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*ロックマンX2 【ろっくまんえっくすつー】 |ジャンル|アクション|CENTER:&image(rockmanX2.jpg,height=220,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HMG)[[裏を見る>https://gamefaqs.gamespot.com/a/box/9/2/2/50922_back.jpg]]| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|16MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|カプコン|~| |発売日|1994年12月16日|~| |定価|10,290円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2011年12月27日/800Wiiポイント&br()【WiiU】2013年10月9日/800円&br()【New3DS】2016年7月20日/823円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|更に進化したハイスピードアクション&br()シリーズ屈指の良バランス&br()CX4チップを使用した魅力的な表現&br()ダブルチャージや空中ダッシュ等の新アクション|~| |>|>|CENTER:''[[ロックマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''…ロックマンX、再び。''} }} ~ ---- **概要 『ロックマンシリーズ』から派生した『ロックマンXシリーズ』の2作目。Xシリーズ歴代2位の約43万本(国内のみの集計)の売上を記録した。 カプコンが独自に開発したDSPチップ CX4をカートリッジに搭載。主に映像表現の拡大・縮小モーションに用いられ、従来のSFC作品よりもさらに発展したグラフィック、演出を実現している。 ロムによっては、プレイ中に強制的に特殊武器がギガクラッシュへとチェンジされるバグが存在するが、回収騒ぎには至らなかった。 //#image(元気玉.png,title=ギガクラッシュ発動) ---- **世界観・ストーリー 基本的な世界観は前作と同様(『[[ロックマンX]]』参照)。~ ストーリーは、突然起こった特Aクラスのレプリロイドの反乱とその背後に暗躍する「カウンターハンター」と名乗る謎のイレギュラーとの戦いをもって描かれている。~ 先の戦いで大破した''ゼロの復活''も1つのキーテーマ。今後のシリーズの中で大きな焦点となっていくゼロ出生の秘密の一端が不鮮明ながら明かされる他、『ロックマンシリーズ』のある重要人物を思わせるキャラクターが登場するなど、新たな局面を迎えている。~ 本作以降、シリーズでは(コンピュータ)ウイルスが重要なファクターとなったが、これは稲船氏が世界観をより先進的にしようと、当時はまだ一般には余り知られていなかったコンピュータウイルスをストーリーの中核に取り入れたのだという。 >最強のイレギュラー「シグマ」の起こしたクーデターにより、人類は滅亡の危機に見舞われるも、その野望を打ち砕いたイレギュラーハンターエックス。~ しかし、戦いで失われたものも大きかった。~ イレギュラーハンターの総員は半分以下に激減し、戦友ゼロもエックスの窮地を救うため自爆。~ 幸いゼロの頭脳チップこそ損傷なく回収されたが、レプリロイド開発の第一人者Dr.ケインをもってしても、ゼロのもつ極めて特殊な機構のボディは修復不可能とされ、ゼロの戦線復帰は絶望視されていた。~ ~ そんな中、功績が認められ第17精鋭部隊隊長へと昇格したエックスは、先の戦いの後もイレギュラー掃討に明け暮れ、半年の月日が流れた。~ シグマ破壊と共に、一旦は減少したかに見えたレプリロイドのイレギュラー化だったが、再び増加の一途を辿り、~ 各地で発生したレプリロイドの反乱の裏で暗躍する、「カウンターハンター」と名乗る3人組の凶悪イレギュラーの存在が明るみとなる。~ “カウンターハンター”…それはイレギュラーハンターを狩る狩人という意味を持ち、事実彼らの手により数多くのイレギュラーハンターが葬られていた。~ そしてある日、エックスの元にカウンターハンターの通信が届く。それは「我々に一人で挑み、勝利できればゼロのパーツを譲渡する」というエックスへの宣戦布告であった。~ 驚くべき事に、カウンターハンター一味はゼロのボディの修復に成功し、新たなボディのゼロをイレギュラーとして復活させる用意をあと一歩のところまで整えつつあったのだ。~ ~ 果たしてゼロは敵となるのか、それとも味方となるのか、…エックスは再び戦いの中へ旅立つ…。 ---- **システム -今作から「ダッシュ」が基本仕様となり、最初から使えるようになった。以後の作品の定番となったOPステージでの巨大ボス戦、ステージ途中でのゲストボス戦、弱点武器による特殊アクションや仰け反りがボスキャラクター全員へ適用されたことなども本作から。 --それ以外のシステムは、ほぼ前作が生み出した「Xシリーズならでは」の要素を踏襲している。 --これ以降に作られたほとんどのアクション系ロックマン新シリーズでも、これらの要素が受け継がれていることから((むしろこの作品限りで消えたシステムを探すのが難しい。))、今作のシステムは2Dロックマンの決定版ともいえる。 -また、今作ではフットパーツとアームパーツが揃うとハシゴの昇降スピードが上昇する。 --PS作品には受け継がれておらず、今作と次回作のみの特徴。 ---- **評価点 ***ゲームバランス 本作は総合的なゲームバランスが非常に良くシリーズ随一といえる。 -そもそも、『X』は敵を軽快に倒してトラップを回避しながら進むことにカタルシスを得るアクションゲームであり、その点においてこのゲームはシリーズ屈指の出来である。 --登場するボスの強さやステージの難度が、ラスボスを含め全編を通して(あくまでXシリーズの中では)''中の下~上''ぐらいにまとまっている。 --他の『X』シリーズでは、8ボスの中でも「弱いボス」と「強いボス」、「易しいステージ」や「難しいステージ」が混在し、安定した攻略を目指す場合は易しいステージのアイテム収集を優先するのが定石とされている。~ しかし今作の8ボス全てが、特殊武器無し・無強化状態のエックスでも頑張れば勝ち目が見える強さであり、定石にとらわれずに好きな順序で攻略しやすい((制作側が意図したかは定かではないが、8体全員がバスターノーダメージ撃破の敷居は比較的低めだが、速攻撃破を狙おうとすると途端に手強くなるような調整になっており、初心者から極まった上級者まで飽きさせない絶妙な作りになっている。後述のカウンターハンターステージ等にも同じ事が言える。))。 -上記のような難易度調整と快適なゲームテンポも手伝い、本作は「サクサク攻略できる」ゲームバランスに仕上がっており、長く親しまれやすい一因である。 --攻略順の自由度からリピート性も高く、ロックマンシリーズは何度もクリアして然りなゲームなので、休日暇なときにカセットを引っ張り出して一気にクリアしてしまう、という遊び方に本作はうってつけといえる。 ***演出及び音楽 -評価の高いBGMもセールスポイントである当シリーズ中でも、今作は特に名曲が多い。 --クラブロスステージ、マイマインステージ、カウンターハンターステージ1、ゼロのあのテーマ…など。 ---クラブロスステージなどは『[[X5>ロックマンX5]]』でほぼそのまま再登場したりもしている。 --しかし本作からサウンドテスト機能は失われた。 -前作で登場したライドアーマーの他に、高速で移動できるエアバイク「ライドチェイサー」が新たに登場した。 --オープニングからしてこれに乗ったエックスが敵の攻撃をかいくぐり、工場の入り口を守るメカを乗り捨てたチェイサーで半壊させるというスタイリッシュな物。 --実際のゲームプレイでは広大な砂漠のステージで乗る事になる。坂道から勢いをつけたジャンプで障害を飛び越したり、チェイサーに乗った敵との銃撃戦は西部劇の様なカッコ良さがある。 -また、本作からキャラの雰囲気や絵柄が本格的に元祖ロックマン離れするようになった。 --つまり「Xシリーズの独自色」が完成されたということ。『X1』の時点ではキャラデザなども多少丸みがあったのだが、今作から鋭角的で線が多いデザインが増えて本格的にシリアス調になった。 --これはデザインの志向としては『[[X7>ロックマンX7]]』まで受け継がれ、『[[X8>ロックマンX8]]』ではアートディレクターが「X1回帰を目指した」と発言したように、意図的に『X1』のような丸みのある若干コミカルなデザインに回帰した。 --前作に登場していた元祖シリーズのメットールとバットントンは登場しなくなった。(メットールは次々回作の『[[X4>ロックマンX4]]』からリファインして復帰。) ***それぞれの個性が強い良質なボス戦 前述の通りボスに関するゲームバランスが(非常に難しい凶悪なボスが少ないことを除けば)とてもいい今作だが、全体的なボス戦のパターンなどが良く練り上げられており、前作から進化を遂げている。~ 特に戦わされる場所によって個性づげられていて、どれも印象深いものになっている。以下にそれぞれの概要を述べる。 #region(8ボス特徴) -「''緑林の小悪魔''」ワイヤー・ヘチマール --ヘチマ型でシリーズ最初の植物型ボス。初期カーソルのボスだけあってオーソドックスな小部屋で戦わさせられることになり、それほど強くなく初見でも十分勝てる。 --ワイヤーを使って攻撃を仕掛けてくる他、体力を減らした後半は見た目にも分かりやすい「怒ったぞ」動作と共に落雷攻撃(気象管理センターで戦うためか)を行う。また、落雷後はそのまま電気を纏い、攻撃力がアップする。 --なお、弱点武器でトドメを刺すと真っ二つになる演出が用意されているなど、ドットが表情豊か。 -「''夢の島の堕天使''」メタモル・モスミーノス --東京湾岸の「夢の島」よろしくゴミ溜まりのスクラップ工場を占拠した蛾のボス。 --天井に吊るされた状態の前半のミノ形態と、鱗粉とレーザーで攻撃する後半の羽化形態でパターンが完全に変化する。ここまで分かりやすくパターンチェンジを行うボスはロックマンシリーズの中でも珍しい。 -「''ヒートナックルチャンピオン''」フレイム・スタッガー --シカ型ボス。何故かボクサーのキャラ付け。戦う場所は天井のない縦長の部屋であり、その中を縦横無尽に蹴りあがって攻撃してくる。 --体力が減ると炎が青く染まって強化される。ボスラッシュ時は最初から強化済みの状態で登場するが、一度倒した敵であるうえ、弱点武器もあるので大過なく倒せるだろう((バスター攻略では強めだが、弱点を使った際の消化試合ぶりはヒャクレッガー以上。))。プレイヤーやエックスの成長を実感できるボス。 -「''紅のアサッシン''」マグネ・ヒャクレッガー --ムカデ(百足)型。「ヒャクレッガー」というネーミングはつまりそういうことであり、開発の良センスを窺わせる((この名前が考案された際、聞いた稲船氏は余りのセンスの良さに「ヒャクレッガー」で即決したという。))。 --忍者スタイルで手裏剣などで攻撃→テレポートを繰り返し、尻尾を使ってのウイルス注入で"こちらのボタン操作を縛る"という特徴的な技も使ってくる(つまり毒を注入され続けるとダッシュなどの行動がどんどんできなくなっていく)。この技はダッシュで簡単に回避出来る為、タネが分かればバスター撃破は容易。寧ろクセのある中ボスが2体も登場するステージ道中の方が厄介。 ---弱点武器があると殊更弱くなり、一度でも弱点を突くと尻尾そのものが破壊されてしまい毒攻撃を一切してこなくなる。また弱点武器は破裂して破片を撒き散らすタイプの武器だが、破片が飛び散る方向がテレポートの出現先全てにジャストミートしており、逃げるヒャクレッガーを追う必要性自体が無くなるほど。 -「''砂原の韋駄天''」ソニック・オストリーグ --ダチョウ型。戦う場所は砂漠のど真ん中であり、壁がないだけでなく左右が繋がって無限ループになっている。飛び道具や2種類の突進攻撃を、壁を使わずに回避する必要がある。 --またボスを画面外へ出すと、走り去ってから画面後方に走り続ける影として現れ、一気にジャンプして画面の中に入ってくる、といった奇襲攻撃を行う。出現する際の隙が大きいのでダメージチャンスではあるが、別の攻撃モーションに入るとそちらが優先されるため「ずっと画面に入れずこの攻撃だけさせる」という安易なハメは通用しない。 ---この攻撃には分かりやすく独自開発のCX4チップが実用されており、一気にドットが拡大でこちらに近づいてくるという凝った演出になっている(さらにこのボスには鳴き声のSEではあるがボイスもある)。 -「''深海の切り裂き魔''」バブリー・クラブロス --カニ型。登場時にキラッ☆のエフェクトが入る。 --水中での戦いであり、再戦時には天井にトゲが配置される。小蟹を出すなどしてこちらの逃げ道を消していくが、慣れればパターン化できるため弱い((ボスラッシュ時は天井が低い上に即死トゲが配置されており、他の8ボスと比べて格段に厄介になっている。))。なお岩本漫画版における守銭奴という性格は独自解釈ではなく((漫画版のアレは拝金主義レベルにまで悪化している程度。))元々公式設定である("バブリー"からなのだろうか?)。 ---ヒャクレッガーほどではないが弱点武器の効果が大きい。やたら泡バリアを張るので面倒なボスだが、弱点武器をぶつけると問答無用でバリアが割れる。~ ただし、弱点武器でダメージを与えると高確率で突進して来る点は厄介。 --泡使いや弱点武器など、『ロックマン2』のバブルマンと共通点が多い。 -「''凶牙の重戦車''」ホイール・アリゲイツ --ワニ型。戦う小部屋には血の池のようなオイル?が満ちており、そこから突如出現して飛びついて食らいついてくる、という非常に鰐らしいパターンを持つ。 --初見だと不吉な雰囲気と一回の噛み付きのダメージ量に驚くが、とてもパターン化しやすいため下手するとヘチマール以上に弱いボスでもある。 ---行動パターンを把握しており慣れているプレイヤーにとっては、弱点武器を使うとかえって面倒になってしまう珍しいボス((バブルスプラッシュであれば2ダメージ与えられる上オイルに潜らないのでこちらで戦うプレイヤーも多い。))。一撃のダメージは大きめなのだが、弱点を突くと必ずオイルに潜ってしまうため攻撃の機会が減ってしまう((無敵が切れたその瞬間を狙えば潜らずにダメージを与えられ、極めてシビアながらハメ殺す事も可能。))。 -「''水晶の魔術師''」クリスター・マイマイン --カタツムリ型。水晶で形成される粘液のようなものを飛ばしてエックスを固めてくる他、時間を遅らせるというトリッキーな能力を使う。 --弱点を突くと殻から引きずり出すことが可能で、そこから殻に戻るモーションは異様に速いなど、どちらかというとやっていることはヤドカリに近い。殻の模様を回転させて幻惑するあたりはカタツムリらしさが生かされている。 ---引きずり出した後に残った殻はダッシュで体当たりをする事で弾き飛ばす事が出来、戻ろうとするマイマインの邪魔をし続ける遊びも可能((企画したあるスタッフはこれには涙を禁じ得なかったという。))。また殻から引きずり出した状態で倒すと殻が残る。 #endregion -これらを見ると分かるように、それぞれの戦法の個性付けが明瞭であり「羽化」「行動縛り」「時間遅延」「画面外から飛び出てくる」などロックマンシリーズ全体を見てもかなり斬新な攻撃方法が多いためプレイヤーを飽きさせない。 -余談だが、Xシリーズ初期の「氷系ボスが弱い」((前作のアイシー・ペンギーゴに加えて、次回作のフローズン・バッファリオ、次々回作のフロスト・キバトドスは弱ボスとされている。))という法則が当てはまらない…というか氷系のボスが居なかったりする。((見た目上氷系に近いマイマインはやや強めの部類。)) ***攻略セオリーを突き崩す刺客 -通常ステージ8ボスとは別軸のストーリーボス「''カウンターハンター''」。サブタイトルにもある通り、今作の目玉システムとなっている。8ボスのいずれかを二体倒すとイベントが発生し、未クリアのステージへ乱入する形で潜伏を始める。~ また、ゲームオーバー・ステージクリア・イグジット等でステージから出る度に潜伏ステージを変える((『X3』のナイトメアポリスと違い、誰がどのステージに登場するか予告される。))ため、まさに彼らを「追跡」しながら攻略をすすめることになる。 -3人のカウンターハンターにも、ステージボスとは若干方向が異なる形でキャラクター付けがされており、それぞれの得意分野を活かした行動をとってくる。 --アジール…agile、即ち速さの権化。神速の突進とビームブレードからの光波は反射神経が試される。 --サーゲス…sagesse、即ち知恵の権化。難解な攻撃と、ある過去の人物を思わせる容姿言動は深く考えさせられる。 --バイオレン…violen、即ち暴力の権化。問答無用で押し潰す圧倒的な攻撃力への対応に苦慮させられる。 -討伐の成否で終盤の展開が分岐する。 --3つに分かれた「ゼロのパーツ」をこれらのカウンターハンターが1つずつ所持しており、倒すとパーツを獲得できるが、ラストステージが出現した時点で1つでも欠けがあった場合、全て奪い返されてゼロはシグマ側として復活させられてしまう。 --更に、カウンターハンターが潜伏中のステージの通常ボスを、カウンターハンターを無視して倒してしまうと、そのカウンターハンターは二度と出現しなくなり討伐失敗となってしまう。 //--このシステムが独特なのは、従来のロックマンシリーズの攻略セオリーであった「''入手した武器が弱点として通用するステージを次に選択する''」という判断を崩しに来る点。次に攻略したいステージにカウンターハンターが来てしまった場合、ゼロの復活を諦めてステージボスだけ倒すか、カウンターハンターごと倒してステージを攻略するか、予定の攻略順を外れて別のステージに行くかの選択を迫られる。 //クリアしたステージに入って即イグジットするだけでカウンターハンターを移動させられるため、次に行きたいステージにカウンターハンターがいても対処は容易。故に一部CO ---カウンターハンター討伐を断念した場合はノーマルストーリーとなるが、腕前が上達すればトゥルーストーリーを見られる。といった具合に、プレイヤーの実力によってストーリーが分岐し、「手間に見合った実利」も伴う周回プレイを大いに誘う仕掛けといえる。~ また、「エックスの強化が不十分なうちに撃破困難な強敵と対面できる」などの新しいシチュエーションを提案する仕組みにもなっている。 ---なお、敗北→コンティニューによるペナルティは無く、撃破できるまで諦めずに特定のカウンターハンターに挑み続ける、先にパーツやライフアップ等の強化を整えてから挑戦する、といった方法で初級プレイヤーでもトゥルーストーリーを目指せるよう救済措置が設けられている。 -ロックマンシリーズファンの志向を把握し尽くした開発による、挑戦状ともいえる内容。~ ストーリー上、前作より出番が減らざるを得ないゼロを触媒とすることで、存在感を失わせずに前作・次回作を見事に繋いでいる。 ***ボスに強力「ダブルチャージショット」 -今作のアームパーツは取得する事でバスターチャージ段階が倍に増え、チャージショットを2連発出来る「ダブルチャージショット」が解禁される。 --このショットの2発目にはボス級の敵が持つ「ダメージを与えた直後の無敵時間」を無視する特性があり、チャージに時間は必要なものの、それに見合った高いダメージを与えることが出来る。 ---普通撃つとちゃんと片手→もう片方の手と撃つ手を変えて交互に撃ちそれなりの間隔を空けて飛んでいくため、素早く動き回る敵には2発とも当てづらい場合があるのだが、壁に張り付いてずり落ちながら撃つとこのモーションが無く、ボタン連打するとほぼ同時に2発飛んでいくという抜け穴がある。 ---あまりの威力の高さから、弱点武器の出番を殺いでいるという意見も出るが、弱点武器はチャージ不要な上でボスの防御を貫ける事と、弱点リアクションによるパターン化が発生する点で差別化はなされている。また弱点武器を使用する事でボスの行動に変化が起こる場合もあり、攻略法に幅が出ているとも言える。 ---ただし3・4段階までチャージすると撃つ時に足が止まる仕様や、後ろに壁がない限り高い位置にいる敵に連続してショットを当てられないなど、強力だがエックスバスターを用いたステージ攻略のテンポは悪くなったとの声もある。 ---- **賛否両論点 ***アイテム入手を手間取らせるステージ構成や仕様 -例えばアリゲイツステージにあるアームパーツ入手には、フットパーツによる「エアダッシュ」の使用が正攻法だが、フットパーツ入手にはアリゲイツの特殊武器が必須((こういった構成は同シリーズ作にも存在するが、フットパーツ入手に特定の特殊武器が必須なのはシリーズ通してこの作品だけ(X5,6の2つ目のアーマーのフットプログラムを除く)。))である。~ クラブロスステージのサブタンク入手には、クラブロスの特殊武器のチャージ版の使用が正攻法である。~ といった具合に、正攻法によるアイテム収集では確実に複数回同じステージをプレイしなければならないケースが存在する。 --しかしプレイヤーの研究が進み、上記の例のような手間を仕様の穴やバグ利用も含めた高度なテクニックによって解消し、8ボスステージの全てのアイテム獲得とボス撃破を各ステージ1回の突入のみで完了することが可能になっている。~ 因みにXシリーズで一周で全てのアイテムを入手可能なのはこのX2と[[X7>ロックマンX7]]のみ((X7はアイテム回収にアーマーパーツと特殊武器が必要ない。))。 ***その他(賛否両論点) -今作の特殊武器は非常にバランスが良く出来ており、十分強力な武器もあるのだが、前作のあの強力かつ派手な特殊武器群と比べてしまうと、プレイヤーによっては「地味」「弱体化した」と感じてしまいやすい。 --前作のストームトルネードやカメレオンスティングのような「これ一つあれば何とかなる」ような絶対的な性能の武器はなく、要所での使い分けが肝要になる。これを楽しみと見るかはプレイヤー次第。 -前述のようにゲームテンポはいいのだが、人によっては難易度が低いと感じてしまう。 --クリアするだけならXシリーズの中ではマイルドな調整だが、極まったプレイヤーのRTA動画等は一見別のゲームをしているようなプレイが見られる。~ そして練習すればそれらのプレイをある程度再現する事も不可能ではなく、やり込み要素がないわけではない。 ---- **問題点 ***終盤ステージについて -8ボスステージからカウンターハンターステージ1までのゲームバランスやステージの作りこみは本当に素晴らしいのだが、それ以降のステージは、即死トゲが多く配置された地形や、ギミックの待ち時間が煩わしい閉塞感の強い区画が目立ち、その上ボス戦の難度の波も激しい。~ 容量や納期の圧迫によるものか比較的粗が目立つ構成である。 //((サーゲスのステージが特に顕著だが、エアダッシュやチャージラッシングバーナー、更には被弾時の無敵時間をも駆使してギリギリを攻め、ノンストップで駆け抜ける事も可能。)) //↑不要な攻略情報はCO //((上記の様にギリギリでノンストップ突破が可能なため、粗ではなく敢えて極まったプレイヤー向けに絶妙な調整をしたとも取れる。)) //↑そんな調整をする意味もないのでCO あくまでプレイヤーの知恵と努力の賜物であるだろう。 //--本作のクライマックスとなる最終ステージは、とある8ボスステージの前半部分をそのまま流用しており、更にBGMはOPステージと同じと、いささか新鮮味に欠ける演出と言わざるを得ない。 //---ただしこれは黒幕の正体の関係上、同じ場所に再度行くというストーリーがちゃんと用意されての事なので演出として問題ない上に、ラストステージと言っても実際はラスボス戦への移動通路に過ぎない。((ちなみに『X1』では縦穴を数画面分登るだけのステージだった。)) //---ちなみにステージセレクト画面から通常のステージとして突入したとしても展開は変わらず、中間地点で最終決戦イベントが発生する。~ //なお、ライフアップなどの収集物は全てステージ前半に配置されており、アイテム回収には問題無い。ただしエスケープは不可。 //これは問題というほどのことだろうか。せいぜい賛否両論では? --終盤ステージの3体のボスの内1体は戦闘スタイルも流用されていたりと、容量が限られるROMへの開発陣の苦肉の策が垣間見える。 ***その他(問題点) -前作では、シャッター出入りの動作中やボス戦前の演出中でもLRボタンによる武器の切り替えが可能だったが、今作では演出中の武器切り替えが不可能になった。 --ただし、メニューを開いた状態での武器切り替えは問題なく可能。 //-ボス登場時やボス部屋へのシャッターを通過する際にLRボタンでの武器変更ができなくなった。 -一部特殊武器を使用するなどすると非常に処理落ちが発生しやすい。 --逆にいえば処理落ちによるFPS低下を利用して、攻撃しつつ敵の弾道を見切って比較的安全に回避することに利用できるため必ずしも欠点とは言いがたい。 -前作にあったエンディングの開発者のスタッフロールが廃止された。 -前作から目玉の一つであった中ボスや大型の敵は本作も健在だが、やはり耐久力ゲージが表示されない。 --ボス同様に特殊武器によって弱点を突けるが、ダメージが把握できないため有効かどうかは調べるにも一種類の武器で撃破するまで撃ち込むしかない((または武器エネルギーの大半~全て消費するまで使う))。 -おそらく初期ロムのみのようだが、''プレイ中なんの前触れもなくギガクラッシュに突然武器チェンジされる''バグがある。再現性は低いが、発生したことを覚えている人も少なくない。 -エネルギーバランサー機能が妙な形で劣化した。 --本家やX1では残量の少ない順に回復していたのが、今作では残量に関係なく(満タンの武器は無視)武器選択画面の上から優先して回復するようになっている。これは次回作のX3でも受け継がれた。 -ギガクラッシュはボディパーツ入手と同時に使用できるようになるが、入手直後はエネルギーが空である。 --これは入手直後のデモンストレーションとして強制的にギガクラッシュが発動されてしまうため。それ以外にも、パスワードからの再開時もエネルギーが0になるため、この場合もすぐには使えない。 ---幸い、ギガクラッシュが必須となるシチュエーションは存在せず、エネルギーもいつの間にか溜まっていることが多く、そこまで深刻な問題にはならない。 ---そもそも、タメるのは敵の弾を食らう、つまりわざとダメージを受けなければならない。それ自体は仕方ないにしても、ザコ戦ではギガクラッシュを使うほど困ることはほとんど無いし、ボスには効いて数メモリ。手間に対して性能が全く釣り合っておらず、使い勝手が悪過ぎる。~ 唯一の使い道は無敵時間のない中ボスやサーゲスタンク第1形態((4つの砲台を全て破壊すると第2形態に移行するのだが、砲台には無敵時間がないため、全画面攻撃と相まって全ての砲台を同時に破壊することが出来る。))を瞬時に終わらせることぐらいである。 //---縛りプレイを含めると、ライフアップ取得にギガクラッシュを使用するパターン((各ボスを弱点武器順かつ各1回のステージ突入で全アイテム、パーツを取得するプレイ))もあるのだが、使うタイミングがよりにもよってボディパーツ入手直後だったりする。もっとも、付近の敵の弾4発でゲージは溜まるが。 --次々作の『X4』ではこの点が改善され、同じくボディパーツ入手で追加されるギガアタック(ノヴァストライク)が入手直後すぐに使えるようになった。 //ゲームオーバーから再開した場合はギガクラッシュのエネルギーは満タンになることを確認 -ヘッドパーツの機能が、特定のブロックを壊すヘッドクラッシュから、隠し通路を発見するアイテムトレイサーに変更。 --しかし、これを使うほど難しいところにアイテムがある例はほとんど無いため、使いどころは無いに等しい。 --とはいうものの、気象コントロールセンターのライフアップやボディパーツなどの隠し通路をノーヒントで探し当てることはかなり希で実際に役立ったという人もおり、しらみつぶしにステージをアイテムトイレサーして回るマイニングプレイというひと味違った遊び方もできるため、賛否がわかれるところである。 ---- **総評 後のロックマンシリーズに受け継がれる要素が登場した作品であり、テンポの良さやバランスの良さから完成度がとても高い作品。~ ロックマンXシリーズの最高傑作議論の常連でもあり、ゼロシリーズ・ZXシリーズなどからロックマンを知った若年層にも十二分に受け入れられるだけのポテンシャルを持っている。~ バーチャルコンソールでも配信されているので、未体験の方は是非。 ---- **余談 -''隠す気のないラスボス'' --序盤のステージから終盤まで終始ΣクレストでボスのHPゲージが表示されている。 ---一応、次作以降では専用クレストが用意されており隠してはいるが…。 --取扱説明書などのあらすじで、Σ印のチップを搭載したイレギュラーが多発している旨が語られており、その謎を追っていくストーリーである。(実際にOPステージはΣチップの出所と思われるイレギュラー工場の破壊任務である) ---「滅んだはずのシグマがなぜ?」という伏線のようなものである向きが多分に見られる。 --そもそも前作のスタッフロール後の描写からシグマが再び現れることは明らかに既定路線であるため、隠す必要がないと判断したものと思われる。 //問題点から移動 -本作のボスキャラはGB用ソフト『[[ロックマンX サイバーミッション]]』『[[ロックマンX2 ソウルイレイザー]]』にも登場し、一部のステージも同作に移植されている。 --それぞれの作品に登場したボスは8ボス中6体と大ボス2体。 ---XシリーズのGBソフト群に未登場だった「X2」「X3」のボスキャラ達は以降の携帯機オリジナル作品では登場しておらず、シリーズ停滞中の現状では初出作品のバーチャルコンソール経由での3DSへの配信が携帯機種での救済とされているのが皮肉としか言いようがない((GB作品未登場だった初代Xのボスキャラ達はPSP『イレギュラーハンターX』にて登場))。 -ボスキャラのPOWERとSPEEDの設定が不可解。 --弱そうなヘチマールでも6400に設定されているのに、スタッガーはその半分強の、わずか3600しかない。「ヒートナックルチャンピオン」の異名を持っているのに、完全に名前負けしている。 --この不可解な設定は次回作でさらに悪化している。 -フレイム・スタッガーを倒した際、エックスとスタッガーが共に地上に降りるまで爆発が始まらないようになっている。 --地形が同じメタモル・モスミーノスは通常通りであり、何故このような仕様になっているのかは不明。 -2018年のシリーズ生誕30周年記念プロジェクトにおいて、Windows(Steam)、Nintendo Switch、PS4、Xbox One移植版が『[[ロックマンX アニバーサリー コレクション]]』として2018年に移植された。 ***隠し要素 -前作の「波動拳」に引き続き、今作の隠し技として「昇龍拳」を伝授する5つ目のカプセルが、カウンターハンターステージ3のとある場所で条件を満たす((前作の波動拳のような手間は必要ない。))と出現する。 --ライフ満タン状態かつ接地時に、あのコマンドを入力+攻撃ボタンで発動。 --性能面は波動拳を凌駕し、「ライドアーマーでやっと破壊できる硬いブロック」すら破壊可能という%%やりすぎな%%性能で実装。ラスボスですら一手で葬る超威力を誇る((実際は喰らった敵の無敵時間が極めて短い超多段ヒット判定なので、当て方を工夫しなければ一撃では倒せない。))上、着地までの時間全てが全身無敵判定という正に禁じ手。 --前作と違い「しょーりゅーけん!」とは叫んでくれない。『[[X4>ロックマンX4]]』で叫んでくれるお方が出ているのでそちらで。 ---一撃必殺ではないものの、『X8』とGBCの2作品でも使用可能((『X8』では必ず、という訳ではないがちゃんと『昇龍拳!』と櫻井氏の声で叫んでくれる。))。『X8』では一定の条件でゼロも使える。 -前作の「波動拳」、本作の「昇龍拳」に続き、次回作では「竜巻旋風脚」などが期待されたが、『[[ストリートファイターシリーズ]]』から輸入された隠し技はこれで最後となった((その後の『X8』でゼロが特定の条件で使用できる必殺技が「旋風脚」使用時の掛け声が「竜巻旋風脚」である。その他、『コマンドミッション』にもゼロが使用できる技として旋風脚、波動撃、昇龍拳が存在するがボイスは無し。さらに敵専用の技として滅殺波動拳も存在する。))((採用されなかった理由として、竜巻旋風脚のコマンドは入力すると途中でエックスが振り向いてしまう為だと考えられる。))。 -また、習得ステージのボスである「アジールフライヤー」は、対空技である''昇龍拳の練習台にしてくれと言わんばかり''に、画面上部に浮遊し続けるという強化前とは似ても似つかない形態変化を経ている。 --ちなみに、昇龍拳で瞬殺されがちなため気づかれにくいが、昇龍拳抜きでも明らかに強化前より弱い…それどころかシリーズ全体を通して見てもトップクラスで弱いという気の毒なボスである。その哀れみも込めてか、ファンの間では「アジフライ」という%%蔑称%%愛称が定着している。 ---見た目は変わらないが弱点以外の特殊武器への耐性を高めたり、空中にブロックを配置してメイン武器であるハンマーの軌道を読みにくくしたバイオレン、科学者らしく砲台の付いた巨大戦車に乗り込んだサーゲスと、方向性は違えど順当にパワーアップしていた前2人とは大違いである。 ---もっとも、はっきりと強化されたと言えるのは2体目のサーゲスくらいだが…(バイオレンのパワーアップが見た目的に変わらなかった理由は後述)。 -エックスの強化パーツ・サブタンク・ライフアップのいずれかを1つも入手せずにクリアすると、スタッフロール中にゼロが登場する。 ***CX4の弊害 -CX4の機能に容量を食ったため、バイオレンのパワーアップ初期案と、''シリーズ初の女性キャラになるはずだったカウンターハンターの4人目''が没になった。 ***漫画版 -前作に引き続き、本作も『コミックボンボン』で岩本佳浩氏によってコミカライズが連載された。 --本作の説明書には「果たしてシグマは本当に復活したのか? それとも何者かがその名を騙っただけなのだろうか…」と記述されているが、本作発売前に発表されたマンガ版第1話では''シグマが黒幕だとしっかりバラされていた''。 ---漫画版X1編最終巻の巻末にも予告として「シグマ再臨編」と書かれており、シグマ復活が前もって宣言されている。 --しかしその分、カウンターハンターを操る黒幕としてのシグマが全編を通して描かれ、ストーリーに深みを与えている。漫画自体も前作以上に熱く重厚な展開、狂気すら感じるボス達の個性から人気を博した。 -ちなみに復刻版で作者が語ったところによると、このX2編は特にカプコン側からの修正指示が多かったらしく、例えば最初に戦うヘチマールのエピソードの台詞がかなりオリジナルから改変されており、よく見ると違和感のある展開になっている。 --元々はエックスがDr.ケインと面識が無い設定で、このエピソードで初めて出会うという流れで描かれていたのだが、それが元々面識がある形に直されているため違和感が生じている。元々が「途中で出会った変な老人が実はDr.ケインで驚く」だとすると、掲載時は「変わり者だと思っていたDr.ケインは実は本当に凄い人だったと驚く」という感じ。しかし書き文字は直せず、この驚きのシーン((エックスの台詞の上に「Dr.ケイン」という書き文字があるのだが、後者の驚き方ではかなり不自然になってしまう。))は特に違和感が強くなっている。 --他にもオストリーグ戦では''エックスの右腕がバッサリ斬り落とされるシーン''があったが、やはりNGを喰らったためにコマを切り貼りして「右手の回路が切断されて動かなくなった」という展開に変更されたと言う。 --一方、第一話で描かれている「血塗れの市民(に偽装した敵メカニロイド)が倒れている事故現場」も「人が直接傷付いている描写は好ましくない」と指摘を受けたのだが、担当編集者が「''あれはロボットです''」と押し通したとの事。 --前作X1編では修正指示はさほど多くは無かったらしいが、実は第一話から早速修正されていたりする((掲載時はシグマが「劣悪種である人間に反旗を翻す」だが、当初は「仲間を攻撃された復讐心から反乱を起こす」で、シグマ側にも義があるような流れだったらしい。ここで破壊されるオリキャラのカイルも、人間側に就いた為に粛清されたのではなく、人間に裏切られて破壊された事になっていたか。))。 ----
*ロックマンX2 【ろっくまんえっくすつー】 |ジャンル|アクション|CENTER:&image(rockmanX2.jpg,height=220,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HMG)[[裏を見る>https://gamefaqs.gamespot.com/a/box/9/2/2/50922_back.jpg]]| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|16MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|カプコン|~| |発売日|1994年12月16日|~| |定価|10,290円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2011年12月27日/800Wiiポイント&br()【WiiU】2013年10月9日/800円&br()【New3DS】2016年7月20日/823円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|更に進化したハイスピードアクション&br()シリーズ屈指の良バランス&br()CX4チップを使用した魅力的な表現&br()ダブルチャージや空中ダッシュ等の新アクション|~| |>|>|CENTER:''[[ロックマンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''…ロックマンX、再び。''} }} ~ ---- **概要 『ロックマンシリーズ』から派生した『ロックマンXシリーズ』の2作目。Xシリーズ歴代2位の約43万本(国内のみの集計)の売上を記録した。 カプコンが独自に開発したDSPチップ CX4をカートリッジに搭載。主に映像表現の拡大・縮小モーションに用いられ、従来のSFC作品よりもさらに発展したグラフィック、演出を実現している。 ロムによっては、プレイ中に強制的に特殊武器がギガクラッシュへとチェンジされるバグが存在するが、回収騒ぎには至らなかった。 //#image(元気玉.png,title=ギガクラッシュ発動) ---- **世界観・ストーリー 基本的な世界観は前作と同様(『[[ロックマンX]]』参照)。~ ストーリーは、突然起こった特Aクラスのレプリロイドの反乱とその背後に暗躍する「カウンターハンター」と名乗る謎のイレギュラーとの戦いをもって描かれている。~ 先の戦いで大破した''ゼロの復活''も1つのキーテーマ。今後のシリーズの中で大きな焦点となっていくゼロ出生の秘密の一端が不鮮明ながら明かされる他、『ロックマンシリーズ』のある重要人物を思わせるキャラクターが登場するなど、新たな局面を迎えている。~ 本作以降、シリーズでは(コンピュータ)ウイルスが重要なファクターとなったが、これは稲船氏が世界観をより先進的にしようと、当時はまだ一般には余り知られていなかったコンピュータウイルスをストーリーの中核に取り入れたのだという。 >最強のイレギュラー「シグマ」の起こしたクーデターにより、人類は滅亡の危機に見舞われるも、その野望を打ち砕いたイレギュラーハンターエックス。~ しかし、戦いで失われたものも大きかった。~ イレギュラーハンターの総員は半分以下に激減し、戦友ゼロもエックスの窮地を救うため自爆。~ 幸いゼロの頭脳チップこそ損傷なく回収されたが、レプリロイド開発の第一人者Dr.ケインをもってしても、ゼロのもつ極めて特殊な機構のボディは修復不可能とされ、ゼロの戦線復帰は絶望視されていた。~ ~ そんな中、功績が認められ第17精鋭部隊隊長へと昇格したエックスは、先の戦いの後もイレギュラー掃討に明け暮れ、半年の月日が流れた。~ シグマ破壊と共に、一旦は減少したかに見えたレプリロイドのイレギュラー化だったが、再び増加の一途を辿り、~ 各地で発生したレプリロイドの反乱の裏で暗躍する、「カウンターハンター」と名乗る3人組の凶悪イレギュラーの存在が明るみとなる。~ “カウンターハンター”…それはイレギュラーハンターを狩る狩人という意味を持ち、事実彼らの手により数多くのイレギュラーハンターが葬られていた。~ そしてある日、エックスの元にカウンターハンターの通信が届く。それは「我々に一人で挑み、勝利できればゼロのパーツを譲渡する」というエックスへの宣戦布告であった。~ 驚くべき事に、カウンターハンター一味はゼロのボディの修復に成功し、新たなボディのゼロをイレギュラーとして復活させる用意をあと一歩のところまで整えつつあったのだ。~ ~ 果たしてゼロは敵となるのか、それとも味方となるのか、…エックスは再び戦いの中へ旅立つ…。 ---- **システム -今作から「ダッシュ」が基本仕様となり、最初から使えるようになった。以後の作品の定番となったOPステージでの巨大ボス戦、ステージ途中でのゲストボス戦、弱点武器による特殊アクションや仰け反りがボスキャラクター全員へ適用されたことなども本作から。 --それ以外のシステムは、ほぼ前作が生み出した「Xシリーズならでは」の要素を踏襲している。 --これ以降に作られたほとんどのアクション系ロックマン新シリーズでも、これらの要素が受け継がれていることから((むしろこの作品限りで消えたシステムを探すのが難しい。))、今作のシステムは2Dロックマンの決定版ともいえる。 -また、今作ではフットパーツとアームパーツが揃うとハシゴの昇降スピードが上昇する。 --PS作品には受け継がれておらず、今作と次回作のみの特徴。 ---- **評価点 ***ゲームバランス 本作は総合的なゲームバランスが非常に良くシリーズ随一といえる。 -そもそも、『X』は敵を軽快に倒してトラップを回避しながら進むことにカタルシスを得るアクションゲームであり、その点においてこのゲームはシリーズ屈指の出来である。 --登場するボスの強さやステージの難度が、ラスボスを含め全編を通して(あくまでXシリーズの中では)''中の下~上''ぐらいにまとまっている。 --他の『X』シリーズでは、8ボスの中でも「弱いボス」と「強いボス」、「易しいステージ」や「難しいステージ」が混在し、安定した攻略を目指す場合は易しいステージのアイテム収集を優先するのが定石とされている。~ しかし今作の8ボス全てが、特殊武器無し・無強化状態のエックスでも頑張れば勝ち目が見える強さであり、定石にとらわれずに好きな順序で攻略しやすい((制作側が意図したかは定かではないが、8体全員がバスターノーダメージ撃破の敷居は比較的低めだが、速攻撃破を狙おうとすると途端に手強くなるような調整になっており、初心者から極まった上級者まで飽きさせない絶妙な作りになっている。後述のカウンターハンターステージ等にも同じ事が言える。))。 -上記のような難易度調整と快適なゲームテンポも手伝い、本作は「サクサク攻略できる」ゲームバランスに仕上がっており、長く親しまれやすい一因である。 --攻略順の自由度からリピート性も高く、ロックマンシリーズは何度もクリアして然りなゲームなので、休日暇なときにカセットを引っ張り出して一気にクリアしてしまう、という遊び方に本作はうってつけといえる。 ***演出及び音楽 -評価の高いBGMもセールスポイントである当シリーズ中でも、今作は特に名曲が多い。 --クラブロスステージ、マイマインステージ、カウンターハンターステージ1、ゼロのあのテーマ…など。 ---クラブロスステージなどは『[[X5>ロックマンX5]]』でほぼそのまま再登場したりもしている。 --しかし本作からサウンドテスト機能は失われた。 -前作で登場したライドアーマーの他に、高速で移動できるエアバイク「ライドチェイサー」が新たに登場した。 --オープニングからしてこれに乗ったエックスが敵の攻撃をかいくぐり、工場の入り口を守るメカを乗り捨てたチェイサーで半壊させるというスタイリッシュな物。 --実際のゲームプレイでは広大な砂漠のステージで乗る事になる。坂道から勢いをつけたジャンプで障害を飛び越したり、チェイサーに乗った敵との銃撃戦は西部劇の様なカッコ良さがある。 -また、本作からキャラの雰囲気や絵柄が本格的に元祖ロックマン離れするようになった。 --つまり「Xシリーズの独自色」が完成されたということ。『X1』の時点ではキャラデザなども多少丸みがあったのだが、今作から鋭角的で線が多いデザインが増えて本格的にシリアス調になった。 --これはデザインの志向としては『[[X7>ロックマンX7]]』まで受け継がれ、『[[X8>ロックマンX8]]』ではアートディレクターが「X1回帰を目指した」と発言したように、意図的に『X1』のような丸みのある若干コミカルなデザインに回帰した。 --前作に登場していた元祖シリーズのメットールとバットントンは登場しなくなった。(メットールは次々回作の『[[X4>ロックマンX4]]』からリファインして復帰。) ***それぞれの個性が強い良質なボス戦 前述の通りボスに関するゲームバランスが(非常に難しい凶悪なボスが少ないことを除けば)とてもいい今作だが、全体的なボス戦のパターンなどが良く練り上げられており、前作から進化を遂げている。~ 特に戦わされる場所によって個性づげられていて、どれも印象深いものになっている。以下にそれぞれの概要を述べる。 #region(8ボス特徴) -「''緑林の小悪魔''」ワイヤー・ヘチマール --ヘチマ型でシリーズ最初の植物型ボス。初期カーソルのボスだけあってオーソドックスな小部屋で戦わさせられることになり、それほど強くなく初見でも十分勝てる。 --ワイヤーを使って攻撃を仕掛けてくる他、体力を減らした後半は見た目にも分かりやすい「怒ったぞ」動作と共に落雷攻撃(気象管理センターで戦うためか)を行う。また、落雷後はそのまま電気を纏い、攻撃力がアップする。 --なお、弱点武器でトドメを刺すと真っ二つになる演出が用意されているなど、ドットが表情豊か。 -「''夢の島の堕天使''」メタモル・モスミーノス --東京湾岸の「夢の島」よろしくゴミ溜まりのスクラップ工場を占拠した蛾のボス。 --天井に吊るされた状態の前半のミノ形態と、鱗粉とレーザーで攻撃する後半の羽化形態でパターンが完全に変化する。ここまで分かりやすくパターンチェンジを行うボスはロックマンシリーズの中でも珍しい。 -「''ヒートナックルチャンピオン''」フレイム・スタッガー --シカ型ボス。何故かボクサーのキャラ付け。戦う場所は天井のない縦長の部屋であり、その中を縦横無尽に蹴りあがって攻撃してくる。 --体力が減ると炎が青く染まって強化される。ボスラッシュ時は最初から強化済みの状態で登場するが、一度倒した敵であるうえ、弱点武器もあるので大過なく倒せるだろう((バスター攻略では強めだが、弱点を使った際の消化試合ぶりはヒャクレッガー以上。))。プレイヤーやエックスの成長を実感できるボス。 -「''紅のアサッシン''」マグネ・ヒャクレッガー --ムカデ(百足)型。「ヒャクレッガー」というネーミングはつまりそういうことであり、開発の良センスを窺わせる((この名前が考案された際、聞いた稲船氏は余りのセンスの良さに「ヒャクレッガー」で即決したという。))。 --忍者スタイルで手裏剣などで攻撃→テレポートを繰り返し、尻尾を使ってのウイルス注入で"こちらのボタン操作を縛る"という特徴的な技も使ってくる(つまり毒を注入され続けるとダッシュなどの行動がどんどんできなくなっていく)。この技はダッシュで簡単に回避出来る為、タネが分かればバスター撃破は容易。寧ろクセのある中ボスが2体も登場するステージ道中の方が厄介。 ---弱点武器があると殊更弱くなり、一度でも弱点を突くと尻尾そのものが破壊されてしまい毒攻撃を一切してこなくなる。また弱点武器は破裂して破片を撒き散らすタイプの武器だが、破片が飛び散る方向がテレポートの出現先全てにジャストミートしており、逃げるヒャクレッガーを追う必要性自体が無くなるほど。 -「''砂原の韋駄天''」ソニック・オストリーグ --ダチョウ型。戦う場所は砂漠のど真ん中であり、壁がないだけでなく左右が繋がって無限ループになっている。飛び道具や2種類の突進攻撃を、壁を使わずに回避する必要がある。 ---なお、再戦時は戦闘場所が何故か雪原に変わり、地形も変化する。 --またボスを画面外へ出すと、走り去ってから画面後方に走り続ける影として現れ、一気にジャンプして画面の中に入ってくる、といった奇襲攻撃を行う。出現する際の隙が大きいのでダメージチャンスではあるが、別の攻撃モーションに入るとそちらが優先されるため「ずっと画面に入れずこの攻撃だけさせる」という安易なハメは通用しない。 ---この攻撃には分かりやすく独自開発のCX4チップが実用されており、一気にドットが拡大でこちらに近づいてくるという凝った演出になっている(さらにこのボスには鳴き声のSEではあるがボイスもある)。 -「''深海の切り裂き魔''」バブリー・クラブロス --カニ型。登場時にキラッ☆のエフェクトが入る。 --水中での戦いであり、再戦時には天井にトゲが配置される。小蟹を出すなどしてこちらの逃げ道を消していくが、慣れればパターン化できるため弱い((ボスラッシュ時は天井が低い上に即死トゲが配置されており、他の8ボスと比べて格段に厄介になっている。))。なお岩本漫画版における守銭奴という性格は独自解釈ではなく((漫画版のアレは拝金主義レベルにまで悪化している程度。))元々公式設定である("バブリー"からなのだろうか?)。 ---ヒャクレッガーほどではないが弱点武器の効果が大きい。やたら泡バリアを張るので面倒なボスだが、弱点武器をぶつけると問答無用でバリアが割れる。~ ただし、弱点武器でダメージを与えると高確率で突進して来る点は厄介。 --泡使いや弱点武器など、『ロックマン2』のバブルマンと共通点が多い。 -「''凶牙の重戦車''」ホイール・アリゲイツ --ワニ型。戦う小部屋には血の池のようなオイル?が満ちており、そこから突如出現して飛びついて食らいついてくる、という非常に鰐らしいパターンを持つ。 --初見だと不吉な雰囲気と一回の噛み付きのダメージ量に驚くが、とてもパターン化しやすいため下手するとヘチマール以上に弱いボスでもある。 ---行動パターンを把握しており慣れているプレイヤーにとっては、弱点武器を使うとかえって面倒になってしまう珍しいボス((バブルスプラッシュであれば2ダメージ与えられる上オイルに潜らないのでこちらで戦うプレイヤーも多い。))。一撃のダメージは大きめなのだが、弱点を突くと必ずオイルに潜ってしまうため攻撃の機会が減ってしまう((無敵が切れたその瞬間を狙えば潜らずにダメージを与えられ、極めてシビアながらハメ殺す事も可能。))。 -「''水晶の魔術師''」クリスター・マイマイン --カタツムリ型。水晶で形成される粘液のようなものを飛ばしてエックスを固めてくる他、時間を遅らせるというトリッキーな能力を使う。 --弱点を突くと殻から引きずり出すことが可能で、そこから殻に戻るモーションは異様に速いなど、どちらかというとやっていることはヤドカリに近い。殻の模様を回転させて幻惑するあたりはカタツムリらしさが生かされている。 ---引きずり出した後に残った殻はダッシュで体当たりをする事で弾き飛ばす事が出来、戻ろうとするマイマインの邪魔をし続ける遊びも可能((企画したあるスタッフはこれには涙を禁じ得なかったという。))。また殻から引きずり出した状態で倒すと殻が残る。 #endregion -これらを見ると分かるように、それぞれの戦法の個性付けが明瞭であり「羽化」「行動縛り」「時間遅延」「画面外から飛び出てくる」などロックマンシリーズ全体を見てもかなり斬新な攻撃方法が多いためプレイヤーを飽きさせない。 -余談だが、Xシリーズ初期の「氷系ボスが弱い」((前作のアイシー・ペンギーゴに加えて、次回作のフローズン・バッファリオ、次々回作のフロスト・キバトドスは弱ボスとされている。))という法則が当てはまらない…というか氷系のボスが居なかったりする。((見た目上氷系に近いマイマインはやや強めの部類。)) ***攻略セオリーを突き崩す刺客 -通常ステージ8ボスとは別軸のストーリーボス「''カウンターハンター''」。サブタイトルにもある通り、今作の目玉システムとなっている。8ボスのいずれかを二体倒すとイベントが発生し、未クリアのステージへ乱入する形で潜伏を始める。~ また、ゲームオーバー・ステージクリア・イグジット等でステージから出る度に潜伏ステージを変える((『X3』のナイトメアポリスと違い、誰がどのステージに登場するか予告される。))ため、まさに彼らを「追跡」しながら攻略をすすめることになる。 -3人のカウンターハンターにも、ステージボスとは若干方向が異なる形でキャラクター付けがされており、それぞれの得意分野を活かした行動をとってくる。 --アジール…agile、即ち速さの権化。神速の突進とビームブレードからの光波は反射神経が試される。 --サーゲス…sagesse、即ち知恵の権化。難解な攻撃と、ある過去の人物を思わせる容姿言動は深く考えさせられる。 --バイオレン…violen、即ち暴力の権化。問答無用で押し潰す圧倒的な攻撃力への対応に苦慮させられる。 -討伐の成否で終盤の展開が分岐する。 --3つに分かれた「ゼロのパーツ」をこれらのカウンターハンターが1つずつ所持しており、倒すとパーツを獲得できるが、ラストステージが出現した時点で1つでも欠けがあった場合、全て奪い返されてゼロはシグマ側として復活させられてしまう。 --更に、カウンターハンターが潜伏中のステージの通常ボスを、カウンターハンターを無視して倒してしまうと、そのカウンターハンターは二度と出現しなくなり討伐失敗となってしまう。 //--このシステムが独特なのは、従来のロックマンシリーズの攻略セオリーであった「''入手した武器が弱点として通用するステージを次に選択する''」という判断を崩しに来る点。次に攻略したいステージにカウンターハンターが来てしまった場合、ゼロの復活を諦めてステージボスだけ倒すか、カウンターハンターごと倒してステージを攻略するか、予定の攻略順を外れて別のステージに行くかの選択を迫られる。 //クリアしたステージに入って即イグジットするだけでカウンターハンターを移動させられるため、次に行きたいステージにカウンターハンターがいても対処は容易。故に一部CO ---カウンターハンター討伐を断念した場合はノーマルストーリーとなるが、腕前が上達すればトゥルーストーリーを見られる。といった具合に、プレイヤーの実力によってストーリーが分岐し、「手間に見合った実利」も伴う周回プレイを大いに誘う仕掛けといえる。~ また、「エックスの強化が不十分なうちに撃破困難な強敵と対面できる」などの新しいシチュエーションを提案する仕組みにもなっている。 ---なお、敗北→コンティニューによるペナルティは無く、撃破できるまで諦めずに特定のカウンターハンターに挑み続ける、先にパーツやライフアップ等の強化を整えてから挑戦する、といった方法で初級プレイヤーでもトゥルーストーリーを目指せるよう救済措置が設けられている。 -ロックマンシリーズファンの志向を把握し尽くした開発による、挑戦状ともいえる内容。~ ストーリー上、前作より出番が減らざるを得ないゼロを触媒とすることで、存在感を失わせずに前作・次回作を見事に繋いでいる。 ***ボスに強力「ダブルチャージショット」 -今作のアームパーツは取得する事でバスターチャージ段階が倍に増え、チャージショットを2連発出来る「ダブルチャージショット」が解禁される。 --このショットの2発目にはボス級の敵が持つ「ダメージを与えた直後の無敵時間」を無視する特性があり、チャージに時間は必要なものの、それに見合った高いダメージを与えることが出来る。 ---普通撃つとちゃんと片手→もう片方の手と撃つ手を変えて交互に撃ちそれなりの間隔を空けて飛んでいくため、素早く動き回る敵には2発とも当てづらい場合があるのだが、壁に張り付いてずり落ちながら撃つとこのモーションが無く、ボタン連打するとほぼ同時に2発飛んでいくという抜け穴がある。 ---あまりの威力の高さから、弱点武器の出番を殺いでいるという意見も出るが、弱点武器はチャージ不要な上でボスの防御を貫ける事と、弱点リアクションによるパターン化が発生する点で差別化はなされている。また弱点武器を使用する事でボスの行動に変化が起こる場合もあり、攻略法に幅が出ているとも言える。 ---ただし3・4段階までチャージすると撃つ時に足が止まる仕様や、後ろに壁がない限り高い位置にいる敵に連続してショットを当てられないなど、強力だがエックスバスターを用いたステージ攻略のテンポは悪くなったとの声もある。 ---- **賛否両論点 ***アイテム入手を手間取らせるステージ構成や仕様 -例えばアリゲイツステージにあるアームパーツ入手には、フットパーツによる「エアダッシュ」の使用が正攻法だが、フットパーツ入手にはアリゲイツの特殊武器が必須((こういった構成は同シリーズ作にも存在するが、フットパーツ入手に特定の特殊武器が必須なのはシリーズ通してこの作品だけ(X5,6の2つ目のアーマーのフットプログラムを除く)。))である。~ クラブロスステージのサブタンク入手には、クラブロスの特殊武器のチャージ版の使用が正攻法である。~ といった具合に、正攻法によるアイテム収集では確実に複数回同じステージをプレイしなければならないケースが存在する。 --しかしプレイヤーの研究が進み、上記の例のような手間を仕様の穴やバグ利用も含めた高度なテクニックによって解消し、8ボスステージの全てのアイテム獲得とボス撃破を各ステージ1回の突入のみで完了することが可能になっている。~ 因みにXシリーズで一周で全てのアイテムを入手可能なのはこのX2と[[X7>ロックマンX7]]のみ((X7はアイテム回収にアーマーパーツと特殊武器が必要ない。))。 ***その他(賛否両論点) -今作の特殊武器は非常にバランスが良く出来ており、十分強力な武器もあるのだが、前作のあの強力かつ派手な特殊武器群と比べてしまうと、プレイヤーによっては「地味」「弱体化した」と感じてしまいやすい。 --前作のストームトルネードやカメレオンスティングのような「これ一つあれば何とかなる」ような絶対的な性能の武器はなく、要所での使い分けが肝要になる。これを楽しみと見るかはプレイヤー次第。 -前述のようにゲームテンポはいいのだが、人によっては難易度が低いと感じてしまう。 --クリアするだけならXシリーズの中ではマイルドな調整だが、極まったプレイヤーのRTA動画等は一見別のゲームをしているようなプレイが見られる。~ そして練習すればそれらのプレイをある程度再現する事も不可能ではなく、やり込み要素がないわけではない。 ---- **問題点 ***終盤ステージについて -8ボスステージからカウンターハンターステージ1までのゲームバランスやステージの作りこみは本当に素晴らしいのだが、それ以降のステージは、即死トゲが多く配置された地形や、ギミックの待ち時間が煩わしい閉塞感の強い区画が目立ち、その上ボス戦の難度の波も激しい。~ 容量や納期の圧迫によるものか比較的粗が目立つ構成である。 //((サーゲスのステージが特に顕著だが、エアダッシュやチャージラッシングバーナー、更には被弾時の無敵時間をも駆使してギリギリを攻め、ノンストップで駆け抜ける事も可能。)) //↑不要な攻略情報はCO //((上記の様にギリギリでノンストップ突破が可能なため、粗ではなく敢えて極まったプレイヤー向けに絶妙な調整をしたとも取れる。)) //↑そんな調整をする意味もないのでCO あくまでプレイヤーの知恵と努力の賜物であるだろう。 //--本作のクライマックスとなる最終ステージは、とある8ボスステージの前半部分をそのまま流用しており、更にBGMはOPステージと同じと、いささか新鮮味に欠ける演出と言わざるを得ない。 //---ただしこれは黒幕の正体の関係上、同じ場所に再度行くというストーリーがちゃんと用意されての事なので演出として問題ない上に、ラストステージと言っても実際はラスボス戦への移動通路に過ぎない。((ちなみに『X1』では縦穴を数画面分登るだけのステージだった。)) //---ちなみにステージセレクト画面から通常のステージとして突入したとしても展開は変わらず、中間地点で最終決戦イベントが発生する。~ //なお、ライフアップなどの収集物は全てステージ前半に配置されており、アイテム回収には問題無い。ただしエスケープは不可。 //これは問題というほどのことだろうか。せいぜい賛否両論では? --終盤ステージの3体のボスの内1体は戦闘スタイルも流用されていたりと、容量が限られるROMへの開発陣の苦肉の策が垣間見える。 ***その他(問題点) -前作では、シャッター出入りの動作中やボス戦前の演出中でもLRボタンによる武器の切り替えが可能だったが、今作では演出中の武器切り替えが不可能になった。 --ただし、メニューを開いた状態での武器切り替えは問題なく可能。 //-ボス登場時やボス部屋へのシャッターを通過する際にLRボタンでの武器変更ができなくなった。 -一部特殊武器を使用するなどすると非常に処理落ちが発生しやすい。 --逆にいえば処理落ちによるFPS低下を利用して、攻撃しつつ敵の弾道を見切って比較的安全に回避することに利用できるため必ずしも欠点とは言いがたい。 -前作にあったエンディングの開発者のスタッフロールが廃止された。 -前作から目玉の一つであった中ボスや大型の敵は本作も健在だが、やはり耐久力ゲージが表示されない。 --ボス同様に特殊武器によって弱点を突けるが、ダメージが把握できないため有効かどうかは調べるにも一種類の武器で撃破するまで撃ち込むしかない((または武器エネルギーの大半~全て消費するまで使う))。 -おそらく初期ロムのみのようだが、''プレイ中なんの前触れもなくギガクラッシュに突然武器チェンジされる''バグがある。再現性は低いが、発生したことを覚えている人も少なくない。 -エネルギーバランサー機能が妙な形で劣化した。 --本家やX1では残量の少ない順に回復していたのが、今作では残量に関係なく(満タンの武器は無視)武器選択画面の上から優先して回復するようになっている。これは次回作のX3でも受け継がれた。 -ギガクラッシュはボディパーツ入手と同時に使用できるようになるが、入手直後はエネルギーが空である。 --これは入手直後のデモンストレーションとして強制的にギガクラッシュが発動されてしまうため。それ以外にも、パスワードからの再開時もエネルギーが0になるため、この場合もすぐには使えない。 ---幸い、ギガクラッシュが必須となるシチュエーションは存在せず、エネルギーもいつの間にか溜まっていることが多く、そこまで深刻な問題にはならない。 ---そもそも、タメるのは敵の弾を食らう、つまりわざとダメージを受けなければならない。それ自体は仕方ないにしても、ザコ戦ではギガクラッシュを使うほど困ることはほとんど無いし、ボスには効いて数メモリ。手間に対して性能が全く釣り合っておらず、使い勝手が悪過ぎる。~ 唯一の使い道は無敵時間のない中ボスやサーゲスタンク第1形態((4つの砲台を全て破壊すると第2形態に移行するのだが、砲台には無敵時間がないため、全画面攻撃と相まって全ての砲台を同時に破壊することが出来る。))を瞬時に終わらせることぐらいである。 //---縛りプレイを含めると、ライフアップ取得にギガクラッシュを使用するパターン((各ボスを弱点武器順かつ各1回のステージ突入で全アイテム、パーツを取得するプレイ))もあるのだが、使うタイミングがよりにもよってボディパーツ入手直後だったりする。もっとも、付近の敵の弾4発でゲージは溜まるが。 --次々作の『X4』ではこの点が改善され、同じくボディパーツ入手で追加されるギガアタック(ノヴァストライク)が入手直後すぐに使えるようになった。 //ゲームオーバーから再開した場合はギガクラッシュのエネルギーは満タンになることを確認 -ヘッドパーツの機能が、特定のブロックを壊すヘッドクラッシュから、隠し通路を発見するアイテムトレイサーに変更。 --しかし、これを使うほど難しいところにアイテムがある例はほとんど無いため、使いどころは無いに等しい。 --とはいうものの、気象コントロールセンターのライフアップやボディパーツなどの隠し通路をノーヒントで探し当てることはかなり希で実際に役立ったという人もおり、しらみつぶしにステージをアイテムトイレサーして回るマイニングプレイというひと味違った遊び方もできるため、賛否がわかれるところである。 ---- **総評 後のロックマンシリーズに受け継がれる要素が登場した作品であり、テンポの良さやバランスの良さから完成度がとても高い作品。~ ロックマンXシリーズの最高傑作議論の常連でもあり、ゼロシリーズ・ZXシリーズなどからロックマンを知った若年層にも十二分に受け入れられるだけのポテンシャルを持っている。~ バーチャルコンソールでも配信されているので、未体験の方は是非。 ---- **余談 -''隠す気のないラスボス'' --序盤のステージから終盤まで終始ΣクレストでボスのHPゲージが表示されている。 ---一応、次作以降では専用クレストが用意されており隠してはいるが…。 --取扱説明書などのあらすじで、Σ印のチップを搭載したイレギュラーが多発している旨が語られており、その謎を追っていくストーリーである。(実際にOPステージはΣチップの出所と思われるイレギュラー工場の破壊任務である) ---「滅んだはずのシグマがなぜ?」という伏線のようなものである向きが多分に見られる。 --そもそも前作のスタッフロール後の描写からシグマが再び現れることは明らかに既定路線であるため、隠す必要がないと判断したものと思われる。 //問題点から移動 -本作のボスキャラはGB用ソフト『[[ロックマンX サイバーミッション]]』『[[ロックマンX2 ソウルイレイザー]]』にも登場し、一部のステージも同作に移植されている。 --それぞれの作品に登場したボスは8ボス中6体と大ボス2体。 ---XシリーズのGBソフト群に未登場だった「X2」「X3」のボスキャラ達は以降の携帯機オリジナル作品では登場しておらず、シリーズ停滞中の現状では初出作品のバーチャルコンソール経由での3DSへの配信が携帯機種での救済とされているのが皮肉としか言いようがない((GB作品未登場だった初代Xのボスキャラ達はPSP『イレギュラーハンターX』にて登場))。 -ボスキャラのPOWERとSPEEDの設定が不可解。 --弱そうなヘチマールでも6400に設定されているのに、スタッガーはその半分強の、わずか3600しかない。「ヒートナックルチャンピオン」の異名を持っているのに、完全に名前負けしている。 --この不可解な設定は次回作でさらに悪化している。 -フレイム・スタッガーを倒した際、エックスとスタッガーが共に地上に降りるまで爆発が始まらないようになっている。 --地形が同じメタモル・モスミーノスは通常通りであり、何故このような仕様になっているのかは不明。 -2018年のシリーズ生誕30周年記念プロジェクトにおいて、Windows(Steam)、Nintendo Switch、PS4、Xbox One移植版が『[[ロックマンX アニバーサリー コレクション]]』として2018年に移植された。 ***隠し要素 -前作の「波動拳」に引き続き、今作の隠し技として「昇龍拳」を伝授する5つ目のカプセルが、カウンターハンターステージ3のとある場所で条件を満たす((前作の波動拳のような手間は必要ない。))と出現する。 --ライフ満タン状態かつ接地時に、あのコマンドを入力+攻撃ボタンで発動。 --性能面は波動拳を凌駕し、「ライドアーマーでやっと破壊できる硬いブロック」すら破壊可能という%%やりすぎな%%性能で実装。ラスボスですら一手で葬る超威力を誇る((実際は喰らった敵の無敵時間が極めて短い超多段ヒット判定なので、当て方を工夫しなければ一撃では倒せない。))上、着地までの時間全てが全身無敵判定という正に禁じ手。 --前作と違い「しょーりゅーけん!」とは叫んでくれない。『[[X4>ロックマンX4]]』で叫んでくれるお方が出ているのでそちらで。 ---一撃必殺ではないものの、『X8』とGBCの2作品でも使用可能((『X8』では必ず、という訳ではないがちゃんと『昇龍拳!』と櫻井氏の声で叫んでくれる。))。『X8』では一定の条件でゼロも使える。 -前作の「波動拳」、本作の「昇龍拳」に続き、次回作では「竜巻旋風脚」などが期待されたが、『[[ストリートファイターシリーズ]]』から輸入された隠し技はこれで最後となった((その後の『X8』でゼロが特定の条件で使用できる必殺技が「旋風脚」使用時の掛け声が「竜巻旋風脚」である。その他、『コマンドミッション』にもゼロが使用できる技として旋風脚、波動撃、昇龍拳が存在するがボイスは無し。さらに敵専用の技として滅殺波動拳も存在する。))((採用されなかった理由として、竜巻旋風脚のコマンドは入力すると途中でエックスが振り向いてしまう為だと考えられる。))。 -また、習得ステージのボスである「アジールフライヤー」は、対空技である''昇龍拳の練習台にしてくれと言わんばかり''に、画面上部に浮遊し続けるという強化前とは似ても似つかない形態変化を経ている。 --ちなみに、昇龍拳で瞬殺されがちなため気づかれにくいが、昇龍拳抜きでも明らかに強化前より弱い…それどころかシリーズ全体を通して見てもトップクラスで弱いという気の毒なボスである。その哀れみも込めてか、ファンの間では「アジフライ」という%%蔑称%%愛称が定着している。 ---見た目は変わらないが弱点以外の特殊武器への耐性を高めたり、空中にブロックを配置してメイン武器であるハンマーの軌道を読みにくくしたバイオレン、科学者らしく砲台の付いた巨大戦車に乗り込んだサーゲスと、方向性は違えど順当にパワーアップしていた前2人とは大違いである。 ---もっとも、はっきりと強化されたと言えるのは2体目のサーゲスくらいだが…(バイオレンのパワーアップが見た目的に変わらなかった理由は後述)。 -エックスの強化パーツ・サブタンク・ライフアップのいずれかを1つも入手せずにクリアすると、スタッフロール中にゼロが登場する。 ***CX4の弊害 -CX4の機能に容量を食ったため、バイオレンのパワーアップ初期案と、''シリーズ初の女性キャラになるはずだったカウンターハンターの4人目''が没になった。 ***漫画版 -前作に引き続き、本作も『コミックボンボン』で岩本佳浩氏によってコミカライズが連載された。 --本作の説明書には「果たしてシグマは本当に復活したのか? それとも何者かがその名を騙っただけなのだろうか…」と記述されているが、本作発売前に発表されたマンガ版第1話では''シグマが黒幕だとしっかりバラされていた''。 ---漫画版X1編最終巻の巻末にも予告として「シグマ再臨編」と書かれており、シグマ復活が前もって宣言されている。 --しかしその分、カウンターハンターを操る黒幕としてのシグマが全編を通して描かれ、ストーリーに深みを与えている。漫画自体も前作以上に熱く重厚な展開、狂気すら感じるボス達の個性から人気を博した。 -ちなみに復刻版で作者が語ったところによると、このX2編は特にカプコン側からの修正指示が多かったらしく、例えば最初に戦うヘチマールのエピソードの台詞がかなりオリジナルから改変されており、よく見ると違和感のある展開になっている。 --元々はエックスがDr.ケインと面識が無い設定で、このエピソードで初めて出会うという流れで描かれていたのだが、それが元々面識がある形に直されているため違和感が生じている。元々が「途中で出会った変な老人が実はDr.ケインで驚く」だとすると、掲載時は「変わり者だと思っていたDr.ケインは実は本当に凄い人だったと驚く」という感じ。しかし書き文字は直せず、この驚きのシーン((エックスの台詞の上に「Dr.ケイン」という書き文字があるのだが、後者の驚き方ではかなり不自然になってしまう。))は特に違和感が強くなっている。 --他にもオストリーグ戦では''エックスの右腕がバッサリ斬り落とされるシーン''があったが、やはりNGを喰らったためにコマを切り貼りして「右手の回路が切断されて動かなくなった」という展開に変更されたと言う。 --一方、第一話で描かれている「血塗れの市民(に偽装した敵メカニロイド)が倒れている事故現場」も「人が直接傷付いている描写は好ましくない」と指摘を受けたのだが、担当編集者が「''あれはロボットです''」と押し通したとの事。 --前作X1編では修正指示はさほど多くは無かったらしいが、実は第一話から早速修正されていたりする((掲載時はシグマが「劣悪種である人間に反旗を翻す」だが、当初は「仲間を攻撃された復讐心から反乱を起こす」で、シグマ側にも義があるような流れだったらしい。ここで破壊されるオリキャラのカイルも、人間側に就いた為に粛清されたのではなく、人間に裏切られて破壊された事になっていたか。))。 ----

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