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*火の皇子 ヤマトタケル 【ひのおうじ やまとたける】 |ジャンル|ロールプレイング|&amazon(B003O7ENAO)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|24MbitROMカートリッジ|~| |発売元|東宝|~| |開発元|開発: エイム&br()制作: マルチメディアインテリジェンストランスファー (MIT)|~| |発売日|1995年9月29日|~| |定価|10,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|活かせていないどころか邪魔なシステム&br()両極端な戦闘バランス&br()全体的にスローテンポ&br()しょぼ過ぎる演出|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 日本神話のヤマトタケルを題材としたオーソドックスなRPG。脚本は女神転生の原作者である西谷史氏で、パッケージでもそれを宣伝文句にしている。 **ストーリー (説明書3ページより引用)~ >いまから千五百年ほど昔、何年にもわたって一滴も雨の降らないすさまじい干ばつが、日本をおそった。~ この異常気象は、中国、ヨーロッパにおよび地球規模のものであったが、迷信深い人々は「干ばつは朝廷がアマテラスを祭り、月読神をないがしろにした祟りである」と考えた。~ 飢饉は全国に広がり、餓死する人の数は知れず、ついに出雲、九州の豪族は、朝廷に反旗をひるがえした。~ 伊勢神宮で育てられたヤマトタケル王子は、人々の苦難を皇帝に訴えるため、大和に向かった。~ だが大和では、月の輪と呼ばれる巫女が絶大な権力をにぎり、人望のあるタケルを、亡き者にしようとたくらんでいた。~ はたしてタケルは、この危機を乗り越えることができるのか…。 ---- **ゲームシステム -属性は木・火・土・金・水の五行で、HP・MP以外のパラメータも五行で表記される。 -星座システム・・・マップ上での移動に伴って星が動き、太陽の位置によってキャラクターの会心率、後述の従魔変化などに影響が現れる。「星の鏡」というアイテムを使うことで星の位置を確認できる。 --ニューゲーム時に誕生日を入力し、それによって主人公ヤマトタケルの成長傾向がわずかに異なる。最初の町にいる陰陽博士から、自身がどの成長タイプかを聞くことができる。 -従魔システム・・・ゲームを進めるとイベントで「従魔」が仲間になる。従魔は星の鏡を使って選択画面に入り「カイロンの石」を消費して召喚することで、パーティメンバーとして戦闘に参加する魔物である。また、「従魔変化」を行うことで一時的に別の魔物に変身させることができる。 --召喚に必要なカイロンの石は非売品で、イベント・宝箱・戦闘などで入手できる。 --召喚した従魔は一定歩数で帰還してしまう。帰還後は休眠に入り、一定数歩くまで再召喚できない。 --従魔変化で変化できる魔物は従魔のレベルと星の位置が影響し、場合によって弱い魔物になったり変化できなかったりもする。また、星の位置によっては全ての従魔が変化不可能になる。 -主人公にのみ設定されている「やさしさ」のパラメータはイベントでの選択によって変化し、この値によってエンディングが分岐する。 #region(エンディング分岐) -やさしさの値が高いと弟橘エンド、低いとサワメエンド。低い場合、一度だけシナリオをある程度遡ってやり直すことができる。 #endregion ---- **問題点 ***矛盾・破綻したシナリオや世界観 -なぜか世界中の魔物が日本に集結。古代日本という舞台からあまりにも乖離している。オリジナルの世界観ならともかく、オープニングで今から1500年前と明言してしまっている。 --シナリオ上、日本と中国以外の国を出す必要性がなく(説明はあるが、到底納得できる内容ではない)、考えなしに風呂敷を広げたかネタがなかったのだろうか。インドはまだしも西洋の魔物や神、果ては''人型ロボット''まで登場するのは違和感どころの話ではない。 -後半で主人公にとって悲劇的なイベントが起こるものの、地味な演出に加えてそれまでのシナリオとの関連がないのでいまいち盛り上がらない。 -日本中で起こった混乱を治めること、日本中に現れた魔物とそれを呼び込んだ黒幕を倒すことが目的だったが、上述のイベント以降は''個人的な目的のため黄泉に行ったら黒幕と戦うことになったでござる''。あと''サタン''とか出てくる。 -和名の魔物も名前表記が漢字(水虎、窮鬼など)だったりカタカナ(ツチグモ、ラセツなど)だったりと統一性がない。 -徐福が仲間になるとき仲間のサワメが彼のことをヒゲおやじと呼ぶが、公式イラストでは美青年で髭は生えていない。 --とはいえ、元々キャラの魅力が特にないゲームなので、たぶん誰も気にしない。 -やさしさのパラメータはエンディング以外には影響せず、主人公の態度の変化やシナリオ分岐などは一切ない。エンディングはいずれも仲間内で会話して終わりというあっさり風味。またどちらの分岐でもスタッフクレジットは表示されない。 ***粗のあるシステム -星の動きによる変化は体感できるようなものではなく、ボス戦前に星の位置を調整するなどの工夫をするどころか、普段は忘れても特に支障はない。 -従魔は扱いづらい上に戦力としても心もとない。 --主人公たちと同じくレベルが上がると各パラメータが上昇するが、帰還するとHPとMP以外のパラメータは初期値に戻ってしまうため、序盤の従魔を中盤以降で使う場合は変化しなければ無力。 --召喚歩数制限と休眠期間のせいでレベルを上げにくいため、いずれにせよ主人公たちとの能力差は開いてゆき戦力にならなくなる。 ---帰還までの歩数を回復する「星の命」というアイテムがあるが、そこそこ値が張り、後述のユーザビリティの面でも問題がある。 ---細かい話をすると、このゲームは敵の経験値もレベルアップに必要な経験値も上昇ペースが緩やかなので、レベルの高いキャラでもそれなりに上がりやすく、レベルの低いキャラもそれなりに上がりにくい。そのため弱い従魔を育てようとレベル上げをすると、レベルの高いレギュラーキャラはさらに強くなる。従魔を活躍させようと努力すればするほど、従魔の存在が空気になるのである。 -星座と従魔を除けばほとんどごく普通のRPGのシステムだが、ゲーム中には上記のシステムを無理やり使わされるようなイベントが多く、むしろ足を引っ張っている。 --取って付けたように従魔の存在や星の位置がフラグになっているイベントがある。 --強引な展開でパーティキャラが一時的に外れるイベントが多い。主人公も毒を浴びたり失明したり''無気力になったり''して頻繁に不在になる。 -五行で表されるパラメータも力→火、運→木など、一般的なパラメータの名前を変えただけで、属性の五行とも無関係であり、却って分かりづらく紛らわしい。 ***ユーザビリティの欠如 -画面切り替え、歩き、メッセージともに遅く、いちいちストレスが溜まる。 -頻繁にロードが入ったり、NPCが5人程度いると目に見えて処理落ちしたりする。 --仲間になった従魔の像が「星の社」という施設に置かれるが、そのせいでここでは従魔が多くなるほど動作が重くなり、ほとんどの従魔が揃う頃には『[[星をみるひと]]』のようなスローモーションになる。一部のイベントで訪れるほか、上述の従魔を延命させる星の命を買うためには、この重力に耐えなければならない。しかも星の命はまとめ買いできない上に処理落ちによりメッセージ速度も遅くなるので、ますます買いづらい。 -戦闘時のメッセージ送りは自動(カーソル▼が表示されるのに手動送り不可)で、地味に遅い。 --一方、一括で表示されるレベルアップ時のパラメータも同様に送られるため、今度はまともに閲覧できず、分かりづらいパラメータ名も相まって上昇値の吟味は困難。なおパラメータ上昇量のランダム範囲は1~15など極端に広い。 -魔法・アイテムなどの効果説明がないのはSFC後期を考えると不親切か。 --ただし、説明書に''全ての''魔法・装備品・使用アイテムの効果が記載されている。((正確には使用アイテムの「まつのみのしる」「しんせんのしずく」が記載されていないのだが、これは公式ガイドブックにも載っておらず、かといって隠す意味も見出せない数あるドーピングアイテムの一つに過ぎないので、製作者も忘れているのかもしれない。)) ***ゲームバランスの悪さ -エンカウント率が高い。エンカウント無効のアイテム・魔法が重ねがけできるのが救い。 -やたらと状態異常持ちの敵が多く、序盤から毒漬けにされたり麻痺で全滅させられたりするなど先が思いやられる戦闘バランスで、特に序盤の山であるヤマタノオロチはイベントアイテムで弱体化させても四回攻撃(ほんの少し前に仲間になるキャラは1ターンで死ぬ)という別次元の強さ。しかし、その難易度はゲームを進めるうちに逆方向に極端になっていく。 --後半は通常攻撃で四桁のダメージを与えるようになるのに、敵のHPは四桁まで。[[レベルを上げて物理で殴れば>ラストリベリオン]]ボスやラスボスすら1ターンで沈む。 --ちなみにHP限界値のせいか後半ほど雑魚に対してボスが弱くなり、終盤のボスは雑魚の2倍程、ラストダンジョンに至っては雑魚と同程度のHPしかない。 -単体攻撃アイテム(アイテムとして使用した時に魔法が発動する装備品含む)のデフォルトの対象がなぜか味方に向いているため、知らないアイテムを使用する時は説明書等で効果を確認すること。 -「魔壊」の魔法は「敵一体の魔法効果を打ち消す」とあるが、実際は対象への魔法を無効化する補助魔法。なのにデフォルトの対象は敵で、敵が使う場合もこちらが対象になる。 -中盤に出現する雑魚キャラ「ヤシャ」が「魔封」を使用し、成功した場合フリーズする。 ***演出の悪さ -ドット絵自体は特に悪くないが、演出が地味すぎて迫力の欠片もない。 --イベント演出は大抵チープな効果音やキャラの点滅程度で、フラッシュはなぜか''黒い''。エフェクトが入るたびに1~2秒程度止まる(BGMがある場合、BGMも途切れてエフェクト後に初めから再生)のでテンポが悪く、効果音もやけに浮いている。このテンポの悪いエフェクトを何度も繰り返す冗長な演出も多い。 -大型のボスキャラがヤマタノオロチとラスボスくらいで、ほとんどのボスキャラが雑魚キャラの色変えというのも寂しい。 -呪いを解いてもらったり宿屋に泊まったりした時の効果音が妙に不穏。 ---- **評価点 -戦闘で敵や味方にカーソルを合わせたとき、対象の属性がカーソルに示されるという粋な設計。 --属性相性自体を意識する必要がない本作では無用の長物なのが残念。 -店ではそれぞれの品物の個数を選択してまとめ買い、まとめ売りができる。武器屋・防具屋での下取り、能力値変化表示も完備。ここだけは快適。 -レベルアップが早いうえレベルの戦力(主に攻撃力)への影響が大きく、レベル上げで強くなる実感はある。金もやたら溜まるので、難易度が原因で投げ出す心配はない。 --しかし高いエンカウント率と早いレベルアップのせいで少し迷っただけでレベルが上がるので、製作者の想定している適性レベルは分かりづらい。 -BGMは終始物静かな曲で構成され、古代日本という世界観とマッチしており悪くない出来。 --ただし戦闘曲もおどろおどろしい雰囲気のためテンションが上がるようなものはない。 --なおサウンドはティーズミュージック担当と思われるが、前述の通りスタッフロールはないので作曲者までは判明していない。 ---- **総評 パッケージに「まったく新しいゲームシステム」とうたっているが、ゲームの根幹に位置するわけでもなくオリジナリティの面でも微妙なシステムであるのに、それすら有効に機能せず、戦闘バランスの悪さも相まってただの出来の悪いRPGになってしまった。~ 世界の神話に登場する魔物や星座システム(月齢→星の動き)、従魔システム(マグネタイト→カイロンの石)など、様々な面で女神転生シリーズを&s(){パク}参考にしていると思われる本作だが、いずれもゲーム内に溶け込めておらず、あるいはゲームの面白さに反映されず、その出来は雲泥の差。そのクオリティの低さはとてもSFC後期のゲームとは思えないほどである。 ---- **余談 -こんなゲームだからか前述の通りスタッフロールはないが、公式ガイドブックにはなぜかスタッフ座談会などというコーナーがある。([[参考リンク>https://twitter.com/chou_nosuke/status/701969169701425156]]) --そこでは、『[[ドラえもん3 のび太と時の宝玉]]』などに関わったスタッフの名を見かけることが出来る。 --またSFC後期で出荷数も少なかったためか、近年は中古相場が値上がり傾向にある模様。~
*火の皇子 ヤマトタケル 【ひのおうじ やまとたける】 |ジャンル|ロールプレイング|&amazon(B003O7ENAO)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|24MbitROMカートリッジ|~| |発売元|東宝|~| |開発元|開発: エイム&br()制作: マルチメディアインテリジェンストランスファー (MIT)|~| |発売日|1995年9月29日|~| |定価|10,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|活かせていないどころか邪魔なシステム&br()意味不明な世界観&br()両極端な戦闘バランス&br()全体的にスローテンポ&br()しょぼ過ぎる演出|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 日本神話のヤマトタケルを題材としたオーソドックスなRPG。脚本は女神転生の原作者である西谷史氏で、パッケージでもそれを宣伝文句にしている。 **ストーリー (説明書3ページより引用)~ >いまから千五百年ほど昔、何年にもわたって一滴も雨の降らないすさまじい干ばつが、日本をおそった。~ この異常気象は、中国、ヨーロッパにおよび地球規模のものであったが、迷信深い人々は「干ばつは朝廷がアマテラスを祭り、月読神をないがしろにした祟りである」と考えた。~ 飢饉は全国に広がり、餓死する人の数は知れず、ついに出雲、九州の豪族は、朝廷に反旗をひるがえした。~ 伊勢神宮で育てられたヤマトタケル王子は、人々の苦難を皇帝に訴えるため、大和に向かった。~ だが大和では、月の輪と呼ばれる巫女が絶大な権力をにぎり、人望のあるタケルを、亡き者にしようとたくらんでいた。~ はたしてタケルは、この危機を乗り越えることができるのか…。 ---- **ゲームシステム -属性は木・火・土・金・水の五行で、HP・MP以外のパラメータも五行で表記される。 -星座システム・・・マップ上での移動に伴って星が動き、太陽の位置によってキャラクターの会心率、後述の従魔変化などに影響が現れる。「星の鏡」というアイテムを使うことで星の位置を確認できる。 --ニューゲーム時に誕生日を入力し、それによって主人公ヤマトタケルの成長傾向がわずかに異なる。最初の町にいる陰陽博士から、自身がどの成長タイプかを聞くことができる。 -従魔システム・・・ゲームを進めるとイベントで「従魔」が仲間になる。従魔は星の鏡を使って選択画面に入り「カイロンの石」を消費して召喚することで、パーティメンバーとして戦闘に参加する魔物である。また、「従魔変化」を行うことで一時的に別の魔物に変身させることができる。 --召喚に必要なカイロンの石は非売品で、イベント・宝箱・戦闘などで入手できる。 --召喚した従魔は一定歩数で帰還してしまう。帰還後は休眠に入り、一定数歩くまで再召喚できない。 --従魔変化で変化できる魔物は従魔のレベルと星の位置が影響し、場合によって弱い魔物になったり変化できなかったりもする。また、星の位置によっては全ての従魔が変化不可能になる。 -主人公にのみ設定されている「やさしさ」のパラメータはイベントでの選択によって変化し、この値によってエンディングが分岐する。 #region(エンディング分岐) -やさしさの値が高いと弟橘エンド、低いとサワメエンド。低い場合、一度だけシナリオをある程度遡ってやり直すことができる。 #endregion ---- **問題点 ***矛盾・破綻したシナリオや世界観 -なぜか世界中の魔物が日本に集結。古代日本という舞台からあまりにも乖離している。オリジナルの世界観ならともかく、オープニングで今から1500年前と明言してしまっている。 --シナリオ上、日本と中国以外の国を出す必要性がなく(説明はあるが、到底納得できる内容ではない)、考えなしに風呂敷を広げたかネタがなかったのだろうか。インドはまだしも西洋の魔物や神、果ては''人型ロボット''まで登場するのは違和感どころの話ではない。 -後半で主人公にとって悲劇的なイベントが起こるものの、地味な演出に加えてそれまでのシナリオとの関連がないのでいまいち盛り上がらない。 -日本中で起こった混乱を治めること、日本中に現れた魔物とそれを呼び込んだ黒幕を倒すことが目的だったが、上述のイベント以降は''個人的な目的のため黄泉に行ったら黒幕と戦うことになったでござる''。あと''サタン''とか出てくる。 -和名の魔物も名前表記が漢字(水虎、窮鬼など)だったりカタカナ(ツチグモ、ラセツなど)だったりと統一性がない。 -徐福が仲間になるとき仲間のサワメが彼のことをヒゲおやじと呼ぶが、公式イラストでは美青年で髭は生えていない。 --とはいえ、元々キャラの魅力が特にないゲームなので、たぶん誰も気にしない。 -やさしさのパラメータはエンディング以外には影響せず、主人公の態度の変化やシナリオ分岐などは一切ない。エンディングはいずれも仲間内で会話して終わりというあっさり風味。またどちらの分岐でもスタッフクレジットは表示されない。 ***粗のあるシステム -星の動きによる変化は体感できるようなものではなく、ボス戦前に星の位置を調整するなどの工夫をするどころか、普段は忘れても特に支障はない。 -従魔は扱いづらい上に戦力としても心もとない。 --主人公たちと同じくレベルが上がると各パラメータが上昇するが、帰還するとHPとMP以外のパラメータは初期値に戻ってしまうため、序盤の従魔を中盤以降で使う場合は変化しなければ無力。 --召喚歩数制限と休眠期間のせいでレベルを上げにくいため、いずれにせよ主人公たちとの能力差は開いてゆき戦力にならなくなる。 ---帰還までの歩数を回復する「星の命」というアイテムがあるが、そこそこ値が張り、後述のユーザビリティの面でも問題がある。 ---細かい話をすると、このゲームは敵の経験値もレベルアップに必要な経験値も上昇ペースが緩やかなので、レベルの高いキャラでもそれなりに上がりやすく、レベルの低いキャラもそれなりに上がりにくい。そのため弱い従魔を育てようとレベル上げをすると、レベルの高いレギュラーキャラはさらに強くなる。従魔を活躍させようと努力すればするほど、従魔の存在が空気になるのである。 -星座と従魔を除けばほとんどごく普通のRPGのシステムだが、ゲーム中には上記のシステムを無理やり使わされるようなイベントが多く、むしろ足を引っ張っている。 --取って付けたように従魔の存在や星の位置がフラグになっているイベントがある。 --強引な展開でパーティキャラが一時的に外れるイベントが多い。主人公も毒を浴びたり失明したり''無気力になったり''して頻繁に不在になる。 -五行で表されるパラメータも力→火、運→木など、一般的なパラメータの名前を変えただけで、属性の五行とも無関係であり、却って分かりづらく紛らわしい。 ***ユーザビリティの欠如 -画面切り替え、歩き、メッセージともに遅く、いちいちストレスが溜まる。 -頻繁にロードが入ったり、NPCが5人程度いると目に見えて処理落ちしたりする。 --仲間になった従魔の像が「星の社」という施設に置かれるが、そのせいでここでは従魔が多くなるほど動作が重くなり、ほとんどの従魔が揃う頃には『[[星をみるひと]]』のようなスローモーションになる。一部のイベントで訪れるほか、上述の従魔を延命させる星の命を買うためには、この重力に耐えなければならない。しかも星の命はまとめ買いできない上に処理落ちによりメッセージ速度も遅くなるので、ますます買いづらい。 -戦闘時のメッセージ送りは自動(カーソル▼が表示されるのに手動送り不可)で、地味に遅い。 --一方、一括で表示されるレベルアップ時のパラメータも同様に送られるため、今度はまともに閲覧できず、分かりづらいパラメータ名も相まって上昇値の吟味は困難。なおパラメータ上昇量のランダム範囲は1~15など極端に広い。 -魔法・アイテムなどの効果説明がないのはSFC後期を考えると不親切か。 --ただし、説明書に''全ての''魔法・装備品・使用アイテムの効果が記載されている。((正確には使用アイテムの「まつのみのしる」「しんせんのしずく」が記載されていないのだが、これは公式ガイドブックにも載っておらず、かといって隠す意味も見出せない数あるドーピングアイテムの一つに過ぎないので、製作者も忘れているのかもしれない。)) ***ゲームバランスの悪さ -エンカウント率が高い。エンカウント無効のアイテム・魔法が重ねがけできるのが救い。 -やたらと状態異常持ちの敵が多く、序盤から毒漬けにされたり麻痺で全滅させられたりするなど先が思いやられる戦闘バランスで、特に序盤の山であるヤマタノオロチはイベントアイテムで弱体化させても四回攻撃(ほんの少し前に仲間になるキャラは1ターンで死ぬ)という別次元の強さ。しかし、その難易度はゲームを進めるうちに逆方向に極端になっていく。 --後半は通常攻撃で四桁のダメージを与えるようになるのに、敵のHPは四桁まで。[[レベルを上げて物理で殴れば>ラストリベリオン]]ボスやラスボスすら1ターンで沈む。 --ちなみにHP限界値のせいか後半ほど雑魚に対してボスが弱くなり、終盤のボスは雑魚の2倍程、ラストダンジョンに至っては雑魚と同程度のHPしかない。 -単体攻撃アイテム(アイテムとして使用した時に魔法が発動する装備品含む)のデフォルトの対象がなぜか味方に向いているため、知らないアイテムを使用する時は説明書等で効果を確認すること。 -「魔壊」の魔法は「敵一体の魔法効果を打ち消す」とあるが、実際は対象への魔法を無効化する補助魔法。なのにデフォルトの対象は敵で、敵が使う場合もこちらが対象になる。 -中盤に出現する雑魚キャラ「ヤシャ」が「魔封」を使用し、成功した場合フリーズする。 ***演出の悪さ -ドット絵自体は特に悪くないが、演出が地味すぎて迫力の欠片もない。 --イベント演出は大抵チープな効果音やキャラの点滅程度で、フラッシュはなぜか''黒い''。エフェクトが入るたびに1~2秒程度止まる(BGMがある場合、BGMも途切れてエフェクト後に初めから再生)のでテンポが悪く、効果音もやけに浮いている。このテンポの悪いエフェクトを何度も繰り返す冗長な演出も多い。 -大型のボスキャラがヤマタノオロチとラスボスくらいで、ほとんどのボスキャラが雑魚キャラの色変えというのも寂しい。 -呪いを解いてもらったり宿屋に泊まったりした時の効果音が妙に不穏。 ---- **評価点 -戦闘で敵や味方にカーソルを合わせたとき、対象の属性がカーソルに示されるという粋な設計。 --属性相性自体を意識する必要がない本作では無用の長物なのが残念。 -店ではそれぞれの品物の個数を選択してまとめ買い、まとめ売りができる。武器屋・防具屋での下取り、能力値変化表示も完備。ここだけは快適。 -レベルアップが早いうえレベルの戦力(主に攻撃力)への影響が大きく、レベル上げで強くなる実感はある。金もやたら溜まるので、難易度が原因で投げ出す心配はない。 --しかし高いエンカウント率と早いレベルアップのせいで少し迷っただけでレベルが上がるので、製作者の想定している適性レベルは分かりづらい。 -BGMは終始物静かな曲で構成され、古代日本という世界観とマッチしており悪くない出来。 --ただし戦闘曲もおどろおどろしい雰囲気のためテンションが上がるようなものはない。 --なおサウンドはティーズミュージック担当と思われるが、前述の通りスタッフロールはないので作曲者までは判明していない。 ---- **総評 パッケージに「まったく新しいゲームシステム」とうたっているが、ゲームの根幹に位置するわけでもなくオリジナリティの面でも微妙なシステムであるのに、それすら有効に機能せず、戦闘バランスの悪さも相まってただの出来の悪いRPGになってしまった。~ 世界の神話に登場する魔物や星座システム(月齢→星の動き)、従魔システム(マグネタイト→カイロンの石)など、様々な面で女神転生シリーズを&s(){パク}参考にしていると思われる本作だが、いずれもゲーム内に溶け込めておらず、あるいはゲームの面白さに反映されず、その出来は雲泥の差。そのクオリティの低さはとてもSFC後期のゲームとは思えないほどである。 ---- **余談 -こんなゲームだからか前述の通りスタッフロールはないが、公式ガイドブックにはなぜかスタッフ座談会などというコーナーがある。([[参考リンク>https://twitter.com/chou_nosuke/status/701969169701425156]]) --そこでは、『[[ドラえもん3 のび太と時の宝玉]]』などに関わったスタッフの名を見かけることが出来る。 --またSFC後期で出荷数も少なかったためか、近年は中古相場が値上がり傾向にある模様。~

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