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*炎の料理人 クッキングファイター好 【ほのおのりょうりにん くっきんぐふぁいたーはお】 |ジャンル|料理アクションゲーム|&amazon(B00005OVRG)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|日本一ソフトウェア|~| |発売日|1998年5月21日|~| |定価|5,800円(税抜)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)&br;※ゲームアーカイブス版より付加|~| |配信|ゲームアーカイブス:2015年4月30日/617円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|有名アニメネタのパロディ満載&br()無駄にアツいテンション&br()''料理を作るより奪った方が早い''料理バトル|~| ---- #contents(fromhere) ---- **行くぞォッ!いざ、概要ォッ! 『[[マール王国の人形姫]]』『[[魔界戦記ディスガイア]]』等で有名な「日本一ソフトウェア」がまだ自社の路線を模索していた頃に作った、バカに徹底的に振り切ったゲーム。主人公であるクッキングファイター好(ハオ)の料理による(!?)戦いを描く。~ 物語に沿って進めるストーリーモード。CPUや他プレイヤーを相手に戦うフリー対戦モード。作中の料理やその解説を鑑賞したり''自慢する''アルバムモードで構成される。~ ストーリーモードはフルボイスのオートイベントで進行し、各章につき1人ずつと料理対決をするのだが、このストーリーと料理対決の双方がパロディ、突っ込み所満載であり、本作をバカゲーとして強烈に印象付けている。~ 端的に説明すると、原作クラッシャーとして知られるアニメ監督・今川泰宏の作品『ミスター味っ子』((ごく普通の料理漫画であった同名原作を「料理の味に感動した際のリアクションに極限なまでの馬鹿馬鹿しさに溢れた過剰演出をまぶす」という作風で味付けしたことで有名な作品。そのぶっ飛びぶりは原作漫画や、原作者の別作品にまで影響を与えたという逸話があるほど。))と『機動武闘伝Gガンダム』((ロボット兵器によるシリアスな戦争を描いたガンダムシリーズの作風から180度転換し、「ガンダム同士の熱血格闘アクション」「世界各国のお国柄を極端にデフォルメ・パロディ化したガンダムたちが一堂に会し殴り合う」という一種異様な世界観が特徴。当初はガンダムファンに酷評されたが、次第に多くのファンを獲得し、現在ではガンダムの固定観念を(いい意味で)破壊した作品として有名。))(以下『Gガン』)のパロディネタ満載のバカゲーである。 ---- **俺がストーリーを教えてやるぜェッ!! >料理の道を志す若き獅子たちに告ぐ。~ 汝、真の料理人を目指すならば、~ 味道求心の教えを忘れることなかれ。~ 料理とは己との戦い。~ 味とは己を映し出す鏡。~ 常に研鑽を怠らねば、汝、超龍厨士の資格あり。 > >料理の道は険しきもの。~ 味の真理は深遠の彼方。~ この道、極めんとする者、汝、一切の望みを捨てよ。~ されど、あえて修羅の道を選ぶ者あり。~ 汝の名はハオ。~ 料理は心と信ずる者。~ 料理は力と悟りし者。~ 両者相対する時、天地を揺るがす嵐を呼ぶものなり。~ されば、今こそ我らは叫ばん・・・ > >炎の料理人 クッキングファイター好ッッッ!!! …よく分からない人は↓こちらを >中華料理4000年の歴史の頂点に立つ男、味魔王。~ その味魔王を追う一人の若き料理人がいた・・・~ その男の名はハオ!~ 料理人の誇りをかけて、~ 今、''命懸けのクッキングバトル''が始まるッッ!! (ゲームオープニング、及び公式サイト参照) ---- **ゲェェーーームの流れッ! -各話は基本的にタイトル表示→ストーリーパート→アイキャッチ&セーブ→料理対決→料理解説→ストーリーパート→次回予告→セーブの流れで進む。 --話によってはアイキャッチと料理対決の間や料理対決の最中にストーリーパートを挟む事もある。と言うよりゲームの殆どがストーリーパートなので、ストーリーパートの合間に他が挟まると言った方がいいかもしれない。 -料理対決のシーンでは、フィールドをうろつく食材である鶏、豚、鯛、''馬''などを攻撃して倒し、調理する。 --野菜なども配置されているが、これは敵(食材)にぶつける以外に使い道は無い。 --''食材も反撃してくる''。HPがゼロになるとダウンするだけですぐに復帰するが、せっかく作った料理を1つ失う。 --食材もHPは尽きると気絶する。その間に''「仕上げ技」を発動させて''調理する。そんなバカな…。 --食材がフィールド上から無くなると終了。作った料理の総ポイントに応じて勝敗が来まる。 -仕上げ技は複数あり、蒸し、炒め、煮ると言った技毎の調理法を取り、それに応じた料理が完成する。 --無論、食材によって作られる料理も違う。つまり食材×仕上げ技分の料理が存在し、しかも''全ての料理に『味っ子』ばりの解説が用意されている''。 ---更には同じ仕上げ技でも違う料理が出来る事があり、キャラ毎でも出来る料理が違う((ただ、奪った場合でもリザルトではそのキャラが作れる料理しか表示されないので、奪うと同時に自分専用料理に変換されている模様。))。その数は実に膨大である事が分かるだろう。 --基本仕上げ技は5種類(キャラによって技名が違うが演出と調理方法は同じ)。それに操作キャラクター固有の演出を持つ必殺仕上げ技が1種類の合計6種類。必殺仕上げ技を発動すると見た目にも豪勢な料理が出来上がる。 --1戦で見ることができる解説は主人公の持ち料理の中で最もポイントの高い1種のみ。 --食材によって仕上げ技の相性があるため、好みの料理の解説が見たければ、バトル中に使う仕上げ技を統一でもしないと難しい。 --仕上げ技の選択は、○ボタンを押しながら方向キーを時計回りに押し、特定の角度で○ボタンを放して選択する方式のため、熟れないと好みの仕上げ技を発動するのは困難。 --必殺仕上げ技は「○ボタンを押しながら方向キーを二周」というご無体なコマンド。 -ちなみに、前述の野菜等(サブ食材)、敵にぶつけると敵とサブ食材の相性によって完成した料理のポイントにボーナスが加算される。 --ただし、相性の悪いサブ食材をぶつけるとポイントが減点される。 -アルバムモードではストーリー、フリー対戦問わず今まで作った料理の対応アイコンと''普通の''解説が見られる。 --キャラ毎、食材毎にカテゴリ分けされており、主人公のハオが作った料理に限り、ストーリーで聴ける対戦相手の熱い解説が音声のみ再生可能((鰻料理だけはストーリーの展開上、ハオではなくヒロインのクミンが作った料理が対象。))。また、ハオのみ必殺仕上げ技で作った料理は画像を参照できる。 -これだけ見ると、アクションと駆け引きの要素を合わせた面白いバトルのようにも思えるが、このバトルにはとんでもない仕様があり、それが対戦ツールとしての価値を著しく下げている。詳細は後述。 ---- **未熟者めが!これが問題点だ! ***料理人のくせに料理で勝負する気が無いのか! -上記のようにユニークなシステムを盛り込んでいるのだが、実は''対戦相手を攻撃してダウンさせると作った料理を奪えるためそちらの方が効率が良いという無茶苦茶っぷり''。 --しかもこのゲーム、「食材を倒した側に調理の優先権が発生する」という仕様ではない。つまり、相手が倒した食材を横取り調理することができてしまう。 --のんきに必殺仕上げ技を繰り出せる状況は少ないため、料理と解説のコンプリートの高難易度化に拍車を掛けている。 --ぶっちゃけ、まともにポイント勝負をするなら相手の料理を奪った方が効率が良いため、そこまでやりこむプレイヤーはほとんど居なかったが。 -敵料理人は負けると主人公の料理を食べて、上記の『味っ子』を彷彿とさせる解説をするが''それはお前から奪った料理だ''ってのはよくあることである。 --敵は「これは人の作った料理なのか!」などと大袈裟な感想を言うのだが、もしそれが奪われた料理なら酷い自画自賛をしている事になる。 --しかも敵は食材よりも主人公に優先して向かってくる事もしばしば。 ---これが上述した「のんきに必殺仕上げ技を繰り出せる状況は少ない」の主な原因であり、敵の攻撃で仕上げが妨害される事など日常茶飯事である。''お前ら、頼むから料理しろ。'' -ストーリーモードでは、敵の面々は「料理とは力だ!」と事あるごとに主張し、主人公は「違う!料理は心だ!」と叫ぶのだが、''敵の料理を奪った方が良いのだからやっぱり「料理は力」である''。 --挙げ句、勝利時の主人公の台詞は「心の料理、調理完了!」である。''どの口が言うか''。 --こんなシステムでありながら、本編のセリフは「おたまは人を殴る道具じゃない((ちなみに主人公がそのおたまを受け止めるのに使ったのは箸。箸だってそんな道具じゃない!))」「料理人なら料理でケリをつけたらどうだ?」…え? ---「所詮、料理人は料理でしか語れない''不器用な人間''という事か」などという全世界の料理人に失礼な台詞も。料理を奪い合って勝負する連中にはまかり間違っても言われたくないだろう…。 ***作画にやる気が感じられんぞ! -ストーリーパートは1枚絵+フルボイスの紙芝居で、たまにアニメーションする。PCエンジン時代のムービーに近い。しかしこのストーリーモードの作画が''ハッキリ言ってヘタ''。 --キャラの顔は不安定な上にデッサンが常に狂っているし、胴体とのパースもおかしく、いやに漫画チックでありゲームの絵に向いていない。 ---主人公の兄・レイを始め、全体的に顎の長いキャラが多い。口パクのアニメーションを簡略化させて顎を動かす手間を省く為だろうか。 ---アンチエイリアスが無く、まるで昔のペイントで色を塗ったような絵もある。 --その不安定さや下手さたるや80~90年代の少年漫画雑誌の期待されてもいない新人漫画家の初連載の絵のような状態であるといえば少しは伝わるだろうか? ---一応、アングル次第ではまともに見える絵もあり、見続けているうちに%%暑苦しいストーリーに揉まれて%%慣れてくるのが救いか。 -演出、アニメーションも奇怪で、明らかな手抜きシーンや、シュール過ぎてギャグにしか見えない(寧ろ、狙っているとすら思える)演出が大半を占めている。 --必殺技発動シーンが何度もあるものの、その殆どが''肝心の技のグラフィック自体が無く、何をしたのかがさっぱりわからない''ものばかり。 ---構えのカットインが集中線と共に入る程度で、あとは大抵ホワイトアウトやフラッシュで済まされる。暗転して斬撃エフェクトが走るのはまだマシな方。 ---終盤、主人公の父が命を懸けてラスボスに攻撃を浴びせるシーンがあるのだが、そんな見せ場でありながらやはりグラフィックが無く、しかも攻撃を受けた側の反応を描かず即座に父が倒れるシーンに移る為、シーンを飛ばしたようなブツ切り感のある演出になってしまっている。%%親父がポーズを取ったら勝手に倒れただけにも見える。%% --''主人公の母とヒロインの母の外見が殆ど同じ''。髪型が違うだけのほぼ使い回しである。それも、ヒロインの母に会う→自分の母と同じ病だったということで母の事を回想と、ほぼ続けて登場するので嫌でも目についてしまう((そのシーンで主人公は「母さんに似てたな」と心の中で呟くが、似てるなんてレベルではない。))。 --ハオが父と初めて対峙するシーンでは画面の左右に両者の横顔が表示されて睨み合うのだが、ちゃんと口が動くハオに対して父の口パクは''下唇だけ上下させて誤魔化している''。腹話術の人形じゃないんだから…。 --一枚絵を複数箇所に流用している部分があるのだが、かなり強引に使い回しているケースも見られ、これもギャグにしか見えない構図に。 --打撃の効果音も妙に軽い。「ボスッ」と言う感じ。 ---ヒロインに襲いかかった暴漢を殴り倒すシーン、ラスボスに攻撃を仕掛けるシーンなどの見せ場でもお構いなしにこんな音なので、主人公にやる気が無いように聞こえる。 ---しかもこの効果音、主人公とヒロインがじゃれ合うシーンでも使われており、こっちはこっちで本気で殴ってる音にしか聞こえない。 -そもそも料理がテーマなのに、''肝心の料理の絵が全くと言っていいほど出てこない''。 --クッキングバトルで作った料理がアイコンでしか表示されない事(後述)に加え、ストーリーに登場する料理も悉く画面に映らない。しかも後者は名前すら出ない(大抵「この料理」などで済まされる)ので、どんな料理なのかは台詞から想像するしかない。 ---第2話では「活火山麻婆豆腐」((後に『ディスガイア』の次回予告ネタにも登場している。))という料理が大袈裟に登場するが、品名込みではっきりと登場する料理は''これだけ''である。 ---一応、ヒロインの作った薬膳料理が映るシーンはあるが、鍋に蓋がされているのでやはり中身は分からない。あとは精々、敵の一人が麻薬を仕込むチャーハンが映る程度。 -一方、バトルパートのSDキャラグラフィックは作り込まれており、キャラごとに細かいアクションが用意されている。 --ヒロインの「クミン」が必殺仕上げ技を使用すると彼女のカットインが入るのだが、''1枚絵とは別人にしか見えない萌え系のイラストになっている''。作画者からして違うのだ。 ***ゲームとしても問題だらけだ馬鹿者! -そもそもストーリーモードはプレイするシーンは少なく、プレイ時間の大半はイベントシーンを見せられる。 --バトルパートでも頻繁にイベントが挟まる。それもアクションゲームやRPGのような挟まり方ではなく、いちいちバトルパートを中断してイベント画面に切り替わるので、テンポが損なわれるどころの話ではない。最初から最後までの一貫した勝負と言うのがなかなか出来ないのはどういう事か…。 ---そのイベントも大抵は主人公が本気を出したり覚醒したりしてパワーアップするという内容なのだが、大袈裟な演出と熱いBGMで盛り上げた割にはゲーム自体には特に影響しない。一応、包丁が振れなかったりする制約がイベントで解消される、という演出はあるがその程度。 --一度だけ主人公ハオではなくヒロインのクミンを操作して勝負をするシーンがあるのだが、''食材1匹を調理した瞬間に終了''し、続きはハオに戻って行う。せっかくの操作キャラが変わる特殊なシチュエーションなのに短過ぎである。 ---余談だが、クミンの武器は''おたま''。おたまは人を(ry --つまるところ、バトルに関しては対戦モードで存分に楽しんでね、と言う事らしい。 -ある人物との初戦では相手が一切動かず静観する中、主人公だけが料理をする事になる。未熟な主人公相手に本気を出すまでもない、という余裕の表れであり、相手の強大さを表現するイベントバトルの演出としては良い。 --何が問題かと言うと、相手に無敵処理がされていない事である。その為、こちらから斬りかかる事も出来るし、動かないものだからほっとくと''食材(スッポン)にタコ殴りにされている''事も。余裕をかましておきながら、スッポンに攻撃されて悲鳴を上げる様は非常にカッコ悪い。 -一番盛り上がるクライマックスも、ゲームとしては問題。 --ネタバレになるが、最後の対戦相手は主人公の父親・味魔王。決着後、ラスボスである巨大な怪物((『Gガン』で言えばデビルガンダムに相当。))が出現し、最後の戦いが始まる。兄やライバル達と共に最凶の敵に立ち向かい、死闘の末にヒロインを救い出し、勝利する。クライマックスらしく盛り上がるシーンである。 --……が、なんと''その一連の流れは全てイベントで済まされる''。要するに前哨戦だけ操作して、最終決戦は見てるだけなのである。 ---このラスボス、「''奴の身体こそが食材''。料理こそが奴を葬り去る唯一の方法」だの、ラスボスに融合させられているヒロインに''ラスボスの一部を調理した料理''を食わせろだの、とんでもない対処法が飛び出して来るのだが結局プレイヤーは何もさせてもらえない。 --最終章以前にもラスボスの一部との闘いがあるのだが、やはりそちらも盛り上げるだけ盛り上げておいて全てイベントで終了。 ---ここで主人公が奥義を会得して放つシーンでは、よりによって''前話で馬肉に包丁を振り下ろした絵''が使い回されている。前述した「技のグラフィック自体が無い」「一枚絵の使い回し」の問題が揃ってこんな所で飛び出してくる。%%ギャグとして狙ったなら大成功だが。%% --ご丁寧にラスボスを前にして主人公は「これが最後の、クッキングバトルゥゥゥッッ!!」と叫ぶのだが、実際はただ見るだけなのでは拍子抜けもいい所である。 ---しかも肝心の戦闘描写も使い回しの絵((しかも上述したヒロインを襲う暴漢を倒すシーンの絵。これの背景を変えてラスボスと戦っているように見せているだけである。))と上述した妙に軽い打撃音だけなので、声優の熱演やBGMとは裏腹に全然迫力が無い。 --本記事では便宜上「ラスボス」と表記しているが、ぶっちゃけた話ラスボスどころか''ボスですらないただのイベントキャラ''なのである。大仰なビジュアル、設定の割にはゲームとしての役割は何も無い。対人戦以外をゲーム化するという選択肢は無かったようだ。 -クライマックス以前にもこのようなゲーム構成故に拍子抜けするシーンがちらほら。 --ハオが恐怖心から包丁が振れなくなったエピソードにて、ハオの超龍厨士(味魔王お墨付きの料理人)の紋章を奪われるシーンがある。その奪った相手からは「この山にはお前のような軟弱者を鍛えるのにうってつけの場所がある」「もし拙者に追いつけたら、この紋章は返してやろう」と告げられる。そう聞くと、相手に導かれるままその場所で恐怖心を克服する展開が入るのかと期待しそうだが…。 --なんと''セーブ画面を挟んだだけで追いつき''、その相手の投げた''リンゴを咄嗟に切って''あっさり包丁を振れるように。いつの間に克服したのか。その程度の恐怖心だったのか。 ---好意的に解釈すれば、セーブ画面の間に「軟弱者を鍛えるのにうってつけの場所」で精神を鍛えられたとも取れるが、丸々カットしたのでは説得力が無さ過ぎである。しかもヒロインによると一連の流れで一時間しか経っていないらしい…。 -バトルパートでの料理のアイコンは調理法毎に三種類ずつ用意されているが、料理名はリザルト画面でしか表示されない為、何という料理を作ったのか分かりにくい。 --そのリザルト画面もグラフィックも無しにただ料理名が羅列されるだけなので余計に分かりにくい。後からアルバムモードで閲覧できるとは言え、勝負の瞬間に何を作っ%%て奪っ%%たのかが分からないのは如何なものだろうか。 --他にも画面の表示が最小限しか無い為、作った料理の点数はバトル終了まで一切分からない、サブ食材を当ててもエフェクトは全部同じなので相性が良かったのか悪かったのかも分からない、とバトル中は結果に関する肝心な情報が殆ど入らない。 --また、どの食材で作ろうがアイコンは使い回しなので、やはり見た目では大雑把な調理法しか判らない。画像が用意されている料理もあるとは言え、主人公が必殺仕上げ技で作った料理だけなので数は30にも満たない。 ---膨大な数の料理全てに絵を用意するのは流石に無理だったのだろう。しかし一方で、その30程度の料理画像を網羅するのも仕様的に一苦労である。 ---- **違う!このゲームはバカゲーだッ!! ***パロディ、突っ込み所で塗れているッ!! -冒頭で触れた通り、本作は今川監督の作品『ミスター味っ子』『機動武闘伝Gガンダム』のパロディに塗れており、「''味(あジー)ガンダム''」「''クッキング・オブ・ハート''」などとネタにされる事も。以下はその一例。 --主人公ハオは『Gガン』の主人公ドモン・カッシュに、その父親の味魔王はドモンの師匠のマスターアジアにそっくり。 ---ハオのCVは檜山修之。ドモン役の関智一に負けないほど熱い叫びに定評のある声優だけあり、登場当初のクールな振る舞いから、全編を通して上げ続ける熱い叫び、所々ヘタレるシーンまで見事に演じ切っている。本作の熱%%苦し%%さは檜山氏の熱演による所が大きい。%%関氏を起用しなかったのは最後の良心なのか。%%そして味魔王のCVは『味っ子』の味皇を演じた藤本譲である。料理解説のシーンは正に味皇そのもの。 ---見た目だけではなく設定や立ち振る舞いも相当似通っている。挙句、ハオとドモンは年齢まで同じ。 --主人公が本気を出すと金色のオーラを発する((『Gガン』では明鏡止水の境地に達すると機体が黄金になる。))。 --父親と主人公が会うと、いきなり殴り合いを始める((『Gガン』の流派東方不敗の師弟再会シーンで同様の展開がある。))。 --上記のストーリー的な意味でのラスボスにヒロインが取り込まれる。そしてラスボスは最期は主人公とヒロインの「愛の力」で消し飛ばされる((『Gガン』ではヒロインはラスボスの生体ユニットにされ、最後は主人公とヒロインの「石破ラブラブ天驚拳」でラスボスを撃破した。))。 ---ラスボス戦で主人公がヒロインに「好きだぁぁぁぁーーーー!!!」と%%恥ずかしい%%告白をするのも『Gガン』まんまである。 ---スタッフロールの最後に表示される一枚絵は『Gガン』の後期EDアニメ殆どそのまま。最後までパロディを忘れない。 --主人公の兄は敵側の人間でありながら忍者に変装し、正体を隠して主人公を導く((『Gガン』では主人公の兄が自身の分身となるアンドロイドを生み出し、それが忍者に変装して主人公を導いた。))。 --主人公のライバル的ポジションのキャラ((本作のサブヒロインに当たるが、案の定こちらも『Gガン』のサブヒロインを彷彿させるシーンがちらほらと。))が登場早々「アタシの料理が美味いだって?そんな事は''当たり前!当たり前!当たり前ーっ!!''」と自画自賛する((『味っ子』の小西和也の口癖。当該キャラを演じていた鈴置洋孝も主人公の兄役で本作に出演している。))。 --紋章を受け継ぐ四人+リーダーというのも『Gガン』のシャッフル同盟を彷彿させる。しかも最後は敵のリーダーから主人公が紋章を受け継ぐと言う…。 --尚、これらの元ネタ作品はプロデューサー曰く「バイブルのようなもの」らしく、これらもあくまでオマージュとの事である。 -『北斗の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』『中華一番!』といった人気漫画のネタも多々登場する。 --「無駄無駄無駄ァー!」「ワシの名前を言ってみろ!」など、元ネタを知っていると間違いなく反応する台詞多数。 -パロディを抜きにしてもストーリーは突っ込み所満載。と言うより突っ込み所しか無い。やたらと暑苦しい登場人物達がいちいち無駄に熱いやりとりを交わし、ツッコミ役も殆どいない中で、他作品ではギャグにしかならないようなシーンでさえ大真面目に(そして熱く)ぶつかって行く為、前述の酷い作画や演出も却って相乗効果となり、全編を通してバカゲー色に塗れたストーリーが展開する。明らかにスタッフは確信犯である。 --料理対決をしているはずなのに、「''血祭り''に上げてやるぜエ!」だの「その拳で私に''トドメを刺すんだ!''」だの言った台詞が普通に出てくる。%%そりゃ確かに料理を奪う為に斬り合うゲームですけど…%% --薬膳料理を食べただけで「''風邪が治ったァー!''」と叫ぶ、主人公が兄と和解するシーンでは''ピンクの水玉模様の背景で抱き合う''、ヒロインが祈りのポーズを取る度に''いちいち脱ぐ''など、最早真面目に突っ込んだら負けなレベル。 --中には''「これは美味い!う・ま・い・ぞォォォーーーッッッ!!!」と絶叫した直後に、何事も無かったかのように「ダメだな、この料理はなっちゃいない」と冷静に発言する''((ニュアンスとしては「この料理は味は良いが、作り手が慢心して心がこもっていない」という意味だが、言い回しと演出が支離滅裂なので実際に作中でも「何訳のわからないこと言ってんだい!」と突っ込まれている。))と言う、電波に片足突っ込んだような台詞も。 ---「''愛のエナジー100%''」「(自分の料理が不味いとは)''物理的にあり得ない''」など、深く考えなくても目眩がするような台詞も多数。 --そもそも、審査員もいないのに点数だけで勝敗を決め、勝負が付いた後から試食するというのもちょっとヘンな話である。 ---終盤、勝負に勝った主人公が初めて負けた対戦相手の料理を食べるシーンがあるのだが、つまりそれまで''負けた側の料理は食べられてすらいなかった''という事である。味で勝負してたんじゃないんか…。 --謎めいた主人公が颯爽と活躍する冒頭を始め、ライバルとの出会い、ヒロインとの交流、トラウマを克服してのパワーアップ、激闘を経ての敵との和解など、この手の作品のツボは押さえており、ストーリーの骨組みはしっかりしている。その中でツッコミ所満載の暑苦しいやりとりが絶え間なく続く訳なので、波長が合う人は大いに燃えながら笑える事だろう。 ---上記の通り味で勝負していなかったり、敵側の行動が支離滅裂だったり((巨悪を断つ為と主人公の成長の為に敢えて悪のフリをしていた、というタイプだが、冷静に考えるとかなりの外道行為を地で行っている。真相を知った上で二周目をプレイすると更にツッコミ所が増える事だろう。))((特に、味魔王の言動や行動の支離滅裂ぶりは意識しなくても嫌でも目に付く。「ボケ老人」などと言われてしまう事も。))、勢いに任せて会話のドッジボールが繰り広げられたりと、脚本の粗なのか狙ったギャグなのか判断に苦しむツッコミ所もあるが、この暑苦しさの前では些細なことである。 ---リニューアル版公式サイトでは「''熱量無限大の演出ゥッッ!!!''」「''超熱血感動激闘エンターテイメント!''」「''胸を滾らせろォォォオオオオオ!!!''」などと表現されている。暑苦しいわ! --挙句、ゲーム開始時には「この作品を''すべての料理人に捧げる''」と表示される。捧げられても全ての料理人が困る事間違い無しッ! --『ディスガイア』など後の日本一ソフトウェア作品はギャグ要素の強い作品が多いが、本作はそれらとは違い、登場人物自身はギャグ展開を大真面目にやっている。話の流れそのものはシリアスで登場人物達もふざけている訳ではない(たまに普通のギャグシーンもあるが)。しかし設定の無茶苦茶さと演出のシュールさ、そして無駄に暑苦しいテンションが本作をそれら作品とは一線を画したバカゲーたらしめているのである。 ---バカゲーだからとストーリーの粗やゲームとしての問題が許されるようで不公平感はあるかもしれないが、本作は全てを熱さと勢いで塗り固め、単純にギャグとして笑えるのは勿論、問題点に目を向けても(作品としては本来不名誉であろうが)呆れを通り越して笑ってしまうような作りになってしまっている。欠点の殆どが笑い所に成り得てしまうのだ((後年のインタビューでも「笑わしてるではなく笑われてるだと思ってる」と自虐的に語られている。))。 -料理対決シーンで食材が反撃してくる時点で既にツッコミ所だが、その食材も''触角を突き刺してくる海老''、''背ビレを棘のように伸ばす鯛''など、とても普通の生き物とは思えないものがちらほらと。…それ食べられるんですかね? -作中の料理人達は料理シーンで必殺技を発動するが、これがストーリー中でも平然と使われ、しかも''リアルファイトで使用している''シーンすらもある。料…理人…? --「スパイシー三連撃」「超絶爆活大震撃」「''人操極楽参り''」「''秘儀・流星流れ星斬り''」など名前だけ聞いたらとても料理の技とは思えない必殺技が多数。%%そもそも普通は料理に技なんか使いません。%% --凄いものになると「''味世界の神々よ!今こそ我らに力を与えよ!!&color(#F54738){妖魔封滅!!悪霊退散!!四聖獣・疾風怒涛斬ッ!!!}''」「''&color(#F54738){生者必滅!!死者割烹!!活殺自在!!人・業・剣ーッ!!}''」など、最早料理のりの字も感じられない詠唱の絶叫を聞くことになる。 -ゲームを起動すると「この作品はフィクションです。実在の人物・団体・''料理''とはいっさい関係ありません。」と表示される。料理も関係ないのかッ! ***ボイス周りも無駄に豪華だァッ!! -上述の檜山・藤本両氏の他、ヒロイン・クミン役の田村ゆかりをはじめ、三石琴乃や先述した鈴置洋孝、二又一成、長嶝高士などやたら豪華な声優陣が声を当てている。今川監督作品の常連だった石森達幸も参加している。 --しかも''ストーリー・料理バトルパート共にフルボイス''という大盤振る舞い。キャラボイスがないシーンは1つもない。 --声優陣の演技は非常に良く、モブキャラにすら棒読みは一切無い。よってストーリーモードの変な作画と合わさって''絵はおかしいのに声は一流''というカオスなことになっている。後年、プロデューサーに「''声だけは誰が何と言おうと超一流''」と言わしめたほど。 ---ストーリーは勿論、料理解説も声優の熱演が光り輝く。''無心で料理を貪る鈴置氏の声''が聞ける作品は本作位のものではないだろうか。 --流石にマスターアジア役の秋元羊介や『味っ子』の主人公・味吉陽一役の高山みなみなどは出演していない%%のでそこは期待しないように%%。 --檜山氏、田村女史、三石女史、長嶝氏は後にマール王国シリーズにも出演している。%%マール王国をプレイする際は本作を思い出して吹き出さないように注意。%% -アドリブなのかテキストを表示させないだけなのか、ボイスと文章が一致しない部分がある。例えば冒頭の客Aの台詞。~ 「いやいや。オヤジさんのこの鳥料理は最高だよ。なんてったって、このタレが #region(……ペラペラ…ペラペラ…」(←表示される文章)) 絶品だぁな!濃過ぎず…辛過ぎず…、それにこの、香ばしさぁ…、~ こいつがその、ふんわり蒸し上がった鶏肉にねっとりと絡んで…ハハハッ、なぁ?」(←実際に流れる音声) #endregion --最初の敵「ザコ」は主人公の料理を食べた際に泣きながらトランス状態(!?)に陥る。文章は「ブツブツ……ブツブツ……」としか表示されないが、よく聞いてみると「''走る…!走るぞ…!''」だの「''俺の頭がぁ…''」だの呟いている。一体何を食わせたんだ…主人公((ちなみにこの客AとザコのCVはどちらもとべこーじ。客Aは判らないが、ザコの方は支離滅裂過ぎる為、恐らくとべ氏のアドリブだろう。))。 ---余談だが主人公はこの後、飲食店の親父に「俺の作った料理を(病気で寝込んでいる)奥さんに食わせてやりな。少しは楽になるだろう」などとのたまう。&bold(){絶対「楽になる」の意味が違う…。} --料理の解説に至っては『味っ子』ばりの解説をしておきながら、表示されるテキストは「○○○(料理名)解説中」だけである。 -セーブ&ロード時には檜山氏の「''セェーブッ中ッッ!!''」「''ロォードッ中ッッ!!''」という熱いボイスが入る。''うるせぇ''。 ***まだまだ評価点はあるぜッ!! -料理シーンはグラフィック、演出などがよく作られており、システムもユニークで光るものがあった。 --料理シーンのドット絵は、マール王国にも負けないくらい細かく良く動く。乳揺れまで完備(!) --一話のモブキャラ「オヤジ」と一話の雑魚キャラ「ザコ」が、フリー対戦モードでプレイアブルキャラとして操作できるのも爆笑物((こう言ったキャラにもちゃんと必殺技があり、年齢や得意料理も設定されている。))。 --上述のとおり、料理シーン最大の問題は「対戦相手を攻撃することでダメージを与えることができかつ料理を横取りできる」の一点だけで、この仕様さえなければポイントの駆け引きも熱く対戦ツールとして使えるものになったと思えるのだが。 -概要で少し触れたが、料理は仕上げ技×食材×キャラ分用意されており、しかも同じ調理法でも複数種類が出来るので、冗談抜きで''1000品を軽く超える''。 --その全てに中国語の名前と解説文が用意されているのだから、この作り込みは素直に称賛に値する。解説文も無駄に凝っており、普通に食欲を唆るもののあればツッコミ所満載のネタに走ったものもある。 --ストーリーでは全ての食材を扱うのは主人公だけで、他のキャラは自分の担当分のみで、しかも「オヤジ」についてはストーリーで戦う機会自体が無い。にも拘わらず、主人公以外の''全員にも全食材分の専用料理が用意されている''という拘りぶりである。 ---料理の絵が映らない、そもそも料理で勝負していないという料理ゲームとして致命的なツッコミ所を抱えながらもこう言った所は手を抜かれておらず、あながち馬鹿にしたものではない。%%力の入れ所を間違えているとか言わないように%% -BGMは熱い曲が揃っており、暑苦しい物語を更に熱く盛り上げている。…ギャグなのかシリアスなのかは別にして。 --メインテーマは『ディスガイア』の挿入歌「戦友(とも)よ」を彷彿させる曲調で、毎話の如く流れてはストーリーの熱量を引き上げてくれる。というか''メロディが殆ど同じ''なのでこれが原曲なのかもしれない。 --最終決戦時の曲は''中国語の語り''まで入る凝りようである((担当は本作の中国語訳を担当した宋旻玲という人物。))。%%プレイヤーがやるのは僅かなメッセージ送りだけだが。%% ---- **これがッ!!このゲームの総評だァァッッ!!! ゲームとしては操作する機会が少ない、システムに難がある、ビジュアルが悪いなど、問題点だらけではあるが、それすらネタの一環とすら思える日本一ソフトウェア渾身のバカゲーである。~ むしろ、ゲーム性よりもバカゲーっぷりを楽しむことの方にあえて主眼を置いてるといっても過言ではない程である。~ 失笑・爆笑・腰砕け・どん引きのパロディネタてんこもりの作風は同メーカーの[[魔界戦記ディスガイアシリーズ]]に受け継がれていくこととなり、~ 現・同社社長を務める新川宗平氏((本作ではプロデューサーを務めた。『マール王国』や『ディスガイア』のシナリオも手掛けている。))も「''ディスガイアシリーズも『好』がなかったら存在していないかも知れない''」「日本一ソフトウェアの歴史を語る上で欠かせないゲームの一つ」と認めている。 しかしこの無駄な熱さと、おバカなやり取りに大真面目にぶつかっていく恥も外聞も捨てた思い切りの良さはディスガイアにさえも受け継がれておらず、~ 20年も経った今も尚、数ある日本一ソフトウェア作品の中でも本作は異彩を放ち続けている。%%受け継がれなくて正解だが。%%~ そんな熱量無限大のおバカな時代の熱さに胸を滾らせてみたくなった奇特な方は、敢えて暑苦しいクッキングバトルの世界に身を投じてみるのもいいかもしれない。~ 色んな意味でお腹一杯になる事請け合いである。''但し、お腹を壊しても自己責任で''。 ---- **振り下ろす余談にも愛を込めて… -[[ゲーム紹介ページ>http://nippon1.jp/consumer/cooking_fighter/]]も熱い。 -実は本作の脚本、及び料理解説はフォグから発売された『[[久遠の絆]]』を生み出した加藤直樹と小林且典の両名によるものだったりする。''何やってんですか。'' --フォグと日本一ソフトウェアは社長(当時)同士の付き合いが古く、フォグ初期作『みちのく秘湯恋物語』((こちらも加藤氏が脚本担当。))『久遠の絆』の開発に日本一ソフトウェアが協力している。両氏が本作を担当したのはその縁もあったのだろうか。%%猶更何やらせてんですか。%% --『[[雨格子の館]]』以降のフォグ作品の多くは日本一ソフトウェアがパブリッシャーとなっている。そして2016年にはフォグは正式に日本一ソフトウェアの子会社となった。 --尚、両氏は後にフォグ製名作ADV『[[風雨来記]]』にも携わっている。%%だからこの時はほんと何やってたんですか。%% -後の日本一作品にも、本作にまつわるネタが度々登場している。 --『[[マール王国の人形姫]]』でオアシス村のアイテム屋の掲示板を調べると「『クッキングフ…』」という本作を意識したメッセージが書かれている。 --『[[魔界戦記ディスガイア]]』ではウソ次回予告の1つに本作を元にしたものがあり、本作の料理が取り上げられている。また、ハオと味影もドットキャラとしてちゃっかり登場している。 --『[[ファントム・キングダム]]』では魔界厨師、『[[魔界戦記ディスガイア3]]』では家諦科凶師チャンプルという、どう見ても本作の料理人を元にしたキャラが登場している。 --『ソウルクレイドル 世界を喰らう者』では作中でハオの名前が登場し、とあるキャラのEDに本人が登場している。 --『[[ディスガイア インフィニット]]』ではラハールがプリンの美味さのあまり『味っ子』並のオーバーリアクションをするシーンがあるが、よもやこのゲームの影響ではなかろうか。 -近年になって本作の制作秘話などが語られている。 --新川氏曰く、本作は元々は『[[ダブルキャスト]]』などの「やるドラシリーズ」のようなゲームを目指していたが、予算、スケジュール等の関係で到底不可能だった為、それを埋める為に様々な要素を取り入れた結果、このようなゲームになったと言う。''どうしてこうなった'' ---ゲームの大半がイベントシーンなのはその名残とも言えるかもしれない。 --また、本作の数か月後には同社からあの『マール王国の人形姫』が発売されている((後述にもあるが本作とは並行開発だった。))。当時は『マール王国』が売れなければ会社が潰れるかもしれないほどの危機的状況だったらしく、その『マール王国』の前に会社として目立ちたいと言う意図も本作にはあったとの事。数々のぶっ飛んだバカゲー要素はその産物であると言う。 --しかし制作側にとってもやり過ぎた感があったらしく、半ば黒歴史化されていた。少なくとも2012~2013年頃までは「伝説は伝説のままでいい」と、ゲームアーカイブス化は考えていなかったらしい。 ***語り尽くせぬその後の展開がそこにある -上記のようなメーカー側の印象もあり、長らくこの作品は新たな展開も話題に挙げられることもなく、廉価版やゲームアーカイブス化などで再び発売される機会にも恵まれなかったが、2015年''4月1日''に行われた企画「[[過去タイトル投票キャンペーン>http://nippon1.jp/psstore_contents/vote_campaign/]]」の結果により、アーカイブス配信が発表された。 --過去タイトル投票キャンペーンでは何故か『好』のタイトルに早い段階から''80,000,000,000,000票''も入っていた。''不正はなかった''((ちなみにこの80兆という数字、「ハオ」に掛けたものらしいが、8を「ヤ」、0を「オ」で読み、兆を付けると…))。 ---メーカーの告知によると、普通に投票を行ったところで『ディスガイア』や『[[流行り神>流行り神シリーズ]]』が票を集めるのは分かりきっているので、知名度や人気などを考慮してあらかじめタイトルごとに、ある程度の票を入れてバランス調整したとの事である。''どう考えても最初からアーカイブス化が決定していた訳だが''。 --また、何を思ったか「ゲームアーカイブス配信記念」としてカスタムテーマまで無料配信された。%%なんで20年近くも前のタイトルをそこまでプッシュする…%% --この配信に際して、同ページにて新川氏へのインタビューが掲載された。「スタッフ全員が真剣に作ったゲームだけど、いま振り返ると、やっぱり実力不足だった」「『マール王国』と同時製作だったので、『好』は主に夜に作っていた。今思うと、''深夜テンションだった''」など、当時の興味深い秘話が語られている。 ---相手の料理を奪える仕様についても語られたが、新川氏によると「このゲームに&bold(){整合性とか、必要性とか、そういう、ちゃんとしたものを求めますか?}このゲームを遊ぶには''大らかな気持ち''とか''温かい目''とか、そういう心構えが大事なわけですね。そういう優しさを持った方に遊んでいただけると嬉しいです。」との事である。クッキングバトルとは一体…。 ---他にも氏は「ソフトをダウンロードする前に、一度手を止め考えてください」「このゲームは毒か薬かでいえば、''毒です''」など、すっかり開き直ったコメントを残している。また、「『好』のDL数が1万を超えれば''『ディスガイア』にハオを出す事を検討してもいい''」とも語っていた。 --尚、この配信は''8,000,000,000秒間((西暦2269年1月2日位まで))の期間限定''であるとされていた。 ---だが現実は2021年8月までにPS3、PSVita向けコンテンツの新規購入が停止すると発表されたため、実際にはその40分の1ほどの約200,000,000秒程度であった。勿論、ただのネタだろうが、8,000,000,000秒間は流石に無理だったようだ。%%当たり前だッ!%% ---…と思いきや、2021年4月にこの予定が撤回され、前述のサービスの継続が発表された。当然本作も引き続き購入可能であり、超龍厨師への扉は依然として開かれたままである。 -%%八百長事件%%過去タイトル投票キャンペーンから一年後の2016年''4月1日''、あろうことか''[[公式サイト>http://nippon1.jp/consumer/cooking_fighter/renewal/index.php]]が18年ぶりに更新された''。 --ユーザー側も何を血迷ったか、1週間でアクセス数が1万を突破し、その記念として''PS4用アバターパック''まで配信されてしまった((しかも配信されたアバターはハオ、味魔王のアップ、ザコ、タイトルロゴ、チャーハンと、完全にツッコミ待ちのラインナップ。))。%%だからなんで20年近くも前のタイトルをs(ry%% --サイト自体、''チャーハン CV:なし''などもはやツッコミ待ちのレベル。%%そもそもチャーハンにボイスがあってたまるか。%% --この際に''「炎の料理人クッキングファイター好」レビューバトル☆キャンペーン!''なるイベントが開催され、200以上もの熱いレビューが投稿された。%%いや、だからなんでで20年近くもm(ry%% ---魂さえこもっていれば''嘘でも未プレイでもOK''というのもまた爆笑ものである。そして優秀作品への賞品は''8,000,000ハオ((ベトナムの通貨「ドン」の補助単位で、日本円換算で約4,050円。))相当の肉''だった。しかもわざわざ調理の様子を[[動画>https://www.youtube.com/watch?v=3GAmcVtL1nA&feature=youtu.be]]で上げている。 ---ファンもファンで熱いもの、嘘塗れのネタに走ったもの、''ただの肉の食レポ''など、実に魂のこもったレビューを投稿していた。訓練されたファンは判ってるぜッ!! --「魂のギャラリー」として当時のラフイラストも公開されている。%%ラフを見る限りだとそんなにおかしくないのに、何故ゲームではあんな絵になったのか。%%
*炎の料理人 クッキングファイター好 【ほのおのりょうりにん くっきんぐふぁいたーはお】 |ジャンル|料理アクションゲーム|&amazon(B00005OVRG)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|日本一ソフトウェア|~| |発売日|1998年5月21日|~| |定価|5,800円(税抜)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)&br;※ゲームアーカイブス版より付加|~| |配信|ゲームアーカイブス:2015年4月30日/617円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|有名アニメネタのパロディ満載&br()無駄にアツいテンション&br()''料理を作るより奪った方が早い''料理バトル|~| ---- #contents(fromhere) ---- **行くぞォッ!いざ、概要ォッ! 『[[マール王国の人形姫]]』『[[魔界戦記ディスガイア]]』等で有名な「日本一ソフトウェア」がまだ自社の路線を模索していた頃に作った、バカに徹底的に振り切ったゲーム。主人公であるクッキングファイター好(ハオ)の料理による(!?)戦いを描く。~ 物語に沿って進めるストーリーモード。CPUや他プレイヤーを相手に戦うフリー対戦モード。作中の料理やその解説を鑑賞したり''自慢する''アルバムモードで構成される。~ ストーリーモードはフルボイスのオートイベントで進行し、各章につき1人ずつと料理対決をするのだが、このストーリーと料理対決の双方がパロディ、突っ込み所満載であり、本作をバカゲーとして強烈に印象付けている。~ 端的に説明すると、原作クラッシャーとして知られるアニメ監督・今川泰宏の作品『ミスター味っ子』((ごく普通の料理漫画であった同名原作を「料理の味に感動した際のリアクションに極限なまでの馬鹿馬鹿しさに溢れた過剰演出をまぶす」という作風で味付けしたことで有名な作品。そのぶっ飛びぶりは原作漫画や、原作者の別作品にまで影響を与えたという逸話があるほど。))と『機動武闘伝Gガンダム』((ロボット兵器によるシリアスな戦争を描いたガンダムシリーズの作風から180度転換し、「ガンダム同士の熱血格闘アクション」「世界各国のお国柄を極端にデフォルメ・パロディ化したガンダムたちが一堂に会し殴り合う」という一種異様な世界観が特徴。当初はガンダムファンに酷評されたが、次第に多くのファンを獲得し、現在ではガンダムの固定観念を(いい意味で)破壊した作品として有名。))(以下『Gガン』)のパロディネタ満載のバカゲーである。 ---- **俺がストーリーを教えてやるぜェッ!! >料理の道を志す若き獅子たちに告ぐ。~ 汝、真の料理人を目指すならば、~ 味道求心の教えを忘れることなかれ。~ 料理とは己との戦い。~ 味とは己を映し出す鏡。~ 常に研鑽を怠らねば、汝、超龍厨士の資格あり。 > >料理の道は険しきもの。~ 味の真理は深遠の彼方。~ この道、極めんとする者、汝、一切の望みを捨てよ。~ されど、あえて修羅の道を選ぶ者あり。~ 汝の名はハオ。~ 料理は心と信ずる者。~ 料理は力と悟りし者。~ 両者相対する時、天地を揺るがす嵐を呼ぶものなり。~ されば、今こそ我らは叫ばん・・・ > >炎の料理人 クッキングファイター好ッッッ!!! …よく分からない人は↓こちらを >中華料理4000年の歴史の頂点に立つ男、味魔王。~ その味魔王を追う一人の若き料理人がいた・・・~ その男の名はハオ!~ 料理人の誇りをかけて、~ 今、''命懸けのクッキングバトル''が始まるッッ!! (ゲームオープニング、及び公式サイト参照) ---- **ゲェェーーームの流れッ! -各話は基本的にタイトル表示→ストーリーパート→アイキャッチ&セーブ→料理対決→料理解説→ストーリーパート→次回予告→セーブの流れで進む。 --話によってはアイキャッチと料理対決の間や料理対決の最中にストーリーパートを挟む事もある。と言うよりゲームの殆どがストーリーパートなので、ストーリーパートの合間に他が挟まると言った方がいいかもしれない。 -料理対決のシーンでは、フィールドをうろつく食材である鶏、豚、鯛、''馬''などを攻撃して倒し、調理する。 --野菜なども配置されているが、これは敵(食材)にぶつける以外に使い道は無い。 --''食材も反撃してくる''。HPがゼロになるとダウンするだけですぐに復帰するが、せっかく作った料理を1つ失う。 --食材もHPは尽きると気絶する。その間に''「仕上げ技」を発動させて''調理する。そんなバカな…。 --食材がフィールド上から無くなると終了。作った料理の総ポイントに応じて勝敗が来まる。 -仕上げ技は複数あり、蒸し、炒め、煮ると言った技毎の調理法を取り、それに応じた料理が完成する。 --無論、食材によって作られる料理も違う。つまり食材×仕上げ技分の料理が存在し、しかも''全ての料理に『味っ子』ばりの解説が用意されている''。 ---更には同じ仕上げ技でも違う料理が出来る事があり、キャラ毎でも出来る料理が違う((ただ、奪った場合でもリザルトではそのキャラが作れる料理しか表示されないので、奪うと同時に自分専用料理に変換されている模様。))。その数は実に膨大である事が分かるだろう。 --基本仕上げ技は5種類(キャラによって技名が違うが演出と調理方法は同じ)。それに操作キャラクター固有の演出を持つ必殺仕上げ技が1種類の合計6種類。必殺仕上げ技を発動すると見た目にも豪勢な料理が出来上がる。 --1戦で見ることができる解説は主人公の持ち料理の中で最もポイントの高い1種のみ。 --食材によって仕上げ技の相性があるため、好みの料理の解説が見たければ、バトル中に使う仕上げ技を統一でもしないと難しい。 --仕上げ技の選択は、○ボタンを押しながら方向キーを時計回りに押し、特定の角度で○ボタンを放して選択する方式のため、熟れないと好みの仕上げ技を発動するのは困難。 --必殺仕上げ技は「○ボタンを押しながら方向キーを二周」というご無体なコマンド。 -ちなみに、前述の野菜等(サブ食材)、敵にぶつけると敵とサブ食材の相性によって完成した料理のポイントにボーナスが加算される。 --ただし、相性の悪いサブ食材をぶつけるとポイントが減点される。 -アルバムモードではストーリー、フリー対戦問わず今まで作った料理の対応アイコンと''普通の''解説が見られる。 --キャラ毎、食材毎にカテゴリ分けされており、主人公のハオが作った料理に限り、ストーリーで聴ける対戦相手の熱い解説が音声のみ再生可能((鰻料理だけはストーリーの展開上、ハオではなくヒロインのクミンが作った料理が対象。))。また、ハオのみ必殺仕上げ技で作った料理は画像を参照できる。 -これだけ見ると、アクションと駆け引きの要素を合わせた面白いバトルのようにも思えるが、このバトルにはとんでもない仕様があり、それが対戦ツールとしての価値を著しく下げている。詳細は後述。 ---- **未熟者めが!これが問題点だ! ***料理人のくせに料理で勝負する気が無いのか! -上記のようにユニークなシステムを盛り込んでいるのだが、実は''対戦相手を攻撃してダウンさせると作った料理を奪えるためそちらの方が効率が良いという無茶苦茶っぷり''。 --しかもこのゲーム、「食材を倒した側に調理の優先権が発生する」という仕様ではない。つまり、相手が倒した食材を横取り調理することができてしまう。 --のんきに必殺仕上げ技を繰り出せる状況は少ないため、料理と解説のコンプリートの高難易度化に拍車を掛けている。 --ぶっちゃけ、まともにポイント勝負をするなら相手の料理を奪った方が効率が良いため、そこまでやりこむプレイヤーはほとんど居なかったが。 -敵料理人は負けると主人公の料理を食べて、上記の『味っ子』を彷彿とさせる解説をするが''それはお前から奪った料理だ''ってのはよくあることである。 --敵は「これは人の作った料理なのか!」などと大袈裟な感想を言うのだが、もしそれが奪われた料理なら酷い自画自賛をしている事になる。 --しかも敵は食材よりも主人公に優先して向かってくる事もしばしば。 ---これが上述した「のんきに必殺仕上げ技を繰り出せる状況は少ない」の主な原因であり、敵の攻撃で仕上げが妨害される事など日常茶飯事である。''お前ら、頼むから料理しろ。'' -ストーリーモードでは、敵の面々は「料理とは力だ!」と事あるごとに主張し、主人公は「違う!料理は心だ!」と叫ぶのだが、''敵の料理を奪った方が良いのだからやっぱり「料理は力」である''。 --挙げ句、勝利時の主人公の台詞は「心の料理、調理完了!」である。''どの口が言うか''。 --こんなシステムでありながら、本編のセリフは「おたまは人を殴る道具じゃない((ちなみに主人公がそのおたまを受け止めるのに使ったのは箸。箸だってそんな道具じゃない!))」「料理人なら料理でケリをつけたらどうだ?」…え? ---「所詮、料理人は料理でしか語れない''不器用な人間''という事か」などという全世界の料理人に失礼な台詞も。料理を奪い合って勝負する連中にはまかり間違っても言われたくないだろう…。 ***作画にやる気が感じられんぞ! -ストーリーパートは1枚絵+フルボイスの紙芝居で、たまにアニメーションする。PCエンジン時代のムービーに近い。しかしこのストーリーモードの作画が''ハッキリ言ってヘタ''。 --キャラの顔は不安定な上にデッサンが常に狂っているし、胴体とのパースもおかしく、いやに漫画チックでありゲームの絵に向いていない。 ---主人公の兄・レイを始め、全体的に顎の長いキャラが多い。口パクのアニメーションを簡略化させて顎を動かす手間を省く為だろうか。 ---アンチエイリアスが無く、まるで昔のペイントで色を塗ったような絵もある。 --その不安定さや下手さたるや80~90年代の少年漫画雑誌の期待されてもいない新人漫画家の初連載の絵のような状態であるといえば少しは伝わるだろうか? ---一応、アングル次第ではまともに見える絵もあり、見続けているうちに%%暑苦しいストーリーに揉まれて%%慣れてくるのが救いか。 -演出、アニメーションも奇怪で、明らかな手抜きシーンや、シュール過ぎてギャグにしか見えない(寧ろ、狙っているとすら思える)演出が大半を占めている。 --必殺技発動シーンが何度もあるものの、その殆どが''肝心の技のグラフィック自体が無く、何をしたのかがさっぱりわからない''ものばかり。 ---構えのカットインが集中線と共に入る程度で、あとは大抵ホワイトアウトやフラッシュで済まされる。暗転して斬撃エフェクトが走るのはまだマシな方。 ---終盤、主人公の父が命を懸けてラスボスに攻撃を浴びせるシーンがあるのだが、そんな見せ場でありながらやはりグラフィックが無く、しかも攻撃を受けた側の反応を描かず即座に父が倒れるシーンに移る為、シーンを飛ばしたようなブツ切り感のある演出になってしまっている。%%親父がポーズを取ったら勝手に倒れただけにも見える。%% --''主人公の母とヒロインの母の外見が殆ど同じ''。髪型が違うだけのほぼ使い回しである。それも、ヒロインの母に会う→自分の母と同じ病だったということで母の事を回想と、ほぼ続けて登場するので嫌でも目についてしまう((そのシーンで主人公は「母さんに似てたな」と心の中で呟くが、似てるなんてレベルではない。))。 --ハオが父と初めて対峙するシーンでは画面の左右に両者の横顔が表示されて睨み合うのだが、ちゃんと口が動くハオに対して父の口パクは''下唇だけ上下させて誤魔化している''。腹話術の人形じゃないんだから…。 --一枚絵を複数箇所に流用している部分があるのだが、かなり強引に使い回しているケースも見られ、これもギャグにしか見えない構図に。 --打撃の効果音も妙に軽い。「ボスッ」と言う感じ。 ---ヒロインに襲いかかった暴漢を殴り倒すシーン、ラスボスに攻撃を仕掛けるシーンなどの見せ場でもお構いなしにこんな音なので、主人公にやる気が無いように聞こえる。 ---しかもこの効果音、主人公とヒロインがじゃれ合うシーンでも使われており、こっちはこっちで本気で殴ってる音にしか聞こえない。 -そもそも料理がテーマなのに、''肝心の料理の絵が全くと言っていいほど出てこない''。 --クッキングバトルで作った料理がアイコンでしか表示されない事(後述)に加え、ストーリーに登場する料理も悉く画面に映らない。しかも後者は名前すら出ない(大抵「この料理」などで済まされる)ので、どんな料理なのかは台詞から想像するしかない。 ---第2話では「活火山麻婆豆腐」((後に『ディスガイア』の次回予告ネタにも登場している。))という料理が大袈裟に登場するが、品名込みではっきりと登場する料理は''これだけ''である。 ---一応、ヒロインの作った薬膳料理が映るシーンはあるが、鍋に蓋がされているのでやはり中身は分からない。あとは精々、敵の一人が麻薬を仕込むチャーハンが映る程度。 -一方、バトルパートのSDキャラグラフィックは作り込まれており、キャラごとに細かいアクションが用意されている。 --ヒロインの「クミン」が必殺仕上げ技を使用すると彼女のカットインが入るのだが、''1枚絵とは別人にしか見えない萌え系のイラストになっている''。作画者からして違うのだ。 ***ゲームとしても問題だらけだ馬鹿者! -そもそもストーリーモードはプレイするシーンは少なく、プレイ時間の大半はイベントシーンを見せられる。 --バトルパートでも頻繁にイベントが挟まる。それもアクションゲームやRPGのような挟まり方ではなく、いちいちバトルパートを中断してイベント画面に切り替わるので、テンポが損なわれるどころの話ではない。最初から最後までの一貫した勝負と言うのがなかなか出来ないのはどういう事か…。 ---そのイベントも大抵は主人公が本気を出したり覚醒したりしてパワーアップするという内容なのだが、大袈裟な演出と熱いBGMで盛り上げた割にはゲーム自体には特に影響しない。一応、包丁が振れなかったりする制約がイベントで解消される、という演出はあるがその程度。 --一度だけ主人公ハオではなくヒロインのクミンを操作して勝負をするシーンがあるのだが、''食材1匹を調理した瞬間に終了''し、続きはハオに戻って行う。せっかくの操作キャラが変わる特殊なシチュエーションなのに短過ぎである。 ---余談だが、クミンの武器は''おたま''。おたまは人を(ry --つまるところ、バトルに関しては対戦モードで存分に楽しんでね、と言う事らしい。 -ある人物との初戦では相手が一切動かず静観する中、主人公だけが料理をする事になる。未熟な主人公相手に本気を出すまでもない、という余裕の表れであり、相手の強大さを表現するイベントバトルの演出としては良い。 --何が問題かと言うと、相手に無敵処理がされていない事である。その為、こちらから斬りかかる事も出来るし、動かないものだからほっとくと''食材(スッポン)にタコ殴りにされている''事も。余裕をかましておきながら、スッポンに攻撃されて悲鳴を上げる様は非常にカッコ悪い。 -一番盛り上がるクライマックスも、ゲームとしては問題。 --ネタバレになるが、最後の対戦相手は主人公の父親・味魔王。決着後、ラスボスである巨大な怪物((『Gガン』で言えばデビルガンダムに相当。))が出現し、最後の戦いが始まる。兄やライバル達と共に最凶の敵に立ち向かい、死闘の末にヒロインを救い出し、勝利する。クライマックスらしく盛り上がるシーンである。 --……が、なんと''その一連の流れは全てイベントで済まされる''。要するに前哨戦だけ操作して、最終決戦は見てるだけなのである。 ---このラスボス、「''奴の身体こそが食材''。料理こそが奴を葬り去る唯一の方法」だの、ラスボスに融合させられているヒロインに''ラスボスの一部を調理した料理''を食わせろだの、とんでもない対処法が飛び出して来るのだが結局プレイヤーは何もさせてもらえない。 --最終章以前にもラスボスの一部との闘いがあるのだが、やはりそちらも盛り上げるだけ盛り上げておいて全てイベントで終了。 ---ここで主人公が奥義を会得して放つシーンでは、よりによって''前話で馬肉に包丁を振り下ろした絵''が使い回されている。前述した「技のグラフィック自体が無い」「一枚絵の使い回し」の問題が揃ってこんな所で飛び出してくる。%%ギャグとして狙ったなら大成功だが。%% --ご丁寧にラスボスを前にして主人公は「これが最後の、クッキングバトルゥゥゥッッ!!」と叫ぶのだが、実際はただ見るだけなのでは拍子抜けもいい所である。 ---しかも肝心の戦闘描写も使い回しの絵((しかも上述したヒロインを襲う暴漢を倒すシーンの絵。これの背景を変えてラスボスと戦っているように見せているだけである。))と上述した妙に軽い打撃音だけなので、声優の熱演やBGMとは裏腹に全然迫力が無い。 --本記事では便宜上「ラスボス」と表記しているが、ぶっちゃけた話ラスボスどころか''ボスですらないただのイベントキャラ''なのである。大仰なビジュアル、設定の割にはゲームとしての役割は何も無い。対人戦以外をゲーム化するという選択肢は無かったようだ。 -クライマックス以前にもこのようなゲーム構成故に拍子抜けするシーンがちらほら。 --ハオが恐怖心から包丁が振れなくなったエピソードにて、ハオの超龍厨士(味魔王お墨付きの料理人)の紋章を奪われるシーンがある。その奪った相手からは「この山にはお前のような軟弱者を鍛えるのにうってつけの場所がある」「もし拙者に追いつけたら、この紋章は返してやろう」と告げられる。そう聞くと、相手に導かれるままその場所で恐怖心を克服する展開が入るのかと期待しそうだが…。 --なんと''セーブ画面を挟んだだけで追いつき''、その相手の投げた''リンゴを咄嗟に切って''あっさり包丁を振れるように。いつの間に克服したのか。その程度の恐怖心だったのか。 ---好意的に解釈すれば、セーブ画面の間に「軟弱者を鍛えるのにうってつけの場所」で精神を鍛えられたとも取れるが、丸々カットしたのでは説得力が無さ過ぎである。しかもヒロインによると一連の流れで一時間しか経っていないらしい…。 -バトルパートでの料理のアイコンは調理法毎に三種類ずつ用意されているが、料理名はリザルト画面でしか表示されない為、何という料理を作ったのか分かりにくい。 --そのリザルト画面もグラフィックも無しにただ料理名が羅列されるだけなので余計に分かりにくい。後からアルバムモードで閲覧できるとは言え、勝負の瞬間に何を作っ%%て奪っ%%たのかが分からないのは如何なものだろうか。 --他にも画面の表示が最小限しか無い為、作った料理の点数はバトル終了まで一切分からない、サブ食材を当ててもエフェクトは全部同じなので相性が良かったのか悪かったのかも分からない、とバトル中は結果に関する肝心な情報が殆ど入らない。 --また、どの食材で作ろうがアイコンは使い回しなので、やはり見た目では大雑把な調理法しか判らない。画像が用意されている料理もあるとは言え、主人公が必殺仕上げ技で作った料理だけなので数は30にも満たない。 ---膨大な数の料理全てに絵を用意するのは流石に無理だったのだろう。しかし一方で、その30程度の料理画像を網羅するのも仕様的に一苦労である。 ---- **違う!このゲームはバカゲーだッ!! ***パロディ、突っ込み所で塗れているッ!! -冒頭で触れた通り、本作は今川監督の作品『ミスター味っ子』『機動武闘伝Gガンダム』のパロディに塗れており、「''味(あジー)ガンダム''」「''クッキング・オブ・ハート''」などとネタにされる事も。以下はその一例。 --主人公ハオは『Gガン』の主人公ドモン・カッシュに、その父親の味魔王はドモンの師匠のマスターアジアにそっくり。 ---ハオのCVは檜山修之。ドモン役の関智一に負けないほど熱い叫びに定評のある声優だけあり、登場当初のクールな振る舞いから、全編を通して上げ続ける熱い叫び、所々ヘタレるシーンまで見事に演じ切っている。本作の熱%%苦し%%さは檜山氏の熱演による所が大きい。%%関氏を起用しなかったのは最後の良心なのか。%%そして味魔王のCVは『味っ子』の味皇を演じた藤本譲である。料理解説のシーンは正に味皇そのもの。 ---見た目だけではなく設定や立ち振る舞いも相当似通っている。挙句、ハオとドモンは年齢まで同じ。 --主人公が本気を出すと金色のオーラを発する((『Gガン』では明鏡止水の境地に達すると機体が黄金になる。))。 --父親と主人公が会うと、いきなり殴り合いを始める((『Gガン』の流派東方不敗の師弟再会シーンで同様の展開がある。))。 --上記のストーリー的な意味でのラスボスにヒロインが取り込まれる。そしてラスボスは最期は主人公とヒロインの「愛の力」で消し飛ばされる((『Gガン』ではヒロインはラスボスの生体ユニットにされ、最後は主人公とヒロインの「石破ラブラブ天驚拳」でラスボスを撃破した。))。 ---ラスボス戦で主人公がヒロインに「好きだぁぁぁぁーーーー!!!」と%%恥ずかしい%%告白をするのも『Gガン』まんまである。 ---スタッフロールの最後に表示される一枚絵は『Gガン』の後期EDアニメ殆どそのまま。最後までパロディを忘れない。 --主人公の兄は敵側の人間でありながら忍者に変装し、正体を隠して主人公を導く((『Gガン』では主人公の兄が自身の分身となるアンドロイドを生み出し、それが忍者に変装して主人公を導いた。))。 --主人公のライバル的ポジションのキャラ((本作のサブヒロインに当たるが、案の定こちらも『Gガン』のサブヒロインを彷彿させるシーンがちらほらと。))が登場早々「アタシの料理が美味いだって?そんな事は''当たり前!当たり前!当たり前ーっ!!''」と自画自賛する((『味っ子』の小西和也の口癖。当該キャラを演じていた鈴置洋孝も主人公の兄役で本作に出演している。))。 --紋章を受け継ぐ四人+リーダーというのも『Gガン』のシャッフル同盟を彷彿させる。しかも最後は敵のリーダーから主人公が紋章を受け継ぐと言う…。 --尚、これらの元ネタ作品はプロデューサー曰く「バイブルのようなもの」らしく、これらもあくまでオマージュとの事である。 -『北斗の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』『中華一番!』といった人気漫画のネタも多々登場する。 --「無駄無駄無駄ァー!」「ワシの名前を言ってみろ!」など、元ネタを知っていると間違いなく反応する台詞多数。 -パロディを抜きにしてもストーリーは突っ込み所満載。と言うより突っ込み所しか無い。やたらと暑苦しい登場人物達がいちいち無駄に熱いやりとりを交わし、ツッコミ役も殆どいない中で、他作品ではギャグにしかならないようなシーンでさえ大真面目に(そして熱く)ぶつかって行く為、前述の酷い作画や演出も却って相乗効果となり、全編を通してバカゲー色に塗れたストーリーが展開する。明らかにスタッフは確信犯である。 --料理対決をしているはずなのに、「''血祭り''に上げてやるぜエ!」だの「その拳で私に''トドメを刺すんだ!''」だの言った台詞が普通に出てくる。%%そりゃ確かに料理を奪う為に斬り合うゲームですけど…%% --薬膳料理を食べただけで「''風邪が治ったァー!''」と叫ぶ、主人公が兄と和解するシーンでは''ピンクの水玉模様の背景で抱き合う''、ヒロインが祈りのポーズを取る度に''いちいち脱ぐ''など、最早真面目に突っ込んだら負けなレベル。 --中には''「これは美味い!う・ま・い・ぞォォォーーーッッッ!!!」と絶叫した直後に、何事も無かったかのように「ダメだな、この料理はなっちゃいない」と冷静に発言する''((ニュアンスとしては「この料理は味は良いが、作り手が慢心して心がこもっていない」という意味だが、言い回しと演出が支離滅裂なので実際に作中でも「何訳のわからないこと言ってんだい!」と突っ込まれている。))と言う、電波に片足突っ込んだような台詞も。 ---「''愛のエナジー100%''」「(自分の料理が不味いとは)''物理的にあり得ない''」など、深く考えなくても目眩がするような台詞も多数。 --そもそも、審査員もいないのに点数だけで勝敗を決め、勝負が付いた後から試食するというのもちょっとヘンな話である。 ---終盤、勝負に勝った主人公が初めて負けた対戦相手の料理を食べるシーンがあるのだが、つまりそれまで''負けた側の料理は食べられてすらいなかった''という事である。味で勝負してたんじゃないんか…。 --謎めいた主人公が颯爽と活躍する冒頭を始め、ライバルとの出会い、ヒロインとの交流、トラウマを克服してのパワーアップ、激闘を経ての敵との和解など、この手の作品のツボは押さえており、ストーリーの骨組みはしっかりしている。その中でツッコミ所満載の暑苦しいやりとりが絶え間なく続く訳なので、波長が合う人は大いに燃えながら笑える事だろう。 ---上記の通り味で勝負していなかったり、敵側の行動が支離滅裂だったり((巨悪を断つ為と主人公の成長の為に敢えて悪のフリをしていた、というタイプだが、冷静に考えるとかなりの外道行為を地で行っている。真相を知った上で二周目をプレイすると更にツッコミ所が増える事だろう。))((特に、味魔王の言動や行動の支離滅裂ぶりは意識しなくても嫌でも目に付く。「ボケ老人」などと言われてしまう事も。))、勢いに任せて会話のドッジボールが繰り広げられたりと、脚本の粗なのか狙ったギャグなのか判断に苦しむツッコミ所もあるが、この暑苦しさの前では些細なことである。 ---リニューアル版公式サイトでは「''熱量無限大の演出ゥッッ!!!''」「''超熱血感動激闘エンターテイメント!''」「''胸を滾らせろォォォオオオオオ!!!''」などと表現されている。暑苦しいわ! --挙句、ゲーム開始時には「この作品を''すべての料理人に捧げる''」と表示される。捧げられても全ての料理人が困る事間違い無しッ! --『ディスガイア』など後の日本一ソフトウェア作品はギャグ要素の強い作品が多いが、本作はそれらとは違い、登場人物自身はギャグ展開を大真面目にやっている。話の流れそのものはシリアスで登場人物達もふざけている訳ではない(たまに普通のギャグシーンもあるが)。しかし設定の無茶苦茶さと演出のシュールさ、そして無駄に暑苦しいテンションが本作をそれら作品とは一線を画したバカゲーたらしめているのである。 ---バカゲーだからとストーリーの粗やゲームとしての問題が許されるようで不公平感はあるかもしれないが、本作は全てを熱さと勢いで塗り固め、単純にギャグとして笑えるのは勿論、問題点に目を向けても(作品としては本来不名誉であろうが)呆れを通り越して笑ってしまうような作りになってしまっている。欠点の殆どが笑い所に成り得てしまうのだ((後年のインタビューでも「笑わしてるではなく笑われてるだと思ってる」と自虐的に語られている。))。 -料理対決シーンで食材が反撃してくる時点で既にツッコミ所だが、その食材も''触角を突き刺してくる海老''、''背ビレを棘のように伸ばす鯛''など、とても普通の生き物とは思えないものがちらほらと。…それ食べられるんですかね? -作中の料理人達は料理シーンで必殺技を発動するが、これがストーリー中でも平然と使われ、しかも''リアルファイトで使用している''シーンすらもある。料…理人…? --「スパイシー三連撃」「超絶爆活大震撃」「''人操極楽参り''」「''秘儀・流星流れ星斬り''」など名前だけ聞いたらとても料理の技とは思えない必殺技が多数。%%そもそも普通は料理に技なんか使いません。%% --凄いものになると「''味世界の神々よ!今こそ我らに力を与えよ!!&color(#F54738){妖魔封滅!!悪霊退散!!四聖獣・疾風怒涛斬ッ!!!}''」「''&color(#F54738){生者必滅!!死者割烹!!活殺自在!!人・業・剣ーッ!!}''」など、最早料理のりの字も感じられない詠唱の絶叫を聞くことになる。 -ゲームを起動すると「この作品はフィクションです。実在の人物・団体・''料理''とはいっさい関係ありません。」と表示される。料理も関係ないのかッ! ***ボイス周りも無駄に豪華だァッ!! -上述の檜山・藤本両氏の他、ヒロイン・クミン役の田村ゆかりをはじめ、三石琴乃や先述した鈴置洋孝、二又一成、長嶝高士などやたら豪華な声優陣が声を当てている。今川監督作品の常連だった石森達幸も参加している。 --しかも''ストーリー・料理バトルパート共にフルボイス''という大盤振る舞い。キャラボイスがないシーンは1つもない。 --声優陣の演技は非常に良く、モブキャラにすら棒読みは一切無い。よってストーリーモードの変な作画と合わさって''絵はおかしいのに声は一流''というカオスなことになっている。後年、プロデューサーに「''声だけは誰が何と言おうと超一流''」と言わしめたほど。 ---ストーリーは勿論、料理解説も声優の熱演が光り輝く。''無心で料理を貪る鈴置氏の声''が聞ける作品は本作位のものではないだろうか。 --流石にマスターアジア役の秋元羊介や『味っ子』の主人公・味吉陽一役の高山みなみなどは出演していない%%のでそこは期待しないように%%。 --檜山氏、田村氏、三石氏、長嶝氏は後にマール王国シリーズにも出演している。%%マール王国をプレイする際は本作を思い出して吹き出さないように注意。%% -アドリブなのかテキストを表示させないだけなのか、ボイスと文章が一致しない部分がある。例えば冒頭の客Aの台詞。~ 「いやいや。オヤジさんのこの鳥料理は最高だよ。なんてったって、このタレが #region(……ペラペラ…ペラペラ…」(←表示される文章)) 絶品だぁな!濃過ぎず…辛過ぎず…、それにこの、香ばしさぁ…、~ こいつがその、ふんわり蒸し上がった鶏肉にねっとりと絡んで…ハハハッ、なぁ?」(←実際に流れる音声) #endregion --最初の敵「ザコ」は主人公の料理を食べた際に泣きながらトランス状態(!?)に陥る。文章は「ブツブツ……ブツブツ……」としか表示されないが、よく聞いてみると「''走る…!走るぞ…!''」だの「''俺の頭がぁ…''」だの呟いている。一体何を食わせたんだ…主人公((ちなみにこの客AとザコのCVはどちらもとべこーじ。客Aは判らないが、ザコの方は支離滅裂過ぎる為、恐らくとべ氏のアドリブだろう。))。 ---余談だが主人公はこの後、飲食店の親父に「俺の作った料理を(病気で寝込んでいる)奥さんに食わせてやりな。少しは楽になるだろう」などとのたまう。&bold(){絶対「楽になる」の意味が違う…。} --料理の解説に至っては『味っ子』ばりの解説をしておきながら、表示されるテキストは「○○○(料理名)解説中」だけである。 -セーブ&ロード時には檜山氏の「''セェーブッ中ッッ!!''」「''ロォードッ中ッッ!!''」という熱いボイスが入る。''うるせぇ''。 ***まだまだ評価点はあるぜッ!! -料理シーンはグラフィック、演出などがよく作られており、システムもユニークで光るものがあった。 --料理シーンのドット絵は、マール王国にも負けないくらい細かく良く動く。乳揺れまで完備(!) --一話のモブキャラ「オヤジ」と一話の雑魚キャラ「ザコ」が、フリー対戦モードでプレイアブルキャラとして操作できるのも爆笑物((こう言ったキャラにもちゃんと必殺技があり、年齢や得意料理も設定されている。))。 --上述のとおり、料理シーン最大の問題は「対戦相手を攻撃することでダメージを与えることができかつ料理を横取りできる」の一点だけで、この仕様さえなければポイントの駆け引きも熱く対戦ツールとして使えるものになったと思えるのだが。 -概要で少し触れたが、料理は仕上げ技×食材×キャラ分用意されており、しかも同じ調理法でも複数種類が出来るので、冗談抜きで''1000品を軽く超える''。 --その全てに中国語の名前と解説文が用意されているのだから、この作り込みは素直に称賛に値する。解説文も無駄に凝っており、普通に食欲を唆るもののあればツッコミ所満載のネタに走ったものもある。 --ストーリーでは全ての食材を扱うのは主人公だけで、他のキャラは自分の担当分のみで、しかも「オヤジ」についてはストーリーで戦う機会自体が無い。にも拘わらず、主人公以外の''全員にも全食材分の専用料理が用意されている''という拘りぶりである。 ---料理の絵が映らない、そもそも料理で勝負していないという料理ゲームとして致命的なツッコミ所を抱えながらもこう言った所は手を抜かれておらず、あながち馬鹿にしたものではない。%%力の入れ所を間違えているとか言わないように%% -BGMは熱い曲が揃っており、暑苦しい物語を更に熱く盛り上げている。…ギャグなのかシリアスなのかは別にして。 --メインテーマは『ディスガイア』の挿入歌「戦友(とも)よ」を彷彿させる曲調で、毎話の如く流れてはストーリーの熱量を引き上げてくれる。というか''メロディが殆ど同じ''なのでこれが原曲なのかもしれない。 --最終決戦時の曲は''中国語の語り''まで入る凝りようである((担当は本作の中国語訳を担当した宋旻玲という人物。))。%%プレイヤーがやるのは僅かなメッセージ送りだけだが。%% ---- **これがッ!!このゲームの総評だァァッッ!!! ゲームとしては操作する機会が少ない、システムに難がある、ビジュアルが悪いなど、問題点だらけではあるが、それすらネタの一環とすら思える日本一ソフトウェア渾身のバカゲーである。~ むしろ、ゲーム性よりもバカゲーっぷりを楽しむことの方にあえて主眼を置いてるといっても過言ではない程である。~ 失笑・爆笑・腰砕け・どん引きのパロディネタてんこもりの作風は同メーカーの[[魔界戦記ディスガイアシリーズ]]に受け継がれていくこととなり、~ 現・同社社長を務める新川宗平氏((本作ではプロデューサーを務めた。『マール王国』や『ディスガイア』のシナリオも手掛けている。))も「''ディスガイアシリーズも『好』がなかったら存在していないかも知れない''」「日本一ソフトウェアの歴史を語る上で欠かせないゲームの一つ」と認めている。 しかしこの無駄な熱さと、おバカなやり取りに大真面目にぶつかっていく恥も外聞も捨てた思い切りの良さはディスガイアにさえも受け継がれておらず、~ 20年も経った今も尚、数ある日本一ソフトウェア作品の中でも本作は異彩を放ち続けている。%%受け継がれなくて正解だが。%%~ そんな熱量無限大のおバカな時代の熱さに胸を滾らせてみたくなった奇特な方は、敢えて暑苦しいクッキングバトルの世界に身を投じてみるのもいいかもしれない。~ 色んな意味でお腹一杯になる事請け合いである。''但し、お腹を壊しても自己責任で''。 ---- **振り下ろす余談にも愛を込めて… -[[ゲーム紹介ページ>http://nippon1.jp/consumer/cooking_fighter/]]も熱い。 -実は本作の脚本、及び料理解説はフォグから発売された『[[久遠の絆]]』を生み出した加藤直樹と小林且典の両名によるものだったりする。''何やってんですか。'' --フォグと日本一ソフトウェアは社長(当時)同士の付き合いが古く、フォグ初期作『みちのく秘湯恋物語』((こちらも加藤氏が脚本担当。))『久遠の絆』の開発に日本一ソフトウェアが協力している。両氏が本作を担当したのはその縁もあったのだろうか。%%猶更何やらせてんですか。%% --『[[雨格子の館]]』以降のフォグ作品の多くは日本一ソフトウェアがパブリッシャーとなっている。そして2016年にはフォグは正式に日本一ソフトウェアの子会社となった。 --尚、両氏は後にフォグ製名作ADV『[[風雨来記]]』にも携わっている。%%だからこの時はほんと何やってたんですか。%% -後の日本一作品にも、本作にまつわるネタが度々登場している。 --『[[マール王国の人形姫]]』でオアシス村のアイテム屋の掲示板を調べると「『クッキングフ…』」という本作を意識したメッセージが書かれている。 --『[[魔界戦記ディスガイア]]』ではウソ次回予告の1つに本作を元にしたものがあり、本作の料理が取り上げられている。また、ハオと味影もドットキャラとしてちゃっかり登場している。 --『[[ファントム・キングダム]]』では魔界厨師、『[[魔界戦記ディスガイア3]]』では家諦科凶師チャンプルという、どう見ても本作の料理人を元にしたキャラが登場している。 --『ソウルクレイドル 世界を喰らう者』では作中でハオの名前が登場し、とあるキャラのEDに本人が登場している。 --『[[ディスガイア インフィニット]]』ではラハールがプリンの美味さのあまり『味っ子』並のオーバーリアクションをするシーンがあるが、よもやこのゲームの影響ではなかろうか。 -近年になって本作の制作秘話などが語られている。 --新川氏曰く、本作は元々は『[[ダブルキャスト]]』などの「やるドラシリーズ」のようなゲームを目指していたが、予算、スケジュール等の関係で到底不可能だった為、それを埋める為に様々な要素を取り入れた結果、このようなゲームになったと言う。''どうしてこうなった'' ---ゲームの大半がイベントシーンなのはその名残とも言えるかもしれない。 --また、本作の数か月後には同社からあの『マール王国の人形姫』が発売されている((後述にもあるが本作とは並行開発だった。))。当時は『マール王国』が売れなければ会社が潰れるかもしれないほどの危機的状況だったらしく、その『マール王国』の前に会社として目立ちたいと言う意図も本作にはあったとの事。数々のぶっ飛んだバカゲー要素はその産物であると言う。 --しかし制作側にとってもやり過ぎた感があったらしく、半ば黒歴史化されていた。少なくとも2012~2013年頃までは「伝説は伝説のままでいい」と、ゲームアーカイブス化は考えていなかったらしい。 ***語り尽くせぬその後の展開がそこにある -上記のようなメーカー側の印象もあり、長らくこの作品は新たな展開も話題に挙げられることもなく、廉価版やゲームアーカイブス化などで再び発売される機会にも恵まれなかったが、2015年''4月1日''に行われた企画「[[過去タイトル投票キャンペーン>http://nippon1.jp/psstore_contents/vote_campaign/]]」の結果により、アーカイブス配信が発表された。 --過去タイトル投票キャンペーンでは何故か『好』のタイトルに早い段階から''80,000,000,000,000票''も入っていた。''不正はなかった''((ちなみにこの80兆という数字、「ハオ」に掛けたものらしいが、8を「ヤ」、0を「オ」で読み、兆を付けると…))。 ---メーカーの告知によると、普通に投票を行ったところで『ディスガイア』や『[[流行り神>流行り神シリーズ]]』が票を集めるのは分かりきっているので、知名度や人気などを考慮してあらかじめタイトルごとに、ある程度の票を入れてバランス調整したとの事である。''どう考えても最初からアーカイブス化が決定していた訳だが''。 --また、何を思ったか「ゲームアーカイブス配信記念」としてカスタムテーマまで無料配信された。%%なんで20年近くも前のタイトルをそこまでプッシュする…%% --この配信に際して、同ページにて新川氏へのインタビューが掲載された。「スタッフ全員が真剣に作ったゲームだけど、いま振り返ると、やっぱり実力不足だった」「『マール王国』と同時製作だったので、『好』は主に夜に作っていた。今思うと、''深夜テンションだった''」など、当時の興味深い秘話が語られている。 ---相手の料理を奪える仕様についても語られたが、新川氏によると「このゲームに&bold(){整合性とか、必要性とか、そういう、ちゃんとしたものを求めますか?}このゲームを遊ぶには''大らかな気持ち''とか''温かい目''とか、そういう心構えが大事なわけですね。そういう優しさを持った方に遊んでいただけると嬉しいです。」との事である。クッキングバトルとは一体…。 ---他にも氏は「ソフトをダウンロードする前に、一度手を止め考えてください」「このゲームは毒か薬かでいえば、''毒です''」など、すっかり開き直ったコメントを残している。また、「『好』のDL数が1万を超えれば''『ディスガイア』にハオを出す事を検討してもいい''」とも語っていた。 --尚、この配信は''8,000,000,000秒間((西暦2269年1月2日位まで))の期間限定''であるとされていた。 ---だが現実は2021年8月までにPS3、PSVita向けコンテンツの新規購入が停止すると発表されたため、実際にはその40分の1ほどの約200,000,000秒程度であった。勿論、ただのネタだろうが、8,000,000,000秒間は流石に無理だったようだ。%%当たり前だッ!%% ---…と思いきや、2021年4月にこの予定が撤回され、前述のサービスの継続が発表された。当然本作も引き続き購入可能であり、超龍厨師への扉は依然として開かれたままである。 -%%八百長事件%%過去タイトル投票キャンペーンから一年後の2016年''4月1日''、あろうことか''[[公式サイト>http://nippon1.jp/consumer/cooking_fighter/renewal/index.php]]が18年ぶりに更新された''。 --ユーザー側も何を血迷ったか、1週間でアクセス数が1万を突破し、その記念として''PS4用アバターパック''まで配信されてしまった((しかも配信されたアバターはハオ、味魔王のアップ、ザコ、タイトルロゴ、チャーハンと、完全にツッコミ待ちのラインナップ。))。%%だからなんで20年近くも前のタイトルをs(ry%% --サイト自体、''チャーハン CV:なし''などもはやツッコミ待ちのレベル。%%そもそもチャーハンにボイスがあってたまるか。%% --この際に''「炎の料理人クッキングファイター好」レビューバトル☆キャンペーン!''なるイベントが開催され、200以上もの熱いレビューが投稿された。%%いや、だからなんでで20年近くもm(ry%% ---魂さえこもっていれば''嘘でも未プレイでもOK''というのもまた爆笑ものである。そして優秀作品への賞品は''8,000,000ハオ((ベトナムの通貨「ドン」の補助単位で、日本円換算で約4,050円。))相当の肉''だった。しかもわざわざ調理の様子を[[動画>https://www.youtube.com/watch?v=3GAmcVtL1nA&feature=youtu.be]]で上げている。 ---ファンもファンで熱いもの、嘘塗れのネタに走ったもの、''ただの肉の食レポ''など、実に魂のこもったレビューを投稿していた。訓練されたファンは判ってるぜッ!! --「魂のギャラリー」として当時のラフイラストも公開されている。%%ラフを見る限りだとそんなにおかしくないのに、何故ゲームではあんな絵になったのか。%%

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