1体は収録されている。 -''ファン好みの採用敵キャラのチョイス'' --怪獣・宇宙人の大半は原作の各ストーリー内でクライマックスとなったストーリーの登場怪獣や、各ウルトラマンを一度は撃破した強敵を中心にチョイスされており、ファン心を大いに盛り上げる。 --エースロボットやニセウルトラマンダイナなどのニセヒーローキャラ、''妄想ウルトラセブン''、''ゾーリム''など「そこを突いてくるか」という多彩なキャラが採用され、充実している。 -''ウルトラモードの増加'' --前作では3本(うち1本はゲームオリジナル)しかなかったシナリオモードも、20本(うち2本がオリジナル)に増えた。但し1本当たりの内容は簡略化されている。 --各エピソードのサブタイトル表示のタイトルバックが、各作品のそれとそっくりに造られている。原作では主題歌と同時に出るものもあるので音楽こそ違うものの、映像は本物と一見見分けがつかないほどのクオリティ。 --ミッション内でもウルトラ兄弟から力を貰ってのスペースQ発動やグリッターティガの登場など、原作の名シーンが悉く再現されている。 --原作での行動と同じプレイをすると高評価がもらえるが、一部のミッションでは前述の通り「エースロボットでエースキラーを倒す」「ルナモードのままジャスティスを倒す」といった''if展開''に持って行くことができ、成功すると問答無用で最高ランクを獲得できる。 ---ただしウルトラマン最終回を再現した「さらばウルトラマン」のみ、''原作通りのプレイに成功するとゾフィーがゼットンと戦うif展開に突入する。''この展開は原作の初期プロットと同一である。((原作通りに科特隊がゼットンにトドメを刺すパターンも存在する。恐らく原作に沿ったプレイの方が難易度が高いためか。)) --ステージ数が大幅に増加され、23ステージから選択可能。 ---番組中に出てきたものを意識しているステージも多く造り込みも細かいため、眺めているだけでも楽しい。 ---夕焼けのステージでは徐々に日が落ちていき、タイムアップ寸前まで時間が経過すると美しい星空になるという演出が存在する。 ---残念ながら前作から続投したステージは一部が簡略化されているが、背景の美しさを損ねてはいない。 ---グラフィックの関係などでキャラクターによっては選択できないステージ有り(ツインテールで神戸港など)。 -''必殺技の増加に伴うカスタムモードの追加'' --前作では各キャラとも必殺技を2~4種類までしか持っていなかったが、本作は「カスタムモード」によって使う必殺技を選択して各コマンドに割り振る事が出来るようになっており、1人当たりの必殺技数が増えた。 --原作で技の多かったキャラでは選べる必殺技も多く、例えばエースには必殺技が11種類もある。ファンならばどれを持っていくかだけでしばらく悩めるだろう。 //キャラゲーとしてはゲームバランス(死に技)よりも原作再現(技増加)を評価するべきでしょう。プレイヤーによって技に対する思い入れも違うでしょうし。 --バリア技や反撃技といった、防御技も登場した。これにより駆け引きの要素が追加され、バトルの流れを変えることも可能になった。 ---必殺技を多くカスタムすれば強いというわけではなく、多く必殺技を持つほど技の威力そのものが下がるという設定となっており戦略的にも意味を持っている。 ---原作で1回しか使われなかったマイナー技も、全てを網羅している訳ではないが使用可能で、演出面もきちんと再現されている。一例を挙げるとウルトラセブンはエメリウム光線だけで3種類もあるし、立体物の付属品として欠かせないジャックのウルトラランスやレオのレオヌンチャクもばっちり実装している。 ---再現度も良好であり、前作ではある程度必殺技時のカメラアングルが固定されていたが、今作は原作の構図を忠実に再現したアングルに改良された。初代ウルトラマンのスペシウム光線のように、複数のアングルが用意された必殺技も存在するほど。 -''援軍システムの改良'' --前作にも存在した援軍システム((自分が劣勢になった場合に作品毎の防衛隊や同胞の円盤が飛来し、敵に攻撃してふらふらゲージを蓄積させるというシステム。))が形を変えて続投。任意で発動する特殊行動扱いになり、ここぞという時に使用出来るようになった。さながら原作でのウルトラマンと防衛隊の連携を再現しているようである。 --こちらも再現度が高い上、レオの援護攻撃で登場するマッキー3号は''特攻する''((原作13話「大爆発!捨身の宇宙人ふたり」の再現。ちなみにこれのみ一撃でふらふらゲージが最大まで溜まる))など芸が細かい。 ---ただし使用は1戦に付き1回だけ、ウルトラヒーローは怪獣にしか使えないなどの制限が存在する。 -''完成度の高いキャラクター再現'' --『1』から引き続き円谷プロ監修のもとスーツアクターからモーションキャプチャしたことで、キャラごとのモーションの再現率が非常に高い。 --通常攻撃にも所々に劇中の攻撃アクションの再現が見られる。特にウルトラマン系は元ネタが豊富にあるため、どの攻撃がどの戦闘シーンから取り入れられたかを探してみるのも一興。 --つかみ後に派生できる投げ技は過去作同様に専用デモによる攻撃となっているが、これも各キャラ3種類ずつ用意され、いずれも原作で印象的な投げ技や攻撃技を再現している。一部流用こそあれど、本作で新たに参戦したキャラの多さを考えれば凄まじい作り込みといえる。 ---グラフィックは完成度の高かった『2』のものを更に改良している。動きが更に滑らかになり、ウルトラシリーズ伝統の「重い挙動」がよく再現され、リアルさを増している。 --変身シーンや勝利後の退場シーンなどの完成度も高く、特に変身シーンの再現度は素晴らしい。原作動画を流すのではなくゲーム用のポリゴンを用いて再現しており、強いこだわりと努力がうかがえる。 ---ガイアとアグルはV2専用の必殺技をカスタムモードで入れておくとグラフィックや変身シーンもV2に変わる。 --ジャックとレオは、各ブレスレット入手以前のエピソードを元にしたシナリオでは「ブレスレット無しのグラフィック」に差し替えられている((ジャックは通常攻撃に「ブレスレットチョップ」があり、この時も動作自体はそのままだが、違和感が出ないようにブレスレットの効果音を削除した専用の演出になっている。))。 --レオは劇中における時間制限が3分ではなく「2分40秒((番組後半では2分30秒となっている時もあった。))」なのだが、オプションの時間制限の項目で変更すればきちんとこの時間制限で対戦できる。ウルトラモードのレオの戦闘においても、この時間制限は再現されている。 ---ウルトラモードのマグマ星人戦では、戦闘前の表示こそレオキックだが、実際に発動すると代わりに必殺技として「きりもみキック((ただし、ジャンプ+□で似た動きのドリルキックはいつでも出せる。専用の演出が入るのはここだけ。))」を放ち、ギラス兄弟の首を跳ね飛ばす演出が入る。この戦闘は、劇中では必殺技としてのレオキック習得前にあたる時期でもあるため、原作再現の演出も含めて本作らしい細かな拘りが窺える仕様となっている。 //言いたいことはわかるし非常に細かいことだがレオキック自体は一話初登場で飛んできてそのままマグマ星人に使ってる。修行前だから必殺の威力はないけど。 --レオの弟であるアストラは発売時点では固有の必殺技を持たなかったのだが、本作ではアストラ版レオキックとも言うべきオリジナル技「アストラキック」が用意されている。この技は後に映像作品にて使用され、ゲームから逆輸入された要素の1つとなった。 ---レオとアストラは共通して合体技「ウルトラダブルフラッシャー」を使用できるが、それぞれで前後の立ち位置が異なっている。原作でもエピソードによって立ち位置が違っており、ここも原作を忠実に再現している。 --ティガ以降おなじみとなった各タイプやモードチェンジでは、必殺技や各攻撃モーションはもちろんファイティングポーズの違いも表現されている。 ---ティガのファイティングポーズは一見すると全タイプで同じに見えるが、よく見るとタイプ毎に手の構えが異なり、きちんと区別されている。 --また細かな点ではあるが、円谷プロとして造形ミスであったと考え意図的に変えたのか、原作と異なる造形表現もある。初代マンの登場デモで胸にカラータイマーが付いていたり((原作での初代マンは、変身登場シーンに限りカラータイマーがついていない。「完成したデザインにはなかったカラータイマーを後から現場で付け足した」との証言がある。))、『タロウ』『レオ』のシナリオに登場するセブンに耳が付いていたり((本来、これらに客演した際のセブンには耳がついていない))など。 --さらに細かい部分で言うと、ダイナのソルジェント光線が直撃した時の「光の輪が発生し、収束してダメージが入る」演出もばっちり再現。攻撃部分だけでなく、被弾演出にも拘りが光る。 ---後述の扱いの悪さからやや目立たない仕様だが、コスモスは(合体技のクロスパーフェクションを除いて)''必殺技で怪獣を撃破しても相手が爆散しない''ようになっている。コロナモードが省略されていることもあり、本作ではコスモスの「優しさ」の表現が際立っていると言える。 --これらの再現度の高さは現在でもシリーズ最高峰との呼び声が高く、ウルトラマンのキャラゲーとしての評価を大きく上げる要因になっている。 -''サウンド面'' --キャラクターにはそれぞれ番組主題歌、挿入歌、劇中BGMのどれかが最低1つは用意されており、対戦中優位に立つと音楽が流れるようになっている。 ---ヒーロー側は主題歌や番組中ヒーローが有利になったときのBGMが流れ、怪獣側は番組中ヒーローが不利になったときのBGMが流れる芸の細かさである。 ---音楽はゲーム用にアレンジされているが元の雰囲気を崩しておらず、かなり良い再現度。 --各種SEは概ね劇中と同じものを使用し、原作を忠実に再現している。後述のような気になる部分こそいくらかあるが、ウルトラマン達の掛け声や怪獣・宇宙人の鳴き声、各必殺技の発射音&攻撃音からカラータイマー音まで多彩に取り入れている。 ---光線技以外の通常攻撃においても、ジャックのブレスレットチョップやタロウのスワローキック、コスモス・エクリプスモードが高速移動する時の音といった、独特かつ印象に残りやすい効果音も一部再現されている。 ---掛け声以外のボイスもいくつか収録されており、タロウの「ストリウム光線!」のような有名なものから、ジャックの「ウルトラハリケーン!」といった1回限りの大技のボイスを再現していることも。 --ナレーションの担当は、ウルトラマンティガの声や、『ダイナ』および後の『ウルトラマン列伝』のナレーターとしてシリーズファンになじみ深い真地勇志氏。その他円谷特撮のナレーションも担当したことがあり、ファンには嬉しい起用である。 //---当然、前述のようにティガの声も担当されている(新録したかは不明)。 -''その他'' --「ビューモード」の追加。任意のキャラクターのグラフィックを好きなステージで見られるモード。グラフィックをタイプチェンジや援護攻撃機体に変えられるほか、曲切り替えをする事もできる。 --「チュートリアル」はゾフィーが戦闘方法をタロウに教えるというストーリー仕立てで進行する。この時の''専用BGMとして名曲「ウルトラ6兄弟」が使われている''など本当に細かい点までこだわり抜いている。 ---ただの初心者向けのモードかと思いきや、とある必殺技の解放にはこのモードを経由する必要がある。やや回りくどい仕様ではあるが、設定的には違和感のない仕上がりになっている。 ---- **問題点 -「コスモス」のみかなり扱いにくい仕様なうえ、原作再現の面でも粗が多い。 --モードチェンジの順番が「ルナ→エクリプス→フューチャー」と、主要形態「コロナモード」が割愛され、代わりに劇場版3作目限定の「フューチャーモード」が採用されている。 ---「コロナモード」はTV本編・劇場版とも大いに活躍した戦闘特化形態であり、後述の怪獣保護特化の形態「ルナモード」と双璧を成す主要フォルムだったが、本作ではまさかの割愛となった。 ---そして「力のコロナ(太陽を取り囲む光熱)に優しさのルナ(月)を重ねて現れるのが勇気のエクリプス(日食)」という設定で、エクリプスモードはあくまでコロナモードからの派生形態だった。映像作品はこれを一貫して厳守しており、「コロナモードを飛ばすことができない」という点が、「エクリプスになるためだけに一度コロナを経る」という行動の描写で明確に表現されていた((本作シナリオのモチーフとなった劇場版3作目に限っては「コロナモード」自体は登場しないが、亜型である「スペースコロナモード」を経ていた))。 ---本作では、あろうことか原作での戦闘時に最も活躍したコロナモードがカットされ、そればかりか原作で意図して避けられていた「コロナを完全に無視したエクリプスへのチェンジ」をも堂々と採用しており、コスモスファンに大きな違和感を与えた。 --そして初期状態の「ルナモード」も非常に扱いにくい。 ---ルナモードは原作同様「優しさにより敵を浄化する」のが役割のモードだが、本作では通常攻撃が一切できず、敵の攻撃を「いなす」(相手の攻撃の直前に、相手と同じボタンを押す)という特殊操作で捌くことを繰り返してふらふらゲージを溜め、これが最大まで溜まると自動で発動するふっとばし攻撃に続けて強制フィニッシュ技「フルムーンレクト」を放てる、という極めて特殊な仕様。 ---「いなす」行動は「相手が入力したキーと同じキーを押す」という高度な操作が必要だが、敵のモーション開始を見てから入力完遂までに与えられた猶予はわずか10フレームであり、これを何度も成功させるのは非常に難易度が高い。 ---「ルナモード」は原作でも確かに捌きがメインのファイトスタイルではあったが、攻撃を全く行わないということはなく、原作再現としてもさすがに極端すぎる。 ---能動的に敵を怯ませることができないため、モードチェンジも一苦労である。ただし、必殺技フルムーンレクトが決まれば、基本的には即勝利となるため、決まった際の爽快感は随一((非生物相手には完全無効な他、光線技扱いなのでバリアで防がれてしまうこともある。))。 ---評価点で触れた通り、ウルトラモードの『コスモスVSジャスティス』をルナモードで勝利するとクリア評価が最高ランク確定となる仕様で、開発陣もルナモードの操作難易度を把握はしていたようだ。 --TV本編での最強形態だった「エクリプスモード」は攻撃力がフューチャーモードより高いが、「徐々にふらふらゲージが増加する」という、謎の仕様を持っている。 ---「変身すると活動時間1分になる」点の原作再現かもしれないが、原作に同様の時間制限設定があるガイアのスプリーム・ヴァージョンは本作でそのような仕様を持たず、こちらだけ妙に不遇である。 --最終形態である「フューチャーモード」までチェンジして攻撃力こそエクリプスより下がるもののようやく特殊な制約がなくなり、他のウルトラマンと能力が対等になるが、先述の通りこのモードは劇場版限定モードであり、これにならないとまともに闘えないというのはむしろ扱いが悪いと言え、コスモスファンには不満である。 --また、必殺技も各モード1種類、フューチャーモードも合体技含めて2種類と少ない。コスモスは本来、技の豊富さで有名なエースと互角以上に多彩な技を持っているため、せめて原作でも見せ場の多かったエクリプスブレードぐらいは出せなかったのだろうか。 ---これらの批判もあってか、次回作ではコスモスの操作性は改善され、また扱いも非常に良くなっている。 -「80」関連の仕様 --80の必殺技は4つと少なめで、ゾフィー、アストラ、アグル、ジャスティスといった''サブウルトラマンにも用意されているSクラスの必殺技が、80のみ設定されていない''。サクシウム光線のAクラスが最強技である。 ---また最弱技がバックルビームとなっているが、原作でのバックルビームはサクシウム光線が効かない相手に浴びせることが多かった、格上の必殺技のはずである。 ---一応、ゲーム内でも希少な「反撃光線技を持つ」という個性・長所はある。また、ウルトラマン勢のSランク技は既存技の応用・発展技や周囲の協力があって成立する大技に選定されていることが多く、この点でも後述のユリアンの未参戦が惜しまれる。 --挙動も劇中のイメージより遅めで、攻撃用モーションの選択もややおかしい。 ---また必殺技発動への布石となる「ふっ飛ばし攻撃」も、地上では相撲の四股踏み、ダッシュ・投げ・ジャンプ下ではダイナマイトボールと、本編で一部の敵((四股踏みはジヒビキラン戦で使用した。ダイナマイトボールはグロブスク戦で使用した体を丸めての体当たり。))にしか使っていない、あまりにマニアックでファンにとっても謎な選定になっている。 --特徴的な風切り音「フォッ!」が無く、ボイスも原作でそこまで連発しなかった「シュワ!」に統一されていて違和感がある。 --作中のサブウルトラマンであるユリアンは、ウルトラモード内で名前が出るのみで実質未参戦。登場回数が極めて少ない上に当時は固有の必殺技も無かったので仕方がないとの声も多いが、もし出ていればアストラキックのようなゲームオリジナルの必殺技の設定や、80との合体技として「ダブルパワー」の再現の可能性もあっただけに惜しいところ。 --80自体がほぼ隠しキャラ扱いであったので、この詰めの甘さになったのではないかと推測されている。 -昭和ウルトラマン勢(セブン、ゾフィー、80以外)の登場時に挿入される「空から降ってきて土煙を立てて着地する」というデモ。 --この演出は原作では平成シリーズ『ダイナ』の途中で登場し、『ガイア』で確立されたもの。当時のファンにとってこの演出は「ガイアの個性」という認識が一般的で、この時点での昭和勢の演出としてはかなり違和感があった((06年発行の『ウルトラマン80』のムック本収録のスタッフインタビューでは、特技監督の佐川和夫氏が『80』製作中の段階から構想していたのを『ダイナ』でやってみたと語られている。後の『マックス』『メビウス』以降のTVシリーズではこの演出は当たり前のように用いられており、これには今なお賛否ある))。 -バルタン星人の防御技である「分身の術」はバリア技と表記されているが、実際は''吸収技''であるため「吸収無効」の必殺技((セブンのアイスラッガー、タロウのウルトラダイナマイトなど。))を防ぐことができない。 --ゴルザやガンQなど、回復系の吸収技を持っている他のキャラは必殺技の威力が低めに設定されているが、バルタン星人はそうではない。そもそも分身で攻撃を無効化ではなく「吸収」するには違和感があるため、ここは単なる設定ミスの可能性が高い。 --また、上記の技に限らずカスタムモード上では「バリア技」と「吸収技」の表記上の区別がなされておらず、判別しづらい。((「分身の術」と同じ吸収技である「レボリウムウェーブ」等は説明文上で「吸収する(受け止める)」との記述があり、そこで判別することもできるのだが、「分身の術」にはそういった記述もない。)) -カスタムモード時の必殺技のダメージ表記が実際のダメージ量と食い違っているものがある。 --ゴモラの「尻尾攻撃連打」、グドンの「残酷ムチラッシュ」、レッドキングの「岩石ラッシュ攻撃」など。それぞれダメージ表記はAだが、実際の威力はダメージSの必殺技並。 --特にゴモラの必殺技はエースの「スペースQ」とほぼ同等のダメージ量に設定されている。確かに原作ではかなりの強敵だったが、流石に威力が高すぎる。 -バトルモードは、ランダムで出現する敵と5連戦する…と説明書にはあるが、実際は敵の登場順はランダムではない。 --基本的にヒーローと怪獣が互い違いに出現する。また5戦目の相手はプレイヤーキャラと因縁のあるキャラと決まっている(初代マンならバルタン星人、キングジョーならセブンなど)。 ---しかもキャラによっては隠し要素の入手条件と連動して敵が出現することもあり、ますます「ランダム」という触れ込みに偽りが付いてしまう。 --また同モードでは、レジェンド、コスモス、ツインテールは絶対に敵として出現しない。 ---レジェンドはゲームバランスを度外視して製作されており、敵として登場させるには強すぎるという問題がある。だがツインテールとコスモスは理由が不明。ツインテールは神戸港を登場ステージにしなければ問題ないし、コスモスはVSモードでは普通にCOMとして選択できるのだが。 -CPUが使う技は最初から固定のため、絶対に使ってこない技というのも存在する。 --これに関連して、CPU操作のガイアV2(及びスプリーム・ヴァージョン)・アグルV2とは戦う事ができない。 --グリッターティガもウルトラモードのシナリオ限定の出演になっている。 ---特別な姿であるグリッターティガはともかく、ガイアV2・アグルV2は原作後半の基本形態であるため、何かしらの形で戦えるようにしてほしかったところである。 -敵CPUが必殺技の防御に成功するかどうかは、実は''難易度によって決まっている''。故に対CPU戦では、必殺技を複数装備する事の意味は薄い。 -BGMのチョイスについてやや難がある。 --『ガイア』のみ主題歌がなぜか未収録((一応、キャラクター選択画面のBGMが『ガイア』のメインテーマ曲である劇伴「逆転のクァンタムストリーム」になっている。))。 ---次作では収録されたので、制作終了までに曲の使用許可が下りなかったのかもしれない。 ---また『ガイア』のピンチのBGMのみ、なぜかビューモードで選曲することができない。 --『レオ』は前期・後期OP2曲とも収録されているが、『80』は前期のみ。 --前作に存在した原作BGMの内、「ウルトラ警備隊の歌」と「TACのテーマ」が未収録になってしまった。 ---ちなみに前作では『レオ』の前期OPがアップテンポにアレンジされていたが、本作では原曲に忠実なアレンジに変更された。 -ウルトラモードの一部のミッションが不親切な仕様。 --ガイアの『決着の日』(ゾーリム戦)が原作と異なりシューティングになっているが(後述)、ガイアV2に変身するムービーが流れた後にいきなり何の説明もなく始まる((同じくシューティング面のある『暗黒の支配者』ではムービー中に操作の指示が入るのだが。))上に、ゾーリムの最初の攻撃がかなり早いため回避しにくい。 ---また、シューティング面で負けるとアグル戦からやり直しになり、ゾーリムが登場する一連のムービーはスキップできずテンポが悪い。 **賛否両論点 -格闘ゲームとしての完成度は高まったが、ヒーローと怪獣でかなりの性能差がある(当然ながら、ヒーロー・怪獣の中にもキャラ別に性能差がある)。 --また、高性能な必殺技やバリア(敵の技カスタムにより1/1から1/4の確率で必殺技防御、基本的に格闘系には無効)、援護攻撃機体を持っているキャラクターの方が有利だったりするなど、対戦バランスにやや難がある。 #region(強キャラ) -ウルトラマンジャック --最強必殺技の「ウルトラハリケーン」がバリア不可で強力な上にコンボも優秀。ジャンプ攻撃各種が非常に強く、特に流星キックは破格の性能を持つ。 -バキシム --特殊攻撃の「小型ミサイル」により、キャラによっては簡単にハメ殺しができる。なんとか近距離まで詰め寄っても、出の早い「火炎放射」で簡単に反撃できダウンまで奪えてしまう。そのためヘイトを貯めやすいキャラでもある。 -バルタン星人 --いわゆるトリッキーな強キャラ。癖が強く上級者向けだが、通常攻撃のリーチが長めな上、テレポーテーションからの攻撃は発生こそ遅いもののタイミングが掴みづらいという強みがあり、出の早い通常攻撃も備えている。 --特殊攻撃の「赤色凍結光線」は出の早さから弱光線としてはトップクラスに優秀で、さらに円盤による援護攻撃もあり、怪獣系では貴重なバリア技まで完備している。 -グローカービショップ --遅い機動力を補う「バーニアダッシュ」、高威力の必殺技「ジルザルデスビーム」おまけに体が大きいため投げ技も通用しない。そのため投げ技からコンボを繋ぐキャラに対しては一方的に蹂躙できる。 -グドン --通常攻撃は両腕のムチによる攻撃なのだが、リーチ・発生・攻撃力を兼ね揃えており優秀。そのため、適当にボタンを押していくだけで有利に立つことが可能で、初心者でも扱いやすい。しかも前述のように、必殺技の「残酷ムチラッシュ」は表示こそ威力Aだが、実際にはS相当の高い威力を持つ。 -ウルトラマンレジェンド --本作の公式チートキャラ。技の攻撃力が高い上に出も早く、さらに必殺技「スパークレジェンド」はなんと&bold(){一撃必殺}で&bold(){吸収もバリアも無効}…と、上記の強キャラ達を大幅に凌ぐ圧倒的性能。 --その分、隠しキャラの中で唯一出現してもセーブできず、使用したければその度にウルトラモードの『コスモスVSジャスティス』をクリアする必要がある。 #endregion #region(弱キャラ) -ウルトラマンコスモス --概ね上記で述べた通りで、性能面ではきちんと強みもあるものの、とにかく使いこなすのが難しい。 --特徴としては、防御力が高いが攻撃手段のないルナモード、攻撃性能は高いがルナモードより防御力が低くふらふらゲージ溜めのリスクのあるエクリプスモード、性能のバランスが良くデメリットも無いフューチャーモード、となっている。~ 攻撃面ではエクリプスモードが最も優秀なのだが守りが脆く、フューチャーモードになると攻撃性能が下がる。モードチェンジは一方通行な上にフューチャーモードまで2回も挟む必要があり、各モードの必殺技の種類も少ないので立ち回りが厳しい。 --ルナモードでは撃破不可能な相手もいるが、そもそもモードチェンジ自体に硬直があり、ルナモードには敵の動きを止める手段もないため、相手によってはモードチェンジの隙を突かれて消耗することも。 -ツインテール --見た目通り(?)の超上級者向けキャラ。「前方ステップ・後方ステップ(バック転)・ジャンプ・しゃがみ・前転・後転・投げ」と、これだけの行動をとれない。 --特殊攻撃の「暴れる」はタメ可能。溜めるほど威力とふらふら上昇値が上がり、最大溜めの状態では一撃でふらふらゲージをMAXまで上げるほどの威力を発揮する上、ガード不能の特性も付与される。 ---ただし、溜めるまでに時間がかかる上、溜め中は無防備なので、基本的に実用性はない。 --総じて低いキャラ性能だが、各技のリーチはやや長めである点と、必殺技がバリア・吸収無効である点を活かせればそこそこの立ち回りが可能。 -エースロボット --こちらも超上級者向けキャラ。基本的にはエースの劣化コンパチ。 --上述のツインテールと異なり行動に制約が課されることはない(ダッシュを除く)が、ロボットであるという表現のためか通常技のモーションが固くガクガクで、非常に扱いにくい。ただしジャンプ攻撃とつかみの動きだけは例外的に素早い。 ---上記の通常技にはスーパーアーマーが付与されるものの、わざと当たりに行かないとヒットしない程に出が遅いのでメリットとしては全く釣り合わない。 --とにかく技の出が致命的に遅く、まともに扱うにはツインテール以上に熟練を要する。技の出の遅さを生かして時間差で攻撃を当てる、といったトリッキーな戦法も不可能ではないがやはり厳しい。 #endregion --この問題は本作のキャラクター再現度の高さ(行動速度、劇中の技の威力、効果など)故に発生していると言え、一概に悪いとは言えない。 --また、先述した弱キャラはゲーム中での扱いや見た目から意図的に弱く調整されている節がある。その上でそれぞれに強みも用意されているため、使いこなせば強キャラと互角に戦うことも不可能ではない。 -前作・前々作から引き続いて原作のアクションを明らかに無視した動きをする怪獣が居る。新規キャラが大量参戦したため目立つキャラが増えた。 --特に酷いのは『80』の妄想ウルトラセブン。原作では80の光線をジャンプして回避するなど本物のセブン同様に機敏に動いていたのだが、本作ではまるでゾンビのように両手を伸ばして歩くなど、ゆっくりした動きになっている。 --ダイナのタイプチェンジは原作では1つの戦闘で1回しか使えず、その選択における緊張感があったが、本作では3形態を自由に行き来できる。 ---もっとも、この制限を再現すると単純にキャラ性能の低下に繋がってしまうためやむを得ないことは理解できるし、カスタムモードで擬似的に再現することもできるため、批判は少ない。 -ジャックの大技「流星キック」が、前作同様に通常技にとどまっている。 --原作では様々な光線技が通用しないバリアを突破するために編み出した必殺技で、『ヒーロー戦記』や『[[ウルトラマン (PS2)]]』など他のゲームでも必殺技として扱われている。 ---もっとも、バリアを破っただけでとどめを刺した技ではないので、この扱いでいいという声もある。 --なお、もう一つのキック技であるウルトラスピンキックは使用できない。こちらは怪獣にとどめを刺したこともある技で使用回数も流星キックよりも多いので、こちらも再現してほしかったという意見も多い。 ---一応、空中ふっとばし攻撃の方でバルダック星人に繰り出した飛び蹴りを再現していたりと、原作要素に乏しい訳ではない。 //-ほとんどの怪獣は基本性能が控えめになっており、ウルトラモードでは個別に強化されることで原作での強さを表現しているが、これに伴う一部の怪獣の扱いがおかしくなっている。 //--ゴモラ((強力な尻尾でウルトラマンを一度は撃退した怪獣。科学特捜隊が尻尾を切断した事でウルトラマンは勝利できた))や、レイキュバス((冷凍ガスでウルトラマンダイナを氷漬けにして倒した他、遥か上空の戦闘機を火球で狙撃する事も可能な強豪怪獣))はウルトラモードでも強化されない。この2体には前後編に登場したという共通点があることを考えると、本作では後編しか再現されていないからこの扱いになっていると思われる。特にゴモラは前後編両方のイベントが一回の戦いで行われる仕様もあり、高評価狙いでも時間ギリギリの戦いになる。 //一方で、特に強豪超獣ではなかったはずのバキシムはゲーム上で異様な強さを持っている((本作では特殊技の飛び道具は全てガード不能であり、バキシムは多数の高性能な飛び道具を持っているため。))。 -原作を再現したウルトラモードだが、ゲームとしての都合からか細かい描写が違っている場合がある。 #region(該当例。長いので収納。) --『怪獣殿下』は後編の大阪城での戦闘のみ再現されているのだが、それ以前の戦闘で発生した展開もいくつか盛り込まれている。 ---UNG麻酔弾によるふらふらゲージMAXイベント、つかみからの角折り、八つ裂き光輪による尻尾切断と様々な要素が詰め込まれている。ただし原作の大阪城戦では麻酔弾は既に弾切れで、尻尾はその前に発生した市街地戦で科特隊が切断しているなど、再現度が低い訳ではないが総じてアレンジが強めである。 --『ウルトラ警備隊西へ』でキングジョーにライトンR30爆弾を食らわせた後の展開が違う。 ---原作では、ウルトラ警備隊がライトンR30爆弾でキングジョーを破壊し、そこから脱出するペダン星人の円盤をセブンがワイドショットで撃墜するという展開だった。 ---一方、本作では弱体化したキングジョーをセブンで倒して終了となっている。 ---キングジョーの特徴的な倒れ方(気をつけの姿勢から後方に倒れる)は本編でライトンR30爆弾を食らったときと同じに再現されているので、展開自体が違うことに違和感がある((前作のウルトラモードでは原作通りの流れでライトンR30爆弾を喰らってそのまま爆発している。))。 --『影を継ぐもの』に、原作では1話前に倒されていた怪獣ゲオザークが登場する。 ---この一方で、原作で印象的な活躍を果たした味方怪獣ガーディーが一切登場しない。ゲオザークの方も、ゲーム中で名前を「ゲオザー''グ''」と間違えられていたりとツッコミ所が多い。 --『暗黒の支配者』でティガがガタノゾーアに敗北した時、原作では石化した後海底に沈められているが、本作では石像がそのまま残っている。 --『移動要塞浮上せず!』は、ただレイキュバスと戦うだけになっている。 ---TV本編はレイキュバスを操る侵略者スヒュームとの戦いが話の中心だったが、スヒュームは触手がデモムービーに登場するのみで対峙せず、原作を知っている人には拍子抜けの内容。 ---ダイナが一度倒されるというクライマックスもあるのだが、本作では戦闘そのものが一回しか行われず一度倒される展開も再現されていない。どちらかと言えば盛り上がったのは防衛隊(スーパーGUTS)とスヒュームの駆け引きを巡る人間ドラマだったため、余計に再現しづらかったのかもしれない。 --『あざ笑う眼』及びガンQ。 ---ガンQは見た目と名前の強烈さから『ガイア』で最も知名度が高い怪獣の1つであるのは確かで、そのインパクトゆえに採用されたであろうことは容易に想像できる。~ しかし原作でのガンQは「存在の科学的な不条理さから頭脳派の主人公を知的に苦しめた、戦国時代の呪いの具現」というかなりニッチな役回りであった。また「通常の物理攻撃が通りにくい」という特筆すべき個性を持ち、ガンQ戦ではガイアとの直接的格闘は特に見所ではなかった。しかし格ゲーである本作では他の怪獣と同様の肉弾戦を披露することになり、原作とは異なる立ち回りにならざるを得ない。そもそもガンQは『ガイア』ファンの中では特に人気のある方でもなく、『ガイア』でガンQよりバトル面で活躍した、格ゲー栄えする人気怪獣はいくらでもいる。キャラゲーゆえインパクトも重要なのは理解できるが、格ゲーに『ガイア』代表の敵として出るには疑問を禁じ得ないチョイスとなっている。 ---決着のつき方についても、原作では「ガンQに吸い込まれたガイアが、すぐに中からぶち破って撃破する」という流れだが、本作では「条件を満たすとガンQに吸い込まれ、体内にいる本体と対決する」という、原作にはない展開となる。ただ、これに関してはゲーム的な補完アレンジとすれば納得できる範囲で、勝利時にはしっかり原作を再現した演出が挿入されている。 --『決着の日』は、『ガイア』本編最大のクライマックスの1つである原作と全く異なる内容。 ---原作は「首から上だけでガイアの数百倍はあろうかという巨体に航空射撃も新形態ガイアV2の必殺技も一切通用しない中、防衛隊全軍による懸命の支援を受けたガイアがゾーリム体内への侵入に成功し、アグルの光を受け継いだ最強形態スプリーム・ヴァージョンの新必殺技フォトンストリームでようやく撃破する」という展開で、一貫して壮大なスケール感が強調されていた。 ---一方、本作では「上空のワームホールから顔を出しているゾーリムを、地上で攻撃をよけながら光線技ガイアスラッシュで反撃する」という単調なシューティングゲームが始まり、敵の体力を0にすると「その場でスプリーム・ヴァージョンに変身しフォトンストリームでトドメを刺す演出が入る」という、原作のプロットとはかけ離れた内容になっている。ゾーリムの圧倒的な脅威も、そこへ人類・ガイア・アグルの総力を懸けて立ち向かう熱さも全く感じられないもので、違和感が大きい。 --『コスモスVSジャスティス』の初戦はコスモス・ルナモードで負けるか、エクリプスモードで勝たないと話が続かない。原作ではルナモードで対決していない上に敗北したのはエクリプスモードであったのだが、本作で再現するとミッション失敗で終わる。 ---その代わり、エクリプスモードで勝利するとその後の戦闘をジャスティスではなくコスモスが行うif展開となる。立場が入れ替わっただけで、進行そのものに大きな違いはないが。 #endregion -敵専用も含めて登場する怪獣の中に4足歩行のものが1体もいない。 --格闘ゲームに向かないため、仕方ない部分もあるのかもしれないが、プレイヤーが操作できるものは手足のある2足歩行のものばかりである(唯一の例外ツインテールも縦長の造形)。 ---後の『[[Rebirth>ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth]]』ではやや変化球であるものの4足歩行する改造タイラントが登場した。 -必殺技のランク付けに疑問がある。 --例えばエースの場合、強力な必殺技であるスペースQがSランク、通常必殺技のメタリウム光線がA、牽制技のスター光線がE、というところは妥当だが、エースの代名詞とも言えるギロチン技5つはウルトラギロチンとギロチンショットのみ高ランクで、残るバーチカルギロチン、ホリゾンタルギロチン、サーキュラーギロチンは低ランクに分類されている。 ---なお、スペースQはエースキラー戦においてウルトラ5兄弟のエネルギーを集めて放った大技であり、ウルトラギロチンは強豪超獣ブロッケンを、ギロチンショットはラスボスのジャンボキングを倒した技なので、これらが高ランクなことに違和感はない。 --ティガの通常状態での最強技はマルチタイプのゼペリオン光線とされているが、本作ではAランクに留まり、パワータイプのデラシウム光流(Sランク)に劣る仕様となっている。ただし、本作のマルチタイプはデラシウム光流を上回る最強技のタイマーフラッシュスペシャルを使用可能なため、それを考慮したものと思われる。 --ダイナの原作での最強技は一般にミラクルタイプの「レボリウムウェーブ((敵を異次元へ送り飛ばす光線技で、どんな敵も一撃でしとめるチート技との呼び声が高い。))」と認識され、原作ではレイキュバスをはじめとした強敵相手に使用していたのだが、本作ではこれがAである一方で、使用頻度の低かったストロングタイプの「ガルネイトボンバー」のみがSになっている。 --ただし、先の80の例も含め、原作での戦果や実績だけで威力を設定すれば必殺技のほとんどが高ランクなもので占められてしまうのは容易に想像できる。上記のティガの例のように、各キャラ及び必殺技ごとの差別化やゲームバランスを考慮すると、原作を無視した調整もやむを得ない部分ではある。 -キャラクターのビジュアルや音声面が一部原作と食い違っている。些細な違いも多いが目立つミスもあり、以下はその一例。 --ティガの目が何故か真っ黄色。原作では乳白色である。 ---また、パワータイプのデラシウム光流はなぜか「光球を胸の前に構えた時の効果音」が抜けており、ここは次回作でも修正されていない((この効果音は他ゲームでも再現されていないことがあり、「ウルトラレプリカ」シリーズといった高級玩具の音声としても未収録になっているケースがある。))。 --イーヴィルティガのカラータイマー音が原作と微妙に異なっており、ゲームオリジナルの効果音が充てられている。 --ニセダイナのダークソルジェント光線の色が、イーヴィルティガのイーヴィルショット同様の黒になっている。原作では黒ではなく紫色で、本物と同じ明るい色合いだった。 ---また、ニセダイナのボイスはダイナの掛け声を加工したものが使われているが、何故か無関係なガイアの掛け声が充てられている箇所がある。 --エメリウム光線やシネラマショットで発射音が再現されているにもかかわらず、同じ効果音であるはずのジャックのスペシウム光線の発射音が原作と異なる。本作では初代マンのスペシウム光線と同じもので統一されている。 ---なお、セブンのワイドショットも原作ではエメリウム光線と同じ発射音であったのだが、本作では『セブン』第36話で使われた効果音が採用されている。 --一応、こういった設定ミスと思しき一部の演出は他キャラとの差別化や、ボイスパターンを増やそうと工夫した結果かもしれない。ワイドショットのようにわざわざ使用例の少ない発射音を採用している箇所もあるため、ゲーム上で区別するための意図的な設定の可能性もある。 -一部の演出について --前作ではジャックの必殺技に「ウルトラクロス」も存在していたが、本作では未収録になっている。 ---ただし、仕様としてはウルトラランス発動時にランダムで投げつける武器が変化するという程度のものであった。また、カスタムモードが追加された本作では性能や演出的にも差別化が難しかったのかもしれない。 --タロウのストリウム光線は溜めポーズから「ストリウム光線!」の掛け声まで概ね忠実に再現されている。ただし、途中のタロウが七色のシルエットになる部分はゲームでは七色のエフェクトを中途半端にかけた形で再現されており、そこだけは少々見栄えが悪い。 --ティガ・スカイタイプのランバルト光弾は、本作ではレギュラン星人戦などで見られた光線タイプが採用されている。原作再現として間違ってはいないのだが、光線タイプは使用頻度が少なかったこともあり、ここは名前通りの光弾タイプを再現して欲しかったところ。 --ダイナの変身シーンは、原作の変身演出と登場BGMを組み合わせて忠実に再現しているのだが、変身演出に対してBGMの尺が余りすぎている。登場BGMをきっちり収録した結果ではあるが、登場してからしばらく片腕を上げて棒立ちになるダイナが映るのは中々シュール。 --敗北演出は一部を除き((コスモスで倒した場合は怪獣もダウンになる。またレジェンドで倒すと敵怪獣は消滅する。))ウルトラマンがダウン、怪獣がダウン後に爆発で統一されている。そのためとどめに使った技によっては微妙な絵面になってしまうことも。 ---特にダイナ・ミラクルタイプの必殺技レボリウムウェーブは敵怪獣の後方に極小ブラックホールを作り出しそこに吸い込ませる技なのだが、本作では''吸い込まれた後に上空から落ちてくる''というオリジナル演出になっている。原作通りだと一撃必殺技になってしまうので格ゲーとして仕方のない改変ではあるが、相手を倒した場合にも演出に変化はなく''落ちてきてそのままダウンもしくは爆発する''というシュールな絵面に。 -タッグモードの仕様 --パッケージでウリの1つであるかのように書かれているタッグモードだが、実質的におまけに近い要素であった。 --プレイヤーが2人でないとプレイできず、選択できるキャラはヒーローのみ。コスモスについては最初からエクリプスモードとなる。 --敵として出てくるのは怪獣キャラのみ。ラスボスはガタノゾーアで固定なのだが、こいつに対してはレオキックなどの肉弾技を発動させることができない。 ---そのため技のカスタマイズを「バリア・吸収無効」と表記されている必殺技や、タロウのウルトラダイナマイトといった敵と接触する肉弾技のみで構成すると、ラスボスの''ガタノゾーアを倒せずに詰む''。 --レオとアストラのタッグでプレイし、どちらかが倒された場合、ゲーム上単体必殺技であるはずのウルトラダブルフラッシャーが使えなくなる。原作設定を意識したのかもしれないが、ゲームの仕様的にはおかしな制限である。 ---なお、似たようなコスモス・フューチャーモードとジャスティス・クラッシャーモードの合体光線技であるクロスパーフェクションは、このタッグモード専用技である((ウルトラモードではCPUとタッグとなるため、実質的に1P一人で発動できる。))が、これなら単体必殺技として使えても良かったのではないだろうか。 --しかし専用のアクションや合体必殺技を見られるのはこのモードだけであり、気の合うプレイヤーがいるのならば一見の価値はある。 ---- **総評 ゲーム性もさることながら、ウルトラマン原作を重視したキャラゲーとしてシリーズ最高傑作と呼ばれている。~ 映像素材としても優れており、動画サイトでも映像を編集することで「一大バトル絵巻」とでも呼ぶべき優れたMADを作ってしまう人々が続出した程である。 前作から引き継いだ独自のシステムの数々は改良されて継承され、ウルトラマンらしさを重視しつつも、前作までで足りなかった駆け引き要素も独自システムによりしっかりと押さえて昇華させている。ウルトラマンごっこで終わらないのが本作だ。 大幅なボリュームアップも、本作の大きな魅力。~ 派生作品界で冷遇されていた80を隠しキャラながら登場させた点も大きな話題となった((実際は説明書に『80』の戦闘機が載っているため、登場はバラされていたのだが…その後、さらにマニアックな「妄想セブン」という更なる隠しキャラの登場も判明した))。 「問題点」として挙がっている内容は、「ゲーム」としては些細な部分も少なくない。~ しかし、こういった細かい粗が気になってしまう人が多いということは、それだけ本作が全体的な再現度の極めて高い、ディープなファンをも満足させる良質なウルトラマンのキャラゲーであることを如実に表していると言えるだろう。 **その後 -上記のように非常に充実した内容もあってウルトラファンからの評価は極めて高く、下記の次回作はゲームとしての方向性が異なることもあり、ベスト版が発売されるまでプレミア化していた。現在でもPS2のソフトとしては高めの中古価格を維持している。 -その高い評価から次回作にも期待が寄せられたのだが、スタッフは「原作再現は本作で行きつくところへ行き着いてしまった」と考え、違った方向を追求し始めた。~ その結果、『4』ではなく「転生」と銘打たれた作品『[[ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth]]』が生み出され、本作とは一線を画する存在としてファンに投げかけられた。~ 詳しくは該当項目を参照。

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