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アノニマス - (2020/03/27 (金) 00:26:39) のソース

*アノニマス
【あのにます】
|ジャンル|ADV|&amazon(B000J1RAH6)|&amazon(B082X397LW)|
|対応機種|Windows 2000/XP|~|~|
|メディア|DVD-ROM|~|~|
|発売・開発元|mirage|~|~|
|発売日|2006年12月29日|~|~|
|定価|8,800円(税別)|~|~|
|ディスクレス起動|可能|~|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|
|判定|なし|~|~|
|ポイント|救いのない物語&br;一部の要素は詳細不明|~|~|

#center{&big{''「真実」を知ることが必ず「幸福」とは言えない''}}
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[マブラヴ オルタネイティヴ]]』等で有名な「age」の姉妹ブランド「mirage」の2作目。~
原案は『携帯モノ (仮)』。その後『アノニマス (仮)』として製作開始、予定より1週間延期して『アノニマス』として発売された。

タイトルから有名なあのハッカー集団を連想する人も居るだろうが、そもそも''anonymous(アノニマス)は「匿名」という意味''である。タイトル通り作中では匿名の相手からのメール等に四苦八苦することになる。

2000年に発売された『螺旋回廊』(発売元は「ruf」)と本作は似ている部分が多い。~
これはライターが同じ人物であることに由来し、比較して評価するファンは多い。


**ストーリー
>''偶然の再会は悲劇への序章だった。季節は急速に冬に向かっていた。''
>主人公・鹿島浩介は、母親・沙希子と妹・泉水の3人家族。とある田舎町で暮らしていたが、~
泉水が引き籠もりになるという事態を受けて引っ越しをすることになった。
>引っ越し先は都会。一転した生活に戸惑うが、転校した学園には知り合いがいた。~
それは、今年の夏に海水浴で浩介の田舎を訪れたことで知り合ったヒロイン・滝野夏葵と深山由香だった。~
思いがけない再会だったが、驚くべき事に夏葵は浩介に敵意をむき出しにしてくる。~
何かをしきりに責め立てるのだが、浩介には心当たりがなく、また夏葵が会話を拒絶するため事情を聞き出すこともできない。 
>''不可解なメールをきっかけに転がり始める主人公たち''~
そんなある日、浩介の携帯にAnonymousを名乗る相手からメールが届く。~
「お前の秘密を知っている」という内容は浩介を困惑させた。連日送られてくるメッセージ。
Anonymousは、全てを知っているのにそれを教えようとしない。まるで浩介が苛つくのを楽しんでいるようだ。
>だが、自分たちが田舎で暮らしていたあの夏の日、夏葵や由香と知り合ったあの夏の日、~
そして泉水が引き籠もる原因となった「何か」があったあの夏の日に、~
浩介も知らない「秘密」があることを確信するには十分だった。
>浩介はその「秘密」にたどり着こうとする。~
もちろんそれが自分にとってあまり良くないことを呼び込むに違いないという予感はあった。~
だが、浩介は甘すぎたのだ。後悔は決して先には立たないのである……。~
(パッケージ裏から抜粋)

**システム
-「初めから」
-プロローグ
-本編 : 浩介
-本編 : 由香
-本編 : 太一
-本編 : 沙希子

の5つが表示される。シナリオにはロックがかけられており、エンディングを見るたびに上から順に解禁される。~
『本編 : 浩介』のみ選択肢がいくつかあり、それに応じてエンディングが分岐する。

-「続きから」
--文字通りセーブ地点からやり直せる。

-「プレミア」
--一般的なエロゲの「おまけ」に当たるモード。携帯電話風の画面になっている。
--「CG鑑賞」「シーン回想」と「エンディング確認」が可能。
--「エンディング確認」は閲覧したエンディングの数とエンディング名のみを閲覧できる。

**評価点
-統合性のとれたシナリオ
--4つの視点で描かれる本編は、同じ時間軸の出来事を他視点で見る。
--少しずつ不明瞭な点が明かされていく構成になっている。
---例えば浩介視点では、由香が浩介に対して不自然な態度を取り、プレイヤーは疑問に感じる。~
しかし由香視点で見ると浩介に怯える理由などが描写されるため、プレイヤーは謎が解け、物語の真髄に近づけるのでカタルシスを得られる。
--他視点を生かしたアドベンチャーゲームならではの表現としても評価できる。

-人間味のある人物
--どの人物も裏表があり、聖人君子や万能すぎる人物がいない。
--殺人や裏切りに至るまでの心情描写がしっかりとされている。
---そのため最初から狂人だったのではなく、徐々に狂ってしまったことが伝わってくる。

-臨場感溢れる演出
--画面が揺れる、回転する技法とSEを上手く組み合わせて場を盛り上げる箇所がある。
--特に評価が高いのは「あるエンディングで視界が歪み、妹がアップで映るシーン」と「クラスメイト全員の携帯電話が鳴り、秘密をバラされるシーン」の2つ。
---前者は多くのプレイヤーを震え上がらせた。

**賛否両論点
-実在の風景を加工した背景
--登場人物が黒髪や茶髪ということもあり、立ち絵との違和感はなく、不気味な雰囲気作りに一役買っている。
--一方でただの手抜きだという声もある。

-エロシーン
--純粋な和姦と呼べるシーンはなく、陵辱や調教がほとんどを占める。
--これだけでも人を選ぶが、逆にこういった要素を好む層からも「尺が短い、物足りない」という声が上がっている。

#region(シナリオの軽いネタバレ)
-徹底的に救いがない
--主人公に関わった人物のほとんどは不幸になり、エンディングを迎える。一見バッドに見えないエンディングもあるが、後の展開で実はバッドだったことが判明する。
--主人公達を悲劇に巻き込んだ「アノニマス」の集団など、明確に悪人として描かれている人物に一矢報いる展開はない。~
これからも「アノニマス」は悲劇を引き起こすと想像できる終わり方になっている。
#endregion


**問題点
-一部の人物や出来事については、詳細が分からず終いで終わる。
--こういった要素を活かしきれていないと惜しむ声は多い。
--ちなみに主人公達に直接関わってきた犯人の正体も作中では明かされないが、分かりやすい伏線が張られているので、ユーザーの間では犯人は特定の人物とされている。こちらが批判されることはない。

-「本編 : 沙希子」
--最後に解禁される母親目線のシナリオだが、ストーリーの一部を補完するだけの内容。
--シナリオの総まとめや救いを期待していた人が多く、「最後に相応しくない」と批判される。
--一応母親のエロ方面で評価する声もある。

-テキストの表示方法
--テキストウインドウがなく、直にテキストが表示される。
--中央揃えでテキストが表示されるため読み難い上に、設定で表示を変えることができないため我慢するしかない。

-フルプライスソフトとしてはボリュームが薄め。

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**総評
人間の嫌な部分がこれでもかと描写された作品。説明不足と感じられる部分もあるが、シナリオはまとまっている。~
救いのない話、NTR、陵辱といった鬱要素を求める人にはお勧めできる。

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**余談
-オープニング曲「Blood Knife」はDAMで配信されておりカラオケで歌える。
-公式の体験版は2007年3月に配信停止。ミラーサイトでDL可能。
-「mirage」は本作を最後に公式サイトが消滅している。

-2020年3月27日に『age アーカイブス ~20thBOX Edition~』が発売。
--Windows 10に正式対応した本作が収録されている。本作と類似要素の多い『螺旋回廊』『螺旋回廊2』も収録されている。