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''このページでは海外版『Grand Theft Auto: San Andreas』(良作)に加え、同PS2日本語版(劣化/不安定/シリ不)と同PS3日本語版(劣化/シリ不)について紹介します。'' ---- #contents ---- *Grand Theft Auto: San Andreas 【ぐらんどせふとおーと さんあんどれあす】 |ジャンル|クライムアクション|&amazon(B0009ZC3VK)| |対応機種|Windows 2000/XP&br;Xbox|~| |発売元|Rockstar Games|~| |開発元|Rockstar North|~| |発売日|北米版 2005年6月7日|~| |定価|49.99ドル|~| //↑https://www.4gamer.net/games/021/G002124/ |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前作から飛躍的な進歩を遂げた&br;やり込み要素もシリーズ随一&br;米国議会から監査請求を受ける|~| |>|>|CENTER:''[[Grand Theft Autoシリーズ]]''| //|ポイント|新たなバグの存在するスマホ版|~| //スマホ版が基本情報欄に記載されていないため、こちらにCO。合同記事でもスマホ版の記事作成された場合に復帰するのも手でしょう。 ---- #center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br;&size(20){''本作はESRBからM指定を受けている17歳以上対象のゲームです。''}} ---- **概要 『Grand Theft Auto』シリーズの第5作。通称『GTA:SA』で、3Dに移行した『[[III>Grand Theft Auto III]]』シリーズとしては3作目にあたる。~ 今回はリバティーシティ、バイスシティと続きサンアンドレアス州が舞台となり、これまでの数倍にも及ぶマップが待ち受ける。~ その自由度の高さや広大さは過去最高峰を誇り、今なおシリーズ最高傑作と名高い一作。~ 海外ではPS2/Xbでも発売され、特にPS2版はギネス記録を持つ前作『[[VC>Grand Theft Auto: Vice City]]』以上の売り上げを達成、全世界で最も売れたPS2ソフトとなった。 ---- **ストーリー 1992年、アメリカ合衆国サンアンドレアス州。5年前、弟の死をきっかけに故郷グローブストリートを離れ、東海岸のリバティーシティで暮らしていた元ギャングのカール・ジョンソン(通称CJ、シージェイ)は、母親が何者かに殺されたという一報を受け、ロスサントスへ帰郷する。 帰着早々、トラブルに巻き込まれるCJ。因縁ある汚職警官フランク・テンペニー一味に見つかり、彼らに彼らが犯した警官殺しの罪を擦り付けられ、以降その汚れ仕事を請け負うことになってしまう。~ CJを待ち構えていた難題はそれだけではなかった。彼が生家に帰ると、兄のスウィートが率い、かつて自身も所属していたギャング団「グローブストリート・ファミリーズ」は、ドラッグと抗争の末に弱体化の一途を辿っていたことが明らかになる。彼の不在を責めるスウィートと仲間たち。~ 奮起したCJは、スウィートを始め、ギャング団の古参メンバーであるビッグ・スモークやライダーと協力し、他のギャング団との抗争を経て少しずつファミリーを立て直していく。 しかし、ファミリー再建に奮闘する最中、CJはテンペニーの企みによってロスサントスを追い出されてしまうことになる。~ ファミリーと切り離され、見知らぬ土地で孤立無援となった彼は、兄とグローブストリートを救うため、ラスベンチュラスやサンフィエロなど、サンアンドレアス州を転々としながら協力者を確保し、成り上がっていく。 (Wikipedia参照) ---- **特徴・評価点 ''フィールドの拡大'' -従来作品と比べ、フィールドが劇的に広がり、各マップの移動も読み込みが入らなくなった。 --従来の作品では別の街に移動する際にいちいち読み込みが入ったが、今作では読み込みがなくスムーズに移動できる。車で爆走している最中でもテンポを削がれることがなくなった。 --その代償か、逆にピザ屋などの建造物内に入る際には読み込みが必要になった。 ''滑らかになったキャラモーション'' -キャラクターのモーションが従来に比べ格段に滑らかなものになっている。 --ぎこちなかった車への乗り降りやダッシュがかなり自然な動きになっている。 ''広くなったマップ'' -従来は基本的に1つの大きな都市のみが舞台だったが、本作は都市が3つ存在する「サンアンドレアス州」が舞台で、従来のような都会以外にも山岳地帯や田舎、砂漠など多種多様な地域が用意されている。そのスケールは前作『バイスシティ』の約5倍である。 --サンアンドレアス自体は元々リバティーシティ、バイスシティと同様に、[[初代>Grand Theft Auto]]に登場したエリアの1つであり、当時は町の名前であった。前作、前々作で洋上の都市へと再構成された他の街とは異なり、サンアンドレアスは広大な州へと生まれ変わった。 ---マップの広さこそ『[[V>Grand Theft Auto V]]』に譲るが、様々な地域を用意して且つ複数の都市を収録しているのは、現在でもシリーズ中は本作のみである。 --都市は「ロスサントス」「サンフィエロ」「ラスベンチュラス」の3つで、最初はそれぞれへと渡る道路を封鎖されている。そこからストーリーを進めていくごとに行ける範囲が広がっていく((ちなみに、海を泳ぐなどして強引に行くことも可能だが、手配度が4も付くためまともに見て回るのは不可能に近い。))。 ---本当にごくわずかだが、リバティーシティに行くこともある。 --各都市はロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスをそれぞれモデルとしており、実物に似たものも多いのでモデルを探すのも面白い。 --1990年代初頭のアメリカ西海岸が舞台であり、シナリオの大筋に関わる部分から街中の細かい部分まで当時を彷彿とさせる描写は非常に評価が高い。 ---それ故にメインのストーリーも従来に比較してかなり長く濃い内容となっている。ギャングチームの抗争に始まり、仲間の裏切りによるゼロからのやり直し、協力者を得るために各地を奔走、麻薬シンジケートとの戦いやマフィアのカジノへの強盗、故郷への帰還、街中を巻き込んだ大暴動、そして宿敵との最終決戦など、ハリウッドの大作映画ばりの壮大な展開が幾つも詰め込まれている。 ---ミッションも各地域の特色を活かしたバリエーションに富んだもの多く、プレイヤーを退屈させない。 --シリーズおなじみのカーラジオもツボを押さえた選曲。ギャングスタラップやオルタナティブロック、カントリーミュージックなど、当時の流行をしっかり網羅している((ちなみに、当時のCM曲としてGuns N' RosesのWelcome to the Jungleが使われていた。本曲はもちろんラジオとして収録されている。))。 ''新たな乗り物'' -自転車、貨物列車など、新しい乗り物が増えた((貨物列車を自由に運転できるのは、本作が唯一である。なお、『V』では特定ミッションのみ限定的に運転可能。))。 //旅客列車は『初代』(PC版)でも運転可能 //飛行機はVCにも存在します --それに伴い、各乗り物専用のミッションも追加されている。無論タクシー、消火、救命、処刑と言ったお馴染みのミッションも健在。 --列車はミッションもあるためか、ロックスター社のオープンワールドゲームの中で、唯一挙動がリアルよりに作りこまれている((車と比べ緩やかに加速し、停止もゆっくりだが最高速度は速い。))。 --既存の乗り物(自動車、バイク、飛行機やヘリ)も種類が大幅に増加。また、同じ名前の車種でも例によって本作でもほとんどが新デザインである((例外的に、皆勤賞のstalionやcheetah、バイク系、各種緊急車両などはほとんど変わっていない。))。 --特に本作での追加車種は日本のスポーツカーをモデルにした車両が多く、シリーズを通して「最強の車」と同義である「infernus」も本作ではホンダNSX風となっている((これらも、作品の舞台である1992年としてはさほど違和感のないチョイスが多い。))。 ---また、ハリアー風の垂直離着陸戦闘機「Hydra」も登場。実質的に最強の乗り物である。 --車の破損再現が若干であるがリアルに。過去作では衝突を繰り返すと真っ先に脱落していたボンネットフードが外れにくく、逆にバンパーなどが先に外れるようになった。 ''自由に変えられる外見'' -プレイヤーの外見はシリーズで最も自由に変えられる。服装、髪型、タトゥーに加え、体型すら変更可能。 --ジムでトレーニングに勤しめば格闘の強化に繋がるだけではなく外見もマッチョになっていくし、運動もしないでピザやハンバーガーばかり食べていると腹が出てくるといった具合である。 --服装は上半身・下半身・靴・ネックレス・時計・メガネ・帽子を組み合わせることができる。服は各所にあるショップで購入でき、また試着もできる。 --ショップはカジュアルからスポーツ、ブランドなど数種類で、条件を満たさないと入れないところもある。また、ミッションなどで手に入るスペシャル服もある。 ---タトゥーと髪型は店ごとにメニューが違う。 --これらの変更した外見がミッション中のムービーにそのまま反映されるのも嬉しいところ。 ''アクションが大幅に強化された'' -従来ではジャンプで飛び越せる程度の段差しか越えられなかったが、本作ではぶら下がりとよじ登りが追加された。これによってより自由で幅広い探索が可能になった。 --素手攻撃についてもただ殴ったり蹴ったりするだけではなく、街にあるジムで習得すれば新たな格闘攻撃を繰り出すこともできる。 --ナイフを装備した状態では背後から相手に気付かれず首を掻き切る「ステルスキル」が可能となった。これを活用するステルスミッションも存在する。 --主人公が泳げる。揃ってカナヅチだったため、「水に入る=死亡」だった歴代主人公とは大違い。ただでさえ広大になったマップでさらに行動範囲が広がっている。水中深く潜ることも可能で水中に隠されている隠しアイテムもある。 ''パラメーター'' -主人公に明確なパラメーターが設定された。体力以外にスタミナや腕力、各種武器や乗り物のスキル、カッコ良さ、リスペクトと、主人公の強化と言う新たなやり込み要素が増えた。 --スタミナと筋力は主にジムでトレーニングを行うことで強化できる。筋力を上げれば近接攻撃全般の威力が上がり((チェーンソーの攻撃すらランダム性があるとはいえ有意に威力が上がる。))、スタミナが上がればダッシュできる時間が伸びる。 --武器スキルを一定量上げるとギャングスター、さらに上げるとヒットマンとなり連射性能やロックオン範囲が拡大したり銃の精度が向上したりする。 --拳銃やサブマシンガンでは二丁拳銃も可能となる。初期状態のCJは『III』のクロードや『VC』のトミーに比べて銃の扱いが下手なため((今作からプレイヤーの銃にも精度の概念がより本格的に変化されたのもあるが。))、ミッションを進めていく上でも強化は必要になる。 --水中に潜れるため、水中で行動可能な時間を示す肺活量も存在する。これは実際に水に潜って鍛えなければならない。 --リスペクトは仲間ギャングからの尊敬度であり、高ければ高いほど仲間を多く連れて歩ける。ミッションをクリアしたり敵ギャングやヤクの売人や警官を倒すと上昇する。また、髪型や服装も影響する。 --カッコ良さはガールフレンドを作れるか否か等に影響する。服装や乗っている車で上下するが、ガールフレンド以外には役に立たない。 ---服装も、『VC』の首から下を丸々取り換える人形のような感じの変更から、上下や靴、アクセサリーなど細かく変更できるように。 ---自動車の改造も可能となった。 ''やり込み要素'' -各種レース、教習所、隠しアイテム集め、物件ミッション、デートイベントと、旧作はもちろんその後のシリーズ作品すら比較にならないほどやり込み込要素が充実している。 --町に点在するバーなどでビリヤードができたり、自宅やコンビニのゲーム機でレトロゲーム風のミニゲームが出来たり、ダンスなど音ゲー要素があったりカジノで遊べたりと追加要素を挙げたらキリが無い。 --他にも、やりこみ要素としてスナップショットという、カメラで場所を撮影するものがあるが、このカメラを人に向けるとポーズをとってくれる場合があったり、ストーリーの進行に応じて一部衣服アイテムの値段が変動したり(内容と関連)といった要素も。 --それだけにシリーズ常連だった殺戮ミッション(メッタ殺し)がなくなったことには一部で残念との声が上がった。 ''通行人からの言葉に返答ができるように'' -CJが視界に入っているNPCがたまに質問することがあり、一般の人からは見た目の評価の言葉(例:「(体を)鍛えてるね」)など、ギャングからは基本的にギャング関係の質問(例:「お前ギャングメンバーか?」)をしてくる。 --CJは肯定的もしくは否定的な返答ができるが、片方は相手がCJに攻撃し始める可能性がある返答になっている。相手が敵対した場合は2秒棒立ちしてから攻撃し始める。一般の通行人よりギャングのほうが敵対する可能性が高い。ただし相手がグローブの場合はCJの返答が通行人用のものになり、相手が敵対することも絶対にない。 ---無視した場合は相手から無視したことに対するボイスが流れる。なお、質問後にどちらか一方でもダメージを受けると返答できない。 ---ギャング関係の質問はギャング関係のことに肯定的か否定的かを選ぶ点が、肯定的に受け取るか否定的に受け取るかを選ぶ一般の人からの質問と違う。 --返答できる質問がされたか音声以外にわかることは受付中はCJが相手の顔を追うことぐらいであり、英語に慣れていないとこの対話機能を楽しむどころか存在することに気づくのも難しいだろう。 --ちなみに、チート(及びMOD)で通行人やグローブ以外のギャングを部下にしても返答できる言葉を言うのは止められないが、''返答のせいでうっかり敵対してしまうとCJの指示を一切聞かなくなる。'' ''キャラクターも魅力十分'' -主人公であるCJがアクションを行うごとに叫んだり喋ったりする。悪口も多くギャングスターという雰囲気がよく出ており、単純に聞いていて面白い。放置しているとラップを歌い始めたりとユーモラスあふれる一面も見れる。 --犯罪を厭わないギャングながらも家族や仲間を大切にし、彼等のためなら無理難題を押し付けられようと(嫌味を言いながらも)引き受けるなど好感の持てる描写が多く、単なる犯罪者に留まらないキャラクター的な魅力を備えている。この性格は大なり小なり以降のシリーズの主人公達に受け継がれていく。 ---本シリーズの主人公はその性質上様々な分野に長けた多才であることが多いが、CJは本作のミッションの豊富さもあって、シリーズでも屈指の高い能力を誇る主人公となっている。 --『GTA』らしいイカれた連中はもちろん、地元を愛する熱い兄貴スウィート、頼れる相棒のシーザー、何度も無理難題を押し付けるが最後には粋な計らいを見せてくれるトレノなど、純粋に魅力的なキャラも多い。 --前作、前々作のキャラも多数登場する。時系列では『VC(1986年)』→『SA(1992年)』→『III(2001年)』となっているので、前作のキャラのその後が判ったり、前々作のキャラの過去が明らかになったりなどシリーズファンには嬉しい演出となっている。 ---当時は不明だった『III』の主人公の名前がクロードと明らかとなったのも本作である。 ''より自然となった航空機の挙動'' -手配度3以上で出現する警察のヘリやたまに出現する航空機の挙動がより自然に。 --ゲーム側で空中でスポーンする航空機が特定の場所にスポーンするものと同じものを使うようになり、より自然な形で干渉できるように。 ---スナイパーライフルを使ってローターを狙撃するかロケットランチャーの爆風を当てる以外ではなかなか落ちなかった、手配度3以上で出現する警察のヘリが地上に野良湧きするヘリと同じぐらい簡単に壊せるようになった。 --『VC』までと違い、全車爆発チートでも破壊可能。また、『VC』までと違って頑張れば手配度3以上で追跡してくる警察のヘリをそのまま奪うこともできる((『III』『VC』『LCS』(PSP版)では、バグのせいで仮に手配度3以上で追跡してくる警察のヘリなどのドアが存在しない車両のドアを開け閉めしようとするとゲームがクラッシュしてしまう。))。 ---また、まれに空中に出現する航空機は巨大な航空機を除いて普通の攻撃でダメージを受けるようになり、全車爆発チートで破壊することもできるように。地形と衝突して周りがカオスになることすらある。 ---もっとも、これらの航空機はスポーン頻度が少ないので(建物から出た直後は比較的出やすい)見る機会は少なめなのが残念か。 ''一部改善点'' -ロケットランチャーなどの発射物が撃った人に当たって爆発しなくなった --『VC』までは発射物や投擲物は撃った人に対しても衝突し、それが衝突で即爆発するものだった場合は結果的に即爆発してしまうが、それが発射物や投擲物は撃った人本人や撃った本人が運転している車両には衝突しなくなった。 ---チートなしで見れる例だと、それなりに速度が出ている車両の上でロケットランチャーを車両の速度の方向に向けて撃つと『III』や『VC』ではプレイヤーに当たって即爆発するが、『SA』だとプレイヤーには衝突せず爆発しない((上に乗っている車両に当たった場合は爆発する。))。 ---チートありだと、『III』の武装チートでロケットランチャーを持った人に攻撃させるとほぼ確実に即自爆していたが、それが『SA』だと絶対に見れなくなった。 ---『III』系の『GTA』では車両から撃つ発射物は撃つときに本来の発射物の初速度と別に車両自体の速度も合成されて発射される関係上、撃った戦闘機のミサイルが撃った瞬間でも戦闘機より遅れているということにはならない。 ---- **賛否両論点 ''過激な描写も若干ながらヒートアップしたこと'' -従来作と同様に過激な描写が相変わらずあるが、今作ではコンバインで人を''収穫''できる((あるミッションではコンバインを強奪することになるのだが、帰り道に収穫してくださいと言わんばかりに敵が出現するようになっている。))。「銃で頭を吹き飛ばす」「チェーンソーでバラバラにする」といったものとはまた違った意味でショッキング。 ''グラフィックがさほどきれいになっていない'' -グラフィックが日進月歩であったPS2時代においては、最早タイヤなどはカクカクであり、正直ローポリ感は否めなかった。 --一応水に潜ることができるようになったため、その辺のグラフィックは旧作よりは向上している…はず((その他車のパーツの破損表現などは少し向上している。))。 ---- **問題点 ''警察の挙動に難あり'' -主人公が敵ギャングを攻撃した場合、警察は主人公を犯罪者と見なして手配度が上がるのは当然のこととしても、敵ギャングが主人公を攻撃するのを目撃しても警察はスルーしている。 --これに対し主人公が警官の近くで反撃した場合、一方的に警察は主人公に攻撃してくるが、全くNPCに反応しないというわけではなく、警察が直接攻撃された場合は相手の武装に関係なくピストルで反撃してくる。乗っているパトカーに攻撃された場合もピストルを装備して応戦する。 --また、プレイヤーやNPCに銃で応戦していたなどで銃火器を装備しているときであれば銃声を聞くとすぐさま反応して攻撃する。 --一方で、スポーンしてまだ犯罪に対応していないなどで銃火器を装備していないときに他のNPCから銃火器で攻撃されると逃げてしまう。 --このような挙動から誤解されることもあるが、ギャングへの攻撃が一般市民への攻撃と同じだけ手配度が上がりやすいわけではない。 --『VC』と同様に、ギャングや犯罪者(いきなり車を奪う人)やヤクの売人などの悪い人に対して犯した犯罪は、そうでない人に対して行ったときより手配度の内部数値の上昇値が低いためである。 -『VC』では警察に追われている犯罪者に打撃攻撃を加えた場合、犯人逮捕に協力したとして報奨金が貰える上に手配度もつかなかったが、今作ではこれを行うと主人公に手配度がつく。無論警察は逮捕対象を主人公に変えてくる。あんまりだ… ''ステルススキル'' -消音ピストルやナイフでのステルスキルが手配度の上昇面で優位性がない。 --消音ピストルはNPCが発砲に反応して逃げたり銃を持ったNPCが攻撃してきたりするのを回避できたり、一部のミッションで例外的に発砲しても発覚扱いにならない措置がミッションスクリプト側で取られたりするなどの優位性はあるが、手配度面ではいかなる状況でも優位性はない。 --孤立した状態であっても変わらない。消音ピストルを当てることによる手配度の内部数値の上昇値は普通の銃弾や爆発と全く同じである。 --ナイフでのステルスキルは、一部のミッションで敵に一発でも発砲を許すと発覚扱いになるミッションで敵に反撃を許さず殺す手段としては有用だが、手配度の内部数値の上昇値ではむしろナイフを振って普通に攻撃するほうがどんな場面でも圧倒的に小さい((『VC』ではナイフやチェーンソーなどの刃物で攻撃すると銃弾や爆発以上に手配度の内部数値が上がっていたが、『SA』ではどの近接武器でも上昇値は同じで、1人に攻撃するだけならほとんど上がらない。))。 --スナイパーライフルで狙撃した場合も手配度の上昇値は状況に関係なく同じだが、これはどの『GTA』シリーズでも存在する問題点である。 ''一部ミッションが高難易度'' -もっとも『GTA』シリーズは総じて難易度が高めのミッションが多いため、今作だけの問題ではない。恐らく今作のミッションの難易度が高めと思われる要因は下記の影響も少なからずある。 --シリーズ中最もレース関連のミッションが多く、かつメインストーリーの進行上必須。 ---本作以外のシリーズではレースは寄り道要素であり、メインストーリーではあったとしても簡単なものが1回程度。 ---カーチェイスを乗り切るくらいの腕があればクリア可能だが、本作だけはメインストーリーでもガチでレースゲームのスキルが必須。公道レースのミッションだけでも3度あり、その全てで1位を取らなければならない。 ---ローライダーレース(ミッション名:High Stakes, Low-rider)に至っては対応カテゴリーの車でないとミッション自体が進まない、直前のミッションで対応した車は手に入るもののガレージに格納した状態のデータを取っておかないと、再開時に対応した車を確保するところからになってしまう別の難易度がある。 --問題なのが教習所。飛行教習所はクリアしないとメインストーリーが進まず、自動車教習所も一部の大筋に絡まないメインミッションを進めるのにクリア必須。しかもそれなりのテクニックが要求されるため、普段のような自由な操縦・運転ばかりしていると行き詰ってしまう可能性もある。 ---『[[グランツーリスモ>グランツーリスモシリーズ]]』のライセンスを簡単にしたものに近い。『GTA』らしい破天荒な内容もあるのが救いか。 ---面倒ではあるが、ここで得られるテクニックには後のミッションの過程で必要になるテクニックも含まれている。ある意味ストーリーの一環ではある。 ---もっとも、試験内容には宙返りで所定の位置に着地するなどスタントマンレベルのテクニックを要求され、一般の教習免許を取る内容としては疑問符の付くものも。 ---当然ながら難易度は徐々に上がっていき、最後の方はもはや運にすがらなければクリアできないような内容も存在している。ただ、完全に運ゲーというより、あくまでもプレイヤーの操作スキルがあろうとも運によってクリア・評価が妨害される可能性があるという話。 --救命ミッションも、「患者を搬送している時にぶつけると時間の減りが早くなる」などただでさえ時間に厳しい上に、終盤になると「どれだけNPC車がぶつけずにいてくれるか」「患者がどれだけ近くにいるか」がクリア可否に繋がる運ゲーと化してくる。 --一部、教習所・ライセンスと被るが、あるミッションで開始の条件として肺活量(lung capacity)のステータスが一定以上であることが求められる。 --ただしこのステータス、何かクリアすれば一気に上がるというわけではなくひたすら水に潜る(息を止める)ことでしか上がらないため、いわゆる経験値稼ぎをしなくてはならない。 --ステータス上げはオイスター回収と並行してできるものの、オイスター自体が隠しアイテムであり存在を知っていなければ"ついで"にやることもなく単調な稼ぎにならざるを得ない((一部ネットでオイスターを回収すると肺活量が飛躍的(大幅)に伸びると書かれているがデマであり、回収するとき水に潜らなくてはならないため必然的に伸びていたのを後からステータスだけみて勘違いしているだけである。))。 ---新しいことをさせたいのはわかるが一々ハードルを設けなくてもよかったのではないかと。 ''後半のミッションの移動が冗長'' -後半になると航空機を操縦するミッションが多くなるのだが、飛んだ後パラシュートで降下するといったものはともかく本当に飛び続けるだけといったものもあり、ムービーなどで省略できなかったのかという疑問はある。 --単純に飛行時間が長くなりがちで、それが連続することも拍車をかけている。 ''一部不備'' -ミッションによっては、回復の(隠しコマンドとしての)チートのせいで逆効果的に自滅してしまうものもある。 --車両に乗っている状態で回復チートを使うと耐久値が(野良車の)スポーン直後の値を超えていても戻ってしまい、さらに一部のミッションでその値以下になると強制的に爆発してミッション失敗させるため。 --ただ、一部難易度が高いとは言われているがチートありきで設計されているわけではない以上、噛み合わないことが出てしまうのは仕方がない。 ''命中率関連バグ'' -最後に乗った車のせいでNPCに銃撃されると命中しやすくなる場合がある --最後に乗った車両が存在し、かつそれがバイクや自転車以外のときにNPCから狙われると狙っているNPCの弾があまり拡散しなくなってしまう((狙われているターゲットがCJでもNPCでも起きる。))。 --ピストルなら(売春婦や犯罪者などデフォルトの命中率で)最大40度ほど狙いがズレるのが最大10度ほどしかズレなくなるようなバグだと言えばわかりやすいだろうか。 ---本来は車両から降りれば徒歩用の拡散になるはずだが、現在乗車しているもしくは最後に乗車した車両のポインタの存在(共用)をチェックして拡散を変えるため、降車してもすぐ徒歩用に戻らないために起きるバグである。 --このバグ自体はモバイル版含むどのバージョンでも発生するが、RTAでは特に問題になりやすい。RTAに挑戦する場合は「gta sa ai accuracy glitch」などで検索してこのバグの影響の大きさを認識したほうがよいかもしれない。 --Win版であればSilentPatchで修正可能。 ''不審な効果音'' -CJやNPCが衝突以外のダメージで死亡してもペチャリと衝突したような音がなることがある --ライフがゼロなのに死ぬのが遅れたときに、最後に受けたダメージが衝突ダメージ以外でもペチャリと骨が折れたような音がなることがある((ライフをゲーム側のスクリプトやMODでいじってゼロにした結果人が死んだとき、『SA』以外の『III』から『VCS』までの『GTA』では断末魔含めとくに音は出ない。『IV』以降では断末魔だけ。))。 --たとえば、警官がNPCを攻撃している間に死亡したときや、CJが燃えている間に屋内と屋外を行き来し、暗転終了までにライフが無くなってかつ燃えていないときに起きる((暗転終了後も燃えている場合は焼死処理されるので問題の音はならない。))。 ---- **総評 シリーズ屈指の完成度を誇る「''究極のGTA''」と呼ぶに相応しい作品である。『V』が出た今なお、シリーズ最高傑作と名高い。~ 更に広大となったマップ、それを活かす大規模なストーリー、そして自由度。それのみならず、やり込みや遊び要素の豊富さもシリーズ全体でトップクラス。~ 『IV』以降から入ったユーザーにとっては古臭く見えるかも知れないが、その印象を吹き飛ばす程の魅力を確かに持っており、強くお勧めできる一作と言えるだろう。 ---- **余談 -今でも海外Win版、特に修正前バージョンの需要が高い。カーラジオのカスタマイズやMODの導入で様々な動画も作られている。 --修正版はMODが使用できないといった問題があったが、その後回避手段が発見された模様。 --海外Win版はWindows XPまでのサポートであり、Vistaとは相性が悪く、正常にプレイできない事例も多い。7は比較的プレイしやすい模様。 --%%現在ではSteamでも配信されており、入手やプレイは容易になった。%%ラジオの曲は一部削除されている。~ 後述の『決定版』と関係してか、Steamでの販売は終了した([[Steamストアページ>https://store.steampowered.com/app/12120/Grand_Theft_Auto_San_Andreas/]])。 ---Steam版はv3.00という扱いらしく、修正版同様にMODの利用には対策が必要。ただこのバージョンに対応しているスクリプトMODも少数ながら存在する。 --非公式ながら有志の製作した日本語化MODの導入が可能。当初は字幕全てをひらがな化する形での日本語化しか出来なかったが、現在は漢字も含む通常の字幕表示が可能なMODが公開されている。 -後にスマホ(iOS/Android)に移植された。 --高解像度化しており、グラフィックは綺麗になった。UIもスマホ向けに調整し、バーチャルパッドによる操作となっているが、MFiコントローラーにも対応している。 --北米版に各言語字幕を収録しているだけなので、規制は一切無し。 ---一方で日本語字幕に関しては、後述するPS2日本語版がベースになっており(一部訳の変更や修正あり)、ポン引きミッションが「人材派遣」へと名称変更、不自然な設定もそのまま残っている。また日本語に対応する為か、地名表示などを含めたほぼ全てのフォントが専用のものから一般的なゴシック体になっている。 --ミッション失敗時にその場でリトライが可能となっていたり、死亡時に限り武器を失わないなど、後発のシリーズに合わせた仕様変更がなされている。 --返答できる質問をされたときに専用のUIが出るようになっている。タッチスクリーンでなくコントローラーで操作していてもこれは出る。 ---- **HotCoffee問題 ここまでの通り本作は確かに日本を含めた全世界で多くの人に良作と言わしめる作品だった。しかし、PC版でのたった1つの問題が、本作品のその後を大きく動かしてしまった。 -そのPC版について全米で話題になった問題というのが、「''HotCoffee問題(Hot Coffee minigame controversy)''」である。詳しくはWikipediaなりで記述されているが、簡単にまとめると以下のようになる。 +PC版『GTA:SA』の制作中に''ガールフレンドとの性行為''を模したミニゲームのプログラムを用意したのだが、アメリカにおけるゲームレイティングをMature(現在の日本のCOLOR(orange){''CERO:D''}及びCOLOR(red){''CERO:Z''}と同等で直接的な性描写は入れてはいけない)にするため封印、ゲームではそのプログラムを呼び出せないようにした(データは残っている)。 +発売後、オランダ・デーフェンテル在住のオランダ人ハッカーのパトリック・ウィルデンボルフが、このプログラムを呼び出せるようにした「HotCoffee」というMOD(いわゆる改造プログラム)を公開した。 +当初はウィンデンボルフ氏の責任が問われたが、自分は封印を解除しただけだと責任を否定。 --実際、問題になったバージョンでは規制を1つのグローバル変数(セーブデータに保存される変数)だけで行っており、現在はセーブデータの互換性を壊さずに解除できるMODもある。''故にロックスター側の責任だと言い切れるのである。'' +この問題に対し米国議会が開発会社のロックスターに調査を行った。このことや様々な集団訴訟、世論のバッシングなどもあってロックスターは色々な意味で大損害を被った。&br;ちなみに、米国議会におけるこの批判の中心となったのが、当時上院議員だった''あのヒラリー・クリントン''((第42代大統領ビル・クリントン氏の妻で2008年及び2016年の大統領選挙の民主党側候補者の1人。))だった。 +結果、このデータを取り除いたv2.00の販売等を余儀なくされる。 --ちなみに、『IV』には自由の女神をモチーフにした「幸福の女神(Statue of Happiness)」が登場するのだが、松明の代わりにホットコーヒーを持っていたり(ご丁寧なことに湯気が出てる)、顔がヒラリー氏にそっくりであったりと本問題をネタにしている。 --また、欧州ではレーティングそのものが厳しく元からAdult Only(≒18禁)になっていたのであまり問題にならず、またv2.00の修正版の販売をしなかった。 ---- **その後の展開 -2021年11月11日に本作と『III』『VC』のリマスター版がセットになった『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』がPS5/XSX/PS4/One/Switch/Winで発売された。 --この『トリロジー:決定版』は『III』の3部作に操作性の改善・ライティングシステムの刷新・ナビゲーション機能の強化・テクスチャの高解像度化・キャラクターと車両モデルのアップグレード・描画距離の増加と言ったリマスターが施されたものとなる。 --また、Switch版にはジャイロエイムやタッチスクリーン操作、Win版にはNVIDIA DLSS対応と言った独自要素が追加されている。 ---なお、キャラクターモデルは『IV』『V』のようなリアル調ではなく、『FORTNITE』のようなカートゥーン調に変更されており、それこそパッケージイラストを忠実にゲームに落とし込んだようなグラフィックとなっている。 --発売前は期待されていたリマスター版だったが、発売後は''3作共通で大量のバグ追加や演出の改悪が大問題となった。''さすがに発売後1ヶ月足らずのパッチで大部分は修正されたが…。 ---ちなみに、Win版は発売から数日間は購入が出来ない状況だったのだが、その原因は''上記「HotCoffee」のデータがゲーム内に残ったままだった''ことにあると[[GameSpark記事>https://www.gamespark.jp/article/2021/11/15/113548.html]]にて示唆している。 #region(オリジナル版とリマスター版の比較動画) #video(https://www.youtube.com/watch?v=fsk3YRS8IUc&t=1s) #endregion -2021年10月29日に本作のVR版がOculus Quest 2用ソフトとして開発されていることが明かされた。 ---- *グランド・セフト・オート・サンアンドレアス(PS2日本語版) |ジャンル|クライムアクション|&amazon(B000L8O21Y)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|カプコン|~| |開発元|Rockstar North|~| |発売日|2007年1月25日(PS2)|~| |定価|7,329円(税込)|~| |廉価版|Best Price!&br;2007年7月12日/3,140円&br;2009年7月23日/2,080円&br;ROCKSTAR CLASSICS&br;2012年9月29日/1,800円|~| |レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|''規制でゲームバランス崩壊''&br;規制により自由度も減った&br;表現の規制も多すぎ&br;|~| |>|>|CENTER:''[[Grand Theft Autoシリーズ]]''| ---- **概要(PS2日本語版) 『GTA:SA』の日本語ローカライズ版。発売は『III』や『VC』のローカライズを担当したカプコンにより行われた。~ 本作は世界的にも高い評価を得た作品であり、日本国内でも日本語に対応した上で発売を求める声は当然ながらとても高いものになっていた。~ しかしその一方で、HotCoffee問題により米国議会までも入ってくるなど全米で話題になってしまった作品でもあるうえに、この問題とほぼ同時に起きた神奈川県における『III』の有害図書指定をめぐる騒動((日本語版『SA』の発売にも影響を与えた可能性は否定できないので一応、以降にも記述))が起きていた。~ そのため、ローカライズによる規制については発売前からかなり危惧されていた。 2つの事件のあおりを受け、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCE)等が自主規制の強化を表明。2005年秋予定だった本作の日本語版発売は暗礁に乗り上げ、紆余曲折の末、2007年1月に遂に発売に至った。~ しかし、その過程の末に出たPS2日本語版は本来の放送禁止行為とは関係ない箇所さえも容赦なく規制が施された物だった…。 ---- **問題点(PS2日本語版) ''醍醐味やゲームバランスを無視した規制により、新要素や本作独自要素を中心に悪影響が出ている。'' -''敵を含む誰かに対して特定の攻撃を1発でも当てただけで強制的に指名手配が付く。''これのせいで「CJが敵と警察の双方に狙われる」問題がより深刻化するなどの弊害も発生している。 --強制的に指名手配がつく攻撃の種類は銃弾と爆発と火炎。対象外なのは「近接攻撃(人に密着して銃で殴る((海外版では銃を持って人に密着して殴る行為は人に銃弾や爆発物で攻撃するのと(手配度の上がりやすさの面で)同等の犯罪行為であった。))、ガールフレンドへのプレゼントによるものも含む)」「車両などでの衝突による攻撃(ヘリのローター含む)」「消火器やスプレーでの攻撃」だけ。 //銃や爆発物を使った攻撃(銃で密着して殴る行為も含む)と、素手や近接武器で攻撃するのは手配度の上がりやすさの面で「明らかに」違います。 --海外版と比較して、指名手配によりミッションの難度が上がってしまう確率も高まっている。中には不可避の戦闘により確実に難度が上がってしまう場面も。 //その代表例はラスベンチュラスの送迎ミッション「Don Peyote」である。追っ手を素早く殲滅しないとそいつが運転する車に送迎対象がひき殺される危険性があり、素早く殲滅すると★2で手配されてしまう(経験談)。 --縄張りを奪うギャング抗争にまで影響が及んでおり、抗争が終わる度に警察から逃げてはまた縄張り争いをしなければならない((抗争中は即座に手配レベルが0から1に上がる犯罪以外では手配度の内部数値が上がらないので、警官を攻撃する等をしても手配レベルが1から2以上に上がることはない。))。 ---手配レベルが1でも2と同然の状態になる、ストーリー終盤のとある状況下では特に顕著である。 --手配されていない状態で死体を撃っても即手配されてしまう。こちらは海外版でもちゃんと犯罪扱いになっているので手配度が上がる可能性があるが…。 -倒れている相手((厳密には攻撃者側よりある程度低い位置にいる相手。))に踏み付けなどの追い打ち攻撃をすることはできなくなった((NPCも使えない。銃の手動照準による追い撃ちは可能。))。 --銃を持っていない、銃が使えない状況での戦闘が発生するミッションもあるため、倒れた敵を踏みつけられないが為にテンポが悪化している。 ---さらに、追い打ち攻撃ができないせいで、倒れている間に一二段目の攻撃を空振りで調整され、くらうと行動不能になる時間が他の近接攻撃より長めの三段目の攻撃を起き上がった直後に受けるという、たちの悪いハメ技を食らってしまう。 --ジムで習える技の中には追い打ち攻撃もあるが、これも削除されている。 --その一方で、あるミッション中にCJが倒した敵の死体をモブ女性が踏みつけるアクションだけは(実際の攻撃ではないが)そのまま。不公平である。 -これに関連して、ロックオン対象が死亡した時にロックオンが強制的に解除される(自由照準になる)ようになり、銃で死体を撃ってもまったく動かなくなった。 -ゲーム性にも関わるダメージ描写も規制されている。 --人を轢殺したときの効果音((CJの落下死や上述の死亡フラグ管理ミスで聴くことはできる。))が削除された。 ---一定以上の速度をもつ車両との衝突によって(車両による突き上げなしで)上に飛ぶか一瞬で倒れた場合は必ず即死になっているが、このときの骨が折れたような効果音が日本語版では出なくなっている。 ---先述の金を落とさなくなった規制も相まって、敵(人)を轢き殺せたかが少し判り辛くなった。 --CJも含め、人が火炎ダメージを受けている際のボイスが流れなくなった。 ---このせいでCJが火炎ダメージを受けているか確認するには、燃えていてかつHUDでライフが継続的に減っているかをチェックする以外に方法がない。 ---火はついているが火炎ダメージを受け付けない為にボイスを出さない仕様((例:消火ミッションで消火する対象の燃えている人。))と紛らわしい。 ---そして火炎ダメージで死亡しても焼死体として描写されない(死体が黒っぽくならない)。 --ヘッドショットを決めた際の頭部が欠損する描画は『日本語版III』や『日本語版VC』と同様になくなっているが、『III』と違い規制解除する手段が存在しない。 ---頭部の欠損に関わるフラグも変わらないせいで、勝手に消える可能性がある人を蘇生するのを確実に阻止する手段がなくなった。 ---また、どう殺しても殺したあとのシーンの演出が変わらないミッションがあったり、死体を証拠写真として撮る必要があるミッションで頭部を欠損させて失敗するパターンを見れなかったりする((こちらは大きな不利益はなく、ささいな違いと言えるかもしれない。))。 -金を得る手段も減った。 --人を殺害しても金が出なくなった((「アイテムとしての金」自体はあるメインミッションで回収するものとストリップクラブで投じた金として見ることはできる。))。 --サブミッションの一つの「ポン引き(人材派遣)」と、採石場のあるミッションも削除された。 ---金策ではなく指名手配に関わる弊害ではあるが、ポン引きミッションを用いたバラスが攻撃してこなくなるバグ技も使えなくなっている。 --このためマップ上に落ちてる武器、アーマーの拾得が海外版と比べて重要になる。 -これだけ規制しておきながら、何らかの上方修正といった代替措置の類は''一切無い。'' ''ゲームバランスに関係しない描画、設定も規制されている。'' -残酷描写も削除された。 --あるミッションで警官が異常接近したヘリに巻き込まれるシーンでは、巻き込まれる瞬間に次のカメラアングルに切り替わる。 --コンバインで人を轢いた際、バラバラ死体が排出されなくなった。それなのに''血の色の煙と同じエフェクトは出る((コンバインから出る血のエフェクトは、血の規制に関わる関数の返り値で出るかどうか決まる。PC版でメモリ内の関数の命令をいじって確認可能。))。'' ---上述の警官のシーンもそうだが、元々の「バラバラ死体のオブジェクトが出現する」仕様が削除され、「人の形を保ったまま」などもなくただ「消滅」するだけである。 -薬物に関する表現も強引かつ不自然に削除され、単語も挿し変わっている。 --「Water(薬物の水溶液?)」「Drug」の発音に対して、堂々と「酒」「ボケ」の字幕が入り込んできている。 --いわゆる水タバコを吸う、ストローで薬物を吸引する、女がスウィートに喫煙を勧めるシーンが省略され、これらに関するモデルもカットシーンから消去された((規制は、cuts.img内の登場させるモデルなどに関わるアニメーションファイルから一部モデルを登場させないように変更したり、音声ファイル内のカットシーン用音声を一部カットしたりすることで行われている。なお、カットシーン用モデルを格納しているcutscene.imgからは何も削除されていない。))。 --「○○(ある人物)'s Crack Palace」という薬物用語(Crack)が入った建物の名称も「○○'s fortress」と変わっている((英語版にも「○○'s Crack Fortress」という表記あり。))。 -性的な表現も差し替えではなくただ丸々削除しているだけの場合もある。 --クラブで働く女性の露出度が高いモデルがカットシーンから削除され、クラブの女性のバリエーションが減った。 ---秘部を隠すようにテクスチャ(3Dモデルに貼り付ける画像)も雑に加工されている。 --拷問を伴う性的なやり取りが行われるシーンは音声と字幕のみと間接的なものであったが、シーン自体が根こそぎ排除されており、急にスキップしたかのように見える。ぶつ切りなカットシーンのせいで、カットシーン終了直後の会話がさらに不自然になっている。 --買える一部の隠れ家の中に飾ってあるヌードポスターがヤシの写真に差し替わっている((これ自体は『日本語版VC』も同様となっている。))。 --アダルトグッズショップの店名も、ただの「SHOP」に統一されている。 --ガールフレンドとのデート成功後にガールフレンドの家に帰ったときに一定以上の親密度だと発生するお誘いで、字幕からコーヒー以外の何か(性的なこと)を匂わせる表現が削除された。お誘いを受け入れたあとのシーンでもカメラが揺れず、セリフもなし。 -不自然かつ無理矢理な設定が追加された。 --ボーイ → バラスの息のかかったボーイなど、ミッションの攻撃目標となる一般人はバラス(敵対ギャング)の息がかかっているという設定が追加。 ---%%ロスサントスでのミッションだったらまだしも%%この規制が施されているのはどれもバラスの勢力圏外であるはずのサンフィエロとラスベンチュラスでのミッションであるため非常に不自然。 --採石場ミッションで遺棄する事になる警官の死体がマネキン扱いされている。 --終盤のミッションで殲滅する敵ギャングが「暴徒」扱いされた。 -人を銃撃するなどして即手配される犯罪を犯しても警察無線が一切使われない。 --車で人をひくなどの即手配されない犯罪で手配されたときは警察無線が使われる。 ---- **評価点(PS2日本語版) -規制の関わっている部分を除けば翻訳の質は全体的に高い。 --日本語で情報がほとんど載ってないようなスラングや慣用表現が使われている文でさえ、多くは文意を正しく表現した和訳がされている。 ---この日本語版が発売された時点で出回っていた翻訳MODではスラングなどの訳で致命的な誤訳が少なくなかったので、尚更評価できる点である。 --それでも細かいガヤなどに訳されていない箇所があるほか、「避難」である所が「非難」となっている等の誤字も一部ある。 -削除された要素は多いが、達成度は問題なく100%にできる。 ***主な未規制の点 -ゲーム進行・ゲームバランスに関する一部仕様 --店を利用して(金を消費して)進行する序盤のミッションにて、金欠状態では最低限の金が支給されるという詰み対策も規制されていない((強引にラスベンチュラスに行ってカジノで借金をした状態で該当のミッションを進めても、床屋での52ドル支給とピザ屋での2ドル支給はメニュー内にある項目の最低金額未満で出入りすれば何回でも起きる。借金しすぎているとこれで必要最低限のお金を得るのは骨が折れるかもしれないが。))。 --一部ミッションで適用されている、敵(人)をいくら攻撃しても指名手配が免除される仕様が規制されていない((規制による指名手配と競合して、攻撃すると一瞬だけ手配マークが付いては消える場合もある。))。 -かろうじて規制されていない表現もある。 --序盤のミッションで敵のアジトに殴りこむシーンに端役として映っていた商売女が削除されていない。 --ストーリー後半で出会うことになる、ある人物の〇〇〇ー癖は規制されていない((これに関する台詞が規制により遠回し的に翻訳されている。))。 --規制抜けか、規制を受けていないアダルトグッズショップが一部存在する。 -指名手配されなくなる事もできる、手配レベルを固定するチートは規制されていない。 --このチートを使えば前述の理不尽なバランスが改善されるため、それなりに楽しめるようになる。 -カジノで遊ぶギャンブル要素も削除されておらずオリジナル版同様楽しめる。 ---- **総評(PS2日本語版) 本来のゲームバランス、多くの新要素と高い自由度、犯罪が蔓延るサンアンドレアスという世界観、それらは常軌を逸した規制によって台無しになってしまった。~ 海外のゲームが日本で規制を受けるのはよくある話だが、これ程の規制を受けた洋ゲーは今までに無く、改定した上でCOLOR(red){''CERO:Z''}にする必要性もまるで無い。~ しかも他のプラットフォームでは日本語ローカライズがされておらず、日本語版は2013年にスマホ版がリリースされるまでは、問題だらけのPS2版しか存在しない有様だった。~ このため、発売以前と変わらず海外PC版に日本語パッチを導入してプレイするプレイヤーが後を絶たなかった。 一応、クソゲーと化した訳でもなく、PS2日本語版でもある程度は本作の魅力を味わうことができる。~ シリーズ未経験で且つPC版の仕様を知らない人であれば、幸か不幸か劣化点に気付かず普通に遊ぶこともできるだろう。~ しかしシリーズファンを始めとする大多数のプレイヤーからすれば許容できない物であることも間違いない。 元が(当時)シリーズ最高クラスの出来を誇っていただけに日本語版との落差は凄まじい物となり、 2つの騒動を発端とする、当初の発売予定日であった2005年秋から数えて1年以上の延期、そしてこれ程の規制と発売前後に渡って悲劇に遭ったことが非常に悔やまれる結果となった。 ---- **余談(PS2日本語版) -その後も規制が解除されないまま、たった6ヵ月で廉価版が発売され、PS3でもアーカイブス配信もされ、『IV』以降準拠の操作と720pとトロフィーに対応した先述のスマホ版ベースのPS3版(後述)も発売された。 -オフィシャルガイドブックの掲載内容も本作の規制と同様に削られているが、「序盤はヤクの売人を倒して金を稼ごう」とあったり削除されたはずの採石場ミッションの攻略法が掲載されていたりと齟齬が生じている。 -[[他社作品>ゴッド・オブ・ウォー]]を手がけた頃からカプコンによる日本語版ローカライズの問題は噴出しており、本作はその極めつきとも言える((初代『GTA』はシスコンエンタテイメント、『2』ではズーがローカライズを担当していた。))。 //前は「『III』の頃からカプコンによる日本語版ローカライズの問題は噴出しており」とあったが、『III』のどこに不満要素となりえる規制があったのか判らない --ただ念を押すと告知もしなかったカプコンにも非があるが、国内のゲームではこのゲームで削除された要素が普通に出てきたり、その他の海外のゲームでは削除しなくてもいい表現を削除させたりと線引きがおかしな規制をするCEROや、''60ヶ所以上''にも及ぶ修正要求を出したSCEにも明らかに非がある。 ---そもそも、SCEが他社販売のゲームにCEROなどの外部のレーティング機関以上に厳しい表現規制を独自にしていなければ、本作のように激しく劣化したバージョンは生まれなかっただろう((カプコンが発売した『killer7』のPS2版でもGC版以上に表現が規制されている。))。 -ゲームラボは海外版に関して大々的に特集を組んだこともあってか、日本のPS2版に関しては常軌を逸した規制に対する怒りからわざわざ攻略記事を掲載しながら、''「世界で一番つまらない仕様」と明記し、海外PC版の購入を推奨する''煽り文句で記事を〆ていた。 -このような規制は『[[LCS>Grand Theft Auto: Liberty City Stories]]』『VCS』にまで及び((『IV』や『CTW』(サイバーフロントより)では目に余るような規制は無い。))、ロックスターの親会社Take-Twoの日本法人がローカライズを担当する事になってからも、『EFLC』でもある『IV』のDLCでの規制((一部描写の演出方法やカメラワークが変更されている。))を経て、『V』でも(ゲームバランス面ではなくほとんどが表現に関するものであるが)本作日本語版を彷彿させる規制が施されてしまった。 --前代未聞の規制ということもあって本作は規制による劣化ローカライズのモデルケースとしても有名になり、[[規制>Call of Duty: Modern Warfare 2#id_db6914b5]][[が施>Just Cause 2#id_cc93a96b]][[された>Saints Row 2]][[洋ゲー>Until Dawn -惨劇の山荘-]]が批判される度に本作が引き合いに出された。 #region(PS2日本語版における規制についてのまとめ動画) #video(https://www.youtube.com/watch?v=dcaXPaHvKu0) #endregion ---- *グランド・セフト・オート・サンアンドレアス(PS3日本語版) |ジャンル|クライムアクション|&amazon(B017NAEWDK)| |対応機種|プレイステーション3|~| |発売元|Take-Two Interactive Japan|~| |開発元|Rockstar North&br;Grove Street Games|~| |発売日|2015年12月17日(PS3)|~| |定価|3,499円(税込)|~| |配信|HDダウンロード版:2015年12月17日/3,499円|~| |レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|スマホ版ベースのHDリマスター&br;バランス面はある程度解決するも''それ以外は解除されず''&br;規制以外の劣化も発生してしまっている|~| |>|>|CENTER:''[[Grand Theft Autoシリーズ]]''| ---- **概要(PS3日本語版) スマートフォン移植版を更にPS3向けに移植されたものを日本国内向けにローカライズされたものである((日本未発売だが360版もある。))。 #region(PS2版とPS3版の比較動画) #video(https://www.youtube.com/watch?v=WMh8-didjWA) #endregion ---- **変更点(PS3日本語版) -720Pに対応。 -トロフィーに対応。 -スマホ版の仕様が反映されている。 --フォークリフトや職業ミッションが開始できる車を運転している時など、特殊な操作が出来る状態では操作説明のアイコンが表示される。 --店で商品のサムネイルが表示されるようになった。~ これにより、ロードを挟んでの試着をせずとも、どんな商品か確認しやすくなった。 --自転車に乗っている時、×orR2を長押しで全力でペダルをこぐ状態となる。 --ミッションに失敗しても、ミッションのチェックポイントからやり直せるようになった((チェックポイントが存在せず、最初からやり直しとなるミッションもある。))。 --Wastedになっても武器が没収されなくなった。 --日本語訳もスマホ版の時点で改訂されたものが反映されている(主に誤字修正)。 -初期設定ではR2でアクセル、L2でブレーキをかけるという『[[IV>Grand Theft Auto IV]]』『[[V>Grand Theft Auto V]]』に準拠した操作設定((自転車も『V』と違い、R2で前進できる。))((L2で照準、R2で攻撃という操作にはなっておらず、R2で照準、L2or〇で攻撃になっている。))になっているが、設定変更によりPS2準拠の操作にすることもできる。 ---- **問題点(PS3日本語版) ''規制に関する点'' -規制が解除されていない。 --敵を倒してもお金を落とさない。 --ポン引きミッションが出来ない。 --一部の採石場ミッションが出来ない。 --追い打ち攻撃が出来ない((しかし、何故かモブ女性による死体蹴りのフリはそのままとなっている。))。 --ミッションの攻撃対象である一般人が「バラスの息がかかった」扱いされている。 -新たな表現規制が追加された。 --序盤のミッションで敵のアジトに殴りこむシーンに端役として映っていた商売女が削除され、すぐそばにいた敵ギャングも棒立ち状態である。 ''規制に関係しない問題点'' -グラフィックに粗がある。 --トロフィーアイコンが粗い。 --影の描画はPS2版と比べて確かに向上しているが、Steam版より粗い。 --PS2版と比べて劣化した箇所がある。 ---Steam版と同様、ストーリー後半のミッションの説明を受ける部屋にある水槽のアニメーション、パラシュートを制御する際にパラシュートがしなる演出が無効化されている。 ---一部UIの文字、特に「!」が粗い。 ---キャラクターモデルに不必要な光沢が生じている。 -ロックオンと自由照準の切り替えがワンタッチで出来ず、設定画面でオン/オフにするしかない。 --車に乗っている人に対してロックオン出来るようにはなっている。 -自転車のオート連打も使い勝手は悪い。~ 長い直線であれば楽で便利だが、少しでもハンドルを切ると漕ぐのをやめてしまう。特に上り坂ではきつい。 -連打ダッシュが使えない --スマホ版からの仕様引き継ぎで、PS3版の徒歩でのダッシュや自転車のオート連打はPS2/PC/Xb版でダッシュボタンを長押ししたときの挙動と一致する。 --連打でダッシュや立ち漕ぎをすると長押しより速くなるのだが、''連打は長押しと比べてスタミナ消費も半減する''ので余計に不利になっている。 ---もっとも『III』や『VC』だと連打ダッシュでスタミナ消費が5分の1から4分の1(なぜかブレがある)かつ疲れ始める付近でスタミナ消費が止まり、それらのスマホ版やスマホ版ベースの決定版は『SA』のダッシュと比べものにならないほどの不利な仕様変更になっているのだが。 -ミッションクリア時のBGMがラジオの動作に干渉する。その逆も同様。 -ポーズメニューにおけるマップ周りの操作に一貫性がない。 -ストーリー上必須のフライト教習所にて、操作不能になる等のバグがある。 --アップデートにて修正されたが、深刻度が高いためネットに繋げられない環境下では要注意である。 -オートセーブがOFFに出来ない。これは従来からセーブデータを破損しかねないチートと相性が悪い。 ---- **評価点(PS3日本語版) -指名手配規制が緩和された。これで海外版に近いゲームバランスで攻略できるようになった。 -表現面での規制が緩和された。 --炎ダメージによるボイスと焼死時の演出、人(敵)を車で轢き殺した際の効果音「ペチャリ」が規制されなくなった。 --薬物を摂取するシーン等、短縮、削除されたカットシーンが復活した。 ---ただし、その存在すら抹消されていたカタリーナとのやりとりで復活したのは字幕だけ、自暴自棄になったスウィートが吸おうとしたタバコのモデルは削除されたまま等、規制解除は完全ではない。 ---警官が異常接近したヘリに巻き込まれるイベントシーンの規制も中途半端に緩和されたが為に、違和感がさらに強まった。 ---PS2日本語版とは違い尺の長さが海外版と同様になったために、巻き込まれた警官が不自然に消滅した後に次のカメラアングルに切り替わる。 --スマホ版にて翻訳が改訂されるにあたり、規制による設定変更が一部解除された。~ 薬物のほうの"water"の「酒」が「ヤク」になり、採石場ミッションの警官の死体がマネキン扱いでなくなった((ミッション数の規制による未使用テキストも含めると採石場ミッションの爆弾犯の死体処理が爆弾犯の遺留品処理扱いでなくなったというのもある。))。 -攻撃時、ロックオン対象が死亡した時に次の対象にロックオンが切り替わるという、代替措置ともいえる独自仕様が追加された。 ---- **総評(PS3日本語版) ゲームバランス面での規制が緩和されたことについては評価できる。 しかし、世界観や自由度に関わる規制が緩和されていないがために、PS2日本語版の悪評を払拭するには至っていない。~ 規制以外の面でも劣化が発生しており、何よりPS4版『V』の発売もあって本格的に旧式化したPS3向けのタイトルとして発売された本作は「残念」の一言に尽きる。 ---- **余談(PS3日本語版) -PS3日本語版まで引き継がれていた過剰な規制だが、前述した『トリロジー:決定版』に収録されているリマスター版『サンアンドレアス:決定版』でようやく解除されることとなる。 --ただし、解除されたのはゲーム性に影響のある暴力表現と薬物関連であり、性行為に関する表現の規制やや改善された程度である(バグで解除されていないだけの可能性もあり)。 --テキストはスマホ版からさらに改訂され、「取り消し」の意味の "Scratch that!" が「かすり傷だ!」から「もういい!」に修正されたなどがある。 --ただし、攻撃対象が「バラスの息のかかった」扱いされているなど、翻訳に伴う規制は解除されていない。 --Switch版ではほぼ解除されているが、PS3版との比較対象になるはずのPS5/PS4版は発売が延期されてしまったため、残念ながら公式な比較が公開されていない。Switch/Win版における表現解除の詳細は[[こちら。>https://www.gamespark.jp/article/2021/11/24/113783.html]]
''このページでは海外版『Grand Theft Auto: San Andreas』(良作)に加え、同PS2日本語版(劣化/不安定/シリ不)と同PS3日本語版(劣化/シリ不)について紹介します。'' ---- #contents ---- *Grand Theft Auto: San Andreas 【ぐらんどせふとおーと さんあんどれあす】 |ジャンル|クライムアクション|&amazon(B0009ZC3VK)| |対応機種|Windows 2000/XP&br;Xbox|~| |発売元|Rockstar Games|~| |開発元|Rockstar North|~| |発売日|北米版 2005年6月7日|~| |定価|49.99ドル|~| //↑https://www.4gamer.net/games/021/G002124/ |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|前作から飛躍的な進歩を遂げた&br;やり込み要素もシリーズ随一&br;米国議会から監査請求を受ける|~| |>|>|CENTER:''[[Grand Theft Autoシリーズ]]''| //|ポイント|新たなバグの存在するスマホ版|~| //スマホ版が基本情報欄に記載されていないため、こちらにCO。合同記事でもスマホ版の記事作成された場合に復帰するのも手でしょう。 ---- #center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br;&size(20){''本作はESRBからM指定を受けている17歳以上対象のゲームです。''}} ---- **概要 『Grand Theft Auto』シリーズの第5作。通称『GTA:SA』で、3Dに移行した『[[III>Grand Theft Auto III]]』シリーズとしては3作目にあたる。~ 今回はリバティーシティ、バイスシティと続きサンアンドレアス州が舞台となり、これまでの数倍にも及ぶマップが待ち受ける。~ その自由度の高さや広大さは過去最高峰を誇り、今なおシリーズ最高傑作と名高い一作。~ 海外ではPS2/Xbでも発売され、特にPS2版はギネス記録を持つ前作『[[VC>Grand Theft Auto: Vice City]]』以上の売り上げを達成、全世界で最も売れたPS2ソフトとなった。 ---- **ストーリー 1992年、アメリカ合衆国サンアンドレアス州。5年前、弟の死をきっかけに故郷グローブストリートを離れ、東海岸のリバティーシティで暮らしていた元ギャングのカール・ジョンソン(通称CJ、シージェイ)は、母親が何者かに殺されたという一報を受け、ロスサントスへ帰郷する。 帰着早々、トラブルに巻き込まれるCJ。因縁ある汚職警官フランク・テンペニー一味に見つかり、彼らに彼らが犯した警官殺しの罪を擦り付けられ、以降その汚れ仕事を請け負うことになってしまう。~ CJを待ち構えていた難題はそれだけではなかった。彼が生家に帰ると、兄のスウィートが率い、かつて自身も所属していたギャング団「グローブストリート・ファミリーズ」は、ドラッグと抗争の末に弱体化の一途を辿っていたことが明らかになる。彼の不在を責めるスウィートと仲間たち。~ 奮起したCJは、スウィートを始め、ギャング団の古参メンバーであるビッグ・スモークやライダーと協力し、他のギャング団との抗争を経て少しずつファミリーを立て直していく。 しかし、ファミリー再建に奮闘する最中、CJはテンペニーの企みによってロスサントスを追い出されてしまうことになる。~ ファミリーと切り離され、見知らぬ土地で孤立無援となった彼は、兄とグローブストリートを救うため、ラスベンチュラスやサンフィエロなど、サンアンドレアス州を転々としながら協力者を確保し、成り上がっていく。 (Wikipedia参照) ---- **特徴・評価点 ''フィールドの拡大'' -従来作品と比べ、フィールドが劇的に広がり、各マップの移動も読み込みが入らなくなった。 --従来の作品では別の街に移動する際にいちいち読み込みが入ったが、今作では読み込みがなくスムーズに移動できる。車で爆走している最中でもテンポを削がれることがなくなった。 --その代償か、逆にピザ屋などの建造物内に入る際には読み込みが必要になった。 ''滑らかになったキャラモーション'' -キャラクターのモーションが従来に比べ格段に滑らかなものになっている。 --ぎこちなかった車への乗り降りやダッシュがかなり自然な動きになっている。 ''広くなったマップ'' -従来は基本的に1つの大きな都市のみが舞台だったが、本作は都市が3つ存在する「サンアンドレアス州」が舞台で、従来のような都会以外にも山岳地帯や田舎、砂漠など多種多様な地域が用意されている。そのスケールは前作『バイスシティ』の約5倍である。 --サンアンドレアス自体は元々リバティーシティ、バイスシティと同様に、[[初代>Grand Theft Auto]]に登場したエリアの1つであり、当時は町の名前であった。前作、前々作で洋上の都市へと再構成された他の街とは異なり、サンアンドレアスは広大な州へと生まれ変わった。 ---マップの広さこそ『[[V>Grand Theft Auto V]]』に譲るが、様々な地域を用意して且つ複数の都市を収録しているのは、現在でもシリーズ中は本作のみである。 --都市は「ロスサントス」「サンフィエロ」「ラスベンチュラス」の3つで、最初はそれぞれへと渡る道路を封鎖されている。そこからストーリーを進めていくごとに行ける範囲が広がっていく((ちなみに、海を泳ぐなどして強引に行くことも可能だが、手配度が4も付くためまともに見て回るのは不可能に近い。))。 ---本当にごくわずかだが、リバティーシティに行くこともある。 --各都市はロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスをそれぞれモデルとしており、実物に似たものも多いのでモデルを探すのも面白い。 --1990年代初頭のアメリカ西海岸が舞台であり、シナリオの大筋に関わる部分から街中の細かい部分まで当時を彷彿とさせる描写は非常に評価が高い。 ---それ故にメインのストーリーも従来に比較してかなり長く濃い内容となっている。ギャングチームの抗争に始まり、仲間の裏切りによるゼロからのやり直し、協力者を得るために各地を奔走、麻薬シンジケートとの戦いやマフィアのカジノへの強盗、故郷への帰還、街中を巻き込んだ大暴動、そして宿敵との最終決戦など、ハリウッドの大作映画ばりの壮大な展開が幾つも詰め込まれている。 ---ミッションも各地域の特色を活かしたバリエーションに富んだもの多く、プレイヤーを退屈させない。 --シリーズおなじみのカーラジオもツボを押さえた選曲。ギャングスタラップやオルタナティブロック、カントリーミュージックなど、当時の流行をしっかり網羅している((ちなみに、当時のCM曲としてGuns N' RosesのWelcome to the Jungleが使われていた。本曲はもちろんラジオとして収録されている。))。 ''新たな乗り物'' -自転車、貨物列車など、新しい乗り物が増えた((貨物列車を自由に運転できるのは、本作が唯一である。なお、『V』では特定ミッションのみ限定的に運転可能。))。 //旅客列車は『初代』(PC版)でも運転可能 //飛行機はVCにも存在します --それに伴い、各乗り物専用のミッションも追加されている。無論タクシー、消火、救命、処刑と言ったお馴染みのミッションも健在。 --列車はミッションもあるためか、ロックスター社のオープンワールドゲームの中で、唯一挙動がリアルよりに作りこまれている((車と比べ緩やかに加速し、停止もゆっくりだが最高速度は速い。))。 --既存の乗り物(自動車、バイク、飛行機やヘリ)も種類が大幅に増加。また、同じ名前の車種でも例によって本作でもほとんどが新デザインである((例外的に、皆勤賞のstalionやcheetah、バイク系、各種緊急車両などはほとんど変わっていない。))。 --特に本作での追加車種は日本のスポーツカーをモデルにした車両が多く、シリーズを通して「最強の車」と同義である「infernus」も本作ではホンダNSX風となっている((これらも、作品の舞台である1992年としてはさほど違和感のないチョイスが多い。))。 ---また、ハリアー風の垂直離着陸戦闘機「Hydra」も登場。実質的に最強の乗り物である。 --車の破損再現が若干であるがリアルに。過去作では衝突を繰り返すと真っ先に脱落していたボンネットフードが外れにくく、逆にバンパーなどが先に外れるようになった。 ''自由に変えられる外見'' -プレイヤーの外見はシリーズで最も自由に変えられる。服装、髪型、タトゥーに加え、体型すら変更可能。 --ジムでトレーニングに勤しめば格闘の強化に繋がるだけではなく外見もマッチョになっていくし、運動もしないでピザやハンバーガーばかり食べていると腹が出てくるといった具合である。 --服装は上半身・下半身・靴・ネックレス・時計・メガネ・帽子を組み合わせることができる。服は各所にあるショップで購入でき、また試着もできる。 --ショップはカジュアルからスポーツ、ブランドなど数種類で、条件を満たさないと入れないところもある。また、ミッションなどで手に入るスペシャル服もある。 ---タトゥーと髪型は店ごとにメニューが違う。 --これらの変更した外見がミッション中のムービーにそのまま反映されるのも嬉しいところ。 ''アクションが大幅に強化された'' -従来ではジャンプで飛び越せる程度の段差しか越えられなかったが、本作ではぶら下がりとよじ登りが追加された。これによってより自由で幅広い探索が可能になった。 --素手攻撃についてもただ殴ったり蹴ったりするだけではなく、街にあるジムで習得すれば新たな格闘攻撃を繰り出すこともできる。 --ナイフを装備した状態では背後から相手に気付かれず首を掻き切る「ステルスキル」が可能となった。これを活用するステルスミッションも存在する。 --主人公が泳げる。揃ってカナヅチだったため、「水に入る=死亡」だった歴代主人公とは大違い。ただでさえ広大になったマップでさらに行動範囲が広がっている。水中深く潜ることも可能で水中に隠されている隠しアイテムもある。 ''パラメーター'' -主人公に明確なパラメーターが設定された。体力以外にスタミナや腕力、各種武器や乗り物のスキル、カッコ良さ、リスペクトと、主人公の強化と言う新たなやり込み要素が増えた。 --スタミナと筋力は主にジムでトレーニングを行うことで強化できる。筋力を上げれば近接攻撃全般の威力が上がり((チェーンソーの攻撃すらランダム性があるとはいえ有意に威力が上がる。))、スタミナが上がればダッシュできる時間が伸びる。 --武器スキルを一定量上げるとギャングスター、さらに上げるとヒットマンとなり連射性能やロックオン範囲が拡大したり銃の精度が向上したりする。 --拳銃やサブマシンガンでは二丁拳銃も可能となる。初期状態のCJは『III』のクロードや『VC』のトミーに比べて銃の扱いが下手なため((今作からプレイヤーの銃にも精度の概念がより本格的に変化されたのもあるが。))、ミッションを進めていく上でも強化は必要になる。 --水中に潜れるため、水中で行動可能な時間を示す肺活量も存在する。これは実際に水に潜って鍛えなければならない。 --リスペクトは仲間ギャングからの尊敬度であり、高ければ高いほど仲間を多く連れて歩ける。ミッションをクリアしたり敵ギャングやヤクの売人や警官を倒すと上昇する。また、髪型や服装も影響する。 --カッコ良さはガールフレンドを作れるか否か等に影響する。服装や乗っている車で上下するが、ガールフレンド以外には役に立たない。 ---服装も、『VC』の首から下を丸々取り換える人形のような感じの変更から、上下や靴、アクセサリーなど細かく変更できるように。 ---自動車の改造も可能となった。 ''やり込み要素'' -各種レース、教習所、隠しアイテム集め、物件ミッション、デートイベントと、旧作はもちろんその後のシリーズ作品すら比較にならないほどやり込み込要素が充実している。 --町に点在するバーなどでビリヤードができたり、自宅やコンビニのゲーム機でレトロゲーム風のミニゲームが出来たり、ダンスなど音ゲー要素があったりカジノで遊べたりと追加要素を挙げたらキリが無い。 --他にも、やりこみ要素としてスナップショットという、カメラで場所を撮影するものがあるが、このカメラを人に向けるとポーズをとってくれる場合があったり、ストーリーの進行に応じて一部衣服アイテムの値段が変動したり(内容と関連)といった要素も。 --それだけにシリーズ常連だった殺戮ミッション(メッタ殺し)がなくなったことには一部で残念との声が上がった。 ''通行人からの言葉に返答ができるように'' -CJが視界に入っているNPCがたまに質問することがあり、一般の人からは見た目の評価の言葉(例:「(体を)鍛えてるね」)など、ギャングからは基本的にギャング関係の質問(例:「お前ギャングメンバーか?」)をしてくる。 --CJは肯定的もしくは否定的な返答ができるが、片方は相手がCJに攻撃し始める可能性がある返答になっている。相手が敵対した場合は2秒棒立ちしてから攻撃し始める。一般の通行人よりギャングのほうが敵対する可能性が高い。ただし相手がグローブの場合はCJの返答が通行人用のものになり、相手が敵対することも絶対にない。 ---無視した場合は相手から無視したことに対するボイスが流れる。なお、質問後にどちらか一方でもダメージを受けると返答できない。 ---ギャング関係の質問はギャング関係のことに肯定的か否定的かを選ぶ点が、肯定的に受け取るか否定的に受け取るかを選ぶ一般の人からの質問と違う。 --返答できる質問がされたか音声以外にわかることは受付中はCJが相手の顔を追うことぐらいであり、英語に慣れていないとこの対話機能を楽しむどころか存在することに気づくのも難しいだろう。 --ちなみに、チート(及びMOD)で通行人やグローブ以外のギャングを部下にしても返答できる言葉を言うのは止められないが、''返答のせいでうっかり敵対してしまうとCJの指示を一切聞かなくなる。'' ''キャラクターも魅力十分'' -主人公であるCJがアクションを行うごとに叫んだり喋ったりする。悪口も多くギャングスターという雰囲気がよく出ており、単純に聞いていて面白い。放置しているとラップを歌い始めたりとユーモラスあふれる一面も見れる。 --犯罪を厭わないギャングながらも家族や仲間を大切にし、彼等のためなら無理難題を押し付けられようと(嫌味を言いながらも)引き受けるなど好感の持てる描写が多く、単なる犯罪者に留まらないキャラクター的な魅力を備えている。この性格は大なり小なり以降のシリーズの主人公達に受け継がれていく。 ---本シリーズの主人公はその性質上様々な分野に長けた多才であることが多いが、CJは本作のミッションの豊富さもあって、シリーズでも屈指の高い能力を誇る主人公となっている。 --『GTA』らしいイカれた連中はもちろん、地元を愛する熱い兄貴スウィート、頼れる相棒のシーザー、何度も無理難題を押し付けるが最後には粋な計らいを見せてくれるトレノなど、純粋に魅力的なキャラも多い。 --前作、前々作のキャラも多数登場する。時系列では『VC(1986年)』→『SA(1992年)』→『III(2001年)』となっているので、前作のキャラのその後が判ったり、前々作のキャラの過去が明らかになったりなどシリーズファンには嬉しい演出となっている。 ---当時は不明だった『III』の主人公の名前がクロードと明らかとなったのも本作である。 ''より自然となった航空機の挙動'' -手配度3以上で出現する警察のヘリやたまに出現する航空機の挙動がより自然に。 --ゲーム側で空中でスポーンする航空機が特定の場所にスポーンするものと同じものを使うようになり、より自然な形で干渉できるように。 ---スナイパーライフルを使ってローターを狙撃するかロケットランチャーの爆風を当てる以外ではなかなか落ちなかった、手配度3以上で出現する警察のヘリが地上に野良湧きするヘリと同じぐらい簡単に壊せるようになった。 --『VC』までと違い、全車爆発チートでも破壊可能。また、『VC』までと違って頑張れば手配度3以上で追跡してくる警察のヘリをそのまま奪うこともできる((『III』『VC』『LCS』(PSP版)では、バグのせいで仮に手配度3以上で追跡してくる警察のヘリなどのドアが存在しない車両のドアを開け閉めしようとするとゲームがクラッシュしてしまう。))。 ---また、まれに空中に出現する航空機は巨大な航空機を除いて普通の攻撃でダメージを受けるようになり、全車爆発チートで破壊することもできるように。地形と衝突して周りがカオスになることすらある。 ---もっとも、これらの航空機はスポーン頻度が少ないので(建物から出た直後は比較的出やすい)見る機会は少なめなのが残念か。 ''一部改善点'' -ロケットランチャーなどの発射物が撃った人に当たって爆発しなくなった --『VC』までは発射物や投擲物は撃った人に対しても衝突し、それが衝突で即爆発するものだった場合は結果的に即爆発してしまうが、それが発射物や投擲物は撃った人本人や撃った本人が運転している車両には衝突しなくなった。 ---チートなしで見れる例だと、それなりに速度が出ている車両の上でロケットランチャーを車両の速度の方向に向けて撃つと『III』や『VC』ではプレイヤーに当たって即爆発するが、『SA』だとプレイヤーには衝突せず爆発しない((上に乗っている車両に当たった場合は爆発する。))。 ---チートありだと、『III』の武装チートでロケットランチャーを持った人に攻撃させるとほぼ確実に即自爆していたが、それが『SA』だと絶対に見れなくなった。 ---『III』系の『GTA』では車両から撃つ発射物は撃つときに本来の発射物の初速度と別に車両自体の速度も合成されて発射される関係上、撃った戦闘機のミサイルが撃った瞬間でも戦闘機より遅れているということにはならない。 ---- **賛否両論点 ''過激な描写も若干ながらヒートアップしたこと'' -従来作と同様に過激な描写が相変わらずあるが、今作ではコンバインで人を''収穫''できる((あるミッションではコンバインを強奪することになるのだが、帰り道に収穫してくださいと言わんばかりに敵が出現するようになっている。))。「銃で頭を吹き飛ばす」「チェーンソーでバラバラにする」といったものとはまた違った意味でショッキング。 ''グラフィックがさほどきれいになっていない'' -グラフィックが日進月歩であったPS2時代においては、最早タイヤなどはカクカクであり、正直ローポリ感は否めなかった。 --一応水に潜ることができるようになったため、その辺のグラフィックは旧作よりは向上している…はず((その他車のパーツの破損表現などは少し向上している。))。 ---- **問題点 ''警察の挙動に難あり'' -主人公が敵ギャングを攻撃した場合、警察は主人公を犯罪者と見なして手配度が上がるのは当然のこととしても、敵ギャングが主人公を攻撃するのを目撃しても警察はスルーしている。 --これに対し主人公が警官の近くで反撃した場合、一方的に警察は主人公に攻撃してくるが、全くNPCに反応しないというわけではなく、警察が直接攻撃された場合は相手の武装に関係なくピストルで反撃してくる。乗っているパトカーに攻撃された場合もピストルを装備して応戦する。 --また、プレイヤーやNPCに銃で応戦していたなどで銃火器を装備しているときであれば銃声を聞くとすぐさま反応して攻撃する。 --一方で、スポーンしてまだ犯罪に対応していないなどで銃火器を装備していないときに他のNPCから銃火器で攻撃されると逃げてしまう。 --このような挙動から誤解されることもあるが、ギャングへの攻撃が一般市民への攻撃と同じだけ手配度が上がりやすいわけではない。 --『VC』と同様に、ギャングや犯罪者(いきなり車を奪う人)やヤクの売人などの悪い人に対して犯した犯罪は、そうでない人に対して行ったときより手配度の内部数値の上昇値が低いためである。 -『VC』では警察に追われている犯罪者に打撃攻撃を加えた場合、犯人逮捕に協力したとして報奨金が貰える上に手配度もつかなかったが、今作ではこれを行うと主人公に手配度がつく。無論警察は逮捕対象を主人公に変えてくる。あんまりだ… ''ステルススキル'' -消音ピストルやナイフでのステルスキルが手配度の上昇面で優位性がない。 --消音ピストルはNPCが発砲に反応して逃げたり銃を持ったNPCが攻撃してきたりするのを回避できたり、一部のミッションで例外的に発砲しても発覚扱いにならない措置がミッションスクリプト側で取られたりするなどの優位性はあるが、手配度面ではいかなる状況でも優位性はない。 --孤立した状態であっても変わらない。消音ピストルを当てることによる手配度の内部数値の上昇値は普通の銃弾や爆発と全く同じである。 --ナイフでのステルスキルは、一部のミッションで敵に一発でも発砲を許すと発覚扱いになるミッションで敵に反撃を許さず殺す手段としては有用だが、手配度の内部数値の上昇値ではむしろナイフを振って普通に攻撃するほうがどんな場面でも圧倒的に小さい((『VC』ではナイフやチェーンソーなどの刃物で攻撃すると銃弾や爆発以上に手配度の内部数値が上がっていたが、『SA』ではどの近接武器でも上昇値は同じで、1人に攻撃するだけならほとんど上がらない。))。 --スナイパーライフルで狙撃した場合も手配度の上昇値は状況に関係なく同じだが、これはどの『GTA』シリーズでも存在する問題点である。 ''一部ミッションが高難易度'' -もっとも『GTA』シリーズは総じて難易度が高めのミッションが多いため、今作だけの問題ではない。恐らく今作のミッションの難易度が高めと思われる要因は下記の影響も少なからずある。 --シリーズ中最もレース関連のミッションが多く、かつメインストーリーの進行上必須。 ---本作以外のシリーズではレースは寄り道要素であり、メインストーリーではあったとしても簡単なものが1回程度。 ---カーチェイスを乗り切るくらいの腕があればクリア可能だが、本作だけはメインストーリーでもガチでレースゲームのスキルが必須。公道レースのミッションだけでも3度あり、その全てで1位を取らなければならない。 ---ローライダーレース(ミッション名:High Stakes, Low-rider)に至っては対応カテゴリーの車でないとミッション自体が進まない、直前のミッションで対応した車は手に入るもののガレージに格納した状態のデータを取っておかないと、再開時に対応した車を確保するところからになってしまう別の難易度がある。 --問題なのが教習所。飛行教習所はクリアしないとメインストーリーが進まず、自動車教習所も一部の大筋に絡まないメインミッションを進めるのにクリア必須。しかもそれなりのテクニックが要求されるため、普段のような自由な操縦・運転ばかりしていると行き詰ってしまう可能性もある。 ---『[[グランツーリスモ>グランツーリスモシリーズ]]』のライセンスを簡単にしたものに近い。『GTA』らしい破天荒な内容もあるのが救いか。 ---面倒ではあるが、ここで得られるテクニックには後のミッションの過程で必要になるテクニックも含まれている。ある意味ストーリーの一環ではある。 ---もっとも、試験内容には宙返りで所定の位置に着地するなどスタントマンレベルのテクニックを要求され、一般の教習免許を取る内容としては疑問符の付くものも。 ---当然ながら難易度は徐々に上がっていき、最後の方はもはや運にすがらなければクリアできないような内容も存在している。ただ、完全に運ゲーというより、あくまでもプレイヤーの操作スキルがあろうとも運によってクリア・評価が妨害される可能性があるという話。 --救命ミッションも、「患者を搬送している時にぶつけると時間の減りが早くなる」などただでさえ時間に厳しい上に、終盤になると「どれだけNPC車がぶつけずにいてくれるか」「患者がどれだけ近くにいるか」がクリア可否に繋がる運ゲーと化してくる。 --一部、教習所・ライセンスと被るが、あるミッションで開始の条件として肺活量(lung capacity)のステータスが一定以上であることが求められる。 --ただしこのステータス、何かクリアすれば一気に上がるというわけではなくひたすら水に潜る(息を止める)ことでしか上がらないため、いわゆる経験値稼ぎをしなくてはならない。 --ステータス上げはオイスター回収と並行してできるものの、オイスター自体が隠しアイテムであり存在を知っていなければ"ついで"にやることもなく単調な稼ぎにならざるを得ない((一部ネットでオイスターを回収すると肺活量が飛躍的(大幅)に伸びると書かれているがデマであり、回収するとき水に潜らなくてはならないため必然的に伸びていたのを後からステータスだけみて勘違いしているだけである。))。 ---新しいことをさせたいのはわかるが一々ハードルを設けなくてもよかったのではないかと。 ''後半のミッションの移動が冗長'' -後半になると航空機を操縦するミッションが多くなるのだが、飛んだ後パラシュートで降下するといったものはともかく本当に飛び続けるだけといったものもあり、ムービーなどで省略できなかったのかという疑問はある。 --単純に飛行時間が長くなりがちで、それが連続することも拍車をかけている。 ''一部不備'' -ミッションによっては、回復の(隠しコマンドとしての)チートのせいで逆効果的に自滅してしまうものもある。 --車両に乗っている状態で回復チートを使うと耐久値が(野良車の)スポーン直後の値を超えていても戻ってしまい、さらに一部のミッションでその値以下になると強制的に爆発してミッション失敗させるため。 --ただ、一部難易度が高いとは言われているがチートありきで設計されているわけではない以上、噛み合わないことが出てしまうのは仕方がない。 ''命中率関連バグ'' -最後に乗った車のせいでNPCに銃撃されると命中しやすくなる場合がある --最後に乗った車両が存在し、かつそれがバイクや自転車以外のときにNPCから狙われると狙っているNPCの弾があまり拡散しなくなってしまう((狙われているターゲットがCJでもNPCでも起きる。))。 --ピストルなら(売春婦や犯罪者などデフォルトの命中率で)最大40度ほど狙いがズレるのが最大10度ほどしかズレなくなるようなバグだと言えばわかりやすいだろうか。 ---本来は車両から降りれば徒歩用の拡散になるはずだが、現在乗車しているもしくは最後に乗車した車両のポインタの存在(共用)をチェックして拡散を変えるため、降車してもすぐ徒歩用に戻らないために起きるバグである。 --このバグ自体はモバイル版含むどのバージョンでも発生するが、RTAでは特に問題になりやすい。RTAに挑戦する場合は「gta sa ai accuracy glitch」などで検索してこのバグの影響の大きさを認識したほうがよいかもしれない。 --Win版であればSilentPatchで修正可能。 ''不審な効果音'' -CJやNPCが衝突以外のダメージで死亡してもペチャリと衝突したような音がなることがある --ライフがゼロなのに死ぬのが遅れたときに、最後に受けたダメージが衝突ダメージ以外でもペチャリと骨が折れたような音がなることがある((ライフをゲーム側のスクリプトやMODでいじってゼロにした結果人が死んだとき、『SA』以外の『III』から『VCS』までの『GTA』では断末魔含めとくに音は出ない。『IV』以降では断末魔だけ。))。 --たとえば、警官がNPCを攻撃している間に死亡したときや、CJが燃えている間に屋内と屋外を行き来し、暗転終了までにライフが無くなってかつ燃えていないときに起きる((暗転終了後も燃えている場合は焼死処理されるので問題の音はならない。))。 ---- **総評 シリーズ屈指の完成度を誇る「''究極のGTA''」と呼ぶに相応しい作品である。『V』が出た今なお、シリーズ最高傑作と名高い。~ 更に広大となったマップ、それを活かす大規模なストーリー、そして自由度。それのみならず、やり込みや遊び要素の豊富さもシリーズ全体でトップクラス。~ 『IV』以降から入ったユーザーにとっては古臭く見えるかも知れないが、その印象を吹き飛ばす程の魅力を確かに持っており、強くお勧めできる一作と言えるだろう。 ---- **余談 -今でも海外Win版、特に修正前バージョンの需要が高い。カーラジオのカスタマイズやMODの導入で様々な動画も作られている。 --修正版はMODが使用できないといった問題があったが、その後回避手段が発見された模様。 --海外Win版はWindows XPまでのサポートであり、Vistaとは相性が悪く、正常にプレイできない事例も多い。7は比較的プレイしやすい模様。 --%%現在ではSteamでも配信されており、入手やプレイは容易になった。%%ラジオの曲は一部削除されている。~ 後述の『決定版』と関係してか、Steamでの販売は終了した([[Steamストアページ>https://store.steampowered.com/app/12120/Grand_Theft_Auto_San_Andreas/]])。 ---Steam版はv3.00という扱いらしく、修正版同様にMODの利用には対策が必要。ただこのバージョンに対応しているスクリプトMODも少数ながら存在する。 --非公式ながら有志の製作した日本語化MODの導入が可能。当初は字幕全てをひらがな化する形での日本語化しか出来なかったが、現在は漢字も含む通常の字幕表示が可能なMODが公開されている。 -後にスマホ(iOS/Android)に移植された。 --高解像度化しており、グラフィックは綺麗になった。UIもスマホ向けに調整し、バーチャルパッドによる操作となっているが、MFiコントローラーにも対応している。 --北米版に各言語字幕を収録しているだけなので、規制は一切無し。 ---一方で日本語字幕に関しては、後述するPS2日本語版がベースになっており(一部訳の変更や修正あり)、ポン引きミッションが「人材派遣」へと名称変更、不自然な設定もそのまま残っている。また日本語に対応する為か、地名表示などを含めたほぼ全てのフォントが専用のものから一般的なゴシック体になっている。 --ミッション失敗時にその場でリトライが可能となっていたり、死亡時に限り武器を失わないなど、後発のシリーズに合わせた仕様変更がなされている。 --返答できる質問をされたときに専用のUIが出るようになっている。タッチスクリーンでなくコントローラーで操作していてもこれは出る。 ---- **HotCoffee問題 ここまでの通り本作は確かに日本を含めた全世界で多くの人に良作と言わしめる作品だった。しかし、PC版でのたった1つの問題が、本作品のその後を大きく動かしてしまった。 -そのPC版について全米で話題になった問題というのが、「''HotCoffee問題(Hot Coffee minigame controversy)''」である。詳しくはWikipediaなりで記述されているが、簡単にまとめると以下のようになる。 +PC版『GTA:SA』の制作中に''ガールフレンドとの性行為''を模したミニゲームのプログラムを用意したのだが、アメリカにおけるゲームレイティングをMature(現在の日本のCOLOR(orange){''CERO:D''}及びCOLOR(red){''CERO:Z''}と同等で直接的な性描写は入れてはいけない)にするため封印、ゲームではそのプログラムを呼び出せないようにした(データは残っている)。 +発売後、オランダ・デーフェンテル在住のオランダ人ハッカーのパトリック・ウィルデンボルフが、このプログラムを呼び出せるようにした「HotCoffee」というMOD(いわゆる改造プログラム)を公開した。 +当初はウィンデンボルフ氏の責任が問われたが、自分は封印を解除しただけだと責任を否定。 --実際、問題になったバージョンでは規制を1つのグローバル変数(セーブデータに保存される変数)だけで行っており、現在はセーブデータの互換性を壊さずに解除できるMODもある。''故にロックスター側の責任だと言い切れるのである。'' +この問題に対し米国議会が開発会社のロックスターに調査を行った。このことや様々な集団訴訟、世論のバッシングなどもあってロックスターは色々な意味で大損害を被った。&br;ちなみに、米国議会におけるこの批判の中心となったのが、当時上院議員だった''あのヒラリー・クリントン''((第42代大統領ビル・クリントン氏の妻で2008年及び2016年の大統領選挙の民主党側候補者の1人。))だった。 +結果、このデータを取り除いたv2.00の販売等を余儀なくされる。 --ちなみに、『IV』には自由の女神をモチーフにした「幸福の女神(Statue of Happiness)」が登場するのだが、松明の代わりにホットコーヒーを持っていたり(ご丁寧なことに湯気が出てる)、顔がヒラリー氏にそっくりであったりと本問題をネタにしている。 --また、欧州ではレーティングそのものが厳しく元からAdult Only(≒18禁)になっていたのであまり問題にならず、またv2.00の修正版の販売をしなかった。 ---- **その後の展開 -2021年11月11日に本作と『III』『VC』のリマスター版がセットになった『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』がPS5/XSX/PS4/One/Switch/Winで発売された。 --この『トリロジー:決定版』は『III』の3部作に操作性の改善・ライティングシステムの刷新・ナビゲーション機能の強化・テクスチャの高解像度化・キャラクターと車両モデルのアップグレード・描画距離の増加と言ったリマスターが施されたものとなる。 --また、Switch版にはジャイロエイムやタッチスクリーン操作、Win版にはNVIDIA DLSS対応と言った独自要素が追加されている。 ---なお、キャラクターモデルは『IV』『V』のようなリアル調ではなく、『FORTNITE』のようなカートゥーン調に変更されており、それこそパッケージイラストを忠実にゲームに落とし込んだようなグラフィックとなっている。 --発売前は期待されていたリマスター版だったが、発売後は''3作共通で大量のバグ追加や演出の改悪が大問題となった。''さすがに発売後1ヶ月足らずのパッチで大部分は修正されたが…。 ---ちなみに、Win版は発売から数日間は購入が出来ない状況だったのだが、その原因は''上記「HotCoffee」のデータがゲーム内に残ったままだった''ことにあると[[GameSpark記事>https://www.gamespark.jp/article/2021/11/15/113548.html]]にて示唆している。 #region(オリジナル版とリマスター版の比較動画) #video(https://www.youtube.com/watch?v=fsk3YRS8IUc&t=1s) #endregion -2021年10月29日に本作のVR版がOculus Quest 2用ソフトとして開発されていることが明かされた。 ---- *グランド・セフト・オート・サンアンドレアス(PS2日本語版) |ジャンル|クライムアクション|&amazon(B000L8O21Y)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|カプコン|~| |開発元|Rockstar North|~| |発売日|2007年1月25日(PS2)|~| |定価|7,329円(税込)|~| |廉価版|Best Price!&br;2007年7月12日/3,140円&br;2009年7月23日/2,080円&br;ROCKSTAR CLASSICS&br;2012年9月29日/1,800円|~| |レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|''規制でゲームバランス崩壊''&br;規制により自由度も減った&br;表現の規制も多すぎ&br;|~| |>|>|CENTER:''[[Grand Theft Autoシリーズ]]''| ---- **概要(PS2日本語版) 『GTA:SA』の日本語ローカライズ版。発売は『III』や『VC』のローカライズを担当したカプコンにより行われた。~ 本作は世界的にも高い評価を得た作品であり、日本国内でも日本語に対応した上で発売を求める声は当然ながらとても高いものになっていた。~ しかしその一方で、HotCoffee問題により米国議会までも入ってくるなど全米で話題になってしまった作品でもあるうえに、この問題とほぼ同時に起きた神奈川県における『III』の有害図書指定をめぐる騒動((日本語版『SA』の発売にも影響を与えた可能性は否定できないので一応、以降にも記述))が起きていた。~ そのため、ローカライズによる規制については発売前からかなり危惧されていた。 2つの事件のあおりを受け、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCE)等が自主規制の強化を表明。2005年秋予定だった本作の日本語版発売は暗礁に乗り上げ、紆余曲折の末、2007年1月に遂に発売に至った。~ しかし、その過程の末に出たPS2日本語版は本来の放送禁止行為とは関係ない箇所さえも容赦なく規制が施された物だった…。 ---- **問題点(PS2日本語版) ''醍醐味やゲームバランスを無視した規制により、新要素や本作独自要素を中心に悪影響が出ている。'' -''敵を含む誰かに対して特定の攻撃を1発でも当てただけで強制的に指名手配が付く。''これのせいで「CJが敵と警察の双方に狙われる」問題がより深刻化するなどの弊害も発生している。 --強制的に指名手配がつく攻撃の種類は銃弾と爆発と火炎。対象外なのは「近接攻撃(人に密着して銃で殴る((海外版では銃を持って人に密着して殴る行為は人に銃弾や爆発物で攻撃するのと(手配度の上がりやすさの面で)同等の犯罪行為であった。))、ガールフレンドへのプレゼントによるものも含む)」「車両などでの衝突による攻撃(ヘリのローター含む)」「消火器やスプレーでの攻撃」だけ。 //銃や爆発物を使った攻撃(銃で密着して殴る行為も含む)と、素手や近接武器で攻撃するのは手配度の上がりやすさの面で「明らかに」違います。 --海外版と比較して、指名手配によりミッションの難度が上がってしまう確率も高まっている。中には不可避の戦闘により確実に難度が上がってしまう場面も。 //その代表例はラスベンチュラスの送迎ミッション「Don Peyote」である。追っ手を素早く殲滅しないとそいつが運転する車に送迎対象がひき殺される危険性があり、素早く殲滅すると★2で手配されてしまう(経験談)。 --縄張りを奪うギャング抗争にまで影響が及んでおり、抗争が終わる度に警察から逃げてはまた縄張り争いをしなければならない((抗争中は即座に手配レベルが0から1に上がる犯罪以外では手配度の内部数値が上がらないので、警官を攻撃する等をしても手配レベルが1から2以上に上がることはない。))。 ---手配レベルが1でも2と同然の状態になる、ストーリー終盤のとある状況下では特に顕著である。 --手配されていない状態で死体を撃っても即手配されてしまう。こちらは海外版でもちゃんと犯罪扱いになっているので手配度が上がる可能性があるが…。 -倒れている相手((厳密には攻撃者側よりある程度低い位置にいる相手。))に踏み付けなどの追い打ち攻撃をすることはできなくなった((NPCも使えない。銃の手動照準による追い撃ちは可能。))。 --銃を持っていない、銃が使えない状況での戦闘が発生するミッションもあるため、倒れた敵を踏みつけられないが為にテンポが悪化している。 ---さらに、追い打ち攻撃ができないせいで、倒れている間に一二段目の攻撃を空振りで調整され、くらうと行動不能になる時間が他の近接攻撃より長めの三段目の攻撃を起き上がった直後に受けるという、たちの悪いハメ技を食らってしまう。 --ジムで習える技の中には追い打ち攻撃もあるが、これも削除されている。 --その一方で、あるミッション中にCJが倒した敵の死体をモブ女性が踏みつけるアクションだけは(実際の攻撃ではないが)そのまま。不公平である。 -これに関連して、ロックオン対象が死亡した時にロックオンが強制的に解除される(自由照準になる)ようになり、銃で死体を撃ってもまったく動かなくなった。 -ゲーム性にも関わるダメージ描写も規制されている。 --人を轢殺したときの効果音((CJの落下死や上述の死亡フラグ管理ミスで聴くことはできる。))が削除された。 ---一定以上の速度をもつ車両との衝突によって(車両による突き上げなしで)上に飛ぶか一瞬で倒れた場合は必ず即死になっているが、このときの骨が折れたような効果音が日本語版では出なくなっている。 ---先述の金を落とさなくなった規制も相まって、敵(人)を轢き殺せたかが少し判り辛くなった。 --CJも含め、人が火炎ダメージを受けている際のボイスが流れなくなった。 ---このせいでCJが火炎ダメージを受けているか確認するには、燃えていてかつHUDでライフが継続的に減っているかをチェックする以外に方法がない。 ---火はついているが火炎ダメージを受け付けない為にボイスを出さない仕様((例:消火ミッションで消火する対象の燃えている人。))と紛らわしい。 ---そして火炎ダメージで死亡しても焼死体として描写されない(死体が黒っぽくならない)。 --ヘッドショットを決めた際の頭部が欠損する描画は『日本語版III』や『日本語版VC』と同様になくなっているが、『III』と違い規制解除する手段が存在しない。 ---頭部の欠損に関わるフラグも変わらないせいで、勝手に消える可能性がある人を蘇生するのを確実に阻止する手段がなくなった。 ---また、どう殺しても殺したあとのシーンの演出が変わらないミッションがあったり、死体を証拠写真として撮る必要があるミッションで頭部を欠損させて失敗するパターンを見れなかったりする((こちらは大きな不利益はなく、ささいな違いと言えるかもしれない。))。 -金を得る手段も減った。 --人を殺害しても金が出なくなった((「アイテムとしての金」自体はあるメインミッションで回収するものとストリップクラブで投じた金として見ることはできる。))。 --サブミッションの一つの「ポン引き(人材派遣)」と、採石場のあるミッションも削除された。 ---金策ではなく指名手配に関わる弊害ではあるが、ポン引きミッションを用いたバラスが攻撃してこなくなるバグ技も使えなくなっている。 --このためマップ上に落ちてる武器、アーマーの拾得が海外版と比べて重要になる。 -これだけ規制しておきながら、何らかの上方修正といった代替措置の類は''一切無い。'' ''ゲームバランスに関係しない描画、設定も規制されている。'' -残酷描写も削除された。 --あるミッションで警官が異常接近したヘリに巻き込まれるシーンでは、巻き込まれる瞬間に次のカメラアングルに切り替わる。 --コンバインで人を轢いた際、バラバラ死体が排出されなくなった。それなのに''血の色の煙と同じエフェクトは出る((コンバインから出る血のエフェクトは、血の規制に関わる関数の返り値で出るかどうか決まる。PC版でメモリ内の関数の命令をいじって確認可能。))。'' ---上述の警官のシーンもそうだが、元々の「バラバラ死体のオブジェクトが出現する」仕様が削除され、「人の形を保ったまま」などもなくただ「消滅」するだけである。 -薬物に関する表現も強引かつ不自然に削除され、単語も挿し変わっている。 --「Water(薬物の水溶液?)」「Drug」の発音に対して、堂々と「酒」「ボケ」の字幕が入り込んできている。 --いわゆる水タバコを吸う、ストローで薬物を吸引する、女がスウィートに喫煙を勧めるシーンが省略され、これらに関するモデルもカットシーンから消去された((規制は、cuts.img内の登場させるモデルなどに関わるアニメーションファイルから一部モデルを登場させないように変更したり、音声ファイル内のカットシーン用音声を一部カットしたりすることで行われている。なお、カットシーン用モデルを格納しているcutscene.imgからは何も削除されていない。))。 --「○○(ある人物)'s Crack Palace」という薬物用語(Crack)が入った建物の名称も「○○'s fortress」と変わっている((英語版にも「○○'s Crack Fortress」という表記あり。))。 -性的な表現も差し替えではなくただ丸々削除しているだけの場合もある。 --クラブで働く女性の露出度が高いモデルがカットシーンから削除され、クラブの女性のバリエーションが減った。 ---秘部を隠すようにテクスチャ(3Dモデルに貼り付ける画像)も雑に加工されている。 --拷問を伴う性的なやり取りが行われるシーンは音声と字幕のみと間接的なものであったが、シーン自体が根こそぎ排除されており、急にスキップしたかのように見える。ぶつ切りなカットシーンのせいで、カットシーン終了直後の会話がさらに不自然になっている。 --買える一部の隠れ家の中に飾ってあるヌードポスターがヤシの写真に差し替わっている((これ自体は『日本語版VC』も同様となっている。))。 --アダルトグッズショップの店名も、ただの「SHOP」に統一されている。 --ガールフレンドとのデート成功後にガールフレンドの家に帰ったときに一定以上の親密度だと発生するお誘いで、字幕からコーヒー以外の何か(性的なこと)を匂わせる表現が削除された。お誘いを受け入れたあとのシーンでもカメラが揺れず、セリフもなし。 -不自然かつ無理矢理な設定が追加された。 --ボーイ → バラスの息のかかったボーイなど、ミッションの攻撃目標となる一般人はバラス(敵対ギャング)の息がかかっているという設定が追加。 ---%%ロスサントスでのミッションだったらまだしも%%この規制が施されているのはどれもバラスの勢力圏外であるはずのサンフィエロとラスベンチュラスでのミッションであるため非常に不自然。 --採石場ミッションで遺棄する事になる警官の死体がマネキン扱いされている。 --終盤のミッションで殲滅する敵ギャングが「暴徒」扱いされた。 -人を銃撃するなどして即手配される犯罪を犯しても警察無線が一切使われない。 --車で人をひくなどの即手配されない犯罪で手配されたときは警察無線が使われる。 ---- **評価点(PS2日本語版) -規制の関わっている部分を除けば翻訳の質は全体的に高い。 --日本語で情報がほとんど載ってないようなスラングや慣用表現が使われている文でさえ、多くは文意を正しく表現した和訳がされている。 ---この日本語版が発売された時点で出回っていた翻訳MODではスラングなどの訳で致命的な誤訳が少なくなかったので、尚更評価できる点である。 --それでも細かいガヤなどに訳されていない箇所があるほか、「避難」である所が「非難」となっている等の誤字も一部ある。 -削除された要素は多いが、達成度は問題なく100%にできる。 ***主な未規制の点 -ゲーム進行・ゲームバランスに関する一部仕様 --店を利用して(金を消費して)進行する序盤のミッションにて、金欠状態では最低限の金が支給されるという詰み対策も規制されていない((強引にラスベンチュラスに行ってカジノで借金をした状態で該当のミッションを進めても、床屋での52ドル支給とピザ屋での2ドル支給はメニュー内にある項目の最低金額未満で出入りすれば何回でも起きる。借金しすぎているとこれで必要最低限のお金を得るのは骨が折れるかもしれないが。))。 --一部ミッションで適用されている、敵(人)をいくら攻撃しても指名手配が免除される仕様が規制されていない((規制による指名手配と競合して、攻撃すると一瞬だけ手配マークが付いては消える場合もある。))。 -かろうじて規制されていない表現もある。 --序盤のミッションで敵のアジトに殴りこむシーンに端役として映っていた商売女が削除されていない。 --ストーリー後半で出会うことになる、ある人物の〇〇〇ー癖は規制されていない((これに関する台詞が規制により遠回し的に翻訳されている。))。 --規制抜けか、規制を受けていないアダルトグッズショップが一部存在する。 -指名手配されなくなる事もできる、手配レベルを固定するチートは規制されていない。 --このチートを使えば前述の理不尽なバランスが改善されるため、それなりに楽しめるようになる。 -カジノで遊ぶギャンブル要素も削除されておらずオリジナル版同様楽しめる。 ---- **総評(PS2日本語版) 本来のゲームバランス、多くの新要素と高い自由度、犯罪が蔓延るサンアンドレアスという世界観、それらは常軌を逸した規制によって台無しになってしまった。~ 海外のゲームが日本で規制を受けるのはよくある話だが、これ程の規制を受けた洋ゲーは今までに無く、改定した上でCOLOR(red){''CERO:Z''}にする必要性もまるで無い。~ しかも他のプラットフォームでは日本語ローカライズがされておらず、日本語版は2013年にスマホ版がリリースされるまでは、問題だらけのPS2版しか存在しない有様だった。~ このため、発売以前と変わらず海外PC版に日本語パッチを導入してプレイするプレイヤーが後を絶たなかった。 一応、クソゲーと化した訳でもなく、PS2日本語版でもある程度は本作の魅力を味わうことができる。~ シリーズ未経験で且つPC版の仕様を知らない人であれば、幸か不幸か劣化点に気付かず普通に遊ぶこともできるだろう。~ しかしシリーズファンを始めとする大多数のプレイヤーからすれば許容できない物であることも間違いない。 元が(当時)シリーズ最高クラスの出来を誇っていただけに日本語版との落差は凄まじい物となり、 2つの騒動を発端とする、当初の発売予定日であった2005年秋から数えて1年以上の延期、そしてこれ程の規制と発売前後に渡って悲劇に遭ったことが非常に悔やまれる結果となった。 ---- **余談(PS2日本語版) -その後も規制が解除されないまま、たった6ヵ月で廉価版が発売され、PS3でもアーカイブス配信もされ、『IV』以降準拠の操作と720pとトロフィーに対応した先述のスマホ版ベースのPS3版(後述)も発売された。 -オフィシャルガイドブックの掲載内容も本作の規制と同様に削られているが、「序盤はヤクの売人を倒して金を稼ごう」とあったり削除されたはずの採石場ミッションの攻略法が掲載されていたりと齟齬が生じている。 -[[他社作品>ゴッド・オブ・ウォー>ゴッド・オブ・ウォー (PS2)]]を手がけた頃からカプコンによる日本語版ローカライズの問題は噴出しており、本作はその極めつきとも言える((初代『GTA』はシスコンエンタテイメント、『2』ではズーがローカライズを担当していた。))。 //前は「『III』の頃からカプコンによる日本語版ローカライズの問題は噴出しており」とあったが、『III』のどこに不満要素となりえる規制があったのか判らない --ただ念を押すと告知もしなかったカプコンにも非があるが、国内のゲームではこのゲームで削除された要素が普通に出てきたり、その他の海外のゲームでは削除しなくてもいい表現を削除させたりと線引きがおかしな規制をするCEROや、''60ヶ所以上''にも及ぶ修正要求を出したSCEにも明らかに非がある。 ---そもそも、SCEが他社販売のゲームにCEROなどの外部のレーティング機関以上に厳しい表現規制を独自にしていなければ、本作のように激しく劣化したバージョンは生まれなかっただろう((カプコンが発売した『killer7』のPS2版でもGC版以上に表現が規制されている。))。 -ゲームラボは海外版に関して大々的に特集を組んだこともあってか、日本のPS2版に関しては常軌を逸した規制に対する怒りからわざわざ攻略記事を掲載しながら、''「世界で一番つまらない仕様」と明記し、海外PC版の購入を推奨する''煽り文句で記事を〆ていた。 -このような規制は『[[LCS>Grand Theft Auto: Liberty City Stories]]』『VCS』にまで及び((『IV』や『CTW』(サイバーフロントより)では目に余るような規制は無い。))、ロックスターの親会社Take-Twoの日本法人がローカライズを担当する事になってからも、『EFLC』でもある『IV』のDLCでの規制((一部描写の演出方法やカメラワークが変更されている。))を経て、『V』でも(ゲームバランス面ではなくほとんどが表現に関するものであるが)本作日本語版を彷彿させる規制が施されてしまった。 --前代未聞の規制ということもあって本作は規制による劣化ローカライズのモデルケースとしても有名になり、[[規制>Call of Duty: Modern Warfare 2#id_db6914b5]][[が施>Just Cause 2#id_cc93a96b]][[された>Saints Row 2]][[洋ゲー>Until Dawn -惨劇の山荘-]]が批判される度に本作が引き合いに出された。 #region(PS2日本語版における規制についてのまとめ動画) #video(https://www.youtube.com/watch?v=dcaXPaHvKu0) #endregion ---- *グランド・セフト・オート・サンアンドレアス(PS3日本語版) |ジャンル|クライムアクション|&amazon(B017NAEWDK)| |対応機種|プレイステーション3|~| |発売元|Take-Two Interactive Japan|~| |開発元|Rockstar North&br;Grove Street Games|~| |発売日|2015年12月17日(PS3)|~| |定価|3,499円(税込)|~| |配信|HDダウンロード版:2015年12月17日/3,499円|~| |レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|スマホ版ベースのHDリマスター&br;バランス面はある程度解決するも''それ以外は解除されず''&br;規制以外の劣化も発生してしまっている|~| |>|>|CENTER:''[[Grand Theft Autoシリーズ]]''| ---- **概要(PS3日本語版) スマートフォン移植版を更にPS3向けに移植されたものを日本国内向けにローカライズされたものである((日本未発売だが360版もある。))。 #region(PS2版とPS3版の比較動画) #video(https://www.youtube.com/watch?v=WMh8-didjWA) #endregion ---- **変更点(PS3日本語版) -720Pに対応。 -トロフィーに対応。 -スマホ版の仕様が反映されている。 --フォークリフトや職業ミッションが開始できる車を運転している時など、特殊な操作が出来る状態では操作説明のアイコンが表示される。 --店で商品のサムネイルが表示されるようになった。~ これにより、ロードを挟んでの試着をせずとも、どんな商品か確認しやすくなった。 --自転車に乗っている時、×orR2を長押しで全力でペダルをこぐ状態となる。 --ミッションに失敗しても、ミッションのチェックポイントからやり直せるようになった((チェックポイントが存在せず、最初からやり直しとなるミッションもある。))。 --Wastedになっても武器が没収されなくなった。 --日本語訳もスマホ版の時点で改訂されたものが反映されている(主に誤字修正)。 -初期設定ではR2でアクセル、L2でブレーキをかけるという『[[IV>Grand Theft Auto IV]]』『[[V>Grand Theft Auto V]]』に準拠した操作設定((自転車も『V』と違い、R2で前進できる。))((L2で照準、R2で攻撃という操作にはなっておらず、R2で照準、L2or〇で攻撃になっている。))になっているが、設定変更によりPS2準拠の操作にすることもできる。 ---- **問題点(PS3日本語版) ''規制に関する点'' -規制が解除されていない。 --敵を倒してもお金を落とさない。 --ポン引きミッションが出来ない。 --一部の採石場ミッションが出来ない。 --追い打ち攻撃が出来ない((しかし、何故かモブ女性による死体蹴りのフリはそのままとなっている。))。 --ミッションの攻撃対象である一般人が「バラスの息がかかった」扱いされている。 -新たな表現規制が追加された。 --序盤のミッションで敵のアジトに殴りこむシーンに端役として映っていた商売女が削除され、すぐそばにいた敵ギャングも棒立ち状態である。 ''規制に関係しない問題点'' -グラフィックに粗がある。 --トロフィーアイコンが粗い。 --影の描画はPS2版と比べて確かに向上しているが、Steam版より粗い。 --PS2版と比べて劣化した箇所がある。 ---Steam版と同様、ストーリー後半のミッションの説明を受ける部屋にある水槽のアニメーション、パラシュートを制御する際にパラシュートがしなる演出が無効化されている。 ---一部UIの文字、特に「!」が粗い。 ---キャラクターモデルに不必要な光沢が生じている。 -ロックオンと自由照準の切り替えがワンタッチで出来ず、設定画面でオン/オフにするしかない。 --車に乗っている人に対してロックオン出来るようにはなっている。 -自転車のオート連打も使い勝手は悪い。~ 長い直線であれば楽で便利だが、少しでもハンドルを切ると漕ぐのをやめてしまう。特に上り坂ではきつい。 -連打ダッシュが使えない --スマホ版からの仕様引き継ぎで、PS3版の徒歩でのダッシュや自転車のオート連打はPS2/PC/Xb版でダッシュボタンを長押ししたときの挙動と一致する。 --連打でダッシュや立ち漕ぎをすると長押しより速くなるのだが、''連打は長押しと比べてスタミナ消費も半減する''ので余計に不利になっている。 ---もっとも『III』や『VC』だと連打ダッシュでスタミナ消費が5分の1から4分の1(なぜかブレがある)かつ疲れ始める付近でスタミナ消費が止まり、それらのスマホ版やスマホ版ベースの決定版は『SA』のダッシュと比べものにならないほどの不利な仕様変更になっているのだが。 -ミッションクリア時のBGMがラジオの動作に干渉する。その逆も同様。 -ポーズメニューにおけるマップ周りの操作に一貫性がない。 -ストーリー上必須のフライト教習所にて、操作不能になる等のバグがある。 --アップデートにて修正されたが、深刻度が高いためネットに繋げられない環境下では要注意である。 -オートセーブがOFFに出来ない。これは従来からセーブデータを破損しかねないチートと相性が悪い。 ---- **評価点(PS3日本語版) -指名手配規制が緩和された。これで海外版に近いゲームバランスで攻略できるようになった。 -表現面での規制が緩和された。 --炎ダメージによるボイスと焼死時の演出、人(敵)を車で轢き殺した際の効果音「ペチャリ」が規制されなくなった。 --薬物を摂取するシーン等、短縮、削除されたカットシーンが復活した。 ---ただし、その存在すら抹消されていたカタリーナとのやりとりで復活したのは字幕だけ、自暴自棄になったスウィートが吸おうとしたタバコのモデルは削除されたまま等、規制解除は完全ではない。 ---警官が異常接近したヘリに巻き込まれるイベントシーンの規制も中途半端に緩和されたが為に、違和感がさらに強まった。 ---PS2日本語版とは違い尺の長さが海外版と同様になったために、巻き込まれた警官が不自然に消滅した後に次のカメラアングルに切り替わる。 --スマホ版にて翻訳が改訂されるにあたり、規制による設定変更が一部解除された。~ 薬物のほうの"water"の「酒」が「ヤク」になり、採石場ミッションの警官の死体がマネキン扱いでなくなった((ミッション数の規制による未使用テキストも含めると採石場ミッションの爆弾犯の死体処理が爆弾犯の遺留品処理扱いでなくなったというのもある。))。 -攻撃時、ロックオン対象が死亡した時に次の対象にロックオンが切り替わるという、代替措置ともいえる独自仕様が追加された。 ---- **総評(PS3日本語版) ゲームバランス面での規制が緩和されたことについては評価できる。 しかし、世界観や自由度に関わる規制が緩和されていないがために、PS2日本語版の悪評を払拭するには至っていない。~ 規制以外の面でも劣化が発生しており、何よりPS4版『V』の発売もあって本格的に旧式化したPS3向けのタイトルとして発売された本作は「残念」の一言に尽きる。 ---- **余談(PS3日本語版) -PS3日本語版まで引き継がれていた過剰な規制だが、前述した『トリロジー:決定版』に収録されているリマスター版『サンアンドレアス:決定版』でようやく解除されることとなる。 --ただし、解除されたのはゲーム性に影響のある暴力表現と薬物関連であり、性行為に関する表現の規制やや改善された程度である(バグで解除されていないだけの可能性もあり)。 --テキストはスマホ版からさらに改訂され、「取り消し」の意味の "Scratch that!" が「かすり傷だ!」から「もういい!」に修正されたなどがある。 --ただし、攻撃対象が「バラスの息のかかった」扱いされているなど、翻訳に伴う規制は解除されていない。 --Switch版ではほぼ解除されているが、PS3版との比較対象になるはずのPS5/PS4版は発売が延期されてしまったため、残念ながら公式な比較が公開されていない。Switch/Win版における表現解除の詳細は[[こちら。>https://www.gamespark.jp/article/2021/11/24/113783.html]]

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