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*バクダン★ハンダン 【ばくだんはんだん】 |ジャンル|女性向けミステリー恋愛アドベンチャー|&amazon(B007PBNM2K)|&amazon(B007PBNLKI)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|~| |発売・開発元|オトメイト(アイディアファクトリー)|~|~| |発売日|2012年6月14日|~|~| |定価|通常版:6,090円&br()限定版:8,190円(共に税込)|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|''乙女ゲーらしからぬ乙女ゲー''&br()実名で登場する稲船敬二&br()''「どんな判断だ!」''で未来を切り開く乙女&br()乙女ゲーらしくないスタッフ陣&br()楽しんご起用←どんな判断だ!|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ゲームをモチーフとした巨大テーマパーク・鐘堂ブロッサムランドを舞台にした女性向けADV。&br() 主人公はゲームクリエイター・稲船敬二の姪である稲船沙希(名前は変更可能)であり、オープニングイベント中の鐘堂ブロッサムランドを占拠しランド爆破を宣言した謎の着ぐるみ・ワルドブーに拉致された叔父たちを救うため、イベント客の中からワルドブーに選ばれた6人の男性と共に、ワルドブーが仕掛ける命を懸けた7日間の「ゲーム」に挑むという内容である。&br() 原画は「[[逆転裁判シリーズ]]」のキャラクターデザインで知られる岩元辰郎((かつてカプコンおよびクローバースタジオに在籍していたイラストレーターで、現在はフリーで活動中。「逆転裁判シリーズ」ではデザイン・原画・アートディレクションなどを担当し、更に『逆転裁判3』までは同シリーズのレギュラーキャラクター・御剣怜侍の声も演じていた。))であり、プロット・ミステリー監修を『[[かまいたちの夜]]』を手掛けた推理作家の我孫子武丸が担当している。 ---- **特徴 -本人公認による''稲船敬二弄り'' --概要からも分かる通り、本作にはゲームクリエイターの稲船敬二氏が実名で登場しており、彼の発言として(ネタ的な意味で)ネット上で話題となった''「どんな判断や。金どぶに捨てる気か?」''という発言が様々な面で取り入れられている。 ---舞台となる遊園地の名称からして''鐘堂ブ''ロッサムランド→金ドブという捩りであり、後述の「どんな判断だ選択肢」に至ってはそのままである。 -''どんな判断だ選択肢'' --ストーリーを進める中で、ワルドブーの理不尽な言葉や攻略対象キャラクターの誤った言動などに主人公が激しい怒りを抱いた場合、「活を入れる」か「気持ちを抑える」かを選択することができる。&br()「活を入れる」を選択した場合、主人公の''「どんな判断だ!」''という一喝に相手は思わず謝罪し、ワルドブーが発言を撤回したり相手の好感度が上がったりと事態が好転する。 ---ただし、全ての場面で「活を入れる」ことが正しいわけではなく、あえて「気持ちを抑える」ことが必要な場面もある。 -''ひらめき★バクダン'' --謎解きの過程で主人公が何かをひらめきそうになった場合、プレイヤーはこれまでの流れを振り返る主人公のモノローグの中に含まれたキーワードから3つを指定することとなる。 ---3つのキーワードの中に正解のキーワードが含まれていた場合、爆発のエフェクトと共に主人公が謎解決の糸口をひらめき謎を解くことができる。 ---- **評価点 -個性豊かなキャラクター --本作に登場する攻略対象キャラクターは非常に個性的。&br()クーデレな警察官や小悪魔的な魅力で人気の男性アイドルといった(乙女ゲーでは)割とオーソドックスなキャラクターから、''普段は引きこもりの廃人級ゲーマー''(しかも何故か拘束衣着用)といった変わり種までカバーしており、年齢層も10代後半から30代前半までと幅広い。&br()攻略対象キャラクターの幅がここまで広い乙女ゲーは割と珍しいのではないだろうか。 ---一見普通に見えるキャラクターも、「''実は凄まじい癖毛''で、本当はきっちりオールバックにしたいのだが癖毛のせいで髪が固まらず今の髪型になっている((初回限定版特典の設定原画集で明かされた裏設定。))」「口に煙草を咥えていると思ったら''実はポ○キー''((理由は「頭の回転を良くするには糖分補給が必要だから」。))」「占い師なのだが''手にした水晶玉が明らかに宙に浮いている''」など、実はツッコミどころが満載であったりする。&br()初回限定版特典の設定原画集には実際に採用されたものより更にぶっ飛んだアイデアラフも掲載されており、「あれ、これって『逆転裁判』の新作の設定原画集だっけ」と勘違いしそうになること請け合い。 --敵役であるワルドブーも、「参加者たちを弄ぶオネエ口調のウザキャラ(CV:''楽しんご'')」というこれまた強烈なキャラクター。 #region(※キャラクター設定について ネタバレを含むため閲覧注意) -中には、途中で子持ち(妻とは死別済み)であることが判明するキャラクターや、個別ルートの中盤からヤンデレ化するキャラクターまで存在する。 --前者については公式サイトや取扱い説明書で彼の娘らしき幼女の情報が公開されているため不意打ちというわけではなく、後者についても個別ルートに入った直後の段階で彼が暗い過去を抱えていることが明かされ、それゆえに救いを与えてくれた主人公に対して執着にも似た感情を抱いていることがある程度予想できる展開になっている。 #endregion -バリエーション豊富なストーリー展開 --ストーリーは4日目からキャラクターごとの個別ルートに入るのだが、どのキャラクターのルートに入ったかによって、ランド内のアトラクションがどの順番で「ゲーム」に利用されるかが大きく変化する。 ---ルートによっては主人公が体調不良や負傷した仲間の看護などで「ゲーム」を欠席し、違う形でワルドブーや「ゲーム」の謎に迫ることになるという事態も発生するため、「どのルートでも結局同じ謎解きを強いられる」ということもない。&br()中には、4日目以降の「ゲーム」に主人公がほぼ参加しないというルートもある。 ---主人公と攻略対象の恋愛だけではなく、「ゲーム」に参加する7人の間に生まれた絆やいわゆる「男の友情」などもきちんと描かれており、恋愛だけではなく個性溢れるキャラクター同士のやり取りも楽しめるようになっている。 -「どんな判断だ選択肢」に対するリアクション --「どんな判断だ選択肢」で「活を入れる」を選択した場合、雷のエフェクトと共に主人公に一喝された相手の怯んだ表情の立ち絵が表示される。 ---この立ち絵もかなり個性的で、キャラクターによっては(絵柄も含め)『逆転』シリーズにおけるダメージアクションのようなはっちゃけた顔芸を披露してくれる。 ---相手が年下の美少年だろうが一回り以上年上の渋い中年男性だろうが、果てには叔父を人質に取っている悪の着ぐるみだろうが容赦なく「どんな判断だ!」と叱り飛ばす主人公の姿は、「男前」「乙女ゲーの主人公にはなかなかいないタイプで新鮮」と好評。 -システム面の充実 --近年のオトメイトブランドのゲームほぼ全てに当てはまることだが、周回プレイに配慮した既読スキップはもちろん、キャラクターごとにボイスのオン・オフや音量を設定することができるなど、システム面には気が使われている。 ---好きなチャプターからストーリーを始められる日記機能もあり、決められた範囲内でキャラクターごとの好感度の値を細かく設定できるため、好感度によるイベントスチルの回収などが苦にならない。 ---ギャラリーでは、CGを見るだけではなくエンディングやCG付きのサブイベントの内容を見返すことができるシーン再生機能もある(イベント中に選択肢がある場合はきちんと選択できる)。 ---- **賛否両論点 -複雑に絡み合ったストーリー --ミステリー監修に本職の推理作家を呼んだだけあり、ワルドブーの目的や主人公以外の参加者がワルドブーに選ばれた理由など、1つのルートをクリアしただけでは物語の全体像が明らかとならない凝った構成となっている。 ---あるルートでさりげなく登場したものが別ルートの思わぬ伏線になっていたりと、前述のようにルートごとに全く展開が違うことも含め、複数ルートの攻略が作業にならないようになっている。 ---また、どのキャラクターのルートに入ったかによって攻略対象キャラクター同士の関係性も微妙に変化する。&br()例えば、AというキャラクターのルートではAとBが親しくなる様子が描かれるが、BのルートではBとCが親しくなる様子が描かれたりする。&br()そのため、ルートによってキャラクター同士の呼称が違う場合もある(Aのルートでは名前で呼んでいたがBのルートでは苗字で呼んでいるなど)。 ---しかしこれは、裏を返せば「全ての謎の答えが知りたい場合は全キャラクターを攻略する必要がある」ということでもあり、ほとんどのキャラクターの個別エンディングで若干消化不良な部分が残ってしまう結果となっている(詳細は後述。ネタバレのため閲覧注意)。 #region(※エンディングについて ネタバレを含むため閲覧注意) -ほぼ全てのエンディングにおいて、主人公たちとの「ゲーム」に敗北した黒幕(ワルドブーの「中の人」)は逃走し、逮捕されることはない上に正体や目的もほとんど明かされない。 --唯一の例外が、2周目以降に特定の条件を満たすことでプレイできる黒幕ルートである。 ---内容的には「ゲーム」の種明かしに近いもので、一気にほぼ全ての謎の答えを知ることができるのだが、各キャラクターの詳細なバックグラウンドや参加者同士のミッシングリンクなどは対象キャラクターのルートでしか明らかにならない。 --黒幕の正体はバレバレ(というかルートによっては地声の台詞があったりと隠す気が全くない状態)なのだが、黒幕が「ゲーム」を行った理由や彼が背負った悲惨な過去が明らかとなり、その上で明確に彼の心が救われるのが黒幕ルートのみという点は「他のルートのエンディングがハッピーエンドではないように見えてしまう」と不満の声が大きかった。 #endregion -乙女ゲーらしくないグラフィック --原画を担当した岩元辰郎氏の画風は今までの乙女ゲーにはあまりなかったタイプであり、乙女ゲーファンからは戸惑いの声が多かった。 ---一方で「体格の良い男性の筋肉がきちんと描かれているところが魅力的」「乙女ゲーにありがちなキラキラした絵柄ではないところに逆に好感が持てる」という意見も多い。 ---岩元氏本人も乙女ゲーの依頼が来たのは予想外であったらしく、初回限定版特典の設定原画集で「『乙女って何だ!』という大問題との戦いでした」とコメントを残している。 -主人公のデザイン --主人公は丸いショートカットの髪型(爆弾をイメージしており、前述の「ひらめき★バクダン」では頭頂部にアホ毛が立ち導火線のようになる)が特徴なのだが、このデザインについては「あまり女の子らしくない。もっと可愛くできたのでは」「いや、今のままで十分可愛い」と意見が真っ二つに割れた。 ---- **問題点 -ワルドブーの声 --上述のようにワルドブーの声はお笑い芸人の楽しんごが担当しているのだが、かなりの棒読みである上にボイスチェンジャーをイメージしたエフェクトがかかっているため、聞くに堪えないものになってしまっている。 ---「黒幕(ワルドブーの「中の人」)を演じた声優にワルドブーも演じてもらい、その上で同じ声だと分からないくらいきつくエフェクトをかけたりして誤魔化した方がまだマシだったのでは」と言われるほど。 ---前述のようにキャラクターごとにボイスのオン・オフを設定できるため、ワルドブーだけボイスをオフにすることができるのは幸いだが…。 -「ひらめき★バクダン」を始めとする推理の難易度の低さ --前述の通り、「ひらめき★バクダン」は3つのキーワードの中に1つの正解が含まれていればそれで良いため、総当たりで簡単に解けてしまう。 --また、全体的に推理においてプレイヤーが介入できる部分が少なめで、1度ひらめいたらあとは登場人物たちが謎を解いていく様子を見るだけ、というシーンも多い。 ---そのため「せっかく本職の推理作家が参加しているのだから、もう少し難易度を高めてプレイヤーが能動的に謎解きを楽しめるシステムにしてほしかった」という不満が出た。 ---恐らく、「乙女ゲーである以上、メインは主人公と攻略対象キャラクターの恋愛描写であり、あまりプレイヤーが謎解きの方に集中するような作りにすると恋愛要素が霞んでしまう」という懸念からあえて難易度を抑えたのだと思われるが、本職の推理作家の名前が宣伝に使われた以上はプレイヤーが推理要素の充実に期待するのも当たり前のことであり、推理要素の薄さが不満要素になるのも致し方ないだろう。 -稲船氏の扱い --稲船氏はゲームクリエイターとして有名な一方、失言や時折巻き起こす迷走などからアンチも非常に多い人物なのだが、今作における稲船氏の扱いは「人質になっているため出番はほとんどなく、ワルドブーの目を盗んで主人公に送ったメールで精神論を説いて励ますだけ」という当たり障りのないものに終始しており、「どうせ実名で登場するのなら、『実は超極悪人』という設定にするなど大々的かつ容赦なく弄り倒した方が更なる話題作りになって良かったのでは」と言われることとなった。 ---- **総評 絵柄もストーリーの構成も、良い意味で乙女ゲーらしくない意欲作。&br() しかしそれゆえに乙女ゲーファンからの反応は微妙で、更に「逆転裁判シリーズ」などで岩元氏のファンになった層も乙女ゲーというジャンルへの戸惑いから購入を躊躇するという、意外性を狙った組み合わせが完全に裏目に出てしまう形となり、発表された初週の売り上げ本数は約3000本と寂しい数字であった。&br() 一方で、実際にプレイした層からはその「乙女ゲーらしくない」部分が評価されており、売り上げが振るわなかったために本作がメーカーからもあまり良い扱いを受けていないこと((漫画版はゲーム発売から1年後の時点で打ち切りに近い形で連載を終了しており、サウンドトラック以外のグッズ展開も皆無に近い。そのため、雑誌で発表されたゲームの前日譚となるイラストなどを収録したビジュアルファンブックを希望する声は多いものの、絶望視されている。))に対する嘆きの声も多い。&br() 謎解きの難易度の低さなど問題点がないわけではないが、個性豊かなキャラクターや先の読めないストーリー展開は非常に魅力的であり、「乙女ゲーらしくない乙女ゲー」という本作の特徴を受け入れられるのであればプレイして損はないだろう。
*バクダン★ハンダン 【ばくだんはんだん】 |ジャンル|女性向けミステリー恋愛アドベンチャー|&amazon(B007PBNM2K)|&amazon(B007PBNLKI)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|~| |発売・開発元|オトメイト(アイディアファクトリー)|~|~| |発売日|2012年6月14日|~|~| |定価|通常版:6,090円&br()限定版:8,190円(共に税込)|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|''乙女ゲーらしからぬ乙女ゲー''&br()実名で登場する稲船敬二&br()''「どんな判断だ!」''で未来を切り開く乙女&br()乙女ゲーらしくないスタッフ陣&br()楽しんご起用←どんな判断だ!|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ゲームをモチーフとした巨大テーマパーク・鐘堂ブロッサムランドを舞台にした女性向けADV。&br() 主人公はゲームクリエイター・稲船敬二の姪である稲船沙希(名前は変更可能)であり、オープニングイベント中の鐘堂ブロッサムランドを占拠しランド爆破を宣言した謎の着ぐるみ・ワルドブーに拉致された叔父たちを救うため、イベント客の中からワルドブーに選ばれた6人の男性と共に、ワルドブーが仕掛ける命を懸けた7日間の「ゲーム」に挑むという内容である。&br() 原画は「[[逆転裁判シリーズ]]」のキャラクターデザインで知られる岩元辰郎((かつてカプコンおよびクローバースタジオに在籍していたイラストレーターで、現在はフリーで活動中。「逆転裁判シリーズ」ではデザイン・原画・アートディレクションなどを担当し、更に『逆転裁判3』までは同シリーズのレギュラーキャラクター・御剣怜侍の声も演じていた。))であり、プロット・ミステリー監修を『[[かまいたちの夜]]』を手掛けた推理作家の我孫子武丸が担当している。 ---- **特徴 -本人公認による''稲船敬二弄り'' --概要からも分かる通り、本作にはゲームクリエイターの稲船敬二氏が実名で登場しており、彼の発言として(ネタ的な意味で)ネット上で話題となった''「どんな判断や。金どぶに捨てる気か?」''という発言が様々な面で取り入れられている。 ---舞台となる遊園地の名称からして''鐘堂ブ''ロッサムランド→金ドブという捩りであり、後述の「どんな判断だ選択肢」に至ってはそのままである。 -''どんな判断だ選択肢'' --ストーリーを進める中で、ワルドブーの理不尽な言葉や攻略対象キャラクターの誤った言動などに主人公が激しい怒りを抱いた場合、「活を入れる」か「気持ちを抑える」かを選択することができる。&br()「活を入れる」を選択した場合、主人公の''「どんな判断だ!」''という一喝に相手は思わず謝罪し、ワルドブーが発言を撤回したり相手の好感度が上がったりと事態が好転する。 ---ただし、全ての場面で「活を入れる」ことが正しいわけではなく、あえて「気持ちを抑える」ことが必要な場面もある。 -''ひらめき★バクダン'' --謎解きの過程で主人公が何かをひらめきそうになった場合、プレイヤーはこれまでの流れを振り返る主人公のモノローグの中に含まれたキーワードから3つを指定することとなる。 ---3つのキーワードの中に正解のキーワードが含まれていた場合、爆発のエフェクトと共に主人公が謎解決の糸口をひらめき謎を解くことができる。 ---- **評価点 -個性豊かなキャラクター --本作に登場する攻略対象キャラクターは非常に個性的。&br()クーデレな警察官や小悪魔的な魅力で人気の男性アイドルといった(乙女ゲーでは)割とオーソドックスなキャラクターから、''普段は引きこもりの廃人級ゲーマー''(しかも何故か拘束衣着用)といった変わり種までカバーしており、年齢層も10代後半から30代前半までと幅広い。&br()攻略対象キャラクターの幅がここまで広い乙女ゲーは割と珍しいのではないだろうか。 ---一見普通に見えるキャラクターも、「''実は凄まじい癖毛''で、本当はきっちりオールバックにしたいのだが癖毛のせいで髪が固まらず今の髪型になっている((初回限定版特典の設定原画集で明かされた裏設定。))」「口に煙草を咥えていると思ったら''実はポ○キー''((理由は「頭の回転を良くするには糖分補給が必要だから」。))」「占い師なのだが''手にした水晶玉が明らかに宙に浮いている''」など、実はツッコミどころが満載であったりする。&br()初回限定版特典の設定原画集には実際に採用されたものより更にぶっ飛んだアイデアラフも掲載されており、「あれ、これって『逆転裁判』の新作の設定原画集だっけ」と勘違いしそうになること請け合い。 --敵役であるワルドブーも、「参加者たちを弄ぶオネエ口調のウザキャラ(CV:''楽しんご'')」というこれまた強烈なキャラクター。 #region(※キャラクター設定について ネタバレを含むため閲覧注意) -中には、途中で子持ち(妻とは死別済み)であることが判明するキャラクターや、個別ルートの中盤からヤンデレ化するキャラクターまで存在する。 --前者については公式サイトや取扱い説明書で彼の娘らしき幼女の情報が公開されているため不意打ちというわけではなく、後者についても個別ルートに入った直後の段階で彼が暗い過去を抱えていることが明かされ、それゆえに救いを与えてくれた主人公に対して執着にも似た感情を抱いていることがある程度予想できる展開になっている。 #endregion -バリエーション豊富なストーリー展開 --ストーリーは4日目からキャラクターごとの個別ルートに入るのだが、どのキャラクターのルートに入ったかによって、ランド内のアトラクションがどの順番で「ゲーム」に利用されるかが大きく変化する。 ---ルートによっては主人公が体調不良や負傷した仲間の看護などで「ゲーム」を欠席し、違う形でワルドブーや「ゲーム」の謎に迫ることになるという事態も発生するため、「どのルートでも結局同じ謎解きを強いられる」ということもない。&br()中には、4日目以降の「ゲーム」に主人公がほぼ参加しないというルートもある。 ---主人公と攻略対象の恋愛だけではなく、「ゲーム」に参加する7人の間に生まれた絆やいわゆる「男の友情」などもきちんと描かれており、恋愛だけではなく個性溢れるキャラクター同士のやり取りも楽しめるようになっている。 -「どんな判断だ選択肢」に対するリアクション --「どんな判断だ選択肢」で「活を入れる」を選択した場合、雷のエフェクトと共に主人公に一喝された相手の怯んだ表情の立ち絵が表示される。 ---この立ち絵もかなり個性的で、キャラクターによっては(絵柄も含め)『逆転』シリーズにおけるダメージアクションのようなはっちゃけた顔芸を披露してくれる。 ---相手が年下の美少年だろうが一回り以上年上の渋い中年男性だろうが、果てには叔父を人質に取っている悪の着ぐるみだろうが容赦なく「どんな判断だ!」と叱り飛ばす主人公の姿は、「男前」「乙女ゲーの主人公にはなかなかいないタイプで新鮮」と好評。 -システム面の充実 --近年のオトメイトブランドのゲームほぼ全てに当てはまることだが、周回プレイに配慮した既読スキップはもちろん、キャラクターごとにボイスのオン・オフや音量を設定することができるなど、システム面には気が使われている。 ---好きなチャプターからストーリーを始められる日記機能もあり、決められた範囲内でキャラクターごとの好感度の値を細かく設定できるため、好感度によるイベントスチルの回収などが苦にならない。 ---ギャラリーでは、CGを見るだけではなくエンディングやCG付きのサブイベントの内容を見返すことができるシーン再生機能もある(イベント中に選択肢がある場合はきちんと選択できる)。 ---- **賛否両論点 -複雑に絡み合ったストーリー --ミステリー監修に本職の推理作家を呼んだだけあり、ワルドブーの目的や主人公以外の参加者がワルドブーに選ばれた理由など、1つのルートをクリアしただけでは物語の全体像が明らかとならない凝った構成となっている。 ---あるルートでさりげなく登場したものが別ルートの思わぬ伏線になっていたりと、前述のようにルートごとに全く展開が違うことも含め、複数ルートの攻略が作業にならないようになっている。 ---また、どのキャラクターのルートに入ったかによって攻略対象キャラクター同士の関係性も微妙に変化する。&br()例えば、AというキャラクターのルートではAとBが親しくなる様子が描かれるが、BのルートではBとCが親しくなる様子が描かれたりする。&br()そのため、ルートによってキャラクター同士の呼称が違う場合もある(Aのルートでは名前で呼んでいたがBのルートでは苗字で呼んでいるなど)。 ---しかしこれは、裏を返せば「全ての謎の答えが知りたい場合は全キャラクターを攻略する必要がある」ということでもあり、ほとんどのキャラクターの個別エンディングで若干消化不良な部分が残ってしまう結果となっている(詳細は後述。ネタバレのため閲覧注意)。 #region(※エンディングについて ネタバレを含むため閲覧注意) -ほぼ全てのエンディングにおいて、主人公たちとの「ゲーム」に敗北した黒幕(ワルドブーの「中の人」)は逃走し、逮捕されることはない上に正体や目的もほとんど明かされない。 --唯一の例外が、2周目以降に特定の条件を満たすことでプレイできる黒幕ルートである。 ---内容的には「ゲーム」の種明かしに近いもので、一気にほぼ全ての謎の答えを知ることができるのだが、各キャラクターの詳細なバックグラウンドや参加者同士のミッシングリンクなどは対象キャラクターのルートでしか明らかにならない。 --黒幕の正体はバレバレ(というかルートによっては地声の台詞があったりと隠す気が全くない状態)なのだが、黒幕が「ゲーム」を行った理由や彼が背負った悲惨な過去が明らかとなり、その上で明確に彼の心が救われるのが黒幕ルートのみという点は「他のルートのエンディングがハッピーエンドではないように見えてしまう」と不満の声が大きかった。 #endregion -乙女ゲーらしくないグラフィック --原画を担当した岩元辰郎氏の画風は今までの乙女ゲーにはあまりなかったタイプであり、乙女ゲーファンからは戸惑いの声が多かった。 ---一方で「体格の良い男性の筋肉がきちんと描かれているところが魅力的」「乙女ゲーにありがちなキラキラした絵柄ではないところに逆に好感が持てる」という意見も多い。 ---岩元氏本人も乙女ゲーの依頼が来たのは予想外であったらしく、初回限定版特典の設定原画集で「『乙女って何だ!』という大問題との戦いでした」とコメントを残している。 -主人公のデザイン --主人公は丸いショートカットの髪型(爆弾をイメージしており、前述の「ひらめき★バクダン」では頭頂部にアホ毛が立ち導火線のようになる)が特徴なのだが、このデザインについては「あまり女の子らしくない。もっと可愛くできたのでは」「いや、今のままで十分可愛い」と意見が真っ二つに割れた。 ---- **問題点 -ワルドブーの声 --上述のようにワルドブーの声はお笑い芸人の楽しんごが担当しているのだが、かなりの棒読みである上にボイスチェンジャーをイメージしたエフェクトがかかっているため、聞くに堪えないものになってしまっている。 ---「黒幕(ワルドブーの「中の人」)を演じた声優にワルドブーも演じてもらい、その上で同じ声だと分からないくらいきつくエフェクトをかけたりして誤魔化した方がまだマシだったのでは」と言われるほど。 ---前述のようにキャラクターごとにボイスのオン・オフを設定できるため、ワルドブーだけボイスをオフにすることができるのは幸いだが…。 -「ひらめき★バクダン」を始めとする推理の難易度の低さ --前述の通り、「ひらめき★バクダン」は3つのキーワードの中に1つの正解が含まれていればそれで良いため、総当たりで簡単に解けてしまう。 --また、全体的に推理においてプレイヤーが介入できる部分が少なめで、1度ひらめいたらあとは登場人物たちが謎を解いていく様子を見るだけ、というシーンも多い。 ---そのため「せっかく本職の推理作家が参加しているのだから、もう少し難易度を高めてプレイヤーが能動的に謎解きを楽しめるシステムにしてほしかった」という不満が出た。 ---恐らく、「乙女ゲーである以上、メインは主人公と攻略対象キャラクターの恋愛描写であり、あまりプレイヤーが謎解きの方に集中するような作りにすると恋愛要素が霞んでしまう」という懸念からあえて難易度を抑えたのだと思われるが、本職の推理作家の名前が宣伝に使われた以上はプレイヤーが推理要素の充実に期待するのも当たり前のことであり、推理要素の薄さが不満要素になるのも致し方ないだろう。 -稲船氏の扱い --稲船氏はゲームクリエイターとして有名な一方、失言や時折巻き起こす迷走などからアンチも非常に多い人物なのだが、今作における稲船氏の扱いは「人質になっているため出番はほとんどなく、ワルドブーの目を盗んで主人公に送ったメールで精神論を説いて励ますだけ」という当たり障りのないものに終始しており、「どうせ実名で登場するのなら、『実は超極悪人』という設定にするなど大々的かつ容赦なく弄り倒した方が更なる話題作りになって良かったのでは」と言われることとなった。 ---- **総評 絵柄もストーリーの構成も、良い意味で乙女ゲーらしくない意欲作。&br() しかしそれゆえに乙女ゲーファンからの反応は微妙で、更に「逆転裁判シリーズ」などで岩元氏のファンになった層も乙女ゲーというジャンルへの戸惑いから購入を躊躇するという、意外性を狙った組み合わせが完全に裏目に出てしまう形となり、発表された初週の売り上げ本数は約3000本と寂しい数字であった。&br() 一方で、実際にプレイした層からはその「乙女ゲーらしくない」部分が評価されており、売り上げが振るわなかったために本作がメーカーからもあまり良い扱いを受けていないこと((漫画版はゲーム発売から1年後の時点で打ち切りに近い形で連載を終了しており、サウンドトラック以外のグッズ展開も皆無に近い。そのため、雑誌で発表されたゲームの前日譚となるイラストなどを収録したビジュアルファンブックを希望する声は多いものの、絶望視されている。))に対する嘆きの声も多い。&br() 謎解きの難易度の低さなど問題点がないわけではないが、個性豊かなキャラクターや先の読めないストーリー展開は非常に魅力的であり、「乙女ゲーらしくない乙女ゲー」という本作の特徴を受け入れられるのであればプレイして損はないだろう。 ---- **余談 とあるキャラの一言が「」つきで強調されてるが、「ググってはいけない」ワードである。閲覧は自己責任で。

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