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*ゼルダの伝説 【ぜるだのでんせつ】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&image(fc_zelda.jpg,width=100)ディスクシステム版&br;&image(fc_zelda1_front.jpg,width=100)ロムカセット版&br;[[裏面を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3419/1585/fc_zelda1_back.jpg]]|~| |対応機種|ファミリーコンピュータ&br()ファミリーコンピュータ ディスクシステム|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|任天堂、エスアールディー|~|~| |発売日|【FCD】1986年2月21日&br()【FC】1994年2月19日|~|~| |定価|【FCD】市販:2,600円 / 書き換え:500円&br()【FC】4,900円|~|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】ディスク版:2006年12月2日/500Wiiポイント&br()【3DS】ROM版:2011年12月22日&br()【WiiU】ディスク版:2013年8月28日/上記共に500円|~|~| |備考|FC版は『ゼルダの伝説1』名義&br()GBA『[[ファミコンミニシリーズ]]』第一弾(2004年2月14日発売)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|任天堂を代表するアクションアドベンチャーシリーズの初代&br()アイテムを駆使して謎を解くゲーム性はすでに確立|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ディスクシステムのローンチタイトルにして後に続く「ゼルダシリーズ」の処女作。~ ローンチタイトルとして同時発売の『[[ベースボール>ベースボール (FC)]]』『[[麻雀]]』など現実の競技などをそのままタイトルに冠したゲーム5本と『[[スーパーマリオブラザーズ]]』はいずれもカセット既存作で片面ソフトなので、唯一の新作であり両面ソフトでもある。 探索、アイテム収集、謎解きといった要素を多分に含んだアクションアドベンチャーゲームで、1作目にて既にゲーム性の基礎を確立させている。~ 「それまでのFCソフトよりも安価で高性能」というディスクシステムの長所を活かしたゲームであることを売りに、同ハードを牽引した。~ ---- **ストーリー >舞台はハイラル地方にある小王国。~ この地には「力」と「知恵」を司る三角形の石板「トライフォース」が祭られていた。~ しかし、突如現れた大魔王ガノンが力のトライフォースを強奪、さらに知恵のトライフォースにまで魔の手を伸ばそうとしたが、~ それを察知した王国の統治者ゼルダ姫の手により知恵のトライフォースは8つの欠片に分かたれ、ハイラル地方の各地に隠された。~ 怒り狂ったガノンはゼルダ姫を幽閉し、さらに自身が率いる魔物の軍勢に反乱分子の掃討を命令。王国は混乱の極みに達していた。 > >事態を解決できうる力の持ち主を探し出せという密命を受けて旅をしていたゼルダ姫の乳母インパにも追手の魔の手が迫るが、~ 偶然出会った少年リンクの知恵によりからくも難を逃れる。~ リンクの利発さに感銘を受けた彼女に懇願され、リンクはゼルダ姫救出のために立ち上がるのであった。 ---- **ゲーム内容 -主人公が移動可能なマップは「フィールド」と「地下迷宮」の2種類で構成されている。1つのエリアは1画面分の固定画面方式で、画面端に達すると画面がスクロールして切り替わる。 --「フィールド」部分は128画面分で構成されており、フィールドの所々に「地下迷宮」が9つ存在している。最初のうちは移動に制限がかかっているが、各地に眠るアイテムによって行動範囲が徐々に広がっていく。 --地下迷宮ではフィールドや入り口の近場に勝るとも劣らない強敵が潜んでいる他、ゼルダシリーズの特徴である難易度の高い謎解きも随所にある。最深部にはボスが潜んでおり、トライフォースの欠片を守っている。 ---地下迷宮はレベル1~9までナンバリングされているが、必ずしも低いレベルの地下迷宮から攻略する必要はなく、自由度は比較的高い。ただしガノンの待つレベル9は、他の全ての地下迷宮を攻略し知恵のトライフォースを完成させなければ入ることすらできない。 //説明書の表記に合わせて「ダンジョン」を「地下迷宮」表記に変更 -一度ゲームをクリアするかセーブデータ作成時にある名前を入力すると、格段に難易度が上がった「裏ゼルダ」が遊べる。 --「裏ゼルダ」はマップ構成が「表」とガラリと変わっていたり、「表」にはなかった仕様や仕掛けが満載。また、「表」と「裏」を合わせれば、地下迷宮は実質18個存在するという事になる。実はシリーズ最多。 ---- **評価点 ディスクシステムは「ROMの約3倍の容量」「ディスクメディア媒体」「本体に搭載された拡張音源」当時としては高性能な機能をそろえており、それがゲーム内外で活用されている。 -セーブ機能。 --当時は『[[ドラゴンクエスト]]』(同年の5月発売)に代表されるようにパスワード形式のコンティニューが主流だった中、本作はディスク媒体メディアにより手軽にセーブが可能となり、複数データの保存にも対応している。これによりパスワードを書き止める手間や書き間違いのミスから解放された。 -独自音源による印象的な音楽 --ディスクシステムは波形メモリ音源の搭載によって更に1音多く扱うことが可能で、音源の特性上、FM音源に近い音色を用いる事ができた。 --拡張音源が用いられているのは効果音がメインで、剣を振る時の音や、巨大敵が出現する時の効果音など、内蔵音源だけでは出せない特徴的かつ派手な音で印象を強めている。拡張音源が用いられているBGMはオープニングとスタッフロールの2曲のみ((厳密にはコンテニュー画面の曲にも使われているが、スタッフロール曲のイントロ部分の繰り返しなので実質的には2曲))と少ないが、タイトルBGMで使用された柔和さを帯びた独特な音色で奏でられる印象的なメロディ、そしてアクセントとして用いられている鐘の音色の美しさが特に話題となった。 --BGMも曲数こそ少ないが名曲が揃っている。中でも鐘の音が鳴り響くタイトル画面の曲と、「地上のテーマ」はシリーズを象徴する代表曲となった。 --「アイテムを入手した時」「隠し通路発見時や謎を解いた時」には専用のファンファーレが鳴る。こちらもシリーズを通して使われている。CM等でも用いられており、もはや大抵のゲーマーならこのファンファーレを聞いたら「ああ、ゼルダだ…」と反応すること間違いなし。 -ディスクの容量を活した広大な世界と豊富なキャラ・謎解き要素 --前述したように、128画面分に及ぶフィールドは当時のアクションアドベンチャーとしては非常に広大。 --加えて、「木を燃やす」「爆弾で壁に穴をあける」などの要素により、地下迷宮以外にも発見できる隠し部屋などの要素が豊富。 ---隠し部屋にはヒントをくれる老人だけでなく友好的なモンスターが住んでいて、「''ミンナニ ナイショダヨ''((「ミンナニハ ナイショダヨ」のフレーズで有名となっているが、実は本作のこのメッセージに「ハ」は付いていない。))」というセリフと共にルピーがもらえたり、逆にドアの修理代を強制徴収させられたり、金でヒントをくれる人に対し少ないと「コレジャタリナイネ」と言われ、逆に多すぎると「アンタオカネモチダネ」と嫌味を言われやっぱりヒントをもらえないなど、細かいネタが非常にたくさんある。 ---ちなみに「''ミンナニ ナイショダヨ''」には二つの意味があり「敵がこちらにルピーを恵んでくれたことは彼の仲間には内緒にしておいてくれ」という通常の意味の他に「ここでルピーがもらえることはプレイヤーとの秘密だ」というメタな意味もある。これは裏を返せば「どんどん教え合って情報共有してほしい」という暗示であり、本作のヒントの少なさはこのような友達間のコミュニケーションを最初から意図したものであった。 --初期装備でも行ける範囲はかなり広い。そしてアイテムを入手するとますます広がっていく。 --笛や隠し通路によるワープもあるため広大なフィールドの行き来にもあまり困らない。また再開時はフィールドのスタート地点から開始となるので、ライフが初期値に戻るデメリットを許容できるなら中断セーブ→再開とすることでショートカットもできる。 --後のシリーズと異なり地下迷宮内の扉を開くのに必要な鍵は全ての地下迷宮で共通しているため、うまく使えば地下迷宮探索の手間を減らせたりもする。消費せずに使える「マジカルキー」も存在する。 -単純でわかりやすい、それでいて多彩な動きを見せる操作系統 --Aボタンは剣攻撃、Bボタンはアイテム使用(スタートボタンで別画面を呼び出して選択できる)、と非常にわかりやすく、謎解きに使うアイテムの種類も後の作品でおなじみになる「ブーメラン」「爆弾」「弓矢」など豊富。アイテムを取得していく度にリンクの動きが多彩になっていく。 --大半のアイテムは武器と同じ扱いで、敵にダメージを与えられるものも多い。「ロウソクで木を燃やして隠し階段を見つける」「爆弾で迷宮の壁に穴を開ける」と謎解きにも利用する。 -謎解きの楽しさ --フィールドや地下迷宮を探索していると一見どう進めばいいのかわからない場所や対処の仕方がわからない敵といった謎に遭遇する。~ しかし、どんな謎にも何かしらの解答が用意されており、プレイヤーは様々な場所から聞いたヒントや各地で手に入れたアイテム、過去の経験、外見や行動パターンなどからの推測から解答を見つけ謎を解く必要がある。 --どうすればいいのかわからなかった謎に対して試行錯誤の繰り返しや直感、ひらめき等で突破口を見つけた時の爽快感及び達成感は、はまる人にはかなりはまるものであり、この作品の大きな魅力の一つとなっている。 ---この謎解き要素はシリーズの後の作品に今なお継承され続けており、ゼルダシリーズの代名詞とも言える要素となっている。 --全体的にはヒントが少なく、やや理不尽に感じられる謎解きも一部存在しているが、非常に簡素であるもののフィールドや地下迷宮内のあちらこちらにヒントをくれる人が隠れており、攻略サイト等を見なくても自力でクリアすることは十分に可能なゲームバランスとなっている。 -攻略手順の自由度の高さ --初期装備でもメインフィールド上はほとんどの場所に行くことができ、大半の地下迷宮はむき出しの入り口であったりショップで手に入るアイテムを用いて入れるため、地下迷宮のレベリング順に攻略する必要がなくシリーズ作品の中でも特に自由度が高い。 --これは続編と比べてアイテムが少なくマップ上の仕掛けやフラグ管理といった要素も貧弱である故、意図したというより結果的にそうなったという見方の方が自然ではある。~ しかしながら探索中に先のレベルの地下迷宮を偶然見つけてしまい、恐る恐るとりあえず進めるところまでは進めてみようと言った楽しみ方もでき、探検要素の一部として捉えることも出来る。 --周回プレイをするような熟練者になると有用なアイテムが手に入る地下迷宮を先に制覇して優位に進めると言ったルート開拓も可能である。特に鍵の保有数が無限になる「マジカルキー」が隠されている地下迷宮は、配置は険しいものの早期から挑戦することも可能なので序盤に鍵の工面を不要にすることも。 ---更に突き詰めて時間効率の良いルートを考えてタイムアタック的な楽しみが出来るのも自由度の高さがあってこそ。 --この自由度の高さから、特に海外では、最初期のオープンワールドゲームと言われることもある。 -デザイン・能力ともに個性的な敵キャラ --口から岩を吐いて攻撃するタコのモンスター「オクタロック」、跳ねながら移動する一つ目アメンボ風の敵「テクタイト」、水辺からビームの攻撃をする半魚人「ゾーラ」、動く石像「アモス」、骸骨剣士「スタルフォス」、所持しているマジカルシールドを食べてしまう「ライクライク((蓼(たで)食う虫も好き好き→盾食う虫もLikeLikeという洒落。))」など特徴のあるものばかり。そして後のシリーズに登場する敵の多くが既に登場している。~ ボスキャラも目への矢しか通用しない(しかもまぶたを周期的に開閉している)カニのモンスター「ゴーマー」、通常時は何物をも受け付けないが、笛の音を聞くとしぼんで柔らかくなる「デグドガ」、トリケラトプス型のモンスターで硬い皮膚で剣を受け付けない(倒すためにはあるアイテムが必要)「ドドンゴ」など、曲者が揃っている。 --ドット絵だとかわいらしさを感じる敵キャラだが、説明書のイラストは当時の古典ゲームブックやTRPGを彷彿させるリアル調となっており&b(){非常に怖い}。特にポルスボイスのギャップは凄まじい。 ---- **問題点 -フィールドの全体像がゲーム内で表示されない --画面上に「フィールドのどのポイントにいるか」は示されるが、その画面がそれぞれどういう構造なのかまでは示されないので、マッピングなどして覚えるしかない。特にスタート地点のすぐ隣にある森のエリアなどは同じような構造の地形が隣りあっている部分もあり、慣れないうちはどの方向に進めば目当ての場所に着けるのか分からず迷いやすい場所もある。 --ただし森や岩山、海岸沿いなどフィールドを分けるエリアごとに雰囲気も大きく異なっており、それぞれ特徴的な地形も多いので、どこに何があるか覚えやすく、慣れてしまえば全体像を把握することは可能である。 -アイテムなどの所持数制限に少々厳しいところがある --バクダンは初期で8個、最大所持数を拡張すると16個まで増やせる。前述のように爆弾で迷宮の壁を爆破して進まないといけない箇所があるのだが、どこが壊せるかは一切わからないため、総当たりせざるを得ず、流石に不足しやすい。 --ルピー(お金)は255までしか持てないが、アイテムの価格は全体的にかなり高めで、しかも場所によって同じアイテムでも売値が違う。~ 基本的に恒久的に使える品は100ルピー近くするものが多く、金欠になりやすい。特にダメージを半減してくれる「青い指輪」はなんと250ルピーとカンスト直前の価格。~ 一応、ギャンブルで楽に増やしたり、「ミンナニ ナイショダヨ」で高額のルピーをもらえたりと救済策は各所に存在する。 ---また、弓矢の残弾数という概念がなく、弓矢を使用するとルピーを消費する。そのため弓矢を使っていく場合は金策が必要となる。 -基本装備となる剣での攻撃動作が「突き」しかないため攻撃範囲が狭い。このため様々な方向から襲ってくる敵に対処するのがかなり厳しい。 --この攻撃範囲の狭さゆえ、体力の低い序盤などは敵に接近戦を仕掛けると袋叩きにあってすぐにゲームオーバーになってしまうことが多い。 --これを考慮してか、今作では初期装備の状態でも、体力満タン時に剣先から飛距離無制限かつ障害物を貫通するソードビームを出すことができる。なるべくダメージを受けていない状態を維持し、遠距離からの攻撃で邪魔な敵を殲滅するという戦法をとれば敵への対処は容易になる。 --しかし後半からは体力を維持し続けること自体難しい場面も増え、遠距離攻撃でもダメージを与えづらい敵もかなり出てくるため、近接攻撃で四方八方から襲いかかる敵に対処せざるを得ない厳しい場面も数多く出てくる。終盤の地下迷宮を一度も死なずにクリアするにはかなりの腕前が必要であろう。 -全体的にヒントが少なく、一部、理不尽さが感じられやすい謎解きがある。 #region(攻略に関わるため隠し) --レベル7と8の地下迷宮の入り口がややわかりにくい。~ どちらも、ただ進める所を進んでいけば見つけることができたそれまでの地下迷宮と違って、フィールドのどこかに隠されており、ただ歩きまわってるだけではどこにあるのかわからない。入り口を見つけるにはそれぞれ隠された場所で特定のアイテムを使う必要があるのだが、場所に関するヒントは示されるものの、その場所で何をすればいいといったヒントはない。 --地下迷宮内のモンスターが行方をふさいでいる部屋では、あるアイテムを使うことで通れるのだが、そのヒントはゲーム中で出されない。~ 何しろそのモンスターは「ブツ…ブツ…」としか言わないので、何をすればいいのかわからない。なお、攻撃しても倒せないばかりか、横にある炎から攻撃されてしまう。~ 一応、通常出現するそのモンスターにはそのアイテムが他の敵より有効というのがヒントになってはいるのだが、わざわざ使わなくても倒せる雑魚なので、気付かないことが多い。 --爆弾をしかけるべき場所のヒントがほとんど存在しない。後のシリーズでは「壁にひびが入っている」「剣で斬りつけた時の音が違う」といった変化があるのだが、本作ではそれが無いため地下迷宮の構造((説明書にレベル1=イーグル、レベル2=ムーン(月)といったおおよその構造がわかるイラストが載っている))から類推するしかない。表ならある程度は目星が付けられるが((例えば「目」にあたる箇所には隠し部屋が配置されていることが多い。))、裏ゼルダでは相当厳しいものとなる。 --フィールドに隠されている体力を増やすハートのうつわも何の目印もヒントもない場所に隠されているものが複数あり、攻略情報無しで体力を最大値まであげるにはフィールド中の岩や木をしらみ潰しで調べていくしかなく、非常に困難である。 --説明書に「音を嫌う」と記述されているモンスター・ポルスボイスだが、ゲーム内で「音」に関わるアイテムである「笛」を使っても全く効果が表れない。ではどうするのかと言うと、答えは「&b(){2コンのマイクに音声入力すると一撃で倒せる}」というもの。今では有名になったネタだが、当時は迷う人が多かった。なお、後発の移植版では笛が通用するようになるといった調整が行われている。~ その一方で、「衝撃波を受けると体がしぼんでしまう」と記載されているボスキャラ「デグドガ」の弱点は''笛''。……衝撃波?ポルスボイスと違い、こちらはゲーム中で「笛の音に弱い」というヒントが聞けるので対処しやすいが。 --ラスボス「大魔王ガノン」の撃破法もほぼノーヒント。ある特殊なアイテムが必要なことは説明書などで示されるも、それ以前に''姿を消してワープし、見えないまま高威力の飛び道具を放ってくる''という、初見ではどう対処していいのか迷うこと間違いなしの攻撃を繰り出してくる。 #endregion -裏ゼルダの自力攻略は非常に困難 --全クリア後のおまけ要素ではあるものの、非常に難易度が高い。フィールドの地形こそ同じだが隠し部屋と地下迷宮の位置・構造はガラリと変化しており、しかも大半の地下迷宮の位置はノーヒント。画面中をしらみ潰しに探さないといけない。更に表では最終面でしか登場しなかった一方通行の扉が随所に出てくる。 ---表ゼルダに比べてルピーを要求される場面が増えており((『お金か命を置いて行け』と脅され、50ルピーかハートの器(最大HPを増やすアイテム)1個を通行料として請求してくる。ライフが初期値(3個)の時に命を渡す選択をするとハートは3個のままだがライフが0になって1発でもダメージを受ければゲームオーバーの状態になる))、隠し部屋を発見してもらえるルピーの額も減っているため稼ぎが必須。 #region(特に・・・(攻略に関わるため隠し)) -裏ゼルダのみに登場するやっかいな仕掛けとして、「十字キーを数秒入れっぱなしにすることで通り抜けられる壁」というものが存在する。 --マップで見ると明らかにこの先に部屋が存在するのに扉もなく爆弾でも開かない。ここで「壁に体当たりをする」という発想ができなければ詰んでしまう。 ---それらを利用して、トライフォースのある部屋の奥をすり抜けてアイテムを入手、お金か命を支払った挙げ句進んだ先が一方通行の扉でスタート地点まで戻されるといった非常に意地の悪い仕掛けも存在する。 -レベル7の地下迷宮は木に隠されているのだが、その時点では同画面上では一度しか使用できない青いロウソクしか入手できないため初見では「木を燃やす→スクロール」の繰り返しを強要され、その場所も非常に見つけづらい位置にあるので発見するのに異様な時間がかかる。 --そして、そのダンジョン内の入手アイテムがなんと&b(){画面移動せずとも無制限に使用できる赤いロウソク}。これ以降赤いロウソクが活躍する場面もほとんどなく、どう考えてもこの地下迷宮を探すためにあるようなアイテムであるのにその内部に配置する辺りに制作の底意地の悪さを感じざるを得ない。 ---逆に、レベル4迷宮で手に入るバイブルはレベル8迷宮にあるマジカルロッドを入手するまで何の役にも立たない。せめてバイブルと赤いロウソクの配置が逆だったなら、これほどの問題にはならなかっただろう。 #endregion --敵に関しても攻撃力ハート2個分のビームを撃つスタルフォスや、一度触れるとずっと剣が出せなくなる赤バブル・その状態から回復させる青バブルという裏限定の物も存在する。 ---これらのバブルの仕様に関しても当然ながらノーヒント。大抵の部屋では赤と青がセットになっているので気づきやすいとは思うが、初見ではパニックに陥ること必至((剣が出せなくなっても、薬や池の妖精で体力を全回復すれば出せるようになるという救済措置があるがこれもノーヒント。))。 ---- **総評 アイテムの使い分けによる高いアクション性、広大なフィールドの探索、自由度の高さ、謎解き、それらをハイレベルにまとめ上げ、「ゼルダシリーズ」の礎を築きあげた名作。~ やや不親切だったり難易度的に厳しい部分もあるが、それらを感じさせないほどに魅力的な要素満載の作品内容で、プレイヤーたちを夢中にさせた。~ ファミコンソフトのアクションアドベンチャーとしては斬新な要素が多く、ディスクシステムの普及に多大な貢献をしたキラータイトルとなった。~ ゼルダの原点を知りたい人や、骨太のアクションや謎解きに挑戦してみたいという人はぜひプレイしてみてほしい。 ---- **移植版 その人気から様々なハードに移植されている。~ -『ゼルダの伝説1』(FCROM移植版:1994年2月19日) --「1」とナンバリングが新たにつけられ任天堂によるファミコン最後の自社発売カセットとして、『[[ワリオの森]]』と同時に発売された((任天堂公認のファミコン最後のソフトとしては、6月14日にハドソンから発売された『高橋名人の冒険島IV』がラスト。))。 --ROM移植版は英数字フォントが変えられている他、一部NES版の要素も入り、ハードの特性上読み込みがまったく無い。ただし、ディスクシステムの独自音源が使えないため印象的だったBGMと効果音は全て内蔵音源で演奏されている。 --クレジットが「1986,1992 NINTENDO」となっているのは、元々は1992年内に発売を予定していたためと考えられる。~ ニューファミコン発売(1993年12月)に伴って『ニューファミコン』+『ゼルダの伝説1』+『ワリオの森』の3つセットのような形でCMが行われたことが大きかったか、本作のクレジット表記が2年もズレていることに違和感を持った人も少なくない。 ---テレビ東京系で放送されていたゲーム番組「スーパーマリオスタジアム」のコーナー「ファミコン王に挑戦((ボックシングなどのタイトルマッチの形式で『ドクターマリオ』『マリオカート』など任天堂の対戦ゲームを対象として、それぞれに王者がおり、勝った者は王者として次回は挑戦を受ける立場となる(必然的に次回の出場権を得たことになる)。))」で、勝者にはスーパーファミコン、ファミコン、ゲームボーイの最新ソフトが貰えたが、スーパーファミコンやゲームボーイは新作が続々発売されラインナップが次々と変わっていったのに対し、ファミコンはこれ以降『ワリオの森』『ゼルダの伝説1』『ファイナルファンタジーI・II』『[[高橋名人の冒険島IV]]』で固定のまま1995年7月にファミコンソフト枠がバーチャルボーイソフト枠にまるまるすげ替えられるまで続いた。 -NES版 --ディスクシステム自体の発売がなかった海外ではROM版が正式なリリースとなった。 --ゾーラのグラフィックが縁取りされている他、バイブルもBOOK OF MAGIC(魔法の本)に修正、一部ダンジョンに敵の配置が追加された。 --NESにはマイク入力は存在しないため、ポルスボイスは矢で一撃で倒せるよう変更。 -ファミコンミニシリーズ(GBA版:2004年) --ROM版ベース。 --セーブはSelect+上。マイク入力はセレクト4連打に割り当て。 -Wiiバーチャルコンソール版(2006年) --ディスク版ベース。 --マイク入力は右スティック1回転に割り当て。 -『ゼルダコレクション』(GC) --クラブニンテンドー会員特典限定。ディスク版ベース。VCで配信されているものはこれと同じ。 -WiiUバーチャルコンソール版 --マイク入力は実際にGamePadのマイクが使用可能。 -3DSバーチャルコンソール版(2011年12月22日) --ROM版ベース。正式配信前にアンバサダープログラム配信タイトルの1つとしても配信。3DSの正式なファミコンソフトVCとしては初のタイトルとなる。 --セーブはIIコンへの切り替え操作が必要。マイク入力はIIコンへ切り替えた上で実際に3DSのマイクが使用可能。 -『[[ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』 --Nintendo Switchのオンラインプレイサービス「Nintendo Switch Online」の入会特典。初期タイトルとして本作が収録。 --セーブは2つ目のコントローラの接続が必要。マイク入力はR+ZRまたはL+ZLに割り当てられている他、別売りのSwitch用ファミコンコントローラでは実際にマイクが搭載されており使用可能。 --2018年10月11日に本作のスペシャルバージョンとして「お金持ちバージョン」が配信開始された。内容は公式チートと呼べるもので、現在基準では難易度が最新作ともども別ベクトルながらかなり高い部類に入ることからの配慮と見られる。 ---実際にはお金やアイテムを大量に取得済みのプレイデータがプリセットされている形となっており、ゲームプログラム自体に改修が加えられているわけではない。セーブの扱いは慎重に。 -ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ --マイクは存在せず、代替操作は見つかっていない。 -『ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説』(2021年11月12日) --『ゼルダの伝説』『[[リンクの冒険]]』『[[夢をみる島>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』『バーミン』を収録している。 --セーブは『夢をみる島』と同コマンドのA+B+Start+Select。マイク入力はSelectボタン長押しに割り当て。 --海外での発売に合わせて、DISK版のバイブルの英名がROM版準拠となっている。 -基本的には音源の違いと若干のシステム調整点(中断コマンド入力の2コン制限撤廃or変更、ポルスボイスの倒し方等)以外は共通している。移植度については音源を除けばどれを選んでも問題ない出来である。 //↑のシステム調整の例に「笛がポルスボイスに通用するようになる」とあったが、Zelda Wikiにはそのようなバージョンは無いとある。 --「ファミ通」のクロスレビューでは、ROM移植版に対する評価として「最新ゲームに見た目は劣るが歴史に残る名作をもう1度体験すべき」と大プッシュされた。 --なお、マイク入力が不可能なほぼすべての移植版で代替操作が用意されており、遊ぶ上で不都合はない。 ---- **余談 -前述したとおりゼルダシリーズの初代作品であり、このゲームの世界観や固有名詞、BGM等、様々な要素が後のシリーズに受け継がれている。 --後々のシリーズもハイラルという同じ世界での出来事ではあるが作品内では一部例外を除いて連続した話になっておらずいつの時代の話か不明になっているため、熱心なファンたちが各作品に散りばめられた要素から時系列を考察しており新作が出る度に議論の的となっていた。 --それに呼応する形で任天堂から公式ガイドブック「ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全」にて「設定はいつか変更される可能性がある」という前置きをしながらも公式見解の時系列が発表された。 それによると本作と続編の『[[リンクの冒険]]』が、ハイラル史の時系列では「リンクがガノンに敗北した世界における最新の出来事」ということになっている。 --しかし『[[ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』発売後の開発者インタビューで、『BOTW』は時系列で「最後」の作品ではあるが、どの時系列の最後であるかはわからないとされ、ポータルサイトのヒストリーでも『BOTW』が三つの時系列どれにも属さない位置に置かれているため、現在曖昧な状態となっている。 -当時はタイトルとパッケージイラストからの連想で「主人公の名前=ゼルダ」と誤解する人が多かったというのは本シリーズ初期を知るプレイヤーあるあるの一つである。 --作中で自身が名前で呼ばれることが無く、さらにゼルダ姫がゲーム中に出てこないこと、加えてほかのメディアなどで知る手段が少なかったことが重なったためである。 ---上述のストーリーは作中のタイトル画面で放置すると表示はされるものの、英語だったためメインプレイヤー層だった小学生は英語は学校では学習しないため、読むことができなかった。 -GBC専用ソフト『[[ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章/時空の章]]』は当初の企画では本作のリメイクとして開発される予定だった。 --『大地の章』のボスキャラ達の大半が本作に登場したボスキャラになっていたりマップが本作に似ているのはその名残である。 -実は『[[どうぶつの森+]]』にもディスク版がファミコン家具として入っており、公式サイトにて「あいことば」の形で配布予定だったが、諸事情によりお蔵入りとなってしまった。 --一応、[[非公式ツールで「あいことば」を生成して入力したり、>https://web.archive.org/web/20181108145442/http://www001.upp.so-net.ne.jp/isaku/soft/index.html#doubutsu]]内部データから解析で取り出したりすれば遊べないこともない。 -メディアミックスは盛んではなかったが、コミック化、小説化がされている。また、複数の出版社から攻略本も発売された。 --宝島出版と徳間書店からコミックが、双葉社から小説とゲームブックが出版されていた。 --小学館の学年別学習誌でも当時ファミコン漫画は盛んで、その例の漏れず本作の漫画も多数掲載されていた。 ---リンクは言わずもがなエルフ耳なのだが、まだそのキャラクターが認知され切っていなかったのか、これが反映されていないものも多々見られる。 ---実際『わんぱっくコミック』における乱丸氏の漫画のように『ゼルダの伝説』の方ではそれが見落とされていたが『リンクの冒険』の方ではちゃんとエルフ耳になっていたりと認知が遅れた例もある。 -ゲーム冒頭部分においてプレイヤーキャラクターであるリンクは何も持っておらず、開始地点からすぐ近くにある洞窟内のお爺さんから剣をもらうという流れになっている理由はディレクターの宮本茂氏によって語られている。 --最初「ゼルダの伝説」は、社内で「わかりにくい」と猛反発を受けた。そこで宮本氏はわざとリンクから剣を取り上げてしまい、「どう見ても入れと言わんばかりのほら穴」に隠した。そうすることで、このゲームは「自分で怪しいところを探していくゲームなんだ」という暗黙のルールを示したという。 ---この仕様を逆手に取り、最初に剣を取らないままリンクを大魔王ガノンの部屋までたどり着かせる(剣がないので倒すのは不可能)通称「剣なしゼルダ」と呼ばれる縛りプレイが存在する。弓と矢を入手するまで通常攻撃にも事欠く有様になるので難易度が跳ね上がるが、プレイヤーの知識と腕前がダイレクトに反映されるので通常プレイに飽きた方は一度試してみるのも一興。 ---これと同じようなエピソードとして「何をすればいいのかわからない」という意見から、城内の王室から出る場面をスタート地点に変更した『[[ドラゴンクエスト]]』があり、またステージ構成でチュートリアルを果たしているという点では宮本氏作の『[[スーパーマリオブラザーズ]]』の1-1ステージなどに通じるものがあると言えるだろう。 -コード解析を得意とするYouTuberのSKELUX氏が、本来作られたマップの外の領域に踏み込んだ状況を、発売から30年以上経過した2019年に実現した。 --通常は範囲外の領域に出ると正しい位置に戻されるプログラムがあるのだが、ゲームを改造して無理矢理正規の範囲外に移動させた。 --「マイナスワールド」と名付けられた世界は、敵キャラはバグっており、岩や木々も素通りでき、何もしなくても隠れていた階段が現れたり、剣をくれる老人を攻撃できたりと、バグの産物らしい奇妙でちょっと不気味な世界が広がっている。 -2016年、アメリカ・ニューヨークにある「世界ビデオゲームの殿堂」に「[[スペースインベーダー]]」や「[[ソニック・ザ・ヘッジホッグ]]」などと共に殿堂入りした。 --日本製のゲームでは、上記2作と前年の2015年に殿堂入りした「[[スーパーマリオブラザーズ]]」、「[[パックマン]]」に続き5本目となった。 ----
*ゼルダの伝説 【ぜるだのでんせつ】 *ゼルダの伝説1 【ぜるだのでんせついち】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&image(fc_zelda.jpg,width=100)ディスクシステム版&br;&image(fc_zelda1_front.jpg,width=100)ロムカセット版&br;[[裏面を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3419/1585/fc_zelda1_back.jpg]]|~| |対応機種|ファミリーコンピュータ&br()ファミリーコンピュータ ディスクシステム|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|任天堂、エスアールディー|~|~| |発売日|【FCD】1986年2月21日&br()【FC】1994年2月19日|~|~| |定価|【FCD】市販:2,600円 / 書き換え:500円&br()【FC】4,900円|~|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】ディスク版:2006年12月2日/500Wiiポイント&br()【3DS】ROM版:2011年12月22日&br()【WiiU】ディスク版:2013年8月28日/上記共に500円|~|~| |備考|FC版は『ゼルダの伝説1』名義&br()GBA『[[ファミコンミニシリーズ]]』第一弾(2004年2月14日発売)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|任天堂を代表するアクションアドベンチャーシリーズの初代&br()アイテムを駆使して謎を解くゲーム性はすでに確立|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ディスクシステムのローンチタイトルにして後に続く「ゼルダシリーズ」の処女作。~ ローンチタイトルとして同時発売の『[[ベースボール>ベースボール (FC)]]』『[[麻雀]]』など現実の競技などをそのままタイトルに冠したゲーム5本と『[[スーパーマリオブラザーズ]]』はいずれもカセット既存作で片面ソフトなので、唯一の新作であり両面ソフトでもある。 探索、アイテム収集、謎解きといった要素を多分に含んだアクションアドベンチャーゲームで、1作目にて既にゲーム性の基礎を確立させている。~ 「それまでのFCソフトよりも安価で高性能」というディスクシステムの長所を活かしたゲームであることを売りに、同ハードを牽引した。~ ファミコン末期の1994年にはロムカセットで再発売されている(詳細は後述)。 ---- **ストーリー >舞台はハイラル地方にある小王国。~ この地には「力」と「知恵」を司る三角形の石板「トライフォース」が祭られていた。~ しかし、突如現れた大魔王ガノンが力のトライフォースを強奪、さらに知恵のトライフォースにまで魔の手を伸ばそうとしたが、~ それを察知した王国の統治者ゼルダ姫の手により知恵のトライフォースは8つの欠片に分かたれ、ハイラル地方の各地に隠された。~ 怒り狂ったガノンはゼルダ姫を幽閉し、さらに自身が率いる魔物の軍勢に反乱分子の掃討を命令。王国は混乱の極みに達していた。 > >事態を解決できうる力の持ち主を探し出せという密命を受けて旅をしていたゼルダ姫の乳母インパにも追手の魔の手が迫るが、~ 偶然出会った少年リンクの知恵によりからくも難を逃れる。~ リンクの利発さに感銘を受けた彼女に懇願され、リンクはゼルダ姫救出のために立ち上がるのであった。 ---- **ゲーム内容 -主人公が移動可能なマップは「フィールド」と「地下迷宮」の2種類で構成されている。1つのエリアは1画面分の固定画面方式で、画面端に達すると画面がスクロールして切り替わる。 --「フィールド」部分は128画面分で構成されており、フィールドの所々に「地下迷宮」が9つ存在している。最初のうちは移動に制限がかかっているが、各地に眠るアイテムによって行動範囲が徐々に広がっていく。 --地下迷宮ではフィールドや入り口の近場に勝るとも劣らない強敵が潜んでいる他、ゼルダシリーズの特徴である難易度の高い謎解きも随所にある。最深部にはボスが潜んでおり、トライフォースの欠片を守っている。 ---地下迷宮はレベル1~9までナンバリングされているが、必ずしも低いレベルの地下迷宮から攻略する必要はなく、自由度は比較的高い。ただしガノンの待つレベル9は、他の全ての地下迷宮を攻略し知恵のトライフォースを完成させなければ入ることすらできない。 //説明書の表記に合わせて「ダンジョン」を「地下迷宮」表記に変更 -一度ゲームをクリアするかセーブデータ作成時にある名前を入力すると、格段に難易度が上がった「裏ゼルダ」が遊べる。 --「裏ゼルダ」はマップ構成が「表」とガラリと変わっていたり、「表」にはなかった仕様や仕掛けが満載。また、「表」と「裏」を合わせれば、地下迷宮は実質18個存在するという事になる。実はシリーズ最多。 ---- **評価点 ディスクシステムは「ROMの約3倍の容量」「ディスクメディア媒体」「本体に搭載された拡張音源」当時としては高性能な機能をそろえており、それがゲーム内外で活用されている。 -セーブ機能。 --当時は『[[ドラゴンクエスト]]』(同年の5月発売)に代表されるようにパスワード形式のコンティニューが主流だった中、本作はディスク媒体メディアにより手軽にセーブが可能となり、複数データの保存にも対応している。これによりパスワードを書き止める手間や書き間違いのミスから解放された。 -独自音源による印象的な音楽 --ディスクシステムは波形メモリ音源の搭載によって更に1音多く扱うことが可能で、音源の特性上、FM音源に近い音色を用いる事ができた。 --拡張音源が用いられているのは効果音がメインで、剣を振る時の音や、巨大敵が出現する時の効果音など、内蔵音源だけでは出せない特徴的かつ派手な音で印象を強めている。拡張音源が用いられているBGMはオープニングとスタッフロールの2曲のみ((厳密にはコンテニュー画面の曲にも使われているが、スタッフロール曲のイントロ部分の繰り返しなので実質的には2曲))と少ないが、タイトルBGMで使用された柔和さを帯びた独特な音色で奏でられる印象的なメロディ、そしてアクセントとして用いられている鐘の音色の美しさが特に話題となった。 --BGMも曲数こそ少ないが名曲が揃っている。中でも鐘の音が鳴り響くタイトル画面の曲と、「地上のテーマ」はシリーズを象徴する代表曲となった。 --「アイテムを入手した時」「隠し通路発見時や謎を解いた時」には専用のファンファーレが鳴る。こちらもシリーズを通して使われている。CM等でも用いられており、もはや大抵のゲーマーならこのファンファーレを聞いたら「ああ、ゼルダだ…」と反応すること間違いなし。 -ディスクの容量を活した広大な世界と豊富なキャラ・謎解き要素 --前述したように、128画面分に及ぶフィールドは当時のアクションアドベンチャーとしては非常に広大。 --加えて、「木を燃やす」「爆弾で壁に穴をあける」などの要素により、地下迷宮以外にも発見できる隠し部屋などの要素が豊富。 ---隠し部屋にはヒントをくれる老人だけでなく友好的なモンスターが住んでいて、「''ミンナニ ナイショダヨ''((「ミンナニハ ナイショダヨ」のフレーズで有名となっているが、実は本作のこのメッセージに「ハ」は付いていない。))」というセリフと共にルピーがもらえたり、逆にドアの修理代を強制徴収させられたり、金でヒントをくれる人に対し少ないと「コレジャタリナイネ」と言われ、逆に多すぎると「アンタオカネモチダネ」と嫌味を言われやっぱりヒントをもらえないなど、細かいネタが非常にたくさんある。 ---ちなみに「''ミンナニ ナイショダヨ''」には二つの意味があり「敵がこちらにルピーを恵んでくれたことは彼の仲間には内緒にしておいてくれ」という通常の意味の他に「ここでルピーがもらえることはプレイヤーとの秘密だ」というメタな意味もある。これは裏を返せば「どんどん教え合って情報共有してほしい」という暗示であり、本作のヒントの少なさはこのような友達間のコミュニケーションを最初から意図したものであった。 --初期装備でも行ける範囲はかなり広い。そしてアイテムを入手するとますます広がっていく。 --笛や隠し通路によるワープもあるため広大なフィールドの行き来にもあまり困らない。また再開時はフィールドのスタート地点から開始となるので、ライフが初期値に戻るデメリットを許容できるなら中断セーブ→再開とすることでショートカットもできる。 --後のシリーズと異なり地下迷宮内の扉を開くのに必要な鍵は全ての地下迷宮で共通しているため、うまく使えば地下迷宮探索の手間を減らせたりもする。消費せずに使える「マジカルキー」も存在する。 -単純でわかりやすい、それでいて多彩な動きを見せる操作系統 --Aボタンは剣攻撃、Bボタンはアイテム使用(スタートボタンで別画面を呼び出して選択できる)、と非常にわかりやすく、謎解きに使うアイテムの種類も後の作品でおなじみになる「ブーメラン」「爆弾」「弓矢」など豊富。アイテムを取得していく度にリンクの動きが多彩になっていく。 --大半のアイテムは武器と同じ扱いで、敵にダメージを与えられるものも多い。「ロウソクで木を燃やして隠し階段を見つける」「爆弾で迷宮の壁に穴を開ける」と謎解きにも利用する。 -謎解きの楽しさ --フィールドや地下迷宮を探索していると一見どう進めばいいのかわからない場所や対処の仕方がわからない敵といった謎に遭遇する。~ しかし、どんな謎にも何かしらの解答が用意されており、プレイヤーは様々な場所から聞いたヒントや各地で手に入れたアイテム、過去の経験、外見や行動パターンなどからの推測から解答を見つけ謎を解く必要がある。 --どうすればいいのかわからなかった謎に対して試行錯誤の繰り返しや直感、ひらめき等で突破口を見つけた時の爽快感及び達成感は、はまる人にはかなりはまるものであり、この作品の大きな魅力の一つとなっている。 ---この謎解き要素はシリーズの後の作品に今なお継承され続けており、ゼルダシリーズの代名詞とも言える要素となっている。 --全体的にはヒントが少なく、やや理不尽に感じられる謎解きも一部存在しているが、非常に簡素であるもののフィールドや地下迷宮内のあちらこちらにヒントをくれる人が隠れており、攻略サイト等を見なくても自力でクリアすることは十分に可能なゲームバランスとなっている。 -攻略手順の自由度の高さ --初期装備でもメインフィールド上はほとんどの場所に行くことができ、大半の地下迷宮はむき出しの入り口であったりショップで手に入るアイテムを用いて入れるため、地下迷宮のレベリング順に攻略する必要がなくシリーズ作品の中でも特に自由度が高い。 --これは続編と比べてアイテムが少なくマップ上の仕掛けやフラグ管理といった要素も貧弱である故、意図したというより結果的にそうなったという見方の方が自然ではある。~ しかしながら探索中に先のレベルの地下迷宮を偶然見つけてしまい、恐る恐るとりあえず進めるところまでは進めてみようと言った楽しみ方もでき、探検要素の一部として捉えることも出来る。 --周回プレイをするような熟練者になると有用なアイテムが手に入る地下迷宮を先に制覇して優位に進めると言ったルート開拓も可能である。特に鍵の保有数が無限になる「マジカルキー」が隠されている地下迷宮は、配置は険しいものの早期から挑戦することも可能なので序盤に鍵の工面を不要にすることも。 ---更に突き詰めて時間効率の良いルートを考えてタイムアタック的な楽しみが出来るのも自由度の高さがあってこそ。 --この自由度の高さから、特に海外では、最初期のオープンワールドゲームと言われることもある。 -デザイン・能力ともに個性的な敵キャラ --口から岩を吐いて攻撃するタコのモンスター「オクタロック」、跳ねながら移動する一つ目アメンボ風の敵「テクタイト」、水辺からビームの攻撃をする半魚人「ゾーラ」、動く石像「アモス」、骸骨剣士「スタルフォス」、所持しているマジカルシールドを食べてしまう「ライクライク((蓼(たで)食う虫も好き好き→盾食う虫もLikeLikeという洒落。))」など特徴のあるものばかり。そして後のシリーズに登場する敵の多くが既に登場している。~ ボスキャラも目への矢しか通用しない(しかもまぶたを周期的に開閉している)カニのモンスター「ゴーマー」、通常時は何物をも受け付けないが、笛の音を聞くとしぼんで柔らかくなる「デグドガ」、トリケラトプス型のモンスターで硬い皮膚で剣を受け付けない(倒すためにはあるアイテムが必要)「ドドンゴ」など、曲者が揃っている。 --ドット絵だとかわいらしさを感じる敵キャラだが、説明書のイラストは当時の古典ゲームブックやTRPGを彷彿させるリアル調となっており&b(){非常に怖い}。特にポルスボイスのギャップは凄まじい。 ---- **問題点 -フィールドの全体像がゲーム内で表示されない --画面上に「フィールドのどのポイントにいるか」は示されるが、その画面がそれぞれどういう構造なのかまでは示されないので、マッピングなどして覚えるしかない。特にスタート地点のすぐ隣にある森のエリアなどは同じような構造の地形が隣りあっている部分もあり、慣れないうちはどの方向に進めば目当ての場所に着けるのか分からず迷いやすい場所もある。 --ただし森や岩山、海岸沿いなどフィールドを分けるエリアごとに雰囲気も大きく異なっており、それぞれ特徴的な地形も多いので、どこに何があるか覚えやすく、慣れてしまえば全体像を把握することは可能である。 -アイテムなどの所持数制限に少々厳しいところがある --バクダンは初期で8個、最大所持数を拡張すると16個まで増やせる。前述のように爆弾で迷宮の壁を爆破して進まないといけない箇所があるのだが、どこが壊せるかは一切わからないため、総当たりせざるを得ず、流石に不足しやすい。 --ルピー(お金)は255までしか持てないが、アイテムの価格は全体的にかなり高めで、しかも場所によって同じアイテムでも売値が違う。~ 基本的に恒久的に使える品は100ルピー近くするものが多く、金欠になりやすい。特にダメージを半減してくれる「青い指輪」はなんと250ルピーとカンスト直前の価格。~ 一応、ギャンブルで楽に増やしたり、「ミンナニ ナイショダヨ」で高額のルピーをもらえたりと救済策は各所に存在する。 ---また、弓矢の残弾数という概念がなく、弓矢を使用するとルピーを消費する。そのため弓矢を使っていく場合は金策が必要となる。 -基本装備となる剣での攻撃動作が「突き」しかないため攻撃範囲が狭い。このため様々な方向から襲ってくる敵に対処するのがかなり厳しい。 --この攻撃範囲の狭さゆえ、体力の低い序盤などは敵に接近戦を仕掛けると袋叩きにあってすぐにゲームオーバーになってしまうことが多い。 --これを考慮してか、今作では初期装備の状態でも、体力満タン時に剣先から飛距離無制限かつ障害物を貫通するソードビームを出すことができる。なるべくダメージを受けていない状態を維持し、遠距離からの攻撃で邪魔な敵を殲滅するという戦法をとれば敵への対処は容易になる。 --しかし後半からは体力を維持し続けること自体難しい場面も増え、遠距離攻撃でもダメージを与えづらい敵もかなり出てくるため、近接攻撃で四方八方から襲いかかる敵に対処せざるを得ない厳しい場面も数多く出てくる。終盤の地下迷宮を一度も死なずにクリアするにはかなりの腕前が必要であろう。 -全体的にヒントが少なく、一部、理不尽さが感じられやすい謎解きがある。 #region(攻略に関わるため隠し) --レベル7と8の地下迷宮の入り口がややわかりにくい。~ どちらも、ただ進める所を進んでいけば見つけることができたそれまでの地下迷宮と違って、フィールドのどこかに隠されており、ただ歩きまわってるだけではどこにあるのかわからない。入り口を見つけるにはそれぞれ隠された場所で特定のアイテムを使う必要があるのだが、場所に関するヒントは示されるものの、その場所で何をすればいいといったヒントはない。 --地下迷宮内のモンスターが行方をふさいでいる部屋では、あるアイテムを使うことで通れるのだが、そのヒントはゲーム中で出されない。~ 何しろそのモンスターは「ブツ…ブツ…」としか言わないので、何をすればいいのかわからない。なお、攻撃しても倒せないばかりか、横にある炎から攻撃されてしまう。~ 一応、通常出現するそのモンスターにはそのアイテムが他の敵より有効というのがヒントになってはいるのだが、わざわざ使わなくても倒せる雑魚なので、気付かないことが多い。 --爆弾をしかけるべき場所のヒントがほとんど存在しない。後のシリーズでは「壁にひびが入っている」「剣で斬りつけた時の音が違う」といった変化があるのだが、本作ではそれが無いため地下迷宮の構造((説明書にレベル1=イーグル、レベル2=ムーン(月)といったおおよその構造がわかるイラストが載っている))から類推するしかない。表ならある程度は目星が付けられるが((例えば「目」にあたる箇所には隠し部屋が配置されていることが多い。))、裏ゼルダでは相当厳しいものとなる。 --フィールドに隠されている体力を増やすハートのうつわも何の目印もヒントもない場所に隠されているものが複数あり、攻略情報無しで体力を最大値まであげるにはフィールド中の岩や木をしらみ潰しで調べていくしかなく、非常に困難である。 --説明書に「音を嫌う」と記述されているモンスター・ポルスボイスだが、ゲーム内で「音」に関わるアイテムである「笛」を使っても全く効果が表れない。ではどうするのかと言うと、答えは「&b(){2コンのマイクに音声入力すると一撃で倒せる}」というもの。今では有名になったネタだが、当時は迷う人が多かった。なお、後発の移植版では笛が通用するようになるといった調整が行われている。~ その一方で、「衝撃波を受けると体がしぼんでしまう」と記載されているボスキャラ「デグドガ」の弱点は''笛''。……衝撃波?ポルスボイスと違い、こちらはゲーム中で「笛の音に弱い」というヒントが聞けるので対処しやすいが。 --ラスボス「大魔王ガノン」の撃破法もほぼノーヒント。ある特殊なアイテムが必要なことは説明書などで示されるも、それ以前に''姿を消してワープし、見えないまま高威力の飛び道具を放ってくる''という、初見ではどう対処していいのか迷うこと間違いなしの攻撃を繰り出してくる。 #endregion -裏ゼルダの自力攻略は非常に困難 --全クリア後のおまけ要素ではあるものの、非常に難易度が高い。フィールドの地形こそ同じだが隠し部屋と地下迷宮の位置・構造はガラリと変化しており、しかも大半の地下迷宮の位置はノーヒント。画面中をしらみ潰しに探さないといけない。更に表では最終面でしか登場しなかった一方通行の扉が随所に出てくる。 ---表ゼルダに比べてルピーを要求される場面が増えており((『お金か命を置いて行け』と脅され、50ルピーかハートの器(最大HPを増やすアイテム)1個を通行料として請求してくる。ライフが初期値(3個)の時に命を渡す選択をするとハートは3個のままだがライフが0になって1発でもダメージを受ければゲームオーバーの状態になる))、隠し部屋を発見してもらえるルピーの額も減っているため稼ぎが必須。 #region(特に・・・(攻略に関わるため隠し)) -裏ゼルダのみに登場するやっかいな仕掛けとして、「十字キーを数秒入れっぱなしにすることで通り抜けられる壁」というものが存在する。 --マップで見ると明らかにこの先に部屋が存在するのに扉もなく爆弾でも開かない。ここで「壁に体当たりをする」という発想ができなければ詰んでしまう。 ---それらを利用して、トライフォースのある部屋の奥をすり抜けてアイテムを入手、お金か命を支払った挙げ句進んだ先が一方通行の扉でスタート地点まで戻されるといった非常に意地の悪い仕掛けも存在する。 -レベル7の地下迷宮は木に隠されているのだが、その時点では同画面上では一度しか使用できない青いロウソクしか入手できないため初見では「木を燃やす→スクロール」の繰り返しを強要され、その場所も非常に見つけづらい位置にあるので発見するのに異様な時間がかかる。 --そして、そのダンジョン内の入手アイテムがなんと&b(){画面移動せずとも無制限に使用できる赤いロウソク}。これ以降赤いロウソクが活躍する場面もほとんどなく、どう考えてもこの地下迷宮を探すためにあるようなアイテムであるのにその内部に配置する辺りに制作の底意地の悪さを感じざるを得ない。 ---逆に、レベル4迷宮で手に入るバイブルはレベル8迷宮にあるマジカルロッドを入手するまで何の役にも立たない。せめてバイブルと赤いロウソクの配置が逆だったなら、これほどの問題にはならなかっただろう。 #endregion --敵に関しても攻撃力ハート2個分のビームを撃つスタルフォスや、一度触れるとずっと剣が出せなくなる赤バブル・その状態から回復させる青バブルという裏限定の物も存在する。 ---これらのバブルの仕様に関しても当然ながらノーヒント。大抵の部屋では赤と青がセットになっているので気づきやすいとは思うが、初見ではパニックに陥ること必至((剣が出せなくなっても、薬や池の妖精で体力を全回復すれば出せるようになるという救済措置があるがこれもノーヒント。))。 ---- **総評 アイテムの使い分けによる高いアクション性、広大なフィールドの探索、自由度の高さ、謎解き、それらをハイレベルにまとめ上げ、「ゼルダシリーズ」の礎を築きあげた名作。~ やや不親切だったり難易度的に厳しい部分もあるが、それらを感じさせないほどに魅力的な要素満載の作品内容で、プレイヤーたちを夢中にさせた。~ ファミコンソフトのアクションアドベンチャーとしては斬新な要素が多く、ディスクシステムの普及に多大な貢献をしたキラータイトルとなった。~ ゼルダの原点を知りたい人や、骨太のアクションや謎解きに挑戦してみたいという人はぜひプレイしてみてほしい。 ---- **移植版 その人気から様々なハードに移植されている。~ -『ゼルダの伝説1』(FCROM移植版:1994年2月19日) --「1」とナンバリングが新たにつけられ任天堂によるファミコン最後の自社発売カセットとして、『[[ワリオの森]]』と同時に発売された((任天堂公認のファミコン最後のソフトとしては、6月14日にハドソンから発売された『高橋名人の冒険島IV』がラスト。))。 --ROM移植版は英数字フォントが変えられている他、一部NES版の要素も入り、ハードの特性上読み込みがまったく無い。ただし、ディスクシステムの独自音源が使えないため印象的だったBGMと効果音は全て内蔵音源で演奏されている。 --クレジットが「1986,1992 NINTENDO」となっているのは、元々は1992年内に発売を予定していたためと考えられる。~ ニューファミコン発売(1993年12月)に伴って『ニューファミコン』+『ゼルダの伝説1』+『ワリオの森』の3つセットのような形でCMが行われたことが大きかったか、本作のクレジット表記が2年もズレていることに違和感を持った人も少なくない。 ---テレビ東京系で放送されていたゲーム番組「スーパーマリオスタジアム」のコーナー「ファミコン王に挑戦((ボックシングなどのタイトルマッチの形式で『ドクターマリオ』『マリオカート』など任天堂の対戦ゲームを対象として、それぞれに王者がおり、勝った者は王者として次回は挑戦を受ける立場となる(必然的に次回の出場権を得たことになる)。))」で、勝者にはスーパーファミコン、ファミコン、ゲームボーイの最新ソフトが貰えたが、スーパーファミコンやゲームボーイは新作が続々発売されラインナップが次々と変わっていったのに対し、ファミコンはこれ以降『ワリオの森』『ゼルダの伝説1』『ファイナルファンタジーI・II』『[[高橋名人の冒険島IV]]』で固定のまま1995年7月にファミコンソフト枠がバーチャルボーイソフト枠にまるまるすげ替えられるまで続いた。 -NES版 --ディスクシステム自体の発売がなかった海外ではROM版が正式なリリースとなった。 --ゾーラのグラフィックが縁取りされている他、バイブルもBOOK OF MAGIC(魔法の本)に修正、一部ダンジョンに敵の配置が追加された。 --NESにはマイク入力は存在しないため、ポルスボイスは矢で一撃で倒せるよう変更。 -ファミコンミニシリーズ(GBA版:2004年) --ROM版ベース。 --セーブはSelect+上。マイク入力はセレクト4連打に割り当て。 -Wiiバーチャルコンソール版(2006年) --ディスク版ベース。 --マイク入力は右スティック1回転に割り当て。 -『ゼルダコレクション』(GC) --クラブニンテンドー会員特典限定。ディスク版ベース。VCで配信されているものはこれと同じ。 -WiiUバーチャルコンソール版 --マイク入力は実際にGamePadのマイクが使用可能。 -3DSバーチャルコンソール版(2011年12月22日) --ROM版ベース。正式配信前にアンバサダープログラム配信タイトルの1つとしても配信。3DSの正式なファミコンソフトVCとしては初のタイトルとなる。 --セーブはIIコンへの切り替え操作が必要。マイク入力はIIコンへ切り替えた上で実際に3DSのマイクが使用可能。 -『[[ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』 --Nintendo Switchのオンラインプレイサービス「Nintendo Switch Online」の入会特典。初期タイトルとして本作が収録。 --セーブは2つ目のコントローラの接続が必要。マイク入力はR+ZRまたはL+ZLに割り当てられている他、別売りのSwitch用ファミコンコントローラでは実際にマイクが搭載されており使用可能。 --2018年10月11日に本作のスペシャルバージョンとして「お金持ちバージョン」が配信開始された。内容は公式チートと呼べるもので、現在基準では難易度が最新作ともども別ベクトルながらかなり高い部類に入ることからの配慮と見られる。 ---実際にはお金やアイテムを大量に取得済みのプレイデータがプリセットされている形となっており、ゲームプログラム自体に改修が加えられているわけではない。セーブの扱いは慎重に。 -ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ --マイクは存在せず、代替操作は見つかっていない。 -『ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説』(2021年11月12日) --『ゼルダの伝説』『[[リンクの冒険]]』『[[夢をみる島>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』『バーミン』を収録している。 --セーブは『夢をみる島』と同コマンドのA+B+Start+Select。マイク入力はSelectボタン長押しに割り当て。 --海外での発売に合わせて、DISK版のバイブルの英名がROM版準拠となっている。 -基本的には音源の違いと若干のシステム調整点(中断コマンド入力の2コン制限撤廃or変更、ポルスボイスの倒し方等)以外は共通している。移植度については音源を除けばどれを選んでも問題ない出来である。 //↑のシステム調整の例に「笛がポルスボイスに通用するようになる」とあったが、Zelda Wikiにはそのようなバージョンは無いとある。 --「ファミ通」のクロスレビューでは、ROM移植版に対する評価として「最新ゲームに見た目は劣るが歴史に残る名作をもう1度体験すべき」と大プッシュされた。 --なお、マイク入力が不可能なほぼすべての移植版で代替操作が用意されており、遊ぶ上で不都合はない。 ---- **余談 -前述したとおりゼルダシリーズの初代作品であり、このゲームの世界観や固有名詞、BGM等、様々な要素が後のシリーズに受け継がれている。 --後々のシリーズもハイラルという同じ世界での出来事ではあるが作品内では一部例外を除いて連続した話になっておらずいつの時代の話か不明になっているため、熱心なファンたちが各作品に散りばめられた要素から時系列を考察しており新作が出る度に議論の的となっていた。 --それに呼応する形で任天堂から公式ガイドブック「ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全」にて「設定はいつか変更される可能性がある」という前置きをしながらも公式見解の時系列が発表された。 それによると本作と続編の『[[リンクの冒険]]』が、ハイラル史の時系列では「リンクがガノンに敗北した世界における最新の出来事」ということになっている。 --しかし『[[ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』発売後の開発者インタビューで、『BOTW』は時系列で「最後」の作品ではあるが、どの時系列の最後であるかはわからないとされ、ポータルサイトのヒストリーでも『BOTW』が三つの時系列どれにも属さない位置に置かれているため、現在曖昧な状態となっている。 -当時はタイトルとパッケージイラストからの連想で「主人公の名前=ゼルダ」と誤解する人が多かったというのは本シリーズ初期を知るプレイヤーあるあるの一つである。 --作中で自身が名前で呼ばれることが無く、さらにゼルダ姫がゲーム中に出てこないこと、加えてほかのメディアなどで知る手段が少なかったことが重なったためである。 ---上述のストーリーは作中のタイトル画面で放置すると表示はされるものの、英語だったためメインプレイヤー層だった小学生は英語は学校では学習しないため、読むことができなかった。 -GBC専用ソフト『[[ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章/時空の章]]』は当初の企画では本作のリメイクとして開発される予定だった。 --『大地の章』のボスキャラ達の大半が本作に登場したボスキャラになっていたりマップが本作に似ているのはその名残である。 -実は『[[どうぶつの森+]]』にもディスク版がファミコン家具として入っており、公式サイトにて「あいことば」の形で配布予定だったが、諸事情によりお蔵入りとなってしまった。 --一応、[[非公式ツールで「あいことば」を生成して入力したり、>https://web.archive.org/web/20181108145442/http://www001.upp.so-net.ne.jp/isaku/soft/index.html#doubutsu]]内部データから解析で取り出したりすれば遊べないこともない。 -メディアミックスは盛んではなかったが、コミック化、小説化がされている。また、複数の出版社から攻略本も発売された。 --宝島出版と徳間書店からコミックが、双葉社から小説とゲームブックが出版されていた。 --小学館の学年別学習誌でも当時ファミコン漫画は盛んで、その例の漏れず本作の漫画も多数掲載されていた。 ---リンクは言わずもがなエルフ耳なのだが、まだそのキャラクターが認知され切っていなかったのか、これが反映されていないものも多々見られる。 ---実際『わんぱっくコミック』における乱丸氏の漫画のように『ゼルダの伝説』の方ではそれが見落とされていたが『リンクの冒険』の方ではちゃんとエルフ耳になっていたりと認知が遅れた例もある。 -ゲーム冒頭部分においてプレイヤーキャラクターであるリンクは何も持っておらず、開始地点からすぐ近くにある洞窟内のお爺さんから剣をもらうという流れになっている理由はディレクターの宮本茂氏によって語られている。 --最初「ゼルダの伝説」は、社内で「わかりにくい」と猛反発を受けた。そこで宮本氏はわざとリンクから剣を取り上げてしまい、「どう見ても入れと言わんばかりのほら穴」に隠した。そうすることで、このゲームは「自分で怪しいところを探していくゲームなんだ」という暗黙のルールを示したという。 ---この仕様を逆手に取り、最初に剣を取らないままリンクを大魔王ガノンの部屋までたどり着かせる(剣がないので倒すのは不可能)通称「剣なしゼルダ」と呼ばれる縛りプレイが存在する。弓と矢を入手するまで通常攻撃にも事欠く有様になるので難易度が跳ね上がるが、プレイヤーの知識と腕前がダイレクトに反映されるので通常プレイに飽きた方は一度試してみるのも一興。 ---これと同じようなエピソードとして「何をすればいいのかわからない」という意見から、城内の王室から出る場面をスタート地点に変更した『[[ドラゴンクエスト]]』があり、またステージ構成でチュートリアルを果たしているという点では宮本氏作の『[[スーパーマリオブラザーズ]]』の1-1ステージなどに通じるものがあると言えるだろう。 -コード解析を得意とするYouTuberのSKELUX氏が、本来作られたマップの外の領域に踏み込んだ状況を、発売から30年以上経過した2019年に実現した。 --通常は範囲外の領域に出ると正しい位置に戻されるプログラムがあるのだが、ゲームを改造して無理矢理正規の範囲外に移動させた。 --「マイナスワールド」と名付けられた世界は、敵キャラはバグっており、岩や木々も素通りでき、何もしなくても隠れていた階段が現れたり、剣をくれる老人を攻撃できたりと、バグの産物らしい奇妙でちょっと不気味な世界が広がっている。 -2016年、アメリカ・ニューヨークにある「世界ビデオゲームの殿堂」に「[[スペースインベーダー]]」や「[[ソニック・ザ・ヘッジホッグ]]」などと共に殿堂入りした。 --日本製のゲームでは、上記2作と前年の2015年に殿堂入りした「[[スーパーマリオブラザーズ]]」、「[[パックマン]]」に続き5本目となった。 ----

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