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#contents ---- *ストリートファイターII 【すとりーとふぁいたーつー】 |ジャンル|対戦格闘アクション|&image(https://www.capcom-arcade-stadium.com/assets/images/ja/modal/logo_title20.png?w=736&h=414&pr=2,height=160)| |対応機種|アーケード(CPシステム)|~| |販売・開発元|カプコン|~| |稼働開始日|1991年3月|~| //↑2月14日説もあり。https://twitter.com/Sora_Sakurai/status/1360785844731326465 |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ストリートファイターシリーズ]]''| ---- **概要 格闘ゲームの代名詞たる「ストリートファイター」シリーズの第2作。 格闘ゲームブームの火付け役となり、「格ゲー」というジャンルそのものの地位を高めた、ゲーム史に燦然と輝く記念すべき一作。 本作は、感圧式ボタンという特殊デバイスを搭載し対人戦をテーマとして制作された格闘アクションゲーム「[[ストリートファイター]]」の続編だが、システム面で大幅な改良を施された結果、対人戦の駆け引きはそのままに前作と大きく異なるゲーム性となった。~ レバーと複数のボタンを駆使して戦うという基礎的な部分は既に本作で確立されており、これ以降のシリーズの実質的な初代作品となると共に、格闘ゲームというジャンル全般のスタンダードともなったといえる作品である。 個性豊かな8人のキャラクターから1人を選択し、他の7人とCOM専用キャラクターの四天王を倒すべく戦う。 **システム -様々な性能の8人のキャラクターから1人を選択する。キャラクターは体力・攻撃力以外にも通常技の性能や必殺技が異なる(詳細は後述)。 -1レバー6ボタン式。ボタンはパンチとキックに分かれており、更にそれらが弱・中・強に分類されている。 --レバー前((キャラクターが右向きの場合の右方向を指す。左向きの時は左右逆になる。))で前進、上3方向への入力でその方向へジャンプ、下3方向への入力でしゃがむ。レバー真後ろは後退と立ちガード、レバー後方斜め下でしゃがみガード。 --ボタンは弱<中<強の順に威力が高くなるが、その分隙も大きくなるので使い分けが必要。 --相手の近くでレバーを横に入れながら中・強の攻撃ボタン((全キャラ必ず1つは投げ(つかみ)技を持っているが、同様の入力で特殊技が出るキャラクターもいる。))で、相手をつかんで投げることができる。 ---投げはガードができないため、防御を固める相手を崩して攻撃する手段だが、射程が短いため相手に近寄らなければならず、打撃による迎撃に弱い。これにより「打撃・ガード・投げ」による3すくみの読み合いが生まれ、対戦格闘ゲームの黄金律が完成した。 --必殺技は、主にレバー入力とボタンの組み合わせで発動する。ボタンの強さに応じて必殺技の威力や性能も変化する。 ---「波動拳」「昇龍拳」「ボタン連打」「レバー溜め」「レバー1回転」といった入力コマンドは後の数々の対戦格闘ゲームに受け継がれている金字塔。 ---余談だが、本作の稼働当時は波動拳や昇龍拳コマンドが多くのプレイヤーにとって難しく、ボタン連打やレバー溜めコマンドを持ったキャラクターが初心者向けという扱いだった。 -攻撃を受けていると隠しパラメーターの「気絶値」が溜まり、連続で攻撃され続けることで気絶状態となり、しばらくの間よろめいてしまう。この状態では無防備になり、相手の攻撃を食らい放題になるが、レバーを激しく動かす(通称レバガチャ)+ボタン連打によって復帰を速めることが可能。 --この気絶要素も数々の対戦格闘ゲームに受け継がれている。 --ちなみに、気絶状態になることを「ピヨる」と表現するようになったのも本作からである((気絶状態になると、ヒヨコがピヨピヨと鳴きながら(?)頭上を動き回る演出が発生することが由来。))。 -技の硬直中や技の出ている最中に、他の技の操作入力を行うことにより、硬直や手足の戻りモーションを強制的に終了して(キャンセル、つまり無かったことにして)次の行動を繋げられる。 --後に「キャンセル技」と呼ばれ、定着したシステム。開発時におけるバグの産物で意図した動作ではなかった((必殺技を出しやすくするため、通常技モーション開始後に短時間のコマンド受け付け時間を設けており、仕様では通常技空振り時のみキャンセル必殺技が出るはずだったが、バグによりヒット時もキャンセル可能になった。))のだが、面白いと言う事でそのまま仕様として残された。今日では、対戦格闘ゲームには不可欠の要素となっている。 -上記のキャンセル等を利用した連続技(コンボ)。 --リュウ・ケンの「(裏当て)ジャンプ強キック→立ち強パンチ→キャンセル昇龍(波動)拳」が有名。(裏当て)ジャンプ強キックを低めに当てれば、必殺技まで相手はガードできずに食らう。 --本作ではおおむね3段のコンボが中心((ガイルには弱ソニックブームとジャンプ技を同時に当ててから開始する5段や7段もあるが、成立する状況は限られる。))。キャンセルではなく前の技モーションが終了した瞬間に次の技を出して繋げる「目押し」コンボも多い。 --本作は1発の攻撃力が高く、3段であっても大量に相手の体力をもぎ取ることができる。さらに相手を気絶させる可能性もあり、たとえ短くても必殺技で〆るコンボの習得は大きなアドバンテージを持っていた。 -2人対戦プレイが可能。CPU戦をプレイしている最中にプレイしていない側がコインを入れゲームを始めると乱入となり、キャラクターを選んですぐに対戦が始まる。乱入を拒否することはできない。 --稼働直後は、1ゲームで終わる恐れもある対戦は敬遠されがちだったが、次第に対戦こそが本作の醍醐味と認識される。 //『ダッシュ』発売以降は対戦台((背中合わせにした2台の筐体に画面出力することで気軽に乱入が出来るようにしたもの。))も登場、ゲームはより大きく盛り上がった。 ---一方、オペレーター側も短い対戦で(負けた)プレイヤーが入れ替わるため、インカム的に優良であり、対戦がなおさら推奨された。 --同じキャラクター同士の対戦はできない。リュウ・ケンのみ実質的な同キャラ対戦ができたが、仕様の問題で多少ケンが有利(「キャラクター」の「ケン」の項を参照)。 **キャラクター #region(8人+4人の登場キャラクターたち) ''リュウ'' -漢字表記では隆。空手ベースの技((ねりちゃぎといったテコンドーの技も含む。後に架空の暗殺拳という設定になった。))を使う格闘家。袖を破り取ったノースリーブの胴着に赤い鉢巻という出で立ちで、ひたむきに強さを追い求める求道者というキャラクター。 -飛び道具の「波動拳」、上昇中無敵の対空技「昇龍拳」、突進技の「竜巻旋風脚」という3種の必殺技を持ち、通常技にもクセがない。 -波動拳で相手を飛び込ませて昇龍拳で落とす「波動昇龍」という手堅いセットプレイにより安定した強さを誇っていたが、気絶中の前傾姿勢の時に2倍ダメージを食らうバグが存在し、研究の結果最終的には下位グループに落ち着いた。 -本作の大ヒットにより、今や「格ゲー」全体の顔・看板ともなったキャラ。リュウの存在により、「格ゲー主人公は飛び道具・対空・突進技を持つ」という一つの様式が生まれた((ただし、竜巻旋風脚は一般的な突進技とは言い辛いので、『餓狼伝説』の3主人公の影響と言う意見もある。))。 ''ケン'' -リュウのライバル。漢字表記では拳((初代では日本人という設定だが、後に「日系クォーターで本名はケン・マスターズ。『拳』は修行時代に師匠から授かった名」と改変された。))。赤い胴着に金髪(眉毛は黒)で、技や性能はリュウとほぼ同じだが、投げ技の地獄車や隠し設定の弱点がリュウと異なる。 -リュウと同じ技を持つため同じ戦法が取れるが、上記のバグやその他の細かい有利((K投げの地獄車の移動距離が長く相手を端へ追い込みやすい、立ち強キックがわずかに速い。))も手伝って、性能面ではわずかにリードしている。 ''エドモンド本田'' -歌舞伎の隈取を施した相撲ファイター。番付は1994年頃まで存在した張出大関((実力的には横綱クラスだが、品格も重んじる角界において土俵外の言動が問題となって大関どまりと言う設定。ただし張出大関は大関よりも下の位である(横綱≧張出横綱>大関≧張出大関>関脇…)。当時は各地位の定員は東西2名までで、それより多い場合には格下の者が張出に回されていた。))。相撲を世界に広める為に戦っている。 -力士らしくパンチ攻撃は張り手が多く投げ間合いが広い(ただし投げられ間合いも広いため相対的な投げ間合いでいうと下位)。 -必殺技はパンチ連打で前方に攻撃判定を出しつづける「百烈張り手」とタメ突進技の「スーパー頭突き」。弱版のスーパー頭突きは出始めに無敵時間があり、対空技や返し技として使える。 //大相撲で腹や胸以外を蹴ることやボディプレスは別に反則じゃない。決まり手にも蹴手繰りや蹴返し、二枚蹴りと言った蹴り技が存在するし、浴びせ倒しはつまり(ジャンプこそしていないが)ボディプレスだ -その風貌通り動きが鈍いのが欠点で、飛び道具を連発されると非常に苦しいが、攻撃力が高く、連打とタメコマンド中心のため、初心者にも扱いやすいキャラクター。 ''春麗(チュンリー)'' -青い((ただしキャラクター選択時は橙色。))チャイナドレスに身を包んだ中国の女刑事。格闘スタイルはクンフー。体力も攻撃力も低いが、足が速くジャンプが高い。空中投げや相手を踏み付けて再ジャンプする特殊技の鷹爪脚、画面端で再ジャンプできる三角跳びを持ち、手数とスピード、ジャンプで相手を翻弄する。 -必殺技はキック連打で前方に攻撃判定を出し続ける「百裂キック」とタメ突進技の「スピニングバードキック」。ただしこれらよりは判定の強い通常技が主力である((特に「スピニング~」は「出してはいけない」と言われるほど使えない。))。 -空中投げの投げ間合いが非常に広く、大半のジャンプ攻撃の攻撃範囲外から投げてしまえるため、空中戦では絶対的な強さを誇る。 -可憐な容貌を持つ紅一点ということもあり、圧倒的なプレイヤー人気を獲得した。格ゲー界を代表するヒロインと言える。 -ちなみにしゃがみ強キックの正式名は「元伝暗殺蹴」であり、前作の敵キャラクターである「元」との繋がりを感じさせる。 ''ブランカ'' -幼い頃に飛行機事故に遭い、墜落したアマゾンで生き延びた野生児。緑の肌にオレンジの髪、腕の長い猿人のようなプロポーションと、人間離れした容貌を持つ。獣じみた独自の格闘スタイルで戦う。 -地上・空中を問わずリーチの長い技が多く、飛び道具を持たない相手には牽制合戦で優位に立てる。地上での移動速度は遅いが、ジャンプが高く速いため、飛び道具を持つ相手にも間合いを測れば勝機はある((ただし結果的にジャンプの飛距離が短くなっているため、スピードの遅い弱の飛び道具はタイミングを誤ると逆に「踏む」。))。 -必殺技はパンチ連打で全身から放電する「エレクトリックサンダー」とタメ突進技の「ローリングアタック」。ローリングは動作中に攻撃されるとカウンターで2倍のダメージを喰らう諸刃の剣でもある。 -エンディングでは事故で生き別れた母親と再会し、本名が「ジミー」であることが判明する。 ''ザンギエフ'' -ソビエト連邦(当時)の元・闇プロレスラー。全身傷だらけの筋肉達磨。やや遅い足・ジャンプ力がない・図体がでかい(喰らい判定が大きい)という三重苦を背負っているが、見た目通りの高い体力と攻撃力、『[[ファイナルファイト]]』からの輸入技である「ダブルラリアット」、そして圧倒的な威力とつかみ距離を誇る投げ技「スクリューパイルドライバー」を持つ。 //後退は遅いが前進速度はリュウ・ケンと大差なく、下に本田、ブランカ、ダルシムがいるので「やや遅い」レベル -3回決めれば相手をKOできるスクリューが彼の代名詞で、接近してからの投げに勝利を賭ける、いわゆる「投げキャラ」の元祖。スクリュー以外にはほとんど決定打がないが、それだけにスクリューの性能は圧倒的で、数歩離れた位置からでも相手を掴んで投げる様は「吸い込み」と呼ばれた。そして当時は一度スクリューを決めると、起き上がりにスクリューを重ねる事でハメ殺す事が出来た((『ダッシュ』以降はスクリューの後に間合いが離れる様になり、起き上がりに重ねることが出来なくなっている。))。 --「レバー1回転」というスクリューコマンドは当時としては非常に画期的かつ難度の高いもの((コマンドにレバー上入力が含まれるためジャンプしてしまう。後にジャンプする前に入力を完成させる「立ちスクリュー」が発見された。))であり、これを実戦でいかに決めるかがザンギ使いの腕の見せ所、かつ醍醐味である。 -ガイルやダルシムに対して致命的なレベルで詰んでおり、後に対ガイルのそれはAA(アスキーアート)によるやり取りでネタにされたほど有名。飛び込もうとするザンギエフとしゃがんで待ち構えるガイルの絵面が風物詩と化している。 ''ガイル'' -箒を逆さにしたような凄い髪形のアメリカ軍人。格闘スタイルはマーシャルアーツ(アメリカ軍式近接格闘術)((一般名詞としての「武術」や昭和50年代前半に日本で「マーシャルアーツ」と呼ばれ興行されていたアメリカンキックボクシングとは異なる。))。モチーフは『[[ジョジョの奇妙な冒険>ジョジョの奇妙な冒険シリーズ]]』に登場する[[ジャン・ピエール・>ジョジョの奇妙な冒険 (AC)]][[ポルナレフ>ジョジョの奇妙な冒険 (SFC)]]やシュトロハイムとのこと。((ちなみに「ガイル」とはモチーフになったポルナレフの仇敵なのだが、これはスタッフが当時ポルナレフとJ・ガイルを勘違いしていたことから命名された…という逸話がある。)) -隙の小さい飛び道具「ソニックブーム」やリーチに優れた通常技で相手を牽制し、相手が飛んだら必殺技の「サマーソルトキック」や立強キックを始めとする対空技で迎撃する戦法が基本。 -しゃがんで必殺技のタメを作りながら相手の飛び込みを待つ「待ち」が簡単かつ強力で、対戦ではダルシムと並ぶ2強に輝いた。あまりに待ちが強いため、「待ちガイル禁止」のローカルルールを設けるゲーセンもあった。 -ソニックの隙の小ささから、弾速の遅い弱ソニックに歩きやジャンプで追い付くことができ、初代では異例の5段コンボや7段コンボを決めることができる(他のキャラクターは多くて4段)。 --さらに上記の小パンチ連打だけで気絶から気絶へもっていく凶悪な技もある。 -とある操作を行うと、1人で通常投げのポーズを取って距離や相手の状態((本来は一切攻撃を受け付けないはずのダウン中等も含む。))に関係なく投げてしまえる''「真空投げ」''というバグ技が存在する。 ''ダルシム'' -インドの僧侶でヨガの達人。口から炎を吐き、手足を伸ばして攻撃するという奇想天外なキャラクター。 -必殺技は飛び道具の「ヨガファイヤー」と目前に攻撃判定の大きい炎を吐く「ヨガフレイム」。ヨガファイヤーを飛び越えてくる相手を長い手足ではたき落とすのが基本戦術。 -全キャラ中最も移動速度が遅く、伸ばした手足にも喰らい判定があるなど非常にクセが強いが、投げ間合いが非常に広く、研究が進むにつれて弱・中技による牽制の圧倒的な強さや特殊技のドリルキック(急降下キック)での急襲戦法が発見され、ガイルと並ぶ2強の座に付いた。 -その特徴的な性能から、格闘ゲームにおいて打撃リーチが長く動きが緩慢なタイプのキャラクターを「ダルシム系」と呼ぶことがある。 -%%全国の子供たちに「インド人」というものを勘違いさせた罪多きキャラクター。%% ''以下はCOM専用のキャラクター'' ''M・バイソン'' -四天王((後年では公式に「シャドルー四天王」とされている4人だが、この当時は単に「ボスキャラが4人だから四天王」程度の意味合いしかなく、設定やストーリー面でも特に接点は無かった。))の1人。アメリカの黒人ボクサー。それゆえ足技は持たない。また、本作では投げ技や組み技が無い。 -必殺技は突進技の「ダッシュストレート」と「ダッシュアッパー」、一旦背を向けてパワーを溜めパンチを繰り出す「ターンパンチ」。主にダッシュストレート/アッパー連発のゴリ押しで攻めてくる。ラッシュが始まると一方的に削られ続けることも多いが、飛び道具を持つキャラクターならかなり有利に戦える。 -前作『ストリートファイター』に似た容姿の「マイク」と言う敵キャラクターが居たが関係は語られなかった。『IV』の発売後に同一人物と設定され、「M」は「マイク」の略だとなっている。だが『ストリートファイターV』の公式サイト「シャドルー格闘家研究所」の「キャラ図鑑」では「マイク」と「M・バイソン」は別人と設定されている。 -なお、海外版では下記のバルログ・ベガと共に名前が交換されている(後述)。 ''バルログ'' -四天王の一人。スペイン出身で、戦闘スタイルは忍術。美形かつ上半身裸で細身のナルシスト。相手の返り血が付くことを嫌い、仮面と鉤爪を装着して戦う。 -全キャラ中最高のスピードを誇り、春麗同様に三角跳びや空中投げを使う。鉤爪を装着しているため攻撃力とリーチにも優れる。 -ただし身長が高めなので喰らい判定が大きく、攻撃を一定数上受け続けると鉤爪が外れてリーチと攻撃力が低下する。 -必殺技は前転しながらの突進技「ローリングクリスタルフラッシュ」に、背景の金網によじ登って上空から急襲する「フライングバルセロナアタック」と「イズナドロップ」。バルセロナ&イズナの独特の挙動は、多くのプレイヤーの度肝を抜いた。準備動作が長いため慣れてしまえば迎撃のタイミングを取るのは容易いものの、攻撃判定が非常に強くキャラクターによっては対処が困難。 ''サガット'' -四天王の一人にして、前作『ストリートファイター』のラスボス。眼帯をつけたムエタイの戦士。 -身長が高く当たり判定が大きいが、弾速・火力に優れ上下段に撃ち分けできる「タイガーショット」((前作では上段しか撃てなかったが、本作から下段も撃てるようになった。))と、昇龍拳をモチーフに編み出した「タイガーアッパーカット」を持つ。 -通常技の性能が高めな上、高性能の飛び道具と無敵対空技を持っており、どの距離でも油断できない。特に、飛び道具を持たないキャラクターや鈍重なキャラクターでは、タイガーショットの連発に苦しめられる。しゃがんでいても上段タイガーショットを避けられないザンギエフには天敵の一人となっている((ダルシムも上段タイガーショットをしゃがみで避けられないが、ヨガファイアーでの相殺、しゃがみ強パンチやスライディングキックによる反撃しながらの回避など、対策は多い。))。 -また、行動パターンが他の四天王に比べてやや単純であることと、タイガーアッパーカット発動中は受けるダメージが2倍になるという弱点もある。さらにバイソン同様に投げ技が無い。 ''ベガ'' -四天王の一人にして、本作のラスボス。秘密組織「シャドルー」の総帥で、謎の力「サイコパワー」を操る。赤い軍服を着ており、全身からオーラを放っている。 -パワー重視かつ王道的な戦法のサガットとは異なり、全体的に機動力が高くトリッキーな技が多い。しかもバルログと同様に投げ技も使用可能。必殺技にはサイコパワーをまとっての突進攻撃「サイコクラッシャーアタック」、二段ヒットする足技「ダブルニープレス」、相手の頭部を急襲する技「ヘッドプレス」を持つ。 -ラスボスに相応しく全能力が高い上、サイコクラッシャーは強烈な削り性能、ヘッドプレスは無敵対空技をも踏む、ダブルニーは連発されると身動きも許されない隙の少なさを誇る上に気絶値も高い。特にヘッドプレスとダブルニープレスは一度食らうとほぼ敗北確定という有様((どちらも喰らえばほぼ気絶確定で、後者はガード出来たとしたとしても即デッドリースルーで投げてくるため、全く死角の無い技となっている。))。 -ただしサイコクラッシャーは攻撃発生までが遅く、動作中は2倍ダメージを受けてしまうなどの弱点もある。 #endregion **評価点 -「対戦格闘ゲーム」というジャンルの基礎となった完成度の高いシステム。 --レバー+複数のパンチ・キックボタンによる操作系、打撃・ガード・つかみ(投げ)、キャンセル技を組み込んだ連続技(コンボ)、気絶状態等々、現在まで連綿と続く「対戦型格闘ゲーム」の基幹部分が本作で創り上げられた。 --「主人公は飛び道具・対空・突進技を持つ」「投げ技が得意なキャラクターは大柄で動きが鈍い」といった対戦格闘ゲームのお約束も本作由来。 -人間同士の駆け引きを白熱させる設計。 --本作は1発のダメージが大きく、プレイヤー同士の対戦は一瞬の隙からコンボでKOにまで追い込まれる熱いものだった。 --前後の移動以外に対戦相手との距離を微調整できる手段がなく、ジリジリとした間合いの取り合い、技の差し合いも本作ならではの駆け引き。 -殴り合いの痛快さを存分にフィーチャーした演出。 --派手な打撃音、敵を吹き飛ばしてダウンさせる必殺技、強攻撃を喰らうとヘドを吐く演出など、ぶちのめし合う感覚を痛快に刺戟する要素が満載。 -様々なプレイスタイルに対応した魅力的なキャラクター --癖が無く技バランスの良いリュウ・ケン・ガイル、攻撃力こそ低いが紅一点かつ扱いやすい春麗、動きは鈍いが打撃戦に秀でており攻撃力の高いエドモンド本田、イロモノ扱いだが性能も個性的なブランカ・ダルシム、意図的にハードルを上げてあるザンギエフなど、多様なプレイヤーの要求を満たすだけのキャラクターが揃っている。 --キャラクターの造形も素晴らしく、個性的。どれも主役を張れるビジュアルの持ち主である。特に春麗は様々な女性格闘キャラの原点となった。 -似通ったシステムのゲームは以前からあったが、まったく性能が異なりながらも、上位下位といった互換が無く、キャラクターによって様々な戦略を組み立てられるというのは非常に斬新であった。 -それまでのゲーム操作は2ボタン式がスタンダードだったが、本作のヒットが後押しする形で、その後の家庭用ゲーム機のコントローラーが6ボタン以上になる、という影響を与えた。 --各社のアーケード汎用筐体のコントロールパネル(以下「コンパネ」)にオプションではあるが6ボタン用を用意出来るきっかけになった((当時はカプコンの専用コンパネしかなく、セガ、ナムコ 各社共通汎用コンパネが用意されたが、タイトーの当時の主力汎用筐体「カナリー」がどうやっても合わず、セガ筐体をわざわざ仕入れるハメになる等店舗を悩ませる問題が多々発生している。よって、汎用筐体で6ボタン化する為に真っ先に対応したのはタイトー。))。 -同年代のゲームに比べて大きなサイズで滑らかにかつ自然に動くキャラクターのアニメーション。 -下村陽子氏((今となっては多方面で活躍する有名作曲家だが、この当時はカプコンサウンドチーム「ALPH LYLA(アルフ・ライラ)」の一員でまだ無名であり、「ぴぃ♪」と名乗っていた。))による各キャラクターを的確に表現したBGMの数々は評価が非常に高い。 --特に本作の看板キャラクターであるリュウのステージBGMは、リュウというキャラクターの、ひいては格闘ゲームが含んでいる求道的なイメージを熱いメロディで表現しきった会心の一曲。 --プレーヤーの体力が半分以下に減るとテンポの速いアレンジBGMに切り替わるのも本作の特徴の一つで、対戦に緊張感を持たせることにも一役買っている。 -キャラクターボイスは声優ではなく社員が担当しており、複数のキャラクターで共有しているものも多く音質も良いとは言えないのだが、どれもこれも思わず真似をしたくなるような味わい深いものになっている奇跡のような出来映え。 **問題点 -入力していない動作が突発することがある。 --攻撃ボタンを押した際、1/512の確率でレバー操作に関わらず必殺技がランダム発動する仕様がある。必殺技の存在を認識させるために仕組まれたものだが、意図しないタイミングで発動して隙を晒すことがほとんどであった。 --同じく1/512の確率で、攻撃を受けた際に強制的にガードポーズに移行する仕様がある。必殺技ほど目立たないが、相打ち稼ぎ狙いのCPU戦や、対戦の大事な場面で邪魔になることも。 --不評だったためどちらも『ダッシュ』で削除された。 -投げ技が強い。 --全体的にダメージが大きく((通常投げでも全体力の1/4を奪う威力。コマンド投げのスクリューパイルドライバーに至っては上記の通り全体力の1/3を奪ってしまう。))、発生までの隙が全くない((相手が地上・間合い内・ガードor喰らいポーズを取っていないという条件が揃えば、入力と同時に成立する。格ゲー用語で言えば1F発生(0F発生)。))ので、非常に回避が難しい。その性質を利用し、隙の少ない技を当て、相手のガードが解けた瞬間に投げてしまう戦法(通称「当て投げ」。繰り返すと「投げハメ」)が猛威を振るった。更にガードが解けた側は、一瞬ではあるが投げ返すことの出来ない時間が存在する上、本作ではリバーサルで必殺技を出す事が出来ないので、投げハメを仕掛ける側が完璧なタイミングで投げると投げ間合いの差にかかわらず(前述のとおり、1/512の確率で必殺技が暴発し失敗することがあるものの)完璧なハメになってしまう。プレイヤー同士のトラブルの元でもあったため、ローカルルールとして当て投げ・投げハメ禁止を設定するゲームセンターもあった。 -連続技が減りすぎ。 --初代の連続技(コンボ)が異常なまでに強くアッパー昇竜拳のような単純なコンボでさえ全体力のおよそ半分を奪ってしまう。その上リュウ、ケン、ガイルの3段のような強力なコンボになってくると全体力の3分の2かそれ以上減るうえ確実に気絶し喰らうとほぼ死亡確定であった。さらにガイルの小パンチ連打など小攻撃の連打だけで気絶から気絶へもっていく凶悪技もザラにあった。 ---ただし本作のコンボで多用される「ジャンプ着地によるモーションキャンセル」「必殺技コマンド成立によるモーションキャンセル」は、これらの仕様を技を繋げるテクニックとして使うことを開発時点では想定していなかった点には留意が必要である。 -キャラクターの配色に誤りがあったり、一部に不自然なグラフィックがある。 --キャラクター選択時の春麗のチャイナドレスが、青ではなくオレンジがかった黄色となっている。 --試合中のドット絵では、本田やダルシムの顔の着色が赤ではなく青くなっている。 --バルログの敗北時の顔では、鼻血が青になってしまっており、鼻水にしか見えない。 --ザンギエフは試合中のグラフィックと対戦前後時のグラフィックとでは衣装が異なっている。 --ケンのエンディングにおけるイライザの駆け寄る姿は言ってしまえば子供の落書きのようであり、一枚絵でケンに寄り添う場面も妙に濃い顔で美人とは言い難いものとなっている((実際、イライザに関しては「キャラグラ担当が忙しかったため、人物画が苦手な背景担当が描いたのが原因」とインタビュー記事で明かされている。))。 --ダルシムのエンディングにおける表彰式の写真は、片方がベガのはずが両方ともサガットを思わせるようなパンツ姿でスキンヘッドの男性となってしまっている((これに関しては『ダッシュ』以降も同様である。))。 -キャラクターの性能差が激しい。 --キャラクターそれぞれに長所短所はあるが、性能を突き詰めていくと前述の通りガイルとダルシムがぶっちぎりの2強で次点は春麗。この3人が強キャラ扱いされる一方で、最弱はザンギエフ、次いでリュウ(ケン)という状況で、プレイヤーの腕よりもキャラクターの性能で勝負が決まってしまうという意見も珍しくなかった。 //---これに加えて飛び道具を連射されただけでほとんど詰む本田も弱キャラ扱いされる事が多く、8人のキャラクター間には最強とされるツートップに始まり、辛うじてツートップとも渡り合えるキャラが1人、強キャラ弱キャラどちらとも言い難いキャラが1人、弱キャラが4人(しかも最下位と他3人にもかなりの差がある)という露骨な格差が生まれている。 //本田はガイルとダルシムには辛いがリュウケンには五分~有利だし、飛び道具持たない3キャラには圧倒的でむしろ強キャラの部類だぞ ---特にダルシムとザンギエフの対戦ダイヤグラムが''10:0''であることなどはよく批判の対象となる((ちなみによくネタにされるガイルとザンギエフですら、対戦ダイヤグラムは8:2である。))。 --カプコンもここまで対戦人気が出るとは思わなかったのだろう。そもそもリュウ・ケン以外は同キャラ対戦が出来ない(そのリュウ・ケンでさえ完全な対等ではない)。 -対戦プレイ人気の弊害。 --鉄壁とも言えるガイルの「待ち」や、ダルシムやザンギエフを筆頭に大半のキャラクターで可能な「投げハメ・掴みハメ」、特定のキャラが使える「気絶ループ」などの一方的な戦法もあり、当時まだまだ風紀の悪かったゲームセンターでは騒ぎが絶えなかった。 ---ダルシムはレバーを入れっぱなしでヨガスマッシュが延々と入り続ける通称「折檻ハメ」を持ち、ザンギエフも難易度こそ高いがスクリューパイルドライバーを応用した通称「スクリューハメ」を持つ。 ---ガイルはただでさえ最強なのに弱パンチ連打で相手を気絶~気絶に持っていけるハメ技、通称「フラッシュピストンマッハパンチ」を持ち、一方で最弱のリュウ・ケンですら小足払い連打で同様のことができる、通称「ダーク」というハメ技を持つ。 --また、強いプレイヤーが勝ち続けることで延々と台を占領し続けてしまう事例や、弱いプレイヤーを狙う初心者狩りなども横行し、「100円投入直後乱入→手も足も出ず即ゲームオーバー」という初心者お断りな風土が構築されてしまう土壌もあった。 --もちろん、これらは作品そのものというよりプレイヤーのモラルの問題ではあったが。 ---もっとも「強いプレイヤーが占領する」ことに関しては「上手いプレイヤーに粘られてインカムが1時間100円」と言う事態も発生した他のゲームと違い、「どんなに強いプレイヤーが居ようとも、対戦で負けたプレイヤー側のクレジットで稼げる」本作はオペレーターにとっては嬉しい仕様であり、故に対戦台がドンドンと増えていったのだが、腕の無いプレイヤーにとっては「100円で数分しか遊べないゲーム」という認識も強く残ってしまった。 -強の連打系必殺技は連射装置でもなければまともに出せないほどボタン超連打が必要であり、人力で発動できるのは中までが限度。後述の家庭用でも同様である。 **総評 前作をはじめ格闘ゲームの存在がなかったわけではなかったが、当時のアーケード界は依然としてシューティングゲームやベルトスクロールアクションが主流のままだった。そのような中において本作が登場したことは、その後の時流を大きく変えてしまうほどの意味をもたらすこととなった。~ ストIIの他のジャンルに対する優位点としては、回転率、時間あたりの満足度、初心者の入り易さにおいてであり、特に無機質なゲームが多かったシューティングゲームと比較するとキャラクター性においても優位に立っていた。これらはプレーヤーとオペレーターの双方から歓迎された要素である。~ 本作の大ヒットにより他のメーカーもこぞって格闘ゲームを製作するようになり、その結果、格闘ゲームはアーケードゲームの主流に一気に躍り出ることとなる。~ それほどまでに革命的・革新的な作品であったことは、まさに疑いようのないことである。 **その後の展開 -本作が大ヒットした結果、ゲームバランスやグラフィックなどを変更した様々なバージョンアップ作品がリリースされた。~ 詳細は以下を参照。 --''[[ストリートファイターII']]'' (「ダッシュ」~「ターボ」) --''[[スーパーストリートファイターII]]'' --''[[スーパーストリートファイターIIX]]'' --''[[ハイパーストリートファイターII]]'' --''[[ウルトラストリートファイターII]]'' **余談 //些末な余談が多いとの指摘があったので、一部co,短縮を実施 -格闘ゲームブームを巻き起こした本作は「ストツー」の愛称で親しまれた。 --それに伴って上記の通り「'(ストツーダッシュ)」「'ターボ(ストツーターボ)」「X(ストツーエックス)」などマイナーチェンジが多数誕生し「何年にもわたり『II』ばかりが何度も出る」という異例な事態となった。 ---このため最初の「無印ストツー」が実質「I(ワン)」のような位置付けとなりいつの間にか「ストリートファイターII」=「ストツー」から「ストリートファイター」=「ストツー」のような錯覚も生まれ、実に4年後となる1995年にやっと『II』と付かない『ZERO』、そして6年後の1997年にはやっとナンバリングが進んだ『III』が出たのだが、長年「ストツー」という呼称が定着しすぎたためか巷では「ストツーゼロ」「ストツースリー」などと珍妙な呼称をされたこともあった。 --格闘ゲームのストーリーもナンバリングの進行に伴って少しずつ進んでいくものであるが、初期は『II』がメインで展開しており(ストーリー性自体もそこまで重視されていなかった)ことに加え、各タイトル自体が時系列順に進んでいるわけではないためストーリーの展開自体はかなり遅い。 ---作品間で設定に矛盾があるためあくまで目安だが、時系列は『I』→『ZERO』→『II』&『EX』→『IV』→『V』→『III』→『6』の順。現実と同じ時間軸なのは『I』『II』『III』(それぞれ無印基準で)((キャラクターのプロフィールを見ると明白でリュウは生まれが昭和39(1964)年、ケンが1965年、最年少級の春麗でさえ1968年、最年長のダルシムに至っては1952年。仮にすべて現実の時間軸と並行で進んでいたとしたら『V』が2016年登場なので最年少の春麗でさえ48歳と明らかに現役でバリバリ闘える年齢ではなくなっている。))。 ---また『II』のマイナーチェンジ連続登場は1994年まで続いたのだが、あくまでゲーム中の時代設定は無印が登場した1991年のまんまなのでザンギエフは現実でソ連崩壊(1991年12月)後に出た「'」以降も変わらず「ソ連代表」となっている(以後ストーリー上の時間軸で『II』の後になるものでは「ロシア代表」)。 //-屈指の人気を誇り、後に続く女性格ゲーキャラの走りとなった紅一点の春麗は『週刊少年ジャンプ』の人気漫画『聖闘士星矢』に登場する「紫龍」の彼女「春麗」(こちらの読みは「''シュンレイ''」)とまったく同じ漢字表記である。 //--聖闘士星矢の方が圧倒的に先口で一時代を築いた屈指の人気漫画だったこともあってか、本作が登場したばかりの頃、巷では春麗(チュンリー)が「シュンレイ」と先述の漫画に準じて間違った呼称をされたことが多々あった。 //---言うまでもないが途中から変わったわけではなく当初から呼称は「チュンリー」で画面を見ると「CHUN LI」と発音のわかる英語表記もあったのでわかる人にはわかっていたがインストラクションカードには漢字表記しかなかったことや、抜群の人気を誇った上記漫画の先行印象、わざわざ読み慣れない英語読みを意識しない人(そもそも英語が読めない人もいた((小学校での英語教育の必修化は2011年から。1991年当時でも特別な塾などで小学生が英語を習える環境はあったものの特に重要視しない親も多かったため小学生にとっては疎遠なものだった。)))も珍しくなかったので彼女は「名前を正しく呼んでもらえない事態」に見舞われた((「春麗」は中国語読みでは「チュンリー」で日本語読みでは「しゅんれい」であっているのだが、当時の日本では中国人の名前の中国語読みが定着していないのも輪をかけたといえる。))。 //---その後、次第に人気が高まるに連れて様々なメディアで取り上げられ、テレビなどでは彼女の読みもちゃんと発音され、書籍ではカタカナでの「チュンリー」表記も増したことでそのような誤読は自ずとなくなっていった。片や上記の聖闘士星矢自身は後々まで高い人気を誇った作品ではあるが春麗(シュンレイ)自身は完全に脇役の部類なので現在ではむしろ「春麗=チュンリー」がデフォルトになっている。 -海外版ではシャドルー四天王の名前の入れ替えが行われている。 --「M・バイソン」が実在のボクサーであるマイク・タイソンを露骨にモデルにしているため、海外版では肖像権の問題で名前を自粛することになった。 ---それに加えて、「ベガ」はこと座で最も明るい恒星の名前で世界的にも女性的なイメージの強い星である((日本でも「織姫星」として知られる))こと、「バルログ」も『指輪物語』の屈強な魔神の名前であることから、欧米圏ではイメージに合わないと判断され、既に『ストI』に出ていたサガットを除く3人の名前がシャッフルされることになった。 ---その結果、黒人のボクサーが「バイソン」→屈強なイメージの「バルログ」、スペイン人の仮面の忍者が「バルログ」→女性的な「ベガ」、そしてシャドルー総帥が「ベガ」→突進するイメージから野牛の「バイソン」に割り当てられた。 --非常にややこしいため、国際的に言及する際には「Boxer(ボクサー)」「Claw(爪)」「Dictator(独裁者)」と各人の特徴で呼ばれることもある。 --なお、後の『ヴァンパイア』のように名前自体を変更するのではなくシャッフルとなったのは、名前部分がグラフィック素材であったため、基板のコストの関係でデータを直接書き換えるよりはプログラムのみを小手先で弄って内部的に入れ替えるのみに留めたためとされている。 -大ヒットゲームということもあってか、アニメや映画といったメディアミックスも多く展開されている。 --ジャン・クロード・ヴァンダム演じるガイルを主人公にしたハリウッド版映画が有名で、こちらの映画をベースにゲーム化も''2[[度>ストリートファイター リアルバトル オン フィルム]]''(ACとCS機)されている。 --ジャッキー・チェン主演の香港映画「シティーハンター(同名の日本漫画の香港映画版)」に''ゲームコーナーで乱闘中、ゲーム筺体を破壊して登場人物がストIIキャラに変身して乱闘する''というシーンも存在。''春麗のコスプレをしたジャッキー''のシーンはあまりにも有名。%%似合うのが恐ろしい。%% ---94年に劇場アニメが公開された他、翌95年にはTVアニメ『ストリートファイターII V』が放送。ただし劇場版とは異なりキャラクター設定が異なるなど、アニメオリジナル要素が色濃い。~ 後者はの読みは「ストリートファイターツーブイ」なのだが初見などで「ストリートファイターツーファイブ」と誤読されたこともある。 --同年のアメリカではガイルを主人公としたアニメシリーズも放送されている。長らく日本国内では未公開だったが、2019年からAmazonプライムビデオなどの動画配信サイトで字幕版が配信している。%%海外制作だけあってキャラデザが実にメリケンチックで濃いものと評判%% --また、俳優や芸人など、多くの著名人が本作のコスプレをしたりゲーム内容をネタにするなどしていた。 -キャッチコピーの「俺より強い奴に会いに行く」は有名だが、このゲームの乱入対戦普及にて、当時の中高生男子の心を鷲掴みにした名文句でもある。 --しかし、乱入対戦で負けるとコンパネを乱暴に叩く・筐体を蹴る等のストイックとは言い難い態度を取る男性プレイヤーも多かったため、「''俺より弱い奴に会いに行く''」等とも皮肉られていた。 //-2015年の2月19日にアメトーーク!!にて「ストリートファイターII芸人」が放送された。相当なガチメンバー揃いで観客席が若干引く程であった。DVD化されているので視聴可能。 //-様々な有名人が春麗のコスプレに挑戦している。 //--ジャッキー=チェン氏は映画のプロモーションでの来日でも更にノリノリでコスプレが行われている。 //--日本人で有名なのは、アメトーークの「ストリートファイターII芸人」での佐藤かよの出演時のコスプレ。完成度の高さと、ストIIの腕前の高さ((元々街の対戦台でも連勝を重ねる、相当なアーケード格闘ゲーマーとして知られている。ただ、負けるとちょっとキレ気味になる癖があって、生放送界隈では「かよぽりす」ならぬ「キレぽりす」なる綽名がついたりもしていたが…))はニワカファンとの格の違いを見せつけた。 //--意外な所ではハイキングウォーキングのQ太郎の「スリットに殺意の波動が見える」コスプレ。何故か男性が挑む事が多い上に皆やる気満々なのが凄い((デリケートな所ではあるが佐藤かよは元男性である。))。 //--女性芸能人もコスプレした方はいる((高橋みなみ、秋元才加、仲村みう、南明奈…等))。元祖ゲーマーアイドル・千葉麗子はSNK格闘の仕事のイメージが強いが、コスプレ仕事は春麗から。 //グラドル篠崎愛さんは、厳密にはコスプレでは無いが、ストリートファイターIIのイラストレーターがグラビア写真に勝手にフォトレタッチで春麗コスを描き足した作品がある。 //発売された当初~対戦ブームの兆しがでるまでの頃にやたら言われたのが「1作目の圧力センサーでやりたい」というもの。連打系キャラはどうしろというのか…。 -「対戦台を背中合わせに作る」というのでブレイクスルーとなったが色々エピソードもある。 --2台繋いでの対戦台を作る為の2P用ハーネスは当時、店舗や各社の技術部門や従業員のハンドメイドで作られた。ボタンとレバーだけでなく音声やモニター、GND…JAMMA規格のあの複雑な端子からのコードひとつひとつを分配して…とかなり大変な工作だったという。 //---一時期にその為の「ストIIケーブルを作る為の部署」を作ったメーカーもある程。 //--2P側が通常慣れない反対操作に対応する為にブラウン管モニターの裏側の高圧で危険な箇所の配線組み換えを行い、左右ミラーで表示させる荒技を駆使する店もあった。 //--これまではレバーは一体型でのパーツだったが、コマンド操作でレバーの中の内部部品(2方向、4方向、8方向入力に対応させる為の板)が何倍もの速さで擦り減る為に、レバー丸ごと交換だったのがこの内部パーツが用意されるきっかけになった。 //--汎用筐体は通常ドアはフロントのみだったのが、対戦ハーネスを通す為に裏側にドリルなどで穴を開けて通さねばならなかった為、ストII後の汎用筐体はバックドアの標準装備が急速に増えた。 //--汎用筐体は1P2Pが横に並んだコンパネが普通だったが、この背中合わせにすると2人用では狭い為に、1人用コンパネがオプションで作られた汎用筐体や、元々あっても殆ど使われなかった1人用コンパネの需要が急激に上がった。 //--使わないボタン穴を埋めるパーツはこれまでも存在していたが、対戦台になると1P側は2Pスタートボタン、2P側はその逆と一回り小さいスタートボタンサイズのスイッチガードが必要になった。 //---この一回り小さいスイッチガードが製作されるまで、ボタン内の装置を外して凹んだ状態にした「死にボタン」を作る等で対応された。 //--筐体ではないが、この背中合わせ対戦台を作った場合、2P側にインストカードや技表が無いという短所が発生した。これはインストカードをカラーコピーなどで対応されたが、当時の文具店などでのカラーコピー料金は今よりもはるかに高い金額で経費の負担に苦労した((当時のカラーコピーは主に文具店設置の相場で500円。現在の平均50円の10倍であった。ちなみに、この例は他にも「ビデオレンタルがかつては2,000円、現在では旧作なら100円」等ある。))。特に技表は横に長く、コピー1回では長さが足らず、二度取りして工作するなどの必要があった。 //---その為か、ストII以降のインストは標準で複数作られるきっかけになった。 //--2P側は基本的にカラ筐体になるが、当時の法律でゲーム基板が入っていない筐体は取り扱い上違反とされる為に、特にゲーム機集金伝票上は筐体内には使用されない余りの基板を入れ、しかも別ゲームの名前で取り扱う等ややこしい扱いがされた。当時、風営法で警察に定期的に届ける図面上の取り扱い上苦肉の策だったが、その未使用基板の所在が不明になるなどの問題点も多かった為に、カラ筐体での2P台を提出可能にする等の協議があった模様((警察が絡む一件の為に、店や運営会社の一存で出来なかった為にこれは数年かかったとの事。))。 //文章が長すぎる上にマニアックすぎる。そこまで詳しく解説する必要はない -名作故にBGM楽曲も後々リスペクト作品などが取り上げられることが多く、特にケンステージをモチーフにした作品が多い。 --2019年にはシンセバンド「ザ・リーサルウェポンズ」がケンステージのアレンジにストIIあるあるを歌詞にして歌った「昇竜拳が出ない」のMVがYouTubeで公開された。 ---当時は無許可でやっていたらしく、8月頃に自粛の意味を込めて作詞・作曲担当のアイキッド氏に非公開にされたものの、11月頃にカプコン・下村陽子氏双方にしっかり許可を得て、歌詞とMVを一部変更した「昇''龍''拳が出ない」が公開。こちらはミニアルバムにも収録されている。 ---この後もリーサルウェポンズはカプコン公認のコラボ企画等も開催している。 --海外では、クソゲーレビュー動画で有名なAVGNことジェームス・ロルフ氏が仲間とともに「Mighty Wings and Hadoukens」というMVを公開。 ---こちらは「映画トップガンのテーマ曲『Mighty Wings』とケンステージのBGMの最初が似ている」という小ネタから派生したマッシュアップ楽曲となっている。 --一方で下村氏本人はスクウェア移籍直後に担当したRPG『[[ライブ・ア・ライブ]]』の格ゲーモチーフのシナリオ「現代編」の戦闘曲として露骨に『ストII』''風''を意識した楽曲「KNOCK YOU DOWN!」を作曲したり、音楽ゲーム『[[pop'n music>ポップンミュージックシリーズ]] 13 カーニバル』にて作品テーマの1つである「ゲーム音楽」というお題に沿って、ジャンル名「格ゲー」としてケンステージ''風''の楽曲「Majestic Fire」を提供したりしている。 --「ヒャダイン」こと前山田健一氏もアマチュア時代に今作をイメージした楽曲を投稿しており、こちらは楽曲のアレンジではなくSFC版の効果音やボイスをサンプリングしたイメージソングとなっている。 -岡本吉起((本作のプロデュースを担当した人物。後に大ヒット作『モンスターストライク』を手掛けている。))chにて語られた逸話に「ザンギエフが弱いのは''ロケテストの時にザンギエフで86連勝されたから''」というものがある。 --SNKがロケテストで連勝している人にこっそり出向いて挑んで連勝ストップさせるというのは有名だったが、カプコンも同じ事をやっていた。それでも止められなかった故の調整となった。「おかげでザンギエフはマニアックなキャラクターとして確立出来た」と結果的に良かった旨を語っている。 -人気タイトルの常として、本作にパチンコ・パチスロ版もリリースされた。 -- SANKYOからパチンコがCR機で『CRフィーバースト2』(スペック)、現金機で『フィーバースト2』がとして2001年にホール導入。 -- 2005年にアリストクラートテクノロジーズから『ストリートファイター2A』がホール導入された。 --カプコン系のパチスロ販社エンターライズから同社パチスロ第1号『春麗にまかせチャイナ』が2008年にホール導入。 ---本来の主役であるリュウやケンを押し退けて春麗を主役に抜擢しており、彼女の人気の高さがうかがえる。 //パチンコ、パチスロ版に関する詳述や評価の記載はルール違反ですのでお控えください。 ---- *家庭用移植版 **ストリートファイターII (SFC版) |ジャンル|対戦格闘アクション|CENTER:&amazon(B000068HLY)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3258&file=ST2A.jpg]]&br()[[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3258&file=ST2B.jpg]]| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|16MbitROMカートリッジ|~| |販売・開発元|カプコン|~| |発売日|1992年6月10日|~| |定価|9,800円|~| |セーブデータ|なし|~| |レーティング|【VC】CERO:B(12歳以上対象)|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2006年12月2日/800Wiiポイント(税5%込)&br()【WiiU】2014年6月25日/823円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 (SFC) 容量の都合でいろいろ削っている部分はあるが、スーパーファミコンという性能では大幅に劣る機体に対しての移植としては非常に高い移植度であり、アーケード版の人気もあって爆発的な売り上げ(288万本でハード別ランキング歴代5位)を記録。その知名度はAC版以上とも言える。 格ゲーの元祖、極初期の作品であるため、ゲームモードは「アーケードモード」と「VSモード」の2種のみというシンプルなものだった。 **評価点 (SFC) -概要で述べたとおり、移植度が非常に高い。 --グラフィックパターンの省略やBGMのテンポチェンジの省略等の変更点はあるが、それ以外はほぼ忠実にAC版を再現している。 --上述のように当時のゲームセンターは風紀の悪さがあり小中学生などにとってはおいそれとは行きづらい面があったが、そういったゲームセンターに行きづらい層にも家庭で気軽にプレイできる環境を提供できたという点でも意義が大きい。 -スペックの劣るSFCでの発売ということで、発売前に一部のキャラクターが削られるのではとの憶測が流れたものの、蓋を開けてみればそんな事はなく無事AC版の全キャラクターが登場している。 -裏技でAC版では不可能だった「同キャラ対戦」が可能。2Pカラーはすでに稼働していた『ダッシュ』に準拠したものというサービスぶり。 --また、この裏技を有効にするとCPUが2Pカラーに変化する。 -BGMは全曲アレンジ、SEも大半が別物に変わっているがどれも良質。SFC版のサウンドの方が耳に残っているという人も多いのでは。 --BGMに関しては、SFCではACの金属音のような音を出すことは不可能であったための措置であるが、その分、SFCで得意とされる生楽器によるアコースティックな音色の表現を惜しみなく活用し、原作と同等の「そのキャラクターらしさ」の表現に成功している。 ---楽曲のフレーズ自体はAC版の物をほぼそのまま踏襲しているが、サガットステージのBGMは後半に新規フレーズが追加され、1ループ辺りの演奏時間が長くなっている。この追加パートは後に『スーパー』よりAC版シリーズにも逆輸入された。 --ピンチ時にテンポが速くなるBGMについてはAC版では異なるアレンジが施されているが、こちらは単純に原曲のテンポを上げただけになっている(そのため、通常時から通しで演奏される)。 --技の強弱によって声の高さが変化するというAC版にない要素がある。 --ED曲はAC版ではコンティニューの流用だったが、SFC版では当時稼働していた『ダッシュ』のED曲に差し替えられている。 **賛否両論点 (SFC) -本作は初移植作かつ移植先がスペックの限られたSFCということもあり、AC版のグラフィックやサウンドに忠実な移植がされていない部分が所々で見受けられる。 --各ステージの背景はダルシムステージの象が左右1頭ずつ足りない、ブランカステージやガイルステージの背景にいるキャラクター人数が少ない、バイソンステージの女性の衣装が異なるなど、移植の際に変更・簡略化された要素が多い((逆に、エドモンド本田ステージに設置されている提灯の数だけは、AC版が1個だけであるのに対し、SFC版では次作『ターボ』も含めて2個に増えている。これは後に『ハイパー』で再現されている。))。 --キャラクター選択時のグラフィックでは春麗の服の色がオレンジ色から青に修正された。ベガは赤一色だった服の色が修正され、帽子の星の徽章が後にシャドルーのシンボルとなる「ドクロと翼」に変更された。 --「You Win」などのアナウンスやダルシムステージの象の鳴き声など、ボイスやSEは削除や変更されたものが多い。打撃のヒット音やダウン時のSEなどはAC版より派手になっているが、ガード時のSEは軽くなってしまった。 --AC版におけるボーナスステージは車→樽→ドラム缶の順番で登場していたが、SFC版ではドラム缶と樽がカットされた代わりに新たにレンガが追加された。 ---差し替えとして登場したボーナスステージのレンガの内容は制限時間以内に積み上げられたレンガの山を全て破壊することだが、やっている事が車とほとんど一緒なのでAC版のファンから批判されてしまった。 ---ボーナスステージのレンガは同ハードにおける『TURBO』以降のバージョンでも引き続き採用されていたどころか、『スーパー』ではSFCというハードを飛び出してメガドライブ版にも実装されている事から、ある意味では当時の家庭用移植作品の象徴ともいうべき存在として位置づけられている様子。~ その一方で、本作でカットされたボーナスステージのうちドラム缶は当時リリースされていたハードの多くにも収録されず、結局PC機器以外のハードでドラム缶が実装されるのはプレイステーションやセガサターンといった32ビットハードの時代まで待たなければならなかった。 --各キャラクターの個別EDは内容こそAC版とほぼ同一だが、いずれのEDもグラフィックがAC版から差し替えられてしまった。 ---この点に関してはAC版のファンからは忠実度に欠けるなど批判されているが、『TURBO』以降のバージョンの移植では基本的にアーケードの物を忠実に再現した内容に変化している事から本作独自の味が出ていると評される事がある。 ---もっとも、AC版の問題点の項にある通り、AC版のEDのグラフィックには雑な部分が見受けられていた事から、移植の際にEDを描き直す事は必然的だったと言える((事実、AC版で物議を醸していたイライザのグラフィックは移植の際にマトモな姿に修正されている。ちなみにSFC版初代のケンのEDはケンとイライザがタキシードとウェディングドレスを着るシーンのかわりにケンがイライザを教会に連れていくシーンに差し替えられている。))。 -AC版とゲーム性が異なる部分もある。 --一部の通常技や特殊技が削除された。また一部の技はグラフィックを他の技のもので代用しているが、リュウ・ケンの垂直J弱Kのように当たり判定が変わったものもある。 --吹き飛びの距離が長くなり、起き攻めでめくることが若干やりにくくなった((例えばリュウ・ケンで密着してしゃがみ強K→前方ジャンプとすると、AC版では相手の裏に回るがSFC版は相手の手前に着地する。))。 --リュウ・ケンの近強Kが全キャラに2ヒットする。 --ブランカのしゃがみ弱・中Kがキャンセル可能になった。 --ザンギエフの通常投げの間合いが狭くなったほか、垂直J中Pと強Pの性能が入れ替わっている。 **問題点 (SFC) -スーパーファミコンのコントローラーの都合上、どうしてもボタン同時押しとレバー1回転コマンドが出しにくい。このためザンギエフはますます使いにくいキャラクターになってしまった((この点を考慮してか、カプコンから発売された別売り対応ジョイスティック「CPS(カプコンパワースティック)ファイター」を接続することで、AC版と同じ感覚で操作が出来るが、価格が本作と同額の定価9,800円(税別)であったため、誰でも手軽に入手するのは難しかったようである。))。 --ただし、逆に波動拳や昇龍拳は出しやすいので一長一短とも。 --ボタン3つ同時押しコマンドはボタン2つ同時押しでも出せるように変更された。この仕様は後のシリーズの家庭用移植版でも採用されている。 ---しかし出しにくさの原因は同時押しコマンドの猶予の無さ(1フレームでもずれると成立しない)にもあるため、根本的な改善には至っていない。 **総評 (SFC) アーケードよりもはるかにスペックの劣るハードながら、ほぼ遜色ない忠実な移植を実現し、家で練習してACで実践という流れを生み出したことでアーケード版の活況に献身し、またゲームセンターに行きづらい層にも家でプレイできる環境を提供したことでストIIそれ自体の大衆化にも貢献した良タイトルである。 **余談 (SFC) -1992年には全国大会がこのSFC版を用いて''両国国技館''で開催された。翌年にはターボ、その翌年にはスーパーの大会も開催された。 -ゲーム中にスタートボタンを押してポーズしたときの謎の掛け声(ゲーム中の投げボイスなどを組み合わせたもの)が非常に個性的。その後SFC版『TURBO』など、いくつかの移植作でも似たようなものが採用された。 --例えば本作のものは、文字に書き下ろすと「ファッファッファッ フゥーン↑フゥーン↓フゥーン!!」といった感じ。ポーズ解除時は試合開始と同じく「FIGHT!」のボイスが入る。 -ベガに敗れた際に表示されることがあるセリフの一部に誤植があり、「あかごのほうがはごたえあるわ! ちからなきものはみるのも''けがわらしい''!!」となっている(「ら」と「わ」が入れ替わってしまっている。これは開発スタッフによる失策であろう)。 --このSFC版『ストII』のみの仕様であり、AC版や『ダッシュ』『ターボ』等では「けがらわしい(汚らわしい)」と正しく表記されている。 -取扱説明書の12ページに載っている「ゲームルール」項目の表記の一部に誤植があり、「5ラウンド目を最終ラウンドして…」となっている。 --実際のルールでは「4ラウンド目」が最終ラウンドであり、この説明書の表記は後に修正された。 -徳間書店の「ファミマガ」こと『ファミリーコンピュータMagazine』におけるゲームの5段階評価を付けて集計する「ゲーム通信簿」では30点満点中26.70点の高評価で同年9月に発売された大作RPG『[[ドラゴンクエストV 天空の花嫁]]』の26.29点を上回り1992年度1位に輝いた((『ファイナルファンタジーV』(27.91点)も同じ1992年発売だが12月のためファミマガの年度では1993年度となる(1992年度は1991年12月~1992年11月)。))。 --実は1986~1991年度までの6年中では1989年度ゲームボーイ部門の『[[対戦型テトリス>テトリス]]』((因みにゲームボーイの1989年度はRPGが1つもなかった。初のRPG『魔界塔士Sa・Ga』(スクウェア)は1989年とはいえ12月発売なのでファミマガの年度では1990年度となる。))を除いて、すべてトップはRPGに占められており(1986年度グランプリの『[[ゼルダの伝説]]』はアクション要素はあるが徳間の区分ではRPGに分類されている)純粋なアクションゲームが年度のトップに輝いたのは本作が初だった。 ---- **その他の移植版 -ゲームボーイに移植されていたのだが、ほぼ公式の黒歴史と化している。 --そちらは''[[ストリートファイターII (GB)]]''を参照。 -その他、当時から考えてもとんでもない程無茶をしている移植が多い。こちらを見れば、如何にSFC版が優秀であったかがお分かりであろう。 --その移植のほとんどが、カプコンではなくU.S. Goldおよびその下請け会社によって行われたという事情もあるにはあるが。 -2018年にSwitch/PS4/One/Winで配信された『[[ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション>ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル]]』にAC版が収録。前述のバージョンアップ版のほとんども収録されている。 -2021年にSwitch/PS4/One/Winで配信された『[[カプコンアーケードスタジアム]]』にAC版が収録。こちらは『TURBO』『スパIIX』も収録されている。 #region(動画) &nicovideo2(https://www.nicovideo.jp/watch/sm10470587) #endregion -SS・PSでは1998年に『カプコンジェネレーション~第5集 格闘家たち~』に『[[ストリートファイターII']]』『ストリートファイターII'ターボ』と共に収録されて移植された。 --初代に関してはほぼ完全移植であり、新たに追加された「ス-パーバーサス」にてAC版では不可能だった同キャラクター対戦も可能となっている。またガイルの「真空投げ」が再現されている唯一の移植作でもある。 --PS版はゲームアーカイブスで2016年に配信されている。 //**開発秘話など //#region(動画) //&nicovideo2(https://www.nicovideo.jp/watch/sm8102246) //#endregion
#contents ---- *ストリートファイターII 【すとりーとふぁいたーつー】 |ジャンル|対戦格闘アクション|&image(https://www.capcom-arcade-stadium.com/assets/images/ja/modal/logo_title20.png?w=736&h=414&pr=2,height=160)| |対応機種|アーケード(CPシステム)|~| |販売・開発元|カプコン|~| |稼働開始日|1991年3月|~| //↑2月14日説もあり。https://twitter.com/Sora_Sakurai/status/1360785844731326465 |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ストリートファイターシリーズ]]''| ---- **概要 格闘ゲームの代名詞たる「ストリートファイター」シリーズの第2作。 格闘ゲームブームの火付け役となり、「格ゲー」というジャンルそのものの地位を高めた、ゲーム史に燦然と輝く記念すべき一作。 本作は、感圧式ボタンという特殊デバイスを搭載し対人戦をテーマとして制作された格闘アクションゲーム「[[ストリートファイター]]」の続編だが、システム面で大幅な改良を施された結果、対人戦の駆け引きはそのままに前作と大きく異なるゲーム性となった。~ レバーと複数のボタンを駆使して戦うという基礎的な部分は既に本作で確立されており、これ以降のシリーズの実質的な初代作品となると共に、格闘ゲームというジャンル全般のスタンダードともなったといえる作品である。 個性豊かな8人のキャラクターから1人を選択し、他の7人とCOM専用キャラクターの四天王を倒すべく戦う。 **システム -様々な性能の8人のキャラクターから1人を選択する。キャラクターは体力・攻撃力以外にも通常技の性能や必殺技が異なる(詳細は後述)。 -1レバー6ボタン式。ボタンはパンチとキックに分かれており、更にそれらが弱・中・強に分類されている。 --レバー前((キャラクターが右向きの場合の右方向を指す。左向きの時は左右逆になる。))で前進、上3方向への入力でその方向へジャンプ、下3方向への入力でしゃがむ。レバー真後ろは後退と立ちガード、レバー後方斜め下でしゃがみガード。 --ボタンは弱<中<強の順に威力が高くなるが、その分隙も大きくなるので使い分けが必要。 --相手の近くでレバーを横に入れながら中・強の攻撃ボタン((全キャラ必ず1つは投げ(つかみ)技を持っているが、同様の入力で特殊技が出るキャラクターもいる。))で、相手をつかんで投げることができる。 ---投げはガードができないため、防御を固める相手を崩して攻撃する手段だが、射程が短いため相手に近寄らなければならず、打撃による迎撃に弱い。これにより「打撃・ガード・投げ」による3すくみの読み合いが生まれ、対戦格闘ゲームの黄金律が完成した。 --必殺技は、主にレバー入力とボタンの組み合わせで発動する。ボタンの強さに応じて必殺技の威力や性能も変化する。 ---「波動拳」「昇龍拳」「ボタン連打」「レバー溜め」「レバー1回転」といった入力コマンドは後の数々の対戦格闘ゲームに受け継がれている金字塔。 ---余談だが、本作の稼働当時は波動拳や昇龍拳コマンドが多くのプレイヤーにとって難しく、ボタン連打やレバー溜めコマンドを持ったキャラクターが初心者向けという扱いだった。 -攻撃を受けていると隠しパラメーターの「気絶値」が溜まり、連続で攻撃され続けることで気絶状態となり、しばらくの間よろめいてしまう。この状態では無防備になり、相手の攻撃を食らい放題になるが、レバーを激しく動かす(通称レバガチャ)+ボタン連打によって復帰を速めることが可能。 --この気絶要素も数々の対戦格闘ゲームに受け継がれている。 --ちなみに、気絶状態になることを「ピヨる」と表現するようになったのも本作からである((気絶状態になると、ヒヨコがピヨピヨと鳴きながら(?)頭上を動き回る演出が発生することが由来。))。 -技の硬直中や技の出ている最中に、他の技の操作入力を行うことにより、硬直や手足の戻りモーションを強制的に終了して(キャンセル、つまり無かったことにして)次の行動を繋げられる。 --後に「キャンセル技」と呼ばれ、定着したシステム。開発時におけるバグの産物で意図した動作ではなかった((必殺技を出しやすくするため、通常技モーション開始後に短時間のコマンド受け付け時間を設けており、仕様では通常技空振り時のみキャンセル必殺技が出るはずだったが、バグによりヒット時もキャンセル可能になった。))のだが、面白いと言う事でそのまま仕様として残された。今日では、対戦格闘ゲームには不可欠の要素となっている。 -上記のキャンセル等を利用した連続技(コンボ)。 --リュウ・ケンの「(裏当て)ジャンプ強キック→立ち強パンチ→キャンセル昇龍(波動)拳」が有名。(裏当て)ジャンプ強キックを低めに当てれば、必殺技まで相手はガードできずに食らう。 --本作ではおおむね3段のコンボが中心((ガイルには弱ソニックブームとジャンプ技を同時に当ててから開始する5段や7段もあるが、成立する状況は限られる。))。キャンセルではなく前の技モーションが終了した瞬間に次の技を出して繋げる「目押し」コンボも多い。 --本作は1発の攻撃力が高く、3段であっても大量に相手の体力をもぎ取ることができる。さらに相手を気絶させる可能性もあり、たとえ短くても必殺技で〆るコンボの習得は大きなアドバンテージを持っていた。 -2人対戦プレイが可能。CPU戦をプレイしている最中にプレイしていない側がコインを入れゲームを始めると乱入となり、キャラクターを選んですぐに対戦が始まる。乱入を拒否することはできない。 --稼働直後は、1ゲームで終わる恐れもある対戦は敬遠されがちだったが、次第に対戦こそが本作の醍醐味と認識される。 //『ダッシュ』発売以降は対戦台((背中合わせにした2台の筐体に画面出力することで気軽に乱入が出来るようにしたもの。))も登場、ゲームはより大きく盛り上がった。 ---一方、オペレーター側も短い対戦で(負けた)プレイヤーが入れ替わるため、インカム的に優良であり、対戦がなおさら推奨された。 --同じキャラクター同士の対戦はできない。リュウ・ケンのみ実質的な同キャラ対戦ができたが、仕様の問題で多少ケンが有利(「キャラクター」の「ケン」の項を参照)。 **キャラクター #region(8人+4人の登場キャラクターたち) ''リュウ'' -漢字表記では隆。空手ベースの技((ねりちゃぎといったテコンドーの技も含む。後に架空の暗殺拳という設定になった。))を使う格闘家。袖を破り取ったノースリーブの胴着に赤い鉢巻という出で立ちで、ひたむきに強さを追い求める求道者というキャラクター。 -飛び道具の「波動拳」、上昇中無敵の対空技「昇龍拳」、突進技の「竜巻旋風脚」という3種の必殺技を持ち、通常技にもクセがない。 -波動拳で相手を飛び込ませて昇龍拳で落とす「波動昇龍」という手堅いセットプレイにより安定した強さを誇っていたが、気絶中の前傾姿勢の時に2倍ダメージを食らうバグが存在し、研究の結果最終的には下位グループに落ち着いた。 -本作の大ヒットにより、今や「格ゲー」全体の顔・看板ともなったキャラ。リュウの存在により、「格ゲー主人公は飛び道具・対空・突進技を持つ」という一つの様式が生まれた((ただし、竜巻旋風脚は一般的な突進技とは言い辛いので、『餓狼伝説』の3主人公の影響と言う意見もある。))。 ''ケン'' -リュウのライバル。漢字表記では拳((初代では日本人という設定だが、後に「日系クォーターで本名はケン・マスターズ。『拳』は修行時代に師匠から授かった名」と改変された。))。赤い胴着に金髪(眉毛は黒)で、技や性能はリュウとほぼ同じだが、投げ技の地獄車や隠し設定の弱点がリュウと異なる。 -リュウと同じ技を持つため同じ戦法が取れるが、上記のバグやその他の細かい有利((K投げの地獄車の移動距離が長く相手を端へ追い込みやすい、立ち強キックがわずかに速い。))も手伝って、性能面ではわずかにリードしている。 ''エドモンド本田'' -歌舞伎の隈取を施した相撲ファイター。番付は1994年頃まで存在した張出大関((実力的には横綱クラスだが、品格も重んじる角界において土俵外の言動が問題となって大関どまりと言う設定。ただし張出大関は大関よりも下の位である(横綱≧張出横綱>大関≧張出大関>関脇…)。当時は各地位の定員は東西2名までで、それより多い場合には格下の者が張出に回されていた。))。相撲を世界に広める為に戦っている。 -力士らしくパンチ攻撃は張り手が多く投げ間合いが広い(ただし投げられ間合いも広いため相対的な投げ間合いでいうと下位)。 -必殺技はパンチ連打で前方に攻撃判定を出しつづける「百烈張り手」とタメ突進技の「スーパー頭突き」。弱版のスーパー頭突きは出始めに無敵時間があり、対空技や返し技として使える。 //大相撲で腹や胸以外を蹴ることやボディプレスは別に反則じゃない。決まり手にも蹴手繰りや蹴返し、二枚蹴りと言った蹴り技が存在するし、浴びせ倒しはつまり(ジャンプこそしていないが)ボディプレスだ -その風貌通り動きが鈍いのが欠点で、飛び道具を連発されると非常に苦しいが、攻撃力が高く、連打とタメコマンド中心のため、初心者にも扱いやすいキャラクター。 ''春麗(チュンリー)'' -青い((ただしキャラクター選択時は橙色。))チャイナドレスに身を包んだ中国の女刑事。格闘スタイルはクンフー。体力も攻撃力も低いが、足が速くジャンプが高い。空中投げや相手を踏み付けて再ジャンプする特殊技の鷹爪脚、画面端で再ジャンプできる三角跳びを持ち、手数とスピード、ジャンプで相手を翻弄する。 -必殺技はキック連打で前方に攻撃判定を出し続ける「百裂キック」とタメ突進技の「スピニングバードキック」。ただしこれらよりは判定の強い通常技が主力である((特に「スピニング~」は「出してはいけない」と言われるほど使えない。))。 -空中投げの投げ間合いが非常に広く、大半のジャンプ攻撃の攻撃範囲外から投げてしまえるため、空中戦では絶対的な強さを誇る。 -可憐な容貌を持つ紅一点ということもあり、圧倒的なプレイヤー人気を獲得した。格ゲー界を代表するヒロインと言える。 -ちなみにしゃがみ強キックの正式名は「元伝暗殺蹴」であり、前作の敵キャラクターである「元」との繋がりを感じさせる。 ''ブランカ'' -幼い頃に飛行機事故に遭い、墜落したアマゾンで生き延びた野生児。緑の肌にオレンジの髪、腕の長い猿人のようなプロポーションと、人間離れした容貌を持つ。獣じみた独自の格闘スタイルで戦う。 -地上・空中を問わずリーチの長い技が多く、飛び道具を持たない相手には牽制合戦で優位に立てる。地上での移動速度は遅いが、ジャンプが高く速いため、飛び道具を持つ相手にも間合いを測れば勝機はある((ただし結果的にジャンプの飛距離が短くなっているため、スピードの遅い弱の飛び道具はタイミングを誤ると逆に「踏む」。))。 -必殺技はパンチ連打で全身から放電する「エレクトリックサンダー」とタメ突進技の「ローリングアタック」。ローリングは動作中に攻撃されるとカウンターで2倍のダメージを喰らう諸刃の剣でもある。 -エンディングでは事故で生き別れた母親と再会し、本名が「ジミー」であることが判明する。 ''ザンギエフ'' -ソビエト連邦(当時)の元・闇プロレスラー。全身傷だらけの筋肉達磨。やや遅い足・ジャンプ力がない・図体がでかい(喰らい判定が大きい)という三重苦を背負っているが、見た目通りの高い体力と攻撃力、『[[ファイナルファイト]]』からの輸入技である「ダブルラリアット」、そして圧倒的な威力とつかみ距離を誇る投げ技「スクリューパイルドライバー」を持つ。 //後退は遅いが前進速度はリュウ・ケンと大差なく、下に本田、ブランカ、ダルシムがいるので「やや遅い」レベル -3回決めれば相手をKOできるスクリューが彼の代名詞で、接近してからの投げに勝利を賭ける、いわゆる「投げキャラ」の元祖。スクリュー以外にはほとんど決定打がないが、それだけにスクリューの性能は圧倒的で、数歩離れた位置からでも相手を掴んで投げる様は「吸い込み」と呼ばれた。そして当時は一度スクリューを決めると、起き上がりにスクリューを重ねる事でハメ殺す事が出来た((『ダッシュ』以降はスクリューの後に間合いが離れる様になり、起き上がりに重ねることが出来なくなっている。))。 --「レバー1回転」というスクリューコマンドは当時としては非常に画期的かつ難度の高いもの((コマンドにレバー上入力が含まれるためジャンプしてしまう。後にジャンプする前に入力を完成させる「立ちスクリュー」が発見された。))であり、これを実戦でいかに決めるかがザンギ使いの腕の見せ所、かつ醍醐味である。 -ガイルやダルシムに対して致命的なレベルで詰んでおり、後に対ガイルのそれはAA(アスキーアート)によるやり取りでネタにされたほど有名。飛び込もうとするザンギエフとしゃがんで待ち構えるガイルの絵面が風物詩と化している。 ''ガイル'' -箒を逆さにしたような凄い髪形のアメリカ軍人。格闘スタイルはマーシャルアーツ(アメリカ軍式近接格闘術)((一般名詞としての「武術」や昭和50年代前半に日本で「マーシャルアーツ」と呼ばれ興行されていたアメリカンキックボクシングとは異なる。))。モチーフは『[[ジョジョの奇妙な冒険>ジョジョの奇妙な冒険シリーズ]]』に登場する[[ジャン・ピエール・>ジョジョの奇妙な冒険 (AC)]][[ポルナレフ>ジョジョの奇妙な冒険 (SFC)]]やシュトロハイムとのこと。((ちなみに「ガイル」とはモチーフになったポルナレフの仇敵なのだが、これはスタッフが当時ポルナレフとJ・ガイルを勘違いしていたことから命名された…という逸話がある。)) -隙の小さい飛び道具「ソニックブーム」やリーチに優れた通常技で相手を牽制し、相手が飛んだら必殺技の「サマーソルトキック」や立強キックを始めとする対空技で迎撃する戦法が基本。 -しゃがんで必殺技のタメを作りながら相手の飛び込みを待つ「待ち」が簡単かつ強力で、対戦ではダルシムと並ぶ2強に輝いた。あまりに待ちが強いため、「待ちガイル禁止」のローカルルールを設けるゲーセンもあった。 -ソニックの隙の小ささから、弾速の遅い弱ソニックに歩きやジャンプで追い付くことができ、初代では異例の5段コンボや7段コンボを決めることができる(他のキャラクターは多くて4段)。 --さらに上記の小パンチ連打だけで気絶から気絶へもっていく凶悪な技もある。 -とある操作を行うと、1人で通常投げのポーズを取って距離や相手の状態((本来は一切攻撃を受け付けないはずのダウン中等も含む。))に関係なく投げてしまえる''「真空投げ」''というバグ技が存在する。 ''ダルシム'' -インドの僧侶でヨガの達人。口から炎を吐き、手足を伸ばして攻撃するという奇想天外なキャラクター。 -必殺技は飛び道具の「ヨガファイヤー」と目前に攻撃判定の大きい炎を吐く「ヨガフレイム」。ヨガファイヤーを飛び越えてくる相手を長い手足ではたき落とすのが基本戦術。 -全キャラ中最も移動速度が遅く、伸ばした手足にも喰らい判定があるなど非常にクセが強いが、投げ間合いが非常に広く、研究が進むにつれて弱・中技による牽制の圧倒的な強さや特殊技のドリルキック(急降下キック)での急襲戦法が発見され、ガイルと並ぶ2強の座に付いた。 -その特徴的な性能から、格闘ゲームにおいて打撃リーチが長く動きが緩慢なタイプのキャラクターを「ダルシム系」と呼ぶことがある。 -%%全国の子供たちに「インド人」というものを勘違いさせた罪多きキャラクター。%% ''以下はCOM専用のキャラクター'' ''M・バイソン'' -四天王((後年では公式に「シャドルー四天王」とされている4人だが、この当時は単に「ボスキャラが4人だから四天王」程度の意味合いしかなく、設定やストーリー面でも特に接点は無かった。))の1人。アメリカの黒人ボクサー。それゆえ足技は持たない。また、本作では投げ技や組み技が無い。 -必殺技は突進技の「ダッシュストレート」と「ダッシュアッパー」、一旦背を向けてパワーを溜めパンチを繰り出す「ターンパンチ」。主にダッシュストレート/アッパー連発のゴリ押しで攻めてくる。ラッシュが始まると一方的に削られ続けることも多いが、飛び道具を持つキャラクターならかなり有利に戦える。 -前作『ストリートファイター』に似た容姿の「マイク」と言う敵キャラクターが居たが関係は語られなかった。『IV』の発売後に同一人物と設定され、「M」は「マイク」の略だとなっている。だが『ストリートファイターV』の公式サイト「シャドルー格闘家研究所」の「キャラ図鑑」では「マイク」と「M・バイソン」は別人と設定されている。 -なお、海外版では下記のバルログ・ベガと共に名前が交換されている(後述)。 ''バルログ'' -四天王の一人。スペイン出身で、戦闘スタイルは忍術。美形かつ上半身裸で細身のナルシスト。相手の返り血が付くことを嫌い、仮面と鉤爪を装着して戦う。 -全キャラ中最高のスピードを誇り、春麗同様に三角跳びや空中投げを使う。鉤爪を装着しているため攻撃力とリーチにも優れる。 -ただし身長が高めなので喰らい判定が大きく、攻撃を一定数上受け続けると鉤爪が外れてリーチと攻撃力が低下する。 -必殺技は前転しながらの突進技「ローリングクリスタルフラッシュ」に、背景の金網によじ登って上空から急襲する「フライングバルセロナアタック」と「イズナドロップ」。バルセロナ&イズナの独特の挙動は、多くのプレイヤーの度肝を抜いた。準備動作が長いため慣れてしまえば迎撃のタイミングを取るのは容易いものの、攻撃判定が非常に強くキャラクターによっては対処が困難。 ''サガット'' -四天王の一人にして、前作『ストリートファイター』のラスボス。眼帯をつけたムエタイの戦士。 -身長が高く当たり判定が大きいが、弾速・火力に優れ上下段に撃ち分けできる「タイガーショット」((前作では上段しか撃てなかったが、本作から下段も撃てるようになった。))と、昇龍拳をモチーフに編み出した「タイガーアッパーカット」を持つ。 -通常技の性能が高めな上、高性能の飛び道具と無敵対空技を持っており、どの距離でも油断できない。特に、飛び道具を持たないキャラクターや鈍重なキャラクターでは、タイガーショットの連発に苦しめられる。しゃがんでいても上段タイガーショットを避けられないザンギエフには天敵の一人となっている((ダルシムも上段タイガーショットをしゃがみで避けられないが、ヨガファイアーでの相殺、しゃがみ強パンチやスライディングキックによる反撃しながらの回避など、対策は多い。))。 -また、行動パターンが他の四天王に比べてやや単純であることと、タイガーアッパーカット発動中は受けるダメージが2倍になるという弱点もある。さらにバイソン同様に投げ技が無い。 ''ベガ'' -四天王の一人にして、本作のラスボス。秘密組織「シャドルー」の総帥で、謎の力「サイコパワー」を操る。赤い軍服を着ており、全身からオーラを放っている。 -パワー重視かつ王道的な戦法のサガットとは異なり、全体的に機動力が高くトリッキーな技が多い。しかもバルログと同様に投げ技も使用可能。必殺技にはサイコパワーをまとっての突進攻撃「サイコクラッシャーアタック」、二段ヒットする足技「ダブルニープレス」、相手の頭部を急襲する技「ヘッドプレス」を持つ。 -ラスボスに相応しく全能力が高い上、サイコクラッシャーは強烈な削り性能、ヘッドプレスは無敵対空技をも踏む、ダブルニーは連発されると身動きも許されない隙の少なさを誇る上に気絶値も高い。特にヘッドプレスとダブルニープレスは一度食らうとほぼ敗北確定という有様((どちらも喰らえばほぼ気絶確定で、後者はガード出来たとしたとしても即デッドリースルーで投げてくるため、全く死角の無い技となっている。))。 -ただしサイコクラッシャーは攻撃発生までが遅く、動作中は2倍ダメージを受けてしまうなどの弱点もある。 #endregion **評価点 -「対戦格闘ゲーム」というジャンルの基礎となった完成度の高いシステム。 --レバー+複数のパンチ・キックボタンによる操作系、打撃・ガード・つかみ(投げ)、キャンセル技を組み込んだ連続技(コンボ)、気絶状態等々、現在まで連綿と続く「対戦型格闘ゲーム」の基幹部分が本作で創り上げられた。 --「主人公は飛び道具・対空・突進技を持つ」「投げ技が得意なキャラクターは大柄で動きが鈍い」といった対戦格闘ゲームのお約束も本作由来。 -人間同士の駆け引きを白熱させる設計。 --本作は1発のダメージが大きく、プレイヤー同士の対戦は一瞬の隙からコンボでKOにまで追い込まれる熱いものだった。 --前後の移動以外に対戦相手との距離を微調整できる手段がなく、ジリジリとした間合いの取り合い、技の差し合いも本作ならではの駆け引き。 -殴り合いの痛快さを存分にフィーチャーした演出。 --派手な打撃音、敵を吹き飛ばしてダウンさせる必殺技、強攻撃を喰らうとヘドを吐く演出など、ぶちのめし合う感覚を痛快に刺戟する要素が満載。 -様々なプレイスタイルに対応した魅力的なキャラクター --癖が無く技バランスの良いリュウ・ケン・ガイル、攻撃力こそ低いが紅一点かつ扱いやすい春麗、動きは鈍いが打撃戦に秀でており攻撃力の高いエドモンド本田、イロモノ扱いだが性能も個性的なブランカ・ダルシム、意図的にハードルを上げてあるザンギエフなど、多様なプレイヤーの要求を満たすだけのキャラクターが揃っている。 --キャラクターの造形も素晴らしく、個性的。どれも主役を張れるビジュアルの持ち主である。特に春麗は様々な女性格闘キャラの原点となった。 -似通ったシステムのゲームは以前からあったが、まったく性能が異なりながらも、上位下位といった互換が無く、キャラクターによって様々な戦略を組み立てられるというのは非常に斬新であった。 -それまでのゲーム操作は2ボタン式がスタンダードだったが、本作のヒットが後押しする形で、その後の家庭用ゲーム機のコントローラーが6ボタン以上になる、という影響を与えた。 --各社のアーケード汎用筐体のコントロールパネル(以下「コンパネ」)にオプションではあるが6ボタン用を用意出来るきっかけになった((当時はカプコンの専用コンパネしかなく、セガ、ナムコ 各社共通汎用コンパネが用意されたが、タイトーの当時の主力汎用筐体「カナリー」がどうやっても合わず、セガ筐体をわざわざ仕入れるハメになる等店舗を悩ませる問題が多々発生している。よって、汎用筐体で6ボタン化する為に真っ先に対応したのはタイトー。))。 -同年代のゲームに比べて大きなサイズで滑らかにかつ自然に動くキャラクターのアニメーション。 -下村陽子氏((今となっては多方面で活躍する有名作曲家だが、この当時はカプコンサウンドチーム「ALPH LYLA(アルフ・ライラ)」の一員でまだ無名であり、「ぴぃ♪」と名乗っていた。))による各キャラクターを的確に表現したBGMの数々は評価が非常に高い。 --特に本作の看板キャラクターであるリュウのステージBGMは、リュウというキャラクターの、ひいては格闘ゲームが含んでいる求道的なイメージを熱いメロディで表現しきった会心の一曲。 --プレーヤーの体力が半分以下に減るとテンポの速いアレンジBGMに切り替わるのも本作の特徴の一つで、対戦に緊張感を持たせることにも一役買っている。 -キャラクターボイスは声優ではなく社員が担当しており、複数のキャラクターで共有しているものも多く音質も良いとは言えないのだが、どれもこれも思わず真似をしたくなるような味わい深いものになっている奇跡のような出来映え。 **問題点 -入力していない動作が突発することがある。 --攻撃ボタンを押した際、1/512の確率でレバー操作に関わらず必殺技がランダム発動する仕様がある。必殺技の存在を認識させるために仕組まれたものだが、意図しないタイミングで発動して隙を晒すことがほとんどであった。 --同じく1/512の確率で、攻撃を受けた際に強制的にガードポーズに移行する仕様がある。必殺技ほど目立たないが、相打ち稼ぎ狙いのCPU戦や、対戦の大事な場面で邪魔になることも。 --不評だったためどちらも『ダッシュ』で削除された。 -投げ技が強い。 --全体的にダメージが大きく((通常投げでも全体力の1/4を奪う威力。コマンド投げのスクリューパイルドライバーに至っては上記の通り全体力の1/3を奪ってしまう。))、発生までの隙が全くない((相手が地上・間合い内・ガードor喰らいポーズを取っていないという条件が揃えば、入力と同時に成立する。格ゲー用語で言えば1F発生(0F発生)。))ので、非常に回避が難しい。その性質を利用し、隙の少ない技を当て、相手のガードが解けた瞬間に投げてしまう戦法(通称「当て投げ」。繰り返すと「投げハメ」)が猛威を振るった。更にガードが解けた側は、一瞬ではあるが投げ返すことの出来ない時間が存在する上、本作ではリバーサルで必殺技を出す事が出来ないので、投げハメを仕掛ける側が完璧なタイミングで投げると投げ間合いの差にかかわらず(前述のとおり、1/512の確率で必殺技が暴発し失敗することがあるものの)完璧なハメになってしまう。プレイヤー同士のトラブルの元でもあったため、ローカルルールとして当て投げ・投げハメ禁止を設定するゲームセンターもあった。 -連続技が減りすぎ。 --初代は連続技(コンボ)に対するダメージ補正など存在せず、アッパー昇竜拳のような単純なコンボでさえ全体力のおよそ半分を奪ってしまうほど異常なまでに強い。~ その上リュウ、ケン、ガイルの3段のような強力なコンボになってくると全体力の3分の2かそれ以上減るうえ確実に気絶し喰らうとほぼ死亡確定であった。さらにガイルの小パンチ連打など小攻撃の連打だけで気絶から気絶へもっていく凶悪技もザラにあった。 ---ただし本作のコンボで多用される「ジャンプ着地によるモーションキャンセル」「必殺技コマンド成立によるモーションキャンセル」は、これらの仕様を技を繋げるテクニックとして使うことを開発時点では想定していなかった点には留意が必要である。 -キャラクターの配色に誤りがあったり、一部に不自然なグラフィックがある。 --キャラクター選択時の春麗のチャイナドレスが、青ではなくオレンジがかった黄色となっている。 --試合中のドット絵では、本田やダルシムの顔の着色が赤ではなく青くなっている。 --バルログの敗北時の顔では、鼻血が青になってしまっており、鼻水にしか見えない。 --ザンギエフは試合中のグラフィックと対戦前後時のグラフィックとでは衣装が異なっている。 --ケンのエンディングにおけるイライザの駆け寄る姿は言ってしまえば子供の落書きのようであり、一枚絵でケンに寄り添う場面も妙に濃い顔で美人とは言い難いものとなっている((実際、イライザに関しては「キャラグラ担当が忙しかったため、人物画が苦手な背景担当が描いたのが原因」とインタビュー記事で明かされている。))。 --ダルシムのエンディングにおける表彰式の写真は、片方がベガのはずが両方ともサガットを思わせるようなパンツ姿でスキンヘッドの男性となってしまっている((これに関しては『ダッシュ』以降も同様である。))。 -キャラクターの性能差が激しい。 --キャラクターそれぞれに長所短所はあるが、性能を突き詰めていくと前述の通りガイルとダルシムがぶっちぎりの2強で次点は春麗。この3人が強キャラ扱いされる一方で、最弱はザンギエフ、次いでリュウ(ケン)という状況で、プレイヤーの腕よりもキャラクターの性能で勝負が決まってしまうという意見も珍しくなかった。 //---これに加えて飛び道具を連射されただけでほとんど詰む本田も弱キャラ扱いされる事が多く、8人のキャラクター間には最強とされるツートップに始まり、辛うじてツートップとも渡り合えるキャラが1人、強キャラ弱キャラどちらとも言い難いキャラが1人、弱キャラが4人(しかも最下位と他3人にもかなりの差がある)という露骨な格差が生まれている。 //本田はガイルとダルシムには辛いがリュウケンには五分~有利だし、飛び道具持たない3キャラには圧倒的でむしろ強キャラの部類だぞ ---特にダルシムとザンギエフの対戦ダイヤグラムが''10:0''であることなどはよく批判の対象となる((ちなみによくネタにされるガイルとザンギエフですら、対戦ダイヤグラムは8:2である。))。 --カプコンもここまで対戦人気が出るとは思わなかったのだろう。そもそもリュウ・ケン以外は同キャラ対戦が出来ないし、そのリュウ・ケンでさえ完全な対等ではない。 -対戦プレイ人気の弊害。 --鉄壁とも言えるガイルの「待ち」や、ダルシムやザンギエフを筆頭に大半のキャラクターで可能な「投げハメ・掴みハメ」、特定のキャラが使える「気絶ループ」などの一方的な戦法もあり、当時まだまだ風紀の悪かったゲームセンターでは騒ぎが絶えなかった。 ---ダルシムはレバーを入れっぱなしでヨガスマッシュが延々と入り続ける通称「折檻ハメ」を持ち、ザンギエフも難易度こそ高いがスクリューパイルドライバーを応用した通称「スクリューハメ」を持つ。 ---ガイルはただでさえ最強なのに弱パンチ連打で相手を気絶~気絶に持っていけるハメ技、通称「フラッシュピストンマッハパンチ」を持ち、一方で最弱のリュウ・ケンですら小足払い連打で同様のことができる、通称「ダーク」というハメ技を持つ。 --また、強いプレイヤーが勝ち続けることで延々と台を占領し続けてしまう事例や、弱いプレイヤーを狙う初心者狩りなども横行し、「100円投入直後乱入→手も足も出ず即ゲームオーバー」という初心者お断りな風土が構築されてしまう土壌もあった。 --もちろん、これらは作品そのものというよりプレイヤーのモラルの問題ではあったが。 ---もっとも「強いプレイヤーが占領する」ことに関しては「上手いプレイヤーに粘られてインカムが1時間100円」と言う事態も発生した他のゲームと違い、「どんなに強いプレイヤーが居ようとも、対戦で負けたプレイヤー側のクレジットで稼げる」本作はオペレーターにとっては嬉しい仕様であり、故に対戦台がドンドンと増えていったのだが、腕の無いプレイヤーにとっては「100円で数分しか遊べないゲーム」という認識も強く残ってしまった。 -強の連打系必殺技は連射装置でもなければまともに出せないほどボタン超連打が必要であり、人力で発動できるのは中までが限度。後述の家庭用でも同様である。 **総評 前作をはじめ格闘ゲームの存在がなかったわけではなかったが、当時のアーケード界は依然としてシューティングゲームやベルトスクロールアクションが主流のままだった。そのような中において本作が登場したことは、その後の時流を大きく変えてしまうほどの意味をもたらすこととなった。~ ストIIの他のジャンルに対する優位点としては、回転率、時間あたりの満足度、初心者の入り易さにおいてであり、特に無機質なゲームが多かったシューティングゲームと比較するとキャラクター性においても優位に立っていた。これらはプレーヤーとオペレーターの双方から歓迎された要素である。~ 本作の大ヒットにより他のメーカーもこぞって格闘ゲームを製作するようになり、その結果、格闘ゲームはアーケードゲームの主流に一気に躍り出ることとなる。~ それほどまでに革命的・革新的な作品であったことは、まさに疑いようのないことである。 **その後の展開 -本作が大ヒットした結果、ゲームバランスやグラフィックなどを変更した様々なバージョンアップ作品がリリースされた。~ 詳細は以下を参照。 --''[[ストリートファイターII']]'' (「ダッシュ」~「ターボ」) --''[[スーパーストリートファイターII]]'' --''[[スーパーストリートファイターIIX]]'' --''[[ハイパーストリートファイターII]]'' --''[[ウルトラストリートファイターII]]'' **余談 //些末な余談が多いとの指摘があったので、一部co,短縮を実施 -格闘ゲームブームを巻き起こした本作は「ストツー」の愛称で親しまれた。 --それに伴って上記の通り「'(ストツーダッシュ)」「'ターボ(ストツーターボ)」「X(ストツーエックス)」などマイナーチェンジが多数誕生し「何年にもわたり『II』ばかりが何度も出る」という異例な事態となった。 ---このため最初の「無印ストツー」が実質「I(ワン)」のような位置付けとなりいつの間にか「ストリートファイターII」=「ストツー」から「ストリートファイター」=「ストツー」のような錯覚も生まれ、実に4年後となる1995年にやっと『II』と付かない『ZERO』、そして6年後の1997年にはやっとナンバリングが進んだ『III』が出たのだが、長年「ストツー」という呼称が定着しすぎたためか巷では「ストツーゼロ」「ストツースリー」などと珍妙な呼称をされたこともあった。 --格闘ゲームのストーリーもナンバリングの進行に伴って少しずつ進んでいくものであるが、初期は『II』がメインで展開しており(ストーリー性自体もそこまで重視されていなかった)ことに加え、各タイトル自体が時系列順に進んでいるわけではないためストーリーの展開自体はかなり遅い。 ---作品間で設定に矛盾があるためあくまで目安だが、時系列は『I』→『ZERO』→『II』&『EX』→『IV』→『V』→『III』→『6』の順。現実と同じ時間軸なのは『I』『II』『III』(それぞれ無印基準で)((キャラクターのプロフィールを見ると明白でリュウは生まれが昭和39(1964)年、ケンが1965年、最年少級の春麗でさえ1968年、最年長のダルシムに至っては1952年。仮にすべて現実の時間軸と並行で進んでいたとしたら『V』が2016年登場なので最年少の春麗でさえ48歳と明らかに現役でバリバリ闘える年齢ではなくなっている。))。 ---また『II』のマイナーチェンジ連続登場は1994年まで続いたのだが、あくまでゲーム中の時代設定は無印が登場した1991年のまんまなのでザンギエフは現実でソ連崩壊(1991年12月)後に出た「'」以降も変わらず「ソ連代表」となっている(以後ストーリー上の時間軸で『II』の後になるものでは「ロシア代表」)。 //-屈指の人気を誇り、後に続く女性格ゲーキャラの走りとなった紅一点の春麗は『週刊少年ジャンプ』の人気漫画『聖闘士星矢』に登場する「紫龍」の彼女「春麗」(こちらの読みは「''シュンレイ''」)とまったく同じ漢字表記である。 //--聖闘士星矢の方が圧倒的に先口で一時代を築いた屈指の人気漫画だったこともあってか、本作が登場したばかりの頃、巷では春麗(チュンリー)が「シュンレイ」と先述の漫画に準じて間違った呼称をされたことが多々あった。 //---言うまでもないが途中から変わったわけではなく当初から呼称は「チュンリー」で画面を見ると「CHUN LI」と発音のわかる英語表記もあったのでわかる人にはわかっていたがインストラクションカードには漢字表記しかなかったことや、抜群の人気を誇った上記漫画の先行印象、わざわざ読み慣れない英語読みを意識しない人(そもそも英語が読めない人もいた((小学校での英語教育の必修化は2011年から。1991年当時でも特別な塾などで小学生が英語を習える環境はあったものの特に重要視しない親も多かったため小学生にとっては疎遠なものだった。)))も珍しくなかったので彼女は「名前を正しく呼んでもらえない事態」に見舞われた((「春麗」は中国語読みでは「チュンリー」で日本語読みでは「しゅんれい」であっているのだが、当時の日本では中国人の名前の中国語読みが定着していないのも輪をかけたといえる。))。 //---その後、次第に人気が高まるに連れて様々なメディアで取り上げられ、テレビなどでは彼女の読みもちゃんと発音され、書籍ではカタカナでの「チュンリー」表記も増したことでそのような誤読は自ずとなくなっていった。片や上記の聖闘士星矢自身は後々まで高い人気を誇った作品ではあるが春麗(シュンレイ)自身は完全に脇役の部類なので現在ではむしろ「春麗=チュンリー」がデフォルトになっている。 -海外版ではシャドルー四天王の名前の入れ替えが行われている。 --「M・バイソン」が実在のボクサーであるマイク・タイソンを露骨にモデルにしているため、海外版では肖像権の問題で名前を自粛することになった。 ---それに加えて、「ベガ」はこと座で最も明るい恒星の名前で世界的にも女性的なイメージの強い星である((日本でも「織姫星」として知られる))こと、「バルログ」も『指輪物語』の屈強な魔神の名前であることから、欧米圏ではイメージに合わないと判断され、既に『ストI』に出ていたサガットを除く3人の名前がシャッフルされることになった。 ---その結果、黒人のボクサーが「バイソン」→屈強なイメージの「バルログ」、スペイン人の仮面の忍者が「バルログ」→女性的な「ベガ」、そしてシャドルー総帥が「ベガ」→突進するイメージから野牛の「バイソン」に割り当てられた。 --非常にややこしいため、国際的に言及する際には「Boxer(ボクサー)」「Claw(爪)」「Dictator(独裁者)」と各人の特徴で呼ばれることもある。 --なお、後の『ヴァンパイア』のように名前自体を変更するのではなくシャッフルとなったのは、名前部分がグラフィック素材であったため、基板のコストの関係でデータを直接書き換えるよりはプログラムのみを小手先で弄って内部的に入れ替えるのみに留めたためとされている。 -大ヒットゲームということもあってか、アニメや映画といったメディアミックスも多く展開されている。 --ジャン・クロード・ヴァンダム演じるガイルを主人公にしたハリウッド版映画が有名で、こちらの映画をベースにゲーム化も''2[[度>ストリートファイター リアルバトル オン フィルム]]''(ACとCS機)されている。 --ジャッキー・チェン主演の香港映画「シティーハンター(同名の日本漫画の香港映画版)」に''ゲームコーナーで乱闘中、ゲーム筺体を破壊して登場人物がストIIキャラに変身して乱闘する''というシーンも存在。''春麗のコスプレをしたジャッキー''のシーンはあまりにも有名。%%似合うのが恐ろしい。%% ---94年に劇場アニメが公開された他、翌95年にはTVアニメ『ストリートファイターII V』が放送。ただし劇場版とは異なりキャラクター設定が異なるなど、アニメオリジナル要素が色濃い。~ 後者はの読みは「ストリートファイターツーブイ」なのだが初見などで「ストリートファイターツーファイブ」と誤読されたこともある。 --同年のアメリカではガイルを主人公としたアニメシリーズも放送されている。長らく日本国内では未公開だったが、2019年からAmazonプライムビデオなどの動画配信サイトで字幕版が配信している。%%海外制作だけあってキャラデザが実にメリケンチックで濃いものと評判%% --また、俳優や芸人など、多くの著名人が本作のコスプレをしたりゲーム内容をネタにするなどしていた。 -キャッチコピーの「俺より強い奴に会いに行く」は有名だが、このゲームの乱入対戦普及にて、当時の中高生男子の心を鷲掴みにした名文句でもある。 --しかし、乱入対戦で負けるとコンパネを乱暴に叩く・筐体を蹴る等のストイックとは言い難い態度を取る男性プレイヤーも多かったため、「''俺より弱い奴に会いに行く''」等とも皮肉られていた。 //-2015年の2月19日にアメトーーク!!にて「ストリートファイターII芸人」が放送された。相当なガチメンバー揃いで観客席が若干引く程であった。DVD化されているので視聴可能。 //-様々な有名人が春麗のコスプレに挑戦している。 //--ジャッキー=チェン氏は映画のプロモーションでの来日でも更にノリノリでコスプレが行われている。 //--日本人で有名なのは、アメトーークの「ストリートファイターII芸人」での佐藤かよの出演時のコスプレ。完成度の高さと、ストIIの腕前の高さ((元々街の対戦台でも連勝を重ねる、相当なアーケード格闘ゲーマーとして知られている。ただ、負けるとちょっとキレ気味になる癖があって、生放送界隈では「かよぽりす」ならぬ「キレぽりす」なる綽名がついたりもしていたが…))はニワカファンとの格の違いを見せつけた。 //--意外な所ではハイキングウォーキングのQ太郎の「スリットに殺意の波動が見える」コスプレ。何故か男性が挑む事が多い上に皆やる気満々なのが凄い((デリケートな所ではあるが佐藤かよは元男性である。))。 //--女性芸能人もコスプレした方はいる((高橋みなみ、秋元才加、仲村みう、南明奈…等))。元祖ゲーマーアイドル・千葉麗子はSNK格闘の仕事のイメージが強いが、コスプレ仕事は春麗から。 //グラドル篠崎愛さんは、厳密にはコスプレでは無いが、ストリートファイターIIのイラストレーターがグラビア写真に勝手にフォトレタッチで春麗コスを描き足した作品がある。 //発売された当初~対戦ブームの兆しがでるまでの頃にやたら言われたのが「1作目の圧力センサーでやりたい」というもの。連打系キャラはどうしろというのか…。 -「対戦台を背中合わせに作る」というのでブレイクスルーとなったが色々エピソードもある。 --2台繋いでの対戦台を作る為の2P用ハーネスは当時、店舗や各社の技術部門や従業員のハンドメイドで作られた。ボタンとレバーだけでなく音声やモニター、GND…JAMMA規格のあの複雑な端子からのコードひとつひとつを分配して…とかなり大変な工作だったという。 //---一時期にその為の「ストIIケーブルを作る為の部署」を作ったメーカーもある程。 //--2P側が通常慣れない反対操作に対応する為にブラウン管モニターの裏側の高圧で危険な箇所の配線組み換えを行い、左右ミラーで表示させる荒技を駆使する店もあった。 //--これまではレバーは一体型でのパーツだったが、コマンド操作でレバーの中の内部部品(2方向、4方向、8方向入力に対応させる為の板)が何倍もの速さで擦り減る為に、レバー丸ごと交換だったのがこの内部パーツが用意されるきっかけになった。 //--汎用筐体は通常ドアはフロントのみだったのが、対戦ハーネスを通す為に裏側にドリルなどで穴を開けて通さねばならなかった為、ストII後の汎用筐体はバックドアの標準装備が急速に増えた。 //--汎用筐体は1P2Pが横に並んだコンパネが普通だったが、この背中合わせにすると2人用では狭い為に、1人用コンパネがオプションで作られた汎用筐体や、元々あっても殆ど使われなかった1人用コンパネの需要が急激に上がった。 //--使わないボタン穴を埋めるパーツはこれまでも存在していたが、対戦台になると1P側は2Pスタートボタン、2P側はその逆と一回り小さいスタートボタンサイズのスイッチガードが必要になった。 //---この一回り小さいスイッチガードが製作されるまで、ボタン内の装置を外して凹んだ状態にした「死にボタン」を作る等で対応された。 //--筐体ではないが、この背中合わせ対戦台を作った場合、2P側にインストカードや技表が無いという短所が発生した。これはインストカードをカラーコピーなどで対応されたが、当時の文具店などでのカラーコピー料金は今よりもはるかに高い金額で経費の負担に苦労した((当時のカラーコピーは主に文具店設置の相場で500円。現在の平均50円の10倍であった。ちなみに、この例は他にも「ビデオレンタルがかつては2,000円、現在では旧作なら100円」等ある。))。特に技表は横に長く、コピー1回では長さが足らず、二度取りして工作するなどの必要があった。 //---その為か、ストII以降のインストは標準で複数作られるきっかけになった。 //--2P側は基本的にカラ筐体になるが、当時の法律でゲーム基板が入っていない筐体は取り扱い上違反とされる為に、特にゲーム機集金伝票上は筐体内には使用されない余りの基板を入れ、しかも別ゲームの名前で取り扱う等ややこしい扱いがされた。当時、風営法で警察に定期的に届ける図面上の取り扱い上苦肉の策だったが、その未使用基板の所在が不明になるなどの問題点も多かった為に、カラ筐体での2P台を提出可能にする等の協議があった模様((警察が絡む一件の為に、店や運営会社の一存で出来なかった為にこれは数年かかったとの事。))。 //文章が長すぎる上にマニアックすぎる。そこまで詳しく解説する必要はない -名作故にBGM楽曲も後々リスペクト作品などが取り上げられることが多く、特にケンステージをモチーフにした作品が多い。 --2019年にはシンセバンド「ザ・リーサルウェポンズ」がケンステージのアレンジにストIIあるあるを歌詞にして歌った「昇竜拳が出ない」のMVがYouTubeで公開された。 ---当時は無許可でやっていたらしく、8月頃に自粛の意味を込めて作詞・作曲担当のアイキッド氏に非公開にされたものの、11月頃にカプコン・下村陽子氏双方にしっかり許可を得て、歌詞とMVを一部変更した「昇''龍''拳が出ない」が公開。こちらはミニアルバムにも収録されている。 ---この後もリーサルウェポンズはカプコン公認のコラボ企画等も開催している。 --海外では、クソゲーレビュー動画で有名なAVGNことジェームス・ロルフ氏が仲間とともに「Mighty Wings and Hadoukens」というMVを公開。 ---こちらは「映画トップガンのテーマ曲『Mighty Wings』とケンステージのBGMの最初が似ている」という小ネタから派生したマッシュアップ楽曲となっている。 --一方で下村氏本人はスクウェア移籍直後に担当したRPG『[[ライブ・ア・ライブ]]』の格ゲーモチーフのシナリオ「現代編」の戦闘曲として露骨に『ストII』''風''を意識した楽曲「KNOCK YOU DOWN!」を作曲したり、音楽ゲーム『[[pop'n music>ポップンミュージックシリーズ]] 13 カーニバル』にて作品テーマの1つである「ゲーム音楽」というお題に沿って、ジャンル名「格ゲー」としてケンステージ''風''の楽曲「Majestic Fire」を提供したりしている。 --「ヒャダイン」こと前山田健一氏もアマチュア時代に今作をイメージした楽曲を投稿しており、こちらは楽曲のアレンジではなくSFC版の効果音やボイスをサンプリングしたイメージソングとなっている。 -岡本吉起((本作のプロデュースを担当した人物。後に大ヒット作『モンスターストライク』を手掛けている。))chにて語られた逸話に「ザンギエフが弱いのは''ロケテストの時にザンギエフで86連勝されたから''」というものがある。 --SNKがロケテストで連勝している人にこっそり出向いて挑んで連勝ストップさせるというのは有名だったが、カプコンも同じ事をやっていた。それでも止められなかった故の調整となった。「おかげでザンギエフはマニアックなキャラクターとして確立出来た」と結果的に良かった旨を語っている。 -人気タイトルの常として、本作にパチンコ・パチスロ版もリリースされた。 -- SANKYOからパチンコがCR機で『CRフィーバースト2』(スペック)、現金機で『フィーバースト2』がとして2001年にホール導入。 -- 2005年にアリストクラートテクノロジーズから『ストリートファイター2A』がホール導入された。 --カプコン系のパチスロ販社エンターライズから同社パチスロ第1号『春麗にまかせチャイナ』が2008年にホール導入。 ---本来の主役であるリュウやケンを押し退けて春麗を主役に抜擢しており、彼女の人気の高さがうかがえる。 //パチンコ、パチスロ版に関する詳述や評価の記載はルール違反ですのでお控えください。 ---- *家庭用移植版 **ストリートファイターII (SFC版) |ジャンル|対戦格闘アクション|CENTER:&amazon(B000068HLY)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3258&file=ST2A.jpg]]&br()[[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3258&file=ST2B.jpg]]| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|16MbitROMカートリッジ|~| |販売・開発元|カプコン|~| |発売日|1992年6月10日|~| |定価|9,800円|~| |セーブデータ|なし|~| |レーティング|【VC】CERO:B(12歳以上対象)|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2006年12月2日/800Wiiポイント(税5%込)&br()【WiiU】2014年6月25日/823円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 (SFC) 容量の都合でいろいろ削っている部分はあるが、スーパーファミコンという性能では大幅に劣る機体に対しての移植としては非常に高い移植度であり、アーケード版の人気もあって爆発的な売り上げ(288万本でハード別ランキング歴代5位)を記録。その知名度はAC版以上とも言える。 格ゲーの元祖、極初期の作品であるため、ゲームモードは「アーケードモード」と「VSモード」の2種のみというシンプルなものだった。 **評価点 (SFC) -概要で述べたとおり、移植度が非常に高い。 --グラフィックパターンの省略やBGMのテンポチェンジの省略等の変更点はあるが、それ以外はほぼ忠実にAC版を再現している。 --上述のように当時のゲームセンターは風紀の悪さがあり小中学生などにとってはおいそれとは行きづらい面があったが、そういったゲームセンターに行きづらい層にも家庭で気軽にプレイできる環境を提供できたという点でも意義が大きい。 -スペックの劣るSFCでの発売ということで、発売前に一部のキャラクターが削られるのではとの憶測が流れたものの、蓋を開けてみればそんな事はなく無事AC版の全キャラクターが登場している。 -裏技でAC版では不可能だった「同キャラ対戦」が可能。2Pカラーはすでに稼働していた『ダッシュ』に準拠したものというサービスぶり。 --また、この裏技を有効にするとCPUが2Pカラーに変化する。 -BGMは全曲アレンジ、SEも大半が別物に変わっているがどれも良質。SFC版のサウンドの方が耳に残っているという人も多いのでは。 --BGMに関しては、SFCではACの金属音のような音を出すことは不可能であったための措置であるが、その分、SFCで得意とされる生楽器によるアコースティックな音色の表現を惜しみなく活用し、原作と同等の「そのキャラクターらしさ」の表現に成功している。 ---楽曲のフレーズ自体はAC版の物をほぼそのまま踏襲しているが、サガットステージのBGMは後半に新規フレーズが追加され、1ループ辺りの演奏時間が長くなっている。この追加パートは後に『スーパー』よりAC版シリーズにも逆輸入された。 --ピンチ時にテンポが速くなるBGMについてはAC版では異なるアレンジが施されているが、こちらは単純に原曲のテンポを上げただけになっている(そのため、通常時から通しで演奏される)。 --技の強弱によって声の高さが変化するというAC版にない要素がある。 --ED曲はAC版ではコンティニューの流用だったが、SFC版では当時稼働していた『ダッシュ』のED曲に差し替えられている。 **賛否両論点 (SFC) -本作は初移植作かつ移植先がスペックの限られたSFCということもあり、AC版のグラフィックやサウンドに忠実な移植がされていない部分が所々で見受けられる。 --各ステージの背景はダルシムステージの象が左右1頭ずつ足りない、ブランカステージやガイルステージの背景にいるキャラクター人数が少ない、バイソンステージの女性の衣装が異なるなど、移植の際に変更・簡略化された要素が多い((逆に、エドモンド本田ステージに設置されている提灯の数だけは、AC版が1個だけであるのに対し、SFC版では次作『ターボ』も含めて2個に増えている。これは後に『ハイパー』で再現されている。))。 --キャラクター選択時のグラフィックでは春麗の服の色がオレンジ色から青に修正された。ベガは赤一色だった服の色が修正され、帽子の星の徽章が後にシャドルーのシンボルとなる「ドクロと翼」に変更された。 --「You Win」などのアナウンスやダルシムステージの象の鳴き声など、ボイスやSEは削除や変更されたものが多い。打撃のヒット音やダウン時のSEなどはAC版より派手になっているが、ガード時のSEは軽くなってしまった。 --AC版におけるボーナスステージは車→樽→ドラム缶の順番で登場していたが、SFC版ではドラム缶と樽がカットされた代わりに新たにレンガが追加された。 ---差し替えとして登場したボーナスステージのレンガの内容は制限時間以内に積み上げられたレンガの山を全て破壊することだが、やっている事が車とほとんど一緒なのでAC版のファンから批判されてしまった。 ---ボーナスステージのレンガは同ハードにおける『TURBO』以降のバージョンでも引き続き採用されていたどころか、『スーパー』ではSFCというハードを飛び出してメガドライブ版にも実装されている事から、ある意味では当時の家庭用移植作品の象徴ともいうべき存在として位置づけられている様子。~ その一方で、本作でカットされたボーナスステージのうちドラム缶は当時リリースされていたハードの多くにも収録されず、結局PC機器以外のハードでドラム缶が実装されるのはプレイステーションやセガサターンといった32ビットハードの時代まで待たなければならなかった。 --各キャラクターの個別EDは内容こそAC版とほぼ同一だが、いずれのEDもグラフィックがAC版から差し替えられてしまった。 ---この点に関してはAC版のファンからは忠実度に欠けるなど批判されているが、『TURBO』以降のバージョンの移植では基本的にアーケードの物を忠実に再現した内容に変化している事から本作独自の味が出ていると評される事がある。 ---もっとも、AC版の問題点の項にある通り、AC版のEDのグラフィックには雑な部分が見受けられていた事から、移植の際にEDを描き直す事は必然的だったと言える((事実、AC版で物議を醸していたイライザのグラフィックは移植の際にマトモな姿に修正されている。ちなみにSFC版初代のケンのEDはケンとイライザがタキシードとウェディングドレスを着るシーンのかわりにケンがイライザを教会に連れていくシーンに差し替えられている。))。 -AC版とゲーム性が異なる部分もある。 --一部の通常技や特殊技が削除された。また一部の技はグラフィックを他の技のもので代用しているが、リュウ・ケンの垂直J弱Kのように当たり判定が変わったものもある。 --吹き飛びの距離が長くなり、起き攻めでめくることが若干やりにくくなった((例えばリュウ・ケンで密着してしゃがみ強K→前方ジャンプとすると、AC版では相手の裏に回るがSFC版は相手の手前に着地する。))。 --リュウ・ケンの近強Kが全キャラに2ヒットする。 --ブランカのしゃがみ弱・中Kがキャンセル可能になった。 --ザンギエフの通常投げの間合いが狭くなったほか、垂直J中Pと強Pの性能が入れ替わっている。 **問題点 (SFC) -スーパーファミコンのコントローラーの都合上、どうしてもボタン同時押しとレバー1回転コマンドが出しにくい。このためザンギエフはますます使いにくいキャラクターになってしまった((この点を考慮してか、カプコンから発売された別売り対応ジョイスティック「CPS(カプコンパワースティック)ファイター」を接続することで、AC版と同じ感覚で操作が出来るが、価格が本作と同額の定価9,800円(税別)であったため、誰でも手軽に入手するのは難しかったようである。))。 --ただし、逆に波動拳や昇龍拳は出しやすいので一長一短とも。 --ボタン3つ同時押しコマンドはボタン2つ同時押しでも出せるように変更された。この仕様は後のシリーズの家庭用移植版でも採用されている。 ---しかし出しにくさの原因は同時押しコマンドの猶予の無さ(1フレームでもずれると成立しない)にもあるため、根本的な改善には至っていない。 **総評 (SFC) アーケードよりもはるかにスペックの劣るハードながら、ほぼ遜色ない忠実な移植を実現し、家で練習してACで実践という流れを生み出したことでアーケード版の活況に献身し、またゲームセンターに行きづらい層にも家でプレイできる環境を提供したことでストIIそれ自体の大衆化にも貢献した良タイトルである。 **余談 (SFC) -1992年には全国大会がこのSFC版を用いて''両国国技館''で開催された。翌年にはターボ、その翌年にはスーパーの大会も開催された。 -ゲーム中にスタートボタンを押してポーズしたときの謎の掛け声(ゲーム中の投げボイスなどを組み合わせたもの)が非常に個性的。その後SFC版『TURBO』など、いくつかの移植作でも似たようなものが採用された。 --例えば本作のものは、文字に書き下ろすと「ファッファッファッ フゥーン↑フゥーン↓フゥーン!!」といった感じ。ポーズ解除時は試合開始と同じく「FIGHT!」のボイスが入る。 -ベガに敗れた際に表示されることがあるセリフの一部に誤植があり、「あかごのほうがはごたえあるわ! ちからなきものはみるのも''けがわらしい''!!」となっている(「ら」と「わ」が入れ替わってしまっている。これは開発スタッフによる失策であろう)。 --このSFC版『ストII』のみの仕様であり、AC版や『ダッシュ』『ターボ』等では「けがらわしい(汚らわしい)」と正しく表記されている。 -取扱説明書の12ページに載っている「ゲームルール」項目の表記の一部に誤植があり、「5ラウンド目を最終ラウンドして…」となっている。 --実際のルールでは「4ラウンド目」が最終ラウンドであり、この説明書の表記は後に修正された。 -徳間書店の「ファミマガ」こと『ファミリーコンピュータMagazine』におけるゲームの5段階評価を付けて集計する「ゲーム通信簿」では30点満点中26.70点の高評価で同年9月に発売された大作RPG『[[ドラゴンクエストV 天空の花嫁]]』の26.29点を上回り1992年度1位に輝いた((『ファイナルファンタジーV』(27.91点)も同じ1992年発売だが12月のためファミマガの年度では1993年度となる(1992年度は1991年12月~1992年11月)。))。 --実は1986~1991年度までの6年中では1989年度ゲームボーイ部門の『[[対戦型テトリス>テトリス]]』((因みにゲームボーイの1989年度はRPGが1つもなかった。初のRPG『魔界塔士Sa・Ga』(スクウェア)は1989年とはいえ12月発売なのでファミマガの年度では1990年度となる。))を除いて、すべてトップはRPGに占められており(1986年度グランプリの『[[ゼルダの伝説]]』はアクション要素はあるが徳間の区分ではRPGに分類されている)純粋なアクションゲームが年度のトップに輝いたのは本作が初だった。 ---- **その他の移植版 -ゲームボーイに移植されていたのだが、ほぼ公式の黒歴史と化している。 --そちらは''[[ストリートファイターII (GB)]]''を参照。 -その他、当時から考えてもとんでもない程無茶をしている移植が多い。こちらを見れば、如何にSFC版が優秀であったかがお分かりであろう。 --その移植のほとんどが、カプコンではなくU.S. Goldおよびその下請け会社によって行われたという事情もあるにはあるが。 -2018年にSwitch/PS4/One/Winで配信された『[[ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション>ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル]]』にAC版が収録。前述のバージョンアップ版のほとんども収録されている。 -2021年にSwitch/PS4/One/Winで配信された『[[カプコンアーケードスタジアム]]』にAC版が収録。こちらは『TURBO』『スパIIX』も収録されている。 #region(動画) &nicovideo2(https://www.nicovideo.jp/watch/sm10470587) #endregion -SS・PSでは1998年に『カプコンジェネレーション~第5集 格闘家たち~』に『[[ストリートファイターII']]』『ストリートファイターII'ターボ』と共に収録されて移植された。 --初代に関してはほぼ完全移植であり、新たに追加された「ス-パーバーサス」にてAC版では不可能だった同キャラクター対戦も可能となっている。またガイルの「真空投げ」が再現されている唯一の移植作でもある。 --PS版はゲームアーカイブスで2016年に配信されている。 //**開発秘話など //#region(動画) //&nicovideo2(https://www.nicovideo.jp/watch/sm8102246) //#endregion

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