「エメラルドドラゴン」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

エメラルドドラゴン」(2024/04/14 (日) 17:03:23) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「[[修正依頼]]」が出ています。PCE版の評価点・総評を追記できる方はご協力をお願いします。 ---- 本項ではバショウハウス/グローディア発売のPC(PC-88/PC-98/X68/MSX2/FMT)版と、日本電気ホームエレクトロニクス発売のPCE移植版を中心に解説します。判定はどちらも&color(,lightgreen){良作}。~ メディアワークス発売のSFC移植版は参考記述扱いとして移植の項で触れています。 ---- #contents() ---- *エメラルドドラゴン 【えめらるどどらごん】 |ジャンル|RPG|~| |対応機種|PC-8801MkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、&br()X68000、MSX2、FM TOWNS|~| |発売元|バショウハウス|~| |開発元|グローディア|~| |発売日|1989年11月|~| |定価|8,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 ストーリー性、キャラクター性の色濃いRPG。PC88SRシリーズのゲームとして発売された。 今となってはストーリー性やキャラクター性が強い所謂「JRPG」は珍しくも無いが、発売当時は本作ほど強く出してるものはあまりなかった。またアニメ的要素も強い。キャラデザイン、演出にはそれが垣間見える。戦闘システムが独特なのも本作の特徴。 **ストーリー 太古の伝説の土地、イシュ・バーン。そこではドラゴンと人間が平和に共存していた。外敵も入ってこないこの土地は、正に理想郷であった。~ しかしある時、イシュ・バーン全土に強力な呪いがかけられる。その呪いは、何故かドラゴンにしか効かないものだった。やがてドラゴン達は抵抗空しく、次々と倒れていく。そして残されたわずかなドラゴンは、この地から去っていった。~ それから2000年。異次元に去ったドラゴン達はドラゴン小国という土地で暮らしていた。そんなある日、一隻の難破船が次元の壁を越えて流れ着く。ドラゴン達はその中から、唯一生き残っていた幼い女の子を助け出す。だがその女の子は、名前はもちろん、全ての記憶を失っていた。やがて長老である白龍にタムリンと名づけられた彼女は、年の近かった若いブルードラゴンのアトルシャンと共に暮す事になる。~ ドラゴン小国での平和な日々は続き、12年の年月が過ぎた。その日、年頃の美しい少女となったタムリンは、人間達の世界、イシュ・バーンに行くとアトルシャンに打ち明ける。以前に白龍から、人間ならばやはり人間と共に暮す方がいいと勧められていたのだ。~ アトルシャンは最初こそ反対するが、決意が固いのを見ると、自らの角を折り、それで角笛を作って持っていくようにタムリンに言う。「もし危機があれば、この笛を吹くように。その笛の音がした時には、必ず駆けつける」~ それから3年後。イシュ・バーンは混乱の極みにあった。15年前、突如魔軍が現れ、人間に攻撃を開始したのだ。イシュ・バーンを治めていたエルバート王国は、対抗するため軍を差し向ける。しばらくは甲乙つけがたい持久戦が続いていた。~ だが魔将軍オストラコンの出現により、状況は一変する。エルバート軍は劣勢に立たされ、今となっては王城を残すのみとなっていた。~ そんな状況を見かねたタムリンは、魔軍と戦う事を決意して町の近くの祈りの丘で思い出の角笛を吹く。~ 己の角が鳴らされたことを感知したアトルシャンは、ドラゴン族の秘宝「銀の鱗」を白龍から授かり飛び立った。~ そしてタムリンが笛を吹いた祈りの丘に降り立つと、「銀の鱗」の力でイシュ・バーンの大地から受ける呪いの対象ではない人間へと姿を変えて、町に住むタムリンの下に向かうのであった。 **特徴 -グローディア製作の前作「[[サバッシュ]]」のスピンオフ作品である。(ストーリーに直接的な関連性はない) -印象的なキャラクター達と、二転三転するストーリーが特徴の正統派のRPG。 -戦闘システムは独特のもの。 --敵との遭遇はボスなどを除いて、エンカウント制。 --タクティカルなシステム。戦闘になると、ある程度の広さに味方、敵キャラを配置したものをトップビュー(上から見下ろし)で見るスタイル。味方の配置は、事前に設定したフォーメーションを取る事になる。 --純粋に操作して動かせるのは主人公のみ。他のパーティのメンバーはAIで勝手に動く((システム的に前作といえる「サバッシュ」では主人公もオートだった。))。プレイヤーが他のキャラにできる事は、目標を指示する事と、アイテムを使う事くらい。~ だがAIにまかせっきりという訳にもいかない。パーティの中で一人でもHPが0になるとゲームオーバーなので、不用意な行動は避けねばならないからだ。手段は少ないながらも、他のメンバーに働きかける事は必要。 --攻撃はキャラが敵キャラまで近づくことで行われる。 --行動はターン制。順番が回ってきたキャラクターには、行動ポイントが与えられている。そのポイント内で、移動、攻撃、魔法を行う。プレイヤーが動かせるのは主人公だけであるが。 --各キャラクターのレベルアップも独特で、主人公とヒロインの二人しかレベルアップしない。他のキャラはパラメーターが固定されている。そのため強化は、基本的には装備交換でなんとかするしかない。~ **評価点 -ストーリーを全面に押し出した作り。 --中心メンバーは、少年漫画やアニメのようにメリハリの利いた、「立った」キャラクター達。そしていぶし銀的な仲間達も多い。それらが世界観と複雑にからみあい、敵味方、仲間たちの間でドラマを織り成している。 --アニメ調のキャラデザインや多彩な演出、ストーリーなどにより内面を深く描いており、特に会話シーンの多さが際立っている。それを象徴する一つの要素として上がるのが「相談」コマンド。一応次に何をすればよいかのヒントを出してくれるコマンドに当たるが、むしろキャラ同士の「雑談」「掛け合い」に近い。内容も頻繁に変わるので新しい場面で会話を聞く面白みもあり、キャラクター性の確立に一役買っている。 --会話の時に顔をアップにしている。今では当たり前だが、RPGでこの演出方法は当時としては珍しかった。 --デモにアニメを多用。これも当時のRPGでは他には見られなかった。ただし動画ではなく、CGをアニメのように見せているだけで、gifアニメの感じに近い。 //サイズも小さかった。 //--ストーリーは複雑に変化し意外な展開を見せる。本作には全世界マップが存在しない為、残りの未踏破地域からどの程度話が進んだかを予想する事ができないからだ。そろそろ終わるかと思わせて、実は…という話の進め方をしている。 //地名入り全世界マップはパッケージ内に付属されており(コンシューマ機はマニュアル内)、未踏破地域は容易に分かる。唐突に先の新しい地名がゲームに登場し、このマップの存在を前提としてゲームが作られている。 --OPはプロローグをうまくまとめ、そのOPテーマと合わせて、印象深く評価が高い。 --成長システムすらもストーリーを映えさせる作りとなっている。本作のストーリー重視を象徴する一面。 ---本作では主人公とヒロインしかレベルアップしない。これでは「先に進むうちに行き詰ってしまう」と思うかも知れないが、そうはならない。敵が強くなり主人公とヒロイン以外のキャラが厳しくなってくる辺りで、話の展開によってパーティーから抜けていくのだ。そしてより強い新たなキャラが加わるという形になる。抜けたキャラの中には、再びパーティに加わるキャラもおり、その時には格段にパラメーターが上昇した状態で加わる。 --戦闘AIも、キャラクター達の性格を表した動きをする。 ---もっともこのため、後述する問題も発生しているのだが。 -FM TOWNS版の豪華声優陣。 --主人公のアトルシャンには飛田展男氏、ヒロインのタムリンには天野由梨氏、魔将軍オストラコンには中村大樹氏を起用し、エメラルドドラゴンには沢木郁也氏を起用している。 ---他にも堀川亮や鷹森淑乃、子安武人、西村知道、河合義雄、北島淳司、水鳥鐵夫といったキャスト。 **難点 -良くも悪くも元祖JRPG((現代ではJRPGの代名詞扱いされているファイナルファンタジーシリーズが実際にJRPG化したのは2年後の『IV』からである。))故にストーリー性重視過ぎて攻略に自由度はない。せいぜいいくつかあるサブシナリオをやるかどうかくらい。 --戦闘では一人でも死ぬとゲームオーバーだが、戦闘終了直後のイベントシーンであっさりと殺されるキャラクターが居る。正に「イベントシーンで死ぬために戦闘で死ぬことを禁止されていた」訳である。 ---批判が多かったのか、以降のストーリー性重視CRPGでは「体力0」になっても「あくまでも戦闘不能なだけで軽作業程度(ストーリーを進める程度)なら可能」と言う扱いが多くなった((余談だが、元祖RPGである『D&D』でも現代では「体力0=気絶」に変更されている。気絶(=軽作業さえ不可能)なうえ、一定時間内に応急手当を受けないとそのまま死ぬのでCRPGより厳しいが。))。当然、一人二人倒れた程度ではゲームオーバーにはならない。 //ちょっとネタバレすぎ。それに、ストーリー性の高いRPGなら主要キャラが死ぬってのは、なくもないから問題という程のものとは思えない。 //ネタバレにはならんだろ。被害者も加害者も名前を書いてない(そもそも加害者は名無しの雑兵で特に因縁も無い)。システム上、資金と経験値で損をすることさえ無いんだから。あと重要なのは「戦闘で一人でも死ぬとゲームオーバーのくせに」な話であって、「主要キャラを殺すな」と言っているわけではない。 -MAP上での移動手段は「徒歩」のみ。今では当たり前の走ることが出来ない。そもそも単純に歩くのが遅い。 --乗り物による移動手段は当時少ないというのもあったが、そのために目的地までの移動に時間がかかる。 --数少ないが複雑な地形をしたダンジョンとフィールド上の森があり、走れないために結構苦労させられる。 -AIが攻撃寄りに作られており、あまり賢くない。回復魔法をかけて欲しいような状況でも攻撃ばかりしてメンバーを見殺しにしたり、強敵にむやみに突撃して死んでしまうなどの困った現象が起こる。一人でもHP0になるとゲームオーバーなので、敵によってはイマイチなAIキャラをどう誘導するかに頭を悩ませる事に。 --特にヒロインであるタムリンは、最強攻撃魔法であるレイヴァースを習得するとこれを狂ったように連発するようになってしまい、それまでは使ってくれていた回復魔法をまるで使わなくなる。レイヴァースはそのグラフィックから「タムリンレーザー」と呼ばれ(主にプレイヤーを)恐怖に陥れた。 ---この原因はゲーム設計にあり、実はAIキャラは魔法を4つしか保持できないのである。そのため新しい魔法を覚える度に、古い魔法を入れ替わりで「忘れて」いく仕様となっている。回復魔法もレベルアップで再び覚えていくことで新しい魔法を覚えても回復魔法を持ったままになっているのだが、タムリンは「レイヴァース」を覚えると一番強い回復魔法「バルディア」を忘れてしまうのだ。これでは回復してくれるはずもない…。 ---ラストPTにはもう一人回復魔法の使い手がいるのだがこっちはこっちで、通常攻撃も行なう中衛タイプなため回復が必要な場面でも通常攻撃で行動ポイントを使い果たしてしまうことが多々ある。 ---PCE以降の移植版では改善が図られて、ちゃんと回復してくれるようにはなった。 --最終メンバーの前衛型AIキャラが主人公に比べて打たれ弱い。強化イベントはあるがそれでも突撃死しやすい。 -主役、ヒロイン以外が厳しくなると、ストーリー上から入れ替えが発生するのは特徴で説明した通り。しかしストーリー展開によってはそれがやや遅く、苦しい戦闘が続く場合もある。 -上記の理由から、RPGとしては難易度がやや高め。 -一部機種でゲームの進行が不可になるバグが存在する。 --PC-88版では、とある洞窟にいるボスを倒したあと、手に入れるべき重要アイテムを取らずに外に出ると、ストーリーを進めることができなくなる。 --PC-98版では、とあるサブシナリオ内で手に入る強化イベント付きの武器「粒子カッター」を、後に加入する装備可能なキャラに装備させると、終盤のイベントでエラーが出て先に進めなくなる。このバグが発生するとデバッグメッセージの「コマンド エラー このバグはE・JUNの責任です。」((E・JUNはシナリオ、ゲームデザイン担当の飯淳(いい・あつし)氏の事。なおこのバグに関して飯淳氏に責任はないとのこと。参照 https://www.youtube.com/watch?v=anGpzwBEfPE&t=2358 (39分頃)))が表示される((このサブシナリオ中だけ仲間になるキャラも装備可能で、彼に装備させて戦闘しても、同じメッセージが表示されて進行できなくなるバグが存在する。ただし、こちらは発生したセーブデータでも進行可能な対処方法がある))。 ---一度装備してしまうと外してもバグは回避できない。一度も装備させたことがないセーブデータからやり直すしかなくなる。 ---ラストダンジョンにまで行けば、粒子カッターを装備しても問題なくなる。 //バグは重いのでゲームを推奨するならこの辺「とある」と隠さない方がいいのでは? **総評 まさにストーリー重視の一本道RPG。レベルアップするのが、主人公とヒロインだけという点もあり、ストーリーを強調するためのRPG部分とすら言える。~ キャラ、ストーリー重視でアニメ要素が強い話が見たいプレイヤーからすれば、十分楽しめる作品だろう。一方で一部の複雑なダンジョンや、AIの貧弱さなどのバランス的に問題もあるのは残念な所。ただこれらは、ゲームに大きな支障のでるほどのものではない。~ 今ではストーリー重視のRPGは数多く出ているが、その黎明期を代表する作品の一つとも言える。 **移植 -本作は様々な機種に移植された。移植されたのは、 --PC-9801VM/UV以降(ここまでバショウハウス発売)、X68000、MSX2、FM TOWNS(ここまで開発元のグローディア自身が発売) --PCエンジン(日本電気ホームエレクトロニクス発売) --スーパーファミコン(メディアワークス発売)。 -PCE版は特に傑作と評されている。詳細は後述する。 -SFC版は全面的にアレンジが施されており、パソコン版やPCE版とは別物。 --アトルシャンは1戦闘に1度だけ「ドラゴンチェンジ」をすることが可能。敵全体に強力な攻撃を放つが、使用するとHPが激減しターンが強制終了するため、回復役のフォローが必須となる。 ---「銀の鱗」を外して元のブルードラゴンに戻るのではなく、エメラルドグレイスの力で元になったドラゴンの姿に変身する。最初は銀龍だけだが、新たなエメラルドグレイスを入手すると別のドラゴンに変身できる。 --他機種では敵が放った矢から仲間を庇って死んだ仲間キャラクターのヤマンが、SFC版では街中で弓矢を練習している子供による誤射で死ぬという珍妙な展開になっている。 - #region(他、SFC版における隠し要素) -最初に立ち寄る村が魔軍の侵攻によって壊滅した後、倒れてる死体達に正しい順番で話しかけていくと、最後に強力な装備一式(の在りかが書かれた手紙)を入手できる。 --死体なので話しかけても反応はなく、更に途中の1人は村を出て北の神殿に倒れてる(アトルシャン達に村の壊滅を伝え、そのまま絶命してしまった人)という事もあり、攻略情報なしではまず気付かない。一応やり直しは可能。 -一部の街にはカジノがあり、そこに居るバニーガールとミニゲームで対決ができ、勝利するとその時点における有用な装備が手に入る。 --ゲーム中の全てのバニー(5人+隠し1人)に勝利した状態でエンディングを迎えると、本編のイベントシーンを弄った3つのギャグシナリオを見る事ができる。 #endregion -グローディアが倒産したため、現在はプロジェクトEGG、PCエンジンアーカイブスでの配信、リメイクが困難になっている。 **余談 -製作ソフトハウスがPC誌「ポプコム」と密接な関係であった為、PC版の情報は「ポプコム」が宣伝を兼ねた特集が毎号組まれていた。結果として発売前にライバル誌の商品宣伝となりうるのを嫌ってかゲームの人気とは裏腹に他誌に一切の情報が載らない独占した状態となっていた。だが発売後に他誌「コンプティーク」で特集コーナーが設けられ、最終回間際には投稿者の一部に非売品のスペシャルディスク((未使用のイベントCGを使ったミュージックディスク。))をプレゼントする企画などもあった。 -前作『サバッシュ』にはドラゴン小国が登場しており、当時から既に企画は存在していたのか本作に関する話も聞ける。 -同社の『バイブルマスター』のワイバーンの隠れ里では、イシュバーンに向かうアトルシャンが大陸上空を通過した話を聞ける。 -アトルシャンのデザイン --元はブルードラゴンなのに人間姿が青髪ではなく赤髪というカラーリングの違和感がユーザー間でよく話題に上る。 --これを受けてかは定かではないが、後述の『エレメンタルドラグーン』の主人公はホワイトドラゴンで人間姿では銀髪と、元の姿に近い配色になっている。 ---ちなみに同作におけるアトルシャンの呼び名は「''灼髪''の剣士」で、真の姿とは正反対の髪の色がトレードマークになっている。 -小説やコミカライズ、ドラマCDなどのメディアミックスも展開され、続編の構想もあったようだが、実現には至らなかった。 --PC版のラストから数年後を描いた小説版『Ga-Ryu[牙龍]GALLANT ROYALBLUE』が『マル勝PCエンジン』誌上で6回に渡って連載されたが、角川書店分裂の影響により第1部のみで終了し、単行本化もされていない。 --オストラコンを主役にした外伝のシミュレーションRPG『イシュ・バーン戦記』のプロジェクトも進んでいたが、最終的に開発中止となってしまった。 -しかしオリジナル版の発売から25年の時を経た2014年になって、イラストを担当していた木村明広氏が''『エレメンタルドラグーン -2つの光-』''と言うプロジェクトを立ち上げ、独自にエメラルドドラゴンの続編を製作する為に動き出した。更にはオリジナル版のプレイヤーであったと言う声優の保志総一朗氏も共同プロデューサー兼主人公役として参加している。 --その第一弾としてドラマCD製作の為にクラウドファンディングが行われたが、結果は目標値の350万円を大きく上回る約774万円で大成功と、本作の未だ根強い人気を窺わせる。ドラマCDは2016年に無事発売された。([[ドラマCDプロジェクト公式サイト>http://vermillionmode.x0.com/ed2/main.html]]) --ドラマCDは上下巻の二巻構成で合計4時間に及ぶ長編となっている。世界を旅する『エメドラ』と違って、一つの都市を中心に展開する物語であり、構成としては映画に近い。 ---ドラマCDながら木村氏自身による挿絵も多数描かれ、クラウドファンディングのリターンとして配布されていた。一部はCDのジャケットや付属の冊子、公式サイトで見られる。また、後述のゲーム版にもイベントスチルとして流用されている。 --時系列は『エメドラ』の10年後。お馴染みのキャラも数人登場し、それらの担当声優も可能な限り後述のPCE版と同じ声優を起用している。また、ナレーションにFM-TOWN版でエメラルドドラゴンを演じた沢木郁也氏を招くなど、旧来ファンを唸らせる起用となっている。 ---あくまで木村氏独自の続編のためか『エメドラ』キャラの名前やいくつかの固有名詞は伏せられており、アトルシャンとタムリンすらも作中では名前は呼ばれない((後述のゲーム版では伏せられず明記されている。))。しかしそれに違和感を持たせることなく、元祖主人公&ヒロインの立場に違わない活躍を見せている。 --最終目標はゲーム化であると当初から発表されていたが、実現には至らず月日が流れた。しかし2022年5月2日より、Windows/Mac OS用フリーソフト『エレメンタルドラグーン -2つの光- RPG』として木村明広氏個人のBOOTHにて[[配布開始された>https://digitarouge.booth.pm/items/3815905]]。ドラマCDをベースにストーリーを拡張し、新キャラも追加してRPG化したものとなる。 ---『[[RPG MAKER MV>RPGツクールMV]]』による製作であり、当初は有料配布の予定だったが、Windows版での処理落ち強制終了問題が解決できなかったので無料配布にしたとの事((後のアップデートで負荷軽減により動作はある程度安定している。))。 ---いずれにせよ「個人制作フリーソフト」の扱いとなるため、本wikiでのルール上&font(red,b){詳細記述は禁止}。 ---- *PCE版 |ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)| |対応機種|PCエンジン スーパーCD-ROM2|~| |発売元|日本電気ホームエレクトロニクス|~| |移植元|アルファ・システム|~| |発売日|1994年1月28日|~| |定価|7,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要(PCE) -メガCD版『アルシャーク』、PCエンジンオリジナルのアクションゲーム『フィーンドハンター』が発売されてから1年後に発売された本作のPCエンジン版。 --FM-TOWN版同様豪華声優陣によるキャラクターボイスが対応されているが、全ての声優陣が変更されている点がある。 **特徴・変更点(PCE) -こちらはライトスタッフにを立ち上げた飯淳氏と木村明広氏が制作に参加している事に加え、いくつもの傑作を産み出してきた岩崎啓眞氏と桝田省治氏が関わっており。移動の遅さや複雑なダンジョン、貧弱なAI等の問題が解消されている。 -他にも木村明広氏の原画によるハイクオリティなビジュアルシーン、会話シーンの増加、さらにデモシーンは増加の上、全画面表示でボイス付き。またサブシナリオも増加しており、かなりのボリュームアップである。 --シナリオには一部手直しが入っている所があり、新キャラも追加されている。また、ラスボスは若干設定が変わっている((オリジナルでは最終決戦時に黒幕がラスボスの肉体に自身の精神を移す。と言う展開だったが、こちらではそもそも黒幕自体が最初からラスボスに操られていたと言う設定となっている。))。 --一方で、ゲームとしての難易度は下がり遊びやすくなっている。 -「ドラゴン小国」の名称が「ドラグリア」に変更された。 -年齢設定が変更されたキャラもいる。 --ハスラム24歳→22歳、ファルナ26歳→20歳など。 -PCEには「メモリーベース128」(以下128。光栄から同等製品の「セーブくん」も発売された)という大容量記憶媒体があったが、対応ソフトでしか利用できなかった。エメラルドドラゴンには本体内のセーブデータを128に移動するユーティリティが内蔵されており、PCEユーザーに歓迎された。 -本作品はスーパーCD-ROM2専用ソフトであるが、実はアーケードカードにも対応している。アーケードカードが持つ(当時としては)大容量のバッファメモリにより、ロード回数も大幅に減らすことが出来る優れた仕様となっている。((ちなみに最初に発売された本作のPC-88版もオプションであるサウンドボード2を搭載していると「ADPCMのバッファメモリをディスクキャッシュとして利用する」という隠し仕様があり、実際戦闘シーン等で活用されている。尚、当然ながらBGMもサウンドボード2対応版に切替わる。)) **賛否両論点(PCE) -評価の高いPC版のOPビジュアルの大半を、オーソドックスなRPGのイベント画面に置き換える等の大幅なアレンジや。OP同様に高評価なBGM群を作曲家の福田裕彦氏による完全新曲にほぼ差し変えた事で、PC版をプレイ済だったユーザーからの評価を著しく落としてしまっている。 --PCE版の楽曲の出来自体は問題はなく、PCE版から入ったユーザーには概ね好評だが。PC版のオリジナル楽曲群とは曲調が全く異なる為、音周りに関してはPC版とは完全に別モノ((PCE版のCD-DA曲「静寂に沈む森」はPC版「黄昏/ダードワの森」のアレンジ曲で、何故かこの曲だけ残っているが。こちらも曲調は異なる。))と思った方が無難である。 **問題点(PCE) -魔法キャラが戦闘中に喋ることがある。しかしその場合、何もせず待機してしまう。 **余談(PCE) -当時ファミコン通信のクロスレビューでは「6・5・6・5」という得点が付けられていた。
「[[修正依頼]]」が出ています。PCE版の評価点・総評を追記できる方はご協力をお願いします。 ---- 本項ではバショウハウス/グローディア発売のPC(PC-88/PC-98/X68/MSX2/FMT)版と、日本電気ホームエレクトロニクス発売のPCE移植版を中心に解説します。判定はどちらも&color(,lightgreen){良作}。~ メディアワークス発売のSFC移植版は参考記述扱いとして移植の項で触れています。 ---- #contents() ---- *エメラルドドラゴン 【えめらるどどらごん】 |ジャンル|RPG|~| |対応機種|PC-8801MkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、&br()X68000、MSX2、FM TOWNS|~| |発売元|バショウハウス|~| |開発元|グローディア|~| |発売日|1989年11月|~| |定価|8,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 ストーリー性、キャラクター性の色濃いRPG。PC88SRシリーズのゲームとして発売された。 今となってはストーリー性やキャラクター性が強い所謂「JRPG」は珍しくも無いが、発売当時は本作ほど強く出してるものはあまりなかった。またアニメ的要素も強い。キャラデザイン、演出にはそれが垣間見える。戦闘システムが独特なのも本作の特徴。 **ストーリー 太古の伝説の土地、イシュ・バーン。そこではドラゴンと人間が平和に共存していた。外敵も入ってこないこの土地は、正に理想郷であった。~ しかしある時、イシュ・バーン全土に強力な呪いがかけられる。その呪いは、何故かドラゴンにしか効かないものだった。やがてドラゴン達は抵抗空しく、次々と倒れていく。そして残されたわずかなドラゴンは、この地から去っていった。~ それから2000年。異次元に去ったドラゴン達はドラゴン小国という土地で暮らしていた。そんなある日、一隻の難破船が次元の壁を越えて流れ着く。ドラゴン達はその中から、唯一生き残っていた幼い女の子を助け出す。だがその女の子は、名前はもちろん、全ての記憶を失っていた。やがて長老である白龍にタムリンと名づけられた彼女は、年の近かった若いブルードラゴンのアトルシャンと共に暮す事になる。~ ドラゴン小国での平和な日々は続き、12年の年月が過ぎた。その日、年頃の美しい少女となったタムリンは、人間達の世界、イシュ・バーンに行くとアトルシャンに打ち明ける。以前に白龍から、人間ならばやはり人間と共に暮す方がいいと勧められていたのだ。~ アトルシャンは最初こそ反対するが、決意が固いのを見ると、自らの角を折り、それで角笛を作って持っていくようにタムリンに言う。「もし危機があれば、この笛を吹くように。その笛の音がした時には、必ず駆けつける」~ それから3年後。イシュ・バーンは混乱の極みにあった。15年前、突如魔軍が現れ、人間に攻撃を開始したのだ。イシュ・バーンを治めていたエルバート王国は、対抗するため軍を差し向ける。しばらくは甲乙つけがたい持久戦が続いていた。~ だが魔将軍オストラコンの出現により、状況は一変する。エルバート軍は劣勢に立たされ、今となっては王城を残すのみとなっていた。~ そんな状況を見かねたタムリンは、魔軍と戦う事を決意して町の近くの祈りの丘で思い出の角笛を吹く。~ 己の角が鳴らされたことを感知したアトルシャンは、ドラゴン族の秘宝「銀の鱗」を白龍から授かり飛び立った。~ そしてタムリンが笛を吹いた祈りの丘に降り立つと、「銀の鱗」の力でイシュ・バーンの大地から受ける呪いの対象ではない人間へと姿を変えて、町に住むタムリンの下に向かうのであった。 **特徴 -グローディア製作の前作「[[サバッシュ]]」のスピンオフ作品である。(ストーリーに直接的な関連性はない) -印象的なキャラクター達と、二転三転するストーリーが特徴の正統派のRPG。 -戦闘システムは独特のもの。 --敵との遭遇はボスなどを除いて、エンカウント制。 --タクティカルなシステム。戦闘になると、ある程度の広さに味方、敵キャラを配置したものをトップビュー(上から見下ろし)で見るスタイル。味方の配置は、事前に設定したフォーメーションを取る事になる。 --純粋に操作して動かせるのは主人公のみ。他のパーティのメンバーはAIで勝手に動く((システム的に前作といえる「サバッシュ」では主人公もオートだった。))。プレイヤーが他のキャラにできる事は、目標を指示する事と、アイテムを使う事くらい。~ だがAIにまかせっきりという訳にもいかない。パーティの中で一人でもHPが0になるとゲームオーバーなので、不用意な行動は避けねばならないからだ。手段は少ないながらも、他のメンバーに働きかける事は必要。 --攻撃はキャラが敵キャラまで近づくことで行われる。 --行動はターン制。順番が回ってきたキャラクターには、行動ポイントが与えられている。そのポイント内で、移動、攻撃、魔法を行う。プレイヤーが動かせるのは主人公だけであるが。 --各キャラクターのレベルアップも独特で、主人公とヒロインの二人しかレベルアップしない。他のキャラはパラメーターが固定されている。そのため強化は、基本的には装備交換でなんとかするしかない。~ **評価点 -ストーリーを全面に押し出した作り。 --中心メンバーは、少年漫画やアニメのようにメリハリの利いた、「立った」キャラクター達。そしていぶし銀的な仲間達も多い。それらが世界観と複雑にからみあい、敵味方、仲間たちの間でドラマを織り成している。 --アニメ調のキャラデザインや多彩な演出、ストーリーなどにより内面を深く描いており、特に会話シーンの多さが際立っている。それを象徴する一つの要素として上がるのが「相談」コマンド。一応次に何をすればよいかのヒントを出してくれるコマンドに当たるが、むしろキャラ同士の「雑談」「掛け合い」に近い。内容も頻繁に変わるので新しい場面で会話を聞く面白みもあり、キャラクター性の確立に一役買っている。 --会話の時に顔をアップにしている。今では当たり前だが、RPGでこの演出方法は当時としては珍しかった。 --デモにアニメを多用。これも当時のRPGでは他には見られなかった。ただし動画ではなく、CGをアニメのように見せているだけで、gifアニメの感じに近い。 //サイズも小さかった。 //--ストーリーは複雑に変化し意外な展開を見せる。本作には全世界マップが存在しない為、残りの未踏破地域からどの程度話が進んだかを予想する事ができないからだ。そろそろ終わるかと思わせて、実は…という話の進め方をしている。 //地名入り全世界マップはパッケージ内に付属されており(コンシューマ機はマニュアル内)、未踏破地域は容易に分かる。唐突に先の新しい地名がゲームに登場し、このマップの存在を前提としてゲームが作られている。 --OPはプロローグをうまくまとめ、そのOPテーマと合わせて、印象深く評価が高い。 --成長システムすらもストーリーを映えさせる作りとなっている。本作のストーリー重視を象徴する一面。 ---本作では主人公とヒロインしかレベルアップしない。これでは「先に進むうちに行き詰ってしまう」と思うかも知れないが、そうはならない。敵が強くなり主人公とヒロイン以外のキャラが厳しくなってくる辺りで、話の展開によってパーティーから抜けていくのだ。そしてより強い新たなキャラが加わるという形になる。抜けたキャラの中には、再びパーティに加わるキャラもおり、その時には格段にパラメーターが上昇した状態で加わる。 --戦闘AIも、キャラクター達の性格を表した動きをする。 ---もっともこのため、後述する問題も発生しているのだが。 -FM TOWNS版の豪華声優陣。 --主人公のアトルシャンには飛田展男氏、ヒロインのタムリンには天野由梨氏、魔将軍オストラコンには中村大樹氏を起用し、エメラルドドラゴンには沢木郁也氏を起用している。 ---他にも堀川亮や鷹森淑乃、子安武人、西村知道、河合義雄、北島淳司、水鳥鐵夫といった豪華なキャスト。 **難点 -良くも悪くも元祖JRPG((現代ではJRPGの代名詞扱いされているファイナルファンタジーシリーズが実際にJRPG化したのは2年後の『IV』からである。))故にストーリー性重視過ぎて攻略に自由度はない。せいぜいいくつかあるサブシナリオをやるかどうかくらい。 --戦闘では一人でも死ぬとゲームオーバーだが、戦闘終了直後のイベントシーンであっさりと殺されるキャラクターが居る。正に「イベントシーンで死ぬために戦闘で死ぬことを禁止されていた」訳である。 ---批判が多かったのか、以降のストーリー性重視CRPGでは「体力0」になっても「あくまでも戦闘不能なだけで軽作業程度(ストーリーを進める程度)なら可能」と言う扱いが多くなった((余談だが、元祖RPGである『D&D』でも現代では「体力0=気絶」に変更されている。気絶(=軽作業さえ不可能)なうえ、一定時間内に応急手当を受けないとそのまま死ぬのでCRPGより厳しいが。))。当然、一人二人倒れた程度ではゲームオーバーにはならない。 //ちょっとネタバレすぎ。それに、ストーリー性の高いRPGなら主要キャラが死ぬってのは、なくもないから問題という程のものとは思えない。 //ネタバレにはならんだろ。被害者も加害者も名前を書いてない(そもそも加害者は名無しの雑兵で特に因縁も無い)。システム上、資金と経験値で損をすることさえ無いんだから。あと重要なのは「戦闘で一人でも死ぬとゲームオーバーのくせに」な話であって、「主要キャラを殺すな」と言っているわけではない。 -MAP上での移動手段は「徒歩」のみ。今では当たり前の走ることが出来ない。そもそも単純に歩くのが遅い。 --乗り物による移動手段は当時少ないというのもあったが、そのために目的地までの移動に時間がかかる。 --数少ないが複雑な地形をしたダンジョンとフィールド上の森があり、走れないために結構苦労させられる。 -AIが攻撃寄りに作られており、あまり賢くない。回復魔法をかけて欲しいような状況でも攻撃ばかりしてメンバーを見殺しにしたり、強敵にむやみに突撃して死んでしまうなどの困った現象が起こる。一人でもHP0になるとゲームオーバーなので、敵によってはイマイチなAIキャラをどう誘導するかに頭を悩ませる事に。 --特にヒロインであるタムリンは、最強攻撃魔法であるレイヴァースを習得するとこれを狂ったように連発するようになってしまい、それまでは使ってくれていた回復魔法をまるで使わなくなる。レイヴァースはそのグラフィックから「タムリンレーザー」と呼ばれ(主にプレイヤーを)恐怖に陥れた。 ---この原因はゲーム設計にあり、実はAIキャラは魔法を4つしか保持できないのである。そのため新しい魔法を覚える度に、古い魔法を入れ替わりで「忘れて」いく仕様となっている。回復魔法もレベルアップで再び覚えていくことで新しい魔法を覚えても回復魔法を持ったままになっているのだが、タムリンは「レイヴァース」を覚えると一番強い回復魔法「バルディア」を忘れてしまうのだ。これでは回復してくれるはずもない…。 ---ラストPTにはもう一人回復魔法の使い手がいるのだがこっちはこっちで、通常攻撃も行なう中衛タイプなため回復が必要な場面でも通常攻撃で行動ポイントを使い果たしてしまうことが多々ある。 ---PCE以降の移植版では改善が図られて、ちゃんと回復してくれるようにはなった。 --最終メンバーの前衛型AIキャラが主人公に比べて打たれ弱い。強化イベントはあるがそれでも突撃死しやすい。 -主役、ヒロイン以外が厳しくなると、ストーリー上から入れ替えが発生するのは特徴で説明した通り。しかしストーリー展開によってはそれがやや遅く、苦しい戦闘が続く場合もある。 -上記の理由から、RPGとしては難易度がやや高め。 -一部機種でゲームの進行が不可になるバグが存在する。 --PC-88版では、とある洞窟にいるボスを倒したあと、手に入れるべき重要アイテムを取らずに外に出ると、ストーリーを進めることができなくなる。 --PC-98版では、とあるサブシナリオ内で手に入る強化イベント付きの武器「粒子カッター」を、後に加入する装備可能なキャラに装備させると、終盤のイベントでエラーが出て先に進めなくなる。このバグが発生するとデバッグメッセージの「コマンド エラー このバグはE・JUNの責任です。」((E・JUNはシナリオ、ゲームデザイン担当の飯淳(いい・あつし)氏の事。なおこのバグに関して飯淳氏に責任はないとのこと。参照 https://www.youtube.com/watch?v=anGpzwBEfPE&t=2358 (39分頃)))が表示される((このサブシナリオ中だけ仲間になるキャラも装備可能で、彼に装備させて戦闘しても、同じメッセージが表示されて進行できなくなるバグが存在する。ただし、こちらは発生したセーブデータでも進行可能な対処方法がある))。 ---一度装備してしまうと外してもバグは回避できない。一度も装備させたことがないセーブデータからやり直すしかなくなる。 ---ラストダンジョンにまで行けば、粒子カッターを装備しても問題なくなる。 //バグは重いのでゲームを推奨するならこの辺「とある」と隠さない方がいいのでは? **総評 まさにストーリー重視の一本道RPG。レベルアップするのが、主人公とヒロインだけという点もあり、ストーリーを強調するためのRPG部分とすら言える。~ キャラ、ストーリー重視でアニメ要素が強い話が見たいプレイヤーからすれば、十分楽しめる作品だろう。一方で一部の複雑なダンジョンや、AIの貧弱さなどのバランス的に問題もあるのは残念な所。ただこれらは、ゲームに大きな支障のでるほどのものではない。~ 今ではストーリー重視のRPGは数多く出ているが、その黎明期を代表する作品の一つとも言える。 **移植 -本作は様々な機種に移植された。移植されたのは、 --PC-9801VM/UV以降(ここまでバショウハウス発売)、X68000、MSX2、FM TOWNS(ここまで開発元のグローディア自身が発売) --PCエンジン(日本電気ホームエレクトロニクス発売) --スーパーファミコン(メディアワークス発売)。 -PCE版は特に傑作と評されている。詳細は後述する。 -SFC版は全面的にアレンジが施されており、パソコン版やPCE版とは別物。 --アトルシャンは1戦闘に1度だけ「ドラゴンチェンジ」をすることが可能。敵全体に強力な攻撃を放つが、使用するとHPが激減しターンが強制終了するため、回復役のフォローが必須となる。 ---「銀の鱗」を外して元のブルードラゴンに戻るのではなく、エメラルドグレイスの力で元になったドラゴンの姿に変身する。最初は銀龍だけだが、新たなエメラルドグレイスを入手すると別のドラゴンに変身できる。 --他機種では敵が放った矢から仲間を庇って死んだ仲間キャラクターのヤマンが、SFC版では街中で弓矢を練習している子供による誤射で死ぬという珍妙な展開になっている。 - #region(他、SFC版における隠し要素) -最初に立ち寄る村が魔軍の侵攻によって壊滅した後、倒れてる死体達に正しい順番で話しかけていくと、最後に強力な装備一式(の在りかが書かれた手紙)を入手できる。 --死体なので話しかけても反応はなく、更に途中の1人は村を出て北の神殿に倒れてる(アトルシャン達に村の壊滅を伝え、そのまま絶命してしまった人)という事もあり、攻略情報なしではまず気付かない。一応やり直しは可能。 -一部の街にはカジノがあり、そこに居るバニーガールとミニゲームで対決ができ、勝利するとその時点における有用な装備が手に入る。 --ゲーム中の全てのバニー(5人+隠し1人)に勝利した状態でエンディングを迎えると、本編のイベントシーンを弄った3つのギャグシナリオを見る事ができる。 #endregion -グローディアが倒産したため、現在はプロジェクトEGG、PCエンジンアーカイブスでの配信、リメイクが困難になっている。 **余談 -製作ソフトハウスがPC誌「ポプコム」と密接な関係であった為、PC版の情報は「ポプコム」が宣伝を兼ねた特集が毎号組まれていた。結果として発売前にライバル誌の商品宣伝となりうるのを嫌ってかゲームの人気とは裏腹に他誌に一切の情報が載らない独占した状態となっていた。だが発売後に他誌「コンプティーク」で特集コーナーが設けられ、最終回間際には投稿者の一部に非売品のスペシャルディスク((未使用のイベントCGを使ったミュージックディスク。))をプレゼントする企画などもあった。 -前作『サバッシュ』にはドラゴン小国が登場しており、当時から既に企画は存在していたのか本作に関する話も聞ける。 -同社の『バイブルマスター』のワイバーンの隠れ里では、イシュバーンに向かうアトルシャンが大陸上空を通過した話を聞ける。 -アトルシャンのデザイン --元はブルードラゴンなのに人間姿が青髪ではなく赤髪というカラーリングの違和感がユーザー間でよく話題に上る。 --これを受けてかは定かではないが、後述の『エレメンタルドラグーン』の主人公はホワイトドラゴンで人間姿では銀髪と、元の姿に近い配色になっている。 ---ちなみに同作におけるアトルシャンの呼び名は「''灼髪''の剣士」で、真の姿とは正反対の髪の色がトレードマークになっている。 -小説やコミカライズ、ドラマCDなどのメディアミックスも展開され、続編の構想もあったようだが、実現には至らなかった。 --PC版のラストから数年後を描いた小説版『Ga-Ryu[牙龍]GALLANT ROYALBLUE』が『マル勝PCエンジン』誌上で6回に渡って連載されたが、角川書店分裂の影響により第1部のみで終了し、単行本化もされていない。 --オストラコンを主役にした外伝のシミュレーションRPG『イシュ・バーン戦記』のプロジェクトも進んでいたが、最終的に開発中止となってしまった。 -しかしオリジナル版の発売から25年の時を経た2014年になって、イラストを担当していた木村明広氏が''『エレメンタルドラグーン -2つの光-』''と言うプロジェクトを立ち上げ、独自にエメラルドドラゴンの続編を製作する為に動き出した。更にはオリジナル版のプレイヤーであったと言う声優の保志総一朗氏も共同プロデューサー兼主人公役として参加している。 --その第一弾としてドラマCD製作の為にクラウドファンディングが行われたが、結果は目標値の350万円を大きく上回る約774万円で大成功と、本作の未だ根強い人気を窺わせる。ドラマCDは2016年に無事発売された。([[ドラマCDプロジェクト公式サイト>http://vermillionmode.x0.com/ed2/main.html]]) --ドラマCDは上下巻の二巻構成で合計4時間に及ぶ長編となっている。世界を旅する『エメドラ』と違って、一つの都市を中心に展開する物語であり、構成としては映画に近い。 ---ドラマCDながら木村氏自身による挿絵も多数描かれ、クラウドファンディングのリターンとして配布されていた。一部はCDのジャケットや付属の冊子、公式サイトで見られる。また、後述のゲーム版にもイベントスチルとして流用されている。 --時系列は『エメドラ』の10年後。お馴染みのキャラも数人登場し、それらの担当声優も可能な限り後述のPCE版と同じ声優を起用している。また、ナレーションにFM-TOWN版でエメラルドドラゴンを演じた沢木郁也氏を招くなど、旧来ファンを唸らせる起用となっている。 ---あくまで木村氏独自の続編のためか『エメドラ』キャラの名前やいくつかの固有名詞は伏せられており、アトルシャンとタムリンすらも作中では名前は呼ばれない((後述のゲーム版では伏せられず明記されている。))。しかしそれに違和感を持たせることなく、元祖主人公&ヒロインの立場に違わない活躍を見せている。 --最終目標はゲーム化であると当初から発表されていたが、実現には至らず月日が流れた。しかし2022年5月2日より、Windows/Mac OS用フリーソフト『エレメンタルドラグーン -2つの光- RPG』として木村明広氏個人のBOOTHにて[[配布開始された>https://digitarouge.booth.pm/items/3815905]]。ドラマCDをベースにストーリーを拡張し、新キャラも追加してRPG化したものとなる。 ---『[[RPG MAKER MV>RPGツクールMV]]』による製作であり、当初は有料配布の予定だったが、Windows版での処理落ち強制終了問題が解決できなかったので無料配布にしたとの事((後のアップデートで負荷軽減により動作はある程度安定している。))。 ---いずれにせよ「個人制作フリーソフト」の扱いとなるため、本wikiでのルール上&font(red,b){詳細記述は禁止}。 ---- *PCE版 |ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)| |対応機種|PCエンジン スーパーCD-ROM2|~| |発売元|日本電気ホームエレクトロニクス|~| |移植元|アルファ・システム|~| |発売日|1994年1月28日|~| |定価|7,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要(PCE) -メガCD版『アルシャーク』、PCエンジンオリジナルのアクションゲーム『フィーンドハンター』が発売されてから1年後に発売された本作のPCエンジン版。 --FM-TOWN版同様豪華声優陣によるキャラクターボイスが対応されているが、全ての声優陣が変更されている点がある。 **特徴・変更点(PCE) -こちらはライトスタッフにを立ち上げた飯淳氏と木村明広氏が制作に参加している事に加え、いくつもの傑作を産み出してきた岩崎啓眞氏と桝田省治氏が関わっており。移動の遅さや複雑なダンジョン、貧弱なAI等の問題が解消されている。 -他にも木村明広氏の原画によるハイクオリティなビジュアルシーン、会話シーンの増加、さらにデモシーンは増加の上、全画面表示でボイス付き。またサブシナリオも増加しており、かなりのボリュームアップである。 --シナリオには一部手直しが入っている所があり、新キャラも追加されている。また、ラスボスは若干設定が変わっている((オリジナルでは最終決戦時に黒幕がラスボスの肉体に自身の精神を移す。と言う展開だったが、こちらではそもそも黒幕自体が最初からラスボスに操られていたと言う設定となっている。))。 --一方で、ゲームとしての難易度は下がり遊びやすくなっている。 -「ドラゴン小国」の名称が「ドラグリア」に変更された。 -年齢設定が変更されたキャラもいる。 --ハスラム24歳→22歳、ファルナ26歳→20歳など。 -PCEには「メモリーベース128」(以下128。光栄から同等製品の「セーブくん」も発売された)という大容量記憶媒体があったが、対応ソフトでしか利用できなかった。エメラルドドラゴンには本体内のセーブデータを128に移動するユーティリティが内蔵されており、PCEユーザーに歓迎された。 -本作品はスーパーCD-ROM2専用ソフトであるが、実はアーケードカードにも対応している。アーケードカードが持つ(当時としては)大容量のバッファメモリにより、ロード回数も大幅に減らすことが出来る優れた仕様となっている。((ちなみに最初に発売された本作のPC-88版もオプションであるサウンドボード2を搭載していると「ADPCMのバッファメモリをディスクキャッシュとして利用する」という隠し仕様があり、実際戦闘シーン等で活用されている。尚、当然ながらBGMもサウンドボード2対応版に切替わる。)) **賛否両論点(PCE) -評価の高いPC版のOPビジュアルの大半を、オーソドックスなRPGのイベント画面に置き換える等の大幅なアレンジや。OP同様に高評価なBGM群を作曲家の福田裕彦氏による完全新曲にほぼ差し変えた事で、PC版をプレイ済だったユーザーからの評価を著しく落としてしまっている。 --PCE版の楽曲の出来自体は問題はなく、PCE版から入ったユーザーには概ね好評だが。PC版のオリジナル楽曲群とは曲調が全く異なる為、音周りに関してはPC版とは完全に別モノ((PCE版のCD-DA曲「静寂に沈む森」はPC版「黄昏/ダードワの森」のアレンジ曲で、何故かこの曲だけ残っているが。こちらも曲調は異なる。))と思った方が無難である。 **問題点(PCE) -魔法キャラが戦闘中に喋ることがある。しかしその場合、何もせず待機してしまう。 **余談(PCE) -当時ファミコン通信のクロスレビューでは「6・5・6・5」という得点が付けられていた。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: