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SORCERIAN

【そーさりあん】

ジャンル アクションRPG
写真はWindowsリメイク版
対応機種 PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UV以降,
X1turbo、PC-88VA、MSX2、IBM-PC(海外版・英語のみ)
発売・開発元 日本ファルコム/ティールハイト(MSX2)
/シエラ・オンライン(IBM-PC)
発売日 1987年12月20日
1990年4月1日(IBM-PC)
1991年8月10日(MSX2)
定価 9,800円
MSX:8,800円/4800円(TAKERU版)
IBM-PC:$59.95/11,000円(国内価格)
判定 良作
ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ


概要

大ヒットパソコンゲーム『ザナドゥ』の生みの親としても知られる鬼才・木屋善夫がお届けする『ドラゴンスレイヤー』シリーズ第五弾。多岐に渡るシナリオのクリアや、アイテムの収集、魔法の作成を通し、自分の作ったキャラクターの成長と活躍を楽しむ自由度の高いアクションRPGである。
この年(87年)の日本ファルコムは6月に発売された『イース』が大ヒットを記録し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。そんな中パソコンゲーム史上かつてないほど高い前評判を受けながら発売され、その前評判に違わぬ高い評価を得た。

特徴

  • キャラクターメイキング、アクションRPGとしての各シナリオの攻略、その他魔法の製造などからなっている。
    だが最大の特徴は、「ソーサリアンシステム」とも言うべき拡張性の高いプログラミングにある。
    ソーサリアンシステムに関しては後述する。
  • キャラクターメイキング
    • 一つのユーザーディスクにつき最大10人まで作れる。名前、種族、年齢、性別、職業を決める。
    • 種族はFIGHTER、WIZARD、DWARF、ELFの四種類。種族と性別によって初期パラメーターや装備できる武具、寿命やレベルアップに必要な経験値も異なる。製作後ボーナスポイントをパラメーターに振り分けるのだが、このボーナスポイントはキャラクターの設定年齢を高くすることで増やすことができる。
    • 職業の種類は60種類。種族、性別、パラメーターによって選べないものもあるが、転職は随時可能。
      • ただし本作の職業は、職業制を採用してる他のRPGとは意味合いが異なり、戦闘能力に影響を与えるものではない。「日常生活における職業」となっているため、冒険に出ていない期間の収入や成長度が変化する。
      • この収入と能力の成長の上下が(特定の技を使わなければ)非常に味を出している。例えば「泥棒」は他の職業と比べると金を稼げるが、善悪のパラメータであるカルマが減ってしまい、街で買い物をするとき高額になってしまう…という具合である。
      • なお、シナリオによっては特定の職業のメンバーがいないとストーリーが進行しないものもある。
    • キャラクター達はペンタウァの城を拠点としており、そこでパーティの編成や転職などをする。また城下町には店があり、買い物等はそこでで行う事になる。
      • 町には武器と防具屋、魔法使いの家(魔法の作成)、薬屋(薬の調合)、教会(死者蘇生)、長老の家(道具の鑑定)、城の謁見室(レベルアップ)、道場(能力上昇、特技の習得)などがある。
  • 独自性の高い魔法システム
    • 魔法は100種類以上存在し、攻撃、回復、支援系と一通り揃っている。ただし支援系の魔法は少ない。また攻撃魔法には属性があり、モンスターによって効果が異なる。
    • 一般的なRPGと大きく違うのがその入手法。本作の魔法は「武器やアイテムの付属機能」となっており、入手方法も「魔法が使える装備品を手に入れる」か、「魔法使いの家で手持ちの装備品を預けて星(後述)の付与を依頼する」かになる。そして同じ魔法の道具なら、誰が用いても効果は同じ(攻撃魔法はINTによって攻撃力が上昇、回復・支援魔法はINTに関わらず効果は一定)。
    • 魔法は、火水木金土月太の7つの星の組み合わせからなり、それぞれの魔法で星の数は決まっている。例えば回復魔法であるHEALは木星と太陽の星を持つ装備品に宿る。
      • そしてこの七つの星は、そのまま装備品の特性にもなり、装備したキャラクターのパラメーターに直接影響する。例えば火星の星を2つ持っているものは、装備するとSTRが2つ増す。
    • 魔法の作成には、先述の通り星の付与を依頼することになるが、これが少々やっかい。
      • まず時間がかかる。一つの星を装備品にかけるのに一年かかり*1、しかも1キャラにつき一つまでしか受け付けてくれない。
      • 更に既存の星がある場合、後からかけた星との法則性により、全く別の星に変わる場合もある。例えば水星がかかっている装備品に火星をかけると、出来上がるものは火星でも水星でもなく、土星が2つかかったものになる。
      • 各魔法によって星の組み合わせは決まっているので、希望の星を残すのはちょっとしたパズル。逆に組み合わせの変化により意外な魔法が手に入る場合もある。この点を見極めて星をかけないといけない。
    • 魔法によっては2倍掛け3倍掛けすることで効果が強化される。
  • 多彩な冒険を可能とした「ソーサリアンシステム」
    • ソーサリアンは一般的なゲームと違い、本体プログラムと追加ディスクの二本柱で構成されたプログラムを持つ。本編をクリアしても追加ディスクを入れ替える事で、それまで使っていたキャラクターで新しいシナリオが楽しめるのだ。今でいう「MMORPGの拡張ディスク」や「アペンド版ディスク」の先駆けとも言える優れたアイデアである。
    • 基本システムであるソーサリアン本編では、3枚のディスクで5段階の難易度に分類された15本のシナリオが用意されている。更に後発のシナリオ集が何本か発売された。
    • 当初の広告を含め、シナリオエディタも検討されたが、実際にはプログラミングを必要とする部分があり実現していない。
      • ちなみに本作のエンディングは、5段階全ての難易度のシナリオをクリアすると(同じシナリオディスクである必要はなく、またシナリオディスクの種類は問わない。)、「ドラゴンとたたかう」メニューが選択可能になる。そのメニューを選ぶことで本作登場のドラゴン全てと最後に控えるキングドラゴンを倒すことでエンディングとなる。
      • PC版における最終的なシナリオの本数はファルコム製のシナリオが総計30本、他社シナリオが19本+ショップシナリオ1本の総計50本にのぼる。
      • 一方、移植作では長い間シナリオはほぼ本編限定で、追加シナリオは殆ど収録されなかった。収録されるようになったのはつい最近である。
  • いざ冒険へ
    • 冒険に出るためにはパーティを編成しないといけない。基本的に定員は四人までだが、シナリオによっては上限三人の場合もある*2。また、キャラクターは縦一列に並んで行動し、隊列は冒険中に変更する事ができる。
    • 冒険そのものはサイドビューのARPG。操作は移動とジャンプ、打撃と魔法。打撃と魔法の使用は全キャラ同時で、魔法を使いたくないキャラは、「魔法を使わない」設定にしておく。
    • MPは時間経過で、HPはしばらく立ち止まっていれば自動的に回復する。
    • 敵キャラは様々なものがおり、その中には大型キャラもいる。この大型キャラとの戦いも冒険の楽しみの一つ。弱いうちはあえて戦わずにやり過ごすこともできるシナリオも存在する。
    • シナリオの目的を果たし、無事帰還すると経験値がもらえる。冒険中に得たお金をパーティメンバーに均等に配分したのち、拠点である城に戻る。
      • シナリオによっては強力な装備品が隠されており、回収した場合はパーティの誰に渡すかを選ぶ。キャラクター間での装備品の交換は基本的にできない(別売のユーティリティディスクに収録されているアイテムショップに売って買い戻した場合を除く)。
  • 時間の経過
    • 冒険に行くか「時間を進める」を選択すると、1年が過ぎる。冒険に行かなかった場合は、職業に応じた収入と成長が得られる。そして当然キャラクター達も歳を取り、グラフィックも年齢に応じたものに変わっていく。
      • ただ厄介なのが老化である。老齢になるにつれ今度はパラメーターが落ちていき、最後には死亡してしまう。
      • なお老衰で死亡した場合は、所持品を引き継いだキャラクターに世代交代することになる。レベルは初期値に戻るが、能力値は初期レベルの範囲内に収まる形となる。

評価点

  • 最初から15本ものシナリオが収録されている上に、追加シナリオを購入することが出来るプレイバリューの高さ。
    • 定価は9,800円と少々お高いが、シナリオひとつが市販ソフト一本並と讃えられたほどであり(実際はそれなりに薄いが)、むしろ安いというのが当時の評価だった。
    • PC-88VA版は唯一『呪われたクィーンマリー号』のシナリオが完全収録されたものとなっている。*3
    • 追加シナリオ集は5話収録で3,800円と非常に安価であり、ユーザーに喜ばれた。
      • 『イース』発売後にRPGの高難易度という風潮は終わりをみせた。しかし、その頃のRPGの高難易度はボリュームをカバーするための苦肉の策という側面があり、イース発売後はそれがRPGというジャンルの大きな課題となった。ソーサリアンは先述の『ソーサリアンシステム』を以てしてその課題を見事クリアした。当時の一般的なRPGボリュームはソーサリアンのシナリオ5本分程度。追加シナリオを合わせた総数を合わせるとソーサリアンのボリュームは、同時期の一般的RPGの約10倍という常識はずれの超ハイボリュームになった。
    • 「アモルファス」「クエイザーソフト」による他社製の追加シナリオが自動ソフト販売機TAKERUで販売され、PC誌で企画されたシナリオコンテストを元に『セレクテッドソーサリアン』の名で製品化もされた。ゲーム史を見ても数少ない貴重な例である。
      • 勧善懲悪のシナリオから推理小説風、過去作『ロマンシア』を再現したシナリオなど、基本シナリオだけで実に多様。更に追加シナリオでは日本が舞台になったり、前述の『セレクテッド』が出るなどしたため、更に多様化が進んだ。
      • 追加シナリオ集の一つ、「宇宙からの訪問者」には致命的バグが見つかった(発見時には時期的な問題からデバッグが出来なかった)ために幻に終わってしまったシナリオ*4が存在しており、それの穴埋めとして新たに用意された「魔法を買える買い物用シナリオ」が急遽組み込まれた。
    • また、「ユーティリティ」と呼ばれる機能拡張ディスクも発売された。本作で不足していた機能の他に、特殊な道具を売っている武器&防具屋、武具に直に魔法そのものをかける魔法使いの家、そしてクイズや双六といったミニゲームなどが入っている。
      • 結果的にVol.2以降の発売は無かったが、メニューの「ユーティリティー」はシステムに依存しないソフトウェアの起動が可能になっており、音源ドライバの拡張を伴うピラミッド・ソーサリアンはこのメニューから起動するシナリオとなっている。
  • 今なお語り継がれるBGMのクオリティの高さ。シナリオの多さもあり基本シナリオだけで60曲以上が用意されている。
    • YM2203によるFM音源3音+SSG3音とはとても思えないほどの豊かな情感のあるBGMは当時のパソコンゲーマーを虜にした。
      • X1turbo版は標準のPSGのみのデータに加え拡張音源ボードのYM2151の出力に対応。PC-88VA版もYM2203だけでは無く、拡張音源ボードである「サウンドボードII」搭載のYM2608*5に対応している。双方共ステレオ6音+SSGの出力に対応しているが、一部の音色やパート割が異なる*6。また、YM2151の最大同時発音数は8だが、ドライバのFM音源部のトラック数は6音である。
      • 要は安心のファルコム印、ということである*7
      • 最初に出たサントラはYM2203版で一部の曲が完全収録されてなかったが、最近発売されたサントラではステレオFM6音バージョンが収録された。ただし権利の問題で「ロマンシア」の楽曲がごっそり抜けている。
  • 育成は比較的楽
    • 他のRPGのようにレベル上げのために敵と延々戦う必要はなく、時間を進めると経験値とゴールドを獲得出来る。あとは町で道具に星をかけてもらったり修行を行ったりすれば良い。シナリオを進めるのは準備が整ってからで良い。
    • 自由度が高いため最初こそ戸惑うが、システムを理解すればサクサクとプレイ出来る。

賛否両論点

  • シナリオが短い。
    • 基本的に同じシナリオを何度もプレーするタイプのゲームであるため、むしろ長すぎても困る。
    • 中身の薄いシナリオもあるが、短いながらじっくり腰を据えてプレーしなければクリア出来ないシナリオもあり、バリエーションは豊かである。
      • 前述の通り、むしろ当時のPC用RPGとしては破格過ぎる大プレイバリューを誇ったため、それほど気にならないかもしれない。
  • 「お使いゲーム」の印象が強い。
  • 各シナリオ内ではストーリー進行の自由度はほとんどなく、フラグを一つ見落とすだけで話が先へ進まない。

問題点

  • 本作は高い自由度や拡張性を持っているが、個々の構成要素はそれほどゲーム性の高いものではない。基本的にはあっちでフラグを立ててこっちでそれを回収して…を繰り返すお使いゲームである。
  • 他のRPGのようなキャラ特性の差を感じにくい。
    • 魔法は装備品の付属機能でありキャラクターとは関係ない。職業も冒険とは関係ない。更に個別のパラメーターを直に向上させる方法が存在するなどの仕様によって、キャラクターメイキングによる差は実質的に寿命の長短とレベルアップに必要な経験値の差しかない。
  • アクション部分が大味。
    • 打撃はリーチが短いため乱戦になりやすく、魔法も撃ちっぱなしになり易い。そしてテクニックらしいテクニックをあまり必要としない。
    • 敵を倒しても得られる経験値や資金は高が知れており、逃げるのも簡単なので戦闘自体を回避しがち。ザコモンスターと戦う必要はあまりなく、シナリオクリアのための障害とならない。
  • 魔法システム、特に星の変化が複雑すぎる。相当なやりこみか、攻略サイトの参照などが必要。
    • また、通常は装備品の名前を変更できない(ユーティリティディスクが必要)ため、時間をかけてどんな強力な魔法を込めても「つえ」のままである。
  • アイテムの所持数が少ない。
    • 装備品として武器(剣・斧・杖)・体防具(鎧・衣)・腕防具(盾・指輪)・薬の4個と予備アイテム2個しか持てない上に、メンバー間での受け渡しも不可。そのため予備アイテムがいっぱいの状態で更に優秀なアイテムを得た場合、分配時に売却しなければならないこともしばしば。
    • ユーティリティだと武器・防具屋にプレイヤーが売却したアイテムも並ぶため、所持品なら売って別キャラで買い戻すことで移動は出来るものの、商店を通すためにお金がかかってしまう。
  • せっかくの魔法やアイテムも活躍する場があまりないため、高性能なものを手にしても強くなった実感が沸かない。収集の達成感もイマイチ。
    • また、前述の通りシナリオクリアが優先されて戦闘は回避しがち。唯一戦闘らしい戦闘であるボス戦では魔法が通じないことが多く、攻撃魔法の出番が少ない。
    • 魔法は種類こそ多いものの、同種の魔法のバリエーションなどが多く、明確に違う特性を持つ魔法は限られる。
      • 攻撃魔法は属性の相性で敵に効かないこともあり、全属性に有効な最強魔法を取れば他の攻撃魔法はまず使わなくなる。
  • FLYの魔法(薬)が大変なバランスブレイカーであったため、後の数度のリメイクでは存在が抹消された。
  • シナリオ途中でセーブができないため、一部の長編シナリオではゲーム中の中断ができずかなり苦しい。
    • なお、PC-9801版ではシナリオ途中のセーブも可能となっている。
    • そもそも98版は移動速度面においてスペック的に非常に優遇されているが、他機種の8ビット機では前述のフラグ探しにおいてハマってしまうと移動や探索に相当な手間がかかってしまう。
  • キャラクターの成長の楽しさを阻害する老衰システム。
    • 時間経過の単位が一年とかなり早い。1シナリオに一年かかるのはまだしも、修行1回も一年、星を道具にかけるのも一年単位。そのため、一世代では育成を楽しんでいる余裕があまりない。
      • FIGHTERやWIZARDは職業でのパラメータ上昇では追い付かず修行が必須となる。それ以外にも即死罠を外すための修行などもしなければならない。やっとパラメーターが上がって強くなった、と思った時にはすでにひげを生やした中年で、老人まであとわずかなんて状態。
      • 星を道具にかけるのも同様。希望の道具ができた頃には、やはりいい歳になってしまっている。
    • ただし、普通にプレイしても最も寿命が短いFIGHTERやWIZARDで世代交代無しでも基本シナリオ全クリア&ドラゴンモードクリアできるほどのゲームバランスになっている点は非常に評価できる。
    • 「ファルコム・バイブル」(1988年、JICC出版局(現:宝島社))内の開発者座談会では「2世、3世の方が得であるので、少なくとも1回は世代交代を行った方が良い」とされている。また、別のページでは、各キャラクターの生活を描く事が重視されたとしつつ「世代交代抜きにしては語れない」「最初の世代で15シナリオの制覇は困難」「ソーサリアンの特徴は世代交代」などとされており、開発者側にとっては本作の寿命による死および世代交代はかなり重要なゲーム構成要素と見なされていたのが見て取れる。
      しかし既存のRPGプレイヤーは固定観念に囚われすぎ、無意識の内に最初の世代でゲームを終了させようとするため、非効率的なプレイを行おうとも…。
+ しかし救済手段がないわけではない。
  • REJUVENATE(若返り)という魔法がある。使うたびにペナルティとして種族ごとに決められた三種の能力が減少するが、最低になると下がらない。とりあえず若返りを連発し、他の上がる能力を上限まで上げてから下がりきった能力を鍛えていくという方法でかなりパラメータを高くできる。
  • そして「ソーサリアン」には不老不死の裏技がある。べらぼうな年月がかかりキャラもOLDになるが、不老不死を保ったまま若返らせることも可能。
    • ただ、不老不死にしてからプレイするユーザーがあまりにも多かったためか、メーカー側は後に「不老不死キャラだと特定の隠しアイテムを手に入れることができないシナリオを入れる」という予想の斜め上な対策に出た。

総評

「ごった煮RPG」とでも言うべきだろうか。高い拡張性と様々な複合要素を兼ね備えたゲーム。
多岐に渡るシナリオは、拡張性の高さがあってこそ。発想の勝利と言えるだろう。
広がり続ける世界において、自分で作ったキャラクター達が様々な活躍をする。そしてプレイヤーは彼らの武勇伝を自ら作り、それに感じ入る。そんなARPGだ。
だが、一方で個々の仕様はまだまだ練りこみ不足で、自由度の高さが逆にゲーム性を削いでしまったり、戦闘部分が大味で成長が実感しにくい、キャラクターに感情移入する事が主体の割にはすぐに寿命が尽きてしまうなどチグハグな面も見られるゲームでもある。
…と様々な問題点はあるものの、それでも自ら作ったキャラクター達への愛着を損なうものではなかった。次々と追加シナリオが出るほどの人気を獲得したのが、なによりの証である。


移植版

本作は様々な移植がされており、新規シナリオが用意されているものもある。

  • メガドライブ版(1990年2月24日発売、セガ・エンタープライゼス)
    • 初のコンシューマ移植版ソーサリアン。収録シナリオ10本は全て本作オリジナルのシナリオ。
      • PC版の「ドラゴンとたたかう」メニューは存在せず、最終シナリオがその役割を果たしている。
    • 職業体系や魔法体系が変更されており、特に魔法はMDの性能を生かしてビジュアル面が大幅に強化されている。
    • シナリオも完成度の高いものが多く、またそれを彩るBGMもMD屈指の名曲ぞろい。
      • しかしながら音感が要求されるシナリオ「ツイン・アイランズ」では多くのプレイヤーが涙をのんだ、という逸話も。実はこのサンゴを調べて音を鳴らしていくギミックは、順番を間違えると失敗のメッセージが出るため、それを頼りに総当たりすることによって音感が無くともクリアは可能であった。
      • MDに移植にするにあたり、セガはファルコムから直接FM音源の音色データ提供を受けており、それを研究する事によってFM音源の使い方について多くの物を得た事がサントラのブックレットにて語られている。
      • BGM面でのファルコムの協力もあり、PCユーザーから見ても、流石にPC版には劣るもののBGMの違和感は殆ど無いとの評価が多い。
    • なお当初の構想ではMDで発売予定だったFDDユニットを用いて追加シナリオ・ユーティリティを供給する構想もあったが、FDDユニットが発売中止になったためその構想は頓挫してしまっている。
    • ゲーム仕様と見せかけたバグ。
      • マニュアルによれば「薬屋のおばあさんはとても欲張りで、所持品を五つ持った状態で買い物に行くと装備していない武器・防具を奪ってしまう」とあるが、あきらかにPC版や他の移植版にはないバグである。ROMを生産後に発覚し、急遽マニュアルで「これは仕様です!」と言い訳をした欺瞞と思われる。回避手段は所持品が5未満の状態で先に欲しい薬を入手しておくしかない(やくそうの知識を持っていれば冒険中に採取したハーブで薬が自動補給される為)。
    • コンシューマ向けソーサリアンの中では現時点で複数の媒体にて配信等が行われている唯一の作品であり、2008年9月16日にWiiバーチャルコンソールでの配信、後述の『ソーサリアンコンプリート』(2010年・2019年発売分)に収録されたほか、2022年10月27日発売のメガドライブミニ2に収録された。
      • 余談だが、配信版以降では一部の職業名が変更されている。
  • PCエンジン版(1992年7月17日発売、ビクター音楽産業)
    • パソコン版から選抜された7本のシナリオと3本の新作からなる、全10シナリオが楽しめる。
      • ドラゴンモードはあるものの、エンディングは最終シナリオのクリア後に流れる。
    • 独自のオープニングデモが追加されているが、正直いって本編とはかけ離れた内容。
      • 「元デザインを無視した当時の洋ゲー風なキャラデザ」「ペンタウァの世界にソーサリアンの商品ロゴが出てくるメタネタ」「必殺仕事人やGメン75といった往年の国内ドラマのオマージュ」など、独特過ぎる世界観で展開される。
    • BGMは一部内蔵音源だが、約50曲(約50分)もCD-DAで収録されている。
      • ちなみに音楽担当(アレンジ)は川井憲次氏である。
    • キャラクターボイスは、ペンタウァ王役の阪脩氏*8をはじめとする、おじさんキャラのみ。
      • オープニング、エンディング、CDの警告メッセージまで網羅した。謎のペンタウァ王推し仕様。
    • 残念なことにバグが多い模様。セーブデータとバッティングしてゲームが起動しないことすらある。
    • 発売前のインタビューでは追加シナリオの構想があり、PC版やメガドライブ版など、他社製シナリオや自社製オリジナルシナリオを追加したいとの意向だったが、いずれも実現しなかった。
  • ドリームキャスト版『ソーサリアン ~七星魔法の使徒~』(2000年4月27日発売、ビクターインタラクティブソフトウェア)
    • PC版から選抜された10本のシナリオと5本の新作からなる、全15シナリオが楽しめる。
      • なお、新規追加の5本のシナリオについては、あるPC版シナリオの後日談となるシナリオも存在している。
      • PC版の「ドラゴンとたたかう」メニューも存在するが、PC版の条件に加え、シナリオ中に出てくるドラゴンをすべて倒すという条件が追加されている。
    • 本作ではゲーム画面が全て3Dで表示されており、一部シナリオではトップビューでの進行もある。
      • しかしながら3D化については不評の意見が多い。
      • 3D表示に合わせてか、ジャンプが上方向からボタン式に変わったために操作性もあまりよろしくない。
      • ペンタウァの街の移動も3Dキャラクター操作によるUIに変更されており、加えて装備品に魔法をかける場合も一度に星を一つずつというPC88版Ver1.0を継承しているため、作業のテンポは劣悪と言わざるをえない。
    • オープニング、ゲーム中のメッセージ、イベントムービー等にボイスが収録。
      • 高山みなみ、青野武、曽我部和恭、塩沢兼人、古谷徹、龍田直樹、川浪葉子、江森浩子、掛川裕彦、住友優子、等々。PCエンジン版とは打って変わって多数の声優陣を配しているが。本作のマイナーさ故かあまり知られていない。
    • 上記の点から本作の評価はいま一つだが、トップビューで進行する過去作『太陽の神殿』を再現したシナリオは評価が高い。
  • Windows版『ソーサリアンフォーエバー』(1997年6月発売)
    • プラットホームをWindowsに移しての初のソーサリアン。シナリオはオリジナルの5本のみ。
    • グラフィック・サウンドの向上が図られ、更に魔法関係でいくつかシステムの見直しが入った。
    • その挙動と名前に相関関係にあったシステム最強とされる魔法「NOILA-TEM」の挙動が大きく変更され、名前と関連の無い動きをする魔法となったのは本作以降である。
    • しかしながらシナリオ数が5本のみのため主にボリューム面で批判が多く、後述のソーサリアンオリジナルの発売で本作の存在意義が消滅している。
    • 本作特有の機能としてゲームスピードの変更があり、なかなか便利。なぜ次回作以降に搭載しなかったのだろうか…。
  • Windows版『ソーサリアンオリジナル』(2000年11月9日発売)
    • システムは前述の『フォーエバー』がベース。加えてPC-9801版ベースの原作シナリオ15本+フォーエバーのシナリオ5本にて構成された作品。
    • 更に種族ごとに、年齢がADULT層とOLD層の最初のレベルアップの際に固有のスキルを身につけられるようになっている。世代交代しても引き継がれるのでとりあえず四種族を経由しながら世代交代させてスキルを全て揃えるというプレイも有効。
    • なお『フォーエバー』のユーザーデータとは互換性があり、『フォーエバー』で育てたキャラクターをそのまま本作にて使うことも可能。
    • 音源はYM2151版をベースにYM2608のリズム音源を加えたようなイメージのアレンジとなっている。
    • あと音楽フォルダのファイルを少しいじることにより紅玉の謎のボス「モスジャイアント」のBGMを変更できる。私はX1版が聞きたい!という方は是非お試しあれ。
  • 携帯アプリ(G-MODE)版『アドバンスドソーサリアン(2007年3月12日配信開始、G-MODE)
    • まさかの携帯アプリ化。移植に当たりシステムの大幅な簡略化やUIの変更など、リメイク移植となっている。
      • 年齢、性別選択、職業、七星魔法システム、多くの魔法、ハーブ、ステータス操作、特技、トラップなどがカット。
      • 死者蘇生、レベルアップ、道具の鑑定はトラベラーズイン代わりな「王との謁見」で一括処理される為、ペンタウァの街では該当施設に向かうコマンドが無い。
    • 魔法は、特定の魔法を直接武器や道具にかけてもらうか、最初から魔法をかけられた武器や道具を購入または冒険中に入手して使用する。
    • ソーサリアン達の性別は、ファイターとドワーフは男性、ウィザードとエルフは女性で固定。
      • ドワーフは最高レベルでもMPゼロで魔法が使えない、攻撃特化キャラとなっている(従って、使い勝手が非常に悪い)。
      • 敵の攻撃による状態異常は最高レベルでも食らう為、中盤以降のシナリオでは治癒魔法による対策が必須。
    • 敵が一定範囲に近づくと自動で剣(杖)攻撃が行われ、頭上や足元の敵にもヒットするほど当たり判定が大きい。
      • Exp獲得表示は、ボス撃破時とシナリオクリア時だけだが、ザコ戦でも非表示なだけで加算されている。
      • この仕様のお陰で、一部の場所で放置プレイによる自動で経験値&お金稼ぎが可能となっている。
    • BGMはオリジナル版を元にしたアレンジで、収録シナリオ分はほぼ網羅されカットも特に無いが、CD-ROMの様に一巡すると一旦途切れる仕様。
    • 『ロマンシア』を削った代わりに新作2本を追加した基本シナリオに加え、『戦国ソーサリアン』と『ピラミッドソーサリアン』も移植されている(PC以外のハードでの追加シナリオの移植は、今作が初)。
  • Windows版『ソーサリアンコンプリート』(2010年9月30日発売、D4エンタープライズ)
    • 各種資料詰め合わせに加え、PC98版全シナリオにメガドライブ版シナリオまで盛り込んだ集大成。
      • 同社が展開するプロジェクトEGGのエミュレーターを使用した、復刻版。
    • 2019年2月22日にWindows10対応版として再販された。
    • 2024年春にWindows11対応版の『ソーサリアンコンプリートプラス』として再販予定。既存のPC98版とメガドラ版に加えてPC88版の全シナリオが収録される一方、サントラCDは未収録となる点に注意が必要。
  • iOS版「ソーサリアン for iOS」(2012年2月23日配信開始(※現在は終了)アエリア)
    • ソーサリアンオリジナル』の移植作。価格は2,500円。
      • 配信当初はシナリオ数が5本で、残りは有料DLCとして配信が予定された。アイテムやゴールド、蘇生の100%成功などを有料DLCとして用意したりと、露骨な拝金主義仕様だった。
      • 後のアップデートでシナリオは無料で追加、サウンドモードの追加やクリアランキングの開催、無料配信キャンペーンなど、拝金要素も大幅に緩和したものの持ち直す事は出来ず、2016年8月5日に配信終了となった。
    • オートセーブ方式で、魔法や調合のやり直しがきかず、蘇生に失敗するとキャラクターが消えてしまう極悪仕様。
      • 「蘇生の100%成功」がDLCとして用意され、価格は1,500円と非常に高額だった。
      • ただセーブされる前にタスクを切る事でやり直し可能で、一時的に不具合として修正されたものの、後に当初の仕様に戻している。
    • ユーザーからオリジナルシナリオを募集するコンテストが開催され、グランプリ作も決まっていたが、実装はされなかった。
  • Nintendo Switch版『ソーサリアン(2021年2月18日配信開始、G-MODE)
    • 上記G-MODE版『アドバンスドソーサリアン』の移植(なぜかタイトルは変更)。フィーチャーフォン用のアプリをSwitchで復刻する「G-MODEアーカイブス」の第30弾として配信。価格は500円。
      • 『戦国ソーサリアン』『ピラミッドソーサリアン』も最初から収録された完全仕様。

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最終更新:1970年01月01日 09:00