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*THE HOUSE OF THE DEAD 【ざ はうす おぶ ざ でっど】 |ジャンル|ガンシューティング|&image(4974365091736.jpg,width=160)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3192&file=4974365091736.jpg]] [[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3192&file=4974365091736u.jpg]]| |対応機種|アーケード(MODEL2C)|~| |販売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~| |稼動開始日|1997年3月|~| |備考|SS移植版に関する記事は[[こちら>THE HOUSE OF THE DEAD (SS)]]&br;(''劣化ゲー判定'')|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ホラーとSFを融合させた世界観&br()ゲームと密接に関わる残虐描写&br()画期的なルートの複数分岐&br()シリーズ中でも抑え目な難易度|~| |>|>|CENTER:''[[THE HOUSE OF THE DEADシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概略 セガAM1研が1996年に開発、1997年に正式稼動した、一人称視点ガンシューティング。公式略称は『HOD』となっている。~ 同社の『[[バーチャコップ]]』をベースとした基本システムに、『[[バイオハザード]]』や95年の米映画『セブン』のようなホラーテイストを加味している。~ この「ゾンビを敵としたホラーガンシューティングゲーム」という作風は、国産ゲームでは1989年のSNK製『ビーストバスターズ』以来であった。 本作は上記作の単なる模倣や追従に終わっていない、非常に良く練られたゲームシステム・巧みな世界観設定や演出類が世界的に高く評価された。~ 日本国内に於いては、ナムコの『[[タイムクライシス]]』と共に「ガンシューティングゲーム」の知名度を大きく上げた代名詞的作品の1つとなった。 ---- **ストーリー >1998年8月。某国政府の極秘機関「DBR Corp.((DNA Bio Reacter Corprationの略。))」所長で、バイオリアクター分野の権威「キュリアン博士」が突如解任された。~ それから3ヵ月後の11月、キュリアン博士の部下であった「ソフィー・リチャーズ」らDBR研究員が次々と失踪する事件が発生。~ 12月、国際諜報機関「AMS」はこれをキュリアン博士による犯行と睨み、エージェント数名を研究員として彼の館へ潜入させた結果、~ キュリアン博士が息子の死を境にマッドサイエンティストに変貌、誘拐した研究員に非人道的な人体実験を強いている事が判明した。 > >だが、12月18日、AMSの介入を察知したキュリアン博士は自らの存在と研究を蔑ろにした人類に対する復讐計画を実行し始めた。~ 潜入していたエージェントとの連絡も同日に途絶え、同月20日、事態を重く見たAMSはキュリアン博士の排除と研究員救出を決定。~ 同機関の凄腕エージェントでソフィーとは恋仲にある「トーマス・ローガン」と、その相棒のコードネーム「G」を急行させた。~ キュリアン邸に到着した彼らは、ゾンビのような怪物が逃げ惑う研究員を襲うという前代未聞の凄惨な光景に立ち向かっていく…。 ---- **システム -装弾数6発のハンドガンを用いて、襲い掛かってくるゾンビ・ミュータントなどの怪物((厳密に言えば本シリーズのほぼ全ての敵は、科学研究により産みだされた「クリーチャー」「ミュータント」(何れも公式でそう呼称されている)なのだが、作中で人間がゾンビ化する描写もあり、境目がかなり曖昧になっている。))を倒してゆく。~ 敵の攻撃を受けるか、下記の研究員を誤射すると1回につき一律1ライフを失う。ゼロになるとゲームオーバー。 --リロードには、ガンコントローラーの銃口を画面外に向けた状態で引き金を引く必要がある。 --現在のライフ数は画面下の「燭台に灯された炎」で表わされ、炎の色は1P側が赤・2P側が青。 ---開始時のライフ数や最大ライフ数は筐体の設定により異なるが、何れも最大は5個設定。 -研究員が各所でゾンビに襲われており、助けることにより進行ルートが変わったり、ライフアップアイテムを貰えたりする。~ ただし、迅速に敵を倒さないと命を落としてしまい、誤射した場合は更にプレイヤーのライフまで1つ失ってしまう。 --ステージクリア時に救出人数が4人以上で1個、6人以上で2個回復する(3面は3人全て救助で1個回復)ので、救出するほどゲーム展開も楽になる。~ 全員救出に成功すると最終面中盤でライフアップと得点アイテムだらけの隠し部屋に行ける為、助けても御礼しか言わない人にも救出の意義がある。 -『[[レールチェイス]]』『[[バーチャコップ2>バーチャコップ#id_73c9f36f]]』同様、進行するルートが分岐するステージも存在する。詳細は下記。 //同社に限定してもガンシューのルート分岐の元祖はレールチェイスのため追記 -プレイヤーの腕前により敵のライフが上下する全16段階のランクシステム((スタート時の内部設定は、ベリーイージーで1、ミディアムイージーで4、ノーマルで7、ミディアムハードで11、ベリーハードで15。最小値は0。「Model 2 Emulator」ではスクリプトでアドレス0x51EE12の値を1バイト分読んで確認可能。))を採用。~ 低ランクでは少ない弾数で敵を倒せるが、高ランクではランクの影響を受けない頭部を撃つ事がほぼ必須となる。ランクが上下する条件は次のとおり。 --約50秒経過((正確には3000フレーム経過。「Model 2 Emulator」ではスクリプトでアドレス0x51FE14の値を4バイト分読んで確認可能。)): +1 ---スタートからカウントされ、カットシーン中も経過時間に含まれる。次作と違い、経過時間はダメージでリセットされない。~ 1面ボス・4面再戦時の『チャリオット』戦や3面ボス『ハーミット』戦では、登場時からボス戦終了まで経過時間がカウントされない。 --ダメージを受ける: -1 ---1面ボス『チャリオット』と3面ボス『ハーミット』戦時の攻撃では減らない。 --プレイヤーのライフが0になる: -4(ダメージでのランク減少とは別) --コンティニュー: +2(直前のランクが4未満なら4になる) --別のプレイヤーが参加する: +4 --ランクシステムでランクが変動する光景は[[ランクシステムのテスト動画>https://youtu.be/xrahKwwtW7w]]で見られる。 -全ステージをクリアするとプレイヤーの最終スコアに応じたランク付けが行われる。ランクは全8段階。 ---- **特徴 基本的には自動スクロールによる自動進行形式であり、「敵の攻撃を受ける前に素早く敵を倒す」ことが求められるという従来のガンシューティング/レールシューターとほぼ大差ない内容を踏襲している。~ ガンシューティングゲームとしては極めてオーソドックスな本作の大きな特徴と魅力は、稼働時点で1世代前の基板となったばかりであったMODEL2Cの描写力を最大限に活かし構成された演出にある。 -ポリゴンを駆使して作られた敵ゾンビは非常にグロテスクで、子供が見たら泣きだしそうなレベル。当時から見ても最大限にリアリティを追及したグラフィックとなっている。~ 更にゾンビ達は奥からのしのしと歩いて間合いを詰め、どアップになって攻撃してくる。特に50インチプロジェクター仕様のDX筐体におけるインパクトは絶大であった。 --ゾンビもののホラーらしく、''身体欠損描写もえげつない。''撃つと出血と共に頭や胸が損傷し、腕はもげてなくなり、上半身が無くせることも。倒した際には血反吐や目玉が飛び散る。~ 数発撃ち込んでもギリギリ生きており、唸り声を上げながら残った体・時にはほぼ下半身や頭だけで体当たりを行ってくる敵がいるのも、「ゾンビらしいしぶとさ」を見事に表現している。 -カットシーンやカメラワークも映画風で非常に巧み。得体の知れない洋館(研究所)を進んでいくエージェント達を、当事者と第三者の2つの視点でとても良く表現している。~ ホラー映画の常である「振り返ると・ドアを開けるとゾンビがいる」というお約束も幾度も存在するのだが、決して単調にならないようにシーンによって角度や速度を微妙に変えてもいる。 --当時既に稼働していた『バーチャコップ』シリーズは同社初の3Dガンシューティングという事もあってか、カメラワークがオーソドックスでデジタル的なものだったのとは対照的である。~ 『バーチャコップ』シリーズをプレイ済みならば、本作の視点演出は臨場感の向上だけでなく、3D描写技術やスタッフによる創意工夫の向上・発展も感じられるようになっているだろう。 ---- **評価点 ''本作でほぼ確立されていた基本システム'' -シリーズ通して無くてはならない存在となった''ルート分岐'' --ルート分岐システムは同社の同ジャンルに限定して見ても決して本作が元祖ではなく、既に『レールチェイス』シリーズ、『バーチャコップ2』などに存在していた。~ だが、各面1つずつだった後者と異なり本作は複数配置され、しかもその殆どが従来の選択式ではない、COLOR(red){プレイヤーの直前の行動が反映される}ようになっている。~ ''分岐条件も研究員救出の成否・敵を倒した順番・背景の特定部分を撃ったか・敵の攻撃を受けたか…とかなり多彩''で、全てを見るには一筋縄ではいかず、リプレイバリューが高い。 ---例として『廊下の先に落とし穴があり、振り返ると背後に体格の良い敵が迫っている』場合。素早く敵を倒すと「道を引き返し、何事もなく館の中を探索する」。~ しかし敵を倒せず(倒さず)に1Pか2Pのどちらかがダメージを喰らうと「穴の中に突き落とされ、地下道を探索する破目になる」…と言った具合。 ---チラシで「ストーリー分岐システム」と謳われている通り、分岐先の殆どでそれぞれ異なる研究員救出シーンやカットシーンが用意されており、飽きにくいよう配慮されている。~ 加えて前者の作品の様に高速で進行する最中に目まぐるしく分岐が行われる例も殆どなく、慣れればプレイヤーの意志である程度ルートを決めることもそこまで難しくはない。 -倒す順番・部位狙いの戦術。 --本作では意図的に飛び道具を持つ敵が少なく設定されており、殆どが肉弾戦を挑んでくる。この為、近くの敵から倒していけば、攻撃体勢に入るまでの時間的余裕を得られる。 ---頭を撃ち抜くのが最も効率良く敵を倒せる手段で点数も高いが、どうしてもキツければ''先に腕を撃っておいて殴り攻撃を潰しておくという戦術も取れる。''~ 敵もそうすると噛みついたり体当たりしてくるが、腕よりも間合いが短い為、プレイヤーにより近づいてくるので、時間の猶予や弱点を撃てる可能性がだいぶ増える。 ---遠距離攻撃は物品(斧・ドラム缶・ナイフ等)の投げつけが殆どである為、何回か銃撃で相殺してしまえばタネ切れとなり、ダメージを受けずに先に進めることが多い。 -見えない形ながら、万人に配慮されたランクシステム。 --初心者には難度を下げることでゲームをとりあえずは進められるように、中上級者には難しくさせることでやり応えを感じさせられる名システムとなっている。~ この絶妙なシステムと、シリーズ中でもかなり抑え目な難易度が相まって、中級者レベルの腕前があれば充分にノーコンティニュークリアを目指せると言える。~ 他作品のように余計に難易度を上げすぎて遊び方・攻略パターンを縛る事もなく、その一方でクリアが安定しやすい上級者に対しての歯応えも維持されている。 ---本シリーズに興味があるならば、本作から入るのがベストである。現在プレイできる環境があればの話ではあるが…。 -基礎的なゲームシステム面は完成度も高く、かつ本作の時点でほぼ確立されており、続編にも大小の新要素を加える形でそのまま踏襲されていった。 ''演出・グラフィック面''~ -''センスの良い世界観。'' --主人公のトーマスとGは凄腕のエージェントという設定で、『セブン』の影響を受けた茶色いトレンチコートや黒いスーツを着た渋い容姿の外国人である。~ 「諜報機関のエージェント」という設定は同じだが派手めな服装をしている『タイムクライシス』の主人公とは対照的で、ダークな世界観にマッチしている。 ---「キュリアンに対し敵意を燃やすトーマス」、「静かに熱い『G』」と、1人・2人プレイ時とでカットシーンの人数と台詞が変わる点も映画的で細かい。 ---因みにコイン投入直後にコマンドを入力する事で、外見をストーリーで紹介されたトーマス達より前に潜入したエージェントの2人や、ソフィーに変えられる。~ [[雑誌でのインタビュー>https://segaretro.org/index.php?title=File:SSM_JP_19980410_1998-11.pdf&page=65]]によると、このエージェント2名もそれぞれ名前が設定されているなど、各裏設定も非常に凝っており、独特の世界観を構築している。 --敵のゾンビ達は人工の生物兵器だが、その殆どがみすぼらしい容姿で、筋組織が一部露出していたりと、ゾンビ映画に通ずる露骨な生理的嫌悪感を巧みに表現している。~ 一方でボス達はタロット・カードの大アルカナのコードネームを持ち、デザインも「汚さ」を感じにくい数少ない格好良い敵となっており、存在感に溢れている。 ---上記の概要欄にもあるが、種類や攻撃手段が多種多様で、雑魚敵にもほとんどに公式な個体名も付いている。ただの『バイオハザード』の追従で終わらなかった好例である。 ---特にラスボスの『マジシャン』は「こんなものを科学で作れるのか?」と思えるような全力でオカルトな存在だが、むしろ「高貴さ」「格好良さ」に溢れている。~ プレイヤーの間からもマジシャンは外見・曲と共に人気が相当高かったようで、後の作品に於いてもボスや得点アイテムとして定期的に登場することになる。 --リアルなホラー路線の良いアクセントになっている、お洒落なゴシック的要素とケレン味のあるSF要素。 ---舞台のキュリアン邸は中世に建築されたという設定で、2面中盤までは石造りや絨毯敷きの床・ステンドグラス・娯楽室等のお洒落な設えや地下水路・牢屋等の中世の名残がみられる。~ だが2面後半、宿舎のバルコニーから増設されたような建物から雰囲気は一転、培養カプセルのある研究室・シャッターで区切られた牢屋と工場・洞窟内の研究所と途端にSF調となる。~ 敵の強さや配置といった難易度面だけではなく、ステージの雰囲気からもプレイヤーは「キュリアンという人物とその研究の狂気っぷり」を徐々に感じられるようになっている。 ---ライフマークが単なる救急箱やハートではなく「燭台に灯された炎」であったり、AMSの車が旧車の「ジャガー・Mk2」である点も、細かいながらお洒落である。 ---本作で主人公達が使う拳銃は架空色が比較的強いものだが、よく見ると実在の拳銃をモチーフにしている((大まかな外観は「コルトM1911」と「グロック17」を足して2で割ったようなデザインで、マガジンリリースレバー等一部「H&K USP」の要素も入っている。))点も、銃器マニアの心をくすぐる点だろう。 -''BGM・SEの出来が非常に良い。'' --BGMは基板故に音源が少々寂しいが、クオリティ自体は高い。ホラーゲームとは思えないような派手な曲調((2面と3面のBGMはまさかのテクノ調である。))が多く、それでいて雰囲気にも見事にマッチしている。 ---特に「Chapter 1 惨劇 ~Tragedy~」は勇壮ながらどこかおどろおどろしく、未知への恐怖が入り混じった曲調で、ガンシューティング史上に残る良曲・有名曲である。~ 続編の『[[2>THE HOUSE OF THE DEAD 2]]』でも使われただけでなく、本作の外伝である『[[ゾンビリベンジ]]』と同作が登場した別作品『[[PROJECT X ZONE]]』にも、この曲のアレンジが採用されている。 ---ラスボス戦の楽曲「THE THEME OF MAGICIAN」もシリーズを代表する有名曲。この曲を聴きたいが為にプレイするという人もいた程、非常に評価が高い。~ 上記の通り、後のシリーズ作においてマジシャンがボスとして復活・登場する度に、この曲もアレンジされて使用されている。 ---他にもステージクリアやゲームオーバーの曲も、シリーズを通してアレンジされて使用され続けており、HODの世界観構築に一役買っている。 --SEも実にリアリティがあり、BGMの邪魔をしない音で作られており世界観を盛り立てている。 ---文章で表現するのは難しいが、ゾンビ達の叫び声が実にいい味を出している。興味を持たれた方は是非一度聴いて頂きたい。 ---1Pと2Pで違う拳銃の発砲音や一部効果音等、『バーチャコップ』からの流用((銃声は1Pが同作のショットガン、2Pが初代『バーチャコップ』のガーディアン(初期装備の拳銃)の流用。一部雑魚ゾンビや2面ボスが言う「Die!」も、『バーチャコップ2』の2面ボスからの流用である。))もあるが、何れも違和感は無く、随所には細かいこだわりも見える。 ---普通にプレイしていると「まるでBGMの合いの手として、これらのSEがタイミングよく挟まる」ようになり、何ともいえないプレイ中の昂揚感を作り出している。 ---- **賛否両論点 -''グロテスクな描写が苦手な人にとってはキツめの面がある。'' --シリーズ中最も人体欠損描写が激しく、更に筐体設定の血の色がデフォルトで「COLOR(red){''赤''}」である為、そういうのが生理的にダメ、という人には向かない・楽しめない可能性が大きい。~ 血だまりに横たわる研究員の死体、槍で串刺しにされた惨殺死体や、おびただしい量の血だまり、食肉フックに無造作に吊るされた死体の胴体等のオブジェクトも存在する。 ---続編以降とは異なり、プレイされていない状態で流れるルール説明デモやデモプレイ中でも容赦なく出血や人体欠損する。 ---一応、筐体設定で「COLOR(green){''緑''}」「COLOR(blue){''青''}」「COLOR(purple){''紫''}」に変更可能ではあるが、基本的な残虐描写は変わらない((強いて言えば、研究員の死体の血だまりが無くなり、一部敵の体色が変わるぐらいである。))ので、焼け石に水と言ったレベルである。 --マスコミにそのグロテスクさを取り上げられテレビ放映されたり、新聞の読者投稿欄に「(HODは)''人殺しの訓練をしているようなもの''」等の極論に近い意見が載ったこともあった。 ---セガもこれらを重く見たのか、97年中に直営店に対して血の色を「COLOR(green){''緑''}」として稼働するよう要請し、以降Xb版『[[III>THE HOUSE OF THE DEAD III]]』まで、日本版のみ血の色は緑で固定されていた。 -成績やコンティニュー回数に応じてEDが変わる(全3種類)。 #region(ネタバレ注意) --ノーマルエンド…戦いを終え、キュリアンとソフィーに別れを告げた主人公らは来た道を戻っていく。最後に車に乗る前に洋館の方を振り返ってEND。 --バッドエンド…振り返った直後、洋館の入り口まで視点がズームインしドアが開き、中にゾンビ化したソフィーが立っている。銃声((1人プレイの場合、プレイしていない側の銃声が鳴る。))と共にEND。 ---後のナンバリング作でも、「作中の主要人物の誰かがゾンビ化する」EDは必ず用意されている。 --グッドエンド…上記と流れは同じだが、ドアが開いた直後に無事生存していたソフィーが「Thank you」と言いながら駆け寄ってきてEND。 ---『[[III>THE HOUSE OF THE DEAD III]]』ではトーマスの娘を操作することになるので、グッドエンドが正史とされた。バッドまたはノーマルエンドしか知らないプレイヤーも安心。 #endregion --グッドエンドを見るにはかなり点数を稼がないとならず、必然的にルート選択も限られたものとなってしまう。~ 点効率が悪いルートでは、ほぼ絶対にグッドエンドを出せなくなってしまう((一応、2面と3面のボスの頭部を撃つ事でかなりの得点を稼ぐ事ができるが、上級者でもなかなかできないほど難しい芸当である。))という事態も存在する。 ---- **問題点 -''2Pでプレイしているとバグにより不利な場面が頻出する。'' --1面の屋敷2Fの女性研究員や1Fの檻に捕らわれた研究員達を救出しても1Pのライフアップ表記が出て、2Pのライフが増えない、~ スコア面では一部研究員の救出スコアや、最終面のボスラッシュ時に登場する2面ボスの撃破スコアが入らない…とやけに不遇なバグにさらされる。 ---その為、スコアアタックを行うならば、1Pでプレイする事が必須となり、少々煩わしい面がある。 -どんなに稼いでも、全面クリアしないとスコアランキングに載らない。 --初心者にとっては長い壁となる。スコアを気にする余裕ができたのなら概ね初心者は卒業しているはずであり、雰囲気としてもこの仕様は理にかなっている。 ---ランキング登録が完走必須という仕様は続編でもほぼそのままで同ジャンルで見ても決して珍しい仕様ではないが((ライバルであるナムコの『タイムクライシス』シリーズなど))唯一の例外は本作の移植版・PS3版の『III』のみとなっている。 -2人協力プレイ専用のスコアランキングが存在しない。 --協力プレイが可能なゲームの多くのように両者合算でスコアが処理されるわけでもなく、2人でクリアしてもそれぞれ別々にスコア処理が行われたまま。 ---上記のグッドエンドだが、2人協力プレイ時でもどちらか片方が条件スコアを上回っている必要がある(両者合算で条件スコアを上回っても未達成扱い)。~ ザコ敵の配置数が増える処置こそあるが、片方を放置するようなプレイをしない限り条件スコアを超える事はほぼ不可能であり、グッドエンドを見る事ができなくなってしまう。 --この問題はシリーズ通してしばらく解決せず、『[[SCARLET DAWN>HOUSE OF THE DEAD ~SCARLET DAWN~]]』まで待つことになる。 -3D黎明期のゲームなので仕方が無いが、モブキャラクターの使い回しは非常に多い。 --しかし、キャラクターパターンの使い回しの多さを逆手に取った事によって研究員 →「DBR研究所」の設定を生み出したセガの工夫はさすがと言えるか。 -タイトル画面で隠しコマンドを途中で間違えると、次のタイトル画面表示まで待たないといけない。 --間違えてしまうと同じタイトル画面表示で最初から隠しコマンドを入力しても入力成立扱いにならない。~ 最初の入力から正しく隠しコマンドを入力できていれば、その後に余計な入力がされてもタイトル画面が表示されている間は隠しコマンドが適用される。 ---『タイムクライシス』のように、コイン入力以外のボタンでデモ画面を遷移できるわけでもない。~ そのため、コマンド入力に失敗したら約2分半でデモが一周するのを待つかフリープレイでなければ追加でコインを投入して即タイトル画面に遷移するしかない。 ---『III』以降は隠しコマンド入力に成功するとデモでの音の設定に関係なく専用の効果音が鳴るようになったので、隠しコマンドが有効か確認しやすくなった。~ 隠しコマンド入力失敗時の待ち時間に関わる、肝心なボタンでのデモ画面遷移は『SCARLET DAWN』まで実現しなかったが。 -4面の1面ボス再戦時にゲーム進行に影響を与えるバグがある。 --この場面の1ボスは登場時に縦穴から落下してくるのだがこの落下中でも弱点への狙撃が可能で、弱点に当たると空中で被弾モーションを取った後に空中歩行を始める。~ 場合によってはボスの攻撃射程に入ってもこちらを認識せずにそのまま明後日の方向へ行き、ゲームが進行不能になってしまう。 ---狙わないと発動しないバグとはいえ、こうなるとゲームリセットするしかなくなるので絶対にやらないように。 ---- **総評 外見上はガンシューティング版『バイオハザード』だが、実際はその模倣でなく、敵をゾンビとしたことで新たな面白さを作り出した画期的な名作である。~ 基本システムや敵への撃ち込みを『バーチャコップ』から発展させ、「部分欠損」「数発撃ち込む必要性と爽快感」を違和感なく導入した点は大きく、~ ホラーゲーム特有の「何が潜んでいるかがわからない緊張感」も上手く盛り込まれたことから好評を博し、以降の各シリーズ展開に繋がることとなる。~ シリーズいちの残虐表現は人を選ぶが、苦手でさえなければ、『BIOHAZARD』とは方向性の違う本作の独特の雰囲気をプレイし体験してもらいたい。 家庭用移植版はハード性能故に劣化移植となっている為、本作に興味のある方は拘りが無ければこのアーケード版からプレイすることを推奨する。 ---- **余談 -今作が正式発表される前の第1回ロケテストでは、製品版とは異なるガンコンが使用されていた。 --[[『セガサターンマガジン』での記事>https://segaretro.org/index.php?title=File%3ASSM_JP_19970912_1997-31.pdf&page=197]]によると、圧縮空気を用いたブローバック機能を内蔵した本格的なものだったが、あまりに壊れるのでお蔵入りになったという。~ そして製品版では『バーチャコップ』シリーズと同型のガンコンが採用された。 -本作の開発時に先に発売された『バイオハザード』と敵と舞台設定が似ているのは全くの偶然である。 --一方で『バイオハザード』側も制作当初は一人称視点でのゲームを検討していたとされ((今作がリリースされる少し前に「少年マガジン」誌に掲載された『ゲームクリエイター列伝』の『バイオハザード』編ではこの件が脚色を含めたうえで取り上げられている。))、恐怖感を演出するための各社の試行錯誤が垣間見える。 ---- **その後の展開 -2021年4月15日に行われた配信イベント「Indie World」にて本作のリメイク版『[[THE HOUSE OF THE DEAD: Remake]]』がSwitch向けに発表。日本では2022年4月7日に配信開始となった。 --『パンツァードラグーン:リメイク』と同じくセガよりライセンス許諾を受けており、開発も同じくMegaPixel Studio、販売はForever Entertainmentが行っている。 ---なお、Switchでの発売から2週間後にPS5/XSX/PS4/One/Win(Steam)版も発表、同年4月28日に発売された。 --しかし、BGMがオリジナルから全面的に差し替えられており、特にマジシャン戦は高速移動時の動きがやたらもっさりしていることと相まって、プレイヤーから大不評を浴びることとなった。
*THE HOUSE OF THE DEAD 【ざ はうす おぶ ざ でっど】 |ジャンル|ガンシューティング|&image(4974365091736.jpg,width=160)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3192&file=4974365091736.jpg]] [[裏を見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3192&file=4974365091736u.jpg]]| |対応機種|アーケード(MODEL2C)|~| |販売・開発元|セガ・エンタープライゼス|~| |稼動開始日|1997年3月|~| |備考|SS移植版に関する記事は[[こちら>THE HOUSE OF THE DEAD (SS)]]&br;(''劣化ゲー判定'')|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ホラーとSFを融合させた世界観&br()ゲームと密接に関わる残虐描写&br()画期的なルートの複数分岐&br()シリーズ中でも抑え目な難易度|~| |>|>|CENTER:''[[THE HOUSE OF THE DEADシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概略 セガAM1研が1996年に開発、1997年に正式稼動した、一人称視点ガンシューティング。公式略称は『HOD』となっている。~ 同社の『[[バーチャコップ]]』をベースとした基本システムに、『[[バイオハザード]]』や95年の米映画『セブン』のようなホラーテイストを加味している。~ この「ゾンビを敵としたホラーガンシューティングゲーム」という作風は、国産ゲームでは1989年のSNK製『ビーストバスターズ』以来であった。 本作は上記作の単なる模倣や追従に終わっていない、非常に良く練られたゲームシステム・巧みな世界観設定や演出類が世界的に高く評価された。~ 日本国内に於いては、ナムコの『[[タイムクライシス]]』と共に「ガンシューティングゲーム」の知名度を大きく上げた代名詞的作品の1つとなった。 ---- **ストーリー >1998年8月。某国政府の極秘機関「DBR Corp.((DNA Bio Reacter Corprationの略。))」所長で、バイオリアクター分野の権威「キュリアン博士」が突如解任された。~ それから3ヵ月後の11月、キュリアン博士の部下であった「ソフィー・リチャーズ」らDBR研究員が次々と失踪する事件が発生。~ 12月、国際諜報機関「AMS」はこれをキュリアン博士による犯行と睨み、エージェント数名を研究員として彼の館へ潜入させた結果、~ キュリアン博士が息子の死を境にマッドサイエンティストに変貌、誘拐した研究員に非人道的な人体実験を強いている事が判明した。 > >だが、12月18日、AMSの介入を察知したキュリアン博士は自らの存在と研究を蔑ろにした人類に対する復讐計画を実行し始めた。~ 潜入していたエージェントとの連絡も同日に途絶え、同月20日、事態を重く見たAMSはキュリアン博士の排除と研究員救出を決定。~ 同機関の凄腕エージェントでソフィーとは恋仲にある「トーマス・ローガン」と、その相棒のコードネーム「G」を急行させた。~ キュリアン邸に到着した彼らは、ゾンビのような怪物が逃げ惑う研究員を襲うという前代未聞の凄惨な光景に立ち向かっていく…。 ---- **システム -装弾数6発のハンドガンを用いて、襲い掛かってくるゾンビ・ミュータントなどの怪物((厳密に言えば本シリーズのほぼ全ての敵は、科学研究により産みだされた「クリーチャー」「ミュータント」(何れも公式でそう呼称されている)なのだが、作中で人間がゾンビ化する描写もあり、境目がかなり曖昧になっている。))を倒してゆく。~ 敵の攻撃を受けるか、下記の研究員を誤射すると1回につき一律1ライフを失う。ゼロになるとゲームオーバー。 --リロードには、ガンコントローラーの銃口を画面外に向けた状態で引き金を引く必要がある。 --現在のライフ数は画面下の「燭台に灯された炎」で表わされ、炎の色は1P側が赤・2P側が青。 ---開始時のライフ数や最大ライフ数は筐体の設定により異なるが、何れも最大は5個設定。 -研究員が各所でゾンビに襲われており、助けることにより進行ルートが変わったり、ライフアップアイテムを貰えたりする。~ ただし、迅速に敵を倒さないと命を落としてしまい、誤射した場合は更にプレイヤーのライフまで1つ失ってしまう。 --ステージクリア時に救出人数が4人以上で1個、6人以上で2個回復する(3面は3人全て救助で1個回復)ので、救出するほどゲーム展開も楽になる。~ 全員救出に成功すると最終面中盤でライフアップと得点アイテムだらけの隠し部屋に行ける為、助けても御礼しか言わない人にも救出の意義がある。 -『[[レールチェイス]]』『[[バーチャコップ2>バーチャコップ#id_73c9f36f]]』同様、進行するルートが分岐するステージも存在する。詳細は下記。 //同社に限定してもガンシューのルート分岐の元祖はレールチェイスのため追記 -プレイヤーの腕前により敵のライフが上下する全16段階のランクシステム((スタート時の内部設定は、ベリーイージーで1、ミディアムイージーで4、ノーマルで7、ミディアムハードで11、ベリーハードで15。最小値は0。「Model 2 Emulator」ではスクリプトでアドレス0x51EE12の値を1バイト分読んで確認可能。))を採用。~ 低ランクでは少ない弾数で敵を倒せるが、高ランクではランクの影響を受けない頭部を撃つ事がほぼ必須となる。ランクが上下する条件は次のとおり。 --約50秒経過((正確には3000フレーム経過。「Model 2 Emulator」ではスクリプトでアドレス0x51FE14の値を4バイト分読んで確認可能。)): +1 ---スタートからカウントされ、カットシーン中も経過時間に含まれる。次作と違い、経過時間はダメージでリセットされない。~ 1面ボス・4面再戦時の『チャリオット』戦や3面ボス『ハーミット』戦では、登場時からボス戦終了まで経過時間がカウントされない。 --ダメージを受ける: -1 ---1面ボス『チャリオット』と3面ボス『ハーミット』戦時の攻撃では減らない。 --プレイヤーのライフが0になる: -4(ダメージでのランク減少とは別) --コンティニュー: +2(直前のランクが4未満なら4になる) --別のプレイヤーが参加する: +4 --ランクシステムでランクが変動する光景は[[ランクシステムのテスト動画>https://youtu.be/xrahKwwtW7w]]で見られる。 -全ステージをクリアするとプレイヤーの最終スコアに応じたランク付けが行われる。ランクは全8段階。 ---- **特徴 基本的には自動スクロールによる自動進行形式であり、「敵の攻撃を受ける前に素早く敵を倒す」ことが求められるという従来のガンシューティング/レールシューターとほぼ大差ない内容を踏襲している。~ ガンシューティングゲームとしては極めてオーソドックスな本作の大きな特徴と魅力は、稼働時点で1世代前の基板となったばかりであったMODEL2Cの描写力を最大限に活かし構成された演出にある。 -ポリゴンを駆使して作られた敵ゾンビは非常にグロテスクで、子供が見たら泣きだしそうなレベル。当時から見ても最大限にリアリティを追及したグラフィックとなっている。~ 更にゾンビ達は奥からのしのしと歩いて間合いを詰め、どアップになって攻撃してくる。特に50インチプロジェクター仕様のDX筐体におけるインパクトは絶大であった。 --ゾンビもののホラーらしく、''身体欠損描写もえげつない。''撃つと出血と共に頭や胸が損傷し、腕はもげてなくなり、上半身が無くせることも。倒した際には血反吐や目玉が飛び散る。~ 数発撃ち込んでもギリギリ生きており、唸り声を上げながら残った体・時にはほぼ下半身や頭だけで体当たりを行ってくる敵がいるのも、「ゾンビらしいしぶとさ」を見事に表現している。 -カットシーンやカメラワークも映画風で非常に巧み。得体の知れない洋館(研究所)を進んでいくエージェント達を、当事者と第三者の2つの視点でとても良く表現している。~ ホラー映画の常である「振り返ると・ドアを開けるとゾンビがいる」というお約束も幾度も存在するのだが、決して単調にならないようにシーンによって角度や速度を微妙に変えてもいる。 --当時既に稼働していた『バーチャコップ』シリーズは同社初の3Dガンシューティングという事もあってか、カメラワークがオーソドックスでデジタル的なものだったのとは対照的である。~ 『バーチャコップ』シリーズをプレイ済みならば、本作の視点演出は臨場感の向上だけでなく、3D描写技術やスタッフによる創意工夫の向上・発展も感じられるようになっているだろう。 ---- **評価点 ''本作でほぼ確立されていた基本システム'' -シリーズ通して無くてはならない存在となった''ルート分岐'' --ルート分岐システムは同社の同ジャンルに限定して見ても決して本作が元祖ではなく、既に『レールチェイス』シリーズ、『バーチャコップ2』などに存在していた。~ だが、各面1つずつだった後者と異なり本作は複数配置され、しかもその殆どが従来の選択式ではない、COLOR(red){プレイヤーの直前の行動が反映される}ようになっている。~ ''分岐条件も研究員救出の成否・敵を倒した順番・背景の特定部分を撃ったか・敵の攻撃を受けたか…とかなり多彩''で、全てを見るには一筋縄ではいかず、リプレイバリューが高い。 ---例として『廊下の先に落とし穴があり、振り返ると背後に体格の良い敵が迫っている』場合。素早く敵を倒すと「道を引き返し、何事もなく館の中を探索する」。~ しかし敵を倒せず(倒さず)に1Pか2Pのどちらかがダメージを喰らうと「穴の中に突き落とされ、地下道を探索する破目になる」…と言った具合。 ---チラシで「ストーリー分岐システム」と謳われている通り、分岐先の殆どでそれぞれ異なる研究員救出シーンやカットシーンが用意されており、飽きにくいよう配慮されている。~ 加えて前者の作品の様に高速で進行する最中に目まぐるしく分岐が行われる例も殆どなく、慣れればプレイヤーの意志である程度ルートを決めることもそこまで難しくはない。 -倒す順番・部位狙いの戦術。 --本作では意図的に飛び道具を持つ敵が少なく設定されており、殆どが肉弾戦を挑んでくる。この為、近くの敵から倒していけば、攻撃体勢に入るまでの時間的余裕を得られる。 ---頭を撃ち抜くのが最も効率良く敵を倒せる手段で点数も高いが、どうしてもキツければ''先に腕を撃っておいて殴り攻撃を潰しておくという戦術も取れる。''~ 敵もそうすると噛みついたり体当たりしてくるが、腕よりも間合いが短い為、プレイヤーにより近づいてくるので、時間の猶予や弱点を撃てる可能性がだいぶ増える。 ---遠距離攻撃は物品(斧・ドラム缶・ナイフ等)の投げつけが殆どである為、何回か銃撃で相殺してしまえばタネ切れとなり、ダメージを受けずに先に進めることが多い。 -見えない形ながら、万人に配慮されたランクシステム。 --初心者には難度を下げることでゲームをとりあえずは進められるように、中上級者には難しくさせることでやり応えを感じさせられる名システムとなっている。~ この絶妙なシステムと、シリーズ中でもかなり抑え目な難易度が相まって、中級者レベルの腕前があれば充分にノーコンティニュークリアを目指せると言える。~ 他作品のように余計に難易度を上げすぎて遊び方・攻略パターンを縛る事もなく、その一方でクリアが安定しやすい上級者に対しての歯応えも維持されている。 ---本シリーズに興味があるならば、本作から入るのがベストである。現在プレイできる環境があればの話ではあるが…。 -基礎的なゲームシステム面は完成度も高く、かつ本作の時点でほぼ確立されており、続編にも大小の新要素を加える形でそのまま踏襲されていった。 ''演出・グラフィック面''~ -''センスの良い世界観。'' --主人公のトーマスとGは凄腕のエージェントという設定で、『セブン』の影響を受けた茶色いトレンチコートや黒いスーツを着た渋い容姿の外国人である。~ 「諜報機関のエージェント」という設定は同じだが派手めな服装をしている『タイムクライシス』の主人公とは対照的で、ダークな世界観にマッチしている。 ---「キュリアンに対し敵意を燃やすトーマス」、「静かに熱い『G』」と、1人・2人プレイ時とでカットシーンの人数と台詞が変わる点も映画的で細かい。 ---因みにコイン投入直後にコマンドを入力する事で、外見をストーリーで紹介されたトーマス達より前に潜入したエージェントの2人や、ソフィーに変えられる。~ [[雑誌でのインタビュー>https://segaretro.org/index.php?title=File:SSM_JP_19980410_1998-11.pdf&page=65]]によると、このエージェント2名もそれぞれ名前が設定されているなど、各裏設定も非常に凝っており、独特の世界観を構築している。 --敵のゾンビ達は人工の生物兵器だが、その殆どがみすぼらしい容姿で、筋組織が一部露出していたりと、ゾンビ映画に通ずる露骨な生理的嫌悪感を巧みに表現している。~ 一方でボス達はタロット・カードの大アルカナのコードネームを持ち、デザインも「汚さ」を感じにくい数少ない格好良い敵となっており、存在感に溢れている。 ---上記の概要欄にもあるが、種類や攻撃手段が多種多様で、雑魚敵にもほとんどに公式な個体名も付いている。ただの『バイオハザード』の追従で終わらなかった好例である。 ---特にラスボスの『マジシャン』は「こんなものを科学で作れるのか?」と思えるような全力でオカルトな存在だが、むしろ「高貴さ」「格好良さ」に溢れている。~ プレイヤーの間からもマジシャンは外見・曲と共に人気が相当高かったようで、後の作品に於いてもボスや得点アイテムとして定期的に登場することになる。 --リアルなホラー路線の良いアクセントになっている、お洒落なゴシック的要素とケレン味のあるSF要素。 ---舞台のキュリアン邸は中世に建築されたという設定で、2面中盤までは石造りや絨毯敷きの床・ステンドグラス・娯楽室等のお洒落な設えや地下水路・牢屋等の中世の名残がみられる。~ だが2面後半、宿舎のバルコニーから増設されたような建物から雰囲気は一転、培養カプセルのある研究室・シャッターで区切られた牢屋と工場・洞窟内の研究所と途端にSF調となる。~ 敵の強さや配置といった難易度面だけではなく、ステージの雰囲気からもプレイヤーは「キュリアンという人物とその研究の狂気っぷり」を徐々に感じられるようになっている。 ---ライフマークが単なる救急箱やハートではなく「燭台に灯された炎」であったり、AMSの車が旧車の「ジャガー・Mk2」である点も、細かいながらお洒落である。 ---本作で主人公達が使う拳銃は架空色が比較的強いものだが、よく見ると実在の拳銃をモチーフにしている((大まかな外観は「コルトM1911」と「グロック17」を足して2で割ったようなデザインで、マガジンリリースレバー等一部「H&K USP」の要素も入っている。))点も、銃器マニアの心をくすぐる点だろう。 -''BGM・SEの出来が非常に良い。'' --BGMは基板故に音源が少々寂しいが、クオリティ自体は高い。ホラーゲームとは思えないような派手な曲調((2面と3面のBGMはまさかのテクノ調である。))が多く、それでいて雰囲気にも見事にマッチしている。 ---特に「Chapter 1 惨劇 ~Tragedy~」は勇壮ながらどこかおどろおどろしく、未知への恐怖が入り混じった曲調で、ガンシューティング史上に残る良曲・有名曲である。~ 続編の『[[2>THE HOUSE OF THE DEAD 2]]』でも使われただけでなく、本作の外伝である『[[ゾンビリベンジ]]』と同作が登場した別作品『[[PROJECT X ZONE]]』にも、この曲のアレンジが採用されている。 ---ラスボス戦の楽曲「THE THEME OF MAGICIAN」もシリーズを代表する有名曲。この曲を聴きたいが為にプレイするという人もいた程、非常に評価が高い。~ 上記の通り、後のシリーズ作においてマジシャンがボスとして復活・登場する度に、この曲もアレンジされて使用されている。 ---他にもステージクリアやゲームオーバーの曲も、シリーズを通してアレンジされて使用され続けており、HODの世界観構築に一役買っている。 --SEも実にリアリティがあり、BGMの邪魔をしない音で作られており世界観を盛り立てている。 ---文章で表現するのは難しいが、ゾンビ達の叫び声が実にいい味を出している。興味を持たれた方は是非一度聴いて頂きたい。 ---1Pと2Pで違う拳銃の発砲音や一部効果音等、『バーチャコップ』からの流用((銃声は1Pが同作のショットガン、2Pが初代『バーチャコップ』のガーディアン(初期装備の拳銃)の流用。一部雑魚ゾンビや2面ボスが言う「Die!」も、『バーチャコップ2』の2面ボスからの流用である。))もあるが、何れも違和感は無く、随所には細かいこだわりも見える。 ---普通にプレイしていると「まるでBGMの合いの手として、これらのSEがタイミングよく挟まる」ようになり、何ともいえないプレイ中の昂揚感を作り出している。 ---- **賛否両論点 -''グロテスクな描写が苦手な人にとってはキツめの面がある。'' --シリーズ中最も人体欠損描写が激しく、更に筐体設定の血の色がデフォルトで「COLOR(red){''赤''}」である為、そういうのが生理的にダメ、という人には向かない・楽しめない可能性が大きい。~ 血だまりに横たわる研究員の死体、槍で串刺しにされた惨殺死体や、おびただしい量の血だまり、食肉フックに無造作に吊るされた死体の胴体等のオブジェクトも存在する。 ---続編以降とは異なり、プレイされていない状態で流れるルール説明デモやデモプレイ中でも容赦なく出血や人体欠損する。 ---一応、筐体設定で「COLOR(green){''緑''}」「COLOR(blue){''青''}」「COLOR(purple){''紫''}」に変更可能ではあるが、基本的な残虐描写は変わらない((強いて言えば、研究員の死体の血だまりが無くなり、一部敵の体色が変わるぐらいである。))ので、焼け石に水と言ったレベルである。 --マスコミにそのグロテスクさを取り上げられテレビ放映されたり、新聞の読者投稿欄に「(HODは)''人殺しの訓練をしているようなもの''」等の極論に近い意見が載ったこともあった。 ---セガもこれらを重く見たのか、97年中に直営店に対して血の色を「COLOR(green){''緑''}」として稼働するよう要請し、以降Xb版『[[III>THE HOUSE OF THE DEAD III]]』まで、日本版のみ血の色は緑で固定されていた。 -成績やコンティニュー回数に応じてEDが変わる(全3種類)。 #region(ネタバレ注意) --ノーマルエンド…戦いを終え、キュリアンとソフィーに別れを告げた主人公らは来た道を戻っていく。最後に車に乗る前に洋館の方を振り返ってEND。 --バッドエンド…振り返った直後、洋館の入り口まで視点がズームインしドアが開き、中にゾンビ化したソフィーが立っている。銃声((1人プレイの場合、プレイしていない側の銃声が鳴る。))と共にEND。 ---後のナンバリング作でも、「作中の主要人物の誰かがゾンビ化する」EDは必ず用意されている。 --グッドエンド…上記と流れは同じだが、ドアが開いた直後に無事生存していたソフィーが「Thank you」と言いながら駆け寄ってきてEND。 ---『[[III>THE HOUSE OF THE DEAD III]]』ではトーマスの娘を操作することになるので、グッドエンドが正史とされた。バッドまたはノーマルエンドしか知らないプレイヤーも安心。 #endregion --グッドエンドを見るにはかなり点数を稼がないとならず、必然的にルート選択も限られたものとなってしまう。~ 点効率が悪いルートでは、ほぼ絶対にグッドエンドを出せなくなってしまう((一応、2面と3面のボスの頭部を撃つ事でかなりの得点を稼ぐ事ができるが、上級者でもなかなかできないほど難しい芸当である。))という事態も存在する。 ---- **問題点 -''2Pでプレイしているとバグにより不利な場面が頻出する。'' --1面の屋敷2Fの女性研究員や1Fの檻に捕らわれた研究員達を救出しても1Pのライフアップ表記が出て、2Pのライフが増えない、~ スコア面では一部研究員の救出スコアや、最終面のボスラッシュ時に登場する2面ボスの撃破スコアが入らない…とやけに不遇なバグにさらされる。 ---その為、スコアアタックを行うならば、1Pでプレイする事が必須となり、少々煩わしい面がある。 -どんなに稼いでも、全面クリアしないとスコアランキングに載らない。 --初心者にとっては長い壁となる。スコアを気にする余裕ができたのなら概ね初心者は卒業しているはずであり、雰囲気としてもこの仕様は理にかなっている。 ---ランキング登録が完走必須という仕様は続編でもほぼそのままで同ジャンルで見ても決して珍しい仕様ではないが((ライバルであるナムコの『タイムクライシス』シリーズなど))唯一の例外は本作の移植版・PS3版の『III』のみとなっている。 -2人協力プレイ専用のスコアランキングが存在しない。 --協力プレイが可能なゲームの多くのように両者合算でスコアが処理されるわけでもなく、2人でクリアしてもそれぞれ別々にスコア処理が行われたまま。 ---上記のグッドエンドだが、2人協力プレイ時でもどちらか片方が条件スコアを上回っている必要がある(両者合算で条件スコアを上回っても未達成扱い)。~ ザコ敵の配置数が増える処置こそあるが、片方を放置するようなプレイをしない限り条件スコアを超える事はほぼ不可能であり、グッドエンドを見る事ができなくなってしまう。 --この問題はシリーズ通してしばらく解決せず、『[[SCARLET DAWN>HOUSE OF THE DEAD ~SCARLET DAWN~]]』まで待つことになる。 -3D黎明期のゲームなので仕方が無いが、モブキャラクターの使い回しは非常に多い。 --しかし、キャラクターパターンの使い回しの多さを逆手に取った事によって研究員 →「DBR研究所」の設定を生み出したセガの工夫はさすがと言えるか。 -タイトル画面で隠しコマンドを途中で間違えると、次のタイトル画面表示まで待たないといけない。 --間違えてしまうと同じタイトル画面表示で最初から隠しコマンドを入力しても入力成立扱いにならない。~ 最初の入力から正しく隠しコマンドを入力できていれば、その後に余計な入力がされてもタイトル画面が表示されている間は隠しコマンドが適用される。 ---『タイムクライシス』のように、コイン入力以外のボタンでデモ画面を遷移できるわけでもない。~ そのため、コマンド入力に失敗したら約2分半でデモが一周するのを待つかフリープレイでなければ追加でコインを投入して即タイトル画面に遷移するしかない。 ---『III』以降は隠しコマンド入力に成功するとデモでの音の設定に関係なく専用の効果音が鳴るようになったので、隠しコマンドが有効か確認しやすくなった。~ 隠しコマンド入力失敗時の待ち時間に関わる、肝心なボタンでのデモ画面遷移は『SCARLET DAWN』まで実現しなかったが。 -4面の1面ボス再戦時にゲーム進行に影響を与えるバグがある。 --この場面の1ボスは登場時に縦穴から落下してくるのだがこの落下中でも弱点への狙撃が可能で、弱点に当たると空中で被弾モーションを取った後に空中歩行を始める。~ 場合によってはボスの攻撃射程に入ってもこちらを認識せずにそのまま明後日の方向へ行き、ゲームが進行不能になってしまう。 ---狙わないと発動しないバグとはいえ、こうなるとゲームリセットするしかなくなるので絶対にやらないように。 ---- **総評 外見上はガンシューティング版『バイオハザード』だが、実際はその模倣でなく、敵をゾンビとしたことで新たな面白さを作り出した画期的な名作である。~ 基本システムや敵への撃ち込みを『バーチャコップ』から発展させ、「部分欠損」「数発撃ち込む必要性と爽快感」を違和感なく導入した点は大きく、~ ホラーゲーム特有の「何が潜んでいるかがわからない緊張感」も上手く盛り込まれたことから好評を博し、以降の各シリーズ展開に繋がることとなる。~ シリーズいちの残虐表現は人を選ぶが、苦手でさえなければ、『BIOHAZARD』とは方向性の違う本作の独特の雰囲気をプレイし体験してもらいたい。 家庭用移植版はハード性能故に劣化移植となっている為、本作に興味のある方は拘りが無ければこのアーケード版からプレイすることを推奨する。 ---- **余談 -今作が正式発表される前の第1回ロケテストでは、製品版とは異なるガンコンが使用されていた。 --[[『セガサターンマガジン』での記事>https://segaretro.org/index.php?title=File%3ASSM_JP_19970912_1997-31.pdf&page=197]]によると、圧縮空気を用いたブローバック機能を内蔵した本格的なものだったが、あまりに壊れるのでお蔵入りになったという。~ そして製品版では『バーチャコップ』シリーズと同型のガンコンが採用された。 -本作の開発時に先に発売された『バイオハザード』と敵と舞台設定が似ているのは全くの偶然である。 --一方で『バイオハザード』側も制作当初は一人称視点でのゲームを検討していたとされ((今作がリリースされる少し前に「少年マガジン」誌に掲載された『ゲームクリエイター列伝』の『バイオハザード』編ではこの件が脚色を含めたうえで取り上げられている。))、恐怖感を演出するための各社の試行錯誤が垣間見える。 ---- **その後の展開 -2021年4月15日に行われた配信イベント「Indie World」にて本作のリメイク版『[[THE HOUSE OF THE DEAD: Remake]]』がSwitch向けに発表。日本では2022年4月7日に配信開始となった。 --『パンツァードラグーン:リメイク』と同じくセガよりライセンス許諾を受けており、開発も同じくMegaPixel Studio、販売はForever Entertainmentが行っている。 ---なお、Switchでの発売から2週間後にPS4/One/Win(Steam)版も発表、同年4月28日に発売された。後にXSX版も発売。 --しかし、BGMがオリジナルから全面的に差し替えられており、特にマジシャン戦は高速移動時の動きがやたらもっさりしていることと相まって、プレイヤーから大不評を浴びることとなった。

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