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*シャイニング・ブレイド 【しゃいにんぐ・ぶれいど】 |ジャンル|''心に響くRPG''(コンピュータRPG)|&amazon(B005ZNJCJ2)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売元|セガ|~| |開発元|メディア・ビジョン|~| |発売日|2012年3月15日|~| |定価|5,980円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|あまりにもヌルすぎる難易度&br;滅茶苦茶なシナリオ&br;悪い意味で改変された続投キャラ達|~| |>|>|CENTER:''[[シャイニングシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **プロローグ >ドラゴニア帝国によって大地から精霊の力が奪われ、混沌に包まれた世界。~ クラントール王国に召喚された主人公レイジは、霊的な力を刃に変えて戦う霊刃使い(ソウルブレイダー)として、ドラゴニアとの戦いに立ち上がる。 **概要 Tony氏がキャラデザを勤めるシャイニング4作目。過去作のキャラクターが沢山登場している。~ 開発担当は『ハーツ』のスタジオ最前線から『[[戦場のヴァルキュリア3]]』に関わったメディア・ビジョンにバトンタッチしている。他、セガ内部の戦ヴァルに携わったスタッフが関わるようになったので、本作の新システムのいくつかは戦ヴァルライクな物が採用されている。~ 澤田プロデューサー曰く「''簡単すぎず難しすぎず、中盤辺りからやり応えが増す''」との触れ込みだったが… **システム ***バトルシステム -『[[戦場のヴァルキュリア]]』の「BLiTZ」に近いものが採用。 -移動は「ムーブゲージ」を消費することで行う。「ロックオン&連撃」システムにより複数の敵を同時に攻撃したり、敵一体に集中して攻撃することが可能。 -他のメンバーと「デュオ」を組んで移動することで、組んだ相手はムーブゲージを消費することなく移動できるので、これを利用して長距離移動も可能。 -一部の敵は通常のHPの他にも特定の部位にHPが設定されており、これらを破壊することで弱点を出現させたりステータスを低下させたりする事ができる他、ボーナスアイテムがもらえることも。 ***フォースソング -歌姫(ローレライ)が歌う魔法の歌。フォースゲージが1以上、戦闘不能になっていない味方が1人以上いれば発動可能。バトルフィールド全体に効果があり、味方や敵全体に何らかの効果を与える。もちろん歌によって効果は違う。使用中はBGMがキャラの歌うソングに変化する。 --一部のボス敵が使用する特殊防壁「フォースフィールド」を打ち破る唯一の方法。フォースフィールドはダメージを半減されてしまう厄介な防壁であるため、ここが一番の使い所。どんな歌でも発動すれば打ち破れるのでそこは公平。 ---世界設定的に特殊な素養が必要とされており、全ての女性キャラが歌姫になれるわけではない。 --ただし、フォースソングを歌っている最中の歌姫は攻撃・移動を含めたその他の行動が一切できなくなってしまう。歌姫が倒されると当然効果がなくなる。その上注目を引いてしまうため、発動中は優先的に敵から狙われるようになってしまう。 ***その他のシステム -主人公以外の仲間には好感度と呼ばれるものが設定されており、街やイベントでの選択肢、戦闘中の行動や協力攻撃の発動などで上下する。また好感度を高めることによりキャラごとの個別シナリオが発生する。 --歌姫の好感度を上げることで個別のエンディングを見られる、マルチエンディングもあり。 ---誰か一人のエンディングを見たからといって他が見れなくなる、ということはないので好感度は上げるだけ上げていったほうが何かと得をする。 -各キャラには個別のパーソナリティが設定されており、戦闘中に条件を満たせば自動的に発動。プレイを有利に進められる。ただし有利になるものばかりではなく、中にはマイナスの効果が発生するものもある。 --マイナス効果のパーソナリティのほとんどはイベントクエストやストーリーを進めることで変化する。 -主人公が振るう霊刀「ユキヒメ」にはご機嫌パラメーターが設定されており、最大まで高まると特別演出と共に「ハイテンションモード」になり、攻撃力が向上する。 --ただし、「ユキヒメ」は女性の人格を持ち意外とヤキモチ焼きであるため、女性キャラをパーティに入れすぎたり、女性キャラと協力攻撃をすると嫉妬してご機嫌パラメーターが下がってしまい、パワーアップしにくくなる。 ---- **問題点 ***滅茶苦茶低い難易度 -どれくらい低いかというと、''フォースソングやパンなどの補助アイテム等を使わなくても全然問題ない''くらい。むしろ''使わないほうが“それなりに”歯ごたえがある''ほどかも知れない。 --フリークエストやフリーバトルがあるおかげでレベルは伸ばし放題、金は稼ぎ放題。制限もないのでいくらでも稼げてしまう。 --その他大部分の追加システムも悪い意味で難易度下落の原因になっている。例えばデュオは誰でも使えてデメリットが無い上に、ある程度強いキャラを敵陣に放り込めば1ターンで壊滅させることも可能。 -フォース(特殊攻撃)の必要性が薄い。 --ほぼ全てのフォースはフォースゲージを消費して使うのだが、通常攻撃数発で死ぬ敵にわざわざゲージを消費して状態異常をかける必要性も少ない。その上フォースを使って協力攻撃はできず、複数攻撃可能なフォース持ちのキャラも限られている。 --長距離攻撃可能なフォースは敵の反撃を受けにくいという長所がある。しかし、単発だが長射程の弓攻撃ほど実用的ではない(加えて弓は接近する敵に自動的に反撃してくれる)。 --早い話が「''レベルを上げて物理で殴ればいい''」。ただし、敵の攻撃を使用したキャラに集中させる「ガードアトラクタ」など、それなりに使い道のあるフォースもあるにはある。ストーリーが進むにつれて敵の攻撃を受ける機会そのものが減っていくが。 -システムのウリである「フォースソング」も思ったよりステータス強化値が低いものが多く、使い勝手がイマイチ。歌姫の行動を潰してまで歌う価値がある状況・歌の種類は非常に限られる。 --エルミナの「蒼き清浄なる歌」((味方フェイズ開始時に最大HPの25%、及び状態異常を回復。))がやや抜けた使い勝手がある印象。他はお好みで、の領域となる。 --ミスティの「夏色のマーメイド」((味方キャラクターの複数回アタックの攻撃回数と攻撃力がアップ))は強力だが、曲調があまりにも戦闘に合っていない。ラスボスで使おうものなら雰囲気ブレイク間違いなし。 ---また、前述のようにフォースフィールドの効果はダメージを半減する「のみ」である。敵の戦闘力が爆発的に上昇するとかの効果はないため、歌わないでゴリ押した方が早く戦闘が終わる場合もある。ストーリー的には重要な扱いなのだが…。 --また、フォースソングはどんな場面だろうが歌詞ほぼ変わらず歌い方も一緒。その歌い方も完全にJ-POPなため「不似合いな音楽」と感じてしまう人もいるだろう。 ---一応、敵と味方で細かく歌詞が変わっていたりするものもあるのだが…。 -上記のような有様のため思ったよりも戦略度は低く、ゴリ押しが非常に効き易いため鍛えすぎるとバトルが気だるい作業感たっぷりになりがち。敵の少ない序盤ならばともかく、敵が増える後半は完全に作業ゲーと化してしまう。 --ハイテンションモードも、ゲームの難易度自体低めなのであまり必要ない。 ***バランスの取れてない仲間性能 -出撃枠5人に対してキャラクターは無駄に多い(20人以上)。流用元のゲームでも似た問題点はあったが…。 --明らかに他キャラの劣化版としか見えないキャラもおり、全員まんべんなく育てる必要性は皆無。本作ではリックやフェンリル、サクヤといったメインキャラクターを除けば強制出撃などのイベントが皆無なので、偏った育成を行っても何の問題もない。 ---強力なキャラは攻撃面が優秀なケルベロス、性能の高い歌やパーソナリティを持つミスティなど。逆にいらないキャラとしては完全回復特化型の龍那((序盤で仲間になるエルミナとアルティナがいれば回復役には事足りる。さらに二人は攻撃面も悪くない上にフォースソングも使える。))、素早いが火力も防御も駄目なラナと刃九郎が挙げられる。 ---終盤で仲間になるローゼリンデは攻撃・防御・移動などあらゆる面で性能が高く、非常に強い。ただしこれは他のRPGでの終盤加入キャラにも見られる、ある種のお決まりとも言えるが。 ***感情移入しにくいシナリオ -ゲーム開始時点では主人公のレイジは現実世界の日本(に近い世界)、エルデから召喚された人物と語られているが、ゲーム開始時点で既に召喚された異世界に馴染みきっている。 これは、レイジが異世界に召喚されてから馴染むまでのなれそめが''小説版に回されている''為である。ゲーム中では回想で軽く触れるだけで、読んでない人はのっけから置いてけぼりを食らう。 --しかも直後にレイジが異世界で知り合ったことになっている人物の話題も何度か出てくるので、余計に混乱するハメに。 -過去作の専門用語(「ヴァイスリッター((『ティアーズ』の味方組織。同名のパーソナリティが存在する。))」「白龍教団」「黒龍教団」「ルミナスナイツ((『ウィンド』の味方組織。同名のパーソナリティが存在する。))」等)が多く、過去作をプレイしていないと置いてきぼりにされる場面も多い。 --しかし、過去作のプレイが必須と言われればそうでもなく、かえって泣きを見る可能性もある。過去作で最強だの言われてた集団やキャラが、台詞数行で全滅させられたと言われて終わる雑な扱い。むしろ名前出さない方がマシ。 --「ドラゴニア帝国」や「ダークドラゴン」など、『ティアーズ』より前のシリーズ作の用語も登場するが、過去作の用語を借りているだけで、「ダークドラゴン」は過去作の姿を踏襲してすらいなかったりする。 -ストーリー展開も全体を通して単調。 --特に目につくのが、Aと因縁がある敵の△△が登場→A「△△(△△の名前を絶叫)ー!!」B「落ち着け!」C「冷静になれ!」→△△と戦い、負けた△△が撤退&br; --↑のようなテンプレ展開を繰り返すのがほとんど。 ---これに関しては主役サイドのメインキャラ(レイジ、リック、フェンリル)がそれぞれ帝国側に何かしらの因縁のある人物がおり、その人物からすれば感情を乱すのは仕方ないかもしれない。しかしそれらが出るたびにこのやり取りを交代で行う様はまるで''新手のコント''。 -この手の作品にはありがちだが、一度見せ場があった後は空気化するキャラクターが少なくない。 -また、各キャラに用意されたエピソードも内容が薄いものもあり、感情移入しにくい。 ***続投キャラの改変 -新規キャラが少なく、ほとんどが過去作に登場しているキャラで占められているが、そのほとんどが大きく改変されてしまっている。 --リック、アイン、アイラ、クララクランなど性格や設定が激しく変わっているキャラがいる --ひどいものだと死んだことにされているキャラ(『ティアーズ』のキャラほぼ全員、『ハーツ』の三人娘((ただし『ハーツ』の舞台は死んだ者や絶望した者が流れ着いて傷付いた心が癒えるまで滞在する世界であり、三人娘の死亡済み設定は『ブレイド』が初出ではない。)))、消息不明なキャラ(『ウィンド』のソウマやゼロ等、『ハーツ』のローナやガデム以外の三獣士他多数)も多いので、過去作をプレイしていると好きなキャラが変貌を遂げていたり、死んだっぽかったり、そもそも登場すらしなかったりで泣きを見る可能性がある。 ---- **評価点 -Tony画による美少女キャラと人気声優による演技は完成度が高く、充分売りに出せるレベル。 -音楽はBGMもフォースソングも出来が非常に良い。 --このゲームでCG閲覧モードやサウンドテストといった類は存在せず、しかもサントラも発売されていない((前作『ハーツ』でも同様の意見があったが、サントラは発売していた。))。予約特典のディスクでもわずか12曲しか収録されておらず未収録曲多数という有様になってしまっている。キャラクターソングアルバムは普通に発売されているが、そちら優先で発売してどうするのか。((この反省か、次作『アーク』では予約特典ディスクの収録BGMが12→50に増え、 ゲーム内でのCG閲覧モードやサウンドテストも登場した。)) -上記のとおりの低すぎる難易度だが、逆に言えば誰を使ってもさほど問題ないということであり、キャラの強弱を気にせず好きなキャラを使って遊ぶことができる。 ---- **総評 大々的な宣伝や販売をされている本作だが、純粋なゲームとしての完成度は中の下。シナリオも特別ドラマティックな展開というものはなく、意外と王道的な内容なので、ちょっとRPGをやりなれている人ならば結構先が読めてしまう。「心に響くRPG」がキャッチコピーの本作だが、そこまで感動できるかと言われれば…ほとんどの人はおそらく「NO」と答えるであろう。~ 決して駄作ではないものの言われるほど面白い作品ではないため、ゲームとしての楽しさを追求するプレイヤーにはあまりおすすめできない。
*シャイニング・ブレイド 【しゃいにんぐ・ぶれいど】 |ジャンル|''心に響くRPG''(コンピュータRPG)|&amazon(B005ZNJCJ2)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売元|セガ|~| |開発元|メディア・ビジョン|~| |発売日|2012年3月15日|~| |定価|5,980円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|あまりにもヌルすぎる難易度&br;滅茶苦茶なシナリオ&br;悪い意味で改変された続投キャラ達|~| |>|>|CENTER:''[[シャイニングシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **プロローグ >ドラゴニア帝国によって大地から精霊の力が奪われ、混沌に包まれた世界。~ クラントール王国に召喚された主人公レイジは、霊的な力を刃に変えて戦う霊刃使い(ソウルブレイダー)として、ドラゴニアとの戦いに立ち上がる。 **概要 Tony氏がキャラデザを勤めるシャイニング4作目。過去作のキャラクターが沢山登場している。~ 開発担当は『ハーツ』のスタジオ最前線から『[[戦場のヴァルキュリア3]]』に関わったメディア・ビジョンにバトンタッチしている。他、セガ内部の戦ヴァルに携わったスタッフが関わるようになったので、本作の新システムのいくつかは戦ヴァルライクな物が採用されている。~ 澤田プロデューサー曰く「''簡単すぎず難しすぎず、中盤辺りからやり応えが増す''」との触れ込みだったが… **システム ***バトルシステム -『[[戦場のヴァルキュリア]]』の「BLiTZ」に近いものが採用。 -移動は「ムーブゲージ」を消費することで行う。「ロックオン&連撃」システムにより複数の敵を同時に攻撃したり、敵一体に集中して攻撃することが可能。 -他のメンバーと「デュオ」を組んで移動することで、組んだ相手はムーブゲージを消費することなく移動できるので、これを利用して長距離移動も可能。 -一部の敵は通常のHPの他にも特定の部位にHPが設定されており、これらを破壊することで弱点を出現させたりステータスを低下させたりする事ができる他、ボーナスアイテムがもらえることも。 ***フォースソング -歌姫(ローレライ)が歌う魔法の歌。フォースゲージが1以上、戦闘不能になっていない味方が1人以上いれば発動可能。バトルフィールド全体に効果があり、味方や敵全体に何らかの効果を与える。もちろん歌によって効果は違う。使用中はBGMがキャラの歌うソングに変化する。 --一部のボス敵が使用する特殊防壁「フォースフィールド」を打ち破る唯一の方法。フォースフィールドはダメージを半減されてしまう厄介な防壁であるため、ここが一番の使い所。どんな歌でも発動すれば打ち破れるのでそこは公平。 ---世界設定的に特殊な素養が必要とされており、全ての女性キャラが歌姫になれるわけではない。 --ただし、フォースソングを歌っている最中の歌姫は攻撃・移動を含めたその他の行動が一切できなくなってしまう。歌姫が倒されると当然効果がなくなる。その上注目を引いてしまうため、発動中は優先的に敵から狙われるようになってしまう。 ***その他のシステム -主人公以外の仲間には好感度と呼ばれるものが設定されており、街やイベントでの選択肢、戦闘中の行動や協力攻撃の発動などで上下する。また好感度を高めることによりキャラごとの個別シナリオが発生する。 --歌姫の好感度を上げることで個別のエンディングを見られる、マルチエンディングもあり。 ---誰か一人のエンディングを見たからといって他が見れなくなる、ということはないので好感度は上げるだけ上げていったほうが何かと得をする。 -各キャラには個別のパーソナリティが設定されており、戦闘中に条件を満たせば自動的に発動。プレイを有利に進められる。ただし有利になるものばかりではなく、中にはマイナスの効果が発生するものもある。 --マイナス効果のパーソナリティのほとんどはイベントクエストやストーリーを進めることで変化する。 -主人公が振るう霊刀「ユキヒメ」にはご機嫌パラメーターが設定されており、最大まで高まると特別演出と共に「ハイテンションモード」になり、攻撃力が向上する。 --ただし、「ユキヒメ」は女性の人格を持ち意外とヤキモチ焼きであるため、女性キャラをパーティに入れすぎたり、女性キャラと協力攻撃をすると嫉妬してご機嫌パラメーターが下がってしまい、パワーアップしにくくなる。 ---- **問題点 ***滅茶苦茶低い難易度 -どれくらい低いかというと、''フォースソングやパンなどの補助アイテム等を使わなくても全然問題ない''くらい。むしろ''使わないほうが“それなりに”歯ごたえがある''ほどかも知れない。 --フリークエストやフリーバトルがあるおかげでレベルは伸ばし放題、金は稼ぎ放題。制限もないのでいくらでも稼げてしまう。 --その他大部分の追加システムも悪い意味で難易度下落の原因になっている。例えばデュオは誰でも使えてデメリットが無い上に、ある程度強いキャラを敵陣に放り込めば1ターンで壊滅させることも可能。 -フォース(特殊攻撃)の必要性が薄い。 --ほぼ全てのフォースはフォースゲージを消費して使うのだが、通常攻撃数発で死ぬ敵にわざわざゲージを消費して状態異常をかける必要性も少ない。その上フォースを使って協力攻撃はできず、複数攻撃可能なフォース持ちのキャラも限られている。 --長距離攻撃可能なフォースは敵の反撃を受けにくいという長所がある。しかし、単発だが長射程の弓攻撃ほど実用的ではない(加えて弓は接近する敵に自動的に反撃してくれる)。 --早い話が「''レベルを上げて物理で殴ればいい''」。ただし、敵の攻撃を使用したキャラに集中させる「ガードアトラクタ」など、それなりに使い道のあるフォースもあるにはある。ストーリーが進むにつれて敵の攻撃を受ける機会そのものが減っていくが。 -システムのウリである「フォースソング」も思ったよりステータス強化値が低いものが多く、使い勝手がイマイチ。歌姫の行動を潰してまで歌う価値がある状況・歌の種類は非常に限られる。 --エルミナの「蒼き清浄なる歌」((味方フェイズ開始時に最大HPの25%、及び状態異常を回復。))がやや抜けた使い勝手がある印象。他はお好みで、の領域となる。 --ミスティの「夏色のマーメイド」((味方キャラクターの複数回アタックの攻撃回数と攻撃力がアップ))は強力だが、曲調があまりにも戦闘に合っていない。ラスボスで使おうものなら雰囲気ブレイク間違いなし。 ---また、前述のようにフォースフィールドの効果はダメージを半減する「のみ」である。敵の戦闘力が爆発的に上昇するとかの効果はないため、歌わないでゴリ押した方が早く戦闘が終わる場合もある。ストーリー的には重要な扱いなのだが…。 --また、フォースソングはどんな場面だろうが歌詞ほぼ変わらず歌い方も一緒。その歌い方も完全にJ-POPなため「不似合いな音楽」と感じてしまう人もいるだろう。 ---一応、敵と味方で細かく歌詞が変わっていたりするものもあるのだが…。 -上記のような有様のため思ったよりも戦略度は低く、ゴリ押しが非常に効き易いため鍛えすぎるとバトルが気だるい作業感たっぷりになりがち。敵の少ない序盤ならばともかく、敵が増える後半は完全に作業ゲーと化してしまう。 --ハイテンションモードも、ゲームの難易度自体低めなのであまり必要ない。 ***バランスの取れてない仲間性能 -出撃枠5人に対してキャラクターは無駄に多い(20人以上)。流用元のゲームでも似た問題点はあったが…。 --明らかに他キャラの劣化版としか見えないキャラもおり、全員まんべんなく育てる必要性は皆無。本作ではリックやフェンリル、サクヤといったメインキャラクターを除けば強制出撃などのイベントが皆無なので、偏った育成を行っても何の問題もない。 ---強力なキャラは攻撃面が優秀なケルベロス、性能の高い歌やパーソナリティを持つミスティなど。逆にいらないキャラとしては完全回復特化型の龍那((序盤で仲間になるエルミナとアルティナがいれば回復役には事足りる。さらに二人は攻撃面も悪くない上にフォースソングも使える。))、素早いが火力も防御も駄目なラナと刃九郎が挙げられる。 ---終盤で仲間になるローゼリンデは攻撃・防御・移動などあらゆる面で性能が高く、非常に強い。ただしこれは他のRPGでの終盤加入キャラにも見られる、ある種のお決まりとも言えるが。 ***感情移入しにくいシナリオ -ゲーム開始時点では主人公のレイジは現実世界の日本(に近い世界)、エルデから召喚された人物と語られているが、ゲーム開始時点で既に召喚された異世界に馴染みきっている。 これは、レイジが異世界に召喚されてから馴染むまでのなれそめが''小説版に回されている''為である。ゲーム中では回想で軽く触れるだけで、読んでない人はのっけから置いてけぼりを食らう。 --しかも直後にレイジが異世界で知り合ったことになっている人物の話題も何度か出てくるので、余計に混乱するハメに。 -過去作の専門用語(「ヴァイスリッター((『ティアーズ』の味方組織。同名のパーソナリティが存在する。))」「白龍教団」「黒龍教団」「ルミナスナイツ((『ウィンド』の味方組織。同名のパーソナリティが存在する。))」等)が多く、過去作をプレイしていないと置いてきぼりにされる場面も多い。 --しかし、過去作のプレイが必須と言われればそうでもなく、かえって泣きを見る可能性もある。過去作で最強だの言われてた集団やキャラが、台詞数行で全滅させられたと言われて終わる雑な扱い。むしろ名前出さない方がマシ。 --「ドラゴニア帝国」や「ダークドラゴン」など、『ティアーズ』より前のシリーズ作の用語も登場するが、過去作の用語を借りているだけで、「ダークドラゴン」は過去作の姿を踏襲してすらいなかったりする。 -ストーリー展開も全体を通して単調。 --特に目につくのが、Aと因縁がある敵の△△が登場→A「△△(△△の名前を絶叫)ー!!」B「落ち着け!」C「冷静になれ!」→△△と戦い、負けた△△が撤退&br; --↑のようなテンプレ展開を繰り返すのがほとんど。 ---これに関しては主役サイドのメインキャラ(レイジ、リック、フェンリル)がそれぞれ帝国側に何かしらの因縁のある人物がおり、その人物からすれば感情を乱すのは仕方ないかもしれない。しかしそれらが出るたびにこのやり取りを交代で行う様はまるで''新手のコント''。 -この手の作品にはありがちだが、一度見せ場があった後は空気化するキャラクターが少なくない。 -また、各キャラに用意されたエピソードも内容が薄いものもあり、感情移入しにくい。 ***続投キャラの改変 -新規キャラが少なく、ほとんどが過去作に登場しているキャラで占められているが、そのほとんどが大きく改変されてしまっている。 --リック、アイン、アイラ、クララクランなど性格や設定が激しく変わっているキャラがいる --ひどいものだと死んだことにされているキャラ(『ティアーズ』のキャラほぼ全員、『ハーツ』の三人娘((ただし『ハーツ』の舞台は死んだ者や絶望した者が流れ着いて傷付いた心が癒えるまで滞在する世界であり、三人娘の死亡済み設定は『ブレイド』が初出ではない。)))、消息不明なキャラ(『ウィンド』のソウマやゼロ等、『ハーツ』のローナやガデム以外の三獣士他多数)も多いので、過去作をプレイしていると好きなキャラが変貌を遂げていたり、死んだっぽかったり、そもそも登場すらしなかったりで泣きを見る可能性がある。 ---- **評価点 -Tony画による美少女キャラと人気声優による演技は完成度が高く、充分売りに出せるレベル。 -音楽はBGMもフォースソングも出来が非常に良い。 --このゲームでCG閲覧モードやサウンドテストといった類は存在せず、しかもサントラも発売されていない((前作『ハーツ』でも同様の意見があったが、サントラは発売していた。))。予約特典のディスクでもわずか12曲しか収録されておらず未収録曲多数という有様になってしまっている。キャラクターソングアルバムは普通に発売されているが、そちら優先で発売してどうするのか。((この反省か、次作『アーク』では予約特典ディスクの収録BGMが12→50に増え、 ゲーム内でのCG閲覧モードやサウンドテストも登場した。)) -上記のとおりの低すぎる難易度だが、逆に言えば誰を使ってもさほど問題ないということであり、キャラの強弱を気にせず好きなキャラを使って遊ぶことができる。 ---- **総評 大々的な宣伝や販売をされている本作だが、純粋なゲームとしての完成度は中の下。シナリオも特別ドラマティックな展開というものはなく、意外と王道的な内容なので、ちょっとRPGをやりなれている人ならば結構先が読めてしまう。「心に響くRPG」がキャッチコピーの本作だが、そこまで感動できるかと言われれば…ほとんどの人はおそらく「NO」と答えるであろう。~ 決して駄作ではないものの言われるほど面白い作品ではないため、ゲームとしての楽しさを追求するプレイヤーにはあまりおすすめできない。

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