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#contents() ---- *BLACK/MATRIX 【ぶらっくまとりくす】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B000069RQU)| |対応機種|セガサターン|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|フライト・プラン|~| |発売日|1998年8月27日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|善悪の逆転したダークな世界&br;シビアなストーリー&br;システムもシビア|~| |>|>|CENTER:''BLACK/MATRIXシリーズ'':''1'' - 2 - ZERO - [[OO>BLACK/MATRIX OO]]| **概要 『BLACK/MATRIX』シリーズ第1作。フライト・プラン制作のSRPGとしても第1作。~ シナリオは漫画原作者のビトウゴウ((SS版はネコプロダクション名義。))、キャラクターデザインは土屋杏子((つちやきょうこ。本作のオリジナルのSS版では漢字名義だった。))。~ 当時、SSではギャルゲーの移植を主にしていたNECインターチャネルとしては異色の作品である。 ---- **ストーリー >我々が「悪」と呼んでいる物が…「善」と呼ばれる善悪が逆転した世界。~ この世界の人間は、白き鳥類の羽を持つ者と、黒き蝙蝠の羽を持つ者に二分されており、~ 黒き羽の人間は支配階級として、白き羽の人間を奴隷として使役していた。 > >遥か昔、地上は大悪神ゴッドによって支配されていた。~ ある時、大天使メフィストフェレスは大善神サタンの旗の下、ゴッド率いる白き羽の大邪神達に戦いを挑んだ。~ 戦いは666日続き、ついにゴッドは倒れ、大邪神達も封印された。~ これが創世記戦争として語り継がれる神話である。 > >そして現在。黒き羽の人間はその立場を確固たるものとするため、自分達を大天使メフィストフェレスの子孫と、~ 逆に白き羽の人間は敗れた大邪神の子孫なのだと語り継いでいた。 > >白き羽の少年アベルは重傷を負って記憶を失い、自身のご主人様のことすら思い出せなくなっていた。~ そんなアベルのご主人様は黒き羽でありながら彼を対等に扱っており、意識の戻らないアベルを献身的に看病していた。~ 目覚めたアベルはご主人様とリハビリに励んでいたが、ある日のこと、この世界を支配するアンゲルス教団の人間がアベルを連行しようとする。~ ご主人様のアベルに対するあまりに奴隷らしからぬ扱いが、異端審問官に目をつけられたのだ。~ そこでご主人様はアベルを「愛している」と訴えてしまう。~ この世界では「愛」は最も重い罪。それを口にしたご主人様はいずこかへと連れ去られ、アベルはゴルゴダの牢獄へと連行された。~ 絶望の淵に立たされたアベルだったが、自身も知らない謎の力を発動したことを機に、獄中で出会った囚人らと共に脱獄。~ ご主人様を救い出すべく、アンゲルス教団に戦いを挑むのだった。 ***登場人物 #region(大罪を背負う者たち) -アベル(CV : なし) --本作の主人公。白き羽の少年。ある出来事によって記憶を無くす。その後はご主人様とリハビリに励んでいたが、異端審問官によって連れ去られたご主人様を助け出すべく旅に出る。 --象徴する大罪は「平等」。 -レブロブス(CV : 堀秀行) --アベルが牢獄で出会った屈強な戦士。通称「レブ」。物心つく頃から闘技場で剣闘士として戦わされていたが、自由になるために主人を殺し、投獄された。 --象徴する大罪は「自由」。 -ガイウス(CV : 塩沢兼人) --「疾風のガイ」の異名を持つ元義賊。200人以上の権力者を殺してはその財産を貧しい者達に与えていた。自身の生い立ちにより、本当の正義を追い求めている。 --象徴する大罪は「正義」。 -ピリポ(CV : 結城比呂) --アベルが投獄された牢獄の看守。裕福な家で育った黒き羽の少年だが、身体が弱く気も小さいため、他の看守に苛められている。アベルが発動した謎の力によって白い羽になるが、同時に体も健康になる。 --象徴する大罪は「弱者」。 -ヨハネ(CV : 青野武) --牢獄で出会う老人。大神官という畏怖される立場だが、権力争いに破れて投獄された。アベルに興味を持ち、同行して一行の知恵袋となる。 --象徴する大罪は「人権」。 -ルピルピ(CV : 井上喜久子) --ヨハネを師匠と慕う邪道騎士(後述)の少女。明るく活発なムードメーカーだが、身につけた「悪魔の鎧」の所為でその命は残り少ない。 --一見、「七つの大罪」を象徴するキャラではないが…。 -マルコ(CV : 折笠愛) --レジスタンス「白き羽解放革命戦線」に所属する少年。最初に「大邪神の鎧」を装着したことから「奇跡の少年」と呼ばれている。 --象徴する大罪は「友情」。 #endregion #region(ご主人様候補) 七つの大罪「愛」を象徴する者。いわゆるヒロイン候補で、ゲーム開始時に選んだ一人がヒロインとなる。 -ドミナ(CV : 日髙のり子) --服装こそ過激だが、清純タイプの正統派ヒロイン。通常版やPSベスト版のパッケージを主人公と共に飾っており、本作の顔役とも言える。 -プリカ(CV : かないみか) --ご主人様候補最年少で、主人公を「お兄ちゃん」と呼ぶ所謂ロリキャラ。 -クレージュ(CV : 嶋方淳子) --スポーツ系ご主人様で、ボーイッシュな性格のボクっ娘。 -ミシェット(CV : 宮村優子) --わがままな性格の小悪魔系女子。 -プラハ(CV : 山崎和佳奈) --姉御肌の最年長ご主人様。キツい口調だが根は優しい? -ゼロ(CV : 伊藤健太郎) --''男性ご主人様。''コマンドを入力すると出現する隠しキャラ。 #endregion **特徴 -聖書をモチーフとしつつも善悪を完全に逆転させたダークファンタジーな世界観。 --いわゆる「強欲」「怠惰」「嫉妬」「暴食」「憤怒」「色欲」「驕り」の「7つの大罪」がこの世界では「7つの美徳」と呼ばれ、美徳・善行とされる。逆に「愛」「平等」「自由」「正義」「弱者」「人権」「友情」はこの世界では「7つ大罪」と呼ばれる。 ---同様に「天使」「悪魔」の概念も逆転しており、我々の世界の聖書などで語られる天使は悪魔や邪神と。逆に悪魔や魔王と呼ばれる存在は天使と呼ばれている。 ---他にも「邪悪」という言葉は「慈愛」「優しさ」と言ったようなニュアンスで使われており、この点でも現実と正反対の価値観であることがうかがえる。 --この世界の人間は生まれながら背中に羽を持ち、天使的な白鳥の羽を持つ「白い羽の人間」と悪魔的な蝙蝠の羽を持つ「黒い羽の人間」が存在する。 ---白い羽の人間は奴隷階級であり、支配階級である黒い羽の人間達に使役され、虐げられている。 --主人公・アベルは白い羽の人間で、黒い羽のご主人様(ヒロイン)の奴隷である。しかしご主人様はアベルを奴隷として働かせる事は無く対等に接し、一人の人間として愛している。 ---異端審問官の前でアベルを「愛している」と発言してしまった為に((この世界の七つの大罪の中でも「愛」は最も重い罪である。結婚や出産も子孫を残す為の本能的な行為に過ぎないとされている。))連れ去られたご主人様を助け出すべくアベルは旅に出るが、次第に黒い羽の人間と白い羽の人間の全面戦争となっていく。 --前述の「7つの大罪」と「7つの美徳」も大きなテーマとなっている。「愛」のご主人様、「平等」のアベルの他、「自由」を得る為に戦っていたレブロブス、「正義」を信じる義賊のガイウスなど、仲間達はそれぞれの「大罪」を象徴し、悪しき世界でそれぞれの理想を追い求めて行く。 ---逆に敵の幹部達は「美徳」を象徴する者達である。自分より美しい者を認めない「嫉妬」のユダ、金と権力で街を支配する「強欲」のマモンなど、現実の価値観からすればいかにもな悪役キャラだが、この世界では賛美の対象であり、「大罪」を背負う主人公達とは対照的な存在として対峙する事になる。 --前述の通り、世界観は聖書をモチーフとしており、「ソドムとゴモラの町」「ノアの方舟」「モーセの海割り」「バベルの塔」など有名な記述がストーリーに多数盛り込まれている。 ---作中で語られる大邪神、大天使はもちろん登場人物の名前も聖書縁のものが多い。主人公のアベルからして「カインとアベル」から取られている。つまりカインも存在する訳だが…。 -ヒロインとなるご主人様はゲーム開始時に選択し、第一章はご主人様の家でリハビリと言う形でキャラメイクを行う。 --ご主人様は最初から選択可能な5人と隠しキャラを含めた計6人。 --リハビリ内容はマキ割り、掃除、狩りなどのミニゲームや読書など色々あり、行動によってパラメーターが上昇する。 --街に出るとストーリーが進行する。選択しなくとも1年が過ぎると強制的に街に出る羽目になる((ご主人様の留守中に勝手に抜け出した形になる為、後味の悪い別れになる。))。 -システム面では、魔法の使用と武器改造にBP(ブラッディポイント。一般的なRPGのMPに相当)を消費するのが特徴。 --戦闘で敵に武器でとどめを刺した時や戦闘終了ボーナス等で入手することになるため、入手方法は一般的なRPGのお金の概念に近い((本作にもお金は別途存在することは補足しておく。))。 ---名前通り、敵から抜き取った''血液''であり、魔法や潜在能力を開放するには人間の血を触媒として使う訳である。この辺りもまた本作のダークな世界観を印象付ける事に一役買っている。 --本作ではHPがゼロになったキャラはその場に倒れて「死亡」状態となる。この状態でも魔法やアイテムで蘇生が可能。倒れているキャラに更に攻撃を加えると白骨化する「死滅」状態となる((メインキャラや一部ボスは白骨化せず消滅し、撤退扱いになる。))。こうなるとシステム上のみならず本当に死亡扱いになり、蘇生も不可能((尚、続編の『2』では倒れた状態を「戦闘不能」、白骨化した状態を「死亡」としている。ストーリー上の扱いを考えると妥当な所か。))。 --町の探索は、カーソルを操作して話しかけるNPCなどを指定するシミュレーション形式となっている。 -武器改造は入手した武器にBPを入れる「剣血」により行う。これを「儀式」と呼ぶ。 --入れたBPの値に応じて引き出される潜在能力(いわゆる追加効果。必殺技的なものもある)が決まっており、魔法を発動させる・経過時間毎にHP回復などがある。 --潜在能力はいずれも悪魔の名前を冠しており、主にソロモン72柱から用いられている。 --全ての潜在能力を解放した武器は「凝血」が行える。「凝血」した武器は以降は潜在能力が変更不可になるがパラメーターが大きく向上する。 -戦闘は高低差のある3Dマップでのターン制。 --ターンとは別に各ユニットが行動する度に時間が1時間ずつ経過し、経過時刻により魔法の威力が増減する。 --魔法の威力は各属性ごとに「午前は強めで午後は弱め」「普段は弱めだが特定の時刻のみ威力倍増」などバイオリズムが設定されており、例えば光属性の1時に闇属性の魔法を使うと次は闇属性の2時になる。 --これにより味方の魔法使用時には威力が高くなるように、敵の魔法使用時には威力が低くなるようにするという戦略性が求められる。 -ストーリーが進むと魔法とは別に大量のBPと行動力を消費する「鎧召喚」という高威力・広範囲攻撃が登場する。 --使用するには「大邪神の鎧」か「悪魔の鎧」を身につける必要があり、鎧に宿る悪魔や大邪神の力を開放する。効果範囲や威力は各キャラ固有。 ---敵にも「悪魔の鎧」を身につけた「邪道騎士」が登場し、後半では敵も「鎧召喚」を使ってくる。終盤は「大天使の鎧」を纏った敵幹部との戦いもある。 --大邪神、悪魔の鎧はストーリー上も重要な役割を持つ。 ---これらの鎧は装備者が羽を毟り取り、その付け根から血を吸われ続ける事を代償に力を与える。文字通り命を削る鎧な上、一度着たら死ぬまで脱げない呪いの鎧と言って良い。しかし選ばれし者が着た場合は、命は削らずより強大な力を与えると言う。主人公や仲間が「大邪神の鎧」を身に付ける際にはそれぞれのドラマが描かれ、また、とある邪道騎士の仲間は終盤で重要な役割を果たす。 ---悪魔の鎧はサブキャラに装備可能。但し、装備変更が出来ないのは勿論、ユニットのグラフィックも汎用の邪道騎士になってしまう。 -難易度はノーマル・アドバンスドの2つがあり、アドバンスドは戦闘が難しい反面、独自要素がある。 ---- **評価点 -手ごたえのある戦闘 --基本はシンプルなターン性だが、武器の潜在能力や魔法バイオリズムを上手く使うといった戦略性がある。 --レベルアップは戦闘終了時に任意のキャラに経験値を振り分ける方式。レベルアップで得られたポイントは更に任意のステータスに割り振ることができるため、育成の自由度は高い。 --自由加入のサブキャラも多い((ストーリーには絡まないうえ、死滅すると以後使用不能。))ため、お気に入りのキャラに特化して育てるも、サブキャラ一切育てずメインキャラだけで挑むも自由。 --素の状態で魔法を使えるキャラが少ない分、武器の潜在能力も使いこなせれば魔法と同様に様々な効果がある。 --特に武器交換の潜在能力は、敵の持つ強力な武器を入手することができるので重宝する。 --アドバンスドモードでは、自由戦闘での入手経験値が10分の1になるかわりに、通常では倒せない強さの敵ユニット撃破((ノーマルモードでも登場する。なお、モード問わず戦闘に登場するのだが戦わなくてもマップクリア可能。))、レアアイテム集めや裏パラメータ確認可能((特定のサブキャラを仲間にすることで可能。))を使った育成など、やりこみ要素は多い。また、最終戦闘はノーマルモードと異なる演出がある。 -世界観 --上述の通り、善悪が完全に逆転した世界観で、ストーリー展開も暗いのだが、独自性がありプレイヤーを物語に引き込む魅力がある。また、天使や悪魔・宗教関係の元ネタを知っているとより楽しめる。 --強者が正しく弱者は淘汰されるのみと言う弱肉強食が摂理とされる。また、最も軽い刑罰が''その場で死刑''なのもシビア(つまり死よりも重い罰が存在すると言う意味である)。 --悪行が良いこととされている世界なのだが、やっている内にそれほど悪い世界でもない気もしてくる。ソドムとゴモラの町も超資本主義と超社会主義となっていて明暗両方描写されていたりなど、単に善が悪を倒してハッピーエンドにはなっていない。 --暗いだけではなく仲間と共に強敵に立ち向かう、迷いを振り切ってパワーアップする、と言った燃えるシチュエーションも盛り込まれている。ご主人様を救う力を得る為に主人公が羽を捨てるシーンなどは特に熱い。 --何かとツッコミをさせられるガイウス、復讐日記を持ち歩くルピルピなど、思わず笑ってしまうシーンも幾つかあり、暗い世界の冒険の清涼剤となっている。 ---尤も、そんなキャラ達にも容赦の無い運命が待ち受けているのだが…。特にルピルピはムードメーカーでありながら設定が重い。 --キャラメイクを兼ねた第一章はご主人様とのほのぼのとした生活が描かれるため、第二章以降の本編との反動が大きい。 --土屋杏子によるキャラクターイラストは評価が高い。 -混沌とした音楽(と曲名) --バッハの曲「BWV542」を大幅にアレンジした「¥54,200」やドラム音の激しい「Chain Smoker」や、チェケラッチョなボイスが入った「検問」など、混沌とした音楽(と曲名)は本作の世界観を上手く表現している。 -ストーリーはフルボイスであり、声優も有名声優を多数起用している。 --上記の主要人物を見て頂くだけでもベテランや実力派声優が揃っていることが分かるだろう。無論、記述していない悪役や脇役にも有名声優が多数。 **問題点 -システムの解説不足 --剣血は武器にBPを1刻みで255まで入れることができるが、発現する潜在能力の種類や数値は武器毎に異なる。入れたBPによっては発現しない場合やマイナス効果の場合もあり、確認が大変。 ---剣血については高BPを入れた武器に低BPの潜在能力を発現させたい場合、一度入れたBPと同じBPを消費してリセット(浄化)し、再度必要なBPを入れなおすため手間がかかる(低BP ⇒ 高BPは追加の剣血だけで済むのだが)。 --魔法バイオリズムも属性表示は時計の飾りが光るだけで、バイオリズム自体が表示されず、何時に威力が高い(又は低い)のか、使うまで分かりにくい。 --そのため、戦闘システムを理解・確認するには攻略本や攻略サイトを見る必要がある。 -やや厳しいお金とBPの管理 --他作品のように入手したアイテム等を売却して資金の足しにすることができない(捨てることしかできない)。 ---すこし資金に余裕が出来て装備を揃えたいと思った頃にたどりつく街が、物価が定価の数倍という「強欲の街」。 ---中盤ではあるサブキャラを仲間にして出撃させることで入手金額増加という救済措置はある。 --剣血による試行錯誤が必要にもかかわらず、BPは戦闘で武器攻撃による死滅と戦闘終了ボーナスによる入手、終盤での高価なアイテムによる補充しか主な入手手段がない。 ---与えたダメージの半分のBPを吸収する潜在能力を持つ武器もあるが、攻略情報なしでは気づくのが困難((武器の種類によってはその武器自体がレアアイテムという場合もある))。 --一部の強力な特殊能力をもった武器を手に入れるための手順は非常に複雑かつ大変。攻略情報なして取れたプレイヤーはいるのだろうか。 -世界観・ストーリー --最初に選ばなかったご主人様は全く本編に登場しない。 --徹底してダーク且つハードな世界観なので苦手な人には向かないだろう。 -終盤 --最終章はメインキャラの1人が死亡による離脱、サブキャラ一切出撃不能、お店や自由戦闘がないため、メインキャラの育成・アイテムの状況によっては詰むこともありうる。 --ストーリー展開上、キャラメイクと最終章とエンディングしかご主人様が登場しない。 ---ご主人様にそこまで思い入れできるか、というと短い第一章だけでは少々返答に困る。もちろん、その間もその行為がどれだけ問題があるとされていたか、というのを実感し続けるが。 ---その為、他のご主人様候補を仲間に出来るDC版以降ではあえて好きなキャラをご主人様に選ばず、仲間として育てるプレイヤーも多い。 --そして''ハッピーエンドは無い''。展開もかなり重く、鬱展開と言う人も少なくない。 #region(ネタばれ注意) -最後は世界が崩壊する中、今まで共に戦ってきた仲間達を1人ずつ自分の手で殺さなければならない。 -そして世界は滅び、主人公とご主人様以外全員が死ぬ。2人は新世界のアダムとイブとなり、終了。 --リメイクではエンディングが追加されたが、いずれもグッドエンドには程遠い。但し、DC版には救いのあるエンディングが用意されている。 #endregion //執筆依頼では「終盤の展開が鬱である」とありました。この点記述出来る方は加筆お願いします。 //書いてみました。推敲できる人よろしくです。 //サターン版には上記のような選択はなく、最終戦闘後のイベントで味方を1人ずつ殺し、ご主人様と2人だけになる展開だったと思いますが…? //マルチエンドはDC版以降なので、変更しておきました。 -アドバンスドモードでは、戦闘内容によってクリア後の称号が幾つもあるのだが、どれが最高なのか・各称号取得条件を含めて不明である((攻略本では2列で称号を並べて紹介しているだけである。))。 ---- **総評 -雑誌の表紙を何度も飾ったことや発売元からキャラゲーと思われがちだが、世界観や戦闘などゲーム本編はきちんと練られている。 --後述の移植版があるものの今でもサターン版を愛好しているユーザーがいる位である。 -「神や光属性、それを信奉する人間のような一見すると正義側が悪玉、それに虐げられる側が物語の主役」という善悪メタ構図の強い世界観は、2010年頃には創作界の巷に氾濫・定番化するが、90年代後半はそれが芽から伸び育つ時期だったと言える。本作も当時のアンチテーゼとして異彩を放ち、直に触れた人々には小さからぬインパクトを残した作品の1つである。 -ただし、肝心のシステムの解説や表示に不十分な点が多く、世界観以外の点でも人を選ぶ作品となってしまった感は否めない。 **余談 -本作は当初、初回限定生産とされていた。 --本作が発表された時期が、サターンの後継機であるドリームキャストが発表された時期と重なった。そのため「需給のバランスが読めないので確実にほしい人は予約をするように」と各ゲーム雑誌の紹介記事で呼びかけていた。 --しばらく経ってから再販された。ゲーム内容は同じだが、パッケージの絵が変更された。 --なお、攻略本は隠しご主人様(ゼロ)の出現条件が初版では非公開とされていたが、重版では公開されている。 -隠しとはいえ、ゼロが男性である点に疑問を持つ人がいると思うのだが、攻略本のインタビューによると、これは原作者が「頭にロールパンのついたご主人様(プリカ)を俺のために描いてほしい」とキャラクターデザイナーに依頼したところ、「男のご主人様を出させてくれれば描く」といった流れでできたものである。 --本作の各種アンソロジーでは、作家にもよるが、ゼロをご主人様とした題材は結構多め。反面、クレージュをご主人様とした題材はあまり見られなかった。 -移植版として、『BLACK/MATRIX AD』と『BLACK/MATRIX+』がある。いずれも移植の際に変更された要素が多く、リメイクに近い。詳細は下記参照。 -開発元のフライト・プランは『BLACK/MATRIX』シリーズの他に[[『サモンナイト』シリーズ>サモンナイトシリーズ]]等SRPGを多く手掛けている。 ---- *BLACK/MATRIX AD 【ぶらっくまとりくす あどう"ぁんすど】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00006LJFV)| |対応機種|ドリームキャスト|~| |メディア|GD-ROM 2枚|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|フライト・プラン|~| |発売日|1999年9月30日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |廉価版|ドリコレ&br;2002年10月31日/2,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|シナリオの追加&br;アニメも追加&br;''ハッピーエンドも追加''|~| ---- **概要(DC) 『BLACK/MATRIX』のリメイク版。イラストレーターがつちやきょうこ氏からそえたかずひろ氏に変更された他、ストーリーがSS版とは所々異なっている。 ---- **特徴(DC) -イベントシーンは背景と立ち絵で進行する。また、セルアニメーションのムービーと言った演出が追加されている。 --主人公のアベルが音声の出ない一部のイベントを除いて喋らないのは無印と同じだが、アニメ内では僅かに音声付きのセリフがある。担当は神谷浩史氏。 ---余談だが神谷氏は次回作『2』でも主人公役(ナレーション)として参加している。『[[OO>BLACK/MATRIX OO]]』でも主人公のライバル的キャラ役を務めており、シリーズの常連となっている。 -多くのマップはSS版から構造が変わっており、SS版とはまた違った戦術を求められる形となっている。 -町パートも一新され、主人公を直接操作してマップを探索するRPG方式になった。 --第一章も同様であり、ご主人様の家やその周囲を直に見て回れる。 ---- **評価点(DC) -ストーリーがSS版から加筆修正されている。 --描写が細かくなった事で、SS版では謎のままだったり説明不足だった部分にも補完が為されている。 --パンデモニウムの街に行く前には仲間達の掘り下げをメインとした章が追加されており、しかも2ルートに分岐するのでイベント量も多い。後述するご主人様候補を仲間にできるのも主にこの章。 --マルチエンド化に伴ってか最終盤の展開はSS版と大分異なり、ラスボス戦も殆ど別物となっている。 -第一章の充実化。 --第一章のリハビリ生活はミニゲーム選択式のSS版、PS版とは異なり、ミニゲームやミニイベントをこなすだけではなく育成シミュレーション形式になっている。 --内容は格段に充実し、結構な長期間でご主人様との甘い生活を楽しむことができる。隠しイベントも多数。 ---SS版は期間も短く、ご主人様の印象が薄くなりがちだったが、今回はこれによってご主人様への思い入れが湧きやすく、救出へのモチベーションを高める事が出来る。 ---ご主人様のキャラの掘り下げにも繋がっており、特に清楚なイメージだったドミナは年相応に砕けた一面も見せてくれる。 --条件を満たせればなんと''2年目''に突入する事も出来てしまう。 -ご主人様候補がストーリー中に登場するようになった。 --選ばなかったご主人様候補は無印では一切登場しなかったが、今回は本編に登場する。敵対したり、仲間になったりなど、ストーリーにも絡んでくる。 ---ルート分岐があったり二者択一だったりで、一度に全員を仲間にすることはできない。また、キャラによっては仲間にする条件がノーヒント。 --ご主人様候補は仲間になるとメインキャラ相当の扱いになり、要所要所で登場する。キャラも立っており、ご主人様に選んだ時では見られないような一面や、活躍のシーンもしっかり用意されている。 ---男装の邪道騎士として登場するクレージュ、牢獄の獄長としてボスを務めるプラハ((SS版ではカロンといういかにも悪役じみた獄長がボスだったので、役割は同じながら話の流れが大きく異なっている。カロンはプラハをご主人様に選んだ場合のみ登場。))、立場上の関係で''過激な普段着ではなくナース服''で仲間になるドミナなど、いずれも印象的な形で登場している。 ---中でもプリカは''肉屋から動物を逃がしていた罪''で投獄されたと言う斜め上の設定となっている。そのくせ本人の好物が''ハンバーグ''なのもまた微笑ましい。加入時のイベントも必見。 --但し、死亡(死滅)すると他のサブキャラ同様にロストする。しかしクリアまで生存せればエピローグに登場するので、なんとか死なせないようにしたい所。 -マルチエンドになった。 --SS版では重苦しいエンディングが1つのみだったが、今回は複数のエンディングが用意された。但し、いずれもハッピーエンドとは言い難い。 --崩壊しかけている世界で主人公は最後の選択を迫られる。SS版ではどれを選んでも同じだったが…。 #region(ネタバレ) -主人公には二種類の支配者のどちらかになる権利が与えられる。一方、死亡したご主人様を生き返らせるには世界を滅ぼすかもしくは自分や仲間達が死ぬかしなければならない。そんな中で「自殺する」「ゴッドになる」「サタンになる」「教皇を倒す」「ご主人様を諦めて平凡に暮らす」から選ぶのだが…。 --「自殺する」は支配者になる権利を放棄し、世界とご主人様の両方を救う為に自らの命を差し出すと言うもの。しかし仲間達が主人公の身代わりを申し出た為、敵の化けの皮が剥がれて戦闘となり、結局なし崩し的に世界は崩壊して自分とご主人様以外全員死ぬ。SS版とほぼ同様の展開である。 --「ゴッドになる」は主人公自身の意志で世界を滅ぼし、ご主人様と共に新世界を作ると言うもの。主人公自身が世界崩壊を望む為、''主要キャラ以外のサブキャラは全員敵に回る。''サブとはいえ味方を殺さなければならない。そして主人公に賛同して力を貸してくれた主要キャラも試練の為に結局は殺すことになり、やっぱり最後は世界崩壊。 --「サタンになる」は主人公が新たな王となって現在の世界を存続させると言うもの。了解の上で大邪神の鎧を着た仲間達と正々堂々戦い、倒し、世界の未来を託される。そして新たなサタンとなり、ご主人様を花嫁として迎える…だけなら世界崩壊エンドよりハッピーエンド寄りなのだが、最後は''主人公の邪悪な笑いで終わる為''後味が悪い。 --「教皇を倒す」はご主人様は諦めるが、せめて世界の支配者である教皇を倒して、この悪しき世界を変えようと言うもの。一部のメンバーが離脱すると言う違いはあるものの、結局それで敵の化けの皮が剥がれて「自殺する」と同じ展開に。 --「平凡に暮らす」は他のご主人様でも見つけて奴隷に戻ると言うもの。世界崩壊は起こらないが、今まで戦ってきた意味を放棄し、ご主人様を殺しておきながら何の気兼ねもしないと言うもので、やはり後味は悪い。 -ここまでなら評価点に書くべきではないかもしれないが、本作はそれに加えて通常の世界崩壊エンドの後に''後味の良い結末が追加されている。'' --世界が滅び去り、主人公とご主人様が新たなアダムとイブ%%か、二人のアダム%%になる。と言う結末自体は変わらないが…。 #region(ネタバレ) -「新しい世界の神にも友達は必要だ」という創造主の判断により、死んだはずの仲間達全員と、敵対者の中で主人公達に理解を示していた一部の者達が無事に戻ってきて主人公と再会を果たすというシーンが追加されている。 -世界が滅びた事には違いは無いが、主人公とご主人様以外の人間は善人悪人問わず全て死に絶える無印に比べると遥かに救いのある結末である。 #endregion -後に発売されたPS版にはエピローグが存在せず、後味の良い結末を迎えられるのはDC版の特権となっている。 #endregion -演出の強化 --無印では戦闘時同様のマップとユニットでイベントシーンを作っていたのに対し、今回は同社の『[[サモンナイト]]』と同じ形式に。 --また、イベントスチル、アニメムービーの追加によって演出が強化されており、ストーリーの没入感はより強まった。 --何故か戦闘開始時の勝利条件とバトルタイトルの表示が''血の付いた脅迫状''((新聞の文字を切り抜いて貼って作るアレ。))のような画面になっており、よりダークで混沌とした雰囲気を強めている。 ---- **賛否両論点(DC) -第一章の仕様変更について --内容が充実したのは確かだが、その分SS版等に比べてパラメーター管理が複雑化。思うように主人公の初期ステータスを鍛えるのが難しくなった。 ---隠しイベントの条件も厳しいものが多く、情報無しで2年目に入るのは至難の業である。 --また、主人公のアイテムの食べ方がシュール。どんな料理や食物(''虫も'')でも一口で頬張る為、不気味、面白いと意見が分かれそう。皿に乗っている料理なら''皿ごと''である。 ---- **問題点(DC) -ビジュアル面 --アニメムービーの採用の為か、アニメーターでもあるそえた氏がイラストレーターに起用されているが、これが少々不評である。 --メインキャラは元に近いデザインだが、ザブキャラ達が揃いも揃って、原作とは似ても似つかないデザインになっている。それでいてユニットのグラフィックはそのままなので違和感が激しい。 ---特に酷いのはパリティと言うキャラ。元が金髪で緑の服なのに、新デザインは''青髪でピンクの服''と、似せる気がまるで感じられない。 --ザコ敵の顔もユニットとの乖離が珍しくなく、しかも整った顔立ちや美形が多かったつちや版に比べると異様に濃い顔ばかり。 --アニメもクオリティはそこまで高くはなく、作画、構図、演出も所々変な個所がある。シリアスなシーンなのについ笑ってしまうような出来になっている場合も。 ---- **総評(DC) キャラデザインやアニメのクオリティに難色を示す意見は多々あるものの、シナリオの加筆に演出の強化、ハッピーエンドの追加と総合的な充実度ではSS/PS版とは比べものにならない『BLACK/MATRIX』の「完全版」と言って良い。 ---- *BLACK/MATRIX+ 【ぶらっくまとりくすくろす】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00005OVS0)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 2枚|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|フライト・プラン|~| |発売日|2000年12月14日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |廉価版|ベスト版:2002年3月7日/2,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス:2009年12月24日/600円|~| //|備考| | |判定|なし|~| |ポイント|DC版準拠でSS版に近い&br;ハッピーエンドは没収|~| ---- **概要(PS) 『BLACK/MATRIX』の二度目のリメイク。その名の通り、SS版とDC版を「クロス」させたような作品となっている。 ---- **特徴(PS) -キャラクターデザインがSS版のつちやきょうこ氏に戻り、イベント画面もSS版と同じ形式に回帰した。 -その一方でストーリーやマップはDC版に準じており、SS版とDC版をミックスさせたようなリメイクとなっている。 --DC版から登場した、戦闘前の脅迫状演出も健在。 -ただし、戦闘BGMが一部入れ替わっていたりと、細かい変更点も多々ある。 -DC版のようなセルアニメは無いが、新規のムービーが追加されている。OPも完全にオリジナルである。 -第一章の形式もSS版同様のミニゲーム選択方式に戻った。 --ただ、選択の方法や内容が若干変わっており、SS版に回帰しきったとも言い難い。 -探索パートはDC版同様のRPG方式。 ---- **評価点(PS) -DC版のそえた氏のデザインが不評だったので、つちや氏の再起用はファンを喜ばせた。 --イラストもSS版の使い回しではなく、PS版用に新たに描き起こされている。 -DC版の加筆修正されたシナリオをSS版のビジュアル、演出で楽しめるのは、SS版が好きだった人には大きな評価点と言える。 --イベントシーンの豪華さは薄れたが、ユニットキャラがチョコチョコと歩き回るイベントシーンはそれはそれで好評である。 ---- **問題点(PS) -シナリオ、演出の削除。 --ストーリーはDC版に準じているが、アニメムービーやイベントスチル、一部のイベントなど削られた箇所も多く、それを補う新要素も殆ど無い為、ストーリーが所々説明不足になってしまった。 ---特にアベルの兄・カインやファウストについては完全に謎の存在で終わってしまっている。 --第一章はDC版はおろかSS版からもイベントが削られており、物足りなくなっている。 --キャラの顔グラフィックから表情の変化が無くなっている。声優の熱演もあるので感情移入しにくい訳ではないが、他機種版をプレイした人には物足りなさが否めない。 -''エピローグまで削除されている。'' --エンディングはDC版同様のマルチエンドだが、ハッピーエンド的なエピローグが無くなっている。 --その為、例えトゥルーエンドでも後味良く終われなくなってしまった。描かれていないだけで、エピローグの展開はその後でちゃんとあったと解釈出来ない事も無い((DC版のエピローグの台詞によると、そもそも大邪神の力を持つ仲間達は簡単に死ねないらしく、ラストバトルで倒しても実は殺せてはいない。))が、描写が無い以上PS版のシナリオはそこで終了である。 --また、何故かトゥルーエンドの最後に表示される「GAME END」の文字がどう見てもバッドエンドにしか見えない。一方、バッドエンドである「平凡に暮らす」の結末ではグッドエンドにしか見えない明るい表示になっている。逆ではないだろうか。 ---確かに前者では世界は崩壊し、後者は悪しきままとは言え存続しているのでそれを示しているのかもしれないが、それにしても少々理解に苦しむ。 -細かい点だが、ジャケット裏のスクリーンショットの中に本編に無いシーンがいくつかある。 ---- **総評(PS) SS版をベースにDC版の要素を加えた、「クロス」したブラックマトリクスである。しかしエピローグを始め削除された要素も多く、両者の良いとこ取りとは言い難い出来である。~ とは言え、当時主流ハードであったPSのソフトと言う事で、ブラックマトリクスの認知度を高める事に大きく貢献したのも間違い無いだろう。 **余談(PS) 本作と『OO』はゲームアーカイブスで配信されていたが、2010年12月24日で配信終了となっている。今からプレイしたければ現物を手に入れるしか無い。 ---- **その後の展開(PS) -本作発売から2年後、PS2用ゲームソフト『BLACK/MATRIX 2』が発売された。『2』とはあるが本作とは繋がりは無く、「シナリオ工房 月光」がシナリオを担当した事もあり、作風が大きく変わっている。 --旧約聖書をモチーフとした独特の世界観だった本作に対し、悪魔の住む魔界、天使の住む天界、そして人間界というある種王道の世界観となり、魔王の弟である主人公が魔界を取り戻すべく、侵攻してきた人間軍やそれを背後から操る天使軍に戦いを挑むという判りやすい内容となっている。 ---別メーカーだが、後に出た『[[魔界戦記ディスガイア]]』とはその設定上、共通点が多い((主人公が魔王の血縁で、魔王の死から始まる。天使のヒロインがいる。人間が天使に嗾けられて魔界に侵攻する。ラスボスが大天使。など。))。 ---しかし、主にバッドエンドルートにおけるダークな展開はやはり『BLACK/MATRIX』であると思い出させてくれる。 --戦闘画面の3D化、ヒロイン毎のシナリオ分岐、全てが丸く収まるハッピーエンドといえるルートがあるなど独自要素を持つ一方、ボイスやムービーが一切無い簡素さや、ストーリーの短さと言った問題点も多い。 -2002年には、本作の神話で語られた時代よりも遥か過去を描いたとされる『BLACK/MATRIX ZERO』がGBAで発売された。 --絵柄はポップに様変わりしているが、内容やシステムは本作を色濃く受け継いでいる。 --その後、2004年には『ZERO』を大胆にリメイクした『[[BLACK/MATRIX OO]]』がPSで発売。詳細は当該記事を参照されたし。
#contents() ---- *BLACK/MATRIX 【ぶらっくまとりくす】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B000069RQU)| |対応機種|セガサターン|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|フライト・プラン|~| |発売日|1998年8月27日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|善悪の逆転したダークな世界&br;シビアなストーリー&br;システムもシビア|~| |>|>|CENTER:''BLACK/MATRIXシリーズ'':''1'' - 2 - ZERO - [[OO>BLACK/MATRIX OO]]| **概要 『BLACK/MATRIX』シリーズ第1作。フライト・プラン制作のSRPGとしても第1作。~ シナリオは漫画原作者のビトウゴウ((SS版はネコプロダクション名義。))、キャラクターデザインは土屋杏子((つちやきょうこ。本作のオリジナルのSS版では漢字名義だった。))。~ 当時、SSではギャルゲーの移植を主にしていたNECインターチャネルとしては異色の作品である。 ---- **ストーリー >我々が「悪」と呼んでいる物が…「善」と呼ばれる善悪が逆転した世界。~ この世界の人間は、白き鳥類の羽を持つ者と、黒き蝙蝠の羽を持つ者に二分されており、~ 黒き羽の人間は支配階級として、白き羽の人間を奴隷として使役していた。 > >遥か昔、地上は大悪神ゴッドによって支配されていた。~ ある時、大天使メフィストフェレスは大善神サタンの旗の下、ゴッド率いる白き羽の大邪神達に戦いを挑んだ。~ 戦いは666日続き、ついにゴッドは倒れ、大邪神達も封印された。~ これが創世記戦争として語り継がれる神話である。 > >そして現在。黒き羽の人間はその立場を確固たるものとするため、自分達を大天使メフィストフェレスの子孫と、~ 逆に白き羽の人間は敗れた大邪神の子孫なのだと語り継いでいた。 > >白き羽の少年アベルは重傷を負って記憶を失い、自身のご主人様のことすら思い出せなくなっていた。~ そんなアベルのご主人様は黒き羽でありながら彼を対等に扱っており、意識の戻らないアベルを献身的に看病していた。~ 目覚めたアベルはご主人様とリハビリに励んでいたが、ある日のこと、この世界を支配するアンゲルス教団の人間がアベルを連行しようとする。~ ご主人様のアベルに対するあまりに奴隷らしからぬ扱いが、異端審問官に目をつけられたのだ。~ そこでご主人様はアベルを「愛している」と訴えてしまう。~ この世界では「愛」は最も重い罪。それを口にしたご主人様はいずこかへと連れ去られ、アベルはゴルゴダの牢獄へと連行された。~ 絶望の淵に立たされたアベルだったが、自身も知らない謎の力を発動したことを機に、獄中で出会った囚人らと共に脱獄。~ ご主人様を救い出すべく、アンゲルス教団に戦いを挑むのだった。 ***登場人物 #region(大罪を背負う者たち) -アベル(CV : なし) --本作の主人公。白き羽の少年。ある出来事によって記憶を無くす。その後はご主人様とリハビリに励んでいたが、異端審問官によって連れ去られたご主人様を助け出すべく旅に出る。 --象徴する大罪は「平等」 -レブロブス(CV : 堀秀行) --アベルが牢獄で出会った屈強な戦士。通称「レブ」。物心つく頃から闘技場で剣闘士として戦わされていたが、自由になるために主人を殺し、投獄された。 --象徴する大罪は「自由」 -ガイウス(CV : 塩沢兼人) --「疾風のガイ」の異名を持つ元義賊。200人以上の権力者を殺してはその財産を貧しい者達に与えていた。自身の生い立ちにより、本当の正義を追い求めている。 --象徴する大罪は「正義」 -ピリポ(CV : 結城比呂) --アベルが投獄された牢獄の看守。裕福な家で育った黒き羽の少年だが、身体が弱く気も小さいため、他の看守に苛められている。アベルが発動した謎の力によって白い羽になるが、同時に体も健康になる。 --象徴する大罪は「弱者」 -ヨハネ(CV : 青野武) --牢獄で出会う老人。大神官という畏怖される立場だが、権力争いに破れて投獄された。アベルに興味を持ち、同行して一行の知恵袋となる。 --象徴する大罪は「人権」 -ルピルピ(CV : 井上喜久子) --ヨハネを師匠と慕う邪道騎士(後述)の少女。明るく活発なムードメーカーだが、身につけた「悪魔の鎧」の所為でその命は残り少ない。 --一見、「七つの大罪」を象徴するキャラではないが…。 -マルコ(CV : 折笠愛) --レジスタンス「白き羽解放革命戦線」に所属する少年。最初に「大邪神の鎧」を装着したことから「奇跡の少年」と呼ばれている。 --象徴する大罪は「友情」 #endregion #region(ご主人様候補) 七つの大罪「愛」を象徴する者。いわゆるヒロイン候補で、ゲーム開始時に選んだ一人がヒロインとなる。 -ドミナ(CV : 日髙のり子) --服装こそ過激だが、清純タイプの正統派ヒロイン。通常版やPSベスト版のパッケージを主人公と共に飾っており、本作の顔役とも言える。 -プリカ(CV : かないみか) --ご主人様候補最年少で、主人公を「お兄ちゃん」と呼ぶ所謂ロリキャラ。 -クレージュ(CV : 嶋方淳子) --スポーツ系ご主人様で、ボーイッシュな性格のボクっ娘。 -ミシェット(CV : 宮村優子) --わがままな性格の小悪魔系女子。 -プラハ(CV : 山崎和佳奈) --姉御肌の最年長ご主人様。キツい口調だが根は優しい? -ゼロ(CV : 伊藤健太郎) --''男性ご主人様。''コマンドを入力すると出現する隠しキャラ。 #endregion **特徴 -聖書をモチーフとしつつも善悪を完全に逆転させたダークファンタジーな世界観。 --いわゆる「強欲」「怠惰」「嫉妬」「暴食」「憤怒」「色欲」「驕り」の「7つの大罪」がこの世界では「7つの美徳」と呼ばれ、美徳・善行とされる。逆に「愛」「平等」「自由」「正義」「弱者」「人権」「友情」はこの世界では「7つ大罪」と呼ばれる。 ---同様に「天使」「悪魔」の概念も逆転しており、我々の世界の聖書などで語られる天使は悪魔や邪神と。逆に悪魔や魔王と呼ばれる存在は天使と呼ばれている。 ---他にも「邪悪」という言葉は「慈愛」「優しさ」と言ったようなニュアンスで使われており、この点でも現実と正反対の価値観であることがうかがえる。 --この世界の人間は生まれながら背中に羽を持ち、天使的な白鳥の羽を持つ「白い羽の人間」と悪魔的な蝙蝠の羽を持つ「黒い羽の人間」が存在する。 ---白い羽の人間は奴隷階級であり、支配階級である黒い羽の人間達に使役され、虐げられている。 --主人公・アベルは白い羽の人間で、黒い羽のご主人様(ヒロイン)の奴隷である。しかしご主人様はアベルを奴隷として働かせる事は無く対等に接し、一人の人間として愛している。 ---異端審問官の前でアベルを「愛している」と発言してしまった為に((この世界の七つの大罪の中でも「愛」は最も重い罪である。結婚や出産も子孫を残す為の本能的な行為に過ぎないとされている。))連れ去られたご主人様を助け出すべくアベルは旅に出るが、次第に黒い羽の人間と白い羽の人間の全面戦争となっていく。 --前述の「7つの大罪」と「7つの美徳」も大きなテーマとなっている。「愛」のご主人様、「平等」のアベルの他、「自由」を得る為に戦っていたレブロブス、「正義」を信じる義賊のガイウスなど、仲間達はそれぞれの「大罪」を象徴し、悪しき世界でそれぞれの理想を追い求めて行く。 ---逆に敵の幹部達は「美徳」を象徴する者達である。自分より美しい者を認めない「嫉妬」のユダ、金と権力で街を支配する「強欲」のマモンなど、現実の価値観からすればいかにもな悪役キャラだが、この世界では賛美の対象であり、「大罪」を背負う主人公達とは対照的な存在として対峙する事になる。 --前述の通り、世界観は聖書をモチーフとしており、「ソドムとゴモラの町」「ノアの方舟」「モーセの海割り」「バベルの塔」など有名な記述がストーリーに多数盛り込まれている。 ---作中で語られる大邪神、大天使はもちろん登場人物の名前も聖書縁のものが多い。主人公のアベルからして「カインとアベル」から取られている。つまりカインも存在する訳だが…。 -ヒロインとなるご主人様はゲーム開始時に選択し、第一章はご主人様の家でリハビリと言う形でキャラメイクを行う。 --ご主人様は最初から選択可能な5人と隠しキャラを含めた計6人。 --リハビリ内容はマキ割り、掃除、狩りなどのミニゲームや読書など色々あり、行動によってパラメーターが上昇する。 --街に出るとストーリーが進行する。選択しなくとも1年が過ぎると強制的に街に出る羽目になる((ご主人様の留守中に勝手に抜け出した形になる為、後味の悪い別れになる。))。 -システム面では、魔法の使用と武器改造にBP(ブラッディポイント。一般的なRPGのMPに相当)を消費するのが特徴。 --戦闘で敵に武器でとどめを刺した時や戦闘終了ボーナス等で入手することになるため、入手方法は一般的なRPGのお金の概念に近い((本作にもお金は別途存在することは補足しておく。))。 ---名前通り、敵から抜き取った''血液''であり、魔法や潜在能力を開放するには人間の血を触媒として使う訳である。この辺りもまた本作のダークな世界観を印象付ける事に一役買っている。 --本作ではHPがゼロになったキャラはその場に倒れて「死亡」状態となる。この状態でも魔法やアイテムで蘇生が可能。倒れているキャラに更に攻撃を加えると白骨化する「死滅」状態となる((メインキャラや一部ボスは白骨化せず消滅し、撤退扱いになる。))。こうなるとシステム上のみならず本当に死亡扱いになり、蘇生も不可能((尚、続編の『2』では倒れた状態を「戦闘不能」、白骨化した状態を「死亡」としている。ストーリー上の扱いを考えると妥当な所か。))。 --町の探索は、カーソルを操作して話しかけるNPCなどを指定するシミュレーション形式となっている。 -武器改造は入手した武器にBPを入れる「剣血」により行う。これを「儀式」と呼ぶ。 --入れたBPの値に応じて引き出される潜在能力(いわゆる追加効果。必殺技的なものもある)が決まっており、魔法を発動させる・経過時間毎にHP回復などがある。 --潜在能力はいずれも悪魔の名前を冠しており、主にソロモン72柱から用いられている。 --全ての潜在能力を解放した武器は「凝血」が行える。「凝血」した武器は以降は潜在能力が変更不可になるがパラメーターが大きく向上する。 -戦闘は高低差のある3Dマップでのターン制。 --ターンとは別に各ユニットが行動する度に時間が1時間ずつ経過し、経過時刻により魔法の威力が増減する。 --魔法の威力は各属性ごとに「午前は強めで午後は弱め」「普段は弱めだが特定の時刻のみ威力倍増」などバイオリズムが設定されており、例えば光属性の1時に闇属性の魔法を使うと次は闇属性の2時になる。 --これにより味方の魔法使用時には威力が高くなるように、敵の魔法使用時には威力が低くなるようにするという戦略性が求められる。 -ストーリーが進むと魔法とは別に大量のBPと行動力を消費する「鎧召喚」という高威力・広範囲攻撃が登場する。 --使用するには「大邪神の鎧」か「悪魔の鎧」を身につける必要があり、鎧に宿る悪魔や大邪神の力を開放する。効果範囲や威力は各キャラ固有。 ---敵にも「悪魔の鎧」を身につけた「邪道騎士」が登場し、後半では敵も「鎧召喚」を使ってくる。終盤は「大天使の鎧」を纏った敵幹部との戦いもある。 --大邪神、悪魔の鎧はストーリー上も重要な役割を持つ。 ---これらの鎧は装備者が羽を毟り取り、その付け根から血を吸われ続ける事を代償に力を与える。文字通り命を削る鎧な上、一度着たら死ぬまで脱げない呪いの鎧と言って良い。しかし選ばれし者が着た場合は、命は削らずより強大な力を与えると言う。主人公や仲間が「大邪神の鎧」を身に付ける際にはそれぞれのドラマが描かれ、また、とある邪道騎士の仲間は終盤で重要な役割を果たす。 ---悪魔の鎧はサブキャラに装備可能。但し、装備変更が出来ないのは勿論、ユニットのグラフィックも汎用の邪道騎士になってしまう。 -難易度はノーマル・アドバンスドの2つがあり、アドバンスドは戦闘が難しい反面、独自要素がある。 ---- **評価点 -手ごたえのある戦闘 --基本はシンプルなターン性だが、武器の潜在能力や魔法バイオリズムを上手く使うといった戦略性がある。 --レベルアップは戦闘終了時に任意のキャラに経験値を振り分ける方式。レベルアップで得られたポイントは更に任意のステータスに割り振ることができるため、育成の自由度は高い。 --自由加入のサブキャラも多い((ストーリーには絡まないうえ、死滅すると以後使用不能。))ため、お気に入りのキャラに特化して育てるも、サブキャラ一切育てずメインキャラだけで挑むも自由。 --素の状態で魔法を使えるキャラが少ない分、武器の潜在能力も使いこなせれば魔法と同様に様々な効果がある。 --特に武器交換の潜在能力は、敵の持つ強力な武器を入手することができるので重宝する。 --アドバンスドモードでは、自由戦闘での入手経験値が10分の1になるかわりに、通常では倒せない強さの敵ユニット撃破((ノーマルモードでも登場する。なお、モード問わず戦闘に登場するのだが戦わなくてもマップクリア可能。))、レアアイテム集めや裏パラメータ確認可能((特定のサブキャラを仲間にすることで可能。))を使った育成など、やりこみ要素は多い。また、最終戦闘はノーマルモードと異なる演出がある。 -世界観 --上述の通り、善悪が完全に逆転した世界観で、ストーリー展開も暗いのだが、独自性がありプレイヤーを物語に引き込む魅力がある。また、天使や悪魔・宗教関係の元ネタを知っているとより楽しめる。 --強者が正しく弱者は淘汰されるのみと言う弱肉強食が摂理とされる。また、最も軽い刑罰が''その場で死刑''なのもシビア(つまり死よりも重い罰が存在すると言う意味である)。 --悪行が良いこととされている世界なのだが、やっている内にそれほど悪い世界でもない気もしてくる。ソドムとゴモラの町も超資本主義と超社会主義となっていて明暗両方描写されていたりなど、単に善が悪を倒してハッピーエンドにはなっていない。 --暗いだけではなく仲間と共に強敵に立ち向かう、迷いを振り切ってパワーアップする、と言った燃えるシチュエーションも盛り込まれている。ご主人様を救う力を得る為に主人公が羽を捨てるシーンなどは特に熱い。 --何かとツッコミをさせられるガイウス、復讐日記を持ち歩くルピルピなど、思わず笑ってしまうシーンも幾つかあり、暗い世界の冒険の清涼剤となっている。 ---尤も、そんなキャラ達にも容赦の無い運命が待ち受けているのだが…。特にルピルピはムードメーカーでありながら設定が重い。 --キャラメイクを兼ねた第一章はご主人様とのほのぼのとした生活が描かれるため、第二章以降の本編との反動が大きい。 --土屋杏子によるキャラクターイラストは評価が高い。 -混沌とした音楽(と曲名) --バッハの曲「BWV542」を大幅にアレンジした「¥54,200」やドラム音の激しい「Chain Smoker」や、チェケラッチョなボイスが入った「検問」など、混沌とした音楽(と曲名)は本作の世界観を上手く表現している。 -ストーリーはフルボイスであり、声優も有名声優を多数起用している。 --上記の主要人物を見て頂くだけでもベテランや実力派声優が揃っていることが分かるだろう。無論、記述していない悪役や脇役にも有名声優が多数。 **問題点 -システムの解説不足 --剣血は武器にBPを1刻みで255まで入れることができるが、発現する潜在能力の種類や数値は武器毎に異なる。入れたBPによっては発現しない場合やマイナス効果の場合もあり、確認が大変。 ---剣血については高BPを入れた武器に低BPの潜在能力を発現させたい場合、一度入れたBPと同じBPを消費してリセット(浄化)し、再度必要なBPを入れなおすため手間がかかる(低BP ⇒ 高BPは追加の剣血だけで済むのだが)。 --魔法バイオリズムも属性表示は時計の飾りが光るだけで、バイオリズム自体が表示されず、何時に威力が高い(又は低い)のか、使うまで分かりにくい。 --そのため、戦闘システムを理解・確認するには攻略本や攻略サイトを見る必要がある。 -やや厳しいお金とBPの管理 --他作品のように入手したアイテム等を売却して資金の足しにすることができない(捨てることしかできない)。 ---すこし資金に余裕が出来て装備を揃えたいと思った頃にたどりつく街が、物価が定価の数倍という「強欲の街」。 ---中盤ではあるサブキャラを仲間にして出撃させることで入手金額増加という救済措置はある。 --剣血による試行錯誤が必要にもかかわらず、BPは戦闘で武器攻撃による死滅と戦闘終了ボーナスによる入手、終盤での高価なアイテムによる補充しか主な入手手段がない。 ---与えたダメージの半分のBPを吸収する潜在能力を持つ武器もあるが、攻略情報なしでは気づくのが困難((武器の種類によってはその武器自体がレアアイテムという場合もある))。 --一部の強力な特殊能力をもった武器を手に入れるための手順は非常に複雑かつ大変。攻略情報なして取れたプレイヤーはいるのだろうか。 -世界観・ストーリー --最初に選ばなかったご主人様は全く本編に登場しない。 --徹底してダーク且つハードな世界観なので苦手な人には向かないだろう。 -終盤 --最終章はメインキャラの1人が死亡による離脱、サブキャラ一切出撃不能、お店や自由戦闘がないため、メインキャラの育成・アイテムの状況によっては詰むこともありうる。 --ストーリー展開上、キャラメイクと最終章とエンディングしかご主人様が登場しない。 ---ご主人様にそこまで思い入れできるか、というと短い第一章だけでは少々返答に困る。もちろん、その間もその行為がどれだけ問題があるとされていたか、というのを実感し続けるが。 ---その為、他のご主人様候補を仲間に出来るDC版以降ではあえて好きなキャラをご主人様に選ばず、仲間として育てるプレイヤーも多い。 --そして''ハッピーエンドは無い''。展開もかなり重く、鬱展開と言う人も少なくない。 #region(ネタばれ注意) -最後は世界が崩壊する中、今まで共に戦ってきた仲間達を1人ずつ自分の手で殺さなければならない。 -そして世界は滅び、主人公とご主人様以外全員が死ぬ。2人は新世界のアダムとイブとなり、終了。 --リメイクではエンディングが追加されたが、いずれもグッドエンドには程遠い。但し、DC版には救いのあるエンディングが用意されている。 #endregion //執筆依頼では「終盤の展開が鬱である」とありました。この点記述出来る方は加筆お願いします。 //書いてみました。推敲できる人よろしくです。 //サターン版には上記のような選択はなく、最終戦闘後のイベントで味方を1人ずつ殺し、ご主人様と2人だけになる展開だったと思いますが…? //マルチエンドはDC版以降なので、変更しておきました。 -アドバンスドモードでは、戦闘内容によってクリア後の称号が幾つもあるのだが、どれが最高なのか・各称号取得条件を含めて不明である((攻略本では2列で称号を並べて紹介しているだけである。))。 ---- **総評 -雑誌の表紙を何度も飾ったことや発売元からキャラゲーと思われがちだが、世界観や戦闘などゲーム本編はきちんと練られている。 --後述の移植版があるものの今でもサターン版を愛好しているユーザーがいる位である。 -「神や光属性、それを信奉する人間のような一見すると正義側が悪玉、それに虐げられる側が物語の主役」という善悪メタ構図の強い世界観は、2010年頃には創作界の巷に氾濫・定番化するが、90年代後半はそれが芽から伸び育つ時期だったと言える。本作も当時のアンチテーゼとして異彩を放ち、直に触れた人々には小さからぬインパクトを残した作品の1つである。 -ただし、肝心のシステムの解説や表示に不十分な点が多く、世界観以外の点でも人を選ぶ作品となってしまった感は否めない。 **余談 -本作は当初、初回限定生産とされていた。 --本作が発表された時期が、サターンの後継機であるドリームキャストが発表された時期と重なった。そのため「需給のバランスが読めないので確実にほしい人は予約をするように」と各ゲーム雑誌の紹介記事で呼びかけていた。 --しばらく経ってから再販された。ゲーム内容は同じだが、パッケージの絵が変更された。 --なお、攻略本は隠しご主人様(ゼロ)の出現条件が初版では非公開とされていたが、重版では公開されている。 -隠しとはいえ、ゼロが男性である点に疑問を持つ人がいると思うのだが、攻略本のインタビューによると、これは原作者が「頭にロールパンのついたご主人様(プリカ)を俺のために描いてほしい」とキャラクターデザイナーに依頼したところ、「男のご主人様を出させてくれれば描く」といった流れでできたものである。 --本作の各種アンソロジーでは、作家にもよるが、ゼロをご主人様とした題材は結構多め。反面、クレージュをご主人様とした題材はあまり見られなかった。 -移植版として、『BLACK/MATRIX AD』と『BLACK/MATRIX+』がある。いずれも移植の際に変更された要素が多く、リメイクに近い。詳細は下記参照。 -開発元のフライト・プランは『BLACK/MATRIX』シリーズの他に[[『サモンナイト』シリーズ>サモンナイトシリーズ]]等SRPGを多く手掛けている。 ---- *BLACK/MATRIX AD 【ぶらっくまとりくす あどう"ぁんすど】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00006LJFV)| |対応機種|ドリームキャスト|~| |メディア|GD-ROM 2枚|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|フライト・プラン|~| |発売日|1999年9月30日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |廉価版|ドリコレ&br;2002年10月31日/2,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|シナリオの追加&br;アニメも追加&br;''ハッピーエンドも追加''|~| ---- **概要(DC) 『BLACK/MATRIX』のリメイク版。イラストレーターがつちやきょうこ氏からそえたかずひろ氏に変更された他、ストーリーがSS版とは所々異なっている。 ---- **特徴(DC) -イベントシーンは背景と立ち絵で進行する。また、セルアニメーションのムービーと言った演出が追加されている。 --主人公のアベルが音声の出ない一部のイベントを除いて喋らないのは無印と同じだが、アニメ内では僅かに音声付きのセリフがある。担当は神谷浩史氏。 ---余談だが神谷氏は次回作『2』でも主人公役(ナレーション)として参加している。『[[OO>BLACK/MATRIX OO]]』でも主人公のライバル的キャラ役を務めており、シリーズの常連となっている。 -多くのマップはSS版から構造が変わっており、SS版とはまた違った戦術を求められる形となっている。 -町パートも一新され、主人公を直接操作してマップを探索するRPG方式になった。 --第一章も同様であり、ご主人様の家やその周囲を直に見て回れる。 ---- **評価点(DC) -ストーリーがSS版から加筆修正されている。 --描写が細かくなった事で、SS版では謎のままだったり説明不足だった部分にも補完が為されている。 --パンデモニウムの街に行く前には仲間達の掘り下げをメインとした章が追加されており、しかも2ルートに分岐するのでイベント量も多い。後述するご主人様候補を仲間にできるのも主にこの章。 --マルチエンド化に伴ってか最終盤の展開はSS版と大分異なり、ラスボス戦も殆ど別物となっている。 -第一章の充実化。 --第一章のリハビリ生活はミニゲーム選択式のSS版、PS版とは異なり、ミニゲームやミニイベントをこなすだけではなく育成シミュレーション形式になっている。 --内容は格段に充実し、結構な長期間でご主人様との甘い生活を楽しむことができる。隠しイベントも多数。 ---SS版は期間も短く、ご主人様の印象が薄くなりがちだったが、今回はこれによってご主人様への思い入れが湧きやすく、救出へのモチベーションを高める事が出来る。 ---ご主人様のキャラの掘り下げにも繋がっており、特に清楚なイメージだったドミナは年相応に砕けた一面も見せてくれる。 --条件を満たせればなんと''2年目''に突入する事も出来てしまう。 -ご主人様候補がストーリー中に登場するようになった。 --選ばなかったご主人様候補は無印では一切登場しなかったが、今回は本編に登場する。敵対したり、仲間になったりなど、ストーリーにも絡んでくる。 ---ルート分岐があったり二者択一だったりで、一度に全員を仲間にすることはできない。また、キャラによっては仲間にする条件がノーヒント。 --ご主人様候補は仲間になるとメインキャラ相当の扱いになり、要所要所で登場する。キャラも立っており、ご主人様に選んだ時では見られないような一面や、活躍のシーンもしっかり用意されている。 ---男装の邪道騎士として登場するクレージュ、牢獄の獄長としてボスを務めるプラハ((SS版ではカロンといういかにも悪役じみた獄長がボスだったので、役割は同じながら話の流れが大きく異なっている。カロンはプラハをご主人様に選んだ場合のみ登場。))、立場上の関係で''過激な普段着ではなくナース服''で仲間になるドミナなど、いずれも印象的な形で登場している。 ---中でもプリカは''肉屋から動物を逃がしていた罪''で投獄されたと言う斜め上の設定となっている。そのくせ本人の好物が''ハンバーグ''なのもまた微笑ましい。加入時のイベントも必見。 --但し、死亡(死滅)すると他のサブキャラ同様にロストする。しかしクリアまで生存せればエピローグに登場するので、なんとか死なせないようにしたい所。 -マルチエンドになった。 --SS版では重苦しいエンディングが1つのみだったが、今回は複数のエンディングが用意された。但し、いずれもハッピーエンドとは言い難い。 --崩壊しかけている世界で主人公は最後の選択を迫られる。SS版ではどれを選んでも同じだったが…。 #region(ネタバレ) -主人公には二種類の支配者のどちらかになる権利が与えられる。一方、死亡したご主人様を生き返らせるには世界を滅ぼすかもしくは自分や仲間達が死ぬかしなければならない。そんな中で「自殺する」「ゴッドになる」「サタンになる」「教皇を倒す」「ご主人様を諦めて平凡に暮らす」から選ぶのだが…。 --「自殺する」は支配者になる権利を放棄し、世界とご主人様の両方を救う為に自らの命を差し出すと言うもの。しかし仲間達が主人公の身代わりを申し出た為、敵の化けの皮が剥がれて戦闘となり、結局なし崩し的に世界は崩壊して自分とご主人様以外全員死ぬ。SS版とほぼ同様の展開である。 --「ゴッドになる」は主人公自身の意志で世界を滅ぼし、ご主人様と共に新世界を作ると言うもの。主人公自身が世界崩壊を望む為、''主要キャラ以外のサブキャラは全員敵に回る。''サブとはいえ味方を殺さなければならない。そして主人公に賛同して力を貸してくれた主要キャラも試練の為に結局は殺すことになり、やっぱり最後は世界崩壊。 --「サタンになる」は主人公が新たな王となって現在の世界を存続させると言うもの。了解の上で大邪神の鎧を着た仲間達と正々堂々戦い、倒し、世界の未来を託される。そして新たなサタンとなり、ご主人様を花嫁として迎える…だけなら世界崩壊エンドよりハッピーエンド寄りなのだが、最後は''主人公の邪悪な笑いで終わる為''後味が悪い。 --「教皇を倒す」はご主人様は諦めるが、せめて世界の支配者である教皇を倒して、この悪しき世界を変えようと言うもの。一部のメンバーが離脱すると言う違いはあるものの、結局それで敵の化けの皮が剥がれて「自殺する」と同じ展開に。 --「平凡に暮らす」は他のご主人様でも見つけて奴隷に戻ると言うもの。世界崩壊は起こらないが、今まで戦ってきた意味を放棄し、ご主人様を殺しておきながら何の気兼ねもしないと言うもので、やはり後味は悪い。 -ここまでなら評価点に書くべきではないかもしれないが、本作はそれに加えて通常の世界崩壊エンドの後に''後味の良い結末が追加されている。'' --世界が滅び去り、主人公とご主人様が新たなアダムとイブ%%か、二人のアダム%%になる。と言う結末自体は変わらないが…。 #region(ネタバレ) -「新しい世界の神にも友達は必要だ」という創造主の判断により、死んだはずの仲間達全員と、敵対者の中で主人公達に理解を示していた一部の者達が無事に戻ってきて主人公と再会を果たすというシーンが追加されている。 -世界が滅びた事には違いは無いが、主人公とご主人様以外の人間は善人悪人問わず全て死に絶える無印に比べると遥かに救いのある結末である。 #endregion -後に発売されたPS版にはエピローグが存在せず、後味の良い結末を迎えられるのはDC版の特権となっている。 #endregion -演出の強化 --無印では戦闘時同様のマップとユニットでイベントシーンを作っていたのに対し、今回は同社の『[[サモンナイト]]』と同じ形式に。 --また、イベントスチル、アニメムービーの追加によって演出が強化されており、ストーリーの没入感はより強まった。 --何故か戦闘開始時の勝利条件とバトルタイトルの表示が''血の付いた脅迫状''((新聞の文字を切り抜いて貼って作るアレ。))のような画面になっており、よりダークで混沌とした雰囲気を強めている。 ---- **賛否両論点(DC) -第一章の仕様変更について --内容が充実したのは確かだが、その分SS版等に比べてパラメーター管理が複雑化。思うように主人公の初期ステータスを鍛えるのが難しくなった。 ---隠しイベントの条件も厳しいものが多く、情報無しで2年目に入るのは至難の業である。 --また、主人公のアイテムの食べ方がシュール。どんな料理や食物(''虫も'')でも一口で頬張る為、不気味、面白いと意見が分かれそう。皿に乗っている料理なら''皿ごと''である。 ---- **問題点(DC) -ビジュアル面 --アニメムービーの採用の為か、アニメーターでもあるそえた氏がイラストレーターに起用されているが、これが少々不評である。 --メインキャラは元に近いデザインだが、ザブキャラ達が揃いも揃って、原作とは似ても似つかないデザインになっている。それでいてユニットのグラフィックはそのままなので違和感が激しい。 ---特に酷いのはパリティと言うキャラ。元が金髪で緑の服なのに、新デザインは''青髪でピンクの服''と、似せる気がまるで感じられない。 --ザコ敵の顔もユニットとの乖離が珍しくなく、しかも整った顔立ちや美形が多かったつちや版に比べると異様に濃い顔ばかり。 --アニメもクオリティはそこまで高くはなく、作画、構図、演出も所々変な個所がある。シリアスなシーンなのについ笑ってしまうような出来になっている場合も。 ---- **総評(DC) キャラデザインやアニメのクオリティに難色を示す意見は多々あるものの、シナリオの加筆に演出の強化、ハッピーエンドの追加と総合的な充実度ではSS/PS版とは比べものにならない『BLACK/MATRIX』の「完全版」と言って良い。 ---- *BLACK/MATRIX+ 【ぶらっくまとりくすくろす】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00005OVS0)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 2枚|~| |発売元|NECインターチャネル|~| |開発元|フライト・プラン|~| |発売日|2000年12月14日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |廉価版|ベスト版:2002年3月7日/2,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス:2009年12月24日/600円|~| //|備考| | |判定|なし|~| |ポイント|DC版準拠でSS版に近い&br;ハッピーエンドは没収|~| ---- **概要(PS) 『BLACK/MATRIX』の二度目のリメイク。その名の通り、SS版とDC版を「クロス」させたような作品となっている。 ---- **特徴(PS) -キャラクターデザインがSS版のつちやきょうこ氏に戻り、イベント画面もSS版と同じ形式に回帰した。 -その一方でストーリーやマップはDC版に準じており、SS版とDC版をミックスさせたようなリメイクとなっている。 --DC版から登場した、戦闘前の脅迫状演出も健在。 -ただし、戦闘BGMが一部入れ替わっていたりと、細かい変更点も多々ある。 -DC版のようなセルアニメは無いが、新規のムービーが追加されている。OPも完全にオリジナルである。 -第一章の形式もSS版同様のミニゲーム選択方式に戻った。 --ただ、選択の方法や内容が若干変わっており、SS版に回帰しきったとも言い難い。 -探索パートはDC版同様のRPG方式。 ---- **評価点(PS) -DC版のそえた氏のデザインが不評だったので、つちや氏の再起用はファンを喜ばせた。 --イラストもSS版の使い回しではなく、PS版用に新たに描き起こされている。 -DC版の加筆修正されたシナリオをSS版のビジュアル、演出で楽しめるのは、SS版が好きだった人には大きな評価点と言える。 --イベントシーンの豪華さは薄れたが、ユニットキャラがチョコチョコと歩き回るイベントシーンはそれはそれで好評である。 ---- **問題点(PS) -シナリオ、演出の削除。 --ストーリーはDC版に準じているが、アニメムービーやイベントスチル、一部のイベントなど削られた箇所も多く、それを補う新要素も殆ど無い為、ストーリーが所々説明不足になってしまった。 ---特にアベルの兄・カインやファウストについては完全に謎の存在で終わってしまっている。 --第一章はDC版はおろかSS版からもイベントが削られており、物足りなくなっている。 --キャラの顔グラフィックから表情の変化が無くなっている。声優の熱演もあるので感情移入しにくい訳ではないが、他機種版をプレイした人には物足りなさが否めない。 -''エピローグまで削除されている。'' --エンディングはDC版同様のマルチエンドだが、ハッピーエンド的なエピローグが無くなっている。 --その為、例えトゥルーエンドでも後味良く終われなくなってしまった。描かれていないだけで、エピローグの展開はその後でちゃんとあったと解釈出来ない事も無い((DC版のエピローグの台詞によると、そもそも大邪神の力を持つ仲間達は簡単に死ねないらしく、ラストバトルで倒しても実は殺せてはいない。))が、描写が無い以上PS版のシナリオはそこで終了である。 --また、何故かトゥルーエンドの最後に表示される「GAME END」の文字がどう見てもバッドエンドにしか見えない。一方、バッドエンドである「平凡に暮らす」の結末ではグッドエンドにしか見えない明るい表示になっている。逆ではないだろうか。 ---確かに前者では世界は崩壊し、後者は悪しきままとは言え存続しているのでそれを示しているのかもしれないが、それにしても少々理解に苦しむ。 -細かい点だが、ジャケット裏のスクリーンショットの中に本編に無いシーンがいくつかある。 ---- **総評(PS) SS版をベースにDC版の要素を加えた、「クロス」したブラックマトリクスである。しかしエピローグを始め削除された要素も多く、両者の良いとこ取りとは言い難い出来である。~ とは言え、当時主流ハードであったPSのソフトと言う事で、ブラックマトリクスの認知度を高める事に大きく貢献したのも間違い無いだろう。 **余談(PS) 本作と『OO』はゲームアーカイブスで配信されていたが、2010年12月24日で配信終了となっている。今からプレイしたければ現物を手に入れるしか無い。 ---- **その後の展開(PS) -本作発売から2年後、PS2用ゲームソフト『BLACK/MATRIX 2』が発売された。『2』とはあるが本作とは繋がりは無く、「シナリオ工房 月光」がシナリオを担当した事もあり、作風が大きく変わっている。 --旧約聖書をモチーフとした独特の世界観だった本作に対し、悪魔の住む魔界、天使の住む天界、そして人間界というある種王道の世界観となり、魔王の弟である主人公が魔界を取り戻すべく、侵攻してきた人間軍やそれを背後から操る天使軍に戦いを挑むという判りやすい内容となっている。 ---別メーカーだが、後に出た『[[魔界戦記ディスガイア]]』とはその設定上、共通点が多い((主人公が魔王の血縁で、魔王の死から始まる。天使のヒロインがいる。人間が天使に嗾けられて魔界に侵攻する。ラスボスが大天使。など。))。 ---しかし、主にバッドエンドルートにおけるダークな展開はやはり『BLACK/MATRIX』であると思い出させてくれる。 --戦闘画面の3D化、ヒロイン毎のシナリオ分岐、全てが丸く収まるハッピーエンドといえるルートがあるなど独自要素を持つ一方、ボイスやムービーが一切無い簡素さや、ストーリーの短さと言った問題点も多い。 -2002年には、本作の神話で語られた時代よりも遥か過去を描いたとされる『BLACK/MATRIX ZERO』がGBAで発売された。 --絵柄はポップに様変わりしているが、内容やシステムは本作を色濃く受け継いでいる。 --その後、2004年には『ZERO』を大胆にリメイクした『[[BLACK/MATRIX OO]]』がPSで発売。詳細は当該記事を参照されたし。

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