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OverBlood2 - (2024/03/10 (日) 15:22:20) のソース

*OverBlood2
【おーばーぶらっどつー】
|ジャンル|アクティブアドベンチャー|&amazon(B000069T4F,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/515QACPZS9L._SL160_.jpg)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売・開発元|リバーヒルソフト|~|
|発売日|1998年7月23日 |~|
|定価|6,800円(税抜)|~|
|廉価版|PlayStation the Best&br()1999年6月3日/2,800円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''OverBloodシリーズ''&br;''[[1>OverBlood]]'' / ''2''|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
西暦2115年12月、世界の中心・イーストエッジが華やかに彩られている。もうすぐクリスマスなのだ。~
70年前の”地球の突然死”と呼ばれる、原因不明の温暖化以来、人類は大気冷却器なしには生きていけなくなっている……。~
アカーノ・ブラーニが旅客シャトルでイーストエッジ空港に降り立ったのは、そんな夜のことだった。~
彼は、"ジャンクブレード"と呼ばれるレースに出場するためにこの地を訪れた。~
ベルター・カーチスという老人、そして彼を追ってきた国際警察の女捜査官クリス・レーンベッカーも、同じシャトルの乗客だった。~
それぞれがエアポートに降り立った時、事件は起こった。ベルターが襲われたのだ。~
ベルターが殺されるとことを感じ取ったアカーノは、ベルターを助けようとする。そして、ベルターから正体不明のカプセルを託された。~
ほんの行きずりの些細な出来事から、彼は壮大な運命の波に流されていくのだった……。~
~
※取扱説明書より引用

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**概要
誰が予想したか、『[[OverBlood]]』の続編。ジャンルは同じアクションアドベンチャーだが、今作ではアクション面が強くなっている。~
続編ではあるものの、前作から続投しているのはラズだけであり前作での出来事はほとんど語られないので、『2』のみプレイしても問題は無い。

閉鎖空間が舞台だった前作と異なり、今回はニューヨーク市南東に位置する架空の都市イーストエッジというオープンな舞台に移している。~
ディレクション・シナリオは、前作でリードプログラマーを務めた日野晃博(現・レベルファイブ代表取締役社長)。~
現在では『[[レイトン教授>レイトン教授と不思議な町/悪魔の箱/最後の時間旅行]]』や『[[妖怪ウォッチ>妖怪ウォッチシリーズ]]』などを手掛ける氏の初ディレクション&シナリオデビュー作でもある。

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**特徴、変更点
--本編エピソード7つ+おまけエピソード1つの計8つで、ディスク2枚に分けられる。
---エピソード8を除く全エピソードではクリアポイントが設定されており、プレイヤーの操作によって増減する。高いほど終了後のランクが上がる。
---おまけエピソードは1~7までのクリアポイントが2000を超えてクリアするとタイトル画面から挑戦可能((攻略本では「全エピソードをAランク以上で出現」と書かれているが、これは間違いである。))。
--(プロローグを除く)チャプター開始前にはダウンタウンで情報収集やアイテム購入などをする。
--ラジコン操作が廃止され、常に追従視点になった。カメラは(一部のミニゲームや水中を除いて)360度回転可能。
--前作と同じようにレンダリングではなくフルポリゴンだが、ダウンタウンのみ2D背景。
--プレイアブルキャラクターはアカーノ、クリス、ナバロの3人。
---エピソードによって潜入するキャラを変えることが出来たり、通信機を用いて必要に応じて操作するキャラを変えることが出来る。

#region(close,登場人物)
-アカーノ・ブラーニ(CV:矢尾一樹)
--今作の主人公。幼少期に謎の男らに妹のニーナを攫われた経験があり、妹を探している。~
ジャンクブレードのAクラスブレーダーでもある。
--能力的には平均的で、癖が無い。実は服の装備に関して一番安い。

-クリス・レーンベッカー(CV:鶴ひろみ)
--サウストゥエルブ出身の国際警察捜査官。クリスマスにもかかわらずノースリーブであり、ミニタイトスカートである。~
ムービー中のナレーションは彼女であり、回想録のようになっている。
--能力的にはアカーノの下位互換であり、ジャンプ力と移動速度が遅い。

-ナバロ・ジーン(CV:西村知道)
--看板島のあるネオンゴートのボスであり、メカニック。ラズやベルターとは知り合い。
--能力的には攻撃時の速度が遅いものの、泳ぐ速度が速い。

-ラズ・カーシ(CV:屋良有作)
--前作の主人公。今はD-NAというパブのオーナーをしている。
--今作では操作することは出来ないが、ストーリー上では重要な役割を持つ。

-ベルター・カーチス(CV:佐藤正治)
--アカーノが空港で出会った科学者。何故かハヤノインダストリに狙われており、コンドーに攫われてしまう。
--ベルターと出会ったことがキッカケでアカーノは大きな転機を迎える。

-リュウイチ・ハヤノ(CV:関俊彦)
--ハヤノインダストリの社長。人類脱出計画に関してニーナを実験材料にしていた。

-コンドー(CV:堀之紀)
--ハヤノに付き従っているハヤノインダストリ社幹部。変身能力を持っている。
#endregion

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**評価点
-練りこまれた世界観とストーリー
--前作とは一転してホラー要素は無くなり、近未来SF要素が強くなっている。2065年に起きた謎の世界的温暖化現象"地球の突然死"や政府とも関わりを持つ程の大企業ハヤノインダストリや、それに反抗してテロを繰り返す過激派組織"地球教団"など、本作独自の設定が多数入れられている((ただし、ハヤノインダストリは前作でも企業名だけ登場している。))。
---アカーノが見た未来予知、託された謎のカプセル、胡散臭いキム・ホサカの正体…など、伏線や魅かれる要素は多くそれでいて投げっぱなしな設定はあまり無い。タイトルである「オーバーブラッド」も設定として組み込まれている。
--各キャラクターもキャラが立っており、誰かしら空気になるということは%%終盤のクリス以外%%ほとんど無い。
--エピソード開始時の操作キャラによっては、終了後のムービーでのキャラ同士の掛け合いが変化することも。特にアカーノとナバロの掛け合いは必見。

-大幅に自由度の増したアクション性
--ジャンルこそ同じ名称だが、前述の通りアクションに比重を置いており操作性及びカメラ周りは非常に良くなっている。
--今作にはWASシステム((World Active Supervisorの略。))が採用されており、これが攻略の自由度を上げている。
---例1:潜水艦の中に入りたいが水中にはサメがいて危険である。この場合どうするか?~
1:''フリーズパックを投げ入れて水を凍らせ、そのまま氷の上を通る。''サメは即死、水は凍っているので泳がずに潜水艦に乗れる。~
2:''ヒートパックで水を干からびさせる。''潜水艦は地面に落ちて、サメは無力化。~
3:''フックショットでクレーンへ、潜水艦へ伝っていく。''アイテムを消費することもなく、一番速い。
---例2:ゴーストハウスの先に目的地がある。屋上からも行けるが、強敵がいる。この場合どうするか?~
1:''館の中に入り、普通に攻略する。''時間こそかかってしまうが、一番安全かつクリアポイントが計10点貰える。~
2:''屋上で強敵と戦って倒す。''時間こそかからずクリアポイントもさらに貰えるが、非常に強く返り討ちにされてクリアポイントも減点される危険性がある。~
3:''屋上の強敵をスルーして通る。''実は''スルーできる。''ただし、後ろを通ると即座に爆発するためそれを見越して降りる必要がある。
--こういったようにおおよその仕掛けや難敵には様々な打開策が仕込まれており、やりこんだ際の作業ゲー化を防いでいる。
--場合によっては、一部ボスを''出てくる前に瞬殺''したり、仕掛けやアイテムを''無視してショートカット''など、短縮要素も含まれている。
--武器や装備も多くなっており、各エピソードでは、どの装備であれば先に進めるのか、またクリアポイントを高くするために効率良く進めるにはどうすればいいのかと選択肢が広がる。
---武器は高額ではあるがエピソード開始後でもいくつか拾えることもある。

-豪華な声優陣
--プレイアブルキャラでも矢尾一樹氏、鶴ひろみ氏、西村知道氏と大変豪華。1度限りのボスや味方でも中井和哉氏や山口勝平氏とかなりのもの。
--ムービーが大幅に増えたことで必然的に台詞も多くなり、この声優陣での好演が光る。

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**賛否両論点
-前作と同じく即死・ゲームオーバーになりやすい箇所が多い
--落下によるダメージが大きい他、各エピソードでは大抵「落ちると即死する地帯」「当たると即死する仕掛け」などが存在するため、探索中でもよく死ぬ。
--とはいえ体力の概念が無碍にされるような程ではなく、一種の「お約束」として扱われている節がある((アジトであるD-NAで反重力装置で浮いている銅像を何度も調べると死亡する。これは前作にもあった仕掛けの再現。))((エピソード8に至ってはおまけだからか、即死仕掛けのオンパレードであり逆に敵は存在しない。))
--しかしクリアポイントの減点対象にはゲームオーバーも入っており、しかもこれが-5点と高め。
---やりこんでギリギリ2000点に到達するほど厳しい設定ではないため、多少のやり直しは大丈夫なのだが、後述のチャプター4の難しさや最高得点を狙うプレイヤーにとっては煩わしくなる。
--死亡するといちいちタイトル画面に戻さられる前作とは違い「死亡したエリアの入り口」「プレイ中のチャプターの最初から」「タイトル画面へ戻る」の3つを選ぶことができるため、リトライに関してはストレスを感じさせないようになっている。クリアポイントが下がる以外でのペナルティは無い。

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**問題点
-異様に難しいエピソード4
--このエピソードでは、潜入を成功させるためのダンスの際に簡易的なリズムゲームをやることになる。他のエピソードと違ってダンジョンの探索などといったものはほとんど無く、タイミングよくボタンを押していくリズムゲーム型のミニゲームを終わらせた後はボス戦が入る程度。
--だが、このミニゲームの判定が異様に厳しく、成功判定が非常に狭い上に''ボタンの真ん中よりも判定がズレている。''
--3連続で成功させればライフが1つ回復するが、回復までが遅く''3連続で成功させても失敗すると回復すらしない''と、1つのミニゲームだとしても難しく、ここで躓く人が多い。
--当時出ていた攻略本には「全エピソードをAランク以上でエピソード8解放」という''誤情報''があり10年近く信じられていたのも低評価の一因。
---攻略本どころか、実際のゲーム内において「この場所に行くには全エピソードをAランク以上でクリアしろ」といったテキストがある。
---何度かゲームオーバーを繰り返すと、一応救済措置で最低難易度の「初心者なんだ…」が出てくる。最低難易度ならボタンが○と×のみになり、さらにノーツ数が減るため、何度かやれば打開は出来る((ただし、どれも判定の厳しさは全く同じ。))。エピソード8を出現させるためには、このエピソードで低得点だとしてもカバーは出来る範囲であるのが救いか。
--他のエピソードでもミニゲームは複数存在するが、難易度は特に問題は無い。

-変わらず完成度の低いグラフィック
--前作と比べても進化が見えず、1998年製のゲームだとすると低レベルである。この影響を特に受けているのがクリスで、ゲームを始めた直後のムービーでは''顔面蒼白かつ死んだ魚のような眼をした顔''が映るため、妙に心臓に悪い。しかもこの顔は取扱説明書にも載っている。
--ムービー以外でも、特定のキャラやボス以外のモブキャラは、よく見ると''顔の表情すら描かれていないのっぺらぼう''である。その顔が大きく映ることはあまり無いのだが、かなり不気味である。

-''何故かほとんど飛ばせなくなったムービー''
--ゲーム起動直後のOPや開始直後のムービーは飛ばせるものの、それ以外は全て飛ばすことが出来ない。今作はムービーの量が相当多く尚且つ長いために、再度プレイする際の快適性を損なっている。
--前作では(実質隠しコマンド扱いだったが)飛ばすことが出来たために、何故今作ではほとんど出来なくなったか疑問に思われている。

-金が足りないと詰む場面が一部存在する
--エピソード4~6では特定の武器や服を必須とする場面がある。それはダウンタウンで購入するのだが、この時に売ることが出来る物を''売った金額を含めても所持金が足りないと詰んでしまう''。
--ただし、エピソード攻略中に余程アイテムを拾わなかったり売り買いしない限りは足りなくなるということは少ない。

-クリスの扱いが悪い
--ストーリーではクリスの警察官という職業は''全く''活用されることは無い。同業者は存在せず、台詞や行動にすらそれを感じさせるものは初登場するプロローグ以外皆無。
--終盤近くからホサカと恋愛関係になっていることが判明するが、それまでに特にそれを感じさせる展開も無く、それ以降も絡みもあまりない。
---ストーリーの都合と設定の関係で他の2人に比べて物語の中心になりにくいという点もあって、特に終盤は空気。

-終盤の展開
#region(close,ネタバレのため折り畳み)
--エピソード7にて、ハヤノ社を裏切った科学者ゼノと対峙した際に、政府に対する脅しとして世界の各主要都市を1つ選び爆撃する展開があるのだが、これはどうあがいても阻止することは出来ない((止めようとすると、止めた時点で言った都市を、止めずに放置するとロサンゼルスが爆撃される。))。
---問題は、この爆撃は直後にアカーノ達が憤怒する位でその後は''全く触れられずにゲームが終わる''こと。ロザンゼルスや東京などが爆撃されたらそれこそ死傷者の数は膨大なものになるはずなのだが…
--上述のクリスの扱いの悪さはエンディングでも同じで、メインキャラで唯一''全く姿を見せずに''ゲームが終了する。エピソード8には登場するが…
#endregion()

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**総評
前作とは打って変わって、大幅に進化した作品。~
低レベルなグラフィック、相変わらずの即死ゲー、難しすぎるダンス…など、まだ荒削りなところはあるものの、それを踏まえても独自の世界観やアクションの楽しさは間違いなく評価できるものだろう。~
前作とは違って未だにアーカイブス化はされていないが、値段に関してはあまり高くないので通販などで気軽に購入ができる。

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**余談
-取扱説明書及びスタッフロールではゼノ・ラゾール役の曽我部和恭氏をSogabe Kazu''yasu''と間違えている。気付かなかったのだろうか?

-HYPERプレイステーションRe-mix Vol.9には本作の体験版がある。
--序盤のステージを体験…という訳ではなく、体験版専用のステージ。エピソード8ほどではないが、敵は出ずトラップが多い。