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*現代大戦略
【げんだいだいせんりゃく】
|ジャンル|SLG|
|対応機種|PC-9801|
|発売・開発元|システムソフト|
|発売日|1985年11月|
|定価|7,800円|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|
|>|CENTER:''[[大戦略シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
戦術だけでなく戦略的要素も含んだ、現代戦SLGの代表的シリーズ「大戦略」の一作目。~
実際にある戦場での戦闘ではなく、架空の世界での戦闘を楽しむターン制SLG。
当時よく見られたボードゲームの流れからくるものではなく、あくまで誰でもプレイしやすいSLGとして作られている。そのためルールを可能な限りコンパクトにしていた。一方で、コンピューターゲームならではの要素もある。
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**特徴
-六角マスのヘクスを敷き詰めた、典型的な戦術タイプのSLG。
--地形としては、平地、道路、荒地、森、川、海、山岳、町、空港、首都があった。当時からすると種類としては少なくはない。地形は移動、攻撃、防御に影響を与える。
---占領目標はこの内、町と空港と首都。町は占領すると収入が増える。首都は最終目標。
--MAP上に散らばる占領目標を掌握しながら、敵の首都を目指す。自国の首都を落とされると負けになる。
-最大四カ国でプレイできる。
--人間・COMの人数の振り分けが任意のため、複数の人間での対戦、COMも交えた対戦、COMのみで観戦などさまざまなことができる。
-ターン制のシステムを採用している。各ユニットは1ターン内に一回のみ行動が可能。ターン開始時には収入が得られる。
-使用する兵器は、全部で14種類。
--航空兵器と陸上兵器のみで、海上兵器はなかった。ユニットは当時のNATO加盟国の代表的な兵器を採用している。
---1ユニット内の兵器数は10。全滅して初めてユニットが消滅する。
---後のシリーズにある生産型(生産されるユニットの国籍)に当たるものは本作にはない。1系統のみである。
--兵器の中で歩兵部隊は一番弱い立場だが、歩兵部隊のみが占領を行う事ができる。またトラックなど、歩兵部隊を輸送できる兵器もある。
--それぞれの兵器のステータスとしては移動力、武装、対象別攻撃成功率などがある。この中でコンピューターゲームらしいのが武装の弾数と燃料。それぞれ有限である((ボードゲームでこの要素を入れたものも無くはないが、扱いが面倒。))。
//←毎回ボードゲームと比較するのもゲーム紹介としてどうだろうか
//コンピューターゲームらしい面としても紹介してるので、比較対象にボードゲームが出てきても取り立てて違和感はない。
---消耗した燃料・弾数は補給を受ける必要がある。陸上兵器は町や補給車から、航空兵器は空港で受ける。特に航空兵器は燃料が切れると墜落し、ユニットが消滅するので注意が必要である。
-移動は移動力を消費しながら進む。消費される移動力は地形によって異なる。
--味方と同じヘクスに止まる事はできない。さらに敵はもちろん、味方がいるヘクスも通過する事ができない。このため移動は後続の事を考えてする必要がある。
--敵に接触すると、そこで停止。
-コンピューターらしい要素。生産と経験値。
--ボードゲームでは将棋やチェスのように、ユニットがあらかじめ用意されている。ユニットの増援があっても、どのタイミングでどの程度行われるか決まっていた。だが本作は「ユニットを生産する」という要素を導入する事によって、ボードゲームとはまた違ったゲーム性となっている。
---生産は収入内で行う。基本的に航空兵器は陸上兵器の数倍の値段。陸上兵器は首都かその隣の地形か首都から5ヘクス以内の都市で生産可能。航空兵器は首都から5ヘクス以内の空港で生産可能。
---面白いことに物価の概念がある。兵器を頻繁に作っていると、物価が上がっていく。
--各ユニットに経験値があり、戦闘を重ねると、命中率と回避率が上昇する。ユニット内の兵器数が減り、後から補充をうけてもこの経験値は変わらない。これもボードゲームではあまり見られないシステム。
-戦闘は隣接した敵ユニットのみと行われる。
--射程の概念は無い。
//このため戦術はコンパクトですむ。←利点?むしろ欠点ともいえそう。
--攻撃は移動後に可能。ターン制SLGのほとんど共通する仕様のほぼ元祖として、移動→攻撃はできるが攻撃→移動はできない。攻撃を仕掛けた方を先攻として、ユニット内のそれぞれの兵器が交互に行う。攻撃成否は、お互いの攻撃成功率に地形効果や経験値などの影響を合わせた数値で判定される。
--戦闘結果には乱数の要素もあるが他ゲームと比べると少なめ。「運ゲー」と呼ばれないという面で好評。
-マップエディタがある。
-BGMなどはまったくない。音源はBeep音のみ。ただPC-9801は基本的にFM音源がないため仕方がない。
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**評価点
-様々な地形からなる、マップ攻略の楽しさ。
--マップによって面白さは大きく違うが、重要拠点の奪取や防衛ラインの維持など、戦術SLGの基本的な楽しさが味わえる。
-兵器の運用を考える面白さ。
--それぞれの兵器はちょうどジャンケンのようになっており、「戦闘機は攻撃機、ヘリに強いが対空車両に弱い」「攻撃機は戦車に強いが、戦闘機に弱い」「戦車は対空車両に強いが、攻撃機に弱い」というような感じになっている。
--弾数や燃料があるため、それまでのSLGであまり見られない補給という概念が加わっている。
-戦略性も加味された。
--兵器を生産するという要素のため、町の占領がそのまま戦力増大に繋がる。これが戦略性を生み出している。
-マップエディタによる、遊び方の広がり。
--自作のマップが作れるので、用意されているマップに満足しても、まだまだ十分遊べる。
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**問題点
-敵はおろか味方にまで移動を阻害される。味方の上を通過することができないため、無駄な迂回をする事も。
-兵器の種類が少ない。海上兵器が存在しない。これは後の拡張要素とも捉えられるが。
-近接攻撃のみしかできない。この点も、後の拡張要素とも言える。
-インターフェースが非常に貧相。当時、インターフェースを工夫したものも結構出ていた。それに比べ古臭いまま。もっとも発売時点では、まだまだ古臭いインターフェースのものは少なくはなかったが。
-敵AIがあまり賢くない。のちにパワーアップセットが発売されるが、それでも大して向上しなかった。
-しばらくの間の後作にもいえるが、高さの概念がないので地上ユニットと航空ユニットがお互いに足止めをしてしまう。
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**総評
現代戦SLGのスタンダードなものの一つ。~
本作以前にも戦争をテーマとしたコンピューターSLGは出ていたが、当時はSLGと言えばボードゲームの方が本場だった。その風潮に影響を受けていたせいか、史実のコンピューター化という形が多い。それだけに必ずしもプレイしやすいものとは限らなかった。~
その意味で、誰にでも遊びやすいSLGを作り上げた意義は大きい。これをなし得たのも、史実にこだわらず単純に戦術を楽しむという方向性だろう。またコンピューターゲームならではのシステムを入れている点も、注目すべき所。
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**移植
-本作(本シリーズ)は非常に多種多様な機種に移植されている。だがオリジナルが当時の高性能機だったPC98ということもあり、ややスケールダウンした内容となっていた。
--大戦略88(86年10月、PC88)
--大戦略X1(86年12月、X1)
--大戦略ROM版(87年5月、MSX2、マイクロキャビン)
--大戦略FM(87年8月、FM-7)
--大戦略(87年11月、MSX2、マイクロキャビン)
//マイクロキャビンの公式サイトで確認がとれたMSX2版以外は間違ってる可能性があります。
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**その後の展開
-大戦略シリーズは本作より、現代戦SLGのスタンダードなものの一つとなる。やがて様々なシステムを導入、シリーズも分岐しながら続いていった。だが現在では、同社の代表作『[[天下統一シリーズ]]』と同様、その品質が非常に問われており、もはやかつての面影は残っていない。
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**余談
-実は本作とほぼ同じゲーム性のSLGとして、1983年にエニックスから『森田のバトルフィールド』という作品が出ていた。架空の舞台、四種の基本的兵器、生産、占領、首都を落とせば勝ちという、本作のベースシステムは全てあった。もしこの後エニックスがSLGを本格的に作っていたら、本作より始まるシリーズは存在しなかったかもしれない。
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*現代大戦略
【げんだいだいせんりゃく】
|ジャンル|SLG|
|対応機種|PC-9801|
|発売・開発元|システムソフト|
|発売日|1985年11月|
|定価|7,800円|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|
|>|CENTER:''[[大戦略シリーズ]]''|
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**概要
戦術だけでなく戦略的要素も含んだ、現代戦SLGの代表的シリーズ「大戦略」の一作目。~
実際にある戦場での戦闘ではなく、架空の世界での戦闘を楽しむターン制SLG。
当時よく見られたボードゲームの流れからくるものではなく、あくまで誰でもプレイしやすいSLGとして作られている。そのためルールを可能な限りコンパクトにしていた。一方で、コンピューターゲームならではの要素もある。
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**特徴
-六角マスのヘクスを敷き詰めた、典型的な戦術タイプのSLG。
--地形としては、平地、道路、荒地、森、川、海、山岳、町、空港、首都があった。当時からすると種類としては少なくはない。地形は移動、攻撃、防御に影響を与える。
---占領目標はこの内、町と空港と首都。町は占領すると収入が増える。首都は最終目標。
--MAP上に散らばる占領目標を掌握しながら、敵の首都を目指す。自国の首都を落とされると負けになる。
-最大四カ国でプレイできる。
--人間・COMの人数の振り分けが任意のため、複数の人間での対戦、COMも交えた対戦、COMのみで観戦などさまざまなことができる。
-ターン制のシステムを採用している。各ユニットは1ターン内に一回のみ行動が可能。ターン開始時には収入が得られる。
-使用する兵器は、全部で14種類。
--航空兵器と陸上兵器のみで、海上兵器はなかった。ユニットは当時のNATO加盟国の代表的な兵器を採用している。
---1ユニット内の兵器数は10。全滅して初めてユニットが消滅する。
---後のシリーズにある生産型(生産されるユニットの国籍)に当たるものは本作にはない。1系統のみである。
--兵器の中で歩兵部隊は一番弱い立場だが、歩兵部隊のみが占領を行う事ができる。またトラックなど、歩兵部隊を輸送できる兵器もある。
--それぞれの兵器のステータスとしては移動力、武装、対象別攻撃成功率などがある。この中でコンピューターゲームらしいのが武装の弾数と燃料。それぞれ有限である((ボードゲームでこの要素を入れたものも無くはないが、扱いが面倒。))。
//←毎回ボードゲームと比較するのもゲーム紹介としてどうだろうか
//コンピューターゲームらしい面としても紹介してるので、比較対象にボードゲームが出てきても取り立てて違和感はない。
---消耗した燃料・弾数は補給を受ける必要がある。陸上兵器は町や補給車から、航空兵器は空港で受ける。特に航空兵器は燃料が切れると墜落し、ユニットが消滅するので注意が必要である。
-移動は移動力を消費しながら進む。消費される移動力は地形によって異なる。
--味方と同じヘクスに止まる事はできない。さらに敵はもちろん、味方がいるヘクスも通過する事ができない。このため移動は後続の事を考えてする必要がある。
--敵に接触すると、そこで停止。
-コンピューターらしい要素。生産と経験値。
--ボードゲームでは将棋やチェスのように、ユニットがあらかじめ用意されている。ユニットの増援があっても、どのタイミングでどの程度行われるか決まっていた。だが本作は「ユニットを生産する」という要素を導入する事によって、ボードゲームとはまた違ったゲーム性となっている。
---生産は収入内で行う。基本的に航空兵器は陸上兵器の数倍の値段。陸上兵器は首都かその隣の地形か首都から5ヘクス以内の都市で生産可能。航空兵器は首都から5ヘクス以内の空港で生産可能。
---面白いことに物価の概念がある。兵器を頻繁に作っていると、物価が上がっていく。
--各ユニットに経験値があり、戦闘を重ねると、命中率と回避率が上昇する。ユニット内の兵器数が減り、後から補充をうけてもこの経験値は変わらない。これもボードゲームではあまり見られないシステム。
-戦闘は隣接した敵ユニットのみと行われる。
--射程の概念は無い。
//このため戦術はコンパクトですむ。←利点?むしろ欠点ともいえそう。
--攻撃は移動後に可能。ターン制SLGのほとんど共通する仕様のほぼ元祖として、移動→攻撃はできるが攻撃→移動はできない。攻撃を仕掛けた方を先攻として、ユニット内のそれぞれの兵器が交互に行う。攻撃成否は、お互いの攻撃成功率に地形効果や経験値などの影響を合わせた数値で判定される。
--戦闘結果には乱数の要素もあるが他ゲームと比べると少なめ。「運ゲー」と呼ばれないという面で好評。
-マップエディタがある。
-BGMなどはまったくない。音源はBeep音のみ。ただPC-9801は基本的にFM音源がないため仕方がない。
----
**評価点
-様々な地形からなる、マップ攻略の楽しさ。
--マップによって面白さは大きく違うが、重要拠点の奪取や防衛ラインの維持など、戦術SLGの基本的な楽しさが味わえる。
-兵器の運用を考える面白さ。
--それぞれの兵器はちょうどジャンケンのようになっており、「戦闘機は攻撃機、ヘリに強いが対空車両に弱い」「攻撃機は戦車に強いが、戦闘機に弱い」「戦車は対空車両に強いが、攻撃機に弱い」というような感じになっている。
--弾数や燃料があるため、それまでのSLGであまり見られない補給という概念が加わっている。
-戦略性も加味された。
--兵器を生産するという要素のため、町の占領がそのまま戦力増大に繋がる。これが戦略性を生み出している。
-マップエディタによる、遊び方の広がり。
--自作のマップが作れるので、用意されているマップに満足しても、まだまだ十分遊べる。
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**問題点
-敵はおろか味方にまで移動を阻害される。味方の上を通過することができないため、無駄な迂回をする事も。
-兵器の種類が少ない。海上兵器が存在しない。これは後の拡張要素とも捉えられるが。
-近接攻撃のみしかできない。この点も、後の拡張要素とも言える。
-インターフェースが非常に貧相。当時、インターフェースを工夫したものも結構出ていた。それに比べ古臭いまま。もっとも発売時点では、まだまだ古臭いインターフェースのものは少なくはなかったが。
-敵AIがあまり賢くない。のちにパワーアップセットが発売されるが、それでも大して向上しなかった。
-しばらくの間の後作にもいえるが、高さの概念がないので地上ユニットと航空ユニットがお互いに足止めをしてしまう。
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**総評
現代戦SLGのスタンダードなものの一つ。~
本作以前にも戦争をテーマとしたコンピューターSLGは出ていたが、当時はSLGと言えばボードゲームの方が本場だった。その風潮に影響を受けていたせいか、史実のコンピューター化という形が多い。それだけに必ずしもプレイしやすいものとは限らなかった。~
その意味で、誰にでも遊びやすいSLGを作り上げた意義は大きい。これをなし得たのも、史実にこだわらず単純に戦術を楽しむという方向性だろう。またコンピューターゲームならではのシステムを入れている点も、注目すべき所。
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**移植
-本作(本シリーズ)は非常に多種多様な機種に移植されている。だがオリジナルが当時の高性能機だったPC98ということもあり、ややスケールダウンした内容となっていた。
--大戦略88(86年10月、PC88)
--大戦略X1(86年12月、X1)
--大戦略ROM版(87年5月、MSX2、マイクロキャビン)
--大戦略FM(87年8月、FM-7)
--大戦略(87年11月、MSX2、マイクロキャビン)
//マイクロキャビンの公式サイトで確認がとれたMSX2版以外は間違ってる可能性があります。
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**その後の展開
-大戦略シリーズは本作より、現代戦SLGのスタンダードなものの一つとなる。やがて様々なシステムを導入、シリーズも分岐しながら続いていった。だが現在では、同社の代表作『[[天下統一シリーズ]]』と同様、その品質が非常に問われており、もはやかつての面影は残っていない。
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**余談
-実は本作とほぼ同じゲーム性のSLGとして、1983年にエニックスから『森田のバトルフィールド』という作品が出ていた。架空の舞台、四種の基本的兵器、生産、占領、首都を落とせば勝ちという、本作のベースシステムは全てあった。もしこの後エニックスがSLGを本格的に作っていたら、本作より始まるシリーズは存在しなかったかもしれない。
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