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*スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD 【すーぱーろぼっとたいせん おーじーさーが まそうきしんつー りべれいしょん おぶ いびる ごっど】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&amazon(B00601FXZA)&amazon(B00601M8BW)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売元|バンダイナムコゲームス|~| |開発元|ウィンキーソフト|~| |発売日|2012年1月12日|~| |定価|通常パッケージ版:6,280円(税5%込)&br;DL版(PSV互換):2,750円((2020年12月24日より通常パッケージ版と同じ価格から改定。))(税10%込)&br;初回生産限定版:10,480円(税5%込)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|16年ぶりの続編&br;非常に豊富な戦闘時ボイス&br;(最後まで)謎のオーガイン計画|~| |>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦関連作品リンク>スーパーロボット大戦シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『スーパーロボット大戦』シリーズのオリジナルキャラクターとして登場し、SFCでは独立タイトルとしても発売された『[[スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL]]』から、実に16年振りの続編。~ なお、限定版では前作のDSリメイク『[[スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL>スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL#id_b29759d5]]』の移植版((ゲーム内容はほとんど変わらないが、音声・機体を新たに収録し、画質等も向上している。))((新規要素を除いたシステム・UI部分はIIと共通しており、後述されるIIのシステムまわりの問題点(不親切なオプションモード、ソフトリセットの長さ)は移植版Iも同様の問題を抱えてしまっている。))が同梱されている。 ---- **特徴 -前作『THE LORD OF ELEMENTAL』のさらに後、エンディング後のストーリーを描いている。 -精霊相性、高さと向き、ZOC、プラーナ、武器ランクアップシステムなど、システムは基本的に前作を踏襲している。 --加えて、スキルを装備させたり、装備中の戦闘回数によってレベルも上昇する「操者育成システム」が追加。前作に無かった援護攻撃・援護防御もこれによって取得できる。 --守護精霊の属性ごとに「地形効果」として相性を受ける(例えば水系魔装機なら水場を楽に移動可能、火系魔装機なら火山地帯で回避率上昇、など)システム、インターミッションに音声ガイドが行われる、機体修理時にお礼の台詞を言う、などの新規要素も。 -レベルアップの計算式が変わり、今までの「必要経験値はどのレベルも同じだが、相手とのレベル差に応じて獲得経験値が変わる」と言うものから、「レベルが上がるごとに必要経験値が上がり、敵が強いほど獲得経験値も上がる」と言う、通常のRPGに近いシステムとなった。 -各パイロットが最後に取得する精神コマンドは、全精神コマンドから好きなものを選べるようになった。 ---- **評価点 -何より、『魔装機神』の続編であること。根強いファンを抱えながら、復活はほぼ絶望的と言われてきたシリーズの復活とあり、旧来からの魔装機神ファンは大いに沸き立った。 --『EX』で登場したキャラクターや魔装機の一部が再登場するという、往年のファンにはたまらない要素も。 -今まで声の無かったキャラクターへのボイス追加。長年ボイス無しのままファンがイメージを膨らませてきたキャラ達にもかかわらず、「イメージに合ってないキャラがいない」とまで言われるほどの豪華声優陣は好評。 --『OG』シリーズでもボイスを担当した声優が多いが、これは収録の都合で声優を使い回したという訳ではなく「被りを恐れてイメージと異なった声優を使うより、被っていてもイメージに合った声優を使う」と言う方針によるもので、ファンからも歓迎されている。 //Zシリーズは版権スパロボなので被りとか使い回しとか考える以前の話。 -戦闘アニメが動かなかった時代のスパロボ作品を制作していたウィンキーソフト制作ということで不安視されていた戦闘シーンは、前作リメイク版よりもさらに強化。期間としては1年しか経っていないが、前作リメイク版からの使い回しは全くない。リアル等身での戦闘シーンは基本的にSDキャラが使用されるスパロボシリーズとしては新鮮に映り、テンポの良さやトドメ演出の多さも好評。 --また、戦闘時のボイスも非常に豊富。例えば、武器名を叫ぶ前にさらに一言挟まる。特定の敵に対する専用セリフも充実している。 ---ほぼすべてのキャラに対し味方への援護台詞、敵への攻撃・被弾台詞がある。しかも''使い回しがない''。OGシリーズですら主役と脇役で偏りがあったり、使いまわせる台詞は共有で済ませているのに比べると驚異的というほかない。 ---主人公・マサキの担当声優である緑川光が、公式ラジオで「あまりにもボイスが多すぎて、収録日を複数取ってもらえるように掛け合った」と語っているほど。 -前作同様にキャラクターの表情パターンが非常に多く、軽妙な掛け合いを盛り上げる。 -シナリオ中に追加された武器が、周回プレイで引き継ぐようになった。特定ルートでのみ手に入る追加武器が、次周は別ルートで使える。 -人気キャラの1人であるセニアに専用BGMが追加。 -問題点の目立つシナリオだが要所要所には良い点もある --注目ポイントとしては、ポゼッションにまつわる各種イベントや新たな邪神の登場、シュウとマサキの人間関係の変化あたりだろうか。 ---かつてのマサキは「シュウを信用するな」と他の人たちに忠告するほど警戒していたが、今作においては''素直に謝ったり皮肉を理解した上でスルーしたり''と、ある程度警戒はするものの以前の険悪さが嘘のようになっている。 ---- **賛否両論点 //良いところ悪いところ分けられる内容が多いので、それぞれ分割 -セニアがやたらと出番が多い。 --独自の諜報機関を設立してコンピューターを用いた諜報活動を行うようになり、ほとんどのシナリオ展開は彼女の諜報を介して行われる事に。 ---元々メカニック兼情報収集役として優秀なキャラという設定だったが、それを前提としてもシナリオで便利に使われすぎている。旧シリーズの続きとして見ればまだ違和感はないが、『第2次OG』ではそのような活躍をしていなかったため((設定は健在だが情報面で活躍する場面は省略された。))、扱いが極端。 ---後述するようにキャラの扱いには格差が多いため、余計に出番が多いセニアが悪目立ちする、と言う面もある。 -ネタ要素・お色気要素の増加。 --昨今のスパロボで目立つこの手の要素は、例に漏れず増えている。元々この手の要素は賛否両論。 ---その上、本作ではそういった要素を好む層の一部にさえ、「古臭い」「そこをネタにするのか」と言う批判を受ける要素も。特に、魔装ファンが長年待ち望んでいたサイバスターとヴァルシオーネの合体武器が完全にネタ武器となってしまっている点は批判を受けやすい((五郎入道正宗や円月殺法のような「格好良さを含むネタ」ではなく、完全にネタ先行となっている。))。 ---前作から登場し、ファンもいるような真面目なキャラクターをネタキャラ化してしまい、そのキャラのファンから批判を受けている部分もある。 --''自部隊が財政難に陥ったので萌えグッズショップを作って財源確保''と言う正気とは思えない設定も登場する。ロボット十数機と戦艦1隻からなる部隊を、グッズショップ一軒でどうにか出来ると思っているのだろうか。 ---- **問題点 ''シナリオ面'' -前作をやっていないと置いてけぼりのシナリオ。 --後述の通り本作では図鑑モードが存在せず、前作からの続投キャラクターが登場した際にどういったキャラなのかという説明もほとんど無いため、前作プレイを前提としたシナリオになっている。前作リメイクを挟んでいるとはいえ、16年ぶりの続編ということを考えると何らかの配慮が必要だっただろう。 -中盤以降のシナリオ展開 --序盤は比較的熱い展開が多いが、中盤以降は敵対関係にあった国家の内乱が主なテーマとなり、展開の起伏が少なく大きな動きは最終盤になるまで待つことになるため中だるみ感が強い。さらにそのラストも未回収の伏線が多く、そのため「序盤で力尽きたのでは」と言われる事も少なくない。 ---今作も前作も1プレイにおける話数は40話前後だが、前作は1章と2章の分割式で各章約20話に出来事を詰め込んでいた事と比べても、今作は引き延ばし感がある。 --前作までのボスキャラであるヴォルクルスの分身体がいきなり復活し、その後も分身体が頻繁に登場することについても、安売り等と批判されることが多い。 ---ちなみにこれは作中で何人ものキャラクターも指摘している。 -未回収のままで終わる伏線が多く明らかに続編を意識した作りになっており、不完全燃焼感が強い。 --ゲーム開始早々に登場するキャラクターについては、名前を含めて一切が謎のままで終わる。 ---『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』がよく比較対象として挙げられるが、本作は''続編がある事を事前にアナウンスしていない。''本作で完結すると思っていたプレイヤーの多くが肩透かしを食らった。 --黒いサイバスターとして事前情報で大々的に発表され、パッケージにも画かれている新機体ゼルヴォイドだったが、出番が少なくデザインがサイバスターに似ていることについても謎のまま。搭乗者であるエランもルート次第ではそれなりに出番があるものの、やはり詳細な人物像は謎のままと、宣伝詐欺と言えるレベル。 -一部キャラの扱いが悪い --他のスパロボと異なり明確に主人公が設定されていることもあり、主人公であるマサキを中心にストーリーが展開されるが、他のキャラクターの出番に偏りが大きい。 ---流石にメインキャラである魔装機神操者・リューネ・ウェンディなどは出番が多いが、他の脇役キャラとなると、ほとんどセリフが無いキャラも少なくない。 --特にファンに人気が高いライバルキャラ・シュウの出番もかなり少ない。 ---後述の通り本作のゲーム中盤以降は、しっかり改造を行わないと苦戦するバランスとなっているのだが、グランゾンは無改造で戦闘に参加する場面が多く、改造して戦闘に参加できるのは、一部ルートの終盤2話だけど活躍できる場面が少ない。結果、敵に与えるダメージは少なく敵から受けるダメージは大きいという有様で、『OG外伝』のネオ・グランゾンの弱さに引き続きファンを嘆かせた。 --前作からの続投キャラのうち4人が永久離脱してしまう。 ---従来の『スパロボ』や『OG』シリーズではほとんど行われない、所謂味方キャラのリストラであり、永久離脱したキャラはティアンを除き作中目立った活躍をすることもないため、リストラされたキャラのファンからは当然のごとく不満が挙がっている。もっとも別行動が言及されるだけマシ…と言うほど出番がない新キャラも少なくないのだが。~ 詳細はネタバレの為伏せるが、上記ティアンについてもその目立ち方には否定的な意見が多い。 ---部隊からいなくなるキャラの機体に費やした改造費は離脱時に返却されるため、改造費自体は無駄にはならない。またそれらの機体は別のキャラに引き継がれ、その際に改めて改造を行うことになる。が、結果的に''興味のないキャラの機体に無駄に金をかけて放置する事になった''プレイヤーも多い。しかも上述の通り、最終的に機体の性能差が結構出てしまうゲームの為、序盤の金で改造した程度だと途中からは戦闘が辛くなる。 --新キャラクターについても同様で、特に話題に挙げられるのが「熱血だが未熟な新人兵」といういかにも主人公っぽいキャラ付けのツレイン。ちっとも話に絡んでこないばかりか、中盤以降は会話パートに登場することも少なくなる。たまに喋れば、的外れな意見を他のキャラに否定される、他キャラの露骨な引き立て役。さらに本人のステータスと搭乗機体の性能の相性が悪く、活躍させるにはそれなりに資金をつぎ込む必要があるし、他の機体につぎ込んだ方が何倍も効果的とかなり不遇。はっきり言って存在意義が分からない。 ---このゲームを楽しめなかったプレイヤーはもちろん、楽しんだプレイヤーから見ても彼が空気・不遇である事は疑いようがなく、親しみもしくは揶揄をこめて「ツライン・ザン・オルスバン」などと言う呼ばれ方をする事も。 --他の新キャラにした所で、ツレインほどではないが出番は少なく、「こんなキャラを出すなら旧キャラを目立たせてくれ」との声は大きい。完全新規の続編と言う事でメインキャラ以外を一新したかったのかもしれないが、世代交代に成功したとは言い難いだろう。 ---ただし、新キャラの一人である「ガエン」は、次回作以降も活躍するほか、「[[スーパーロボット大戦OG ダークプリズン]]」に出演するなど、一定の人気を獲得している。 --敵側のキャラクターの掘り下げが少なく、「味方と絡まないうちにいつの間にか偉くなってた」「基本的にギャグ要員でシナリオの本筋には絡まない」「敵だったけど味方になった、空気にもなった」「久々に出てきたと思ったらいきなり死んだ」「結局最後まで決着がつかない」などと言った、描写不足のキャラが非常に多い。 ---更には何の説明も無く戦いを挑んできて、その後のフォローも一切ないキャラクターもいる。 -難しい言い回しが多用される。 --用語辞典である程度はフォローされるとはいえ、難読漢字や故事成語などを用いる場面が前作に比べて多い。そういう台詞を言いそうにない多くのキャラが、使う必要のない場面でそう言った言い回しを多用するため、「悪い意味で厨二病」「ライターが知識をひけらかしたいだけ」などと批判されることも。また、結果的に元々そういう言い回しを好むキャラであったヤンロンの個性が薄れているとも言える。 ---例えば、「往古来今、これを宙と謂う、四方上下、これを宇と謂う」。本作で最も長いシナリオタイトルだが、内容はと言えば無思想なギャグキャラによる飛行船への襲撃を阻止するだけである。全く噛み合っていない。 -一部に、ライターの思想を見せるような風刺的な内容がある。 --特に話題に上がるのは、中盤の「和風国家で長い間野党だった党が、与党になったら駄目になった」と言う台詞と、終盤の「マスコミが報道すべきでないものを報道し、自軍がそれを徹底的に非難する」と言うイベント。 ---そして、それらの風刺が''シナリオに絡まず、省いても一切影響がない''と言う点。後者に至ってはむしろ省いた方が良いレベルで浮いている。上の言い回しと共に、ライターがやりたかったから自己満足で入れたのだろうか? ''システム面'' -インターミッションのデータ管理において、「ロード」が一番上((つまり、データ管理選択時にデフォルトでカーソルが当たる。))になっている。 --細かい点だが、本作で最も槍玉に上げられる不満点の一つでもある。普通は「セーブ」の方が使用頻度が高く、こちらが上になっている方が明らかに便利(他のスパロボシリーズでも「セーブ」が上)。「うっかりボタンを連打して前のシナリオに戻された」と言う失敗談が多く聞かれる。そうでなくとも余計な手間がかかる。 ---音声ガイドで「セーブではなくロードなので注意しろ」と強調するため、おそらくテストプレイ時などにスタッフの間でも問題になっていたと思われる。''だったら何故「セーブ」を上にしなかったのか。'' ---これに限らずユーザーインターフェイスは非常に悪い。 -操者育成システムは、全員共通のスキルをいくつか選んで付けられる、程度のものであり、非常に底が浅い。一部パイロットには専用技能も有るが、成長しない。 --レベルアップで増加するスロット数に応じて付けられるスキルが増えるのだが、最大スロットが5で、上位スキルはそのスロットを複数専有してしまうため自由度は少なめ。 --スキル育成はスキルを装着し一定の戦闘回数をこなすというもので、せっかく育成させても別のスキルを育成するためには育成させたスキルを外す必要があるため、全員に獲得資金増加の「一攫千金」をつけたまま終わる、と言うプレイヤーも少なくない。 --ゲーム終盤に加入するキャラクターはスキル育成については手つかずで加入するため、それらのキャラクターはろくに育成させる機会がない。 --画面インターフェイスのせいもあるが、ここだけL/Rでのキャラクター画面送りができず、他の改造画面、ステータス参照画面と大いに操作性が異なる。なおかつ、ワンタッチでのキャラクター送りができないので、誰がどの技能を習得しているのかを味方部隊全体にわたって確認するのに非常に手間がかかる((他の改造画面なら、L/R連続でキャラクター送りができるが、ここだけは画面から戻り、キャラクター一覧から再度選択…を繰り返す必要がある。))。 -スパロボではお馴染みとなった援護攻撃・援護防御がスキル制で実装されたが、今作では何故か従来の「1ターンごとにレベル回数分可能」ではなく「''1シナリオごと''にレベル回数分可能」と言う仕様になっており、貴重なスキル枠を消費するにしては使い勝手が悪すぎる。 --それでも援護攻撃はボス対策に使えるが、援護防御に関してはこんな使用回数でどうしろと…。 -経験値システムが、レベルが上がるごとに必要経験値が増加する仕様に変更されたが、調整が不十分な面が多々見られる。 --戦闘で得られる獲得経験値は相手のレベルが上がるごとに増加する仕様になっているのだが、「修理」「補給」で得られる経験値や、戦闘終了後に残りSPに応じて得られるボーナス経験値の仕様は従来のスパロボと同様なため、スズメの涙ほどの経験値しか得られない死にシステム(例:レベルアップに必要な経験値は1万なのに得られる経験値は100)と化してしまっている。そのため補助機体も積極的に戦闘に参加する必要がある。 ---精神コマンドの経験値に関しては、温存していてもどうせ雀の涙なら積極的に使いきってしまうという方策も取れることは取れる。とくに低レベルの操者は必中や努力を使って一軍の撃ち漏らしにトドメを刺した方が、経験値は多く獲得できる。 --この仕様変更で精神コマンド「努力」による大幅なレベル上げも従来作品ほどの効果は得られなくなっている。 -オプションモードが不親切。 --スパロボではお馴染みのロボット図鑑・キャラクター図鑑は存在せず、シナリオチャートと用語集のみ。登場キャラクターの声優を確認するにはゲームエンディングまでプレイする必要がある。 --スパロボではデータの管理は「システムデータ」に依存しているが、本作では「各セーブデータ」に依存。よって前作リメイク版では可能だった「セーブデータを残しておいて別分岐をプレイ」という手法をとることが出来ない。本作はゲーム後半でシナリオ分岐が3ルートに分岐するため、必然的に周回プレイを繰り返す必要があるのだが、一部の複雑な分岐条件のせいで、3周で全てのシナリオを体験できるにもかかわらず、4周しないとシナリオチャートが埋まらない。 ---ちなみに限定版付属のPSP版1もこの仕様のため、シナリオチャートを埋めるには最低でも7周する必要がある。 --本作のシナリオチャートや用語集は、それを埋めることでオマケが解放されるので、所詮は自己満足と割り切る事もできない。 -ロード時間の問題 --戦闘シーン前のロード時間はデータインストールで改善されるが、ソフトリセットからの復帰は改善されず暗転時間が10秒近くある。 --多彩な戦闘台詞を楽しむためクイックコンティニューを繰り返したいところだがこれのせいで非常にわずらわしい。 -ゲームバランスが大味 --基本的に難易度は機体改造に依る部分が多く、「改造が足りないと苦戦(あるいはクリア不可能)、しっかり改造していればほぼ無双」と言うような状態。特に雑魚戦用の武器に関しては、改造が足りないと本当にどうにもならない。 ---「昔のウインキーもこんな感じのバランス」と言われる事も。 ---敵の思考ルーチンは基本的に「射程内のHPの一番低い機体を集中攻撃する」ため、HPの低い機体は敵フェイズで被撃墜の危険性が跳ね上がる。援護防御という手もあるが、後述の通り使用状況が非常に限られているので、狙われ始めた機体はよほど実力差がない限り、ほぼ自力での防御か回避を強いられる。 --設定上仕方のないことなのだが、上位機種である魔装機神4機+ヴァルシオーネRの性能が抜きんでている。 --特に、中盤でサイバスターがパワーアップを遂げると3ターン限定の強化形態に変化出来るようになるのだが、これが数値バランスを放棄したとしか思えないほどに攻撃力が強い。ほとんど全てのボスが一撃で沈む。反面、生存性はそこまで強化されないため、本作の脅威度は基本的に「ボス<<<<雑魚」である。 ---ノルス・レイのように武器ランクアップにより飛躍的に使い勝手の上がる機体もある一方で、どう改造しようと使い難い機体も少なくない。 //たとえばディアブロ(戦線に追いつくのが難しく、操者の命中が低いため与ダメージの経験値も不安定)やファルク(ランクアップ武器がないので火力不足)など --出撃枠が少なく、最終話でも8~9機。上記のように一部機体の使い勝手が抜きんでているため、それらに出撃枠を取られると、他の好きな機体をほとんど使えない。と言って好きな機体ばかり使って上位機体を外すと難易度が急上昇する。 ---また、そんな状況にもかかわらず、一部のマップでは強制出撃やキャラクターの入れ替わりの関係で、強制的に下位機体を使う必要がある。知らず、それらの機体を育てずに該当マップに入ってしまった場合、全滅プレイ等で無理に育てなければならない。 ---しかも通常のスパロボと違い、「戦術や精神コマンドで挽回する」と言う事が出来ない。武器改造が足りない機体は、そもそも相手にほぼダメージを与えられないのだ。 --ゲーム序盤の難易度調整のためか、必殺技の燃費が大幅に悪化。パイロットの能力値が上がる中盤以降にようやく1マップに1回使用可能、終盤でも数回程度しか使えない。 ---使用後には機体性能が大幅に弱体化する事も有って雑魚戦では使いづらい。また、ボス戦は中盤の長い時期、サイバスター1機で十分と言うマップが続く。また、前述したように雑魚戦用の無消費武器は改造しておかないと後半の敵には使い物にならないため、こちらの改造が優先されることになる。結果、普通にプレイしている限り多くの機体は必殺技無改造のままエンディングを迎える事になり、ゲームとして戦術の自由度が非常に低い。 ---ちなみに消費値が各機体でほぼ同数値で設定されているため、燃費の良し悪しによる差別化はとられていない。 --MGのみの消費武器が非常に少なく、MG改造の意味が薄い。無消費・弾数消費・PN消費のいずれかである…。 -BGMの仕様 --同じ戦闘BGMが設定されているキャラが連続して戦った場合、他のスパロボ作品であれば曲が途切れる事無く流れ続けるのだが、本作ではたとえ同じBGMであっても戦闘が始まる毎に曲が一旦止まり、必ず最初から再生される様になっている。このため毎回BGMがぶつ切りになってしまい、戦闘の盛り上がりに水をさす形になってしまっている。 ---同じキャラが連続して戦闘することになる敵フェイズで特に顕著となる。また、専用BGMが用意されているのは一部の主要キャラのみで、他の大多数のキャラは共用のBGMが設定されているため、味方フェイズにおいても頻繁に発生する。 -音声演出について --インターミッションの音声ガイドや、修理・補給を受けたキャラのお礼の言葉などに音声演出がなされているが、頻繁に行う作業にいちいち音声が流れることについて「テンポが悪い」という意見が多く、1回聞いたらオフにするか、そうでなくとも適当に聞き流してしまうプレイヤーが多い。 --一方で中断メッセージは音声無しで簡素なものであることには不満が挙がっている。 ---近年のスパロボでは、ボイスをふんだんに使いかなり手の込んだ小劇場となっていたため、それを期待するユーザーは肩すかしを食らった。 ---- **総評 前作は当時のスパロボシリーズ作品と比べても完成度が高く、多くの『魔装機神』ファンを獲得することになった作品であった。~ 本作は発売まで不安視されていた演出面でこそいい意味で期待を裏切る結果となったものの、ゲームシステム面では16年間の歳月の間に進化を遂げたスパロボシリーズ作品に比べると見劣りする部分が多く、それらの作品をプレイ済みのプレイヤーにとっては不満の残る作品となってしまった。またシナリオにおいても賛否両論で、前作ファンや新たに魔装機神に触れる新規プレイヤー全てを満足させるまでには至らなかった。~ とはいえ、絶望視されていた続編が発売されたことを歓迎する前作ファンも多く、昔を懐かしみながらプレイするのも良いだろう。~ ---- **余談 -翌年8月には、続編『[[スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神III PRIDE OF JUSTICE]]』が発売。~ UIの問題点は大きく改善されたものの、ゲームバランスは極度に悪化、シナリオも質にムラがある上にストーリーの進展がないと、本作以上に問題が多い。~ 詳しくは当該記事を参照。 --ちなみに、本作で登場した合体攻撃はIIIでは''丸ごとなかったことにされた。'' -なお、本作の攻略本はファミ通編集部から出ているが、ご多分に漏れず「大丈夫?」な出来なのでお勧めしない。
*スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD 【すーぱーろぼっとたいせん おーじーさーが まそうきしんつー りべれいしょん おぶ いびる ごっど】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&amazon(B00601FXZA)&amazon(B00601M8BW)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売元|バンダイナムコゲームス|~| |開発元|ウィンキーソフト|~| |発売日|2012年1月12日|~| |定価|通常パッケージ版:6,280円(税5%込)&br;DL版(PSV互換):2,750円((2020年12月24日より通常パッケージ版と同じ価格から改定。))(税10%込)&br;初回生産限定版:10,480円(税5%込)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|16年ぶりの続編&br;非常に豊富な戦闘時ボイス&br;(最後まで)謎のオーガイン計画|~| |>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦関連作品リンク>スーパーロボット大戦シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『スーパーロボット大戦』シリーズのオリジナルキャラクターとして登場し、SFCでは独立タイトルとしても発売された『[[スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL]]』から、実に16年振りの続編。~ なお、限定版では前作のDSリメイク『[[スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL>スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL#id_b29759d5]]』の移植版((ゲーム内容はほとんど変わらないが、音声・機体を新たに収録し、画質等も向上している。))((新規要素を除いたシステム・UI部分はIIと共通しており、後述されるIIのシステムまわりの問題点(不親切なオプションモード、ソフトリセットの長さ)は移植版Iも同様の問題を抱えてしまっている。))が同梱されている。 ---- **特徴 -前作『THE LORD OF ELEMENTAL』のさらに後、エンディング後のストーリーを描いている。 -精霊相性、高さと向き、ZOC、プラーナ、武器ランクアップシステムなど、システムは基本的に前作を踏襲している。 --加えて、スキルを装備させたり、装備中の戦闘回数によってレベルも上昇する「操者育成システム」が追加。前作に無かった援護攻撃・援護防御もこれによって取得できる。 --守護精霊の属性ごとに「地形効果」として相性を受ける(例えば水系魔装機なら水場を楽に移動可能、火系魔装機なら火山地帯で回避率上昇、など)システム、インターミッションに音声ガイドが行われる、機体修理時にお礼の台詞を言う、などの新規要素も。 -レベルアップの計算式が変わり、今までの「必要経験値はどのレベルも同じだが、相手とのレベル差に応じて獲得経験値が変わる」と言うものから、「レベルが上がるごとに必要経験値が上がり、敵が強いほど獲得経験値も上がる」と言う、通常のRPGに近いシステムとなった。 -各パイロットが最後に取得する精神コマンドは、全精神コマンドから好きなものを選べるようになった。 ---- **評価点 -何より、『魔装機神』の続編であること。根強いファンを抱えながら、復活はほぼ絶望的と言われてきたシリーズの復活とあり、旧来からの魔装機神ファンは大いに沸き立った。 --『EX』で登場したキャラクターや魔装機の一部が再登場するという、往年のファンにはたまらない要素も。 -今まで声の無かったキャラクターへのボイス追加。長年ボイス無しのままファンがイメージを膨らませてきたキャラ達にもかかわらず、「イメージに合ってないキャラがいない」とまで言われるほどの豪華声優陣は好評。 --『OG』シリーズでもボイスを担当した声優が多いが、これは収録の都合で声優を使い回したという訳ではなく「被りを恐れてイメージと異なった声優を使うより、被っていてもイメージに合った声優を使う」と言う方針によるもので、ファンからも歓迎されている。 //Zシリーズは版権スパロボなので被りとか使い回しとか考える以前の話。 -戦闘アニメが動かなかった時代のスパロボ作品を制作していたウィンキーソフト制作ということで不安視されていた戦闘シーンは、前作リメイク版よりもさらに強化。期間としては1年しか経っていないが、前作リメイク版からの使い回しは全くない。リアル頭身での戦闘シーンは基本的にSDキャラが使用されるスパロボシリーズとしては新鮮に映り、テンポの良さやトドメ演出の多さも好評。 --また、戦闘時のボイスも非常に豊富。例えば、武器名を叫ぶ前にさらに一言挟まる。特定の敵に対する専用セリフも充実している。 ---ほぼすべてのキャラに対し味方への援護台詞、敵への攻撃・被弾台詞がある。しかも''使い回しがない''。OGシリーズですら主役と脇役で偏りがあったり、使いまわせる台詞は共有で済ませているのに比べると驚異的というほかない。 ---主人公・マサキの担当声優である緑川光が、公式ラジオで「あまりにもボイスが多すぎて、収録日を複数取ってもらえるように掛け合った」と語っているほど。 -前作同様にキャラクターの表情パターンが非常に多く、軽妙な掛け合いを盛り上げる。 -シナリオ中に追加された武器が、周回プレイで引き継ぐようになった。特定ルートでのみ手に入る追加武器が、次周は別ルートで使える。 -人気キャラの1人であるセニアに専用BGMが追加。 -問題点の目立つシナリオだが要所要所には良い点もある --注目ポイントとしては、ポゼッションにまつわる各種イベントや新たな邪神の登場、シュウとマサキの人間関係の変化あたりだろうか。 ---かつてのマサキは「シュウを信用するな」と他の人たちに忠告するほど警戒していたが、今作においては''素直に謝ったり皮肉を理解した上でスルーしたり''と、ある程度警戒はするものの以前の険悪さが嘘のようになっている。 ---- **賛否両論点 //良いところ悪いところ分けられる内容が多いので、それぞれ分割 -セニアがやたらと出番が多い。 --独自の諜報機関を設立してコンピューターを用いた諜報活動を行うようになり、ほとんどのシナリオ展開は彼女の諜報を介して行われる事に。 ---元々メカニック兼情報収集役として優秀なキャラという設定だったが、それを前提としてもシナリオで便利に使われすぎている。旧シリーズの続きとして見ればまだ違和感はないが、『第2次OG』ではそのような活躍をしていなかったため((設定は健在だが情報面で活躍する場面は省略された。))、扱いが極端。 ---後述するようにキャラの扱いには格差が多いため、余計に出番が多いセニアが悪目立ちする、と言う面もある。 -ネタ要素・お色気要素の増加。 --昨今のスパロボで目立つこの手の要素は、例に漏れず増えている。元々この手の要素は賛否両論。 ---その上、本作ではそういった要素を好む層の一部にさえ、「古臭い」「そこをネタにするのか」と言う批判を受ける要素も。特に、魔装ファンが長年待ち望んでいたサイバスターとヴァルシオーネの合体武器が完全にネタ武器となってしまっている点は批判を受けやすい((五郎入道正宗や円月殺法のような「格好良さを含むネタ」ではなく、完全にネタ先行となっている。))。 ---前作から登場し、ファンもいるような真面目なキャラクターをネタキャラ化してしまい、そのキャラのファンから批判を受けている部分もある。 --''自部隊が財政難に陥ったので萌えグッズショップを作って財源確保''と言う正気とは思えない設定も登場する。ロボット十数機と戦艦1隻からなる部隊を、グッズショップ一軒でどうにか出来ると思っているのだろうか。 ---- **問題点 ''シナリオ面'' -前作をやっていないと置いてけぼりのシナリオ。 --後述の通り本作では図鑑モードが存在せず、前作からの続投キャラクターが登場した際にどういったキャラなのかという説明もほとんど無いため、前作プレイを前提としたシナリオになっている。前作リメイクを挟んでいるとはいえ、16年ぶりの続編ということを考えると何らかの配慮が必要だっただろう。 -中盤以降のシナリオ展開 --序盤は比較的熱い展開が多いが、中盤以降は敵対関係にあった国家の内乱が主なテーマとなり、展開の起伏が少なく大きな動きは最終盤になるまで待つことになるため中だるみ感が強い。さらにそのラストも未回収の伏線が多く、そのため「序盤で力尽きたのでは」と言われる事も少なくない。 ---今作も前作も1プレイにおける話数は40話前後だが、前作は1章と2章の分割式で各章約20話に出来事を詰め込んでいた事と比べても、今作は引き延ばし感がある。 --前作までのボスキャラであるヴォルクルスの分身体がいきなり復活し、その後も分身体が頻繁に登場することについても、安売り等と批判されることが多い。 ---ちなみにこれは作中で何人ものキャラクターも指摘している。 -未回収のままで終わる伏線が多く明らかに続編を意識した作りになっており、不完全燃焼感が強い。 --ゲーム開始早々に登場するキャラクターについては、名前を含めて一切が謎のままで終わる。 ---『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』がよく比較対象として挙げられるが、本作は''続編がある事を事前にアナウンスしていない。''本作で完結すると思っていたプレイヤーの多くが肩透かしを食らった。 --黒いサイバスターとして事前情報で大々的に発表され、パッケージにも画かれている新機体ゼルヴォイドだったが、出番が少なくデザインがサイバスターに似ていることについても謎のまま。搭乗者であるエランもルート次第ではそれなりに出番があるものの、やはり詳細な人物像は謎のままと、宣伝詐欺と言えるレベル。 -一部キャラの扱いが悪い --他のスパロボと異なり明確に主人公が設定されていることもあり、主人公であるマサキを中心にストーリーが展開されるが、他のキャラクターの出番に偏りが大きい。 ---流石にメインキャラである魔装機神操者・リューネ・ウェンディなどは出番が多いが、他の脇役キャラとなると、ほとんどセリフが無いキャラも少なくない。 --特にファンに人気が高いライバルキャラ・シュウの出番もかなり少ない。 ---後述の通り本作のゲーム中盤以降は、しっかり改造を行わないと苦戦するバランスとなっているのだが、グランゾンは無改造で戦闘に参加する場面が多く、改造して戦闘に参加できるのは、一部ルートの終盤2話だけど活躍できる場面が少ない。結果、敵に与えるダメージは少なく敵から受けるダメージは大きいという有様で、『OG外伝』のネオ・グランゾンの弱さに引き続きファンを嘆かせた。 --前作からの続投キャラのうち4人が永久離脱してしまう。 ---従来の『スパロボ』や『OG』シリーズではほとんど行われない、所謂味方キャラのリストラであり、永久離脱したキャラはティアンを除き作中目立った活躍をすることもないため、リストラされたキャラのファンからは当然のごとく不満が挙がっている。もっとも別行動が言及されるだけマシ…と言うほど出番がない新キャラも少なくないのだが。~ 詳細はネタバレの為伏せるが、上記ティアンについてもその目立ち方には否定的な意見が多い。 ---部隊からいなくなるキャラの機体に費やした改造費は離脱時に返却されるため、改造費自体は無駄にはならない。またそれらの機体は別のキャラに引き継がれ、その際に改めて改造を行うことになる。が、結果的に''興味のないキャラの機体に無駄に金をかけて放置する事になった''プレイヤーも多い。しかも上述の通り、最終的に機体の性能差が結構出てしまうゲームの為、序盤の金で改造した程度だと途中からは戦闘が辛くなる。 --新キャラクターについても同様で、特に話題に挙げられるのが「熱血だが未熟な新人兵」といういかにも主人公っぽいキャラ付けのツレイン。ちっとも話に絡んでこないばかりか、中盤以降は会話パートに登場することも少なくなる。たまに喋れば、的外れな意見を他のキャラに否定される、他キャラの露骨な引き立て役。さらに本人のステータスと搭乗機体の性能の相性が悪く、活躍させるにはそれなりに資金をつぎ込む必要があるし、他の機体につぎ込んだ方が何倍も効果的とかなり不遇。はっきり言って存在意義が分からない。 ---このゲームを楽しめなかったプレイヤーはもちろん、楽しんだプレイヤーから見ても彼が空気・不遇である事は疑いようがなく、親しみもしくは揶揄をこめて「ツライン・ザン・オルスバン」などと言う呼ばれ方をする事も。 --他の新キャラにした所で、ツレインほどではないが出番は少なく、「こんなキャラを出すなら旧キャラを目立たせてくれ」との声は大きい。完全新規の続編と言う事でメインキャラ以外を一新したかったのかもしれないが、世代交代に成功したとは言い難いだろう。 ---ただし、新キャラの一人である「ガエン」は、次回作以降も活躍するほか、「[[スーパーロボット大戦OG ダークプリズン]]」に出演するなど、一定の人気を獲得している。 --敵側のキャラクターの掘り下げが少なく、「味方と絡まないうちにいつの間にか偉くなってた」「基本的にギャグ要員でシナリオの本筋には絡まない」「敵だったけど味方になった、空気にもなった」「久々に出てきたと思ったらいきなり死んだ」「結局最後まで決着がつかない」などと言った、描写不足のキャラが非常に多い。 ---更には何の説明も無く戦いを挑んできて、その後のフォローも一切ないキャラクターもいる。 -難しい言い回しが多用される。 --用語辞典である程度はフォローされるとはいえ、難読漢字や故事成語などを用いる場面が前作に比べて多い。そういう台詞を言いそうにない多くのキャラが、使う必要のない場面でそう言った言い回しを多用するため、「悪い意味で厨二病」「ライターが知識をひけらかしたいだけ」などと批判されることも。また、結果的に元々そういう言い回しを好むキャラであったヤンロンの個性が薄れているとも言える。 ---例えば、「往古来今、これを宙と謂う、四方上下、これを宇と謂う」。本作で最も長いシナリオタイトルだが、内容はと言えば無思想なギャグキャラによる飛行船への襲撃を阻止するだけである。全く噛み合っていない。 -一部に、ライターの思想を見せるような風刺的な内容がある。 --特に話題に上がるのは、中盤の「和風国家で長い間野党だった党が、与党になったら駄目になった」と言う台詞と、終盤の「マスコミが報道すべきでないものを報道し、自軍がそれを徹底的に非難する」と言うイベント。 ---そして、それらの風刺が''シナリオに絡まず、省いても一切影響がない''と言う点。後者に至ってはむしろ省いた方が良いレベルで浮いている。上の言い回しと共に、ライターがやりたかったから自己満足で入れたのだろうか? ''システム面'' -インターミッションのデータ管理において、「ロード」が一番上((つまり、データ管理選択時にデフォルトでカーソルが当たる。))になっている。 --細かい点だが、本作で最も槍玉に上げられる不満点の一つでもある。普通は「セーブ」の方が使用頻度が高く、こちらが上になっている方が明らかに便利(他のスパロボシリーズでも「セーブ」が上)。「うっかりボタンを連打して前のシナリオに戻された」と言う失敗談が多く聞かれる。そうでなくとも余計な手間がかかる。 ---音声ガイドで「セーブではなくロードなので注意しろ」と強調するため、おそらくテストプレイ時などにスタッフの間でも問題になっていたと思われる。''だったら何故「セーブ」を上にしなかったのか。'' ---これに限らずユーザーインターフェイスは非常に悪い。 -操者育成システムは、全員共通のスキルをいくつか選んで付けられる、程度のものであり、非常に底が浅い。一部パイロットには専用技能も有るが、成長しない。 --レベルアップで増加するスロット数に応じて付けられるスキルが増えるのだが、最大スロットが5で、上位スキルはそのスロットを複数専有してしまうため自由度は少なめ。 --スキル育成はスキルを装着し一定の戦闘回数をこなすというもので、せっかく育成させても別のスキルを育成するためには育成させたスキルを外す必要があるため、全員に獲得資金増加の「一攫千金」をつけたまま終わる、と言うプレイヤーも少なくない。 --ゲーム終盤に加入するキャラクターはスキル育成については手つかずで加入するため、それらのキャラクターはろくに育成させる機会がない。 --画面インターフェイスのせいもあるが、ここだけL/Rでのキャラクター画面送りができず、他の改造画面、ステータス参照画面と大いに操作性が異なる。なおかつ、ワンタッチでのキャラクター送りができないので、誰がどの技能を習得しているのかを味方部隊全体にわたって確認するのに非常に手間がかかる((他の改造画面なら、L/R連続でキャラクター送りができるが、ここだけは画面から戻り、キャラクター一覧から再度選択…を繰り返す必要がある。))。 -スパロボではお馴染みとなった援護攻撃・援護防御がスキル制で実装されたが、今作では何故か従来の「1ターンごとにレベル回数分可能」ではなく「''1シナリオごと''にレベル回数分可能」と言う仕様になっており、貴重なスキル枠を消費するにしては使い勝手が悪すぎる。 --それでも援護攻撃はボス対策に使えるが、援護防御に関してはこんな使用回数でどうしろと…。 -経験値システムが、レベルが上がるごとに必要経験値が増加する仕様に変更されたが、調整が不十分な面が多々見られる。 --戦闘で得られる獲得経験値は相手のレベルが上がるごとに増加する仕様になっているのだが、「修理」「補給」で得られる経験値や、戦闘終了後に残りSPに応じて得られるボーナス経験値の仕様は従来のスパロボと同様なため、スズメの涙ほどの経験値しか得られない死にシステム(例:レベルアップに必要な経験値は1万なのに得られる経験値は100)と化してしまっている。そのため補助機体も積極的に戦闘に参加する必要がある。 ---精神コマンドの経験値に関しては、温存していてもどうせ雀の涙なら積極的に使いきってしまうという方策も取れることは取れる。とくに低レベルの操者は必中や努力を使って一軍の撃ち漏らしにトドメを刺した方が、経験値は多く獲得できる。 --この仕様変更で精神コマンド「努力」による大幅なレベル上げも従来作品ほどの効果は得られなくなっている。 -オプションモードが不親切。 --スパロボではお馴染みのロボット図鑑・キャラクター図鑑は存在せず、シナリオチャートと用語集のみ。登場キャラクターの声優を確認するにはゲームエンディングまでプレイする必要がある。 --スパロボではデータの管理は「システムデータ」に依存しているが、本作では「各セーブデータ」に依存。よって前作リメイク版では可能だった「セーブデータを残しておいて別分岐をプレイ」という手法をとることが出来ない。本作はゲーム後半でシナリオ分岐が3ルートに分岐するため、必然的に周回プレイを繰り返す必要があるのだが、一部の複雑な分岐条件のせいで、3周で全てのシナリオを体験できるにもかかわらず、4周しないとシナリオチャートが埋まらない。 ---ちなみに限定版付属のPSP版1もこの仕様のため、シナリオチャートを埋めるには最低でも7周する必要がある。 --本作のシナリオチャートや用語集は、それを埋めることでオマケが解放されるので、所詮は自己満足と割り切る事もできない。 -ロード時間の問題 --戦闘シーン前のロード時間はデータインストールで改善されるが、ソフトリセットからの復帰は改善されず暗転時間が10秒近くある。 --多彩な戦闘台詞を楽しむためクイックコンティニューを繰り返したいところだがこれのせいで非常にわずらわしい。 -ゲームバランスが大味 --基本的に難易度は機体改造に依る部分が多く、「改造が足りないと苦戦(あるいはクリア不可能)、しっかり改造していればほぼ無双」と言うような状態。特に雑魚戦用の武器に関しては、改造が足りないと本当にどうにもならない。 ---「昔のウインキーもこんな感じのバランス」と言われる事も。 ---敵の思考ルーチンは基本的に「射程内のHPの一番低い機体を集中攻撃する」ため、HPの低い機体は敵フェイズで被撃墜の危険性が跳ね上がる。援護防御という手もあるが、後述の通り使用状況が非常に限られているので、狙われ始めた機体はよほど実力差がない限り、ほぼ自力での防御か回避を強いられる。 --設定上仕方のないことなのだが、上位機種である魔装機神4機+ヴァルシオーネRの性能が抜きんでている。 --特に、中盤でサイバスターがパワーアップを遂げると3ターン限定の強化形態に変化出来るようになるのだが、これが数値バランスを放棄したとしか思えないほどに攻撃力が強い。ほとんど全てのボスが一撃で沈む。反面、生存性はそこまで強化されないため、本作の脅威度は基本的に「ボス<<<<雑魚」である。 ---ノルス・レイのように武器ランクアップにより飛躍的に使い勝手の上がる機体もある一方で、どう改造しようと使い難い機体も少なくない。 //たとえばディアブロ(戦線に追いつくのが難しく、操者の命中が低いため与ダメージの経験値も不安定)やファルク(ランクアップ武器がないので火力不足)など --出撃枠が少なく、最終話でも8~9機。上記のように一部機体の使い勝手が抜きんでているため、それらに出撃枠を取られると、他の好きな機体をほとんど使えない。と言って好きな機体ばかり使って上位機体を外すと難易度が急上昇する。 ---また、そんな状況にもかかわらず、一部のマップでは強制出撃やキャラクターの入れ替わりの関係で、強制的に下位機体を使う必要がある。知らず、それらの機体を育てずに該当マップに入ってしまった場合、全滅プレイ等で無理に育てなければならない。 ---しかも通常のスパロボと違い、「戦術や精神コマンドで挽回する」と言う事が出来ない。武器改造が足りない機体は、そもそも相手にほぼダメージを与えられないのだ。 --ゲーム序盤の難易度調整のためか、必殺技の燃費が大幅に悪化。パイロットの能力値が上がる中盤以降にようやく1マップに1回使用可能、終盤でも数回程度しか使えない。 ---使用後には機体性能が大幅に弱体化する事も有って雑魚戦では使いづらい。また、ボス戦は中盤の長い時期、サイバスター1機で十分と言うマップが続く。また、前述したように雑魚戦用の無消費武器は改造しておかないと後半の敵には使い物にならないため、こちらの改造が優先されることになる。結果、普通にプレイしている限り多くの機体は必殺技無改造のままエンディングを迎える事になり、ゲームとして戦術の自由度が非常に低い。 ---ちなみに消費値が各機体でほぼ同数値で設定されているため、燃費の良し悪しによる差別化はとられていない。 --MGのみの消費武器が非常に少なく、MG改造の意味が薄い。無消費・弾数消費・PN消費のいずれかである…。 -BGMの仕様 --同じ戦闘BGMが設定されているキャラが連続して戦った場合、他のスパロボ作品であれば曲が途切れる事無く流れ続けるのだが、本作ではたとえ同じBGMであっても戦闘が始まる毎に曲が一旦止まり、必ず最初から再生される様になっている。このため毎回BGMがぶつ切りになってしまい、戦闘の盛り上がりに水をさす形になってしまっている。 ---同じキャラが連続して戦闘することになる敵フェイズで特に顕著となる。また、専用BGMが用意されているのは一部の主要キャラのみで、他の大多数のキャラは共用のBGMが設定されているため、味方フェイズにおいても頻繁に発生する。 -音声演出について --インターミッションの音声ガイドや、修理・補給を受けたキャラのお礼の言葉などに音声演出がなされているが、頻繁に行う作業にいちいち音声が流れることについて「テンポが悪い」という意見が多く、1回聞いたらオフにするか、そうでなくとも適当に聞き流してしまうプレイヤーが多い。 --一方で中断メッセージは音声無しで簡素なものであることには不満が挙がっている。 ---近年のスパロボでは、ボイスをふんだんに使いかなり手の込んだ小劇場となっていたため、それを期待するユーザーは肩すかしを食らった。 ---- **総評 前作は当時のスパロボシリーズ作品と比べても完成度が高く、多くの『魔装機神』ファンを獲得することになった作品であった。~ 本作は発売まで不安視されていた演出面でこそいい意味で期待を裏切る結果となったものの、ゲームシステム面では16年間の歳月の間に進化を遂げたスパロボシリーズ作品に比べると見劣りする部分が多く、それらの作品をプレイ済みのプレイヤーにとっては不満の残る作品となってしまった。またシナリオにおいても賛否両論で、前作ファンや新たに魔装機神に触れる新規プレイヤー全てを満足させるまでには至らなかった。~ とはいえ、絶望視されていた続編が発売されたことを歓迎する前作ファンも多く、昔を懐かしみながらプレイするのも良いだろう。~ ---- **余談 -翌年8月には、続編『[[スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神III PRIDE OF JUSTICE]]』が発売。~ UIの問題点は大きく改善されたものの、ゲームバランスは極度に悪化、シナリオも質にムラがある上にストーリーの進展がないと、本作以上に問題が多い。~ 詳しくは当該記事を参照。 --ちなみに、本作で登場した合体攻撃はIIIでは''丸ごとなかったことにされた。'' -なお、本作の攻略本はファミ通編集部から出ているが、ご多分に漏れず「大丈夫?」な出来なのでお勧めしない。

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