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*北斗の拳5 天魔流星伝 哀★絶章 【ほくとのけんふぁいぶ てんまりゅうせいでん あいぜっしょう】 |ジャンル|ロールプレイング|&amazon(B000068HCU)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|8MbitROMカートリッジ|~| |発売元|東映動画|~| |開発元|ショウエイシステム|~| |発売日|1992年7月10日|~| |価格|8,900円(税抜)|~| |セーブデータ|3個(バッテリーバックアップ)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |備考|タイトルの『★』は小さい「★」フォント|~| |ポイント|''「北斗神拳伝承者 ケンシロウは しんだ。」''&br;原作無視の混沌パラレルストーリー、黒夜叉も続投&br;&bold(){原作ファンからは満場一致でクソゲー}&br;「いのちが''ほ''しくば どけ!」「どけぬ!」|~| |>|>|CENTER:''[[北斗の拳シリーズリンク>北斗の拳シリーズ]]''| //長すぎるし何個も書くより一つにまとめてくれ ---- #contents(fromhere) ---- **概要 東映(とショウエイシステム)の『北斗の拳』シリーズ第5弾にして、北斗の拳RPG第3弾。~ 脚本は[[前作『4』>北斗の拳4 七星覇拳伝 北斗神拳の彼方へ]]に引き続き戸田博史氏。~ この人物は、アニメ版『北斗の拳』及び『北斗の拳2』合わせて全152話中97話の脚本を書いた''メインライター''である。((当初のメインライターは上原正三氏だったのだが、原作サイドがアニメオリジナルの内容に難色を示し、漫画通り映像化するよう抗議してきた事を不本意として早期に降板。サブの一人として参加していた戸田氏がなし崩し的にメインに収まる形となった。因みに、あまりの荒唐無稽さに原作者が激怒したと噂される「南斗人間砲弾」「南斗列車砲」が登場する回の脚本を担当したのも戸田氏である。))~ つまり『北斗』という作品のことを知り尽くした人物であるのだが、出来上がったのはそうとは思えない程の原作無視が飛び交う代物だった…。 ---- **特徴 -RPGとしてはオーソドックスなタイプで、前作『4』からの変更点はほとんどない。 --バトル画面のキャラクターがバストアップから全身絵になり、大型のグラフィックになった。 --過去作で印象的だった一対一のバトルは廃止された。 ---どちらかと言うと主人公側が不利なシステムだったので、この点については特に批判はない。 -''原作無視のパラレルシナリオ'' --キャラ設定や時系列も大きく変えられており、原作のキャラは登場するものの、原作の面影はまったくといっていいほどないシナリオとなっている。 --一例をあげると、ストーリー開始時点が199X年ではなく''2001年''。ユリアが生存しサザンクロスに捕らえられている状態(つまり原作開始前)で、リンが成長した状態だったりアスカやアイン(かなり年月の経過した2部キャラ)がいるようなシナリオである。 --敵はオリジナルの''『魔皇帝』''。 ---ゲーム開始直後から登場し、大音量のボイス付きで笑う。しかもこの魔皇帝、''魔族''である。 #region(重要ネタバレ注意) -ちなみに''魔皇帝の封印を解いたのはユリア''。 --ただまぁ優しすぎたが故の過ちなので、ユリアらしいと言えばユリアらしいか。 #endregion -キャラクターの設定・性格・言動も原作から変えられている。 --レイは序盤で仮面舞踏会のようなささやかな仮面を着けて「赤いイナズマ」というレジスタンス部隊のリーダー・''イナズマ''として登場する。 ---なお、何が「赤い」なのかは不明。レイ自身はむしろ''青い''。恐らく血の色とかけたネタだろうか。 --サウザーは原作の体質や構えが再現されていない。(空手の様な構えで天翔十字鳳ではない) --シンは''ユリアが死んだショックで酒に溺れ、サザンクロスをハート様に乗っ取られている''。 --そのハート様は「血さえ見なければ人格者」という設定はなく、最初からバーサク仕様になっている。 ---一例を挙げると、主人公たちは一言も話していないのに''「今私のことをデブと言ったな!殺してやる!」''と発言する((原作だと登場前にケンシロウに「ブタを飼っているのか」と言われて、「ブヒ、ブヒヒ」とブタの鳴き真似をしながら現れるというノリの良い人物であった。ちなみに修羅の国編にはデブ・ブタ扱いを嫌い、相手に言いがかりをつけて殺そうとするギョウコという別のデブキャラが存在する為、ギョウコと混同した可能性がある。))。 --ジュウザは美女を侍らせるただのスケベな男になっている。 ---原作でも女性を追い回すシーンはあったものの、そちらは自暴自棄による現実逃避である((むしろ本当のジュウザはユリアのためならば命を賭してラオウの足止めを引き受ける(しかもこの時点でのユリアの目的はケンシロウに会うことだった)ように、愛する女性に対しての一途な思いはとても深い人物である。))。 -他にもツッコミどころのある展開が多い --リハクシチー((当時の世界地図には海外の地名「〇〇シティ」を「〇〇シチー」と表記するものがあった。))で川を越えた先に向かう際、橋がなくて困った状況でリハクが提示した方法は''人間が橋になって主人公一行はそれに乗って渡る''という爆笑モノの方法。それはどちらかと言うと『[[魁!!>魁!!男塾 冥凰島決戦]][[男塾>魁!!男塾 疾風一号生]]』のノリではないだろうか…((因みに戸田氏はアニメ版『魁!!男塾』の脚本も担当していた。))。%%このリハクの目をもってしても%% ---しかも断崖絶壁等ではなく、川の中に入り整列した人間の頭の上を通っていく。歩いて渡れるだろとか言ってはいけないのだろう。ついでにしばらくすると橋が架かっており、町の人に言わせると「''あっという間に''橋を架けてしまった」らしい。 --挙句の果てに「''橋を爆破したのはお前だな! お前が橋になっていろ!''」という台詞もある。 --ガルダックという塔の扉を開ける呪文が「''ペペロペロ''」。本作でも突っ込みどころとして名高い。 ---おそらくこれは、東映動画のシンボルキャラである長靴ネコ「[[ペロ>長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険]]」の事を指していると思われる。その証拠に塔の前に意味も無く''ネコがウロウロしている''。このネタも前作からの流用なのだが、そんな小ネタより先に(ry 。 -マップ上の移動では、主人公一行は一列に並んで歩くのではなく、四方に分かれて歩く。 --狭い場所だと引っ込んだりとドラクエの馬車移動時のフォーメーションに近いが、歩きモーションがちょこまかしてるのも手伝って妙にシュール。 ---- **問題点 -RPGとしての問題点 --過去作よりマシになったとはいえ無駄に蛇行するだけの道等の冗長なダンジョンが多いのは相変わらず。 ---エンカウント率自体はかなりまともにはなっているのだが、冗長なダンジョンもあって雑魚敵とのエンカウント機会はやはり多い。 //エンカウント率自体はかなり改善されてるし、ダンジョンの広さも多少なりともマシにはなってる --バトル自体のテンポは悪くないものの、エンカウントした際に敵が一人ひとり画面上から現れる演出が入る。逃げに徹したい際などは面倒な演出である。 --ゲーム後半では仲間の入れ替えが可能になるのだが、ストーリーを進めるには決まったキャラを連れて行く必要がある場面が存在する。せっかく好きなキャラでパーティーを組んだのに、必須キャラを連れていなかったために門前払いとなる悲しみを経験したプレイヤーも多い。 --アイテムが1人につき7つまでしか持てない ---そのうち4つは装備品で埋まってしまうのでしっかり装備を整えると''実質3つ分しかない''。さらにキーアイテムも加わってくるので''すぐに満杯になってしまう''。 ---街にアイテム預り所があるのでそこに預けることができるが、元々持てる数が少ないため頻繁に行き来する事になるので、やはり不便。 -パラレルとはいえやりすぎた点が多い --原作にもデビルリバースのような化物と言いたくなるような登場人物も出ているとはいえ、生物学的には普通の人間しかおらず、いきなり''魔族''が出てくる世界観には面食らった原作ファンも多い。 ---一応、原作に「魔界」という用語はあるが、「北斗琉拳の憎しみの境地」という意味であり、「人外の種族が住み着いている世界」などという設定は存在しない。 --前述・後述の通りぞんざいな扱いを受けているキャラも多く、当然原作ファンの抵抗は強い。いくら世紀末・パラレル展開とはいえ、もっとマシな方法があるだろう。 -''原作の主要キャラが情けない展開で犬死にする'' --''原作主人公のケンシロウはいきなり冒頭で岩に潰されてしまい、「北斗神拳伝承者 ケンシロウは しんだ。」と死亡扱いされる。'' ---実際は死んでおらず、物語中盤で復活する。ただ魔皇帝によって''封印''されたりしていたため、危うく死にかけたのはガチなようだ。 ---「ゲーム主人公(後述)を目立たせる為に原作主人公を途中まで出さない」というのは原作ありきのゲームでは常套手段だが、原作で岩壁や石柱を拳でたやすく叩き壊し、大岩程度なら軽く持ち上げられる((公式ファンブックでは「ケンシロウは100tの岩をも持ち上げられる」と記述されている。実際、原作漫画作中でもユダのダム決壊による水流を止めるべくケンシロウの身長のおよそ3倍近い大きさの大岩を持ち上げていたシーンがあり、形状にもよるが実際に100tくらいある可能性が高い。))キャラを岩で押しつぶす展開は流石に無理がある。~ 前作でもケンシロウが終盤まで登場しなかったものの、ありえないとは言い切れない展開となっていたために落差が大きい。 ---ただ、原作開始前(ケンシロウがシンに敗れてユリアが攫われた直後)と思える状況を考慮すると、シンにやられた心身の傷が治りきっていない状態であった可能性もあるが…。 //(記事上部・パッケージ下のゲーム画面のシーン)。 --原作ではリンやルイ等を助ける為に命がけで岩盤を砕いたアインは、序盤の洞窟で道を塞ぐ岩を壊した後、''砕いた岩が主人公たちに当たりそうになったのをかばって死ぬ''。雑にも程がある。 --ケンシロウを聖帝軍の追っ手から逃がすため、ダイナマイトを握ってケンシロウに微笑みかけながら自爆する…という壮絶な最後を遂げたシュウの息子・シバは、主人公たちに''地雷原を突破させる為に突っ込んで死ぬ''(しかもシュウの目の前で)。~ こちらはある意味原作をなぞっていると言えなくもないのだが、原作での綿密な描写を持ったシバの壮絶な最後とは比べるべくもない。 --原作の強敵でもある人気キャラ・サウザーは''「既に余命いくばくもない」という余計な設定が付加された為に、ケンシロウ復活への際にエネルギーを使い果たして死ぬ''。~ 同じ敵キャラでもシンやユダ、ラオウなどの宿敵達が生存し最後までともに戦ってくれて、カイオウにしても途中で助太刀してくれる中でこの扱いの差は…。 ---一応、トキも封印を解いた後でケンシロウを目覚めさせる為に死んでしまうのだが、彼はプレイヤーキャラとして使用可能。だがサウザーは使うこともできない。 --''原作ではケンシロウに並ぶ「もう一人の主人公」であるバットに至っては、登場したと思ったら障害に特攻して死んでしまう。((一応、魔皇帝軍の仕掛けた呪いの霧により毒に冒されてしまったという体なので、ひょっとしたら彼も余命いくばくもない状況だったのかもしれないが…。))''~ しかも死ぬ間際のセリフは原作最終巻を意識したものとなっている。思い出ブレイクにもほどがある…。 ---ちなみに、バットはリンに想いを寄せているらしいが、肝心のリンの口からはバットの「バ」の字も出ない。 --本編ならばまず味方につかないと思われるカイオウも、魔皇帝との戦いで助太刀してくれて命と引き換えに撃破してくれる。~ …のだが実はこの魔皇帝は影武者。つまり完全な''無駄死に''であり、本人も「こんな形で死ぬとは」と言っているのが更に涙を誘う。 ---一応この魔皇帝の影武者は主人公パーティを一蹴出来る程の力を持つので、今作のカイオウがヘタレているという訳ではないが…。 ---死ぬ間際には最期の力で道を切り拓いてくれる。相手が影武者だったということで評価を落としやすいが、他と比べればまともな最期と言える。 --サウザーやカイオウは状況が状況だけに仕方ない犠牲と言えなくもないが、シバやバットは「他にやりようがあったのでは?」と疑問の残る最期である。こういった演出に関しては原作どころか、前作『4』よりも劣化してしまっている。 -主人公をPTから外すことが出来ない。 --天帝の血を引く主人公が北斗キャラ達と一緒に戦っていくというコンセプトである以上、仕方が無い一面はあるが、それでも「これだけキャラがいるんだから、原作キャラ4人でPTを組みたい」というプレイヤーは多かった。 //--上記の原作キャラの扱いの悪さといい、登場人物が誰も彼も主人公の踏み台になっているのではないか、との指摘もある。 //これは流石に言い過ぎだろう -作中の時系列がおかしい #region(ネタバレ注意) -ゲーム開始時の主人公は''物語の中盤で戦死''し、主人公の息子が新主人公となるという『[[ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』のようなシナリオ展開を見せる。 --それ自体はともかく、「冒頭シーンではお腹に子供がいる状態のヒロインとの結婚式」、「中盤で捕まっていた息子を救出」(既に小学生程度のような描写)、「主人公が死亡し、その力を受け継ぎ息子が旅立つ」(戦闘グラフィックはどう見ても青年)と、作中かなりの年月が経っていると思われるのに対し、''作中で時間経過の描写がない''。 ---せめてボス撃破タイミング等で年月の経過を表示していればまだ分かりやすいが、そういった描写がない為、主人公の息子(及び、一緒に捕まっていた同世代の子)だけが異様に急成長しているようにしか見えない。 ---加えて、そういった時間の流れが主人公周り以外では一切考慮されておらず、初期の村人等はイベント終了段階で放置されている為、アインの娘アスカ等はどの段階でも子供のまま。その為、余計に時間経過していないように見える。 -ヒロインについても年齢設定がおかしい。 --息子の救出時(前述のとおり少なくとも4~5年は経っている)に語られるヒロインの過去話として、「母(ヒロイン)は''十数年前に生まれた''魔皇帝の娘」という事実が明らかになる。 ---息子の年齢を少なく見積もり、十数年というのを大雑把に言ったとみて多めに見積もっても、''産んだのは十代前半、下手をすると一桁になってしまう''。いくら世紀末だからってそれは駄目だろう。詳細を書くと任天堂からストップをかけられかねない。 ---二十数年前のミス(これなら違和感はない)の可能性もあるが、戸田博史氏は''他のゲームでも時系列という物を分かっていない''シナリオを書いているので、時系列を考えずにシナリオを書き、初期の結婚時点の年齢しか考えていなかった可能性も高い。 --また、ヒロインの年齢からして、魔皇帝は少なくともゲーム本編が始まる10数年以上前には封印を解かれていたことになる。何故それまで何もせずにいたのか、説明は一切なし。 #endregion //--ゲームを始める際に主人公とヒロイン(恋人)に名前を入力するというのは『[[摩訶摩訶]]』や『[[バハムート ラグーン]]』、『[[聖剣伝説>聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~]]』にもあるが、それが''2人とも途中で死亡する''というのはなかなかショッキングである。なお新主人公に名前をつけられるようになるのは途中から。 //--この手法は『[[ドラゴンクエストV 天空の花嫁]]』にも似ているが、そちらはあくまでも主人公が最初から最後までプレイヤーの分身であり、最終的にはちゃんと報われるためこのようなことは起こらなかった。 //--しかも、エンディングは見方によっては''新主人公も死亡した''という形にも受け取れるため、ますます報われない。ついさっき「お前がいる限りこの世界は大丈夫だ!」「ピンチのときはいつでも駆けつけるぜ!」などと言われたばかりなのに…。 //--ちなみに主人公の絵は、説明書の絵を見るからにはアインの出来損ないみたいな姿。無論ゲーム内の絵とは全然違い、まったくキャラ像の統一ができていない。 //引継ぎ展開自体は北斗原作って事を考えると特に問題視する程の事ではないと思う。原作でも長期生き残った人自体数える程度だし、想いをつないでいく展開は原作でも多い。 -一部グラフィックの問題 --荒野などは問題ないのだが、一部におかしな背景が存在する。 ---例として、サウザーとの戦闘では、玉座から延びる絨毯が、遠近法が考えられておらず''画面真下まで長方形の形で続いている''等。 --一部操作キャラの服の色が、移動画面と戦闘画面で異なる。着替えているのだろうか? --SFC初期の作品なので仕方ないとはいえ、マップ画面のグラフィックはFCに毛が生えた程度。城や洞窟などのダンジョンは同じ背景ばかりで全く代わり映えがせず、冗長さに拍車をかけている。 //--装備も戦闘に反映されず、武器を買って装備しても殴りor蹴り殺す。 //時代を考えるとこれはむしろ反映されない方が普通だし、北斗って題材的に攻撃モーションを一つにするなら殴る蹴るの方が自然だろう。 -誤字も多い --たとえば「百裂拳」→「百''烈''拳」、「いのちがおしくば」→「いのちが''ほ''しくば」、「川を渡るには水蜘蛛が必要だ」→「川を渡るには''水雲''((ちなみにこの漢字だと『みずぐも』ではなく『もずく』という読み方になってしまう。))が必要だ」、「ジュウザ」→「ジュ''ー''ザ」、「天にましますわれらの神よ」→「天に''め''しますわれらの神よ」、「道づれ」→「道''ず''れ」、「馬のひづめ」→「馬のひ''ず''め」などなど。 ---基本的に名称の間違いはそれで統一されているのだが、ジュウザは何故か加入すると正しく「ジュ''ウ''ザ」になる。開発者の間で連携も取れていなかったようだ。 ---「ケッペル」→「''ペッケ''ル」など、名前が出るたびに間違われ続けるせいで、正式名称が不明になっているキャラもいる。 --「''西''の橋を渡った先で待ってる」と情報を渡されたのに、''橋があるのは東''。 ---敵の罠(嫌がらせ)の可能性もなくはないが、シナリオの雑さからして単純なミスだろう。 -「リセット''ぼたん''を押しながら電源を切ってください」 --ゲーム中断時のメッセージで他のゲームでもよく見かけるが、これはファミコンソフトの場合の方法で''スーパーファミコンの今作では逆効果である''。 ---FCはバッテリーバックアップによるセーブを考慮しておらず、電源を落とした時の電圧変化によるノイズでセーブデータ破損を防ぐため「リセットボタンでCPUを止め」「物理的にノイズを出せないようにして電源を切る」という手間が必要だった。SFCは最初から保護回路が付いており、逆にリセットボタンを押すとこれが働かないことがあるのでそのまま切った方がよい((他作品だがドラゴンクエストシリーズの取扱説明書では電源を切る際、FCハードの3と4では「リセットボタンを押す」説明があるのに対し、SFCハードの5・6では「絶対にリセットボタンを押すな」とわざわざ説明があるほど。))。 ---余談だが『摩訶摩訶』でもゲーム中断時に同じメッセージが表示される。 //中断の文章自体は気にするほどの事じゃない //-いくつかの効果音に突っ込み所がある //--人などが落下している時の効果音は「ピュ~」という音で非常に間抜け。ドラクエなどでもお馴染みの音ではあるが、ユリアが投身自殺する時や前述のアインが事故死するシーンにも鳴られて雰囲気が台無し。 //ここら辺はSFCって時代を考えれば問題にするほどじゃないだろう //効果音の記述を余談に移動。 ---- **評価点 -パラレル設定の中には好評なものもある。 --ラオウやカイオウ、ユダなど、原作では仲間になり得ないキャラクターが仲間になる。 --またほとんどのキャラが情けない姿を晒す中、シュウやユダに関しては原作以上の活躍をしている。 ---特にユダは死神三兄弟に捕えられたレイを取り戻すため、裏切りに裏切りを重ねて主人公達に加勢するという、なかなかおいしい役を買っている。 --ラオウとカイオウという、原作のラスボス的な存在である二人が協力するという、本作のストーリーならではの熱い展開も見られる。 --ラストではパーティを自由に組み替えることができる(正確には奥義で仲間の闘気を引き連れているという設定)。 -戦闘バランスは悪くない --ある程度のレベル上げは必要となるものの、本作は奥義を連発していれば比較的サクサク進める戦闘バランスになっている。過去作のように、急激に敵が強くなるということもあまりなく、バランスは取れている部類。 --仲間も回復役や全体攻撃持ちのキャラなどが序盤からバランス良く加入する。雑魚敵相手に苦戦するということはほとんどないだろう。 --ストーリーを進める上では連れていける仲間は限定されるものの、ケンシロウやラオウ、ジュウザといった高火力パーティーで敵を蹂躪するのも楽しい。原作キャラを複数仲間にできる本作ならではの楽しみと言える。 -BGM --『北斗』シリーズの例に漏れず、音楽もなかなかの名曲ぞろい。 ---作曲担当者は一連の北斗シリーズと同じくJAYWALKの知久光康氏。 ---曲数も増え、フィールドの曲はゲームが進む毎に変化する。 ---町やボス戦の曲はタイトル画面の曲のアレンジになっているなどの凝った作風も見られる。 -演出面 --RPGとしての演出面は頑張っている点もある。技などは非常に豊富。 --前述した魔皇帝の笑い声を初めとして、技を撃つと''「あーたたたたた!」''といった掛け声とモーションが入り、敵を倒すと''「あーべっし!」''など断末魔の叫びを上げながら爆発する等、ボイスや演出にもこだわりが見える。 ---もちろん複数の敵を一気に倒すと、倒した敵の数だけ叫びまくってくれるため爽快感を味わうことができる。この時期のSFCソフト、それもRPGでボイス入りはなかなか珍しい。 --似たような見た目の敵ばかりなため気づきづらいが、実は敵のグラフィックは色違いが少なく、雑魚敵の大半ですら固有グラフィックだったりする。まあ、上半身や下半身をすげ替えているパターンも多いが。 --通常攻撃の際に、クリティカルヒット的な威力の高い攻撃が出るとモーションも蹴りに変化する。これは敵側にも用意されており、演出にこだわりが見られる。 ---ちなみに、唯一の女性戦闘キャラであるマビィの蹴りモーションの際は''パンチラ''が見られる。こんなところにもこだわりが。 ---- **総評 物語は漫画の本筋とはほぼ関係ないパラレルなオリジナル話であるが、それをさしおいても、かの有名な「[[ケンシロウはしんだ>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/2683/865/hidosugi.jpg]]」から始まるストーリーは、原作ファンからすれば「酷すぎる」の一言で一蹴されるレベルでツッコミどころ満載である。~ また、キャラゲーらしく原作やキャラを知っている事が前提でシナリオが展開されていくので、北斗の拳を知らない人が本作をプレイした場合、物語の流れが理解できない可能性も高い。~ 一方で上述した通り、敵の断末魔など光る部分も確かにあり、RPGとしての出来としてはやや単調ではあるものの、戦闘バランスが崩れているわけでもなく、目立ったバグや不具合もない為、当初はクソゲー判定だったが、最終的に当wikiでは上記の判定と判断された。~ ただし、原作への愛が深いファンほど受けたショックは大きく、シナリオ面においてはクソゲーであると言われても反論できないほどの酷い代物といっても過言ではないのもまた事実。~ あくまで『北斗の拳』を題材にした全く別のゲームとして見るべきだろう。 //冗長な部分があったので記述を整理しました。 ---- **その後の展開 -東映動画が発売を、ショウエイシステムが開発を担当した『北斗の拳』を題材にしたゲームにはこの後格闘ゲームの『[[6>北斗の拳6 激闘伝承拳 覇王への道]]』と『[[7>北斗の拳7 聖拳列伝 伝承者への道]]』が存在する。このためRPGとしては『5』が最終作品となっている。 ---- **余談 -戸田博史氏が脚本を書いた[[バンプレスト版『北斗』>北斗の拳 (SS/PS)]]では、原作終了後のストーリーにもかかわらずトキやリュウケンや''黒夜叉''が生きていたりする。また、黒夜叉は同じく原作終了後のストーリーである『4』でも生きていた。そして今作『5』でも、当然のように仲間キャラの一員として登場している。 --戸田氏は黒夜叉が死ぬ回の脚本担当ではないことから、「''脚本を書けなかったのが心残りだったのか''」と一部でネタにされている。ちなみにRPGではないが『6』の使用キャラにもなぜか黒夜叉がいるため、戸田氏というより東映上層部の趣味なのかもしれない。 --本作で扱いの悪いアインに対しても、アインが死ぬ回の脚本の担当でもなかったため、「そちらは別に心残りではなかったのだろう」と邪推されている。 -ドアを開ける時の効果音が&bold(){「ドガァ!!」}と、まるで殴るか蹴るかしてぶち破ったのかと思うほど低く重いため、つっこみどころのひとつとして挙げられることがある。 //冒頭の結婚式場に入る場面からこのSEであり、和やかな雰囲気がぶち壊しになる。 //記載としてあってはいいと思う。他のゲームじゃこんな物騒な音でドアあけることはないし -戦闘シーン、キャラクターの立ちポーズや動きが『[[摩訶摩訶]]』にそっくり。 --同じショウエイシステムが関わっているためと思われる(ちなみにシナリオ・BGM担当者も同じ)。 //-サウザーは本作以外でも扱いが不遇。ゲーム中のシナリオや劇場版等でお師さんのオウガイのエピソードが削られて純粋な悪人にされたり、主役を務めるスピンオフ作品が''彼のみギャグ漫画''((『北斗の拳イチゴ味』。ギャグ漫画とはいえある意味で話題を呼び、『ラオウ外伝』に次いでアニメ化するなど作品の人気は高い。))、『[[北斗無双]]』でも''「声が合わない」と賛否両論''だった。 //--サウザーほど露骨ではないが、カイオウもゲームに参戦できなかったり((大抵の作品がラオウ編までを扱う事が多いため。))、『[[ファミコンジャンプ 英雄列伝]]』では最初のボスだったりと扱いが悪かったりする。 //これは北斗全体の話だし、ここで話すことじゃない #region(プレイ動画(part1のみ)。この記事でも言及された魔皇帝の笑い声や場違いな効果音などが確認できる。) &nicovideo2(sm736111) #endregion
*北斗の拳5 天魔流星伝 哀★絶章 【ほくとのけんふぁいぶ てんまりゅうせいでん あいぜっしょう】 |ジャンル|ロールプレイング|&amazon(B000068HCU)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|8MbitROMカートリッジ|~| |発売元|東映動画|~| |開発元|ショウエイシステム|~| |発売日|1992年7月10日|~| |価格|8,900円(税抜)|~| |セーブデータ|3個(バッテリーバックアップ)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |備考|タイトルの『★』は小さい「★」フォント|~| |ポイント|''「北斗神拳伝承者 ケンシロウは しんだ。」''&br;原作無視の混沌パラレルストーリー、黒夜叉も続投&br;&bold(){原作ファンからは満場一致でクソゲー}&br;「いのちが''ほ''しくば どけ!」「どけぬ!」|~| |>|>|CENTER:''[[北斗の拳シリーズリンク>北斗の拳シリーズ]]''| //長すぎるし何個も書くより一つにまとめてくれ ---- #contents(fromhere) ---- **概要 東映(とショウエイシステム)の『北斗の拳』シリーズ第5弾にして、北斗の拳RPG第3弾。~ 脚本は[[前作『4』>北斗の拳4 七星覇拳伝 北斗神拳の彼方へ]]に引き続き戸田博史氏。~ この人物は、アニメ版『北斗の拳』及び『北斗の拳2』合わせて全152話中97話の脚本を書いた''メインライター''である。((当初のメインライターは上原正三氏だったのだが、原作サイドがアニメオリジナルの内容に難色を示し、漫画通り映像化するよう抗議してきた事を不本意として早期に降板。サブの一人として参加していた戸田氏がなし崩し的にメインに収まる形となった。因みに、あまりの荒唐無稽さに原作者が激怒したと噂される「南斗人間砲弾」「南斗列車砲」が登場する回の脚本を担当したのも戸田氏である。))~ つまり『北斗』という作品のことを知り尽くした人物であるのだが、出来上がったのはそうとは思えない程の原作無視が飛び交う代物だった…。 ---- **特徴 -RPGとしてはオーソドックスなタイプで、前作『4』からの変更点はほとんどない。 --バトル画面のキャラクターがバストアップから全身絵になり、大型のグラフィックになった。 --過去作で印象的だった一対一のバトルは廃止された。 ---どちらかと言うと主人公側が不利なシステムだったので、この点については特に批判はない。 -''原作無視のパラレルシナリオ'' --キャラ設定や時系列も大きく変えられており、原作のキャラは登場するものの、原作の面影はまったくといっていいほどないシナリオとなっている。 --一例をあげると、ストーリー開始時点が199X年ではなく''2001年''。ユリアが生存しサザンクロスに捕らえられている状態(つまり原作開始前)で、リンが成長した状態だったりアスカやアイン(かなり年月の経過した2部キャラ)がいるようなシナリオである。 --敵はオリジナルの''『魔皇帝』''。 ---ゲーム開始直後から登場し、大音量のボイス付きで笑う。しかもこの魔皇帝、''魔族''である。 #region(重要ネタバレ注意) -ちなみに''魔皇帝の封印を解いたのはユリア''。 --ただまぁ優しすぎたが故の過ちなので、ユリアらしいと言えばユリアらしいか。 #endregion -キャラクターの設定・性格・言動も原作から変えられている。 --レイは序盤で仮面舞踏会のようなささやかな仮面を着けて「赤いイナズマ」というレジスタンス部隊のリーダー・''イナズマ''として登場する。 ---なお、何が「赤い」なのかは不明。レイ自身はむしろ''青い''。恐らく血の色とかけたネタだろうか。 --サウザーは原作の体質や構えが再現されていない。(空手の様な構えで天翔十字鳳ではない) --シンは''ユリアが死んだショックで酒に溺れ、サザンクロスをハート様に乗っ取られている''。 --そのハート様は「血さえ見なければ人格者」という設定はなく、最初からバーサク仕様になっている。 ---一例を挙げると、主人公たちは一言も話していないのに''「今私のことをデブと言ったな!殺してやる!」''と発言する((原作だと登場前にケンシロウに「ブタを飼っているのか」と言われて、「ブヒ、ブヒヒ」とブタの鳴き真似をしながら現れるというノリの良い人物であった。ちなみに修羅の国編にはデブ・ブタ扱いを嫌い、相手に言いがかりをつけて殺そうとするギョウコという別のデブキャラが存在する為、ギョウコと混同した可能性がある。))。 --ジュウザは美女を侍らせるただのスケベな男になっている。 ---原作でも女性を追い回すシーンはあったものの、そちらは自暴自棄による現実逃避である((むしろ本当のジュウザはユリアのためならば命を賭してラオウの足止めを引き受ける(しかもこの時点でのユリアの目的はケンシロウに会うことだった)ように、愛する女性に対しての一途な思いはとても深い人物である。))。 -他にもツッコミどころのある展開が多い --リハクシチー((当時の世界地図には海外の地名「〇〇シティ」を「〇〇シチー」と表記するものがあった。))で川を越えた先に向かう際、橋がなくて困った状況でリハクが提示した方法は''人間が橋になって主人公一行はそれに乗って渡る''という爆笑モノの方法。それはどちらかと言うと『[[魁!!>魁!!男塾 冥凰島決戦]][[男塾>魁!!男塾 疾風一号生]]』のノリではないだろうか…((因みに戸田氏はアニメ版『魁!!男塾』の脚本も担当していた。))。%%このリハクの目をもってしても%% ---しかも断崖絶壁等ではなく、川の中に入り整列した人間の頭の上を通っていく。歩いて渡れるだろとか言ってはいけないのだろう。ついでにしばらくすると橋が架かっており、町の人に言わせると「''あっという間に''橋を架けてしまった」らしい。 --挙句の果てに「''橋を爆破したのはお前だな! お前が橋になっていろ!''」という台詞もある。 --ガルダックという塔の扉を開ける呪文が「''ペペロペロ''」。本作でも突っ込みどころとして名高い。 ---おそらくこれは、東映動画のシンボルキャラである長靴ネコ「[[ペロ>長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険]]」の事を指していると思われる。その証拠に塔の前に意味も無く''ネコがウロウロしている''。このネタも前作からの流用なのだが、そんな小ネタより先に(ry 。 -マップ上の移動では、主人公一行は一列に並んで歩くのではなく、四方に分かれて歩く。 --狭い場所だと引っ込んだりとドラクエの馬車移動時のフォーメーションに近いが、歩きモーションがちょこまかしてるのも手伝って妙にシュール。 ---- **問題点 -RPGとしての問題点 --過去作よりマシになったとはいえ無駄に蛇行するだけの道等の冗長なダンジョンが多いのは相変わらず。 ---エンカウント率自体はかなりまともにはなっているのだが、冗長なダンジョンもあって雑魚敵とのエンカウント機会はやはり多い。 //エンカウント率自体はかなり改善されてるし、ダンジョンの広さも多少なりともマシにはなってる --バトル自体のテンポは悪くないものの、エンカウントした際に敵が一人ひとり画面上から現れる演出が入る。逃げに徹したい際などは面倒な演出である。 --ゲーム後半では仲間の入れ替えが可能になるのだが、ストーリーを進めるには決まったキャラを連れて行く必要がある場面が存在する。せっかく好きなキャラでパーティーを組んだのに、必須キャラを連れていなかったために門前払いとなる悲しみを経験したプレイヤーも多い。 --アイテムが1人につき7つまでしか持てない ---そのうち4つは装備品で埋まってしまうのでしっかり装備を整えると''実質3つ分しかない''。さらにキーアイテムも加わってくるので''すぐに満杯になってしまう''。 ---街にアイテム預り所があるのでそこに預けることができるが、元々持てる数が少ないため頻繁に行き来する事になるので、やはり不便。 -パラレルとはいえやりすぎた点が多い --原作にもデビルリバースのような化物と言いたくなるような登場人物も出ているとはいえ、生物学的には普通の人間しかおらず、いきなり''魔族''が出てくる世界観には面食らった原作ファンも多い。 ---一応、原作に「魔界」という用語はあるが、「北斗琉拳の憎しみの境地」という意味であり、「人外の種族が住み着いている世界」などという設定は存在しない。 --前述・後述の通りぞんざいな扱いを受けているキャラも多く、当然原作ファンの抵抗は強い。いくら世紀末・パラレル展開とはいえ、もっとマシな方法があるだろう。 -''原作の主要キャラが情けない展開で犬死にする'' --''原作主人公のケンシロウはいきなり冒頭で岩に潰されてしまい、「北斗神拳伝承者 ケンシロウは しんだ。」と死亡扱いされる。'' ---実際は死んでおらず、物語中盤で復活する。ただ魔皇帝によって''封印''されたりしていたため、危うく死にかけたのはガチなようだ。 ---「ゲーム主人公(後述)を目立たせる為に原作主人公を途中まで出さない」というのは原作ありきのゲームでは常套手段だが、原作で岩壁や石柱を拳でたやすく叩き壊し、大岩程度なら軽く持ち上げられる((公式ファンブックでは「ケンシロウは100tの岩をも持ち上げられる」と記述されている。実際、原作漫画作中でもユダのダム決壊による水流を止めるべくケンシロウの身長のおよそ3倍近い大きさの大岩を持ち上げていたシーンがあり、形状にもよるが実際に100tくらいある可能性が高い。))キャラを岩で押しつぶす展開は流石に無理がある。~ 前作でもケンシロウが終盤まで登場しなかったものの、ありえないとは言い切れない展開となっていたために落差が大きい。 ---ただ、原作開始前(ケンシロウがシンに敗れてユリアが攫われた直後)と思える状況を考慮すると、シンにやられた心身の傷が治りきっていない状態であった可能性もあるが…。 //(記事上部・パッケージ下のゲーム画面のシーン)。 --原作ではリンやルイ等を助ける為に命がけで岩盤を砕いたアインは、序盤の洞窟で道を塞ぐ岩を壊した後、''砕いた岩が主人公たちに当たりそうになったのをかばって死ぬ''。雑にも程がある。 --ケンシロウを聖帝軍の追っ手から逃がすため、ダイナマイトを握ってケンシロウに微笑みかけながら自爆する…という壮絶な最後を遂げたシュウの息子・シバは、主人公たちに''地雷原を突破させる為に突っ込んで死ぬ''(しかもシュウの目の前で)。~ こちらはある意味原作をなぞっていると言えなくもないのだが、原作での綿密な描写を持ったシバの壮絶な最後とは比べるべくもない。 --原作の強敵でもある人気キャラ・サウザーは''「既に余命いくばくもない」という余計な設定が付加された為に、ケンシロウ復活への際にエネルギーを使い果たして死ぬ''。~ 同じ敵キャラでもシンやユダ、ラオウなどの宿敵達が生存し最後までともに戦ってくれて、カイオウにしても途中で助太刀してくれる中でこの扱いの差は…。 ---一応、トキも封印を解いた後でケンシロウを目覚めさせる為に死んでしまうのだが、彼はプレイヤーキャラとして使用可能。だがサウザーは使うこともできない。 --''原作ではケンシロウに並ぶ「もう一人の主人公」であるバットに至っては、登場したと思ったら障害に特攻して死んでしまう。((一応、魔皇帝軍の仕掛けた呪いの霧により毒に冒されてしまったという体なので、ひょっとしたら彼も余命いくばくもない状況だったのかもしれないが…。))''~ しかも死ぬ間際のセリフは原作最終巻を意識したものとなっている。思い出ブレイクにもほどがある…。 ---ちなみに、バットはリンに想いを寄せているらしいが、肝心のリンの口からはバットの「バ」の字も出ない。 --本編ならばまず味方につかないと思われるカイオウも、魔皇帝との戦いで助太刀してくれて命と引き換えに撃破してくれる。~ …のだが実はこの魔皇帝は影武者。つまり完全な''無駄死に''であり、本人も「こんな形で死ぬとは」と言っているのが更に涙を誘う。 ---一応この魔皇帝の影武者は主人公パーティを一蹴出来る程の力を持つので、今作のカイオウがヘタレているという訳ではないが…。 ---死ぬ間際には最期の力で道を切り拓いてくれる。相手が影武者だったということで評価を落としやすいが、他と比べればまともな最期と言える。 --サウザーやカイオウは状況が状況だけに仕方ない犠牲と言えなくもないが、シバやバットは「他にやりようがあったのでは?」と疑問の残る最期である。こういった演出に関しては原作どころか、前作『4』よりも劣化してしまっている。 -主人公をPTから外すことが出来ない。 --天帝の血を引く主人公が北斗キャラ達と一緒に戦っていくというコンセプトである以上、仕方が無い一面はあるが、それでも「これだけキャラがいるんだから、原作キャラ4人でPTを組みたい」というプレイヤーは多かった。 //--上記の原作キャラの扱いの悪さといい、登場人物が誰も彼も主人公の踏み台になっているのではないか、との指摘もある。 //これは流石に言い過ぎだろう -作中の時系列がおかしい #region(ネタバレ注意) -ゲーム開始時の主人公は''物語の中盤で戦死''し、主人公の息子が新主人公となるという『[[ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』のようなシナリオ展開を見せる。 --それ自体はともかく、「冒頭シーンではお腹に子供がいる状態のヒロインとの結婚式」、「中盤で捕まっていた息子を救出」(既に小学生程度のような描写)、「主人公が死亡し、その力を受け継ぎ息子が旅立つ」(戦闘グラフィックはどう見ても青年)と、作中かなりの年月が経っていると思われるのに対し、''作中で時間経過の描写がない''。 ---せめてボス撃破タイミング等で年月の経過を表示していればまだ分かりやすいが、そういった描写がない為、主人公の息子(及び、一緒に捕まっていた同世代の子)だけが異様に急成長しているようにしか見えない。 ---加えて、そういった時間の流れが主人公周り以外では一切考慮されておらず、初期の村人等はイベント終了段階で放置されている為、アインの娘アスカ等はどの段階でも子供のまま。その為、余計に時間経過していないように見える。 -ヒロインについても年齢設定がおかしい。 --息子の救出時(前述のとおり少なくとも4~5年は経っている)に語られるヒロインの過去話として、「母(ヒロイン)は''十数年前に生まれた''魔皇帝の娘」という事実が明らかになる。 ---息子の年齢を少なく見積もり、十数年というのを大雑把に言ったとみて多めに見積もっても、''産んだのは十代前半、下手をすると一桁になってしまう''。いくら世紀末だからってそれは駄目だろう。詳細を書くと任天堂からストップをかけられかねない。 ---二十数年前のミス(これなら違和感はない)の可能性もあるが、戸田博史氏は''他のゲームでも時系列という物を分かっていない''シナリオを書いているので、時系列を考えずにシナリオを書き、初期の結婚時点の年齢しか考えていなかった可能性も高い。 --また、ヒロインの年齢からして、魔皇帝は少なくともゲーム本編が始まる10数年以上前には封印を解かれていたことになる。何故それまで何もせずにいたのか、説明は一切なし。 #endregion //--ゲームを始める際に主人公とヒロイン(恋人)に名前を入力するというのは『[[摩訶摩訶]]』や『[[バハムート ラグーン]]』、『[[聖剣伝説>聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~]]』にもあるが、それが''2人とも途中で死亡する''というのはなかなかショッキングである。なお新主人公に名前をつけられるようになるのは途中から。 //--この手法は『[[ドラゴンクエストV 天空の花嫁]]』にも似ているが、そちらはあくまでも主人公が最初から最後までプレイヤーの分身であり、最終的にはちゃんと報われるためこのようなことは起こらなかった。 //--しかも、エンディングは見方によっては''新主人公も死亡した''という形にも受け取れるため、ますます報われない。ついさっき「お前がいる限りこの世界は大丈夫だ!」「ピンチのときはいつでも駆けつけるぜ!」などと言われたばかりなのに…。 //--ちなみに主人公の絵は、説明書の絵を見るからにはアインの出来損ないみたいな姿。無論ゲーム内の絵とは全然違い、まったくキャラ像の統一ができていない。 //引継ぎ展開自体は北斗原作って事を考えると特に問題視する程の事ではないと思う。原作でも長期生き残った人自体数える程度だし、想いをつないでいく展開は原作でも多い。 -一部グラフィックの問題 --荒野などは問題ないのだが、一部におかしな背景が存在する。 ---例として、サウザーとの戦闘では、玉座から延びる絨毯が、遠近法が考えられておらず''画面真下まで長方形の形で続いている''等。 --一部操作キャラの服の色が、移動画面と戦闘画面で異なる。着替えているのだろうか? --SFC初期の作品なので仕方ないとはいえ、マップ画面のグラフィックはFCに毛が生えた程度。城や洞窟などのダンジョンは同じ背景ばかりで全く代わり映えがせず、冗長さに拍車をかけている。 //--装備も戦闘に反映されず、武器を買って装備しても殴りor蹴り殺す。 //時代を考えるとこれはむしろ反映されない方が普通だし、北斗って題材的に攻撃モーションを一つにするなら殴る蹴るの方が自然だろう。 -誤字も多い --たとえば「百裂拳」→「百''烈''拳」、「いのちがおしくば」→「いのちが''ほ''しくば」、「川を渡るには水蜘蛛が必要だ」→「川を渡るには''水雲''((ちなみにこの漢字だと『みずぐも』ではなく『もずく』という読み方になってしまう。))が必要だ」、「ジュウザ」→「ジュ''ー''ザ」、「天にましますわれらの神よ」→「天に''め''しますわれらの神よ」、「道づれ」→「道''ず''れ」、「馬のひづめ」→「馬のひ''ず''め」などなど。 ---基本的に名称の間違いはそれで統一されているのだが、ジュウザは何故か加入すると正しく「ジュ''ウ''ザ」になる。開発者の間で連携も取れていなかったようだ。 ---「ケッペル」→「''ペッケ''ル」など、名前が出るたびに間違われ続けるせいで、正式名称が不明になっているキャラもいる。 --「''西''の橋を渡った先で待ってる」と情報を渡されたのに、''橋があるのは東''。 ---敵の罠(嫌がらせ)の可能性もなくはないが、シナリオの雑さからして単純なミスだろう。 -「リセット''ぼたん''を押しながら電源を切ってください」 --ゲーム中断時のメッセージで他のゲームでもよく見かけるが、これはファミコンソフトの場合の方法で''スーパーファミコンの今作では逆効果である''。 ---FCはバッテリーバックアップによるセーブを考慮しておらず、電源を落とした時の電圧変化によるノイズでセーブデータ破損を防ぐため「リセットボタンでCPUを止め」「物理的にノイズを出せないようにして電源を切る」という手間が必要だった。SFCは最初から保護回路が付いており、逆にリセットボタンを押すとこれが働かないことがあるのでそのまま切った方がよい((他作品だがドラゴンクエストシリーズの取扱説明書では電源を切る際、FCハードの3と4では「リセットボタンを押す」説明があるのに対し、SFCハードの5・6では「絶対にリセットボタンを押すな」とわざわざ説明があるほど。))。 ---余談だが『摩訶摩訶』でもゲーム中断時に同じメッセージが表示される。 //中断の文章自体は気にするほどの事じゃない //-いくつかの効果音に突っ込み所がある //--人などが落下している時の効果音は「ピュ~」という音で非常に間抜け。ドラクエなどでもお馴染みの音ではあるが、ユリアが投身自殺する時や前述のアインが事故死するシーンにも鳴られて雰囲気が台無し。 //ここら辺はSFCって時代を考えれば問題にするほどじゃないだろう //効果音の記述を余談に移動。 ---- **評価点 -パラレル設定の中には好評なものもある。 --ラオウやカイオウ、ユダなど、原作では仲間になり得ないキャラクターが仲間になる。 --またほとんどのキャラが情けない姿を晒す中、シュウやユダに関しては原作以上の活躍をしている。 ---特にユダは死神三兄弟に捕えられたレイを取り戻すため、裏切りに裏切りを重ねて主人公達に加勢するという、なかなかおいしい役を買っている。 --ラオウとカイオウという、原作のラスボス的な存在である二人が協力するという、本作のストーリーならではの熱い展開も見られる。 --ラストではパーティを自由に組み替えることができる(正確には奥義で仲間の闘気を引き連れているという設定)。 -戦闘バランスは悪くない --ある程度のレベル上げは必要となるものの、本作は奥義を連発していれば比較的サクサク進める戦闘バランスになっている。過去作のように、急激に敵が強くなるということもあまりなく、バランスは取れている部類。 --仲間も回復役や全体攻撃持ちのキャラなどが序盤からバランス良く加入する。雑魚敵相手に苦戦するということはほとんどないだろう。 --ストーリーを進める上では連れていける仲間は限定されるものの、ケンシロウやラオウ、ジュウザといった高火力パーティーで敵を蹂躪するのも楽しい。原作キャラを複数仲間にできる本作ならではの楽しみと言える。 -BGM --『北斗』シリーズの例に漏れず、音楽もなかなかの名曲ぞろい。 ---作曲担当者は一連の北斗シリーズと同じくJAYWALKの知久光康氏。 ---曲数も増え、フィールドの曲はゲームが進む毎に変化する。 ---町やボス戦の曲はタイトル画面の曲のアレンジになっているなどの凝った作風も見られる。 -演出面 --RPGとしての演出面は頑張っている点もある。技などは非常に豊富。 --前述した魔皇帝の笑い声を初めとして、技を撃つと''「あーたたたたた!」''といった掛け声とモーションが入り、敵を倒すと''「あーべっし!」''など断末魔の叫びを上げながら爆発する等、ボイスや演出にもこだわりが見える。 ---もちろん複数の敵を一気に倒すと、倒した敵の数だけ叫びまくってくれるため爽快感を味わうことができる。この時期のSFCソフト、それもRPGでボイス入りはなかなか珍しい。 --似たような見た目の敵ばかりなため気づきづらいが、実は敵のグラフィックは色違いが少なく、雑魚敵の大半ですら固有グラフィックだったりする。まあ、上半身や下半身をすげ替えているパターンも多いが。 --通常攻撃の際に、クリティカルヒット的な威力の高い攻撃が出るとモーションも蹴りに変化する。これは敵側にも用意されており、演出にこだわりが見られる。 ---ちなみに、唯一の女性戦闘キャラであるマビィの蹴りモーションの際は''パンチラ''が見られる。こんなところにもこだわりが。 ---- **総評 物語は漫画の本筋とはほぼ関係ないパラレルなオリジナル話であるが、それをさしおいても、かの有名な「[[ケンシロウはしんだ>https://img.atwikiimg.com/www26.atwiki.jp/gcmatome/attach/2683/865/hidosugi.jpg]]」から始まるストーリーは、原作ファンからすれば「酷すぎる」の一言で一蹴されるレベルでツッコミどころ満載である。~ また、キャラゲーらしく原作やキャラを知っている事が前提でシナリオが展開されていくので、北斗の拳を知らない人が本作をプレイした場合、物語の流れが理解できない可能性も高い。~ 一方で上述した通り、敵の断末魔など光る部分も確かにあり、RPGとしての出来としてはやや単調ではあるものの、戦闘バランスが崩れているわけでもなく、目立ったバグや不具合もない為、当初はクソゲー判定だったが、最終的に当wikiでは上記の判定と判断された。~ ただし、原作への愛が深いファンほど受けたショックは大きく、シナリオ面においてはクソゲーであると言われても反論できないほどの酷い代物といっても過言ではないのもまた事実。~ あくまで『北斗の拳』を題材にした全く別のゲームとして見るべきだろう。 //冗長な部分があったので記述を整理しました。 ---- **その後の展開 -東映動画が発売を、ショウエイシステムが開発を担当した『北斗の拳』を題材にしたゲームにはこの後格闘ゲームの『[[6>北斗の拳6 激闘伝承拳 覇王への道]]』と『[[7>北斗の拳7 聖拳列伝 伝承者への道]]』が存在する。このためRPGとしては『5』が最終作品となっている。 ---- **余談 -戸田博史氏が脚本を書いた[[バンプレスト版『北斗』>北斗の拳 (SS/PS)]]では、原作終了後のストーリーにもかかわらずトキやリュウケンや''黒夜叉''が生きていたりする。また、黒夜叉は同じく原作終了後のストーリーである『4』でも生きていた。そして今作『5』でも、当然のように仲間キャラの一員として登場している。 --戸田氏は黒夜叉が死ぬ回の脚本担当ではないことから、「''脚本を書けなかったのが心残りだったのか''」と一部でネタにされている。ちなみにRPGではないが『6』の使用キャラにもなぜか黒夜叉がいるため、戸田氏というより東映上層部の趣味なのかもしれない。 --本作で扱いの悪いアインに対しても、アインが死ぬ回の脚本の担当でもなかったため、「そちらは別に心残りではなかったのだろう」と邪推されている。 -ドアを開ける時の効果音が&bold(){「ドガァ!!」}と、まるで殴るか蹴るかしてぶち破ったのかと思うほど低く重いため、つっこみどころのひとつとして挙げられることがある。 //冒頭の結婚式場に入る場面からこのSEであり、和やかな雰囲気がぶち壊しになる。 //記載としてあってはいいと思う。他のゲームじゃこんな物騒な音でドアあけることはないし -戦闘シーン、キャラクターの立ちポーズや動きが『[[摩訶摩訶]]』にそっくり。 --同じショウエイシステムが関わっているためと思われる(ちなみにシナリオ・BGM担当者も同じ)。 //-サウザーは本作以外でも扱いが不遇。ゲーム中のシナリオや劇場版等でお師さんのオウガイのエピソードが削られて純粋な悪人にされたり、主役を務めるスピンオフ作品が''彼のみギャグ漫画''((『北斗の拳イチゴ味』。ギャグ漫画とはいえある意味で話題を呼び、『ラオウ外伝』に次いでアニメ化するなど作品の人気は高い。))、『[[北斗無双]]』でも''「声が合わない」と賛否両論''だった。 //--サウザーほど露骨ではないが、カイオウもゲームに参戦できなかったり((大抵の作品がラオウ編までを扱う事が多いため。))、『[[ファミコンジャンプ 英雄列伝]]』では最初のボスだったりと扱いが悪かったりする。 //これは北斗全体の話だし、ここで話すことじゃない #region(プレイ動画(part1のみ)。この記事でも言及された魔皇帝の笑い声や場違いな効果音などが確認できる。) &nicovideo2(sm736111) #endregion

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