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ブラスターマスター ゼロ - (2022/06/07 (火) 08:37:58) のソース

*ブラスターマスター ゼロ
【ぶらすたーますたー ぜろ】
|ジャンル|探索アクション|&image(https://img-eshop.cdn.nintendo.net/i/97f462297b9b203026d959527d6042c97f64702da915100126d5b037d165504f.jpg?w=1000,height=160)|~|
|対応機種|Nintendo Switch&br()ニンテンドー3DS&br()Windows(Steam)&br;プレイステーション4&br;Xbox One&br;Xbox Series X/S|~|~|
|メディア|ダウンロード専売ソフト|~|~|
|発売・開発元|インティ・クリエイツ|~|~|
|配信開始日|【Switch/3DS】2017年3月3日&br()【Windows】2019年6月15日&br()【PS4】2020年6月29日&br()【One/XSX】2021年7月1日|~|~|
|定価|980円|~|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|ポイント|雰囲気はそのままに遊び易く進化&br;国内版と海外版の融合|~|~|
|>|>|CENTER:''[[メタファイト/ブラスターマスターシリーズリンク>メタファイト/ブラスターマスターシリーズ]]''|>|
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#contents(fromhere)
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**概要
1988年にサンソフトより発売された『[[超惑星戦記 メタファイト]]』のリブート作品((「リメイク」とよく言われるが公式にそう公言された事はなく、ディレクターはリブートのつもりで作ったと公言している。))。~
国内においては2000年にプレイステーションで発売された『[[ブラスターマスター>ブラスターマスター (PS)]]』以来のシリーズ新作となる。~
開発は『[[ロックマン ゼロシリーズ>ロックマン ゼロ]]』や『[[蒼き雷霆 ガンヴォルト]]』などを手掛けたインティ・クリエイツで、販売元も公式に(サン電子の)許諾を得た上でインティ・クリエイツ自身となっている。~
ゲーム画面やサウンドは同社の『[[ロックマン9>ロックマン9 野望の復活!!]]、[[10>ロックマン10 宇宙からの脅威!!]]』『[[マイティガンヴォルト]]』のような8bit風に作られている((同社は後に『Bloodstained: Curse of the Moon』などを生み出しており、8bit風アクションにも力を入れている。また、直接開発した訳ではないが『Cyber Shadow』の販売も担当している。))。

**ストーリー
>――近未来の地球。
>多様な生物が共存している緑豊かな惑星であったが、大規模な戦争と環境破壊により氷河期が到来し、人類は地下への大規模移住を余儀なくされた。
>長く続いた氷河期の終わりと共に、人類は地下での研究を元に地球を緑豊かな惑星へと復元する計画を開始。
>同時期に謎の彗星が地球に落下するというアクシデントが起こるものの、生態系の復元は順調に進み、人類は地上で暮らすことができる環境を取り戻した。
>――それから数百年後。
>ロボット工学の分野で名を馳せる天才少年、ジェイソン・フラドニック。彼はある日、見たこともない生物を発見した。
>どの資料にも記載されていない生物に好奇心を刺激されたジェイソンは、その生物に「フレッド」と名付け調査を開始するが、時をおかずして逃げられてしまう。
>ジェイソンはフレッドを追い、かつて人類が暮らした地下の世界へと足を踏み入れることとなった。そこで1台の車両と邂逅する。
>「ソフィア-III」と刻まれたその車両は、彼の搭乗を促すかのようにコックピットを開けた。
>ジェイソンはフレッドを連れ戻すため、ソフィア-IIIに乗り込み、冒険へと旅立つのだった。
>――地下で蠢く謎の存在を知らずに。
>(公式サイトより引用)

**特徴
-戦車に搭乗して横スクロールのステージを探索するサイドビューマップと、降車してパイロット単身で見下ろし視点のダンジョンを攻略するトップビューマップ。その2つを行き来してゲームを進めていくという基本的な流れは原作と同様。

-シナリオは『メタファイト』とその海外版『Blaster Master』の要素を合わせて再構成されたものに一新。
--基本設定のベースは『Blaster Master』の方で、それに『メタファイト』の要素を加えて新たな世界観とストーリーを構築している。更には海外で発売された小説版の要素も加えており、実質的には『Blaster Master』のリブート作品と言って良い。

-本作で新たに加わったシステムの多くは、実は日本未配信タイトル『[[Blaster Master Overdrive]]』やPS『ブラスターマスター』といった後続シリーズで追加された物で構成されている。
--このことから、本作は一種のトリビュート作品と捉える事も可能。

-前述の通り8bit時代を意識された作りとなっており、色調を落としたドット絵のグラフィックに、音源もレトロ機のような電子音が使われている。
--巨大なキャラクターがハデに動いたりなど、現行機ならではの表現もあるが、それでもレトロ時代の雰囲気を彷彿とさせる作りとなっている。
--プロローグはストーリー中には描かず、タイトル画面前のデモシーンにて一枚絵とナレーションで語り、ニューゲームを選択すると即アクションステージから始まる。これも当時のアクションゲームを彷彿させる演出である。%%原作の日本版にはそもそもデモ自体無かったが。%%((海外版はタイトル画面で放置すると一枚絵のみが表示されるプロローグデモが流れていた。))
---この導入部はストーリー性がより強まった次回作以降にも踏襲されている。

''原作からの追加・変更点''
-マップ機能の実装。
--原作では探索型ゲームにもかかわらずエリア内のマップが存在せず、複雑な構成も相まって迷いやすかった。
--だが、本作でエリアマップが実装。大ざっぱだがエリアの構造を把握しやすくなった。
--マップはサブ画面から確認することが出来、一度通過した場所が記録されていく。
--各エリアのダンジョン内に配置されているマップアイテムを入手すると、そのエリアの全体マップが確認出来るようになる。

-仕掛けが追加され、よりギミカルになったステージ構成。
--エリア1は概ね原作を踏襲したステージ構成だが、以降のステージはそのエリアに因んだ独自のギミックが続々登場する。
--ダンジョン内では一定時間ごとに強酸が満ち引きするエリア2、巨大シャッターやベルトコンベアが行く手を阻むエリア3、驚異的な強さを誇るミュータント達の監視を掻い潜りつつ、進んでいくエリア7…など原作プレイヤーでも新鮮な気持ちで遊べる。
---地下世界ながらステージの風景もバリエーションに富む。『Blaster Master』シリーズは地下世界が舞台の為、『メタファイト』の別言語版である初代以外では「洞窟ばかりで代わり映えしない」という問題点があったが、それが解決されている(初代のリブートなので当然と言えば当然である)。

-斜め撃ちの追加。
--『[[Blaster Master 2]]』で実装された斜め撃ちが追加され、サイドビュー、トップビュー共に斜め方向に攻撃を撃てるようになり、死角をカバーしやすくなった。

-ライフアップアイテムの追加。
--各エリアに1つずつ配置されており、入手することでHPが1上昇する。

-各エリアには新たなボスが追加され、中には原作には存在しなかったサイドビューステージでのボス戦も。
--PS『ブラスターマスター』にしか無かった「戦車で戦うボス戦」が遂に2D作品で実現された形となる。流石にPS版のような細かい部位破壊要素は無いが、トップビューとは全く違う横スクロールアクションらしい戦いが楽しめる。
--いくつものボスが追加されているが、原作のボスは「ネオギザーラ」や「ファイヤーゲロール」と言った強化版を除いて続投している。一部はサイドビューステージでの戦闘に変更されているものもある。
---キューブ型のボス「Z-88」は本作の発売年に合わせて「Z-''2017''」に変更されている細かいネタも。
--原作のラスボス「ゴウズ」に至ってはオリジナルの第二形態が新規に作成されている。
---その前座だったスケルベノンも、1エリアのボスでしかも超巨大ミュータントとして生まれ変わり、圧倒的な迫力で襲い来る。ラストステージの体内ステージもこのスケルベノンの体内という事になっており、ラスボスの第一形態なのかもよく分からなかった原作から出世を遂げている。
---ちなみにスケルベノンは『Blaster Master』ではミュータント軍団のリーダー「Plutonium Boss」で、ゴウズの方は特に説明も無い謎のラスボスというややこしい事になっていた((海外版の説明書には、最終ステージに最強の「Master Boss」がいる事が記述されていたが、その正体が結局何なのかは分からず終いだった。))((後の小説やPS版でもPlutonium Bossがラスボス扱いで、Master Bossに関しては全く触れられていない。))。本作ではスケルベノンことPlutonium Bossは間を取って「Skeleton Boss」。ゴウズは「Underworld Lord」と新たに名付けられている。

-原作におけるサイドビュー時のホバーゲージと各サブウェポンのストック数は「SPゲージ」に統合される形になった。
--SPは青い回復アイテムを取得する以外に時間経過でも少しずつ回復していくため、ゲージが尽きてもザコ敵を倒してアイテムを稼ぐ必要が無くなった。

-より充実したソフィア-III((国内版『メタファイト』における「メタルアタッカー」で、『Blaster Master』時代もジェイソンの愛機だった。当時は「SOPHIA The 3rd」、或いは「S.O.P.H.I.A.」と呼ばれていた。))の武装。
--チップを入手することで4種類のチャージ攻撃が使用できるようになる。
--基本的にサブウェポンと同様に使用するとSPを消費するが、唯一「レーザーショット」のみSPの消費がない。
---後半で入手できる「アクセルブラスト」((元々はPS版でラスボスへのトドメに使われた兵器である。今作ではチャージ攻撃として取得できる。))はチャージ時の演出がなかなか凝ったものになっており見もの。更に、あるボス戦で使用すると特殊な台詞が挿入される。
--サブウェポンも新たに、エネルギーを纏ったタックルを繰り出す「スパークタックル」、前方にシールドを展開する「シールドマイン」の2種類が追加されている。
--原作から登場するサブウェポンにも変更・調整が加えられている。
---「ホーミングミサイル」は原作では画面内にいる敵全てに一斉にミサイルを発射する性能だったが、本作では1度に1発だけ発射する仕様となっている。その代わりに追尾性能は大幅に向上している。
---「サンダーブレイク」は攻撃判定が強化され、真下の敵に当てやすくなっている。また、水中で発動すると電撃が拡散し、広範囲の敵にダメージを与えられるようになった。

-トップビューでの自機の攻撃はガンレベルが切り替えられるようになり、使い勝手が向上した。
--各ガンレベルの攻撃も、射程が短いが近距離で当てることで威力が増す「ディフュージョン」、敵の弾を跳ね返す「リフレクト」、雷撃弾を発射し、命中させると画面内の敵に雷撃が連鎖する「ストライカー」、火炎弾をばらまき、氷の床を溶かすことも可能な「フレイム」など、レパートリーに富んだ性能となった。
--更に、ガンレベルの低下を防ぐアイテム「エネルギーガード」も新たに登場。
---ガードは一度ダメージを受けると消滅してしまうが、一定時間が経過することで復活する。
---これにより、ガンレベル維持のためには慎重な行動が求められた原作に比べ、ある程度余裕を持ってダンジョンを探索できるようになった。
--加えて、原作では少数だった道中のガンパワーアイテムの数が大幅に増加。しかもボスがはき出す雑魚を倒すとガンパワーアイテムを落とす様になった。
---ガンパワーアイテムの大幅増とガンレベル切り替えの存在により、原作では困難だったボス戦での立て直しも容易になった。

-原作ではトップビューで使用可能なサブウェポンは手榴弾のみだったが、本作では手榴弾以外のサブウェポンが追加されている。
--その種類も、足元にボムを設置し任意のタイミングで起爆できる「イグニッションボム」、画面内の敵の足止めに使えるほか、真っ暗なダンジョンでの視界を確保できる「フラッシュボム」、弾をばらまき、囮にも使える射撃装置「タレット」など多様性に富んでいる。
--ただし、本作のサブウェポンは所持数制限が新たに設けられている。~
サブウェポンの所持数は特定のアイテムを取得すると回復可能。

''EXTRAモード''~
-様々なオマケモードをプレイできる。本編をクリアすると追加される項目もある。
#region(一部ネタバレを含むため格納)
--&bold(){アンリミテッドモード}
---本編クリア後に追加される。初めからソフィアゼロに乗り、フル装備状態でプレイできるモード。エンディング以外のイベントはすべてカットされる。

-&bold(){デストロイヤーモード}
--Ver.1.2のアップデートで追加された高難度モード。本編クリア後にプレイできる。
--このモードではソフィアとジェイソンのカラーリングが黒く変化。マップに配置されている回復アイテムやガンパワーアイテムが弱体化し、エネルギーガードやライフアップアイテムも無効となる。また、サブウェポンなど多くの強化アイテムの入手タイミングもノーマルモードと異なる。
--ガンレベル8「ウェーブ」がノーマルモードと打って変わり、多くの敵に対して無効となる。敵ごとに設定されている弱点となるガンレベルでなければダメージを与えられない。
--敵を倒すとプレイヤーを狙う貫通弾が飛んでくるようになる。迂闊に敵を倒しまくると回避が非常に困難に。また、敵が放つ弾も殆どが貫通弾となっている。

-&bold(){EXプレイヤーモード}
--ジェイソン以外のキャラクターで本編を遊べるモード。DLCを購入することでプレイできる。
--選択できるEXプレイヤーは『[[ガンヴォルトシリーズ]]』より「ガンヴォルト」、『[[ぎゃる☆がんシリーズ]]』より「えころ」、『[[シャンティシリーズ]]』より「シャンティ」、『[[Shovel Knight>ショベルナイト]]』より「ショベルナイト」の4体。価格は税込みで各200円。((3DS/Switch版では配信開始日から2週間の間、無料でDLできるキャンペーンが実施されていた。また、Steam版ではガンヴォルト、えころが初めからゲーム本体に内包されている。))
--パイロットの性能はジェイソンとは全く異なり、それぞれの出典でのアクションが再現されている。また、高所から落下してもノーダメージ。
--ストーリーは用意されておらず、イベントは全てカットされる。それに伴ってか、シナリオの進行と共に変わっていたトップビュー時のBGMが真の最終エリアを除き、序盤のもので固定されている。

-&bold(){ボスブラストモード}
--Ver.1.4のアップデートで追加。本編クリア後に選択できるようになる。
--本編に登場したボスや中ボスと連続で戦ういわゆるボスラッシュ。全て倒すまでのタイムが計測される。
--3DS版を除き、協力プレイに対応した「マルチボスブラストモード」も遊べる。
--ライフは初期状態でエネルギーガードは無し。また、ソフィアの一部の装備が使用不可。
--ジェイソン以外にも、DLCで購入したEXプレイヤーが使用できる。

-&bold(){バトルブラストモード}
--Ver.1.5のアップデートで追加。3DS版以外の機種でプレイ可能。
--プレイヤー2人で対戦が出来るモード。ボスブラストモード同様、こちらもDLCで購入したEXプレイヤーが使用できる。
--サイドビュー・トップビューの2つのモードが用意されており、ステージは本編のエリア1~8をベースにしたものから選択できる。
--プレイヤーは基本的には本編と同様の性能だが、一部のアクションが使用できなくなっている。また、プレイヤーごとにソフィアの装備が異なる。
#endregion
**評価点
''『メタファイト』からの改善点の多さ''
-セーブ機能の実装。
--おそらく多くの原作プレーヤーが一番望んだ機能ではないだろうか。原作はボリュームのある内容にも拘らず、セーブやパスワードでのコンティニューが一切存在しなかった。シリーズでもセーブ機能が実装されたのはPS『ブラスターマスター』が最初であった。
--データの記録は各エリアの随所に設置されたリトライポイントを通過することで自動で行われる。何度死亡しても最後に通過したリトライポイントから再開されるためプレイが非常に快適になった。
---リトライポイントのみならず、ダンジョンに出入りした際もチェックポイントとして記録される為、長らくリトライポイントを通過していなくても安心。
--セーブスロット数は3DS版が9個、それ以外の機種は27個となっている。

-トップビュー面の大幅改善。
--原作におけるトップビュー面は全体的にガンパワーの側面でクセが強く、お世辞にも快適とは言えない内容であった。
--だが、前述したとおり、一種のリメイクに当たる本作では原作でクセが強すぎたガンパワー面に大きく手が加わった事によって、より快適な戦闘を行う事が出来る様になった。
//-エネルギーガード
//--メタファイトでは、ダメージを受けるとガンレベル低下する仕様で悪循環に陥りやすい面もあった。
//--これは1度防いでくれる。更にそのうち戻るので立て続けに食らわなければ大丈夫。
//--ゲージにカバーがあるので分かり易い。AREA2で手に入る。
//変更点と重複しているのでcoします。

-取得したアイテムに解説が付いた。
--原作では各アイテムに解説が存在せず、プレーしてアイテムの効果を把握しなければならない側面があった。
--だが、本作では強化アイテムを取得すると解説が挿入される形になっていて、原作であった「アイテムをどのようにして使うのか」というプレイヤーの疑問を解消する事に成功した。
--サブ画面ではイヴと会話することで、詳しい解説を聞ける。会話の内容もバリエーションに富んでおり、なかなか楽しい。
---PS『ブラスターマスター』のエルフィの解説のようなものだが、同作ではエルフィが一方的に一言二言話すだけだったので、それをより発展させたものと言える。

-ヒントの多さ
--本作ではエリアマップや台詞、ソナー機能といった物が追加された事によってヒント面が強化されている。
---このため、本作は比較的迷いやすかった原作と比較して迷いにくくなったと言えよう。
--マップにはPS『ブラスターマスター』では表示されなかった未取得のパワーアップアイテムやセーブポイントの場所までしっかり映し出してくれる。

''演出面''
-ストーリーの展開
--PS版を除いて旧作では、オープニングとエンディング以外にはストーリーイベントも一枚絵も無い作品ばかりだったが、今回は本編中もイベントシーンが多数用意されており、明確なストーリーが描かれる。
--ソフィアの発見とフレッドの捜索に始まる序盤は『Blaster Master』の導入部を踏襲しているが、その道中でのヒロイン「イヴ」との出会い、そこから新たな展開へと進んでいく。場面によっては一枚絵も挿入され、シナリオをより盛り上げる。
---イヴは元々『Blaster Master』の小説化の際に追加されたオリジナルキャラで、原作ゲームには未登場だった。ゲームにヒロインとして登場したのは本作が初である((イヴの設定がゲームに反映されたのはPS『ブラスターマスター』が最初。また、ネタバレになるが、PS版でもサポート役のエルフィが敵に連れ去られた後は霊体のイヴに支援してもらう展開があった。))。
--後半のシナリオは王道ながらも熱いストーリーが展開され、プレイヤーからの評価も高い。
---終盤~エンディングには『メタファイト』ファンを驚かせる演出や展開が用意されている。『メタファイト』と『Blaster Master』のストーリーを上手く融合させたと言える。

-トップビューステージには専用BGMが追加。
--PS『ブラスターマスター』のようにステージ毎の曲があるのではなく、ストーリー進行に応じて変わる形式である。ゲームが進むにつれてシリアスな曲に切り替わっていく。

-ボス戦
--戦闘前には原作さながらの警報音と共にボスの名前が表示される。また、PS版以来となる体力ゲージが表示され、ボスの残りHPが把握できるようになった。
--原作や『[[メタファイトEX]]』でのボス戦ではステージの背景が真っ黒になっていたが、本作では他作品同様に背景が描かれるようになった。

-その他細かい作り込み
--風に揺られる草、あるボス戦では巨大なビーム砲撃の後に地面に大きく跡が残る…などステージの背景や細かな演出もよく作り込まれている。
--特にエリア5のダンジョンは水のうねりや海中を泳ぐ魚影、ジェイソンの頭上をボスの影が通過し獲物を仕留める、といった凝った演出が用意されている。
--ドットも精細に描き込まれており、8bitの風情や懐かしさはあっても古臭さは無い。
--ゲーム冒頭の出撃シーンとエンディングの一枚絵は原作の同シーンを精密なドットで再現しており、往年のファンを沸かせる演出となっている。
---出撃シーンは『Blaster Master』準拠で背景は洞窟。しかし『メタファイト』の方を意識した出撃シーンもとある場面で…。

**賛否両論点
-BGMの一新。
--本作のBGMはエリア1を除き、全てが新曲となっている。
--オリジナル版におけるBGMはエリア6やエリア7をはじめ、ファンからの評価も高く、本作に収録されなかったことを惜しむ声もある。
--ただ、新規楽曲も出来そのものは決して悪くはなく、あらゆるステージの雰囲気には良くマッチしており、エリア3のBGM「メビウスの歯車」やイベントシーンで流れる「フル・アクセルブラスト」などは人気が高い。

-相変わらず高所からの落下に弱い主人公。
--パイロット時に高い所から落ちると即死する仕様は原作から据え置き。小さな高台からジャンプしただけでもダメージを受けてしまう。
---『Blaster Master 2』やPS版では落下によるダメージや死亡は廃止されていたが、本作ではオリジナル通りの仕様となっている。
--終盤のボス戦では生身の状態で小さな足場を乗り継いでいき、梯子に飛び移ってリフトを作動させる場面がある。
---当然、足場を踏み外したり梯子をつかみ損ねると即死。ボスからの攻撃も相まって作中でも高い難度を誇る。

-坂道は無い。
--『2』『Overdrive』と言った海外タイトルでは坂道の地形が導入されていたが、あくまで本作は初代準拠という事なのか無くなっている。
--無くて困るものではないが、後のシリーズの要素を取り入れるのならゲーム性や表現力を高める意味でもあって良かったかもしれない。

-ボスの耐久力が低い。
--確かにファミコン版では耐久力の高さが問題視されていたが、本作では逆に低すぎる。曲が1周もしないうちに倒せるのはザラ。
--特にトップビューでのボスは後述の通り、ガンレベル8「ウェーブ」を弱点とするボスが多いことも耐久力の低さに、より拍車をかけている。

-サイドビュー面でのデフォルト装備が減少。
--原作におけるサイドビュー面では3種のサブウェポンを最初から全て所持している状態でのスタートだったが、本作では多弾頭ミサイルのみになっている。残りの2種についてはダンジョン内で獲得する方式に変更された。
--それでも相変わらず最初から出来るアクションも多く、致命的に評価を落としているわけではない。

#region(エンディング ネタバレ注意!)
-マルチエンディング
--原作同様、エリア8でラスボスを倒せばエンディングだが、本作ではある条件を満たさないと''バッドエンド''扱いになる。
--戦いの果て、ミュータントロード「ゴウズ」((『メタファイト』当時の設定はインベム暗黒星団のトップ。本作は名前こそ「ゴウズ」だが設定は『Blaster Master』の「プルトニウム・ボス」に近い。))を倒したジェイソン。地球に平和が訪れ、イヴはフレッドをジェイソンに託してソフィアと共に去って行った。
---…と、ここまでならグッドエンドだが、スタッフロール後の1シーンで全てがひっくり返る。実はイヴは真の敵の存在に気付いており、ジェイソンを巻き込まない為に敢えて黙って一人で戦いに向かっていた。しかし逆に敵に取り込まれてしまい、最後はソフィアの自爆スイッチに手を伸ばす所で終わる、後味の悪い結末となる((しかもトゥルーエンドルートの描写を見る限り、自爆すら適わず地球を滅ぼす災厄と化してしまった事が窺える。))。
--原作ではゴウズを倒すとそのまま敵要塞が崩壊していき、それを眺める主人公が(『Blaster Master』ではフレッドも)映って何事も無く終了であった。その為。原作ファンにとっては通常エンドをバッドエンドにされたという意見もある。
--勿論、条件を満たせばその陰鬱な結末を吹き飛ばす熱い展開が待っている。ここから先は本作完全オリジナルの展開となる。

#region(真エンド)
-フレッドから新たな脅威の情報が惑星ソフィアに送られた事で、ソフィア-IIIのプロトタイプ「ソフィアゼロ」((エネルギー効率の問題で長期運用はできないが、その代わり圧倒的な性能を誇る。))がジェイソンの元へ転送されてくる。イヴを救うために、ジェイソンがフレッドと共にソフィアゼロに搭乗し、真の最終エリア「超次元」に向かうというもの。
--更には「ソフィアゼロ」の送り主は『メタファイト』の主人公だったケインとヒロイン((原作ではパッケージとエンディングのラストに出て来ただけだったが。))のジェニファー。『メタファイト』と『Blaster Master』がリンクする瞬間である。
--最後の敵は真ラスボスに侵食されたソフィア-III。死闘の末、イヴを救い、ソフィアゼロでかつての自機ごと真ラスボスを撃破する。
---熱い最終決戦を経て迎えるハッピーエンドだが、苦楽を共にした愛機を自らの手で破壊する展開は人によってはやるせなさを感じるかもしれない。
--そして本作の描写に限ればハッピーエンドに見えるものの、続編ではこの続きが描かれ、全てが終わった訳ではないことを思い知らされる。
---ただ、『ガンヴォルト』シリーズのように毎度苦い結末を持ってくる訳ではなく、本シリーズは一作一作では綺麗に終わっている。クリアのカタルシスがしっかりある点は安心して欲しい((結果的に三部作になったが、スタッフは最初からそれを想定していた訳ではなく、「次があったら」は常に考えるものの基本はそれで完結のつもりで作っているという。次回作以降の設定も本作の時点では無かった。))。
#endregion
#endregion

**問題点
-高性能過ぎるガンレベル8「ウェーブ」
--連射が利き、高威力かつ広範囲で弾速の速い貫通弾を放つ至れり尽くせりの性能。
--また、ウェーブを弱点とするザコやボスが多く、大抵の敵は連射するだけでもあっさりと倒せてしまう。
--その万能さから、トップビューステージではウェーブ一強で他のガンレベルが空気になりがち。
---ただし、ラスボス第2形態にはウェーブが通用せず、状況に応じて適切なガンレベルに切り替えて戦うことが求められる。
--制作側もウェーブが強すぎる事を認識していたのか、上述の「デストロイヤーモード」が後に追加された。

-ショートカットが少なく、各エリア間の移動が面倒。
--原作同様に各エリア間をテレポートする機能なども用意されていない。取り逃したアイテムを入手するために、前のエリアに戻るなどといった場合は移動が億劫になりがち。

-マップの仕様
--ゲーム中にミニマップなどが表示されないため、マップを見たい場合はいちいちサブ画面を開いて確認する必要がある。
--また、現在いるエリアのマップしか確認できず、他のエリアのマップを確認したい場合は直接そのエリアに向かわないといけない。前述の問題点も相まって、どこのアイテムを取り逃しているかを知りたい場合はかなり面倒。

-エリア7のトップビューで常時ライトを点灯している敵がいるが、画面切り替えた直後にライトの部分が非表示になっている。

#region(ネタバレ注意!)
-''真EDの到達条件が面倒''。
--本作は同社『ガンヴォルト』シリーズと同様に条件を満たすことで真EDを見る事が出来るのだが、これがとても面倒という事が評判になっている。
--本作で通常EDを見る場合は必要なアイテムだけを回収すれば良いのだが、真EDルートに進む場合は一転。全ての強化アイテムを回収する必要がある。
---勿論回収に関する労力も相当なのだが、今作は''エリア間のワープポイントやショートカットルートなんて存在していない''ので、強化アイテムの回収を目的に過去に訪れたエリアへ再訪する場合は、いちいち自分の足で戻らなければならず面倒な事になってしまいがち。~
幸い、強化アイテムの大半は各エリアの攻略の際の装備があると取れる様になっているので、各エリアの攻略中はアイテムの取りこぼしが無いように気を付けたいところ。
--探索型アクションゲームでは強化アイテムの数を問わずにトゥルーエンドを迎えられる作品が多いが、本作の真EDの条件は流石にやりすぎと言わざるを得ない。

-一度真EDルートに進むとエリア1~8には二度と戻れなくなる。
--前のエリアを自由に探索したい場合は事前にデータのコピーが必要となる。この問題は『ゼロ』シリーズを通して改善される事は無かった。
#endregion

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**総評
原作『メタファイト』『Blaster Master』から数々の改善点や新要素が加えられ、時代に合わせた進化を遂げている。~
ストーリーも両シリーズの要素を上手く融合させ、新しい『ゼロ』の世界の構築に成功している。~
多少の粗は見られるものの、全体的に見ればリブート作品としてもアクションゲームとしても高水準に仕上がっている作品といえる。

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**余談
-2019年3月21日に本作の直接の続編となる『[[ブラスターマスター ゼロ 2]]』がNintendo Switchで発売された((同年11月29日にはWindows版もSteamで配信が開始されている。))。
--同作は基本的なシステムこそ前作と同様だが、初代のリブートとして制作された本作とは打って変わってほぼ「完全新作」という様な旨の作品になっているのが特徴的。
--2020年には『ゼロ』『ゼロ2』共にPlayStation 4版の配信が開始された。
--2021年には『ゼロ』シリーズ完結編『ブラスターマスター ゼロ 3』が配信開始され、同時に『ゼロ』三部作を収録し、キャラボイスも追加したパッケージ版『ブラスターマスター ゼロ トリロジー メタファイトクロニクル』も発売された。
---その少し前には『ゼロ』『ゼロ2』のXbox One、Xbox Series X/S版も配信開始。『ゼロ3』は最初からPS4、Switch、Steam、XB1、XSXで発売されており、『ゼロ』シリーズ三作とも一通りの現行機でプレイ可能になった。

-元々3DS専用ソフトとして開発されていたが、開発途中にSwitchが発表された事で「Switch版も同時に出したい」と考え、急遽移植を始めたらしい。
--本作は『ガンヴォルト』と同じエンジンで動作しており、そのエンジンは以前PC版『ガンヴォルト』を出した際に使ったPC用が存在した。それをSwitch用として移植できた事で開発は一気に進み、なんと僅か''2ヶ月''で事前版完成に至ったという。

-シナリオは『Blaster Master』をベースとしている本作だが、実は企画段階では『メタファイト』の方がベースになる予定だったらしい。
--従って、主人公のジェイソンもヒロインのイヴも当初は''『メタファイト』のケインとジェニファーとしてデザインされていた''。『Blaster Master』ベースに変更されたことで、彼らも海外版の登場人物に変わっていったという。元々似ていなかった『Blaster Master』ペア((ジェイソンは短い茶髪の白人少年〜成人男性だった。PS版のイヴはブロンドの長い髪を持つ美女という感じだが、小説では髪が赤かったりと当時からデザインは一定していなかった模様。))が『メタファイト』ペアの面影を感じさせる姿になっているのはその為である。%%海外版を知らないファンはケインとジェニファーをモデルにした新キャラだと思ったのではないだろうか。%%
--イヴのデザインは製作陣が推した「ジェニファーのイメージに『わくわく7』((サンソフトが開発したAC格闘ゲーム。))のヒロインの牧原アリーナを足した姿」と、社長が推した「メカ娘っぽく、コスプレ映えしそうな姿」で意見が割れたが、''紳士的な話し合いの末''、折衷案を採ったという([[リンク>https://twitter.com/GunvoltOfficial/status/1267289771111571462]])。

-次回作ほどではないが小ネタとしてサンソフトネタがオープニングデモに仕込まれている。
--フレッドを発見した際のジェイソンが来ている服は『[[アトランチスの謎]]』の主人公ウィンの探検服、次のシーンで来ているTシャツに描かれているのは『いっき』のタイトル画面である。
---何故かTシャツは「ダサく」する方向が決まっていたらしく、他にも『[[へべれけ]]』や『メタファイト』の旧パイロットスーツなども検討されていたが、「山の絵が描かれているとダサい」→「''サンソフトで山と言えば『いっき』のタイトル画面''」という事で決まったとか。
---当初のラフではソフィアのエンブレムを反転させたものだったが、「まだ出てないのにそのデザインを着ているのはおかしい」という至極真っ当な意見を受けて変更になったという。それが何故「ダサさ」を追求する方向に行っただろうか…?

-シリーズにおける自機の名前は『メタファイト』は「NORA/MA-01」。ソフィア第三惑星の衛星である「ノーラ」で開発された「メタル・アタッカー」である事を示している。対して『Blaster Mater』の自機もまた、それらを冠した「SOPHIA The3rd NORA MA-01」である。
--当時は両作品間に関連性は無かったのだが、この通り『Blaster Mater』の自機名は『メタファイト』の舞台名であり、何かしらの繋がりを予感させるものだった。リブート作である本作でもその名は少し変えた「ソフィア-III」として受け継がれており、海外版を知らない原作ファンにも「原作と何か関係があるのか」という考察の余地を与え、より本作への興味を抱かせていた。そして実際にゲーム終盤でその意味が明かされ、次作『ゼロ 2』でもそれをより掘り下げた世界観を構築している。
--しかし実は『Blaster Master』における自機の名称は''小説版作者の勘違い''に端を発するものであり、過去作では明確に繋がりが意識されていた訳ではないらしい。
---というのも、『Blaster Master』発売当時は自機は名も無き謎の戦車でしかなく「ソフィア」でも「メタル・アタッカー」でもなかったのだが、メニュー画面の「SOPHIA The3rd NORA MA-01」の表記がそのままであった為、小説版執筆の際に作者のPeter Lerangis氏がこれを自機名なのだと判断して小説に反映させてしまったと言う。結果として、『メタファイト』の舞台である惑星名がそのまま『Blaster Master』における自機名になってしまい、以降はゲームの方でも公式設定として採用されることになった模様。
---それが後年になってから『メタファイト』と『Blaster Master』をリンクさせる材料となり、両者を融合させた新たな『ゼロ』シリーズが生み出されたのだから世の中分からないものである。

-原作の「逃げ出したカエルを追いかける」という導入部は海外でも賛否両論であり、一部では「absurd」(不条理、ばかげた)とすら評されていた。
--本作ディレクターの西沢智氏も実は変だとは思っていたが、往年のファンの存在を考えると切り捨てる事は出来なかったため、これを上手く活かすべく『メタファイト』『Blaster Master』を時系列に沿った話として組み合わせる事を思いついたとの事。それによって、「メタファイトがベースの独立した世界観」ではなく、「旧作の系譜に連なる物語」として世界中のファンに楽しんでもらえるものを目指したと海外で語っている。
--しかし日本では『メタファイト』以外のBMシリーズの知名度は殆ど無く、本作の宣伝でも海外版については全くと言っていいほど触れていないため、多くの人に「メタファイトがベースの独立した世界観」と思われているのが実情である。
---その後、『ゼロ3』発売に際した記事にて、ようやく公の場でも海外のBMシリーズの紹介と関連性が解説された([[リンク>https://dengekionline.com/articles/89633/]])。
//『トリロジー』の初回特典の設定資料にも書いてあるのでしょうか?もしそうならお持ちの方は加筆お願いします。