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イースVIII -Lacrimosa of DANA- - (2024/03/10 (日) 18:23:20) のソース

#contents(fromhere)
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*イースVIII -Lacrimosa of DANA-
【いーすえいと -らくりもさ おぶ だーな-】
|ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B01DD28SUA)&amazon(B01DD6W5RI)|
|対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~|
|発売・開発元|日本ファルコム|~|
|発売日|2016年7月21日|~|
|定価|通常版7,344円&br;数量限定プレミアムBOX9,504円&br;ダウンロード版6,200円&br;(各税8%込)|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|コンテンツアイコン|暴力・セクシャル|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|2人の主人公の物語&br()大幅増のボリューム&br()ストーリーがかなり丁寧に&br()アクション性は二長二短|~|
|>|>|CENTER:''[[イースシリーズ]]''|
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**概要
『イース』シリーズのナンバリング第8作。時系列としては『V』と『VI』の間に位置する。~
船が沈没し呪われた島と呼ばれるセイレン島へ流れ着いたアドルの冒険が描かれる。

シリーズ主人公アドルと、彼の夢に現れる少女ダーナのダブル主人公でストーリーが進められる。

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**あらすじ
#region(公式サイトより引用)
君はアドル=クリスティンを知っているか?~
~
稀代"冒険家"アドル=クリスティン~
彼は生涯をかけて幾多の冒険に挑み、~
百余冊にも及ぶ"冒険日誌"を残した。~
~
この物語はその"冒険日誌"の一冊、~
『ゲーテ海案内記』に記されている~
アドルの冒険のひとつである――。~
~
~
《セイレン島》~
~
グリーク南方の多島海~
"ゲーテ海"に浮かぶその島の海域では~
航行する船が謎の沈没を遂げるという噂があった。~
~
サンドリアからエレシア大陸に向かう旅客船~
《ロンバルディア号》に乗り込んだアドルは~
突然船を襲った巨大海洋生物によって~
乗客たちとともに船の沈没に巻き込まれる。~
~
目を覚ますと~
そこは輝くような白い砂浜の広がる海岸。~
沖に目をやったアドルは気づく。~
~
その島が"永遠に呪われた島"~
《セイレン島》であることに。~
~
人の手の入ったことのない原始の自然。~
外界とは異なる進化を遂げた奇妙な生物たち。~
そして、点在する謎の古代文明遺跡。~
~
漂着したほかの乗客たちを救出し~
人間に襲い掛かる《古代種》から身を守るため、~
拠点となる"漂流村"を築いていくアドルたち。~
~
~
やがて、アドルはその地で不思議な"夢"を見る。~
蒼い髪色をした神秘的な少女と、彼女が生きる見知らぬ世界。~
~
~
なぜその島が"永遠に呪われた島"と呼ばれるのか。~
その島に秘められた大いなる謎とは。~
~
そして、アドルの夢に現れる少女とは何者なのか――。~
~
~
伝説の波間に埋もれた絶海の孤島で~
アドルの新たな冒険が始まる!~
#endregion

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**システム
『[[イースSEVEN]]』『[[セルセタの樹海>イース セルセタの樹海]]』から続く、3人パーティ制のアクションRPG。~
本作の特徴やセルセタの樹海との相違点を挙げる。
-フリーカメラになり視点が自由に動かせるようになった。
--この影響か、操作キャラクターを変更した際にキャラの位置ごと入れ替わるようになった((簡単に言えば操作キャラの切り替え=変身であり、カメラが別位置のキャラに追従移動しない。))。

-ジャンプが復活した。

-アドルの見るダーナの夢。

--夢の中ではダーナを操作することができ、そこで起こした行動でアドル側の世界に影響を与えることができる。

-通常ガードの廃止
--スキル発動とフラッシュガード発動が同じボタンになったため。

-「ブレイク」の追加
--弱点属性で攻撃すると敵のブレイク値が溜まり、いっぱいになるとブレイク状態にできる。
--ブレイクされた敵は追加ダメージが入りアイテムを落とすほか、防御力が減少したうえ弱点属性以外でも弱点属性並のダメージになる。

-「迎撃戦」の追加
--拠点となる漂流村を守るべく次々と襲い来るモンスターを迎え撃つ。
--迎撃戦中は戦況によってはスキルポイントが自動回復し、漂流村の仲間の援護を受けることができる。

-「好感度」の追加
--漂流村の仲間の依頼をこなしたりプレゼントを上げることで好感度を上げることができる。
---分かりやすく言えば、『軌跡シリーズ』や『[[東亰ザナドゥ]]』の絆、縁イベントのようなもので、特別なイベントが見られてキャラクターの掘り下げになる上、迎撃戦のサポートの能力が上がったり、特別なアイテムを入手するチャンスなどが生まれる。
-料理・釣り・ロケーションポイント((島にある変わった地形など。採取ポイントが近くにあることが多く、ゲーム後半からはファストトラベルの標識にできる。))の追加。~
通貨は無く、素材のみのやり取り。
--これらは無人島の冒険に合わせた要素。

-パーソナルアクションの廃止。

-イベントスキップが実装された。初見イベントすらスキップ可。

-武器・防具の強化による特殊効果の付与(状態異常攻撃や移動速度アップなど)は廃止。

その他、冒険具((装備することでツタを登ったり水に潜れるようになる。SEVENのパーティー装備アイテム、セルセタの魔法具と同じ))の複数装備や素材辞典からの落とす敵の逆引き、周回時の引継ぎ要素の細分化など、細かい快適さが増している。

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**評価点
-&bold(){島を丸ごと使い大幅に増した探索要素とボリューム}
--舞台となるセイレン島を隅々まで探索でき、仲間が増えてから行けるところが増えたとか、~
強くなったから高レベルの雑魚を敵を倒しに行こうとか、一度通ったフィールドでも後々再探索する楽しみがある。
---シナリオ進行に必須でないダンジョンが大幅に増え、ストーリーを優先するか探索を優先するかで迷いがいがある。
---公称のプレイ時間は50~60時間で、セルセタの20~30時間に比べてほぼ倍になっている。
--地図に何かありそうな地点やクエストポイントなども記され、ファストトラベルも使いやすくて非常に親切。
--マップはエリアごとに分かれているものの遠景まで表示されており、山から下を見下ろしても浅瀬の方まで見通せる。プレイヤー自身の視覚でも絶海の孤島と探索を実感できる。
--漂流村の設定を崩さないシステム
---本作は漂流者同士でやりとりするため、お金の概念がなく全て物々交換である。
---追加された釣りや料理も無人島で生活するというコンセプトに合っている。ひたすら大物を狙うのもありだし、新しい場所で何が釣れるか試すのも楽しい。
--前作セルセタでも好評だった「探索」をより広く深くし、サポート面も進化しておりさらに楽しめる。

-&bold(){丁寧なストーリー進行・キャラクター描写}
--基本的にアドルたちは漂流者を集め、セイレン島からの脱出を目指すことを目的としている。
---後半からはアドルが夢で見るダーナが関わって来て、彼女の背負う過去やセイレン島に隠された秘密が明らかになっていく。
---島から脱出する術を探すことにダーナの行動や知識が関わっており、彼女の「自分の過去に何が起こったのか知る」という目的と脱出とが乖離せず進んでいく。
--ダブル主人公に違わず、中盤開始時辺りからダーナの掘り下げが行われる。彼女は明るく前向きな性格で、感情移入、および共感しやすいキャラになっている。
//操作できるのはキルゴール倒すより後だし、序盤というのはどうだろう。
---巧みなのは、「現代では既に滅んでいる」都市が舞台となりつつ、それが平和に栄えていた時代におけるダーナと国民たちの交流が描かれていること。近いうちに滅んでしまうことを知らずに、日々を生きる人々の描写は、その後の崩壊を考えると涙を禁じ得ないものになっている。
--ドギはセルセタでほとんど出番がなかったが、本作では漂流村のまとめ役として存在感が大きい。
--漂流村の仲間も子供から老人まで揃い、彼らが何かしらの役割を得たりクエストをこなすことで悩みが解消されたり、~
会話やプレゼントで意外な一面が見えたりで全てのキャラがきちんとキャラ立ちしており、空気キャラ化している者はいない。
---好感度を上げると迎撃戦で有利に戦えるため、積極的に仲を深めようという気になる。
---サブキャラにも全てボイスがついており、キャラの印象を強めるのに一役買っている。
---プレイアブルキャラも戦闘以外でいろいろ喋る。中小のイベントも多く、セルセタ等であった参入以降ほぼ会話がないキャラは居ない。勿論キャラ描写という点でも大幅アップしている。
--世界の危機という演出でも、前作ではロクに描写がなく実感が持てなかった(広くは無い地域((現実世界でいうと地中海沿岸))で広域に及ぶ天変地異を毎年連発させる訳にも行かないのだろうが)。しかし本作では「それによって滅んだ世界」が中盤からの核となることもあり、世界の危機が実感できる。
--このあたりはSEVENやセルセタではあっさりしすぎと評する声が多かった点であり、大幅な改善が成されている。どうせイースでしょ、と思っていると良い意味で裏切られるだろう。そしてクリア後、タイトルとOP曲の示唆するものを理解することになる。
--なお、本作のシナリオは、ファルコムの社長を務めている近藤季洋氏自らが手掛けている。

-&bold(){軽快さが増したアクション}
--スキルフィニッシュ時の演出がセルセタに比べて大幅に短くなり、イチイチ止まることなく非常にスピーディに。
--ジャンプが追加されアクションのバリエーションも増えた((『フェルガナ』ほどには性能が高くなく、相応に重要性は低めだが。))。
--ガードとスキル発動が同じボタンになったことで、フラッシュガード ⇒ スキル発動の流れが手軽にスムーズに行えるように。
--ブレイクが追加されたことで、スキル性能がより差別化されるようになった。
--フラッシュガードやフラッシュムーブの効果時間が表示されるようになり、攻めと回避の選択がしやすくなった。
--ボスのバリエーションも多く、ほぼ全てのボスで残り体力で攻撃パターンが変化するなど最後まで飽きにくい。
--新しく追加された迎撃戦は、戦況や仲間のサポートによってはスキルやEXTRAスキルを連発でき、気持ちが良い。
---迎撃戦は防衛&濃密となっており、普段の探索とは対照的。バトルという点でも良いアクセントになっている。

-&bold(){熱く疾走感のあるBGM×シナリオなどとのリンク性}
--定評のあるファルコムミュージックだが、本作も例に漏れない。
--最初のフィールドで流れる「SUNSHINE COASTLINE」や中盤の文字通りの山場となる「GENS D'ARMES」など、フィールド曲はどれも疾走感と熱さが非常に高く、探索意欲の向上に一役買っている。
--汎用ボス戦はこれまでのイースらしい激しいメタル調ではあるが、本編のラスボス戦やエピローグのラスボス戦は、これまでのイースらしさから脱却したドラマチックなBGMとなっている。これはサウンドチームの言う「新しいイースミュージック」を体現しているといえよう。
--しかもただ単に合っているだけでなく、世界が絶望で覆われていく中でも舞い駆けるダーナの如き「ICLUCIAN DANCE」など、シナリオやテーマとのリンク性も高い。前述の「SUNSHINE COASTLINE」も南海の浜辺に合うだけでなく、絶海の孤島に一人打ち上げられたという状況でも、思わず駆け出すほど溢れるアドルの冒険心のようである。
--なおファルコムミュージックといえばエレキギターがガンガン効いた、というところだが、過去編では基本使われていない。例外は「ICLUCIAN DANCE」だがベースが少々程度でメインは弦楽器とピアノ。そういう風に現代編の曲、ラスボス曲「AtoZ」、そして真エンド曲と、使われている楽器で考えても全体としての統一が図られているのがわかる。
--これらは初回プレイよりも、音楽を聞いて思い返す時にその真価がわかるだろう。

-さらに良くなったグラフィック
--島の風景は美しく、冒険する楽しみを増やしてくれる。水場や日差しの強さなどもしっかり表現。視線を上に向ければ山がそびえ、鳥が見えることもある。
---高いところから遠くが見え、先を見たり村を見たりもでき、それが実際のマップとしっかり合致している。この点でも探索を実感できる。
--OPアニメが前作の一部のみ動くアニメから全編アニメになり、かなり良くなった((他の良いものと比較して特に優れるという訳ではないが、イースシリーズとしてはという意味で。))。またOP以外でも2,3の重要なポイントでアニメが使われている。
--セルセタではアップにすると一部の動作に不自然な点があった(倒れたのに浮いているアドル、物の受け渡しで至近距離ワープ、など)が、本作ではそれが無い。また会話時のバストアップが無くなっていることに気づけない程、モデルはよく動き表情が変わる。

-またもや前作問題点に改善策を導入
--上でも書かれているが、前作セルセタでの「スキルヒット毎に止まるので、テンポがちょっと悪い」「キャラ描写やストーリーがあっさり」という点は大幅に改善されている。
--「周回時、引き継ぎできすぎる」という意見もあった点については、引き継ぎする項目を個別に選べるようになった。これにより「武器だけ」や「キャラのレベル以外全部」などの引き継ぎをカスタマイズできるようになった。
--プレイアブルキャラの格差についても、どのキャラも十分使えるようになった。没個性化しているかというと全くそうではなく、個性的ながらプレイヤーの好みやシチュエーションで選べるようになっている。%%前作の最強キャラの強さもある意味好評だったが。%%
--一方で好評だった点についても、「探索」はサポート面も含めて大幅アップ。「幅広い難易度の窓口」「アクションの軽快さ」「爽快なバトル」は更にアップと、本Wikiに挙げられている評価点は継続・増強、問題点は改善されている点が多く、前作に引き続きユーザーの評価に真摯な面が見える。

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**賛否両論点
-ストーリーについて
--アドルとダーナの意識共有はラストで理由が明かされるが、ご都合主義的ではある。
---これに限らず、大穴に落ち続ける海水、経た年月から考えると異常なほど残っている遺跡((化石と同等のはずの年代から考えると、残る以前にかなり下の地層に埋まっているはず。))、とある苗木について等々、全般的に裏打ちとなる理屈・理由付けがかなり弱いか無いため、考えると不自然すぎるのに気づいてしまう。
---もっとも、一番の根幹であるダーナについては問題ないので、普通に気づかないか流せるレベル。
--ダブル主人公と言いつつも、終盤からラストにかけてはダーナにシナリオの比重が置かれている。
---ストーリーの核心を握っているのは彼女である以上、仕方のない部分もあるが。
---またゲーム冒頭のアドルの著書『ゲーテ海案内記』の記述を見ると、アドルから見たダーナの物語と取ることもできる。
--軌跡シリーズにありがちな、「気に入った言葉を多用する」という現象が、わずかながら見受けられる。
---特に、出身も思考力もまるで違うキャラクターたちが、脅威が去った後に必ずと言っていいほど『人心地がつく』という単語を発するのには違和感がある。

#region(エンディングの描写(ネタバレ注意))
-ゲーム自体は「日誌を読んだ後世の人間が、パーティーメンバーのその後について過去の資料から語る」という体裁のナレーションで締めくくられる。~
しかし、日誌の内容に当たる本編のオチは「パーティーメンバー以外は知らない世界改変で、大半が無かったことになる」というもの。他の人間からすれば与太同然で、真面目に受け取ったり他の日誌を資料として期待するようなものではなく、さらに裏稼業を営むキャラの事情に妙に詳しい語りにも違和感が有る((このキャラに関する部分は"現在のこと"としか解釈できない伝聞調で書かれており(=ナレーターは同時代の人物扱い)、文章を練っている途中だったものをそのまま使った可能性がある。))。~
手法としてはともかく、キャラとして登場せずとも作品を締める語り手にも"立ち位置"があることを考えてテキスト内容を練るべきだっただろう。
#endregion

-結末について
#region(ネタバレ注意)
-結末は世界の崩壊を止めようしたダーナが代償として概念と化してしまい、~
最終的にこれまでのはじまりの大樹に代わって生物の進化を司る「進化の神」となってしまう。
--さらに世界の崩壊は、結果的にアドルたちが引き起こしたことになってしまっている。かといってこの行動を起こさなければ人類の滅亡が確定するため、ある意味どうにもならなかったとも言えるし、ダーナとアドルだからこそ回避できたという点はしっかり説明されている。

-この結末には「世界の理に抗い続けた彼女が、一人の人間として幸せになれないのは納得がいかない、あるいは残念だ」という意見もある。また抗ったものそのものになってしまったのも判断が難しいところ。
--もっとも、ダーナは滅び去った国でただ一人生き残ってしまったという過去を背負わされたため、1人の人間として幸せになれた可能性は残念ながら高くはない。アドルと共に旅に出られれば別だろうが、それはシリーズとして許されないことである。

-世界の真相について
--端的にいえば「デウス・エクス・マキナ」である。突然現れた全能神が「すべて私の夢でした」というのはそれまでの様々なことの説明にはなるものの、逆にいえば、それまでのプレイヤーやキャラクターの奮戦が有資格者以外のは意味がない=台無しともいえる。人の意思や奮戦、可能性の意味がなく、また将来を考えても、人も大地の一部に過ぎないし超えることはない、ということでもある。
-- 気にせずスルーできている人も多いが、気にする人も少なくない。
#endregion
---ちなみに本作のエンディングにはEND1(バッドエンド)・END2(ノーマルエンド)・真ENDがあるのだが、真相がわからないEND1を見ようとするとイベントをほぼ無視することになる。~
むしろ真ENDのほうがよほど見やすい。というより普通に依頼をこなそうとすれば、かなり取り逃しがあっても達成できるので、他エンドがあると気づかない人も少なくないだろう((クリア後に作れるクリアデータに「真END」の表記があるので、そこに気づけば他のエンディングがあると察することができる。END1・END2ではクリアデータ表記以外にエンディング分岐についてのアドバイスも出る。))。

-ボイスについて
--サブキャラにもほぼボイスがついているが、登場シーンと重要なイベントぐらいでボイスの量自体は多くない。
--イースでは初めて紹介シーンで名前と声優名を併記しているが、サブキャラは兼役が多くメタな部分を見せつけられ萎えることも。
---兼役の声優も演じ分けはきっちりしているので、気にならない人にとっては問題ない。
---この点は『閃』シリーズでも賛否両論(というか完全に否寄り)の問題点として挙げられているが、そもそもどの声優が誰を担当したかは他のゲームのようにEDのスタッフロールで表記すれば良いだけ…というより、最初からそうしておけば別に問題も起きないのだが。

//-素材の集めづらさ
//--『SEVEN』からと同様に特定のポイントで素材を収集するのだが、本作のAIは採取行動を行わず(ドロップアイテムは拾う)入手する際には自分で一度攻撃する必要があり、放置採取が出来なくなった。また採取ポイントの復活条件がはっきりせず、ポイントが復活するまで延々とマップ移動(またはセーブ&ロード)をする必要がある。~
//それでいてレア素材は中々出にくく、交換のラインナップに挙がりきる終盤までは作業感が強い。ズルが出来なくなったという点ではやりこみ度が改善されたともいえるが…。
//--素材の系統とランクが判りやすくなり、上位のものを下位のものに交換することもできるようになったため、交換所自体は便利になった。
//--戦闘の直後にイベント(下記のギミック含む)が起きると、その敵がアイテムをドロップしていても消滅してしまう事がある。イベント敵は基本的にその時点では貴重な素材を落とすため非常に勿体ない事になってしまう。

-周回要素が薄い。
--クリアすると追加されるのはボスラッシュのみ。
--一周目をナイトメアで始めれば取り逃しなくプレイするだけでトロコンできてしまう。ただし一周目でナイトメアはかなり難しい。
---漂流村を未強化の状態で行わなければならない最初の迎撃戦は、対策が取りづらく妙に難しかったりする。
--セルセタなどであった究極の武器などの要素も薄い(今回は防具だが、普通に買えるものと同等程度)。
---何周もやらないプレイヤーにとっては何も問題はない。特に今作は一周クリアするだけでもかなり労力を要する。

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**問題点
-グラフィック
--モデリングの出来は従来と比べて向上しているもののあと一歩の出来。~
戦闘のアクションは申し分ないが、イベント時のそれは種類が多くなく((腕組、手で何かを示す動作、手のひらに拳を打ち付ける動作など、だいたいパターンがある。))もっさり感は払拭できない。
//--PSVではキャラの表示数が多くなるとキャラにジャギーが出る。
//初期型PSVで確認。VITA TVはわかりません。

-カメラワーク
--カメラが壁際ではその隙間に割り込む&アップになるという仕様のため、一部のボス戦で巨体によって画面が覆われるなど、壁際に擦り寄られると非常に見づらくなる。立ち回りでフォローはできるが、ボスの行動パターンによってはどうしようもない時もある。
---位置次第では強ザコクラスですら発生する。しかも対象が近すぎると透明になるという仕様のため、かなりアップになり視野を狭くさせられた上に透明な攻撃で透明な自分がダメージを食らう、という非常にわけがわからない状態にもなりえる。
--普段では程よく自動で動き良好なだけに、非常にもったいない。カメラは変更させないという仕様が明確に支障になっている。しかも最もこれが発生しやすいのは初回プレイの最初の洞窟の最初の大型敵、だったりする。

-長くて冗長なゲーム冒頭
--プロローグ部分では、かなり長い時間が、船の中の探索や登場人物の自己紹介に割かれる。~
お使い感の際立つ進行に加え、船内のグラフィックスの粗さ、登場人物たちの棒立ちっぷりもひどく、本編が面白くなるより前にゲンナリしてしまいがち。
--おまけに、やたらと強いギミックもちのボスを倒さなければ、ゲーム本編は実質的に開始すらしない。どのみち船は沈むのに、ボスに勝つ必要がある点も謎。
--生存した各人とは、島でも再び合流し直して、あいさつや自己紹介も再び行うことになる。
--いっそ冒頭は語り口調のみで全て省略し、島に漂着した部分からストーリーを開始するべきだったのではなかろうか。

-変わらない戦闘
--戦闘システム自体は悪くないものの、基本は『SEVEN』『セルセタ』と変わりないためマンネリ感も。
--アクションは増えたが、操作性・自由度が下がった(後述)ことやスキルの性能が低下したこともあって、前作より単純に優れるとはいいがたい。
-テンポの悪いギミック
--ダンジョンのギミックを作動させたときに一々止まって映し出されるのも相変わらず。
--迷わないようにとの配慮かもしれないが、作用する場所はすぐ近くばかりなので、分かりきっているものをわざわざ映す必要性も薄いだろう。
---早送りはできるがスキップはできない。前作セルセタでもかなり不評だったのだが、何故修正しなかったのだろう。量自体は大幅に削減されているが。

-カメラの自由度で悪化した点がある
--倍率や視点がある程度変更できるが、動くと勝手に倍率と上下角がデフォルトに戻される。セルセタのようにアクションをよく見たいと思ってもできない。また倍率に関しては標準からズームインはできるがズームアウトはできない。
//--カメラの倍率や視点がある程度変更できるが、動くと勝手に固定倍率・固定角度に戻される。セルセタのように広い視界やアクションをよく見たいと思ってもできない。先述のボス戦カメラワーク問題もこの自由度を取っておけば避け得たはず。なぜこうしたのか。
//なぜこうしたのかと言うより、そもそもフリーカメラってそんなもんじゃね。少なくとも見えない角度からの攻撃がある事前提に作られたフリーカメラ制のゲームで7やセルセタみたいに全周囲から攻撃が見える視点で固定が可能なら難易度が激減すると思う。ただそれをふまえた上で、フリーカメラ制の8よりも視点固定の7やセルセタの方が評判が良かったというなら確かに問題点だと思うが。
//このゲームで見えない角度からの攻撃はあまり無いと思われる。というか基本タイマン個別撃破くらいで行かないとガシガシ食らうし。

-爽快さの低下
//--ザコの察知能力がかなり高く、近づいたら確実に気づきしっかり迎撃してくる。更には攻撃を当ててもあまり怯まないので、やたらと細かいダメージを食らう。連続技やスキルを当てている最中にその敵からチマチマとダメージを食らう、なんてことが多々有り、セルセタで好評だった「サクサク進むザコ戦」はかなり弱くなっている。
//全部当たり前なだけ。向かって言っては攻撃のガチャプレイで被弾しない設計の方がはるかに問題。そして今作は相手の動きや特性も理解してなお細かい攻撃を食らうわけでは決してない。相手の攻撃をジャンプやフラムフラガや待って空振りさせる等してから攻撃すればいい。というかこうでなくてはならない。そもそも飛び道具や広範囲攻撃であれば普通に向かって言っては攻撃でも被弾しない等いくらでも戦い方はある。つまり単にプレイ側が下手なだけ。
--ちなみに通常攻撃を繰り出している最中にもフラッシュガードは可能。そのため、火力を求めないなら通常攻撃が最も安定する。消費SPが高くなるほどスキル中に受けるダメージは軽減されるものの、高難易度では長いスキルは無敵時間中でないとまともに使えない。
//--また、ザコ敵は見た目が明らかな「草食獣」であっても、主人公一行が近づくと積極的に襲ってくる。こちらを感知していない時は、(見た目)肉食獣と(見た目)草食獣が特に争っている様子も無いのに。
//---折角「古代の絶景を眺めながら散策」したくとも周りの殺意が強すぎるため、「群がる敵をとりあえず全滅させてから散策」か「ダッシュで逃げ切る」シチュエーションばかり。一応、眺めの良いロケーションポイント周辺にはNPCモンスターが出ない様にはなっているが。
//---結局、NPCモンスターは見た目のバリエーションはあっても属性と固さと攻撃方法が違うだけで、周りは全て敵であり希少種だろうが古代種だろうがサーチアンドデストロイである。人の業は深い。
//かなり適当なガチャプレイじゃないんですか?草食恐竜をベースにした古代種は普通にこちらから攻撃しない限り襲ってこない。そして代表的な肉食獣のティラノやラプトルをベースにした古代種は向こうから襲ってくる。
--キャンセルが全面的に不可に。キャラチェンジキャンセルという応用性や、EXスキル中に被せて叩き込む爽快感が失われた。またダッシュや必殺技などでのキャンセルもできなくなったため、動作が重く感じる。慎重に動けということかもしれないが、この面での軽快さは大きく落ちた。
--ザコの属性持ちがSEVEN並かそれ以上に増え、セルセタでの改善が戻ってしまった。ブレイクというシステムはあるが、特段ブレイク狙いの技などが無いため、結局粗方ダメージを与え終えた敵のトドメが少し早くなる程度のシステムにしかなっていない。
//--属性が違う場合のダメージが、セルセタよりSEVENに近い仕様になり、カスに近いダメージに。使い分けの必要性を強めたかったのだろうが、爽快感の悪化と見る人が多いだろう。
//↑試したところセルセタと大差ないです。おそらく強く感じる理由はブレイクするから。この文脈だと「ブレイク強すぎ・ブレイク前提」みたいな方向でしょうか。個人的にはむしろブレイクで爽快ですが。
--回避の性能が弱く、フラッシュムーブのタイミングもわかりにくくなり、回避したのに食らうということが多々。回避移動距離の悪化もあってか広範囲攻撃では特に多い。
--敵側の高いホーミング性能の攻撃や広範囲攻撃が多く、巨体で高誘導突進をやってくる輩まで居る始末。そうしてプレイヤーにフラッシュガード・フラッシュムーブしろと強要してくる。
--加えて固定ガードの廃止・ジャンプの性能の悪さもあって防御行動の安定度が低下。そのくせキャンセル不可なのでキャラが反応しない状況が多々ある。これらの結果、セルセタでの「下手or難しいなら早めガードで確実に(削られるけど)、普通なら回避、慣れたならフラッシュムーブ、見切ったならフラッシュガード」という綺麗な仕分けが「フラッシュガード・フラッシュムーブを成功させなければダメージ」になってしまい、初心者に悪く上級者にもイマイチな仕様に。とはいえ、フラッシュガードはフラッシュムーブに比べてだいぶ受付時間が長いので、ある意味では一般的な「防御」寄りの性能は持っているだろうという意見もある。
--仲間のAIは『セルセタ』並に攻撃を食らうくせに採取をせずドロップ回収も消極的なため、より悪化した感がある。SEVEN並に回避しても何の問題もないはずなのだが…。
--これらもあって、アクション性がセルセタより単純に優れるとは言い難くなっているのが非常に残念。特に防御回避面の弱体化やザコの強化は、体力回復が容易になったとはいえ初心者への優しさが低下、セルセタ経験者にはストレスになる所。セルセタでの「できる」感覚が「やらされ」感になったのも惜しい。

-スキルに標準で備わっている状態異常
--リコッタの一部の技などは燃焼の状態異常を起こせるが説明が不十分で気づきにくい。

-セルセタより更に悪化したロード時間
--気になる程度の長さであることが多く、イベント前などはそこそこ長い。問題となるレベルかはギリギリというところだが。
--拠点の村は4つのエリアに分かれており、村の中を行き来するだけでロードを挟むのもわずらわしく感じる。

-唐突なマスコットキャラ
--セルセタに続いて”みっしぃ”が登場するのだが、何故か遭遇は必須イベント((メインルートのマップを通り過ぎようとすると「何かの気配がする」と仲間に呼び戻されてテンポが阻害される。そもそも特に隠れてはいないので注意される前に見つけられるが))。その後の関連サブイベントは任意。
//---珍獣扱いとはいえ、ゆるキャラ的なデザインは鮮やかで濃淡ある色調のイラストを基にした本作のイメージからはかなり外れている。~
//上記のような記載は登場の発端となった「セルセタ」ですべきであり今更本作で書くことではないと思う。
//セルセタでは公式キャラ紹介に載せてあったのもあるし、キャラの浮きっぷりが増したと思う。それなのにわざわざ強制イベントなあたりがおかしい。
--セルセタの時点でもデザインは浮いていたが、本作では3Dモデルの精緻化とイラストが鮮やかで濃淡ある色調になったことによる雰囲気の変化(セルセタではアニメ調だった)のため、ゲーム内での異物感も増している。
--会社のマスコットをゲームに出すことがおかしいわけではないが、サブクエなりクリア後のオマケなり、ゲームとキャラに合わせた出番や設定ではダメだったのか?

-ボス戦の仕様
--ボス戦中は編成(メインと控えのキャラ入れ替え)と装備変更が不可能になる。それ自体は問題ないが、問題は敗北した時のリトライ仕様。ボス戦で敗北すると「リトライ(ボス戦開始時からやり直す)」「難易度を下げてリトライ」「セーブデータをロードする」「タイトルに戻る」の四つの選択肢が出て一つを選ぶことになる。
--これの何が問題かと言うと、「一度敗北してボスの行動パターンを把握したのでパーティ編成や耐性装備を整えてリトライする」という行動ができないことにある。リトライを選ぶとボス戦開始からスタートなので変更できず、ロードしてやり直す選択肢はセーブをしばらくしていなかった場合等は選びにくい。タイトルに戻るは論外。結局、同じ装備・編成のままリトライするか、難易度を下げるかの二択になる。
--一応、ほとんどのボス戦手前に全回復&ファストトラベルポイントとなるクリスタルがある。そのため、探索中にクリスタルを発見したらそこでセーブする癖をつけるか、クリスタルに触れることによるオートセーブに頼れば、ロードしてやり直すことはできるが、装備・編成を変えてリトライする選択肢も欲しかった。

**総評
定評のあるアクションをさらに軽快にし、探索とストーリーにも重きを置いた本作。~
探索では自発的にあそこに行ってみよう、何があるだろうかと思わず冒険したくなるようにできており、~
ストーリーは仲間を集めて漂流村を発展させ、ダーナの人となりや悲劇を知り逆境に立ち向かっていく様にのめり込める。~
まさにイースシリーズの一つの完成形とも言える仕上がりとなっている。~

古いといわれるJRPGのフォーマットで新技術を入れなくても、シナリオ・キャククター・操作性・音楽といった基本をしっかりやれば名作となりえることを示した。JRPGに否定的な海外でも非常に評価が高い。~
SEVEN、セルセタと受け継がれ改善されてきた流れの一部がオミットしてしまったのは残念だが、ストーリーやボリューム等々違う部分での楽しみが多々あり、十分に名作といえるだろう。~

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*イースVIII -Lacrimosa of DANA-(PS4/Switch版)
【いーすえいと -らくりもさ おぶ だーな-】
|ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B01NCZCB2H)&amazon(B07BH7ZT4X)|
|対応機種|プレイステーション4&br;Nintendo Switch|~|
|発売・開発元|日本ファルコム|~|
|発売日|【PS4】2017年5月25日&br;【Switch】2018年6月28日|~|
|定価|通常版:7,344円&br;ダウンロード版:6,800円|~|
|廉価版|クリスマスGiftパッケージ&br;2018年12月20日/5,280円&br;スーパープライス&br;2019年6月20日/4,584円|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|
|コンテンツアイコン|暴力・セクシャル|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
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**特徴(PS4/Switch)
PSV版から劣化した要素はほぼなく、動作の改善と各種の追加要素が主となる。~
なおPSV版からのデータコンバートなどはない(PSV版も持っている場合、特典DLCを得られる)。

-ダーナ編の追加要素。
--PSV版ではお使いと目的地への到達が主であったが、PS4版では育成要素と新ダンジョンが追加され、ARPG要素が強化。
--ダーナ編でのみ挑戦できるダンジョン「地下聖堂」が追加。
--また、デフォルトの斬属性に追加して、打・射属性を使用できる様になる「スタイルチェンジ」が追加。地下聖堂を攻略するためにはそれぞれの属性の攻撃を使い分ける必要があり、またフィールド上の敵もアドル編と同じく3属性とも出現するようになったため、状況や敵に合わせて効果的にスタイルチェンジを行っていく必要ができた。
--他にも、精霊集めによるステータス強化、買い物などが追加された。

-アドル編の追加要素
--1周目をクリアすると、アドル編のマップに(ダーナ編の「地下聖堂」に現在の時間軸から挑む)「旧地下聖堂」ダンジョンが出現。
--旧地下聖堂をクリアすることでアドル編のキャラクターを自由な攻撃属性に変更させるアイテムが手に入り、同時にパーティーの前衛人数を減らすことができる様になる、以降は好きなキャラでの一人旅攻略が可能になる((ダーナのスタイルチェンジと違い、スキルやモーションは固定で発生する攻撃属性が変化するだけであるが。))。

-防衛戦に追加して制圧戦の発生
--タワーディフェンスの「攻め込む側」をプレイできるモード。
-夜探索の追加。
--特定のクエストを受けると、以降から挑戦できる探索要素。
--既存マップの特定の区画を夜間に探索する。探索可能になった直後ではまともにダメージが通らないレベルの敵、昼間よりも密度の高い敵集団など、敵を倒すよりも避けながら駆け抜けるのが主となる「探索」に特化したモード。
--昼とは別に宝箱が配置される他、採取ポイントから採れる回復アイテムのランクが高いなど難易度に見合ったリターンがある。

-周回要素に「インフィニティモード」が追加。
--通常の難易度設定とは別に、敵の基礎ステータスを引き上げた上でドロップアイテム3倍となるモード。
--レベル引き継ぎなしのナイトメア+インフィニティともなるとトンデモない高難度になるが、レベルと強化を引き継いだ上でEASY+インフィニティに設定すると某ゲームもかくやと言うレベルの「どっさりモード」でプレイすることができる。

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**評価点(PS4/Switch)
-&bold(){据置機になった事による更なるボリュームアップと操作性の改善}
--真っ先に上げられる改善点と言えば、ロード時間の大幅短縮化。
--通常のマップ移動、ファストトラベルともにロード時間が超高速化。その速度は「表示されるTipが読み切れない」と言われるほど。
--PSVでは区画に区切られていた漂流村も屋内を除いてシームレスなマップに。ダッシュ・ジャンプ・緊急回避を組み合わせると村の端から端までストレスフリーに移動することができる。

-グラフィックの高精細化
--背景の遠景からキャラクターの衣装の描き込みまでPS4ならではの精密さ。
--おかげで、一部キャラの衣装がやたらエロいことに。%%特にリコッタとダーナは事案ものである。%%
-コントローラの違いによる恩恵
--コントローラが変わったことにより、キーコンフィグを触ることで下記の恩恵を受けることが出来る。
---PSVと同じく、PS4でも初期設定で「フラッシュガード」と「スキル」が同じボタンになっている。ただしこのボタン配置でプレイすると、スキルを撃つと同時にフラッシュガードのボタンも押したことになるため、短いスキルを撃った直後にフラッシュガードが出来ない。これは、フラッシュガードのボタンを押した後は、しばらくの間は再度ボタンを押してもフラッシュガードが発動しないためである。キーコンフィグで「フラッシュガード」と「スキル」を別々のボタンに割り当てることでこの問題を解消できる。解消の前後で差が分かりやすいのはラクシャのスキル「ラピッドピアス」などである。

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**賛否両論点(PS4/Switch)
-ボリューム・プレイ時間
--ARPGとしてはPS4版からプレイ時間が長めであったが、PS4ではやれる事が多くなった割に「やらなければいけないこと」はそれ程増えてはいない。やろうと思えばPSV版に小一時間プラス程度の時間でクリアすることはできるのだが、「真EDに必要な名声値が上がっている」「追加要素のほとんどが前提となる追加要素をクリアしないと発生しない(しかも周回時に解禁)」ため、エンディングや周回要素を楽しもうと思えば追加要素を無視せずに序盤からきっちり消化していく必要がある。
--ロードが超絶快適になったため、実プレイ時間が大幅に長くなる訳ではないのが救いか。

-ダーナ編の追加ダンジョン。
--こちらはまったく挑まなくてもクリアに支障はないが、ダンジョンで手に入る回復アイテムや能力強化の恩恵も大きく、またアドル編で追加ダンジョンを出現させるためにはダーナ編で一度クリアする必要があるなど、実質スルー非推奨となっている。
--それ自体は追加要素ではよくあることだが、ダンジョン5つ相当のボリューム増はARPGではそれなりのプレイ時間が必要になり、しかもダーナ編のストーリーがどんどん悲壮的になっていく中で寄り道の様にダンジョンを攻略するため、ストーリーを楽しむRPGとしてはちぐはぐさを感じてしまう。
--最終盤にようやく突入できる追加ダンジョン最深部は、ボス戦とその後に語られるストーリーともにダーナ編の完全版とも言える内容なので好評ではあるのだが、それまでに劇中ではかなりの時間が経過しており、心情的には「完全に手遅れなのに今さら言われても…」と思ってしまう。

-追加要素のタイミングの悪さ。
--アドル編の追加ダンジョン出現条件がダーナ編の追加ダンジョン完全クリア後であったり、アドル編の追加ダンジョンクリア報酬が攻撃属性変更アイテムとパーティー人数変更の解禁だったり、「ここまで来て今さら?!」的なタイミングに感じてしまう。
--結果、レベル引き継ぎせず一人旅プレイ解禁は3周目~になる。1周クリアには頑張っても40時間程度は必要なため、せめて2周目から一人旅させてくれれば…。
---ちなみに属性変更と人数変更はPSV版所有者なら特典DLCにより早期解禁できる。

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**問題点(PSV/Switch)
-クロスセーブ非対応
--発売がPSV版発売から期間が空きすぎたからか、PS4版の追加要素が多すぎたのか、もともとその予定だったのか、クロスセーブなどの対応はされていない。

-夜間探索に関する問題
--夜のセイレン島を自由に歩き回れるわけではなく、実際はダンジョンなどのごく一部のエリアを切り取って、夜にそこを探索するのみとなっている。
--夜の風景、獣が凶悪かつ大量になっているという違いこそあるが、構造は同一である。また数も3つと少ない。
--昼間に探索済みのエリアであっても、地図が白紙からスタートとなり、再度地図を埋める必要がある。宝箱や採取ポイントの違いを出す都合か。
--夜間探索可能区域のうち一つに、地図達成率が100%にならない区域がある。昼間は4エリアで構成されている区域のうち、3エリアを夜間探索可能にしているので発生したと思われる。総合地図達成率やトロフィーには夜間探索は無関係なのが救いか((正確には、昼探索できるエリアを全て埋めると総合地図達成率が100%になる様になっているが、夜探索で地図が埋まるとその分も加算される(表記の最大値は100%まで)。そのため、夜探索エリアをマメに埋めると総合地図達成率ボーナスがVita版より前倒しで手に入るメリットがある。))。
--夜間探索中はなぜかファストトラベルが封じられる。瀕死になろうが大量の敵に追われようが自力で帰還、もしくは最奥まで到達せねばならない。
---マップによっては、崩落する床渡りのジャンプをミスし落ちた先に大量の敵が敷き詰められていたり(しかも固い上に攻撃が搦め手で厭らしい)、初期到達レベルどころかその倍のレベルでもまともに倒しきれない大型ザコ敵が暗闇に紛れて配置されているなど、非常に敵意の高いマップとなっている。

-制圧戦に関する問題
--基本は迎撃戦と同じポイント制で、なるべくダメージを受けず、獣の巣を速やかに破壊していくといった内容なのだが…
--速攻クリア達成時のボーナスポイントが少ないため、速攻せずに時間をかけて大量の獣を倒しながらの方が結果的に高スコアを達成しやすい。
--最高評価Sを取るには、後者のほうが明らかに楽である。

-インフィニティモードに関する問題
--ドロップアイテム数3倍に加え、前周回クリア時点のLv、所持アイテム、ステータス、ドーピング強化分など、各種引き継ぎ前提の高難易度モードなのだが、プレイヤー側の強化できる要素が多い分、敵の強化具合も相当なもの。
--1周目のクリア標準Lvは70前後といったところだが、インフィニティモードでは最序盤の小型雑魚ですらLv70前後、終盤ともなるとLv100を超えてくる。
--「1周目をNORMALで普通にクリア、二周目をトロフィー目的でNIGHTMARE、ついでに追加要素のインフィニティモードを…」という、ごく一般的なプレイヤーは詰みかねないドM仕様である。
--なんとかLvを上げようとしても、入手経験値はインフィニティモード非対応で、Lvが20も上の敵を倒しても入手量は微々たるもの。
--腕に覚えのあるプレイヤーならそれでも突破できる難易度ではあるのだが、それができなければ難易度を下げる(=トロフィーを諦める)か、前周回に戻るかしかない。難易度を下げる事は可能でも、インフィニティモードの解除はできない。
--このため、二周目の高難易度に挑むなら、前周回のうちにLv90台、ある程度のドーピング、迎撃戦用に防衛設備強化用の素材の確保が推奨される。
--最大の弊害となるのは過去ダーナパート。Vita版では強さ固定、現代のダーナにドーピングすると過去ダーナにも適用される仕様だったが、PS4版では別キャラ扱いとなったため、ドーピングが共用されなくなってしまった。
--Lv+1のアイテムとドーピングアイテムを購入できるショップが追加はされたのだが、お金に相当するアイテムの入手量が必要量に比べて余りにも少ない。(300~500個必要なのに対し、敵一体につき1~3個程度しか落とさない)そしてこちらもインフィニティモード非対応である。

-衣装DLC削除
--PSV版では全員に衣装のDLCがあったが、本作ではラクシャ以外削除。

//PS4版の問題点が少ないようでしたので、加筆してみました

//-イルミナスリングを分解したときのバグ
//--イルミナスリングを複数個まとめて分解すると、一つ一つ分解するよりも手に入る素材が少なくなる。
//↑PS4版で確認
//↑そういう個別のバグについて書く項目ではないでしょう

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**Switch版について
-こちらも日本一ソフトウェアアメリカが移植を担当しており、初期は不具合が多かったがアップデートで幾分か改善されている。
--PS4版準拠の内容に加え、PSV版のDLC衣装とアタッチアイテムが標準で収録された完全版的な仕様となっているものの、グラフィック面でも極力PS4版を再現しようとした為か、30フレーム動作となっている。
--2021年現在、廉価版の販売やDL版の価格改定が無く、現在も入手可能なDL版の価格は税込7,678円と他機種版とは3000円以上の差があり、PSV版で3,600円分のDLCと他機種では入手不可な初回限定DLCが不要な人にとっては、割高な価格設定である。
---またパッケージ版の販売は実質終了しており、中古でも6千~7千円前後で取引されている。

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**総評(PS4/Switch)
PSV版から動作改善、グラフィックの高精細化、ボリュームアップと正統に進化しており、PSV版をプレイ済みでも購入を検討するに値するほど。~
キャラクターもみな優しく前向きで、プレイ中の何気ない会話にも人生経験を感じさせる台詞や、互いに思いやり助け合う台詞が多い。~
どのキャラも、第一印象からどんどん(プレイヤーからの)人物評価が変わっていくため、1周目は追加要素もあわせてじっくり取り組みたいところ。~
ただし、ARPGとしては「かなりの」と言って良い大ボリュームになっているので、周回しつつ高難度に挑んで行くプレイには、今までのシリーズ以上に時間が必要であるのには注意である。~

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**余談(PS4/Switch)
-本作は発表の時点でPSVとPS4の両機種で2015年の発売が予定されていたが延期、2016年夏の予定がPS4版はさらに延期された経緯がある。そのため、''PS4版はPSVからの移植版というわけではない。''
--もっとも、追加要素については存在が公表されたのが2016年の末。結果的には後から諸要素を追加した完全版を発表・発売するような形となったのは否めない。
//PSVとPS4の関係を修正のうえ「PSV版の評価点」でもないので移動。追加要素についてはPSV版時点に公式で「PS4版は何らかの追加要素が有る」と明言されてない限り(ユーザー側が有るに決まってると想定していたとしても)後出し扱いだろう。雑誌インタビューでなら元々は「予定なし」だったのがPSV版発売直前で「何かしたい」に変わってはいたそうだが

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**Win版について
-PS4版のWin移植であるSteam版が2017年10月に発売予定となっていたが、発売直前に突如延期され、半年後の18年4月に発売された。~
日本一ソフトウェアアメリカが移植を担当((厳密には外注製だが、外注先が二転三転していた事もあってか具体的な開発元は不明。辛うじて判明しているのは開発中のブログの中で言及されたTin Giant社と、2020年の全面改修を担当したPH3社の2社。))。
--それだけの延期を経ても、発売直後はフリーズバグが多発、極めて低い評価になっていた。
---その後、細かなアップデートが繰り返され、動作も徐々に改善していったが。2019年以前のレビューを見る限り、システム要件を満たしても動作しない事や、動作可能でもクリアまで数回のフリーズは付き物と、安定性はイマイチだった。
---2020年1月17日配信の大型アップデートにより大幅に軽量化され上記の不具合も概ね解消。
Steamでの評価も「非常に好評」へ転じている。またアップデートに併せ、4K向けの高解像度テクスチャや動作未保証ながらco-opモードが追加された。
--PS4版と同様に、ロードは非常に短く快適に遊ぶことが出来る。
--Steam版SEVENやセルセタのように「日本語字幕、英語音声」という仕様ではないので、その点は安心して頂きたい。
---発表当初は、Steam配信のファルコムタイトルで初の完全日本語対応(字幕+音声)という事で大いに期待されたが。発売延期の間に「東亰ザナドゥ eX+」がアップデートにより、完全日本語対応(当初、日本語は音声のみだったが、後に日本語字幕が追加)した為、その栄誉は失われた。
--2020年6月2日に4,000円に価格改定されたが、現在では当初の定価であった6090円に戻っている。