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ゾイド 中央大陸の戦い

【ぞいど ちゅうおうたいりくのたたかい】

公称ジャンル スーパーマルチゲーム
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ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ、MSX2
メディア 【FC】1Mbit+64kRAMROMカートリッジ
【MSX2】ROMカートリッジ
発売元 東芝EMI
開発元 マイクロニクス
発売日 【FC】1987年9月5日
価格 【FC/MSX2】5,300円/5,800円(各税抜)
判定 なし
ポイント 日本初ゾイドゲー
久石譲・初のゲーム作曲担当作品
ゾイド少年・ファミコン少年達の夢見たゲーム
ごじゅらす かくごしろ
デフォルメゾイド大集合の異端作品
ゾイドシリーズリンク


導入~「ゾイド」とは~

当時、トミーより販売されていたゼンマイ・小型モーターで駆動する様々な動物型をした駆動プラモデル…メカ生体ゾイド
恐竜型、草食動物型、鳥型…。武器連動など単に歩くだけでない様々なギミック、実機を使用したストップモーションアニメのような斬新な宣伝。コロコロコミック、小学館学習雑誌上での大胆な改造例と物語の発表。
発想の奇抜さとモデルそのものの出来の良さ、さらにコンピューター上でシミュレーションまでして再現した動作など、ブームを起こすべくして起こした。

子供向けでありながら、イラストに戦記物のイラストやモデルデザインで活躍していた横山宏氏を起用、『機動戦士ガンダム』の連邦とジオン軍の関係のような、単純にどちらが悪とも善とも言えない重厚な設定を取り入れ、子供だけでなく大人にも大人気となっていた。

本作発売前

海外では本作より先にPCにてゾイドのゲーム『Zoids: The Battle Begins』が発売されており、初のゾイドゲーという立場はそちらに譲っている。
これは日本で失敗した「メカボニカ」を海外で「ZOIDS(zoic androids)」名義で売り出したら成功したという歴史から、ゾイド人気は海外が先行していたため。

1987年当時はバブルもファミコンブームも、ゾイドの人気も真っ盛り。
ファミコンでゾイドのゲームが登場するのは必然だったのかもしれない。

コロコロコミックなどの広告は、RPGブームの最中で上から見下ろしたドラクエタイプのマップ写真や、FPSを思わせる斬新な戦闘画面などいやが上にも期待が高まる。
そして作曲はゾイド星人『ジョー久石』こと久石譲氏が担当*1し、もの悲しくも物語を感じさせる音楽がテレビCMで流された。
タイアップとして新人アイドル『チカ』の歌をアレンジした音楽など、とにかく大プッシュされていた。

だが、本作の公称ジャンルである 『スーパーマルチゲーム』 という文言の醸し出す 『アレ』 『それ』 な空気に反応するには、当時のファミコン少年達は些かピュアすぎた。


取扱説明書に掲載されているストーリーの要点

へリック共和国にて超ビ級ゾイド*2「ウルトラザウルス」が完成したが、ゼネバス帝国に奪われてバラバラにされてしまった。
あげく…首都と、首都付近の砦ひとつを除いて大陸全土をゼネバス帝国に制圧されてしまう。そんな絶望的な状況の中、帝国がさらなる巨大ゾイドを建造中という情報がヘリック大統領の下に伝えられる。
ゼネバス帝国の新型ゾイドが完成したら、今度こそ本当に共和国は終わりだ。
絶望的な状況の中、事態を打破するために、あるゴジュラスに共和国の未来は託される…!

……つんでね? *3

ストーリーの補足

本作は、後に有名になり事実上のオフィシャル設定となった『ゾイドバトルストーリー』ではなく、ゾイドのキット本体についていた小冊子『ゾイドグラフィックス』*4一応ベースにした物語となっている。
ゾイドグラフィックスも初期と後期でだいぶ設定が変化するのだが、本ゲームは初期のゼネバス皇帝がファンタジーの大魔王のような格好をし、貴族/奴隷制による恐怖政治をしているという悪役然とした設定をベースとしているため、コロコロコミック等に掲載されていたバトルストーリーを知っている人間からしたら違和感が強いだろう。
もっとも、本作はイベントがあまり無い簡素な展開のストーリーなので、前述の説明は不要かもしれないのだが…。


システム

  • 基本はRPG。
    • トップビューの2Dのマップを歩き回り、怪しい場所を調べたり街にいる人と会話して情報を集め、時に重要アイテムをもらって…というウルティマタイプのシステムとなっている。
    • それだけならドラクエのコピーと言われてそこで終わりだが、本作が特徴的なのは敵に遭遇すると突然画面が切り替わり、FPSを思わせるリアルタイムな戦闘に移行することにある。残念ながら近接格闘攻撃は出来ないが、左右に画面を動かし、発砲しながらちょこまか走り回る帝国ゾイドを打ち倒していき、全滅させれば(マスクデータの)経験値が入手できる。
  • 戦闘を回避する手段として、飛行ゾイド「サラマンダー」を仲間にしているときか、アイテムとして小型飛行ゾイド「プテラス」を仲間に加えているときに限り実行可能な、偵察飛行をすることで敵をおびき寄せることが出来た。
    • 補足すると、本作は厳密にはランダムエンカウントではない。可視・不可視両方入り混じっているが、純粋なシンボルエンカウント方式(不可視の敵に遭遇し、その敵から逃亡した場合は可視状態に切り替わる)。
    • サラマンダーで敵をあぶり出すと、それはもうもの凄い数の敵ゾイドがぞろぞろと後をついてくるという場合も。
  • また、ミリタリーな世界観故に、体力回復や攻撃のための魔法の類は無い。回復するには、全て街や敵城砦内の協力者と会話することでのエネルギー補給かアイテム使用によるもののみとなっている。
    • そのため、普通のファンタジーRPGと同じような進め方をすれば、敵要塞に着いた時点でエネルギーがなくて撤退しないと非常に危険ということもあり得る。
    • そして、「ルーラ」等に相当する、街へ即座に移動するアイテムやコマンドは残念ながら本作には存在しない。
      • これについては、続編でサラマンダー搭乗時のみ無制限で使用可能な「大型カーゴ」や、『リレミト』に相当する無制限使用可能ダンジョン脱出アイテム「スモークスクリーン」という世界観を崩さないアイテムが追加された。

裏技

  • ゲームスタート時、名前入力で「たーなー」*5とつけると、最初から全てのアイテムを持ち、Mk2状態のゴジュラスで開始できる。
  • ゲームスタート時、名前を付けないと名前が「ごんべえ」に。名無しの…。

エンディング分岐の存在

+ ネタバレ注意
  • 当初の目的どおりゼネバス皇帝との戦闘に勝利後、アイテム「つうしんき」を所持していればコントローラーをしばらく放置することで真の最終イベントが発生する。
    • しかし、この分岐はゲーム中まったくのノーヒント。この真の最終イベントを完了させることで初めてエンディングを迎えることができる*6
      • エンディングの内容はやや簡素だが、「喋るゾイド達が暮らす世界」で「主人公もヒロインもゴジュラス」という、ゾイドとしては異端である世界観を異端なままに終わらせない、本作ならではの「主人公とヒロインのふたりのゴジュラスに華を持たせる」ような構成の愛らしいエンディングは必見。

評価点

  • 戦闘システムの発想
    • RPGの戦闘シーンが擬似的とはいえFPSであるという非常に珍しい物。
      • そのシステム上どうしても戦闘に時間がかかってしまう難点があるが、当時の家庭用RPGの水準では非常に斬新なアイディアであった。
  • ゾイドのグラフィックや登場数は初期のファミコンゲームにしてはかなり頑張っている。
    • 共和国、帝国双方合わせて21種類のゾイドが登場する。
      • それぞれちゃんと特徴が捉えてあり、シールドライガーは旋回速度が速く攻撃力も高い、ウオディックは海にしか登場しない、巨体のマンモスはゴジュラス以上の攻撃力と防御力を誇る…。え?*7
      • 敵キャラである帝国ゾイドは本来のゾイドを縮めたような姿をしているが、主人公であるゴジュラスや味方である共和国ゾイドは善良な目つきをした愛嬌ある姿にデフォルメされている。
    • ゾイドは戦闘中の迫力ある姿はもちろんのことシンボルの姿もきちんと描写されており、一目見ただけでこれはモルガ、これはイグアンとわかるようになっている。
    • また、本作のMSX2版は共和国側ゾイドの顔ぶれが一部変更されている。スネークスはアロザウラーに、ゴルドスはディバイソンに変更。
  • 久石譲氏のBGMも良好
    • 一般的なゲームサウンドとは一線を隔す完成度を誇っている。特に砦(町)のBGMにそれが現れており、味方の砦では安らぎのような曲調、敵の砦*8はその物哀しく暗い曲調と、メカによるSF世界ながらドラマ風に盛り上げている。

問題点

戦闘バランスの悪さ

  • 本作ではレベルアップとして主人公ゴジュラスの階級の概念(二等兵から始まり、最高位は元帥)があり、ゴジュラスの昇進によりパーティの全ゾイドの最大体力・攻撃力・防御力・旋回速度が強化されるのだが…。
    • 初期は弱い敵であるはずのモルガ・イグアン・シンカーの攻撃が3回程度当たったら味方キャラが倒されてしまう厳しい難度。基本的に敵の攻撃力は非常に高く、常に緊張感がつきまとう。
    • 階級が上がれば楽になってくるとはいえ、後半に出てくる敵の攻撃力は尋常ではない。高階級高防御力の大型ゾイドでも3・4発程度しか耐えられないのでゴリ押しは一切通用しない。
  • ゼネバス帝国のゾイドたちは、敵の見えないところ、背後からは決して攻撃しないという無駄に騎士道精神溢れた連中のため、慣れてしまえば強敵相手でもノーダメージで勝てるようになる。
    • それはそれで単調で、難度や操作感のバランスとしては問題がある。
  • 戦闘には運の要素がかなり絡む。ダメージのランダム性とかではなく、敵は右あるいは左のどちらか一方に向かって弾を放つ。もし左に向かって弾を放つ敵の場合、確実にノーダメージで倒せる。この場合の敵のアルゴリズムは大まかに説明すると、右に移動→左に弾を放つ→左に移動→右に移動・・・という動作を繰り返す。つまり相手の右側にいる限りはかなり安全である。逆に右に撃つ敵の場合は、右に移動→右に弾を放つ→左に移動→右に移動・・・であり、かなり厳しい戦いを強いられる。
  • 主人公であるゴジュラスは実のところかなり弱く、パラメーター的にはゴジュラスは全共和国ゾイドで下から数えた方が早いという、「共和国の名物大型ゾイド」というイメージからの大幅な乖離が見られる。
    • 途中、イベントアイテムを集めることで最終的にゴジュラスMk2になって強化されるが、それでやっと中くらいの性能に。それまでは仲間にしたマンモスやゴルドス、シールドライガー達に戦ってもらうことが多いだろう。
    • バランス調整が大変とはいえ、主人公が全然活躍しないというのも、それはそれで問題である。
    • おまけにゴジュラスはパーティから外せない上、戦闘不能になった時点で他に生き残りがいてもゲームオーバーという厄介な仕様もある。
  • 敵の帝国ゾイドの強さがランク分けのみ。
    • 出現域によって戦闘力の違いがあるが、ゾイド別では「デスザウラー>アイアンコング・レッドホーン・サーベルタイガー>ディメトロドン・ブラックライモス>ウオディック>シーパンツァー・シンカー>イグアン・モルガ」と強さが計6段階に分けられているのみ。
    • このためゾイドそのものの個性があまり出せていない。せいぜい「サーベルタイガーの動きが素早い」という程度*9

世界観

ゲーム開始時、プレイヤー諸氏は見るだろう。緑の大地、黄色い道に並木、建物、そして建物のカウンターの向こうにいるゾイドを。
出来が悪い訳ではないものの、この童話的ともいえる清々しいまでの原作無視っぷりは非常に稀有であり、「歴代ゾイド関連作の中でもトップクラスの異端作品」という地位を不動のものとしてしまっている。
この点については、正統派のゾイドゲーを求めているユーザーからしたら最大の問題点であると言わざるを得ない。

  • 本作ではフィールド上のゾイドのみならず、街中にいて生活している住民達も基本的には全てゾイドなのである。
    • 当然本来ゾイドの世界にそのような描写や設定があるはずもなく、本作の世界観を知って絶句したゾイドファンも多い。
    • 「パイロット込み」というわけでもなく、彼ら・彼女らは実際のゾイドである。*10
    • エネルギーを補給してくれるマンモス、後述の通り意味不明なギャグを披露するグスタフ、 本当は主人公ゴジュラスを戦いに送り出したくないがグッとこらえて無事を祈り共和国首都で健気に帰りを待つ赤いゴジュラスの娘 など、『ゾイド』として真面目に考える事を最初から諦めるべきである。
    • 特に「主人公ゴジュラスの恋人か妻と思われる赤いゴジュラスの娘」は本作の代名詞とも言える存在。正式名称不明のキャラではあるものの、開幕直後でも真のエンディングでも主人公とのカップリングが強調されるなど非常に優遇されており、存在感抜群。本作独自の世界観には、これ以上ないほど合っている名物キャラである。
      • なお、彼女の言う「たたかいにいくのをやめて」に「はい」と答えると即座にタイトル画面に戻される。
    • また、メモリの都合か本作にカタカナフォントが存在せずほぼ全てのテキストが平仮名ということも、これらの独特さに拍車をかけている。
  • 時に情報やアイテムをくれる輸送用ゾイド「グスタフ」だが、彼らはグスタフという名前の宝箱だ。
    • ゆるしてください、なにももっていません。
    • ゆるしてください、これをさしあげますから。
  • 街中全部ゾイドというのは、実のところかなりわかりづらい。
    • 道具屋とか宿屋がないとはいえ、誰が情報を持っているのか、誰が仲間になるゾイドなのかを外見から判断が出来ないケースが大半。
      • 白い共和国ゾイドがエネルギー補給係など特別な役割を持っている場合が多い、というだけ。ほとんどの共和国ゾイドは青なので役割ごとに細かく色が分けられたりはしていない。
  • 一方、強敵にあたるゾイドは皆「ごじゅらす かくごしろ」と言いながら襲い掛かってくる。あくまで主人公はゴジュラスなのである。
    • これはボス等が定められているわけではなく、あくまでもそのゾイドの戦闘力が一定の水準以上が基準。アイアンコングやレッドホーンといった最上級のゾイドは無条件(最下位の色でも一定基準を満たすため)で、ブラックライモスやディメトロドンのような次点級は白色レベル以上。また最上級ゾイドでもグスタフを連れている場合は、この台詞は言わない。
  • ここまで徹底してゾイド達が暮らす独特な雰囲気の世界が広がっている割に、重要人物の「ヘリック大統領(+側近)」と「チェスター教授*11」、ラスボスの「ゼネバス皇帝」だけは普通に人間として登場している。
    • 当然、彼らは原典でも人間なのだが、デフォルメされたゾイド自身が喋っている本作に限って言えば不自然な絵面である。パッと見だけで超重要人物と分かるという点では親切ではあるのだが。
      • なお、ゲーム開始時に目の前にいる大統領は教授と同じだがエンディングではゼネバス皇帝の色違いになっている。アバターを間違えたのか?
    • 本作とタイアップしていた女性アイドルがおり、会話するとその街中にいるときだけに限り、タイアップ曲のアレンジバージョンBGMになるという正直ゾイドファンにとってどうでもいい隠し要素も。どっかで聞いたことあるような…。

少なすぎるヒント

  • ドラクエのように街中で人(ゾイド)と会話し、情報を集めていくのだが、このヒントが極めて少ない。
  • 実は最初の要塞には隠し階段があり、階段を通った先には重要なアイテムがあるのだが、これもノーヒントである。
    • 一応、階段のある場所は「普通の通路なのになぜか通れない」という特徴がある。
      • なお、下層から帰るための階段も隠されていることもある。
      • 本作発売当時は隠しフィーチャーにこうした手掛かりすらないゲームも少なからずあったため、それに比べればまだ親切ではある。が、そもそも本作は殆ど隠し階段であり、そこまで隠す必要があったかどうかは疑問が残る。
    • ゲームにやり慣れたファミコン少年なら苦もなく『しらべる』コマンドを実行したかもしれないが、普通はわからないだろう。
    • なお、本作のMSX2移植版では隠し階段についてコメントするゾイドが追加されている。また、続編でも様々なヒントが出るようにはなっている。

少なすぎるイベント

  • このゲームでやることは、中央大陸中を虱潰しに練り歩き、帝国に占領された都市を解放し、他の都市への道を開く。基本的にそれだけである。
    • 中ボス、「帝国軍による共和国領占領」以外の問題が起こって困っている都市やゾイドといったものは存在しない。
  • その過程で各種アイテムや、ウルトラザウルスのパーツ、主人公であるゴジュラスが「Mk2」になるためのアイテム、重要人物「チェスター教授」などを見つけていくことになるのだが、じつはそれらは必須ですらない。
    • ゲームクリアに必須なのは「つうしんき」「かぎ」「ふろーと」「グスタフ」などごく一部のアイテムのみ。上述の「たーなー」の裏技を使えば、ゼネバス帝国首都に一直線に向かうだけで良かったりする。

無駄に広いマップ

  • 本当に広い。そして一面荒野のゾイド星はほとんどが砂漠の黄色か海の青のため、結構目に痛い。
  • 移動手段が徒歩しかないこのゲームは、ただそこに行くだけでもかなり面倒。
    • にもかかわらず、スタート直前の「最後の砦」や中盤の「湖の砦」に一瞬で戻される階段がいくつもある。ちなみに一方通行。
      • 大抵は「かぎ」を使うと出現する階段なのだが、苦労して先に進んだ先の砦でみつけた階段に入ったら有無を言わさず戻される、という罠なのはどうかと。しかも外見はまったく同じなので下へ降りる階段なのか戻されるのかはやってみなければわからない。
      • 「バレシアの城」から地下道を通って山の中にある敵の要塞へ侵入するが、そこにも「湖の砦」への一方通行がある。ここには補給をしてくれる味方はいないので、長く苦しい戦いの後に見つけた階段で戻されるショックは強い。
    • 本作最強ゾイドであるウルトラザウルスのパーティ加入条件の一つが「全ての共和国領の都市の解放」なのだが、イベントもアイテムも何もない北の果ての都市もその条件に含まれる。
  • 海を移動できるようになるとこれに拍車がかかり、要塞を制圧後に、だいぶ経ってからその要塞の制圧を依頼するゾイドと出会うなど、ちぐはぐなところが多い。

変な要素

街中のゾイドと会話していると、時々意味不明のことを言い出す。勿論、遠回しのヒントなどではない。意味がないだけならまだしも、メタ発言やおかしなことを話すゾイドがだいたいの街や要塞に一人はいる。 ゾイドが原作でなければ納得しようもあったが、当時のゾイド大好き少年にはファミコン版キテレツ大百科の巨大ミヨちゃんの顔に匹敵する衝撃だった。

  • 「ぱおー わたしは ぞうではありません」と、何の脈絡も無く語るダンゴムシ型ゾイド「グスタフ」。
    • しかも、違う街ではワニ型ゾイド「バリゲーター」が「ぱおー まんもすのまねだよ」と時間差で天丼をかましてくる。
  • 謎のアイテム「とらのぱんつ」をくれるスネークス。
    • アイテム欄に実際に表示されるが、効果は一切不明。無くても問題なく進行可能。
  • 「なに わしは しーるどらいがーだぞ しかも ちゅういだ。 たいいにもならぬ おまえなどに ついてゆけるか。」と言ってゴジュラスを追い返すシールドライガー。共和国のピンチを把握していないのだろうか。
    • しかし、大尉以上になって話しかけると素直に仲間になってくれる。
  • 挙句の果てには、謎の存在とまで会話しだす。町中で、誰も居ないところで「はなす」を3回選択したときの結果は以下のとおり。
    • 「はなす」→「そこには だれもいない。」
      「はなす」→「そこには だれもいない。」
      「はなす」→「そこには だれもいないって いってるだろうが。わかってんの。」
      要は「天の声」に対するメタネタである。

総評

記念すべき国内初のゾイドゲーであるが、前述の通り世界観に原作との激しい乖離が見られ「ブームだからとりあえず作った」的な内容であることは否めない。
歪んだ設定や世界観、各所にちりばめられたギャグなど、一見バカゲーのように見える部分も散見されるが、それらは『ゾイド』への無理解とゲーム製作技術の未熟さから生じたものであり、実際にプレイしてみるとあまり楽しいものではない。
ゲームバランスも悪く、移動の不便さもあって色々とストレスが溜まる。とにかく作り込み(特にヒントの質と量)に難があり、正直テストプレイをしたのか疑わしいところ。
しかしながら超絶難易度というわけでもなく、一応完全なノーヒントではないため、クリア不可能なゲームにはなっていない。


余談

  • 本作の世界観を象徴するキャラともいえる「赤いゴジュラスの娘」だが、ファミコン版とMSX2版ではなぜか色が異なる。
    • ファミコン版では赤だが、MSX2版では体がピンク・目やヒレが赤というカラーリングに。
  • 本作ではデスザウラーの重量が「21.0t」となっている(戦闘の準備画面で確認できる)が、本来の設定重量は「400t」である。これは小型ゾイドのイグアン「23.6t」よりも軽い。おそらく全高の「21.0m」のデータを誤入力したものと思われる。
  • 徳間書店の「大技林」や「ビデオゲームパーフェクトカタログ」など「ファミリーコンピュータMagazine」関連の書籍では続編の方はRPGに分類されているが、本作は何故かシューテング扱いになっている。
  • 摩訶摩訶』のキャラクターデザインや『イデアの日』のプロデュースなどを手掛けた漫画家の相原コージ氏が、本作のことを「初めてハマったゲーム」として取り上げている。
    (『イデアの日』の攻略本『相原コージのゲームデザイナーへの道』より)
    • 相原氏曰く、
      ドラクエもあったけどあえて買わなかった。だってあれだけ評判になってんのに、今頃になってハマるのは格好悪いじゃない。シャクだから、誰も評判にしていなかった『ゾイド』を買ったんです」
      「その後『FF』や『ドラクエ』をやって、『ゾイド』もまあ普通クラスのゲームだってわかりましたが、なにしろ『シロクマ*12』に比べれば、はるかに本格的なRPGでしたからね。それだけでもう、のめり込むには充分過ぎるくらいでした」
      と、なかなか好意的な評価を下している。また相原氏は『ゾイド2』にも同様にハマったと述べている。
    • 上記攻略本は、相原氏が『サルでも描けるまんが教室』でコンビを組んだ竹熊健太郎氏と共同で執筆したものだが、竹熊氏も本作について「このゲームが話題にならなかったのは当時がドラクエ全盛期だったからであって、決してこのゲームの出来が悪いわけではなかった。今(引用者註:1994年)でもそれなりに遊べるだろう。」と評価している。

続編

  • 続編として『ゾイド2 ゼネバスの逆襲』が発売されている。
    • こちらも主にゲーム的都合から一部突っ込み所が生じてはいるものの、ストーリー的には非常にまともな正統派の作品へとゾイドファン垂涎の内容に飛躍的な進歩を遂げている。
    • ファミコンとしては大迫力の敵味方ゾイドのグラフィックや熱い戦闘BGM、そして何よりゾイドバトルストーリーらしさを保ちつつも二転三転する深いストーリーに対するゾイドファンの評価は今なお高い。ちゃんとしたゾイドの旧大戦の時代で冒険を繰り広げるRPGなどゾイド2くらいしか存在しないため、ファンはぜひともプレイしてほしい。
      • 少なくとも、クソゲーメーカーとして揶揄されがちな開発会社・マイクロニクスの作品の水準を遥かに上回っている完成度を誇る。
      • ただし戦闘に関しては少々劣化気味なのが残念な点。

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最終更新:1970年01月01日 09:00