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*月面のアヌビス
【げつめんのあぬびす】
|ジャンル|サウンドノベル|&amazon(B000068HIA)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|24MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|イマジニア|~|
|開発元|アクセス&br()マルチメディア インテリジェンス トランスファー|~|
|発売日|1995年11月22日|~|
|定価|11,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|着眼点は良いのだが…|~|
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#contents(fromhere)
----
~
#center(){{
&big(){''人類が月に到達したのは何十年前の事だっただろう。''}
}}
~
----
**概要
イマジニアから『[[ざくろの味]]』と同時に発売された、世にも珍しい双子サウンドノベルの片割れ。~
ただし開発元は異なり、世界観や登場人物も異なっている。
**ストーリー
未来、月面に研究所が建設され18年が過ぎた時代。~
若き研究者である圭介と香織((共に名前は変更可能。))は、日本人としては初めて、研究所に滞在する事になった。~
何事もなく到着し歓迎を受ける2人だが、そこで事件が起こり…。
**特徴
-当時は「サウンドノベルと言えばホラーかミステリーがメイン」という時代だったが、本作は月面の研究所を舞台とした近未来SFものである。
-隠し設定として「性格」の概念があり、ゲーム初期の選択肢によって、主人公の性格が「普通」「慎重」「臆病」「ふざけた」の4種類のどれかに決定される。
--特定の性格でないと出現しない選択肢があり、それによって見る事の出来るエンディングも変化する。
-いずれかのエンディングに辿り着いた後は、『[[かまいたちの夜]]』の様に、章単位で読み返す事ができる。
-登場人物は『[[かまいたちの夜]]』『ざくろの味』同様シルエットで描かれているが、一色ではなく服の模様や顔の表情なども影で表現されている。
-''作中に、とある形で「ざくろの味」という単語が登場する''。因みに『ざくろの味』にも本作のタイトルが登場している。
-全ての結末に到達すると、ヒロインの視点による隠しシナリオをプレイできる。
--これはメインシナリオの舞台裏的存在で、同シナリオに登場した謎の敵キャラクターの正体が明かされる。
**評価点
-システム面の出来は''『ざくろの味』よりは''間違いなく上。
-宇宙が舞台のSFノベルゲーは、当時としては貴重。
-殺害・爆死・洗脳など、主人公の最期に応じてバッドエンド時の画面演出が異なる。
**問題点
-「特定の性格でないと見られない結末」は基本的にバッドエンドで、性格システム自体はユニークだが活かされていたとは言い難い。
-『ざくろの味』ほどではないが、誤字脱字がそこかしこに存在する。
-説明書の登場人物紹介には詳細な設定が書かれているのだが、特に活躍もしない頭数キャラが何人もいる上、シナリオごとにキャラの設定自体が大きく変わる為にあまり意味をなしていない。
-ヒロインの名前を変更しても、章題ではデフォルト名「香織」のまま。
-『ざくろの味』と違って、パーセンテージによる達成率表示は無い。
--とはいえあちらにはない章単位の読み返し機能はある。同時に開発していたなら両方搭載できなかったのだろうか?
-中途半端な結末なのにスタッフロールが流れるエンディングが存在する。
--メインシナリオに至っては、スタッフロールが流れるエンドが「結局助かったのか?」と残尿感の残るものである。直前に主人公とヒロインが顔を見合わせる描写があるが、これが何を意味していたのかも判然としない。
-オープニングデモでは本編のある一場面がそのまま流れるが、これがよりによって''あるキャラが殺されるシーンで、名前もハッキリ呼ばれている''ためで、ネタばらしになってしまっている。
--またサスペンス風のシナリオでは、バッドエンドの1つで犯人のネタばらしがある。このエンドはシナリオの中盤で普通に分岐するものであり、初プレイで見てしまいやすい。
-主人公の台詞「アンドロイドとは、SFなどに出てくる、生物の体の一部を機械に置き換えたものだ」
--それはアンドロイドではなく''サイボーグと言う''。
-ソフトのタイトルである「月面のアヌビス」という言葉は、ゲーム中には特定のシナリオのみに登場するのだが、''そのシナリオにはバッドエンドしか存在しない''。
-最後に出現するヒロインシナリオは、途中で4本のルートに分岐するのだが、''トゥルーエンドはその内1つだけで、あとは全部同じバッドエンドに繋がる。しかもトゥルーエンドにしてもラスト近くまで殆どバッドエンドと展開が同じ''。
-ショックシーンの演出に繰り返し「ガーン」というSEが使用される等、チープな演出が目立つ。
-月面基地が舞台という設定のためかグラフィックは取り込みではなくドット絵。それはいいのだが、無機質感を狙ったのか、何故かどの背景もほぼ同系色だけで描かれている。
--特に舞台となる基地の通路や室内のシーンは殆ど同じ黄土色系で統一されており(たまに青系もあるが)、プレイの大半は延々と黄土色の画面を見続ける事になる。
**賛否両論点
-リアルタイムの時間制限があるシナリオが存在する。ノベルゲームとしては珍しいシステムではあるが、当然テキストをじっくり読んでいる暇が無い。
--バックログを呼び出せば、その間は時間が停止するので、じっくり読むことはできる。しかしそれではそもそもリアルタイムのカウントダウンというシステム自体が無意味になってしまう。ノベルゲームというジャンルとは相性の悪いシステムだったという事だろう。
**総評
題材がSFであること、時限シナリオやヒロイン視点のシナリオが存在することなど、意欲的な要素を盛り込んだソフトだったが、あまり話題にならない不遇な存在である。~
システムの出来は間違いなく『ざくろの味』より優れているのだが、そちらが分かりやすいキャラクターや''トラウマものの描写''等でカルト的な話題が有るのに対し、こちらは地味なグラフィックや登場キャラといったサウンドノベルとしては良くも悪くもパンチの足りないソフトである事が原因だろう。~
~
とはいえ、当時のノベルゲーとしてはけして悪い出来ではないので、ジャンルのファンならプレイしてみるのも一興かと。
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**その他
-『ざくろの味』同様、サウンドトラックCDが発売されている。こちらは曲数が多い代わりにボイスドラマパートが存在しない。
*月面のアヌビス
【げつめんのあぬびす】
|ジャンル|サウンドノベル|&amazon(B000068HIA)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|24MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|イマジニア|~|
|開発元|アクセス&br()マルチメディア インテリジェンス トランスファー|~|
|発売日|1995年11月22日|~|
|定価|11,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|着眼点は良いのだが…|~|
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#contents(fromhere)
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#center(){{
&big(){''人類が月に到達したのは何十年前の事だっただろう。''}
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**概要
イマジニアから『[[ざくろの味]]』と同時に発売された、世にも珍しい双子サウンドノベルの片割れ。~
ただし開発元は異なり、世界観や登場人物も異なっている。
**ストーリー
未来、月面に研究所が建設され18年が過ぎた時代。~
若き研究者である圭介と香織((共に名前は変更可能。))は、日本人としては初めて、研究所に滞在する事になった。~
何事もなく到着し歓迎を受ける2人だが、そこで事件が起こり…。
**特徴
-当時は「サウンドノベルと言えばホラーかミステリーがメイン」という時代だったが、本作は月面の研究所を舞台とした近未来SFものである。
-隠し設定として「性格」の概念があり、ゲーム初期の選択肢によって、主人公の性格が「普通」「慎重」「臆病」「ふざけた」の4種類のどれかに決定される。
--特定の性格でないと出現しない選択肢があり、それによって見る事の出来るエンディングも変化する。
-いずれかのエンディングに辿り着いた後は、『[[かまいたちの夜]]』の様に、章単位で読み返す事ができる。
-登場人物は『[[かまいたちの夜]]』『ざくろの味』同様シルエットで描かれているが、一色ではなく服の模様や顔の表情なども影で表現されている。
-''作中に、とある形で「ざくろの味」という単語が登場する''。因みに『ざくろの味』にも本作のタイトルが登場している。
-全ての結末に到達すると、ヒロインの視点による隠しシナリオをプレイできる。
--これはメインシナリオの舞台裏的存在で、同シナリオに登場した謎の敵キャラクターの正体が明かされる。
**評価点
-システム面の出来は''『ざくろの味』よりは''間違いなく上。
-宇宙が舞台のSFノベルゲーは、当時としては貴重。
-殺害・爆死・洗脳など、主人公の最期に応じてバッドエンド時の画面演出が異なる。
**問題点
-「特定の性格でないと見られない結末」は基本的にバッドエンドで、性格システム自体はユニークだが活かされていたとは言い難い。
-『ざくろの味』ほどではないが、誤字脱字がそこかしこに存在する。
-説明書の登場人物紹介には詳細な設定が書かれているのだが、特に活躍もしない頭数キャラが何人もいる上、シナリオごとにキャラの設定自体が大きく変わる為にあまり意味をなしていない。
-ヒロインの名前を変更しても、章題ではデフォルト名「香織」のまま。
-『ざくろの味』と違って、パーセンテージによる達成率表示は無い。
--とはいえあちらにはない章単位の読み返し機能はある。同時に開発していたなら両方搭載できなかったのだろうか?
-中途半端な結末なのにスタッフロールが流れるエンディングが存在する。
--メインシナリオに至っては、スタッフロールが流れるエンドが「結局助かったのか?」と残尿感の残るものである。直前に主人公とヒロインが顔を見合わせる描写があるが、これが何を意味していたのかも判然としない。
-オープニングデモでは本編のある一場面がそのまま流れるが、これがよりによって''あるキャラが殺されるシーンで、名前もハッキリ呼ばれている''ため、ネタばらしになってしまっている。
--またサスペンス風のシナリオでは、バッドエンドの1つで犯人のネタばらしがある。このエンドはシナリオの中盤で普通に分岐するものであり、初プレイで見てしまいやすい。
-主人公の台詞「アンドロイドとは、SFなどに出てくる、生物の体の一部を機械に置き換えたものだ」
--それはアンドロイドではなく''サイボーグと言う''。
-ソフトのタイトルである「月面のアヌビス」という言葉は、ゲーム中には特定のシナリオのみに登場するのだが、''そのシナリオにはバッドエンドしか存在しない''。
-最後に出現するヒロインシナリオは、途中で4本のルートに分岐するのだが、''トゥルーエンドはその内1つだけで、あとは全部同じバッドエンドに繋がる。しかもトゥルーエンドにしてもラスト近くまで殆どバッドエンドと展開が同じ''。
-ショックシーンの演出に繰り返し「ガーン」というSEが使用される等、チープな演出が目立つ。
-月面基地が舞台という設定のためかグラフィックは取り込みではなくドット絵。それはいいのだが、無機質感を狙ったのか、何故かどの背景もほぼ同系色だけで描かれている。
--特に舞台となる基地の通路や室内のシーンは殆ど同じ黄土色系で統一されており(たまに青系もあるが)、プレイの大半は延々と黄土色の画面を見続ける事になる。
**賛否両論点
-リアルタイムの時間制限があるシナリオが存在する。ノベルゲームとしては珍しいシステムではあるが、当然テキストをじっくり読んでいる暇が無い。
--バックログを呼び出せば、その間は時間が停止するので、じっくり読むことはできる。しかしそれではそもそもリアルタイムのカウントダウンというシステム自体が無意味になってしまう。ノベルゲームというジャンルとは相性の悪いシステムだったという事だろう。
**総評
題材がSFであること、時限シナリオやヒロイン視点のシナリオが存在することなど、意欲的な要素を盛り込んだソフトだったが、あまり話題にならない不遇な存在である。~
システムの出来は間違いなく『ざくろの味』より優れているのだが、そちらが分かりやすいキャラクターや''トラウマものの描写''等でカルト的な話題が有るのに対し、こちらは地味なグラフィックや登場キャラといったサウンドノベルとしては良くも悪くもパンチの足りないソフトである事が原因だろう。~
~
とはいえ、当時のノベルゲーとしてはけして悪い出来ではないので、ジャンルのファンならプレイしてみるのも一興かと。
----
**その他
-『ざくろの味』同様、サウンドトラックCDが発売されている。こちらは曲数が多い代わりにボイスドラマパートが存在しない。