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逆転裁判5」(2024/03/02 (土) 23:49:45) の最新版変更点

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''専用掲示板での合意のもと、本記事は2020年6月に内容の見直しを行いました。'' ''旧記事での過剰とも言える粗探しは、荒らしまがいの行為により追記されたものであり、記事の立ち上げ初期から批判の声が相次いでいたものです。悪質な差し戻しを行った場合、通報される場合もあるのでご了承下さい。'' ''また、2019年12月には[[逆転裁判4]]の記事が修正されており、「逆転裁判」シリーズの記事で過剰な粗探しは行わなくなった事もご理解頂けるようお願いします。'' *逆転裁判5 【ぎゃくてんさいばんふぁいぶ】 |ジャンル|法廷バトル|&amazon(B00972R5B4)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売・開発元|カプコン|~| |発売日|2013年7月25日|~| |定価|5,990円|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |廉価版|Best Price!:2015年04月02日/2,990円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|成歩堂龍一、弁護士復帰&br()名実共に2代目主人公となった王泥喜法介&br()ギャグ志向が強いその他のキャラ・シナリオ方面&br()全体的に低難易度になったゲーム性には賛否&br()''『4』から色々な意味で見事な「逆転」を遂げた''|~| |>|>|CENTER:''[[逆転裁判シリーズ]]''| //ポイントについて、追加されたころのものに戻しました。 //変更する場合は、逆転裁判スレで確認を行ってからお願いします。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 「法廷バトル」でおなじみの『逆転裁判』本家の5作目。~ 前作『[[逆転裁判4]]』がその内容から(特に旧作ファンから)強い批判を受け、非常に長い期間本流シリーズの続編は途絶えたままであった。~ しかしスピンオフ『逆転検事』シリーズや『[[レイトン教授VS逆転裁判]]』などでシリーズの展開は続けられ、本作でついに本家が復活。''実に6年ぶりの正統続編''となった。 事前に発表された内容では''「『4』の直接の続編で、1年後の話」「先代主人公・成歩堂龍一の復活」という部分が大々的に押し出される。''このため『4』の肯定派否定派双方から物議を醸した。~ また本作では『4』以前でシナリオとディレクターを務め、以降も逆転シリーズの外部出演を監修していた巧舟がシリーズから完全に外れ、『検事』シリーズディレクターである山崎剛がシナリオ統括を担当することになった。この点についても山崎は既に『検事』シリーズで実績を見せていることや巧は『3』でシリーズを離れるつもりだった(から『4』の全責任を負うべきではない)という事情から賛否を呼んだ((なお、巧が参加しなかったのは山崎のオファーを断ったというだけの話であり、4の失敗で干されたわけではない事が判明している。))。 そうした複雑な事情が絡む中、ユーザーの期待と不安を背負って本作は発売された。 ---- **特徴 シナリオは、法曹界を包む''『法の暗黒時代』''での奮闘を描いたもの。弁護士復活を果たした成歩堂に加え、続投を果たした前作主人公・''王泥喜法介''、事務所の新メンバー・''希月心音''と共に、数々の難事件に立ち向かっていく。 「法廷爆破事件」というキャッチーな出来事に物語が始まり、エピソードごとに異なる主人公を描きながら、最後は心音のバックストーリーを中心に暗黒時代の終焉が描かれる。 システム面では『4』以前の形態を踏襲((『4』からは「みぬく」と「サイコ・ロック」を引き継いでおり、それぞれ王泥喜・成歩堂の特殊能力として使用。))しているが、以下のような新要素がある。 -グラフィックが3DCG化 --これまでは『検事』シリーズ含めイラストの取り込みやドット絵による完全2Dグラフィックだったが、本作では『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かし全て3DCGでの造形となった。登場人物はもちろん、背景グラフィックに至るまで全て3Dである。 --『レイトン教授VS逆転裁判』同様にカメラワークが多彩になり、演出で活用されているほか「調べる」コマンドで立体的に視点移動が行えるようになった。 --背景グラフィックの小物も動くようになった。風に揺られている旗など、動きが細かい。 --3D立体視対応。 -アニメーションムービーの搭載 --これもまた『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かしたもの。作画は『レイトン教授VS逆転裁判』同様にボンズが担当している。ただし『レイトン教授VS逆転裁判』とは異なり、本作は原則としてキャラクターが3DCGで描かれていることから、アニメーションと3DCGとのイラストの差が顕著に表れてしまっている。 -ココロスコープ --新ヒロイン・希月心音の使う特殊能力。証人の「感情」を機械と心音の能力で読み取り、発言内容と矛盾した感情について指摘、対話によって整理することで新たな情報を引き出す。 -カンガエルート --これまでに出てきた情報をまとめ、整理するもの。複数の情報から正しい情報を選択してつなげていくことで、真実に結びつく。逆転検事シリーズの「ロジック」に近いシステム。 -探偵メモ --探偵パートで使用する。今まで行った行動やこれからとるべき行動をまとめたメモで、中断した時や詰まった時などでも次の行動がわかりやすくなった。 --但し、後述するように本作は難易度が大幅に易化しているため、実際に探偵メモを使用する機会は少ない。 -ヒント機能 --法廷パートの尋問で一定回数間違うと、「相談する」というコマンドが追加される。弁護席で隣に立っているパートナーと相談し、ヒントをもらう((場合によってはほとんど答えにたどり着く。))ことができる。 -おまけモードの搭載 --背景のものを調べ、ある人物から出された問題を探し出しそれに回答するという内容の「クイズ逆転推理」が追加。プロローグのみ無料で、以降は有料DLCで配信。 --本編で見たアニメーションムービーはクリア後にギャラリーで確認できる。 -ダウンロードコンテンツへの対応 --機種の変化もあり、逆転シリーズとしては本作で初めてDLCに対応した((外部出演含めれば『レイトン教授VS逆転裁判』が先。))。 --前述した「クイズ逆転推理」の他、本編でプレイヤーキャラの服装を変更できるもの((成歩堂は『3』以前に、王泥喜は私服に、心音はセーラー服になる。))や、「特別編」と題した追加ストーリーが楽しめる。なお、本作のDLCは原則として有料である。 -ユーザーインターフェイスの大幅な改良 --未読スキップやバックログが搭載され一般的なADVに近くなった。また、証言の長さと現在見ているページが分かるようになった。 --セーブデータは2つまで作成可能。セーブ後もゲームを中断せずにそのまま続けられるようになった。 --チャプターセレクトの搭載。シナリオの1パートがチャプターごとに分けられ「はじめから」を選んだ際にさらに細かく途中から楽しめるようになる。 --裁判パートでゲームオーバーになった際、即座に続きから再挑戦できるようになった。『4』以前はゲームオーバーになった場合、中断セーブのデータを作成していないと裁判パートの冒頭からやり直しする必要があった。 --証拠品・人物ファイルは1ページ5個と表示数が減ったが、説明文を表示したまま切り替えられるようになった。 ---- **評価点 ***シナリオ面 -前述したように、かなり複雑な境遇にある本作はシナリオ面での危惧がかなり強かった。シリーズの特性上何より重視するべき部分であるためなおさらである。 //--確かに内容に関しては問題点の節でも詳細に指摘されているようにロジック・トリック・設定に推理ものとしては致命的といえる矛盾点が多いため『1』から『3』には及ばないとされながらも、『4』よりは良いという水準には達している。 //致命的な矛盾はその過去作でも十分確認されており、「逆裁シリーズはある程度のご都合主義、矛盾は許される」とも言える。ゆえに比較の基準として曖昧なのでCO //2020年6月の修正提案者が徹底的に調査しましたが、むしろ5は123と比べてそこまで粗が多くない事を確認しました(というか4も、3話の雑な畳み方や成歩堂失脚というセンシティブな題材に見合わない荒さが問題になっているのであって、整合性の完成度については3以前と変わらないです)。注意書きの通り、本記事の過度な粗探しは荒らしめいた追加をされており、「5のトリックが雑」というのは本記事が生んだ不本意なデマと言っても過言ではありません。 --しかし、蓋を開けて見ると不可解な破綻は無く、王道的なストーリーとして安定した出来栄えの一作となった。 --「暗黒時代」のフレーズに反し、明るくギャグタッチな作風が本作の特徴。 ---扱う事件はいつにもましてトンデモ要素が満載。「妖怪がいる事を前提に進む審理」「法曹専門の学園」など自由な雰囲気が特色となっており、例えるなら''カオスなホビーアニメ''や''『33分探偵』『時効警察』のようなコメディ系ミステリードラマ''のノリに近いかもしれない。 --他の検事スタッフ作品同様、良くも悪くも安定した作風は健在。熱い展開やスリリングな場面はきっちり抑えてくれている。 --特に好評なのが第3話と特別編。どちらも登場人物が強烈かつインパクトの強いセリフやシーンが多いため、やたら印象に残る(特に後者の真犯人の豹変はあまりにも衝撃的であり、事前情報なしだと成歩堂達共々驚愕すること間違いなし)。 ---後者は有料DLCで値段も800円とかなりのものだが、ボリュームも多く、配信されてから約1か月間半額だったことや、評価が高いこと、加えて定期的に割引されることもあって、強くは批判されていない。 --設定面で『4』で消化不良に終わった部分(「黒いサイコ・ロック」など)にある程度の補足や詳細な設定が加えられている。 ---『4』のネタバレに触れない程度に本作のシナリオを作り上げているため、本作単体でも楽しめる。 --過去作にまつわる話題や小ネタも意外と豊富。シリーズを通してのファンには嬉しい要素である。 -強烈な個性を持った登場人物 --主要人物・ゲストを問わずいずれも強烈なまでに個性的。 --キャラクター面の魅力は本作の語り草であり、最大の評価点と言っても過言ではない((一部魅力が全く感じられない者もいる))。 #region(長いので折り畳み。中程度のネタバレ含む) ---- -''成歩堂龍一が弁護士資格を再び獲得し、主人公として復帰。'' --一度主役を交代し、加えて『4』で人物像が大きく破壊されたということもあり復活に複雑な感情を抱くファンも多かったが、それでも逆転裁判の顔役として堂々の復活を遂げたことは評価したファンも多い。 --性格面では『3』以前と『4』の折衷(やや『4』に寄っている)といったところ。年を経てさらに部下を持って冷静な部分を見せつつも『3』以前の落ち着きがない部分もあり、底が知れない雰囲気になっている。これらは賛否が分かれる部分でもあるが、少なくとも明確に卑劣な行動をとることや堕落した部分はなくなっている。 --王泥喜および心音の師匠としても活躍。「ピンチのときほどふてぶてしく笑う」というお馴染みの信条もしっかり伝えてくれる。 -''前作『4』から主人公・王泥喜法介が引き続き登場。しかしただ登場しただけでは終わらない。'' --既に述べた成歩堂復活という点と『4』での扱いの悪さ、先立って公開されたロゴデザインと続報で一切触れられなかった事から本気でリストラを危惧したファンも多かった。 --いざ情報公開されてみると、今度はビジュアルが「''全身に包帯を巻き、鉢巻きのような長い眼帯で片目を隠し、今までの服装にさらにジャケットを袖を通さず羽織る''」というもので衝撃を与える。''スタッフから「ダークオドロキくん」と呼ばれ''、『4』で彼のデザインを担当した塗和也も衝撃を受け、さらに''能力が目と腕に関連したものなので「邪気眼」「波動拳でも出すのか?」「この歳になって発症か」などとネタにされた。''しかしシナリオ上、これらの服装すべてに重要な意味がある。 --彼もプレイヤーキャラとして使える。またパートナーとして後輩・心音にアドバイスや助け舟を出すなど、先輩としての風格も十分。 --『4』でほとんど触れられなかった過去の描写もわずかながら追加。親友の存在と彼の口癖「大丈夫ですっ!」についての設定が補足された。 --「熱い性格」の本領が発揮され、第1話では心音の友人を爆弾から庇って重傷を負い、第4話から最終話での葛藤や行動など、熱血漢の部分が押し出される。他にも「色恋沙汰に鈍感」「真面目過ぎる」一面も追加。 --以上の扱いから、彼の評価は『4』から大きく向上。''「ようやく主人公になれた」「彼が主役の続編が見たい」という声も出てくるようになった。''それを指し示すように''公式の人気投票では成歩堂を抑え見事に1位を獲得''している。 -''新ヒロイン・希月心音が登場。'' --これまでのヒロインと違い、明確に弁護士資格を有しているため「共に戦える」キャラクターとしてより押し出されている。 --彼女を操作するパートやシナリオもあり、ヒロインと言うより上記二名と並ぶ「第3の主人公」という扱い。 --表情が多彩。表情のデフォルメが他2名と比べて激しく、特に怒りの表情や髪を梳かしながら照れる表情はインパクトが強い。 --性格面でも感情豊かな人物でありあまり嫌みがなく、また首から下げている機械「モニ太」が彼女の本音を勝手にしゃべってしまうというギャグ展開も多い。全体的にはあまり活かしきれていない設定であるが、それでもたまに不意討ちを繰り出してプレイヤーの腹筋を突いてくる。 --彼女の過去や特殊能力「心理分析」がシナリオでもシステムでもしっかり絡んでくる。 ---なお、弁護士になった切っ掛け及び成歩堂と知り合った経緯などは、特別編で当人達が説明してくれる。 //彼女の人気はそれほどでもなく(公式人気投票で11位)、「顔芸がくどい」「モニ太の本音が死に設定」「過去の設定など不明な点・シナリオ内でも問題点あり」と賛否両論意見のため、ユガミ検事とまとめて「賛否両論点」行きでもよいのでは? //持ち上げすぎず叩き過ぎないよう、差し障りの無い表現に変更しました -ライバル検事・夕神迅は明確に主人公たちに過去のつながりによる対抗心を抱いているわけではない(繋がりそのものはあるが初登場の時には明確にはふれられない)が、なかなかの強敵。 --「囚人検事」という矛盾した肩書。そして容姿や、「黙りなァ!」のボイス、''手刀で斬撃(本当に物が切れる)を浴びせてくる''など、言動全体に漂う侍(浪人)のような雰囲気と不良っぽさが印象に残る。''自分が斬られる''ダメージモーションもインパクトは十分。 --「囚人」という身分上現場には出てこれないが、職務には自由奔放、死刑囚でありながら級長は緩やかでも心理的に暗い部分を出す事が少ないキャラ。牙琉と違い主人公にヒントを出すことも少なく、法廷の戦術的にもしっかり攻撃を仕掛けてくる。加えて、敗北した時も潔い態度を見せるなど、心音とは対照的な心静かなのキャラと言えるだろう。 --その反面、成歩堂世代の検事が見せた「有罪をかち取ろうと最後まで諦めずあがいてみせる」と言うシーンは皆無であり、職務に対して不真面目で主張に理屈が通らないためシナリオ的にはともかく、難易度的は居る意味があるのかわからないクラスで、また成歩堂世代の検事達が見せていた責任感が皆無である為に「大人」と言うよりも「やさぐれたニート」みたいな面もあるのだが、そういう雰囲気を利用した心象心理が秀逸で今までの検事達と違う変わった味を出している。加えて、上記の敗北時の態度もあって、彼らが見せることもあった敗北時の見苦しさ・往生際の悪さともほとんど縁がない。敗北時の腹いせも一切無いため、職務に不真面目な点もそこまでマイナスポイントにはなっていない。 -刑事役・番轟三も味がある人物。 --常に「正義」を掲げており、これまた職務に忠実。また夕神は更生できると常に叫び続けている、様々な意味で暑苦しい男。 --事件が起きると、すぐ駆けつけ依頼人を手早く逮捕してしまうが、その後当然行われるであろう捜査や検査をしていないなど捜査官として職務怠慢な点が多く、夕神を狼狽えさせる。 --また、「正義」という言葉に強い執着を持っているため心音の口車に乗り情報を渡してしまうこともしばしば。 --その一方で暴走した夕神を電気ショックなどで制止するなど刑事として無能というわけではない。 --個性的で笑いと正義に溢れたキャラクター像が人気を博し、人気投票でまさかの5位という大健闘を果たした。 //--しかし、諸事情(ネタバレ回避のため詳細は伏せる)から続編以降の作品への登場が絶望的であり、なまじキャラクターが好評なのも相まって「ほぼ同じ性格の親族を出して欲しい」といった意見も多い。 -『4』からみぬきと牙琉響也が引き続き登場。 --響也は第3話限りのゲストで検事として実際に法廷で戦う場面はないが、本作でのネタ扱いと過去の設定は好評である((その一方、「やっぱりライバルには向いてない」と思うファンも増えたとか。))。その一方でオマケコンテンツで王泥喜を弄り倒したり彼の何気ない一言に過剰反応したりと、王泥喜に対して多少なりとも『4』での出来事を引きずっている節が見られる。 --みぬきもシナリオに関わる機会が大幅に減り実質脇役になったものの、終盤ではある事件に巻き込まれ緊迫した状況を作り上げる。さらにはマジシャンの鑑ともいえる行動も見せており、彼女も精神的に成長していることが実感できる。 -''成歩堂の永遠のライバルにして『検事』シリーズ主人公・御剣怜侍が再登場。'' --検事局長に出世したという設定になっており、デザインもメガネをかけるようになったなど細かくリニューアル。(服装が全然違うので気持ち程度ではあるが)『1』『検事2』に登場した彼の父に似た容姿となっている。 --シナリオでは『4』以降の成歩堂の扱いなどをある程度補足している。さらに終盤では自ら法廷に立ち、久しぶりに成歩堂とのライバル対決を実現する。 -『3』以前の作品から綾里春美が登場。17歳に成長しており、現在でも綾里家との交流が続いていることを確認させてくれる。出番は少ないものの特別編で重要な役回りを演じてくれる。 --姿は直接登場しないが、真宵も健在であることを示す描写が入り、ファンを喜ばせた。 ---その後真宵は悲願を達成した茜共々『6』で登場した。 ---- #endregion ***システム面での改善や扱い -新システム・過去作から受け継いだシステム共にかなり気を使った調整がされている。 --『4』で言いがかりだと強い批判を受けた「みぬく」だが、第2話の法廷では検事に「インチキ」扱いされ妨害されてしまう。当然と言えば当然だが。 ---このため法廷パートでは事実上封印状態で、「みぬく」の出番は探偵パートに移行する((5話とボイスドラマでは法廷パートでも使用している。))。 ---ちなみに「みぬく」はボイスドラマでも使われていたが、こちらでは証人のくせを見た主人公たちが相談し、現場の状況と証言を合わせて不自然な部分に強いゆさぶりをかけるという説得力のあるものになっている。 ---5話目のみぬくも、あらかじめ許可を得た上で(言いがからずに)癖から推理して証拠品の隠された機能を暴くといった使い方を見せている((そもそも、みぬくが言いがかり扱いされやすいのは王泥喜の言い方がストレート過ぎるのも原因である。))。 --「ココロスコープ」も事前のシステム説明から「またみぬくの再来か」と批判を受けたが、作中では言いがかりにならないようある程度配慮されている。 ---基本的に弁護側の証人に対して行う。検察側の証人に対しても行うことがあるが、いずれも事前に裁判長に対して「証人を落ち着かせるため、カウンセリングを行う」と説明を入れる。 ---「みぬく」と違い作中の科学である程度実証されており、機械を使った分析になっているので説得力は強まっている。心音の問い詰め方もあまり強くはない((もちろん、そもそも感情を元に証言を引き出してよいのかという疑問は残る。))。 --カンガエルートの搭載で、事件の流れがわかりやすくなった。 ---過去作も「情報を整理する」という展開はあったが、本作はプレイヤーが選択肢でそれを行う形になるためより順を追って情報をまとめやすくなった。 ---演出も好評。畳み掛けるようにして暴かれる演出は爽快感を生み出しており、本作の新要素の中でも特に評価が高い。 --前作までは離れた場所に行くためには決められた場所を経由する必要があったが、今作では一発で移動できるようになっている。 --逆転シリーズはこれまで細かいオプションが設定できず、再プレイにやや不便な部分も多いシリーズ作品であったが、前述したようにUIの改良がおこなわれており、現在のアドベンチャーゲームとしてはある程度整った形態となった。 -グラフィックの出来もよい。 --3Dに変わったことで背景の細かい動きが表現されるようになった他、人物の造形なども秀逸。遠目に見ると2Dイラストと錯覚するほどの完成度で、2Dと3Dの造形の中間をうまく抑えた出来になっている。 ---実際に、3Dモデルでありながら、2D的表現が不自然にならないよう(パッと見では分からないよう)上手く使われている。 ---例:あるキャラクターが怒って腕をメチャクチャに振り上げるシーンで、腕が何本か増えて振り回している感を演出している((静止画で見ないと増えていることに気付きづらい。))。 --立体視に対応していることもあり、見栄えはよい。 --モーションも出来がよく、真犯人のブレイクモーションは3Dであることを生かしたカメラワークやギミックも存分に使われており全体的に派手。 ***BGM -BGMは『3』および『検事』シリーズで作曲を担当した岩垂徳行が担当。ハードの移行もあってストリーミング再生に変更され音質が大幅に向上している。 --曲数は既存のアレンジ、アニメパートで流れる短い曲や特別編の追加曲を含めシリーズ最多の67曲に上る。 --特に好評なのが王泥喜の「異議あり!」に相当する「新章開廷!」のアレンジ。法廷パートのアレンジはオーケストラアレンジ版が元となっており、探偵パートではまた別のアレンジが使われている。 --他には「追求 ~追いつめまくれ」も好評。これまでの追求とは雰囲気が異なるが、使われる場面も多く何度も聞くと好きになってくるスルメ曲という評価が強い。 --サウンドトラックでは曲の最後に独自の終結部が追加されている。『4』や『検事』では未収録だった追求のバリエーションや、ボーナストラックとしてPVで使われていた追求のアレンジも収録。 ---- **賛否両論点 ***作風の変化 -先述の通り、本作のシナリオはこれまで逆転裁判シリーズを担当していた巧舟から検事シリーズ担当の山﨑剛氏に交代している。 --それゆえ『4』以前と比較してノリが違うと指摘されることが多く、特に独特のセリフ回し(いわゆるタクシュー節)がなりを潜めてしまった点を惜しむ声も少なくはない。 //--また、本作は過去作品の設定を使っている場面が少なく、完全オリジナル作といわれてもおかしくない出来となってしまっており、シリーズファンにはあまり楽しめない仕様となってしまっている。 //悪意しかない文章なので、CO。個人の主観をファンの総意のように記載するのは、いかがなのものか。明確な根拠があるなら示してください。 -1つのシナリオとしては大きな破綻はなく及第点にまとまっているものの、伏線など全く用意せずにその場しのぎで話を進めている場面もあり、事件の統合性、描写などロジック面に致命的な欠陥も散見される。 --ただし、こうした致命的な矛盾自体はシリーズ全体を通して毎回何かしら指摘されており、逆転裁判ユーザーの中にはむしろ整合性よりも、ゲーム展開やケレン味のあるトリックを重視する層も少なくはない。 --一方で、後述する難易度の低さ、シナリオライターの降板もあいまって過去作では気にならなかったシナリオの難点が目についてしまう層も存在する。 ---''本作のシナリオにおけるマイナス要因がゲームの楽しみを妨げるかどうかは、プレイヤーの個人差に依る部分もある事を特記しておく。'' //#region(主な批判点。ネタバレ注意) //-第1話でメインの導入部分を作っておきながら、シナリオの本筋にかかわる部分は第4話からの始動となり、全体の展開が遅く感じる。なお、第4話と第5話は繋がった事件であるため、実質的には4つの事件が収録されていることになる(特別編を入れて5つ)。 //-第4話と最終話は事実上一つの話としてつながった構成になっており、最終話の法廷パート・探偵パートはともに少ない(一つの話として見れば、法廷パート3回・探偵パート2回と歴代の最終話と遜色ないボリュームではある)。~ //特別編を除くと実質全4話といえる構成であり、本編のボリュームは目減りした感じがある。 //--第1話はシリーズでは唯一2日目の法廷パートがあるが、ボリューム自体はこれまでとそれほど変わらない。 //--『1(蘇る逆転)』では序審法廷制度の最終日となる3日目まで法廷パートが持ち越されることもあったが、本作は『4』までと同様最大2日目まで。 //---スタッフは歴代でもボリュームが多いことを売りにしていたが、本編はあえて強調する程ボリュームがあるわけではない。DLCやおまけを含めれば確かに最大ではあるが。 //主観が多い上にあっさり反証を挙げられてる内容ばっかりなのでCO。何れにせよ言いがかりめいた物を感じる。 //-シナリオが進むにつれ、彼女が18歳という若さで弁護士になろうとする「一刻を争う動機」は明らかになったのだが、本当に「一刻を争う動機」にもかかわらず彼女は何の行動もしていない、どういうことなのだろうか? -本作で復活を遂げた主人公、成歩堂龍一のキャラクター性には賛否がある。 --断りを入れておくと、主人公として復活を果たした点については高く評価されている。 --先述の通り、本作では部下を見守る上司としての側面が強調され、続く『6』でもこのキャラ付けとなっている。しかし裏を返すと「『3』以前の(いい意味で)ドジで未熟な面」が薄まってしまったとも言える。 --このため、過去作のファンの中には「『4』以降のナルホドくんは受け入れられない」という者も。 --尤も、本シリーズは初期3部作で彼の成長を描き切ってしまっているため、シリーズ展開が続いたことによる避けられない弊害でもある。 ***システム -ココロスコープ --配慮はされてはいるが、推理要素抜きにストーリーが進んでしまう本システムを受け入れられないプレイヤーは少なくはない。 --この装置の使用が認められるプロセスは最終話にしか描かれておらず、チートアイテムのように見えてしまう一面がある。 -「みぬくはインチキだから法廷では使えない」と前作の不評を踏まえた仕様にしたのに、(理由があるとは言え)最終話の法廷で結局使用する。ただし、上記の様に法廷で使用したケースは事前に許可をもらってから使用している。 //上記で書かれている通り、不正行為というほどの使われ方はされていないのでコメントアウト。 //ここの展開が不評なのは確かなので文面変えて復帰 ***BGM -今までは証言・尋問の中盤から終盤で用いられていた「尋問 ~アレグロ」は流れる場面が極端に少なくなり、2日目の終盤ぐらいでしか使われない。第4話に至っては前編ということもあってか一度も流れず、盛り上がりに欠ける。 --流れる場面がほぼ真犯人の尋問に限定されている割には、『検事』シリーズの「対決 ~プレスト」のような盛り上がりが今一つという意見も見られた。 --尋問のBGMはこれまでの『裁判』シリーズ同様、アレグロまで。「プレスト」は本作にはない。 -法廷パートのクライマックスに近づいた時に流れる「真実は告げる」も、本作では追求が流れる回数が多い分少なくなっている。役割が逆では。 --曲自体の出来はいいのに、使い方が下手という意味では『4』の追求に通じるものがある。ちなみに『4』は逆に「真実は告げる」の流れる機会が多かった。 -さらに最も指摘されているのが「追求」で、劇中ことある毎にひっきりなしに流れるため、本来展開を盛り上げるBGMなのにその役割をあまり果たせていない。前作の「流れなさ過ぎ」という批判を受けて回数を増やしたのだろうが、今度は「多すぎる」と言われることに。 ***ボイス -『逆転裁判』シリーズでは「異議あり!」などの声を社員が当てるのが定番だったが、''本作のキャラクターの音声はプロの声優が担当した。'' --本作ではアニメーションの追加などで、「異議あり!」のような短いシステムボイスだけでなく長いセリフを当てる必要が出てきたことと、録音環境の向上やハードのスペック向上などで高音質のボイスを入れられるようになったことなどからスタッフの声では無理があると判断されたものだと思われる。 ---たとえば『4』以前の成歩堂役の巧舟の声は『レイトン教授VS逆転裁判』のおまけ要素として導入が予定(没になったが)されており、イベントで新緑版が配布されたのだが、その音声を聞くとゲーム版とは大きく印象が異なって聞こえる。このことを考えると、本作で無理にスタッフを使わなかったことは一概に否定できる要素ではない。 -しかし、声優の選出自体にも賛否が分かれている。『4』以前のキャラについてはPVやTGS特別法廷などで担当したキャストがそのまま続投しているが、演技にも賛否が分かれている。 --成歩堂の演技について、本作の声優は『4』以前のPVやTGS特別法廷でも成歩堂を担当していた近藤孝行なのだが、本作では演技の雰囲気が以前から大きく変わったどことなく落ち着いた(あるいはスカしたような)雰囲気で「違和感がある」という批判が強い。しかし声質は『4』以前の巧に近く、演技も前述通り成歩堂の人物像が変化しており『3』からかなり年月が経った設定であることから受け入れたファンも多い。また『レイトン教授VS』の成宮寛貴が滑舌が悪く棒読みだと批判が強かったこともあり、近藤に声優が戻ったこと自体を評価されていることもある。 --御剣もまたこれまでのPV同様に竹本英史が演じているが、初期PVに比べどことなく粘着質でくどい喋り方になっており批判が強い。この批判については『検事2』のドラマCDのころから存在する。また「異議あり」の音声もこれまでゲームで声を担当していた岩元辰郎の声質とは大きく異なっている。 --その一方で王泥喜を担当したKENN、夕神を担当した咲野俊介、番轟三を担当した佐藤美一についてははまり役と好評である。 ***その他 ''皆勤キャラクターの不採用'' -これまで皆勤賞だった人物や一部主要人物が外れることになった。 --亜内検事はこれまで「第1話の対戦相手」として定番だったのだが、本作では彼の弟が登場。そちらに立場を譲っている。 ---時系列と年齢((前作の時点で61歳。))から考えると、おそらく定年退職が理由であると考えられる。 --糸鋸刑事も登場しない。彼は『検事』シリーズまで含めて皆勤賞という貴重な存在だったのだが、今回でそれを逃すことになった((「クイズ逆転推理」では彼を連想させるテキストがある。))。 //--『4』の刑事役だった宝月茜も登場せず。『4』の主要人物では設定上登場不可能なあるキャラを除き唯一外れることになった。 --また『検事』シリーズが初登場の人物は一切登場しない。 --しかし裁判長は同一人物である。設定では『1』から実に10年目になるのに、全く容姿や性格に変化がない。本編シリーズでは成歩堂以外で唯一の皆勤キャラとなっている。 ---ただしそんな彼も『検事2』では登場していないため、(背景出演などの特殊なケースを除いて)純粋な意味での皆勤キャラは糸鋸刑事を最後に今回で潰えることになった。 -ただし、『1』から10年経っている事や作品を重ねるごとにキャラクターの入れ替わりがあることは当然であるため、一概に問題点とすることもできない。 ''『4』との関係'' -「あの状況から『4』を抹消せず続編を作り上げた」という点を評価する声も多い一方、消化不良についていくつか解決しつつも全ての問題の解決がされたわけではない。 --そこを置いておくにしても、重要部分に触れられず((特に終盤に出てくる重大な設定等は丸々消えている。))『4』の設定やキャラを持ち込んだ続編でありながら、「『4』をなかったことにして仕切り直しにしようとしている」とも見え、どっちつかずな所がある。 --これは『4』自体がかなり微妙なところの作品で、あまりにフォローがしがたい問題点が多く、『4』を完全に抹消しようとも、引き継いですべてに穴を埋めようとするにしても、どうしても祖語が生じてしまうから…と解釈されているが真相は定かでない。 --『4』のネタバレに深く触れることもできないのでやむを得ないという解釈もあるが、検事シリーズを含めた過去作では『物語上重要な事項であれば過去作のネタバレであっても触れていた』ので考えにくい。%%ここを掘り下げると、ただでさえネタキャラ扱いの『4』ラスボスがかわいそうなことになってしまう%% --続く『6』でも『4』及び本作で説明しきれなかった部分の消化が多く行われたが、そちらは『4』から続くストーリーに区切りが付く事もあってか問題の解決が多く成されている。%%ラスボス関係の要素はさらに薄れたが%% ---- **問題点 ***難易度の大幅低下 -トリック自体は過去作に劣らず凝っているのだが、シナリオのヒントの多さにより難易度が低くなっているばかりか、システム自体が形骸化している部分も。 --特に問題なのがゲームオーバーになってもその場でコンティニューできる機能。これを行うと減ったゲージがMAXに回復した状態かつゲームオーバーになった個所から再開されるため、もはや''心証ゲージ自体が無意味なものと化している。'' --更に尋問で一定以上間違えるとパートナーがヒントをくれる機能も追加されており、初プレイ者を配慮した親切設計にしても、「行き届いている」を通り越して「行き過ぎ」になっている。 --本シリーズの推理要素に対する評価はそれなりに骨のある難易度にも裏打ちされていただけに、この易化を残念がる声も多く見られる。 --難易度の低下は同じく山崎氏の担当する『検事』シリーズからあったが、さすがにここまで難易度が低い訳ではなかった。 -法廷パートでは証拠品を突きつける時や怪しい箇所を指す時に主人公が独り言で何(どこ)を突き付けるべきかをプレイヤーに教える場面が従来よりかなり増えている。また証拠品の数も従来のシリーズに比べると減っている。 -ココロスコープ・カンガエルートなどの場面では''選択を間違えても一切ペナルティ(ダメージ)にならない''ため、間違えたい放題になってしまっている。 //--その代わりカンガエルートは、わざと間違った選択肢を楽しむ遊び方もあり、次回作のカンガエルートはネタ要素の強い選択肢が増えている。 --サイコロックも間違えた際のペナルティがなく、いずれも即座に解除できる。こちらも形骸化しているといえなくもない。 -探偵パートでは、何をするにしても「○○をしてみよう」「○○に行ってみよう」などキャラクターがかなりの頻度で次にとるべき行動を示すため、「自分で何かをする」という機会がかなり減っている。結果、「作業ゲー」と称されるまでに至っている。 --特定の話を聞くと自動的にマップ移動が起き、''次の場所へと勝手に移動してしまう''ため、どこで誰に話しかければよいのかがわからなくなって詰むという状況がほぼありえなくなっている。 -低難易度と便利機能がお互いに潰し合う状態になっており、新機能が一部空気化してしまっている。 --特に「探偵メモ」は謎解きに詰まった際の救済策として新たに追加されたものだが、これまでの逆転シリーズであればまだしも、''そもそも詰まりようがない本作''では、使う必要のない機能になってしまっている。 ***「調べる」コマンドの制限 -探偵パートの根幹であった「調べる」コマンドだが、本作では原則として''事件現場しか調べることができない。'' --逆転シリーズは背景にある小物を調べたときの、時折ギャグが混ざったテキストが好評であり、シリーズ共通の評価点の一つだった。しかし本作では「調べる」こと自体が制限されているため、そういったネタを探す余地がほぼなくなってしまっている。 ---本作では3Dの視点移動や動く小物など、「調べてみたい」という意欲をますます掻き立てられるシステムになっている。そのため、なぜ「調べる」コマンドを制限したのかがより一層わからなくなる。難易度の易化を狙ったのかもしれないが、やりすぎである。 ---「クイズ逆転推理」では本編で調べられない場所のものを調べることが可能だが、これは有料DLCである。特別編と違い値段は安めだが。 ***クセの強すぎる登場人物 -本作の登場人物は1~4キャラ以上にクセの強いキャラが多い。((法廷に持ち込んだ武器で証人・弁護人・裁判長を攻撃する検事''といった現実ではあり得ない要素はシリーズ初期から数え切れないほどあったため、法廷のコント化ぐらいなら気にしないプレイヤーもいるのだが。)) --裁判中に爆弾解体する機動隊、人の顔を見るや否や&bold(){「妖怪」と言って札を張ってくる少女}、&bold(){妖怪に乗っ取られたフリ}をする%%イタい%%中年のオッサン、裁判中にいきなり授業を始める教師、証言で追い詰められると&bold(){急に酸欠になり「助けてくれぇ」と叫ぶ}宇宙飛行士、法廷をセグウェイで乗り回し軍艦の艦長を気取る%%これまたイタい%%おじいちゃん等々。 //流石に言葉選びが悪いと思ったので注釈事削除しました。 --たしかに逆転裁判シリーズにはクセの強いキャラクターが多く登場するが、本作はそれに輪をかけた酷さで、中には&bold(){会話の通じない者までいる}。 --特に2話、3話、4話の証人は完全に&bold(){法廷を侮辱しているとしか思えないような態度を取り、}最終話の黒幕に至っては&bold(){裁判中にワイヤーで逃走しようとする、それも何回も}。 ---『2』のある人物は法廷でギャグを披露しようとして裁判長に厳しく注意され、ゆさぶりをしないよう勧告を受けたりしたが、今作は誰一人として注意する者はおらず、それどころか相手に乗せられてしまうばかり。 ---元々、本シリーズは続編を重ねるにつれて登場人物の色物具合が強まっている傾向にあり、本作は行きつくところまで来てしまったとも言える。 ***インパクトを重視「し過ぎた」シナリオ面 -PV等でも触れられているように本作では「法の暗黒時代」というキーワードが物語の主題として登場するが、本筋に活かせているとはいいがたい。 --これ自体は製作側から『4』で消化不良だったと明言された設定である。本作で語られたものは、要するに、証拠品の捏造や証言の強要が横行しているということを指すのだが、''今に始まった話ではない''。 #region(暗黒時代とシナリオとの関連) //region構文内に----を入れると表示上不自然なので削除しました -簡単に解説すると、「『4』の成歩堂追放事件とその一年後の事件が原因で法曹界への不信感は強まり、以降の法廷は捏造や隠蔽など手段を選ばない戦術が飛び交い、ますます法への不信感が強まるという悪循環」という状態である。 --成歩堂たち主人公が取る行動はこの「きっかけとなった事件の解決」であり、暗黒時代そのものに立ち向かうわけではない。 //-真犯人はいずれも巧妙な手段で罪を逃れようとするが、「暗黒時代」という点を生かす人物は少ない。そういう意味では『4』のラスボスなどの方がまだ活かしていると言える。 //影響されている人物自体はそれなりにいるのでCO。そのかわり表現を整理。 -この事実は5話で明かされるのだが、シナリオを振り返ると直接的な影響が出ているのはごく一部で、世界観にはこれといって大きな影響はない。 --真犯人が暗黒時代らしい行動をしたのは、第3話と最終話のみ。 --検事も暗黒時代に順応しているとはいえず、本作で明確にそういった様子を見せるのは第1話の亜内検事のみ。他の検事はむしろ対抗し、打開しようと動く者たちだけである。御剣の部下と言う都合上、あまりそちらに向けた人物を検事にすることはできなかったのかもしれないが。 --1話では市民運動にまで発展している事が触れられるが、そういう要素はそれきり出てこない。 //-後付けだから仕方ないとはいえ、前作では影も形も無かったのでポッと出感が強い。「暗黒時代」とスケール感はあるだけに尚更。 //--また前作では、「シリーズの根幹部分を形作っていた要素である序審法廷制度((当シリーズに登場する架空の制度。増加する犯罪に対抗するため、裁判を集中して3日で終わらせるというもの。もちろん本作でも扱われているが、前作では「法廷は証拠がすべてで、たとえ「誰が見ても明らか」であっても、明確な証拠を持って真犯人を告発できなければ被告人の無罪を勝ち取ることができない」という点が問題にされており、そのための対策として裁判員制度を取り入れたことになっている。))を問題視し、メスを入れ崩す」というある意味ゲーム世界をひっくり返すストーリーを作った上で、新制度を取り入れ法の新時代を迎えるような流れがあったのに、それが一切考慮されていない(それで前作のストーリーが破綻していたのはともかく)。 //--公式コンプリートガイドでは「『4』の時に「暗黒時代」という言葉は出ていたが、具体的に何なのか示すようなことはされてなかった」としている。しかし、『4』で言う「暗黒時代」は前述の序審法廷制度の問題だと考えられるのだが…。 -過去作と比べても、&font(b){本作の「暗黒時代」がそんな大層な物には見えない}。 --設定上、暗黒時代の開始は『3』の一年後ということになるが、逆転シリーズはそれ以前の時系列でも、強い権力を持ち証拠の隠蔽や捏造を図って主人公を苦しめ、多くの人々を不幸にしてきた大スケールの悪役が多数いる。 --尤も、「一部の権力を持った者たちの腐敗と暴挙」よりも「権力の有無に関係なくそのような蛮行がまかり通っている時代」という意味では確実に暗黒時代と言えるが、前述したように本作の検事・弁護士・犯人はほとんどその時代に応じた動きをしている描写は薄い。 -ファンに衝撃を与えたであろう「爆破され崩壊する法廷」も、暗黒時代そのものとはあまり関係ない事が第5話で発覚する。これは文字通り、ただ爆発に巻き込まれて法廷が破壊されただけである(テロで法廷が狙われた等ではない)。 --これについては公式コンプリートガイドで「法の崩壊」「暗黒時代」と言われても絵的にわかりづらいので、暗黒時代とは別に法廷の物理的な崩壊を描いた」という旨の発言があるが、暗黒時代と直接つながらないためかなりモヤモヤした雰囲気になってしまっている。 -このように”法廷崩壊””法の暗黒時代”などのキャッチフレーズに中身が名前負けしてしまった原因は、当初作られたストーリーがボツになってしまったために、ストーリーの枠組みが決まらないうちから人の目を引くインパクトのあるキャッチフレーズを決めてしまい、とにかく、インパクトのみに追求した話になってしまった事が、ファミ通のインタビューから推測される。 #endregion -''最終話の黒幕が姿を現してからの展開が不評。''真犯人の正体が発覚するまではともかく、そこからの追求が尻すぼみ気味。 --登場直後まではいいのだが、ある程度話が進むと小物臭さが露呈し、一気にラスボス感が薄れる。 --今作のテーマである『法の暗黒時代』そのものとの関連性で言えば、第3話の真犯人の方がよっぽどラスボスらしいとも指摘される。 --逆転裁判シリーズのラスボスは大物だったり主人公の因縁に関わっていたりと壮大な人物が多く、ほとんどのシリーズは最終話が大きな人気を得たりする。しかし、本作終盤はその点が弱く『5』の残念な点としてしばしば槍玉にあがる。 #region(終盤について) -4話と5話は事実上前後編となっており、4話で発生する事件を軸として主に心音と夕神検事の過去の因縁を掘り下げるのが大まかな内容。 --では、どの辺りがインパクト重視し過ぎなのかというと、事件の舞台及びきっかけが『宇宙開発事業』。そして黒幕は『世界を股に掛けるスパイ』である。 --心音と夕神検事の過去はともかく、この辺りは全く匂わせることなく登場する為、スケールも相まって唐突さが否めない。 --黒幕の小物臭さについては審理中の態度もそうなのだが、もっとも大きな物は『一切の感情がない』という特性を突き崩す事で発覚する『殺し屋につけ狙われている事に怯えていた』という事実。 ---裏社会で悪名を轟かせる世界的スパイが今更そんな事で恐怖しているというのは違和感がある。ラストに登場するだけの敵に『ギャップ萌え』のような物を狙ったとも思えない。 -王泥喜のバックボーンの掘り下げの一環として幼馴染の存在が初めて明かされ、序盤からなにかと(彼の代表的なセリフ「大丈夫です!」の原点でもある等)王泥喜の口から如何に大事な思い出かが語られる。 --初めて登場するのは4話。しかし、その役回りは事件被害者でありオープニングムービーにて顔も出ずセリフもないまま退場する。 --如何にも重要なポジションと思わせながら、劇中での扱いは設定の肉付けに止まってしまっている。 -5話終盤、事件を解決に導く準備が整うも「現在使用可能な法廷が空いていない」ために行き詰まる。今を逃せば黒幕を追い込む機会も無くなってしまう。そこで捻り出した打開策とは? --暗黒時代の項で触れた『爆破された法廷』の使用であった。もはや廃墟同然なのだが、傍聴人まで入廷している。 --普通なら危険すぎる為許可が出るはずがないという部分は逆転裁判なので置いておくにしても、そこはせめて関係者のみ参加にしておくべきでは(実際、他のシリーズ作品では関係者のみ参加というシチュエーションが存在する)。 --爆破が暗黒時代とはほぼ無関係だった事もあり「この展開がやりたかっただけでは?」という印象が拭えない。 #endregion //-その他にも、第3話の登場人物が馴れ合いじみた行為で物語のテンポを損ねるシーンが批判されやすい。 //項目と噛み合ってないのでCO ***演出面 -アニメシーンの問題。「シナリオ上ここにムービーを入れる必要があるのか?」というような場面が多い。 --例えば「王泥喜が投げ飛ばされるだけ」(ついでに会話シーンと微妙にやり取りが嚙み合っていない)。「ある人物が夢遊病らしいと聞いてその様子を想像する」等。 --唐突に挿入されるため、テンポも悪い。スキップは2周目以降しか出来ず、字幕も表示されない。 ---携帯機という都合上、屋外で音を消したままプレイするユーザーも存在する。タイミングが一定しない事も相まって、字幕の欠如はストーリーの理解に不都合が生まれる事も。 ---その後『大逆転裁判』や『6』では唐突なタイミングでムービーが流れる事が無くなり、字幕も表示可能になった。『大逆転裁判2』では、アニメムービーそのものが廃止された。 --製作現場での連携が取れていなかったのか、本編との整合性を欠いており首を傾げてしまうような内容のムービーも。 #region(例えば) ---- -つい数日前に入院するほどの大怪我を負った人物が、ムービーでは傷一つなくなっている。 -本編中の小道具として手作りのチョーカー(首輪)が登場し、それを作っているシーンがムービーで描かれるのだが、それを観る限りなんと''陶器製''である。 --作った人物が陶芸を嗜んでいることは本編でも描写されているが、まさか首輪まで陶器とは誰も思うまい。どうやって着けたのか謎である。 ---ただし、描かれたのはシリーズ屈指のギャグ回である第3話なので、ギャグ方面に茶化される事の方が多い。 ---- #endregion -全体的に演出が過剰で、テンポが悪い部分が多い。 --「法廷内で突然「待った!」がかかる→バン!という効果音と共に法廷内の人物に次々とカメラが切り替わる→大きな効果音と共に「待った!」をかけた人物を映し出す」というのはシリーズの定番演出であるが、本作ではそれがくどいほど多用される。 -立ち絵を3Dモデル化したことによる弊害。 --3Dモデル自体はよくできており、2D時代の雰囲気を壊さないまま臨場感を強化してくれているのだが…。 --問題はアニメムービーや、従来通りの一枚絵による2D画像も併用されていること。本作で新登場したゲストの中には、3Dと2Dで見た目が別人と化しており、同一人物と認識し辛いキャラクターが散見される。 ---既出のレギュラー陣に関しては、元々2Dだったデザインに配慮しモデル化したためか、ほとんど違和感ないのだが。 --いちいち3Dモデルのキャラクターが律儀にアクションするため、会話中における感情表現のテンポが悪くなっている。 ---2Dの立ち絵と違い、動作の中抜きができなくなったことによる弊害。従来なら2~3カットの立ち絵変化でパパッと済ませたようなアクションでも、3Dキャラは中途を省略できずフルで動かす必要がある。表現の違いによるテンポの変化に配慮せず、従来通りの感覚で動作を設定したのだろう。 ***その他 ''全体的なネタの減少'' -『蘇る逆転』『4』であった科学捜査も廃止されたり、行える場所がかなり制限されてしまっている。科学捜査は好評だっただけに惜しい。 --ルミノール試薬は特別編のある場所でしか使えない。また指紋検出がシナリオに登場するが、イベントで勝手に検出してしまう。プレイヤーが指紋を取り出し照合するというプロセスはない。 --3D証拠品は1度だけしか出ない上に、任意で調べる事が出来ない。 -証拠品を突きつけたときの反応も少なめ。全くないわけではないが、シナリオに関係ない証拠品にはあまり反応が返ってこない。 --また人物ファイルは『1(蘇る逆転)』『4』『検事』シリーズと同様、任意でつきつけることができない。そのため、人物についての反応も見ることはできない。 -ネタについても、セリフ回しなどについては「巧が担当した作品と比べ、言い回しがマトモすぎて面白みを感じない」という人も多い。 -「''キャタツとハシゴ''」のネタは本作でも登場するが、''従来のネタはこれくらい''である。これもほとんどの場所で「調べる」ことができなくなったことの影響ということができる。 --「調べる」ことができなければ、これまで「調べる」ことで登場していたネタを入れることができなくなるのは当然の結果である。 ''有料ダウンロードコンテンツの導入'' -本作の特徴として、シリーズでは初めてDLCが導入されたが、''全てが有料での配信''である((期間限定で無料や半額になっていたこともある。))。 -1つ1つのDLCの値段は高くないが、全てのコンテンツをダウンロードするとなると結構な金額となってしまう。 --当然ソフト自体が安ければそう言った声も少なくなるだろうが、本作は約6千円と3DSソフトの中でもどちらかと言えば高めの値段である。 ---一応、現在は3千円程度と安価で買える廉価版が発売されているため、この点については緩和されたとも取れる。 ---- **総評 //各種サイトでの評判、記事立ち上げ時の議論を見た上で修正。評価が固まったというよりは、プレイヤーによって評価が分かれている印象を受ける。 作品単体として見れば大きな問題や致命的な粗は無く、堅実にソツ無くまとまっている。逆転裁判シリーズの一作としては謙遜ない出来栄えであり、''4での致命的な失敗からシリーズを建て直した点''はシリーズファンから高い評価を得ることとなった。 一方で過去作と比較した場合、その好みはまちまち。「123に劣らない傑作」と支持するファンばかりではなく、「話としてはまとまっているが123に比べたら微妙」とする意見も根強く、この辺は個人差が現れる傾向にある。 作風の変化に戸惑った過去作プレイヤーは少なからずおり、本記事にもある長所や短所をどれだけ重視するかで楽しさは変わってくるだろう。 ([[次作>逆転裁判6]]も含め)従来のナンバリングとは異なった立ち位置で扱われる事が多いものの、結果的には続編として一定の支持を獲得した。 新シリーズの駆け出しとしてはまずまずの面白さであり、『検事』シリーズが受け入れられた人や逆裁シリーズを遊び尽くしたい人ならば、手に取ってみて損は無い一作である。 アプリ版はゲーム序盤が無料で遊べるので、そこで試してみるのもありだろう。 ---- **余談 -発売前のプロモーションではネタバレを避けるためか、ゲーム本編には全く出てこない内容でPVやスクリーンショットが作られていた。 --たとえば初期PVでは「動機がない」と主張するある人物にココロスコープを仕掛け、「弁護士について話す時だけ怒りの感情が出ている。弁護士に恨みがあることは動機になる」と指摘するという内容が紹介されたが、本編にそんな場面は一切出てこない。 ---このココロスコープの扱いが『4』のみぬくに近いことから、「新要素がまた言いがかりになるのではないか」という余計な不安をあおる一因になった。ちなみに、そのココロスコープを使った相手からは「しかし、証拠はない」と尤もな反応を示されている。 --他にも「カンガエルート」の説明で「子守唄」というキーワードが出ていたが、これも本編には登場しない。 --シリーズの体験版は第1話冒頭の内容を一部省略したものになっているのが定番なのだが、本作では特に法廷パートに入るまでの内容が大きく異なっている。 -インターネットラジオ「音泉」でボイスドラマが配信された。全5話で、キャストはゲーム版と同一だがゲストキャラの声優は不明。ドラマCDとしてボーナストラック追加で発売予定。殺人事件ではない。 --時系列的に設定が重ならない部分があり、パラレル設定だと思われる。 ---ココネを「希月さん」と呼んでいるはずの王泥喜に「ココネちゃん」と呼ばせるなど、多少違和感がある部分も。 ---なお、王泥喜は「手品のトリックを推理するなんて今まで経験がない」という旨の発言もする。''『4』でやっていたのは何だったのか。''また、心音の主張に【憶測じゃねーか!】と突っ込みを入れたくなる人も数多く居るだろう。 --声優の演技は素晴らしいが、前述通りその選出には賛否が分かれている。また5話という尺の短さなどから展開がかなり急で強引。 -発売から1年後にスマートフォン版の配信が開始。 --王泥喜の活躍ぶりを受けてか、ファミ通での紹介では成歩堂・王泥喜の二人が主人公として紹介された。 --『4』よりも前に配信開始している。 -カプコンのリズムゲーム『[[crossbeats REV.]]』に今作から「追求 ~最終プロモーションバージョン」が収録されている。
''専用掲示板での合意のもと、本記事は2020年6月に内容の見直しを行いました。'' ''旧記事での過剰とも言える粗探しは、荒らしまがいの行為により追記されたものであり、記事の立ち上げ初期から批判の声が相次いでいたものです。悪質な差し戻しを行った場合、通報される場合もあるのでご了承下さい。'' ''また、2019年12月には[[逆転裁判4]]の記事が修正されており、「逆転裁判」シリーズの記事で過剰な粗探しは行わなくなった事もご理解頂けるようお願いします。'' *逆転裁判5 【ぎゃくてんさいばんふぁいぶ】 |ジャンル|法廷バトル|&amazon(B00972R5B4)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売・開発元|カプコン|~| |発売日|2013年7月25日|~| |定価|5,990円|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |廉価版|Best Price!:2015年04月02日/2,990円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|成歩堂龍一、弁護士復帰&br()名実共に2代目主人公となった王泥喜法介&br()ギャグ志向が強いその他のキャラ・シナリオ方面&br()全体的に低難易度になったゲーム性には賛否&br()''『4』から色々な意味で見事な「逆転」を遂げた''|~| |>|>|CENTER:''[[逆転裁判シリーズ]]''| //ポイントについて、追加されたころのものに戻しました。 //変更する場合は、逆転裁判スレで確認を行ってからお願いします。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 「法廷バトル」でおなじみの『逆転裁判』本家の5作目。~ 前作『[[逆転裁判4]]』がその内容から(特に旧作ファンから)強い批判を受け、非常に長い期間本流シリーズの続編は途絶えたままであった。~ しかしスピンオフ『逆転検事』シリーズや『[[レイトン教授VS逆転裁判]]』などでシリーズの展開は続けられ、本作でついに本家が復活。''実に6年ぶりの正統続編''となった。 事前に発表された内容では''「『4』の直接の続編で、1年後の話」「先代主人公・成歩堂龍一の復活」という部分が大々的に押し出される。''このため『4』の肯定派否定派双方から物議を醸した。~ また本作では『4』以前でシナリオとディレクターを務め、以降も逆転シリーズの外部出演を監修していた巧舟がシリーズから完全に外れ、『検事』シリーズディレクターである山崎剛がシナリオ統括を担当することになった。この点についても山崎は既に『検事』シリーズで実績を見せていることや巧は『3』でシリーズを離れるつもりだった(から『4』の全責任を負うべきではない)という事情から賛否を呼んだ((なお、巧が参加しなかったのは山崎のオファーを断ったというだけの話であり、4の失敗で干されたわけではない事が判明している。))。 そうした複雑な事情が絡む中、ユーザーの期待と不安を背負って本作は発売された。 ---- **特徴 シナリオは、法曹界を包む''『法の暗黒時代』''での奮闘を描いたもの。弁護士復活を果たした成歩堂に加え、続投を果たした前作主人公・''王泥喜法介''、事務所の新メンバー・''希月心音''と共に、数々の難事件に立ち向かっていく。 「法廷爆破事件」というキャッチーな出来事に物語が始まり、エピソードごとに異なる主人公を描きながら、最後は心音のバックストーリーを中心に暗黒時代の終焉が描かれる。 システム面では『4』以前の形態を踏襲((『4』からは「みぬく」と「サイコ・ロック」を引き継いでおり、それぞれ王泥喜・成歩堂の特殊能力として使用。))しているが、以下のような新要素がある。 -グラフィックが3DCG化 --これまでは『検事』シリーズ含めイラストの取り込みやドット絵による完全2Dグラフィックだったが、本作では『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かし全て3DCGでの造形となった。登場人物はもちろん、背景グラフィックに至るまで全て3Dである。 --『レイトン教授VS逆転裁判』同様にカメラワークが多彩になり、演出で活用されているほか「調べる」コマンドで立体的に視点移動が行えるようになった。 --背景グラフィックの小物も動くようになった。風に揺られている旗など、動きが細かい。 --3D立体視対応。 -アニメーションムービーの搭載 --これもまた『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かしたもの。作画は『レイトン教授VS逆転裁判』同様にボンズが担当している。ただし『レイトン教授VS逆転裁判』とは異なり、本作は原則としてキャラクターが3DCGで描かれていることから、アニメーションと3DCGとのイラストの差が顕著に表れてしまっている。 -ココロスコープ --新ヒロイン・希月心音の使う特殊能力。証人の「感情」を機械と心音の能力で読み取り、発言内容と矛盾した感情について指摘、対話によって整理することで新たな情報を引き出す。 -カンガエルート --これまでに出てきた情報をまとめ、整理するもの。複数の情報から正しい情報を選択してつなげていくことで、真実に結びつく。逆転検事シリーズの「ロジック」に近いシステム。 -探偵メモ --探偵パートで使用する。今まで行った行動やこれからとるべき行動をまとめたメモで、中断した時や詰まった時などでも次の行動がわかりやすくなった。 --但し、後述するように本作は難易度が大幅に易化しているため、実際に探偵メモを使用する機会は少ない。 -ヒント機能 --法廷パートの尋問で一定回数間違うと、「相談する」というコマンドが追加される。弁護席で隣に立っているパートナーと相談し、ヒントをもらう((場合によってはほとんど答えにたどり着く。))ことができる。 -おまけモードの搭載 --背景のものを調べ、ある人物から出された問題を探し出しそれに回答するという内容の「クイズ逆転推理」が追加。プロローグのみ無料で、以降は有料DLCで配信。 --本編で見たアニメーションムービーはクリア後にギャラリーで確認できる。 -ダウンロードコンテンツへの対応 --機種の変化もあり、逆転シリーズとしては本作で初めてDLCに対応した((外部出演含めれば『レイトン教授VS逆転裁判』が先。))。 --前述した「クイズ逆転推理」の他、本編でプレイヤーキャラの服装を変更できるもの((成歩堂は『3』以前に、王泥喜は私服に、心音はセーラー服になる。))や、「特別編」と題した追加ストーリーが楽しめる。なお、本作のDLCは原則として有料である。 -ユーザーインターフェイスの大幅な改良 --未読スキップやバックログが搭載され一般的なADVに近くなった。また、証言の長さと現在見ているページが分かるようになった。 --セーブデータは2つまで作成可能。セーブ後もゲームを中断せずにそのまま続けられるようになった。 --チャプターセレクトの搭載。シナリオの1パートがチャプターごとに分けられ「はじめから」を選んだ際にさらに細かく途中から楽しめるようになる。 --裁判パートでゲームオーバーになった際、即座に続きから再挑戦できるようになった。『4』以前はゲームオーバーになった場合、中断セーブのデータを作成していないと裁判パートの冒頭からやり直しする必要があった。 --証拠品・人物ファイルは1ページ5個と表示数が減ったが、説明文を表示したまま切り替えられるようになった。 ---- **評価点 ***シナリオ面 -前述したように、かなり複雑な境遇にある本作はシナリオ面での危惧がかなり強かった。シリーズの特性上何より重視するべき部分であるためなおさらである。 //--確かに内容に関しては問題点の節でも詳細に指摘されているようにロジック・トリック・設定に推理ものとしては致命的といえる矛盾点が多いため『1』から『3』には及ばないとされながらも、『4』よりは良いという水準には達している。 //致命的な矛盾はその過去作でも十分確認されており、「逆裁シリーズはある程度のご都合主義、矛盾は許される」とも言える。ゆえに比較の基準として曖昧なのでCO //2020年6月の修正提案者が徹底的に調査しましたが、むしろ5は123と比べてそこまで粗が多くない事を確認しました(というか4も、3話の雑な畳み方や成歩堂失脚というセンシティブな題材に見合わない荒さが問題になっているのであって、整合性の完成度については3以前と変わらないです)。注意書きの通り、本記事の過度な粗探しは荒らしめいた追加をされており、「5のトリックが雑」というのは本記事が生んだ不本意なデマと言っても過言ではありません。 --しかし、蓋を開けて見ると不可解な破綻は無く、王道的なストーリーとして安定した出来栄えの一作となった。 --「暗黒時代」のフレーズに反し、明るくギャグタッチな作風が本作の特徴。 ---扱う事件はいつにもましてトンデモ要素が満載。「妖怪がいる事を前提に進む審理」「法曹専門の学園」など自由な雰囲気が特色となっており、例えるなら''カオスなホビーアニメ''や''『33分探偵』『時効警察』のようなコメディ系ミステリードラマ''のノリに近いかもしれない。 --他の検事スタッフ作品同様、良くも悪くも安定した作風は健在。熱い展開やスリリングな場面はきっちり抑えてくれている。 --特に好評なのが第3話と特別編。どちらも登場人物が強烈かつインパクトの強いセリフやシーンが多いため、やたら印象に残る(特に後者の真犯人の豹変はあまりにも衝撃的であり、事前情報なしだと成歩堂達共々驚愕すること間違いなし)。 ---後者は有料DLCで値段も800円とかなりのものだが、ボリュームも多く、配信されてから約1か月間半額だったことや、評価が高いこと、加えて定期的に割引されることもあって、強くは批判されていない。 --設定面で『4』で消化不良に終わった部分(「黒いサイコ・ロック」など)にある程度の補足や詳細な設定が加えられている。 ---『4』のネタバレに触れない程度に本作のシナリオを作り上げているため、本作単体でも楽しめる。 --過去作にまつわる話題や小ネタも意外と豊富。シリーズを通してのファンには嬉しい要素である。 -強烈な個性を持った登場人物 --主要人物・ゲストを問わずいずれも強烈なまでに個性的。 --キャラクター面の魅力は本作の語り草であり、最大の評価点と言っても過言ではない((一部魅力が全く感じられない者もいる))。 #region(長いので折り畳み。中程度のネタバレ含む) ---- -''成歩堂龍一が弁護士資格を再び獲得し、主人公として復帰。'' --一度主役を交代し、加えて『4』で人物像が大きく破壊されたということもあり復活に複雑な感情を抱くファンも多かったが、それでも逆転裁判の顔役として堂々の復活を遂げたことは評価したファンも多い。 --性格面では『3』以前と『4』の折衷(やや『4』に寄っている)といったところ。年を経てさらに部下を持って冷静な部分を見せつつも『3』以前の落ち着きがない部分もあり、底が知れない雰囲気になっている。これらは賛否が分かれる部分でもあるが、少なくとも明確に卑劣な行動をとることや堕落した部分はなくなっている。 --王泥喜および心音の師匠としても活躍。「ピンチのときほどふてぶてしく笑う」というお馴染みの信条もしっかり伝えてくれる。 -''前作『4』から主人公・王泥喜法介が引き続き登場。しかしただ登場しただけでは終わらない。'' --既に述べた成歩堂復活という点と『4』での扱いの悪さ、先立って公開されたロゴデザインと続報で一切触れられなかった事から本気でリストラを危惧したファンも多かった。 --いざ情報公開されてみると、今度はビジュアルが「''全身に包帯を巻き、鉢巻きのような長い眼帯で片目を隠し、今までの服装にさらにジャケットを袖を通さず羽織る''」というもので衝撃を与える。''スタッフから「ダークオドロキくん」と呼ばれ''、『4』で彼のデザインを担当した塗和也も衝撃を受け、さらに''能力が目と腕に関連したものなので「邪気眼」「波動拳でも出すのか?」「この歳になって発症か」などとネタにされた。''しかしシナリオ上、これらの服装すべてに重要な意味がある。 --彼もプレイヤーキャラとして使える。またパートナーとして後輩・心音にアドバイスや助け舟を出すなど、先輩としての風格も十分。 --『4』でほとんど触れられなかった過去の描写もわずかながら追加。親友の存在と彼の口癖「大丈夫ですっ!」についての設定が補足された。 --「熱い性格」の本領が発揮され、第1話では心音の友人を爆弾から庇って重傷を負い、第4話から最終話での葛藤や行動など、熱血漢の部分が押し出される。他にも「色恋沙汰に鈍感」「真面目過ぎる」一面も追加。 --以上の扱いから、彼の評価は『4』から大きく向上。''「ようやく主人公になれた」「彼が主役の続編が見たい」という声も出てくるようになった。''それを指し示すように''公式の人気投票では成歩堂を抑え見事に1位を獲得''している。 -''新ヒロイン・希月心音が登場。'' --これまでのヒロインと違い、明確に弁護士資格を有しているため「共に戦える」キャラクターとしてより押し出されている。 --彼女を操作するパートやシナリオもあり、ヒロインと言うより上記二名と並ぶ「第3の主人公」という扱い。 --表情が多彩。表情のデフォルメが他2名と比べて激しく、特に怒りの表情や髪を梳かしながら照れる表情はインパクトが強い。 --性格面でも感情豊かな人物でありあまり嫌みがなく、また首から下げている機械「モニ太」が彼女の本音を勝手にしゃべってしまうというギャグ展開も多い。全体的にはあまり活かしきれていない設定であるが、それでもたまに不意討ちを繰り出してプレイヤーの腹筋を突いてくる。 --彼女の過去や特殊能力「心理分析」がシナリオでもシステムでもしっかり絡んでくる。 ---なお、弁護士になった切っ掛け及び成歩堂と知り合った経緯などは、特別編で当人達が説明してくれる。 //彼女の人気はそれほどでもなく(公式人気投票で11位)、「顔芸がくどい」「モニ太の本音が死に設定」「過去の設定など不明な点・シナリオ内でも問題点あり」と賛否両論意見のため、ユガミ検事とまとめて「賛否両論点」行きでもよいのでは? //持ち上げすぎず叩き過ぎないよう、差し障りの無い表現に変更しました -ライバル検事・夕神迅は明確に主人公たちに過去のつながりによる対抗心を抱いているわけではない(繋がりそのものはあるが初登場の時には明確にはふれられない)が、なかなかの強敵。 --「囚人検事」という矛盾した肩書。そして容姿や、「黙りなァ!」のボイス、''手刀で斬撃(本当に物が切れる)を浴びせてくる''など、言動全体に漂う侍(浪人)のような雰囲気と不良っぽさが印象に残る。''自分が斬られる''ダメージモーションもインパクトは十分。 --「囚人」という身分上現場には出てこれないが、職務には自由奔放、死刑囚でありながら級長は緩やかでも心理的に暗い部分を出す事が少ないキャラ。牙琉と違い主人公にヒントを出すことも少なく、法廷の戦術的にもしっかり攻撃を仕掛けてくる。加えて、敗北した時も潔い態度を見せるなど、心音とは対照的な心静かなのキャラと言えるだろう。 --その反面、成歩堂世代の検事が見せた「有罪をかち取ろうと最後まで諦めずあがいてみせる」と言うシーンは皆無であり、職務に対して不真面目で主張に理屈が通らないためシナリオ的にはともかく、難易度的は居る意味があるのかわからないクラスで、また成歩堂世代の検事達が見せていた責任感が皆無である為に「大人」と言うよりも「やさぐれたニート」みたいな面もあるのだが、そういう雰囲気を利用した心象心理が秀逸で今までの検事達と違う変わった味を出している。加えて、上記の敗北時の態度もあって、彼らが見せることもあった敗北時の見苦しさ・往生際の悪さともほとんど縁がない。敗北時の腹いせも一切無いため、職務に不真面目な点もそこまでマイナスポイントにはなっていない。 -刑事役・番轟三も味がある人物。 --常に「正義」を掲げており、これまた職務に忠実。また夕神は更生できると常に叫び続けている、様々な意味で暑苦しい男。 --事件が起きると、すぐ駆けつけ依頼人を手早く逮捕してしまうが、その後当然行われるであろう捜査や検査をしていないなど捜査官として職務怠慢な点が多く、夕神を狼狽えさせる。 --また、「正義」という言葉に強い執着を持っているため心音の口車に乗り情報を渡してしまうこともしばしば。 --その一方で暴走した夕神を電気ショックなどで制止するなど刑事として無能というわけではない。 --個性的で笑いと正義に溢れたキャラクター像が人気を博し、人気投票でまさかの5位という大健闘を果たした。 //--しかし、諸事情(ネタバレ回避のため詳細は伏せる)から続編以降の作品への登場が絶望的であり、なまじキャラクターが好評なのも相まって「ほぼ同じ性格の親族を出して欲しい」といった意見も多い。 -『4』からみぬきと牙琉響也が引き続き登場。 --響也は第3話限りのゲストで検事として実際に法廷で戦う場面はないが、本作でのネタ扱いと過去の設定は好評である((その一方、「やっぱりライバルには向いてない」と思うファンも増えたとか。))。その一方でオマケコンテンツで王泥喜を弄り倒したり彼の何気ない一言に過剰反応したりと、王泥喜に対して多少なりとも『4』での出来事を引きずっている節が見られる。 --みぬきもシナリオに関わる機会が大幅に減り実質脇役になったものの、終盤ではある事件に巻き込まれ緊迫した状況を作り上げる。さらにはマジシャンの鑑ともいえる行動も見せており、彼女も精神的に成長していることが実感できる。 -''成歩堂の永遠のライバルにして『検事』シリーズ主人公・御剣怜侍が再登場。'' --検事局長に出世したという設定になっており、デザインもメガネをかけるようになったなど細かくリニューアル。(服装が全然違うので気持ち程度ではあるが)『1』『検事2』に登場した彼の父に似た容姿となっている。 --シナリオでは『4』以降の成歩堂の扱いなどをある程度補足している。さらに終盤では自ら法廷に立ち、久しぶりに成歩堂とのライバル対決を実現する。 -『3』以前の作品から綾里春美が登場。17歳に成長しており、現在でも綾里家との交流が続いていることを確認させてくれる。出番は少ないものの特別編で重要な役回りを演じてくれる。 --姿は直接登場しないが、真宵も健在であることを示す描写が入り、ファンを喜ばせた。 ---その後真宵は悲願を達成した茜共々『6』で登場した。 ---- #endregion ***システム面での改善や扱い -新システム・過去作から受け継いだシステム共にかなり気を使った調整がされている。 --『4』で言いがかりだと強い批判を受けた「みぬく」だが、第2話の法廷では検事に「インチキ」扱いされ妨害されてしまう。当然と言えば当然だが。 ---このため法廷パートでは事実上封印状態で、「みぬく」の出番は探偵パートに移行する((5話とボイスドラマでは法廷パートでも使用している。))。 ---ちなみに「みぬく」はボイスドラマでも使われていたが、こちらでは証人のくせを見た主人公たちが相談し、現場の状況と証言を合わせて不自然な部分に強いゆさぶりをかけるという説得力のあるものになっている。 ---5話目のみぬくも、あらかじめ許可を得た上で(言いがからずに)癖から推理して証拠品の隠された機能を暴くといった使い方を見せている((そもそも、みぬくが言いがかり扱いされやすいのは王泥喜の言い方がストレート過ぎるのも原因である。))。 --「ココロスコープ」も事前のシステム説明から「またみぬくの再来か」と批判を受けたが、作中では言いがかりにならないようある程度配慮されている。 ---基本的に弁護側の証人に対して行う。検察側の証人に対しても行うことがあるが、いずれも事前に裁判長に対して「証人を落ち着かせるため、カウンセリングを行う」と説明を入れる。 ---「みぬく」と違い作中の科学である程度実証されており、機械を使った分析になっているので説得力は強まっている。心音の問い詰め方もあまり強くはない((もちろん、そもそも感情を元に証言を引き出してよいのかという疑問は残る。))。 --カンガエルートの搭載で、事件の流れがわかりやすくなった。 ---過去作も「情報を整理する」という展開はあったが、本作はプレイヤーが選択肢でそれを行う形になるためより順を追って情報をまとめやすくなった。 ---演出も好評。畳み掛けるようにして暴かれる演出は爽快感を生み出しており、本作の新要素の中でも特に評価が高い。 --前作までは離れた場所に行くためには決められた場所を経由する必要があったが、今作では一発で移動できるようになっている。 --逆転シリーズはこれまで細かいオプションが設定できず、再プレイにやや不便な部分も多いシリーズ作品であったが、前述したようにUIの改良がおこなわれており、現在のアドベンチャーゲームとしてはある程度整った形態となった。 -グラフィックの出来もよい。 --3Dに変わったことで背景の細かい動きが表現されるようになった他、人物の造形なども秀逸。遠目に見ると2Dイラストと錯覚するほどの完成度で、2Dと3Dの造形の中間をうまく抑えた出来になっている。 ---実際に、3Dモデルでありながら、2D的表現が不自然にならないよう(パッと見では分からないよう)上手く使われている。 ---例:あるキャラクターが怒って腕をメチャクチャに振り上げるシーンで、腕が何本か増えて振り回している感を演出している((静止画で見ないと増えていることに気付きづらい。))。 --立体視に対応していることもあり、見栄えはよい。 --モーションも出来がよく、真犯人のブレイクモーションは3Dであることを生かしたカメラワークやギミックも存分に使われており全体的に派手。 ***BGM -BGMは『3』および『検事』シリーズで作曲を担当した岩垂徳行が担当。ハードの移行もあってストリーミング再生に変更され音質が大幅に向上している。 --曲数は既存のアレンジ、アニメパートで流れる短い曲や特別編の追加曲を含めシリーズ最多の67曲に上る。 --特に好評なのが王泥喜の「異議あり!」に相当する「新章開廷!」のアレンジ。法廷パートのアレンジはオーケストラアレンジ版が元となっており、探偵パートではまた別のアレンジが使われている。 --他には「追求 ~追いつめまくれ」も好評。これまでの追求とは雰囲気が異なるが、使われる場面も多く何度も聞くと好きになってくるスルメ曲という評価が強い。 --サウンドトラックでは曲の最後に独自の終結部が追加されている。『4』や『検事』では未収録だった追求のバリエーションや、ボーナストラックとしてPVで使われていた追求のアレンジも収録。 ---- **賛否両論点 ***作風の変化 -先述の通り、本作のシナリオはこれまで逆転裁判シリーズを担当していた巧舟から検事シリーズ担当の山﨑剛氏に交代している。 --それゆえ『4』以前と比較してノリが違うと指摘されることが多く、特に独特のセリフ回し(いわゆるタクシュー節)がなりを潜めてしまった点を惜しむ声も少なくはない。 //--また、本作は過去作品の設定を使っている場面が少なく、完全オリジナル作といわれてもおかしくない出来となってしまっており、シリーズファンにはあまり楽しめない仕様となってしまっている。 //悪意しかない文章なので、CO。個人の主観をファンの総意のように記載するのは、いかがなのものか。明確な根拠があるなら示してください。 -1つのシナリオとしては大きな破綻はなく及第点にまとまっているものの、伏線など全く用意せずにその場しのぎで話を進めている場面もあり、事件の統合性、描写などロジック面に致命的な欠陥も散見される。 --ただし、こうした致命的な矛盾自体はシリーズ全体を通して毎回何かしら指摘されており、逆転裁判ユーザーの中にはむしろ整合性よりも、ゲーム展開やケレン味のあるトリックを重視する層も少なくはない。 --一方で、後述する難易度の低さ、シナリオライターの降板もあいまって過去作では気にならなかったシナリオの難点が目についてしまう層も存在する。 ---''本作のシナリオにおけるマイナス要因がゲームの楽しみを妨げるかどうかは、プレイヤーの個人差に依る部分もある事を特記しておく。'' //#region(主な批判点。ネタバレ注意) //-第1話でメインの導入部分を作っておきながら、シナリオの本筋にかかわる部分は第4話からの始動となり、全体の展開が遅く感じる。なお、第4話と第5話は繋がった事件であるため、実質的には4つの事件が収録されていることになる(特別編を入れて5つ)。 //-第4話と最終話は事実上一つの話としてつながった構成になっており、最終話の法廷パート・探偵パートはともに少ない(一つの話として見れば、法廷パート3回・探偵パート2回と歴代の最終話と遜色ないボリュームではある)。~ //特別編を除くと実質全4話といえる構成であり、本編のボリュームは目減りした感じがある。 //--第1話はシリーズでは唯一2日目の法廷パートがあるが、ボリューム自体はこれまでとそれほど変わらない。 //--『1(蘇る逆転)』では序審法廷制度の最終日となる3日目まで法廷パートが持ち越されることもあったが、本作は『4』までと同様最大2日目まで。 //---スタッフは歴代でもボリュームが多いことを売りにしていたが、本編はあえて強調する程ボリュームがあるわけではない。DLCやおまけを含めれば確かに最大ではあるが。 //主観が多い上にあっさり反証を挙げられてる内容ばっかりなのでCO。何れにせよ言いがかりめいた物を感じる。 //-シナリオが進むにつれ、彼女が18歳という若さで弁護士になろうとする「一刻を争う動機」は明らかになったのだが、本当に「一刻を争う動機」にもかかわらず彼女は何の行動もしていない、どういうことなのだろうか? -本作で復活を遂げた主人公、成歩堂龍一のキャラクター性には賛否がある。 --断りを入れておくと、主人公として復活を果たした点については高く評価されている。 --先述の通り、本作では部下を見守る上司としての側面が強調され、続く『6』でもこのキャラ付けとなっている。しかし裏を返すと「『3』以前の(いい意味で)ドジで未熟な面」が薄まってしまったとも言える。 --このため、過去作のファンの中には「『4』以降のナルホドくんは受け入れられない」という者も。 --尤も、本シリーズは初期3部作で彼の成長を描き切ってしまっているため、シリーズ展開が続いたことによる避けられない弊害でもある。 ***システム -ココロスコープ --配慮はされてはいるが、推理要素抜きにストーリーが進んでしまう本システムを受け入れられないプレイヤーは少なくはない。 --この装置の使用が認められるプロセスは最終話にしか描かれておらず、チートアイテムのように見えてしまう一面がある。 -「みぬくはインチキだから法廷では使えない」と前作の不評を踏まえた仕様にしたのに、(理由があるとは言え)最終話の法廷で結局使用する。ただし、上記の様に法廷で使用したケースは事前に許可をもらってから使用している。 //上記で書かれている通り、不正行為というほどの使われ方はされていないのでコメントアウト。 //ここの展開が不評なのは確かなので文面変えて復帰 ***BGM -今までは証言・尋問の中盤から終盤で用いられていた「尋問 ~アレグロ」は流れる場面が極端に少なくなり、2日目の終盤ぐらいでしか使われない。第4話に至っては前編ということもあってか一度も流れず、盛り上がりに欠ける。 --流れる場面がほぼ真犯人の尋問に限定されている割には、『検事』シリーズの「対決 ~プレスト」のような盛り上がりが今一つという意見も見られた。 --尋問のBGMはこれまでの『裁判』シリーズ同様、アレグロまで。「プレスト」は本作にはない。 -法廷パートのクライマックスに近づいた時に流れる「真実は告げる」も、本作では追求が流れる回数が多い分少なくなっている。役割が逆では。 --曲自体の出来はいいのに、使い方が下手という意味では『4』の追求に通じるものがある。ちなみに『4』は逆に「真実は告げる」の流れる機会が多かった。 -さらに最も指摘されているのが「追求」で、劇中ことある毎にひっきりなしに流れるため、本来展開を盛り上げるBGMなのにその役割をあまり果たせていない。前作の「流れなさ過ぎ」という批判を受けて回数を増やしたのだろうが、今度は「多すぎる」と言われることに。 ***ボイス -『逆転裁判』シリーズでは「異議あり!」などの声を社員が当てるのが定番だったが、''本作のキャラクターの音声はプロの声優が担当した。'' --本作ではアニメーションの追加などで、「異議あり!」のような短いシステムボイスだけでなく長いセリフを当てる必要が出てきたことと、録音環境の向上やハードのスペック向上などで高音質のボイスを入れられるようになったことなどからスタッフの声では無理があると判断されたものだと思われる。 ---たとえば『4』以前の成歩堂役の巧舟の声は『レイトン教授VS逆転裁判』のおまけ要素として導入が予定(没になったが)されており、イベントで新緑版が配布されたのだが、その音声を聞くとゲーム版とは大きく印象が異なって聞こえる。このことを考えると、本作で無理にスタッフを使わなかったことは一概に否定できる要素ではない。 -しかし、声優の選出自体にも賛否が分かれている。『4』以前のキャラについてはPVやTGS特別法廷などで担当したキャストがそのまま続投しているが、演技にも賛否が分かれている。 --成歩堂の演技について、本作の声優は『4』以前のPVやTGS特別法廷でも成歩堂を担当していた近藤孝行なのだが、本作では演技の雰囲気が以前から大きく変わったどことなく落ち着いた(あるいはスカしたような)雰囲気で「違和感がある」という批判が強い。しかし声質は『4』以前の巧に近く、演技も前述通り成歩堂の人物像が変化しており『3』からかなり年月が経った設定であることから受け入れたファンも多い。また『レイトン教授VS』の成宮寛貴が滑舌が悪く棒読みだと批判が強かったこともあり、近藤に声優が戻ったこと自体を評価されていることもある。 --御剣もまたこれまでのPV同様に竹本英史が演じているが、初期PVに比べどことなく粘着質でくどい喋り方になっており批判が強い。この批判については『検事2』のドラマCDのころから存在する。また「異議あり」の音声もこれまでゲームで声を担当していた岩元辰郎の声質とは大きく異なっている。 --その一方で王泥喜を担当したKENN、夕神を担当した咲野俊介、番轟三を担当した佐藤美一についてははまり役と好評である。 ***その他 ''皆勤キャラクターの不採用'' -これまで皆勤賞だった人物や一部主要人物が外れることになった。 --亜内検事はこれまで「第1話の対戦相手」として定番だったのだが、本作では彼の弟が登場。そちらに立場を譲っている。 ---時系列と年齢((前作の時点で61歳。))から考えると、おそらく定年退職が理由であると考えられる。 --糸鋸刑事も登場しない。彼は『検事』シリーズまで含めて皆勤賞という貴重な存在だったのだが、今回でそれを逃すことになった((「クイズ逆転推理」では彼を連想させるテキストがある。))。 //--『4』の刑事役だった宝月茜も登場せず。『4』の主要人物では設定上登場不可能なあるキャラを除き唯一外れることになった。 --また『検事』シリーズが初登場の人物は一切登場しない。 --しかし裁判長は同一人物である。設定では『1』から実に10年目になるのに、全く容姿や性格に変化がない。本編シリーズでは成歩堂以外で唯一の皆勤キャラとなっている。 ---ただしそんな彼も『検事2』では登場していないため、(背景出演などの特殊なケースを除いて)純粋な意味での皆勤キャラは糸鋸刑事を最後に今回で潰えることになった。 -ただし、『1』から10年経っている事や作品を重ねるごとにキャラクターの入れ替わりがあることは当然であるため、一概に問題点とすることもできない。 ''『4』との関係'' -「あの状況から『4』を抹消せず続編を作り上げた」という点を評価する声も多い一方、消化不良についていくつか解決しつつも全ての問題の解決がされたわけではない。 --そこを置いておくにしても、重要部分に触れられず((特に終盤に出てくる重大な設定等は丸々消えている。))『4』の設定やキャラを持ち込んだ続編でありながら、「『4』をなかったことにして仕切り直しにしようとしている」とも見え、どっちつかずな所がある。 --これは『4』自体がかなり微妙なところの作品で、あまりにフォローがしがたい問題点が多く、『4』を完全に抹消しようとも、引き継いですべてに穴を埋めようとするにしても、どうしても祖語が生じてしまうから…と解釈されているが真相は定かでない。 --『4』のネタバレに深く触れることもできないのでやむを得ないという解釈もあるが、検事シリーズを含めた過去作では『物語上重要な事項であれば過去作のネタバレであっても触れていた』ので考えにくい。%%ここを掘り下げると、ただでさえネタキャラ扱いの『4』ラスボスがかわいそうなことになってしまう%% --続く『6』でも『4』及び本作で説明しきれなかった部分の消化が多く行われたが、そちらは『4』から続くストーリーに区切りが付く事もあってか問題の解決が多く成されている。%%ラスボス関係の要素はさらに薄れたが%% ---- **問題点 ***難易度の大幅低下 -トリック自体は過去作に劣らず凝っているのだが、シナリオのヒントの多さにより難易度が低くなっているばかりか、システム自体が形骸化している部分も。 --特に問題なのがゲームオーバーになってもその場でコンティニューできる機能。これを行うと減ったゲージがMAXに回復した状態かつゲームオーバーになった個所から再開されるため、もはや''心証ゲージ自体が無意味なものと化している。'' --更に尋問で一定以上間違えるとパートナーがヒントをくれる機能も追加されており、初プレイ者を配慮した親切設計にしても、「行き届いている」を通り越して「行き過ぎ」になっている。 --本シリーズの推理要素に対する評価はそれなりに骨のある難易度にも裏打ちされていただけに、この易化を残念がる声も多く見られる。 --難易度の低下は同じく山崎氏の担当する『検事』シリーズからあったが、さすがにここまで難易度が低い訳ではなかった。 -法廷パートでは証拠品を突きつける時や怪しい箇所を指す時に主人公が独り言で何(どこ)を突き付けるべきかをプレイヤーに教える場面が従来よりかなり増えている。また証拠品の数も従来のシリーズに比べると減っている。 -ココロスコープ・カンガエルートなどの場面では''選択を間違えても一切ペナルティ(ダメージ)にならない''ため、間違えたい放題になってしまっている。 //--その代わりカンガエルートは、わざと間違った選択肢を楽しむ遊び方もあり、次回作のカンガエルートはネタ要素の強い選択肢が増えている。 --サイコロックも間違えた際のペナルティがなく、いずれも即座に解除できる。こちらも形骸化しているといえなくもない。 -探偵パートでは、何をするにしても「○○をしてみよう」「○○に行ってみよう」などキャラクターがかなりの頻度で次にとるべき行動を示すため、「自分で何かをする」という機会がかなり減っている。結果、「作業ゲー」と称されるまでに至っている。 --特定の話を聞くと自動的にマップ移動が起き、''次の場所へと勝手に移動してしまう''ため、どこで誰に話しかければよいのかがわからなくなって詰むという状況がほぼありえなくなっている。 -低難易度と便利機能がお互いに潰し合う状態になっており、新機能が一部空気化してしまっている。 --特に「探偵メモ」は謎解きに詰まった際の救済策として新たに追加されたものだが、これまでの逆転シリーズであればまだしも、''そもそも詰まりようがない本作''では、使う必要のない機能になってしまっている。 ***「調べる」コマンドの制限 -探偵パートの根幹であった「調べる」コマンドだが、本作では原則として''事件現場しか調べることができない。'' --逆転シリーズは背景にある小物を調べたときの、時折ギャグが混ざったテキストが好評であり、シリーズ共通の評価点の一つだった。しかし本作では「調べる」こと自体が制限されているため、そういったネタを探す余地がほぼなくなってしまっている。 ---本作では3Dの視点移動や動く小物など、「調べてみたい」という意欲をますます掻き立てられるシステムになっている。そのため、なぜ「調べる」コマンドを制限したのかがより一層わからなくなる。難易度の易化を狙ったのかもしれないが、やりすぎである。 ---「クイズ逆転推理」では本編で調べられない場所のものを調べることが可能だが、これは有料DLCである。特別編と違い値段は安めだが。 ***クセの強すぎる登場人物 -本作の登場人物は1~4キャラ以上にクセの強いキャラが多い。((法廷に持ち込んだ武器で証人・弁護人・裁判長を攻撃する検事''といった現実ではあり得ない要素はシリーズ初期から数え切れないほどあったため、法廷のコント化ぐらいなら気にしないプレイヤーもいるのだが。)) --裁判中に爆弾解体する機動隊、人の顔を見るや否や&bold(){「妖怪」と言って札を張ってくる少女}、&bold(){妖怪に乗っ取られたフリ}をする%%イタい%%中年のオッサン、裁判中にいきなり授業を始める教師、証言で追い詰められると&bold(){急に酸欠になり「助けてくれぇ」と叫ぶ}宇宙飛行士、法廷をセグウェイで乗り回し軍艦の艦長を気取る%%これまたイタい%%おじいちゃん等々。 //流石に言葉選びが悪いと思ったので注釈事削除しました。 --たしかに逆転裁判シリーズにはクセの強いキャラクターが多く登場するが、本作はそれに輪をかけた酷さで、中には&bold(){会話の通じない者までいる}。 --特に2話、3話、4話の証人は完全に&bold(){法廷を侮辱しているとしか思えないような態度を取り、}最終話の黒幕に至っては&bold(){裁判中にワイヤーで逃走しようとする、それも何回も}。 ---『2』のある人物は法廷でギャグを披露しようとして裁判長に厳しく注意され、ゆさぶりをしないよう勧告を受けたりしたが、今作は誰一人として注意する者はおらず、それどころか相手に乗せられてしまうばかり。 ---元々、本シリーズは続編を重ねるにつれて登場人物の色物具合が強まっている傾向にあり、本作は行きつくところまで来てしまったとも言える。 ***インパクトを重視「し過ぎた」シナリオ面 -PV等でも触れられているように本作では「法の暗黒時代」というキーワードが物語の主題として登場するが、本筋に活かせているとはいいがたい。 --これ自体は製作側から『4』で消化不良だったと明言された設定である。本作で語られたものは、要するに、証拠品の捏造や証言の強要が横行しているということを指すのだが、''今に始まった話ではない''。 #region(暗黒時代とシナリオとの関連) //region構文内に----を入れると表示上不自然なので削除しました -簡単に解説すると、「『4』の成歩堂追放事件とその一年後の事件が原因で法曹界への不信感は強まり、以降の法廷は捏造や隠蔽など手段を選ばない戦術が飛び交い、ますます法への不信感が強まるという悪循環」という状態である。 --成歩堂たち主人公が取る行動はこの「きっかけとなった事件の解決」であり、暗黒時代そのものに立ち向かうわけではない。 //-真犯人はいずれも巧妙な手段で罪を逃れようとするが、「暗黒時代」という点を生かす人物は少ない。そういう意味では『4』のラスボスなどの方がまだ活かしていると言える。 //影響されている人物自体はそれなりにいるのでCO。そのかわり表現を整理。 -この事実は5話で明かされるのだが、シナリオを振り返ると直接的な影響が出ているのはごく一部で、世界観にはこれといって大きな影響はない。 --真犯人が暗黒時代らしい行動をしたのは、第3話のみ。 --検事も暗黒時代に順応しているとはいえず、本作で明確にそういった様子を見せるのは第1話の亜内検事のみ。他の検事はむしろ対抗し、打開しようと動く者たちだけである。御剣の部下と言う都合上、あまりそちらに向けた人物を検事にすることはできなかったのかもしれないが。 --1話では市民運動にまで発展している事が触れられるが、そういう要素はそれきり出てこない。 //-後付けだから仕方ないとはいえ、前作では影も形も無かったのでポッと出感が強い。「暗黒時代」とスケール感はあるだけに尚更。 //--また前作では、「シリーズの根幹部分を形作っていた要素である序審法廷制度((当シリーズに登場する架空の制度。増加する犯罪に対抗するため、裁判を集中して3日で終わらせるというもの。もちろん本作でも扱われているが、前作では「法廷は証拠がすべてで、たとえ「誰が見ても明らか」であっても、明確な証拠を持って真犯人を告発できなければ被告人の無罪を勝ち取ることができない」という点が問題にされており、そのための対策として裁判員制度を取り入れたことになっている。))を問題視し、メスを入れ崩す」というある意味ゲーム世界をひっくり返すストーリーを作った上で、新制度を取り入れ法の新時代を迎えるような流れがあったのに、それが一切考慮されていない(それで前作のストーリーが破綻していたのはともかく)。 //--公式コンプリートガイドでは「『4』の時に「暗黒時代」という言葉は出ていたが、具体的に何なのか示すようなことはされてなかった」としている。しかし、『4』で言う「暗黒時代」は前述の序審法廷制度の問題だと考えられるのだが…。 -過去作と比べても、&font(b){本作の「暗黒時代」がそんな大層な物には見えない}。 --設定上、暗黒時代の開始は『3』の一年後ということになるが、逆転シリーズはそれ以前の時系列でも、強い権力を持ち証拠の隠蔽や捏造を図って主人公を苦しめ、多くの人々を不幸にしてきた大スケールの悪役が多数いる。 --尤も、「一部の権力を持った者たちの腐敗と暴挙」よりも「権力の有無に関係なくそのような蛮行がまかり通っている時代」という意味では確実に暗黒時代と言えるが、前述したように本作の検事・弁護士・犯人はほとんどその時代に応じた動きをしている描写は薄い。 -ファンに衝撃を与えたであろう「爆破され崩壊する法廷」も、暗黒時代そのものとはあまり関係ない事が第5話で発覚する。これは文字通り、ただ爆発に巻き込まれて法廷が破壊されただけである(テロで法廷が狙われた等ではない)。 --これについては公式コンプリートガイドで「法の崩壊」「暗黒時代」と言われても絵的にわかりづらいので、暗黒時代とは別に法廷の物理的な崩壊を描いた」という旨の発言があるが、暗黒時代と直接つながらないためかなりモヤモヤした雰囲気になってしまっている。 -このように”法廷崩壊””法の暗黒時代”などのキャッチフレーズに中身が名前負けしてしまった原因は、当初作られたストーリーがボツになってしまったために、ストーリーの枠組みが決まらないうちから人の目を引くインパクトのあるキャッチフレーズを決めてしまい、とにかく、インパクトのみに追求した話になってしまった事が、ファミ通のインタビューから推測される。 #endregion -''最終話の黒幕が姿を現してからの展開が不評。''真犯人の正体が発覚するまではともかく、そこからの追求が尻すぼみ気味。 --登場直後まではいいのだが、ある程度話が進むと小物臭さが露呈し、一気にラスボス感が薄れる。 --今作のテーマである『法の暗黒時代』そのものとの関連性で言えば、第3話の真犯人の方がよっぽどラスボスらしいとも指摘される。 --逆転裁判シリーズのラスボスは大物だったり主人公の因縁に関わっていたりと壮大な人物が多く、ほとんどのシリーズは最終話が大きな人気を得たりする。しかし、本作終盤はその点が弱く『5』の残念な点としてしばしば槍玉にあがる。 #region(終盤について) -4話と5話は事実上前後編となっており、4話で発生する事件を軸として主に心音と夕神検事の過去の因縁を掘り下げるのが大まかな内容。 --では、どの辺りがインパクト重視し過ぎなのかというと、事件の舞台及びきっかけが『宇宙開発事業』。そして黒幕は『世界を股に掛けるスパイ』である。 --心音と夕神検事の過去はともかく、この辺りは全く匂わせることなく登場する為、スケールも相まって唐突さが否めない。 --黒幕の小物臭さについては審理中の態度もそうなのだが、もっとも大きな物は『一切の感情がない』という特性を突き崩す事で発覚する『殺し屋につけ狙われている事に怯えていた』という事実。 ---裏社会で悪名を轟かせる世界的スパイが今更そんな事で恐怖しているというのは違和感がある。ラストに登場するだけの敵に『ギャップ萌え』のような物を狙ったとも思えない。 -王泥喜のバックボーンの掘り下げの一環として幼馴染の存在が初めて明かされ、序盤からなにかと(彼の代表的なセリフ「大丈夫です!」の原点でもある等)王泥喜の口から如何に大事な思い出かが語られる。 --初めて登場するのは4話。しかし、その役回りは事件被害者でありオープニングムービーにて顔も出ずセリフもないまま退場する。 --如何にも重要なポジションと思わせながら、劇中での扱いは設定の肉付けに止まってしまっている。 -5話終盤、事件を解決に導く準備が整うも「現在使用可能な法廷が空いていない」ために行き詰まる。今を逃せば黒幕を追い込む機会も無くなってしまう。そこで捻り出した打開策とは? --暗黒時代の項で触れた『爆破された法廷』の使用であった。もはや廃墟同然なのだが、傍聴人まで入廷している。 --普通なら危険すぎる為許可が出るはずがないという部分は逆転裁判なので置いておくにしても、そこはせめて関係者のみ参加にしておくべきでは(実際、他のシリーズ作品では関係者のみ参加というシチュエーションが存在する)。 --爆破が暗黒時代とはほぼ無関係だった事もあり「この展開がやりたかっただけでは?」という印象が拭えない。 #endregion //-その他にも、第3話の登場人物が馴れ合いじみた行為で物語のテンポを損ねるシーンが批判されやすい。 //項目と噛み合ってないのでCO ***演出面 -アニメシーンの問題。「シナリオ上ここにムービーを入れる必要があるのか?」というような場面が多い。 --例えば「王泥喜が投げ飛ばされるだけ」(ついでに会話シーンと微妙にやり取りが嚙み合っていない)。「ある人物が夢遊病らしいと聞いてその様子を想像する」等。 --唐突に挿入されるため、テンポも悪い。スキップは2周目以降しか出来ず、字幕も表示されない。 ---携帯機という都合上、屋外で音を消したままプレイするユーザーも存在する。タイミングが一定しない事も相まって、字幕の欠如はストーリーの理解に不都合が生まれる事も。 ---その後『大逆転裁判』や『6』では唐突なタイミングでムービーが流れる事が無くなり、字幕も表示可能になった。『大逆転裁判2』では、アニメムービーそのものが廃止された。 --製作現場での連携が取れていなかったのか、本編との整合性を欠いており首を傾げてしまうような内容のムービーも。 #region(例えば) ---- -つい数日前に入院するほどの大怪我を負った人物が、ムービーでは傷一つなくなっている。 -本編中の小道具として手作りのチョーカー(首輪)が登場し、それを作っているシーンがムービーで描かれるのだが、それを観る限りなんと''陶器製''である。 --作った人物が陶芸を嗜んでいることは本編でも描写されているが、まさか首輪まで陶器とは誰も思うまい。どうやって着けたのか謎である。 ---ただし、描かれたのはシリーズ屈指のギャグ回である第3話なので、ギャグ方面に茶化される事の方が多い。 ---- #endregion -全体的に演出が過剰で、テンポが悪い部分が多い。 --「法廷内で突然「待った!」がかかる→バン!という効果音と共に法廷内の人物に次々とカメラが切り替わる→大きな効果音と共に「待った!」をかけた人物を映し出す」というのはシリーズの定番演出であるが、本作ではそれがくどいほど多用される。 -立ち絵を3Dモデル化したことによる弊害。 --3Dモデル自体はよくできており、2D時代の雰囲気を壊さないまま臨場感を強化してくれているのだが…。 --問題はアニメムービーや、従来通りの一枚絵による2D画像も併用されていること。本作で新登場したゲストの中には、3Dと2Dで見た目が別人と化しており、同一人物と認識し辛いキャラクターが散見される。 ---既出のレギュラー陣に関しては、元々2Dだったデザインに配慮しモデル化したためか、ほとんど違和感ないのだが。 --いちいち3Dモデルのキャラクターが律儀にアクションするため、会話中における感情表現のテンポが悪くなっている。 ---2Dの立ち絵と違い、動作の中抜きができなくなったことによる弊害。従来なら2~3カットの立ち絵変化でパパッと済ませたようなアクションでも、3Dキャラは中途を省略できずフルで動かす必要がある。表現の違いによるテンポの変化に配慮せず、従来通りの感覚で動作を設定したのだろう。 ***その他 ''全体的なネタの減少'' -『蘇る逆転』『4』であった科学捜査も廃止されたり、行える場所がかなり制限されてしまっている。科学捜査は好評だっただけに惜しい。 --ルミノール試薬は特別編のある場所でしか使えない。また指紋検出がシナリオに登場するが、イベントで勝手に検出してしまう。プレイヤーが指紋を取り出し照合するというプロセスはない。 --3D証拠品は1度だけしか出ない上に、任意で調べる事が出来ない。 -証拠品を突きつけたときの反応も少なめ。全くないわけではないが、シナリオに関係ない証拠品にはあまり反応が返ってこない。 --また人物ファイルは『1(蘇る逆転)』『4』『検事』シリーズと同様、任意でつきつけることができない。そのため、人物についての反応も見ることはできない。 -ネタについても、セリフ回しなどについては「巧が担当した作品と比べ、言い回しがマトモすぎて面白みを感じない」という人も多い。 -「''キャタツとハシゴ''」のネタは本作でも登場するが、''従来のネタはこれくらい''である。これもほとんどの場所で「調べる」ことができなくなったことの影響ということができる。 --「調べる」ことができなければ、これまで「調べる」ことで登場していたネタを入れることができなくなるのは当然の結果である。 ''有料ダウンロードコンテンツの導入'' -本作の特徴として、シリーズでは初めてDLCが導入されたが、''全てが有料での配信''である((期間限定で無料や半額になっていたこともある。))。 -1つ1つのDLCの値段は高くないが、全てのコンテンツをダウンロードするとなると結構な金額となってしまう。 --当然ソフト自体が安ければそう言った声も少なくなるだろうが、本作は約6千円と3DSソフトの中でもどちらかと言えば高めの値段である。 ---一応、現在は3千円程度と安価で買える廉価版が発売されているため、この点については緩和されたとも取れる。 ---- **総評 //各種サイトでの評判、記事立ち上げ時の議論を見た上で修正。評価が固まったというよりは、プレイヤーによって評価が分かれている印象を受ける。 作品単体として見れば大きな問題や致命的な粗は無く、堅実にソツ無くまとまっている。逆転裁判シリーズの一作としては謙遜ない出来栄えであり、''4での致命的な失敗からシリーズを建て直した点''はシリーズファンから高い評価を得ることとなった。 一方で過去作と比較した場合、その好みはまちまち。「123に劣らない傑作」と支持するファンばかりではなく、「話としてはまとまっているが123に比べたら微妙」とする意見も根強く、この辺は個人差が現れる傾向にある。 作風の変化に戸惑った過去作プレイヤーは少なからずおり、本記事にもある長所や短所をどれだけ重視するかで楽しさは変わってくるだろう。 ([[次作>逆転裁判6]]も含め)従来のナンバリングとは異なった立ち位置で扱われる事が多いものの、結果的には続編として一定の支持を獲得した。 新シリーズの駆け出しとしてはまずまずの面白さであり、『検事』シリーズが受け入れられた人や逆裁シリーズを遊び尽くしたい人ならば、手に取ってみて損は無い一作である。 アプリ版はゲーム序盤が無料で遊べるので、そこで試してみるのもありだろう。 ---- **余談 -発売前のプロモーションではネタバレを避けるためか、ゲーム本編には全く出てこない内容でPVやスクリーンショットが作られていた。 --たとえば初期PVでは「動機がない」と主張するある人物にココロスコープを仕掛け、「弁護士について話す時だけ怒りの感情が出ている。弁護士に恨みがあることは動機になる」と指摘するという内容が紹介されたが、本編にそんな場面は一切出てこない。 ---このココロスコープの扱いが『4』のみぬくに近いことから、「新要素がまた言いがかりになるのではないか」という余計な不安をあおる一因になった。ちなみに、そのココロスコープを使った相手からは「しかし、証拠はない」と尤もな反応を示されている。 --他にも「カンガエルート」の説明で「子守唄」というキーワードが出ていたが、これも本編には登場しない。 --シリーズの体験版は第1話冒頭の内容を一部省略したものになっているのが定番なのだが、本作では特に法廷パートに入るまでの内容が大きく異なっている。 -インターネットラジオ「音泉」でボイスドラマが配信された。全5話で、キャストはゲーム版と同一だがゲストキャラの声優は不明。ドラマCDとしてボーナストラック追加で発売予定。殺人事件ではない。 --時系列的に設定が重ならない部分があり、パラレル設定だと思われる。 ---ココネを「希月さん」と呼んでいるはずの王泥喜に「ココネちゃん」と呼ばせるなど、多少違和感がある部分も。 ---なお、王泥喜は「手品のトリックを推理するなんて今まで経験がない」という旨の発言もする。''『4』でやっていたのは何だったのか。''また、心音の主張に【憶測じゃねーか!】と突っ込みを入れたくなる人も数多く居るだろう。 --声優の演技は素晴らしいが、前述通りその選出には賛否が分かれている。また5話という尺の短さなどから展開がかなり急で強引。 -発売から1年後にスマートフォン版の配信が開始。 --王泥喜の活躍ぶりを受けてか、ファミ通での紹介では成歩堂・王泥喜の二人が主人公として紹介された。 --『4』よりも前に配信開始している。 -カプコンのリズムゲーム『[[crossbeats REV.]]』に今作から「追求 ~最終プロモーションバージョン」が収録されている。

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