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パラッパラッパー - (2024/03/03 (日) 21:03:40) のソース

*パラッパラッパー
【ぱらっぱらっぱー】
|ジャンル|音楽|&amazon(B00005OV5W)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・インタラクティブエンタテインメント|~|
|開発元|七音社、ネメシス|~|
|発売日|1996年12月6日|~|
|定価|5,184円(税込)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|音楽ゲームのルーツにして火付け役&br()今プレイすると少々難あり&br()|~|
|>|>|CENTER:''パラッパシリーズ''&br; ''パラッパラッパー'' / [[ウンジャマ・ラミー]] / [[パラッパラッパー2]]|
|>|>|CENTER:''[[SIEワールドワイド・スタジオ作品]]''|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
#blockquote(){映画館にやってきた主人公「パラッパ」たち4人の友達。&br()
スクリーンのスーパーヒーローに憧れたパラッパは、彼のようになって想い人の「サニー」を振り向かせようと決意する。&br()
空手道場、教習所、フリーマーケット、料理番組…個性豊かな先生のラップ指導を受けて様々な経験を積んでいくパラッパ。&br()
果たしてパラッパはイカした男になれるのか? 果たして恋は実るのか?&br()
合言葉は「I Gotta Believe!!」(僕なら出来るさ!!)&br()
}

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**概要
//何をもって音ゲーの始祖とみなすかについては諸説あり、本作以前にも同類の要素を内包した作品はあるので表現を変更。
リズムに合わせてボタンを押す、音楽(リズムアクション)ゲームというジャンルをゲーム市場に本格的に提唱した大ヒット作。~
世界70カ国以上でリリースされ、パラッパは同日に発売された『[[クラッシュ・バンディクー]]』のクラッシュと並び、PlayStation®の顔と呼ばれるほど一躍人気を博した。

80年代から90年代にかけて活動していた音楽ユニット「PSY・S」の元メンバー、松浦雅也氏((デベロッパーである七音社の代表取締役も務めている。))が手掛け、楽曲制作の大半も担当した。

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**システム
-各ステージでは先生指導によるラップの「手本」と、パラッパ(プレイヤー操作)による「実技」が交互にテンポよく繰り返される。先生「Step on the gas!(アクセル踏んで)」→パラッパ「Step on the gas!(アクセル踏んで)」→先生「Step on the brakes!(ブレーキ踏んで)」→パラッパ「Step on the brakes!(ブレーキ踏んで)」といった流れ。評価は基本的にはGOOD、BAD、AWFULがあり、ボタンとリズムを見て、タイミング良く入力し、GOOD以上の高評価を維持したまま完奏できればステージクリアとなる。逆にBAD以下だとゲームオーバーとなり、途中でAWFULより下がってしまうと即終了する。
-画面上部に横並びで表示されたボタンマークの上をノーツ(曲に合わせて進む顔アイコン。手本パートなら先生の顔、実技パートならパラッパの顔)が通り、マークの中心を通る際に一瞬膨らむ。これが最大に膨らんだ瞬間に指定されたボタンを入力すればジャストタイミングとなる。

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**評価点
-''独創的なゲーム性&新たなジャンルを開拓したこと''
--今作以前(8bit~16bit機時代)に音楽を扱ったゲームとしては『ドレミッコ』『ファミリーコンポーザー』などの演奏・創作系ソフトや、『オトッキー』などの別ジャンルのゲームに音楽の要素を含んだソフトなどがある。しかしいずれも現在の“音ゲー”とはまったく異なるものであった(その他『[[たけしの挑戦状]]』のカラオケイベントにて、マイク入力操作をボタン入力操作に切り替える裏技を使えば一応擬似的に“音ゲーっぽいもの”はできる。また『[[キャプテン ED]]』ではミニゲームのひとつにリズムパートのみに合わす演奏だが音ゲーがある。』)。
--音楽とリズムとゲーム性を融合させた独創的なシステムは現在に続くまで様々なフォロワーを生み続けている。今作の影響力が窺える。

-POPなビジュアルとユニークな演出
--ロドニー・アラン・グリーンブラット氏による可愛らしくもアーティスティックなキャラクターデザインが作品全体を彩っている(パラッパの友達であるサニー、ケイティ、P.Jはいずれもロドニー氏の既存キャラであった。ちなみにJ-POPの女性デュオグループ「Puffy」のジャケットやJR九州の「SUGOCA」のカエルも氏のデザインである。)。
---ヒロインが花に顔の付いた女の子だったり、空手の師範がタマネギだったりと登場人物も個性豊か。
---正面図と背面図を直接貼り合わせたような、ペラペラとした厚みのないキャラモデリングが特徴的。POPな雰囲気によくマッチしている(ロドニー氏は自身のウェブサイト"Whimsyload"にて、「松浦からロドニーのデジタル絵本Dazzeloidsのキャラクターを用いたデモを見せられ、キャラクターを平面にしてはどうかと提案してきた」と述べている。)。
--演奏中に変動する評価によって先生が呆れたり、怒ったり、笑顔になったりする演出もユニークで好評価。料理番組のステージではミスが続くと先生がテレビのスタジオから飛び出してパラッパに直接指導したりする。
--中にはトイレを我慢してラップバトルを勝ち抜く迷ステージもある。

-アドリブによる自由演技
--本作最大の特徴であり、他の音楽ゲームと一線を画す独自のシステムがこのアドリブである。手本にないタイミングでラップを挟むことで、GOODよりさらに上のCOOLへの評価移行のチャンスが訪れる(「最初のボタンは必ずお手本と同じボタンを押す」、「先生が使用したボタンを少なくとも1回は必ず使う」。この2つを守り、リズムにさえ合っていれば自由にラップを刻んで問題ない。)。
--評価がCOOLへ完全移行すると「マスターコース」と呼ばれるパラッパの独擅場となる。手本がなくなり、完全オリジナルのラップに挑戦することになる。COOLを維持したままステージクリアすると特殊な演出を見ることができる(マスターコースにも高スコアを目指す秘訣があるらしい。ボタンを押す回数を最も少なくしつつ、最も高得点を出すプレイは開発者である松浦氏も2017年現在まだ見たことがないとのこと。今作の奥深さを感じられる。)。
--手軽なボタン操作で自由自在にラップを刻んでいる感覚が楽しめる。手本から解放されてオリジナルラップを刻んでいく心地よさは今作ならでは。

-ラップゲームとして
--前奏、間奏部分など手本キャラのソロパートではしっかりと作られたラップソングが歌われる。
---音楽としてレベルが高いのはもちろん、正確な韻が特徴でラップとしても評価が高い。
---3面ではゲームのパートもガッツリ歌詞。もちろん韻も正確。
--キャラクターそれぞれも訛りの異なる英語を使う。ラップはまだ黒人・ギャング文化というイメージも強かった時代である。
---4面のチキンの先生は上品なクイーンズイングリッシュで口汚い罵倒語だらけの歌詞を歌うなどネタも仕込まれている。

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**賛否両論点
-極端に上がる難易度
--特によく話題に上るのがステージ4のニワトリ先生。単調なボタン入力や同ボタン連打だった前までのステージとは違い、あらゆるボタンを交えたプレイを要求され、テンポも早い。加えて裏打ち、同フレーズでもタイミングが変動するなど初見殺し満載。
--「それまでのステージが易しすぎたのでこれくらいで良い」との考えもあるが、初心者がぶつかる壁としてはやや大きく、乗り越えられずに投げ出したプレイヤーも当時は少なくなかった。

-COOLについての説明不足
--GOODのさらに上がCOOLであることはグレーアウト表示されているので誰の目にも明らかであるが、ゲーム進行中にそれに関する説明は一切されない。存在は確認できるが判定基準がわからないという状況に陥る。
--COOL及びマスターコースは今作独自のシステムであり、醍醐味でもあるため、隠し要素的扱いにする必要があったのか賛否が分かれる。真髄を味わわないままゲームを終えてしまったプレイヤーも少なからずいると考えると、なんとももったいないところ。

-松浦雅也氏の当時の色が殆ど無い楽曲
--このパラッパラッパーの発売と氏の関わった音楽ユニット「PSY・S」の解散が同年ということもあり多くのPSY・Sファンが松浦氏の新しいサウンドに触れられると期待していたが、PSY・Sの様な遊び心のあるピコピコシンセサイザーサウンドからかけ離れていたのを残念がる人もいた。
---主にwhat‘s inやサウンドストリートからの音楽ファンからだが、音楽の才能を評価する声もあればPSY・S解散後としてはバッサリ行き過ぎと悲しむ声も上がった((この松浦氏の姿勢についてはドライすぎると音楽誌でも評されていた。))。

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**問題点
-タイミング判定
--ノーツ通過時にボタンマークが膨らむので、その際に指定のボタンを入力すれば良いのだが、膨らむ速さがステージによって微妙に異なる。つまり、&bold(){流れるノーツがボタンマークの中心に来た瞬間がジャストとは限らない}ということである。ステージによっては中心だと速すぎ、もしくは遅すぎの判定となるため中心を意識しすぎてはいけない。手本をよく見ればわかるとはいえ、“音ゲー”に慣れていればいるほどタイミングが狂う。
--さらに今作は後の“音ゲー”と異なり、入力ごとの正誤判定が分からない。ボタンマークが膨らむタイミングを含め、何が正解で何が不正解かは手探りとなってしまう。そのため一部では前半はヌルゲー、後半は覚えゲーと言われる。

-クリアまでの短さ
--全6ステージ構成であり、スムーズに進めば1時間以内にクリアできてしまう。上述したコツを掴むのに梃子摺ったり途中で壁にぶつかったりしたとしても3時間もあれば終わる。やりこみ要素も特にないのでクリアしてしまえばそれっきりである。

-「やさしい」モードでは途中までしか遊べない
--「まずは気軽にイージーからやってみよう」と考えたプレイヤーが多数落ちた大きな穴。ステージ3で終わってしまいそれ以上は進めない。
--難易度の途中変更はできないのでふつうでもう一度ステージ1から進めるしかなくなる。

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**総評
基礎も何もない状態から生まれた元祖音楽ゲーム。類の見ないシステムでありつつ、音楽に合わせてデバイス入力して刻むという基礎的な部分は既に確立されている。~
ジャンルの始祖的作品ということもあって、ボリューム不足の他粗削りでややとっつき難い個所もあるが、うまい下手を気にせずアドリブを刻むという、後続の同ジャンル作品では見られなくなった自由度の高い遊びを内包している点に大きな独自性が存在している。

家庭用ゲームである今作の存在が音楽ゲームというジャンル誕生のきっかけとなり、今作の後に稼働開始したアーケードゲーム『[[beatmania]]』によって“音ゲー”の基盤が完成したことにより、新たなジャンルとして定番の地位を確立していくこととなる。


//進化した現在の快適な同ジャンルに慣れ親しんでいる音ゲーマーからすれば不便だったり、物足りなかったり、シビア過ぎたりとやや取っつきにくい点はあるかもしれない。
//後年の視点からの言及はNG
//-今作の真価は古典価値はもとよりマスターコースにある。リメイク版は価格も安いので、フリースタイルの独特の快感をぜひ味わってもらいたい。
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**移植
-PSP版・PS4版
--基本的にPSオリジナル版のベタ移植であるため、&bold(){問題点などもすべてそのまま}となっている。
---操作画面の画質は強化されているものの、イベントムービーは当時そのままのため、かなりノイズが目立つ。
---一応、STARTボタンがリトライからポーズ画面になっている、などの変更はある。
--PSP版では画面サイズ比率変更、アドホックによる4人対戦機能などがある。また「アペンドきょく」(スコアによって変化する曲のアレンジバージョンで固定して遊べる)の配信などもあった。
--PS4版ではグラフィックの向上・一部変更、即時リトライ可能、「アペンドきょく」、また追加要素として「フィール・ザ・ビート」(DUALSHOCK®振動機能)、「シー・ザ・ビート」(アイコンの拡大表示)などがある。
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**続編等
-後に直接の続編としてPS2『[[パラッパラッパー2]]』が発売された。
--この他にも本作の流れを継ぐPS『[[ウンジャマ・ラミー]]』とWii『メジャマジ・マーチ』も発売されているが、共に本作程の評価を受けていない。

-本作のヒットを受けてか、本作の主人公のパラッパは『[[クラッシュ・バンディクー]]』のクラッシュと共に1990年代後半におけるSCEのマスコットキャラクターとしてCMや雑誌等様々な宣伝媒体で活動する事になった。

-2001年4月から翌年1月までフジテレビによりアニメ化された。監督は『デ・ジ・キャラット』や『[[魁!!クロマティ高校]]』の桜井弘明氏。音楽は原作に引き続き松浦氏が担当した。
--さらに2016年10月には発売20周年を記念し、パラッパの友達であるP.Jを主人公にした『PJベリーのもぐもぐむにゃむにゃ』というアニメがフジテレビ『#ハイ_ポール』中の1コーナーにて放送された。

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**余談
-「2008CESAゲーム白書」によると半年かけて“じわ売れ”し、累計販売本数148万本を記録。「“音ゲー”のなかでもっとも売れた作品」として1位の座を12年間維持し続けた(記録を塗り替えたのは『[[リズム天国ゴールド]]』である。)。

-開発当時は音楽ゲームの前例や見本がなく全く新しいものだったため、開発スタッフもどう扱ってよいものかわからなかったという。中には「これはゲームではない」との声もあった[[(参照)>https://www.jp.playstation.com/blog/detail/4807/20170405-parapparapper.html?tkgpscom=dc_parapparapper_media_20170405]]。

-松浦氏は2017年の[[インタビュー>https://spice.eplus.jp/articles/132081]]にて「表現や音楽は自由なものだ」と述べており、100点満点のある音楽ゲームが多くなったことも憂いているようだ。自由にラップを刻めるマスターコースは松浦氏だからこそ生まれたシステムなのかもしれない。