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*ACE COMBAT 5 THE UNSUNG WAR 【えーすこんばっとふぁいぶ じ・あんさんぐ・うぉー】 |ジャンル|フライトシューティング|&amazon(B0002TY16I)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~| |発売・開発元|ナムコ|~| |発売日|2004年10月21日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |廉価版|PlayStation2 the Best&br;2005年7月7日/2,667円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[エースコンバットシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''歴史が大きく変わるとき、『ラーズグリーズ』はその姿を現す。''}~ &big(){''はじめには、漆黒の悪魔として。悪魔はその力をもって大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ。''}~ &big(){''しばしの眠りの後、ラーズグリーズは再び現れる…''}~ &font(i,120%){――童話「姫君の青い鳩」より――} }} ~ ---- **概要 ナムコの送るフライトシューティングゲームの金字塔、『エースコンバット』シリーズの5作目。~ イメージカラーは前作『[[エースコンバット04 シャッタードスカイ]]』が青だったのに対し、今作は緑となっている。 前作は適度なリアリティと戦争の悲哀を散りばめたストーリー、豊富な無線やわかりやすいブリーフィング、~ PS2初期作にしては高度なグラフィック、サウンドなどで高評価を得てシリーズの路線を固めた名作であった。~ その後継作であるこの作品は前作の要素を発展させ、ボリュームを膨らませたことによってシリーズでも前作と双璧をなす名作となっている。 ---- **ストーリー >15年前、戦争があった。~ かつての栄華を失い、諸大国の食い物にされようとしていた「ベルカ公国」は、その比類なき技術力を結集させ、世界に最後の反抗を挑んだのだ。~ だが、公国の指導者達は既に時代が変わったことに気が付けなかった。公国軍は北の山脈に追い詰められ、遂には自国内で核兵器を起爆する蛮行に至った。~ その惨状を目の当たりにした連合国、とりわけ冷戦状態にあった「オーシア」と「ユークトバニア」の2大国は、戦後に関係を回復し、共調して大規模な軍縮を初めていった。~ ~ 物語は、オーシア・ユークトバニア両国間に広がるセレス海の孤島、オーシア領サンド島から始まる。~ ~ 2010年9月23日、オーシア国防空軍第108戦術戦闘飛行隊、通称"サンド島分遣隊"に所属する飛行中隊は、沖合の飛行訓練空域にて国籍不明機の侵入に遭遇、交戦状態へと突入した。~ 敵味方が入り乱れる空戦のなか、通信指令室は致命的なミスを犯した。その結果、中隊長のバートレット大尉、新米のナガセ少尉を除く8名の飛行士が散る。~ 地理的に、不明機はユークトバニアのムルスカ空軍基地の所属機としか考えられない。だが友好国であるユークトバニアが、宣戦布告もなしに攻撃を仕掛けるのだろうか?~ 人々の記憶から遠く離れたサンド島には高次警戒配備態勢と箝口令が敷かれ、飛行隊の取材に訪れていたカメラマンのジュネットは軟禁されることとなった。~ ~ 地上に帰った2人に若いパイロットを加え、急遽、臨時小隊が結成された。~ ジャック・バートレット大尉、ケイ・ナガセ少尉、アルヴィン・H・ダヴェンポート少尉、そして、主人公。~ その翌日、またしても沖合に国籍不明機が出現。交戦記録は依然として一切が伏せられたまま、小隊は緊急発進する。~ ~ 物語はカメラマン・ジュネットの取材と、ナガセ少尉の独白を通して描かれていく。 ---- **特徴・評価点 -プレイヤーはオーシア国サンド島分遣隊、通称「ウォードッグ隊」の1パイロット、TACネーム「ブレイズ」となり、突如としてオーシアに宣戦布告したユークトバニア連邦共和国へ挑んでいく。 -ミッション形態や難易度選択などは評価の高かった前作とほぼ同じで、ブリーフィングの演出やインターフェースなどは更に強化されている。 -''ミッション数は全29章と1周当たりのボリュームはシリーズ随一。''長くシナリオを楽しめ、クリアした時の達成感は大きい。今作は分岐が3回、2つのミッションをこなすことになる最終章があり、計32章と、『3』に次ぐボリュームを誇る。 -ボリューム増大によりミッション内容の幅も更に多彩に。例としては「同時進行する複数の地上軍の侵攻を航空援護し合流させる」「テロによって毒ガスがばらまかれた街に中和剤を散布する」「レーダー網をかいくぐって敵の秘密施設を航空写真に収め、帰還する」など。 -物語の終盤になると空母から艦載機で出撃するミッションが何回か存在する。この際には通常乗っている戦闘機では無く、空母から発進する艦載機を使用することになる。 ***システム -プレイアブル機体は53機で、『[[エースコンバット インフィニティ]]』''が登場するまでの約10年間最多であった''。『[[エースコンバット7 スカイズ・アンノウン]]』の時点で本作でしか見れない戦闘機もチラホラ。 --隠し機体として、『2』にて真のラスボスとしてプレイヤーの前に立ちはだかった「ADF-01」が「ファルケン」の名義で登場する。オリジナルと『3 エレクトロスフィア』の設定を盛り込んだ閉鎖型コクピット、強力無比なレーザーとそれに関する可変機構が備えられたサプライズつき。 -特殊兵装の種類が増加。また、攻撃機の機銃は対地攻撃が行いやすい「下向き機銃」となっており、主兵装の節約がしやすくなっている。 -最大の特徴は、プレイヤーが早い内に部隊の隊長になる為僚機に「攻撃」「援護」「分散」といった指示を出すのが可能になった事。 --これにより分散行動をして広い戦場を効率的に制圧したり、密集する敵軍団の前に部隊を団結させて立ち向かったりと戦術の幅が上昇した。 --基本的に4機編成の部隊として出撃する。機体を統一したり、全機別々のものにしたりなど、自分好みの部隊編成が可能。 -前作よりも任務自体の難易度は上昇している。ミッション中に補給に戻ることができなくなったので弾薬の管理が重要になった。 -大抵の任務ではプレイヤーの撃墜やミッションクリア条件を達成せずに時間切れになる以外に「特定のターゲットに戦線離脱される」「護衛対象を撃破される」「敵のレーダーにひっかかる」などプレイヤーが無事でも安心できないゲームオーバー条件が存在している。僚機や兵装の使い方次第でこれらの要素は楽にも難しくもなる。 -クリア後の隠し要素も多い。遊ぼうと思えば、シリーズで最も長く遊べると言ってよい。 ***グラフィック -グラフィックの質は前作よりさらに上昇し、人物や建物の描写がかなり綺麗になった。空も夜景や降雪、高空域での雲海などの描写がより美しく、見やすくなった。 ***サウンド -BGMは『7』発売までシリーズ最多であった''92曲''(未使用含む)。クオリティもトップクラスであり、曲を聴くためだけにゲームを買っても損はない。 --オーケストラとコーラスをふんだんに用いてラストバトルを盛り上げる「The Unsung War」やプレイヤーの隊長としての初陣を華々しく飾る「First Flight」、霧の中の奇襲戦という切迫した場面と上手く溶け込んだ「Rendezvous」など名曲は枚挙にいとまがない。 --本作のEDである「The Journey Home」だがEDに使われるものの他に、別の歌手による独唱版、合唱版がゲーム中で使われている。その合唱版が使われるのは下で挙げられている、Mission17である。 --テーマ曲としてボーカルバンドPuddle of Muddの「Blurry」が使われている。PVやOPで使用され、大きな話題を呼んだ。 --本作のEDは上に挙げられている「The Journey Home」と本作のテーマ曲「Blurry」の2曲が使われている。 ***シナリオ -シナリオがかなり熱い。超熱血警官が爆走する「Mission11B 代償の街」や、海軍軍人の男意気がほとばしる「Mission26 混迷の海」などが白眉。また''「Mission17 JOURNEY HOME」は本作屈指の名ステージ''であり、是非前情報無しでのプレイをお勧めする。 -また前作で好評を得た無線システムも増強。僚機や管制機が皆個性的な性格をしているため会話が飽きない。 --モノローグで平和への想いや子供の頃の思い出を語るなど一見してセンチメンタルな性格だが、敵の捜索隊員を拳銃一本で捕虜にするなど勇ましい面も持つナガセや、ふざけ半分でユーモアのある会話をするチョッパーと、それをたしなめる生真面目な管制機サンダーヘッドなどのキャラクターはシリーズでも人気が高い。 --敵味方の兵隊だけでなく、ミッションによってはテロに立ち向かう警官や戦時下でせわしなく働く看護師、スタジアムの観客を避難させる警備員といった戦争に巻き込まれる民間人の通信も聞くことができ、臨場感を高めている。 --ただ話を一方的に聞くだけではなく、問いかけられた時には左右のキーでイエスノーの返事をすることもでき、会話に入っていくシーンもある。これによって分岐するステージもある。 -無線を含めたゲーム中の音声は、前作が英語のみだったのに対し本作では日本語・英語で切り替えが可能。日本語音声で出演している声優陣は有名どころを揃えており大変豪華。 -ボイス量も極めて豊富で、全種類の特殊兵装にちゃんと攻撃時の台詞が用意されている。 -各機体ごとに各キャラの撃墜履歴が用意されており、誰が多く撃墜しているか、どの機体を多く使わせたかまで知ることが出来る。 -恒例の超兵器の出番も多く、顔見せと実際の戦闘がきっちり分かれており、その威力をプレイヤーが認知した上で戦うという展開が徹底している。そのため存在感は抜群。 -キャンペーンモードとは別に「ACE COMBAT OPERATION KATINA」という、よりテクニック性に特化したアーケードモードもあり、こちらもスコア稼ぎなどが熱い。 --ちなみにアーケードモードの主人公は前作主人公のメビウス1。管制機スカイアイも登場する。 ---- **賛否両論点 -リアル路線で戦争の物悲しさを描いた前作のストーリーに対し、今作のストーリーはハリウッド映画的な勧善懲悪もの。そのため細かい所で無茶な状況・展開がある。 #region(close,ネタバレ注意) -友軍艦隊合流後はとんとん拍子に話が進む点が特に指摘される。ゲームの都合(主にミッション数)も関係している気がしなくもないが。 --ただM15ではナガセの尋問によりユーク軍兵士も戦争への疑問を吐露していることが明かされたり、M17では主戦派の副大統領の演説に対して「Journey Home」を合唱して抗議する群衆が描かれ、さらに続くM18ではクルイーク要塞攻略戦を前にした前線指揮官が、目の前の首都攻略に燃えるのではなく「作戦後は新年休暇のために帰国して家族と過ごす」ことを考えているなど、中盤時点ですでに両国間で少なからず厭戦ムードが漂っていたであろう描写が点在している。この点を踏まえれば、黒幕が明らかになってから一気に形勢が終戦に傾く展開自体は(テンポを別にすれば)決して不自然ではないともいえる。 --一方で、どちらの国も真の敵ではないという筋書きを作りたいがための「開戦の裏には黒幕がいた」という設定にそもそも無理がある。いくら黒幕が暗躍したといっても、&bold(){敗残国の残党に過ぎない一派が列強の戦勝2ヶ国にそこまでの影響力を持つというのはいささか荒唐無稽と言わざるを得ない。} ---端緒は「海の向こうはユークトバニアしかない方角から国籍不明機が飛来し交戦に発展した」というものであり、重大な国交問題にはなるかもしれないが一足飛びに宣戦布告するのは展開として強引((ベルカ戦争の戦後処理などで以前から関係が悪化していた等の可能性はあるが、「前の戦争以来の友好国じゃないですか」と驚くジュネットの反応を見ると、やはり「信じられない」という感覚が一般的であることがうかがえる。))。ユーク側にも並行して同様の襲撃があったとか、M10のように民間施設に被害が出たとかなら分かるが、宣戦布告にいたったまでの舞台裏について明かされることは結局ない。 -AWACS「サンダーヘッド」が中盤にはフェードアウト。終盤ではかわって「オーカ・ニエーバ」が登場する。これはロシア語で「空の目」を意味しており、前作のAWACSである「スカイアイ」を意識したネーミングではある。だが、プレイヤーはここまで数多くのミッションでサンダーヘッドに慣れ親しんでいたため、彼が未登場であることを残念に思う声が少なくない。 --オーカ・ニエーバについては、印象的な登場シーン、堅苦しいサンダーヘッドとは対照的にウィットを交えつつ落ち着きのある管制をするなど、少ない出番ながら好感の持てる描写がされている。しかし、中盤以降サンダーヘッドが話題にも全く出ず、なまじオーシア軍と合流できたのだから、その後の動向を知りたかったプレイヤーも多かっただろうと思われる。 #endregion -グラフィックがよくなったが故の弊害 --前作と比べ大幅にグラフィックが上昇したが総じて敵味方の総数が減ってしまった。ステージ全体を見ると決して少なすぎるということではないのだが、味方は基本的に僚機のみであり、上陸戦で地上部隊と航空機は主人公部隊だけで作戦を行うという通常ならありえない作戦が多い。仮に味方NPCがいたとしてもほとんどがイベント機なので印象が薄く活躍もしない。 ---ストーリーと併せて、良くも悪くもキャラクターありきの内容に寄っている。次作以降もこの方針が続くことになる。 ---あくまで戦場という雰囲気が感じられるかどうか程度の個人の感覚なので気にしない人もいるが、前作は味方NPCが敵機を撃墜したりある程度行動してくれ、主人公の行動及び戦況に合わせて通信をしてくれていたので戦場の雰囲気という点では若干劣ってしまっている。 -前作で時々起こる「NPCが直前で獲物をかっさらっていく」ハプニングを抑えるためか、本作では僚機の攻撃頻度は低めに設定されており、攻撃面ではあまり活躍しない。 --本作では大抵3機の僚機と共に飛ぶため、攻撃頻度を軽々しく上げるとなおさらプレイヤーが倒せる敵が減ってしまう。本作の僚機はむしろ、プレイヤー機の後方で敵を分散させる弾除け役という形で貢献しているため、一概に問題点と決めつけることはできない(いるといないとでは特に高難易度で結構な差が出てくる)。 --続編『ZERO』では僚機の数が1機に減らされたことで強化され、より頼れるようになった。 -04と違い、クリア時の撃墜スコアに差がでるステージがほとんど無い。これが原因で、ゲームとしての楽しさを求める04派と、物語としての楽しさを求める5派で評価が割れやすい。~ 本編で差が出ない分、アーケードモードに振り替えているとも捉えられるが、本編でも04並には出来るようにして欲しかったという声も多い。 ---- **問題点 -特殊兵装の選択ができない。さすがに不評だったらしく次回作で復活した。 --キルレートによる機体の増加が同一系統での特殊兵装のバリエーション増加を兼ねているが、グレードアップすると性能も上がるため基本的に上位機体しか使われなくなる((例外として、F-16やトーネードはキルレートにより同レベルの性能の機体が3種類同時に増えるため選択の余地がある。また、機体性能が異なるため上位機体が完全な代替機にはなりえないものも存在する。))。 --逆にグレードアップにより特殊兵装が弱体化(今作で大幅にパワーダウンしたQAAMなど)する場合もあるので、キルレートをためる必要性が薄い機体もある。 -ミッション。 --出撃機体強制ミッションが、少ないながらもいくつかある。そのため、自由度が他作品と比べてやや低い。 --詳しく言うと今作はキャンペーン(いわゆるストーリーモード)を一度クリアしないとフリーミッションは選べず、機体の追加も基本的にはキャンペーンの進行で増えるため、まずキャンペーンをクリアしないとフリーミッションで好きな面を心行くまで遊ぶことも機体を増やすこともできない。そしてキャンペーンの初回中は全クリアするまではクリア済ミッションの再挑戦もできない。さらにキャンペーンでは「機体の購入売却もできるし所持機体から選択して出撃できる」「機体の売買ができないが所持機体から選ぶことはできる」「機体の選択すら制限される」ミッションが混在している。これ自体は初回プレイ時の制限としては妥当な面もあるのだがこれらが複合した強烈な初見殺しがある。 #region(close,具体的には…ミッション18~19のネタバレ) -ミッション18は難易度の高い対地攻撃ミッション。初心者は何度もリトライする可能性があり、クリアのために対地攻撃が得意な機体を選びがちだがこれが罠になる。 -それをクリアするとミッション18+が始まる。これはミッション18を終えた帰りに敵の罠にかかるという筋書のため前回出撃した機体で強制出撃になる。つまり前ミッションのクリアのために対空性能に劣る対地機を使っているとそのままここで大量の敵戦闘機に襲われることになる。もちろん初見プレイヤーが事前にこうなることを予測する材料はない。 --だがミッション18+は戦って全滅させてもいいが逃げてエリアを脱出してもクリアとなり、ゲーム内でもそれを推奨している。逃げるだけなら対地攻撃機でも十分可能。 -その後長いムービーを挟んでミッション19が始まる。これは非武装の練習機で敵の追撃をかわすために先導する航空機の後を飛んで逃げるミッションで、はぐれてしまうと失敗となる。これまでの間に戦闘せず的確に飛行をこなすことだけのミッションはチュートリアルを除けば無い。エスコン定番のアレの前哨戦として狭い洞窟の中を飛ばされることもあり、これまた初心者は何回もリトライしてもおかしくはない。先導機の後をひたすら付いていくしかクリア方法がないため、初心者も熟練者もクリアタイムは変わらず必ずクリアまで10分かかる。リトライを繰り返せば一時間以上は平然とかかってしまう。 -まとめるとまずミッション18で難しい対地ミッションで苦戦した後に同じ機体でミッション18+に突入し、ここで厳しい対空戦闘を仕掛けられる。その後に今までとは勝手が違う練習機での飛行を強いられるミッション19が始まる。そして&color(red){''その三連戦の間はセーブができない。''}一つだけでもクリア困難なミッションを3つ連続してクリアするまで中断できない仕様は前例がなく(しかも予告なし)冗談抜きで初心者は数時間かかってしまう。 --さすがにこれ以降のシリーズでは、ミッション間でセーブできないとか前回の機体に縛られたりする仕様はなくなった。 #endregion --本作は味方の戦果を待たなければならないミッションがかなり多い。速攻で目標を達成しても、イベントが進むまで次の段階へ進むことができず、ゲームテンポが悪い。 --最終ミッションの展開が不自然。 #region(close,ネタバレ注意) -落ちてくる巨大戦闘衛星を撃ち落す。直前のミッションでは多数の味方機がいたにもかかわらず、''何故か主人公の部隊しか出撃しない''。ヒロイックな演出としては良いのだが。 #endregion -アーケードモードが英語オンリー((英語オンリーの『04』の後日譚という設定の為、あえて同様の仕様にしたものと思われる。))。 -対戦モードが無い。こちらも『ZERO』で復活。 -操作性の問題 --L2とR2同時押しで発動するオートパイロットが他の操作に優先する。ラダーの左右を切り返す時に頻繁に誤動作する。 --他作品と比べてR1、L1ボタンの入力感度が悪い。かなりギチギチに押し込まないとアフターバーナーに点火できない事も。 //俺の場合感度普通だったんだが個人差か? -バグが多い。利用価値のあるものからゲーム進行に支障をきたすものまで、かなりの数がある。以下は特に深刻なバグ。 --ターゲット切り替えが正しく行われない。△を押しても同じ目標ばかりに切り替わることが頻発する。 --大型機は撃墜されるとその場で停止することがある。加えて当たり判定があるので、至近距離で落とすと激突死しやすい。 --一部ミッションでは、クリアしても敵機が攻撃を加えてくることがある。 --プレイ時間が60時間を超えると0時間に戻ってしまう。 --''進め方を間違えると、隠し機体のSPカラーを永久に入手不可能になる。'' ---カラーの獲得条件がゲーム内で選べる難易度に依存するためである((ハード以上で全ステージをSランククリアとエキスパートで全ステージをクリア。))。エキスパートで全て手に入るようにするか、これを避ける一つの方法として、条件を分けるべきであった((例:アーケードの全クリアとか他の機体全種または全カラー入手とか。))。 --敵機は地面との当たり判定が無いので''地面に潜る''。当然こちらの攻撃は当たらないし、追いかけた場合プレイヤーは当然ながら墜落死する。 ---- **総評 前作の切ないストーリー・スコアアタック要素重視のミッションから、ハリウッド風の熱いストーリー・バリエーション重視のミッションとなった5は、~ 04とは方向を変えながらも、ボリュームやシステムを進化させ、サウンドやストーリーも高品質な良作となった。~ 映画的なシナリオ、ミッション・機体・BGMの多さから、シリーズで最もやり込み要素が豊富でゲームとしての寿命が長い作品と言える。~ バグの多さやキルレートで機体を解禁するシステムなど不評点もそこそこある本作だが、前作と並んでファンからの評価が高い作品となっている。 ---- **余談 -PS4版『7』の初回購入特典として、本作のPS4への移植版が収録されている。 --内容はPS2版とほぼ同一だが、プレイ画面がフルHD化されて画質が大幅に向上。また一部の操作が『7』準拠のものに変更されている他、オプションに新規項目が追加された。 ---字幕の種類が大幅に増加、音声も日本語、英語、英語(日本版)から選択可能になった(日本版英語と海外版英語ではプレイヤーの呼び名の一つが異なる)。~ オリジナル版では英語字幕/英語音声の組み合わせが可能になるのはクリア後だったが、PS4版では初めから可能である。 ---SPカラー取得条件やその他の細かいバグが修正されているかどうかは未確認なので、気を付けよう。また、ゲーム内に表示されるコントローラーの画像もPS2のものなので、不安な人は[[こちら>https://ps4-ace5.channel.or.jp/]]で確かめよう((ゲーム機でもオンラインマニュアルを見る事はできる。当然ながら、ネット接続必須。))。 -本作のシナリオ(および『04』のムービーシナリオと『7』のシナリオ)は、当時すでにアニメ演出家として実績を重ねていた片渕須直氏が手がけている。 --片渕氏はその後アニメ映画『この世界の片隅に』シリーズ監督などで脚光を浴びる事となる。 -Su-47の愛称「ベルクート」について。 --シリーズにおいて、ゲーム中にこの表記が用いられたのは本作が初。『3』では「ベルクト」と表記され、『04』ではそもそも愛称に関する言及は存在しなかった。 --実はこの「ベルクート」という呼び方は誤りで、原語の「Беркут」に合わせるなら「ベ“ールク”ト」または「ベルクト」「ビェールクト」が正しい([[参照>https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-47_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)]])。 ---しかし、以降の作品でもこの呼び方が定着しており、機体説明文で愛称の表記がある場合は毎回「ベルクート」と表記されている。 ---ただし、『7』のSPミッション01では劇中人物から「ベルクト」と呼ばれるシーンがある。 ---ちなみに、本作より過去に発売された『エナジーエアフォース』でも「ベルクート」と呼ばれていた。 -''『勇者ああああ』で何と本作(PS2版)が紹介された。'' --''「大人気」と言いつつテレビ番組では何故か全く採り上げられなかったシリーズ''だけに、突然の『5』登場に驚きの声も上がった。 -2021年5月に大手ニュースサイト『ねとらぼ調査隊』で行われた「エースコンバットで1番好きなタイトルはどれ?」というアンケートにおいて''本作が1位に選ばれた。''ランキングは[[こちら。>https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/265441/]]
*ACE COMBAT 5 THE UNSUNG WAR 【えーすこんばっとふぁいぶ じ・あんさんぐ・うぉー】 |ジャンル|フライトシューティング|&amazon(B0002TY16I)| |対応機種|プレイステーション2|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~| |発売・開発元|ナムコ|~| |発売日|2004年10月21日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |廉価版|PlayStation2 the Best&br;2005年7月7日/2,667円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[エースコンバットシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''歴史が大きく変わるとき、『ラーズグリーズ』はその姿を現す。''}~ &big(){''はじめには、漆黒の悪魔として。悪魔はその力をもって大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ。''}~ &big(){''しばしの眠りの後、ラーズグリーズは再び現れる…''}~ &font(i,120%){――童話「姫君の青い鳩」より――} }} ~ ---- **概要 ナムコの送るフライトシューティングゲームの金字塔、『エースコンバット』シリーズの5作目。~ イメージカラーは前作『[[エースコンバット04 シャッタードスカイ]]』が青だったのに対し、今作は緑となっている。 前作は適度なリアリティと戦争の悲哀を散りばめたストーリー、豊富な無線やわかりやすいブリーフィング、~ PS2初期作にしては高度なグラフィック、サウンドなどで高評価を得てシリーズの路線を固めた名作であった。~ その後継作であるこの作品は前作の要素を発展させ、ボリュームを膨らませたことによってシリーズでも前作と双璧をなす名作となっている。 ---- **ストーリー >15年前、戦争があった。~ かつての栄華を失い、諸大国の食い物にされようとしていた「ベルカ公国」は、その比類なき技術力を結集させ、世界に最後の反抗を挑んだのだ。~ だが、公国の指導者達は既に時代が変わったことに気が付けなかった。公国軍は北の山脈に追い詰められ、遂には自国内で核兵器を起爆する蛮行に至った。~ その惨状を目の当たりにした連合国、とりわけ冷戦状態にあった「オーシア」と「ユークトバニア」の2大国は、戦後に関係を回復し、共調して大規模な軍縮を初めていった。~ ~ 物語は、オーシア・ユークトバニア両国間に広がるセレス海の孤島、オーシア領サンド島から始まる。~ ~ 2010年9月23日、オーシア国防空軍第108戦術戦闘飛行隊、通称"サンド島分遣隊"に所属する飛行中隊は、沖合の飛行訓練空域にて国籍不明機の侵入に遭遇、交戦状態へと突入した。~ 敵味方が入り乱れる空戦のなか、通信指令室は致命的なミスを犯した。その結果、中隊長のバートレット大尉、新米のナガセ少尉を除く8名の飛行士が散る。~ 地理的に、不明機はユークトバニアのムルスカ空軍基地の所属機としか考えられない。だが友好国であるユークトバニアが、宣戦布告もなしに攻撃を仕掛けるのだろうか?~ 人々の記憶から遠く離れたサンド島には高次警戒配備態勢と箝口令が敷かれ、飛行隊の取材に訪れていたカメラマンのジュネットは軟禁されることとなった。~ ~ 地上に帰った2人に若いパイロットを加え、急遽、臨時小隊が結成された。~ ジャック・バートレット大尉、ケイ・ナガセ少尉、アルヴィン・H・ダヴェンポート少尉、そして、主人公。~ その翌日、またしても沖合に国籍不明機が出現。交戦記録は依然として一切が伏せられたまま、小隊は緊急発進する。~ ~ 物語はカメラマン・ジュネットの取材と、ナガセ少尉の独白を通して描かれていく。 ---- **特徴・評価点 -プレイヤーはオーシア国サンド島分遣隊、通称「ウォードッグ隊」の1パイロット、TACネーム「ブレイズ」となり、突如としてオーシアに宣戦布告したユークトバニア連邦共和国へ挑んでいく。 -ミッション形態や難易度選択などは評価の高かった前作とほぼ同じで、ブリーフィングの演出やインターフェースなどは更に強化されている。 -''ミッション数は全29章と1周当たりのボリュームはシリーズ随一。''長くシナリオを楽しめ、クリアした時の達成感は大きい。今作は分岐が3回、2つのミッションをこなすことになる最終章があり、計32章と、『3』に次ぐボリュームを誇る。 -ボリューム増大によりミッション内容の幅も更に多彩に。例としては「同時進行する複数の地上軍の侵攻を航空援護し合流させる」「テロによって毒ガスがばらまかれた街に中和剤を散布する」「レーダー網をかいくぐって敵の秘密施設を航空写真に収め、帰還する」など。 -物語の終盤になると空母から艦載機で出撃するミッションが何回か存在する。この際には通常乗っている戦闘機では無く、空母から発進する艦載機を使用することになる。 ***システム -プレイアブル機体は53機で、『[[エースコンバット インフィニティ]]』''が登場するまでの約10年間最多であった''。『[[エースコンバット7 スカイズ・アンノウン]]』の時点で本作でしか見れない戦闘機もチラホラ。 --隠し機体として、『2』にて真のラスボスとしてプレイヤーの前に立ちはだかった「ADF-01」が「ファルケン」の名義で登場する。オリジナルと『3 エレクトロスフィア』の設定を盛り込んだ閉鎖型コクピット、強力無比なレーザーとそれに関する可変機構が備えられたサプライズつき。 -特殊兵装の種類が増加。また、攻撃機の機銃は対地攻撃が行いやすい「下向き機銃」となっており、主兵装の節約がしやすくなっている。 -最大の特徴は、プレイヤーが早い内に部隊の隊長になる為僚機に「攻撃」「援護」「分散」といった指示を出すのが可能になった事。 --これにより分散行動をして広い戦場を効率的に制圧したり、密集する敵軍団の前に部隊を団結させて立ち向かったりと戦術の幅が上昇した。 --基本的に4機編成の部隊として出撃する。機体を統一したり、全機別々のものにしたりなど、自分好みの部隊編成が可能。 -前作よりも任務自体の難易度は上昇している。ミッション中に補給に戻ることができなくなったので弾薬の管理が重要になった。 -大抵の任務ではプレイヤーの撃墜やミッションクリア条件を達成せずに時間切れになる以外に「特定のターゲットに戦線離脱される」「護衛対象を撃破される」「敵のレーダーにひっかかる」などプレイヤーが無事でも安心できないゲームオーバー条件が存在している。僚機や兵装の使い方次第でこれらの要素は楽にも難しくもなる。 -クリア後の隠し要素も多い。遊ぼうと思えば、シリーズで最も長く遊べると言ってよい。 ***グラフィック -グラフィックの質は前作よりさらに上昇し、人物や建物の描写がかなり綺麗になった。空も夜景や降雪、高空域での雲海などの描写がより美しく、見やすくなった。 ***サウンド -BGMは『7』発売までシリーズ最多であった''92曲''(未使用含む)。クオリティもトップクラスであり、曲を聴くためだけにゲームを買っても損はない。 --オーケストラとコーラスをふんだんに用いてラストバトルを盛り上げる「The Unsung War」やプレイヤーの隊長としての初陣を華々しく飾る「First Flight」、霧の中の奇襲戦という切迫した場面と上手く溶け込んだ「Rendezvous」など名曲は枚挙にいとまがない。 --本作のEDである「The Journey Home」だがEDに使われるものの他に、別の歌手による独唱版、合唱版がゲーム中で使われている。その合唱版が使われるのは下で挙げられている、Mission17である。 --テーマ曲としてボーカルバンドPuddle of Muddの「Blurry」が使われている。PVやOPで使用され、大きな話題を呼んだ。 --本作のEDは上に挙げられている「The Journey Home」と本作のテーマ曲「Blurry」の2曲が使われている。 ***シナリオ -シナリオがかなり熱い。超熱血警官が爆走する「Mission11B 代償の街」や、海軍軍人の男意気がほとばしる「Mission26 混迷の海」などが白眉。また''「Mission17 JOURNEY HOME」は本作屈指の名ステージ''であり、是非前情報無しでのプレイをお勧めする。 -また前作で好評を得た無線システムも増強。僚機や管制機が皆個性的な性格をしているため会話が飽きない。 --モノローグで平和への想いや子供の頃の思い出を語るなど一見してセンチメンタルな性格だが、敵の捜索隊員を拳銃一本で捕虜にするなど勇ましい面も持つナガセや、ふざけ半分でユーモアのある会話をするチョッパーと、それをたしなめる生真面目な管制機サンダーヘッドなどのキャラクターはシリーズでも人気が高い。 --敵味方の兵隊だけでなく、ミッションによってはテロに立ち向かう警官や戦時下でせわしなく働く看護師、スタジアムの観客を避難させる警備員といった戦争に巻き込まれる民間人の通信も聞くことができ、臨場感を高めている。 --ただ話を一方的に聞くだけではなく、問いかけられた時には左右のキーでイエスノーの返事をすることもでき、会話に入っていくシーンもある。これによって分岐するステージもある。 -無線を含めたゲーム中の音声は、前作が英語のみだったのに対し本作では日本語・英語で切り替えが可能。日本語音声で出演している声優陣は有名どころを揃えており大変豪華。 -ボイス量も極めて豊富で、全種類の特殊兵装にちゃんと攻撃時の台詞が用意されている。 -各機体ごとに各キャラの撃墜履歴が用意されており、誰が多く撃墜しているか、どの機体を多く使わせたかまで知ることが出来る。 -恒例の超兵器の出番も多く、顔見せと実際の戦闘がきっちり分かれており、その威力をプレイヤーが認知した上で戦うという展開が徹底している。そのため存在感は抜群。 -キャンペーンモードとは別に「ACE COMBAT OPERATION KATINA」という、よりテクニック性に特化したアーケードモードもあり、こちらもスコア稼ぎなどが熱い。 --ちなみにアーケードモードの主人公は前作主人公のメビウス1。管制機スカイアイも登場する。 ---- **賛否両論点 -リアル路線で戦争の物悲しさを描いた前作のストーリーに対し、今作のストーリーはハリウッド映画的な勧善懲悪もの。そのため細かい所で無茶な状況・展開がある。 #region(close,ネタバレ注意) -友軍艦隊合流後はとんとん拍子に話が進む点が特に指摘される。ゲームの都合(主にミッション数)も関係している気がしなくもないが。 --ただM15ではナガセの尋問によりユーク軍兵士も戦争への疑問を吐露していることが明かされたり、M17では主戦派の副大統領の演説に対して「Journey Home」を合唱して抗議する群衆が描かれ、さらに続くM18ではクルイーク要塞攻略戦を前にした前線指揮官が、目の前の首都攻略に燃えるのではなく「作戦後は新年休暇のために帰国して家族と過ごす」ことを考えているなど、中盤時点ですでに両国間で少なからず厭戦ムードが漂っていたであろう描写が点在している。この点を踏まえれば、黒幕が明らかになってから一気に形勢が終戦に傾く展開自体は(テンポを別にすれば)決して不自然ではないともいえる。 //--一方で、どちらの国も真の敵ではないという筋書きを作りたいがための「開戦の裏には黒幕がいた」という設定にそもそも無理がある。いくら黒幕が暗躍したといっても、&bold(){敗残国の残党に過ぎない一派が列強の戦勝2ヶ国にそこまでの影響力を持つというのはいささか荒唐無稽と言わざるを得ない。} //---端緒は「海の向こうはユークトバニアしかない方角から国籍不明機が飛来し交戦に発展した」というものであり、重大な国交問題にはなるかもしれないが一足飛びに宣戦布告するのは展開として強引((ベルカ戦争の戦後処理などで以前から関係が悪化していた等の可能性はあるが、「前の戦争以来の友好国じゃないですか」と驚くジュネットの反応を見ると、やはり「信じられない」という感覚が一般的であることがうかがえる。))。ユーク側にも並行して同様の襲撃があったとか、M10のように民間施設に被害が出たとかなら分かるが、宣戦布告にいたったまでの舞台裏について明かされることは結局ない。 //両国ともに軍縮に納得していない過激な主戦派が事実上のクーデターを起こしている事を含めて背景は多数明らかなんだが? -AWACS「サンダーヘッド」が中盤にはフェードアウト。終盤ではかわって「オーカ・ニエーバ」が登場する。これはロシア語で「空の目」を意味しており、前作のAWACSである「スカイアイ」を意識したネーミングではある。だが、プレイヤーはここまで数多くのミッションでサンダーヘッドに慣れ親しんでいたため、彼が未登場であることを残念に思う声が少なくない。 --オーカ・ニエーバについては、印象的な登場シーン、堅苦しいサンダーヘッドとは対照的にウィットを交えつつ落ち着きのある管制をするなど、少ない出番ながら好感の持てる描写がされている。しかし、中盤以降サンダーヘッドが話題にも全く出ず、なまじオーシア軍と合流できたのだから、その後の動向を知りたかったプレイヤーも多かっただろうと思われる。 #endregion -グラフィックがよくなったが故の弊害 --前作と比べ大幅にグラフィックが上昇したが総じて敵味方の総数が減ってしまった。ステージ全体を見ると決して少なすぎるということではないのだが、味方は基本的に僚機のみであり、上陸戦で地上部隊と航空機は主人公部隊だけで作戦を行うという通常ならありえない作戦が多い。仮に味方NPCがいたとしてもほとんどがイベント機なので印象が薄く活躍もしない。 ---ストーリーと併せて、良くも悪くもキャラクターありきの内容に寄っている。次作以降もこの方針が続くことになる。 ---あくまで戦場という雰囲気が感じられるかどうか程度の個人の感覚なので気にしない人もいるが、前作は味方NPCが敵機を撃墜したりある程度行動してくれ、主人公の行動及び戦況に合わせて通信をしてくれていたので戦場の雰囲気という点では若干劣ってしまっている。 -前作で時々起こる「NPCが直前で獲物をかっさらっていく」ハプニングを抑えるためか、本作では僚機の攻撃頻度は低めに設定されており、攻撃面ではあまり活躍しない。 --本作では大抵3機の僚機と共に飛ぶため、攻撃頻度を軽々しく上げるとなおさらプレイヤーが倒せる敵が減ってしまう。本作の僚機はむしろ、プレイヤー機の後方で敵を分散させる弾除け役という形で貢献しているため、一概に問題点と決めつけることはできない(いるといないとでは特に高難易度で結構な差が出てくる)。 --続編『ZERO』では僚機の数が1機に減らされたことで強化され、より頼れるようになった。 -04と違い、クリア時の撃墜スコアに差がでるステージがほとんど無い。これが原因で、ゲームとしての楽しさを求める04派と、物語としての楽しさを求める5派で評価が割れやすい。~ 本編で差が出ない分、アーケードモードに振り替えているとも捉えられるが、本編でも04並には出来るようにして欲しかったという声も多い。 ---- **問題点 -特殊兵装の選択ができない。さすがに不評だったらしく次回作で復活した。 --キルレートによる機体の増加が同一系統での特殊兵装のバリエーション増加を兼ねているが、グレードアップすると性能も上がるため基本的に上位機体しか使われなくなる((例外として、F-16やトーネードはキルレートにより同レベルの性能の機体が3種類同時に増えるため選択の余地がある。また、機体性能が異なるため上位機体が完全な代替機にはなりえないものも存在する。))。 --逆にグレードアップにより特殊兵装が弱体化(今作で大幅にパワーダウンしたQAAMなど)する場合もあるので、キルレートをためる必要性が薄い機体もある。 -ミッション。 --出撃機体強制ミッションが、少ないながらもいくつかある。そのため、自由度が他作品と比べてやや低い。 --詳しく言うと今作はキャンペーン(いわゆるストーリーモード)を一度クリアしないとフリーミッションは選べず、機体の追加も基本的にはキャンペーンの進行で増えるため、まずキャンペーンをクリアしないとフリーミッションで好きな面を心行くまで遊ぶことも機体を増やすこともできない。そしてキャンペーンの初回中は全クリアするまではクリア済ミッションの再挑戦もできない。さらにキャンペーンでは「機体の購入売却もできるし所持機体から選択して出撃できる」「機体の売買ができないが所持機体から選ぶことはできる」「機体の選択すら制限される」ミッションが混在している。これ自体は初回プレイ時の制限としては妥当な面もあるのだがこれらが複合した強烈な初見殺しがある。 #region(close,具体的には…ミッション18~19のネタバレ) -ミッション18は難易度の高い対地攻撃ミッション。初心者は何度もリトライする可能性があり、クリアのために対地攻撃が得意な機体を選びがちだがこれが罠になる。 -それをクリアするとミッション18+が始まる。これはミッション18を終えた帰りに敵の罠にかかるという筋書のため前回出撃した機体で強制出撃になる。つまり前ミッションのクリアのために対空性能に劣る対地機を使っているとそのままここで大量の敵戦闘機に襲われることになる。もちろん初見プレイヤーが事前にこうなることを予測する材料はない。 --だがミッション18+は戦って全滅させてもいいが逃げてエリアを脱出してもクリアとなり、ゲーム内でもそれを推奨している。逃げるだけなら対地攻撃機でも十分可能。 -その後長いムービーを挟んでミッション19が始まる。これは非武装の練習機で敵の追撃をかわすために先導する航空機の後を飛んで逃げるミッションで、はぐれてしまうと失敗となる。これまでの間に戦闘せず的確に飛行をこなすことだけのミッションはチュートリアルを除けば無い。エスコン定番のアレの前哨戦として狭い洞窟の中を飛ばされることもあり、これまた初心者は何回もリトライしてもおかしくはない。先導機の後をひたすら付いていくしかクリア方法がないため、初心者も熟練者もクリアタイムは変わらず必ずクリアまで10分かかる。リトライを繰り返せば一時間以上は平然とかかってしまう。 -まとめるとまずミッション18で難しい対地ミッションで苦戦した後に同じ機体でミッション18+に突入し、ここで厳しい対空戦闘を仕掛けられる。その後に今までとは勝手が違う練習機での飛行を強いられるミッション19が始まる。そして&color(red){''その三連戦の間はセーブができない。''}一つだけでもクリア困難なミッションを3つ連続してクリアするまで中断できない仕様は前例がなく(しかも予告なし)冗談抜きで初心者は数時間かかってしまう。 --さすがにこれ以降のシリーズでは、ミッション間でセーブできないとか前回の機体に縛られたりする仕様はなくなった。 #endregion --本作は味方の戦果を待たなければならないミッションがかなり多い。速攻で目標を達成しても、イベントが進むまで次の段階へ進むことができず、ゲームテンポが悪い。 --最終ミッションの展開が不自然。 #region(close,ネタバレ注意) -落ちてくる巨大戦闘衛星を撃ち落す。直前のミッションでは多数の味方機がいたにもかかわらず、''何故か主人公の部隊しか出撃しない''。ヒロイックな演出としては良いのだが。 #endregion -アーケードモードが英語オンリー((英語オンリーの『04』の後日譚という設定の為、あえて同様の仕様にしたものと思われる。))。 -対戦モードが無い。こちらも『ZERO』で復活。 -操作性の問題 --L2とR2同時押しで発動するオートパイロットが他の操作に優先する。ラダーの左右を切り返す時に頻繁に誤動作する。 --他作品と比べてR1、L1ボタンの入力感度が悪い。かなりギチギチに押し込まないとアフターバーナーに点火できない事も。 //俺の場合感度普通だったんだが個人差か? -バグが多い。利用価値のあるものからゲーム進行に支障をきたすものまで、かなりの数がある。以下は特に深刻なバグ。 --ターゲット切り替えが正しく行われない。△を押しても同じ目標ばかりに切り替わることが頻発する。 --大型機は撃墜されるとその場で停止することがある。加えて当たり判定があるので、至近距離で落とすと激突死しやすい。 --一部ミッションでは、クリアしても敵機が攻撃を加えてくることがある。 --プレイ時間が60時間を超えると0時間に戻ってしまう。 --''進め方を間違えると、隠し機体のSPカラーを永久に入手不可能になる。'' ---カラーの獲得条件がゲーム内で選べる難易度に依存するためである((ハード以上で全ステージをSランククリアとエキスパートで全ステージをクリア。))。エキスパートで全て手に入るようにするか、これを避ける一つの方法として、条件を分けるべきであった((例:アーケードの全クリアとか他の機体全種または全カラー入手とか。))。 --敵機は地面との当たり判定が無いので''地面に潜る''。当然こちらの攻撃は当たらないし、追いかけた場合プレイヤーは当然ながら墜落死する。 ---- **総評 前作の切ないストーリー・スコアアタック要素重視のミッションから、ハリウッド風の熱いストーリー・バリエーション重視のミッションとなった5は、~ 04とは方向を変えながらも、ボリュームやシステムを進化させ、サウンドやストーリーも高品質な良作となった。~ 映画的なシナリオ、ミッション・機体・BGMの多さから、シリーズで最もやり込み要素が豊富でゲームとしての寿命が長い作品と言える。~ バグの多さやキルレートで機体を解禁するシステムなど不評点もそこそこある本作だが、前作と並んでファンからの評価が高い作品となっている。 ---- **余談 -PS4版『7』の初回購入特典として、本作のPS4への移植版が収録されている。 --内容はPS2版とほぼ同一だが、プレイ画面がフルHD化されて画質が大幅に向上。また一部の操作が『7』準拠のものに変更されている他、オプションに新規項目が追加された。 ---字幕の種類が大幅に増加、音声も日本語、英語、英語(日本版)から選択可能になった(日本版英語と海外版英語ではプレイヤーの呼び名の一つが異なる)。~ オリジナル版では英語字幕/英語音声の組み合わせが可能になるのはクリア後だったが、PS4版では初めから可能である。 ---SPカラー取得条件やその他の細かいバグが修正されているかどうかは未確認なので、気を付けよう。また、ゲーム内に表示されるコントローラーの画像もPS2のものなので、不安な人は[[こちら>https://ps4-ace5.channel.or.jp/]]で確かめよう((ゲーム機でもオンラインマニュアルを見る事はできる。当然ながら、ネット接続必須。))。 -本作のシナリオ(および『04』のムービーシナリオと『7』のシナリオ)は、当時すでにアニメ演出家として実績を重ねていた片渕須直氏が手がけている。 --片渕氏はその後アニメ映画『この世界の片隅に』シリーズ監督などで脚光を浴びる事となる。 -Su-47の愛称「ベルクート」について。 --シリーズにおいて、ゲーム中にこの表記が用いられたのは本作が初。『3』では「ベルクト」と表記され、『04』ではそもそも愛称に関する言及は存在しなかった。 --実はこの「ベルクート」という呼び方は誤りで、原語の「Беркут」に合わせるなら「ベ“ールク”ト」または「ベルクト」「ビェールクト」が正しい([[参照>https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-47_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)]])。 ---しかし、以降の作品でもこの呼び方が定着しており、機体説明文で愛称の表記がある場合は毎回「ベルクート」と表記されている。 ---ただし、『7』のSPミッション01では劇中人物から「ベルクト」と呼ばれるシーンがある。 ---ちなみに、本作より過去に発売された『エナジーエアフォース』でも「ベルクート」と呼ばれていた。 -''『勇者ああああ』で何と本作(PS2版)が紹介された。'' --''「大人気」と言いつつテレビ番組では何故か全く採り上げられなかったシリーズ''だけに、突然の『5』登場に驚きの声も上がった。 -2021年5月に大手ニュースサイト『ねとらぼ調査隊』で行われた「エースコンバットで1番好きなタイトルはどれ?」というアンケートにおいて''本作が1位に選ばれた。''ランキングは[[こちら。>https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/265441/]]

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