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3D格闘ツクール - (2023/11/29 (水) 18:25:02) のソース

*3D格闘ツクール
【すりーでぃーかくとうつくーる】
|ジャンル|3D格闘コンストラクションソフト|#amazon(B000069U1X)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|アスキー|~|
|発売日|1998年7月30日|~|
|定価|5,800円(税別)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|モーション製作がメイン&br;モーション作成の自由度の高さ|~|
|>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
コンシューマ用ツクール初の対戦格闘ゲームを作成できるツクール。~
対戦格闘ゲームのツクール自体はPC向けに『[[2D格闘ツクール95]]』が発売されていたが、格ゲーで使用するモーションを描く必要があるためコンシューマでの発売は困難であった。~
そこで、世の3D格ゲーブームに乗っかる形で発売されたのが本作である。

**特徴
-最初から用意されたキャラクターモデルにモーションをつける形で製作を行う。
--モーションは打撃、投げ、勝ち負け、基本動作の4種類があり、勝ち負けと基本動作は割り当てられた動作(立ち、ガードなど)にモーションを付けていき、打撃と投げはモーションとコマンド、当たり判定、ダメージ量、名前を設定して技を製作する。パンチも必殺技も同じ「打撃」という分類であり、派生技(キャンセル技のようなもの)も設定することが出来る。
--もちろん、サンプル通りに作る必要はなく、例えば基本動作では方向キー上は奥移動、下は手前移動だが、上でジャンプ、下でしゃがみといった2D風にする事も出来る。ただし、ガードだけは固定。
--モーション製作の補助として、あるポーズから次のポーズまでの間を補完してくれる機能がある。この機能で設定できるフレーム数を操作することで動作の速度を変えたりもできる。
--CPUが使用した時用にロジックを組むことも可能。
--他にプロフィールを設定することも出来る。

-用意されたキャラクターは20名。サンプルモーションも用意されている(内容は某3D格ゲーぽく、八極拳やマーシャルアーツなど)。

-メモリーカードを持ち寄れば自作したキャラ同士で対戦も可能。ただし、保存できるのは1枚につき1人である。

**評価点
-''非常にモーション作成の自由度が高い。''
--エディタも比較的使いやすく、フレーム間のコピー&ペースト、フレームの挿入など一通りの機能は揃っている。
---ポーズをつける際もX、Y、Zの各軸を個別にいじったり、面倒な場合はパーツを掴んで動かしたりすることも可能。角度は2度ずつしかいじれないものの、基本的に不足することはない。
//--人体では不可能なポーズを取らせることも可能なので、後述の動画のように面白モーションを作って笑い飛ばすバカゲーとしての側面もある。
//---むしろ製作の難しさに行き当たったプレイヤーはこちらをメインとして遊ぶことになりやすい。投げ技を製作する際には敵側のモーションも作れるので、思いつく限りのおバカな技を再現出来る。
//---無論、真面目に作ろうと思えば格闘ゲームとして形にはなる。
//「格ゲーを作る」という想定から外れた事象を評価の根拠にするのはどうかと。


-使えるキャラクターモデルも豊富。
--基本的に正統派のキャラクターが多く、中国拳法家風の男女、覆面プロレスラー風の男女といった定番キャラからストリートファイト風キャラ、特殊部隊風キャラ2種(シュ○ルツ○ッガー風と『[[バ○オ>バイオハザード]]』のウェ○カー風)、太ったインド人風など多彩なキャラクターが用意されている。
---モデリングも割と良好で女性キャラクターもかわいく作られている。
---全員分のデフォルトモーションも用意されているので、これだけで遊ぶことも可能。技もけっこう豊富に用意されているので、エディットの参考にしやすい。
--ゲストとして『[[ストリートファイターEX]]』からスカロマニアが特別出演している。
---一部モーションが変更されているものの、『EX』で使用していた技もほぼ再現されている。

-オプションも豊富。
--CPUのレベルを3段階から、時間制限の有無といった格ゲーでは定番のオプションから1Pと2Pのライフ最大値を変更したりすることも出来る。

**問題点
-ストーリーやキャラクター同士のやりとりといった演出に関わる要素を自作できない。
--ゆえに実質的には「ゲーム性の根幹部分だけを作るツール」となっており、純粋なツクールとしては非常に味気ない。
---3Dモデルを扱っているため、容量的に仕方なかったのかもしれないが。
//--そのため、例えば『RPGツクール』がRPG全体を1から10まで作るのと同じ意味で『3D格闘(ゲームを)ツクール』というよりは、実質的には&bold(){『3D格闘(ゲームのキャラクター部分だけを)ツクール』}というツールになってしまっている。
//言い回しがややこしくてわかり辛いよ

-投げ技が強すぎる。投げ抜けがないため、モーションに入ったら無敵。かけるのも簡単。

-エフェクトが作れないため、飛び道具などを作ることは不可能。一応、当たり判定を体から離れた部分に設定可能だが、一般的な「波動拳」に代表される格闘ゲームの飛び道具とは違うものになる。
//--エフェクトの代わりに効果音が設定できるものの、それがどうした。数も少ないし。

-コマンド自体も短いものしか作れない。長いものを作ろうとしたら派生技を設定しなければならない。
--せいぜい波動コマンドが精一杯。昇竜コマンドやレバー一回転などは作れない。
---ただ、当時の3D格闘ゲームのコマンドは→→や↓→程度の2D格闘ゲームに比べ簡素なものが多く、そう大きな問題ではなかった。

-そして最大の問題点がモーション製作の困難さである。
--2D格闘ツクールシリーズがグラフィック制作そのものの困難さ((1キャラに付き膨大な枚数のアニメパターンを書かなければならないことに加え、ドット絵製作技術やアニメーションを作るノウハウ自体がないとまず厳しい))をネックとしていたのに対し、本作では予めグラフィックが用意されている代わりに3Dの立体構造の把握の困難さが大きなネックとなっている。
--三次元でものを把握しなければならないため、角度の設定や軸の設定などをしっかり把握しなければならない。
--上記の通り、補完機能があるものの、次のモーションでのパーツの角度などを把握できていないと実際に動かした時に思わぬ動きをすることが多数。
---動く時にぐるっと回転したり、変な方向に腕が曲がったり…。
--結局のところ、制作難度に馴染めなかったプレイヤーから変なモーションを作って動かして楽しむゲームとして認知されてしまった。

**総評
格ゲーツクール素材としてはかなり扱いが難しく、かなり根気のいる代物である。~
また、技コマンドの設定に制約があることやストーリー設定等のゲーム以外の外堀の部分の制作が行えないこともあって、味気なさがあるのも否めないところ。~
モーション制作は非常に充実しているので、中には純粋にモーション製作を楽しんでいるプレイヤーも多い。~
ツールとして難があるものの、想定された使い方以外のところに着地点を見出されて楽しまれることとなった稀有な作品と言えよか。
//モーション製作の自由度が非常に高いので、一部では面白モーションを作って笑い飛ばすバカゲーとして扱われることもある。
//下手に判定の名称持ち出すと不一致と見なされかねないのでCO

#region(参考動画:3D格闘ツクール 続・若き日の過ち)
&youtube(https://www.youtube.com/watch?v=LeId_nq-pHs)
#endregion

**続編
-3D格闘ツクール2 (PS2)
--プラットフォームをプレイステーション2に移して発売された続編。
--モーション制作の自由度の高さと困難さは前作同様高く、やる気と根気が要求されるのは相変わらずだが、前作のインターフェースを継承しているため、慣れればそれなりに作りやすい。