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*クロックタワー2 【くろっくたわーせかんど】 |ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000069SUP,image=https://lastfm.freetls.fastly.net/i/u/avatar170s/096ddaae5e384893b311c611e8efe941)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|ヒューマン|~| |発売日|1996年12月13日|~| |定価|5,800円(税抜)|~| |対応周辺機器|プレイステーションマウス|~| |廉価版|PlayStation the Best&br;1998年3月19日/2,800円|~| |配信|ゲームアーカイブス&br()2012年2月22日/600円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|2Dから3Dに進化したクロックタワー&br;3D化の影響でやや操作性が劣化&br;その他システム面は前作から向上|~| |>|>|CENTER:''クロックタワーシリーズ''&br;[[クロックタワー]] / ''2'' / [[ゴーストヘッド>クロックタワー ゴーストヘッド]] / [[3>クロックタワー3]]| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''生存確率1/10000の恐怖''} }} ~ ---- **概要 SFCで発売されたアドベンチャーゲーム『[[クロックタワー]]』の続編。~ ダリオ・アルジェント監督のサスペンスホラー映画『フェノミナ』と『サスペリア』を下敷きにしたゴシックホラー調の世界観がベースであった前作に対し、今作ではサイコホラーサスペンス調の世界観を取り入れ、平穏な日常が殺人鬼の出現によって一瞬にして非日常に変貌してしまう恐怖を描き出している。 ハードがPSに移った事でグラフィックとサウンド・演出面が強化され、前作からパワーアップした。 ---- **ストーリー >前作から1年後。 >バロウズ邸で発生した猟奇殺人事件は「クロックタワー事件」と呼び習わされ、~ 事件の生還者ジェニファーが証言する不死身の怪物はマスコミによって「シザーマン」と名づけられ、~ 恐怖のシンボルとして巷の若者達の間で取りざたされていた。 > >ジェニファーはオスロ大学の助教授ヘレンに引き取られて姉妹のように仲良く暮らし、徐々に落ち着きを取り戻しつつあった。~ 一方、ヘレンの恩師バートン教授は、彼女の証言する事件の犯人「シザーマン」を恐怖が生み出した妄想と決め付けつつも、~ 犯人像の割り出しに手間取り、真実を知る為として催眠治療によって彼女の記憶をムリヤリ引き出そうとし、~ そんなやり方にヘレンは反感と疑問を抱いていた。 > >そんなある日。 ジェニファーがバロウズ邸での戦いで葬り去ったはずのシザーマンが再び現れ、血と恐怖に塗れた非日常へと人々を引きずり込んでゆく……。 &br() ---- **ゲームシステム ''シナリオ'' -本作では、全3章(ジェニファー編とヘレン編で計6つ)のシナリオが存在し、インターミッションモードとシナリオ本編の2つから構成されている。 --インターミッションは、次のシナリオへ進む為にキャラクター同士で会話をしてフラグ立てをしていく。''日常と非日常の対比''がテーマとなっている本作における''日常''のシーンであり、全て日中の明るい時間帯で進みシザーマンは出現しない。 ---シナリオ開始前のプロローグではサブキャラのバートン教授を操作することになり、その時の行動によって以降の主人公が、ジェニファーかヘレンのいずれかに決定されるようになっている。 --時折現れる選択肢によってシナリオが分岐し、シナリオの流れに影響を及ぼす。場合によってはバッドエンド確定でやり直さなければならなくなることもある。 --フラグを立て終えるとシナリオ本編へ移行し、シザーマンの出現をもってゲーム本編が開始される(ヘレン編の第3章を除く)。 --エンディングはジェニファー編、ヘレン編双方で5種類ずつ、計10種類のマルチエンディング方式。 ---それぞれA~Eの5つ、全10種類。ランクD以外のエンディングにはムービーが用意されており、スタートメニューのエンディングリストからいつでも閲覧可能である。 ''キャラクターの操作及び調査方法'' -カーソルによる操作法は概ね前作をそのまま踏襲している。 --敵が出現しておらずBGMなしで無音の状態を''通常状態''と呼び、カーソルを合わせることでカーソルの形が変化するオブジェをクリックポイントと呼ぶ。通常状態中に画面内のクリックポイントをクリックすることで、調査・移動・アイテムの使用を行う。 --画面内をダブルクリックすると、キャラクターが走る。 --画面上部のシネスコ部分にカーソルを当てると、入手したアイテムがアイコンで表示される。これをクリックすると、アイテムのアイコンがカーソルの先についた状態になるので、アイテムを使う対象をそのままクリックすることでアイテムを使用する。アイテム欄に表示されず、特定の地点をクリックすることで自動的に使用されるアイテムも存在する。 //---ヘレン編の最終章ではとある人物から鍵のアイテムを受け取るが、このアイテムを使用してしまうとAランクのエンディングが見られなくなってしまうといったトラップアイテムもある。 //さすがに基本的な説明の欄で書くことじゃない。 ''シザーマンの出現と回避・撃退'' -逃走状態 --特定のクリックポイントをクリックする又は撃退後の時間経過による確率抽選((詳細な出現率は「撃退から2分経過後、1/30秒ごとに1/3600の確率」、こう書くと各抽選ごとに3599/3600の確率で何も起きないので、まず出てこないような気がするが1秒間に30回も抽選をやっているので2分1秒目には「シザーマンが再登場しない確率」は約99%(3599/3600の30乗=99.14%)、撃退から200秒付近で半々の確率で再登場することになる。))でシザーマンが出現し、BGMが鳴り響くと共に&bold(){逃走状態}に移行する。 ---この状態中はシザーマンの撃退及び回避に有効なオブジェにしかクリックポイントが発生しなくなり、完全に撃退・回避しないかぎり逃走状態は継続する。 //---ジェニファー編の最終章では逃走状態中に特定の場所に行き、どこかのクリックポイントをクリックすると今まで入れなかった部屋に入れるようになる。 ''パニック状態'' -シザーマンに追い詰められると、''パニック状態''に陥りカーソルが激しく点滅する。この状態の時にクリックボタンを規定回数以上連打することで、体力の減少と引き換えに、緊急回避して一時的に危機を脱するができる。(通称:RSI(連打せずにはいられない)システム) --ただし、ジェニファーとヘレンの場合、回避を成功させるためにはシザーマンと同じ高さで隣接する事が条件。これらを満たさなければ問答無用で殺されてしまう。 ---一例としてあげると、階段を下りた直後に階段から降りてきたシザーマンに接触してパニック状態になる等、段差がある場所でシザーマンが主人公よりも高い位置にいる場合が該当する。~ これは、この2人がシザーマンの攻撃に対して下方に回避行動をとるため((ジェニファーはハサミの突きをしゃがんで避けた後にシザーマンを両手で突き飛ばし、ヘレンは素早く座り込んでシザーマンの腹に蹴りを入れる))。男性陣はハサミを受け止めて動きを封じた後に殴り飛ばして回避するため、条件を満たす必要がない。 --シザーマンの襲撃を一時回避すると、通路であれば自動で一番近い部屋に逃げ込み、室内であれば部屋の外へ出る。 ''回避ポイント''~ -回避ポイントは特定の場所に隠れてやり過ごす形となるが、本作では回避ポイントと見せかけた罠や特殊な手順を踏まなければ回避できない罠が多く設けられており、一筋縄では行かなくなっている。 --「隠れても回避の成功がランダムで決まる」「強制的にゲームオーバーになるダミーの回避ポイントの存在」~ 「パニック状態中に画面内の特定のオブジェをクリックしないと完全に回避できないポイント・イベントの存在」~ 「何度でもクリックできるが回避できるのは1回目のみ(以降は必ず失敗)」など、ランダム性が強められている。 ''撃退ポイント''~ -身の回りにある物品を駆使してシザーマンを撃退する。基本的には使い切りで再利用はできない。~ これについても以下の仕様によってランダム性が強められている。 --「ポイントによっては撃退に失敗し逃走継続となる」「同じオブジェクトでも撃退もしくは回避ポイントのいずれかにランダム変化する」~ 「シザーマンが特定の方向から入室してきた場合にしか使えないポイントがある」「シナリオ開始時にランダム配置される(=配置されない場合もある)」等。 ---ポイントによってはRSIシステムが発動する場合があり、ボタン連打に失敗するとシザーマンに返り討ちにされてゲームオーバーになる。 ''体力'' -今作では体力は3段階となっている。 --前作にあった「疲労」の概念は廃止されており、体力の減少条件はある例外を除いてパニック状態回避のみ。減少した体力は通常状態時にのみ、時間経過で回復する。 --体力はカーソルの色で表わされ、白が最大で赤が最低。カーソルが赤の時にパニック状態になると死亡が確定し、タイトル画面に戻る。 ---メニューからコンティニューを選択すると、体力が一段階分だけ回復し殺された地点に入室した直後の状態から再スタートとなる。 ''追跡のリアルタイム化'' --本作ではシザーマンがリアルタイムで追ってくるようになっており、前作に存在した『シザーマンが侵入してこない安全地帯』も極一部を除いてなくなった。このため前作で使えた「扉に出入りして仕切り直し」のテクニックが不可能になり、じっとしているとすぐ追い詰められてしまう。 ---ただし、部屋に入室した地点の扉の前から一歩も動かなかったり、クリックポイントに向かって移動している間はシザーマンは侵入してこないため、焦って動き回るよりは落ち着いて行動すれば対処はしやすい。 ''セーブ機能の仕様変更'' -前作のオートセーブに代わり、メニュー画面から任意でセーブ可能で、プレイ途中で任意のデータから再開することも可能になった。 --データも最大で3つまで保存できる為、バッドエンド後の再挑戦の手間を省けるようになった他、トラップが仕掛けられていそうな個所を調べる際の保険などにも使える。 --逃走状態中でもセーブが可能で、ロードするとセーブした地点の入り口から通常状態で再開となる。 ---- **メインキャラクター 物語に関わる重要キャラクターを記す。 #region - &bold(){ジェニファー・シンプソン ―Jennifer Simpson―} --バロウズ邸で発生した猟奇殺人事件『クロックタワー事件』の生還者。前作に引き続く本作の主人公。~ 事件後、事件の調査を担当したオスロ大学の犯罪心理学助教授ヘレンに引き取られ、バートン教授の催眠治療を受けている。~ 育ちゆえか、可憐で儚げな容姿とは裏腹に精神的にはタフで逆境に強い。 --前作から1年後ということもあり、服装や雰囲気も大人びており、取材を称して近づいてきたノランを軽くあしらったりと、年相応のコケティッシュな一面も見せ始めている。 -&bold(){ヘレン・マクスウェル ― Hellen Maxwell―} --サミュエル・バートン研究室所属の犯罪心理学助教授。30歳。本作のもう1人の主人公。凛とした雰囲気を持つ知的美人。~ ゼミ参加がきっかけで才能を認められ研究室に入ったが、最近ではバートンのやり方を疑問視し彼と対立している。 --事件後に重要参考人として保護されたジェニファーを引き取って大学の寮で共に暮らしており、姉妹のように仲がいい。~ 再び姿を現したシザーマンから自らの身とジェニファーを守るため、シザーマンを倒すための方法を探ることに尽力する。 -&bold(){ノラン・キャンベル ― Noran Cambell―} --オスロウィーク新聞社の三流イエローペーパー記者。26歳。 --クロックタワー事件に強い関心を持ち、ジェニファーに近付いたことで事件に巻き込まれてしまう。~ 一見、軟派で軽率だが、記者としての洞察力と取材力は優れており、ジェニファーの証言する不死身の怪物シザーマンの存在を信じて一行を積極的にサポートする。 -&bold(){スターン・ゴッツ ― Stan Gotts―} --クロックタワー事件担当の警部補。42歳。事件発生時、担当警部が入院中だったため捜査を担当することになった。 --経験至上主義者で超常現象などは一切信じない頑固者だが、そんな彼もまた、否応なしにシザーマンのもたらす死の恐怖に引きずり込まれていくことになる。 --ジェニファーにはいつも警部と間違えられており、その都度、律義に訂正するのがお約束である。 -&bold(){サミュエル・バートン ― ProfessorBurton―} --南オスロ大学犯罪心理学教授。クロックタワー事件を引き起こした犯人に興味を持ちプロファイリングを行う。52歳。ジェニファーとエドワードの治療も受け持っている --“不死身の怪物シザーマン”の存在を冷徹に否定する一方、一連の事件を「面白い」と言い放つエキセントリックな一面も。ヘレン編において物語の核となる。 -&bold(){エドワード ― Edward ―} --クロックタワー事件の現場から救出されたもう一人の生存者。見る者を卑下させる高貴な雰囲気と雪のような素肌を持つ、金髪碧眼の美少年。推定10歳。 --発見時、事件を含む全ての記憶を失っており、身元不明のままグラニット孤児院に引き取られた。「エドワード」はグラニッド孤児院の教師で彼の後見人となったケイが与えた仮の名前。~ ジェニファーとともにバートンの治療を受けており、彼女をお姉ちゃんと呼んで慕っている。 #endregion この他、物語に直接関わらないNPCも含め多数のキャラクターが登場。その生死はプレイヤーの手に委ねられている……。 **評価点 -3D化により、立体化されたキャラクターとカメラワークが映画的臨場感を盛り上げている。 --キャラクターの動きにモーションキャプチャーが取り入れられ、リアルな動きを追求している。 -数々の既存のホラー映画のモチーフを取り入れた作風 --本作ではホラー映画全般からキャラクターのモチーフやイメージを取り込んでおり、ホラー映画ファンをにやりとさせてくれる。 -シザーマンの出現により、平穏な日常が殺人鬼の出現によって一瞬にして非日常に変貌してしまう恐怖と、無骨なポリゴングラフィックが醸し出す独特なホラー映画的空気感が、前作とは一味違った雰囲気を演出している。 //文面としてはほとんど前作でも書ける内容で、雰囲気の部分も具体性に欠けた評価のためCO //前作の舞台は時計塔が付いた大きな屋敷という最初から非日常的な場所であり、主人公のジェニファーにとっても初めて訪れた場所だから見慣れた場所ではないので「前作でも書ける内容」というのは間違ってると思うのでCO解除 -主人公が2人になった事で、同じステージでもストーリー展開と謎解きの手順が異なる「二度美味しい」作品となった。 --それぞれのシナリオでサブキャラクターを操作する機会もあるので、プロローグを含めれば操作キャラは全5人である。 ---ただし、ジェニファー編の第2章で発生する分岐では、片方のシナリオでヘレンを操作することになるため、総合的にはヘレンを操作する機会が多い。 --ジェニファーとヘレンではストーリーは勿論、オブジェクトへのコメントやキャラとのやり取りも異なり、それぞれの性格や立場の違いがよく表れている。 ---ジェニファーは明かりに蝋燭を使ったり、短剣がキーアイテムになったりと前作のようなゴシック調の演出やアナクロな仕掛けが多い一方、ヘレンは懐中電灯や拳銃と言った文明の利器を活用するなど、謎解きにもそれぞれ違ったイメージが与えられている。 ---他にもジェニファーとヘレンでマップ内のカメラアングルや微妙な演出が異なっていることが多いので、探索する同じ部屋でも異なった印象を感じやすい。 -シザーマンのビジュアル的恐怖感のアップ --本作のシザーマンは、コートを着込んで更に巨大で無骨なハサミを構え、片足を引きずりながら鋭い開閉音を鳴らして無言で殺しに掛かって来る。3D描写により様々なアングルから描写される臨場感も相まって、より恐怖感が増した。 --前作のシザーマンのハサミは植木バサミのようなデザインだったが、本作では「刃から柄までが鉄製で大きく湾曲した二枚刃を持つ巨大なハサミ」という、見た目だけで人を簡単にちょん切ってしまえるなと思わされるデザインとなっている。~ ハサミの開閉音も「シャキーン!!」というリアルな金属音となっており、シザーマンの接近に伴って遠くから徐々に音が大きくなってくる様子が恐怖感をより煽ってくる。 --神出鬼没ぶりは前作譲りで、登場時の恐怖を煽る演出にも一段と磨きがかかっている。現在のリアルなグラフィックのホラーに慣れている人でも、それらとは違った恐怖体験ができるだろう。 ---クリックポイントのトラップで出現する際の登場の仕方も前作に負けじと劣らぬ奇抜かつ大胆なものが多く、時には思わず笑ってしまいそうな方法で現れることも。 -前作に比べ、死亡描写はかなり直接的でグロいものが多く、プレイヤーの恐怖感をさらに盛り上げる。 --前作ではハードやグラフィック表現の都合でシザーマン回避失敗時の死亡表現はぼかした演出になっていたが、今作ではハサミで串刺しにされるシーンが克明に映し出される。((シナリオ序盤に存在する特定のゲームオーバー演出では、恐怖のあまり身がすくんで動けなくなりへたりこんだ所で首を切断されるという非常に恐ろしい演出が発生する。)) --犠牲者のいずれも殺人鬼ホラーものらしく前作以上にショッキングな方法で殺害され、プレイヤーを戦慄させる。 ---それに対する主人公の反応も、悲鳴を上げる、口に手を当てて後ずさる、''嘔吐する''など、非常にリアルになっている。 -シザーマン出現イベントを始め、舞台となるダンジョンはどこも恐怖演出がてんこ盛り。クリア後の再プレイで初めて引っかかって脅かされる事も珍しくない。 --クリックポイントを調べるだけでなく、部屋への入室直後や時間経過によるランダム、さらには特定ルートを通行するだけでも発生する場合もあるのでいつ何が起こるか分からない緊張感はまさに恐怖。 --第1章は手順を知っていればすぐにクリアできる((特にジェニファー編はクリアはおろかランクAを目指す上でも1階だけで必要なアイテムは全て揃う。))が、建物内はさっさと脱出してしまうのは勿体無いほどの恐怖演出が随所に用意されている。時には早く逃げ出したい気を抑えて、敢えて恐怖に身を震わせてみてはいかが…? -相変わらず無音とBGMの対比による恐怖感も健在。 --シザーマン登場時のBGMはサイコサスペンス調にふさわしく、より喧騒感と緊迫感あふれるものになっている。~ 逃走BGMも複数存在し、「突然出現して襲ってきた=緊迫感と焦燥感を煽る曲調」「徐々に忍び寄ってくる=緊迫感を焦燥を煽りつつ不穏で不気味な雰囲気を帯びた曲調」といった具合にシザーマンの出現の仕方によって明確に区別されている((さらに第二章のリック邸ではマイナーチェンジ版が存在し、BGMの中に不気味な声まで混じっている。))。 ---前作と違って時間経過でもシザーマンは出現するため、探索している最中に徐々にBGMがフェードインしてくる様は正に冷や汗ものである。 --最終章で登場人物が殺害されている部屋では恐怖感を煽るBGMが流れ、プレイヤーにより強烈なショックと恐怖を与えてくれる。 --シザーマンが部屋に入ってくるまでは遠くで小さくハサミの音が鳴り響き、シザーマンが接近するにつれて徐々にハサミの音が大きくなってくるという演出で、迫りくる死の恐怖を煽ってくる。 -犯人探しの要素 --前作同様、殺人犯から逃げるというゲーム性がメインになるが、シザーマンの正体にまつわる伏線もさりげなくちりばめられており、注意深く見ていくとそれとなく正体を察することができるようになっている。 -最終章は前作に劣らず即死トラップの宝庫であり、気を抜けばすぐに「DEAD END」の文字が画面に表示される事必至である。 --更に最終章の登場人物の生死はプレイヤー次第。各キャラに生存条件((制限時間内に再会できたか否か、もしくは一部のキャラのみに設定された固有の条件を満たす。))が設定されており、条件を満たした上で再会できないと死亡してしまう。何も考えないでグダグダなプレイをしていれば、気がついた時には死体だらけなんて事はザラ。しかも殺害方法はどれも例によってエグい。中には死体を調べたら「俺がやった」と言わんばかりにシザーマンが出現するケースも。 ---最高ランクのエンディングを迎えると最後に生存者数が表示される((最高ランク以外のエンディングに到達した場合の生存者数は「UNIDENTIFIED(未確認)」となる。))。果たして何人生き残れるか…? --ちなみにネット上では「逃走状態で生存者のいる部屋に入ると(条件を満たしていても)死亡扱いになる」と書かれる事もあるが、逃走状態か否かは全く関係しない ---恐らく、ジェニファー編最終章の再序盤に生死が分かれるとあるキャラの生存条件から生じた誤解と思われる ((当該キャラの生存条件は「特定のアイテムを所持した状態で再会すること」。逃走状態からシナリオが始まるため再会場所のすぐ側の部屋でいったん撃退してからアイテムを入手する必要があり、それをせずに直接進むとキャラが死亡してしまう。状況が状況だけに撃退場所を見落とし易いため、結果として「逃走状態で死亡」という勘違いが生じた可能性が高い。)) //((再会までにあるアイテムを入手したか否かというものだが、ジェニファー編最終章は逃走状態から始まる関係上、そのアイテムを取るにはすぐ側の部屋でシザーマンを一旦撃退しなければならない。それをせずに追われたまま先に進むとアイテムが無いので当該キャラが死亡してしまう。これを「逃走状態で部屋に入ったから」と勘違いした可能性が高い。))。 //((実は制限時間内にキャラクターのいる部屋へ入った場合でも、逃走状態中だと問答無用で死亡扱いとなる。)) //↑確認してみた所、逃走状態での入室による生存は無関係。ゴッツが死亡する条件とを勘違いした? -ヒント機能が追加された --ノーヒントが前提であった前作に比べ、少し親切になった。計10個。 ---ただし、特定の場所をクリックしないと見つからない。全部見つけるにはジェニファー編、ヘレン編双方のシナリオ内でよく調べる必要がある。 -クリア後のおまけも用意されている。 --操作キャラ全員とシザーマンに隠しコスチュームが用意されている。 ---コスチュームと言っても色違いのキャラが多いが、ジェニファーは''ウエイトレス服''に''セーラー服''と実に優遇されている。コスチュームチェンジをするとシザーマンのコートも黒くなるので、何となく怪しい組み合わせに。 //海外wikiによるとウエイトレス服という事で良いらしい。 ---ゴッツ警部%%「警部補だ」%%もコスチュームには漢字の当て字が書いてある等ネタには事欠かない。 --更にエンディングコンプリート後のおまけはシュール過ぎてホラーを喜劇に変えてしまうだろう。 --その他、コンセプトアートの閲覧やBGMの視聴、字幕の表示方法を変更できる隠しオプションも選択可能。 ---- **賛否両論点 -セーブ・ロードの自由度の増加 --ゲーム自体が繰り返しプレイ前提の作りになっているので純粋に利便性が増した一方、緊張感が削がれるという意見もあるにはある。 --逃走状態でもセーブが可能なのでこう言った意見が出るのもやむなしか。 -本作のポリゴンは同時期のPSソフトと比較しても高品質とは言い難い --ローポリゆえの怖さがあるという意見もあれば、粗すぎて怖くないという意見もあったりと、受け止め方はプレイヤーによる。 //-最終章の舞台は廃墟となった古城だが、それまでの舞台に比べて内部が明るくなっている((後述の小説版では、「城は実は無人ではなく、バロウズ家がイギリスからノルウェーに移住した際、一族の一部が城を守るために残留し、燭台に火が灯されている」という補完描写が存在する。))。また、中庭やテラスなどで屋外に出る事もあるが、こちらも明るい。 //--描写上は城に侵入した時間帯が日中なので明るいこと自体はおかしいことではないが、それまでの舞台が「夜間に明かりの消えた暗い建物内」で非常に怖い雰囲気が出ていた点もあり、「不気味さがやや弱い」という意見がある。 //--ただし、城内の一部では暗闇に包まれて主人公の周りしか視界が見えないエリアがある他、教会内は前シナリオ同様の薄暗さであるため、これらのエリアの探索の不気味さはとても強い。また、明るいエリアでも「雰囲気で十分怖い」という意見もある。 //意見としてはあまり聞かないと思う。 ---- **問題点 -操作性があまり良くない --キャラクターの動きに合わせてカメラが移動するため、移動してきた場所が少々把握しづらい。 --ダッシュ中にクリックボタンを押すと立ち止まってしまうためスムーズに動かしにくい。 //---この反省を生かし、次回作『ゴーストヘッド』ではカーソルを少しずつ滑らせつつ連続でクリックすることでスムーズな移動が可能になっている。 //続編については記事があるのでそっちで。 --ドアをダブルクリックしてダッシュで到達させる場合、ドアの前で変なポーズのままぐるぐる一回転してからやっとストップ→ドアを開けて移動、という感じになりがちでテンポが悪い。 -ゲーム内での描写不足が目立つ --バロウズ家の闇の歴史、悪魔の子供の出生の秘密など、ゲーム内で掲示されるストーリー要素は多いのだが、描写が断片的で漠然とし過ぎておりクリアしても全容が理解し難い。((特に、最終的に判明する真犯人及びその真の正体は前作で登場したとあるキャラクターなのだが、前作のエンディングからどういう経緯を得て本作で犯人として暗躍することになったのかについては一切語られない。この点に関しては本作の発売後にリリースされた前作のPS版の追加シーンで補完されてはいるが。)) --前作でも真相や細部の詳細についてはほとんど明確に描かれなかったものの、想像の余地として受け取れる範囲ではあったが、本作では世界観や設定面で前作以上の広がりを見せているため、ゲーム中の描写だけで想像で補うにも限度がある。~ 結局のところ、詳しいストーリーや設定周りを補完したければメディアミックスで発売された小説版の一読が必須。((ゲーム中では明らかにされなかった、ジェニファーとバロウズ家の関係やヘレンの幼少時代のトラウマ、ノランが積極的に事件を追っていた理由など、より深く掘り下げられている。)) ---この点に関して製作者の河野氏はゲーム内で明かされなかった設定に関して「あえて語らなかった」と上述の小説版にコメントを寄せて(明確な理由については述べていない)いるためそれ自体が作風の一環ともとれるが、消化不良感は否めないだろう。 -シナリオ終盤になるとだれやすい。 --全3章のシナリオの内、1章、2章は比較的内容が短く手順さえ覚えてしまえば短時間で終了させられるが、最終章のシナリオはそれまでと比べてやるべきことが一気に増え、前作同様に謎解きの手順と各エンディングに至るまでの経緯が複雑化していくので詰まりやすい。~ そのため、何度も現れるシザーマンに対し、恐怖よりもうっとうしさの方が感じられやすくなってしまう。追跡のリアルタイム化や3D化による演出の強化も余計に面倒な感を助長している。 ---また、各シナリオには何度でも確実に回避できるポイントが最低一つは存在しており、そのポイントに気付くと安牌となってしまい、緊張感や恐怖感も薄れやすくなってしまう。手順が複雑化する最終章ではその傾向が一層強い。 -スタッフロールは全エンディングで流れるのだが、これがスキップ不可。いちいち最後まで見なくてはならない。 --10種類もエンディングが用意されているだけに、周回プレイに多少のわずらわしさが生じている。 --スタッフロールも長めな上に全てのエンディングで共通であり、内容の良し悪しで変わったりはしないので少々単調。 //--こちらも次回作『ゴーストヘッド』では反省点と見做されたのか、スキップ可能且つ、ベストエンディングではスタッフロールが変化すると言った改善が成されている。 //記事があるのでそっちで。 //-マップが俯瞰視点の箱庭的表現であるため、全体的にせせこましさが感じられる。 //--特に、最終章のバロウズ城は、設定上はそれなりに広大な城なのだが、キャラクターのスケールに対して内部がかなり狭く、窮屈な感じがある。 //本質的な問題とは言い難いのでCO -評価点で少し触れたが、2章はリック邸編と図書館編の二つの舞台が用意されているが、図書館はどちらの主人公でも内容が全く同じ。 --邸宅はジェニファー編とヘレン編で操作キャラも謎解きも変化する一方、図書館の方はジェニファー編でもヘレンを操作する事になり、謎解きも脱出の手順も一切変化が無い。 --シナリオ的には再び現れたシザーマンへの対処法を模索する時期であり、ジェニファー編の場合は「1章でシザーマンに襲われたジェニファーは自宅に警護を付けてもらって待機。その間にヘレンは図書館に調査に行くものの、今度は自身がシザーマンに襲われる」という展開である。 --対してヘレン編では「1章で襲われたヘレン本人が自ら図書館に行き、また襲われる」という展開となり、結果としてヘレンばかりがシザーマンの標的にされる格好となる((ノベライズ版のヘレン編でもこの点は踏襲されており、シザーマンの襲撃後も警官の護衛を気にしつつ情報収集のために図書館へ赴くという展開になっている。ちなみにジェニファー編ではジェニファー自身が周囲の目を掻い潜ってこっそり図書館へ調べものに行くという展開になっている。))。 ---裏を返せばそれだけ出番が多いということでもあるが、肝心の内容が全く同じというのでは面白みにかける。 -ベストエンディングの到達条件に付いて(攻略情報に関するネタバレなので隠し) #region -ジェニファー、ヘレン編双方において、AランクED取得の為に必須のアイテムが最終章以前のシナリオに存在している。~ その為、事前情報を知らないと見逃してしまい易く、アイテムの存在を知らないまま詰んでしまうことになり得る。 ---しかもジェニファー編はフラグの関係で、そのアイテムが無いとAランクどころか''BもCも迎えられず、Dランク直行になってしまう''。ヘレン編でも正確には''B以上は迎えられない''のでC以下で確定する。 -また、ヘレン編ではシナリオ最終章である人物から鍵を受け取る(死亡した場合は入手できない)のだが、&bold(){それを当該場所で使用してしまうとAランクを迎えられなくなる}という罠が存在する。 -これらのことはゲーム中で入手できるヒントに記載されているが、前述の通りヒントはなかなか見つけにくいので人によっては気付くのに時間が掛かってしまう。 #endregion ---- **総評 独特な洋画ホラー的な空気感と雰囲気は前作からそのまま引き継がれており、3D化を取り入れることで前作の持ち味であった映画的演出がうまく活かされている。~ OPムービーで「''恐怖がおもしろい''」と表される通り、独特の敵モンスター「シザーマン」が持つインパクト、徹底したビジュアルデザイン、「喧騒と静寂」をコンセプトにしたサウンド、またホラー映画や実在の猟奇殺人犯のパロディ要素が多くのホラーファンに受け入れられ、ホラーゲームの代表作品の一つとなった。~ ホラーゲームファンはもちろん、ホラー映画が好きな人にもぜひおススメしておきたい1作である。 ---- **余談 -本作のPVは映画評論家で有名であった淀川長治氏が内容解説してくれるという非常に手が込んだ物であった。スタッフの本作に対する拘りが感じられる。 -テレビCMは海外ホラー映画の予告編を意識したドラマチックなもの。映像中には本編未使用と思われる大聖堂のような建物のグラフィックが移っている。 --また、ナレーションが英語・日本語の2バージョンが存在する。 -ナンバリングの読みは公式には「ツー」ではなく「セカンド」だが、OPムービーのラストでは「ツー」と読み上げており、少々紛らわしい。 -ジェニファーのモデルがオマージュ元である映画『フェノミナ』の主演女優で、名前も同じジェニファー・コネリーなのは有名だが、本作のヘレンは『X-ファイル』のスカリー役で有名な女優ジリアン・アンダーソンをモデルにしているらしい。 --当初は『エイリアン』シリーズで知られるシガニー・ウィーバーをモデルにするつもりだったが、「もっと美人にしたい」という事から変更したという話もあり、恐らく最初はもっと年齢が上の設定だったのだろう。 -説明書には河野一二三氏を始めとするスタッフのコメントが記載されている。 --生存確率1/10000を謳うだけあり、河野氏曰くこのゲームで一度も殺されずにクリア出来たら「''[[ジェイソン>Friday the 13th: The Game]]に襲われても生き残れる自信を持ってもいい''」との事。 --また、ランクの高いエンディングが(この作品にとって)最良とは限らず、特にベストエンドであるAランクエンドは明らかなご都合主義的展開という事で、''ハリウッドバージョン''と命名されていたとか。 ---なのでAランクが気に入らなかった人は自分にとっての最良のエンディングを見つけて欲しいとの事である。ただ、ジェニファー達の為に一度はハッピーエンドを見てあげて欲しいとも述べている。 --ちなみにこの点はゲームブック風のスタイルでマルチエンディングを取り入れた公式ノベライズ版でも踏襲されており、「最悪な結末ほど最高な結末」という位置づけで描かれている。 -本作はジェニファー編とヘレン編でストーリー展開が異なる点について、海外フォーラムでどちらが正史なのかという質問に河野氏が回答している([[リンク>https://www.reddit.com/r/IAmA/comments/2upnph/iama_hifumi_kono_founder_of_game_studio_nude/]])。 --氏によると、正史はジェニファー編だが、バートン教授関連について理解するためにヘレン編も重要であるとの事で、一つの大きな事件を複数の側面から見るようなものとも語っている。 -海外版は初代が未発売で『2』が「CLOCK TOWER」名義で発売されている。 --更に日本を舞台にした『[[ゴーストヘッド>クロックタワー ゴーストヘッド]]』が向こうでは『II』として発売されたため、ナンバリングが微妙にややこしいことになっている(『[[3>クロックタワー3]]』はどちらも共通)。 -初代から20年近く経った2014年シリーズの産みの親の河野氏により、本人曰く「''クロックタワーの魂を受け継ぐ新作ホラーゲーム''」の制作プロジェクトの立ち上げが発表され、2016年に精神的続編『[[NightCry]]』(PC版)が発売された。 --PC版発売以降は音沙汰が無かったが、3年後の2019年には当初予定されていたPS Vita版も配信開始された。 -レトロゲーム専門サントラレーベル「クラリスディスク」より、シリーズ初期3作品のサウンドトラックが発売された。 ---- **メディア展開 -ラジオドラマ版 --ラジオ番組「子安・氷上のゲムドラナイト」でラジオドラマがオンエアされた。リスナーの投票で放送されるシナリオが決まるというもので、同作品を収録したドラマCDには未放送分も完全収録されている。キャストも西村ちなみ氏や鶴ひろみ氏、真殿光昭氏に大塚明夫氏、佐藤正治氏と結構豪華な顔ぶれが並ぶ。 --シナリオの展開や結末、登場人物や細部の設定など、下記の小説版との相違点が多い。 -小説家の牧野修氏が手がけたノベライズ版が、『クロックタワー2 アドベンチャーノベル』のタイトルで『ジェニファー編』と『ヘレン編』の2作発売された。 --選択肢によって展開が分岐する方式でゲームの雰囲気を再現する試みがなされている。本編では語られなかった多くの設定が明らかにされており本編の補完を兼ねた作品となっている。 --上述した通り本作の世界観を深く理解するには必読と言っても良い書籍だが、現在はプレミア化している。 -2008年に映画化の告知がされ、ポスター等も作られたが未だに音沙汰が無い。恐らくは凍結されてしまったものと思われる。 ---- //くろっくたわーつー くろっくたわーせかんど //↑検索用につき消さないでください。
*クロックタワー2 【くろっくたわーせかんど】 |ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000069SUP,image=https://lastfm.freetls.fastly.net/i/u/avatar170s/096ddaae5e384893b311c611e8efe941)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|ヒューマン|~| |発売日|1996年12月13日|~| |定価|5,800円(税抜)|~| |対応周辺機器|プレイステーションマウス|~| |廉価版|PlayStation the Best&br;1998年3月19日/2,800円|~| |配信|ゲームアーカイブス&br()2012年2月22日/600円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|2Dから3Dに進化したクロックタワー&br;3D化の影響でやや操作性が劣化&br;その他システム面は前作から向上|~| |>|>|CENTER:''クロックタワーシリーズ''&br;[[クロックタワー]] / ''2'' / [[ゴーストヘッド>クロックタワー ゴーストヘッド]] / [[3>クロックタワー3]]| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''生存確率1/10000の恐怖''} }} ~ ---- **概要 SFCで発売されたアドベンチャーゲーム『[[クロックタワー]]』の続編。~ ダリオ・アルジェント監督のサスペンスホラー映画『フェノミナ』と『サスペリア』を下敷きにしたゴシックホラー調の世界観がベースであった前作に対し、今作ではサイコホラーサスペンス調の世界観を取り入れ、平穏な日常が殺人鬼の出現によって一瞬にして非日常に変貌してしまう恐怖を描き出している。 ハードがPSに移った事でグラフィックとサウンド・演出面が強化され、前作からパワーアップした。 ---- **ストーリー >前作から1年後。 >バロウズ邸で発生した猟奇殺人事件は「クロックタワー事件」と呼び習わされ、~ 事件の生還者ジェニファーが証言する不死身の怪物はマスコミによって「シザーマン」と名づけられ、~ 恐怖のシンボルとして巷の若者達の間で取りざたされていた。 > >ジェニファーはオスロ大学の助教授ヘレンに引き取られて姉妹のように仲良く暮らし、徐々に落ち着きを取り戻しつつあった。~ 一方、ヘレンの恩師バートン教授は、彼女の証言する事件の犯人「シザーマン」を恐怖が生み出した妄想と決め付けつつも、~ 犯人像の割り出しに手間取り、真実を知る為として催眠治療によって彼女の記憶をムリヤリ引き出そうとし、~ そんなやり方にヘレンは反感と疑問を抱いていた。 > >そんなある日。 ジェニファーがバロウズ邸での戦いで葬り去ったはずのシザーマンが再び現れ、血と恐怖に塗れた非日常へと人々を引きずり込んでゆく……。 &br() ---- **ゲームシステム ''シナリオ'' -本作では、全3章(ジェニファー編とヘレン編で計6つ)のシナリオが存在し、インターミッションモードとシナリオ本編の2つから構成されている。 --インターミッションは、次のシナリオへ進む為にキャラクター同士で会話をしてフラグ立てをしていく。''日常と非日常の対比''がテーマとなっている本作における''日常''のシーンであり、全て日中の明るい時間帯で進みシザーマンは出現しない。 ---シナリオ開始前のプロローグではサブキャラのバートン教授を操作することになり、その時の行動によって以降の主人公が、ジェニファーかヘレンのいずれかに決定されるようになっている。 --時折現れる選択肢によってシナリオが分岐し、シナリオの流れに影響を及ぼす。場合によってはバッドエンド確定でやり直さなければならなくなることもある。 --フラグを立て終えるとシナリオ本編へ移行し、シザーマンの出現をもってゲーム本編が開始される(ヘレン編の第3章を除く)。 --エンディングはジェニファー編、ヘレン編双方で5種類ずつ、計10種類のマルチエンディング方式。 ---それぞれA~Eの5つ、全10種類。ランクD以外のエンディングにはムービーが用意されており、スタートメニューのエンディングリストからいつでも閲覧可能である。 ''キャラクターの操作及び調査方法'' -カーソルによる操作法は概ね前作をそのまま踏襲している。 --敵が出現しておらずBGMなしで無音の状態を''通常状態''と呼び、カーソルを合わせることでカーソルの形が変化するオブジェをクリックポイントと呼ぶ。通常状態中に画面内のクリックポイントをクリックすることで、調査・移動・アイテムの使用を行う。 --画面内をダブルクリックすると、キャラクターが走る。 --画面上部のシネスコ部分にカーソルを当てると、入手したアイテムがアイコンで表示される。これをクリックすると、アイテムのアイコンがカーソルの先についた状態になるので、アイテムを使う対象をそのままクリックすることでアイテムを使用する。アイテム欄に表示されず、特定の地点をクリックすることで自動的に使用されるアイテムも存在する。 //---ヘレン編の最終章ではとある人物から鍵のアイテムを受け取るが、このアイテムを使用してしまうとAランクのエンディングが見られなくなってしまうといったトラップアイテムもある。 //さすがに基本的な説明の欄で書くことじゃない。 ''シザーマンの出現と回避・撃退'' -逃走状態 --特定のクリックポイントをクリックする又は撃退後の時間経過による確率抽選((詳細な出現率は「撃退から2分経過後、1/30秒ごとに1/3600の確率」、こう書くと各抽選ごとに3599/3600の確率で何も起きないので、まず出てこないような気がするが1秒間に30回も抽選をやっているので2分1秒目には「シザーマンが再登場しない確率」は約99%(3599/3600の30乗=99.14%)、撃退から200秒付近で半々の確率で再登場することになる。))でシザーマンが出現し、BGMが鳴り響くと共に&bold(){逃走状態}に移行する。 ---この状態中はシザーマンの撃退及び回避に有効なオブジェにしかクリックポイントが発生しなくなり、完全に撃退・回避しないかぎり逃走状態は継続する。 //---ジェニファー編の最終章では逃走状態中に特定の場所に行き、どこかのクリックポイントをクリックすると今まで入れなかった部屋に入れるようになる。 ''パニック状態'' -シザーマンに追い詰められると、''パニック状態''に陥りカーソルが激しく点滅する。この状態の時にクリックボタンを規定回数以上連打することで、体力の減少と引き換えに、緊急回避して一時的に危機を脱するができる。(通称:RSI(連打せずにはいられない)システム) --ただし、ジェニファーとヘレンの場合、回避を成功させるためにはシザーマンと同じ高さで隣接する事が条件。これらを満たさなければ問答無用で殺されてしまう。 ---一例としてあげると、階段を下りた直後に階段から降りてきたシザーマンに接触してパニック状態になる等、段差がある場所でシザーマンが主人公よりも高い位置にいる場合が該当する。~ これは、この2人がシザーマンの攻撃に対して下方に回避行動をとるため((ジェニファーはハサミの突きをしゃがんで避けた後にシザーマンを両手で突き飛ばし、ヘレンは素早く座り込んでシザーマンの腹に蹴りを入れる))。男性陣はハサミを受け止めて動きを封じた後に殴り飛ばして回避するため、条件を満たす必要がない。 --シザーマンの襲撃を一時回避すると、通路であれば自動で一番近い部屋に逃げ込み、室内であれば部屋の外へ出る。 ''回避ポイント''~ -回避ポイントは特定の場所に隠れてやり過ごす形となるが、本作では回避ポイントと見せかけた罠や特殊な手順を踏まなければ回避できない罠が多く設けられており、一筋縄では行かなくなっている。 --「隠れても回避の成功がランダムで決まる」「強制的にゲームオーバーになるダミーの回避ポイントの存在」~ 「パニック状態中に画面内の特定のオブジェをクリックしないと完全に回避できないポイント・イベントの存在」~ 「何度でもクリックできるが回避できるのは1回目のみ(以降は必ず失敗)」など、ランダム性が強められている。 ''撃退ポイント''~ -身の回りにある物品を駆使してシザーマンを撃退する。基本的には使い切りで再利用はできない。~ これについても以下の仕様によってランダム性が強められている。 --「ポイントによっては撃退に失敗し逃走継続となる」「同じオブジェクトでも撃退もしくは回避ポイントのいずれかにランダム変化する」~ 「シザーマンが特定の方向から入室してきた場合にしか使えないポイントがある」「シナリオ開始時にランダム配置される(=配置されない場合もある)」等。 ---ポイントによってはRSIシステムが発動する場合があり、ボタン連打に失敗するとシザーマンに返り討ちにされてゲームオーバーになる。 ''体力'' -今作では体力は3段階となっている。 --前作にあった「疲労」の概念は廃止されており、体力の減少条件はある例外を除いてパニック状態回避のみ。減少した体力は通常状態時にのみ、時間経過で回復する。 --体力はカーソルの色で表わされ、白が最大で赤が最低。カーソルが赤の時にパニック状態になると死亡が確定し、タイトル画面に戻る。 ---メニューからコンティニューを選択すると、体力が一段階分だけ回復し殺された地点に入室した直後の状態から再スタートとなる。 ''追跡のリアルタイム化'' --本作ではシザーマンがリアルタイムで追ってくるようになっており、前作に存在した『シザーマンが侵入してこない安全地帯』も極一部を除いてなくなった。このため前作で使えた「扉に出入りして仕切り直し」のテクニックが不可能になり、じっとしているとすぐ追い詰められてしまう。 ---ただし、部屋に入室した地点の扉の前から一歩も動かなかったり、クリックポイントに向かって移動している間はシザーマンは侵入してこないため、焦って動き回るよりは落ち着いて行動すれば対処はしやすい。 ''セーブ機能の仕様変更'' -前作のオートセーブに代わり、メニュー画面から任意でセーブ可能で、プレイ途中で任意のデータから再開することも可能になった。 --データも最大で3つまで保存できる為、バッドエンド後の再挑戦の手間を省けるようになった他、トラップが仕掛けられていそうな個所を調べる際の保険などにも使える。 --逃走状態中でもセーブが可能で、ロードするとセーブした地点の入り口から通常状態で再開となる。 ---- **メインキャラクター 物語に関わる重要キャラクターを記す。 #region - &bold(){ジェニファー・シンプソン ―Jennifer Simpson―} --バロウズ邸で発生した猟奇殺人事件『クロックタワー事件』の生還者。前作に引き続く本作の主人公。~ 事件後、事件の調査を担当したオスロ大学の犯罪心理学助教授ヘレンに引き取られ、バートン教授の催眠治療を受けている。~ 育ちゆえか、可憐で儚げな容姿とは裏腹に精神的にはタフで逆境に強い。 --前作から1年後ということもあり、服装や雰囲気も大人びており、取材を称して近づいてきたノランを軽くあしらったりと、年相応のコケティッシュな一面も見せ始めている。 -&bold(){ヘレン・マクスウェル ― Hellen Maxwell―} --サミュエル・バートン研究室所属の犯罪心理学助教授。30歳。本作のもう1人の主人公。凛とした雰囲気を持つ知的美人。~ ゼミ参加がきっかけで才能を認められ研究室に入ったが、最近ではバートンのやり方を疑問視し彼と対立している。 --事件後に重要参考人として保護されたジェニファーを引き取って大学の寮で共に暮らしており、姉妹のように仲がいい。~ 再び姿を現したシザーマンから自らの身とジェニファーを守るため、シザーマンを倒すための方法を探ることに尽力する。 -&bold(){ノラン・キャンベル ― Noran Cambell―} --オスロウィーク新聞社の三流イエローペーパー記者。26歳。 --クロックタワー事件に強い関心を持ち、ジェニファーに近付いたことで事件に巻き込まれてしまう。~ 一見、軟派で軽率だが、記者としての洞察力と取材力は優れており、ジェニファーの証言する不死身の怪物シザーマンの存在を信じて一行を積極的にサポートする。 -&bold(){スターン・ゴッツ ― Stan Gotts―} --クロックタワー事件担当の警部補。42歳。事件発生時、担当警部が入院中だったため捜査を担当することになった。 --経験至上主義者で超常現象などは一切信じない頑固者だが、そんな彼もまた、否応なしにシザーマンのもたらす死の恐怖に引きずり込まれていくことになる。 --ジェニファーにはいつも警部と間違えられており、その都度、律義に訂正するのがお約束である。 -&bold(){サミュエル・バートン ― ProfessorBurton―} --南オスロ大学犯罪心理学教授。クロックタワー事件を引き起こした犯人に興味を持ちプロファイリングを行う。52歳。ジェニファーとエドワードの治療も受け持っている --“不死身の怪物シザーマン”の存在を冷徹に否定する一方、一連の事件を「面白い」と言い放つエキセントリックな一面も。ヘレン編において物語の核となる。 -&bold(){エドワード ― Edward ―} --クロックタワー事件の現場から救出されたもう一人の生存者。見る者を卑下させる高貴な雰囲気と雪のような素肌を持つ、金髪碧眼の美少年。推定10歳。 --発見時、事件を含む全ての記憶を失っており、身元不明のままグラニット孤児院に引き取られた。「エドワード」はグラニッド孤児院の教師で彼の後見人となったケイが与えた仮の名前。~ ジェニファーとともにバートンの治療を受けており、彼女をお姉ちゃんと呼んで慕っている。 #endregion この他、物語に直接関わらないNPCも含め多数のキャラクターが登場。その生死はプレイヤーの手に委ねられている……。 **評価点 -3D化により、立体化されたキャラクターとカメラワークが映画的臨場感を盛り上げている。 --キャラクターの動きにモーションキャプチャーが取り入れられ、リアルな動きを追求している。 -数々の既存のホラー映画のモチーフを取り入れた作風 --本作ではホラー映画全般からキャラクターのモチーフやイメージを取り込んでおり、ホラー映画ファンをにやりとさせてくれる。 -シザーマンの出現により、平穏な日常が殺人鬼の出現によって一瞬にして非日常に変貌してしまう恐怖と、無骨なポリゴングラフィックが醸し出す独特なホラー映画的空気感が、前作とは一味違った雰囲気を演出している。 //文面としてはほとんど前作でも書ける内容で、雰囲気の部分も具体性に欠けた評価のためCO //前作の舞台は時計塔が付いた大きな屋敷という最初から非日常的な場所であり、主人公のジェニファーにとっても初めて訪れた場所だから見慣れた場所ではないので「前作でも書ける内容」というのは間違ってると思うのでCO解除 -主人公が2人になった事で、同じステージでもストーリー展開と謎解きの手順が異なる「二度美味しい」作品となった。 --それぞれのシナリオでサブキャラクターを操作する機会もあるので、プロローグを含めれば操作キャラは全5人である。 ---ただし、ジェニファー編の第2章で発生する分岐では、片方のシナリオでヘレンを操作することになるため、総合的にはヘレンを操作する機会が多い。 --ジェニファーとヘレンではストーリーは勿論、オブジェクトへのコメントやキャラとのやり取りも異なり、それぞれの性格や立場の違いがよく表れている。 ---ジェニファーは明かりに蝋燭を使ったり、短剣がキーアイテムになったりと前作のようなゴシック調の演出やアナクロな仕掛けが多い一方、ヘレンは懐中電灯や拳銃と言った文明の利器を活用するなど、謎解きにもそれぞれ違ったイメージが与えられている。 ---他にもジェニファーとヘレンでマップ内のカメラアングルや微妙な演出が異なっていることが多いので、探索する同じ部屋でも異なった印象を感じやすい。 -シザーマンのビジュアル的恐怖感のアップ --本作のシザーマンは、コートを着込んで更に巨大で無骨なハサミを構え、片足を引きずりながら鋭い開閉音を鳴らして無言で殺しに掛かって来る。3D描写により様々なアングルから描写される臨場感も相まって、より恐怖感が増した。 --前作のシザーマンのハサミは植木バサミのようなデザインだったが、本作では「刃から柄までが鉄製で大きく湾曲した二枚刃を持つ巨大なハサミ」という、見た目だけで人を簡単にちょん切ってしまえるなと思わされるデザインとなっている。~ ハサミの開閉音も「シャキーン!!」というリアルな金属音となっており、シザーマンの接近に伴って遠くから徐々に音が大きくなってくる様子が恐怖感をより煽ってくる。 --神出鬼没ぶりは前作譲りで、登場時の恐怖を煽る演出にも一段と磨きがかかっている。現在のリアルなグラフィックのホラーに慣れている人でも、それらとは違った恐怖体験ができるだろう。 ---クリックポイントのトラップで出現する際の登場の仕方も前作に負けじと劣らぬ奇抜かつ大胆なものが多く、時には思わず笑ってしまいそうな方法で現れることも。 -前作に比べ、死亡描写はかなり直接的でグロいものが多く、プレイヤーの恐怖感をさらに盛り上げる。 --前作ではハードやグラフィック表現の都合でシザーマン回避失敗時の死亡表現はぼかした演出になっていたが、今作ではハサミで串刺しにされるシーンが克明に映し出される。((シナリオ序盤に存在する特定のゲームオーバー演出では、恐怖のあまり身がすくんで動けなくなりへたりこんだ所で首を切断されるという非常に恐ろしい演出が発生する。)) --犠牲者のいずれも殺人鬼ホラーものらしく前作以上にショッキングな方法で殺害され、プレイヤーを戦慄させる。 ---それに対する主人公の反応も、悲鳴を上げる、口に手を当てて後ずさる、''嘔吐する''など、非常にリアルになっている。 -シザーマン出現イベントを始め、舞台となるダンジョンはどこも恐怖演出がてんこ盛り。クリア後の再プレイで初めて引っかかって脅かされる事も珍しくない。 --クリックポイントを調べるだけでなく、部屋への入室直後や時間経過によるランダム、さらには特定ルートを通行するだけでも発生する場合もあるのでいつ何が起こるか分からない緊張感はまさに恐怖。 --第1章は手順を知っていればすぐにクリアできる((特にジェニファー編はクリアはおろかランクAを目指す上でも1階だけで必要なアイテムは全て揃う。))が、建物内はさっさと脱出してしまうのは勿体無いほどの恐怖演出が随所に用意されている。時には早く逃げ出したい気を抑えて、敢えて恐怖に身を震わせてみてはいかが…? -相変わらず無音とBGMの対比による恐怖感も健在。 --シザーマン登場時のBGMはサイコサスペンス調にふさわしく、より喧騒感と緊迫感あふれるものになっている。~ 逃走BGMも複数存在し、「突然出現して襲ってきた=緊迫感と焦燥感を煽る曲調」「徐々に忍び寄ってくる=緊迫感を焦燥を煽りつつ不穏で不気味な雰囲気を帯びた曲調」といった具合にシザーマンの出現の仕方によって明確に区別されている((さらに第二章のリック邸ではマイナーチェンジ版が存在し、BGMの中に不気味な声まで混じっている。))。 ---前作と違って時間経過でもシザーマンは出現するため、探索している最中に徐々にBGMがフェードインしてくる様は正に冷や汗ものである。 --最終章で登場人物が殺害されている部屋では恐怖感を煽るBGMが流れ、プレイヤーにより強烈なショックと恐怖を与えてくれる。 --シザーマンが部屋に入ってくるまでは遠くで小さくハサミの音が鳴り響き、シザーマンが接近するにつれて徐々にハサミの音が大きくなってくるという演出で、迫りくる死の恐怖を煽ってくる。 -犯人探しの要素 --前作同様、殺人犯から逃げるというゲーム性がメインになるが、シザーマンの正体にまつわる伏線もさりげなくちりばめられており、注意深く見ていくとそれとなく正体を察することができるようになっている。 --前作プレイヤー的にはバレバレな気がしないでもないが…。 -最終章は前作に劣らず即死トラップの宝庫であり、気を抜けばすぐに「DEAD END」の文字が画面に表示される事必至である。 --更に最終章の登場人物の生死はプレイヤー次第。各キャラに生存条件((制限時間内に再会できたか否か、もしくは一部のキャラのみに設定された固有の条件を満たす。))が設定されており、条件を満たした上で再会できないと死亡してしまう。何も考えないでグダグダなプレイをしていれば、気がついた時には死体だらけなんて事はザラ。しかも殺害方法はどれも例によってエグい。中には死体を調べたら「俺がやった」と言わんばかりにシザーマンが出現するケースも。 ---最高ランクのエンディングを迎えると最後に生存者数が表示される((最高ランク以外のエンディングに到達した場合の生存者数は「UNIDENTIFIED(未確認)」となる。))。果たして何人生き残れるか…? --ちなみにネット上では「逃走状態で生存者のいる部屋に入ると(条件を満たしていても)死亡扱いになる」と書かれる事もあるが、逃走状態か否かは全く関係しない ---恐らく、ジェニファー編最終章の再序盤に生死が分かれるとあるキャラの生存条件から生じた誤解と思われる ((当該キャラの生存条件は「特定のアイテムを所持した状態で再会すること」。逃走状態からシナリオが始まるため再会場所のすぐ側の部屋でいったん撃退してからアイテムを入手する必要があり、それをせずに直接進むとキャラが死亡してしまう。状況が状況だけに撃退場所を見落とし易いため、結果として「逃走状態で死亡」という勘違いが生じた可能性が高い。)) //((再会までにあるアイテムを入手したか否かというものだが、ジェニファー編最終章は逃走状態から始まる関係上、そのアイテムを取るにはすぐ側の部屋でシザーマンを一旦撃退しなければならない。それをせずに追われたまま先に進むとアイテムが無いので当該キャラが死亡してしまう。これを「逃走状態で部屋に入ったから」と勘違いした可能性が高い。))。 //((実は制限時間内にキャラクターのいる部屋へ入った場合でも、逃走状態中だと問答無用で死亡扱いとなる。)) //↑確認してみた所、逃走状態での入室による生存は無関係。ゴッツが死亡する条件とを勘違いした? -ヒント機能が追加された --ノーヒントが前提であった前作に比べ、少し親切になった。計10個。 ---ただし、特定の場所をクリックしないと見つからない。全部見つけるにはジェニファー編、ヘレン編双方のシナリオ内でよく調べる必要がある。 -クリア後のおまけも用意されている。 --操作キャラ全員とシザーマンに隠しコスチュームが用意されている。 ---コスチュームと言っても色違いのキャラが多いが、ジェニファーは''ウエイトレス服''に''セーラー服''と実に優遇されている。コスチュームチェンジをするとシザーマンのコートも黒くなるので、何となく怪しい組み合わせに。 //海外wikiによるとウエイトレス服という事で良いらしい。 ---ゴッツ警部%%「警部補だ」%%もコスチュームには漢字の当て字が書いてある等ネタには事欠かない。 --更にエンディングコンプリート後のおまけはシュール過ぎてホラーを喜劇に変えてしまうだろう。 --その他、コンセプトアートの閲覧やBGMの視聴、字幕の表示方法を変更できる隠しオプションも選択可能。 ---- **賛否両論点 -セーブ・ロードの自由度の増加 --ゲーム自体が繰り返しプレイ前提の作りになっているので純粋に利便性が増した一方、緊張感が削がれるという意見もあるにはある。 --逃走状態でもセーブが可能なのでこう言った意見が出るのもやむなしか。 -本作のポリゴンは同時期のPSソフトと比較しても高品質とは言い難い --ローポリゆえの怖さがあるという意見もあれば、粗すぎて怖くないという意見もあったりと、受け止め方はプレイヤーによる。 //-最終章の舞台は廃墟となった古城だが、それまでの舞台に比べて内部が明るくなっている((後述の小説版では、「城は実は無人ではなく、バロウズ家がイギリスからノルウェーに移住した際、一族の一部が城を守るために残留し、燭台に火が灯されている」という補完描写が存在する。))。また、中庭やテラスなどで屋外に出る事もあるが、こちらも明るい。 //--描写上は城に侵入した時間帯が日中なので明るいこと自体はおかしいことではないが、それまでの舞台が「夜間に明かりの消えた暗い建物内」で非常に怖い雰囲気が出ていた点もあり、「不気味さがやや弱い」という意見がある。 //--ただし、城内の一部では暗闇に包まれて主人公の周りしか視界が見えないエリアがある他、教会内は前シナリオ同様の薄暗さであるため、これらのエリアの探索の不気味さはとても強い。また、明るいエリアでも「雰囲気で十分怖い」という意見もある。 //意見としてはあまり聞かないと思う。 ---- **問題点 -操作性があまり良くない --キャラクターの動きに合わせてカメラが移動するため、移動してきた場所が少々把握しづらい。 --ダッシュ中にクリックボタンを押すと立ち止まってしまうためスムーズに動かしにくい。 //---この反省を生かし、次回作『ゴーストヘッド』ではカーソルを少しずつ滑らせつつ連続でクリックすることでスムーズな移動が可能になっている。 //続編については記事があるのでそっちで。 --ドアをダブルクリックしてダッシュで到達させる場合、ドアの前で変なポーズのままぐるぐる一回転してからやっとストップ→ドアを開けて移動、という感じになりがちでテンポが悪い。 -ゲーム内での描写不足が目立つ --バロウズ家の闇の歴史、悪魔の子供の出生の秘密など、ゲーム内で掲示されるストーリー要素は多いのだが、描写が断片的で漠然とし過ぎておりクリアしても全容が理解し難い。((特に、最終的に判明する真犯人及びその真の正体は前作で登場したとあるキャラクターなのだが、前作のエンディングからどういう経緯を得て本作で犯人として暗躍することになったのかについては一切語られない。この点に関しては本作の発売後にリリースされた前作のPS版の追加シーンで補完されてはいるが。)) --前作でも真相や細部の詳細についてはほとんど明確に描かれなかったものの、想像の余地として受け取れる範囲ではあったが、本作では世界観や設定面で前作以上の広がりを見せているため、ゲーム中の描写だけで想像で補うにも限度がある。~ 結局のところ、詳しいストーリーや設定周りを補完したければメディアミックスで発売された小説版の一読が必須。((ゲーム中では明らかにされなかった、ジェニファーとバロウズ家の関係やヘレンの幼少時代のトラウマ、ノランが積極的に事件を追っていた理由など、より深く掘り下げられている。)) ---この点に関して製作者の河野氏はゲーム内で明かされなかった設定に関して「あえて語らなかった」と上述の小説版にコメントを寄せて(明確な理由については述べていない)いるためそれ自体が作風の一環ともとれるが、消化不良感は否めないだろう。 -シナリオ終盤になるとだれやすい。 --全3章のシナリオの内、1章、2章は比較的内容が短く手順さえ覚えてしまえば短時間で終了させられるが、最終章のシナリオはそれまでと比べてやるべきことが一気に増え、前作同様に謎解きの手順と各エンディングに至るまでの経緯が複雑化していくので詰まりやすい。~ そのため、何度も現れるシザーマンに対し、恐怖よりもうっとうしさの方が感じられやすくなってしまう。追跡のリアルタイム化や3D化による演出の強化も余計に面倒な感を助長している。 ---また、各シナリオには何度でも確実に回避できるポイントが最低一つは存在しており、そのポイントに気付くと安牌となってしまい、緊張感や恐怖感も薄れやすくなってしまう。手順が複雑化する最終章ではその傾向が一層強い。 -スタッフロールは全エンディングで流れるのだが、これがスキップ不可。いちいち最後まで見なくてはならない。 --10種類もエンディングが用意されているだけに、周回プレイに多少のわずらわしさが生じている。 --スタッフロールも長めな上に全てのエンディングで共通であり、内容の良し悪しで変わったりはしないので少々単調。 //--こちらも次回作『ゴーストヘッド』では反省点と見做されたのか、スキップ可能且つ、ベストエンディングではスタッフロールが変化すると言った改善が成されている。 //記事があるのでそっちで。 //-マップが俯瞰視点の箱庭的表現であるため、全体的にせせこましさが感じられる。 //--特に、最終章のバロウズ城は、設定上はそれなりに広大な城なのだが、キャラクターのスケールに対して内部がかなり狭く、窮屈な感じがある。 //本質的な問題とは言い難いのでCO -評価点で少し触れたが、2章はリック邸編と図書館編の二つの舞台が用意されているが、図書館はどちらの主人公でも内容が全く同じ。 --邸宅はジェニファー編とヘレン編で操作キャラも謎解きも変化する一方、図書館の方はジェニファー編でもヘレンを操作する事になり、謎解きも脱出の手順も一切変化が無い。 --シナリオ的には再び現れたシザーマンへの対処法を模索する時期であり、ジェニファー編の場合は「1章でシザーマンに襲われたジェニファーは自宅に警護を付けてもらって待機。その間にヘレンは図書館に調査に行くものの、今度は自身がシザーマンに襲われる」という展開である。 --対してヘレン編では「1章で襲われたヘレン本人が自ら図書館に行き、また襲われる」という展開となり、結果としてヘレンばかりがシザーマンの標的にされる格好となる((ノベライズ版のヘレン編でもこの点は踏襲されており、シザーマンの襲撃後も警官の護衛を気にしつつ情報収集のために図書館へ赴くという展開になっている。ちなみにジェニファー編ではジェニファー自身が周囲の目を掻い潜ってこっそり図書館へ調べものに行くという展開になっている。))。 ---裏を返せばそれだけ出番が多いということでもあるが、肝心の内容が全く同じというのでは面白みにかける。 -ベストエンディングの到達条件に付いて(攻略情報に関するネタバレなので隠し) #region -ジェニファー、ヘレン編双方において、AランクED取得の為に必須のアイテムが最終章以前のシナリオに存在している。~ その為、事前情報を知らないと見逃してしまい易く、アイテムの存在を知らないまま詰んでしまうことになり得る。 ---しかもジェニファー編はフラグの関係で、そのアイテムが無いとAランクどころか''BもCも迎えられず、Dランク直行になってしまう''。ヘレン編でも正確には''B以上は迎えられない''のでC以下で確定する。 -また、ヘレン編ではシナリオ最終章である人物から鍵を受け取る(死亡した場合は入手できない)のだが、&bold(){それを当該場所で使用してしまうとAランクを迎えられなくなる}という罠が存在する。 -これらのことはゲーム中で入手できるヒントに記載されているが、前述の通りヒントはなかなか見つけにくいので人によっては気付くのに時間が掛かってしまう。 #endregion ---- **総評 独特な洋画ホラー的な空気感と雰囲気は前作からそのまま引き継がれており、3D化を取り入れることで前作の持ち味であった映画的演出がうまく活かされている。~ OPムービーで「''恐怖がおもしろい''」と表される通り、独特の敵モンスター「シザーマン」が持つインパクト、徹底したビジュアルデザイン、「喧騒と静寂」をコンセプトにしたサウンド、またホラー映画や実在の猟奇殺人犯のパロディ要素が多くのホラーファンに受け入れられ、ホラーゲームの代表作品の一つとなった。~ ホラーゲームファンはもちろん、ホラー映画が好きな人にもぜひおススメしておきたい1作である。 ---- **余談 -本作のPVは映画評論家で有名であった淀川長治氏が内容解説してくれるという非常に手が込んだ物であった。スタッフの本作に対する拘りが感じられる。 -テレビCMは海外ホラー映画の予告編を意識したドラマチックなもの。映像中には本編未使用と思われる大聖堂のような建物のグラフィックが移っている。 --また、ナレーションが英語・日本語の2バージョンが存在する。 -ナンバリングの読みは公式には「ツー」ではなく「セカンド」だが、OPムービーのラストでは「ツー」と読み上げており、少々紛らわしい。 -ジェニファーのモデルがオマージュ元である映画『フェノミナ』の主演女優で、名前も同じジェニファー・コネリーなのは有名だが、本作のヘレンは『X-ファイル』のスカリー役で有名な女優ジリアン・アンダーソンをモデルにしているらしい。 --当初は『エイリアン』シリーズで知られるシガニー・ウィーバーをモデルにするつもりだったが、「もっと美人にしたい」という事から変更したという話もあり、恐らく最初はもっと年齢が上の設定だったのだろう。 -説明書には河野一二三氏を始めとするスタッフのコメントが記載されている。 --生存確率1/10000を謳うだけあり、河野氏曰くこのゲームで一度も殺されずにクリア出来たら「''[[ジェイソン>Friday the 13th: The Game]]に襲われても生き残れる自信を持ってもいい''」との事。 --また、ランクの高いエンディングが(この作品にとって)最良とは限らず、特にベストエンドであるAランクエンドは明らかなご都合主義的展開という事で、''ハリウッドバージョン''と命名されていたとか。 ---なのでAランクが気に入らなかった人は自分にとっての最良のエンディングを見つけて欲しいとの事である。ただ、ジェニファー達の為に一度はハッピーエンドを見てあげて欲しいとも述べている。 --ちなみにこの点はゲームブック風のスタイルでマルチエンディングを取り入れた公式ノベライズ版でも踏襲されており、「最悪な結末ほど最高な結末」という位置づけで描かれている。 -本作はジェニファー編とヘレン編でストーリー展開が異なる点について、海外フォーラムでどちらが正史なのかという質問に河野氏が回答している([[リンク>https://www.reddit.com/r/IAmA/comments/2upnph/iama_hifumi_kono_founder_of_game_studio_nude/]])。 --氏によると、正史はジェニファー編だが、バートン教授関連について理解するためにヘレン編も重要であるとの事で、一つの大きな事件を複数の側面から見るようなものとも語っている。 -海外版は初代が未発売で『2』が「CLOCK TOWER」名義で発売されている。 --更に日本を舞台にした『[[ゴーストヘッド>クロックタワー ゴーストヘッド]]』が向こうでは『II』として発売されたため、ナンバリングが微妙にややこしいことになっている(『[[3>クロックタワー3]]』はどちらも共通)。 -初代から20年近く経った2014年シリーズの産みの親の河野氏により、本人曰く「''クロックタワーの魂を受け継ぐ新作ホラーゲーム''」の制作プロジェクトの立ち上げが発表され、2016年に精神的続編『[[NightCry]]』(PC版)が発売された。 --PC版発売以降は音沙汰が無かったが、3年後の2019年には当初予定されていたPS Vita版も配信開始された。 -レトロゲーム専門サントラレーベル「クラリスディスク」より、シリーズ初期3作品のサウンドトラックが発売された。 ---- **メディア展開 -ラジオドラマ版 --ラジオ番組「子安・氷上のゲムドラナイト」でラジオドラマがオンエアされた。リスナーの投票で放送されるシナリオが決まるというもので、同作品を収録したドラマCDには未放送分も完全収録されている。キャストも西村ちなみ氏や鶴ひろみ氏、真殿光昭氏に大塚明夫氏、佐藤正治氏と結構豪華な顔ぶれが並ぶ。 --シナリオの展開や結末、登場人物や細部の設定など、下記の小説版との相違点が多い。 -小説家の牧野修氏が手がけたノベライズ版が、『クロックタワー2 アドベンチャーノベル』のタイトルで『ジェニファー編』と『ヘレン編』の2作発売された。 --選択肢によって展開が分岐する方式でゲームの雰囲気を再現する試みがなされている。本編では語られなかった多くの設定が明らかにされており本編の補完を兼ねた作品となっている。 --上述した通り本作の世界観を深く理解するには必読と言っても良い書籍だが、現在はプレミア化している。 -2008年に映画化の告知がされ、ポスター等も作られたが未だに音沙汰が無い。恐らくは凍結されてしまったものと思われる。 ---- //くろっくたわーつー くろっくたわーせかんど //↑検索用につき消さないでください。

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