「ドラゴンクエスト」の検索結果
ドラゴンクエスト」 から 次の単語がハイライトされています :



ドラゴンクエスト

【どらごんくえすと】

ジャンル ロールプレイングゲーム
高解像度で見る 裏を見る

対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 512KbitROMカートリッジ
発売元 エニックス
開発元 チュンソフト
発売日 1986年5月27日
25周年記念:2011年9月15日
定価 5,500円
25周年記念:4,440円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※25周年記念版より付加
備考 パスワードコンティニュー(20文字)
判定 良作
ポイント 記念すべきシリーズ一作目
一作目故UIはまだ未成熟
全体的にシンプルな仕様
計算され尽くされた内容
緻密なゲームバランス
ドラゴンクエストシリーズ

概要

日本を代表する国民的RPGと言って差し支えないドラゴンクエストシリーズの第一作。初のファミコン用RPGとして認識されている。
漫画「ドラゴンクエストへの道」によると、プログラマーの中村光一も「ファミコン初のRPGにしたいと意気込んでいた」といい、後述の数々の特徴から日本国内における『RPG』という言葉の意味を独自に定義づけてしまうほどの影響力を持つ作品となった。

シナリオ・ゲームデザインは堀井雄二、メインプログラマーは中村光一、キャラクタデザインは鳥山明、音楽はすぎやまこういちと、各分野のプロが結集し作り上げられた。

プレイヤーは伝説の勇者ロトの子孫となって、平和なアレフガルドに突如現れた邪悪の化身「竜王」を打ち倒し光の玉を取り戻すべく旅をする。


特徴

ファミコン初期のRPGということもあり、RPG未経験者にもとっつきやすいよう、「遊びやすく、かつRPGの概要を理解しやすいシステム」に重点を置いたつくりになっている。

基本部分はコンピュータRPGのパイオニア『ウルティマ』と『ウィザードリィ』を参考に、それぞれのゲームからプレイヤーの理解を促しやすい要素を抽出して導入、両者のいいとこどりともいえるシステムとして構築している。
このスタイルは後続の国産RPGにも採用され、標準的なスタイルとなった。

  • ゲームスタート時、主人公にはひらがな4文字まで好きな名前を設定できる。
    • ただし、容量の関係上「濁点(゛)」と「半濁点(゜)」も1文字として扱われる。
    • 「自分の名前でゲームができる」のは、当時のファミコンソフトとして画期的だった。
  • フィールドは『ウルティマ』と同様の2D見下ろし型。
    • 上空から見下ろしているような視点であり、周囲の地形が分かりやすい。
  • フィールドを歩けばランダムで敵と遭遇し戦闘に突入。
    • 戦闘システムは『ウィザードリィ』と同様のターン制。基本的にプレイヤーが行動を決定するまでは、敵も攻撃してこないので、じっくりと考えて行動できる。
    • 行動はコマンドで選択する方法であり、武器で直接攻撃を行う「たたかう」や、MPを消費することで特殊な効果を発揮する「じゅもん」などを状況に応じて使いわける。
    • フィールド戦闘では背景グラフィックが表示される。ダンジョン内での戦闘は背景がなく真っ黒になる。
  • ゲームの中断機能の実装
    • 本作ではパスワード(復活の呪文)によるセーブを実装しており、ゲーム途中での中断と再開が可能になっている。
      • 平仮名の「あ~ば」までの64文字を使用。復活の呪文は20文字。5・7・5調+3文字構成で、文字数が増えたり減ったりすることはない。

DQIならではの特徴

当時の新技術を使ったコンピュータRPGと比較して、ハード上の制約も絡んで様々な簡略化がされた。その中には、当時の家庭用ゲーム機では未知のジャンルであった「RPG」を、プレイヤーに理解してもらうための配慮も含まれる。

  • 最初から最後まで主人公ひとりの冒険。戦闘も1対1である。
    • ファミコンで当時主流だったアクションゲームに慣れた子供たちには、いきなりパーティーでの戦闘は難しいのではないかということで、この仕様にしたとのこと。
  • 後作とは違い、武器防具と道具類は別々に所持欄が用意されている。また道具の中でも「やくそう」と「かぎ」は専用欄が設けられ、それぞれ6個までまとめて持てる。
    • 入手した武具は自動的に装備され、それまで装備していた武具は自動的に破棄(武器屋なら売却)される。任意で着脱することはできない。
      • 「りゅうのうろこ」や後述の「のろいのベルト」など、任意で装備できる装飾品は道具欄での扱いになる。
    • 武器には属性や武器種といった概念は存在せず、単純に数値の大きい武器が強い。防具には特殊効果を持つものもあるが、これも守備力の高いほうが上位互換となっている。
      • 装備名も強さがわかりやすいネーミングであり、武器は剣だけでなく棍棒や斧などバラエティに富んでいる。
    • ゲーム開始直後の主人公はなにも持っていないグラフィックだが、武器を入手すると右手に、盾を入手すると左手に装備したことがグラフィック上でも反映され、「モンスターと戦う準備ができた」と一目でわかる。
  • 敵の出現範囲や頻度もわかりやすく調整されている。
    • 橋を渡り、ゲーム開始地点のラダトームから離れることで、強敵が出現するようになっている。
    • また平原に比べて森や山は敵が出現しやすい。
  • 理解しやすく調整されたシナリオやゲームバランス
    • ゲーム開始直後はラダトームの城の王様の前におり、王様の会話からゲームが始まる。
      • 王様のいる部屋から外に出る過程で、「はなす」「とる」「とびら」「かいだん」などのコマンドをひととおり使うことになる。RPG未経験者でも、安全な場所で自然と基本操作が身につくようにという配慮である。
      • じつは本作が完成した直後のVerでは、ゲーム開始直後にラダトーム城近くのフィールドに放り出されるという仕様だった。だが、地元の子供達を集めてテストプレイをさせてみたところ、基本的なインターフェイスすら理解できず、武器も防具も持たずにフィールドを歩きまわったあげくモンスターにやられてしまう子供達が続出し、さらには「最初に何をしたらいいのか分からない」「城や町はただの背景だと思っていた。入れることに気づかなかった」という苦情が殺到したため、「このままでは不親切な内容のゲームになってしまう」と危機感を抱き、現在の仕様に変更されたとのこと。
    • 城の1階では旅の知識を聞ける。城の近くにあるラダトームの町では、屋根のある家への入り方や、カウンター越しに会話が可能な事、武器防具の購入方法を覚えられる。
      • この時点での所持金では不完全な装備しかできないが、そのおかげで装備をプレイヤーが選ぶことができ、開始直後は入手できない装備品を買うため、お金を貯めるモチベーションの向上につながっている。
    • 初期状態では呪文は使えず、また呪文を使ってくる敵も出てこない。最初にできることを少なくすることで、段階を踏んで敵との戦い方を理解できる。
      • ただし、「できることの少なさ」は単調な展開の繰り返しになってしまう。そのため、序盤はレベルが上がり易い調整になっており、ストレスを感じ難くなっている。
    • 覚える呪文も、効果がわかりやすい回復呪文「ホイミ*1」を最初に、攻撃呪文の「ギラ*2」をその次のレベルで覚える。
      • ホイミを最初に覚える事で宿屋に泊まる回数が減ってゴールドが貯まり易くなり、ギラの習得により、通常攻撃だけでは倒し難いモンスターにも勝てるようになる。
      • その後も、遠出するようになり攻撃が強力な敵が出現するころに「ラリホー*3」、敵も呪文を頻繁に使ってくるようになるころ「マホトーン*4」といった具合に、必要なタイミングで呪文を習得するよう調整されている。
    • ちなみに後のシリーズやリメイク版では必中である「会心の一撃」も、通常攻撃同様に外す事もある*5
      • 一方で、敵側に「痛恨の一撃」は無い。
    • また本作では原則シナリオ進行に関わるフラグは全てアイテムの所持/非所持のみで管理されている*6。そのため、竜王到達までの過程を分かり易く言えば「たいようのいしとあまぐものつえとロトのしるしを集めてにじのしずくを手に入れる」というだけだったりする。もちろんそれまでに必要なアイテム自体はそれなりに存在しており、全体のシナリオがものすごく短いというわけではない。
  • バッドステータスも、行動を封じるものや分かり易い物に限定している。
    • 戦闘中は、眠りの呪文「ラリホー」や魔法封じの「マホトーン」によるもののみ。どちらも行動の制限のために、効果が分かり易い、かつ使う敵の強さを引き立てている。
    • 移動中は、装備による呪いのみ。「のろいのベルト」などの呪われたアイテムを装備すると外せなくなり、更に復活してもHPが1しか回復せず、城にも入れてもらえなくなる。
      • ラダトームの町にいる老人に話しかける事で、呪いを解いてもらえる。このため、序盤からきちんと情報収集をしていれば、呪いに悩まされることはない。
  • 真っ暗なダンジョン。そのままでは地形がまったく見えない。
    • 「たいまつ」又は灯りの呪文「レミーラ」を使えば自分の周囲だけは明るくなるが、広々としたフィールドとは違い視界の利かない中を歩むのは不気味である。
      • なお、最初に訪れる事になる「ロトの洞窟」では敵が出現せず、洞窟内での移動方法を学習できるようになっている。
    • BGMも、1階層下に下りる毎にトーンやテンポが低く遅くなっていき、不気味さをみごとに演出している。
  • スタート地点のラダトーム城は、パスワード(復活の呪文)を聞くことができる唯一の場である。移動アイテム「キメラのつばさ」や移動呪文「ルーラ」も移動先はラダトームで固定されている。
    • また、自キャラが死んだときにもゲームオーバーにはならずゴールドが半分に減らされるだけで、レベルや経験値、所持アイテムやゲームの進行状況はすべて維持したまま城から再開される。
      • 当時のPCのRPGは「死んだらゲームオーバー」→「セーブ時の状況まで戻ってやり直し(セーブ後の行動はすべて「なかったこと」になる)」が主流だった。
      • これも子どもたちへの配慮であり、当時のPCのRPGにみられた理不尽さを極力排除し、途中で投げ出されないようにするための措置だった。
      • とはいえ、今作のゴールドはかなり稼ぎにくい*7ので、そのゴールドが半分に減らされるというペナルティーは厳しい。
        ただし、その時点の強敵と渡り合えるようにさせるための意図的なレベル上げの強要ともとれる。
    • 遠く離れた場所や洞窟の奥深くで、所持ゴールドが少ないときなどにわざと敵にやられて城に戻るというテクニックもあり、通称「デスルーラ」または「デスリレミト」とも呼ばれる。これはまた同時にダンジョン内で迷った場合のハマリ防止措置になっている。

評価点

  • やりごたえがあり、ボスはボスらしく強い。第一作目の基本システムはシンプルであるが、だからといって甘くはない。シンプルな分、要求される作業量は膨大でシビアな管理が求められる。『II』が調整不足から生まれた大ざっぱな難しさなら、『I』は計算され尽くしたシンプルな難しさである。
    • 武器、防具は「高嶺の花」で、その町周辺の敵とひたすら戦ってゴールドを稼がなければ購入できない。
      • また金額や販売店の位置関係もあり、序盤からいきなり不相応に強い武具を手に入れるのはほぼ不可能である。
      • 例えば王様から最初に貰える120ゴールドという初期資金も非常に絶妙で、最初の町で武器・防具を揃えようとすると一番強い装備は揃わないが、攻撃力と守備力どちらかだけを優先させようと思えばできる金額となっている。攻撃力優先で棍棒+布の服とするか?あるいは守備力優先で竹竿+皮の服で妥協するか?皮の盾は購入しなくていいか?装飾品の竜の鱗は…とこの時点でプレイヤーを悩ませる。
    • とにかく厳しいのは経験値の入手バランス。以後のシリーズ作品と異なり「低レベルで強くなる」という方法はほぼないので物語の進行を度々妨げ、終盤以外でもレベル上げを強要するバランスは、現代のRPGに見られない特徴。
  • HPの回復もまた楽ではない。呪文「ホイミ」で回復するHPは14前後で、HPを26前後回復する薬草は24ゴールドと序盤では高価。
    • 中盤以降になると、ホイミでは回復が追いつかないので、移動時にはHPを満タン近くまで回復しておく必要がある。
      • ベホイミを習得したり、歩いているとHPが回復する魔法の鎧またはロトの鎧を入手後は、この負担が緩和される。
    • 手間こそかかるものの、パスワードによる再開時は完全にHPが回復した状態となるので、これを利用する手段もある。
  • RPGの根底にある「敵と戦って勝利する面白さ」がうまく表現されている。
    • 前述のとおり、戦闘バランスはやや厳しめの方向で調整されていて、洞窟の1階層奥に進んだり、橋を渡って新しい大陸に進んだりすると強い敵が出てくる。手持ちのアイテムを使い切って辛勝したり、命からがら逃げ出したりといったケースはよく起こるが、きちんとレベルを上げて装備を整えればちゃんと勝てるようになる。
  • 分かりやすいシンプルなシステムと、こういった厳しさからくる達成感と面白さがRPG初心者に受け入れられた。
  • BGMは、数こそ少ないが非常に効果的に使用されている。
    • 地上フィールドで流れる孤独な一人旅の心情を表現した哀愁漂うBGMはファンの間でも人気が高い。
      また、ダンジョンのBGMを、メロディ自体は同一のままでテンポやトーンを階層毎に変えていく演出は、他作品やシリーズ後発作品でもそう多くは見られない巧みな表現である。
    • 他にも回復の曲、レベルアップの曲など耳に残る名曲ばかりであり、ゲームファンは元よりゲームに馴染みのない層ですら高い知名度を誇る。
  • アドベンチャーRPGなどとも言われたように、攻略のヒントやどうでもいい自分語りといった町人の会話なども丁寧に作られており、スタッフが隠しキャラのように各地の町に隠れている等、素朴な遊び心もある。
    • 本編に関連する台詞は現在のRPGと比べ台詞の数やセリフそのものの文量が少ないが、シリアスかつシビアな内容*8で印象に残りやすい。簡潔なセリフながら世界がどのような状況に置かれているかが端的に表され、打倒竜王へのモチベーションを高めてくれる。
    • また独特な台詞回しから多くのファンを獲得して、パロディを生み出した。
  • ある程度意図的にシーケンスブレイクできる箇所が複数用意されており、本来のルートから外れた攻略方法で強引に突破できることもある。当時のゲームとしては意外なほど自由度は高い。
    • 例えばロトの印入手には本来王女の愛入手=ローラ姫の救出が必須なのだが、実は詳細なマッピングさえできれば王女の愛自体は入手フラグに関わっていないためローラ姫を助けずクリアすることも可能。また、ゴーレム撃破のための妖精の笛入手も必須ではないし、なんならゴーレム撃破自体も必須イベントではない。伝説の武器であるロトの剣ですら入手は任意である(しかしロトの剣がないとラスボス戦が相当キツくなる)。
      • ただ、基本的には想定された攻略ルートに従うのが一番難易度は低くなるように設計されている。複雑なフラグ設計に頼らず、モンスターのレベルデザインだけで自然と想定された道のりを辿らせるゲームデザインは見事な職人芸である。
  • 鳥山明のモンスターデザインの人気はポップで親しみやすく、人気が高い。姿と名前を一致させやすい、系統ごとの特徴がよく出ている点も評価されている。
    • 魔物だというのにかわいい敵すらいる。その代表格である「スライム」は、今やDQのマスコットとなった。
  • アイテム名の分かりやすさ。
    • それまでは当時主流であった海外製RPGの固有名詞を日本語表記に置き換えたもの(ポーション等)がほとんどであったが、本作ではアイテムや装備の名称はすべて日本語(ひらがな)で名づけられており、見た目のイメージが膨らませやすい。
      • 回復アイテムは「やくそう」という分かりやすい名称で、武器は「たけざお」「こんぼう」「どうのつるぎ」「てつのおの」といった具合に、材質によって直感的に強さのランクをイメージしやすい。今持っている武器と、町で売っている武器のどちらが強いのか、名前を見比べれば大体分かるようになっている。
    • 気付きにくいが、本作では「〇〇のけん」という名前の武器は一切なく、全て「〇〇のつるぎ」で統一されている。アイテム名に7文字の制限がある中、武器の素材としては現実世界では一般的な青銅(ブロンズ)を用いた「せいどうのけん」ではなくあえて「どうのつるぎ」となっているのがわかりやすいだろう。
      • これは「〇〇のけん」だと同音異義語が多く誤解を招きやすいため、意図的に避けられているものである。もっとも、次回作である『DQ2』では早速「はやぶさのけん」が登場しているため、シリーズ通した絶対の法則ではない(同じく『DQ2』で「ふくびきけん」を武器と誤解したという笑い話もあるので、実際本作時点でのこの配慮は正解だったと言えるだろう)。
  • ビジネスソフトに使われていた、ウィンドウに別ウィンドウが重なるマルチウィンドウシステムを採用したゲームとして有名であり、後のゲームのインターフェースに多大な影響を与えた。

賛否両論点

  • 主人公の能力が名前依存となっており、名前によっては能力が偏ることがあるので、難易度も多少変化する。
    • ただし、全ての能力値が強い(弱い)成長タイプは存在しない。成長タイプによってそれぞれ個性があるものの、それが原因でヌルくなったり詰むといった極端な変化は起こらない。
      • 本作の仕様上、ステータスの価値はHPと力が最も高く、MPがそれに次ぎ、素早さが最低*9という順になるため、MPと素早さだけが高いタイプ(タイプCなどと呼称される)は、難易度が高くなりがち。
      • 素早さが高いと守備力も高めになるため他のタイプと比べて低レベルで強敵に対応できるようになるというメリットもある*10が、呪文を使う敵やラスボスに対してはあまり効果的ではないため結局は他のタイプよりもレベルを高めなければクリアは難しく、やや苦行になりうる。自分の名前でクリアしようとした子供にはやや厳しい仕様ではある。
    • 反対にタイプBと呼ばれるHPと力だけが高くなるタイプは相対的に強いのでクリア難易度も下がったものになる。
    • また初期値には後々レベルアップで強くなりにくいステータスに0~3のボーナスが付与される。これはシンプルに3のボーナスが得られる方が強い。序盤は小さなダメージレースになるため、この差はスタートダッシュで大きく影響する。

問題点

  • インターフェイスが未成熟。
    • 移動画面での人物のグラフィックは正面しか作られておらず、通行人に話しかける際にはその人のいる方角を選択しなければならない*11
      • ただし当時は容量が少なかったので(64KB)仕方の無い部分でもある。後発のNES版では前後左右のグラフィックが追加されている。
      • また、誰もいない場所でも方角選択ウィンドウは表示できるため、見下ろし型の探索ゲームに慣れていないプレイヤーにとっては画面上の東西南北をいつでも確認できて地味に便利。
    • 宝箱を開けたり、階段を昇り降りするには、それぞれの上に立って「とる」「かいだん」といった個別のコマンドを選ぶ必要がある。
      • ただなにか障害物があるときに「どうぐ」を使ったり「しらべる」というのは現在でこそ当たり前となっているが、初RPGの最初の段階ではコマンドを細分化して分かり易くし子供達に何をすればどうなるか覚えさせるための配慮が必要であったともいえる。
  • 間違って洞窟に入ってしまうと悲惨。
    • 前述の通りレミーラの呪文やたいまつの用意がなければ移動もままならず、用意もなしにうっかり入って動き回ると出るためにも必要な「かいだん」コマンドをどこで使えばいいかわからないまま暗闇の中をさまよう事になる。
      • 「ロトの洞窟」以外では死んでもゴールド半分になって蘇るのでハマりはないが、準備が整っていない状態で不用意に洞窟に入るべきではない。
      • 一応、入った直後に「かいだん」コマンドを使えば安全に脱出できる。しかし、いきなり迷い込んだついでに移動してしまっていたら当然元の位置は判らなくなってしまっているだろう。
  • 基本的にテンポは良いが、ゲーム進行のためにレベル上げが強制されるポイントがあり、人によっては中弛みしがち。
    • 特に、ガライの墓クリア後はドムドーラ〜メルキド方面への遠征のためにかなりしっかりレベルを上げないと攻略もままならない。当然新しい街に行けない=装備の更新もできないということであり、しかもちょうどレベルアップのペースが鈍化して新しい呪文も覚えられなくなる頃合いである。目新しさもなくなり、とにかく修行を積む単純作業になりがち。
      • ただ、この難所を乗り越えて「炎の剣」「ロトの鎧」「水鏡の盾」の準最強装備を揃えればもはや地上では向かうところ敵なしのカタルシスを味わえる。なかなか突破できない焦燥感からのかつての強敵をサクサク薙ぎ倒す爽快感まで含めての「計算された難所」なのだと思われる。
  • 敵のラリホーは100%成功してしまう。
    • そのため、一度眠らされたら攻撃を一方的に受け続けてそのまま永眠というケースもよく起きる。
      • 経験値が多いメタルスライムの出現場所にもラリホーを使うメイジキメラが出現するため、本作のメタル狩りは異様に危険なものとなってしまっている。
      • とはいえメイジキメラはマホトーンに無耐性で確実に効くので先手さえ取られなければそれで対処が容易。同じくラリホー使いの魔導士や悪魔の騎士も確実でこそないもののマホトーンが非常に効きやすいので、これで対処すれば問題ない。またメイジキメラと魔導士はこちらのラリホーもかなり効きやすい。
        ただし最強の雑魚敵ダースドラゴンは頼みの綱のマホトーンも50%程度でしか効かず、ほかの呪文はほぼ無効。敵のラリホーが先か、こちらのマホトーンが先に効くか、或いはラリホーが来る前に叩き斬るかという正に命懸けの戦いとなる。
  • 最強の攻撃魔法であるベギラマの使用機会が少ない。
    • ベギラマの威力自体は「防御無視で約60前後のダメージ」と大半の敵のHPが2桁*12の今作では強力なのだが、守備力が2桁しかないモンスターが大半(守備力が100以上のモンスターは呪文攻撃も最上位耐性ありなので、それらには役立たない)である。そのため、習得するレベルだと殴っていれば勝てる状況が大半であり、ベギラマを使いたいと思える程の相手がおらずMPを回復用に温存しがちである(本作は敵が一匹しか現れないことに留意していただきたい)。
      おまけに攻撃呪文の属性別(火の魔法は無効だが氷魔法は効くなど)などがない上、呪文の耐性が確率式*13なので、終盤の大半の敵は攻撃呪文全般(2つだけだが)耐性もちであることを考えると威力の期待値はぐっと下がる。
      • ただしHPが減るとベホイミを使う敵に対しては、1発殴ってからベギラマを唱えることで一気に倒せるため、マホトーンが効き難い死神の騎士が相手の場合下手にマホトーンを唱えるよりも確実に倒せるので、まったく使い所がないわけではない。
  • 演出面で不自然なところある。
    • 「現在進行形の魔物の脅威」を感じさせるものは、ラダトーム城の兵士から聞ける「姫が竜王にさらわれた」という情報くらいしかない。
      • 街の外に魔物が闊歩している一方、街の住民たちのセリフにはラダトームの町における「城の対岸に竜王の城があることを教えて怖がる住民」以外に不安を恐れを感じさせるものがほぼ皆無で、割とのんきな雰囲気が流れている。直接的な被害に会った場所は完全に滅ぼされたドムドーラの町が唯一であるが、逆にここだけ浮いてるように思えてしまう。
    • また、メルキドの街ではゴーレムを倒さないと入れないのだが、このゴーレムの正体についても作中で全く説明がない。
      • 普通に考えたら魔物の侵攻を防ぐための街の門番*14と考えるのが自然だろうが、ゴーレムを倒して街に入っても普通に歓迎の言葉を述べられるだけで、ゴーレムが倒されたことに対して咎められるようなこともない。
    • 不自然さが否めないが、この点はテキスト容量の都合によるものであろうことは確実なので仕方なくはある。
  • パスワード式のため、セーブに手間がかかる。
    • 文字数そのものは固定だが、モニターがブラウン管TVであり画面表示がRF接続なので滲み易いため字が読み辛く、何度も確認して間違いがないかチェックしたにもかかわらず「復活の呪文が違う」と言われることも度々。「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」などの同音異字もあるため、音読しながら書き留めると間違える可能性もある。
      • とはいえ、他社のRPGではパスワードでの復活の際軽微な情報は切り捨てられてしまうことも多いことを考えると、本作は20文字と比較的短い割にほとんど切り捨てられる情報がない。これは、レベルの現在値を記録せず経験値から逆算して算出する、ゲーム進行フラグを所持品で管理する、セーブ箇所と再開箇所を1箇所に固定するなどの工夫によるものである。

総評

ハードルの高かった「RPG」という遊びを子供でも気軽に遊べるよう熟考しながらシステムを整えていったことにより、当時より定番であった「剣と魔法のファンタジーRPG」を国内に浸透させる事に成功した。
徹底されたとっつき易さの中に含まれた適度な歯ごたえこそ本作の魅力であり、シナリオ自体がシンプルで本筋以外のやりこみ要素などもまだ存在していない分、『キャラクターを鍛えて強化し、旅の範囲を徐々に広げていく』という、シナリオそのものだけに依らないRPGの本質的なおもしろさの純度は非常に高い。
国民的RPGの初代作品として高い完成度を持つ名作である。


余談

  • それまでスライムといえば粘液質の不気味なデザインが主流だったが、本作でのその愛らしいデザインが後発の様々な分野の作品に多大な影響をもたらした。と同時に、本家のTRPGでは「剣でも切れない粘液質の強敵モンスター」と位置づけられているスライムのイメージを覆してしまった。このため、DQのスライムを嫌う者もいる。*15
    • だが、ドラクエが強く参考にした、当時の代表的なコンピュータRPGである『ウルティマ』や『ウィザードリィ』でもスライムは最弱クラスのモンスターとして登場しているため、DQのスライムの弱さはその影響が大きい。DQが責められるのはその知名度による所が大きいだろう。なお、この点はナムコのアーケードゲーム『ドルアーガの塔』におけるスライムも同様であり、製作者の遠藤氏は自身を指して「スライムA級戦犯」と自称している*16
  • 登場するモンスターのうち「かげのきし」は「がいこつ」を黒一色に染め上げたシンプルながらインパクト抜群の外見をしている。
    • まさに「影」そのものが襲いかかってくることを表現した、ファミコンゆえの描写力不足を逆手に取った秀逸なデザイン。しかし、背景に紛れてしまうためか後のシリーズではここまで黒いモンスターは登場しておらず、かげのきし自身もリメイク版で「薄暗い骸骨」という印象の薄い外見に変えられてしまった。
  • 本作の企画には「週刊少年ジャンプ」が大きく絡んでいる。(参考インタビュー
    • 元々ゲームソフトの卸に参入したばかりのエニックスが売るソフトを作ろうとクリエイターを発掘するため1982年にコンテストを開催し入賞したのが天才プログラマー中村光一である。中村は入賞後1984年にゲーム会社「チュンソフト」を設立した。
    • コンテストはジャンプの独占協賛の形で行われ、その後ジャンプとのタイアップの形で「ファミコン神拳」のライター堀井雄二、天才プログラマー中村光一、そしてジャンプの人気漫画家の鳥山明をキャラクターデザインに据えることで国産初のRPGを作ろうと企画したものである。
    • 説明書イラストは土居孝幸、タイトルロゴは榎本一夫が制作。またさくまあきらは編集者の鳥嶋和彦を堀井に紹介するなど、「ジャンプ放送局」との関わりも強い。
  • 発売当初の売上はパッとしなかったが、ジャンプの度重なる紹介記事などで徐々に知名度を伸ばしていった。
    • シリーズの知名度の拡大と人気振りを急激に促進したのは『ドラゴンクエストIII』の大成功によるところが大きいと言われているが、
      日本国内において「RPG」といえば「DQのようなコンピュータゲーム」とイメージさせてしまう程の強い影響力を有するにいたり、
      国産コンピュータRPGの進化方向を決定付けた名作シリーズとなりえたのは、作品の基礎を第1作目で既に確立していたからに他ならないだろう。
      • その後も本作のシステムに近いコマンド式国産RPGが次々と登場するようになり、本来の「role-playing game」とは一線を画す独自の方向へと進化していったことで、主に海外等でこのようなタイプのコンピュータRPGが「JRPG」という通称で呼ばれることもある。
  • 本作に対して「ファミコン初のRPGにしたい」という意気込みがあったことは概要の通りだが、コマンド選択型RPGに限らなければARPGの傑作『ハイドライド』を家庭用にアレンジ移植した『ハイドライド・スペシャル』が同年3月18日に発売済みであり「自称」RPGの『頭脳戦艦ガル』は前年の発売。更にアーケードのARPG『ドルアーガの塔』がその前に移植され既に発売していた。
  • 当時はRPGというジャンルが大人向けのマニアックな物だと認識されており、またファミコンでのRPGの開発は過去に前例が無かった事から、プロデューサーの千田氏が本作の企画を立ち上げた時は社内から猛反発があったのだという。
    • 本作の前に発売された『ポートピア連続殺人事件』が大ヒットを記録した事から、千田氏に対して「RPGなんてマニアックな物ではなく、『ポートピア』の第2弾を作るべきだ」という声もあったらしい。
    • 堀井雄二作の『ポートピア連続殺人事件』は本作の制作に先立ってチュンソフトの手によりファミコンに移植されていた。これは移植できるものを探していた中村にエニックスが提案したものである。そして本作に先立ち堀井と中村が組んだ最初の作品となった。
    • なお、本作の前年に、『ポートピア連続殺人事件』を第1弾とする一連のアドベンチャーゲームシリーズ、いわゆる「堀井ミステリー3部作」の最終作である「軽井沢誘拐案内」が発売されている。
      そちらでは本作に先駆けて「マップ上を移動して調査する」「RPG風の戦闘画面で敵と戦う」というRPG要素が導入されており、本作発売に先駆けた実験作という見方もされている。
  • 制作側には「各分野のプロフェッショナルを起用したい」という考えがあり、プロのライターである堀井氏を始め、プログラムのプロである中村氏、ビジュアル分野のプロである漫画家の鳥山明氏がスタッフとして集められたが、BGMは当初、社内のサウンドスタッフが手がけたものを採用する想定であった。
    しかしそれが今一つ納得できるクオリティではなかったことから、作曲のプロとして活躍中であったすぎやま氏が招かれたが、プロとは言え外部の人間がゲームの制作現場に入ってくることに対し、チームの視線はかなり冷たいものがあったらしい。
    • すぎやま氏曰く「当時のゲーム業界は、大学のサークル活動の延長線上のような感じでアマチュアの熱気でゲームが作られている環境にあり、プロがゲームの制作現場に入ることは批判的な目で見られやすい時代だった」という。
      ドラクエ制作現場においてもそんな風潮があり、最終的に現場に携わることになったすぎやまに対する視線も「しょせんプロの音楽家にゲームなんてわかるはずはない」という、冷たいものであった(中村氏ですら「本当にゲームに適した曲が作れるのか?」と懐疑的だったそうな)。
      • そこで場の雰囲気を和らげるべく自分もゲームが好きであることを伝え、ゲーマー気質の強いスタッフたちを囲んでゲームに関する話題で座談会を催した結果、すぎやまの方がはるかにゲームに詳しいことが発覚。軽蔑的な視線が次第に尊敬のまなざしに変わり、こうしてゲーマーとして受け入れてもらえるようになったということである*17
      • 音楽番組『題名の無い音楽会』の1990年8月5日の放送では、司会を務めていた作曲家の黛敏郎氏が童話御伽話という放送回の題材に関連して、現代の子供にとって童話の役割を持つとされる漫画やゲームを批判、『ドラゴンクエストIII』のBGMを「音楽が無機質で単調」と批判しており、逆説的に(クラシック)音楽関係者とゲーム音楽との隔絶を証明している(ただし、黛氏はポピュラー音楽にも批判的なことは多かった)。
      • なお時代の変化や番組関係者の何度かの代替わりもあり、2000年以降のプロデューサーである鬼久保氏が2009年にゲーム音楽のコンサートに行ったのをきっかけに2010年に同番組で初となるゲーム音楽の演奏が行われ、すぎやま氏本人も番組に招待されて自作曲の指揮をしている。参考
    • すぎやま氏が制作に参加した時はゲームはほぼ完成に近い状態であり、マスターアップ期日直前だったため「1週間で作ってくれ」と注文されたという。
      そのことに関し「CM音楽や映画の劇伴は制作期間が短いことが多く、夜10時に打合せして翌日の10時までに作ってとかしょっちゅうだった。そういう仕事を生業としてやってきたから1週間と言われてもビクともしなかったですね」と語った。さすが巨匠である。
    • なおエニックスがオファーした理由は、すぎやま氏がエニックスに1985年発売のPCゲーム『森田和郎の将棋』のアンケートハガキを送っていたため。その際、当時から名前の読み間違えを避けるために本名をひらがな表記にしていたため、ハガキを受け取ったスタッフに小学生と勘違いされたらしい。
  • 本作はシリーズで唯一のBADエンドが用意されている。
    + ネタバレ 「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを (プレイヤー名)に やろう。」
  • 今作のラスボスである竜王との会話シーンにおいて、上記の台詞の後「どうじゃ? わしの みかたに なるか?」という問いかけに2度「はい」と答えると、「闇の世界をやろう」と言われた直後、復活の呪文を教わった直後に画面が真っ赤に暗転した状態でフリーズしてしまい、リセットを押すしかなくなってしまう。
    • 教わった復活の呪文は 「全ての装備品・所持金・経験値を没収された上にレベルが初期値に戻された上でラダトームから再開する」 というとんでもないもの。つまり今までの進行状態がリセットされ最初からやり直しを余儀なくさせられるというペナルティである。所持金ゼロのため装備なしで敵と戦うしかなく、宿屋代すら稼げず死んでHPを回復させながらレベルを上げていくしかないという、普通にゲームを始めるよりも厳しい状態。
      ラストダンジョンに向う前のパスワードを正確に書き留めた上で捨てずに保存していれば通常通り再開できるが、書き間違えたり破棄してしまっていた場合はこれまでの苦労が文字通り水泡に帰す。
      • このイベントが起きるのは今作最長の竜王の城の最深部で発生し、たどり着くのも一苦労の場所で、しかも今作で倒すべきラスボス戦の直前で起こる。それだけに、このトラップに引っかかってしまった時のショックは計り知れないものがある。会話の内容や「プレイヤー=勇者」という図式上からも「いいえ」と答えるのが正解というか当然ではあるのだが、まさかこのような仕打ちが待ち受けているとは知らず、面白半分で話に乗ってしまったり、会話をAボタン連打で読み飛ばして「はい」と答えてしまって上記の憂き目にあった人もいたことだろう。
        ダンジョン最下層で流れる暗いBGMと赤と黒に染まった画面の不気味さ、そして上述のペナルティも相まってこのイベントを本作におけるトラウマに挙げる人も少なくない。
        ラスボスの勇者勧誘(罠)の代名詞として有名になっており、様々なRPGで似たような勧誘、バッドエンドが存在するようになった。
    • ちなみにすぎやま氏はこのイベントの内容について「分かりやすく言えば、あそこで「はい」と答えてしまうようなズルい政治家を生み出してはいけないんです」と雑誌のインタビューで述べ、「プレイヤーに対しイベントを通じて祖国愛を確かめさせるものだった」と捉えて再評価しているとか。
    • 『XI』の真エンディングでは過去の作品の名場面が流れるが、本作からはこのシーンが採用されている。ここで表示される竜王の復活の呪文を入力するとクリア特典としてPS4・3DS版を無料でダウンロードすることができた。当然所持金・装備品なしなどということはなく、通常の状態からのスタートとなる(オリジナル版からは初期装備にたけざおが追加されている)。
    • そして竜王は非常に強い。
      • 最初は貧弱そうな人間形態でベギラマとマホトーンしか使ってこないが、真の姿を現したときは凄まじい威力の打撃と炎を繰り出してくる。すべての呪文がほぼ効かないので*18、こちらも攻撃の合間にベホイミで回復と、戦闘パターンは単純ながら、その存在感は今のゲームではなかなかお目に掛かれない。到達レベルと思われる17前後ではまともにダメージを与えることすらできない。倒すには最低レベル18は必要で、それでも竜王までの道中は苦戦を強いられMPを満タン近くに温存しておくことが勝利の前提条件になる。しかもこの間のレベル上げは上記の通り大変そのもの。
      • 逆にレベルをしっかり上げて挑めば、よほどMPを浪費していない限りまず負けることはない。ラスボス戦における適正レベルや適正装備品といった概念を導入した点は後の日本のRPGに大きな影響を与えたと言えよう。
      • また「スタート地点の城の対岸に自らの拠点を構え、堂々と自身の存在を誇示」したり、上述のように「対面時に友好的に応対し仲間に引き込む振りをして罠を張る」など、シリーズでも類例のない大胆さと存在感を持っている。
      • また竜王はロトの剣でなければ倒せないとされている。実際には他の剣でも倒す事ができ、ロトの剣の次に強い炎の剣とのダメージの差は6ポイントしか無く一見炎の剣でも問題が無い様に見える。現に竜王以外の敵では炎の剣でも大差は無いが竜王は守備力が異常に高くレベル19でロトの剣を装備していてもダメージは僅か10ポイントであるため*19炎の剣ではダメージは半分以下になり、これでは絶対に倒す事はできない。炎の剣で同じダメージを与えるにはレベル23まで上げる必要があり、実にダースドラゴン160匹分の経験値が必要であるためロトの剣でしか倒せないというのは決して誇張した表現では無いと言える。*20「○○でしか倒せない」というのを数値の調整のみで表現した稀有な例と言える。
    • ロト伝説シリーズの時系列上『III』から『I』に至る間の物語として設定された外伝マンガ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』では、本作で登場した竜王の若かりし頃の姿が描かれている。
      • ラスボス異魔神によって洗脳された善なる竜の神と設定されており、最終回のエピローグではゲーム中に登場する姿と同じローブを身にまとった姿で、世界征服を目指さんとする様子が描写されている。
    • ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト(ソーシャルアプリゲーム・2015年)』のCMに竜王に扮した俳優の北大路欣也が演じている。おなじみの「世界の半分を~」というセリフも発しており竜王の貫禄・威厳をまざまざと見せつけている。
  • 「にげる」の仕様が以後の作品と違い「絶対に逃げられるor逃げられない」ができなかったらしく、レベルの高さにもよるがラスボスの竜王を含む全ボスからの逃亡が可能になっている。
    • ただし、逃亡時に1マス下がるため竜王以外は倒さずに目的地に行くことはできず、竜王も戦闘前からやり直しになるなどほとんど逃げるメリットはない。強いて言えば力を見誤って戦い、勝てないとゴールドを惜しむ場合位か。
    • この「ボスでも逃亡できる」は次の『II』まで仕様として残っていた。
  • 本作のテキスト表示にはひらがなとカタカナが使われているが、カタカナ文字は全ては収録されていない。少ない容量にデータを収める工夫として使用頻度の高いカタカナ20文字のみ収録された。
    • このため、実はゲーム中では「アレフガルド」という名前は一切登場していない。
    • 主人公の名前でもカタカナは使用できない。また「へ」や「り」など、ひらがなとカタカナで字体が似ている文字はひらがなが使われている。これらはFC最終作である『IV』まで続く。
    • 本作最強の雑魚敵「ダースドラゴン」は、本来「ダークドラゴン」としたものをクの文字を使えなかったために変えられた名前。
      • おかげで(?)以降のシリーズにおいて「ダースリカント」「ダースウルフェン」等、『ダース=上位・強い』というイメージが定着したともいえる*21
    • 「カタカナ20文字」のアイディアは堀井がとある推理小説の短編から着想を受けたもので、ファミコン版『ポートピア連続殺人事件』から使われている。
    • ちなみに、これもデータ量との兼ね合いか、アイテム名は最大七文字までとなっている。
  • 実はローラ姫を救出しなくても竜王さえ倒せばエンディングを迎えられる*22。さらにローラ姫を抱きかかえた状態で竜王と戦うことさえ可能。ある意味でマルチエンディングのルーツとも言えるかも知れない。
    • さらにローラ姫を抱えた状態で宿屋に泊まると「ゆうべはおたのしみでしたね」と宿の主人に言われる、という小ネタもある。
  • プレイヤーに復活の呪文(パスワード)の法則性を解析される事を防ぐために、全く同じデータでも複数の違う復活の呪文を用意しているのも本作独自のポイント。
    • ただし現在では続編『II』共々、復活の呪文の法則が完全解析されて様々なお遊び文が作られている。
      • しばしば「予言」と称して意味ありげな文章の復活の呪文がネット上で挙げられることもあるが、これらのほとんどは解析によりわざと作られた文章である。
      • 動画サイトではこの復活の呪文生成により意図的な文章を作った面白復活の呪文の未来予言版や綺麗版といったものが投稿されている。
        + 面白復活の呪文・未来予言版
        + 面白復活の呪文・綺麗版
    • ファイナルファンタジーXII』では隠し武器に本作で使える復活の呪文が記載されており、入力するとちょっとしたサプライズがある。
  • 2010年8月~9月に行なわれた「お気に入りの大魔王は?」のアンケートでは全9作品中、Iのラスボスが第2位にランクインしたが、同日行なわれた「一番思い入れのある主人公は?」では、全9作品中、Iの主人公は第5位だった。
  • DQシリーズは夢幻の心臓のパクリ」という指摘も存在した。実際、ドラクエの一部ギミックはクリスタルソフトの『夢幻の心臓』(特に『夢幻の心臓II』)から影響を受けていると思われる面も多い*23。ただ、元を辿れば両作品は『ウィザードリィ』と『ウルティマ』の影響下にあると考えられ、この洋ゲー2作品→『夢幻の心臓』シリーズ→『ドラゴンクエスト』シリーズ、という系譜と捉えることができる。
    • 雑誌『マイコンBASICマガジン』の堀井氏へのインタビュー記事で、実際に参考したゲームとして『D&D』や『夢幻の心臓II』の名前を挙げると共に強い衝撃を受けたことを語っている。
  • CSで放送されているゲーム番組「ゲームセンターCX」においては長いこと挑戦が行われなかったが、106回にて堀井氏との対談が行われた後、記念すべき250回の放送にてついに挑戦が行われた。
    • 後者は後に地上波で一度放送されたきりでDVD等への収録は行われていないものの、前者はDVDーBOXに収録されているので視聴は比較的容易となっている。
  • 鳥山明氏が『ドラゴンボール』で用いていた造語「ぱふぱふ」は、DQシリーズにも採用された。
    • 本作ではリムルダールにいる女性から「おいで ぼうや。ぱふぱふしてほしいなら 50ゴールドよ。」と言われるのみで特にイベントは起きない。
  • 王様がケチ
    • 仮にも一国の国王であるのに勇者に対して資金や支援が非常に貧相である。
    • とはいえ最初から強い武器をあげる訳にもいかないのでゲームとして仕方ないのだが
    • 余談だが堀井氏もドラゴンクエストマスターズクラブにてこの質問に答えており「あんまりいいモノを、いきなりあげちゃうとさ、つまんなくなっちゃうでしょ。」「いきなりお金持ってると、怪物を倒すのがつまらなくなるような気がしたのね」と答えている。

移植・リメイク・派生

  • ドラゴンクエスト』(1986年/MSX,MSX2)
    • ドラクエIIまではファミコンとMSXのマルチプラットフォームで展開していた。
  • ドラゴンクエスト』(2004年/携帯アプリ)
  • ドラゴンクエスト』(2013年/スマホアプリ)
    • ガラケー版をベースとした移植。
  • ドラゴンクエスト』(2017年/プレイステーション4・ニンテンドー3DS)
    • ダウンロード専用、スマホ版をベースとした移植。『XI』のクリア特典として2018年1月28日まで無料ダウンロードが可能となっていた。
    • 遅れて2019年、Nintendo Switchにも移植されている。
  • 『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』(2003年/テレビ玩具)
    • 剣の形状をしたソフト内蔵の本体をTVに直接繋いで遊ぶ、いわゆるテレビ玩具型の特殊な作品。
      テレビの前で剣を振る事により、直接モンスターに攻撃している感覚を味わえる体感型のRPGとなっている。
    • キャラクターやひらがな主体のメッセージなど低年齢層を意識したデザインとは裏腹に、大きなお友達ものめり込める“隠れた名作”となっている。
    • ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ』では、『I』の主人公と『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』の主人公は同一人物という設定になっている。
  • ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』(2011年9月15日 / Wii)
    • FC版『I』『II』『III』、SFC版『I・II』『III』の5本を収録した豪華太っ腹のアニバーサリー仕様ソフト。
    • SFCソフトのバーチャルコンソールの仕様では、クラシックコントローラおよびGCコントローラを必須としているが、こちらはWiiリモコン単体でも遊べる。
    • 単に当時のゲームがそのまま収録されている(バグまで忠実に移植されている)だけではなく、中断セーブの付加や当時の手書きの設定資料集も収録されており、付加価値は高い。
    • 但し中断セーブにはソフトの状態をまるごと保存してしまうので、中断した部分より先に進んでいる状態で記録している冒険の書を中断から再開したその瞬間に巻き戻ってしまうといった問題点有り。
      • ただし、これを逆手に取ってセーブデータに悪影響を与えるが手順の途中でセーブ必須なバグ技を安全に試すこともできる。(中断セーブ→バグ技実行して冒険の書に記録→危ないと思ったら中断からやり直す)
    • 復活の呪文は昔のものがそのまま使用可能。
    • 付属の『ファミコン神拳奥義大全書 復刻の巻』のスタッフインタビューや、設定資料集を読めば、本作が初心者にRPGの楽しさを伝えるために如何に様々な工夫を凝らしたかが分かるはず。ドラクエの原点を知りたいのであれば、ぜひ目を通しておくのもいいだろう。

NES版『Dragon Warrior』について

  • 1989年5月に北米で発売された。発売元はNintendo of America。
    • 当時HAL研究所に所属していた岩田聡氏がローカライズを担当した。*24
  • タイトルが異なる理由は、北米では『ドラゴンクエスト(DragonQuest)』と言う名のTRPG*25が1980年に発売されており、当然商標も登録されていたためである。
    • 一方、このTRPG『DragonQuest』はホビージャパン社から日本語版が発売される予定になっていたのだが、日本国内では『Dragon Quest』の商標はこちらのファミコン版で登録されたため、TRPG『DragonQuest』の日本語版の発売が中止に追い込まれている。
    • なお、2003年にスクウェア・エニックスが北米での商標を取得した事により、『VIII』以降は北米でも『Dragon Quest』のタイトルで発売されるようになった。

日本版からの変更点

  • 主人公の名前はアルファベット8文字まで。大文字小文字の併用は可能。
  • グラフィックの強化
    • キャラクターの向きに横向きと後ろ向きが追加された(『II』以降と同様)
    • ドットデザイン自体も刷新されている。
    • フィールドに海岸線の描写が追加された。
  • バッテリーバックアップ機能の実装

ゲーム機以外の展開

  • 双葉社からゲームブックが発売された。小説版やモンスター物語などに先んじて発売された、「ドラクエシリーズ初の公式二次書籍」である。
    • 後にエニックスからも別のゲームブックが発売されたが、そちらは『III』・『II』に続けて3番目の発売となった。
  • 『III』発売後、本作のノベライズ『小説ドラゴンクエスト』が刊行され、以後『VII』まで刊行され続けた。『I』~『III』の著者は、脚本家の高屋敷英夫氏。
    • 『モンスター物語』『アイテム物語』といった関連書籍と設定を共用しており、これらと同様「竜王六魔将」という敵幹部が設定されている。
    • 本作の小説版では、オリジナルキャラクターとして主人公の相棒「ガルチラ」が登場する。小説版『III』のあとがきにある通り、ゲーム同様の1人旅では話が膨らまないため考案された存在である。
      • …問題はその相棒が無口かつ無愛想な性格で、主人公と特にかけ合いをしてくれるわけでもなく、それほど話が膨らんでいないという事だが。
      • しかも、主人公より旅の経験豊富な兄貴分でイケメン、一部強敵へのトドメをかっさらう等、メアリー・スー的な要素も見せている。本作を含め氏が手掛けたロト編三部作のノベライズはいずれもオリキャラが目立つ内容となっているが、ガルチラは主人公との共闘に徹しているだけまだマシな方ではある。

+ タグ編集
  • タグ:
  • ドラゴンクエストシリーズ
  • FC
  • ファミコン
  • ファミリーコンピュータ
  • Wii
  • スクウェア・エニックス
  • RPG
  • 1986年
  • 週刊少年ジャンプ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:1970年01月01日 09:00