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*機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T. 【きどうせんしがんだむしーど れんごうばーさすざふと】 |ジャンル|チームバトルアクション|~| |対応機種|アーケード(SYSTEM246or256)|~| |販売元|バンプレスト|~| |開発元|カプコン|~| |稼働開始日|2005年7月|~| |判定|なし|~| |ポイント|ゲームスピードの上昇をはじめとする''連ジからの大幅な路線変更''&br()''ステキャンゲー''|~| |>|>|CENTER:''[[ガンダムVS.シリーズリンク>ガンダムVS.シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『連ジ』から始まり、多くのファンを獲得しゲームセンターに再び人を集めた『ガンダムvsシリーズ』。&br()この一つ前の作品『[[機動戦士Ζガンダム エゥーゴvs.ティターンズDX]]』は連ジの色を残しつつもさらなる駆け引きの要素を追加し、名作として多くの人々に親しまれたものの、要素を追加しても基礎は「連ジ」であり、変わらないシステムの根本に飽きを感じ始めた人々がいるのもまた事実だった。&br()カプコンもそれを察知したのか、2005年、新たなvsシリーズを始動させる。&br()カプコンが発表したのは約2年前に平成ガンダムの最新作として放映され賛否両論あったものの、主に若いガンダムファンから支持され一定の人気を得た『機動戦士ガンダムSEED』の世界観を下敷にした最新作『機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.』、すなわち本作であった。 **大幅なシステム変更と新要素 -本作では、今までのvsシリーズから操作系を中心に大きな変更を加えている。全体的にスピード感を意識した調整や新システムが加えられており、全体的に前作よりもMSの動きは軽くなった。 -また、同社製のアクションゲーム『[[ガチャフォース]]』から一部の動作が輸入されている。 -''ブーストダッシュ'' --本作の新要素で、空中でジャンプボタンを素早く二連続で押すことによって空中で高速移動できる。いわゆる空中ダッシュ。 --地上をすべるようにダッシュする地走機体もある。また、変形機構を持つMSはブーストダッシュをすると自動的にMA形態に変形する。変形する機体以外はブーストダッシュ中もステップが可能。 -''空中での操作の仕様変更'' --前作では「空中で何らかの攻撃を受けると即時ダウン」したが、この作品では空中でも地上同様よろけなどが発生する。また、空中でもステップすることが可能となった。 -''格闘の仕様変更'' --前作では格闘は「格闘ボタンを押した時点での自機の状態」によって出す技が変化していた。しかし今作では、自機が格闘を出せる状態ならば地上・空中を問わず共通の格闘が出る仕様になった。 ---さらに、格闘の際にレバーを入力することによって種類の違う格闘を使い分けることができる。どの機体にも「N格闘(レバーニュートラル)」「横格闘(横にレバーを入れながら格闘入力)」「前格闘(前にレバーを入れながら格闘)」「特殊格闘」が基本的に備わっている。 ---さらに格闘には「派生」があり、格闘の途中でレバーを入力しつつ格闘入力をすることで格闘の内容が変化する機体も存在。 ---例:ソードストライクガンダムのN格闘は通常時は4段斬りだが、一段目のヒット後に前派生することによって相手を打ち上げて叩き落す三段技に変化する。 ---また、前作以前での一部を除いた格闘の空気っぷりとゲームスピードの上昇を考えてか、格闘は全体的にアッパー調整されている。 -''チャージショット(CS)'' --一部の機体は射撃ボタン(格闘ボタン)を押しっぱなしにすることでチャージゲージが貯まり、満タンになると強力な攻撃が放てる。 ---チャージショットはほとんどの動作をキャンセルして放つことができる。「メイン射撃をCSキャンセルして連続攻撃」「格闘をCSでキャンセルしてコンボ」など様々な用途に使える。 -''コストシステムの変更'' --各陣営の総コストは1000になり、各機体のコストは「200」「270」「280」「420」「450」「560」の6つに分かれた。 ---基本的には、最もコストに無駄がない「560+420」「450+450」の組み合わせが鉄板とされる。 -''宙域ステージの削除'' --前々からファンから不評だった宙域ステージは削除。宇宙地上問わず地面が存在するマップで統一。 ---ただし、地上に比べ宇宙は重力が弱く落下速度が遅くなっている。 -''覚醒'' --覚醒は再び一本化され、「攻撃力・防御力の強化」「一部射撃を連射可能」「格闘を違う格闘でキャンセル可能」などの恩恵が得られる。 --また、今作の覚醒はチーム単位ではなく機体(プレイヤー)単位で管理されているため、「味方の覚醒とタイミングをずらして覚醒」「味方がいないときに覚醒」といったことも可能。 -''シールドガード'' --前作までの自動シールドは消滅、シールドはプレイヤーの任意で発動可能に。 --レバーを素早く下上に入れることでシールドを前に突き出し、攻撃を無効化することができる。格闘をシールドで防いだ場合は相手を吹き飛ばす。また、今作ではシールド耐久数値はすべて撤廃され、シールドは絶対に破壊されないようになっている。 ---しかしガードした側の方が硬直が大きい上にブーストゲージを微量に消費してしまうことからあまり使用はされなかった。開発者側も魅せ技と認識していたようだ。 ---「シールドを強くしすぎると待ちゲー化するのではないか」と危惧していた模様。皮肉にもまったく別の理由で結局待ちゲー化してしまったのだが。 -''ソロプレイの仕様変更'' --ルールとしては今まで通り「敵を倒して敵の戦力ゲージをゼロにし、勝利する」というものだが、これに加え、「特定の敵を撃破することでステージクリアになるステージ」も今作から出現。 --また、前作までのルートを選択する方式から、選んだキャラによってルートが異なるという方式に変更((同一人物の服装違いというのもあるが、これらも別キャラ扱いになっている))。各キャラの陣営に沿ってルートに出現する敵や難易度は変化する。 ---同じキャラでも、選択した機体が地上専用機・宇宙専用機・汎用機のどれなのかによってルートが変化する。過去作ではプレイヤーは宇宙地上で別々の機体を選び必要に応じて乗り換えていたが、今作では例えば地上専用機を選んだなら、宇宙ステージが一切存在しないルートを進むことになる。 --好成績を収めるとラストステージ後に「EXステージ」に進む。 **評価点 -ゲームスピードの上昇は好意的に捉えられており、よりダイナミックになった格闘や軽い動きは特に若い層に受けた。 --格闘のモーションは全体的にスピーディーになり、「リフターに飛び乗り突っ込むジャスティス前格」「ビームクローで滅多刺しにした後に蹴り飛ばす指揮官用ゲイツ特格」など、前作よりダイナミック・アクロバティックな、特徴的な格闘モーションが増加した。 --原作の一場面を再現したと思われる技もあり、「フォビドゥンにとどめを刺したデュエル前格」「プロヴィデンスにとどめを刺したフリーダム特格」など、ファンならニヤリとできるチョイスも。 -極端にゲームバランスが悪いわけではない。 --対戦で有効な組み合わせはある程度煮詰まるものの、「特定の機体がゲームバランスを破壊する」という事態は発生しなかった。下記の機体は本作の強機体だが、他作品に比べればいくらかマシと言えるレベルに収まっている。 -ステージも美麗。 --『SEED』の世界観をゲーム上で上手く再現しており、アニメ準拠のBGMと相まって雰囲気は抜群。 -珍しいキャラを取り上げている。 --ゾノのパイロットのマルコ・モラシム(アニメでは2話しか登場していないレアキャラクター)やストライクに無断搭乗したことを買われてプレイアブルキャラクターに抜擢されたと思われるサイ・アーガイル(キラの友人)の知名度向上にはこのゲームの存在が間違いなく関与していると思われる。 #region(代表的な強機体) -''ジャスティスガンダム''(コスト560) --やや格闘寄りの万能機。格闘不遇の本作だが後述のBRCの恩恵を強く受けており、結果強機体に。 --N格闘からのBRCコンボでなんと4~5割近く減るという超火力。しかも攻め継続であり、その後の読み合いに勝てればもう1セット+さらに攻め継続が可能。多少の不利をあっさり帳消しにできる爆発力が売り。 --短時間でダメージが確定する横格、大きな判定のリフターで突っ込むため少し発生は遅いが大半の格闘を潰せる前格など、N格闘以外にも優秀な格闘が揃う。 --その上、足は止まってしまうが各種格闘にCS(一斉射撃)を仕込むこともでき、格闘を外した際の保険や格闘を見せてからのフェイント攻撃が可能。近距離戦に限って言えば560の中でも一歩抜けた強さ。 --反面、メインのBR以外の射撃は「誘導は強いが、射出すると戻ってくるまで自機の機動性能が下がってしまい優秀な前格も封印されてしまうサブ射(ファトゥム射出)」「普通のブーメランと違い、左右に弧を描いて戻ってくるため戻りをヒットさせにくい特射のビームブーメラン」など、使いにくいのが弱点と言えば弱点。&br()ただし、これらの射撃も「弱い」わけではなく「使いにくい」だけで、使える局面は存在する。 -''フリーダムガンダム''(コスト560) --やや射撃寄りの万能機。ジャスティスほど尖った強みはないが満遍なく高性能。 --癖のないBRを筆頭に誘導の強いサブ射のバラエーナ、銃口補正が強く一瞬で着弾し範囲も広いため迂闊な着地を刺しやすいCSの照射ビーム(ハイマットフルバースト)など、射撃面は盤石。 --格闘もジャスティス程ではないが560相応の性能は備えており、中~低コストとはブースト量の差もあって十分に渡り合える。 --しかし、フワステが普及すると射撃は「モーションを見てからステキャンで対応される」ことが増えてしまい、見ている相手に対してはほぼ無力になってしまう。そのためタイマン性能・総合評価ではジャスティスには一歩譲る。 -''ストライクガンダム''(BR装備)(コスト420) --いわゆる「中コスト」帯の機体。武器はBRとバルカンしかないが、そのBRが高性能。 --特筆すべきはBRのリロードの早さで、他機体のBRより1~1.5秒も早い。後述するが、本ゲームはステキャン・フワステの存在により仕様上射撃優位なバランスとなっているため、動きながら撃つことができるBRの回転効率は非常に重要。その機体の強さに直結する。 --最大弾数こそ5発と少ないものの、この圧倒的なリロード速度の前では微々たるもの。途切れることのないBR弾幕でコスト以上の働きが可能。 --格闘も性能自体は中コスト相応だが、横格一段目の隙が異様に少なく、すぐにBDしたりステップをすることで隙を消せる。振った時の相手との位置によっては、かわされてもゆうゆうとBD・ステップで離脱できる。 --この性能でいて、''このゲームのカギとなる560コストと組める''のが最大の強み。扱いやすさもあって、全国各地で560の相方として活躍した。 -他、上位機体には譲るが使用率の高かった機体としては --「BR・バルカン・格闘」というバランスの良い武器の組み合わせで、450コスト帯の中でも扱いやすさと対応力に優れる''エールストライク・ストライクルージュ・フォースインパルス''(通称、各機体の頭文字を取り''ARF'') //--高性能な単発CS「シヴァ」によるCSCを使った立ち回りが強く、中~近距離戦で有利に立ち回れる''デュエルAS'' //ASが暴れたのは稼働初期だけ。ここに並ぶような機体ではないです。 --BRストライクの影に隠れるが、高威力のグレネードによる闇討ちや格闘からのリターンに優れる''デュエルガンダム'' --…等の機体が挙げられる。 #endregion -まるで格闘ゲームのような覚醒中の格闘コンボも、爽快感の高さから評価されている。 --キャンセルのルートがかなり自由になるため、通常時では考えられない自由度の高いコンボが可能。ダメージ重視のコンボから魅せ技まで自由自在。 **賛否両論点 -やはり''大きな仕様変更''がファンを二つに分けた。 --若い層からはこの軽快な動きが可能なゲーム性が受けたものの、従来の重いMSを好んでいたファンは離れてしまった。 ---これはどのようなゲームにおいても、大きな変革には少なからずつきまとう問題であろう。 -''ステキャン''と''フワステ'' --このゲームが稼働して数ヶ月が経つと、「ステキャン」と言うテクニックが発見され、瞬く間にプレイヤーの間に知れ渡った。 ---本作のステップは攻撃の誘導を切ることができるが、ステップ移動後の隙がどうしても発生してしまう。しかし、この隙をジャンプ動作でキャンセルできることが発覚すると、瞬く間に有志の手でステキャンが開発された。 ---具体的には「ステップ>ジャンプ>そのジャンプを素早くステップでキャンセル>そのステップの事後硬直をジャンプで~」を繰り返す一連の動作をステキャンと呼ぶ。これにより連続して誘導を切ることができるようになり、一切の攻撃手段がブーストゲージのある状態ではほぼ無力化されてしまう。 --その後しばらくしてステキャンの発展形である「フワステ」というテクニックも開発される。 ---ステキャンは動作中事実上無敵となれる強力なテクニックではあったが、ステップとジャンプを繰り返すことからブーストを激しく消耗するという弱点もあった。この弱点を補うべく編み出されたのがフワステである。 ---やり方としては「ステップ>ジャンプ>ある程度間をおいてステップでキャンセル>以下繰り返し」となる。文字にするとステキャンと似た挙動だが、ステップの間隔を長くし慣性移動を利用することでそれなりの回避力と滞空時間を両立させたという点で異なる。 --結果としてステキャン、そしてフワステが広まるとこのゲームは待ちゲー化が進み、''「互いにフワステで様子を窺いつつ、ローリスクな射撃でちまちまと撃ち合い、要所はステキャンで安全に回避」''という光景がゲームセンター各所で見られることとなった。この点は爽快感を削ぐとして、よく批判される。また、格闘も前作と同等かそれ以上に空気化している。 --このステキャンとフワステ、一時期バグではないのかという騒動もあったのだが、開発スタッフは全国大会での席上で質問を受けた際に、はっきりと''「仕様です」''と明言している。 --一見地味なテクニックだが、対戦シーンにおいては''身につけていないと勝負の土俵にすら立てない''と言っても大げさではないほどのものであり、それまでのvsシリーズ作品の新規プレイヤーでもとりあえず参入できる気軽さが失われてしまったという弊害も無視できない。 **問題点 -''一部システムの調整不足'' --一部機体の持つCSを使ったキャンセル(チャージショットキャンセル、CSC)は掛かる補正が緩く、格闘コンボに組み込むことでいとも簡単に大ダメージを与えることができた。特に単発で強制ダウンを奪えるデュエルASのシヴァが強く恩恵を受けており、デュエルASの基礎コンボ「特殊格闘3段→CSCシヴァ」はASの代名詞となるほどだった。 --また、格闘をBRでキャンセルする「BRC(ビームライフルキャンセル)」にも同様のことが言える。そのため格闘を出し切らずにBRCしての攻め継続が主流に。 ---BRCの方が普通に格闘を出し切るよりダメージが高く、出し切り格闘の存在意義がほぼ皆無という調整の甘さが問題。 -''コストバランス'' --練り直されたコストバランスだが、「560+420」の組み合わせのコストパフォーマンスが高すぎる点、中途半端なコストの280が空気化してしまった点が問題視される。270はまだ450と組むことでそれなり以上の戦いができるが、280は互いに中途半端な420と組むしかなく総合力で大きく劣る。 ---特に一部コスト帯の空気化はVSシリーズ初期から続く問題にもかかわらず、次回作『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II]]』にも引き継がれてしまう事となる。 -''BDの仕様'' --通常の機体のBDはBD中もステップができるが、変型機体はそれが出来ない。強制的に変形してしまうからである。このためにガチ対戦では「変形する」という理由だけで敬遠される機体も多くなってしまい、機体選択の幅が狭くなった。 --次回作では変形の操作方法自体が変更され、「強制的に変形」という事態にはならなくなった。 -''原作との設定の違いについて'' --ゲームバランスの都合から仕方が無かったのかもしれないが、「動力に核エネルギーを使用しているためビーム兵器を際限なく使える」というフリーダム、ジャスティス、プロヴィデンスの設定が完全に無視されてしまっている。 ---フリーダムに搭乗したキラが「くそっ、弾切れか!!」と叫ぶシーンは、原作を知っているとかなりシュールである。Nジャマーキャンセラーとは一体何だったのか。 ---この「核エンジン搭載機なのに、何故かビーム兵器に弾数制限がある」という原作無視は、後のガンダムSEEDを題材とした作品においても問題にされる事となる。 --『SEED』の特色ともいえるフェイズシフト装甲(PS装甲)も、本作のシステムとしては採用されていない。とはいえ忠実に再現すれば「PS装甲持ちはあらゆる実弾攻撃を無効化」となり、ビーム兵器を持つ機体と持たない機体で格差が生じるなど、ゲームバランスが崩壊するのは明白なのでやむを得ない判断ではある。 ---一応ロケテスト期には再現されていたものの、やはりゲームにならないという理由から削除された模様。 ---ちなみに前述の核動力持ちの3機は、設定上は「エネルギー切れによるフェイズシフトダウン(PS装甲の解除)が起こらない」ため、選んだ機体によっては詰みが生じる可能性すらあった。 --他にもプロヴィデンスのドラグーンシステムが、本来は宇宙空間でないと使えないはずなのに、本作では地上でも問題なく使う事が出来たりする。 ---もっとも、これについては本作というよりもシリーズ通しての問題点である。過去作の「連ジ」「エウティタ」のサイコミュ兵器も、「重力下(1G環境下)では使用が不能、あるいは極度の使用制限を受ける」設定を無視していた。 **総評 vsシリーズに大きな変革をもたらしたこの作品は、新機軸を打ち出した作品の宿命として調整不足な点や荒削りな点が見受けられる。&br()しかしこの作品は駄作というほど批判されたわけではなく、むしろこの後に生まれた名作の礎として評価されている。&br()&br()なお今作以降のvsシリーズは、この連ザをベースとしたシステムを主軸にしている。 ---- **移植版 |対応機種|プレイステーション2&br()プレイステーション・ポータブル|&amazon(B000BBG8OK)|&amazon(B000N5GY4S)| |発売元|【PS2】バンダイ&br()【PSP】バンダイナムコゲームス|~|~| |発売日|【PS2】2005年11月17日&br()【PSP】2007年4月5日|~|~| |定価|【PS2】7,140円&br()【PSP】5,040円|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|【PS2】移植度は高いが、やり込み要素は薄い&br()【PSP】ボリュームは改善されたが、劣化部分あり|~|~| -アーケードを忠実に移植したものがPS2に、その二年後には追加要素を加えたPSP版が発売された。 --両機種共通で、『DESTINY』からアニメ前半に登場した主役級の機体が追加されている。&br()AC版ではCPU専用だったスカイグラスパーやメビウス・ゼロなどの機体も対戦モード限定で使用可能になっている。 ---但し、DESTINY勢のバランス調整には疑問符がつく。特にカオスガンダムは強力で、CSを絡めた扱いがやや難しいものの頭ひとつ飛び抜けた強さを誇る。 -PS2版は移植度は高いが、「ミッションモード」のようなコンシューマ向けのモードがないため、その他の家庭用vsシリーズに比べてプレイバリューは低め。 --更に本作以降は''マルチマッチングを使用しての対戦プレイが削除''されているため、対戦ツールとして割り切るにも苦しいと言わざるを得ない所もあり、余計に誰得感が強い。 -PSP版は「ミッションモード」が追加されている。&br()これはザフト・連合の陣営を選んで両軍の一兵卒として様々なミッションに挑んでいくというもので、ミッション数は両軍合わせて200を超えるボリュームを誇る。&br()中盤のミッションの結果で、元の陣営に残るルートor離反して第三勢力である三隻同盟に合流するルートへ分岐する。 --また、アドホック通信を介しての四人対戦プレイが出来るようになった。 --しかし、ポリゴンの劣化等ハードの都合上、劣化した部分もある。 --一部楽曲が削除されている反面、追加された楽曲が多く、曲の収録数自体はPSP版が最も多くなっている。 --実はミッションモードに使われたボイス自体は、没データではあるがPS2版にも音声データとして収録されている。 **総評(移植版) -PS2版とPSP版どちらも移植度自体は高い。しかし、やり込み要素が重視されるCSゲームとしてみるならばPS2版は物足りなさが目立つ惜しい出来となっている。 -PSP版はそれを改善してはいるが、既にPS2で『2』が発売された''半年後''のタイミングで今更PSPで出したこと自体は謎である。 **余談 -現行機種への移植が困難 --本作をPS5、Xbox Series X、PCといった現行機種でプレイしたいというファンは多いが、前々作同様にカプコン開発であることや版権上の問題があるため、移植は困難とされている。
*機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T. 【きどうせんしがんだむしーど れんごうばーさすざふと】 |ジャンル|チームバトルアクション|~| |対応機種|アーケード(SYSTEM246or256)|~| |販売元|バンプレスト|~| |開発元|カプコン|~| |稼働開始日|2005年7月|~| |判定|なし|~| |ポイント|ゲームスピードの上昇をはじめとする''連ジからの大幅な路線変更''&br()''ステキャンゲー''|~| |>|>|CENTER:''[[ガンダムVS.シリーズリンク>ガンダムVS.シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『連ジ』から始まり、多くのファンを獲得しゲームセンターに再び人を集めた『ガンダムvsシリーズ』。&br()この一つ前の作品『[[機動戦士Ζガンダム エゥーゴvs.ティターンズDX]]』は連ジの色を残しつつもさらなる駆け引きの要素を追加し、名作として多くの人々に親しまれたものの、要素を追加しても基礎は「連ジ」であり、変わらないシステムの根本に飽きを感じ始めた人々がいるのもまた事実だった。&br()カプコンもそれを察知したのか、2005年、新たなvsシリーズを始動させる。&br()カプコンが発表したのは約2年前に平成ガンダムの最新作として放映され賛否両論あったものの、主に若いガンダムファンから支持され一定の人気を得た『機動戦士ガンダムSEED』の世界観を下敷にした最新作『機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.』、すなわち本作であった。 **大幅なシステム変更と新要素 -本作では、今までのvsシリーズから操作系を中心に大きな変更を加えている。全体的にスピード感を意識した調整や新システムが加えられており、全体的に前作よりもMSの動きは軽くなった。 -また、同社製のアクションゲーム『[[ガチャフォース]]』から一部の動作が輸入されている。 -''ブーストダッシュ'' --本作の新要素で、空中でジャンプボタンを素早く二連続で押すことによって空中で高速移動できる。いわゆる空中ダッシュ。 --地上をすべるようにダッシュする地走機体もある。また、変形機構を持つMSはブーストダッシュをすると自動的にMA形態に変形する。変形する機体以外はブーストダッシュ中もステップが可能。 -''空中での操作の仕様変更'' --前作では「空中で何らかの攻撃を受けると即時ダウン」したが、この作品では空中でも地上同様よろけなどが発生する。また、空中でもステップすることが可能となった。 -''格闘の仕様変更'' --前作では格闘は「格闘ボタンを押した時点での自機の状態」によって出す技が変化していた。しかし今作では、自機が格闘を出せる状態ならば地上・空中を問わず共通の格闘が出る仕様になった。 ---さらに、格闘の際にレバーを入力することによって種類の違う格闘を使い分けることができる。どの機体にも「N格闘(レバーニュートラル)」「横格闘(横にレバーを入れながら格闘入力)」「前格闘(前にレバーを入れながら格闘)」「特殊格闘」が基本的に備わっている。 ---さらに格闘には「派生」があり、格闘の途中でレバーを入力しつつ格闘入力をすることで格闘の内容が変化する機体も存在。 ---例:ソードストライクガンダムのN格闘は通常時は4段斬りだが、一段目のヒット後に前派生することによって相手を打ち上げて叩き落す三段技に変化する。 ---また、前作以前での一部を除いた格闘の空気っぷりとゲームスピードの上昇を考えてか、格闘は全体的にアッパー調整されている。 -''チャージショット(CS)'' --一部の機体は射撃ボタン(格闘ボタン)を押しっぱなしにすることでチャージゲージが貯まり、満タンになると強力な攻撃が放てる。 ---チャージショットはほとんどの動作をキャンセルして放つことができる。「メイン射撃をCSキャンセルして連続攻撃」「格闘をCSでキャンセルしてコンボ」など様々な用途に使える。 -''コストシステムの変更'' --各陣営の総コストは1000になり、各機体のコストは「200」「270」「280」「420」「450」「560」の6つに分かれた。 ---基本的には、最もコストに無駄がない「560+420」「450+450」の組み合わせが鉄板とされる。 -''宙域ステージの削除'' --前々からファンから不評だった宙域ステージは削除。宇宙地上問わず地面が存在するマップで統一。 ---ただし、地上に比べ宇宙は重力が弱く落下速度が遅くなっている。 -''覚醒'' --覚醒は再び一本化され、「攻撃力・防御力の強化」「一部射撃を連射可能」「格闘を違う格闘でキャンセル可能」などの恩恵が得られる。 --また、今作の覚醒はチーム単位ではなく機体(プレイヤー)単位で管理されているため、「味方の覚醒とタイミングをずらして覚醒」「味方がいないときに覚醒」といったことも可能。 -''シールドガード'' --前作までの自動シールドは消滅、シールドはプレイヤーの任意で発動可能に。 --レバーを素早く下上に入れることでシールドを前に突き出し、攻撃を無効化することができる。格闘をシールドで防いだ場合は相手を吹き飛ばす。また、今作ではシールド耐久数値はすべて撤廃され、シールドは絶対に破壊されないようになっている。 ---しかしガードした側の方が硬直が大きい上にブーストゲージを微量に消費してしまうことからあまり使用はされなかった。開発者側も魅せ技と認識していたようだ。 ---「シールドを強くしすぎると待ちゲー化するのではないか」と危惧していた模様。皮肉にもまったく別の理由で結局待ちゲー化してしまったのだが。 -''ソロプレイの仕様変更'' --ルールとしては今まで通り「敵を倒して敵の戦力ゲージをゼロにし、勝利する」というものだが、これに加え、「特定の敵を撃破することでステージクリアになるステージ」も今作から出現。 --また、前作までのルートを選択する方式から、選んだキャラによってルートが異なるという方式に変更((同一人物の服装違いというのもあるが、これらも別キャラ扱いになっている))。各キャラの陣営に沿ってルートに出現する敵や難易度は変化する。 ---同じキャラでも、選択した機体が地上専用機・宇宙専用機・汎用機のどれなのかによってルートが変化する。過去作ではプレイヤーは宇宙地上で別々の機体を選び必要に応じて乗り換えていたが、今作では例えば地上専用機を選んだなら、宇宙ステージが一切存在しないルートを進むことになる。 --好成績を収めるとラストステージ後に「EXステージ」に進む。 **評価点 -ゲームスピードの上昇は好意的に捉えられており、よりダイナミックになった格闘や軽い動きは特に若い層に受けた。 --格闘のモーションは全体的にスピーディーになり、「リフターに飛び乗り突っ込むジャスティス前格」「ビームクローで滅多刺しにした後に蹴り飛ばす指揮官用ゲイツ特格」など、前作よりダイナミック・アクロバティックな、特徴的な格闘モーションが増加した。 --原作の一場面を再現したと思われる技もあり、「フォビドゥンにとどめを刺したデュエル前格」「プロヴィデンスにとどめを刺したフリーダム特格」など、ファンならニヤリとできるチョイスも。 -極端にゲームバランスが悪いわけではない。 --対戦で有効な組み合わせはある程度煮詰まるものの、「特定の機体がゲームバランスを破壊する」という事態は発生しなかった。下記の機体は本作の強機体だが、他作品に比べればいくらかマシと言えるレベルに収まっている。 -ステージも美麗。 --『SEED』の世界観をゲーム上で上手く再現しており、アニメ準拠のBGMと相まって雰囲気は抜群。 -珍しいキャラを取り上げている。 --ゾノのパイロットのマルコ・モラシム(アニメでは2話しか登場していないレアキャラクター)やストライクに無断搭乗したことを買われてプレイアブルキャラクターに抜擢されたと思われるサイ・アーガイル(キラの友人)の知名度向上にはこのゲームの存在が間違いなく関与していると思われる。 #region(代表的な強機体) -''ジャスティスガンダム''(コスト560) --やや格闘寄りの万能機。格闘不遇の本作だが後述のBRCの恩恵を強く受けており、結果強機体に。 --N格闘からのBRCコンボでなんと4~5割近く減るという超火力。しかも攻め継続であり、その後の読み合いに勝てればもう1セット+さらに攻め継続が可能。多少の不利をあっさり帳消しにできる爆発力が売り。 --短時間でダメージが確定する横格、大きな判定のリフターで突っ込むため少し発生は遅いが大半の格闘を潰せる前格など、N格闘以外にも優秀な格闘が揃う。 --その上、足は止まってしまうが各種格闘にCS(一斉射撃)を仕込むこともでき、格闘を外した際の保険や格闘を見せてからのフェイント攻撃が可能。近距離戦に限って言えば560の中でも一歩抜けた強さ。 --反面、メインのBR以外の射撃は「誘導は強いが、射出すると戻ってくるまで自機の機動性能が下がってしまい優秀な前格も封印されてしまうサブ射(ファトゥム射出)」「普通のブーメランと違い、左右に弧を描いて戻ってくるため戻りをヒットさせにくい特射のビームブーメラン」など、使いにくいのが弱点と言えば弱点。&br()ただし、これらの射撃も「弱い」わけではなく「使いにくい」だけで、使える局面は存在する。 -''フリーダムガンダム''(コスト560) --やや射撃寄りの万能機。ジャスティスほど尖った強みはないが満遍なく高性能。 --癖のないBRを筆頭に誘導の強いサブ射のバラエーナ、銃口補正が強く一瞬で着弾し範囲も広いため迂闊な着地を刺しやすいCSの照射ビーム(ハイマットフルバースト)など、射撃面は盤石。 --格闘もジャスティス程ではないが560相応の性能は備えており、中~低コストとはブースト量の差もあって十分に渡り合える。 --しかし、フワステが普及すると射撃は「モーションを見てからステキャンで対応される」ことが増えてしまい、見ている相手に対してはほぼ無力になってしまう。そのためタイマン性能・総合評価ではジャスティスには一歩譲る。 -''ストライクガンダム''(BR装備)(コスト420) --いわゆる「中コスト」帯の機体。武器はBRとバルカンしかないが、そのBRが高性能。 --特筆すべきはBRのリロードの早さで、他機体のBRより1~1.5秒も早い。後述するが、本ゲームはステキャン・フワステの存在により仕様上射撃優位なバランスとなっているため、動きながら撃つことができるBRの回転効率は非常に重要。その機体の強さに直結する。 --最大弾数こそ5発と少ないものの、この圧倒的なリロード速度の前では微々たるもの。途切れることのないBR弾幕でコスト以上の働きが可能。 --格闘も性能自体は中コスト相応だが、横格一段目の隙が異様に少なく、すぐにBDしたりステップをすることで隙を消せる。振った時の相手との位置によっては、かわされてもゆうゆうとBD・ステップで離脱できる。 --この性能でいて、''このゲームのカギとなる560コストと組める''のが最大の強み。扱いやすさもあって、全国各地で560の相方として活躍した。 -他、上位機体には譲るが使用率の高かった機体としては --「BR・バルカン・格闘」というバランスの良い武器の組み合わせで、450コスト帯の中でも扱いやすさと対応力に優れる''エールストライク・ストライクルージュ・フォースインパルス''(通称、各機体の頭文字を取り''ARF'') //--高性能な単発CS「シヴァ」によるCSCを使った立ち回りが強く、中~近距離戦で有利に立ち回れる''デュエルAS'' //ASが暴れたのは稼働初期だけ。ここに並ぶような機体ではないです。 --BRストライクの影に隠れるが、高威力のグレネードによる闇討ちや格闘からのリターンに優れる''デュエルガンダム'' --…等の機体が挙げられる。 #endregion -まるで格闘ゲームのような覚醒中の格闘コンボも、爽快感の高さから評価されている。 --キャンセルのルートがかなり自由になるため、通常時では考えられない自由度の高いコンボが可能。ダメージ重視のコンボから魅せ技まで自由自在。 **賛否両論点 -やはり''大きな仕様変更''がファンを二つに分けた。 --若い層からはこの軽快な動きが可能なゲーム性が受けたものの、従来の重いMSを好んでいたファンは離れてしまった。 ---これはどのようなゲームにおいても、大きな変革には少なからずつきまとう問題であろう。 -''ステキャン''と''フワステ'' --このゲームが稼働して数ヶ月が経つと、「ステキャン」と言うテクニックが発見され、瞬く間にプレイヤーの間に知れ渡った。 ---本作のステップは攻撃の誘導を切ることができるが、ステップ移動後の隙がどうしても発生してしまう。しかし、この隙をジャンプ動作でキャンセルできることが発覚すると、瞬く間に有志の手でステキャンが開発された。 ---具体的には「ステップ>ジャンプ>そのジャンプを素早くステップでキャンセル>そのステップの事後硬直をジャンプで~」を繰り返す一連の動作をステキャンと呼ぶ。これにより連続して誘導を切ることができるようになり、一切の攻撃手段がブーストゲージのある状態ではほぼ無力化されてしまう。 --その後しばらくしてステキャンの発展形である「フワステ」というテクニックも開発される。 ---ステキャンは動作中事実上無敵となれる強力なテクニックではあったが、ステップとジャンプを繰り返すことからブーストを激しく消耗するという弱点もあった。この弱点を補うべく編み出されたのがフワステである。 ---やり方としては「ステップ>ジャンプ>ある程度間をおいてステップでキャンセル>以下繰り返し」となる。文字にするとステキャンと似た挙動だが、ステップの間隔を長くし慣性移動を利用することでそれなりの回避力と滞空時間を両立させたという点で異なる。 --結果としてステキャン、そしてフワステが広まるとこのゲームは待ちゲー化が進み、''「互いにフワステで様子を窺いつつ、ローリスクな射撃でちまちまと撃ち合い、要所はステキャンで安全に回避」''という光景がゲームセンター各所で見られることとなった。この点は爽快感を削ぐとして、よく批判される。また、格闘も前作と同等かそれ以上に空気化している。 --このステキャンとフワステ、一時期バグではないのかという騒動もあったのだが、開発スタッフは全国大会での席上で質問を受けた際に、はっきりと''「仕様です」''と明言している。 --一見地味なテクニックだが、対戦シーンにおいては''身につけていないと勝負の土俵にすら立てない''と言っても大げさではないほどのものであり、それまでのvsシリーズ作品の新規プレイヤーでもとりあえず参入できる気軽さが失われてしまったという弊害も無視できない。 **問題点 -''一部システムの調整不足'' --一部機体の持つCSを使ったキャンセル(チャージショットキャンセル、CSC)は掛かる補正が緩く、格闘コンボに組み込むことでいとも簡単に大ダメージを与えることができた。特に単発で強制ダウンを奪えるデュエルASのシヴァが強く恩恵を受けており、デュエルASの基礎コンボ「特殊格闘3段→CSCシヴァ」はASの代名詞となるほどだった。 --また、格闘をBRでキャンセルする「BRC(ビームライフルキャンセル)」にも同様のことが言える。そのため格闘を出し切らずにBRCしての攻め継続が主流に。 ---BRCの方が普通に格闘を出し切るよりダメージが高く、出し切り格闘の存在意義がほぼ皆無という調整の甘さが問題。 -''コストバランス'' --練り直されたコストバランスだが、「560+420」の組み合わせのコストパフォーマンスが高すぎる点、中途半端なコストの280が空気化してしまった点が問題視される。270はまだ450と組むことでそれなり以上の戦いができるが、280は互いに中途半端な420と組むしかなく総合力で大きく劣る。 ---特に一部コスト帯の空気化はVSシリーズ初期から続く問題にもかかわらず、次回作『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II]]』にも引き継がれてしまう事となる。 -''BDの仕様'' --通常の機体のBDはBD中もステップができるが、変形機体はそれが出来ない。強制的に変形してしまうからである。このためにガチ対戦では「変形する」という理由だけで敬遠される機体も多くなってしまい、機体選択の幅が狭くなった。 --次回作では変形の操作方法自体が変更され、「強制的に変形」という事態にはならなくなった。 -''原作との設定の違いについて'' --ゲームバランスの都合から仕方が無かったのかもしれないが、「動力に核エネルギーを使用しているためビーム兵器を際限なく使える」というフリーダム、ジャスティス、プロヴィデンスの設定が完全に無視されてしまっている。 ---フリーダムに搭乗したキラが「くそっ、弾切れか!!」と叫ぶシーンは、原作を知っているとかなりシュールである。Nジャマーキャンセラーとは一体何だったのか。 ---この「核エンジン搭載機なのに、何故かビーム兵器に弾数制限がある」という原作無視は、後のガンダムSEEDを題材とした作品においても問題にされる事となる。 --『SEED』の特色ともいえるフェイズシフト装甲(PS装甲)も、本作のシステムとしては採用されていない。とはいえ忠実に再現すれば「PS装甲持ちはあらゆる実弾攻撃を無効化」となり、ビーム兵器を持つ機体と持たない機体で格差が生じるなど、ゲームバランスが崩壊するのは明白なのでやむを得ない判断ではある。 ---一応ロケテスト期には再現されていたものの、やはりゲームにならないという理由から削除された模様。 ---ちなみに前述の核動力持ちの3機は、設定上は「エネルギー切れによるフェイズシフトダウン(PS装甲の解除)が起こらない」ため、選んだ機体によっては詰みが生じる可能性すらあった。 --他にもプロヴィデンスのドラグーンシステムが、本来は宇宙空間でないと使えないはずなのに、本作では地上でも問題なく使う事が出来たりする。 ---もっとも、これについては本作というよりもシリーズ通しての問題点である。過去作の「連ジ」「エウティタ」のサイコミュ兵器も、「重力下(1G環境下)では使用が不能、あるいは極度の使用制限を受ける」設定を無視していた。 **総評 vsシリーズに大きな変革をもたらしたこの作品は、新機軸を打ち出した作品の宿命として調整不足な点や荒削りな点が見受けられる。&br()しかしこの作品は駄作というほど批判されたわけではなく、むしろこの後に生まれた名作の礎として評価されている。&br()&br()なお今作以降のvsシリーズは、この連ザをベースとしたシステムを主軸にしている。 ---- **移植版 |対応機種|プレイステーション2&br()プレイステーション・ポータブル|&amazon(B000BBG8OK)|&amazon(B000N5GY4S)| |発売元|【PS2】バンダイ&br()【PSP】バンダイナムコゲームス|~|~| |発売日|【PS2】2005年11月17日&br()【PSP】2007年4月5日|~|~| |定価|【PS2】7,140円&br()【PSP】5,040円|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|【PS2】移植度は高いが、やり込み要素は薄い&br()【PSP】ボリュームは改善されたが、劣化部分あり|~|~| -アーケードを忠実に移植したものがPS2に、その2年後には追加要素を加えたPSP版が発売された。 --両機種共通で、『DESTINY』からアニメ前半に登場した主役級の機体が追加されている。&br()AC版ではCPU専用だったスカイグラスパーやメビウス・ゼロなどの機体も対戦モード限定で使用可能になっている。 ---但し、DESTINY勢のバランス調整には疑問符がつく。特にカオスガンダムは強力で、CSを絡めた扱いがやや難しいものの頭ひとつ飛び抜けた強さを誇る。 -PS2版は移植度は高いが、「ミッションモード」のようなコンシューマ向けのモードがないため、その他の家庭用vsシリーズに比べてプレイバリューは低め。 --更に本作以降は''マルチマッチングを使用しての対戦プレイが削除''されているため、対戦ツールとして割り切るにも苦しいと言わざるを得ない所もあり、余計に誰得感が強い。 -PSP版は「ミッションモード」が追加されている。&br()これは連合・ザフトの陣営を選んで両軍の一兵卒として様々なミッションに挑んでいくというもので、ミッション数は両軍合わせて200を超えるボリュームを誇る。&br()中盤のミッションの結果で、元の陣営に残るルート or 離反して第三勢力である三隻同盟に合流するルートへ分岐する。 --また、アドホック通信を介しての4人対戦プレイが出来るようになった。 --しかし、ポリゴンの劣化等ハードの都合上、劣化した部分もある。 --一部楽曲が削除されている反面、追加された楽曲が多く、曲の収録数自体はPSP版が最も多くなっている。 --実はミッションモードに使われたボイス自体は、没データではあるがPS2版にも音声データとして収録されている。 **総評(移植版) -PS2版とPSP版どちらも移植度自体は高い。しかし、やり込み要素が重視されるCSゲームとしてみるならばPS2版は物足りなさが目立つ惜しい出来となっている。 -PSP版はそれを改善してはいるが、既にPS2で『2』が発売された''半年後''のタイミングで今更PSPで出したこと自体は謎である。 **余談 -現行機種への移植が困難 --本作をPS5、Xbox Series X、PCといった現行機種でプレイしたいというファンは多いが、前々作同様にカプコン開発であることや版権上の問題があるため、移植は困難とされている。

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