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*アイドル八犬伝 【あいどるはっけんでん】 |ジャンル|アドベンチャー|&image2(idol.jpg,width=180)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2MbitROMカートリッジ|~| |発売元|トーワチキ|~| |開発元|ナツメ|~| |発売日|1989年9月14日|~| |定価|6,000円|~| |プレイ人数|1人|~| //|セーブデータ||~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|奇妙奇天烈なアイドルサクセスストーリー&br()脱力ギャグ&電波ソング&超展開&brシステムは無難、BGMは良質&br()OP&EDの歌とダンスシーンが有名|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『[[シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件]]』などの狂ったゲーム性で知られるトーワチキと、『[[東方見文録]]』の狂ったシナリオで知られるナツメが手を組んで制作したコマンド選択型アドベンチャーゲーム。~ システム周りや世界観自体はまともな一方、「ギャグありズッコケあり」とのパッケージのうたい文句に違わぬおバカテイストがこれでもかと詰め込まれたシナリオにより、『東方見文録』とはまた違った方向性で、コミカルかつカオスな作品に仕上がっている。 ---- **ストーリー >大財閥・西園寺家の当主、西園寺トミコは自らの寿命を悟り、3人の孫娘を呼び寄せてこう告げた。 > >「今から3ヶ月間、全力を挙げて自分の名を上げる仕事をして見せよ。それによりお前たちの器量を量り、跡継ぎを決める。」 > >若くして名だたる実力を持つ2人の孫はミソッカスの妹エリカを見下しており、エリカ自身も自分のとりえが歌くらいしかない事に諦め気味。 >そんな時、乳母のミホが連れてきた謎の占い師・真実一郎に歌の才能を見出されたエリカは、~ 歌を武器に歌って踊れるスーパーアイドルを目指すことになり、~ 目標達成の助けとなる仲間「八犬士」を探すべく、八犬士の一人である一郎の孫娘・真実星美と共に旅立った。 > >しかしそんな彼女に、芸能界の裏を牛耳る謎の組織「イロモノ帝国」の魔の手が迫る。~ 果たしてエリカは無事トップアイドルになれるのか!? ---- **特徴 -全5章構成・コマンド選択型のアドベンチャーゲーム。 --各章はいくつかの場面に分かれており、問題を解決することで次の場面に進めていく形式。 --章クリアごとにパスワードが表示され、途中再開が可能。 ---- **バカゲー要素 -「2人の姉を見返すには唯一のとりえである歌でトップアイドルになるしかない! ''・・・3か月で''」と始まりはまだオーソドックス(?)なのだが、~ 「東京で一番高い場所」が「値段が一番高い場所」だったり、ラッコにクルミを割ってもらうために水族館に行ったり、~ 伝説の歌手が住む山奥の道中でぬりかべに遭遇したり、星が必要な仲間のために頭をバットで殴ってマンガ星を出したり…と、まったく先が読めないヘンテコな展開が目白押し。 --しかし、終盤で意外などんでん返しが待ち受けており、ほんの若干ながらシリアス成分もはいってくる。 -物語が進むと仲間が増えていくが、仲間になるのは予知能力者、株の天才、天才ハッカー、敏腕プロデューサー、花火職人、暴走族のヘッド、アイドルの追っかけと、エリカに負けず劣らずのクセものぞろい。 --シナリオ容量の都合上、表立った活躍を見せるキャラは限られているが、それ以外のキャラもサポーターとしての活躍はテキストできちんと補われている。 -テキストにも''「ウーパールーパーじゃなくって乳母」「ちょっと待ってチェルノブイリ」「ありがトーワチキ」''などなど、肩の力が抜けそうなしょうもないギャグが仕込まれている。 --これはトーワチキがナツメ側に持ち込んだシナリオがつまらないという理由で没にされ、「ならば徹底的にくだらないダジャレを仕込んでやれ!」とハッチャけた結果、OKが通ったという経緯があるため。 --とあるサークルが発行した資料同人誌内でのスタッフ座談会によると、ナツメ側がシナリオの参考にと紹介したシナリオライターが凄まじい電波体質の持ち主で、~ 彼が数日で書き上げた原稿用紙200枚程のシナリオもこれまた凄まじいものだったらしい。~ それが功を奏したか、シナリオに関して文句を言われることはなくなったとか。 -アイドルサクセスストーリーらしく、本作にはエリカが即興で歌を歌うシーンが数多く挿入されており、時にそれが謎解きのヒントになるという凝った仕様になっている。 --トラブルの大部分を歌で解決してしまう展開の強引さもさるものだが、彼女の即興歌はなぜかどれもこれも''電波ソング''。~ そんな即興歌にまでBGMを付けてしまう容量の無駄遣い…いや製作スタッフのこだわりはさすが(笑) --特にエンディング曲「きみはホエホエむすめ」は、8bitのサウンドに意味不明な歌詞を乗せた電波ソングの走りとも呼べる名曲として評価が高い。~ 作詞は映画『日本以外全部沈没』などで知られる河崎実が担当している。~ なぜか『ウルトラマン』の監督である円谷一と美術デザインの成田亨の名を歌詞にねじ込み、ドサクサ紛れに河崎自身の名も入れている。 --タイトル画面のBGMもこの曲であり、声援や手拍子の入ったコンサートバージョンを聞くことができる。~ また、エンディング曲もこの曲のLONGバージョンとなっており、「ホエホエ娘に始まりホエホエ娘に終わる」ということで、まさに本作を象徴する曲と言えよう。 -ストーリー中盤になると、芸能界を牛耳る''「暗黒イロモノ軍団」''なる謎の組織が現れ、トップアイドルを目指すエリカをイロモノタレントに仕立てあげようと付けねらってくる。 --イロモノ軍団の構成員は、歌が巧い関取ヨルシオ、某元祖バラドルに名前がそっくりのヤモリミユキ、太ってタレントに転身した元美形俳優ワレナベトオル、サングラスをかけたタジロマサシ…など、どこかで見た名前や特徴の人たちばかり。~ リメイクしようという会社が出たところでまずできない要素てんこもり。似てるかどうかは別としてネタがやば過ぎである。 ---- **評価点 -ADVとしては遊びやすい --謎解きは難しくなく、コマンドも場面ごとに必要なものだけが表示されるので、難易度はそれほど高くはない。 --『東方見文録』はコマンド選択に癖があったが本作は一般的な方式となっており、プレイしやすくなった。 -グラフィック面は当時としては頑張っている --オープニング後のタイトル画面ではエリカの顔グラフィックがでかでかと映し出され、その左隣ではエリカが踊っている。そのまま放っておくとエリカが様々な背景をバックに曲に合わせて踊るというPV風の演出が拝める。 ---限られたアニメパターンとはいえ、「FCで格ゲーやベルトスクロールアクションサイズのキャラを曲にシンクロさせつつ踊らせる」という、さりげない技術の無駄遣いを披露している。 -エリカの多彩な表情グラフィック。 --ゲーム本編内では、グラフィックウィンドウの横にエリカのグラフィックが常時、表示されており、「歌う」「踊る」などの特別なコマンドを入力するとそれに合わせて表情やポーズが変わる。限られたドットで原画をしっかりと再現しており、豊かな表情がとてもかわいらしい。 --また、台詞が出ている最中はそのスペースに喋っているキャラのバストアップが表示される。残念ながらエリカ以外のキャラに表情の変化は無いが、それでもキャラグラフィックは豊富。 ---本作のキャラクターデザインとグラフィック原画を担当したのは、『SPA!』などで著名なイラストレーター・近藤ゆたか氏。近藤氏の手がけたかわいらしいキャラクターたちとそのテイストを再現したグラフィックの評価は高い。 -BGMの出来も良い --『[[魂斗羅 (FC)]]』や『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』などのBGMを手掛けた禎清宏(当時は「サダ キョウヘイ」名義)が担当している。~ ワンループは短いものが多いが、いずれも耳に残る良曲である。 ---本作はメッセージ送り、カーソル移動・決定時の効果音が一切ないので、効果音に邪魔されずにBGMを聞けるという利点もある。~ BGMの質がいいだけに、これは嬉しい仕様である。 ---- **賛否両論点 //素直に楽しんでる人も普通におりギャグだらけなこと自体も純然たる問題とは言えないので賛否点に移動。 -くだらないギャグの応酬 --前述のとおり、本作のギャグはスタッフが確信犯的に徹底してくだらないものを仕込んでいるのだが、そのくだらなさを素直に笑い飛ばせるか否かで人を選ぶ。 ---- **問題点 -当時としても少ないボリュームと低過ぎる難易度。 --特に難しい謎解きはなく1章辺りのプレイ時間も短いので、エンディングまでの所要時間は約3時間ほどで済んでしまう。 --バッドエンドが用意されているものの最終章にしか存在しないので、コマンド総当たりで容易に解けてしまう。 --「八犬伝」の通り、主人公含めて8人の仲間がいるのだが、シナリオの短さの割を食ってろくに見せ場がないまま終わってしまう仲間もいる。本筋に明確に絡むのは最初の仲間であるホシミぐらいで、あとは必要に応じて出る程度。(もちろんテキスト内でそれなりに役立っていることは描写されてはいる)。 ---これには容量不足という制作上の事情が関係しているので仕方ないのだが。 -『東方見文録』では行動を誤るとおかしなバッドエンドを迎える事もあったのだが、本作では前述の通り最終章にしかない上に種類も1つだけで、黒幕との決戦以外ではどんな行動を取ってもやられる事が無い。 --これもまた容量不足の所為である。本来のシナリオでは各章の随所にバッドエンドが仕込まれていたが、後述するシナリオ削除の煽りを食らって最終章以外のバッドエンドは全て没になってしまった。 ---その中には「''エリカの歌で人工衛星が落ち地球滅亡''」というぶっ飛んだものもあったとか。なんとも勿体ない。 ---- **総評 脱力ギャグと超展開が目白押しの、まごうことなきバカゲーである。 とはいえ、シナリオやサウンド、グラフィックへの力の入れ具合を見ても分かるように決していい加減に作られたものではなく、いたって真面目に、本気と気合を込めておバカに仕上げていることは存分に伝わってくるだろう。~ さながらそのノリは夜8時のコント番組のようなものであり、ギャグが笑えるかも人によりプレイ時間の短さという欠点もあるものの、終始、能天気で明るいコミカルな作風は、推理ものやSFものなどのシリアスな作風が多いテキストアドベンチャー作品群の中でもひときわ際立っている。80年代当時のコメディのノリと可愛らしいキャラクター、音楽の魅力によって、本作は一定のファンを得ることに成功した。 劇中の80年代まっさかりの絶妙にくだらないギャグや突拍子もない展開を素直に楽しめる人にならお勧めできる逸品である。 ---- **余談 -上述の資料系同人誌によると、本作は『東方見文録』のシステムを流用して作られたが、その弊害としてシステム周りの限界からシナリオの3分の2以上を削除せざるを得なくなったのだという。~ また、グラフィックと音楽に力を入れていたことも容量に影響したと思われる。 -2007年に発売された『ファミソン8BIT』(昭和アニソンを8BITアレンジしたCD)のボーナストラックに「君はホエホエ娘」が収録された。歌ったのは自身も数多くのアニソン・電波ソングを手がける桃井はるこ。 --さらに本作発売から20年越しの2011年の冬コミで、作曲者の見里朝生が参加するCDが発売されてしまった。このCDには本作のシナリオに即した書き下ろし曲と「君はホエホエ娘」のロシア語訳とフランス語訳が収録されている(もとが言葉遊びのような歌詞なので「超訳」とのこと)。 --現在はJoySoundでカラオケも配信されている。 -なんと発売から25年後の2014年に、『アイドル八犬伝 南の島の太陽と星』というタイトルで小説化された。内容はゲーム本編の後日談的なもの。 --出版は『[[いっき]]』『[[ダイナマイト刑事]]』と言ったレトロゲームのノベライズ版を出版している一二三書房の桜ノ杜ぶんこからであり、本作もその一環となる。 --著者はアダルトゲームの『[[るいは智を呼ぶ]]』『‘&’-空の向こうで咲きますように-』などのシナリオライターの衆堂ジョオ氏である。アイテムや能力でキャラをユニークに個性付けした作品を手掛けて来た氏とは、本作の設定は相性が良さそうだからだろうか。 ----
*アイドル八犬伝 【あいどるはっけんでん】 |ジャンル|アドベンチャー|&image2(idol.jpg,width=180)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2MbitROMカートリッジ|~| |発売元|トーワチキ|~| |開発元|ナツメ|~| |発売日|1989年9月14日|~| |定価|6,000円|~| |プレイ人数|1人|~| //|セーブデータ||~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|奇妙奇天烈なアイドルサクセスストーリー&br()脱力ギャグ&電波ソング&超展開&brシステムは無難、BGMは良質&br()OP&EDの歌とダンスシーンが有名|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『[[シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件]]』などの狂ったゲーム性で知られるトーワチキと、『[[東方見文録]]』の狂ったシナリオで知られるナツメが手を組んで制作したコマンド選択型アドベンチャーゲーム。~ システム周りや世界観自体はまともな一方、「ギャグありズッコケあり」とのパッケージのうたい文句に違わぬおバカテイストがこれでもかと詰め込まれたシナリオにより、『東方見文録』とはまた違った方向性で、コミカルかつカオスな作品に仕上がっている。 ---- **ストーリー >大財閥・西園寺家の当主、西園寺トミコは自らの寿命を悟り、3人の孫娘を呼び寄せてこう告げた。 > >「今から3ヶ月間、全力を挙げて自分の名を上げる仕事をして見せよ。それによりお前たちの器量を量り、跡継ぎを決める。」 > >若くして名だたる実力を持つ2人の孫はミソッカスの妹エリカを見下しており、エリカ自身も自分のとりえが歌くらいしかない事に諦め気味。 >そんな時、乳母のミホが連れてきた謎の占い師・真実一郎に歌の才能を見出されたエリカは、~ 歌を武器に歌って踊れるスーパーアイドルを目指すことになり、~ 目標達成の助けとなる仲間「八犬士」を探すべく、八犬士の一人である一郎の孫娘・真実星美と共に旅立った。 > >しかしそんな彼女に、芸能界の裏を牛耳る謎の組織「イロモノ帝国」の魔の手が迫る。~ 果たしてエリカは無事トップアイドルになれるのか!? ---- **特徴 -全5章構成・コマンド選択型のアドベンチャーゲーム。 --各章はいくつかの場面に分かれており、問題を解決することで次の場面に進めていく形式。 --章クリアごとにパスワードが表示され、途中再開が可能。 ---- **バカゲー要素 -「2人の姉を見返すには唯一のとりえである歌でトップアイドルになるしかない! ''・・・3か月で''」と始まりはまだオーソドックス(?)なのだが、~ 「東京で一番高い場所」が「値段が一番高い場所」だったり、ラッコにクルミを割ってもらうために水族館に行ったり、~ 伝説の歌手が住む山奥の道中でぬりかべに遭遇したり、星が必要な仲間のために頭をバットで殴ってマンガ星を出したり…と、まったく先が読めないヘンテコな展開が目白押し。 --しかし、終盤で意外などんでん返しが待ち受けており、ほんの若干ながらシリアス成分もはいってくる。 -物語が進むと仲間が増えていくが、仲間になるのは予知能力者、株の天才、天才ハッカー、敏腕プロデューサー、花火職人、暴走族のヘッド、アイドルの追っかけと、エリカに負けず劣らずのクセものぞろい。 --シナリオ容量の都合上、表立った活躍を見せるキャラは限られているが、それ以外のキャラもサポーターとしての活躍はテキストできちんと補われている。 -テキストにも''「ウーパールーパーじゃなくって乳母」「ちょっと待ってチェルノブイリ」「ありがトーワチキ」''などなど、肩の力が抜けそうなしょうもないギャグが仕込まれている。 --これはトーワチキがナツメ側に持ち込んだシナリオがつまらないという理由で没にされ、「ならば徹底的にくだらないダジャレを仕込んでやれ!」とハッチャけた結果、OKが通ったという経緯があるため。 --とあるサークルが発行した資料同人誌内でのスタッフ座談会によると、ナツメ側がシナリオの参考にと紹介したシナリオライターが凄まじい電波体質の持ち主で、~ 彼が数日で書き上げた原稿用紙200枚程のシナリオもこれまた凄まじいものだったらしい。~ それが功を奏したか、シナリオに関して文句を言われることはなくなったとか。 -アイドルサクセスストーリーらしく、本作にはエリカが即興で歌を歌うシーンが数多く挿入されており、時にそれが謎解きのヒントになるという凝った仕様になっている。 --トラブルの大部分を歌で解決してしまう展開の強引さもさるものだが、彼女の即興歌はなぜかどれもこれも''電波ソング''。~ そんな即興歌にまでBGMを付けてしまう容量の無駄遣い…いや製作スタッフのこだわりはさすが(笑) --特にエンディング曲「きみはホエホエむすめ」は、8bitのサウンドに意味不明な歌詞を乗せた電波ソングの走りとも呼べる名曲として評価が高い。~ 作詞は映画『日本以外全部沈没』などで知られる河崎実が担当している。~ なぜか『ウルトラマン』の監督である円谷一と美術デザインの成田亨の名を歌詞にねじ込み、ドサクサ紛れに河崎自身の名も入れている。 --タイトル画面のBGMもこの曲であり、声援や手拍子の入ったコンサートバージョンを聞くことができる。~ また、エンディング曲もこの曲のLONGバージョンとなっており、「ホエホエ娘に始まりホエホエ娘に終わる」ということで、まさに本作を象徴する曲と言えよう。 -ストーリー中盤になると、芸能界を牛耳る''「暗黒イロモノ軍団」''なる謎の組織が現れ、トップアイドルを目指すエリカをイロモノタレントに仕立てあげようと付けねらってくる。 --イロモノ軍団の構成員は、歌が巧い関取ヨルシオ、某元祖バラドルに名前がそっくりのヤモリミユキ、太ってタレントに転身した元美形俳優ワレナベトオル、サングラスをかけたタジロマサシ…など、どこかで見た名前や特徴の人たちばかり。~ リメイクしようという会社が出たところでまずできない要素てんこもり。似てるかどうかは別としてネタがやば過ぎである。 ---- **評価点 -ADVとしては遊びやすい --謎解きは難しくなく、コマンドも場面ごとに必要なものだけが表示されるので、難易度はそれほど高くはない。 --『東方見文録』はコマンド選択に癖があったが本作は一般的な方式となっており、プレイしやすくなった。 -グラフィック面は当時としては頑張っている --オープニング後のタイトル画面ではエリカの顔グラフィックがでかでかと映し出され、その左隣ではエリカが踊っている。そのまま放っておくとエリカが様々な背景をバックに曲に合わせて踊るというPV風の演出が拝める。 ---限られたアニメパターンとはいえ、「FCで格ゲーやベルトスクロールアクションサイズのキャラを曲にシンクロさせつつ踊らせる」という、さりげない技術の無駄遣いを披露している。 -エリカの多彩な表情グラフィック。 --ゲーム本編内では、グラフィックウィンドウの横にエリカのグラフィックが常時、表示されており、「歌う」「踊る」などの特別なコマンドを入力するとそれに合わせて表情やポーズが変わる。限られたドットで原画をしっかりと再現しており、豊かな表情がとてもかわいらしい。 --また、台詞が出ている最中はそのスペースに喋っているキャラのバストアップが表示される。残念ながらエリカ以外のキャラに表情の変化は無いが、それでもキャラグラフィックは豊富。 ---本作のキャラクターデザインとグラフィック原画を担当したのは、『SPA!』などで著名なイラストレーター・近藤ゆたか氏。近藤氏の手がけたかわいらしいキャラクターたちとそのテイストを再現したグラフィックの評価は高い。 -BGMの出来も良い --『[[魂斗羅 (FC)]]』や『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』などのBGMを手掛けた禎清宏(当時は「サダ キョウヘイ」名義)が担当している。~ ワンループは短いものが多いが、いずれも耳に残る良曲である。 ---本作はメッセージ送り、カーソル移動・決定時の効果音が一切ないので、効果音に邪魔されずにBGMを聞けるという利点もある。~ BGMの質がいいだけに、これは嬉しい仕様である。 ---- **賛否両論点 //素直に楽しんでる人も普通におりギャグだらけなこと自体も純然たる問題とは言えないので賛否点に移動。 -くだらないギャグの応酬 --前述のとおり、本作のギャグはスタッフが確信犯的に徹底してくだらないものを仕込んでいるのだが、そのくだらなさを素直に笑い飛ばせるか否かで人を選ぶ。 ---- **問題点 -当時としても少ないボリュームと低過ぎる難易度。 --特に難しい謎解きはなく1章辺りのプレイ時間も短いので、エンディングまでの所要時間は約3時間ほどで済んでしまう。 --バッドエンドが用意されているものの最終章にしか存在しないので、コマンド総当たりで容易に解けてしまう。 --「八犬伝」の通り、主人公含めて8人の仲間がいるのだが、シナリオの短さの割を食ってろくに見せ場がないまま終わってしまう仲間もいる。本筋に明確に絡むのは最初の仲間であるホシミぐらいで、あとは必要に応じて出る程度。(もちろんテキスト内でそれなりに役立っていることは描写されてはいる)。 ---これには容量不足という制作上の事情が関係しているので仕方ないのだが。 -『東方見文録』では行動を誤るとおかしなバッドエンドを迎える事もあったのだが、本作では前述の通り最終章にしかない上に種類も1つだけで、黒幕との決戦以外ではどんな行動を取ってもやられる事が無い。 --これもまた容量不足の所為である。本来のシナリオでは各章の随所にバッドエンドが仕込まれていたが、後述するシナリオ削除の煽りを食らって最終章以外のバッドエンドは全て没になってしまった。 ---その中には「''エリカの歌で人工衛星が落ち地球滅亡''」というぶっ飛んだものもあったとか。なんとも勿体ない。 ---- **総評 脱力ギャグと超展開が目白押しの、まごうことなきバカゲーである。 とはいえ、シナリオやサウンド、グラフィックへの力の入れ具合を見ても分かるように決していい加減に作られたものではなく、いたって真面目に、本気と気合を込めておバカに仕上げていることは存分に伝わってくるだろう。~ さながらそのノリは夜8時のコント番組のようなものであり、ギャグが笑えるかも人によりプレイ時間の短さという欠点もあるものの、終始、能天気で明るいコミカルな作風は、推理ものやSFものなどのシリアスな作風が多いテキストアドベンチャー作品群の中でもひときわ際立っている。80年代当時のコメディのノリと可愛らしいキャラクター、音楽の魅力によって、本作は一定のファンを得ることに成功した。 劇中の80年代まっさかりの絶妙にくだらないギャグや突拍子もない展開を素直に楽しめる人にならお勧めできる逸品である。 ---- **余談 -上述の資料系同人誌によると、本作は『東方見文録』のシステムを流用して作られたが、その弊害としてシステム周りの限界からシナリオの3分の2以上を削除せざるを得なくなったのだという。~ また、グラフィックと音楽に力を入れていたことも容量に影響したと思われる。 -2007年に発売された『ファミソン8BIT』(昭和アニソンを8BITアレンジしたCD)のボーナストラックに「君はホエホエ娘」が収録された。歌ったのは自身も数多くのアニソン・電波ソングを手がける桃井はるこ。 --さらに本作発売から20年越しの2011年の冬コミで、作曲者の見里朝生が参加するCDが発売されてしまった。このCDには本作のシナリオに即した書き下ろし曲と「君はホエホエ娘」のロシア語訳とフランス語訳が収録されている(もとが言葉遊びのような歌詞なので「超訳」とのこと)。 --現在はJoySoundでカラオケも配信されている。 -なんと発売から25年後の2014年に、『アイドル八犬伝 南の島の太陽と星』というタイトルで小説化された。内容はゲーム本編の後日談的なもの。 --出版は『[[いっき]]』『[[ダイナマイト刑事]]』と言ったレトロゲームのノベライズ版を出版している一二三書房の桜ノ杜ぶんこからであり、本作もその一環となる。 --著者はアダルトゲームの『[[るいは智を呼ぶ]]』『‘&’-空の向こうで咲きますように-』などのシナリオライターの衆堂ジョオ氏である。アイテムや能力でキャラをユニークに個性付けした作品を手掛けて来た氏とは、本作の設定は相性が良さそうだからだろうか。 ----

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