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*スプラッターハウス わんぱくグラフィティ 【すぷらったーはうす わんぱくぐらふぃてぃ】 |ジャンル|アクション|CENTER:&image(Splatterhouse_Wanpaku_Graffiti.jpg,width=200,height=300)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2MbitROMカートリッジ|~| |発売元|ナムコ|~| |開発元|ナムコ&br()ナウプロダクション|~| |発売日|1989年7月31日|~| |定価|4,900円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|コミカルになったスプラッターハウス&br()というか西洋風妖怪道中記?&br()ホラー映画のパロディ満載&br()出来は良いが原作の面影はいずこへ…&br()実は意外な繋がりが……|~| |>|>|CENTER:''スプラッターハウスシリーズ''&br[[スプラッターハウス]]/''わんぱくグラフィティ''/PartII/PartIII/Spllatterhouse| //シリーズ表示を短縮化 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 1988年にナムコからリリースされたアーケードゲーム『[[スプラッターハウス]]』のファミコン版。 ファミコンの性能上、アーケード版の内容をそのまま移植するのが不可能だったことや、原作にかなり過激な残酷表現が含まれていたこともあり、キャラクターがSD化され、アクションも残酷描写を排して簡潔化された。そのため、タイトルはそのままながらほぼ別物に仕上がっている。~ 有名ホラー映画の殺人鬼に瓜二つな主人公とハードなストーリー展開であった原作に対し、本作は有名なホラー映画やオカルト映画などのモンスターや演出をコミカルにパロディ化した演出が特徴である。 **ストーリー >不慮の事故で死んでしまったリックの恋人ジェニファーが彼の墓場のそばで泣き崩れていると、~ 不意に彼の墓を差し貫いた落雷のショックで、リックが蘇った。~ 喜びもつかの間、落雷は隣の墓に眠っていた悪の魔王カボチャ大王まで蘇らせてしまう。~ カボチャ大王にさらわれたジェニファーを救うため、リックは暗い墓場の中を進んでゆく。 **ゲーム内容 -ライフ制で、HPが0になった時点でゲームオーバー。 --ゲームオーバー後はタイトル画面に戻り、コンテニューを選択することでやり直せる。ただし4回までの回数制限つき。 ---任意にリセットボタンを押してタイトル画面に戻った後もコンテニューは有効。 --各ステージ開始前のスタンバイ画面ではパスワードが表示され、タイトル画面で入力することで任意のステージから再開できる。~ 全面クリアしていなくてもパスワードさえ知っていればいつでもステージセレクトが可能だが、いずれの場合も経験値や体力値は初期状態から始まる。 -リックの武器はデフォルト装備の鉈一丁か、ステージで道端に落ちている弾数制限付きのショットガンのみ。 -経験値制を採用しており、一定数の敵を倒すごとにライフメーターの上限が上昇する。 //--本作では即死する落とし穴は存在しないが、特定エリアでは穴に落ちると下のエリアに落とされなおかつ倒した敵の数が半分に減らされるというペナルティがある。 //そんなペナルティ無いです。 ---- **評価点 -コミカルながらもどこかおどろおどろしい世界観。 --気味の悪い色使いのグラフィックで描かれた背景やモンスターなどはどこか不気味であり、雑魚敵を倒すと木っ端微塵に砕け散ったりと、本家のようなグチャドロスプラッターでこそないもののそこはかとない気持ち悪さがある。 ---ホラー世界をコミカルに表現したという点では同社のアクションゲーム『[[妖怪道中記]]』の世界観をアメリカのホラー映画に置き換えたような独特な趣があり、コミカルながらもホラーな雰囲気は失っていない。 -往年の有名ホラー映画の怪物をパロディ化した演出やボスキャラたち。ホラー映画ファンならニヤリとすること請け合い。 --ライトアップされたステージから登場し、ゾンビとともにムーンウォークしながら踊るドラキュラ男(マイケル・ジャクソン氏のヒット曲「スリラー」のPV) --首をぐるりと一回転させた後、胴体から分離して襲い掛かってくる人形の頭部(オカルト映画「エクソシスト」の首一回転シーン) --少女の腹を突き破って這い出てくるエイリアン(シリーズ第1作目のチェストバスターのオマージュ) --小バエを撒き散らしながら襲い掛かってくるハエ男(映画「ハエ男の恐怖」) --キャンプ場の広場にて、枝切りバサミ……ではなくナイフとフォークをもって襲い掛かってくるステージ4のボス(映画「バーニング」の殺人鬼クロプシー) --オープニングで死んだリックが落雷によって蘇るという演出も本家「13日の金曜日」シリーズ6作目のパロディである。 -本家スプラッターハウスへのオマージュ --ショットガンが使えたり、墓場で犬のゾンビが襲ってきたり、2面の下水道面では本家で登場するボディーイーターに似た敵キャラが出てきたり、3面の教会ステージのBGMが賛美歌風だったりするなど、本家へのオマージュも垣間見える。 //--敵を画面奥の壁に叩きつける撃破演出も(ごく一部だが)盛り込んでいたりと、なかなか細かい。 //そんなの無いはずだけど… -一部のボスやミスして死んだ時の演出はガチで怖い。 --死んだ時の演出はリックが膝をついて前のめりに倒れこみ、仮面を残して体が消滅してしまうというもので、その際、画面がどぎついオレンジ色に反転される。更に黒バックに表示された「GAME OVER」の文字の真横に、ドアの向こうから覗いている誰かがゆっくりとドアを閉めるというアニメーションが挿入される。~ また、水上エリアにいる際にミスすると水に沈んで溺死し、水面に顔を伏せたまま死体が浮かび上がるという演出になり、これもまた怖い(ちなみに妖怪道中記でもこれと全く同じミス演出がある)。 --また、上述のボスキャラたちの演出も一見コミカルだが、やはり子供にとってみれば怖いものが多い。 -BGMもコミカルながら不気味なものや、ガチで怖いものが多く、おどろおどろしい雰囲気にマッチしている。 --特に、ゲームオーバーになった際のジングルは上記の演出と相まってかなり怖い。小さい子供なら結構な確率でトラウマになるかもしれない。 --一転、クリア後のスタッフロール曲は非常に穏やかで優しい雰囲気の曲調となっていたりと曲調も幅広い。 -パスワードコンティニュー、HP回復の裏技や一部のステージ限定で受けるダメージを1/2に減らせるようになるギミック、道中で無限にHPを回復できるポイントなど、救済措置が多い。 -良くも悪くもスプラッターハウスの名を冠した別物……と思いきや、実は本家とは仰天必至の繋がりが存在している。 #region(エンディング込みのネタバレにつき、隠し表示) 実はエンディングでこのゲーム自体がホラー映画の撮影だったという、いわゆる楽屋オチであることが明かされる。~ 監督のベタ褒めに大喜びのリックは、監督が去っていった後、自らも身につけていた小道具の仮面を外してスタジオを後にする。~ その直後、突如、仮面が宙に浮かび上がり、奇怪な高笑いを発するとともにポルターガイストを巻き起こしたところで終了…。~ …と、普通通りにゲームを進めていればそこで終わりになるが、2ヶ所の隠しステージで隠しアイテム''クリスタルボール''を手に入れておくと、その後に隠し画像とテキストが追加され、本作に秘められた秘密が明らかになる。 -仲睦まじく丘の上に座り幸せそうに微笑むリックとジェニファーの1枚絵から一転、雨に降られウェスト館に駆け込む二人の1枚絵(原作本編のオープニングデモの再現)が表示され、その後の悲劇を示唆するテキストと共に幕となる。 --つまり、「''本作がAC版の前日談にあたる''」という絶望的すぎる驚愕のオチがつくのだ。 #endregion --説明書の末尾にて「このゲームの結末だけは決して誰にも言わないで下さい」とわざわざ注意喚起するほどの徹底ぶりである。 **賛否両論点 -ジャンプアクションゲームへの転向 --本作はFCへのアレンジ移植に伴い、攻撃アクションの種類が鉈とショットガンの2種類に減少している代わりにジャンプの挙動が軽く、ステージ内でも至る所で穴や高低差のある地形が盛り込まれていたりと、格闘色が強かったオリジナルからジャンプアクション寄りの内容に変化している。 --この点については「むしろ変更して正解」という賛成意見から「格闘アクションだからこそスプラッターハウス」というような否の意見まで様々。 -コミカル志向への転換 --残虐描写への規制が厳しく、ハード性能上の制約という事情もあると思われるため仕方ないが、コミカルなデフォルメ色の強められたキャラクターデザインや世界観となっている。上記のゲームジャンルの変化も含め、原作ファンにとってはガッカリ感は否めないところである。 **問題点 //-全体的に各ステージが短めなので総プレイ時間は少なめで、ややボリューム不足。 ////ボス戦が多く、隠しステージの存在もあるため総プレイ時間に対してボリューム不足を感じにくく、問題点に挙げるほどの要素ではないと思える。 -一部、突破しづらい地形・トラップが存在する。 --前述のペナルティの落下穴を敵や敵の攻撃をかいくぐりつつ避けていかなくてはならないシーンや、長時間乗っていると崩れ落ちて下に落とされる橋などがあげられる。 -ダメージを受けた時の無敵時間が短めでザコ敵が群がる状況では連続被弾しやすい。 --また、ダメージ穴に落ちた際にはダメージモーションのまま上に向かって飛び上がるので、ザコに囲まれていると体勢が立て直しにくく連続被弾しやすい。 ---- **総評 あまりにも原作からかけ離れすぎた作風ゆえ、AC版のファンにとってはガッカリさせられてしまう内容となってしまったが、根本的なところはしっかりと作られていて普通に楽しく遊べる出来栄えに仕上がっており、気軽に楽しめる良作と呼んで差し支えない一品となっている。~ 原作に繋がる真のエンディングもある為「スプラッターハウスの一連のシリーズの一作」としても捉えてみてほしい。 ---- **移植 -&bold(){『ナムコットコレクション』(Nintendo Switch 配信開始日/発売日:2020年6月18日)} --ナムコの家庭用ゲームブランド「ナムコット」名義で発売されたファミコンソフトのオムニバスソフト。~ DLC第1弾の1本として配信された。また第1弾を全て収録したパッケージ版も発売されている。 ---移植・配信はこれが初。 ---- **余談 -エンディングのスタッフロールの冒頭でなぜか「WINNERS DON'T USE DRUGS(勝者は薬に頼らない)」という一文が表示される。 --実は[[アメリカ連邦警察局(FBI)による反麻薬キャンペーン用のフレーズ>http://en.wikipedia.org/wiki/Winners_Don't_Use_Drugs]]であり、当時のアメリカ製ゲームでは一般的。アメリカ市場を意識したのだろうか? ---後の同社『スティールガンナー2』だとオープニングデモの最後に、『ナックルヘッズ』ではあるキャラのエンディングのスタッフロール直前にFBIのシンボルマーク込みで登場している。 ---他作品では、「[[某クソゲーの帝王>ソード・オブ・ソダン]]」にて、特定のアイテムを特定の使い方で使用した際にこれが表示された上で、''即死する。'' -「妖怪道中記」に作風が似ていると書いたが、キャラクターデザインやドットデザインなどのビジュアル面も妖怪道中記(特にFC版)によく似ており、FC版における「タイトル画面で特定のコマンドを入力すると、キャラクターのアニメーションやBGMを自由に視聴できるテストモードへ飛べる」という裏技も同じく仕込まれている。 --本作の開発は「妖怪道中記」のFC移植を担当したナウプロダクションだが、実はAC版の開発もナムコと共同で担当しており、ゲームデザインを担当した水野一実氏(スタッフロールでは「KAZUU」名義)も本作の開発に関わっている。作風の類似性は恐らくそのためと思われる。 --PCE版『[[ベラボーマン>超絶倫人ベラボーマン]]』の移植に関わったスタッフの名前も確認でき、そちら同様、スタッフロールにスタッフの似顔絵が挿入されている。 -さりげなくナムコキャラがゲスト出演していたりする。 --3面の中ボスのエイリアンに寄生された少女はなんと『[[ドルアーガの塔]]』のカイ。5面の大ボスの狼男に変身する男の子は『妖怪道中記』のたろすけである。 -カセットのケースに描かれたキャッチコピーは映画「エイリアン」シリーズの第1作目のキャッチコピーのパロディ。 -サブタイトルの「グラフィティ」とは英語で「落書き」の意。 --日本では「青春グラフィティ」等といった形で用いられているが、これは和製英語。~ 「1962年の夏、あなたはどこにいましたか」というキャッチコピーのアメリカ映画「アメリカン・グラフィティ」により、この映画のようなイメージを含んだ意味の和製英語として広まった。 ---元々の語源から英語「graffiti」になるまでに「回想」という意味が派生していたりはあるが、和製英語「グラフィティ」にはほぼ関係ない。 -バンダイナムコスタジオ公式チャンネル内の1コーナー『ナムコミュージアム オブ アート』のスプラッターハウス回に置いて本作もきっちり取り上げられており、続編の制作が企画されていたもののお蔵入りとなったことが明かされている。 --本作同様、洋画ホラーパロディを意識した作風になる予定だったらしく、イメージイラストには『エルム街の悪夢』の殺人鬼フレディ・クルーガーがモデルと思しきキャラクターが描かれている。
*スプラッターハウス わんぱくグラフィティ 【すぷらったーはうす わんぱくぐらふぃてぃ】 |ジャンル|アクション|CENTER:&image(Splatterhouse_Wanpaku_Graffiti.jpg,width=200,height=300)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2MbitROMカートリッジ|~| |発売元|ナムコ|~| |開発元|ナムコ&br()ナウプロダクション|~| |発売日|1989年7月31日|~| |定価|4,900円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|コミカルになったスプラッターハウス&br()というか西洋風妖怪道中記?&br()ホラー映画のパロディ満載&br()出来は良いが原作の面影はいずこへ…&br()実は意外な繋がりが……|~| |>|>|CENTER:''スプラッターハウスシリーズ''&br[[スプラッターハウス]]/''わんぱくグラフィティ''/PartII/PartIII/Spllatterhouse| //シリーズ表示を短縮化 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 1988年にナムコからリリースされたアーケードゲーム『[[スプラッターハウス]]』のファミコン版。 ファミコンの性能面の問題や原作にかなり過激な残酷表現が含まれていたこともあり、キャラクターがSD化され、アクションも残酷描写を排して簡潔化された。そのため、タイトルはそのままながらほぼ別物に仕上がっている。~ 有名ホラー映画の殺人鬼に瓜二つな主人公とハードなストーリー展開であった原作に対し、本作は有名なホラー映画やオカルト映画などのモンスターや演出をコミカルにパロディ化した演出が特徴である。 **ストーリー >不慮の事故で死んでしまったリックの恋人ジェニファーが彼の墓場のそばで泣き崩れていると、~ 不意に彼の墓を差し貫いた落雷のショックで、リックが蘇った。~ 喜びもつかの間、落雷は隣の墓に眠っていた悪の魔王カボチャ大王まで蘇らせてしまう。~ カボチャ大王にさらわれたジェニファーを救うため、リックは暗い墓場の中を進んでゆく。 **ゲーム内容 -ライフ制で、HPが0になった時点でゲームオーバー。 --ゲームオーバー後はタイトル画面に戻り、コンテニューを選択することでやり直せる。ただし4回までの回数制限つき。 ---任意にリセットボタンを押してタイトル画面に戻った後もコンテニューは有効。 --各ステージ開始前のスタンバイ画面ではパスワードが表示され、タイトル画面で入力することで任意のステージから再開できる。~ 全面クリアしていなくてもパスワードさえ知っていればいつでもステージセレクトが可能だが、いずれの場合も経験値や体力値は初期状態から始まる。 -リックの武器はデフォルト装備の鉈一丁か、ステージで道端に落ちている弾数制限付きのショットガンのみ。 -経験値制を採用しており、一定数の敵を倒すごとにライフメーターの上限が上昇する。 //--本作では即死する落とし穴は存在しないが、特定エリアでは穴に落ちると下のエリアに落とされなおかつ倒した敵の数が半分に減らされるというペナルティがある。 //そんなペナルティ無いです。 ---- **評価点 -コミカルながらもどこかおどろおどろしい世界観。 --気味の悪い色使いのグラフィックで描かれた背景やモンスターなどはどこか不気味であり、雑魚敵を倒すと木っ端微塵に砕け散ったりと、本家のようなグチャドロスプラッターでこそないもののそこはかとない気持ち悪さがある。 ---ホラー世界をコミカルに表現したという点では同社のアクションゲーム『[[妖怪道中記]]』の世界観をアメリカのホラー映画に置き換えたような独特な趣があり、コミカルながらもホラーな雰囲気は失っていない。 -往年の有名ホラー映画の怪物をパロディ化した演出やボスキャラたち。ホラー映画ファンならニヤリとすること請け合い。 --ライトアップされたステージから登場し、ゾンビとともにムーンウォークしながら踊るドラキュラ男(マイケル・ジャクソン氏のヒット曲「スリラー」のPV) --首をぐるりと一回転させた後、胴体から分離して襲い掛かってくる人形の頭部(オカルト映画「エクソシスト」の首一回転シーン) --少女の腹を突き破って這い出てくるエイリアン(シリーズ第1作目のチェストバスターのオマージュ) --小バエを撒き散らしながら襲い掛かってくるハエ男(映画「ハエ男の恐怖」) --キャンプ場の広場にて、枝切りバサミ……ではなくナイフとフォークをもって襲い掛かってくるステージ4のボス(映画「バーニング」の殺人鬼クロプシー) --オープニングで死んだリックが落雷によって蘇るという演出も本家「13日の金曜日」シリーズ6作目のパロディである。 -本家スプラッターハウスへのオマージュ --ショットガンが使えたり、墓場で犬のゾンビが襲ってきたり、2面の下水道面では本家で登場するボディーイーターに似た敵キャラが出てきたり、3面の教会ステージのBGMが賛美歌風だったりするなど、本家へのオマージュも垣間見える。 //--敵を画面奥の壁に叩きつける撃破演出も(ごく一部だが)盛り込んでいたりと、なかなか細かい。 //そんなの無いはずだけど… -一部のボスやミスして死んだ時の演出はガチで怖い。 --死んだ時の演出はリックが膝をついて前のめりに倒れこみ、仮面を残して体が消滅してしまうというもので、その際、画面がどぎついオレンジ色に反転される。更に黒バックに表示された「GAME OVER」の文字の真横に、ドアの向こうから覗いている誰かがゆっくりとドアを閉めるというアニメーションが挿入される。~ また、水上エリアにいる際にミスすると水に沈んで溺死し、水面に顔を伏せたまま死体が浮かび上がるという演出になり、これもまた怖い(ちなみに妖怪道中記でもこれと全く同じミス演出がある)。 --また、上述のボスキャラたちの演出も一見コミカルだが、やはり子供にとってみれば怖いものが多い。 -BGMもコミカルながら不気味なものや、ガチで怖いものが多く、おどろおどろしい雰囲気にマッチしている。 --特に、ゲームオーバーになった際のジングルは上記の演出と相まってかなり怖い。小さい子供なら結構な確率でトラウマになるかもしれない。 --一転、クリア後のスタッフロール曲は非常に穏やかで優しい雰囲気の曲調となっていたりと曲調も幅広い。 -パスワードコンティニュー、HP回復の裏技や一部のステージ限定で受けるダメージを1/2に減らせるようになるギミック、道中で無限にHPを回復できるポイントなど、救済措置が多い。 -良くも悪くもスプラッターハウスの名を冠した別物……と思いきや、実は本家とは仰天必至の繋がりが存在している。 #region(エンディング込みのネタバレにつき、隠し表示) 実はエンディングでこのゲーム自体がホラー映画の撮影だったという、いわゆる楽屋オチであることが明かされる。~ 監督のベタ褒めに大喜びのリックは、監督が去っていった後、自らも身につけていた小道具の仮面を外してスタジオを後にする。~ その直後、突如、仮面が宙に浮かび上がり、奇怪な高笑いを発するとともにポルターガイストを巻き起こしたところで終了…。~ …と、普通通りにゲームを進めていればそこで終わりになるが、2ヶ所の隠しステージで隠しアイテム''クリスタルボール''を手に入れておくと、その後に隠し画像とテキストが追加され、本作に秘められた秘密が明らかになる。 -仲睦まじく丘の上に座り幸せそうに微笑むリックとジェニファーの1枚絵から一転、雨に降られウェスト館に駆け込む二人の1枚絵(原作本編のオープニングデモの再現)が表示され、その後の悲劇を示唆するテキストと共に幕となる。 --つまり、「''本作がAC版の前日談にあたる''」という絶望的すぎる驚愕のオチがつくのだ。 #endregion --説明書の末尾にて「このゲームの結末だけは決して誰にも言わないで下さい」とわざわざ注意喚起するほどの徹底ぶりである。 **賛否両論点 -ジャンプアクションゲームへの転向 --本作はFCへのアレンジ移植に伴い、攻撃アクションの種類が鉈とショットガンの2種類に減少している代わりにジャンプの挙動が軽く、ステージ内でも至る所で穴や高低差のある地形が盛り込まれていたりと、格闘色が強かったオリジナルからジャンプアクション寄りの内容に変化している。 --この点については「むしろ変更して正解」という賛成意見から「格闘アクションだからこそスプラッターハウス」というような否の意見まで様々。 -コミカル志向への転換 --残虐描写への規制が厳しく、ハード性能上の制約という事情もあると思われるため仕方ないが、コミカルなデフォルメ色の強められたキャラクターデザインや世界観となっている。上記のゲームジャンルの変化も含め、原作ファンにとってはガッカリ感は否めないところである。 **問題点 //-全体的に各ステージが短めなので総プレイ時間は少なめで、ややボリューム不足。 ////ボス戦が多く、隠しステージの存在もあるため総プレイ時間に対してボリューム不足を感じにくく、問題点に挙げるほどの要素ではないと思える。 -一部、突破しづらい地形・トラップが存在する。 --前述のペナルティの落下穴を敵や敵の攻撃をかいくぐりつつ避けていかなくてはならないシーンや、長時間乗っていると崩れ落ちて下に落とされる橋などがあげられる。 -ダメージを受けた時の無敵時間が短めでザコ敵が群がる状況では連続被弾しやすい。 --また、ダメージ穴に落ちた際にはダメージモーションのまま上に向かって飛び上がるので、ザコに囲まれていると体勢が立て直しにくく連続被弾しやすい。 ---- **総評 あまりにも原作からかけ離れすぎた作風ゆえ、AC版のファンにとってはガッカリさせられてしまう内容となってしまったが、根本的なところはしっかりと作られていて普通に楽しく遊べる出来栄えに仕上がっており、気軽に楽しめる良作と呼んで差し支えない一品となっている。~ 原作に繋がる真のエンディングもある為「スプラッターハウスの一連のシリーズの一作」としても捉えてみてほしい。 ---- **移植 -&bold(){『ナムコットコレクション』(Nintendo Switch 配信開始日/発売日:2020年6月18日)} --ナムコの家庭用ゲームブランド「ナムコット」名義で発売されたファミコンソフトのオムニバスソフト。~ DLC第1弾の1本として配信された。また第1弾を全て収録したパッケージ版も発売されている。 ---移植・配信はこれが初。 ---- **余談 -エンディングのスタッフロールの冒頭でなぜか「WINNERS DON'T USE DRUGS(勝者は薬に頼らない)」という一文が表示される。 --実は[[アメリカ連邦警察局(FBI)による反麻薬キャンペーン用のフレーズ>http://en.wikipedia.org/wiki/Winners_Don't_Use_Drugs]]であり、当時のアメリカ製ゲームでは一般的。アメリカ市場を意識したのだろうか? ---後の同社『スティールガンナー2』だとオープニングデモの最後に、『ナックルヘッズ』ではあるキャラのエンディングのスタッフロール直前にFBIのシンボルマーク込みで登場している。 ---他作品では、「[[某クソゲーの帝王>ソード・オブ・ソダン]]」にて、特定のアイテムを特定の使い方で使用した際にこれが表示された上で、''即死する。'' -「妖怪道中記」に作風が似ていると書いたが、キャラクターデザインやドットデザインなどのビジュアル面も妖怪道中記(特にFC版)によく似ており、FC版における「タイトル画面で特定のコマンドを入力すると、キャラクターのアニメーションやBGMを自由に視聴できるテストモードへ飛べる」という裏技も同じく仕込まれている。 --本作の開発は「妖怪道中記」のFC移植を担当したナウプロダクションだが、実はAC版の開発もナムコと共同で担当しており、ゲームデザインを担当した水野一実氏(スタッフロールでは「KAZUU」名義)も本作の開発に関わっている。作風の類似性は恐らくそのためと思われる。 --PCE版『[[ベラボーマン>超絶倫人ベラボーマン]]』の移植に関わったスタッフの名前も確認でき、そちら同様、スタッフロールにスタッフの似顔絵が挿入されている。 -さりげなくナムコキャラがゲスト出演していたりする。 --3面の中ボスのエイリアンに寄生された少女はなんと『[[ドルアーガの塔]]』のカイ。5面の大ボスの狼男に変身する男の子は『妖怪道中記』のたろすけである。 -カセットのケースに描かれたキャッチコピーは映画「エイリアン」シリーズの第1作目のキャッチコピーのパロディ。 -サブタイトルの「グラフィティ」とは英語で「落書き」の意。 --日本では「青春グラフィティ」等といった形で用いられているが、これは和製英語。~ 「1962年の夏、あなたはどこにいましたか」というキャッチコピーのアメリカ映画「アメリカン・グラフィティ」により、この映画のようなイメージを含んだ意味の和製英語として広まった。 ---元々の語源から英語「graffiti」になるまでに「回想」という意味が派生していたりはあるが、和製英語「グラフィティ」にはほぼ関係ない。 -バンダイナムコスタジオ公式チャンネル内の1コーナー『ナムコミュージアム オブ アート』のスプラッターハウス回に置いて本作もきっちり取り上げられており、続編の制作が企画されていたもののお蔵入りとなったことが明かされている。 --本作同様、洋画ホラーパロディを意識した作風になる予定だったらしく、イメージイラストには『エルム街の悪夢』の殺人鬼フレディ・クルーガーがモデルと思しきキャラクターが描かれている。

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