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*センチメンタルグラフティ 【せんちめんたるぐらふてぃ】 |ジャンル|恋愛シミュレーション|&amazon(B000092P51,image=https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/413Tu9nDX5L._SL160_.jpg)&br;&amazon(B00005OVH7,image=https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51XBEX2TTSL._SL160_.jpg)| |対応機種|セガサターン&br;Windows 95/98&br;プレイステーション|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|マーカス&br;サイベル|~| |発売日|【SS】1998年1月22日&br;【PS】2001年3月29日|~| |定価|【SS】7,875円&br;【PS】6,090円(共に税込)|~| |配信|初代PSゲームアーカイブス&br;【PS3/PSP】2010年2月10日/600円&br;【PSV】2012年8月28日/600円(全て税込)|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|''発売前がブームの最高潮''&br;強制十二股&br;せつなさ炸裂&br;不可解なオープニング“''暗黒太極拳''”|~| |>|>|CENTER:''センチメンタルシリーズ''&br;''グラフティ'' - ジャーニー - [[グラフティ2>センチメンタルグラフティ2]] - 〜約束 - プレリュード| ----- #contents(fromhere) ----- **概要 キャラクターデザインに『同窓会』で人気の水谷とおる氏(「甲斐智久」名義)を迎え、発売前からゲーム雑誌の宣伝や小説・ラジオ・関連グッズ販売・コンサート他強力なプロモーション活動を行ったことにより、当時から続くギャルゲーブームを最高潮にまで引き上げたほどの前評判を生み、大きな期待を寄せられていた。~ ところがいざ発売されると水谷氏の絵を一切使用していない((発売時には「キャラクターイメージ」とゲームから距離を置いた立場になっている))上、ゲームとしての出来が酷く、期待していたファンらを絶句させ、ギャルゲーブームの終息・衰退に大きな影響を与えてしまった。~ このブーム終息の影響は大きく、『[[ときめきメモリアル]]』『[[サクラ大戦]]』などのミリオン作品の続編の売り上げも半分以下に減るようになり、市場全体が下火となった。~ 今となっては、多数のギャルゲーが10万本以上の売り上げをはじき出していた時代があったこと自体が信じられないかもしれない。そんな「ギャルゲーバブル」が崩壊する直接のきっかけになったと言われるのが本作である。~ 通称は『センチ』『セングラ』『チングラ』など。本項では『センチ』を使用する。 ----- **販促 -本作のプロデューサー多部田俊雄氏は、自身が手がける作品の広報宣伝活動を非常に熱心に行うことで有名である。それ自体はもちろん良いことなのだが、もはや誇大広告の域に達した宣伝活動の結果、過度な前評判と実際の内容との間に、大きな落差が生じた。 --ちなみに彼は、かつて自身がプロデュースするゲーム『モンスターメーカー 闇の竜騎士』の続編を大幅な発売延期の挙句中止したという実績があった。 ---これによりモンスターメーカーシリーズの人気に実質的なとどめをさしたという、小さいながらも同じ轍を想像させる結果を生み出している。 -本作発売前の1997年4月には『センチメンタルグラフティ ファーストウィンドウ』(通称:『初窓』)というプレディスクが発売された。 --これは原画や設定資料等が納められたファンソフトの類いであるが、前述のような前評判からの期待感や、限定販売のため発売本数がさほど多くなかったこと等の影響により、かなりのプレミアが付くほどの人気であった。 -1997年11月には三一書房から『センチメンタルグラフティ攻略読本』という攻略本が発売されたが、本作発売前に公開された情報から&bold(){勝手に想像して攻略する}というトンデモな内容であった。 //コミカライズやタイアップならともかく関係ない漫画での扱いなんて記事に載せる必要がない。載せるなら余談に「こち亀で扱われた」程度で十分。 ----- **ゲーム進行 -平日は学校とバイト、休日(土日、祝祭日、夏休みなどの長期休校期間)は自由行動((細かく書くと休日の前の日の夜から行動が可能。))。休日に日本全国12都市((札幌、青森、仙台、横浜、金沢、名古屋、京都、大阪、高松、広島、福岡、長崎の12都市。主人公は東京在住。))を巡り歩き、12人ヒロイン達との仲を深めてゆくというのが、基本的なゲーム進行。 -時間とお金のほか、「行動力」という数字がある。 --行動力は移動やバイトといった行動をする減り、寝ると回復する。 --行動力の最大値は女の子と出会い、イベントをこなすことなどで増えていく。逆にせつなさ炸裂や学校に遅刻すると減る。 -都道府県間の移動は基本的に飛行機や電車などの交通機関を使う。 --基本的にお金がかかる移動方法ほど目的地に到着するまで時間がかからず、行動力消費も少ない。逆に安いと時間や行動力の消費は多い。 ---トラックの運転手に頼んでヒッチハイクも可能。お金はかからないが、時間や行動力の消費が多く、さらにランダムで時間や行動力がよけいにかかる運転手が登場することも。 ---交通機関は全部で8種類存在する。発車時刻や所要時間等が一時間単位できちんと設定されているほか、''料金に至っては10円単位まで細かく設定されている''という異様なまでのこだわりっぷりを見せる。 --東京以外のところで夜を迎えた場合はシティホテルかユースホステルに泊まるか、野宿になる。高価なところほど行動力の回復が高め。 -エンディングは女の子から告白されるベストエンド、主人公から告白し成功するグッドエンド、告白が失敗するバッドエンドの3種類。 --最終的に、差出人不明手紙の送り主はベストエンドを迎えたヒロインとなる。 ----- **問題点 ***全体的に無理のあるシナリオ -システムにシナリオが合わせられたためか、全体的に無理のあるシナリオが出来上がっている。 -上記のゲーム進行の項を読むと想像がつくと思うが''超過酷労働''である。夏休み等長期休暇ともなれば、旅先でもバイト((システム上、休日のバイトは東京から離れた都市ほど時給が高くなるため、旅先でバイトをしたほうが効率がいい。))や野宿((多くの場合、行動力の回復は野宿で十分なため、わざわざホテルに泊まらないプレイヤーも多い。))をしながら旅を続け、家に帰ることは無い。親はどう思っているのだろう。まぁ、高3の身分で親に金をたからず、自分のやりたいことに邁進しているという点ではタフで男らしいとも言えるが、さすがに冬の北海道での野宿は凍死必至の無謀な行為である。 --そのせいか、『2』での葬式シーンの規模と弔問者の多さと相まって親がヤクザという憶測も産まれた((なお2018年にシシララTVにおける20周年記念放送で多部田俊雄が語ったところによると、実は主人公は大物政治家の孫であった。しかも実は海外でひったくり犯に荷物を盗まれ追っかけたら共に事故に巻き込まれ、パスポートから取り違いで死亡と判断されて生きていたと言う裏話まで語られている。))。 -高校3年の春、親の仕事の都合で''12回以上の転校''を繰り返していた主人公のもとに、差出人不明の手紙が届く((消印に関しても雨でぬれていた為判読不能になっていたという設定。))。内容は「あなたに……会いたい」というもの。 --主人公が思い当るのはそれぞれの転校先で仲良くなった''12人の女の子''。「きっとその12人の女の子の内の''誰か''に違いない!!」と判断、手紙の送り主を探しに''日本中を''駆け巡ることに。 ---それだけ転校を繰り返した主人公の現住所を知っているというだけでも謎ではある。中には「転校する予定で来たが親の都合で結局転校せず一週間で引っ越した」という短期間の都市及び付き合いのヒロインもいるというのに。 -旅先で女の子と出会うごとに、同じ学校に通っていた時の出来事を思い出すのだが…どう考えてもそれって「その学校で一番印象深い思い出」だよね? それをあっさり忘れている時点で記憶力が疑われるレベル。 --そもそも誰が手紙を出したか全員に聞けばいいだけの話だが、なぜかそれをしない。 ---出会った時点で聞かなかったとしても、電話番号は聞いているのだから帰った後に聞いてもいいし、それでなくてもゲーム期間は1年間あるのだから聞くチャンスはいくらでもありそうなものだが。仲良くなってから違うと言われると気まずいからだろうか。嘘をつかれるかもしれないし。 ---再会時に数名から電話番号を本人が書いた紙を貰えるが全員ではなく、それだけで筆跡判断はできないだろうから、まあそこは問題なし。 -ゲーム期間は3月20日から翌年3月((この3月は1日の自由行動と、あとはエンディングくらいしかないので、実質2月まで。))の約1年間。 --別の言い方をするなら、高2と高3の間の春休みから卒業まで。''受験(もしくは就職活動)は?'' という疑問はきっと誰もが思うことだろう。特定ヒロインとのエンドではいつのまにかそういった問題が解決している。 -設定上ヒロイン同士は互いに面識はない。ゲーム中一度も出会うことはない。 --当時のギャルゲーはヒロイン同士で直接やりとりするシーンは珍しかったが、それでも1ゲーム数人は友人関係等の繋がり(会話に名前が上がるぐらいだが)があった((初代ときメモではヒロイン同士の友人関係は一組だけ(例外的に主人公の友達の女友達と妹が居る)。ただし後付けで絡みは増やされており、当然のごとく『2』でも増やされている。))。もっとも本作のヒロイン達は全国に散らばっているので、主人公の家に一斉集合と言う機会でもない限り面識が無いのは当然なのだが((一応ヒロインが本来住んでいる都市以外で会うイベントが3つ(別の都市で会う、交通機関で会う、東京で会う)あるが、他のヒロインに会ったりはしない。))。そして『2』のオープニングで……(後述)。 --大量に展開されていたドラマCDにおいては、ヒロイン達が東京に集まるなど相互に面識があるようだ。 -ベストエンドを見るためには必須のイベントがいくつかあるのだが、一部のイベントの発生条件には他のヒロインのイベントの進行度がかかわっている。 --そのため、ベストエンドのためには12人全員を登場させた上で、最低でも半数である6人のイベントをある程度進めないといけないという''浮気必須''のシステムとなっている。 ---イベント2を起こすために数人のイベント1を見なければならず、そのイベント2がイベント3開放のトリガーになるため複数人見なければならない、というシステムのため。 //---更に忘れられがちだが、主人公はゲームの内容上12股をかけることになる…が、実際は13股である。現在の学校に既に交際中の彼女がいるのだ。''なんだそれ。いくらなんでも節操がなさすぎるだろ''。 //真偽不明なのでコメントアウト //不明じゃねーよ、サブキャラとして登場してるだろ //しません。明日香の突発イベントで「今から行くあの○○には~」の行き先が東京だった場合は12人以外の人がいる形になりますが イベントの都合です。 ---ただ、ついでに会うくらいではエンディングを迎える条件を満たすのは難しいので、本気で12股をかけるならそれなりに細かいスケジュールが必要となる。 --後に出た移植版では12人を登場させずともベストエンドが見られるようにシステムが改良された。 ---しかし再開人数が少ないほどせつなさ度の増加が早い仕様のため、ヒロインを少数に絞ると毎週のように会いに行く必要がある。 -複数あるエンディングのうち、グッドエンドだと手紙の送り主は判明しないまま。当然バッドエンドでも不明。 -ヒロインに電話をするとデートの約束ができるが、日時と場所は向こうが指定してくる。断ると別の後の日時を提示してくる。遠距離ヒロインだとたまにどんなに急いでも間に合わない無茶な日時を指定されることがあるので気をつけよう。 --もっとも、約束をしなくても現地に行けば会えることもあるため電話を使う必要はあまりない。セーブ&ロードを使いたくない人なら別かもしれないが。 --電話は東京に帰らないとかけることも受けることもできない。もっとも、本作の発売当時は高校生が携帯電話(やPHS)を持ちはじめたぐらいの時代なので、掛ける方(公衆電話)はともかく、受けられなくても不思議ではない。%%ポケベルがあっただろというツッコミはしてはいけない%%。 -ヒロイン達には「''せつなさ度''」というパラメータがあり、長期間連絡を取らなかったり、会わなかったりするとせつなさ度が上昇する。 --せつなさ度が溜まっていると、アポなしで会える確率が上がったり、好感度が上がるデートが起きやすくなったりする。イベント発生条件だったりもする。 --ただし溜めすぎると「''せつなさ炸裂''」という状態になり、''無言電話などの行為''を行った上、''最終的に失踪''してしまったりする。 --''どう見てもセンチメンタルではない''。ベストエンドの為には目当てのキャラ以外も無下にする訳にはいかず、結果メニューでせつなさ度をチェックして好感度を上げに回る事になる。恋愛ADVというより''爆弾処理に近い感覚''。 --ちなみにこのせつなさ度、ヒロインによって溜まる速度が元々違う((寂しがりやの性格だと溜まりやすい。))上に、好感度が高ければ高いほど補正がかかり、溜まりやすくなっている。好感度を上げていくと、ゲーム後半はせつなさ処理にてんやわんやになる。''センチの世界のヒロインは、常に切ないのだ''。 --爆弾処理とスケジュール管理が求められるゲーム、という観点からは、ある意味でかなり正当な『ときメモ』フォロワーといえなくもない、かもしれない。 --せつなさ度が一定値に達すると自宅の電話にヒロインから留守番電話が入るのだが、システム上時間の消費は1時間単位のため、休日に留守番電話を聞くだけで1時間消費してしまう。もちろん3人分聞くと3時間消費である。もっとも当時は電話一本で半日とか1日と言う作品も多かったため、本作特有の問題点というわけではない。((ときメモは休日だったら電話で丸1日消費(留守番電話では消費しないが)。電話ではないが『同級生』シリーズだと学校内で一階から三階に移動するのに20分かかる。休み時間がたりねーよ。))。 --上記の無言電話ももちろん''聞くだけで1時間消費してしまう''。一時間の無言電話だとしても最後まで聞いたのだろうか。電話自体は短めで主人公が長時間ショックを受けていると考えることもできるが…。 -ヒロインを振ることが可能。能動的にヒロインと別れることの出来る珍しい作品である。 --振るためには、デートの約束をすっぽかした上で電話をかけ一方的に「もう会えない」と告げ返事を聞かずに電話を切り、諦めきれず自宅に尋ねて来たヒロインを正式に振る、という手順。システム面で主人公(=プレイヤー)にゲスな行動を強要するのはどうかと… --尋ねてきたヒロインを振る際に選択肢がある。結果的にどれでも「実は他に好きな子がいる」と打ち明けて別れる事ができる。ヒロインによっては「二股」などとなじられる事もあるが、そもそもまだ恋人ではないどころか告白された事さえ無い。%%告白シーンでエンディングを迎えるギャルゲーでは良くあることだが。%% --選択肢『モテモテクンはつらいよなぁ~』では「恨みっこなしだよ、惚れた君が悪いのさ」と言い、さらにその後ランダムに表示される独白の一つに「僕の本命は他の子なんだから」があるためゲスっぷりに拍車がかかる。 --せつなさ度の管理が面倒になったら振ってしまえ、と言っているように見えるのは多分気のせい。 --ヒロインを振った際に起きるイベントは結構プレイヤーの心にダメージがある。ある意味鬱ゲー。 --振った後で在住の都市に行くと、偶然にヒロインを見かけるというイベントが起きる。各ヒロインの制服姿は、OPムービーを除けばこのイベントでしか見られない((唯一の例外が星野明日香で、学園祭が舞台のイベントで制服姿を見ることができる))。 -その他、シナリオ面でおかしい点 --『嘘が嫌い』という設定があるヒロインの最初のイベントで、「言い寄ってくる男を諦めさせるために彼氏のフリをしてほしい」と頼まれる。それって''立派な嘘では…?'' --『男性が苦手』という設定のヒロインのあるイベントでは『勘違いからキスをして怒らせてしまう→そのショックのため一人きりで引きこもっている別荘に弁解のために呼び出される→許された後に「もう遅いから泊まっていけ」と言われる→さらに「一緒に寝よう」と布団に入ってくる』など、ツッコみ所に枚挙の暇がない。男性が苦手な女性が、果たしてそんなことできるだろうか? --「ナンパされているところを助ける」など当時の目で見ても使い古されている内容のイベントが多いため、目新しい展開がない。よく言えば王道、悪く言うなら陳腐。 ***CG -改めて書くがキャラクターデザインとゲーム中の絵を描いている人が違うのが問題。画風が大きく異なる。 --ただし、ゲーム中の絵も(画風が似ているかどうかはともかく)それ単体として見れば申し分のない出来であるため、こちらを評価する声もある。 -冬なのにCGは夏物の服装になっている事があるなど、グラフィック面でも突っ込みどころがある。 ***その他 -その他県を移動する際、実写の乗り物の1枚絵とその乗り物の音がなり、脱力を誘う。特急列車、プォーン。 --各県の背景に使われている写真は、[[某学校の怪談全国版>四八(仮)]]と違い、きちんと撮って回ったようだが、地元民からすると位置関係が無茶苦茶だったりする。 --サンセット青森や瀬戸大橋フィッシャーマンズ・ワーフなど、イベントスポットのうちいくつかは閉鎖されており、当時の姿を留めた背景写真からある種のせつなさを感じる。 -後述するヒロインの1人「永倉えみる」以外は全員標準語を話す((ゲームより後に出たアニメ「センチメンタルジャーニー」では大阪のヒロインだけは関西弁になっていた。))。 --これでは、ヒロインが日本各地に分散しているというせっかくの設定が無意味であり「ヒロインを全国に散らばらせた意味は?」と問うファンも現れた。解読不能な方言を話されても困るが…。 **変な点 ***前衛的なオープニングムービー -暗闇をバックにどうにも形容しがたい不思議な踊りを舞う12人の少女たち((「のちに『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『けいおん!』などで名声を得た京都アニメーションがこのOPムービーに下請けで関わっていた」という噂がある。それが本当ならある意味こちらがご先祖様である。))。一部''波紋を練ってるようなジョジョ立ち''をする場面も。あげくの果てには''空中を泳ぎ出す''。 --そして生気を失った死んだ目で、雨に打たれている(ように見える)少女。 --後半は吹きすさぶ強風の中で再び奇怪なダンス。そして最後は脱ぎ捨てられた制服が並び置かれている光景で終了する。 --ムービーの背景がほぼ全て黒で展開されるため、泳いでいるシーンなどは意図も理由も分からないOPとなってしまっている。 ---背景が黒いのは「当てはめるはずの背景が時間的制約により用意できなかった」かららしい。真偽はどうあれ、該当のシーンがどんな背景であろうが''狂った構図''しか浮かばない。 --このように謎だらけで人によっては不気味と感じるようなOPなのだが、流れる主題歌「雲のむこう」はポップで歌詞も明るい内容のため、さらに凄まじい違和感を醸し出している。 ---その問題となっているOPムービー。興味があるならばぜひ一度自分の目で確かめてみることをお勧めする。ずっと見ているとなぜか不思議とここ…ちよく……。 #region(OP動画はこちら。) |&video(http://www.youtube.com/watch?v=2u9KrnfdFW4)| #endregion -このムービーには複数人がすれ違うかのようなシーンや2人ずつ明確に絡んでいるカットまで存在するが、''あくまでイメージ映像である''模様。本編ではヒロインたちに繋がりはない。というかお互いの存在すら知らない。 --ちなみにこのOP、''続編のそのまた続編『センチメンタルグラフィティ2 サードウィンドウ』でも使%%いまわされて%%われている''。 -付いたあだ名が「''暗黒太極拳''」。「暗黒舞踏(会)」「死霊の盆踊り(笑)」とも。 -実はこのムービー、マドンナの「Vogue」PVのオマージュ(パロディ)なのだが、当時元ネタに気づいた人はほとんどいなかった。そして気づいても「''なぜそれを選んだ?''」という疑念は消えない。 //噂レベルなら書く必要がないので削除。 ***時代を先取りし過ぎた脅威のお楽しみキャラ「えみりゅん」こと永倉えみる -語尾に「りゅん」をつける。仙台市に棲息。 --なお仙台に「~りゅん」というような方言は''無い''((が、「~だっちゃ」はあるそうな。オタク業界だと『うる星やつら』の宇宙人ヒロインが使う事で有名。))。 -初対面の人間(主人公)を「占いで今日運命の人に出会う」という理由から「ダーリン」呼ばわりする。 --主人公が昔の幼馴染とわかった時点で、「占いがはじめて当たったりゅん」と喜ぶ。 -喫茶店でかぼちゃプリン2個とチーズケーキ3個を頼んでおいて、7時からオカルトの特集があると言い「ばいばいりゅ~ん」などと抜かし手つかずで帰る。 -ロリ((ただし17~18歳なのは当然として、身長は154cmあり(当時の高3女子の平均身長は158cm。もっとも本作のヒロインの半数は160cm以上だが…)、3サイズもロリ担当ではない星野明日香より良い。))・ツインテール・電波娘、さらに当時はまだ珍しかったニーソ着用、という属性だらけのキャラクターなので「生まれるのが早過ぎた」と言えるかもしれない。 --なお続編である2ではりゅんりゅん語を含め属性すべてがなくなっている((ルートによっては語尾を始め髪型や服装、性格まで「先祖返り」するが))。本人にとっては中二病と言うか「可愛い子ぶりっ子((ぶっちゃけ社会人で(と言うか現実では高校生でも)ツインテールは周りの目も生暖かくなる事必至。「童顔だから似合う」と押し通せなくも無いが。))」という黒歴史、と考えればやはり生まれて(ry //えみるは2だと就職しているので社会人です。 -Windows版のインストーラにも彼女が登場している。『2』ではさすがに普通のインストールウィザードになったが…。 **評価点 -恋愛シミュレーションというジャンルに噛み合っていないシステムだが、ゲーム自体の操作性は悪くない。 --シナリオを見せるゲームとしての体裁は''一応''、保っていると言える。 -音楽の出来はキャラクターCDを出していたこともあってか、出来は良い。 ----- **総評 恋愛シミュレーションにあまり重要でない要素だけはきっちりと作り込まれ、それに合わせて作られたであろう無理のあるシナリオ。各要素が恋愛シミュレーションに噛み合っていない本作は、かなり歪な代物になってしまっている。~ ある意味で、「時代が生み出したゲーム」であり、「時代の終わりとともに消えたゲーム」でもある。当時を象徴するクソゲーといえるだろう。~ 以来「何か+ギャルゲー」というゲームは激減、特にその母艦となっていたセガサターンが没落した事もあり、家庭用ハードを主軸とするギャルゲーそのものが縮小してしまった。 それと入れ代わるように台頭したのが『[[Kanon(DC)>Kanon]]』などの、ストーリー性に重点を置いたエロゲー、いわゆる「ノベルゲー・泣きゲー」の家庭用ゲーム機移植版である。~ しかしこれもドリームキャストそのものが没落してしまい、以降(倫理規定の厳しい)任天堂陣営かソニー陣営((ちなみに、両社とも直接的なものはともかく、感覚的な部分においても強力な規制を敷いていたわけではない。任天堂は「CEROに丸投げ」で周囲が勝手にNGと思い込んでいるだけ、ソニーに関しては初期こそ「下着はNG」などという規制はあったようだが、それの回避策として下着に見える部分を何もないように修正、いわゆる「穿いてない」で通してしまった例もある。))で出さざるを得なくなり、コンシューマゲームにおけるギャルゲーは下火になっていった。~ 極論を承知で言えば、SSの稼ぎ頭の『サクラ大戦』『ときメモ』を含むギャルゲーブームそのものを減退させたという意味で、セガハードそのものの命脈を絶った元凶の1つであると言えるかもしれない。 ----- //補足なので総評の後ろに移動 **補足 前述した理由により、ギャルゲーというジャンル自体に楔を打ち込んだ鬼子である本作が「クソゲー」である点は異論を俟たないところではあるが、疑問と擁護の余地は多少なりとも存在する。 -まず前述したように、本作の鬼子たる理由の半分程度は製作サイドの香ばしい販売手法に起因しており、シリーズ処女作にも拘らず希代の「ガッカリゲー」として生を受けている点にある。純粋にゲーム内容を見る場合、この点は割り引いて考えるべきである。 -本作で特に有名な「オープニングの暗黒太極拳」「電波少女えみる」といったネタは、どちらかと言えば「不出来で腹が立つ」というより「ネタが際立ち過ぎて笑いが出る」性質のものである。 -加えて、現地でのバイト・野宿・ヒッチハイクといった荒技を駆使し、12股維持のために全国を奔走する主人公の雄姿に(ネタとして)エールを送り、この12股攻略を前提にした綱渡りプレイを愛好する者も若干だが存在する。 --実際、Win版以降は''設定以外''の不自然な点は修正されているため、ギャルゲーとしてはともかく恋愛を題材とした''フラグ管理シミュレーションゲーム''としては完成度も高いため、過剰宣伝を知らない層からは高評価を得ることもあるなど、「ネタゲー(或いはバカゲー)」としても非凡なポテンシャルを備えていると言ってよい。 -また、本作の発売当時は、ギャルゲーブームの加熱に伴う『ときメモ』クローンの粗製乱造により、既にギャルゲー市場の衰退が始まっていた時期であったことは特筆しておかなくてはならないだろう。~ ブーム終息の直接のきっかけとなってしまったこと自体は否定はできないものの、たとえ本作が無くとも遅かれ早かれブームは終息していたと考えられる為、本作にギャルゲー衰退の全責任があるかのような物言いは正しくない。 --『ときメモ』アンサー系の恋愛シミュレーション作品には『[[トゥルー・ラブストーリー]]』(アスキー)、『[[みつめてナイト]]』(コナミ)のような佳作もあったわけだが、それらも巻き込みジャンル全体が地盤沈下…。 -上述のネタ的な要素やゲーム上の欠点なども肯定的に受け止め、ジャーニーや2といった後代の黒歴史に目をつぶり、本作(及びそのキャラクター)に愛着を持ち続ける熱心な愛好家層も存在していることを補足しておく。 --実際、キャラ人気自体は完全に消えたわけではなく、発売から10年に当たる2008年には小規模な物ながらファンの合同イベントが行われている。 --2018年には参加声優の主導でセンチメンタルグラフティ20周年イベント開催に向けクラウドファンディング開始したところ、9分で目標額を達成。イベントは2019年に開催された。 -発売当時の『こち亀』でも名前が登場している。なお、こち亀内では、オタク文化に疎い麗子ですら名前を知っている人気作扱いであった。 --ただし、このエピソードの主題は名前の良く似たクローンゲーム(こち亀オリジナル)であり、センチメンタルグラフィティそのものは本当に名前が出ただけである。 ----- **その後の展開 -後にWinとPSにて派生作品『センチメンタルジャーニー』が発売されている。 --ジャンルはボードゲームであり、内容は男プレイヤーによる女性キャラの好感度の取り合いという身も蓋も無い物だった。 --登場キャラは『甲竜伝説ヴィルガスト』『クライムクラッカーズ』のキャラデザで知られる「ここまひ」氏によりSD化されている。イベント絵の表情もコミカルで可愛らしい。イベント時にはボイスがある。 --ボードゲームだけにギャグタッチである。病弱で小鳥好きの杉原真奈美がホワイトドラゴンを召喚する技があったり、主人公がデート中に別ヒロインと鉢合わせしそうになって隠れようとするイベントなど。 --システム上仕方の無いことだが作中では一途だった女性キャラが別のプレイヤーにもホイホイついていく尻軽状態であったため不興を買っている。 ---一人のヒロインだけプレイヤーからの好感度が全体的に低いとエンディングでそのヒロインがいじけるというお笑い要素も。 --一応ボードゲームとしては結構面白いという評価はある。 --当時は何故かギャルが売りのボードゲームが連続して発売されており、他に『[[ネクストキング 恋の千年王国]]』や『プリンセスメーカー ゴー!ゴー!プリンセス』があった。 ---ギャルを奪い合うジャーニーはネクストキングの系列である(プリメは駒が娘なだけ)。 -アニメ版も『センチメンタルジャーニー』のタイトルで放送されている。PS版『センチメンタルジャーニー』発売をにらんでのタイトルだったが、肝心のゲームは発売延期している。さらに雰囲気が大違いである。 --『センチメンタルグラフティ』本編の一年前のヒロインたちのエピソードという形で、一人一話の全12話。ストーリーは全体的にヒロインが悩み、サブキャラに助言を受けつつも自分なりの納得を得るという形のもの。 ---何故か一部のヒロインは本編に繋がらない話となっている。というより主人公の事を思い出と割り切るストーリーが多い。ちゃんと主人公に手紙を送るヒロインもいるがヒロインの都道府県から出している。 --このアニメ版以降、メディアワークス作品を中心に、「1クールを使って十数人の美少女に1話ずつスポットをあてていく」というPVスタイルのアニメが増えることとなった。 ---もっとも厳密にはこのアニメの影響というよりは、所謂「正妻戦争((各ヒロインのファンが「メインヒロインは誰か」で揉める事。または原作で明らかにメインヒロインが決まっていた作品なのに、アニメ版でメインヒロインが変更されて(ただし大抵は「原作メインヒロインの人気が低い」等の理由がある)大いに揉める事。))」を避けるためだと思われる。 -更に続編の『[[センチメンタルグラフティ2]]』では、''『1』主人公の葬式''から始まるという、わずかに残ったファンや信者をバッサリ斬って捨てるようなせつなさ炸裂のストーリーとなっている。 --これは、開発元のマーカスがセンチの続編を作る際の条件として軋轢のあるシナリオライターの大倉らいた氏を外すように指示したことが大きな原因とされている((大倉氏は前作主人公の死というプロットは受け入れられないと拒否し、その結果外された。))。 --そんな基本設定ゆえかネット外では発売前から不買運動も起きていて((さらに、上記の大倉氏は経緯をホームページで公開し、「『センチ2』は正当なスタッフの作った続編ではない」という考えを煽っていた。))、続編でありながら離れたファンの人心を取り戻すことすら叶わなかった。 ---『1』主人公は、平日は学校へ行きつつ週末や長期休暇はアルバイトを繰り返しながら全国をめぐりつつ12股をしたと言う設定のため、ファンからは過労死と笑い話のネタにも。本当は交通事故(車に轢かれた)が原因なのだが、それさえ過労で注意力散漫になっていたからと言われる始末(実際は巻き込まれ事故なので注意していてもまず無理)。 #region(しかし実は…) 2018年に本作のプロデューサーである多部田俊雄氏が''前作主人公は死んでいない''という発言を行った。 --詳細は[[こちら>http://beatarai.blog90.fc2.com/blog-entry-4596.html]]を参照。 #endregion --前述した通り、ヒロイン同士は面識が無かったわけで、葬式で初顔合わせとなる((と言っても雑誌投稿でネタにされたぐらいで、公式ではヒロイン達が葬式中に顔を合わせた描写は無い。))。そう考えるととってもシュール。 //---ヒロイン達は高校の制服で参列しているので『1』主人公の死はエンディング前とも考えられ((一応、卒業式後でも3月一杯は高校生だとされているが、だからと言って高校の制服を着てくるのは少数派だろう。))、ある意味パラレル世界かもしれない。 ---『1』主人公の死亡時にはヒロイン全員が待ちぼうけを食らっている描写がある。%%1日で12ヶ所廻る気だったのだろうか?%% ---なお『2』本編では大学進学・就職などにより全ヒロインが東京に上京している(横浜出身の星野は通いの可能性もある)。 -その後も『センチメンタルグラフティ~約束』等の続編が続いたが、人気低下に歯止めがかからず2004年10月28日発売の『センチメンタルプレリュード』でシリーズの終焉を迎えた。 --ちなみにプレリュードでは多部田俊雄氏や大倉らいた氏など、初代のスタッフを再び集め製作されたが、4年近く製作期間をかけた挙句、売り上げ・人気・プレイヤー評価全てにおいて『2』をも下回る結果しかあげられず、ファンを完全に失望させた。 -この作品に深く関与した制作会社・マーカスは『センチ2』発売後に捲土重来の夢叶わず、倒産した。 //--ちなみにマーカス勤務だった窪田正義は、その後作詞家の「六月十三」のペンネームで、夫人の尽力を借りてワンダーファームを設立したものの、目ぼしい功績は『おとぎストーリー天使のしっぽ』で平野綾((当時小学生であり、リメイク前のポケモン金銀のCMに出演している。))をデビューさせたこと位である。 //見解が分かれがちな記述なので、一応CO。 --この作品のヒロイン12名の声優は、半分が一般公募により選ばれてマーカスに所属していた(もう半分は「青二プロダクション」の新人)が、マーカス倒産後は青二プロダクションに移籍した。殆どが現在も声優業を続けており、興味があれば声優の名前や「SGガールズ」で検索すると良い。 -2010年2月10日からPS版がゲームアーカイブスで配信開始。600円と割安なので体験してみるのも一興かもしれない。 //--それ以前にどの中古屋でもSS版もPS版も叩き売りされているので、「誰得配信」感は否めないが。 //アーカイブスは実物のソフト不要で場所取らない、PSP(PSV)で出来る、とかそういう利点があるから元となったソフトが投げ売りされてても配信形式による需要自体はあるよ。このゲームの需要があるかは別として。 --一方で、PS版のディスクの中古は何故か最近相場が上昇しはじめている模様。ある意味グッドタイミングだったかも? -Win版はWindows 7以降ニューゲーム時にフリーズする。フリーソフトを使えばプレイ自体は可能だが、最初の回想イベントを見ることができない。 -『センチメンタルグラフティ ~約束』『センチメンタルグラフティ ~再会』の二作がノベライズとして刊行されている。 --さらに大倉氏が当時の角川書店社長よりノベライズの続編要請を受けたが実現せず、コンセプトを継承した「坂物語り」が刊行された。こちらも大倉・水谷(甲斐名義)タッグ(大倉氏曰く『ゴールデンコンビ』)。 ---作中に「安達妙子」との親戚関係を示唆するキャラが登場する。また、大倉氏が『[[卒業 ~Graduation~]]』の続編『結婚 ~Marriage~』の小説版を執筆したというつながりで本作の「星野明日香」が清華女子高等学校に在籍し『[[卒業III ~Wedding Bell~]]』のメインキャラクターとクラスメイト、という設定があり、この三作は同一の世界観にある。 ----
*センチメンタルグラフティ 【せんちめんたるぐらふてぃ】 |ジャンル|恋愛シミュレーション|&amazon(B000092P51,image=https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/413Tu9nDX5L._SL160_.jpg)&br;&amazon(B00005OVH7,image=https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51XBEX2TTSL._SL160_.jpg)| |対応機種|セガサターン&br;Windows 95/98&br;プレイステーション|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|マーカス&br;サイベル|~| |発売日|【SS】1998年1月22日&br;【PS】2001年3月29日|~| |定価|【SS】7,875円&br;【PS】6,090円(共に税込)|~| |配信|初代PSゲームアーカイブス&br;【PS3/PSP】2010年2月10日/600円&br;【PSV】2012年8月28日/600円(全て税込)|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|''発売前がブームの最高潮''&br;強制十二股&br;せつなさ炸裂&br;不可解なオープニング“''暗黒太極拳''”|~| |>|>|CENTER:''センチメンタルシリーズ''&br;''グラフティ'' - ジャーニー - [[グラフティ2>センチメンタルグラフティ2]] - 〜約束 - プレリュード| ----- #contents(fromhere) ----- **概要 キャラクターデザインに『同窓会』で人気の水谷とおる氏(「甲斐智久」名義)を迎え、発売前からゲーム雑誌の宣伝や小説・ラジオ・関連グッズ販売・コンサート他強力なプロモーション活動を行ったことにより、当時から続くギャルゲーブームを最高潮にまで引き上げたほどの前評判を生み、大きな期待を寄せられていた。~ ところがいざ発売されると水谷氏の絵を一切使用していない((発売時には「キャラクターイメージ」とゲームから距離を置いた立場になっている))上、ゲームとしての出来が酷く、期待していたファンらを絶句させ、ギャルゲーブームの終息・衰退に大きな影響を与えてしまった。~ このブーム終息の影響は大きく、『[[ときめきメモリアル]]』『[[サクラ大戦]]』などのミリオン作品の続編の売り上げも半分以下に減るようになり、市場全体が下火となった。~ 今となっては、多数のギャルゲーが10万本以上の売り上げをはじき出していた時代があったこと自体が信じられないかもしれない。そんな「ギャルゲーバブル」が崩壊する直接のきっかけになったと言われるのが本作である。~ 通称は『センチ』『セングラ』『チングラ』など。本項では『センチ』を使用する。 ----- **販促 -本作のプロデューサー多部田俊雄氏は、自身が手がける作品の広報宣伝活動を非常に熱心に行うことで有名である。それ自体はもちろん良いことなのだが、もはや誇大広告の域に達した宣伝活動の結果、過度な前評判と実際の内容との間に、大きな落差が生じた。 --ちなみに彼は、かつて自身がプロデュースするゲーム『モンスターメーカー 闇の竜騎士』の続編を大幅な発売延期の挙句中止したという実績があった。 ---これによりモンスターメーカーシリーズの人気に実質的なとどめをさしたという、小さいながらも同じ轍を想像させる結果を生み出している。 -本作発売前の1997年4月には『センチメンタルグラフティ ファーストウィンドウ』(通称:『初窓』)というプレディスクが発売された。 --これは原画や設定資料等が納められたファンソフトの類いであるが、前述のような前評判からの期待感や、限定販売のため発売本数がさほど多くなかったこと等の影響により、かなりのプレミアが付くほどの人気であった。 -1997年11月には三一書房から『センチメンタルグラフティ攻略読本』という攻略本が発売されたが、本作発売前に公開された情報から&bold(){勝手に想像して攻略する}というトンデモな内容であった。 //コミカライズやタイアップならともかく関係ない漫画での扱いなんて記事に載せる必要がない。載せるなら余談に「こち亀で扱われた」程度で十分。 ----- **ゲーム進行 -平日は学校とバイト、休日(土日、祝祭日、夏休みなどの長期休校期間)は自由行動((細かく書くと休日の前の日の夜から行動が可能。))。休日に日本全国12都市((札幌、青森、仙台、横浜、金沢、名古屋、京都、大阪、高松、広島、福岡、長崎の12都市。主人公は東京在住。))を巡り歩き、12人ヒロイン達との仲を深めてゆくというのが、基本的なゲーム進行。 -時間とお金のほか、「行動力」という数字がある。 --行動力は移動やバイトといった行動をする減り、寝ると回復する。 --行動力の最大値は女の子と出会い、イベントをこなすことなどで増えていく。逆にせつなさ炸裂や学校に遅刻すると減る。 -都道府県間の移動は基本的に飛行機や電車などの交通機関を使う。 --基本的にお金がかかる移動方法ほど目的地に到着するまで時間がかからず、行動力消費も少ない。逆に安いと時間や行動力の消費は多い。 ---トラックの運転手に頼んでヒッチハイクも可能。お金はかからないが、時間や行動力の消費が多く、さらにランダムで時間や行動力がよけいにかかる運転手が登場することも。 ---交通機関は全部で8種類存在する。発車時刻や所要時間等が一時間単位できちんと設定されているほか、''料金に至っては10円単位まで細かく設定されている''という異様なまでのこだわりっぷりを見せる。 --東京以外のところで夜を迎えた場合はシティホテルかユースホステルに泊まるか、野宿になる。高価なところほど行動力の回復が高め。 -エンディングは女の子から告白されるベストエンド、主人公から告白し成功するグッドエンド、告白が失敗するバッドエンドの3種類。 --最終的に、差出人不明手紙の送り主はベストエンドを迎えたヒロインとなる。 ----- **問題点 ***全体的に無理のあるシナリオ -システムにシナリオが合わせられたためか、全体的に無理のあるシナリオが出来上がっている。 -上記のゲーム進行の項を読むと想像がつくと思うが''超過酷労働''である。夏休み等長期休暇ともなれば、旅先でもバイト((システム上、休日のバイトは東京から離れた都市ほど時給が高くなるため、旅先でバイトをしたほうが効率がいい。))や野宿((多くの場合、行動力の回復は野宿で十分なため、わざわざホテルに泊まらないプレイヤーも多い。))をしながら旅を続け、家に帰ることは無い。親はどう思っているのだろう。まぁ、高3の身分で親に金をたからず、自分のやりたいことに邁進しているという点ではタフで男らしいとも言えるが、さすがに冬の北海道での野宿は凍死必至の無謀な行為である。 --そのせいか、『2』での葬式シーンの規模と弔問者の多さと相まって親がヤクザという憶測も産まれた((なお2018年にシシララTVにおける20周年記念放送で多部田俊雄が語ったところによると、実は主人公は大物政治家の孫であった。しかも実は海外でひったくり犯に荷物を盗まれ追っかけたら共に事故に巻き込まれ、パスポートから取り違いで死亡と判断されて生きていたと言う裏話まで語られている。))。 -高校3年の春、親の仕事の都合で''12回以上の転校''を繰り返していた主人公のもとに、差出人不明の手紙が届く((消印に関しても雨でぬれていた為判読不能になっていたという設定。))。内容は「あなたに……会いたい」というもの。 --主人公が思い当るのはそれぞれの転校先で仲良くなった''12人の女の子''。「きっとその12人の女の子の内の''誰か''に違いない!!」と判断、手紙の送り主を探しに''日本中を''駆け巡ることに。 ---それだけ転校を繰り返した主人公の現住所を知っているというだけでも謎ではある。中には「転校する予定で来たが親の都合で結局転校せず一週間で引っ越した」という短期間の都市及び付き合いのヒロインもいるというのに。 -旅先で女の子と出会うごとに、同じ学校に通っていた時の出来事を思い出すのだが…どう考えてもそれって「その学校で一番印象深い思い出」だよね? それをあっさり忘れている時点で記憶力が疑われるレベル。 --そもそも誰が手紙を出したか全員に聞けばいいだけの話だが、なぜかそれをしない。 ---出会った時点で聞かなかったとしても、電話番号は聞いているのだから帰った後に聞いてもいいし、それでなくてもゲーム期間は1年間あるのだから聞くチャンスはいくらでもありそうなものだが。仲良くなってから違うと言われると気まずいからだろうか。嘘をつかれるかもしれないし。 ---再会時に数名から電話番号を本人が書いた紙を貰えるが全員ではなく、それだけで筆跡判断はできないだろうから、まあそこは問題なし。 -ゲーム期間は3月20日から翌年3月((この3月は1日の自由行動と、あとはエンディングくらいしかないので、実質2月まで。))の約1年間。 --別の言い方をするなら、高2と高3の間の春休みから卒業まで。''受験(もしくは就職活動)は?'' という疑問はきっと誰もが思うことだろう。特定ヒロインとのエンドではいつのまにかそういった問題が解決している。 -設定上ヒロイン同士は互いに面識はない。ゲーム中一度も出会うことはない。 --当時のギャルゲーはヒロイン同士で直接やりとりするシーンは珍しかったが、それでも1ゲーム数人は友人関係等の繋がり(会話に名前が上がるぐらいだが)があった((初代ときメモではヒロイン同士の友人関係は一組だけ(例外的に主人公の友達の女友達と妹が居る)。ただし後付けで絡みは増やされており、当然のごとく『2』でも増やされている。))。もっとも本作のヒロイン達は全国に散らばっているので、主人公の家に一斉集合と言う機会でもない限り面識が無いのは当然なのだが((一応ヒロインが本来住んでいる都市以外で会うイベントが3つ(別の都市で会う、交通機関で会う、東京で会う)あるが、他のヒロインに会ったりはしない。))。そして『2』のオープニングで……(後述)。 --大量に展開されていたドラマCDにおいては、ヒロイン達が東京に集まるなど相互に面識があるようだ。 -ベストエンドを見るためには必須のイベントがいくつかあるのだが、一部のイベントの発生条件には他のヒロインのイベントの進行度がかかわっている。 --そのため、ベストエンドのためには12人全員を登場させた上で、最低でも半数である6人のイベントをある程度進めないといけないという''浮気必須''のシステムとなっている。 ---イベント2を起こすために数人のイベント1を見なければならず、そのイベント2がイベント3開放のトリガーになるため複数人見なければならない、というシステムのため。 //---更に忘れられがちだが、主人公はゲームの内容上12股をかけることになる…が、実際は13股である。現在の学校に既に交際中の彼女がいるのだ。''なんだそれ。いくらなんでも節操がなさすぎるだろ''。 //真偽不明なのでコメントアウト //不明じゃねーよ、サブキャラとして登場してるだろ //しません。明日香の突発イベントで「今から行くあの○○には~」の行き先が東京だった場合は12人以外の人がいる形になりますが イベントの都合です。 ---ただ、ついでに会うくらいではエンディングを迎える条件を満たすのは難しいので、本気で12股をかけるならそれなりに細かいスケジュールが必要となる。 --後に出た移植版では12人を登場させずともベストエンドが見られるようにシステムが改良された。 ---しかし再開人数が少ないほどせつなさ度の増加が早い仕様のため、ヒロインを少数に絞ると毎週のように会いに行く必要がある。 -複数あるエンディングのうち、グッドエンドだと手紙の送り主は判明しないまま。当然バッドエンドでも不明。 -ヒロインに電話をするとデートの約束ができるが、日時と場所は向こうが指定してくる。断ると別の後の日時を提示してくる。遠距離ヒロインだとたまにどんなに急いでも間に合わない無茶な日時を指定されることがあるので気をつけよう。 --もっとも、約束をしなくても現地に行けば会えることもあるため電話を使う必要はあまりない。セーブ&ロードを使いたくない人なら別かもしれないが。 --電話は東京に帰らないとかけることも受けることもできない。もっとも、本作の発売当時は高校生が携帯電話(やPHS)を持ちはじめたぐらいの時代なので、掛ける方(公衆電話)はともかく、受けられなくても不思議ではない。%%ポケベルがあっただろというツッコミはしてはいけない%%。 -ヒロイン達には「''せつなさ度''」というパラメータがあり、長期間連絡を取らなかったり、会わなかったりするとせつなさ度が上昇する。 --せつなさ度が溜まっていると、アポなしで会える確率が上がったり、好感度が上がるデートが起きやすくなったりする。イベント発生条件だったりもする。 --ただし溜めすぎると「''せつなさ炸裂''」という状態になり、''無言電話などの行為''を行った上、''最終的に失踪''してしまったりする。 --''どう見てもセンチメンタルではない''。ベストエンドの為には目当てのキャラ以外も無下にする訳にはいかず、結果メニューでせつなさ度をチェックして好感度を上げに回る事になる。恋愛ADVというより''爆弾処理に近い感覚''。 --ちなみにこのせつなさ度、ヒロインによって溜まる速度が元々違う((寂しがりやの性格だと溜まりやすい。))上に、好感度が高ければ高いほど補正がかかり、溜まりやすくなっている。好感度を上げていくと、ゲーム後半はせつなさ処理にてんやわんやになる。''センチの世界のヒロインは、常に切ないのだ''。 --爆弾処理とスケジュール管理が求められるゲーム、という観点からは、ある意味でかなり正当な『ときメモ』フォロワーといえなくもない、かもしれない。 --せつなさ度が一定値に達すると自宅の電話にヒロインから留守番電話が入るのだが、システム上時間の消費は1時間単位のため、休日に留守番電話を聞くだけで1時間消費してしまう。もちろん3人分聞くと3時間消費である。もっとも当時は電話一本で半日とか1日と言う作品も多かったため、本作特有の問題点というわけではない。((ときメモは休日だったら電話で丸1日消費(留守番電話では消費しないが)。電話ではないが『同級生』シリーズだと学校内で一階から三階に移動するのに20分かかる。休み時間がたりねーよ。))。 --上記の無言電話ももちろん''聞くだけで1時間消費してしまう''。一時間の無言電話だとしても最後まで聞いたのだろうか。電話自体は短めで主人公が長時間ショックを受けていると考えることもできるが…。 -ヒロインを振ることが可能。能動的にヒロインと別れることの出来る珍しい作品である。 --振るためには、デートの約束をすっぽかした上で電話をかけ一方的に「もう会えない」と告げ返事を聞かずに電話を切り、諦めきれず自宅に尋ねて来たヒロインを正式に振る、という手順。システム面で主人公(=プレイヤー)にゲスな行動を強要するのはどうかと… --尋ねてきたヒロインを振る際に選択肢がある。結果的にどれでも「実は他に好きな子がいる」と打ち明けて別れる事ができる。ヒロインによっては「二股」などとなじられる事もあるが、そもそもまだ恋人ではないどころか告白された事さえ無い。%%告白シーンでエンディングを迎えるギャルゲーでは良くあることだが。%% --選択肢『モテモテクンはつらいよなぁ~』では「恨みっこなしだよ、惚れた君が悪いのさ」と言い、さらにその後ランダムに表示される独白の一つに「僕の本命は他の子なんだから」があるためゲスっぷりに拍車がかかる。 --せつなさ度の管理が面倒になったら振ってしまえ、と言っているように見えるのは多分気のせい。 --ヒロインを振った際に起きるイベントは結構プレイヤーの心にダメージがある。ある意味鬱ゲー。 --振った後で在住の都市に行くと、偶然にヒロインを見かけるというイベントが起きる。各ヒロインの制服姿は、OPムービーを除けばこのイベントでしか見られない((唯一の例外が星野明日香で、学園祭が舞台のイベントで制服姿を見ることができる))。 -その他、シナリオ面でおかしい点 --『嘘が嫌い』という設定があるヒロインの最初のイベントで、「言い寄ってくる男を諦めさせるために彼氏のフリをしてほしい」と頼まれる。それって''立派な嘘では…?'' --『男性が苦手』という設定のヒロインのあるイベントでは『勘違いからキスをして怒らせてしまう→そのショックのため一人きりで引きこもっている別荘に弁解のために呼び出される→許された後に「もう遅いから泊まっていけ」と言われる→さらに「一緒に寝よう」と布団に入ってくる』など、ツッコみ所に枚挙の暇がない。男性が苦手な女性が、果たしてそんなことできるだろうか? --「ナンパされているところを助ける」など当時の目で見ても使い古されている内容のイベントが多いため、目新しい展開がない。よく言えば王道、悪く言うなら陳腐。 ***CG -改めて書くがキャラクターデザインとゲーム中の絵を描いている人が違うのが問題。画風が大きく異なる。 --ただし、ゲーム中の絵も(画風が似ているかどうかはともかく)それ単体として見れば申し分のない出来であるため、こちらを評価する声もある。 -冬なのにCGは夏物の服装になっている事があるなど、グラフィック面でも突っ込みどころがある。 ***その他 -その他県を移動する際、実写の乗り物の1枚絵とその乗り物の音がなり、脱力を誘う。特急列車、プォーン。 --各県の背景に使われている写真は、[[某学校の怪談全国版>四八(仮)]]と違い、きちんと撮って回ったようだが、地元民からすると位置関係が無茶苦茶だったりする。 --サンセット青森や瀬戸大橋フィッシャーマンズ・ワーフなど、イベントスポットのうちいくつかは閉鎖されており、当時の姿を留めた背景写真からある種のせつなさを感じる。 -後述するヒロインの1人「永倉えみる」以外は全員標準語を話す((ゲームより後に出たアニメ「センチメンタルジャーニー」では大阪のヒロインだけは関西弁になっていた。))。 --これでは、ヒロインが日本各地に分散しているというせっかくの設定が無意味であり「ヒロインを全国に散らばらせた意味は?」と問うファンも現れた。解読不能な方言を話されても困るが…。 **変な点 ***前衛的なオープニングムービー -暗闇をバックにどうにも形容しがたい不思議な踊りを舞う12人の少女たち((「のちに『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『けいおん!』などで名声を得た京都アニメーションがこのOPムービーに下請けで関わっていた」という噂がある。それが本当ならある意味こちらがご先祖様である。))。一部''波紋を練ってるようなジョジョ立ち''をする場面も。あげくの果てには''空中を泳ぎ出す''。 --そして生気を失った死んだ目で、雨に打たれている(ように見える)少女。 --後半は吹きすさぶ強風の中で再び奇怪なダンス。そして最後は脱ぎ捨てられた制服が並び置かれている光景で終了する。 --ムービーの背景がほぼ全て黒で展開されるため、泳いでいるシーンなどは意図も理由も分からないOPとなってしまっている。 ---背景が黒いのは「当てはめるはずの背景が時間的制約により用意できなかった」かららしい。真偽はどうあれ、該当のシーンがどんな背景であろうが''狂った構図''しか浮かばない。 --このように謎だらけで人によっては不気味と感じるようなOPなのだが、流れる主題歌「雲のむこう」はポップで歌詞も明るい内容のため、さらに凄まじい違和感を醸し出している。 ---その問題となっているOPムービー。興味があるならばぜひ一度自分の目で確かめてみることをお勧めする。ずっと見ているとなぜか不思議とここ…ちよく……。 #region(OP動画はこちら。) |&video(http://www.youtube.com/watch?v=2u9KrnfdFW4)| #endregion -このムービーには複数人がすれ違うかのようなシーンや2人ずつ明確に絡んでいるカットまで存在するが、''あくまでイメージ映像である''模様。本編ではヒロインたちに繋がりはない。というかお互いの存在すら知らない。 --ちなみにこのOP、''続編のそのまた続編『センチメンタルグラフィティ2 サードウィンドウ』でも使%%いまわされて%%われている''。 -付いたあだ名が「''暗黒太極拳''」。「暗黒舞踏(会)」「死霊の盆踊り(笑)」とも。 -実はこのムービー、マドンナの「Vogue」PVのオマージュ(パロディ)なのだが、当時元ネタに気づいた人はほとんどいなかった。そして気づいても「''なぜそれを選んだ?''」という疑念は消えない。 //噂レベルなら書く必要がないので削除。 ***時代を先取りし過ぎた脅威のお楽しみキャラ「えみりゅん」こと永倉えみる -語尾に「りゅん」をつける。仙台市に棲息。 --なお仙台に「~りゅん」というような方言は''無い''((が、「~だっちゃ」はあるそうな。オタク業界だと『うる星やつら』の宇宙人ヒロインが使う事で有名。))。 -初対面の人間(主人公)を「占いで今日運命の人に出会う」という理由から「ダーリン」呼ばわりする。 --主人公が昔の幼馴染とわかった時点で、「占いがはじめて当たったりゅん」と喜ぶ。 -喫茶店でかぼちゃプリン2個とチーズケーキ3個を頼んでおいて、7時からオカルトの特集があると言い「ばいばいりゅ~ん」などと抜かし手つかずで帰る。 -ロリ((ただし17~18歳なのは当然として、身長は154cmあり(当時の高3女子の平均身長は158cm。もっとも本作のヒロインの半数は160cm以上だが…)、3サイズもロリ担当ではない星野明日香より良い。))・ツインテール・電波娘、さらに当時はまだ珍しかったニーソ着用、という属性だらけのキャラクターなので「生まれるのが早過ぎた」と言えるかもしれない。 --なお続編である2ではりゅんりゅん語を含め属性すべてがなくなっている((ルートによっては語尾を始め髪型や服装、性格まで「先祖返り」するが))。本人にとっては中二病と言うか「可愛い子ぶりっ子((ぶっちゃけ社会人で(と言うか現実では高校生でも)ツインテールは周りの目も生暖かくなる事必至。「童顔だから似合う」と押し通せなくも無いが。))」という黒歴史、と考えればやはり生まれて(ry //えみるは2だと就職しているので社会人です。 -Windows版のインストーラにも彼女が登場している。『2』ではさすがに普通のインストールウィザードになったが…。 **評価点 -恋愛シミュレーションというジャンルに噛み合っていないシステムだが、ゲーム自体の操作性は悪くない。 --シナリオを見せるゲームとしての体裁は''一応''、保っていると言える。 -音楽の出来はキャラクターCDを出していたこともあってか、出来は良い。 ----- **総評 恋愛シミュレーションにあまり重要でない要素だけはきっちりと作り込まれ、それに合わせて作られたであろう無理のあるシナリオ。各要素が恋愛シミュレーションに噛み合っていない本作は、かなり歪な代物になってしまっている。~ ある意味で、「時代が生み出したゲーム」であり、「時代の終わりとともに消えたゲーム」でもある。当時を象徴するクソゲーといえるだろう。~ 以来「何か+ギャルゲー」というゲームは激減、特にその母艦となっていたセガサターンが没落した事もあり、家庭用ハードを主軸とするギャルゲーそのものが縮小してしまった。 それと入れ代わるように台頭したのが『[[Kanon(DC)>Kanon]]』などの、ストーリー性に重点を置いたエロゲー、いわゆる「ノベルゲー・泣きゲー」の家庭用ゲーム機移植版である。~ しかしこれもドリームキャストそのものが没落してしまい、以降(倫理規定の厳しい)任天堂陣営かソニー陣営((ちなみに、両社とも直接的なものはともかく、感覚的な部分においても強力な規制を敷いていたわけではない。任天堂は「CEROに丸投げ」で周囲が勝手にNGと思い込んでいるだけ、ソニーに関しては初期こそ「下着はNG」などという規制はあったようだが、それの回避策として下着に見える部分を何もないように修正、いわゆる「穿いてない」で通してしまった例もある。))で出さざるを得なくなり、コンシューマゲームにおけるギャルゲーは下火になっていった。~ 極論を承知で言えば、SSの稼ぎ頭の『サクラ大戦』『ときメモ』を含むギャルゲーブームそのものを減退させたという意味で、セガハードそのものの命脈を絶った元凶の1つであると言えるかもしれない。 ----- //補足なので総評の後ろに移動 **補足 前述した理由により、ギャルゲーというジャンル自体に楔を打ち込んだ鬼子である本作が「クソゲー」である点は異論を俟たないところではあるが、疑問と擁護の余地は多少なりとも存在する。 -まず前述したように、本作の鬼子たる理由の半分程度は製作サイドの香ばしい販売手法に起因しており、シリーズ処女作にも拘らず希代の「ガッカリゲー」として生を受けている点にある。純粋にゲーム内容を見る場合、この点は割り引いて考えるべきである。 -本作で特に有名な「オープニングの暗黒太極拳」「電波少女えみる」といったネタは、どちらかと言えば「不出来で腹が立つ」というより「ネタが際立ち過ぎて笑いが出る」性質のものである。 -加えて、現地でのバイト・野宿・ヒッチハイクといった荒技を駆使し、12股維持のために全国を奔走する主人公の雄姿に(ネタとして)エールを送り、この12股攻略を前提にした綱渡りプレイを愛好する者も若干だが存在する。 --実際、Win版以降は''設定以外''の不自然な点は修正されているため、ギャルゲーとしてはともかく恋愛を題材とした''フラグ管理シミュレーションゲーム''としては完成度も高いため、過剰宣伝を知らない層からは高評価を得ることもあるなど、「ネタゲー(或いはバカゲー)」としても非凡なポテンシャルを備えていると言ってよい。 -また、本作の発売当時は、ギャルゲーブームの加熱に伴う『ときメモ』クローンの粗製乱造により、既にギャルゲー市場の衰退が始まっていた時期であったことは特筆しておかなくてはならないだろう。~ ブーム終息の直接のきっかけとなってしまったこと自体は否定はできないものの、たとえ本作が無くとも遅かれ早かれブームは終息していたと考えられる為、本作にギャルゲー衰退の全責任があるかのような物言いは正しくない。 --『ときメモ』アンサー系の恋愛シミュレーション作品には『[[トゥルー・ラブストーリー]]』(アスキー)、『[[みつめてナイト]]』(コナミ)のような佳作もあったわけだが、それらも巻き込みジャンル全体が地盤沈下…。 -上述のネタ的な要素やゲーム上の欠点なども肯定的に受け止め、ジャーニーや2といった後代の黒歴史に目をつぶり、本作(及びそのキャラクター)に愛着を持ち続ける熱心な愛好家層も存在していることを補足しておく。 --実際、キャラ人気自体は完全に消えたわけではなく、発売から10年に当たる2008年には小規模な物ながらファンの合同イベントが行われている。 --2018年には参加声優の主導でセンチメンタルグラフティ20周年イベント開催に向けクラウドファンディング開始したところ、9分で目標額を達成。イベントは2019年に開催された。 -発売当時の『こち亀』でも名前が登場している。なお、こち亀内では、オタク文化に疎い麗子ですら名前を知っている人気作扱いであった。 --ただし、このエピソードの主題は名前の良く似たクローンゲーム(こち亀オリジナル)であり、センチメンタルグラフィティそのものは本当に名前が出ただけである。 ----- **その後の展開 -後にWinとPSにて派生作品『センチメンタルジャーニー』が発売されている。 --ジャンルはボードゲームであり、内容は男プレイヤーによる女性キャラの好感度の取り合いという身も蓋も無い物だった。 --登場キャラは『甲竜伝説ヴィルガスト』『クライムクラッカーズ』のキャラデザで知られる「ここまひ」氏によりSD化されている。イベント絵の表情もコミカルで可愛らしい。イベント時にはボイスがある。 --ボードゲームだけにギャグタッチである。病弱で小鳥好きの杉原真奈美がホワイトドラゴンを召喚する技があったり、主人公がデート中に別ヒロインと鉢合わせしそうになって隠れようとするイベントなど。 --システム上仕方の無いことだが作中では一途だった女性キャラが別のプレイヤーにもホイホイついていく尻軽状態であったため不興を買っている。 ---一人のヒロインだけプレイヤーからの好感度が全体的に低いとエンディングでそのヒロインがいじけるというお笑い要素も。 --一応ボードゲームとしては結構面白いという評価はある。 --当時は何故かギャルが売りのボードゲームが連続して発売されており、他に『[[ネクストキング 恋の千年王国]]』や『プリンセスメーカー ゴー!ゴー!プリンセス』があった。 ---ギャルを奪い合うジャーニーはネクストキングの系列である(プリメは駒が娘なだけ)。 -アニメ版も『センチメンタルジャーニー』のタイトルで放送されている。PS版『センチメンタルジャーニー』発売をにらんでのタイトルだったが、肝心のゲームは発売延期している。さらに雰囲気が大違いである。 --『センチメンタルグラフティ』本編の一年前のヒロインたちのエピソードという形で、一人一話の全12話。ストーリーは全体的にヒロインが悩み、サブキャラに助言を受けつつも自分なりの納得を得るという形のもの。 ---何故か一部のヒロインは本編に繋がらない話となっている。というより主人公の事を思い出と割り切るストーリーが多い。ちゃんと主人公に手紙を送るヒロインもいるがヒロインの都道府県から出している。 --このアニメ版以降、メディアワークス作品を中心に、「1クールを使って十数人の美少女に1話ずつスポットをあてていく」というPVスタイルのアニメが増えることとなった。 ---もっとも厳密にはこのアニメの影響というよりは、所謂「正妻戦争((各ヒロインのファンが「メインヒロインは誰か」で揉める事。または原作で明らかにメインヒロインが決まっていた作品なのに、アニメ版でメインヒロインが変更されて(ただし大抵は「原作メインヒロインの人気が低い」等の理由がある)大いに揉める事。))」を避けるためだと思われる。 -更に続編の『[[センチメンタルグラフティ2]]』では、''『1』主人公の葬式''から始まるという、わずかに残ったファンや信者をバッサリ斬って捨てるようなせつなさ炸裂のストーリーとなっている。 --これは、開発元のマーカスがセンチの続編を作る際の条件として軋轢のあるシナリオライターの大倉らいた氏を外すように指示したことが大きな原因とされている((大倉氏は前作主人公の死というプロットは受け入れられないと拒否し、その結果外された。))。 --そんな基本設定ゆえかネット外では発売前から不買運動も起きていて((さらに、上記の大倉氏は経緯をホームページで公開し、「『センチ2』は正当なスタッフの作った続編ではない」という考えを煽っていた。))、続編でありながら離れたファンの人心を取り戻すことすら叶わなかった。 ---『1』主人公は、平日は学校へ行きつつ週末や長期休暇はアルバイトを繰り返しながら全国をめぐりつつ12股をしたと言う設定のため、ファンからは過労死と笑い話のネタにも。本当は交通事故(車に轢かれた)が原因なのだが、それさえ過労で注意力散漫になっていたからと言われる始末(実際は巻き込まれ事故なので注意していてもまず無理)。 #region(しかし実は…) 2018年に本作のプロデューサーである多部田俊雄氏が''前作主人公は死んでいない''という発言を行った。 --詳細は[[こちら>http://beatarai.blog90.fc2.com/blog-entry-4596.html]]を参照。 #endregion --前述した通り、ヒロイン同士は面識が無かったわけで、葬式で初顔合わせとなる((と言っても雑誌投稿でネタにされたぐらいで、公式ではヒロイン達が葬式中に顔を合わせた描写は無い。))。そう考えるととってもシュール。 //---ヒロイン達は高校の制服で参列しているので『1』主人公の死はエンディング前とも考えられ((一応、卒業式後でも3月一杯は高校生だとされているが、だからと言って高校の制服を着てくるのは少数派だろう。))、ある意味パラレル世界かもしれない。 ---『1』主人公の死亡時にはヒロイン全員が待ちぼうけを食らっている描写がある。%%1日で12ヶ所廻る気だったのだろうか?%% ---なお『2』本編では大学進学・就職などにより全ヒロインが東京に上京している(横浜出身の星野は通いの可能性もある)。 -その後も『センチメンタルグラフティ~約束』等の続編が続いたが、人気低下に歯止めがかからず2004年10月28日発売の『センチメンタルプレリュード』でシリーズの終焉を迎えた。 --ちなみにプレリュードでは多部田俊雄氏や大倉らいた氏など、初代のスタッフを再び集め製作されたが、4年近く製作期間をかけた挙句、売り上げ・人気・プレイヤー評価全てにおいて『2』をも下回る結果しかあげられず、ファンを完全に失望させた。 -この作品に深く関与した制作会社・マーカスは『センチ2』発売後に捲土重来の夢叶わず、倒産した。 //--ちなみにマーカス勤務だった窪田正義は、その後作詞家の「六月十三」のペンネームで、夫人の尽力を借りてワンダーファームを設立したものの、目ぼしい功績は『おとぎストーリー天使のしっぽ』で平野綾((当時小学生であり、リメイク前のポケモン金銀のCMに出演している。))をデビューさせたこと位である。 //見解が分かれがちな記述なので、一応CO。 --この作品のヒロイン12名の声優は、半分が一般公募により選ばれてマーカスに所属していた(もう半分は「青二プロダクション」の新人)が、マーカス倒産後は青二プロダクションに移籍した。殆どが現在も声優業を続けており、興味があれば声優の名前や「SGガールズ」で検索すると良い。 -2010年2月10日からPS版がゲームアーカイブスで配信開始。600円と割安なので体験してみるのも一興かもしれない。 //--それ以前にどの中古屋でもSS版もPS版も叩き売りされているので、「誰得配信」感は否めないが。 //アーカイブスは実物のソフト不要で場所取らない、PSP(PSV)で出来る、とかそういう利点があるから元となったソフトが投げ売りされてても配信形式による需要自体はあるよ。このゲームの需要があるかは別として。 --一方で、PS版のディスクの中古は何故か最近相場が上昇しはじめている模様。ある意味グッドタイミングだったかも? -Win版はWindows 7以降ニューゲーム時にフリーズする。フリーソフトを使えばプレイ自体は可能だが、最初の回想イベントを見ることができない。 -『センチメンタルグラフティ ~約束』『センチメンタルグラフティ ~再会』の二作がノベライズとして刊行されている。 --さらに大倉氏が当時の角川書店社長よりノベライズの続編要請を受けたが実現せず、コンセプトを継承した「坂物語り」が刊行された。こちらも大倉・水谷(甲斐名義)タッグ(大倉氏曰く『ゴールデンコンビ』)。 ---作中に「安達妙子」との親戚関係を示唆するキャラが登場する。また、大倉氏が『[[卒業 ~Graduation~]]』の続編『結婚 ~Marriage~』の小説版を執筆したというつながりで本作の「星野明日香」が清華女子高等学校に在籍し『[[卒業III ~Wedding Bell~]]』のメインキャラクターとクラスメイト、という設定があり、この三作は同一の世界観にある。 ----

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