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いつか降る雪 - (2023/02/08 (水) 21:44:09) のソース

*いつか降る雪
【いつかふるゆき】
|ジャンル|刹那系ADV|&amazon(B000A8SYSW)|
|対応機種|Windows 98~XP|~|
|メディア|CD-ROM 2枚組|~|
|発売・開発元|でこポン!|~|
|発売日|初回版:2004年2月27日&br;再販版:2004年3月26日|~|
|定価|8,800円(税別)|~|
|セーブデータ|10箇所|~|
|ディスクレス起動|不可能|~|
|配信|2006年12月8日/2,880円(税込)|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|''やっぱり神様なんていなかったね''&br;酷すぎるシステム|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
「ジャム・クリエーション」の抱えるブランド「でこポン!」の処女作。~
カオスエンドの1シーン''「やっぱり神様なんていなかったね」''が有名になり、それだけを知っている人は多い。

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**特徴
-主人公は医者。ヒロインは全員が余命わずか。
--診察と会話でヒロインと関わるアドベンチャーゲーム。

-アルバム(CG閲覧モード)とは別に『おまけ』という項目がある。
--『おまけ』はエロシーンを含む全てのイベントを回想できる。

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**ストーリー
> 人里離れた辺境の地に建つ、白亜の大理石で彩られた古びたサナトリウム「白亜館」。そこで働くこととなった主人公は、それぞれに重い病気をもつ5人の少女たちと出逢うのだった。一見するとそんな病とは無縁にみえる彼女たちだが、その小さな身体には、治る見込みの少ない病状を抱えこんでいた。彼女たちと接し、少しでも力になろうと尽す主人公。しかし限られた時間は一刻一刻と過ぎていくのだった…。~
あなたは彼女たちに安らかな死を送るのか…それとも、運命に抗い生きることに執着させるのか…。~
(公式サイトより抜粋)

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**登場人物
#region(クリックで開閉)
''小野寺 ちさと'' (おのでら ちさと)~
白亜館の主で名医である蘇我博士の愛娘。~
脳障害を患い、白亜館で短い時間を送るおしとやかな美少女。~
毎日欠かさず庭にある古びた墓石に祈りを捧げている。

''羽村 まこと'' (はむら まこと)~
3ヶ月前、不慮の交通事故で両足を怪我して以来、~
白亜館でリハビリに励む明るい少女。水泳以外のスポーツと~
料理が得意。主人公に淡い思いを抱いている。

''小山田 未来'' (おやまだ みき)~
半年前に悪性腫瘍が見つかり、両親から半ば見捨てられ、~
白亜館に引き取られた物静かな薄幸の美少女。~
冷静沈着な物腰は、彼女を孤独に追い込み、そして……。

''三田村 あゆみ'' (みたむらあゆみ)~
出生不明の双子の姉。~
赤ん坊の時、蘇我博士に拾われ、以来白亜館で過ごす。~
閉鎖環境で生まれ育ったため、知性が乏しく、幼い。~
街から来た主人公に興味を示し、慣れ親しむ。

''三田村 まゆみ'' (みたむらまゆみ)~
三田村あゆみと同様、蘇我博士に拾われ、白亜館で育った。~
姉のあゆみを慕い過ぎたため、言動がいっそう幼い。~
主人公への思いは、次第にまゆみに独占欲を芽生えさせていく。
(公式サイトより抜粋)
#endregion

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**システム
-4日目~28日目のほぼ毎日、マップからヒロインのいる場所を選択し、ヒロインと診察or会話を行う。
--ヒロインは同じ日に2箇所にいることが多い。例:4日目の未来は3F階段と屋上にいる。
---上記の場合、階段で会うと診察、屋上で会うと会話イベントになる。

-基本的に1日に全ヒロインとイベントを起こすことで、1日が終わる。
--各キャラごとに診察、会話イベントがあり、診察を3回行った場合は1日が終了する。
--''診察は名ばかりで、実際はエロシーンである。''

-ノベルゲームのように会話中に選択肢が出ることもある。

-最終日にフラグ判定があり、ピュアエンド・カオスエンド、どちらでもないエンドの3つに分かれる。

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**問題点
''面倒なシステム''
-マップのどこにヒロインがいるのか表示されないので、しらみ潰しに探さざるを得ない。
--ほぼ毎日「23箇所+階段の中から、4人のヒロインを探す」作業を繰り返すため、滅入ってくる。
--マップ移動中のBGMは1曲しかないため、だんだん不快になってくる。
--1周目でメモを取っておけば、2周目である程度のパターンを把握できるがとても面倒。

-選択肢と合わせて1周あたり''100を超える選択をする''必要があるため、とてもテンポが悪い。
--エロシーンではお触りをするシーンもあるが、周回時にはスキップできないので苦痛。
--後述する難易度の高さもあり、コンプするために周回する必要がある。頻繁に選択肢が出るため、ながらプレイなどやれたものではない。

''劣悪なコンフィグ''
-不便なセーブ
--''日付が変わるタイミングでしかセーブできない。''
---選択肢でセーブすることは不可。20分程度に1回しかセーブできない。
--''セーブデータは10箇所しかない。''
--オートセーブをオンにすると、''必ず一番上のファイルに上書きセーブする''ため、役に立たない。ない方がマシである。

-あって当然の機能が揃っていない。
--バックログはない。
--オートモードはあるが、画面クリックで止まらない。
---小さいオートモードのボタンを押すことで停止する。
--既読スキップはない。Ctrlで強制スキップはできる。
--Enterキーの文字送りはできない。
--オプションは『ウインドウ/フルスクリーン』『サウンド調整』『文字速度』しかない。
---セーブの上書き確認や、ボイスの個別設定はできない。

''超高難易度・意味不明な分岐''
-エンディング数は各キャラのピュアエンド・カオスエンド+共通の強制バッドエンドで合計9。
--個別エンドは8つあるが、あゆみ・まゆみピュアエンド以外を見るのは異常に難しい。
--システムを把握した上で、念入りにスケジュールを組む必要がある。
--まずは2周して、全キャラのマップ出現位置と、診察・会話イベントを表にまとめないと話にならない。

-選択肢によって個別エンドの判定がされ、診察・会話の回数でピュア・カオスの判定がされる。
--''この仕様、選択肢による好感度の上昇量などは雑誌『BugBug2004年5月号』''で解説されている。
--この雑誌を知らない人は、意味不明な仕様を理解する前に投げ出してしまった。基本的な仕様については説明書に書くべきである。

''ストーリー''
-上記のように無茶苦茶なシステムのため、ストーリーにも不自然な部分が多々ある。以下に例を挙げる。
--診察(エッチ)と会話によりエンドが分岐するが、エッチの回数が多いと死期が遠のいたりする。
--館からヒロインを救出する場面で、''屋敷にヒロインが一人もいない''という状況が発生する。

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**賛否両論点
-まゆみの性別が男。いわゆる女装ショタ。
--プロフィールに1人だけ「少女」ということが明記されていないほか、体験版等で把握することは一応可能であった。
--人を選ぶ要素ではあるものの、受け入れた人もそれなりに多い。

***鬱要素
-終盤の重い展開は心に残りやすい。
--ただ、中盤まではエロシーンばかりのため、取って付けたような印象はぬぐえない。グラフィックや声優ありきで評価されている。

#region(エンディングのネタバレ)
どのルートでもヒロイン全員が死んでしまう。~
ピュアエンドは若干生きながらえるものの、結局は死ぬ。~
具体例として有名な、まことピュアエンドとカオスエンドを挙げる。

''ピュアエンド''~
まことが隔離室に閉じ込められたまま、白亜館に火が放たれる。~
主人公はまことを助けに行くも、隔離室のガラスに阻まれる。~
決死でガラスを殴り続け、ガラスを割りまことと再会できた主人公。~
しかし火の手は迫っており、白亜館から脱出することはできず、2人は抱き合いながら死を待つのみであった……

''カオスエンド''~
上記と同じくまことを助けに行くものの、ガラスは割れない。~
拳から血を流す主人公を見て、まことはスケッチブックを抱え、&color(red){''『やっぱり神様なんていなかったね』''}とメッセージを伝える。~
まことは倒れ、主人公は脱出の意思をなくす。白亜観が火に包まれたところで幕。

#endregion

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**評価点
-''エロい''
--どの少女も肉感があり、三次元と二次元のいいとこ取りと言えるCG。
--医者×患者という背徳感のあるシチュエーションも良い。

-退廃的な雰囲気
--全体的に暗い雰囲気が出ており、雰囲気ゲーとしては及第点。
--「やっぱり神様なんていなかったね」に代表される、悲愴的なイベントを評価する声もある。

-おまけ
--洗練の余地はあるが、エロ以外の好きなイベントも見返せるのは便利。

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**総評
大多数のプレイヤーが途中放棄するほど、システムが酷い。~
システムが原因で「シナリオ」「エロ」のどちらを求める層からも大きく評価を落とした。

現在では''「やっぱり神様なんていなかったね」''が有名になり鬱ゲーとしてのイメージが強いが…~
実際は鬱エンドにたどり着く前に、システム面で心が折れたプレイヤーが多い。

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**余談
-特典は下敷きとストラップ1つ。
--ストラップはヒロインをデフォルメした物で5種類からランダム封入。
--下敷きの影響で、箱がやや大きめのサイズになっている。

-原画家の『桜桃ひな』は『ぽよよんろっく』の別名義だと2013年に[[本人がツイート>https://twitter.com/punipoyo/status/52853170761760768]]した。
--発売当時は「ぽよよんろっくのパクリなのに上位互換」などと評されていた。

-没データにモザイク漏れのCGがあったため初回版は自主回収が行われた。
--問題のCGは通常プレイでは閲覧不可である。
--発売から1か月近く経っているので、それなりに出回っている。
--ちなみに同じ原画家の『[[グリザイアの迷宮>グリザイアの果実 - LE FRUIT DE LA GRISAIA -#id_52751479]]』体験版もモザイク漏れのCG混入により配信停止になった。

-BugBug2004年5月号
--前述したようにこのゲームの重要な仕様や、攻略法が解説されている。
--しかし全員のピュアエンドの攻略チャートと、一部の選択肢により上がる好感度しか記述されていない。

-「やっぱり神様なんていなかったね」のフレーズは現在でも語り継がれており、その影響か中古の相場は高め。
--DL版は約3,000円なので、メディアを気にしないのならこちらをお勧め。ただしAmazonでのDL販売は終了している。

-発売・開発元のでこポンは、約1年後の2005年1月28日に『昼は別の顔』を発売。
--それを最後に公式ホームページが消滅している。([[Internet Archive>http://web.archive.org/web/20080313201316/http://www.jam-creation.co.jp/top.html]]での閲覧は可能)