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*CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001 【かぷこん ばーさす えすえぬけい つー みりおねあふぁいてぃんぐ つーさうざんどわん】 |ジャンル|格闘ゲーム| |対応機種|アーケード(NAOMI)| |販売・開発元|カプコン| |稼働開始日|2001年8月| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''| |>|CENTER:''[[CAPCOMクロスオーバー関連作品シリーズ]]''| |>|CENTER:''[[SNKクロスオーバー関連作品シリーズ]]''| *CS機移植版 |対応機種|ドリームキャスト&br()プレイステーション2&br()ニンテンドーゲームキューブ&br()Xbox|&amazon(B00005QXH1)|&amazon(B00005QBBE)|&amazon(B000067OWI)|&amazon(B00006RT6N)| |発売日|【DC/PS2】2001年9月13日&br()【GC】2002年7月4日&br()【Xb】2003年1月16日|~|~|~|~| |価格|【DC/PS2】6,800円&br()【GC/Xb】4,800円(全て税抜)|~|~|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 二大格闘ゲームメーカーであったカプコンとSNKのキャラクターが共演する対戦型格闘ゲーム『[[CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000]]』の続編。略称は『カプエス2』『CVS2』。~ なお、単に『カプエス』と略した場合も本作を指す場合が多い。 また、クロスオーバー作品ではあるがボタン数が6つである点をはじめCAPCOM寄りの仕様となっているので、SNK出自のキャラクターはそれなりの修正を受けている。((一方、SNKプレイモア発売の『SNK vs CAPCOM SVC CHAOS』ではCAPCOM出自のキャラクターがSNK仕様に修正を受けている)) ---- **特徴 -使用できるキャラクターは前作から新キャラクター11人を加えた44名。 --前作では『[[ストリートファイターII]]』シリーズ((『ストII』シリーズ以外から登場するキャラクターはさくらとモリガンしかいなかった。))と『[[THE KING OF FIGHTERSシリーズ]]((前作ではライデンとナコルル以外のキャラクターがKOF登場済で、内訳もナコルルを除くと『KOFオリジナル』『餓狼伝説』『龍虎の拳』の3タイトルのみ、かつその全員が『'97』までに登場している。そもそもKOFシリーズ自体が、SNKのそれまでの格闘ゲームからキャラクターを集めたオールスター作品という側面を持っていたのだが…。))』のキャラクターが大半であったが、本作ではユン(『[[ストリートファイターIII>ストリートファイターIII 3rd STRIKE]]』)、鑑恭介(『[[私立ジャスティス学園>私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES]]』)、ロック・ハワード(『[[餓狼 MARK OF THE WOLVES]]』)、高嶺響(『[[幕末浪漫 月華の剣士 第二幕>幕末浪漫第二幕 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~]]』)など主流シリーズとはやや独立した立場の新鋭作からキャラクターが登場。いずれも原作固有のシステムを技性能や派生技、一部はグルーヴの特性に取り込まれたりなどで再現されている。 --また、多彩な移動技で画面を駆け回るロレント(『[[ファイナルファイト]]』『ストリートファイターZERO2』)、強斬りの威力が再現された覇王丸(『[[サムライスピリッツ]]』)、大柄なパワーキャラながらチョイ・ボンゲがストライカーとしてついてきたことで繊細さも併せ持つチャン・コーハン(『KOF'94』)など、個性派なキャラクターも揃っている。 --その一方で、イーグル(『[[ストリートファイター]]』)、マキ(『[[ファイナルファイト2]]』)、藤堂竜白(『[[龍虎の拳]]』)など、1993年以前に1作品にしか出たことのないマイナーキャラクターも登場。 ---一応マキは「ガイの同門」で、藤堂は「香澄の父親」という風に、本流シリーズでお馴染みながら本作に未出場のキャラクターと関連がある。 ---しかしイーグルだけはそういった関係性もない中からなんの脈絡もなく登場した。『ストI』から登場したキャラクターが複数人出ている『ZERO』シリーズにも出演しておらず、かなり異彩を放っている選出と言える((後に携帯ハード版の『ZERO3』で復活登場しているが、カラーバリエーションは本作のものを使いまわしている上にP同時押しとK同時押しのカラーは使用されていない。))。 -ゲームモード --レシオマッチ ---1~3人で、レシオを割り当ててチームを編成するモード。詳細は後述。 --3on3マッチ ---レシオは同一(2相当)に固定され、3人チームを編成し、対戦相手も3人で固定されるモード。『KOF』の形式に近い。 --シングルマッチ ---レシオは同一に固定され、1vs1となるモード。各対戦はラウンド形式になる。 --レシオバトルと3on3バトルでは勝者は残り時間に応じた体力回復をされた上での連戦となる。シングルバトルはラウンド毎に体力はリセットされる。グルーヴゲージは基本的に交代者や次ラウンドにも継続されるが、Kグルーヴのみリセットされる。 -スコア --対COM戦では一般的なスコアやタイムアタックではなく、対戦中の行動により「カッコよさ」のようなポイントが変動する。時間経過や、相手の攻撃を受けたりガードすると減少し、攻撃が成功すると上昇する。 -リニューアルされたキャラクターレシオシステム --勝ち抜き制チームバトルであることは変わらないが、チームは1人~3人で編成する。そして4ポイントのレシオをチーム内で分配する。 --レシオの大きさはキャラクターの強さを表し、高いほど攻撃力や耐久力が強化される。3人チームだと必ず1人だけレシオ2になり、2人チームだとレシオ2を二人揃えるか、片方を1にすれば片方は3になる。1人だとレシオ4となる。 -前作ではSNK側にあわせて攻撃ボタンが強弱の4ボタンでカプコンキャラクターの一部の中攻撃は特殊技扱いだった。 --今作はカプコン側にあわせて弱中強の6ボタンとなり、SNKキャラクターにも中通常技・中必殺技が実装された。 ***グルーヴシステム -キャラクターを選択する前に、「グルーヴ」と呼ばれる固有のスタイルを6つから選択する。 --システムは『[[ストリートファイターZERO3]]』と『[[THE KING OF FIGHTERS '98>THE KING OF FIGHTERS '98 DREAM MATCH NEVER ENDS]]』をメインに、両社の格闘ゲームから3種ずつ引用されている。 --ゲージシステムだけでなく、回り込み・ガードキャンセル・小ジャンプなどといった立ち回りを支えるサブシステムの組み合わせも変化するため、グルーヴによってプレイスタイルは大きく変わってくる。 --ちなみに選択したグルーヴによってキャラクターイラストが変化する。CAPグルーヴは西村キヌ氏のものに、SNKグルーヴを選ぶとキャラクターイラストが森気楼氏のものになる。 -カプコン形式のグルーヴ(C・A・P) --カプコン側のCAPグルーヴは、レバー前2回入れのダッシュが共通して一定の短い距離を跳ぶステップになっている。 --ステップ直後は硬直がやや長く、機動力は後述のSNKグルーヴより低いのだが、代わりにどのグルーヴも「ゲージシステムがシンプルで、最大まで溜まりさえすればLv3スーパーコンボ(Aはオリジナルコンボ)がいつでも使える」という利点があるため、細やかな立ち回りの間隙を突いて大ダメージを奪う臨機応変さに優れる。 --''Cグルーヴ'':『ストZERO3』のZイズムをベースにした最もシンプルなシステム。ゲージ量は2番目に短い。~ 溜まったゲージレベルに応じて通常攻撃のダメージが微増する。空対空でのガードが唯一可能。Lv2スーパーコンボを使える((Lv2スパコンは必殺技やLv1スパコンでキャンセル可能。))など。 --''Aグルーヴ'':『ストZERO3』のVイズムがベースで「オリジナルコンボ」が使える。分身は出現しないが、一定時間自由に技をキャンセルでき、空中の相手に追撃ができる。~ ゲージ50%消費またはオリコン中の残りゲージを消費してLv1スーパーコンボも使用可能。ゲージ量も最も軽いが、代償としてサブシステムが若干弱く、Lv3スーパーコンボは使用不可。 --''Pグルーヴ'':攻撃に合わせてジャストタイミングレバー前入れで敵の攻撃を受け流す『ストIII』の代名詞「ブロッキング」が使用可能。ただしスーパーコンボは最大時まで溜まった時のLv3のみ。~ 拙攻をいなして大技を差し込み一撃必殺を狙うSNKグルーヴに近い主旨だが、ゲージの溜まりやすさもガードゲージ総量もサブシステムも極端に少ないばかりか、ブロッキングによる硬直効果が弱体化している((『ストIII』と違い、ブロッキングの硬直が解けると双方同時に動き始めるため、無敵技への連係による反撃を許すこともある。また、ヒット時にのみ連続攻撃を繰り出すスーパーコンボをブロッキングしてしまうと、相手がヒット扱いのままスーパーコンボを継続してくる。))。 -SNK形式のグルーヴ(S・N・K) --SNK側のSNKグルーヴは、レバー前2回入れのダッシュが前方に走るランになっている。このため一気に肉薄し攻めに転じやすい。~ 一方ゲージシステムに癖が強く、さらに攻撃力上昇効果やLv3スパコンに相当するMAX超必殺技は「発動できるチャンスが一定時間内に制限される」ため、立ち回りよりも集中的な攻めで大逆転を狙う事を重視した設計になっている。 --''Sグルーヴ'':『KOF98』のEXTRAモード((元をたどれば『龍虎の拳』『餓狼伝説』シリーズの折衷。))がベース。固有のサブシステムとして投げ以外に対し完全無敵になる「攻撃避け」からの「カウンター攻撃」が使える。~ 能動的にゲージを貯める行動がボタン押しっぱなしの「気合溜め」のみだが、ゲージが貯まると一定時間だけ攻撃力が上がり、Lv1超必殺技が使える。~ 体力ゲージが30%以下になるとLv1超必殺技が使い放題になり、さらにゲージが溜まっているとLv3超必殺技が使えるようになる。 --''Nグルーヴ'':『KOF98』のADVANCEDモードがベース。ゲージを1つ消費することで、ガード中に回り込みする「ガードキャンセル移動」または一定時間攻撃力を強化する「パワーMAX発動」が可能。パワーMAX時のみLv3スーパーコンボが使用可能。~ ゲージは重い部類だがCAPグルーヴに似て扱いやすく、サブシステムも非常に充実しており、中級者向けといえる。特に攻撃を受けなくてもMAX超必殺技が使えるのは大きな魅力。 --''Kグルーヴ'':『サムスピ』の怒りゲージと『餓狼MOW』のジャストディフェンス(JD)を組み合わせた全く新しいグルーヴ。~ ゲージを溜めるにはダメージを受けるか、JD、当身技の成功、相手からの挑発のみ。最大まで溜まると一定時間「怒り状態」となり、Lv3超必殺技を使えるようになる他、攻撃力と防御力が大きく増加する。その補正値は他グルーヴとは比較にならないほど。~ ダメージによる増加量がかなり大きく、JDができなくても、余程のことがなければ1キャラ1度はゲージMAXになる。しかしながら一度満タンになってしまうとゲージを保留しておくことができず、後発のキャラにゲージを引き継ぐこともできないため、ゲージ面の融通が極めて効きにくい((Kグルーヴで次ラウンドにゲージを引き継げるのは、MAXになる前に相手を倒した時のみ。))弱点もある。~ SNKグルーヴでは唯一空中でもJDで防御ができるが、それ以外のサブシステムやガードゲージも少なく、P/S程ではないが玄人向けのグルーヴ。 ---- **評価点 -前作での問題点への様々な改善策の導入 --前作の「結局レシオ1のキャラ×4が強い」「面子が固定される」という問題に対し、「任意レシオ割り振り制」「選べるのは最大3キャラまで(3人チームにするとレシオを偏らせる必要がある)」などの改善策を導入し、自由度を増した。 -前作から大幅に増した44人のキャラクター --前述の通り、当時の知名度がかなり低いキャラクターも参戦している。ステージ背景や勝利デモ限定キャラも豊富。 //「ストリートファイターII VS KOF'97」とも揶揄された前作の偏った面子からはある程度離脱し、オールスター戦らしいバリエーションとキャラクター数を誇る。 -豊富なキャラクターの組み合わせ×グルーヴ×レシオ配分という膨大なバリエーション --「キャラ」「グルーヴ」「レシオ」という3つの要素が生み出すキャラクター性能やチーム編成の多彩さが本作の特徴であり、最大の魅力である。 ---チーム編成の組み合わせは1人=44、2人=946、3人=13,244となり、合計15,180通り。6つのグルーヴを選択すると9万通り以上にもなる。 ---グルーヴは自分が使いやすいものか、主力キャラクターに合うものにするか、どのキャラにレシオを集中させるか…など膨大なバリエーションと戦略性がある。 //---もちろん好きなキャラクターを高レシオで起用してチームの主力にする、ということもできる。 --それでいて比較的ゲームバランスも良好。 ---ただし、%%%「前転キャンセルが発見されるまで」%%%という注釈は付くし、強キャラ×強グルーヴは明確に存在する。 -CAPCOM・SNK両社の格闘ゲームの特徴を折衷したバランス --細かい点では、弱攻撃による硬直が全体的に長く目押しコンボがしやすかったり、近づきつつガードしている相手をゴリゴリ固めることができる。~ 一方で間合いの取り合いの駆け引きも損なわれておらず、うまく両社の格闘ゲームの特徴を折衷したといった所。 --前作の通常技はカプコン側から中攻撃の殆どが失われることになったが、今作ではSNK側に中攻撃を追加する格好となっている。こちらは一部が元特殊技など、技のレパートリーを無駄にしない割り当て。 -質の高いBGMとステージ --クロスオーバー作品らしく、お祭りムードを終始演出している。メニュー画面から対戦中まで随所に流れる英語の実況音声など。 --特にロンドンステージの「This is true love makin'」は本作を代表する屈指の名曲とされている。 ---実はタイトルと同じ言葉をほぼ繰り返しているUKハウスだが、そのノリの良さはすばらしく、一聴しただけではとてもそうは思えない。 --他の曲も、オシャレで、それでいて熱くなれる、いい意味で「邪魔をせず、テンションを高めてくれる」ものが多い。 --ラリーカーが飛び交う砂漠、殺風景かと思いきや大型客船が到着して賑やかになる氷河、よく見ると誰かに似ている大型ねぶたの青森、決勝らしく演出のある大阪、強ボスと対峙する絶望感を煽る大阪城など、ステージの演出も秀でている。 -前作では粒子が収束したりチューブ内を移動するなどSF映画のようなクール路線だったUIはリュウと京が活火山で対峙するOPから派生する炎をモチーフにするものに変わった。やや見づらかった前作と比べると使いやすいものになっている。 -エディットモード(カラー・グルーヴ。家庭用のみ) --現在では珍しいことではないが、エディットモードによって楽しみ方を増やすことができた。 --グルーブエディットを行うと、通常グルーブではできなかったチェーンコンボ、スーパーコンボキャンセル、どこでもキャンセル(通常技)ができるようになる。それぞれのシステムのオン・オフにはポイントが割り振られていて、規定ポイントを超えると通信対戦には使用できなくなる。 ---- **賛否両論点 -3人(レシオ1×2、レシオ2)で組んだ場合が体力面で最も有利になるため、上級者同士の対戦になると1人・2人チームは意味が薄くなる。 --今作では4人チームが不可になり、レシオ可変のため死にキャラがいなくなったりと改善されてはいる。また3人チームでレシオ2をどのキャラクターにするか、順番は…等々、『KOF』シリーズと同様の高い戦略性があり、他の配分が可能なのにあまり意味が無いというだけではある。 //--これが逆だと強キャラ対強キャラの1対1になってしまうので、ある程度は意図されたものと思われる。 --一応、筐体設定によりさらに『KOF』風の3on3モード(能力は全員レシオ2相当)にも変更できるが、アーケードでは(前作の2on2モードとは違い)事前に店側の設定変更が必要なため、一般的なルールとはならなかった。 -前作の家庭用で好評だった「懐かしのテーマ曲」としてカプコン・SNKそれぞれのステージBGMに切り替えられる要素は残念ながら無くなってしまった。ゲームキューブ版とXb版のトレーニングステージのBGMが「懐かしのテーマ曲」からランダムで流れる程度。 --これについては完全に好みだが、「懐かしのテーマ曲」・メトロシティやパオパオカフェのような過去作で馴染みがあるステージ・『KOF94』のようなステージ開始演出と前作でドリームマッチとして好評だった要素が無くなってしまったのを惜しむ声もある。 ---- **問題点 -「''前転キャンセル''」というバグ技の存在。 --C、A、Nグルーヴで使用可能な「回り込み」という無敵状態で回避するコマンドアクションから、一瞬遅らせて必殺技を入力することで回り込みをキャンセルして必殺技が発生する。前転キャンセルは、このとき「回り込みの無敵時間が必殺技の動作に付加されるバグ」であり、前キャン(または「RC」(ローリングキャンセル))などと通称される。 --無敵時間は基本的に昇龍拳などの「硬直の長い切り返し技」または「ゲージを消費するスーパーコンボ/超必殺技」の特権であり、さらに本作ではそれらさえも意図的に無敵時間を短めに調整されていた((ターボ設定がかかった状態で対戦が行われることが多いためでもあるが、レベル3のスーパーコンボでも無敵時間が20フレームを超えるものはほとんど見当たらない。))のだが、前転キャンセルを使うことにより殆ど全てのコマンド技に無敵時間が追加されることになってしまい、慎重な立ち回りと対応を基本とするゲームコンセプトが大きく崩壊した((キャラクターによって微差はあるが、前転の無敵時間は20F~30F程度とかなり長め。))。 //--極めつけはAグルーヴのオリコン。オリコン発動はボタン同時押しなので、前転キャンセルの操作も容易。即時発動できる超必殺技に長い出掛かり無敵が付けば…その結果はご想像通り。 //元々オリコンはLV2並の無敵があるんで前キャンオリコンが必要だったり強力な場面って殆どないと思いますが。 --前キャンが発見されたのは稼動から1年ほど経ってのことで、修正された基板などは出されていない。 //---このバグの発見が、稼働開始以来1年続いていた本作の対戦ブームの寿命を大きく縮めたことからも、ゲーム性への悪影響は言葉では言い表せない。トッププレイヤーの一部だけはそれを織り込んだ上でプレイし続けていたが、結局殆どのプレイヤーが一気に、KOF2002やGGXXなど他の新作格ゲーへと移住することになった。 //このゲームがって意味なら1年もすれば次のゲームに人気が移るのは格ゲーの常だし、格ゲー自体のブームの事ならこの後もGGとかいくらでもヒットしたのあるし、どっちの意味でも終焉させたは間違い //対戦ゲームのブームを終わらせたという意味ではなく、このゲーム限定の話。そして1年経ってもブームは続いていたし前転キャンセル後の落差も本当に凄かった(他に有力な新作が出て移った訳でもない) //翌年の2002年ってKOF2002、GGXXと思いっきり有力な新作格ゲー出てますが。 それでも続けてた人にとどめさした原因の一つかもしれんけど、そもそもあの頃は単純に新作も盛り上がってた時期だよ ---アルカディア主催の大規模ゲーム大会『闘劇』でも禁止対象ではなかった為にこのバグは平然と使われており、''優勝決定戦の決着シーンで使っていることがはっきり分かっていた''のも有名な話である。 -膨大なキャラクターとグルーヴの組み合わせ数により稼動からの模索期間が長かったが、『どのキャラのどのグルーヴが強いか』という答えについては現在はかなり煮詰まっている。 --本作での代表的な強キャラはサガットとブランカ。ガチンコでの対戦になると、ほとんどのプレイヤーがどちらかを使用していた。 ---キャラクター性能の高さもさることながら、2人ともやや鈍いがリーチが長めで体力も高目、技の攻撃力が高くじっくりと戦いやすいという特徴がチーム戦の性質と相性が極めて良い((ラウンド決着時の体力回復量が少なめな本作では、負けている方も少しでも長く粘ってダメージを与えることで、後の展開が有利になりやすい。))。このためか後述するEO版ではこの2人(とキャミィ)は特例として技の攻撃力が単純に減っているという調整が与えられたほど。 --グルーヴで最強とされるのは、オリコンと前転キャンセルが使用可能な''A''。これと相性がいいキャラクターもベガ・さくら・バルログなど、大半がカプコン側のキャラクターである。 //まるで『[[MARVEL VS. CAPCOM 2>MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES]]』のカプコン側不遇の反動かのよう。 ---Aの肝である&u(){オリジナルコンボは、プレイヤーの研究に全てが委ねられる高難易度のシステムであるとともに、自由度が非常に高すぎるため実装されたゲームでは常にバランスを崩す原因になる}というジンクスを持っている。本作でも例に漏れずガードクラッシュ連携や同レシオでダメージ7割越えのオリコンが続々と見つかり、さらに前転キャンセルの恩恵まで受けたことでAグルーヴの強さが際立つ事になった。 ---なお現在ではRC無しの場合、ラン・小ジャンプといった攻めに強いサブシステムを持っており、かつ「1キャラ1回はほぼ必ず溜まる、怒りゲージによる攻撃力の強大さ」と「JDにより防御性能も高い」''Kが一強である''という見解になっている。RCが発覚したことで「Kグルは強力だがRCを使用できないという強大なデメリットを抱えている」という弱点が浮上したため、''結果的にRCがグルーヴ間のバランスを取ることになった''とする意見もある。 ---一方、Pはとにかく各ゲージの弱さと機動力のなさが大きく響き、ブロッキングも頼みの綱にするにはいささかシビア。 ---Sは独自の要素こそ非常に魅力的なものの、実戦では「ゲージ溜めのために攻撃チャンスを犠牲にせざるを得ない」という本末転倒な問題がある。加えて『KOF』と違い空中での防御が完全に不可能な上、本作のLv1スパコン/超必殺技は一部以外ことごとく低性能((攻撃判定発生の前に無敵時間が切れ、威力も覇王丸の強斬りに劣る物が多い。))なので、必然的に相性の良いキャラクターが大きく限られてしまう。 //なお、「前転キャンセルが無い場合はKが最強」と言われていた時期もあったが、少ないシステム数やゲージ常備でないなどの弱点ゆえにKの評価が落ち、&date(j)現在は前転キャンセルが無くともAが最強とされる。 //--Kは、稼働当初からしばらく、前述のAの次点とされていたが、&date(j)現在の評価はPと共に最弱とされる。Pグルーヴはブロッキングが弱く調整され過ぎた為に稼動から評価が変わっていない。 //--機動力が低くゲージも溜めにくいSは、稼働からしばらくの間、Pと共に最弱とされていたグルーヴで、Pと共に空気に近い扱いを受けていたが、最近の研究でガードでもゲージが溜まる、GCが使える点などが見直され、&date(j)現在、最弱を脱出しP・K両グルの次点とされる。 //JDで立ち回り強化・ラン小J装備・怒り時の強烈な補正、ゲージ常備でないがゲージの貯まり易さはトップ。これだけ強みがあるKが弱いわけがない。システム数が少ないのが弱点とあるがAだって少ない。 //またSもこの程度の理由で最弱から脱する理由にはならない。この理由でSを選ぶくらいならC・A・Nを使っていればよい。 --SNK側のキャラクターは元の作品から大きく性能が変えられた技があるなど、ゲームコンセプトに合わせる為とはいえ違和感のある調整がされているキャラが多い。 ---SNK作品では一貫した使い方が出来ていた技が、本作のみ出来なくなったりと不可解な弱体化が見られる。必殺技の性能変化はむしろ『KOF』シリーズでも顕著なケースは少なくないが、通常技も同様の用途を持つカプコン側のものに比べて弱く変更されているものが見られる。 //---性能自体、カプコン側のキャラクターに比べて全体的に控えめ気味。特にリュウに対するリョウの性能差(リョウがかなり弱く調整されている)はSNKファンの悲しみを誘った。個人単位では響や庵などがキャラランクの上位には入っているのだが…。 //リョウ弱かったか? //むしろリュウもケンや豪鬼と比べると弱いような気が。 //というわけで隠し。 -勝利後台詞において、キャラクターの性格を掴めていないのではと思われる部分も多々ある。 --例としては、草薙京。原典でも(特に初期は)敗者に対しては「弱い奴に用はない」などの容赦ない言葉を発する傲岸不遜なキャラクターだったが、この作品での京は相手を天才である自分と比較するような発言が多くなってしまっており、「天才ゆえに努力は必要ないし努力は嫌い」と豪語しながらも必要とあれば研鑽を惜しまない原典とは若干印象が異なる。 //---そしてその京の性格について、SNKの後継会社であるSNKプレイモアが『この作品の』影響を受けてしまっているのは皮肉と言える。 --ロック・ハワードは『餓狼 MARK OF THE WOLVES』と比べると「甘い夢…どこへ無くしちまったかな。必要なら、そのうち見つかるだろうよ。」「雇われグセがついちまってんのさ。運命って名のボスによ。」など妙にキザなセリフが多く、このゲームのオリジナル要素が強い。 --高嶺響は原作のような気弱さも人斬り覚醒エンド時のような冷酷さもあまり無い女剣士らしい性格になっているが、これについては「原作と時系列が異なるのでは?」と考察されており好評。前述のロックについても同じような設定になっている可能性もある。 --また、イーグルが男色家を思わせるキャラクターになっているのも賛否が分かれている。初代『ストリートファイター』では性格的な特徴が無かったため、原作のままでは埋没してしまうのも事実ではあるが。 ---後の『[[ストリートファイターZERO3↑↑>ストリートファイターZERO3]]』で再登場した際には男色設定がほぼ消滅してシリアスな性格になっており、本作での賛否を受けてのものと想像できる。 //-マキの「烈風脚」の性能 //--この技は通常の必殺技にもかかわらず「使用すると体力が減る」という代物で、おいそれと使えるものではない。体力回復アイテムのあるベルトスクロールアクションならともかく、対戦型格闘ゲームである本作でこういう技を使うのはマズいだろう。 //--せめて「烈風脚を使用した後のみ発動可能な体力回復アイテムを召喚する特殊技」などの救済措置があればよかったのだが…。 //--ちなみにこの様な原作再現で使用時体力が減る必殺技を使用するキャラには後に『MVC3』に参戦したハガーもいるが、あちらはゲームのシステム上失った体力が回復できるので問題にはならなかった。こちらが問題となったのはそのような回復要素が実質ないのに実装してしまった事にある。 //賛要素がないので問題点へ //同じファイナルファイト出身のハガーも似たような技を持っているので追記。ラウンドをまたいだ時の回復こそあれどヴァイタルソースはこのゲームないし //対戦ゲームで体力消費技ってだけなら別に問題点でもないかと。体力消費に対して性能がそれほどでもないとかリスクとリターンが釣り合ってないなら問題だけど、特にそういう記述もないし。 ---- **総評 従来の3on3システムの戦略性に加え膨大な組み合わせもあり、試行するだけでも長く楽しめる。~ ガチ対戦にもパーティプレイにも向く名作で、タイトルの通り『100万回の対戦』に応えうるゲームに仕上がっていると言える。~ それだけに前転キャンセルによる環境破壊が残念である。 //実際それらの対策を行った移植版は長く好評を受け続けた。 //そうなの? //前転キャンセルを有り難がってるのはごく一部だけですよ。それ以外のプレイヤーにとっては興ざめする要素でしかないし大半の上級者は勝つために仕方なく使ってるだけ //というわけで隠し //ありがたがってるとかじゃなく、「この問題がなければなぁ…」って話でしょ。発見後の評価に大きく影響与えちゃったわけだし、残していいと思う。 ~ 本作以降カプコンの格ゲーは沈黙期に入り、新作格闘ゲームは長期間製作されなかった。~ 共演相手のSNKに至っては一旦の倒産という結末を迎えたため、20世紀格闘ゲーム最後の光芒とも言うべき作品となってしまった。~ だが、それに相応しく黄金期の総集編を意識した華々しい内容へと仕上がっている。 ---- **余談 開発秘話は[[こちら。>https://www.youtube.com/watch?v=l40SEDFW9Fg]]人によっては誰が誰かわかったりわからなかったりするかもしれない。 ---- **移植 -稼動して1ヶ月ほどでDC/PS2に移植された。その後も、簡単に必殺技を出せるEO(Easy Operation)機能((これはいわゆる右側のスティックを倒した方向に応じて技が出せるという機能))を搭載したGC/Xb版が発売されている。 --PS2版とDC版は''異なるハード間においても通信対戦が可能''だった(当時はダイヤルアップ接続が主流)。現在まで考えてもかなり稀有(現在はサービスを終了している)。 //--カラーエディットやグルーヴエディットが可能で、特にグルーヴエディットでは本来モリガンのみの特権であるチェーンコンボなどを共通システムにすることで、全く別のゲームに仕立てあげる事もできる。 --ちなみに先述の前転キャンセルはEO搭載版では修正されている。開発側としても苦慮した点だったようだ。 ---これらの調整がなされた上で、快適なプレイが可能だったXb版EOのネット対戦は非常に好評であった。 --DC版では予約特典として、多数のカプコン格闘ゲームのコンプリートデータが収録された『CAPCOM対戦ファンディスク』が付属していた。 ---当時ネットワークダウンロード限定だった特典隠し要素なども収録されており、今となってはこのディスクでないと使用できなくなった要素もある。 -2012年9月19日からはPSNのPS2アーカイブスとして配信が開始された。価額は823円((元々は1,200円だったが、後に800円に値下げ。2014年4月の消費税率引き上げの影響で端数が生じている。))とお手ごろだが、残念ながらネット対戦機能は非対応。 --PS2版が元々対応していたマルチマッチング自体既にサービスを終了していることに加え、アーカイブス故に言ってしまえばPS2版をPS3上でエミュレートしているだけなのでこればかりは機能上致し方のない話である。 ---- **その後の展開 -倒産したSNKの後を継いだSNKプレイモアの開発により、『[[SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS]]』が2003年にMVSプラットフォームでリリースされた。同作には『カプエス1』の道場ステージに登場しながら本作に未登場のタクマ・サカザキが「Mr.カラテ」として参戦し、さらに藤堂の登場デモなどで姿を見せる香澄とチャンのオプション扱いのチョイも単独の使用キャラクターで登場する。 -本作で登場したイーグル・マキ・ユンの3名は、後に本作の性能をベースにしてGBA版とPSP版の『[[ストリートファイターZERO3↑ / ↑↑>ストリートファイターZERO3]]』に追加キャラクターとして参戦している。
*CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001 【かぷこん ばーさす えすえぬけい つー みりおねあふぁいてぃんぐ つーさうざんどわん】 |ジャンル|格闘ゲーム| |対応機種|アーケード(NAOMI)| |販売・開発元|カプコン| |稼働開始日|2001年8月| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''| |>|CENTER:''[[CAPCOMクロスオーバー関連作品シリーズ]]''| |>|CENTER:''[[SNKクロスオーバー関連作品シリーズ]]''| *CS機移植版 |対応機種|ドリームキャスト&br()プレイステーション2&br()ニンテンドーゲームキューブ&br()Xbox|&amazon(B00005QXH1)|&amazon(B00005QBBE)|&amazon(B000067OWI)|&amazon(B00006RT6N)| |発売日|【DC/PS2】2001年9月13日&br()【GC】2002年7月4日&br()【Xb】2003年1月16日|~|~|~|~| |価格|【DC/PS2】6,800円&br()【GC/Xb】4,800円(全て税抜)|~|~|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 二大格闘ゲームメーカーであったカプコンとSNKのキャラクターが共演する対戦型格闘ゲーム『[[CAPCOM VS. SNK MILLENNIUM FIGHT 2000]]』の続編。略称は『カプエス2』『CVS2』。~ なお、単に『カプエス』と略した場合も本作を指す場合が多い。 また、クロスオーバー作品ではあるがボタン数が6つである点をはじめCAPCOM寄りの仕様となっているので、SNK出自のキャラクターはそれなりの修正を受けている。((一方、SNKプレイモア発売の『SNK vs CAPCOM SVC CHAOS』ではCAPCOM出自のキャラクターがSNK仕様に修正を受けている)) ---- **特徴 -使用できるキャラクターは前作から新キャラクター11人を加えた44名。 --前作では『[[ストリートファイターII]]』シリーズ((『ストII』シリーズ以外から登場するキャラクターはさくらとモリガンしかいなかった。))と『[[THE KING OF FIGHTERSシリーズ]]((前作ではライデンとナコルル以外のキャラクターがKOF登場済で、内訳もナコルルを除くと『KOFオリジナル』『餓狼伝説』『龍虎の拳』の3タイトルのみ、かつその全員が『'97』までに登場している。そもそもKOFシリーズ自体が、SNKのそれまでの格闘ゲームからキャラクターを集めたオールスター作品という側面を持っていたのだが…。))』のキャラクターが大半であったが、本作ではユン(『[[ストリートファイターIII>ストリートファイターIII 3rd STRIKE]]』)、鑑恭介(『[[私立ジャスティス学園>私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES]]』)、ロック・ハワード(『[[餓狼 MARK OF THE WOLVES]]』)、高嶺響(『[[幕末浪漫 月華の剣士 第二幕>幕末浪漫第二幕 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~]]』)など主流シリーズとはやや独立した立場の新鋭作からキャラクターが登場。いずれも原作固有のシステムを技性能や派生技、一部はグルーヴの特性に取り込まれたりなどで再現されている。 --また、多彩な移動技で画面を駆け回るロレント(『[[ファイナルファイト]]』『ストリートファイターZERO2』)、強斬りの威力が再現された覇王丸(『[[サムライスピリッツ]]』)、大柄なパワーキャラながらチョイ・ボンゲがストライカーとしてついてきたことで繊細さも併せ持つチャン・コーハン(『KOF'94』)など、個性派なキャラクターも揃っている。 --その一方で、イーグル(『[[ストリートファイター]]』)、マキ(『[[ファイナルファイト2]]』)、藤堂竜白(『[[龍虎の拳]]』)など、1993年以前に1作品にしか出たことのないマイナーキャラクターも登場。 ---一応マキは「ガイの同門」で、藤堂は「香澄の父親」という風に、本流シリーズでお馴染みながら本作に未出場のキャラクターと関連がある。 ---しかしイーグルだけはそういった関係性もない中からなんの脈絡もなく登場した。『ストI』から登場したキャラクターが複数人出ている『ZERO』シリーズにも出演しておらず、かなり異彩を放っている選出と言える((後に携帯ハード版の『ZERO3』で復活登場しているが、カラーバリエーションは本作のものを使いまわしている上にP同時押しとK同時押しのカラーは使用されていない。))。 -ゲームモード --レシオマッチ ---1~3人で、レシオを割り当ててチームを編成するモード。詳細は後述。 --3on3マッチ ---レシオは同一(2相当)に固定され、3人チームを編成し、対戦相手も3人で固定されるモード。『KOF』の形式に近い。 --シングルマッチ ---レシオは同一に固定され、1vs1となるモード。各対戦はラウンド形式になる。 --レシオバトルと3on3バトルでは勝者は残り時間に応じた体力回復をされた上での連戦となる。シングルバトルはラウンド毎に体力はリセットされる。グルーヴゲージは基本的に交代者や次ラウンドにも継続されるが、Kグルーヴのみリセットされる。 -スコア --対COM戦では一般的なスコアやタイムアタックではなく、対戦中の行動により「カッコよさ」のようなポイントが変動する。時間経過や、相手の攻撃を受けたりガードすると減少し、攻撃が成功すると上昇する。 -リニューアルされたキャラクターレシオシステム --勝ち抜き制チームバトルであることは変わらないが、チームは1人~3人で編成する。そして4ポイントのレシオをチーム内で分配する。 --レシオの大きさはキャラクターの強さを表し、高いほど攻撃力や耐久力が強化される。3人チームだと必ず1人だけレシオ2になり、2人チームだとレシオ2を二人揃えるか、片方を1にすれば片方は3になる。1人だとレシオ4となる。 -前作ではSNK側にあわせて攻撃ボタンが強弱の4ボタンでカプコンキャラクターの一部の中攻撃は特殊技扱いだった。 --今作はカプコン側にあわせて弱中強の6ボタンとなり、SNKキャラクターにも中通常技・中必殺技が実装された。 ***グルーヴシステム -キャラクターを選択する前に、「グルーヴ」と呼ばれる固有のスタイルを6つから選択する。 --システムは『[[ストリートファイターZERO3]]』と『[[THE KING OF FIGHTERS '98>THE KING OF FIGHTERS '98 DREAM MATCH NEVER ENDS]]』をメインに、両社の格闘ゲームから3種ずつ引用されている。 --ゲージシステムだけでなく、回り込み・ガードキャンセル・小ジャンプなどといった立ち回りを支えるサブシステムの組み合わせも変化するため、グルーヴによってプレイスタイルは大きく変わってくる。 --ちなみに選択したグルーヴによってキャラクターイラストが変化する。CAPグルーヴは西村キヌ氏のものに、SNKグルーヴを選ぶとキャラクターイラストが森気楼氏のものになる。 -カプコン形式のグルーヴ(C・A・P) --カプコン側のCAPグルーヴは、レバー前2回入れのダッシュが共通して一定の短い距離を跳ぶステップになっている。 --ステップ直後は硬直がやや長く、機動力は後述のSNKグルーヴより低いのだが、代わりにどのグルーヴも「ゲージシステムがシンプルで、最大まで溜まりさえすればLv3スーパーコンボ(Aはオリジナルコンボ)がいつでも使える」という利点があるため、細やかな立ち回りの間隙を突いて大ダメージを奪う臨機応変さに優れる。 --''Cグルーヴ'':『ストZERO3』のZイズムをベースにした最もシンプルなシステム。ゲージ量は2番目に短い。~ 溜まったゲージレベルに応じて通常攻撃のダメージが微増する。空対空でのガードが唯一可能。Lv2スーパーコンボを使える((Lv2スパコンは必殺技やLv1スパコンでキャンセル可能。))など。 --''Aグルーヴ'':『ストZERO3』のVイズムがベースで「オリジナルコンボ」が使える。分身は出現しないが、一定時間自由に技をキャンセルでき、空中の相手に追撃ができる。~ ゲージ50%消費またはオリコン中の残りゲージを消費してLv1スーパーコンボも使用可能。ゲージ量も最も軽いが、代償としてサブシステムが若干弱く、Lv3スーパーコンボは使用不可。 --''Pグルーヴ'':攻撃に合わせてジャストタイミングレバー前入れで敵の攻撃を受け流す『ストIII』の代名詞「ブロッキング」が使用可能。ただしスーパーコンボは最大時まで溜まった時のLv3のみ。~ 拙攻をいなして大技を差し込み一撃必殺を狙うSNKグルーヴに近い主旨だが、ゲージの溜まりやすさもガードゲージ総量もサブシステムも極端に少ないばかりか、ブロッキングによる硬直効果が弱体化している((『ストIII』と違い、ブロッキングの硬直が解けると双方同時に動き始めるため、無敵技への連係による反撃を許すこともある。また、ヒット時にのみ連続攻撃を繰り出すスーパーコンボをブロッキングしてしまうと、相手がヒット扱いのままスーパーコンボを継続してくる。))。 -SNK形式のグルーヴ(S・N・K) --SNK側のSNKグルーヴは、レバー前2回入れのダッシュが前方に走るランになっている。このため一気に肉薄し攻めに転じやすい。~ 一方ゲージシステムに癖が強く、さらに攻撃力上昇効果やLv3スパコンに相当するMAX超必殺技は「発動できるチャンスが一定時間内に制限される」ため、立ち回りよりも集中的な攻めで大逆転を狙う事を重視した設計になっている。 --''Sグルーヴ'':『KOF98』のEXTRAモード((元をたどれば『龍虎の拳』『餓狼伝説』シリーズの折衷。))がベース。固有のサブシステムとして投げ以外に対し完全無敵になる「攻撃避け」からの「カウンター攻撃」が使える。~ 能動的にゲージを貯める行動がボタン押しっぱなしの「気合溜め」のみだが、ゲージが貯まると一定時間だけ攻撃力が上がり、Lv1超必殺技が使える。~ 体力ゲージが30%以下になるとLv1超必殺技が使い放題になり、さらにゲージが溜まっているとLv3超必殺技が使えるようになる。 --''Nグルーヴ'':『KOF98』のADVANCEDモードがベース。ゲージを1つ消費することで、ガード中に回り込みする「ガードキャンセル移動」または一定時間攻撃力を強化する「パワーMAX発動」が可能。パワーMAX時のみLv3スーパーコンボが使用可能。~ ゲージは重い部類だがCAPグルーヴに似て扱いやすく、サブシステムも非常に充実しており、中級者向けといえる。特に攻撃を受けなくてもMAX超必殺技が使えるのは大きな魅力。 --''Kグルーヴ'':『サムスピ』の怒りゲージと『餓狼MOW』のジャストディフェンス(JD)を組み合わせた全く新しいグルーヴ。~ ゲージを溜めるにはダメージを受けるか、JD、当身技の成功、相手からの挑発のみ。最大まで溜まると一定時間「怒り状態」となり、Lv3超必殺技を使えるようになる他、攻撃力と防御力が大きく増加する。その補正値は他グルーヴとは比較にならないほど。~ ダメージによる増加量がかなり大きく、JDができなくても、余程のことがなければ1キャラ1度はゲージMAXになる。しかしながら一度満タンになってしまうとゲージを保留しておくことができず、後発のキャラにゲージを引き継ぐこともできないため、ゲージ面の融通が極めて効きにくい((Kグルーヴで次ラウンドにゲージを引き継げるのは、MAXになる前に相手を倒した時のみ。))弱点もある。~ SNKグルーヴでは唯一空中でもJDで防御ができるが、それ以外のサブシステムやガードゲージも少なく、P/S程ではないが玄人向けのグルーヴ。 ---- **評価点 -前作での問題点への様々な改善策の導入 --前作の「結局レシオ1のキャラ×4が強い」「面子が固定される」という問題に対し、「任意レシオ割り振り制」「選べるのは最大3キャラまで(3人チームにするとレシオを偏らせる必要がある)」などの改善策を導入し、自由度を増した。 -前作から大幅に増した44人のキャラクター --前述の通り、当時の知名度がかなり低いキャラクターも参戦している。ステージ背景や勝利デモ限定キャラも豊富。 //「ストリートファイターII VS KOF'97」とも揶揄された前作の偏った面子からはある程度離脱し、オールスター戦らしいバリエーションとキャラクター数を誇る。 -豊富なキャラクターの組み合わせ×グルーヴ×レシオ配分という膨大なバリエーション --「キャラ」「グルーヴ」「レシオ」という3つの要素が生み出すキャラクター性能やチーム編成の多彩さが本作の特徴であり、最大の魅力である。 ---チーム編成の組み合わせは1人=44、2人=946、3人=13,244となり、合計15,180通り。6つのグルーヴを選択すると9万通り以上にもなる。 ---グルーヴは自分が使いやすいものか、主力キャラクターに合うものにするか、どのキャラにレシオを集中させるか…など膨大なバリエーションと戦略性がある。 //---もちろん好きなキャラクターを高レシオで起用してチームの主力にする、ということもできる。 --それでいて比較的ゲームバランスも良好。 ---ただし、%%%「前転キャンセルが発見されるまで」%%%という注釈は付くし、強キャラ×強グルーヴは明確に存在する。 -CAPCOM・SNK両社の格闘ゲームの特徴を折衷したバランス --細かい点では、弱攻撃による硬直が全体的に長く目押しコンボがしやすかったり、近づきつつガードしている相手をゴリゴリ固めることができる。~ 一方で間合いの取り合いの駆け引きも損なわれておらず、うまく両社の格闘ゲームの特徴を折衷したといった所。 --前作の通常技はカプコン側から中攻撃の殆どが失われることになったが、今作ではSNK側に中攻撃を追加する格好となっている。こちらは一部が元特殊技など、技のレパートリーを無駄にしない割り当て。 -質の高いBGMとステージ --クロスオーバー作品らしく、お祭りムードを終始演出している。メニュー画面から対戦中まで随所に流れる英語の実況音声など。 --特にロンドンステージの「This is true love makin'」は本作を代表する屈指の名曲とされている。 ---実はタイトルと同じ言葉をほぼ繰り返しているUKハウスだが、そのノリの良さはすばらしく、一聴しただけではとてもそうは思えない。 --他の曲も、オシャレで、それでいて熱くなれる、いい意味で「邪魔をせず、テンションを高めてくれる」ものが多い。 --ラリーカーが飛び交う砂漠、殺風景かと思いきや大型客船が到着して賑やかになる氷河、よく見ると誰かに似ている大型ねぶたの青森、決勝らしく演出のある大阪、強ボスと対峙する絶望感を煽る大阪城など、ステージの演出も秀でている。 -前作では粒子が収束したりチューブ内を移動するなどSF映画のようなクール路線だったUIはリュウと京が活火山で対峙するOPから派生する炎をモチーフにするものに変わった。やや見づらかった前作と比べると使いやすいものになっている。 -エディットモード(カラー・グルーヴ。家庭用のみ) --現在では珍しいことではないが、エディットモードによって楽しみ方を増やすことができた。 --グルーブエディットを行うと、通常グルーブではできなかったチェーンコンボ、スーパーコンボキャンセル、どこでもキャンセル(通常技)ができるようになる。それぞれのシステムのオン・オフにはポイントが割り振られていて、規定ポイントを超えると通信対戦には使用できなくなる。 ---- **賛否両論点 -3人(レシオ1×2、レシオ2)で組んだ場合が体力面で最も有利になるため、上級者同士の対戦になると1人・2人チームは意味が薄くなる。 --今作では4人チームが不可になり、レシオ可変のため死にキャラがいなくなったりと改善されてはいる。また3人チームでレシオ2をどのキャラクターにするか、順番は…等々、『KOF』シリーズと同様の高い戦略性があり、他の配分が可能なのにあまり意味が無いというだけではある。 //--これが逆だと強キャラ対強キャラの1対1になってしまうので、ある程度は意図されたものと思われる。 --一応、筐体設定によりさらに『KOF』風の3on3モード(能力は全員レシオ2相当)にも変更できるが、アーケードでは(前作の2on2モードとは違い)事前に店側の設定変更が必要なため、一般的なルールとはならなかった。 -前作の家庭用で好評だった「懐かしのテーマ曲」としてカプコン・SNKそれぞれのステージBGMに切り替えられる要素は残念ながら無くなってしまった。ゲームキューブ版とXb版のトレーニングステージのBGMが「懐かしのテーマ曲」からランダムで流れる程度。 --これについては完全に好みだが、「懐かしのテーマ曲」・メトロシティやパオパオカフェのような過去作で馴染みがあるステージ・『KOF94』のようなステージ開始演出と前作でドリームマッチとして好評だった要素が無くなってしまったのを惜しむ声もある。 ---- **問題点 -「''前転キャンセル''」というバグ技の存在。 --C、A、Nグルーヴで使用可能な「回り込み」という無敵状態で回避するコマンドアクションから、一瞬遅らせて必殺技を入力することで回り込みをキャンセルして必殺技が発生する。前転キャンセルは、このとき「回り込みの無敵時間が必殺技の動作に付加されるバグ」であり、前キャン(または「RC」(ローリングキャンセル))などと通称される。 --無敵時間は基本的に昇龍拳などの「硬直の長い切り返し技」または「ゲージを消費するスーパーコンボ/超必殺技」の特権であり、さらに本作ではそれらさえも意図的に無敵時間を短めに調整されていた((ターボ設定がかかった状態で対戦が行われることが多いためでもあるが、レベル3のスーパーコンボでも無敵時間が20フレームを超えるものはほとんど見当たらない。))のだが、前転キャンセルを使うことにより殆ど全てのコマンド技に無敵時間が追加されることになってしまい、慎重な立ち回りと対応を基本とするゲームコンセプトが大きく崩壊した((キャラクターによって微差はあるが、前転の無敵時間は20F~30F程度とかなり長め。))。 //--極めつけはAグルーヴのオリコン。オリコン発動はボタン同時押しなので、前転キャンセルの操作も容易。即時発動できる超必殺技に長い出掛かり無敵が付けば…その結果はご想像通り。 //元々オリコンはLV2並の無敵があるんで前キャンオリコンが必要だったり強力な場面って殆どないと思いますが。 --前キャンが発見されたのは稼動から1年ほど経ってのことで、修正された基板などは出されていない。 //---このバグの発見が、稼働開始以来1年続いていた本作の対戦ブームの寿命を大きく縮めたことからも、ゲーム性への悪影響は言葉では言い表せない。トッププレイヤーの一部だけはそれを織り込んだ上でプレイし続けていたが、結局殆どのプレイヤーが一気に、KOF2002やGGXXなど他の新作格ゲーへと移住することになった。 //このゲームがって意味なら1年もすれば次のゲームに人気が移るのは格ゲーの常だし、格ゲー自体のブームの事ならこの後もGGとかいくらでもヒットしたのあるし、どっちの意味でも終焉させたは間違い //対戦ゲームのブームを終わらせたという意味ではなく、このゲーム限定の話。そして1年経ってもブームは続いていたし前転キャンセル後の落差も本当に凄かった(他に有力な新作が出て移った訳でもない) //翌年の2002年ってKOF2002、GGXXと思いっきり有力な新作格ゲー出てますが。 それでも続けてた人にとどめさした原因の一つかもしれんけど、そもそもあの頃は単純に新作も盛り上がってた時期だよ ---アルカディア主催の大規模ゲーム大会『闘劇』でも禁止対象ではなかった為にこのバグは平然と使われており、''優勝決定戦の決着シーンで使っていることがはっきり分かっていた''のも有名な話である。 -膨大なキャラクターとグルーヴの組み合わせ数により稼動からの模索期間が長かったが、『どのキャラのどのグルーヴが強いか』という答えについては現在はかなり煮詰まっている。 --本作での代表的な強キャラはサガットとブランカ。ガチンコでの対戦になると、ほとんどのプレイヤーがどちらかを使用していた。 ---キャラクター性能の高さもさることながら、2人ともやや鈍いがリーチが長めで体力も高目、技の攻撃力が高くじっくりと戦いやすいという特徴がチーム戦の性質と相性が極めて良い((ラウンド決着時の体力回復量が少なめな本作では、負けている方も少しでも長く粘ってダメージを与えることで、後の展開が有利になりやすい。))。このためか後述するEO版ではこの2人(とキャミィ)は特例として技の攻撃力が単純に減っているという調整が与えられたほど。 --グルーヴで最強とされるのは、オリコンと前転キャンセルが使用可能な''A''。これと相性がいいキャラクターもベガ・さくら・バルログなど、大半がカプコン側のキャラクターである。 //まるで『[[MARVEL VS. CAPCOM 2>MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES]]』のカプコン側不遇の反動かのよう。 ---Aの肝である&u(){オリジナルコンボは、プレイヤーの研究に全てが委ねられる高難易度のシステムであるとともに、自由度が非常に高すぎるため実装されたゲームでは常にバランスを崩す原因になる}というジンクスを持っている。本作でも例に漏れずガードクラッシュ連携や同レシオでダメージ7割越えのオリコンが続々と見つかり、さらに前転キャンセルの恩恵まで受けたことでAグルーヴの強さが際立つ事になった。 ---なお現在ではRC無しの場合、ラン・小ジャンプといった攻めに強いサブシステムを持っており、かつ「1キャラ1回はほぼ必ず溜まる、怒りゲージによる攻撃力の強大さ」と「JDにより防御性能も高い」''Kが一強である''という見解になっている。RCが発覚したことで「Kグルは強力だがRCを使用できないという強大なデメリットを抱えている」という弱点が浮上したため、''結果的にRCがグルーヴ間のバランスを取ることになった''とする意見もある。 ---一方、Pはとにかく各ゲージの弱さと機動力のなさが大きく響き、ブロッキングも頼みの綱にするにはいささかシビア。 ---Sは独自の要素こそ非常に魅力的なものの、実戦では「ゲージ溜めのために攻撃チャンスを犠牲にせざるを得ない」という本末転倒な問題がある。加えて『KOF』と違い空中での防御が完全に不可能な上、本作のLv1スパコン/超必殺技は一部以外ことごとく低性能((攻撃判定発生の前に無敵時間が切れ、威力も覇王丸の強斬りに劣る物が多い。))なので、必然的に相性の良いキャラクターが大きく限られてしまう。 //なお、「前転キャンセルが無い場合はKが最強」と言われていた時期もあったが、少ないシステム数やゲージ常備でないなどの弱点ゆえにKの評価が落ち、&date(j)現在は前転キャンセルが無くともAが最強とされる。 //--Kは、稼働当初からしばらく、前述のAの次点とされていたが、&date(j)現在の評価はPと共に最弱とされる。Pグルーヴはブロッキングが弱く調整され過ぎた為に稼動から評価が変わっていない。 //--機動力が低くゲージも溜めにくいSは、稼働からしばらくの間、Pと共に最弱とされていたグルーヴで、Pと共に空気に近い扱いを受けていたが、最近の研究でガードでもゲージが溜まる、GCが使える点などが見直され、&date(j)現在、最弱を脱出しP・K両グルの次点とされる。 //JDで立ち回り強化・ラン小J装備・怒り時の強烈な補正、ゲージ常備でないがゲージの貯まり易さはトップ。これだけ強みがあるKが弱いわけがない。システム数が少ないのが弱点とあるがAだって少ない。 //またSもこの程度の理由で最弱から脱する理由にはならない。この理由でSを選ぶくらいならC・A・Nを使っていればよい。 --SNK側のキャラクターは元の作品から大きく性能が変えられた技があるなど、ゲームコンセプトに合わせる為とはいえ違和感のある調整がされているキャラが多い。 ---SNK作品では一貫した使い方が出来ていた技が、本作のみ出来なくなったりと不可解な弱体化が見られる。必殺技の性能変化はむしろ『KOF』シリーズでも顕著なケースは少なくないが、通常技も同様の用途を持つカプコン側のものに比べて弱く変更されているものが見られる。 //---性能自体、カプコン側のキャラクターに比べて全体的に控えめ気味。特にリュウに対するリョウの性能差(リョウがかなり弱く調整されている)はSNKファンの悲しみを誘った。個人単位では響や庵などがキャラランクの上位には入っているのだが…。 //リョウ弱かったか? //むしろリュウもケンや豪鬼と比べると弱いような気が。 //というわけで隠し。 -勝利後台詞において、キャラクターの性格を掴めていないのではと思われる部分も多々ある。 --例としては、草薙京。原典でも(特に初期は)敗者に対しては「弱い奴に用はない」などの容赦ない言葉を発する傲岸不遜なキャラクターだったが、この作品での京は相手を天才である自分と比較するような発言が多くなってしまっており、「天才ゆえに努力は必要ないし努力は嫌い」と豪語しながらも必要とあれば研鑽を惜しまない原典とは若干印象が異なる。 //---そしてその京の性格について、SNKの後継会社であるSNKプレイモアが『この作品の』影響を受けてしまっているのは皮肉と言える。 --ロック・ハワードは『餓狼 MARK OF THE WOLVES』と比べると「甘い夢…どこへ無くしちまったかな。必要なら、そのうち見つかるだろうよ。」「雇われグセがついちまってんのさ。運命って名のボスによ。」など妙にキザなセリフが多く、このゲームのオリジナル要素が強い。 --高嶺響は原作のような気弱さも人斬り覚醒エンド時のような冷酷さもあまり無い女剣士らしい性格になっているが、これについては「原作と時系列が異なるのでは?」と考察されており好評。前述のロックについても同じような設定になっている可能性もある。 --また、イーグルが男色家を思わせるキャラクターになっているのも賛否が分かれている。初代『ストリートファイター』では性格的な特徴が無かったため、原作のままでは埋没してしまうのも事実ではあるが。 ---後の『[[ストリートファイターZERO3↑↑>ストリートファイターZERO3]]』で再登場した際には男色設定がほぼ消滅してシリアスな性格になっており、本作での賛否を受けてのものと想像できる。 //-マキの「烈風脚」の性能 //--この技は通常の必殺技にもかかわらず「使用すると体力が減る」という代物で、おいそれと使えるものではない。体力回復アイテムのあるベルトスクロールアクションならともかく、対戦型格闘ゲームである本作でこういう技を使うのはマズいだろう。 //--せめて「烈風脚を使用した後のみ発動可能な体力回復アイテムを召喚する特殊技」などの救済措置があればよかったのだが…。 //--ちなみにこの様な原作再現で使用時体力が減る必殺技を使用するキャラクターには後に『MVC3』に参戦したハガーもいるが、あちらはゲームのシステム上失った体力が回復できるので問題にはならなかった。こちらが問題となったのはそのような回復要素が実質ないのに実装してしまった事にある。 //賛要素がないので問題点へ //同じファイナルファイト出身のハガーも似たような技を持っているので追記。ラウンドをまたいだ時の回復こそあれどヴァイタルソースはこのゲームないし //対戦ゲームで体力消費技ってだけなら別に問題点でもないかと。体力消費に対して性能がそれほどでもないとかリスクとリターンが釣り合ってないなら問題だけど、特にそういう記述もないし。 ---- **総評 従来の3on3システムの戦略性に加え膨大な組み合わせもあり、試行するだけでも長く楽しめる。~ ガチ対戦にもパーティプレイにも向く名作で、タイトルの通り『100万回の対戦』に応えうるゲームに仕上がっていると言える。~ それだけに前転キャンセルによる環境破壊が残念である。 //実際それらの対策を行った移植版は長く好評を受け続けた。 //そうなの? //前転キャンセルを有り難がってるのはごく一部だけですよ。それ以外のプレイヤーにとっては興ざめする要素でしかないし大半の上級者は勝つために仕方なく使ってるだけ //というわけで隠し //ありがたがってるとかじゃなく、「この問題がなければなぁ…」って話でしょ。発見後の評価に大きく影響与えちゃったわけだし、残していいと思う。 ~ 本作以降カプコンの格ゲーは沈黙期に入り、新作格闘ゲームは長期間製作されなかった。~ 共演相手のSNKに至っては一旦の倒産という結末を迎えたため、20世紀格闘ゲーム最後の光芒とも言うべき作品となってしまった。~ だが、それに相応しく黄金期の総集編を意識した華々しい内容へと仕上がっている。 ---- **余談 開発秘話は[[こちら。>https://www.youtube.com/watch?v=l40SEDFW9Fg]]人によっては誰が誰かわかったりわからなかったりするかもしれない。 ---- **移植 -稼動して1ヶ月ほどでDC/PS2に移植された。その後も、簡単に必殺技を出せるEO(Easy Operation)機能((これはいわゆる右側のスティックを倒した方向に応じて技が出せるという機能))を搭載したGC/Xb版が発売されている。 --PS2版とDC版は''異なるハード間においても通信対戦が可能''だった(当時はダイヤルアップ接続が主流)。現在まで考えてもかなり稀有(現在はサービスを終了している)。 //--カラーエディットやグルーヴエディットが可能で、特にグルーヴエディットでは本来モリガンのみの特権であるチェーンコンボなどを共通システムにすることで、全く別のゲームに仕立てあげる事もできる。 --ちなみに先述の前転キャンセルはEO搭載版では修正されている。開発側としても苦慮した点だったようだ。 ---これらの調整がなされた上で、快適なプレイが可能だったXb版EOのネット対戦は非常に好評であった。 --DC版では予約特典として、多数のカプコン格闘ゲームのコンプリートデータが収録された『CAPCOM対戦ファンディスク』が付属していた。 ---当時ネットワークダウンロード限定だった特典隠し要素なども収録されており、今となってはこのディスクでないと使用できなくなった要素もある。 -2012年9月19日からはPSNのPS2アーカイブスとして配信が開始された。価額は823円((元々は1,200円だったが、後に800円に値下げ。2014年4月の消費税率引き上げの影響で端数が生じている。))とお手ごろだが、残念ながらネット対戦機能は非対応。 --PS2版が元々対応していたマルチマッチング自体既にサービスを終了していることに加え、アーカイブス故に言ってしまえばPS2版をPS3上でエミュレートしているだけなのでこればかりは機能上致し方のない話である。 ---- **その後の展開 -倒産したSNKの後を継いだSNKプレイモアの開発により、『[[SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS]]』が2003年にMVSプラットフォームでリリースされた。同作には『カプエス1』の道場ステージに登場しながら本作に未登場のタクマ・サカザキが「Mr.カラテ」として参戦し、さらに藤堂の登場デモなどで姿を見せる香澄とチャンのオプション扱いのチョイも単独の使用キャラクターで登場する。 -本作で登場したイーグル・マキ・ユンの3名は、後に本作の性能をベースにしてGBA版とPSP版の『[[ストリートファイターZERO3↑ / ↑↑>ストリートファイターZERO3]]』に追加キャラクターとして参戦している。

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