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*ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future- 【すとりーとふぁいたーすりー さーどすとらいく ふぁいとふぉーざふゅーちゃー】 |ジャンル|対戦格闘アクション|CENTER:&amazon(B089PNMJ5T)&amazon(B00027XIQY)| |対応機種|アーケード(CPシステムIII)&br()ドリームキャスト&br()プレイステーション2&br()Xbox|~| |販売・開発元|カプコン|~| |稼動開始日|【AC】1999年5月|~| |家庭用移植|【DC】2000年6月29日/5,800円&br()【PS2】2004年7月22日/3,800円&br()【Xb】2004年10月28日/4,800円(各税別)|~| |レーティング|【PS2】CERO:全年齢対象|~| |配信|【PS3】2011年8月23日/1,500円&br()【360】2011年8月24日/1,200MSP|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ストIIIシリーズの完成形&br()春麗の帰還&br()キャラバランスはそこまで良くない|~| |>|>|CENTER:''[[ストリートファイターシリーズリンク>ストリートファイターシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 人気格闘ゲーム『[[ストリートファイターII]]』の続編である『ストリートファイターIII』シリーズの3作目。通称3rd。~ 本シリーズは「CPS-3(CPシステムIII)」という高性能基板を生かした、ディズニーのアニメを彷彿とさせるようなヌルヌルと非常によく動くドット絵のアニメーションが特徴。~ その前作『2nd』は『ストIII』1作目のバージョンアップ版といった位置づけだったが、本作は前作から全く別物と言えるほどの改修が加えられ、ゲームとしての完成度が飛躍的に高まった。 シリーズの人気キャラ・春麗など5人が新たに追加され、使用キャラは合計19人。 ---- **システム 『ストII』と同じく、移動に使うレバーと弱中強のパンチ・キックで構成された6ボタンを使用。~ ここでは『1st』『2nd』で初登場したシステムも併せて触れ、それらの『3rd』における動向を主に解説する。 -本作で完成を見た革新的システム「ブロッキング(Parry)」 --『ストII』及び『ZERO』シリーズでは、防御行動はレバーを自キャラ後方に入れる「ガード」のみだったが、『ストIII』シリーズではそれに加え、敵の攻撃に合わせて前または下にレバーを入れることで発生する攻撃的防御「ブロッキング」が登場した。無印『ストIII』『2nd』とバージョンアップを重ねるたびにブロッキングにも改修が加えられ、本作では駆け引きを補助する決定版として理想的な仕様に仕上げられている。 ---ブロッキングに成功すると、飛び道具系の技を除く相手の技硬直が延長される。こちらのブロッキング動作は通常技や必殺技で即座にキャンセルが可能なため、絶好の反撃チャンスとなる。 ---被弾位置(上中段・下段)に対する防御方向の対応はガードより厳しい。ガードであれば下段ガードで中段以外は防げるが、ブロッキングは基本的に、上中段攻撃には上段(レバーニュートラル経由で前)、下段攻撃には下段(レバーニュートラル経由で下)という対応になっている((下ブロでも受けられる立小Pなど、例外もある。))。 ---入力にガード要素が含まれないため、失敗すると敵の技が直撃する。ブロッキングの受け付けはキャラの状態/入力の長さによって変動するが、基本の地上ブロッキングで5~10フレーム+未成立時は約1/3秒(20フレーム前後)の再受付不能時間があるため、必ず「技を受ける直前の瞬間」を狙わないと成功せず、高いリターン相応の高いリスクを持っている。 --空中ガードは存在しないが、ブロッキングは空中でも可能。対空技をブロックして反撃に転じることも可能なので、飛び込む側にも迎撃側にも読みが必要になる。 ---迎撃側なら、昔ながらの昇竜拳が正解になる場合もあれば、「ブロッキングをスカすため通常は対空にならない打点の低い攻撃を出す」が正解になる場合もあり、「手を出さずに引き付けてから垂直ジャンプし攻防を入れ替える」が正解になる場合すらある。 ---このため、本作の対戦では「飛び込む側が何も技を出さずに(≒ブロッキングを仕込んでいる)着地、そこから投げる」「迎撃側も何も技を出さず、着地を狙って投げる(≒投げ抜けを仕込む)」といういわゆる「すかし」が、上級者同士でも割合見られる。 --『3rd』では強制ガード継続がなくなった代わりに「ガードブロッキング」が可能となり、ガード中でも次の攻撃に対するブロッキング入力が認められるようになった。~ 決めれば一気に反転攻勢に出られるが、本来なら防戦に努める場面からの切り返しを狙う行動であり、受付時間は僅か2フレームと、通常よりさらにリスクが高まっている。成功するとキャラが赤く光る(通常のブロッキングは青発光)ため、攻撃側にも敵がハイリスクな賭けを制したことが伝わる。押し込まれた局面で決めるこの「赤ブロ」は、超上級者の対人戦の隠れたスパイスともなっている。 --ブロッキングには、必殺技のケズリダメージを受けず、さらにSAゲージがガードしたときよりも多めに溜まるという特性もある。このため、あと一発のケズリで決着という局面でも、双方が上手いほど優勢な側には緊張感、劣勢な側には大逆転の希望が残され、「本当に終わるまで分からない」戦いを演出してくれる。 --小技にすら反撃のチャンスをもたらすブロッキングの存在により、本作は操作スキルだけでなく、読みや誘いといった駆け引きでも高度なスキルが求められる作品となった。 ---「攻撃せずにブロッキングを仕込んだ前進や前ジャンプでプレッシャーを掛ける」「小技のブロッキングを狙っているだろうタイミングに出の遅い大技を仕掛けて直撃を狙う」など、仕様を理解したプレイヤー同士の戦いでは、あらゆる行動で駆け引きが展開されている。 --本作は格闘ゲーム界屈指の長期稼働タイトルとなったが、それだけの支持を集めた理由の多くはブロッキングが担っている。当時のプロデューサー曰く「ブロッキングを超えるシステムが思いつかない」というほど画期的なシステムであり、本作以降の格ゲーには、他社製品であってもブロッキングを模したシステムが多く搭載されることとなった。 -もう一つの防御の要、投げ抜け「グラップディフェンス」 --弱P+弱Kの同時押しで通常投げの判定が発生する。投げ判定が相手に触れてから投げが成立するまでに短い猶予があり、この時間内に仕掛けられた側も通常投げを入力していた場合、相手を振りほどいて投げを阻止する「グラップディフェンス」が発生する。いわゆる投げ抜けである。 --ブロッキングの存在によって打撃のリスクが低くない本作では、通常投げがかなり強めに調整されている。ガード・ブロッキングを簡単に破れる投げの重要度は非常に高く、「投げゲー」と呼ばれる事もあるほど。その投げをかわすグラップディフェンスもまた極めて重要で、地味ながらブロッキングに並ぶ防御の要となる。 ---ブロッキングを見越した投げ、それに対する投げ抜け…といった読み合いも避けて通れない。例えば、飛び込みながら相手の対空に対してブロッキング、着地と同時に投げを入力、それに対して相手の空中打撃に対してブロッキング、相手の着地に投げを入力、結果グラップディフェンスが発生、というのはよく見る光景であった。 --別種の技の判定がぶつかると上位レベルの技が勝つ「技レベル」という内部設定があるが、強弱の設定は概ね「弱攻撃<中攻撃<大攻撃<必殺技<スーパーアーツ&投げ」であり、投げの判定は最上位にある。ストIIやZeroシリーズでは、投げ判定と打撃では打撃が勝つのが通例だったが、本作では投げが超必殺技以外の打撃を吸って決まる。このため、投げ対策としてはグラップディフェンスがほぼ唯一の手段になる。 --なお、本作の通常投げはレバーを上下に入れていると発生せず、しゃがみながら弱PKを押すとしゃがみ弱パンチを出しながらグラップディフェンス判定が発生する。単に「グラップディフェンス」と言う場合は、この「しゃがみグラップディフェンス」を指すことが多い。 ---投げ抜けに失敗しても投げ失敗という隙だらけのモーションを出さず攻撃しつつ投げ抜けができるため一見ローリスクだが、本作には先述したブロッキングが存在しており、この操作を読まれてブロッキング((しゃがみ弱パンチは上段・下段ブロッキングが両方可能。))される可能性もまた存在する。 //英単語的にはgrappleが正しいのですが、筐体のインストが誤植でない限り3rdの投げ抜けは「グラップディフェンス」が正式名称です -しゃがみガードを崩す「リープアタック」 --中パンチボタンと中キックボタンの同時押しで繰り出す、その名の通りの少し跳びつつの攻撃。相手のしゃがみ攻撃を回避しながらしゃがみガードできない中段技を繰り出すが、威力は低い。 --ストIIからのお約束でしゃがみガードを使えばほとんどの打撃を防御できるが、''本作ではしゃがみ中にヒットした技はダメージが1.25倍になり命中時の硬直時間がわずかに伸びる''仕様があり、しゃがみガード安定の伝統に一石が投じられている。しゃがみヒット時限定でつながる連続技もあるため、そのリスクは決して低くない。 -一歩進んだ挑発「パーソナルアクション(PA)」 --強パンチと強キックの同時押しで使える、いわゆる「挑発」的な動作。従来と違うのは動作後に特殊効果が発生する点。 --大半のキャラのPAは、使用後に出す技のダメージやスタン値を強化する。技ダメージ+スタン値回復量を強化する複合タイプや、長押し入力で強化量が伸びるようなものもある。防御力(ダメージ軽減率)を強化するQ、姿を消すトゥエルヴといった、試合の要になるような変わり種も。 --一部キャラのPAは攻撃判定も持つ。ダメージはいずれも微弱で判定も小さく、ほとんどの場合攻撃としての実用性は限りなく低いが、ダッドリーやショーンのものは起き攻めに使用できるなど実用的なものもある。 -戦い方を決める「スーパーアーツ(SA)セレクト」 --使うキャラを決めた後、3種類のスーパーアーツから1つを選択する。いわゆる超必殺技だが、攻撃技のみだったスーパーストリートファイターIIXやZeroシリーズのスーパーコンボとは異なり、一部にHP回復や攻撃力強化といった必ずしも攻撃をしないものも含まれている。 --スーパーアーツは技の内容だけでなく、ゲージ1本あたりの長さ、ゲージをストックできる本数も異なる。 ---スーパーアーツゲージは攻撃、被弾(直撃のみ。ガードすると増えない)、ブロッキングなどで溜まる。攻撃による増加量が高く、手数が少なく固まりがちだと溜まりにくくなっている。 ---ゲージを一定量消費して必殺技の強化版である「EX必殺技」を使うこともできる。 --基本的には「高威力のアーツはゲージが長くストックが少ない」「低威力のアーツはゲージが短くストックが多い」という調整になっている。勝負を懸ける決め技として前者を選択するか、EX必殺技も多用して柔軟に戦うために後者を選択するかはプレイヤー次第。 ---ただし、特殊な性能のアーツは短めのゲージ1本になっていることもある。ユンの「幻影陣」やリュウの「電刃波動拳」など。 --こうした手持ち技を選択する要素は『[[スパIV>ストリートファイターIV]]』の「ウルトラコンボセレクト」や『ストV AE』の「Vトリガーセレクト」に加え、『ストV CE』の「バージョンセレクト」など、後のシリーズでも形を変えながら導入されている。 -第二の体力ゲージ「スタンゲージ」 --旧シリーズでは隠しパラメータだった気絶値が体力ゲージ下に表示されるようになった。攻撃を受けるとスタンゲージの赤いバーが伸び、ゲージ満杯まで伸びるとスタン(ピヨり)に陥る。可視化されることでより具体的な駆け引きが可能になり、読み合いの幅が広がった。 --牽制やダメージソースとして使いやすいしゃがみ技は、全体的に与える気絶値が少なくなっている。 --キャラによって気絶値の許容量と、相手に与える気絶値の傾向(大きな気絶値を与える技の有無など)が異なる。投げ技のバリエーションである掴み締め技(ユリアンの「デストロイクロー」等)や、リュウ・ユリアン・ネクロの電撃系の攻撃などは与える気絶値が大きめ。 ---- **キャラクター 『ストリートファイターIII』シリーズでは、1作目のサブタイトル「ニュージェネレーション」の示すとおり、多くのキャラが一新されている。~ ここでは『1st』『2nd』で初登場した分もまとめて解説する。 #region(キャラクター紹介) -''アレックス'' --『ストIII』シリーズ主人公。顔と両肩に稲妻のようなペイントを施した金髪巨躯のアメリカ人青年。格闘スタイルはレスリング。 ---モチーフはカプコン製プロレスゲーム『マッスルボマー』の主人公アレクセイ・ザラゾフと言われている。 --大柄なパワータイプのキャラで、必殺技のパワーボムを始め技のダメージは高め。体格の割に機動力も低くはない。素早い動作の突進技であるスマッシュエルボーやエアスタンピート、軌道が低く飛び込みやすいジャンプを持ち、接近手段は豊富。ただし飛び道具は持たない。 --上記の突進技は全てタメ技であり、操作も比較的簡単な部類。高めでまとまったパラメータや簡単なコンボも加わり、初心者向けとされる。 --地上通常技の取り回しが悪いため、差し合いになるとやや苦しく、ラッシュ力にも少々難がある。タメ技とブロッキングの相性も悪く、ゲームに慣れるにつれて痒い所が増えてくる。 --主人公としての認知度は高いとは言えない。 ---『1st』『2nd』ではキャラクター選択時の初期カーソル位置に置かれなかった、体格から投げキャラと思われがちだったなどの要因がある((スーパーアーツの一つは一回転コマンドの投げ技ハイパーボムであり、実際「動けて殴れる投げキャラ」の部類ではある。))。 --1Pカーソルの初期位置がアレックスになったのがこの『3rd』である。%%今作EDでリュウにパーフェクトでラウンドを取られるという仕打ちを受けたが。%% ---『ストIV』に『ストIII』のキャラが続々参戦を果たしても彼にはお呼びがかからなかったが、『タツカプ』への参戦を経て遂に『ストV』の追加キャラに抜擢された。 -''ユン・リー'' --中国拳法の達人である香港育ちの少年。目深に被った帽子が特徴。『スパIV AE』などシリーズの代表として外部出演も多く、ある意味『ストIII』でもう一人の主役と言える存在。 --拳を突き出して前に跳ぶ「絶招歩法」や低姿勢で相手の攻撃をかわしながら攻撃する「鉄山靠」などの突進技や、ジャンプの軌道を変えられるダイブキック「雷撃蹴」や、使いやすいターゲットコンボをはじめとした比較的簡単な連続技など、軽快な動きと手数の多さが持ち味。 --対戦ダイヤグラムでは春麗と並ぶ「2強」の一角。 --2強の一角たる実力を支えるのは、本体に分身を追随させ攻撃を多段化するSA「幻影陣」で、『[[ZERO>ストリートファイターZERO]]』シリーズで猛威を奮ったオリジナルコンボを彷彿とさせるこの技は、効果中に繰り出すあらゆる技にSAと同等の技レベル(前述)を付与し、相手の暴れも叩き潰しながら攻めを押し付けられる。さらにゲージは1本だが短く回転が良い。 ---(オリジナルコンボがない作品への客演も含めて)あまりにも高性能なため、「本作は対戦バランスが悪い」という批判の根拠の一つになっている。 -''ヤン・リー'' --ユンの双子の弟で、兄曰く「スネちゃま」なヘアーが特徴((モチーフは『新機動戦記ガンダムW』のトロワ・バートンだが、大元のトロワからしてスネオヘアーである。))。 --初代ではボイスが違う以外はユンと同じキャラ性能を持つコンパチキャラクター((『1st』当時はPで決定するとユン、Kがヤンで実質色違いであり、加えてユン同士やヤン同士の同キャラ対戦は出来ず必ずユン対ヤンになるという特殊仕様だった。ただし『1st』の頃からバックダッシュの距離とハイジャンプの軌道は両者とも違っている。))だったが、『2nd』で独立したキャラになり性能が大きく差別化された。 ---このためヤンが実質2ndからの新キャラと扱われることもあるが、同時にユンも1stから一部の技が一新されて使用感が変わっている((「転身穿弓腿」のように『1st』からヤンは引き継いだがユンの方が使わなくなった技もある。))ため、「2ndから明確にユンとヤンという2人のキャラクターに分離した」と表現した方がより正確。 --『2nd』で連続入力可能なオリジナル必殺技「蟷螂斬」が追加され、ユンに比べてノーゲージの状態でもラッシュ力が高い。対戦ランクでは上位陣に属するが、SAの性能差でユンに水を空けられている。 --『スパIV AE』にユンと兄弟揃って参戦。 -''ダッドリー'' --ヘビー級ボクシングのチャンピオンである黒人の英国紳士。口髭、ドレスシャツ、サスペンダーというトラッドな装いにグローブを装着している。このグローブは午後のティータイムにも''薔薇の手入れ中にも''外されることはない。 --ボクサーであるため突進技のマシンガンブローや対空技のジェットアッパーなど技が全てパンチのためリーチは短く下段技も少ないが、そのパンチ技はどれも威力・スタン力に加えコンボ性能まで兼ね揃える。~ ボクサーらしくフットワークも軽く、間合いに入って追い詰めた時の爆発力は現2強すら凌駕するため、ユリアン・まことと合わせて「3凶」に数えられる。 --いぶき、まことと共に『スーパーストリートファイターIV』に出演している。 -''いぶき'' --忍者学校に通う女子高生。某くの一と違って忍装束に身を包み露出度は低め。 ---モチーフは[[エイリアンVSプレデター (AC)]]のリン・クロサワとされている。 --空中飛び道具の「苦無」や、スライディングからの打撃投げ「首折り」に加え、攻撃力を持たない移動技の「霞駆け」「築地越え」など、様々なタイプの必殺技を持ち、特殊技も豊富。さらに空中投げも持つ。 --技バリエーションの豊富さは全キャラ屈指で、忍者らしく機動力も高いが、それにもかかわらずガードを崩す能力が低い。さらに総合的な耐久力が最低クラスで、豊富な技を的確に使い分け、なおかつ慎重に立ち回れる上級者向けのキャラ。 --早い時期から『ポケットファイター』に参戦、『スパIV』『ストリートファイター×鉄拳』『ストV』にも参戦しており、外部出演回数なら『ストIII』キャラ随一。 -''エレナ'' --ケニアの名家の令嬢。いぶきとは逆に、褐色の肌にビキニと健康的な出で立ち。カポエイラの使い手で、その構えを再現したニュートラルポーズは非常に動きがよく、上下だけではなく前後にも、さらに丁寧な事に喰らい判定までも微妙に動いている。ドット絵の枚数はなんと約1700枚に及ぶとか((枚数が少ない部類のアレックスなどですら約1000枚くらい、本作におけるヒットスパークなどの汎用エフェクトでも約500枚程度はあるといえば本作のこだわりぶりは窺えるだろう。その中でも特段に動きを書き込まれているキャラである。))。 --ダッドリーとは逆に、突進技のライノホーンを始めとする殆どの技が長い脚から繰り出す蹴り技で、性能の傾向もまさに対照的。 ---リーチに優れた牽制・差し込みが強力で、中距離から積極的に下段中段のガードを揺さぶりに行けるのも長所。動きも軽いが連係・コンボ能力はやや低く、攻めが単発に終わりがちなのが玉に瑕。 --ヒューゴーとともに『ストリートファイター×鉄拳』『ウルIV』に参戦。 -''オロ'' --齢140を越えるブラジルの仙人。手加減のため片腕を隠して戦っている((一部のスーパーアーツでのみ両腕を出す。後述の『ストV』では常時両腕を出した状態になっているが、代わりにペットの亀を手に持ったまま戦うようになっている。))。どことなくリュウの行く末を思わせるような佇まい。 --必殺技には念力を発射する飛び道具の「日輪掌」と対空アッパーの「鬼ヤンマ」が揃い、一見するとオーソドックスだが、実際には癖のある通常技、客演を除いたシリーズ本流ではほぼ唯一といえる2段ジャンプ、使い慣れて初めて発揮できる高いコンボ能力、しゃがみ時の特異な判定の小ささなど、一見様お断りな要素が多い。 --SAにも念力でオプションを呼び寄せる天狗石など変わったものが揃っている上に、同時押し発動でさらに性能が尖る。 --外部出演は『ストV』のダルシムストーリーや公式小説を経ての追加キャラクターとして参戦した程度に少ない。 -''ネクロ'' --ゴムのように伸びる身体と放電能力を得た改造人間。改造の影響か白い肌と人間離れした見た目を持つが、れっきとしたロシア人で本名はイリア。 ---スタッフによるとエヴァンゲリオン初号機がモチーフだとか。 --『ストII』のダルシムと同じく、動きは緩慢だがリーチが長い。そのためダルシム同様の対応型戦法が得意。一方で、上半身から電撃を放つ電磁ブラストなど電撃を使った近接攻撃を多く持ち、彼よりは近距離戦に寄ったキャラ。平均的に与えるスタン値が高めで、大きな爆発力も秘める。 -''ヒューゴー'' --『2nd』から登場。全キャラ随一の巨体を誇るドイツのプロレスラー。%%ドイツ人なのに英語で「I'm No.1」と言っていることは突っ込んではいけない((ドイツ人は国際的な場所でも英語より母国語であるドイツ語を喋る傾向があるため。))。%% ---『[[ファイナルファイト]]』の強ザコである「アンドレ」と同一人物という設定だが、実在したフランスのプロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントに露骨に似せたキャラクターであるため、肖像権の問題で名前のみ改名された。 ---アレックスと対戦すると、ラウンド開始前に間近で睨み合うというプロレスファンにはたまらない演出が入る((元ネタはハルク・ホーガン対アンドレ・ザ・ジャイアントだろうか。))。 --巨体・鈍重・投げ系必殺技複数装備という、正統派の投げキャラ。SAではレバー2回転投げのギガスブリーカーも選択可能。それ自体がハンデと言える巨体から繰り出す技は突進技のモンスターラリアットなど凄まじく大振りで、中・大の地上技はキャンセル必殺技に繋げられるものが一つもない。ザンギエフを筆頭とするカプコン歴代投げキャラの中でも一際尖っており、使いこなすには相当な精進が必要。 --魅力はやはり全キャラ屈指のパワー。必殺技「ウルトラスルー」始動のコンボは実はそれなりにバリエーションがあり、いずれも破壊力は相当なもの。体格にふさわしく耐久力(体力量とスタンゲージ量、スタンゲージ回復力)もトップクラス。 --エンディングでは普段険しい顔ばかりのリュウなどが満面の笑みを浮かべている貴重なシーンが見られる。全員集合の大団円的様相から「作中で一番のハッピーエンド」などとも。 --セコンドとして、やはりファイナルファイト出身のポイズンを連れている。後にポイズンとタッグを組んで、『ストリートファイター×鉄拳』へ出演した。さらに両者は『ウルIV』でも共演している。 -''ユリアン'' --『2nd』から登場。ストIIIの最終ボス「ギル」の弟。ボディモデルはギルと同じで、兄同様に筋肉隆々かつ''ふんどし一丁。''世界を影から操る秘密結社の副総統であり、性格は極めて傲慢。一人称は「余」である。 --通常技、必殺技とも、概ねギルの技をスケールダウンさせたものを持つ。ノーゲージでは突出して強力な技は持たず、状況に合わせた技を選択しながら立ち回ることになる。 --小技がやや遅く背が高い(座高も高い)ため密着間合いで不利になりがち。さらに中・大の通常技にキャンセル可能なものが少ないうえ、ノーゲージコンボの条件が「密着からの打ち上げ始動」「必殺技の空中ヒット始動」などと厳しい。さらに突進技「チャリオットタックル」や奇襲技「バイオレンスニードロップ」がタメ技であり、ブロッキングとの共存がやや困難。 --…と目立つ短所は多いながら、対戦ではダッドリー、まことと並ぶ「3凶」に数えられている。その地位を支えるのが、最大二つまで電気の壁を作り出す設置型飛び道具SA「エイジスリフレクター」を駆使した連係とコンボ。名前通り飛び道具を反射できるエイジスをガードして動けない相手に上下の択攻めを仕掛け、そこからのコンボで体力をもぎ取るのが主な勝ち筋となる。 ---主流である「旧基板」と呼ばれるバージョンの基板であれば、完全なガード不能連係も可能。 --エイジスへの依存度が高いため、結果的にSAゲージ依存度も高い。ゲージを溜めるまでいかに凌ぐかが課題となる。 --『ストV』へ追加キャラクターとして参戦。デフォルトではスーツ姿だが、隠しコマンドで''専用イントロとともにふんどし一丁になる''。 -''まこと'' --『3rd』での新キャラ。土佐弁で喋る空手少女。 --小柄なためリーチが短く牽制合戦に弱い、歩きが非常に遅いなどの強い癖を持つが、高速の前ダッシュや「突進正拳突き疾風」による瞬発力の高さは全キャラ屈指で、攻撃の威力&スタン値も高い。~ 至近距離での択攻めを得意とし、一旦相手の懐に入れば抵抗すら許さず叩きのめすことも可能。扱いづらさの陰に圧倒的な爆発力を秘め、ダッドリー、ユリアンと共に「3凶」の一角に数えられる。 --背中側の真上に突きを繰り出す地対空専用必殺技「直上正拳突き吹上(ふきあげ)」や、''自身のガード封印と引き換えに攻撃力を1.75倍にするSA「丹田練気・攻めの型」''など、破壊力以外の性能を切り捨てたようなロマン技も持つ。『3rd』からの新キャラ勢は、基本的にどこかピーキーな性能を持っている。 -''レミー'' --『3rd』での新キャラ。家族を顧みなかった格闘家である父への怒りから、格闘家という人種そのものを憎むフランス出身の美青年。あまりにも詩的な(通常技含む)技名の数々と、勝ち台詞の「なんなんだアンタ」が有名。 --ストIIのガイルと同じような飛び道具と対空技を持つ溜めキャラ。しかし本作では、「飛ばせて落とす」戦法やタメ技の操作と、根幹システムであるブロッキングの相性がかなり悪い。 --「何物をも顧みず鍛錬に打ち込む格闘家の在り方を否定するが故に、自身は一切のトレーニングを行わず、恵まれた素質だけで戦っている」という設定からか、攻撃力・体力量・スタンゲージ量といったパラメータが軒並み低水準。 ---スキの少ない飛び道具を牽制・攻めの基点として使いつつ、少しずつダメージを積み重ねる戦いになるが、慎重に動かなければあっという間にリードを奪い返されてしまう。 ---上記の性格も合わせ、シナリオ面ではある意味「闘いの中に己を見出そうとする」アレックス・リュウのアンチテーゼ的な位置付けにいると言える。 --通常技の判定はそれなりに良いため、何も考えずにボタンをデタラメに押しているだけでもそこそこまでは行けるという意味で、初心者同士のプレイには向いている面もあったりする。 -''トゥエルヴ'' --『3rd』での新キャラ。ネクロの改良・量産型という設定で、その真っ白い身体の形状を自在に変える能力を持つ。PAで透明化する、SA「X.C.O.P.Y.」で対戦相手に変身する((SAを除くすべての技を使える。))など、奇天烈な技を多く持つ。 --全キャラで唯一の空中ダッシュ「滑空」を持ち・頭上からの裏回り・めくり・フェイントの即着地などで敵を翻弄するのが基本の立ち回り。通常技にも変わった判定やテンポのものが複数あり、他キャラとは全く異なるセオリーで戦うことが可能。 --唯一無二の戦いが可能な一方で、攻撃力や防御力といったパラメータは総じて低め。ジャンプと滑空が攻めの起点になる関係で、忙しい割に攻撃密度が低くなりやすいという欠点も。さらに、腰を据えた牽制戦・差し合いに使える技が少なく、コンボも高難度または低威力となかなか厳しい。 --忙しく飛び回りながらもブロッキングやコンボを確実に決めていく腕が求められるが、全体的に攻撃力の高い本作では、一度ブロッキングされたり隙を突かれただけで、積み上げてきたリードがあっさり粉砕されることもしばしば。 --名前と外見から元ネタは『ウルトラセブン』のスペル星人だと言われているが、その元ネタ自体が非常にデリケートな存在の為に公式から明言はされていない((スペル星人はウルトラセブン第12話「遊星より愛をこめて」に登場しているが、この話は諸事情によりウルトラセブンの公式設定から抹消されており、登場話も欠番扱いで映像媒体から外されているなど、知る人ぞ知る非常にマイナーな敵キャラである。))。 -''Q'' --『3rd』の新キャラにして隠し中ボス。鉄仮面を被りトレンチコートを着た謎の大男。その身長はヒューゴーに匹敵する。正体はCIAにすら不明。 ---元ネタは70年代の特撮ヒーロー『ロボット刑事』だと思われる。 --技の威力と耐久力(体力量・スタンゲージ量・スタンゲージ回復力)がトップクラス。しかもPAにラウンド終了まで防御力アップの効果があり、最大の3段階まで達した際の硬さは目を見張る。 --高いパラメーターの代償として、鈍重な上に通常技の性能が総じて低い。特殊技(レバー入れ通常攻撃)と通常技の変化もかなり大きく、まずはキャラ自体の理解が求められる。素材の良さを引き出すために基礎の熟練を要するタイプのキャラ。 -''春麗(チュンリー)'' --シリーズ並びに格ゲー界の看板ヒロインたる女刑事。見た目は『ストII』の頃と同じだが、設定上年齢は30歳を超えており、口調や声のトーンはかなり落ち着いている。 ---はしゃいで跳ねながら「やったー!」の勝ちポーズは健在。スタートボタン長押しで顔が上気するという裏技まで仕込まれている。 ---プレイヤーの待望の声によって鳴り物入りで参戦が決まったキャラであり、広告媒体での露出も盛んだった。OP・EDでの扱いも手厚く、待遇的には『3rd』の主人公と言っても過言ではない。 --通常技の動きは従来から大きく変わったが、必殺技は百裂脚にスピニングバードキック、気功拳と従来どおり。速い足に差し合いの強さといった春麗らしさを損なうことなく、扱いやすい強キャラに仕上げられている。使い勝手のよいSA「鳳翼扇」も含め欠点のない能力で、ユンと並ぶ「2強」に輝く。 -''リュウ'' --『ストII』シリーズの主人公。赤い鉢巻にボロボロの胴着の求道者という基本的なキャラはそのままに、年齢を重ねたことで威厳を増している。 --波動拳による牽制こそ機能しにくいが、『ストII』での扱いやすさは据え置き。本作では新必殺技である上段足刀蹴りを習得している。通常技も使いやすく、連続技は単純で短いながら高威力。地上で根本の発生瞬間をヒットさせると非常に威力の高い「真・昇龍拳」、限界までためれば相手を一撃でスタンに追い込めるガード不能の飛び道具「電刃波動拳」など、ロマンと実用性を兼ねたスーパーアーツも持っている。 --体力量やスタンゲージ量、スタンゲージ回復力、移動速度は平均的な値。素直な技の数々と相まって目立った短所は持たない反面、尖った攻め手も持たないため、対戦ランク上位陣に比べるとややラッシュ力で後れを取る。 --決定打になるSA/EX技の使い勝手が良すぎるだけに、ゲージ依存度は高い。供給と使途が悩ましいキャラでもある。 -''ケン・マスターズ'' --リュウとは同門である永遠のライバル。金髪に赤い道着がトレードマークの二枚目。 --リュウと同じ技を多く持ち、耐久面や移動面の能力もリュウとよく似ている。ただリュウよりも蹴り技に長けており、長めの中段攻撃である「稲妻かかと割り」などは優秀。小足からのコンボなど至近距離での攻め手も豊富で、本作の対戦ランクにおいてはリュウに大差を付けることとなった。 --本作で登場した蹴りを連続で繰り出すスーパーアーツ「疾風迅雷脚」は、威力は低めだが小足からでも繋がる上に短いゲージ3本と、全SA屈指の使い勝手を誇る。小さなチャンスにも有意なリードを奪うことができ、本作のケンの強さを底上げしている。 --そつのない優秀なキャラであり、かつては上記のユン・春麗と並んで「3強」と呼ばれていたが、研究が進むにつれ、2強ほどの圧倒的に強い攻め手がないことからランクを落とすこととなった。 -''ショーン・マツダ'' --まだまだ未熟なケンの押しかけ弟子。黄色い胴着が特徴。 --ケンとは逆にリュウの下位互換的な存在で、ポジション的には『ZERO』シリーズのダンに近い。通常技はリュウ/ケン譲りでなかなかだが、細かい性能は悪くなっている。リュウに比べて早い動きやショーンタックルなどの移動技を使ったかく乱戦法、飛び道具のハドウバースト、対空技のショウリュウキャノンなど異なる使い道のある3種類のスーパーアーツなど、僅かだが見所もある。 --『2nd』ではトップクラスの強さで師匠を余裕で食ってしまえるその性能が目についたか、『3rd』では''竜巻旋風脚「トルネード」がヒット/ガードどちらでも反撃確定''など見るも無残に弱体化した。その弱さを揶揄して「ショーン(´・ω・`)」などとも呼ばれたりする。 --『2nd』で追加されたボーナスステージ(3rdでは二番目に配置)は、ショーンが投げるバスケットボールをブロッキングすると言う内容である。それまでのスコア評価が高いと、3rd本編の強さが嘘のように雨あられとボールを投げてくる。 -''豪鬼(ゴウキ)'' --拳を極めし者。『2nd』の隠しボス。 --ギルと同様にEX必殺技を持たないが、代わりにどのSAを選択してもSAゲージMAX時に発動できる特殊SA2種(おなじみ「瞬獄殺」と『2nd』のEDで披露した「金剛國裂斬」)を持つ。 --技の性能はおおむねリュウ・ケンの強化版。さらに空中から撃ち下ろす斬空波動拳や急降下蹴りの天魔空刃脚、前ジャンプに似た動作の移動投げ技・百鬼襲といった空中からの攻め手も豊富で、一見ジャンプしているだけでも相手に択攻めを仕掛けているなど、攻撃面での総合力はトップクラスと言える。 --その代価として全キャラ中最低の体力とスタンゲージ量が最大の弱点。ワンミスが敗北に直結するため、攻めの強さに溺れない慎重さが求められる。 -''ギル'' --『ストIII』シリーズのボスキャラクターで秘密結社の総統。ユリアンの兄。弟と同じくふんどし一丁。その身体は右半身が赤、左半身が青に塗り分けられ、右向き時は攻撃に燃焼、左向き時は氷結効果が付随する。ボスキャラクターなのでアーケード版では使用不可。 ---おおむね、燃焼はダメージ微増、氷結はダウンや硬直時間延長の効果になる。 --カプコンのボスキャラクターだけあって飛び道具のパイロ(クリオ)キネシスなど技性能も攻撃威力も露骨に高く、CPUも非常に強い。さらに反則的な性能のSA3種を持ち、ボスキャラクター特権でそのすべてを一戦で使用可能。 ---SAは被KO時に一度だけ体力を全回復して復活する「リザレクション」と、空から無数の火炎弾と氷弾を降らせる「メテオストライク」に加え、『3rd』の新技であるブロッキング不可能の全画面攻撃「セラフィックウィング」の3種。 ---ちなみに家庭用のシステムディレクションを使えばわかるが、これらのSAはすべてゲージMAX専用だったりする(ALL SAなどで2本ゲージに設定した場合、2本貯まりきらないとSAはいずれも使えない)。また豪鬼同様、EX必殺技もない。 --ヒューゴーのエンディングでは笑顔で周りに手を振っていたりするなど、「それにしてもこの天帝ノリノリである」な場面も。 --使用不可なボスキャラクターとあって外部出演はほとんどなかったが、『ストV』に追加キャラクターとして参戦。こちらは最初からふんどし一丁。 #endregion ---- **ゲームバランス ''本作では近~中距離での技の打ち合いが駆け引きの中心となっている。'' -遠距離から飛び道具をただ撃っただけでは簡単にブロッキングされ、ゲージを溜められてしまう。~ つまりブロッキングの存在が知られると、飛び道具は『ストII』のようにローリスクで相手を動かすための役割はほぼ果たせなくなり、相手の行動を予測し自分が次にどう動くか…という攻めるための布石としての意味合いが強くなっていく。 --鋭いジャンプや早いステップ、隙の少ない突進技などを持った、近づく手段に長けるキャラが多い事に加え、飛び道具系の技の隙も全体的に大きい。ジャンプ中でもブロッキングで防御可能になったため、『ストII』の基本だった「飛ばせて落とす」は読み合いを制してこそ成立する戦法となり、「待ち」による対処は難しくなっている。 -近づいてからの攻め手は実に豊富。隙の少ない打撃による攻めの継続から、打撃と投げの二択や中下段でのガード崩し、相手のブロッキングを読んでブロッキング不能の投げ技を仕掛ける、ジャンプや牽制技の差し込み、相手の反撃を読んでブロッキングを狙う…など、取れる動きは多彩。ストIIでの魅力とされた間合いの駆け引きも当然絡んでくる。 --通常投げにはグラップディフェンス、打撃にはガードまたはブロッキングという抑止力がある。相手の意識がどこに向いているか、自分の動きが偏ってないか意識しながらうまく立ち回る必要があるのがこのゲームの魅力にして難しさである。 --防御側も技の発生時間や技をガードした後のお互いの硬直時間、技をガードした後の投げ無敵時間と投げ抜け猶予時間、ブロッキング判定が行われる時間など、極めていくことで1/60秒単位の時間を管理しながらの防御が組み立てられていく。そうしたニーズに十分応え得る作りこみが成されているのは特筆すべき点であろう。 -ダウンしても「クイックスタンディング」という行動で若干移動しながらタイミングを前倒しして起き上がることが可能で、読み合いは目まぐるしく行われる。全体的に攻撃力も高いためラウンドは比較的短時間で終わり、テンポの良い試合展開となっている。 --スーパーアーツがヒットした場合のみクイックスタンディングが不可能だが、攻撃側は流れを活かして次の攻めの展開へ移行、防御側は一息ついてから次の防御に望める。 -ブロッキングの存在をフィーチャーするような作りになっているのも特徴的。 --「ノーゲージで使える無敵技」が本作ではかなり希少。~ またガードブロッキングの存在により強制連続ガードが消えたことで「連続技の1発目をガード、連続ガード中にコマンドを連続入力((所謂「昇竜を擦る」と呼ばれる行動。))しておいて、連続ガードが途切れた瞬間無敵技で割り込んで反撃」という甘えたガードリバーサルは3rdでは出来ない。~ 攻め込んでくる相手に対しては否応なくブロッキングかグラップの択一を迫られる。 ---相手の攻撃を読んでのブロッキング、そこからの最大反撃を決めての勝利は見映えが非常に良く、快感もひとしおで虜になるプレイヤーも多い。有名な動画「背水の逆転劇」(後述する余談を参照)のような名シーンも数多く生み出された。 ---これまでのシリーズで非常に強かった飛び道具系の技はブロッキングの存在を抜きにしても明らかに弱体化しているなど、ハメ技対策は練られている((従来作では、飛び道具を持たないキャラで持つキャラをいなすのはかなり難しかった。))。 ---- **評価点 -駆け引きを重視したゲーム性 --トーンを抑えたグラフィックや演出、キャラの一新により、無印『ストIII』の段階で「地味」との評価は受けていたが、『2nd』『3rd』と改修が重ねられ、ブロッキングを軸とした攻防の奥深さが認知されるにつれて、本作はようやく評価を高めていった。 --本作リリース当時、格ゲー界はすでに成熟期にあり、多くの玄人プレイヤーが生まれていたが、そうした上級者が盛んに腕を競ったことも本作の特徴。一見地味な本作が、派手な演出も目まぐるしい高速バトルも経験してきた玄人衆を熱くさせたのは、対戦ゲームの精髄たる「駆け引き」を存分に繰り広げられるゲーム性とブロッキングの調整にあった。 --キャラ間の格差は大きく決して褒められたものではないが(後述)、ブロッキングの存在によりチャンスを作り出す読みがあればキャラを選ばず勝てるゲームとも言われており、現に動画サイトでも見られるようにQやヒューゴーといった扱いの難しいキャラでトップクラスのプレイヤーの扱う強キャラ相手に(もれなく劇的な展開を伴って)勝利を収めるという職人プレイヤーも存在する。 -グラフィック面 --キャラドット絵の滑らかさが印象的なストIIIシリーズだが、本作はヒットスパークなど汎用エフェクトの書き込みにもすさまじい枚数を使っている。~ 2Dドットの格闘ゲームとしては今でも非常に評価が高い。 --キャラの書き込みは単にビジュアル的に見映えがする、というだけではなく、良質なプレイ体験にも大きく貢献している側面がある。キックの際に伸ばした足の爪先に至るまで丁寧に描かれるだけでなく、それに合わせて当たり判定も極めて精密に整合性を保っている。結果として通常技に至るまで予備動作や後隙がナチュラルな動作を示すからこそ、例えば豪鬼の「天魔空刃脚」やユンの「雷撃蹴」を紙一重の差で喰らったりブロッキングできたりしても、理不尽さを感じず納得できるのだろう。 -演出面 --キャラの声や効果音は前作に比べて好評を受けている(特にブロッキングやスーパーアーツ関連のエフェクト)。また対戦後の勝利台詞も中々に練られており、没入感を深くさせるのに一役買っている。 -シングルプレイの仕様 --かなり地味な要素ではあるが、シングルプレイでは対戦相手を2人の候補者から任意で選べる(ただしラスボスのギルとその前のライバルキャラは固定で、Qは条件を満たさないと出現しない)これによりある程度苦手な相手を避けられるため、初心者でも入門しやすくなっている。(ラスボス・ギルのCPUに問題があるため、クリアしやすいかと言えばそうではないが…) ---- **賛否両論点 //-キャラクターに「色物」傾向が強く、見た目重視のプレイヤーを選ぶ。 //--これまでの『ストIII』シリーズでも主人公なのにマッチョ男「アレックス」や、パンクすぎる見た目の「ネクロ」に加え、ふんどし一丁のマッチョマン「ユリアン」など濃いキャラが多かったが、3rdでもまんまロボット刑事な「Q」に、元ネタがマニアックすぎる「トゥエルヴ」など変なキャラが多い。このため正統派な美形である「レミー」もまた度が過ぎてしまい逆に浮いて見えることとなる。 //↑キャラに関して「旧キャラがいない」は確かに言われていたが、「イロモノが多い」と聞いた覚えはない。そもそも『ストII』も『ZERO』もイロモノだらけのシリーズだが。『ストIII』を無印からプレイし続けた一プレイヤーとしての所感であり、レビュー等を広く検索した訳ではないが、どうにも頷けないのでCOしておく。 -キャラクター一新の功罪 --無印では『ストII』『ZERO』シリーズからの続投キャラや関連キャラがほぼ存在せず「シリーズなのに知ってるキャラがいない」という点で不評だった。リュウやケン、『2nd』で豪鬼、本作で春麗が再登場したのもそれが理由である。 ---カプコン東京支社長が某マイナーゲーム雑誌のインタビューで、『1st』の時点で「『ストII』のキャラは登場させない予定だったが、最初に何をすれば解らないプレイヤーのためにリュウとケンを出した」と語っている。 ---また岡本吉起氏も、「''リュウとケンが居なければストリートファイターじゃない''」とスタッフを説得していたという。皮肉にもこのせいで、新主人公のアレックスが主人公と認識されなくなることになってしまったのだが。 --『3rd』の盛り上がりの一端は、図らずも「満を持して参戦」の形となった春麗が支えた面もある。一方で『ストIII』出身勢にも後々まで高い人気を集めたキャラがおり、これらは後の『ストIV』『ストV』『VSシリーズ』等でプレイヤー層を厚くすることにも繋がった。総じて、キャラ一新には功罪いずれの側面もあったと言える。 -背景や演出は前作(『1st』『2nd』)に比べてやや地味になっている。 --BGMも前作までのお洒落なBGMからビート重視で、地味な印象を持たれることに。ただしラウンドごとにBGMがシームレス変化していく点は好評で、どちらが優れているかは一概には言いがたい。どちらが好みかもプレイヤーによって分かれるところではある。 ---- **問題点 -''キャラバランスの悪さ''~ システムがこれまで述べた通り高い完成度を誇る一方で、登場キャラクター数が多いため仕方のないことではあるが、キャラバランスは良いとは言えない。いかにブロッキングによる可能性が僅かに残っているとはいえ、キャラ間の戦力には大きな格差がある。&br()根強い支持を受けた本作では、多数のプレイヤーが長期にわたって攻略・研究を続けた結果、その差は絶対的となっており覆す事が非常に難しい状況に至っている。 --特に強いとされているのは本作で晴れて復活した、シリーズ人気ヒロインの''春麗''である。 ---スーパーアーツ「鳳翼扇」は高威力・発生早い・移動距離長い・さらにストック2本といい事尽くめであり、おまけに追い討ちが可能な上、直後に視認しにくい択攻めを仕掛けることができる。これにより春麗の高い地上戦能力がさらに高められ、非常に強力なキャラに仕上がっている。~ 『2nd』まででも、いぶきのスーパーアーツ「破心衝」がこの鳳翼扇と同じ性能を持ち猛威を振るっていたが、こちらは「3rd」では他のスーパーアーツと入れ替わる形で削除されている。 ---春麗本体はEX必殺技の性能が低く攻撃力が低めという弱点があるが、この鳳翼扇の存在がその弱点を完全に覆い隠している状態である。 ---ついでに本作の仕様を利用した「スライド投げ」を利用すると通常投げの間合いがかなり広がり、なんと「ヒューゴーのムーンサルトプレスより1ドット短いだけ」までに至る投げキャラでもある。通常投げなのでグラップこそされるが、迂闊な打撃を投げで吸う選択肢を常に意識させられるのも強力。 --他にも際立って強いとされているのはスーパーアーツに「幻影陣」を選んだ''ユン。'' ---このSAは『[[ZERO3>ストリートファイターZERO3]]』に存在するオリジナルコンボのような効果を短時間だけ得られるもので、相応にゲージは短いが回転率が良く、それでいて高いダメージを見込める。~ さらにスーパーアーツは基本的に投げ以外の技に打ち勝つ性質を持つが、幻影陣の効果時間中は全ての攻撃にそれが適用され、技の判定が大幅強化される。つまり、ゴリ押しが出来てしまう。 --上述の2キャラは現在の対戦評で「2強」と位置づけられている。以前は「3強」として扱いやすく総合力に長けるケンも数えられていたが、突出した要素が無いことから次点に落ち込み、2強と3凶の間に位置している。 --ハマった際の圧倒的爆発力で旧3強をも喰いうるダッドリー、まこと、ユリアンは「3凶」に数えられている。これらの次点に豪鬼、ヤンと続いていくのが定説。 --以上で紹介した「2強」とケン、「3凶」と豪鬼、ヤンの計8名が本作の上位キャラとされる。 --逆に弱いとされるのはレミー・トゥエルヴ・ショーン、次点にQ。 ---これらは「弱みを堅実にカバーできる上級者でも厳しい」ほど不利な性能で、それら以外の中堅は「強みはあるが攻め切るのに苦労する」といった調整になっており、上位キャラとの地力の差は大きい。 --キャラ差の大きさが生んだいわば「怪我の功名」として、中堅・下位のキャラを使いこなして勝利するプレイヤーを「職人」と讃える文化が広く普及した点がある。本作で職人プレイヤーとして名を上げたのち、格ゲー界で息の長い活動を続けているプレイヤーも存在する。 --基本性能の高い春麗やユン、ケンは初心者向けのキャラとも言える。本作で初めてシリーズに触れる層に対する救済措置、対戦格闘ゲームの楽しさを知ってもらう為の配慮とも言えるだろう。 -(あくまで勝ちを求めるという前提ではあるが)上位キャラの多くはスーパーアーツが実質一択となっている。 --春麗の鳳翼閃、ユンの幻影陣、ケンの疾風迅雷脚、ユリアンのエイジスリフレクターはガチ対戦ではほぼ固定。 --一応エレナとリュウは3種とも選択されることもあるが、それ以外の''各キャラ毎に1つずつ、選ばれる理由の無い死にSAが混ざっている''。 --ちなみに全キャラが上記のような各々の最強SAを除外した上でダイヤグラムを取った場合、かなりバランスが良くなったりする。それでもショーンとトゥエルヴはキツいが…。 -通称「SGGK((元は「しゃがみグラップ逆二択キック」の略称だったらしいが、特に蹴り技である必要は無い。))((漫画『キャプテン翼』のSGGK(Super Great Goal Keeper、もしくはSuper Ganbari Goal Keeper)のもじり。))」という強力・有利すぎる仕込み操作が存在する。 --様々なゲーム仕様を利用し「通常技空キャンセルブロッキング仕込み通常投げ」を行うテクニックの総称で、簡単に言えば「相手が手を出せばブロッキングし仕込んだ技がヒット(そこから最大反撃が可能)」「相手が手を出さなければ投げる」という現象が起こる。 --この仕込み技は使っているかどうかが非常に分かりにくいため、大会ルールなどで禁止にすることも難しい。 --さらに、先に上げられた上位キャラほどこの「SGGK」と相性が良い傾向にあるため、格差を増長する一因にもなってしまっている。 -業務用基板で「旧基板」と呼ばれるバージョンには様々なバグが存在する。 --中でも致命的なのは「''ケン対まことでケン側がレバーニュートラル投げでKOするとフリーズする''」というもの。 --これらのバグを修正したバージョン(通称 新基板)も作られているのだが、現在3rdが稼動している店舗で使われている基板はほぼ全てバグフィックス前の旧基板。 ---なぜかというと、飛び道具に対するガード入力は相手の位置ではなく弾の位置が基準になる、という旧基板の仕様を使った「自キャラと弾速の遅い飛び道具で敵を挟んで行うガード不能連係」がプレイヤー間で容認されているため。ユリアンのいわゆる「エイジスハメ」はこれを利用している。 ---なお、この状況でもブロッキングは可能。ただし、飛び道具と相手が任意のタイミングで仕掛けてくる攻撃を両方、前後に連続でブロッキングしなければならず、凌ぐのは極めて困難。エイジスハメも厳密には「ハメ」ではないが、多段の判定が発生するエイジスと中下段の択攻めが可能なユリアン本体の攻撃をブロッキングで捌き切るのは、現実的にはまず不可能だろう。 ---これを受けてかPS2版のシステムディレクションには「挟み撃ちガード不能連係が出来るか」という設定項目が存在する。 --ライトユーザーフレンドリーなシングルプレイモードではあるが、ラスボス・ギルのCPUは完全に壊れており、超反応と反則的なSAを繰り返す。キャラによっては特定の技(昇竜拳や絶掌歩法など)を繰り返すだけで勝てるが、それらを持たないキャラの場合、例え中級者であってもエンディングまでたどり着くのは難儀する。 ---キャラ紹介の欄で記載した「リザレクション」は、発動から間もなく技をあてれば早期に回復を中断させる事ができるがタイミングは難しく、失敗するとあっという間にギル側の体力が全回復してしまう。 ---- **総評 無印 ~『2nd』の不評もあって、当初は評価が芳しくなかったが、現在では格闘ゲーム史上の最高傑作に推す声も高い。~ カプコン開発陣自身も「''格闘ゲームは『3rd』で全て作り切った''」と語るほどである。~ その勇姿はゲームセンター激動の20年を駆け抜けてなお、未だ冷めやらぬプレイヤーの『3rd』に対する熱が物語っている。 現在でも攻略は進み、都心部のゲーセンでは高いレベルでの対戦が繰り広げられており、その対戦動画は高い閲覧数を記録している。~ これほど古い対戦格闘ゲームが、ノスタルジーの意味合いではなく現役の対戦ツールとして愛され、プレイヤーの研鑽の対象となり続けている例は他にない。~ 2014年1月に行われた[[第12回クーペレーションカップ>http://www.cooperationcup.com]]((5on5による団体戦方式のカプコン非公式全国大会。))では、事前エントリーだけで80チーム400人以上が参戦、2019年の第17回には102チーム510人が参加と更に増加という実績がその証左であろう。 ---- **家庭用移植 -2000年にドリームキャスト、2004年にプレイステーション2とXboxに移植された。 --「システムディレクション」という細部仕様を弄くれるマニアックな追加要素があるほか、ボス専用だったギルが使用できるのが特徴。 --Xb版は『ストリートファイターアニバーサリーコレクション』のタイトルで『[[ハイパーストリートファイターII]]』とのカップリングでリリース。 ---発売当初はBGM設定を"ORIGINAL"にするとヒューゴーステージに異常が発生するという不具合があったがすぐに修正版が出され交換対応となった。 -さらに2011年8月にはPS3/360で『ONLINE EDITION』としてダウンロード販売が開始。 --HD対応の画質リメイクが行われ、対戦動画をYouTubeに配信出来るようになった(サービス終了済)。 --DLCとしてカラーやBGMを『1st』『2nd』のものにすることも可能。ギルも使用できる。 -2018年にシリーズ30周年記念作品として発売された『[[ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル]]』にも本作が収録されており、オンライン対戦にも対応している。 --こちらは『1st』『2nd』も共に収録されているが、いずれもアーケード版準拠のため残念ながらギルは使用不可…と思われていたが、『3rd』まで続けて存在するバグ技の利用によって『2nd』『3rd』にて''ギルが使用可能''になる事が2022年に発見され、次いで2023年に『1st』でも使用する方法が発見された。 ---当然、移植元である本家アーケード版でも使用可能ということになるが、ギルを使うためには''フリープレイ限定''かつやや面倒な操作が必要という縛りがあるため、対戦バランスに影響するものではなく、あくまでもお遊び的な範疇に留まっている。 --トウェルブのスペルミスやブロッキングの仕様から初期基板の移植だが、ケンまことのN投げフリーズは修正されているハイブリッド仕様となっている。 ---- **余談 -春麗について --『1st』では出場しなかったので((背景に小さく登場はしている。))復活希望者が多かった。その為、まだ出回っていなかった『2nd』初公開時のAMショーで『3rd』発売決定と同時に彼女の参戦までムービー込みで発表された。 --デザイン担当者は初代『ストII』で春麗をデザインした安田朗(AKIMAN)氏であり、凄まじいこだわりを持って作成されていた。開発初期から全キャラ中一番進捗が遅く、最後まで調整が行われ難儀したという逸話がある。 --『3rd』を販売する条件が「彼女を出す」であり、さらに従来のファンからのクレームが非常に多かったので結果的に強くせざるを得なかったとのこと。 -今は亡きアーケードゲーム雑誌『ゲーメスト』に『ストIII』シリーズのコミカライズ版『STREET FIGHTER III RYU FINAL -闘いの先に-』が連載していた。 --後に『ストIV』などのセービングアタックのモーションのモチーフになったといわれる「風の拳」や、本作に登場しないサガットとのラストバトル等、アツいオリジナル展開を盛り込んだ名コミカライズである。 //ただ、全体的に『3rd』キャラが軽んじられており、サガットが強すぎ・格好よすぎなのは批判点として挙げられることも多い。 //軽んじられるも何も完結時にまだ『3rd』は稼働前。またサガットはあらかじめ「リュウという格闘家の物語を完結させるにはサガットの存在は不可欠」とアナウンスされていたので、好き嫌いは個人の好みレベルでそんな特筆するほど批判を受けてはいない --タイトルどおりリュウが主人公で、主人公のアレックスは最後のシーンにしか登場しない、いわゆる『3rd』作中までの裏を描いた作品と言える。 --が、雑誌収録版ではよりによって最終回での最後の締めとなるリュウの「確かめてみろ!」となるべきセリフが、「確か''み''てみろ!」と非常に情けない誤植をされてしまった(当然ながら単行本では修正されている)。 ---ゲーメストはこれに限らず非常に誤植が多いことで有名だった雑誌で、現在でも「[[ザンギュラのスーパーウリアッ上>ストリートファイターII']]」「[[インド人を右に>スカッドレース]]」と並び、''ゲーメスト三大誤植''としてネタにされることが多い。 ---ちなみに本漫画は連載開始時にも「中平正彦先生執筆!」とするところを「中平正彦''宣誓''執筆!」と誤植しており、「誤植に始まって誤植に終わった漫画」と言われている。 ---後に『ストIV』や『ストV』の汎用勝利セリフに(もちろん誤植じゃない「確かめてみろ!」の方が)使われていたり、2009年にゲーメスト誤植Tシャツのラインナップとして「[[''確かみてみろ!Tシャツ''>https://ebten.jp/p/7015009033021]]」が商品化されるなど、今でもネタとして根強く残っている。 //---なお、この誤植について漫画作者の中平氏本人は(当然ながら)激怒し、ネットでネタにされていることも快く思っていない模様。 //今でも許しておらず ← ソースが不明 //「激怒した」もソースが不明。ソースがあれば追記をお願いします -背水の逆転劇について --上述した背水の逆転劇というのは、2022年現在も『ストリートファイター』シリーズのプロプレイヤーとして活躍しているウメハラ(梅原大吾)氏が2004年世界大会EVOの準決勝で実際に起こした逆転劇のことを指している。ウメハラ氏を、ひいては今作を語る上では絶対に欠かせない出来事として、また今作のブロッキングシステムのドラマティック性を如実に表した好例として今でも語り継がれている。 --最終ラウンドかつ体力残り1(必殺技をガードしても負け)のウメハラ氏操るケンが、削りKO目的で出された多段ヒットする春麗のSA・鳳翼扇を全てブロッキングで凌ぎ、最終段を空中ブロッキングで取った上で溜まったゲージも使ってのSAコンボを叩き込み逆転勝利というもの。 ---ブロッキングに目がいきがちではあるが、直前のジャスティン氏は後述する配信対戦とは違い左右移動や攻撃空振りによるフェイントでタイミングを絞らせないようにしており、それを見切ったウメハラ氏はしっかり最大ダメージのコンボで反撃をして逆転している。後の検証により、このときの春麗の体力は''他のコンボではKOできない量だった''ということが判明している。 --この試合中継は動画サイトなどで検索すると見つけることができる。実際にすごい戦いなので興味のある人は見てみよう。 --この一件及び「鳳翼扇の全段ブロッキング」は「ウメブロ(ウメハラブロッキング,Daigo Parryもしくはそのまま''DAIGO'')」もしくは「レッツゴージャスティーン((Justin氏が鳳翼扇を打つ際、実況アナウンサーが叫んだセリフからこう呼ばれることも多い))」、あるいはそのまま「Evo Moment #37」としてミーム化している。 ---ONLINE EDITIONのトライアルモードのブロッキング上級編にも「あの瞬間をもう一度/Evo Moment #37」という、この時ケンが決めたコンボをブロッキング部分から再現させる課題が最後を飾っている。 --これによって逆転負けを喫したプロプレイヤーであるJustin Wong(ジャスティン・ウォン)氏は数年ほどこのエピソードを引きずったとのことであるが、2022年現在は''自身の動画でネタにしている''ほどには立ち直っている。 ---2022年の配信対戦にて、試しにぶっ放した鳳翼扇を見事全段ブロッキングから全く同じコンボでKOされて''「DAIGOされた!!やらせじゃないって!」と叫ぶ動画''をWong氏自らが投稿している。その後もウメブロされるか試している対戦配信動画を数本投稿しており、その中では鳳翼扇を打つ際、''「レッツゴージャスティーン!!」と自分で叫ぶ''というファンサービスをしたことも。 --一方でウメハラ氏は''3rdのゲームバランス及びブロッキングのシステムはあまり好きではない''ということを自身の配信等で公言している。 -ブロッキングよもやま話。 #region(長くなるので格納) --元々『III』の企画が進む中、本シリーズのプロデューサー/ディレクターの1人である貞本友思氏((余談の余談だが「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザイン兼コミカライズで知られる貞本義行氏とは従兄弟でもある。))は「本物の格闘技の中で再現したい物を入れてみようと思い、例えばジャッキー・チェンが攻撃を受ける際に捌くとか弾くというのをやってみたかった。 --後は起き攻めや画面端とか難しいと言われていたことを何とかしたかったし、攻められっぱなしって言うのも何とかしたいという考えもあり、『たとえ偶然でも弾ければ一矢報える』みたいなのが体感できればと思って導入を決めた((「ブロッキングを出すのにゲージを消費したりしないようにしたのもこの観点から」と貞本氏は述べている))。」旨を述べている --ちなみにブロッキングの操作は当初[[「レバーを後ろに入れる」という直前ガードの仕様>餓狼 MARK OF THE WOLVES]]((貞本氏は「初級者も楽しめるように「早くいれればブロッキング、長くいれればガード」という形で初級者でも反応が遅れて勝手にブロッキングになればと考えて入れたかった」と述べている。))だったが、開発中のテストで社内の若いメンバーや格闘ゲーマーから「それは簡単すぎる」と反発があり、代案を求めたところ「前ならやる。そっちで作らせてほしい」というので「作ってもいいけど、難しかったら後ろにすること」と言う約束で作らせた。 --その結果、スタッフ内では「レバー前入れ」のほうが好評となってしまい、そちらを前提に調整が進む事になった。初級者救済のために考えていたものがかなり尖った物になってしまったが、蓋を開けてみれば結果的に良い方向に受け入れられたということからわからないものである。 #endregion
*ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future- 【すとりーとふぁいたーすりー さーどすとらいく ふぁいとふぉーざふゅーちゃー】 |ジャンル|対戦格闘アクション|CENTER:&amazon(B00027XIQY)| |対応機種|アーケード(CPシステムIII)&br()ドリームキャスト&br()プレイステーション2&br()Xbox|~| |販売・開発元|カプコン|~| |稼動開始日|【AC】1999年5月|~| |家庭用移植|【DC】2000年6月29日/5,800円&br()【PS2】2004年7月22日/3,800円&br()【Xb】2004年10月28日/4,800円(各税別)|~| |レーティング|【PS2】CERO:全年齢対象|~| |配信|【PS3】2011年8月23日/1,500円&br()【360】2011年8月24日/1,200MSP|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ストIIIシリーズの完成形&br()春麗の帰還&br()キャラバランスはそこまで良くない|~| |>|>|CENTER:''[[ストリートファイターシリーズリンク>ストリートファイターシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 人気格闘ゲーム『[[ストリートファイターII]]』の続編である『ストリートファイターIII』シリーズの3作目。通称3rd。~ 本シリーズは「CPS-3(CPシステムIII)」という高性能基板を生かした、ディズニーのアニメを彷彿とさせるようなヌルヌルと非常によく動くドット絵のアニメーションが特徴。~ その前作『2nd』は『ストIII』1作目のバージョンアップ版といった位置づけだったが、本作は前作から全く別物と言えるほどの改修が加えられ、ゲームとしての完成度が飛躍的に高まった。 シリーズの人気キャラ・春麗など5人が新たに追加され、使用キャラは合計19人。 ---- **システム 『ストII』と同じく、移動に使うレバーと弱中強のパンチ・キックで構成された6ボタンを使用。~ ここでは『1st』『2nd』で初登場したシステムも併せて触れ、それらの『3rd』における動向を主に解説する。 -本作で完成を見た革新的システム「ブロッキング(Parry)」 --『ストII』及び『ZERO』シリーズでは、防御行動はレバーを自キャラ後方に入れる「ガード」のみだったが、『ストIII』シリーズではそれに加え、敵の攻撃に合わせて前または下にレバーを入れることで発生する攻撃的防御「ブロッキング」が登場した。無印『ストIII』『2nd』とバージョンアップを重ねるたびにブロッキングにも改修が加えられ、本作では駆け引きを補助する決定版として理想的な仕様に仕上げられている。 ---ブロッキングに成功すると、飛び道具系の技を除く相手の技硬直が延長される。こちらのブロッキング動作は通常技や必殺技で即座にキャンセルが可能なため、絶好の反撃チャンスとなる。 ---被弾位置(上中段・下段)に対する防御方向の対応はガードより厳しい。ガードであれば下段ガードで中段以外は防げるが、ブロッキングは基本的に、上中段攻撃には上段(レバーニュートラル経由で前)、下段攻撃には下段(レバーニュートラル経由で下)という対応になっている((下ブロでも受けられる立小Pなど、例外もある。))。 ---入力にガード要素が含まれないため、失敗すると敵の技が直撃する。ブロッキングの受け付けはキャラの状態/入力の長さによって変動するが、基本の地上ブロッキングで5~10フレーム+未成立時は約1/3秒(20フレーム前後)の再受付不能時間があるため、必ず「技を受ける直前の瞬間」を狙わないと成功せず、高いリターン相応の高いリスクを持っている。 --空中ガードは存在しないが、ブロッキングは空中でも可能。対空技をブロックして反撃に転じることも可能なので、飛び込む側にも迎撃側にも読みが必要になる。 ---迎撃側なら、昔ながらの昇竜拳が正解になる場合もあれば、「ブロッキングをスカすため通常は対空にならない打点の低い攻撃を出す」が正解になる場合もあり、「手を出さずに引き付けてから垂直ジャンプし攻防を入れ替える」が正解になる場合すらある。 ---このため、本作の対戦では「飛び込む側が何も技を出さずに(≒ブロッキングを仕込んでいる)着地、そこから投げる」「迎撃側も何も技を出さず、着地を狙って投げる(≒投げ抜けを仕込む)」といういわゆる「すかし」が、上級者同士でも割合見られる。 --『3rd』では強制ガード継続がなくなった代わりに「ガードブロッキング」が可能となり、ガード中でも次の攻撃に対するブロッキング入力が認められるようになった。~ 決めれば一気に反転攻勢に出られるが、本来なら防戦に努める場面からの切り返しを狙う行動であり、受付時間は僅か2フレームと、通常よりさらにリスクが高まっている。成功するとキャラが赤く光る(通常のブロッキングは青発光)ため、攻撃側にも敵がハイリスクな賭けを制したことが伝わる。押し込まれた局面で決めるこの「赤ブロ」は、超上級者の対人戦の隠れたスパイスともなっている。 --ブロッキングには、必殺技のケズリダメージを受けず、さらにSAゲージがガードしたときよりも多めに溜まるという特性もある。このため、あと一発のケズリで決着という局面でも、双方が上手いほど優勢な側には緊張感、劣勢な側には大逆転の希望が残され、「本当に終わるまで分からない」戦いを演出してくれる。 --小技にすら反撃のチャンスをもたらすブロッキングの存在により、本作は操作スキルだけでなく、読みや誘いといった駆け引きでも高度なスキルが求められる作品となった。 ---「攻撃せずにブロッキングを仕込んだ前進や前ジャンプでプレッシャーを掛ける」「小技のブロッキングを狙っているだろうタイミングに出の遅い大技を仕掛けて直撃を狙う」など、仕様を理解したプレイヤー同士の戦いでは、あらゆる行動で駆け引きが展開されている。 --本作は格闘ゲーム界屈指の長期稼働タイトルとなったが、それだけの支持を集めた理由の多くはブロッキングが担っている。当時のプロデューサー曰く「ブロッキングを超えるシステムが思いつかない」というほど画期的なシステムであり、本作以降の格ゲーには、他社製品であってもブロッキングを模したシステムが多く搭載されることとなった。 -もう一つの防御の要、投げ抜け「グラップディフェンス」 --弱P+弱Kの同時押しで通常投げの判定が発生する。投げ判定が相手に触れてから投げが成立するまでに短い猶予があり、この時間内に仕掛けられた側も通常投げを入力していた場合、相手を振りほどいて投げを阻止する「グラップディフェンス」が発生する。いわゆる投げ抜けである。 --ブロッキングの存在によって打撃のリスクが低くない本作では、通常投げがかなり強めに調整されている。ガード・ブロッキングを簡単に破れる投げの重要度は非常に高く、「投げゲー」と呼ばれる事もあるほど。その投げをかわすグラップディフェンスもまた極めて重要で、地味ながらブロッキングに並ぶ防御の要となる。 ---ブロッキングを見越した投げ、それに対する投げ抜け…といった読み合いも避けて通れない。例えば、飛び込みながら相手の対空に対してブロッキング、着地と同時に投げを入力、それに対して相手の空中打撃に対してブロッキング、相手の着地に投げを入力、結果グラップディフェンスが発生、というのはよく見る光景であった。 --別種の技の判定がぶつかると上位レベルの技が勝つ「技レベル」という内部設定があるが、強弱の設定は概ね「弱攻撃<中攻撃<大攻撃<必殺技<スーパーアーツ&投げ」であり、投げの判定は最上位にある。ストIIやZeroシリーズでは、投げ判定と打撃では打撃が勝つのが通例だったが、本作では投げが超必殺技以外の打撃を吸って決まる。このため、投げ対策としてはグラップディフェンスがほぼ唯一の手段になる。 --なお、本作の通常投げはレバーを上下に入れていると発生せず、しゃがみながら弱PKを押すとしゃがみ弱パンチを出しながらグラップディフェンス判定が発生する。単に「グラップディフェンス」と言う場合は、この「しゃがみグラップディフェンス」を指すことが多い。 ---投げ抜けに失敗しても投げ失敗という隙だらけのモーションを出さず攻撃しつつ投げ抜けができるため一見ローリスクだが、本作には先述したブロッキングが存在しており、この操作を読まれてブロッキング((しゃがみ弱パンチは上段・下段ブロッキングが両方可能。))される可能性もまた存在する。 //英単語的にはgrappleが正しいのですが、筐体のインストが誤植でない限り3rdの投げ抜けは「グラップディフェンス」が正式名称です -しゃがみガードを崩す「リープアタック」 --中パンチボタンと中キックボタンの同時押しで繰り出す、その名の通りの少し跳びつつの攻撃。相手のしゃがみ攻撃を回避しながらしゃがみガードできない中段技を繰り出すが、威力は低い。 --ストIIからのお約束でしゃがみガードを使えばほとんどの打撃を防御できるが、''本作ではしゃがみ中にヒットした技はダメージが1.25倍になり命中時の硬直時間がわずかに伸びる''仕様があり、しゃがみガード安定の伝統に一石が投じられている。しゃがみヒット時限定でつながる連続技もあるため、そのリスクは決して低くない。 -一歩進んだ挑発「パーソナルアクション(PA)」 --強パンチと強キックの同時押しで使える、いわゆる「挑発」的な動作。従来と違うのは動作後に特殊効果が発生する点。 --大半のキャラのPAは、使用後に出す技のダメージやスタン値を強化する。技ダメージ+スタン値回復量を強化する複合タイプや、長押し入力で強化量が伸びるようなものもある。防御力(ダメージ軽減率)を強化するQ、姿を消すトゥエルヴといった、試合の要になるような変わり種も。 --一部キャラのPAは攻撃判定も持つ。ダメージはいずれも微弱で判定も小さく、ほとんどの場合攻撃としての実用性は限りなく低いが、ダッドリーやショーンのものは起き攻めに使用できるなど実用的なものもある。 -戦い方を決める「スーパーアーツ(SA)セレクト」 --使うキャラを決めた後、3種類のスーパーアーツから1つを選択する。いわゆる超必殺技だが、攻撃技のみだったスーパーストリートファイターIIXやZeroシリーズのスーパーコンボとは異なり、一部にHP回復や攻撃力強化といった必ずしも攻撃をしないものも含まれている。 --スーパーアーツは技の内容だけでなく、ゲージ1本あたりの長さ、ゲージをストックできる本数も異なる。 ---スーパーアーツゲージは攻撃、被弾(直撃のみ。ガードすると増えない)、ブロッキングなどで溜まる。攻撃による増加量が高く、手数が少なく固まりがちだと溜まりにくくなっている。 ---ゲージを一定量消費して必殺技の強化版である「EX必殺技」を使うこともできる。 --基本的には「高威力のアーツはゲージが長くストックが少ない」「低威力のアーツはゲージが短くストックが多い」という調整になっている。勝負を懸ける決め技として前者を選択するか、EX必殺技も多用して柔軟に戦うために後者を選択するかはプレイヤー次第。 ---ただし、特殊な性能のアーツは短めのゲージ1本になっていることもある。ユンの「幻影陣」やリュウの「電刃波動拳」など。 --こうした手持ち技を選択する要素は『[[スパIV>ストリートファイターIV]]』の「ウルトラコンボセレクト」や『ストV AE』の「Vトリガーセレクト」に加え、『ストV CE』の「バージョンセレクト」など、後のシリーズでも形を変えながら導入されている。 -第二の体力ゲージ「スタンゲージ」 --旧シリーズでは隠しパラメータだった気絶値が体力ゲージ下に表示されるようになった。攻撃を受けるとスタンゲージの赤いバーが伸び、ゲージ満杯まで伸びるとスタン(ピヨり)に陥る。可視化されることでより具体的な駆け引きが可能になり、読み合いの幅が広がった。 --牽制やダメージソースとして使いやすいしゃがみ技は、全体的に与える気絶値が少なくなっている。 --キャラによって気絶値の許容量と、相手に与える気絶値の傾向(大きな気絶値を与える技の有無など)が異なる。投げ技のバリエーションである掴み締め技(ユリアンの「デストロイクロー」等)や、リュウ・ユリアン・ネクロの電撃系の攻撃などは与える気絶値が大きめ。 ---- **キャラクター 『ストリートファイターIII』シリーズでは、1作目のサブタイトル「ニュージェネレーション」の示すとおり、多くのキャラが一新されている。~ ここでは『1st』『2nd』で初登場した分もまとめて解説する。 #region(キャラクター紹介) -''アレックス'' --『ストIII』シリーズ主人公。顔と両肩に稲妻のようなペイントを施した金髪巨躯のアメリカ人青年。格闘スタイルはレスリング。 ---モチーフはカプコン製プロレスゲーム『マッスルボマー』の主人公アレクセイ・ザラゾフと言われている。 --大柄なパワータイプのキャラで、必殺技のパワーボムを始め技のダメージは高め。体格の割に機動力も低くはない。素早い動作の突進技であるスマッシュエルボーやエアスタンピート、軌道が低く飛び込みやすいジャンプを持ち、接近手段は豊富。ただし飛び道具は持たない。 --上記の突進技は全てタメ技であり、操作も比較的簡単な部類。高めでまとまったパラメータや簡単なコンボも加わり、初心者向けとされる。 --地上通常技の取り回しが悪いため、差し合いになるとやや苦しく、ラッシュ力にも少々難がある。タメ技とブロッキングの相性も悪く、ゲームに慣れるにつれて痒い所が増えてくる。 --主人公としての認知度は高いとは言えない。 ---『1st』『2nd』ではキャラクター選択時の初期カーソル位置に置かれなかった、体格から投げキャラと思われがちだったなどの要因がある((スーパーアーツの一つは一回転コマンドの投げ技ハイパーボムであり、実際「動けて殴れる投げキャラ」の部類ではある。))。 --1Pカーソルの初期位置がアレックスになったのがこの『3rd』である。%%今作EDでリュウにパーフェクトでラウンドを取られるという仕打ちを受けたが。%% ---『ストIV』に『ストIII』のキャラが続々参戦を果たしても彼にはお呼びがかからなかったが、『タツカプ』への参戦を経て遂に『ストV』の追加キャラに抜擢された。 -''ユン・リー'' --中国拳法の達人である香港育ちの少年。目深に被った帽子が特徴。『スパIV AE』などシリーズの代表として外部出演も多く、ある意味『ストIII』でもう一人の主役と言える存在。 --拳を突き出して前に跳ぶ「絶招歩法」や低姿勢で相手の攻撃をかわしながら攻撃する「鉄山靠」などの突進技や、ジャンプの軌道を変えられるダイブキック「雷撃蹴」や、使いやすいターゲットコンボをはじめとした比較的簡単な連続技など、軽快な動きと手数の多さが持ち味。 --対戦ダイヤグラムでは春麗と並ぶ「2強」の一角。 --2強の一角たる実力を支えるのは、本体に分身を追随させ攻撃を多段化するSA「幻影陣」で、『[[ZERO>ストリートファイターZERO]]』シリーズで猛威を奮ったオリジナルコンボを彷彿とさせるこの技は、効果中に繰り出すあらゆる技にSAと同等の技レベル(前述)を付与し、相手の暴れも叩き潰しながら攻めを押し付けられる。さらにゲージは1本だが短く回転が良い。 ---(オリジナルコンボがない作品への客演も含めて)あまりにも高性能なため、「本作は対戦バランスが悪い」という批判の根拠の一つになっている。 -''ヤン・リー'' --ユンの双子の弟で、兄曰く「スネちゃま」なヘアーが特徴((モチーフは『新機動戦記ガンダムW』のトロワ・バートンだが、大元のトロワからしてスネオヘアーである。))。 --初代ではボイスが違う以外はユンと同じキャラ性能を持つコンパチキャラクター((『1st』当時はPで決定するとユン、Kがヤンで実質色違いであり、加えてユン同士やヤン同士の同キャラ対戦は出来ず必ずユン対ヤンになるという特殊仕様だった。ただし『1st』の頃からバックダッシュの距離とハイジャンプの軌道は両者とも違っている。))だったが、『2nd』で独立したキャラになり性能が大きく差別化された。 ---このためヤンが実質2ndからの新キャラと扱われることもあるが、同時にユンも1stから一部の技が一新されて使用感が変わっている((「転身穿弓腿」のように『1st』からヤンは引き継いだがユンの方が使わなくなった技もある。))ため、「2ndから明確にユンとヤンという2人のキャラクターに分離した」と表現した方がより正確。 --『2nd』で連続入力可能なオリジナル必殺技「蟷螂斬」が追加され、ユンに比べてノーゲージの状態でもラッシュ力が高い。対戦ランクでは上位陣に属するが、SAの性能差でユンに水を空けられている。 --『スパIV AE』にユンと兄弟揃って参戦。 -''ダッドリー'' --ヘビー級ボクシングのチャンピオンである黒人の英国紳士。口髭、ドレスシャツ、サスペンダーというトラッドな装いにグローブを装着している。このグローブは午後のティータイムにも''薔薇の手入れ中にも''外されることはない。 --ボクサーであるため突進技のマシンガンブローや対空技のジェットアッパーなど技が全てパンチのためリーチは短く下段技も少ないが、そのパンチ技はどれも威力・スタン力に加えコンボ性能まで兼ね揃える。~ ボクサーらしくフットワークも軽く、間合いに入って追い詰めた時の爆発力は現2強すら凌駕するため、ユリアン・まことと合わせて「3凶」に数えられる。 --いぶき、まことと共に『スーパーストリートファイターIV』に出演している。 -''いぶき'' --忍者学校に通う女子高生。某くの一と違って忍装束に身を包み露出度は低め。 ---モチーフは[[エイリアンVSプレデター (AC)]]のリン・クロサワとされている。 --空中飛び道具の「苦無」や、スライディングからの打撃投げ「首折り」に加え、攻撃力を持たない移動技の「霞駆け」「築地越え」など、様々なタイプの必殺技を持ち、特殊技も豊富。さらに空中投げも持つ。 --技バリエーションの豊富さは全キャラ屈指で、忍者らしく機動力も高いが、それにもかかわらずガードを崩す能力が低い。さらに総合的な耐久力が最低クラスで、豊富な技を的確に使い分け、なおかつ慎重に立ち回れる上級者向けのキャラ。 --早い時期から『ポケットファイター』に参戦、『スパIV』『ストリートファイター×鉄拳』『ストV』にも参戦しており、外部出演回数なら『ストIII』キャラ随一。 -''エレナ'' --ケニアの名家の令嬢。いぶきとは逆に、褐色の肌にビキニと健康的な出で立ち。カポエイラの使い手で、その構えを再現したニュートラルポーズは非常に動きがよく、上下だけではなく前後にも、さらに丁寧な事に喰らい判定までも微妙に動いている。ドット絵の枚数はなんと約1700枚に及ぶとか((枚数が少ない部類のアレックスなどですら約1000枚くらい、本作におけるヒットスパークなどの汎用エフェクトでも約500枚程度はあるといえば本作のこだわりぶりは窺えるだろう。その中でも特段に動きを書き込まれているキャラである。))。 --ダッドリーとは逆に、突進技のライノホーンを始めとする殆どの技が長い脚から繰り出す蹴り技で、性能の傾向もまさに対照的。 ---リーチに優れた牽制・差し込みが強力で、中距離から積極的に下段中段のガードを揺さぶりに行けるのも長所。動きも軽いが連係・コンボ能力はやや低く、攻めが単発に終わりがちなのが玉に瑕。 --ヒューゴーとともに『ストリートファイター×鉄拳』『ウルIV』に参戦。 -''オロ'' --齢140を越えるブラジルの仙人。手加減のため片腕を隠して戦っている((一部のスーパーアーツでのみ両腕を出す。後述の『ストV』では常時両腕を出した状態になっているが、代わりにペットの亀を手に持ったまま戦うようになっている。))。どことなくリュウの行く末を思わせるような佇まい。 --必殺技には念力を発射する飛び道具の「日輪掌」と対空アッパーの「鬼ヤンマ」が揃い、一見するとオーソドックスだが、実際には癖のある通常技、客演を除いたシリーズ本流ではほぼ唯一といえる2段ジャンプ、使い慣れて初めて発揮できる高いコンボ能力、しゃがみ時の特異な判定の小ささなど、一見様お断りな要素が多い。 --SAにも念力でオプションを呼び寄せる天狗石など変わったものが揃っている上に、同時押し発動でさらに性能が尖る。 --外部出演は『ストV』のダルシムストーリーや公式小説を経ての追加キャラクターとして参戦した程度に少ない。 -''ネクロ'' --ゴムのように伸びる身体と放電能力を得た改造人間。改造の影響か白い肌と人間離れした見た目を持つが、れっきとしたロシア人で本名はイリア。 ---スタッフによるとエヴァンゲリオン初号機がモチーフだとか。 --『ストII』のダルシムと同じく、動きは緩慢だがリーチが長い。そのためダルシム同様の対応型戦法が得意。一方で、上半身から電撃を放つ電磁ブラストなど電撃を使った近接攻撃を多く持ち、彼よりは近距離戦に寄ったキャラ。平均的に与えるスタン値が高めで、大きな爆発力も秘める。 -''ヒューゴー'' --『2nd』から登場。全キャラ随一の巨体を誇るドイツのプロレスラー。%%ドイツ人なのに英語で「I'm No.1」と言っていることは突っ込んではいけない((ドイツ人は国際的な場所でも英語より母国語であるドイツ語を喋る傾向があるため。))。%% ---『[[ファイナルファイト]]』の強ザコである「アンドレ」と同一人物という設定だが、実在したフランスのプロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントに露骨に似せたキャラクターであるため、肖像権の問題で名前のみ改名された。 ---アレックスと対戦すると、ラウンド開始前に間近で睨み合うというプロレスファンにはたまらない演出が入る((元ネタはハルク・ホーガン対アンドレ・ザ・ジャイアントだろうか。))。 --巨体・鈍重・投げ系必殺技複数装備という、正統派の投げキャラ。SAではレバー2回転投げのギガスブリーカーも選択可能。それ自体がハンデと言える巨体から繰り出す技は突進技のモンスターラリアットなど凄まじく大振りで、中・大の地上技はキャンセル必殺技に繋げられるものが一つもない。ザンギエフを筆頭とするカプコン歴代投げキャラの中でも一際尖っており、使いこなすには相当な精進が必要。 --魅力はやはり全キャラ屈指のパワー。必殺技「ウルトラスルー」始動のコンボは実はそれなりにバリエーションがあり、いずれも破壊力は相当なもの。体格にふさわしく耐久力(体力量とスタンゲージ量、スタンゲージ回復力)もトップクラス。 --エンディングでは普段険しい顔ばかりのリュウなどが満面の笑みを浮かべている貴重なシーンが見られる。全員集合の大団円的様相から「作中で一番のハッピーエンド」などとも。 --セコンドとして、やはりファイナルファイト出身のポイズンを連れている。後にポイズンとタッグを組んで、『ストリートファイター×鉄拳』へ出演した。さらに両者は『ウルIV』でも共演している。 -''ユリアン'' --『2nd』から登場。ストIIIの最終ボス「ギル」の弟。ボディモデルはギルと同じで、兄同様に筋肉隆々かつ''ふんどし一丁。''世界を影から操る秘密結社の副総統であり、性格は極めて傲慢。一人称は「余」である。 --通常技、必殺技とも、概ねギルの技をスケールダウンさせたものを持つ。ノーゲージでは突出して強力な技は持たず、状況に合わせた技を選択しながら立ち回ることになる。 --小技がやや遅く背が高い(座高も高い)ため密着間合いで不利になりがち。さらに中・大の通常技にキャンセル可能なものが少ないうえ、ノーゲージコンボの条件が「密着からの打ち上げ始動」「必殺技の空中ヒット始動」などと厳しい。さらに突進技「チャリオットタックル」や奇襲技「バイオレンスニードロップ」がタメ技であり、ブロッキングとの共存がやや困難。 --…と目立つ短所は多いながら、対戦ではダッドリー、まことと並ぶ「3凶」に数えられている。その地位を支えるのが、最大二つまで電気の壁を作り出す設置型飛び道具SA「エイジスリフレクター」を駆使した連係とコンボ。名前通り飛び道具を反射できるエイジスをガードして動けない相手に上下の択攻めを仕掛け、そこからのコンボで体力をもぎ取るのが主な勝ち筋となる。 ---主流である「旧基板」と呼ばれるバージョンの基板であれば、完全なガード不能連係も可能。 --エイジスへの依存度が高いため、結果的にSAゲージ依存度も高い。ゲージを溜めるまでいかに凌ぐかが課題となる。 --『ストV』へ追加キャラクターとして参戦。デフォルトではスーツ姿だが、隠しコマンドで''専用イントロとともにふんどし一丁になる''。 -''まこと'' --『3rd』での新キャラ。土佐弁で喋る空手少女。 --小柄なためリーチが短く牽制合戦に弱い、歩きが非常に遅いなどの強い癖を持つが、高速の前ダッシュや「突進正拳突き疾風」による瞬発力の高さは全キャラ屈指で、攻撃の威力&スタン値も高い。~ 至近距離での択攻めを得意とし、一旦相手の懐に入れば抵抗すら許さず叩きのめすことも可能。扱いづらさの陰に圧倒的な爆発力を秘め、ダッドリー、ユリアンと共に「3凶」の一角に数えられる。 --背中側の真上に突きを繰り出す地対空専用必殺技「直上正拳突き吹上(ふきあげ)」や、''自身のガード封印と引き換えに攻撃力を1.75倍にするSA「丹田練気・攻めの型」''など、破壊力以外の性能を切り捨てたようなロマン技も持つ。『3rd』からの新キャラ勢は、基本的にどこかピーキーな性能を持っている。 -''レミー'' --『3rd』での新キャラ。家族を顧みなかった格闘家である父への怒りから、格闘家という人種そのものを憎むフランス出身の美青年。あまりにも詩的な(通常技含む)技名の数々と、勝ち台詞の「なんなんだアンタ」が有名。 --ストIIのガイルと同じような飛び道具と対空技を持つ溜めキャラ。しかし本作では、「飛ばせて落とす」戦法やタメ技の操作と、根幹システムであるブロッキングの相性がかなり悪い。 --「何物をも顧みず鍛錬に打ち込む格闘家の在り方を否定するが故に、自身は一切のトレーニングを行わず、恵まれた素質だけで戦っている」という設定からか、攻撃力・体力量・スタンゲージ量といったパラメータが軒並み低水準。 ---スキの少ない飛び道具を牽制・攻めの基点として使いつつ、少しずつダメージを積み重ねる戦いになるが、慎重に動かなければあっという間にリードを奪い返されてしまう。 ---上記の性格も合わせ、シナリオ面ではある意味「闘いの中に己を見出そうとする」アレックス・リュウのアンチテーゼ的な位置付けにいると言える。 --通常技の判定はそれなりに良いため、何も考えずにボタンをデタラメに押しているだけでもそこそこまでは行けるという意味で、初心者同士のプレイには向いている面もあったりする。 -''トゥエルヴ'' --『3rd』での新キャラ。ネクロの改良・量産型という設定で、その真っ白い身体の形状を自在に変える能力を持つ。PAで透明化する、SA「X.C.O.P.Y.」で対戦相手に変身する((SAを除くすべての技を使える。))など、奇天烈な技を多く持つ。 --全キャラで唯一の空中ダッシュ「滑空」を持ち・頭上からの裏回り・めくり・フェイントの即着地などで敵を翻弄するのが基本の立ち回り。通常技にも変わった判定やテンポのものが複数あり、他キャラとは全く異なるセオリーで戦うことが可能。 --唯一無二の戦いが可能な一方で、攻撃力や防御力といったパラメータは総じて低め。ジャンプと滑空が攻めの起点になる関係で、忙しい割に攻撃密度が低くなりやすいという欠点も。さらに、腰を据えた牽制戦・差し合いに使える技が少なく、コンボも高難度または低威力となかなか厳しい。 --忙しく飛び回りながらもブロッキングやコンボを確実に決めていく腕が求められるが、全体的に攻撃力の高い本作では、一度ブロッキングされたり隙を突かれただけで、積み上げてきたリードがあっさり粉砕されることもしばしば。 --名前と外見から元ネタは『ウルトラセブン』のスペル星人だと言われているが、その元ネタ自体が非常にデリケートな存在の為に公式から明言はされていない((スペル星人はウルトラセブン第12話「遊星より愛をこめて」に登場しているが、この話は諸事情によりウルトラセブンの公式設定から抹消されており、登場話も欠番扱いで映像媒体から外されているなど、知る人ぞ知る非常にマイナーな敵キャラである。))。 -''Q'' --『3rd』の新キャラにして隠し中ボス。鉄仮面を被りトレンチコートを着た謎の大男。その身長はヒューゴーに匹敵する。正体はCIAにすら不明。 ---元ネタは70年代の特撮ヒーロー『ロボット刑事』だと思われる。 --技の威力と耐久力(体力量・スタンゲージ量・スタンゲージ回復力)がトップクラス。しかもPAにラウンド終了まで防御力アップの効果があり、最大の3段階まで達した際の硬さは目を見張る。 --高いパラメーターの代償として、鈍重な上に通常技の性能が総じて低い。特殊技(レバー入れ通常攻撃)と通常技の変化もかなり大きく、まずはキャラ自体の理解が求められる。素材の良さを引き出すために基礎の熟練を要するタイプのキャラ。 -''春麗(チュンリー)'' --シリーズ並びに格ゲー界の看板ヒロインたる女刑事。見た目は『ストII』の頃と同じだが、設定上年齢は30歳を超えており、口調や声のトーンはかなり落ち着いている。 ---はしゃいで跳ねながら「やったー!」の勝ちポーズは健在。スタートボタン長押しで顔が上気するという裏技まで仕込まれている。 ---プレイヤーの待望の声によって鳴り物入りで参戦が決まったキャラであり、広告媒体での露出も盛んだった。OP・EDでの扱いも手厚く、待遇的には『3rd』の主人公と言っても過言ではない。 --通常技の動きは従来から大きく変わったが、必殺技は百裂脚にスピニングバードキック、気功拳と従来どおり。速い足に差し合いの強さといった春麗らしさを損なうことなく、扱いやすい強キャラに仕上げられている。使い勝手のよいSA「鳳翼扇」も含め欠点のない能力で、ユンと並ぶ「2強」に輝く。 -''リュウ'' --『ストII』シリーズの主人公。赤い鉢巻にボロボロの胴着の求道者という基本的なキャラはそのままに、年齢を重ねたことで威厳を増している。 --波動拳による牽制こそ機能しにくいが、『ストII』での扱いやすさは据え置き。本作では新必殺技である上段足刀蹴りを習得している。通常技も使いやすく、連続技は単純で短いながら高威力。地上で根本の発生瞬間をヒットさせると非常に威力の高い「真・昇龍拳」、限界までためれば相手を一撃でスタンに追い込めるガード不能の飛び道具「電刃波動拳」など、ロマンと実用性を兼ねたスーパーアーツも持っている。 --体力量やスタンゲージ量、スタンゲージ回復力、移動速度は平均的な値。素直な技の数々と相まって目立った短所は持たない反面、尖った攻め手も持たないため、対戦ランク上位陣に比べるとややラッシュ力で後れを取る。 --決定打になるSA/EX技の使い勝手が良すぎるだけに、ゲージ依存度は高い。供給と使途が悩ましいキャラでもある。 -''ケン・マスターズ'' --リュウとは同門である永遠のライバル。金髪に赤い道着がトレードマークの二枚目。 --リュウと同じ技を多く持ち、耐久面や移動面の能力もリュウとよく似ている。ただリュウよりも蹴り技に長けており、長めの中段攻撃である「稲妻かかと割り」などは優秀。小足からのコンボなど至近距離での攻め手も豊富で、本作の対戦ランクにおいてはリュウに大差を付けることとなった。 --本作で登場した蹴りを連続で繰り出すスーパーアーツ「疾風迅雷脚」は、威力は低めだが小足からでも繋がる上に短いゲージ3本と、全SA屈指の使い勝手を誇る。小さなチャンスにも有意なリードを奪うことができ、本作のケンの強さを底上げしている。 --そつのない優秀なキャラであり、かつては上記のユン・春麗と並んで「3強」と呼ばれていたが、研究が進むにつれ、2強ほどの圧倒的に強い攻め手がないことからランクを落とすこととなった。 -''ショーン・マツダ'' --まだまだ未熟なケンの押しかけ弟子。黄色い胴着が特徴。 --ケンとは逆にリュウの下位互換的な存在で、ポジション的には『ZERO』シリーズのダンに近い。通常技はリュウ/ケン譲りでなかなかだが、細かい性能は悪くなっている。リュウに比べて早い動きやショーンタックルなどの移動技を使ったかく乱戦法、飛び道具のハドウバースト、対空技のショウリュウキャノンなど異なる使い道のある3種類のスーパーアーツなど、僅かだが見所もある。 --『2nd』ではトップクラスの強さで師匠を余裕で食ってしまえるその性能が目についたか、『3rd』では''竜巻旋風脚「トルネード」がヒット/ガードどちらでも反撃確定''など見るも無残に弱体化した。その弱さを揶揄して「ショーン(´・ω・`)」などとも呼ばれたりする。 --『2nd』で追加されたボーナスステージ(3rdでは二番目に配置)は、ショーンが投げるバスケットボールをブロッキングすると言う内容である。それまでのスコア評価が高いと、3rd本編の強さが嘘のように雨あられとボールを投げてくる。 -''豪鬼(ゴウキ)'' --拳を極めし者。『2nd』の隠しボス。 --ギルと同様にEX必殺技を持たないが、代わりにどのSAを選択してもSAゲージMAX時に発動できる特殊SA2種(おなじみ「瞬獄殺」と『2nd』のEDで披露した「金剛國裂斬」)を持つ。 --技の性能はおおむねリュウ・ケンの強化版。さらに空中から撃ち下ろす斬空波動拳や急降下蹴りの天魔空刃脚、前ジャンプに似た動作の移動投げ技・百鬼襲といった空中からの攻め手も豊富で、一見ジャンプしているだけでも相手に択攻めを仕掛けているなど、攻撃面での総合力はトップクラスと言える。 --その代価として全キャラ中最低の体力とスタンゲージ量が最大の弱点。ワンミスが敗北に直結するため、攻めの強さに溺れない慎重さが求められる。 -''ギル'' --『ストIII』シリーズのボスキャラクターで秘密結社の総統。ユリアンの兄。弟と同じくふんどし一丁。その身体は右半身が赤、左半身が青に塗り分けられ、右向き時は攻撃に燃焼、左向き時は氷結効果が付随する。ボスキャラクターなのでアーケード版では使用不可。 ---おおむね、燃焼はダメージ微増、氷結はダウンや硬直時間延長の効果になる。 --カプコンのボスキャラクターだけあって飛び道具のパイロ(クリオ)キネシスなど技性能も攻撃威力も露骨に高く、CPUも非常に強い。さらに反則的な性能のSA3種を持ち、ボスキャラクター特権でそのすべてを一戦で使用可能。 ---SAは被KO時に一度だけ体力を全回復して復活する「リザレクション」と、空から無数の火炎弾と氷弾を降らせる「メテオストライク」に加え、『3rd』の新技であるブロッキング不可能の全画面攻撃「セラフィックウィング」の3種。 ---ちなみに家庭用のシステムディレクションを使えばわかるが、これらのSAはすべてゲージMAX専用だったりする(ALL SAなどで2本ゲージに設定した場合、2本貯まりきらないとSAはいずれも使えない)。また豪鬼同様、EX必殺技もない。 --ヒューゴーのエンディングでは笑顔で周りに手を振っていたりするなど、「それにしてもこの天帝ノリノリである」な場面も。 --使用不可なボスキャラクターとあって外部出演はほとんどなかったが、『ストV』に追加キャラクターとして参戦。こちらは最初からふんどし一丁。 #endregion ---- **ゲームバランス ''本作では近~中距離での技の打ち合いが駆け引きの中心となっている。'' -遠距離から飛び道具をただ撃っただけでは簡単にブロッキングされ、ゲージを溜められてしまう。~ つまりブロッキングの存在が知られると、飛び道具は『ストII』のようにローリスクで相手を動かすための役割はほぼ果たせなくなり、相手の行動を予測し自分が次にどう動くか…という攻めるための布石としての意味合いが強くなっていく。 --鋭いジャンプや早いステップ、隙の少ない突進技などを持った、近づく手段に長けるキャラが多い事に加え、飛び道具系の技の隙も全体的に大きい。ジャンプ中でもブロッキングで防御可能になったため、『ストII』の基本だった「飛ばせて落とす」は読み合いを制してこそ成立する戦法となり、「待ち」による対処は難しくなっている。 -近づいてからの攻め手は実に豊富。隙の少ない打撃による攻めの継続から、打撃と投げの二択や中下段でのガード崩し、相手のブロッキングを読んでブロッキング不能の投げ技を仕掛ける、ジャンプや牽制技の差し込み、相手の反撃を読んでブロッキングを狙う…など、取れる動きは多彩。ストIIでの魅力とされた間合いの駆け引きも当然絡んでくる。 --通常投げにはグラップディフェンス、打撃にはガードまたはブロッキングという抑止力がある。相手の意識がどこに向いているか、自分の動きが偏ってないか意識しながらうまく立ち回る必要があるのがこのゲームの魅力にして難しさである。 --防御側も技の発生時間や技をガードした後のお互いの硬直時間、技をガードした後の投げ無敵時間と投げ抜け猶予時間、ブロッキング判定が行われる時間など、極めていくことで1/60秒単位の時間を管理しながらの防御が組み立てられていく。そうしたニーズに十分応え得る作りこみが成されているのは特筆すべき点であろう。 -ダウンしても「クイックスタンディング」という行動で若干移動しながらタイミングを前倒しして起き上がることが可能で、読み合いは目まぐるしく行われる。全体的に攻撃力も高いためラウンドは比較的短時間で終わり、テンポの良い試合展開となっている。 --スーパーアーツがヒットした場合のみクイックスタンディングが不可能だが、攻撃側は流れを活かして次の攻めの展開へ移行、防御側は一息ついてから次の防御に望める。 -ブロッキングの存在をフィーチャーするような作りになっているのも特徴的。 --「ノーゲージで使える無敵技」が本作ではかなり希少。~ またガードブロッキングの存在により強制連続ガードが消えたことで「連続技の1発目をガード、連続ガード中にコマンドを連続入力((所謂「昇竜を擦る」と呼ばれる行動。))しておいて、連続ガードが途切れた瞬間無敵技で割り込んで反撃」という甘えたガードリバーサルは3rdでは出来ない。~ 攻め込んでくる相手に対しては否応なくブロッキングかグラップの択一を迫られる。 ---相手の攻撃を読んでのブロッキング、そこからの最大反撃を決めての勝利は見映えが非常に良く、快感もひとしおで虜になるプレイヤーも多い。有名な動画「背水の逆転劇」(後述する余談を参照)のような名シーンも数多く生み出された。 ---これまでのシリーズで非常に強かった飛び道具系の技はブロッキングの存在を抜きにしても明らかに弱体化しているなど、ハメ技対策は練られている((従来作では、飛び道具を持たないキャラで持つキャラをいなすのはかなり難しかった。))。 ---- **評価点 -駆け引きを重視したゲーム性 --トーンを抑えたグラフィックや演出、キャラの一新により、無印『ストIII』の段階で「地味」との評価は受けていたが、『2nd』『3rd』と改修が重ねられ、ブロッキングを軸とした攻防の奥深さが認知されるにつれて、本作はようやく評価を高めていった。 --本作リリース当時、格ゲー界はすでに成熟期にあり、多くの玄人プレイヤーが生まれていたが、そうした上級者が盛んに腕を競ったことも本作の特徴。一見地味な本作が、派手な演出も目まぐるしい高速バトルも経験してきた玄人衆を熱くさせたのは、対戦ゲームの精髄たる「駆け引き」を存分に繰り広げられるゲーム性とブロッキングの調整にあった。 --キャラ間の格差は大きく決して褒められたものではないが(後述)、ブロッキングの存在によりチャンスを作り出す読みがあればキャラを選ばず勝てるゲームとも言われており、現に動画サイトでも見られるようにQやヒューゴーといった扱いの難しいキャラでトップクラスのプレイヤーの扱う強キャラ相手に(もれなく劇的な展開を伴って)勝利を収めるという職人プレイヤーも存在する。 -グラフィック面 --キャラドット絵の滑らかさが印象的なストIIIシリーズだが、本作はヒットスパークなど汎用エフェクトの書き込みにもすさまじい枚数を使っている。~ 2Dドットの格闘ゲームとしては今でも非常に評価が高い。 --キャラの書き込みは単にビジュアル的に見映えがする、というだけではなく、良質なプレイ体験にも大きく貢献している側面がある。キックの際に伸ばした足の爪先に至るまで丁寧に描かれるだけでなく、それに合わせて当たり判定も極めて精密に整合性を保っている。結果として通常技に至るまで予備動作や後隙がナチュラルな動作を示すからこそ、例えば豪鬼の「天魔空刃脚」やユンの「雷撃蹴」を紙一重の差で喰らったりブロッキングできたりしても、理不尽さを感じず納得できるのだろう。 -演出面 --キャラの声や効果音は前作に比べて好評を受けている(特にブロッキングやスーパーアーツ関連のエフェクト)。また対戦後の勝利台詞も中々に練られており、没入感を深くさせるのに一役買っている。 -シングルプレイの仕様 --かなり地味な要素ではあるが、シングルプレイでは対戦相手を2人の候補者から任意で選べる(ただしラスボスのギルとその前のライバルキャラは固定で、Qは条件を満たさないと出現しない)これによりある程度苦手な相手を避けられるため、初心者でも入門しやすくなっている。(ラスボス・ギルのCPUに問題があるため、クリアしやすいかと言えばそうではないが…) ---- **賛否両論点 //-キャラクターに「色物」傾向が強く、見た目重視のプレイヤーを選ぶ。 //--これまでの『ストIII』シリーズでも主人公なのにマッチョ男「アレックス」や、パンクすぎる見た目の「ネクロ」に加え、ふんどし一丁のマッチョマン「ユリアン」など濃いキャラが多かったが、3rdでもまんまロボット刑事な「Q」に、元ネタがマニアックすぎる「トゥエルヴ」など変なキャラが多い。このため正統派な美形である「レミー」もまた度が過ぎてしまい逆に浮いて見えることとなる。 //↑キャラに関して「旧キャラがいない」は確かに言われていたが、「イロモノが多い」と聞いた覚えはない。そもそも『ストII』も『ZERO』もイロモノだらけのシリーズだが。『ストIII』を無印からプレイし続けた一プレイヤーとしての所感であり、レビュー等を広く検索した訳ではないが、どうにも頷けないのでCOしておく。 -キャラクター一新の功罪 --無印では『ストII』『ZERO』シリーズからの続投キャラや関連キャラがほぼ存在せず「シリーズなのに知ってるキャラがいない」という点で不評だった。リュウやケン、『2nd』で豪鬼、本作で春麗が再登場したのもそれが理由である。 ---カプコン東京支社長が某マイナーゲーム雑誌のインタビューで、『1st』の時点で「『ストII』のキャラは登場させない予定だったが、最初に何をすれば解らないプレイヤーのためにリュウとケンを出した」と語っている。 ---また岡本吉起氏も、「''リュウとケンが居なければストリートファイターじゃない''」とスタッフを説得していたという。皮肉にもこのせいで、新主人公のアレックスが主人公と認識されなくなることになってしまったのだが。 --『3rd』の盛り上がりの一端は、図らずも「満を持して参戦」の形となった春麗が支えた面もある。一方で『ストIII』出身勢にも後々まで高い人気を集めたキャラがおり、これらは後の『ストIV』『ストV』『VSシリーズ』等でプレイヤー層を厚くすることにも繋がった。総じて、キャラ一新には功罪いずれの側面もあったと言える。 -背景や演出は前作(『1st』『2nd』)に比べてやや地味になっている。 --BGMも前作までのお洒落なBGMからビート重視で、地味な印象を持たれることに。ただしラウンドごとにBGMがシームレス変化していく点は好評で、どちらが優れているかは一概には言いがたい。どちらが好みかもプレイヤーによって分かれるところではある。 ---- **問題点 -''キャラバランスの悪さ''~ システムがこれまで述べた通り高い完成度を誇る一方で、登場キャラクター数が多いため仕方のないことではあるが、キャラバランスは良いとは言えない。いかにブロッキングによる可能性が僅かに残っているとはいえ、キャラ間の戦力には大きな格差がある。&br()根強い支持を受けた本作では、多数のプレイヤーが長期にわたって攻略・研究を続けた結果、その差は絶対的となっており覆す事が非常に難しい状況に至っている。 --特に強いとされているのは本作で晴れて復活した、シリーズ人気ヒロインの''春麗''である。 ---スーパーアーツ「鳳翼扇」は高威力・発生早い・移動距離長い・さらにストック2本といい事尽くめであり、おまけに追い討ちが可能な上、直後に視認しにくい択攻めを仕掛けることができる。これにより春麗の高い地上戦能力がさらに高められ、非常に強力なキャラに仕上がっている。~ 『2nd』まででも、いぶきのスーパーアーツ「破心衝」がこの鳳翼扇と同じ性能を持ち猛威を振るっていたが、こちらは「3rd」では他のスーパーアーツと入れ替わる形で削除されている。 ---春麗本体はEX必殺技の性能が低く攻撃力が低めという弱点があるが、この鳳翼扇の存在がその弱点を完全に覆い隠している状態である。 ---ついでに本作の仕様を利用した「スライド投げ」を利用すると通常投げの間合いがかなり広がり、なんと「ヒューゴーのムーンサルトプレスより1ドット短いだけ」までに至る投げキャラでもある。通常投げなのでグラップこそされるが、迂闊な打撃を投げで吸う選択肢を常に意識させられるのも強力。 --他にも際立って強いとされているのはスーパーアーツに「幻影陣」を選んだ''ユン。'' ---このSAは『[[ZERO3>ストリートファイターZERO3]]』に存在するオリジナルコンボのような効果を短時間だけ得られるもので、相応にゲージは短いが回転率が良く、それでいて高いダメージを見込める。~ さらにスーパーアーツは基本的に投げ以外の技に打ち勝つ性質を持つが、幻影陣の効果時間中は全ての攻撃にそれが適用され、技の判定が大幅強化される。つまり、ゴリ押しが出来てしまう。 --上述の2キャラは現在の対戦評で「2強」と位置づけられている。以前は「3強」として扱いやすく総合力に長けるケンも数えられていたが、突出した要素が無いことから次点に落ち込み、2強と3凶の間に位置している。 --ハマった際の圧倒的爆発力で旧3強をも喰いうるダッドリー、まこと、ユリアンは「3凶」に数えられている。これらの次点に豪鬼、ヤンと続いていくのが定説。 --以上で紹介した「2強」とケン、「3凶」と豪鬼、ヤンの計8名が本作の上位キャラとされる。 --逆に弱いとされるのはレミー・トゥエルヴ・ショーン、次点にQ。 ---これらは「弱みを堅実にカバーできる上級者でも厳しい」ほど不利な性能で、それら以外の中堅は「強みはあるが攻め切るのに苦労する」といった調整になっており、上位キャラとの地力の差は大きい。 --キャラ差の大きさが生んだいわば「怪我の功名」として、中堅・下位のキャラを使いこなして勝利するプレイヤーを「職人」と讃える文化が普及した点がある。本作で職人プレイヤーとして名を上げたのち、格ゲー界で息の長い活動を続けているプレイヤーも存在する。 --基本性能の高い春麗やユン、ケンは初心者向けのキャラとも言える。本作で初めてシリーズに触れる層に対する救済措置、対戦格闘ゲームの楽しさを知ってもらう為の配慮とも言えるだろう。 -(あくまで勝ちを求めるという前提ではあるが)上位キャラの多くはスーパーアーツが実質一択となっている。 --春麗の鳳翼閃、ユンの幻影陣、ケンの疾風迅雷脚、ユリアンのエイジスリフレクターはガチ対戦ではほぼ固定。 --一応エレナとリュウは3種とも選択されることもあるが、それ以外の''各キャラ毎に1つずつ、選ばれる理由の無い死にSAが混ざっている''。 --ちなみに全キャラが上記のような各々の最強SAを除外した上でダイヤグラムを取った場合、かなりバランスが良くなったりする。それでもショーンとトゥエルヴはキツいが…。 -通称「SGGK((元は「しゃがみグラップ逆二択キック」の略称だったらしいが、特に蹴り技である必要は無い。))((漫画『キャプテン翼』のSGGK(Super Great Goal Keeper、もしくはSuper Ganbari Goal Keeper)のもじり。))」という強力・有利すぎる仕込み操作が存在する。 --様々なゲーム仕様を利用し「通常技空キャンセルブロッキング仕込み通常投げ」を行うテクニックの総称で、簡単に言えば「相手が手を出せばブロッキングし仕込んだ技がヒット(そこから最大反撃が可能)」「相手が手を出さなければ投げる」という現象が起こる。 --この仕込み技は使っているかどうかが非常に分かりにくいため、大会ルールなどで禁止にすることも難しい。 --さらに、先に上げられた上位キャラほどこの「SGGK」と相性が良い傾向にあるため、格差を増長する一因にもなってしまっている。 -業務用基板で「旧基板」と呼ばれるバージョンには様々なバグが存在する。 --中でも致命的なのは「''ケン対まことでケン側がレバーニュートラル投げでKOするとフリーズする''」というもの。 --これらのバグを修正したバージョン(通称 新基板)も作られているのだが、現在3rdが稼動している店舗で使われている基板はほぼ全てバグフィックス前の旧基板。 ---なぜかというと、飛び道具に対するガード入力は相手の位置ではなく弾の位置が基準になる、という旧基板の仕様を使った「自キャラと弾速の遅い飛び道具で敵を挟んで行うガード不能連係」がプレイヤー間で容認されているため。ユリアンのいわゆる「エイジスハメ」はこれを利用している。 ---なお、この状況でもブロッキングは可能。ただし、飛び道具と相手が任意のタイミングで仕掛けてくる攻撃を両方、前後に連続でブロッキングしなければならず、凌ぐのは極めて困難。エイジスハメも厳密には「ハメ」ではないが、多段の判定が発生するエイジスと中下段の択攻めが可能なユリアン本体の攻撃をブロッキングで捌き切るのは、現実的にはまず不可能だろう。 ---これを受けてかPS2版のシステムディレクションには「挟み撃ちガード不能連係が出来るか」という設定項目が存在する。 --ライトユーザーフレンドリーなシングルプレイモードではあるが、ラスボス・ギルのCPUは完全に壊れており、超反応と反則的なSAを繰り返す。キャラによっては特定の技(昇竜拳や絶掌歩法など)を繰り返すだけで勝てるが、それらを持たないキャラの場合、例え中級者であってもエンディングまでたどり着くのは難儀する。 ---キャラ紹介の欄で記載した「リザレクション」は、発動から間もなく技をあてれば早期に回復を中断させる事ができるがタイミングは難しく、失敗するとあっという間にギル側の体力が全回復してしまう。 ---- **総評 無印 ~『2nd』の不評もあって、当初は評価が芳しくなかったが、現在では格闘ゲーム史上の最高傑作に推す声も高い。~ カプコン開発陣自身も「''格闘ゲームは『3rd』で全て作り切った''」と語るほどである。~ その勇姿はゲームセンター激動の20年を駆け抜けてなお、未だ冷めやらぬプレイヤーの『3rd』に対する熱が物語っている。 現在でも攻略は進み、都心部のゲーセンでは高いレベルでの対戦が繰り広げられており、その対戦動画は高い閲覧数を記録している。~ これほど古い対戦格闘ゲームが、ノスタルジーの意味合いではなく現役の対戦ツールとして愛され、プレイヤーの研鑽の対象となり続けている例は他にない。~ 2014年1月に行われた[[第12回クーペレーションカップ>http://www.cooperationcup.com]]((5on5による団体戦方式のカプコン非公式全国大会。))では、事前エントリーだけで80チーム400人以上が参戦、2019年の第17回には102チーム510人が参加と更に増加という実績がその証左であろう。 ---- **家庭用移植 -2000年にドリームキャスト、2004年にプレイステーション2とXboxに移植された。 --「システムディレクション」という細部仕様を弄くれるマニアックな追加要素があるほか、ボス専用だったギルが使用できるのが特徴。 --Xb版は『ストリートファイターアニバーサリーコレクション』のタイトルで『[[ハイパーストリートファイターII]]』とのカップリングでリリース。 ---発売当初はBGM設定を"ORIGINAL"にするとヒューゴーステージに異常が発生するという不具合があったがすぐに修正版が出され交換対応となった。 -さらに2011年8月にはPS3/360で『ONLINE EDITION』としてダウンロード販売が開始。 --HD対応の画質リメイクが行われ、対戦動画をYouTubeに配信出来るようになった(サービス終了済)。 --DLCとしてカラーやBGMを『1st』『2nd』のものにすることも可能。ギルも使用できる。 -2018年にシリーズ30周年記念作品として発売された『[[ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル]]』にも本作が収録されており、オンライン対戦にも対応している。 --こちらは『1st』『2nd』も共に収録されているが、いずれもアーケード版準拠のため残念ながらギルは使用不可…と思われていたが、『3rd』まで続けて存在するバグ技の利用によって『2nd』『3rd』にて''ギルが使用可能''になる事が2022年に発見され、次いで2023年に『1st』でも使用する方法が発見された。 ---当然、移植元である本家アーケード版でも使用可能ということになるが、ギルを使うためには''フリープレイ限定''かつやや面倒な操作が必要という縛りがあるため、対戦バランスに影響するものではなく、あくまでもお遊び的な範疇に留まっている。 --トウェルブのスペルミスやブロッキングの仕様から初期基板の移植だが、ケンまことのN投げフリーズは修正されているハイブリッド仕様となっている。 ---- **余談 -春麗について --『1st』では出場しなかったので((背景に小さく登場はしている。))復活希望者が多かった。その為、まだ出回っていなかった『2nd』初公開時のAMショーで『3rd』発売決定と同時に彼女の参戦までムービー込みで発表された。 --デザイン担当者は初代『ストII』で春麗をデザインした安田朗(AKIMAN)氏であり、凄まじいこだわりを持って作成されていた。開発初期から全キャラ中一番進捗が遅く、最後まで調整が行われ難儀したという逸話がある。 --『3rd』を販売する条件が「彼女を出す」であり、さらに従来のファンからのクレームが非常に多かったので結果的に強くせざるを得なかったとのこと。 -今は亡きアーケードゲーム雑誌『ゲーメスト』に『ストIII』シリーズのコミカライズ版『STREET FIGHTER III RYU FINAL -闘いの先に-』が連載していた。 --後に『ストIV』などのセービングアタックのモーションのモチーフになったといわれる「風の拳」や、本作に登場しないサガットとのラストバトル等、アツいオリジナル展開を盛り込んだ名コミカライズである。 //ただ、全体的に『3rd』キャラが軽んじられており、サガットが強すぎ・格好よすぎなのは批判点として挙げられることも多い。 //軽んじられるも何も完結時にまだ『3rd』は稼働前。またサガットはあらかじめ「リュウという格闘家の物語を完結させるにはサガットの存在は不可欠」とアナウンスされていたので、好き嫌いは個人の好みレベルでそんな特筆するほど批判を受けてはいない --タイトルどおりリュウが主人公で、主人公のアレックスは最後のシーンにしか登場しない、いわゆる『3rd』作中までの裏を描いた作品と言える。 --が、雑誌収録版ではよりによって最終回での最後の締めとなるリュウの「確かめてみろ!」となるべきセリフが、「確か''み''てみろ!」と非常に情けない誤植をされてしまった(当然ながら単行本では修正されている)。 ---ゲーメストはこれに限らず非常に誤植が多いことで有名だった雑誌で、現在でも「[[ザンギュラのスーパーウリアッ上>ストリートファイターII']]」「[[インド人を右に>スカッドレース]]」と並び、''ゲーメスト三大誤植''としてネタにされることが多い。 ---ちなみに本漫画は連載開始時にも「中平正彦先生執筆!」とするところを「中平正彦''宣誓''執筆!」と誤植しており、「誤植に始まって誤植に終わった漫画」と言われている。 ---後に『ストIV』や『ストV』の汎用勝利セリフに(もちろん誤植じゃない「確かめてみろ!」の方が)使われていたり、2009年にゲーメスト誤植Tシャツのラインナップとして「[[''確かみてみろ!Tシャツ''>https://ebten.jp/p/7015009033021]]」が商品化されるなど、今でもネタとして根強く残っている。 //---なお、この誤植について漫画作者の中平氏本人は(当然ながら)激怒し、ネットでネタにされていることも快く思っていない模様。 //今でも許しておらず ← ソースが不明 //「激怒した」もソースが不明。ソースがあれば追記をお願いします -背水の逆転劇について --上述した背水の逆転劇というのは、2022年現在も『ストリートファイター』シリーズのプロプレイヤーとして活躍しているウメハラ(梅原大吾)氏が2004年世界大会EVOの準決勝で実際に起こした逆転劇のことを指している。ウメハラ氏を、ひいては今作を語る上では絶対に欠かせない出来事として、また今作のブロッキングシステムのドラマティック性を如実に表した好例として今でも語り継がれている。 --最終ラウンドかつ体力残り1(必殺技をガードしても負け)のウメハラ氏操るケンが、削りKO目的で出された多段ヒットする春麗のSA・鳳翼扇を全てブロッキングで凌ぎ、最終段を空中ブロッキングで取った上で溜まったゲージも使ってのSAコンボを叩き込み逆転勝利というもの。 ---ブロッキングに目がいきがちではあるが、直前のジャスティン氏は後述する配信対戦とは違い左右移動や攻撃空振りによるフェイントでタイミングを絞らせないようにしており、それを見切ったウメハラ氏はしっかり最大ダメージのコンボで反撃をして逆転している。後の検証により、このときの春麗の体力は''他のコンボではKOできない量だった''ということが判明している。 --この試合中継は動画サイトなどで検索すると見つけることができる。実際にすごい戦いなので興味のある人は見てみよう。 --この一件及び「鳳翼扇の全段ブロッキング」は「ウメブロ(ウメハラブロッキング,Daigo Parryもしくはそのまま''DAIGO'')」もしくは「レッツゴージャスティーン((Justin氏が鳳翼扇を打つ際、実況アナウンサーが叫んだセリフからこう呼ばれることも多い))」、あるいはそのまま「Evo Moment #37」としてミーム化している。 ---ONLINE EDITIONのトライアルモードのブロッキング上級編にも「あの瞬間をもう一度/Evo Moment #37」という、この時ケンが決めたコンボをブロッキング部分から再現させる課題が最後を飾っている。 --これによって逆転負けを喫したプロプレイヤーであるJustin Wong(ジャスティン・ウォン)氏は数年ほどこのエピソードを引きずったとのことであるが、2022年現在は''自身の動画でネタにしている''ほどには立ち直っている。 ---2022年の配信対戦にて、試しにぶっ放した鳳翼扇を見事全段ブロッキングから全く同じコンボでKOされて''「DAIGOされた!!やらせじゃないって!」と叫ぶ動画''をWong氏自らが投稿している。その後もウメブロされるか試している対戦配信動画を数本投稿しており、その中では鳳翼扇を打つ際、''「レッツゴージャスティーン!!」と自分で叫ぶ''というファンサービスをしたことも。 --一方でウメハラ氏は''3rdのゲームバランス及びブロッキングのシステムはあまり好きではない''ということを自身の配信等で公言している。 -ブロッキングよもやま話。 #region(長くなるので格納) --元々『III』の企画が進む中、本シリーズのプロデューサー/ディレクターの1人である貞本友思氏((余談の余談だが「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザイン兼コミカライズで知られる貞本義行氏とは従兄弟でもある。))は「本物の格闘技の中で再現したい物を入れてみようと思い、例えばジャッキー・チェンが攻撃を受ける際に捌くとか弾くというのをやってみたかった。 --後は起き攻めや画面端とか難しいと言われていたことを何とかしたかったし、攻められっぱなしって言うのも何とかしたいという考えもあり、『たとえ偶然でも弾ければ一矢報える』みたいなのが体感できればと思って導入を決めた((「ブロッキングを出すのにゲージを消費したりしないようにしたのもこの観点から」と貞本氏は述べている))。」旨を述べている --ちなみにブロッキングの操作は当初[[「レバーを後ろに入れる」という直前ガードの仕様>餓狼 MARK OF THE WOLVES]]((貞本氏は「初級者も楽しめるように「早くいれればブロッキング、長くいれればガード」という形で初級者でも反応が遅れて勝手にブロッキングになればと考えて入れたかった」と述べている。))だったが、開発中のテストで社内の若いメンバーや格闘ゲーマーから「それは簡単すぎる」と反発があり、代案を求めたところ「前ならやる。そっちで作らせてほしい」というので「作ってもいいけど、難しかったら後ろにすること」と言う約束で作らせた。 --その結果、スタッフ内では「レバー前入れ」のほうが好評となってしまい、そちらを前提に調整が進む事になった。初級者救済のために考えていたものがかなり尖った物になってしまったが、蓋を開けてみれば結果的に良い方向に受け入れられたということからわからないものである。 #endregion

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