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エルナード - (2022/06/18 (土) 14:43:51) のソース

*エルナード
【えるなーど】
|ジャンル|RPG|&image(http://www.jp.square-enix.com/archive/elnard/images/package.jpg,width=200)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|12MbitROMカートリッジ|~|
|販売元|ゲームプラン21|~|
|発売元|エニックス|~|
|開発元|プロデュース|~|
|発売日|1993年4月23日|~|
|定価|9,600円(税別)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|3個|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|ミスティックアークの前身&br;殺伐とした兄弟弟子&br;衝撃のラスト|~|
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#contents(fromhere)
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**概要

//概要で紹介することには適さない一部の内容は特徴の項に移行しました。
-エニックスから発売されたRPG。パッケージイラストは増田晴彦、キャラクターデザインは米田仁士。
-ファンの間ではアーク3部作と言われており本作は記念すべき第一作目とされている。後に『[[ブレインロード]]』『[[ミスティックアーク]]』が発売されており、ゲームシステムや用語など、共通した部分を多く持つ、事実上の前作。
--ただし、固有名詞の一部が共通しているものの世界観上の繋がりは明示されていない((そもそも『ミスティックアーク』は設定的に「本来の世界観」が明らかにされていないので、同一とも異なるとも言いようがないのだが…。))。

**特徴

-プレイヤーキャラは、賢者と呼ばれる「神の子」シーダの7人の弟子のひとり。5年の修行を得て、シーダから試練を課せられる、それは世界中に散らばる7つのアークを集めて世界を治める存在になるというものである。アークを巡って長い旅が始まる。
--ゲーム開始時、7人の中から主人公を選択する。

#region(各主人公の考察)

--カムル:人間の戦士。平均的な能力を持ち魔法もそこそこ覚える、いわゆる勇者的な性能。
---他の面々と違って特徴が薄いものの、基本的に紳士的で礼儀正しい振る舞いをする。
--エスナ:紅一点であるエルフの魔法使い。魔法は攻撃・回復とも使いこなすが身体能力は低い。
---明るい性格で弟子たちは勿論各地の住民からも受けが良い。
--バルス:人間の神官。回復・補助魔法のエキスパート。攻撃は苦手。
---丁寧な口調で礼儀正しいが正義感が強すぎる傾向がありアークの入手目的も邪悪なものの一掃と言う物騒なもの。共に学んだ弟子同士でありながら悪魔や異種族の血を引くレジースやウィルミーを嫌っている。
--オルバン:ドワーフの老戦士。カムル同様魔法もそこそこ覚えるがこちらは攻撃力・防御力が高く素早さが低い重戦士スタイルとなっている。
---性格はやや頑固。彼のみイベントが一部変わっていたり奥まで入ることができるダンジョンが存在する。また、最強武器を装備できるのは彼だけなのでカムルとの差別は出来ている。
--レジース:山羊の頭を持つ魔族。全属性の攻撃魔法を覚える(ただし魔力自体はエスナやバルスに劣る)上に物理攻撃も強力だが、防御面が貧弱で自己強化や回復魔法は一切覚えない。
---非常に高慢で自分勝手な上に協調性も皆無だが、主人公時の一部キャラとの会話や仲間加入時の会話内容からツンデレと呼ばれやすい。普通に進めると友好的な弟子がエスナとウィルミー位しかおらず、仲間選びに最も難儀するキャラ。
--ウィルミー:獣人のような姿をしたエイリアン。装備がほとんどできず((装備できるのはドロップアイテムの「カオルソード」のみである。))魔法に弱いが、素の身体能力が非常に高く、レベルアップ時の成長も高い。
---言動の荒々しさや見た目の異形さのせいで粗暴と捉えられがちだが過去に迫害された経験があり、自分を認めさせようとする言動が多く、仲間の誘いを快諾した際には素直に喜ぶなど根は繊細な性格である。
--ラックス:「テツジン」と呼ばれるロボット。装備は専用のものしか使えず、魔法は魔法という名のレーザー攻撃である。ウィルミー同様レベルアップの成長が早いが防御面がより高く、スピード面で劣る。
---種族の関係上足音がガシャガシャうるさい。ロボット故か仲間への差別心は皆無で周囲の(特に子供の)受けもよい、またとあるイベントを発生させると能力を上昇させることができる。

#endregion

--メインストーリーは全員共通だが、選んだ主人公によってイベントの解決法などが異なる部分がある。
--主人公に選んだ者以外の6人はそれぞれ独自に旅をしており、街などで出会うことがある。この際の反応は基本的にランダムで、会話だけで別れることもあれば組まないかと誘われることも、果ては主人公の持つアークを奪おうと襲ってくることも。
---敵対した弟子は(イベントを除いて)主人公同様復活するが以後敵対関係となり、会話する度に襲われるようになる。
---逆に、先にアークを手に入れた兄弟弟子からアークを奪う展開もある。ストーリー上で1人は完全に悪堕ちすることに。兄弟弟子との戦闘にはパートナーは協力してくれず強制タイマンとなるため、かなり苦戦する。
---殺し屋((死んだ後も二回も蘇って計3回も襲撃してくる。 キャラとしては中ボス扱いだがやけに律儀な殺し屋である。 余談だが復活後はレッド→メタルとパワーアップしており発売元の某モンスターを連想させる。))を雇って主人公を消そうとしてくる兄弟弟子までいる始末。雇い主が誰かは不明だが、正直誰でもおかしくない設定であり、他の6人への猜疑心を生み出す結果となっている。
--パートナーになってくれる兄弟弟子がいればパーティを組むことができる。パーティは最大2人で、既に仲間がいる時に別のキャラの誘いをOKした場合は前の仲間と別れることになる。
--マスクデータとしてキャラ同士の相性の概念があり、相性の良いキャラほど仲間にしやすく・敵に回りにくくなるらしい。また、相性の悪い仲間を連れている時にアークを入手すると、アークを奪おうと襲ってくる''仲間割れ''が発生することも。
---嫌われ者のウィルミーやレジースだと、アークを数個入手するだけで大半の弟子が仲間割れを仕掛けてくるレベル。そんな彼らにも極力友好的なエスナは非常に有難い存在といえる。
--ただし、シナリオ上の都合で後半以降はこれらの要素はオミットされるのだが…
--5年間ともに修行をしてきた弟子たち同士が何故、互いに殺伐しているのか、その理由は後々明らかになっていく。

-アーク
--上記の通り、主人公たちが最終試練の目的として探し求めるもの。
--入手したアークはアイテムとして使用することもできる。使用回数は無制限。

#region(各アークの特徴(ネタバレありなので注意))

-風のアーク
--一度行った事のある街までテレポート
-水のアーク
--戦闘中に使用するとHP回復
-星のアーク
--戦闘中に使用すると防御力が倍に
-月のアーク
--戦闘中に使用すると攻撃力が倍に
-光のアーク
--戦闘中に使用すると魔力を上昇させる
-空のアーク
--戦闘中に使用するとMPが40回復
-神のアーク
--入手直後にイベントですべてのアークが紛失するので効果は不明

#endregion




-レーダー表示
--フィールドやダンジョンでは画面左上にレーダー(シーダから授けられたクリスタルという設定)が表示され、街・ダンジョン・敵・宝箱・アークなどが表示される。
--つまり、フィールド画面に直接の表示はされないがレーダーで感知できるシンボルエンカウントである。

-戦闘システム
--戦闘はターン制のコマンド式。主人公及びパートナーは1ターンに1回ずつ行動できるが、2人のどちらを先に動かすかは自由。
---直前に行動したキャラが「前に出た」扱いになり、敵の攻撃の対象になる。ただし後ろにいるキャラも全体攻撃は受ける。
--ガードを行うと被ダメージを大きく減らせる他、次のターンは攻撃力が上がる。ガード→アタックが戦闘の基本。
--ストーリーを進めるために集める必要があるアークは、使用することで魔法と同じような効果を発揮できる。特に回復やバフ効果を持つものは必須レベルで重要。
---…なのだが、終盤のイベントで集めたアークを全て失ってしまう。その流れに至るストーリー展開の衝撃度もさることながら、一気に戦力が落ち苦労することに。
---なお、戦いを挑んできた兄弟弟子に敗北した場合も手持ちのアークを全て奪われる。再戦して勝てば取り返せるが、当然ながらそれまでは茨の道となる。
--全滅するとお金を半分失う。アイテムは失わないため、購入時と同額で売却できる換金専用アイテム「宝石」が安全な貯金として機能する。宝石は価格の異なる複数種類があり、基本的にはストーリー上で先にある街ほど高額な宝石を扱っている。

-移動画面でのコマンドは「トーク」「サーチ」、戦闘でのコマンドは「アタック」「ガード」など英語表記が多く、国産ゲームだが洋ゲー臭がするとしばしば評される。

**評価点
-雰囲気溢れるBGM
--ユーザーの多くが本作の一番印象に残る部分だと言うであろう要素がBGMである。
---透明感のある笛の音にシンプルな伴奏を付けた穏やかな曲が中心で、メロディーラインもどこか物悲しいものが多い。あまり多くを語らないストーリーと兄弟弟子との殺伐とした関係なども相まって、作品全体に独特の寂寥感を与えている。
---街にある噴水を調べると「''ふんすいを 見ていると こころが なごんだ!''」のメッセージと共に短いフレーズが流れる。確かに和むが特に意味はない。
---反面、戦闘曲はノリノリ。こちらも聴き応えがある。
---通常戦闘曲もフィールド・ダンジョン・更に別フィールドと3通り用意されておりいずれも良く合っている。こういう取り組みをやっているのは『[[魔神英雄伝ワタル外伝]]』『[[SONG MASTER]]』くらいで珍しい。ただし、ボス曲が1つしかないのは残念。

-戦闘のテンポの良さ
--コマンド選択後すぐに自キャラが動き、敵が生き残っていればその後即座に動いて再びプレイヤーの番が回ってくる。メッセージ送りなどが不要で、攻撃モーションも短くストレスにならない。
--戦闘に突入する際は、フィールドマップの平面がMODE7で奥へ回転してその場で擬似3D表示の戦闘シーンへ移行する演出も臨場感があり高評価。指し示した敵の方向に応じて床の平面が回転までする。戦闘にカメラワークの概念を持ち込める可能性を示したとは言える。
---敵も攻撃などの動作ではアニメーションを行うので格好良さや''キモさ''、''可笑しさ''もひとしおである。~
正統派な暗黒騎士や小鬼、外見を如何とも言い難い異形のクリーチャー、名前や表情がどことなく笑いを誘う敵、果てには存在自体ギャグとしか言いようのない奴など本当に様々。~
これはDQ5にすら無かった仕様である。また、2年後発売のミスティックアークにも一部流用されるのだが見劣りするという事はない。

-演出
--一部ではあるが演出が入るとこがある。終盤の機械関連のボスを倒した後にムービーが挿入される。RPGでこういう演出が入るのは珍しい。
--後に「ミスティックアーク」でも第五世界でこういう演出もある。

-ユーザーインターフェース
--武器防具を購入する際は、既に装備していたり、数値が下がってしまう際は店員さんが教えてくれるので誤って購入する事がないようになっている。
--重要アイテムを入手した際は音楽が鳴る。

**賛否両論点
-''とにかく地味。''
--このゲームが目立たなかった最大の理由であろう。終始淡々と進むストーリー、レーダーを頼りに広大なフィールドを彷徨う感覚、物寂しいBGMと独特の雰囲気は出ているのだが、ひたすら地味でキャッチーな要素に欠ける。
---主人公は一切喋らず、パートナーも仲間になる時などは台詞があるがパーティにいる状態では喋らない。
---行く先々で何度も出会う兄弟弟子の台詞にはそれなりにパターンがあり、個性も出ている。
--もちろん「その素朴さがいい」というファンも少なくない。ある種の雰囲気ゲーとしても愛好されている。
--パッケージでは少年漫画チックな絵柄のキャラクターや、可愛らしくデフォルト化された仲間が描かれてるので、中身とのギャップがかなり大きい。

-ストーリーの''本当に微妙''な変化
--基本ストーリーは一本道だが、一部のイベントでは誰を主人公にしているかで展開が変わる他、幾つかの展開から1つがランダムで選ばれる局面がある。兄弟弟子の誰が敵に回るかなども含め、プレイ毎に少しずつ違う展開となることで主人公を変えての繰り返しプレイを楽しめる。
---しかし、明確に違う展開になる局面はごく僅か。悪堕ちした兄弟弟子と戦うイベントなどは、その役に誰が選ばれても敵として登場した時の台詞が変わらないという適当さ((普通の男性口調のため、カタカナで喋るラックスはここでの敵としては選ばれないようになっていると推測される。))。流石にエスナが敵の場合は普通に話してくるが。
---ついでに言うと悪堕ちの理由が「アークの強大な力に目がくらみ、アークを保有していたある国をアークを奪った上で乗っ取り独裁者と化した」というもの。元々野心を秘めていたレジースやウィルミー。可能性として無きにしも非ずな他の面々ならまだしも、そういった思惑とは無縁であろう&bold(){バルスでさえ唐突に悪堕ちしている}のは流石に違和感がある。当のアークが「使用者の防御力を倍増させる」という至って平和的な効果なので尚更その印象が強い。
---メインストーリーだけでなく、どこで誰と出会って仲間にした・誰と敵対した、といったプレイの流れをその周だけの自分なりの物語として楽しめる人には向いている。
--ちょっとした分岐のようなものもあるが、後味が良く実利もある展開と後味が悪く何も得しない展開に分かれている程度で、実質としてはイベント達成成功・失敗での分岐に過ぎない。
--序盤のあるボスに一度敗北してから街の人に話を聞くと、ボスの背景の説明と共に一発で退散させるアイテムを貰える。救済措置というよりはストーリー補完の意味合いが強いイベントなのだが、最初から勝ってしまうとこの話を聞けない((一応、簡単な経緯を教えてくれる人物はいる。))。

-ストーリーは欝展開が多い
--各地の問題を解決しても傷跡が残るという描写が目立つ。総じて明るい展開は少ない。
---主人公が倒すべきボスの殆どが''実は被害者''、''悲しい出来事で狂ってしまった''というようなもので、個々の強さも相まって「ボスを倒した!」という爽快感よりも後味の悪さしか残らないということも多い。

***そして待ち受ける結末
-ストーリー終盤には意外な展開が待っているが、それを乗り越えて辿り着くエンディングは驚愕の結末。内容としては鬱展開といえるものだがこれも非常に淡々と描写され、その呆気なさが衝撃に拍車をかける。

#region(終盤~エンディングのネタバレ)

//読み直してて疑問が浮かんだんだけどゴーシア関連の時間軸の解釈違ったかも知れない。ラスボスは過去世界で封印された直後のゴーシアが未来の影響で復活したものだと思ってたけど、未来で復活した後にわざわざ過去に戻ってきたってことなのかも? だとしたら更に過去のゴーシアが歴史変えて復活→無限ループの可能性も有り得る? 台詞の細部覚えてる人は間違いあったら訂正お願いします。
//一応記憶にある内容で修正しておきます。
//エンディングの内容は仕様なので、問題点よりも賛否の方がしっくりくると考えました。

-主人公はついに7つのアークを手にするが、そこで師であるシーダ…と思われていた者が本性を現す。
-実は5年前から修行を始めた時点で既に、本物のシーダは殺され偽者に入れ替わっていた。弟子達にアーク集めを命じた偽シーダの正体は神によりアークに力を封印されていた「闇の王」ゴーシア。今まで使っていたアークの力は封印されたゴーシアの力であったのだ。
--過去の世界からこの時代に現れてシーダに成りすまし主人公達にアーク捜索を命じたのも自分の力を取り戻すため((ゴーシア自身はアークに触れられないために主人公達に探させる必要があった。))であった、そしてゴーシアはアークを破壊し復活を遂げてしまう。
-ゴーシアは自分を封印した神を抹殺するために過去へ飛ぶがその際に主人公(とパートナー)も巻き込まれてしまう。(この時代のゴーシアが倒された)過去の世界を旅し、紆余曲折を得て神のいる場所までたどり着くが、(現代の)ゴーシアはアークを呪いで使用できなくした上で神を倒してしまった。
--だが神は最後に力でアークの呪いを解き主人公達に希望を託したのであった。

#region(各アークの真の特徴(ネタバレありなので注意))

-風のアーク
--ゴーシアの素早さを半分にする
-水のアーク
--ゴーシアのHPを半分にする
-星のアーク
--ゴーシアの防御力を半分にする
-月のアーク
--ゴーシアの攻撃力を半分にする
-光のアーク
--ゴーシアに攻撃や(神と光以外の)アークが通用するようにする
-空のアーク
--ゴーシアの魔力を半分にする
-神のアーク
--ゴーシアの姿を隠す効果を打ち消し、光のアークが通用するようにする

これらの効果を踏まえると、現代のアークの効果は&bold(){当時封じたゴーシアの能力を引き出して使っていた}ものだったことがわかる。いくら使っても無くならないため、それだけ強大なものを封じたものだという一種の伏線にもなっている。
//各アークの真の特徴
#endregion

-神の弟子達から再び使用できるようになったアークを受け継ぎゴーシアに勝利した主人公だが、ゴーシアは「いつの日か復活する」と告げ、最後の力を振り絞って主人公を道連れにする。''主人公の肉体は消滅してしまう。''
-神もまた最後の力で、主人公の魂を転生させる。生まれ変わった主人公が誕生したのはゲームスタート地点、レミールの街の神殿。光の中から生まれた赤子を見た神官達は彼を「神の子」と呼び、シーダと名付けるのであった…。
--つまり再びゴーシアがシーダを殺してなり変わり再び過去へ…と言う無限ループを巡る可能性が高い。~
現代のゴーシアも倒されているので無限ループではないと解釈したいところだが…
---だが復活する気満々な捨て台詞を見るに、完全に滅びた訳ではないのかも知れないし、''(主人公が旅をした)過去の世界で既に倒されていたゴーシアはノータッチ''なので現代に現れてシーダ(主人公)を抹殺しに現れる可能性は0ではなく、消化不良な終わり方である。
-かなり常識離れしたエンディングと言える。しかしながらパートナーの扱いなど問題点も残るので後述する。
//終盤~エンディング
#endregion

**問題点

-システム全体的に前世代的な不便さがある
--ダッシュがない、オートバトルがない(Aボタン押しっぱなし連打も効かない)、戦闘時はカーソルが記憶されない、アイテム整頓がない、メッセージスピードが変えられない、ステレオ・モノラルの切り替えが無い(そもそもオプションモードがない)etc..
--装備も、道具も、キーアイテムも全部「アイテム」に一纏めされているので、持ち物が増えると目当てのアイテムが見つけづらい。装備ぐらいは専用メニューを用意してほしい。
--全体マップもメニューを一旦開いて、「アイテム」の項目を選び、地図を「使う」とようやく見られる。Y、L、R、スタート、セレクトとボタンが有り余ってるにもかかわらず、である。
--魔法・アイテムの効果は確認できない。「かいふくえき」などはともかく、「エキスパート」(FFで言うとエリクサー)や「モスキート」(敵にダメージ)などは効果が想像つかないので、説明書がなければ実戦で使ってみるしかない。
--ドラクエでいう「べんりボタン」に当たるものがなく、町人に話しかけたり、宝箱を開けるときも一旦メニューを開かないといけない。ファミコン中期のRPGによくあった仕様で、当時からしても時代遅れ気味である。
--また大きめなキャラクター表示の犠牲として、町では通行人に道を塞がれることがある。狭い道で通行人の間に板挟みになり、身動きが取れない風景もよく見かける。
--全般的にひらがなが多く使われており、それも容量の関係で漢字が使えないファミコン時代を彷彿させる。その割に「捨てる」や「使う」が「ステル」、「ツカウ」と何故かカタカナで表示される。

-戦闘バランスが悪い
--中盤以降はアークの使用前提でバランスが調整されているフシがあり、アークによるバフや回復を駆使しなければアッサリと死ねるバランスとなっている。
---そのために打たれ弱い主人公(バフ前に即死あるいは瀕死)やアークを奪われるとたちまち近辺の雑魚にも苦戦するようになる。
---全編通して「ダンジョンの適正レベルまで上げる」+「現時点の最強装備を揃える」のが定石で、それができなければちょっとした油断で簡単に全滅する。たとえ装備を揃えても、味方のHPが180程度なのにダメージ60越えの魔法をガンガン打ってくる「ワァーロック」などが強敵。
--経験値やゴールドは''出現範囲で統一されているとしか思えない''調整もあり、明らかに強さの違いがありながら同じ経験値と言うモンスターがかなり多い。
---貰えるゴールドは少なめで、二人分の装備を揃えるには実質「雑魚狩り」を強いられる。ダンジョン内やフィールドではセーブできないので、全滅してしまうと所持金が半額になるうえに利益の一部が蘇生代で吹っ飛んでしまう。
--戦闘から逃げられる確率は低め。2人パーティなので、何度か逃げるに失敗するだけで壊滅的になる可能性大。
--敵の名前が出るのは倒した後のみである。
--大して格下でもない敵でもよく逃げる。敵の中には蘇生を使うモンスターもいるのだが、「蘇生された敵が速攻で逃げる」というギャグのような展開もしばしば起こる。
--レーダーで敵の位置を確認できるとはえ、敵の数は多く、しかも四方八方に素早く動き回るので回避しづらい。なので体感的にはエンカウント率は高め。

-攻撃の命中率が低い
--とにかく攻撃が外れる。ガード→アタックが基本となる関係上、ミスすると2ターンを無駄にしたことになる。
---命中率には素早さが影響するため、重戦士タイプのオルバンは不遇。素早さを上げる魔法を唯一覚えるバルスは非常に優秀なサポートキャラになる。
--魔法も容赦なく回避される。
--その代わり、味方もそれなりに敵の攻撃を避けてくれる。こちらの攻撃が当たらないことでストレスは溜まるがバランスとしては悪くはない。

-セーブ関連
--宿屋でしか行えないので不便である。
--セーブ先は固定。好きな個所にセーブ出来ないのは不便なとこであり、タイトルメニューでコピペ作業は意外と面倒なところ。
---始めからプレイしたい際は、セーブファイルを1つ開けて「フリー」にしておかなければならない。
---さらに宿屋に泊まると強制的にセーブされる。セーブされたくないなら、宿屋は使えない。
--ボス戦の前にセーブポイントの類は無いのは辛い。それはフィールドとダンジョンを越えて来た後で尚更厳しいと言える。
---ボス戦が終わった後に、長いイベントがあったりするのだがその前にセーブだけさせて欲しいというのはある。

-MODE7の扱い方の難点
--戦闘中にMODE7が使われているのは良いが、座標計算は考慮されておらず回転した平面とキャラの位置が上手く連動していない。地上でエンカウントしたはずなのに海上に表示されている事も、浮遊系ならまだしもこれでは見栄えを悪くしてしまう。

-アイテム周りが不親切
--アイテムの整頓が出来ない。自動整頓はおろか手動で並び替える事も出来ないのは不便である。
--同じアイテムは9個までしか持つことができない。
---消耗品を大量に持てないのはゲームバランス調整のためとも取れるが、貯蓄用の宝石も各9個まで。先の街へ進めばより高価な宝石が売られているが、ストーリーを進展させないと安全に貯蓄できる金額にも限界が来てしまう。
--店での購入・売却は1個ずつ。個数指定ができない。特に宝石の売買が非常に面倒。
---オマケに各地で売られているアイテムがバラバラ、中盤はアークがあるのである程度カバーできて買い足しも楽だがアーク入手前や喪失後のアイテムの買い足しは困難を極める。中盤の街に最弱の装備が売られてたり、最低限必要な回復アイテムも持ってなかったりするので、別の街にワープして買い出しするのが地味に面倒くさい。

-詰みに近い状態になり得る
--アークを6つ入手する所まで進むと、兄弟弟子と出会っても仲間になってくれなくなる((アーク集めを諦める、主人公を応援する形となる))。つまりパートナーが固定されてしまう。
--それ以前でも、一度でも敵として戦闘した兄弟弟子は絶対に仲間にならない。強制イベントで敵に回った者も当然永久退場である。
---そして、パートナーはアーク入手時に裏切る可能性がある。パートナーに裏切られた時点で他の全員と敵対フラグが立ってしまっていたらその後は一人旅確定である((全員とは敵対しないようにフラグ管理がされているのかも知れないが、ランダム要素が多いため未解明。))。一人旅クリアも不可能ではないが、やり込みプレイの域となる苦難の道のりである。
--また、終盤のとあるダンジョンでは「通過すると解呪イベントをこなすまで魔法が一切使えない呪いをかけられる」箇所があり、絶対に通らなくてはならない。魔法使い系2人でここまで来てしまうと地獄を見る。一応、アークがあるので頑張ればクリアできないものではないが。
--兄弟弟子との戦闘に敗れてアークを失った時のリカバリーも非常に厳しい。

-キャラが複数いるために、主人公やパートナーに最適、不適のキャラクターが出てしまっている。
--主人公として最適なのはやはり絵に書いたような万能ぶりを発揮し、他の弟子との相性も悪くないカムル。ただし重装備なので少々金がかかるのが難点か。
---物理能力が高く、終盤まで装備に金がかからず、専用イベントでパワーアップできるラックスもオススメ。弟子との相性にも恵まれており、上記のカムルやサポートに長けたバルスと相性が良いのも○。
---ウィルミーも装備を整える必要が薄くオマケに素早いので命中も良好で有力候補だが、各弟子との相性が悪いので襲撃や敵対を起こしやすいのが難点。
---オルバンは自力で回復できる上に戦闘力も高いため一見すると主人公向きだが、低い素早さが災いして敵に回避されやすくテンポが悪くなりがち。カムル同様重装備で金がかかることもあり、意外にも上級者向けのキャラと言える。
--一方パートナーとして最適なのは補助、回復呪文のエキスパートであるバルス。
---ただし、意外と敵対しやすいため、アーク入手前のセーブはほぼ必須。特にレジースで彼を仲間にするのは、不可能ではないが非常に困難。
---エスナもパートナーとして候補になるが、打たれ弱く補助面には不安が残る。また中級の回復魔法「ヘルムス」を使えないため、中盤に回復役として少々頼りない時期を挟むのも玉に瑕。
--序盤は一人旅確定、弟子との対戦時はタイマンなので物理、補助面に不安のあるキャラは主人公としては不適である。
---そのため自力の火力に乏しいバルスや、打たれ弱く弟子と敵対しやすいレジースを主人公に据えるのはかなり難易度が高くなる。


-アーク関連
--こういった要素にありがちだがアークによって使い勝手の善し悪しがある。
---例を挙げると空のアークはMPを回復してくれるのだが入手が全アーク中6番目で固定、尚且つ上記の呪いイベントが直ぐに起こるために恩恵に預かれる期間が少ない。
---また、終盤のイベントでアークを全て失うのであらかじめ代用アイテムを買っておかなければイベント後に物凄く苦労する((各町への瞬間移動は代用アイテムでも効果が発動しなくなる。))。


-終盤が盛り上がりに欠ける

#region(ラスボス~エンディング)
-BGMは道中もラスボス戦も今までの使い回しで興を削がれる。強さも今までのボスと大差なく、盛り上がらず竜頭蛇尾になりかけている。
--ストーリー上で色々と猛威を振るって来たのに対し、かみ合わせが良いとは言えない。
-しかながら、ラスボス撃破~エンディングの流れは本作独自の強烈な個性を打ち出したとは言える。
-その一方で、パートナーには何の救済もなく''過去世界に置き去り''である。
--特にその後が語られることもない。というか主人公が消滅しパートナーだけが残された画面からそのままエンディング演出に移り、全く触れられることなく終わってしまう完全放置((下手をすると一人旅で過去に飛ばされる可能性もあるのでイベントを作りにくかった可能性もあるが…))。
--仲間達については現在世界では時に命のやりとりまでさせられたり、過去ではこのような結末を迎えたり、扱いの悪さが徹頭徹尾と言えよう。
//ラスボス~エンディング
#endregion

-その他
--オートイベントの際に徒歩で移動するのだが、その際は歩行がガタついて見栄えが良くない。
--訪れた町が移動アイテムの行先に登録されるのだがそれは来訪した順番であり並び替えは出来ない。
--ダンジョンを訪れても場所名は出てこないので分かり辛い。名称はあるようだが登場人物から聞くしかなくハッキリしない。
--乗り物
---フィールドが広いので乗り物が欲しい所であるが船も気球も一切なし。イベントでは乗り物が出て来るのだがプレーヤーは操作が出来ず、しかも墜落などロクな目に遭っていない。

**総評
どこか寂しく陰鬱な雰囲気が漂う世界を旅し、ひたすら淡々と紡がれる物語の中で兄弟弟子と血みどろの争いを繰り広げ、その果てに辿り着く結末さえもハッピーエンドとは言い難い。全編に渡って独特の寂寥感と虚無感に満ちており、それを「味」として楽しめるならば上質な雰囲気ゲーといえる。&br;
その反面、システム面は光る部分もあるものの平凡なRPGのアレンジに留まっており、今プレイすると若干もっさり感も覚えるかも知れない。&br;
いわゆる典型的JRPG路線とは少し違った、空気を感じるRPGをやってみたい人にはお勧め。そういう意味でも後継作の『ミスティックアーク』と似通ったゲームである。

**余談
-オープニングによればタイトルの『エルナード』とは舞台となる惑星の名らしい。特にストーリー上で重要な訳ではないが。
--また、オープニングでは創造神として女神アルテシアという名が登場するが、作中に登場する「神」は男神である。多神教なのだろうか?

-小学館から攻略本が発行されている。
--攻略部分に関してはごく普通の攻略本だが、ヨーロッパで撮影されたと思しき風景写真が各街のページにイメージ画像として掲載されており、ゲームの雰囲気に合っていると高く評価するファンが多い。

-海外版のタイトルは『The 7th Saga』。国内でも『セブンス・サガ』のタイトルでGファンタジー誌にてコミカライズされている。国内版タイトルとは全く違う上に原作がこの通りマイナーなので、ゲーム原作だと知らずに読んでいた人も多いのでは。
--掲載誌の読者層に合わせてか主人公のカムルとヒロインのエスナは原作での成人男女から少年少女に変更されており、設定も大分異なる。もちろん結末もハッピーエンド。

-本作の後に『[[ブレインロード]]』『[[ミスティックアーク]]』が発売されて、3作まとめてファンの間では「アーク三部作」とも呼ばれるようになる。
-それと言うのも、スタッフが共通していると思われる『ブレインロード』とは名詞などにリンクが見られ、前述の通り『ミスティックアーク』にも共通点が多い。
--海外でのタイトルが本作は『The 7th Saga』であるのに対し、『ミスティックアーク』は『The 7th saga II』としてリリース予定だった(発売中止)ことからも関連作である事がわかる。
---『ブレインロード』は7人の要素が無く7thSagaとはなってないが、こちらもまた引き継いだ点など共通要素が多い。
--『ブレインロード』の主人公・『ミスティックアーク』の男主人公のデフォルト名「レミール」は、本作のスタート地点となる街の名前と同一。逆に、『ブレインロード』の最初の街の名前は「''アーク''ス」である。
---ラムスやカシアンも役割は全く異なるが登場している。滅びた古代都市や、魔法禁止ギミックなどが登場。
---7thSagaについては『エルナード』では扱いが悪く『ミスティックアーク』でもただの戦闘要員だったが、『ブレインロード』では見せ場も多くやりとりも数多く3部作の中では扱いが最も良かったりする。
--『ミスティックアーク』でも、主人公候補のひとりラックスと同名の「テツジン」が仲間キャラとしても登場するが、デザインが違うため別個体と思われる。
---アークは、妖精のような姿を持っている『ミスティックアーク』のそれとは異なり、こちらでは純然たるアイテムである。
---モンスターグラフィックの一部は『ミスティックアーク』にも再登場している。
---本作と直接の関係はないが『ミスティックアーク』の女主人公のデフォルト名「フェリス」も『ブレインロード』のキャラ名と同じ。