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*EVE burst error 【いぶ ばーすと えらー】 |ジャンル|コマンド選択式アドベンチャー|&image2(Evebe.jpg,height=200)| |対応機種|PC-9801VM/UV以降|~| |発売・開発元|シーズウェア(姫屋ソフト)|~| |発売日|1995年11月22日|~| |定価|8,800円|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[EVEシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -マルチサイトシステムによるサスペンスAVG『EVEシリーズ』第1作。ストーリー重視のアダルトゲームの初期の作品であり、コマンド選択式AVGとしては後期の作品である。 -「泣き」の先駆け、剣乃ゆきひろ(管野ひろゆき氏の当時のペンネーム)氏の代表作の一つだが、剣乃作品にしては珍しく時空の概念が出てこない。 -本作の一部キャラは本作以前に発売された『悦楽の学園』というアダルトゲームにも登場している。製作は同じく剣乃氏。 --ただしこちらは単なるエロゲーで、そもそも本作自体がこの『悦楽の学園』の続編という形でスタートしたものである。出来上がったものは全く違ったものとなったようだ。 ---- **ストーリー //長文のまま文頭空白入れると、横スクロールさせないと全文が読めなくなるので、この書き方はできるだけやめて適度な改行(及び>の併用)で対応してほしい。 >港のはずれにある古びた倉庫。天城小次郎はそこで「あまぎ探偵事務所」を開いていた。~ だが事務所は開いたばかり、しかもライセンス停止中。さらに場所が倉庫街では、客が来るはずもなかった。~ もっともこんな状況になったのも、自ら決めた事だ。彼は元々、有名事務所に勤めていた敏腕探偵だった。それがある事件を解決したせいで、そこを辞職する事になる。~ そして新たに個人探偵事務所を開き、再出発したのだ。 > >顧客が全く来ない状態で厳しい生活を強いられていた小次郎に、知り合いのカメラマンの紹介で仕事が入る。それは紛失した絵画を探して欲しいという内容だった。~ 小次郎に選択の余地などある訳もなく、その仕事を引き受ける。そして依頼者の下に向うのだった > >オフィス街の一角にある、なんの変哲もないビル。だがそこにはとある公的機関が入っていた。~ 内閣情報調査室。そこに鷹揚な態度の女性が入ってくる。法条まりな1級捜査官。スーパーエージェントと称される捜査官だ。彼女はアメリカから帰国したばかりだった。 本部長と呼んでいる上司とは、お互い気の知れた仲。着飾らない会話の終わりに、さっそく次の任務が告げられる。~ それは海外の要人護衛。対象はエルディア共和国という大使の娘。中東にあるその国は、政情不安テロが頻発してるとの事だった。~ その影響は遠く離れた日本にもあるようで、大使自らが外交筋に手を回し護衛任務を手配したのだ。護衛方法としては、大使の娘の専任講師という形を取る。~ ただ何故かその任務の経過報告は、口頭のみになっていた。引っかかりはあるものの、気を引き締めさっそく任務に向うまりなだった。 ---- **特徴 -マルチサイトシステム --今では『[[街]]』等で有名ないわゆるザッピングシステムであり、本作では「天城小次郎」と「法条まりな」の二人の主人公の視点からストーリーを進めていく。 --どちらのストーリーをどのタイミングでやるかは自由だが、他方のシナリオが十分進んでない状態だと途中でシナリオが進まなくなる。 --元々は剣乃氏が以前に手掛けた『[[DESIRE 背徳の螺旋]]』のシステムであり、本作はそれを発展させた形になる。 -基本システムは当時のADVではオーソドックスなコマンド選択式。「話す」「移動」などのコマンドを選んでフラグを立てる事でストーリーを進行させていく。 --基本コマンド以外にも場所とシチュエーションによって様々なコマンドが出現する。単なるお遊びのコマンドも多数。 ---- **評価点 -シナリオの評価が高い。 --双方の視点の要素が少しづつ絡み合いながら、二転三転するストーリー。そして剣乃氏ならではの、深い余韻を残す意外な結末。本作の評価を高めている大きな要素である。 -キャラクターも非常に癖の強い人物が多数登場している。 --作られた時代もあって90年代の雰囲気はするものの、出てくるキャラクターは今でも皆魅力的。このシリーズが長く続く事になったのも、彼等の存在が多分にある。 -マルチサイトシステムがシナリオに上手く活かされている。 --同じ舞台にありながら絵画捜索と要人護衛という全く関係ないように思われる二つのシナリオだが、少しずつ絡み合い最終的に一つのシナリオに収束する様が秀逸。 ---同じ人間でも別の人間の前では見せる顔が違うという事が上手く描写されている。 ---主人公同士も途中で何度か遭遇し、お互いの何気ない動作が油断のならない行動として見られたりと、主人公の魅力を底上げしている。 -梅本竜氏のBGM全般も評価が高い。 --日付変更の際の「デイリー・オープニング」等、強く印象に残る曲も多い。 -中東文化を取り入れている。 --登場人物が中東の関係者が多く、物語から中東の世界観を知ることができる。 --様々な理由で中東関係がタブー化されている現在だと、非常に斬新で新鮮味がある。 ---- **賛否両論点 -豊富すぎるコマンド選択。 --ストーリーを進めるのに必要なコマンド以外にも様々な行動が可能で、主人公に空気椅子をさせたり、話している相手の髭を引っ張れたりなどお遊び要素も満載。 ---これらお遊び要素自体は本作の評価点として挙げられる事も多い。 --反面、単純にシナリオを進めたい場合に必要なコマンドが分かりづらく、詰まった場合の総当り時には余計なコマンドが多すぎる事態に。 -元々が古いアダルトゲームであるため、下ネタ的軽口がよく出てくる。 --たとえシリアスな話であっても本筋以外の会話が下ネタまみれなのは当時のアダルトゲームではよくあることであったが、少々人を選ぶ要素と言わざるを得ない。 -アダルトゲームだがアダルト要素は少なく、メインシナリオにはあまり絡まない。 --とはいえ、一部はシナリオに必要な要素である為に、後にSS版へ移植された際には削った箇所が少々不自然になっている。 ---- **問題点 -シナリオを先へ進めづらい --フラグのコマンドが分かりづらいものがあり、詰まった際には総当りを強いられる。 ---同一コマンドを何度も選択しないとフラグが立たなかったり、あえて行く必要はなさそうな台詞が事前にあるのに、行くとそこがフラグだったりする等。 --ザッピングシステムのため、一方の話が十分進んでないと行き詰るのだが、行き詰ってるのか探索が不十分なのかが解り難い。 ---上記のフラグの分かりにくさと合わせ、これまた無駄なコマンド選択をしてしまう理由の一つ。 ---PS2版及びそれを元にしたPC版では「現状これ以上は進められない」事を知らせてくれるようになった。~ これのおかげで先へ進められない状況での無駄な探索をする必要がなくなり、この表示がない状態ではまだ探索不足の点がある事もわかるようになった。 -純粋な推理ものという点からは、今一歩な面も。 --特に最後の犯人当ては初回で当てることはほぼ不可能。推理させる割には説明を受けてもかなり納得の出来かねる話になってしまっている。 -一部描写が台詞のみ --口紅を買う場面等一枚絵も無ければ、立ち絵も使用されず黒背景で台詞のみの場面がある。想像するしか無いので少々残念。 #region(推理ものとしての難点(軽いネタバレあり)) それまでほとんど現実にある要素のみで話が進んでいたのに、真犯人のみはいきなりSF・オカルトの絡む話になる。~ シナリオとしての評価はともかく、推理ものとしてはかなりの超展開と言える。 #endregion ---- **総評 ザッピングシステムを生かし、一見無関係な二人の主人公達の話が少しずつ絡み合い、やがて一つへ収束し盛り上がる様は見事と言う他ない。~ さらになんともいえないラストの後のせつなさ漂う余韻。そしてそれらを魅力的なキャラクター達が、色濃いものへと高めていく。~ コマンド総当たりの作業感はあれど、そのストーリーは味わう価値が十分にある。 ---- ---- **余談 -本作はシリーズ化され、続編がコンシューマー展開されている。しかし、その時点で剣乃氏はシーズウェア(姫屋ソフト)を退社しており続編には関わっていない。 --元々続編の構想は無く、剣乃氏としても本作のエンディングで物語は完結したつもりだった。その為、後付設定や過去作ぶち壊しの展開も少なくなく、さらに作品毎に脚本家が変わり、シリーズものながらも作風の安定感が今一歩。評価もばらつきがあり、本作がシリーズ最高傑作との呼び声が高い。 -小次郎の目 --髪の毛で隠れて作中目が描写されない小次郎だが、実はPC98版の時点でパッケージ裏で片目が見えている。 -2017年1月に音楽家・高見龍氏へのインタビュー記事が[[掲載された>https://automaton-media.com/articles/interviewsjp/20170124-38850/]]。 -2017年に姫屋ソフトが[[破産>http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20170221_02.html]]しているが、El Diaブランドからリメイク等が発売されている。 --2019年4月25日には24年越しに『burst error』正統続編『[[EVE rebirth terror]]』が発売された。 ---- **移植版について 本作はシリーズでも特に人気の作品の為、PC98からSS、Winへ移植された後、かなりの間を空けてPS2、Winでリメイク版が発売され、PSPではリブート作品も作られた。~ 2016年にはPSVとWinでリマスター版が制作された。~ PSPの『[[バーストエラー イブ・ザ・ファースト]]』以外は、ハードや時代に合わせたテキストの修正やキャラデザの変更程度なので、ここでまとめて紹介する。~ #region(移植一覧) ''EVE burst error''(SS版:1997年1月24日)~ アダルト要素を排除し、声優によるボイスを追加した移植版。~ 新規ムービー等も追加されている。~ 一般のプレイヤーにEVEシリーズを知らしめた作品で、今でも根強い人気がある。~ 但し、小次郎編とまりな編でディスクが分かれている為、マルチサイトでキャラを入れ替える毎にディスクも入れ替えねばならず、他のプラットフォームに比べると手間が掛かる。~ 販売当時にかなりの数が出回った上に、現在ではSSのプレイ環境が少ない事もあって、SSソフトを扱う中古店なら現在でも投げ売りされている事がある。~ ''EVE burst error Windows95''(Win版:1997年5月30日)~ SS版を元にしたWindows移植版で、PCへの移植だがアダルト要素の追加等はされていない。~ 基本的にSS版そのままだが、シナリオ進行に合わせてディスクを入れ替える形にしたため、無駄な手間は減っている。DVD版ではディスク1枚になり交換不要となっている。~ 現在でもDMMでDL販売をしている為、パッケージでの入手に拘らなければ入手は容易。~ ''EVE burst error PLUS''(PS2版:2003年7月24日)~ 移植と言うよりはリメイク版。~ シナリオはSS版から変更されていないが、キャラクターデザインや画面のレイアウトを大胆に変更してあり、一部の声優も異なる((例えば、まりなの声優はオリジナルの岩男潤子氏から、『ZERO』以降のまりな役を務めている三石琴乃氏に変更されている。))。アニメムービーも一新されている。~ 特に大きな特徴は「C-motion」と言う演出の導入で、キャラの表情やポーズの変化がアニメーション付きで滑らかに行われるようになった。~ 一部キャラの服装や水着、戦闘服などが全体的に露出度を抑えたものに変更され、中には見た目すら別人のようになっているキャラもいる。~ この手の変更には付き物だが、キャラデザインには原作ファンからは否定的な意見が多かった。~ しかしグラフィックやアニメのクオリティ自体やシステム周りの快適さは向上しているため、単純に一つのソフトとして見た場合、良好なリメイクと言える。~ また、マルチサイトシステムに関しても「他方を進めないとこれ以上は進まない」タイミングを教えてくれるようになり、遊びやすさが向上している。ボタン一つで素早く切り替えが出来る点も大きい。~ 終盤にあった「犯人名の入力」がなくなっているが、これに関してはそもそも原作においてやや理不尽の点でもあった為、原作ファンからも結構納得されている。ないと寂しいという声もあるが。~ ''EVE''(Win版:2003年11月28日)~ PS2版の「PLUS」を元にアダルト要素等を加えた移植版。~ シナリオ的には原点のPC98版に一番近い。~ ただし18禁のシーン等が追加された都合で一部のキャラは別名義にて続投しているもののほぼ全ての声優が変更されている為、今までの声に慣れている人には違和感が強い。~ (一部、コンシューマ版より演技力で劣っているキャラもいるので、変更に納得した上での不満の声も。この問題は後の『[[new generation >EVE new generation]]』でも再発した)~ また、PC98版の『EVE burst error』と、後述の『悦楽の学園』が同梱されている。~ 大元となるPC98版を現環境で気軽に遊べる、という意味では貴重な作品。~ サブタイトルにも意味はあるゲームなので、それがなくなった事には違和感を覚えた原作ファンもいた。~ ''バーストエラー イブ・ザ・ファースト''(PSP版:2010年3月25日)~ 大筋は変わらないものの、シナリオやキャラクターデザイン、システムすらも根本から作り直したリメイク作品。~ 変えすぎて元々の良さを潰してしまっている為、非常に評判は悪い。~ 詳しくは[[こちら>バーストエラー イブ・ザ・ファースト]]を参照。~ ''EVE burst error R''(PSV/Win版:2016年4月28日)(Switch版:2018年10月25日)(PS4版:2019年4月25日)~ 非18禁。PC98、SS版の原画をリマスターしたもので、オリジナルに忠実な移植版である。~ 新規イベントCGも追加されている。~ 完全移植だけあって過去の移植、リメイク版のようにコスチュームが露出度の低い物に変更される事は無くなっている。~ 但し、CGはPC98、SS版準拠だが、音声はPS2版のものとなっている。~ Switch版はDL専売。PS4版は『[[EVE rebirth terror]]』のゲーム内に収録されている。 ''EVE burst error A''(Win版:2016年11月25日)~ 『R』の18禁版だが、『R』発売からすぐに発表されたため、売り方が疑問視されている。 #endregion ----
*EVE burst error 【いぶ ばーすと えらー】 |ジャンル|コマンド選択式アドベンチャー|&image2(Evebe.jpg,height=200)| |対応機種|PC-9801VM/UV以降|~| |発売・開発元|シーズウェア(姫屋ソフト)|~| |発売日|1995年11月22日|~| |定価|8,800円|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[EVEシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -マルチサイトシステムによるサスペンスAVG『EVEシリーズ』第1作。ストーリー重視のアダルトゲームの初期の作品であり、コマンド選択式AVGとしては後期の作品である。 -「泣き」の先駆け、剣乃ゆきひろ(管野ひろゆき氏の当時のペンネーム)氏の代表作の一つだが、剣乃作品にしては珍しく時空の概念が出てこない。 -本作の一部キャラは本作以前に発売された『悦楽の学園』というアダルトゲームにも登場している。製作は同じく剣乃氏。 --ただしこちらは単なるエロゲーで、そもそも本作自体がこの『悦楽の学園』の続編という形でスタートしたものである。出来上がったものは全く違ったものとなったようだ。 ---- **ストーリー //長文のまま文頭空白入れると、横スクロールさせないと全文が読めなくなるので、この書き方はできるだけやめて適度な改行(及び>の併用)で対応してほしい。 >港のはずれにある古びた倉庫。天城小次郎はそこで「あまぎ探偵事務所」を開いていた。~ だが事務所は開いたばかり、しかもライセンス停止中。さらに場所が倉庫街では、客が来るはずもなかった。~ もっともこんな状況になったのも、自ら決めた事だ。彼は元々、有名事務所に勤めていた敏腕探偵だった。それがある事件を解決したせいで、そこを辞職する事になる。~ そして新たに個人探偵事務所を開き、再出発したのだ。 > >顧客が全く来ない状態で厳しい生活を強いられていた小次郎に、知り合いのカメラマンの紹介で仕事が入る。それは紛失した絵画を探して欲しいという内容だった。~ 小次郎に選択の余地などある訳もなく、その仕事を引き受ける。そして依頼者の下に向うのだった > >オフィス街の一角にある、なんの変哲もないビル。だがそこにはとある公的機関が入っていた。~ 内閣情報調査室。そこに鷹揚な態度の女性が入ってくる。法条まりな1級捜査官。スーパーエージェントと称される捜査官だ。彼女はアメリカから帰国したばかりだった。 本部長と呼んでいる上司とは、お互い気の知れた仲。着飾らない会話の終わりに、さっそく次の任務が告げられる。~ それは海外の要人護衛。対象はエルディア共和国という大使の娘。中東にあるその国は、政情不安テロが頻発してるとの事だった。~ その影響は遠く離れた日本にもあるようで、大使自らが外交筋に手を回し護衛任務を手配したのだ。護衛方法としては、大使の娘の専任講師という形を取る。~ ただ何故かその任務の経過報告は、口頭のみになっていた。引っかかりはあるものの、気を引き締めさっそく任務に向うまりなだった。 ---- **特徴 -マルチサイトシステム --今では『[[街]]』等で有名ないわゆるザッピングシステムであり、本作では「天城小次郎」と「法条まりな」の二人の主人公の視点からストーリーを進めていく。 --どちらのストーリーをどのタイミングでやるかは自由だが、他方のシナリオが十分進んでない状態だと途中でシナリオが進まなくなる。 --元々は剣乃氏が以前に手掛けた『[[DESIRE 背徳の螺旋]]』のシステムであり、本作はそれを発展させた形になる。 -基本システムは当時のADVではオーソドックスなコマンド選択式。「話す」「移動」などのコマンドを選んでフラグを立てる事でストーリーを進行させていく。 --基本コマンド以外にも場所とシチュエーションによって様々なコマンドが出現する。単なるお遊びのコマンドも多数。 ---- **評価点 -シナリオの評価が高い。 --双方の視点の要素が少しづつ絡み合いながら、二転三転するストーリー。そして剣乃氏ならではの、深い余韻を残す意外な結末。本作の評価を高めている大きな要素である。 -キャラクターも非常に癖の強い人物が多数登場している。 --作られた時代もあって90年代の雰囲気はするものの、出てくるキャラクターは今でも皆魅力的。このシリーズが長く続く事になったのも、彼等の存在が多分にある。 -マルチサイトシステムがシナリオに上手く活かされている。 --同じ舞台にありながら絵画捜索と要人護衛という全く関係ないように思われる二つのシナリオだが、少しずつ絡み合い最終的に一つのシナリオに収束する様が秀逸。 ---同じ人間でも別の人間の前では見せる顔が違うという事が上手く描写されている。 ---主人公同士も途中で何度か遭遇し、お互いの何気ない動作が油断のならない行動として見られたりと、主人公の魅力を底上げしている。 -梅本竜氏のBGM全般も評価が高い。 --日付変更の際の「デイリー・オープニング」等、強く印象に残る曲も多い。 -中東文化を取り入れている。 --登場人物が中東の関係者が多く、物語から中東の世界観を知ることができる。 --様々な理由で中東関係がタブー化されている現在だと、非常に斬新で新鮮味がある。 ---- **賛否両論点 -豊富すぎるコマンド選択。 --ストーリーを進めるのに必要なコマンド以外にも様々な行動が可能で、主人公に空気椅子をさせたり、話している相手の髭を引っ張れたりなどお遊び要素も満載。 ---これらお遊び要素自体は本作の評価点として挙げられる事も多い。 --反面、単純にシナリオを進めたい場合に必要なコマンドが分かりづらく、詰まった場合の総当り時には余計なコマンドが多すぎる事態に。 -元々が古いアダルトゲームであるため、下ネタ的軽口がよく出てくる。 --たとえシリアスな話であっても本筋以外の会話が下ネタまみれなのは当時のアダルトゲームではよくあることであったが、少々人を選ぶ要素と言わざるを得ない。 -アダルトゲームだがアダルト要素は少なく、メインシナリオにはあまり絡まない。 --とはいえ、一部はシナリオに必要な要素である為に、後にSS版へ移植された際には削った箇所が少々不自然になっている。 -アニメ的なキャラクター設定 --アダルティなシナリオでありながら、キャラクターがボクっ娘などのアニメ的な設定には少々違和感を覚える。 ---- **問題点 -シナリオを先へ進めづらい --フラグのコマンドが分かりづらいものがあり、詰まった際には総当りを強いられる。 ---同一コマンドを何度も選択しないとフラグが立たなかったり、あえて行く必要はなさそうな台詞が事前にあるのに、行くとそこがフラグだったりする等。 --ザッピングシステムのため、一方の話が十分進んでないと行き詰るのだが、行き詰ってるのか探索が不十分なのかが解り難い。 ---上記のフラグの分かりにくさと合わせ、これまた無駄なコマンド選択をしてしまう理由の一つ。 ---PS2版及びそれを元にしたPC版では「現状これ以上は進められない」事を知らせてくれるようになった。~ これのおかげで先へ進められない状況での無駄な探索をする必要がなくなり、この表示がない状態ではまだ探索不足の点がある事もわかるようになった。 -純粋な推理ものという点からは、今一歩な面も。 --特に最後の犯人当ては初回で当てることはほぼ不可能。推理させる割には説明を受けてもかなり納得の出来かねる話になってしまっている。 -一部描写が台詞のみ --口紅を買う場面等一枚絵も無ければ、立ち絵も使用されず黒背景で台詞のみの場面がある。想像するしか無いので少々残念。 #region(推理ものとしての難点(軽いネタバレあり)) それまでほとんど現実にある要素のみで話が進んでいたのに、真犯人のみはいきなりSF・オカルトの絡む話になる。~ シナリオとしての評価はともかく、推理ものとしてはかなりの超展開と言える。 #endregion ---- **総評 ザッピングシステムを生かし、一見無関係な二人の主人公達の話が少しずつ絡み合い、やがて一つへ収束し盛り上がる様は見事と言う他ない。~ さらになんともいえないラストの後のせつなさ漂う余韻。そしてそれらを魅力的なキャラクター達が、色濃いものへと高めていく。~ コマンド総当たりの作業感はあれど、そのストーリーは味わう価値が十分にある。 ---- ---- **余談 -本作はシリーズ化され、続編がコンシューマー展開されている。しかし、その時点で剣乃氏はシーズウェア(姫屋ソフト)を退社しており続編には関わっていない。 --元々続編の構想は無く、剣乃氏としても本作のエンディングで物語は完結したつもりだった。その為、後付設定や過去作ぶち壊しの展開も少なくなく、さらに作品毎に脚本家が変わり、シリーズものながらも作風の安定感が今一歩。評価もばらつきがあり、本作がシリーズ最高傑作との呼び声が高い。 -小次郎の目 --髪の毛で隠れて作中目が描写されない小次郎だが、実はPC98版の時点でパッケージ裏で片目が見えている。 -2017年1月に音楽家・高見龍氏へのインタビュー記事が[[掲載された>https://automaton-media.com/articles/interviewsjp/20170124-38850/]]。 -2017年に姫屋ソフトが[[破産>http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20170221_02.html]]しているが、El Diaブランドからリメイク等が発売されている。 --2019年4月25日には24年越しに『burst error』正統続編『[[EVE rebirth terror]]』が発売された。 ---- **移植版について 本作はシリーズでも特に人気の作品の為、PC98からSS、Winへ移植された後、かなりの間を空けてPS2、Winでリメイク版が発売され、PSPではリブート作品も作られた。~ 2016年にはPSVとWinでリマスター版が制作された。~ PSPの『[[バーストエラー イブ・ザ・ファースト]]』以外は、ハードや時代に合わせたテキストの修正やキャラデザの変更程度なので、ここでまとめて紹介する。~ #region(移植一覧) ''EVE burst error''(SS版:1997年1月24日)~ アダルト要素を排除し、声優によるボイスを追加した移植版。~ 新規ムービー等も追加されている。~ 一般のプレイヤーにEVEシリーズを知らしめた作品で、今でも根強い人気がある。~ 但し、小次郎編とまりな編でディスクが分かれている為、マルチサイトでキャラを入れ替える毎にディスクも入れ替えねばならず、他のプラットフォームに比べると手間が掛かる。~ 販売当時にかなりの数が出回った上に、現在ではSSのプレイ環境が少ない事もあって、SSソフトを扱う中古店なら現在でも投げ売りされている事がある。~ ''EVE burst error Windows95''(Win版:1997年5月30日)~ SS版を元にしたWindows移植版で、PCへの移植だがアダルト要素の追加等はされていない。~ 基本的にSS版そのままだが、シナリオ進行に合わせてディスクを入れ替える形にしたため、無駄な手間は減っている。DVD版ではディスク1枚になり交換不要となっている。~ 現在でもDMMでDL販売をしている為、パッケージでの入手に拘らなければ入手は容易。~ ''EVE burst error PLUS''(PS2版:2003年7月24日)~ 移植と言うよりはリメイク版。~ シナリオはSS版から変更されていないが、キャラクターデザインや画面のレイアウトを大胆に変更してあり、一部の声優も異なる((例えば、まりなの声優はオリジナルの岩男潤子氏から、『ZERO』以降のまりな役を務めている三石琴乃氏に変更されている。))。アニメムービーも一新されている。~ 特に大きな特徴は「C-motion」と言う演出の導入で、キャラの表情やポーズの変化がアニメーション付きで滑らかに行われるようになった。~ 一部キャラの服装や水着、戦闘服などが全体的に露出度を抑えたものに変更され、中には見た目すら別人のようになっているキャラもいる。~ この手の変更には付き物だが、キャラデザインには原作ファンからは否定的な意見が多かった。~ しかしグラフィックやアニメのクオリティ自体やシステム周りの快適さは向上しているため、単純に一つのソフトとして見た場合、良好なリメイクと言える。~ また、マルチサイトシステムに関しても「他方を進めないとこれ以上は進まない」タイミングを教えてくれるようになり、遊びやすさが向上している。ボタン一つで素早く切り替えが出来る点も大きい。~ 終盤にあった「犯人名の入力」がなくなっているが、これに関してはそもそも原作においてやや理不尽の点でもあった為、原作ファンからも結構納得されている。ないと寂しいという声もあるが。~ ''EVE''(Win版:2003年11月28日)~ PS2版の「PLUS」を元にアダルト要素等を加えた移植版。~ シナリオ的には原点のPC98版に一番近い。~ ただし18禁のシーン等が追加された都合で一部のキャラは別名義にて続投しているもののほぼ全ての声優が変更されている為、今までの声に慣れている人には違和感が強い。~ (一部、コンシューマ版より演技力で劣っているキャラもいるので、変更に納得した上での不満の声も。この問題は後の『[[new generation >EVE new generation]]』でも再発した)~ また、PC98版の『EVE burst error』と、後述の『悦楽の学園』が同梱されている。~ 大元となるPC98版を現環境で気軽に遊べる、という意味では貴重な作品。~ サブタイトルにも意味はあるゲームなので、それがなくなった事には違和感を覚えた原作ファンもいた。~ ''バーストエラー イブ・ザ・ファースト''(PSP版:2010年3月25日)~ 大筋は変わらないものの、シナリオやキャラクターデザイン、システムすらも根本から作り直したリメイク作品。~ 変えすぎて元々の良さを潰してしまっている為、非常に評判は悪い。~ 詳しくは[[こちら>バーストエラー イブ・ザ・ファースト]]を参照。~ ''EVE burst error R''(PSV/Win版:2016年4月28日)(Switch版:2018年10月25日)(PS4版:2019年4月25日)~ 非18禁。PC98、SS版の原画をリマスターしたもので、オリジナルに忠実な移植版である。~ 新規イベントCGも追加されている。~ 完全移植だけあって過去の移植、リメイク版のようにコスチュームが露出度の低い物に変更される事は無くなっている。~ 但し、CGはPC98、SS版準拠だが、音声はPS2版のものとなっている。~ Switch版はDL専売。PS4版は『[[EVE rebirth terror]]』のゲーム内に収録されている。 ''EVE burst error A''(Win版:2016年11月25日)~ 『R』の18禁版だが、『R』発売からすぐに発表されたため、売り方が疑問視されている。 #endregion ----

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